JP2024514127A - 抗がん剤療法 - Google Patents

抗がん剤療法 Download PDF

Info

Publication number
JP2024514127A
JP2024514127A JP2023561730A JP2023561730A JP2024514127A JP 2024514127 A JP2024514127 A JP 2024514127A JP 2023561730 A JP2023561730 A JP 2023561730A JP 2023561730 A JP2023561730 A JP 2023561730A JP 2024514127 A JP2024514127 A JP 2024514127A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
inhibitor
cancer
sos1
kras
mek
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023561730A
Other languages
English (en)
Inventor
徹哉 光冨
教将 古賀
マルコ ハンス ホフマン
ミヒャエル グマクル
Original Assignee
ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング filed Critical ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
Publication of JP2024514127A publication Critical patent/JP2024514127A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/395Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
    • A61K31/495Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having six-membered rings with two or more nitrogen atoms as the only ring heteroatoms, e.g. piperazine or tetrazines
    • A61K31/505Pyrimidines; Hydrogenated pyrimidines, e.g. trimethoprim
    • A61K31/517Pyrimidines; Hydrogenated pyrimidines, e.g. trimethoprim ortho- or peri-condensed with carbocyclic ring systems, e.g. quinazoline, perimidine
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/395Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
    • A61K31/495Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having six-membered rings with two or more nitrogen atoms as the only ring heteroatoms, e.g. piperazine or tetrazines
    • A61K31/505Pyrimidines; Hydrogenated pyrimidines, e.g. trimethoprim
    • A61K31/519Pyrimidines; Hydrogenated pyrimidines, e.g. trimethoprim ortho- or peri-condensed with heterocyclic rings
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

本発明は、がんの治療及び/又は予防に使用するためのSon of Sevenless 1(SOS1)阻害剤及び/又はマイトジェン活性化タンパク質キナーゼキナーゼ(MEK)阻害剤であって、SOS1阻害剤若しくはMEK阻害剤が単独で投与されるか、又はSOS1阻害剤がMEK阻害剤と組み合わせて投与され、がんが、KRAS G12Cの阻害剤による治療に対する耐性を有する、前記SOS1阻害剤及び/又はMEK阻害剤に関する。【選択図】 なし

Description

本発明は、KRAS G12Cの阻害剤による治療に対する耐性を有するがんの治療、特にがん細胞が、KRAS G12Cの一次変異を表し、Y96Xの二次変異、好ましくはY96D又はY96Sの二次変異を更に表すがんの治療に使用するための、Son of Sevenless 1(SOS1)阻害剤若しくはマイトジェン活性化タンパク質キナーゼキナーゼ(MEK)阻害剤、又はSOS1阻害剤とMEK阻害剤との組み合わせに関する。
V-Ki-ras2カーステン・ラット肉腫ウイルスがん遺伝子ホモログ(KRAS)は、RAS GTPアーゼをコードするヒトRAS遺伝子の1種である。KRASタンパク質は、増殖、代謝及び成長などの多様な細胞プロセスに影響を及ぼす成長因子シグナル伝達経路における分子スイッチとして機能する低分子GTPアーゼである。KRASは、GDP結合型の不活性型構造とGTP結合型の活性型構造との間で切り替れる。SOS1などのグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)の結合により、RASファミリータンパク質からのGDP放出を促進し、GTPの結合を可能にし、下流経路を活性化する活性形態になる。
SOS1(Son of Sevenless 1)は、最初に同定されたショウジョウバエタンパク質Son of Sevenless 1のヒトホモログである。SOS1は、がんにおけるRASファミリータンパク質のシグナル伝達の活性化に決定的に関与している。SOS1の触媒部位のRASファミリータンパク質への結合を選択的薬理学的に阻害することで、RASファミリータンパク質のGTP結合型形態へのSOS1媒介型活性化を防止でき、SOS1阻害剤は、RASファミリータンパク質の下流の細胞でのシグナル伝達を阻害する。RASファミリータンパク質への依存に関連するがん細胞において、SOS1阻害剤は、抗がん効能を提供する。がんの治療に使用するためのSOS1阻害剤とMEK(マイトジェン活性化タンパク質キナーゼキナーゼ)の阻害剤との組み合わせは、国際公開第2020/254451号公報から知られている。
KRASは、がんにおいてよく変異する遺伝子である。KRAS変異、例えば、アミノ酸G12、G13、Q61、A146は、肺がん、結腸直腸がん及び膵がんなどの様々なヒト癌に見られる。非小細胞肺がん(NSCLC)におけるKRAS変異の大半は、コドン12に発生し、おおよそ半分は、グリシンからシステインへの置換(G12C)である。その高頻度にもかかわらず、KRAS変異型のがんに対する標的療法の発展は、長い間満足されていない。近年、G12C変異を有するKRASタンパク質の機能を阻害できるいくつかの薬物が開発された。アダグラシブ及びソトラシブなどのいくつかのKRAS G12C阻害剤が臨床試験に到達し、KRAS G12C変異を有する転移性非小細胞肺がんにおいて期待できる結果を実証した。
一般的に、標的療法に反応するほぼすべての固形腫瘍において、獲得したオンターゲットの薬剤耐性が必然的に発生し、臨床的再燃(relapse)をもたらす。したがって、獲得耐性を必然的にもたらす標的遺伝子の二次変異の獲得(オンターゲット機序)が、アダグラシブ及びソトラシブを使用する標的療法において発生するであろう。併用療法の可能な標的及びKRAS G12C阻害剤に対する耐性の機序は、現在議論されており(Dunnett-Kane et al., Cancers, 2021, 13(1), 151)、またアダグラシブ及びソトラシブの両者は、早期臨床試験において、既にSHP2(Srcホモロジー領域2ドメイン含有ホスファターゼ2)阻害剤と組み合わせて検証された(Hata et al., Nat. Med., 2020, 26, 169-170)。
しかしながら、これまでKRAS G12C阻害剤に対する獲得耐性を引き起こすKRASでの二次変異を説明するデータは報告されていない。ソトラシブ及びアダグラシブに対して獲得耐性を与えるKRASでの二次変異は依然として予想され、この耐性を克服する可能な戦略が必要である。
したがって、本発明の目的は、KRAS G12C阻害剤に対して耐性を獲得したがんに対する二次治療のオプションを可能にする阻害剤を提供することである。
ソトラシブ及びアダグラシブに対する獲得したオンターゲット耐性についての細胞株モデルにおいて、Y96D又はY96S(Y96D/S)の二次変異を有するクローンは、KRAS G12C阻害剤であるソトラシブ及びアダグラシブに対する耐性を有することが見出された。BI-3406などのSOS1阻害剤、及びSOS1阻害剤とトラメチニブなどのMEK阻害剤との組み合わせは、G12Cの一次変異に加えて、Y96D又はY96Sの二次変異も有する細胞に対する強力な活性を示した。これにより、ソトラシブ及びアダグラシブによる治療の過程で現れると予想される、KRASの二次変異により引き起こされた獲得耐性を克服するためのセカンドライン療法のオプションを提供する。
第一の観点により、がんの治療及び/又は予防に使用するためのSon of Sevenless 1(SOS1)阻害剤及び/又はマイトジェン活性化タンパク質キナーゼキナーゼ(MEK)阻害剤であって、SOS1阻害剤若しくはMEK阻害剤が単独で投与されるか、又はSOS1阻害剤がMEK阻害剤と組み合わせて投与され、がんが、KRAS G12C阻害剤による治療に対する耐性を有する、前記SOS1阻害剤及び/又はMEK阻害剤を提供する。
一態様において、がんは、KRAS G12Cの阻害剤による以前の治療後に、KRAS G12C阻害剤による治療に対する耐性を有するものとなった。
一態様において、がんは、ソトラシブ(AMG 510)及び/又はアダグラシブ(MRTX 849)による治療に対する耐性を有する。
好ましい態様において、がんは、ソトラシブ(AMG 510)及び/又はアダグラシブ(MRTX 849)による以前の治療後に、ソトラシブ(AMG 510)及び/又はアダグラシブ(MRTX 849)による治療に対する耐性を有するものとなった。
一態様において、がんのがん細胞は、KRAS G12Cの一次変異を表し、Y96Xの二次変異、好ましくはY96D及びY96Sからなる群より選択されるY96Xの二次変異を更に表す。
一態様において、がんのがん細胞は、KRAS G12Cの一次変異を表し、Y96Xの二次変異、好ましくはY96D及びY96Sからなる群より選択されるY96Xの二次変異を更に表すことが決定されている。
1以上の態様において、SOS1阻害剤は、以下の化合物:
からなる群より選択される化合物又はその医薬上許容される塩である。
1以上の態様において、MEK阻害剤は、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、レファメチニブ並びに以下の化合物:
からなる群より選択される化合物又はその医薬上許容される塩である。
1以上の態様において、がんは、膵がん、肺がん、結腸直腸がん、胆管細胞がん、多発性骨髄腫、黒色腫、子宮がん、子宮内膜がん、甲状腺がん、急性骨髄性白血病、膀胱がん、尿路上皮がん、胃がん、子宮頸がん、頭頸部扁平上皮がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、食道がん、慢性リンパ性白血病、肝細胞がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、神経膠芽腫、腎がん及び肉腫からなる群より選択される。
別の観点は、SOS1阻害剤を有効成分として含む医薬組成物に関する。別の観点は、MEK阻害剤を有効成分として含む医薬組成物に関する。別の観点は、がんの治療及び/又は予防に使用するための、SOS1阻害剤及びMEK阻害剤を有効成分として含む医薬の組み合わせであって、がんが、KRAS G12C阻害剤による治療に対する耐性を有する、前記医薬の組み合わせに関する。
別の観点は、1つ以上の容器に、
(i)SOS1阻害剤を含み、医薬上許容される担体、賦形剤及び/若しくはビヒクルを含んでもよい(第1の)医薬組成物若しくは剤形、及び/又は
(ii)MEK阻害剤を含み、医薬上許容される担体、賦形剤及び/若しくはビヒクルを含んでもよい(第2の)医薬組成物若しくは剤形
を含み、
(iii)説明書を含む添付文書
を含んでもよい、
がんの治療及び/又は予防に使用するためのキットであって、がんが、KRAS G12C阻害剤による治療に対する耐性を有する、前記キットに関する。
別の観点は、がんを治療及び/又は予防する方法であって、治療上有効量のSOS1阻害剤若しくは治療上有効量のMEK阻害剤を患者に投与するか、又は治療上有効量のSOS1阻害剤を治療上有効量のMEK阻害剤と組み合わせて患者に投与することを含み、がんが、KRAS G12C阻害剤による治療に対する耐性を有する、前記方法に関する。
別の観点は、がんの治療用及び/又は予防用の医薬品の製造のための、SOS1阻害剤及び/又はMEK阻害剤の使用であって、SOS1阻害剤若しくはMEK阻害剤が単独で使用されるか、又はSOS1阻害剤が、MEK阻害剤と組み合わせて使用され、がんが、KRAS G12C阻害剤による治療に対する耐性を有する、前記使用に関する。
本明細書に開示されているすべての観点、特に医薬組成物若しくは医学の組み合わせ、キット、方法、又は使用の一態様において、がんが、KRAS G12C阻害剤による以前の治療後に、KRAS G12C阻害剤による治療に対する耐性を有するものとなった。
本明細書に開示されているすべての観点、特に医薬組成物若しくは医学の組み合わせ、キット、方法、又は使用の一態様において、SOS1阻害剤は、本明細書において定義される化合物又はその医薬上許容される塩である。
本明細書に開示されているすべての観点、特に医薬組成物若しくは医学の組み合わせ、キット、方法、又は使用の一態様において、MEK阻害剤は、本明細書において定義される化合物又はその医薬上許容される塩である。
本明細書に開示されている全すべての観点、特に医薬組成物若しくは医学の組み合わせ、キット、方法、又は使用の一態様において、がんは、ソトラシブ(AMG 510)及び/又はアダグラシブ(MRTX 849)による治療に対する耐性を有する。
本明細書に開示されているすべての観点、特に医薬組成物若しくは医学の組み合わせ、キット、方法、又は使用の好ましい態様において、がんが、ソトラシブ(AMG 510)及び/又はアダグラシブ(MRTX 849)による以前の治療後に、ソトラシブ(AMG 510)及び/又はアダグラシブ(MRTX 849)による治療に対する耐性を有するものとなった。
本明細書に開示されているすべての観点、特に医薬組成物若しくは医学の組み合わせ、キット、方法、又は使用の一態様において、がんのがん細胞は、KRAS G12Cの一次変異を表し、Y96Xの二次変異、好ましくはY96D及びY96Sからなる群より選択されるY96Xの二次変異を更に表す。
本明細書に開示されているすべての観点、特に医薬組成物若しくは医学の組み合わせ、キット、方法、又は使用の好ましい態様において、がんのがん細胞が、KRAS G12Cの一次変異を表し、Y96Xの二次変異、好ましくはY96D及びY96Sからなる群より選択されるY96Xの二次変異を更に表すものと決定されている。
本明細書に開示されているすべての観点、特に医薬組成物若しくは医学の組み合わせ、キット、方法、又は使用の1以上の態様において、がんは、膵がん、肺がん、結腸直腸がん、胆管細胞がん、多発性骨髄腫、黒色腫、子宮がん、子宮内膜がん、甲状腺がん、急性骨髄性白血病、膀胱がん、尿路上皮がん、胃がん、子宮頸がん、頭頸部扁平上皮がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、食道がん、慢性リンパ性白血病、肝細胞がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、神経膠芽腫、腎がん及び肉腫からなる群より選択される。
別の観点は、KRAS G12C阻害剤による治療に対する獲得耐性を有する個体、及び/又はSOS1阻害剤、若しくはMEK阻害剤、若しくはSOS1阻害剤とMEK阻害剤との組み合わせによる治療に対する感受性を有する個体を検出又は診断するためのインビトロ方法であって、
-個体から採収した生体試料中の、KRAS変異であるY96X、好ましくはY96D及びY96Sからなる群より選択される変異の存在を決定する工程を含み、
KRAS変異であるY96X、好ましくはY96D及びY96Sからなる群より選択される変異の検出に基づいて、個体が、KRAS G12C阻害剤による治療に対する耐性を有するもの、及びSOS1阻害剤、若しくはMEK阻害剤、若しくはSOS1阻害剤とMEK阻害剤との組み合わせによる治療に対する感受性を有するものに分類される、前記方法に関する。
別の観点は、KRAS G12Cの阻害剤による治療に対する耐性を有するがん若しくはがん細胞、及び/又はSOS1阻害剤、若しくはMEK阻害剤、若しくはSOS1阻害剤とMEK阻害剤との組み合わせによる治療に対する感受性を有するがん若しくはがん細胞のバイオマーカーとしての、KRAS変異であるY96X、好ましくはY96D及びY96Sからなる群より選択される変異の使用に関する。
KRAS G12C、G12D又はG12Vを有する改変されたBa/F3細胞の増殖阻害曲線。図1Aは、指定濃度のソトラシブで72時間処理した細胞を示す。結果は、3回の個別の試験の平均値として示されている。エラーバーは、標準偏差(SD)を示す。図1Bは、指定濃度のアダグラシブで72時間処理した、KRAS G12C、G12D又はG12Vを有する改変されたBa/F3細胞の増殖阻害曲線を示す。 KRAS G12Cに加えて、ENU変異誘発により生じた二次変異も有するBa/F3細胞の増殖阻害曲線。図2Aは、指定濃度のソトラシブで72時間処理した細胞を示す。結果は、3回の個別の試験の平均値として示されている。エラーバーは、標準偏差(SD)を示す。図2Bは、指定濃度のアダグラシブで72時間処理した、KRAS G12Cに加えて、ENU変異誘発により生じた二次変異も有するBa/F3細胞の増殖阻害曲線を示す。 Ba/F3細胞に導入されたKRAS G12C及び二次変異の両方を有する、Ba/F3細胞の増殖阻害アッセイ。図3Aは、指定濃度のソトラシブで72時間処理した細胞を示す。結果は、3回の個別の試験の平均値として示されている。エラーバーは、標準偏差(SD)を示す。図3Bは、指定濃度のアダグラシブで72時間処理した、KRAS G12Cに加えて、二次変異も有するBa/F3細胞の増殖阻害アッセイを示す。 H358細胞に導入されたKRAS G12C及び二次変異を有する、H358細胞の増殖阻害アッセイ。図4Aは、指定濃度のソトラシブで72時間処理した細胞を示す。結果は、3回の個別の試験の平均値として示されている。エラーバーは、標準偏差(SD)を示す。図4Bは、指定濃度のアダグラシブで72時間処理した、KRAS G12Cに加えて、二次変異も有するH358細胞の増殖阻害アッセイを示す。 図5Aにおいて、指定濃度のBI 3406で72時間処理した、KRAS G12Cに加えて、A59S、Y96D又はY96Sの二次変異(すべて、Ba/F3細胞に導入された)も有するBa/F3細胞の増殖阻害アッセイである。結果は、3回の個別の試験の平均値として示されている。エラーバーは、標準偏差(SD)を示す。図5Bは、指定濃度のBI 3406で72時間処理した、KRAS G12Cに加えて、A59S、Y96D又はY96Sの二次変異(H358細胞に導入された)も有するH358細胞の三次元(3D)増殖阻害アッセイを示す。図5Cは、指定濃度のトラメチニブ及び1μMのBI 3406で72時間処理した、KRAS G12Cに加えて、Y96D又はY96Sの二次変異(H358細胞に導入された)も有するH358細胞の三次元(3D)増殖阻害アッセイを示す。
SOS1阻害剤
本明細書において使用されているように、用語「SOS1」は、ショウジョウバエタンパク質Son of Sevenless 1のヒトホモログを指す。本明細書において使用されているように、用語「SOS1阻害剤」は、SOS1のKRASへの結合を阻害し、SOS1媒介化による、KRASのGTP結合型への活性化を防止する化合物を指す。一態様において、SOS1阻害剤は、SOS1に結合する。異なる化合物クラスに属するSOS1阻害剤が知られている。
好ましくは、治療方法、使用、組み合わせ及び組成物などのすべての観点及び態様に関して、SOS1阻害剤は、
・国際公開第2018/115380号公報に一般的に記載及び/又は具体的に開示されているSOS1阻害剤、
・国際公開第2018/115380号公報に開示されているSOS1阻害剤I-1~I-383のすべて、
・国際公開第2019/122129号公報に一般的に記載及び/又は具体的に開示されているSOS1阻害剤、
・国際公開第2019/122129号公報に開示されているSOS1阻害剤I-1~I-179のすべて、
・国際公開第2020/180768号公報に一般的に記載及び/又は具体的に開示されているSOS1阻害剤、
・国際公開第2020/180768号公報に開示されているSOS1阻害剤例1~103のすべて、
・国際公開第2020/180770号公報に一般的に記載及び/又は具体的に開示されているSOS1阻害剤、
・国際公開第2020/180770号公報に開示されているSOS1阻害剤例1~540のすべて、
・国際公開第2018/172250号公報に一般的に記載及び/又は具体的に開示されているSOS1阻害剤、
・国際公開第2018/172250号公報に開示されているSOS1阻害剤例1~458のすべて、
・国際公開第2019/201848号公報に一般的に記載及び/又は具体的に開示されているSOS1阻害剤、及び
・国際公開第2019/201848号公報に開示されているSOS1阻害剤例1~100のすべて
からなる群より選択される。該開示のすべての内容は、それぞれの合成及び性質と一緒に、参照として本明細書に含まれる。
また、治療方法、使用、組み合わせ及び組成物などのすべての観点及び態様に関して、SOS1阻害剤は、
・国際公開第2021/074227号公報に一般的に記載及び/又は具体的に開示されているSOS1阻害剤、
・国際公開第2021/074227号に開示されているSOS1阻害剤例1~342のすべて、
・国際公開第2021/092115号公報に一般的に記載及び/又は具体的に開示されているSOS1阻害剤、
・国際公開第2021/092115号公報に開示されているSOS1阻害剤例1~71及びPのすべて(表A、表1~21)、
・国際公開第2021/130731号公報に一般的に記載及び/又は具体的に開示されているSOS1阻害剤、
・国際公開第2021/130731号公報に開示されているSOS1阻害剤例/化合物1~152のすべて、
・中国公開第113200981号公報に一般的に記載及び/又は具体的に開示されているSOS1阻害剤、
・中国公開第113200981号公報に開示されているSOS1阻害剤例/化合物1~22のすべて、
・国際公開第2021/249519号公報に一般的に記載及び/又は特に開示されているSOS1阻害剤、
・国際公開第2021/249519号公報に開示されているSOS1阻害剤例/化合物1~29のすべて、
・国際公開第2021/249475号公報に一般的に記載及び/又は具体的に開示されているSOS1阻害剤、
・国際公開第2021/249475号公報に開示されているSOS1阻害剤例1~112のすべて、
・国際公開第2021/173524号公報に一般的に記載及び/又は具体的に開示されているSOS1阻害剤、
・国際公開第2021/127429号公報に一般的に記載及び/又は具体的に開示されているSOS1阻害剤、
・国際公開第2022/026465号公報に一般的に記載及び/又は具体的に開示されているSOS1阻害剤、
・国際公開第2021/203768号公報に一般的に記載及び/又は具体的に開示されているSOS1阻害剤、
・国際公開第2021/228028号公報に一般的に記載及び/又は具体的に開示されているSOS1阻害剤、
・国際公開第2022/017339号公報に一般的に記載及び/又は具体的に開示されているSOS1阻害剤、
・国際公開第2022/017519号公報に一般的に記載及び/又は具体的に開示されているSOS1阻害剤、
・国際公開第2022/026465号公報に一般的に記載及び/又は具体的に開示されているSOS1阻害剤、
・国際公開第2022/028506号公報に一般的に記載及び/又は具体的に開示されているSOS1阻害剤、
・国際公開第2022/058344号公報に一般的に記載及び/又は具体的に開示されているSOS1阻害剤、
・中国公開第113801114号公報に一般的に記載及び/又は具体的に開示されているSOS1阻害剤
からなる群より選択することができる。該開示のすべての内容は、それぞれの合成及び性質と一緒に、参照として本明細書に含まれる。
本明細書において使用されている用語「SOS1阻害剤」はまた、上に示したSOS1阻害剤の互変異性体、医薬上許容される塩、水和物、又は溶媒和物の形態を含む(医薬上許容される塩の水和物又は溶媒和物を含む)。該用語はまた、あらゆる固体形態、好ましくは結晶形態のSOS1阻害剤、並びにその医薬上許容される塩、水和物及び溶媒和物(医薬上許容される塩の水和物又は溶媒和物を含む)のあらゆる結晶形態を含む。
本明細書において使用されている「医薬上許容される塩」は、酸付加塩及び塩基付加塩の両方を含む。医薬上許容される酸付加塩は、遊離塩基の生物学的効果及び性質を保ち、生物学又はその他の点で望ましくない塩ではなく、無機酸又は有機酸で形成される塩を指す。医薬上許容される塩基付加塩は、無機塩基又は非毒性の有機塩基に由来する塩を含む。本明細書において使用されている用語「溶媒和物」は、1種以上の溶媒分子及び本発明の化合物の集合体又は複合体を指す。溶媒の例としては、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸及びエタノールアミンが挙げられる。用語「水和物」は、溶媒分子が水である場合の複合体を指す。
一態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-1又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-2又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-3又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-4又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-13又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-20又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-21又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-22又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-23又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-25又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-26又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-37又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-38又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-45又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-49又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-50又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-52又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-53又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-54又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-55又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-57又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-58又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-59又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-61又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-69又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-71又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-73又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-77又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-78又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-82又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-87又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-96又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-97又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-98又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-99又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-100又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-101又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-102又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-103又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-121又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-123又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-126又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-128又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-130又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-156又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物I-157又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、SOS1阻害剤は、化合物BI-3406又はその医薬上許容される塩である。これらの態様はいずれも、SOS1阻害剤の性質に関して好ましい態様である。
MEK阻害剤
本明細書において使用されているように、用語「MEK」は、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼキナーゼを指す。本明細書において使用されているように、用語「MEK阻害剤」は、MEKの生物活性を阻害する及び/又は低下させる化合物を指す。異なる化合物クラスに属するMEK阻害剤が知られている。
好ましくは、治療方法、使用、組み合わせ及び組成物などのすべての観点及び態様に関して、MEK阻害剤は、
・国際公開第2013/136249号公報に一般的に記載及び/又は具体的に開示されているMEK阻害剤、
・国際公開第2013/136249号公報に開示されているMEK阻害剤例1~79のすべて、
・国際公開第2013/136254号公報に一般的に記載及び/又は具体的に開示されているMEK阻害剤、
・国際公開第2013/136254号公報に開示されているMEK阻害剤例1~21のすべて、
・国際公開第2005/121142号公報に一般的に記載及び/又は具体的に開示されているMEK阻害剤、及び
・国際公開第2005/121142号公報に開示されているMEK阻害剤例である化合物[I]
からなる群より選択される。該開示のすべての内容は、それぞれの合成及び性質と一緒に、参照として本明細書に含まれる。
本明細書において使用されている「MEK阻害剤」はまた、上に示したMEK阻害剤の互変異性体、医薬上許容される塩、水和物、又は溶媒和物の形態を含む(医薬上許容される塩の水和物又は溶媒和物を含む)。該用語はまた、あらゆる固体形態、好ましくは結晶形態のMEK阻害剤、並びにその医薬上許容される塩、水和物及び溶媒和物(医薬上許容される塩の水和物又は溶媒和物を含む)のあらゆる結晶形態を含む。
MEK阻害剤はまた、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、レファメチニブ及びそれらの医薬上許容される塩からなる群より選択され得る。
INN名トラメチニブと表記される化合物は、式(T):
(T)
によるMEKの低分子阻害剤、その医薬上許容される塩、又はその水和物若しくはその溶媒和物(例えば、そのDMSO溶媒和物)である。
国際公開第2005/121142号公報には、トラメチニブが実施例4-1として記載されている。該化合物は、市販されている。
また、INNがコビメチニブ(ATCコード:L01XE38)、ビニメチニブ(ATCコード:L01XE41)、セルメチニブ(ATCコード:L01EE04)、レファメチニブ(BAY 869766)で表される化合物は、当技術分野において公知であり、及び/又は市販されている。
より好ましくは、MEK阻害剤は、以下特定のMEK阻害剤:1-1、1-2、1-3、1-4、1-5、1-6、1-7、1-8、1-9、1-10、1-11、1-12、1-13、1-14、1-15、1-16、1-17、1-18、1-19、1-20、1-21、1-22、1-23、1-24、1-25、1-26、1-27、1-28、1-29、1-30、1-31、1-32、1-33、1-34、1-35、1-36、1-37、1-38、1-39、1-40、1-41、1-42、1-43、1-44、1-45、1-46、1-47、1-48、1-49、1-50、1-51、1-52、1-53、1-54、1-55、1-56、1-57、1-58、1-59、1-60、1-61、1-62、1-63、1-64、1-65、1-66、1-67、1-68、1-69、1-70、1-71、1-72、1-73、1-74、1-75、1-76、1-77、1-78、1-79、2-1、2-2、2-3、2-4、2-5、2-6、2-7、2-8、2-9、2-10、2-11、2-12、2-13、2-14、2-15, 2-16、2-17、2-18、2-19、2-20、及び2-21からなる群より選択されるMEK阻害剤又はその塩である。示したMEK阻害剤はすべて、それぞれの合成及び性質と一緒に、国際公開第2013/136249号公報及国際公開第2013/136254号公報に開示されている。
一態様において、MEK阻害剤は、トラメチニブ又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、コビメチニブ又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、ビニメチニブ又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、セルメチニブ又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、レファメチニブ又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-1又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-2又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-3又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-4又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物1-5又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-6又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-7又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-8又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物1-9又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-10又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-11又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-12又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-13又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-14又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-15又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK1阻害剤は、化合物1-16又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-17又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-18又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-19又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-20又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-21又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-22又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-23又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-24又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-25又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-26又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-27又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-28又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物1-29又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-30又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-31又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-32又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-33又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-34又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物1-35又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-36又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物1-37又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-38又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-39又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-40又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-41又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-42又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-43又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-44又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-45又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-46又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-47又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-48又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-49又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-50又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-51又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-52又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-53又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-54又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-55又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-56又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物1-57又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-58又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-59又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-60又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-61又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-62又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-63又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-64又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-65又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-66又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-67又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-68又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-69又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-70又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-71又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-72又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-73又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-74又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-75又はその医薬上許容される塩である。一態様において、MEK阻害剤は、化合物1-76又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物1-77又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物1-78又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物1-79又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物2-1又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物2-2又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物2-3又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物2-4又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物2-5又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物2-6又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物2-7又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物2-8又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物2-9又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物2-10又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物2-11又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物2-12又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物2-13又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物2-14又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物2-15又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物2-16又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物2-17又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物2-18又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物2-19又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物2-20又はその医薬上許容される塩である。別の態様において、MEK阻害剤は、化合物2-21又はその医薬上許容される塩である。これらの態様はいずれも、MEK阻害剤の性質に関して好ましい態様である。
組み合わせ
本明細書に記載のSOS1阻害剤の性質に関するすべての態様と、本明細書に記載のMEK阻害剤の性質に関するすべての態様との組み合わせにより、特定の組み合わせ又は組み合わせの群となり、これらはすべて具体的に開示されているとみなされ、かつ本発明の態様、並びにその組み合わせ、組成物、キット、方法、用途及び使用するための化合物の態様のすべてとみなされる。好ましい態様は、SOS1阻害剤の性質に関する態様I-1、I-2、I-3、I-4、I-13、I-20、I-21、I-22、I-23、I-25、I-26、I-37、I-38、I-45、I-49、I-50、I-52、I-53、I-54、I-55、I-57、I-58、I-59、I-61、I-69、I-71、I-73、I-77、I-78、I-82、I-87、I-96、I-97、I-98、I-99、I-100、I-101、I-102、I-103、I-121、I-123、I-126、I-128、I-130、I-156、I-157及びBI-3406、又はその医薬上許容される塩と、MEK阻害剤の性質に関する態様であるトラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、レファメチニブ、態様1-1、1-2、1-3、1-4、1-5、1-6、1-7、1-8、1-9、1-10、1-11、1-12、1-13、1-14、1-15、1-16、1-17、1-18、1-19、1-20、1-21、1-22、1-23、1-24、1-25、1-26、1-27、1-28、1-29、1-30、1-31、1-32、1-33、1-34、1-35、1-36、1-37、1-38、1-39、1-40、1-41、1-42、1-43、1-44、1-45、1-46、1-47、1-48、1-49、1-50、1-51、1-52、1-53、1-54、1-55、1-56、1-57、1-58、1-59、1-60、1-61、1-62、1-63、1-64、1-65、1-66、1-67、1-68、1-69、1-70、1-71、1-72、1-73、1-74、1-75、1-76、1-77、1-78、1-79、2-1、2-2、2-3、2-4、2-5、2-6、2-7、2-8、2-9、2-10、2-11、2-12、2-13、2-14、2-15、2-16、2-17、2-18、2-19、2-20、及び2-21、又はその医薬上許容される塩との組み合わせである。
治療に使用するために、SOS1阻害剤及びMEK阻害剤は、投与を容易にするのに適した医薬組成物に別々に又は一緒に含せることができる。よって、化合物は、各投与経路に適した、従来の非毒性の医薬上許容される担体、賦形剤及び/若しくはビヒクルを含む適切な単位剤形の製剤に、単独で又は一緒に製剤化することができる。SOS1阻害剤及びMEK阻害剤を別々に又は一緒に投与するための典型的な医薬組成物の例としては、例えば、錠剤、カプセル剤、坐剤、液剤(例えば、注射液及び輸液)、エリキシル剤、乳剤又は分散性粉末が挙げられる。有効成分の剤形及び製剤は、従来技術において知られている。
SOS1阻害剤は、経口投与経路により投与することができ、各投与経路に適した、従来の非毒性の医薬上許容される担体、賦形剤及びビヒクルを含む適切な単位剤形の製剤に、単独で又は一緒に製剤化することができる。同様に、MEK阻害剤は、経口投与経路により投与することができ、各投与経路に適した、従来の非毒性の医薬上許容される担体、賦形剤及びビヒクルを含む適切な単位剤形の製剤に、単独で又は組み合わせて製剤化することができる。服薬コンプライアンスの点から見て、経口投与が好ましい場合があるが、本明細書に記載のSOS1阻害剤及び/又はMEK阻害剤の投与経路は、経口投与に限定されず、化合物は、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、経皮若しくは皮下注射、又は移植)、腸管、経鼻、腟内、直腸内、或いは局所投与により投与することができる。
単剤療法及び併用療法
本発明の目的は、KRAS G12C阻害剤に対する耐性を獲得したがんに対する二次治療のオプションを提供する。
細胞株モデルにおいて、Y96D又はY96Sの二次変異を有するクローンは、KRAS G12C阻害剤であるソトラシブ及びアダグラシブの両方に対して耐性を有することがin vitroで見出された。驚くべきことに、BI-3406などのSOS1阻害剤、及びSOS1阻害剤とトラメチニブなどのMEK阻害剤との組み合わせは、G12Cの一次変異に加えて、Y96D及び/又はY96S(Y96D/S)の二次変異も表す細胞に対する強力な活性を示した。
具体的には、SOS1阻害剤であるBI-3406による治療、及びSOS1阻害剤であるBI-3406とMEK阻害剤であるトラメチニブとの併用治療により、細胞増殖が低下した。
ソトラシブ及びアダグラシブなどのKRAS G12C阻害剤によるがん治療が従来技術において知られているが、KRAS G12C阻害剤に対する耐性を獲得したがんに対する二次治療のオプションについての治療コンセプトは依然として不足している。
したがって、本発明は、がんが、KRAS G12Cの阻害剤による治療に対する耐性を有する場合の抗がん剤療法に使用するための、本明細書に記載のSOS1阻害剤、MEK阻害剤、又はSOS1阻害剤とMEK阻害剤との組み合わせに関する。単剤療法について、SOS1阻害剤又はMEK阻害剤は、医薬組成物又は剤形に製剤して投与することができる。併用療法は、SOS1阻害剤及びMEK阻害剤が依存的に製剤化して(例えば、1つの組成物に一緒に製剤化すること)投与するか、又は独立して(例えば、個別の組成物に製剤化すること)投与することができる。言い換えれば、併用療法において、SOS1阻害剤及びMEK阻害剤は、同一の医薬組成物若しくは剤形の一部として投与するか、又は好ましくは、個別の医薬組成物若しくは剤形で投与することができる。
別の観点は、本明細書に記載のSOS1阻害剤を有効成分として含む医薬組成物に関する。更なる観点は、本明細書に記載のMEK阻害剤を有効成分として含む医薬組成物に関する。別の観点は、本明細書に記載のSOS1阻害剤及びMEK阻害剤の両者を有効成分として含み、医薬上許容される担体、賦形剤及び/若しくはビヒクルを含んでもよい、がんの治療及び/又は予防に使用するための医薬の組み合わせであって、がんが、KRAS G12Cの阻害剤による治療に対する耐性を有する、前記医薬の組み合わせに関する。
用語「医薬上許容される担体、賦形剤及び/若しくはビヒクル」は、製剤化されている化合物の薬理活性を破壊しない非毒性の担体、賦形剤若しくはビヒクルを指す。本発明の組成物に使用され得る医薬上許容される担体、賦形剤若しくはビヒクルとしては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、緩衝物質、例えば、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、植物性飽和脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩若しくは電解質(例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩)、ポリビニルピロリドン、セルロースベース物質、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、又はポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において使用されているように、用語「有効成分」は、薬理活性又は他の直接的な効果を提供することを目的とする成分を指す。
SOS1阻害剤、又はMEK阻害剤、又はSOS1阻害剤とMEK阻害剤との組み合わせは、治療上有効量で投与するか、又は治療上有効量で医薬組成物、剤形若しくは医薬の組み合わせに含ませることができる。「治療上有効量」は、所望の治療結果を達成するのに必要な用量及び期間で有効な量を指し、疾患若しくは障害を予防、軽減、若しくは治療するのに必要な最小量、又は治療上有益な効果が化合物の毒性若しくは有害作用を上回る最小量である。
本明細書において使用されているように、用語「医薬の組み合わせ」は、1つの医薬組成物若しくは剤形単位での固定した組み合わせを指すか、又は好ましくは、SOS1阻害剤をMEK阻害剤と独立して同時に投与するか、若しくは時間間隔内で個別に投与することができる併用投与のためのパーツのキットを指すことができる。医薬の組み合わせの化合物は、一緒にしてもよいし、別々にしてもよい。これは、SOS1阻害剤とMEK阻害剤との医薬の組み合わせが、併用についての説明書の有無にかかわらず、別のパートナーの使用、適用若しくは製剤を指すか、又は組み合わせの製品を指すことを意味する。したがって、組み合わせのパートナーは、完全に個別に投与するか、又は完全に個別の医薬剤形であることができる。組み合わせのパートナーは、互いに独立して販売されている医薬組成物であってもよく、それらの併用のための適切な説明書のみが、添付文書(例えば、リーフレット等)において、又は例えば、口頭によるコミュニケーション、書面によるコミュニケーション等によって医師及び医療従事者に提供される他の情報において、共に活性であるための同時又は順次使用のために提供される。本明細書において使用されている用語「一緒に投与する」又は「組み合わせて投与」又は「併用」等は、それを必要とする単一の対象(例えば、患者)へ選択された組み合わせのパートナーの投与を包含することを意図しており、有効成分が必ずしも同じ投与経路で、及び/又は同時に投与されるわけではない治療計画を含むことを意図している。
別の観点は、1つ以上の容器に、
(i)本明細書に記載のSOS1阻害剤又は医薬上許容されるその塩を含み、医薬上許容される担体、賦形剤及び/若しくはビヒクルを含んでもよい(第1の)医薬組成物若しくは剤形、及び/又は
(ii)本明細書に記載のMEK阻害剤を含み、医薬上許容される担体、賦形剤及び/若しくはビヒクルを含んでもよい第2の医薬組成物若しくは剤形、
を含み、
(iii)説明書を含む添付文書
を含んでもよい、
がんの治療及び/又は予防に使用するためのキットであって、がんが、KRAS G12Cの阻害剤による治療に対する耐性を有する、前記キットに関する。
本明細書において使用されているように、医薬組成物についての用語「第1」及び「第2」は、これらの組成物が2つの異なる組成物であることを示すことのみを意図している。したがって、これらの用語は、投与の順番や順序を指すものとして理解してはならない。
好ましくは、添付文書は、本明細書に記載の過剰増殖性疾患、特にがんの治療を必要とする患者において、前記過剰増殖性疾患の治療における同時使用、一斉使用、順次使用、連続使用、交互使用又は個別使用のための、印刷された説明書を含む。
本明細書に開示されているSOS1阻害剤、MEK阻害剤、SOS1阻害剤とMEK阻害剤との組み合わせ、医薬組成物及び医薬の組み合わせのみならず、本明細書に開示されているSOS1阻害剤及びMEK阻害剤のすべての製剤は、同時、一斉、順次、連続的、交互又は個別に投与することができる。
用語「同時」は、両化合物/両組成物を実質的に同時に投与することを指す。用語「一斉」は、同じ一般的な期間に、例えば、同日であるが、必ずしも同時ではない、有効成分を投与することを指す。用語「順次」投与は、第1の期間に(例えば、数時間、数日又は1週間のコースにわたって)、1以上の投与量を使用して1つの有効成分を投与した後、第2の期間に(例えば、数時間、数日又は1週間のコースにわたって)、1以上の投与量を使用してもう1つの有効成分を投与することを含む。また、重複するスケジュールを使用してもよく、該スケジュールは、規則的な順序に従う必要がなく、治療期間にわたって異なる日に有効成分を投与することを含む。代わりに、用語「連続的」投与は、第1の化合物の投与が終了したら、直ちに第2の投与工程を行う投与を指す。交互投与は、ある期間に(例えば、数時間、数日又は1週間のコースにわたって)、1つの有効成分を投与した後、その次の期間に(例えば、数時間、数日又は1週間のコースにわたって)、別の有効成分を投与し、続いてそのパターンを1サイクル以上繰り返すことを含み、繰り返しの全体の回数は、選択される投与計画によって異なる。また、これらの一般的な投与形態のバリエーションを使用してもよい。
KRAS G12C阻害剤
本明細書において使用されている用語「KRAS G12C阻害剤」は、G12C変異を示すKRASの生物活性を阻害する及び/又は低下させる化合物を指す。異なる化合物クラスに属するKRAS G12C阻害剤が知られている。
例としては、ソトラシブ(AMG 510)及びアダグラシブ(MRTX 849)が挙げられる。ソトラシブ及びアダグラシブは、臨床データが報告されているKRAS G12Cの選択的阻害剤である。INNアダグラシブとして知られている化合物は、ラボコードMRTX 849としても知られている。例えば、国際公開第2017/201161号公報及び国際公開第2019/099524号公報には、調製のための一般的な反応スキーム、合成経路、及び性質が記載されている。INNソトラシブとして知られている化合物は、ラボコードAMG 510としても知られている。例えば、国際公開第2018/217651及び国際公開第2020/102730号公報には、調製のための一般的な反応スキーム、合成経路、及び性質が記載されている。本明細書において使用されている用語「KRAS G12C阻害剤」はまた、該化合物の互変異性体、及び医薬上許容される塩、及び他のすべての固体形態を包含する。
更なる例としては、JNJ-74699157及びLY3499446として知られている化合物が挙げられる。
JNJ-74699157(ARS-3248)は、最近、ヒトでの臨床試験に到達した別の低分子KRAS G12C阻害剤である。LY3499446として知られているKRAS G12C阻害剤も、第1相試験に入ることが知られている(Nagasaka et al., Cancer Treat Rev., 2020, 84, 101974)。
がん
本発明の組み合わせ、組成物、キット、使用、方法及び使用のための化合物は、KRAS G12Cの阻害剤による治療に対する耐性を有するがんの治療に使用することができる。
ある観点により、がんの治療及び/又は予防に使用するためのSOS1阻害剤及び/又はMEK阻害剤であって、SOS1阻害剤若しくはMEK阻害剤が単独で投与されるか、又はSOS1阻害剤が、MEK阻害剤と組み合わせて投与され、がんが、KRAS G12Cの阻害剤による治療に対する耐性を有する、前記SOS1阻害剤及び/又はMEK阻害剤を提供する。
別の観点は、がんの治療及び/又は予防する方法に使用するための、上述した医薬組成物、若しくは組み合わせ、若しくはキットであって、がんが、本明細書に記載のKRAS G12Cの阻害剤による治療に対する耐性を有する、前記医薬組成物、若しくは組み合わせ、若しくはキットを指す。
別の観点は、がんを治療及び/又は予防する方法であって、治療上有効量のSOS1阻害剤若しくは治療上有効量のMEK阻害剤を患者に投与するか、又は治療上有効量のSOS1阻害剤を治療上有効量のMEK阻害剤と組み合わせて患者に投与することを含み、がんが、KRAS G12C阻害剤による治療に対する耐性を有する、前記方法に関する。
別の観点は、がんの治療用及び/又は予防用の医薬品の製造のための、SOS1阻害剤及び/又はMEK阻害剤の使用であって、SOS1阻害剤若しくはMEK阻害剤が単独で使用されるか、又はSOS1阻害剤が、MEK阻害剤と組み合わせて使用され、がんが、KRAS G12C阻害剤による治療に対する耐性を有する、前記使用に関する。
再燃した患者及び/又は1種以上のKRAS G12C阻害剤に対する耐性を有する患者は、本発明による併用治療、例えば、セカンド又はサードラインの治療サイクル(1種以上の他の抗がん剤と更に組み合わせてもよい)に対して、又はアドオン組み合わせ若しくは代替療法として、特に適している。
したがって、SOS1阻害剤、又はMEK阻害剤、又はSOS1阻害剤とMEK阻害剤との組み合わせの治療上の適用の可能性には、患者の治療のセカンドライン、サードライン又は更なるラインは含まれ得る。がんは、KRAS G12C阻害剤を使用した1種以上の抗がん剤治療に対して、再発性(recurrent)、再燃性、耐性又は不応性であり得る。したがって、患者は、1種以上のKRAS G12C阻害剤による以前の抗がん剤治療を受けているが、疾患がまだ完治していない場合がある。
SOS1阻害剤若しくはMEK阻害剤を使用する療法、又はSOS1阻害剤とMEK阻害剤との組み合わせを使用する療法は、がんが再燃している対象、がんがKRAS G12C阻害剤に対して薬剤耐性を獲得した対象、又はがんが、1種以上のKRAS G12C阻害剤による単剤療法若しくは併用療法の1ライン、2ライン若しくはそれ以上のラインに失敗した対象の治療に有効である。最初はKRAS G12C阻害剤に反応したがんが、例えば、KRAS G12C阻害剤の投与量を増やしたにもかかわらず、KRAS G12C阻害剤が、がんを有する対象の治療にもはや効果がない場合、再燃してKRAS G12C阻害剤に対して耐性を獲得することがある。
よって、本発明の使用のための組み合わせ、組成物、キット、使用、方法及び化合物の一態様において、がんは、KRAS G12Cの阻害剤による以前の治療後に、KRAS G12C阻害剤による治療に対する耐性を有するものとなった。別の態様において、がんは、ソトラシブ(AMG 510)及び/又はアダグラシブ(MRTX 849)による治療に対する耐性を有するものとなった。好ましい態様において、がんは、ソトラシブ(AMG 510)及び/又はアダグラシブ(MRTX 849)による以前の治療後に、ソトラシブ(AMG 510)及び/又はアダグラシブ(MRTX 849)による治療に対する耐性を有するものとなった。
本明細書において使用されているように、用語「がん」は、細胞増殖が正常レベルを超えて増加する悪性疾患の状態を指す。がんは、いくつかの方法:がんが発生した組織のタイプ(組織学的なタイプ)により、原発部位、すなわちがんが最初に発生した体内の位置により、及び/又は分子的特徴表すことにより、分類することができる。
本発明の使用のための組み合わせ、組成物、キット、使用、方法及び化合物の好ましい態様において、がんは、がんのがん細胞が、KRAS G12Cの一次変異を表し、Y96Xの二次変異、好ましくはY96D及びY96Sからなる群より選択されるY96Xの二次変異を更に表す分子的特徴を示すものとして定義される。好ましい態様において、がんのがん細胞は、KRAS G12Cの一次変異を表し、Y96Xの二次変異、好ましくはY96D及びY96Sからなる群より選択されるY96Xの二次変異を更に表すことが決定されている。
本発明の使用のための組み合わせ、組成物、キット、使用、方法及び化合物(すべての態様を含む)は、様々ながん、例えば、膵がん、肺がん、結腸直腸がん、胆管細胞がん、多発性骨髄腫、黒色腫、子宮がん、子宮内膜がん、甲状腺がん、急性骨髄性白血病、膀胱がん、尿路上皮がん、胃がん、子宮頸がん、頭頸部扁平上皮がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、食道がん、慢性リンパ性白血病、肝細胞がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、神経膠芽腫、腎がん及び肉腫からなる群より選択されるがんの治療に使用することができる。
肺のがんは、非小細胞肺がん(NSCLC)及び小細胞肺がん(SCLC)を含む。一態様において、がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)である。更なる態様において、がんは、結腸がんである。更なる態様において、がんは、膵がんである。
KRAS G12C、Y96X、及びY96D、及び/又はY96S変異
本明細書において使用されているように、用語「Y96X」は、チロシンの、別のアミノ酸によるあらゆる置換を指す。好ましくは、チロシンの、セリンによる置換(Y96S)又はアスパラギン酸(Y96D)による置換である。
腫瘍又はがんがKRAS G12C、Y96X、好ましくはY96S及び/又はY96D変異を含むか否かについて決定することは、KRASタンパク質をコードするヌクレオチド配列を評価することにより、KRASタンパク質のアミノ酸配列を評価することにより、又は推定上のKRAS変異タンパク質の特徴を評価することにより行うことができる。野生型ヒトKRASの配列は、当技術分野において知られている。KRASヌクレオチド配列における変異を検出するための方法は、当業者に知られている。かかる方法としては、ポリメラーゼ連鎖反応-制限断片長多型(PCR-RFLP)アッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応-一本鎖高次構造多型分析(PCR-SSCP)アッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、PCRシーケンシング、変異アレル特異的PCR増幅(MASA)アッセイ、ダイレクトシーケンシング、プライマー伸長反応、電気泳動、オリゴヌクレオチド連結アッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、TaqManアッセイ、SNPジェノタイピングアッセイ、高解像度融解曲線アッセイ及びマイクロアレイ解析が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様において、KRAS変異について、試料をリアルタイムPCRにより評価する。リアルタイムPCRにおいて、KRAS変異に特異的な蛍光プローブを使用する。変異が存在する場合、プローブが結合し、蛍光が検出される。いくつかの態様において、KRAS遺伝子における特定の領域(例えば、エクソン2及び/又はエクソン3)のダイレクトシーケンシング法を使用し、KRAS変異を同定する。この技術により、配列が決定された領域において可能性のあるすべての変異を同定する。KRASにおける変異を検出するための方法は、当業者に知られている。かかる方法としては、変異タンパク質に特異的な結合剤(例えば、抗体)を使用するKRAS変異体の検出、タンパク質電気泳動、ウエスタンブロッティング及びペプチドのダイレクトシーケンシングが挙げられるが、これらに限定されない。
腫瘍又はがんがKRAS変異を含むか否かについて決定するための方法は、様々な試料を使用することができる。いくつかの態様において、試料は、腫瘍又はがんを有する対象から採取したものである。いくつかの態様において、試料は、新鮮な腫瘍/がん試料である。いくつかの態様において、試料は、凍結された腫瘍/がん試料である。いくつかの態様において、試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋試料である。いくつかの態様において、試料は、細胞溶解物に処理される。いくつかの態様において、試料は、DNA又はRNAに処理される。いくつかの態様において、試料は、液体生検であり、試験は、血液の試料に対して行い、血液中に循環している、腫瘍由来のがん細胞、又は血液中に存在する腫瘍細胞からのDNA断片を探す。
別の観点は、患者のKRAS変異状態と本発明による治療に対する潜在的な感受性との関連性を明らかにすることに基づく。治療は、SOS1阻害剤若しくはMEK阻害剤のいずれかによる単剤療法、又はSOS1阻害剤とMEK阻害剤による併用療法であってもよい。このような治療は、KRAS変異を有し、かつ他の療法に対して耐性を有するおそれがある患者の治療に有利に使用することができる。したがって、これにより、本発明による治療を受ける患者、特にがん患者を選択するための機会、方法及び手段を提供する。選択は、治療すべき腫瘍細胞が、KRAS G12C阻害剤(例えば、ソトラシブ(AMG 510)及び/又はアダグラシブ(MRTX 849))による治療に対して耐性を有するか、又は前記耐性を有するものとなったか否か(特に、腫瘍細胞が、G12CをKRASの一次変異として、Y96Xの二次変異、好ましくはY96D及びY96Sからなる群より選択されるY96Xの二次変異を表す場合)に基づく。したがって、KRASの遺伝子状態(G12C Y96X、好ましくはG12C Y96D及び/又はG12C Y96S)は、本明細書に記載の治療を選択することが有利である可能性を示すバイオマーカーとして使用することができる。
ある観点は、KRAS G12C阻害剤による治療に対する獲得耐性を有する個体、及び/又はSOS1阻害剤、若しくはMEK阻害剤、若しくはSOS1阻害剤とMEK阻害剤との組み合わせによる治療に対する感受性を有する個体を検出又は診断するためのインビトロ方法であって、
-個体から採収した生体試料中の、KRAS変異であるY96X、好ましくはY96D及びY96Sからなる群より選択される変異の存在を決定する工程を含み、
KRAS変異であるY96X、好ましくはY96D及びY96Sからなる群より選択される変異の検出に基づいて、個体が、KRAS G12C阻害剤による治療に対する耐性を有するもの、及びSOS1阻害剤、若しくはMEK阻害剤、若しくはSOS1阻害剤とMEK阻害剤との組み合わせによる治療に対する感受性を有するものに分類される、前記方法に関する。
本明細書において使用されているように、用語「個体」は、対象又は患者を指す。
別の観点により、SOS1阻害剤、又はMEK阻害剤、又はSOS1阻害剤とMEK阻害剤との組み合わせによる治療を受ける患者を選択するための方法であって、
-患者から採取した腫瘍細胞含有試料を提供すること、
-G12Cの一次変異、及びY96Xの二次変異、好ましくはY96D及びY96Sからなる群より選択されるY96Xの二次変異(すなわち、それぞれ、G12C Y96D又はG12C Y96Sである)を有する変異したKRASを表すか否かについて決定すること、並びに
-上記決定に基づいて治療を受ける患者を選択すること
を含む、前記方法が提供される。
方法は、実際の患者の試料単離工程を含んでもよく、除いてもよい。
腫瘍細胞のDNAがG12C Y96X変異したKRAS遺伝子を有する場合、患者は、治療を受けるために選択され得る。
ある観点において、腫瘍細胞のDNAがG12C Y96D変異したKRAS遺伝子を有する場合、患者は、治療を受けるために選択され得る。
別の観点において、腫瘍細胞のDNAがG12C Y96S変異したKRAS遺伝子を有する場合、患者は、治療を受けるために選択され得る。
更なる関連する観点は、KRAS G12Cの阻害剤による治療に対する耐性を有するがん若しくはがん細胞、及び/又はSOS1阻害剤、若しくはMEK阻害剤、若しくはSOS1阻害剤とMEK阻害剤との組み合わせによる治療に対する感受性を有するがん若しくはがん細胞のバイオマーカーとしての、KRAS変異であるY96X、好ましくはY96D及びY96Sからなる群より選択される変異の使用を指す。
本明細書において使用されているように、用語「バイオマーカー」は、KRAS G12C阻害剤に対する耐性などの特定の生理的状態の存在と関連する生化学的パラメーターを指す。上述したとおり、KRASタンパク質をコードするヌクレオチド配列を評価する決定方法、及び/又はKRASヌクレオチド配列における変異を検出するための方法を使用することができる。
別途定義されていない限り、本明細書において使用されている技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を持つ。
以下の実施例は、本発明をより詳細に説明するために供するものであるが、本発明を限定するものではない。
細胞株及び試薬
KRAS G12変異を発現するNSCLC細胞株(NCI-H358(G12C)細胞、NCI-H23(G12C)細胞、NCI-H2122(G12C)細胞、NCI-H2009(G12A)細胞及びNCI-H441(G12V)細胞)は、故AdiF.Gazdar博士のご厚意により提供された。A549(G12S)細胞及びSK-LU1(G12D)細胞は、故長田啓隆博士のご厚意により提供された。不死化マウスプロB細胞株Ba/F3は、理化学研究所バイオリソース研究センター(つくば市、日本)から入手した。
SK-LU1細胞以外の細胞を、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(P/S、和光)を追加した10%ウシ胎児血清(FBS、シグマアルドリッチ、セントルイス、MO、USA)を追加したRPMI 1640培地(和光、大阪、日本)で、37℃において5%CO2で培養した。SK-LU1細胞を10%FBS(シグマアルドリッチ)及び1%P/S(和光)を有するDMEM(シグマアルドリッチ)で培養した。親Ba/F3細胞をマウスIL-3の存在下で無菌条件下で維持した。TaKaRa PCR Mycoplasma Detection Set(タカラ、草津、日本)を使用してマイコプラズマ汚染を確認した。
KRAS G12C阻害剤であるソトラシブ及びアダグラシブは、メドケムエクスプレス(モンマス・ジャンクション、NJ、USA)から購入した。SOS1阻害剤であるBI-3406は、ベーリンガーインゲルハイム(インゲルハイム、ドイツ)から提供された。TNO155は、セレックバイオテック(ヒューストン、TX、USA)から購入した。薬物を10mMジメチルスルホキシド(シグマアルドリッチ)に溶解し、-80℃において保存した。
方法
Ba/F3細胞及びH358細胞へのKRAS変異の導入:
Koga T.ら(Lung Cancer 2018;126:72-79.26)により以前に報告されているように、レトロウイルスシステムを使用し、Ba/F3細胞又はH358細胞へのG12C、G12D及びG12V変異の導入を行った。これらの3つの変異は、NSCLCにおけるKRAS変異の~80%を占める。簡潔に説明すると、PrimeSTAR Mutagenesis Basal Kit(タカラ)を使用し、設計されたプライマーで各KRAS変異をpBABE-puro-KRasコンストラクト(Addgene、ケンブリッジ、MA、USA)に導入した。FuGENE6トランスフェクション試薬(ロシュ・ダイアグノスティックス、バーゼル、スイス)で各pBABE-puro-KRASコンストラクト及びpVSV-Gベクター(クロンテック、フリーモント、CA、USA)をgp-IRES 293細胞に同時導入することにより、レトロウイルス粒子を生成した。レトロウイルス濃縮キット(クロンテック)を使用してウイルス粒子を濃縮した。各レトロウイルスをBa/F3細胞(3×103)又はH358細胞(1×104)に導入して、前記細胞を37℃において数日培養した。0.8~1.0μg/mL又は2.0μg/mLのピューロマイシンにより、導入されたBa/F3細胞又はH358細胞のそれぞれを選別した。ピューロマイシン選別後、以下のように各KRAS変異の存在を確認した。mirVana miRNA Isolation Kit(キアゲン、ヒルデン、ドイツ)を使用して細胞からトータルRNAを抽出し、ReverTra Ace(東洋紡、大阪、日本)を使用して逆転写によりcDNAを作製した。PCRにより、KRASコード配列を増幅した。3130又は3500XLジェネティックアナライザ(アプライド・バイオシステムズ、ウォルサム、MA)を使用したサンガーシーケンシングにより、KRASヌクレオチド配列を確認した。
細胞増殖アッセイ及び増殖阻害アッセイ:
KRAS変異の1つを発現するBa/F3細胞(3×104)を6ウェルプレートに入れ、IL-3の非存在下で培養した。対照として、同時導入されていないBa/F3細胞をIL-3の存在下又は非存在下で培養した。ワンセルカウンター(バイオメディカルサイエンス、東京、日本)を用いて、96時間まで、細胞数を24時間ごとに3回計数した。
二次元(2D)増殖阻害アッセイにおいて、5×103細胞を96ウェルプレートにおいて24時間培養し、10の異なる濃度の試薬により72時間処理した。セルカウンティングキット-8(同仁化学研究所、熊本、日本)を使用して細胞生存率アッセイを行った。マルチプレートリーダー(テカン、メンネドルフ、スイス)を使用して450nmの吸光度を読み取ることにより、細胞生存率を反映するホルマザン色素の量を測定した。3D増殖阻害アッセイにおいて、5×103細胞を、成長因子低減したマトリゲル(コーニング、ニューヨーク、USA)内に包埋し、96ウェルプレートにおいて、10%FBS(シグマアルドリッチ)及びP/S(和光)を含むRPMI 1640培地(和光)で培養した。72時間のインキュベーション後、細胞を指定濃度で72時間処理し、上述したように細胞生存率アッセイを行った。グラフパッドプリズム第8版(グラフパッドソフトウェア、サンディエゴ、CA)での応答を正規化した可変勾配モデルを利用した非線形回帰曲線フィットにより、IC50値を決定した。
KRAS G12C阻害剤に対して耐性を有するクローンの樹立:
Kobayashi Y. et al., Mol Cancer Ther 2017;16:357-364に記載されたように、ソトラシブ及びアダグラシブに対して耐性を有するクローンを作製するためのENU(シグマアルドリッチ)による変異誘発を行った。KRAS G12Cを有するBa/F3細胞(合計で1×106)を100μg/mlのENUに24時間曝した。PBSによる洗浄後、細胞を48時間培養し、指定濃度のKRASG12C阻害剤とともに96ウェルプレートに入れた。細胞を14~21日間処理し、培地と薬物を3日~5日ごとに交換した。処理の過程で、KRAS G12C阻害剤に対して耐性を有するクローンが産生した。
免疫ブロッティング:
標準的な方法で、細胞溶解物の調製と免疫ブロッティングを行った。指定濃度のKRAS G12C阻害剤又はDMSOによる処理後、細胞ペレットを溶解バッファーに溶解した。BSAを標準曲線として、DCプロテインアッセイ(バイオ・ラッド、ハーキュリーズ、CA)を使用し、タンパク質濃度を測定した。合計で20~30μgのタンパク質を5~20%アクリルアミドの各ウェルに入れ、120Vで電気泳動を2時間行った。トランスブロット(登録商標)Turbo(商標)転写システム(バイオ・ラッド)を使用し、分離されたタンパク質をPVDF膜(トランスブロット(登録商標)Turbo(商標)ミニ0.2μm PVDF転写パック、バイオ・ラッド)に転写した。ブロッキングバッファー(タカラ)によるブロッキング後、膜を以下のタンパク質に対する抗体で、4℃において一晩プローブした:リン酸化(p)-p44/42MAPK(Thr202/Tyr204、CST#9101s)、p44/42MAPK(CST#9102s)、pMEK1(S298、CST#9128s)、MEK1(CST#9146s)、pS6(S235/236、CST#4858s)、S6(CST#2217)、KRAS(CST#53270s)及びβ-アクチン(CST#4970s)。2次抗体として、HRP標識抗ウサギIgG(CST#7040)を標的タンパク質及び1次抗体の複合体と2時間インキュベートした。化学発光アッセイについて、ECL溶液(GEヘルスケア、シカゴ、イリノイ州)を膜に添加し、アマシャムイメージャー680(GEヘルスケア)でスキャンして標的タンパク質の発現を検出した。
実施例1
ソトラシブ又はアダグラシブで処理した後に発生した二次変異の決定
1.1 KRAS G12C変異を有する細胞におけるソトラシブ及びアダグラシブによる増殖阻害効果の確認
まず、上で説明した2D及び3D培養の両方で、KRAS G12変異を有する6種のNSCLC細胞株において、臨床段階のKRAS G12C阻害剤であるソトラシブ及びアダグラシブの増殖阻害活性を評価した。ソトラシブ及びアダグラシブで処理した、KRAS G12が変異したNSCLC細胞株であるH358(G12C)細胞、H23(G12C)細胞、A549(G12S)細胞、H2009(G12A)細胞、H441(G12V)細胞、及びSK-LU1(G12D)細胞の増殖阻害曲線により、両KRAS G12C阻害剤が、KRAS G12C変異を有するH358細胞及びH2122細胞において増殖阻害活性を示した一方で、G12C以外のKRAS変異を有するNSCLC細胞株が、ソトラシブ及びアダグラシブに対して耐性を有すること(KRAS G12Cを発現するがソトラシブに対する感受性が低いH23細胞を除く)が確認された。
また、KRAS G12が変異したバリアントであるKRAS G12C、G12V又はG12Dにより駆動された、Ba/F3細胞株におけるソトラシブ及びアダグラシブの増殖阻害効果を試験した。図1Aは、指定濃度のソトラシブで72時間処理した、KRAS G12C、G12D又はG12Vを有する改変されたBa/F3細胞の増殖阻害曲線を示す。結果は、3回の個別の試験の平均値として示されている。エラーバーは、標準偏差(SD)を示す。図1Bは、指定濃度のアダグラシブで72時間処理した、KRAS G12C、G12D又はG12Vを有する改変されたBa/F3細胞の増殖阻害曲線を示す。図1A及び1Bから分かるように、KRAS G12Cを発現するBa/F3細胞は、ソトラシブ及びアダグラシブに対して感受性を有した一方で、KRAS G12D又はG12Vのいずれかの変異を有するBa/F3細胞は、ソトラシブ及びアダグラシブに対して耐性を有した。KRAS G12Cを有するBa/F3細胞のソトラシブ及びアダグラシブに対するIC50値は、それぞれ12.4nM及び1.3nMであった。
これらの結果は、ソトラシブ又はアダグラシブが、KRAS G12C変異を示すH358細胞及びBa/F3細胞において有効であることを示している。
1.2 ソトラシブ又はアダグラシブに対する耐性を引き起こすKRASの二次変異の探索
ソトラシブ又はアダグラシブに対する獲得耐性をもたらす二次変異を同定するために、上述したようにENU変異誘発スクリーニングを行った。ソトラシブの最低濃度(100nM)及びアダグラシブの最低濃度(20nM)を、親G12C Ba/F3細胞の増殖を抑制した最低濃度として決定した。ソトラシブの最高濃度(2000nM)及びダグラシブの最高濃度(1000nM)を、G12C Ba/3細胞に対する各KRASG12C阻害剤のIC50の100倍超に決定した。この試験において、合計で142個の耐性を有するクローンが産生した。これらのクローンの中で、KRASの二次変異は、87.3%に相当する142クローン中124クローンで同定された。ソトラシブで処理したクローンにおいて、KRASの二次変異を有し、かつ耐性を有する68個のクローンを同定した。高濃度(1000nM以上)のソトラシブによる処理後、A59T変異(n=6)、R68M変異(n=3)及びY96D変異(n=1)が同定された一方、より低い濃度のソトラシブで増殖させた細胞において最も一般的に検出されたのは、G13D変異(n=13)、A59S変異(n=11)、R68M変異(n=8)及びQ61L変異(n=5)であった。アダグラシブ処理後、耐性を有する74個のクローンが得られた。Y96D変異が、高濃度(500nM以上)のアダグラシブで樹立された細胞(n=13)において同定された一方で、Q99L(n=38)、R68S(n=10)、V8E(n=5)、M72I(n=5)及びA59S(n=3)が、より低い濃度のアダグラシブで増殖させた細胞において検出された。ソトラシブに対して耐性を有する細胞とアダグラシブに対して耐性を有する細胞との間に共通の二次変異は、A59S変異及びY96D変異であると決定した。
1.3 ソトラシブ又はアダグラシブに対して生じた二次変異の交差耐性の決定
交差耐性を評価するために、ENU変異誘発により生じた耐性クローンに対して、ソトラシブ及びアダグラシブによる増殖阻害アッセイを行った。図2Aは、指定濃度のソトラシブで72時間処理した、KRAS G12Cに加えて、ENU変異誘発により生じた二次変異も有するBa/F3細胞の増殖阻害曲線を示す。結果は、3回の個別の試験の平均値として示されている。エラーバーは、標準偏差(SD)を示す。図2Bは、指定濃度のアダグラシブで72時間処理した、KRAS G12Cに加えて、ENU変異誘発により生じた二次変異も有するBa/F3細胞の増殖阻害曲線を示す。
KRAS G12Cの親Ba/F3細胞に対するソトラシブ及びアダグラシブのIC50値が異なった(それぞれ、12.4nM及び1.3nM)ため、耐性指標(resistance index、RI)を使用して、各二次変異の耐性程度を明確に比較した。RIは、KRAS KRAS G12Cを有する親Ba/F3細胞についての各薬物のそれぞれのIC50に対する、耐性を有する各クローンについての各薬物のIC50の比として定義された。
表1は、ENU変異誘発により生じた、ソトラシブに対して耐性を有するクローン及びアダグラシブに対して耐性を有するクローンの耐性指標(RI)値をまとめたものである。RI値を式:耐性を有する各クローンのIC50/KRAS G12Cを有する親Ba/F3細胞のIC50により算出した。表1において、低い耐性は、10未満のRI値に対応し、中程度の耐性は、10を超えるが100未満であるRI値に対応し、高い耐性は、100超のRI値に対応する。
表1:耐性指標(RI)値
Figure 2024514127000017

表1から分かるように、ソトラシブに対して、G13D、A59S/T、R68M及びY96D/Sが高い耐性(RI>100)を有した一方で、アダグラシブに対して、Y96D/S及びQ99Lが高い耐性を有した。
ソトラシブに対して耐性を有するクローンとアダグラシブに対して耐性を有するクローンとの間で、二次変異のスペクトルはかなり異なった。例えば、G13D、A59S/T及びR68Mは、ソトラシブに対する耐性を獲得したが、アダグラシブに対する感受性を維持した一方で、Q99Lの二次変異は、アダグラシブに対して耐性を有したが、ソトラシブに対して感受性を有した。
ENU変異誘発を受けたBa/F3細胞のモデルは、KRAS G12C阻害剤であるソトラシブ又はアダグラシブに対する耐性を示すKRASの二次変異を提供する。この方法は人工的であり、今回見られたように、G:CからA:Tへの転移及びA:TからT:Aへの塩基転換、並びにA:TからG:Cヘの塩基変化が優先されることが知られているが、この方法は、二次変異を有し、かつ耐性を有するクローンを生成するのに効率的である。それにもかかわらず、このアッセイで同定された二次変異は、EGFR、ALK及びMET-TKI治療の失敗後の臨床現場で見られた獲得耐性の変異と一致する。
しかしながら、このモデルを使用したことによる結果は、Y96D/Sの二次変異が、耐性変異として、KRAS G12C阻害剤であるソトラシブ及びアダグラシブの両方に共通することを示しており、Y96D/Sの二次変異により、ソトラシブ及びアダグラシブの両方に対する交差耐性を引き起こすことを示している。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、Y96は、ソトラシブ及びアダグラシブがKRAS G12Cタンパク質に結合する疎水性ポケットの入口に位置すると思われる。
実施例2
KRASのY96D及びY96Sの二次変異の検証
2.1 Ba/F3細胞での、ソトラシブ又はアダグラシブに対する耐性を有する細胞において検出されたKRASの二次変異の検証
観察された耐性がKRASの二次変異の出現に起因するものであり、未確認の機序に起因するものではないことを確認するために、KRAS G12Cに加えて、実施例1で決定したRIが100超である7種の二次変異であるG13D、A59S/T、R68M、Y96D/S、又はQ99LのいずれかをBa/F3細胞に導入し、その後、これらのBa/F3を使用した増殖阻害アッセイを行った。
図3Aは、指定濃度のソトラシブで72時間処理した、KRAS G12Cに加えて二次変異も有するBa/F3細胞の増殖阻害アッセイを示す。結果は、3回の個別の試験の平均値として示されている。エラーバーは、標準偏差(SD)を示す。図3Bは、指定濃度のアダグラシブで72時間処理した、KRAS G12Cに加えて、二次変異も有するBa/F3細胞の増殖阻害アッセイを示す。
表2は、KRAS G12Cに加えて、二次変異も有するBa/F3細胞の耐性指標(RI)値をまとめたものである。RI値を以下の式:再構築された各Ba/F3細胞のIC50/KRAS G12Cを有する親Ba/F3細胞のIC50により算出した。表2において、低い耐性は、10未満のRI値に対応し、中程度の耐性は、10を超えるが100未満のRI値に対応し、高い耐性は、100超のRI値に対応する。
Figure 2024514127000018

表2から分かるように、G13S、A59S/T、R68M、Q99Lなどの耐性変異のいくつかは、KRAS G12C阻害剤をソトラシブからアダグラシブに、又はその逆に切り替えることにより克服することができたが、高濃度のソトラシブ又はアダグラシブによる処理後に現れたY96D/S変異は、両阻害剤に対して高い耐性を有した。
2.2 H358細胞での、ソトラシブ又はアダグラシブに対する耐性を有する細胞において検出されたKRASの二次変異の検証
更なる試験において、KRAS G12Cに加えてY96D、G12Cに加えてY96S、及びG12Cに加えてA59Sを、元々KRAS G12C変異を有するNCI-H358細胞にレトロウイルスにより導入した。図4Aは、指定濃度のソトラシブで72時間処理した、KRAS G12Cに加えて二次変異を有するH358細胞の増殖阻害アッセイを示す。結果は、3回の個別の試験の平均値として示されている。エラーバーは、標準偏差(SD)を示す。図4Bは、指定濃度のアダグラシブで72時間処理した、KRAS G12Cに加えて二次変異を有するH358細胞の増殖阻害アッセイを示す。図4A及び4Bから分かるように、増殖阻害アッセイにおいて、G12Cに加えてY96Dを有するH358細胞、又はG12Cに加えてY96Sを有するH358細胞は、親H358細胞と比較して、おおよそ30倍高いIC50値を示した。
これは、G12Cに加えてA59Sを有するH358細胞は、G12Cに加えてY96Dを有するH358細胞又はG12Cに加えてY96Sを有するH358細胞と比較して、両KRAS G12C阻害剤に対する耐性が低かったことを示している(Ba/F3細胞での結果と一致している)。
実施例3
二次変異Y96D及びY96SによるKRAS G12C阻害剤に対する耐性を克服するための、SOS1阻害剤であるBI-3406の効果、及びMEK阻害剤であるトラメチニブとの併用によるBI-3406の効果の測定
3.1 Ba/F3細胞におけるSOS1阻害剤であるBI-3406の効果の測定
G12Cに加えて、A59S、Y96D又はY96Sのいずれかを有するBa/F3細胞を、既述のように、SOS1阻害剤であるBI-3406、又はSHP2阻害剤であるTNO155とインキュベートした。図5Aは、指定濃度のBI-3406で72時間処理した、KRAS G12Cに加えてA59S、Y96D又はY96Sの二次変異を有するBa/F3細胞の増殖阻害アッセイを示す。結果は、3回の個別の試験の平均値として示されている。エラーバーは、標準偏差(SD)を示す。
以下の表3は、指定濃度のBI-3406又はTNO155で72時間処理した、KRAS G12Cに加えて、A59S、Y96D又はY96Sの二次変異も有するBa/F3細胞のIC50値をまとめたものである。
Figure 2024514127000019

G12Cに加えてY96D又はY96Sのいずれかを有するBa/F3細胞をBI-3406で処理すると、IC50は38.0nM及び25.7nMとなったのに対し、G12Cに加えて二次変異を有するBa/F3細胞に対するTNO155のIC50値は、1000nM超であった。G12Cに加えてA59Sが変異したBa/F3細胞において、BI-3406及びTNO155は、それぞれ4850nM及び3050nMのIC50を示したが、いずれも、腫瘍細胞の増殖を減少させることができなかった。
これらの結果は、SOS1阻害剤であるBI-3406が、G12C及びY96D又はY96Sの二次変異を同時に有する(concurrent)インビトロモデルに対して活性を示したことを示している。
3.2 KRAS G12C変異とY96D又はY96S変異とを有するH358細胞での、SOS1阻害剤であるBI-3406単独の効果、及びBI-3406とMEK阻害剤であるトラメチニブとの併用の効果の測定
2D及び3Dの増殖阻害アッセイにおいて、G12Cに加えてY96Dを発現するH358細胞又はG12Cに加えてY96Sを発現する細胞を、上記のようにSOS1阻害剤であるBI-3406単独、又はBI-3406にMEK阻害剤であるトラメチニブを併用してインキュベートした。
図5Bは、指定濃度のBI-3406で72時間処理した、KRAS G12Cに加えてA59S、Y96D又はY96Sの二次変異を有するH358細胞の三次元(3D)増殖阻害アッセイを示す。以下の表4は、2Dアッセイ及び図5Bに示されている3Dアッセイにおいて、異なる濃度のBI-3406単独で72時間処理した、KRAS G12Cに加えて二次変異A59S、Y96D及びY96Sを有するH358同質遺伝子細胞のIC50値及びIC50 *値をまとめたものである。IC50 *値は、最大阻害と最小阻害との間の中間の反応を示した濃度を示す。
Figure 2024514127000020

表4及び図5Bから分かるように、2Dアッセイ及び3Dアッセイの両方において、BI-3406の単剤療法は、親H358細胞の増殖のみならず、Y96D/Sの二次変異も有するH358細胞の増殖を中程度に阻害した。
図5Cは、1μMのBI-3406と指定濃度のトラメチニブとを併用して72時間処理した、KRAS G12Cに加えてY96D又はY96Sの二次変異を有するH358細胞の三次元(3D)増殖阻害アッセイを示す。表5は、図5Cに示されている3Dアッセイにおいて、SOS1阻害剤であるBI-3406とMEK阻害剤であるトラメチニブとを併用して72時間処理した、KRAS G12Cに加えてY96Dの二次変異及びKRAS G12Cに加えてY96Sの二次変異を有するH358細胞のIC50値をまとめたものである。
Figure 2024514127000021

表5及び図5Cから分かるように、G12Cに加えてY96D/Sの二次変異を有するH358細胞は、SOS1阻害剤であるBI-3406にMEK阻害剤であるトラメチニブを併用することによる処理に対して感受性を有し、それらの感受性は、親H358細胞と同等であった。
これらの結果は、SOS1阻害剤であるBI-3406単独又はMEK阻害剤であるトラメチニブとの併用が、KRAS G12C変異及びY96D/Sの二次変異を有するBa/F3細胞及びH358細胞において、強力な阻害活性を示したことを示している。これにより、セカンドライン療法に切り替えるためのオプションを提供し、ソトラシブ及びアダグラシブによる治療の過程で耐性を獲得すると、出現すると予想される、KRASの二次変異により引き起こされる獲得耐性を克服する。

Claims (16)

  1. がんの治療及び/又は予防に使用するためのSon of Sevenless 1(SOS1)阻害剤及び/又はマイトジェン活性化タンパク質キナーゼキナーゼ(MEK)阻害剤であって、SOS1阻害剤若しくはMEK阻害剤が単独で投与されるか、又はSOS1阻害剤がMEK阻害剤と組み合わせて投与され、がんが、KRAS G12Cの阻害剤による治療に対する耐性を有することを特徴とする、前記SOS1阻害剤及び/又はMEK阻害剤。
  2. がんが、ソトラシブ(AMG 510)及び/又はアダグラシブ(MRTX 849)による治療に対する耐性を有する、請求項1に記載の使用のためのSOS1阻害剤及び/又はMEK阻害剤。
  3. がんのがん細胞が、KRAS G12Cの一次変異を表し、Y96Xの二次変異、好ましくはY96D及びY96Sからなる群より選択されるY96Xの二次変異を更に表す、請求項1又は2に記載の使用のためのSOS1阻害剤及び/又はMEK阻害剤。
  4. SOS1阻害剤が、以下の化合物:





    からなる群より選択されるもの又はその医薬上許容される塩である、請求項1~3のいずれか1項に記載の使用のためのSOS1阻害剤及び/又はMEK阻害剤。
  5. MEK阻害剤が、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、レファメチニブ並びに以下の化合物:










    からなる群より選択されるもの又はその医薬上許容される塩である、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用のためのSOS1阻害剤及び/又はMEK阻害剤。
  6. がんが、膵がん、肺がん、結腸直腸がん、胆管細胞がん、多発性骨髄腫、黒色腫、子宮がん、子宮内膜がん、甲状腺がん、急性骨髄性白血病、膀胱がん、尿路上皮がん、胃がん、子宮頸がん、頭頸部扁平上皮がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、食道がん、慢性リンパ性白血病、肝細胞がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、神経膠芽腫、腎がん及び肉腫からなる群より選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の使用のためのSOS1阻害剤及び/又はMEK阻害剤。
  7. がんの治療及び/又は予防に使用するための、SOS1阻害剤若しくはMEK阻害剤を有効成分として含む医薬組成物、又はSOS1阻害剤及びMEK阻害剤を有効成分として含む医薬の組み合わせであって、がんが、KRAS G12Cの阻害剤による治療に対する耐性を有する、前記医薬組成物又は医薬の組み合わせ。
  8. 1つ以上の容器に、
    (i)SOS1阻害剤を含み、医薬上許容される担体、賦形剤及び/若しくはビヒクルを含んでもよい第1の医薬組成物若しくは剤形、及び/又は
    (ii)MEK阻害剤を含み、医薬上許容される担体、賦形剤及び/若しくはビヒクルを含んでもよい第2の医薬組成物若しくは剤形、
    を含み、
    (iii)説明書を含む添付文書
    を含んでもよい、
    がんの治療及び/又は予防に使用するためのキットであって、がんが、KRAS G12Cの阻害剤による治療に対する耐性を有する、前記キット。
  9. がんを治療及び/又は予防する方法であって、治療上有効量のSOS1阻害剤若しくは治療上有効量のMEK阻害剤を患者に投与するか、又は治療上有効量のSOS1阻害剤を治療上有効量のMEK阻害剤と組み合わせて患者に投与することを含み、がんが、KRAS G12Cの阻害剤による治療に対する耐性を有する、前記方法。
  10. がんの治療用及び/又は予防用の医薬品の製造のための、SOS1阻害剤及び/又はMEK阻害剤の使用であって、SOS1阻害剤若しくはMEK阻害剤が単独で使用されるか、又はSOS1阻害剤が、MEK阻害剤と組み合わせて使用され、がんが、KRAS G12Cの阻害剤による治療に対する耐性を有することを特徴とする、前記使用。
  11. SOS1阻害剤が、請求項4に記載の化合物若しくはその医薬上許容される塩であり、及び/又はMEK阻害剤が、請求項5に記載の化合物若しくはその医薬上許容される塩である、請求項7に記載の医薬組成物又は医薬の組み合わせ、請求項8に記載のキット、請求項9に記載の方法、或いは請求項10に記載の使用。
  12. がんが、ソトラシブ(AMG 510)及び/又はアダグラシブ(MRTX 849)による治療に対する耐性を有する、請求項7に記載の医薬組成物又は医薬の組み合わせ、請求項8に記載のキット、請求項9に記載の方法、或いは請求項10に記載の使用。
  13. がんのがん細胞が、KRAS G12Cの一次変異を表し、Y96Xの二次変異、好ましくはY96D及びY96Sからなる群より選択されるY96Xの二次変異を更に表す、請求項7に記載の医薬組成物又は医薬の組み合わせ、請求項8に記載のキット、請求項9に記載の方法、或いは請求項10に記載の使用。
  14. がんが、膵がん、肺がん、結腸直腸がん、胆管細胞がん、多発性骨髄腫、黒色腫、子宮がん、子宮内膜がん、甲状腺がん、急性骨髄性白血病、膀胱がん、尿路上皮がん、胃がん、子宮頸がん、頭頸部扁平上皮がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、食道がん、慢性リンパ性白血病、肝細胞がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、神経膠芽腫、腎がん及び肉腫からなる群より選択される、請求項7に記載の医薬組成物又は医薬の組み合わせ、請求項8に記載のキット、請求項9に記載の方法、或いは請求項10に記載の使用。
  15. KRAS G12Cの阻害剤による治療に対する獲得耐性を有する個体、及び/又はSOS1阻害剤、若しくはMEK阻害剤、若しくはSOS1阻害剤とMEK阻害剤との組み合わせによる治療に対する感受性を有する個体を検出又は診断するためのインビトロ方法であって、
    -個体から採取した生体試料中の、KRAS変異であるY96X、好ましくはY96D及びY96Sからなる群より選択される変異の存在を決定する工程を含み、
    KRAS変異であるY96X、好ましくはY96D及びY96Sからなる群より選択される変異の検出に基づいて、個体が、KRAS G12Cの阻害剤による治療に対する耐性を有するもの、及びSOS1阻害剤、若しくはMEK阻害剤、若しくはSOS1阻害剤とMEK阻害剤との組み合わせによる治療に対する感受性を有するものに分類される、前記方法。
  16. KRAS G12Cの阻害剤による治療に対する耐性を有するがん若しくはがん細胞、及び/又はSOS1阻害剤、若しくはMEK阻害剤、若しくはSOS1阻害剤とMEK阻害剤との組み合わせによる治療に対する感受性を有するがん若しくはがん細胞のバイオマーカーとしての、KRAS変異であるY96X、好ましくはY96D及びY96Sからなる群より選択される変異の使用。
JP2023561730A 2021-04-09 2022-04-07 抗がん剤療法 Pending JP2024514127A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP21167637.4 2021-04-09
EP21167637 2021-04-09
PCT/EP2022/059273 WO2022214594A1 (en) 2021-04-09 2022-04-07 Anticancer therapy

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024514127A true JP2024514127A (ja) 2024-03-28

Family

ID=75441795

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023561730A Pending JP2024514127A (ja) 2021-04-09 2022-04-07 抗がん剤療法

Country Status (4)

Country Link
EP (1) EP4319757A1 (ja)
JP (1) JP2024514127A (ja)
CN (1) CN117479942A (ja)
WO (1) WO2022214594A1 (ja)

Family Cites Families (29)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
BRPI0511967B8 (pt) 2004-06-11 2021-05-25 Japan Tobacco Inc derivados de 5-amino-2,4,7-trioxo-3,4,7,8-tetrahidro-2h-pirido[2,3-d] pirimidina, seu uso e composição farmacêutica que os compreende
ES2741896T3 (es) 2012-03-14 2020-02-12 Lupin Ltd Compuestos de heterociclilo
CN109843856B (zh) 2016-05-18 2023-05-02 米拉蒂治疗股份有限公司 Kras g12c抑制剂
JP7219218B2 (ja) 2016-12-22 2023-02-07 ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 新規のベンジルアミノ置換キナゾリンおよびsos1阻害剤としての誘導体
WO2018172250A1 (en) 2017-03-21 2018-09-27 Bayer Pharma Aktiengesellschaft 2-methyl-quinazolines
JOP20190272A1 (ar) 2017-05-22 2019-11-21 Amgen Inc مثبطات kras g12c وطرق لاستخدامها
AU2018369759B2 (en) 2017-11-15 2022-11-24 Array Biopharma Inc. KRas G12C inhibitors
CR20210307A (es) 2017-12-21 2021-07-27 Boehringer Ingelheim Int NUEVAS PIRIDOPIRIMIDINONAS SUSTITUIDAS CON BENCILAMINO Y DERIVADOS COMO INHIBIDORES DE SOS1 (Divisional 2020-312)
WO2019201848A1 (en) 2018-04-18 2019-10-24 Bayer Pharma Aktiengesellschaft 2-methyl-aza-quinazolines
JP2020090482A (ja) 2018-11-16 2020-06-11 アムジエン・インコーポレーテツド Kras g12c阻害剤化合物の重要な中間体の改良合成法
MX2021010319A (es) 2019-03-01 2021-12-10 Revolution Medicines Inc Compuestos biciclicos de heteroarilo y usos de estos.
CA3130083A1 (en) 2019-03-01 2020-09-10 Revolution Medicines, Inc. Bicyclic heterocyclyl compounds and uses thereof
JP2022537044A (ja) 2019-06-19 2022-08-23 ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 抗がん併用療法
WO2021074227A1 (en) 2019-10-15 2021-04-22 Bayer Aktiengesellschaft 2-methyl-aza-quinazolines
JP2023500328A (ja) 2019-11-08 2023-01-05 レボリューション メディシンズ インコーポレイテッド 二環式ヘテロアリール化合物及びその使用
EP4076418A4 (en) 2019-12-20 2024-01-24 Mirati Therapeutics Inc SOS1 INHIBITORS
EP4081521A1 (en) 2019-12-27 2022-11-02 Lupin Limited Substituted tricyclic compounds
US20230101312A1 (en) 2020-02-24 2023-03-30 Mirati Therapeutics, Inc. Sos1 inhibitors
TW202144338A (zh) 2020-04-08 2021-12-01 大陸商江蘇恆瑞醫藥股份有限公司 嘧啶并二環類衍生物、其製備方法及其在醫藥上的應用
CN115461342A (zh) 2020-05-09 2022-12-09 正大天晴药业集团股份有限公司 含磷的sos1抑制剂
TW202214654A (zh) 2020-06-10 2022-04-16 大陸商江蘇恆瑞醫藥股份有限公司 稠合喹唑啉類衍生物、其製備方法及其在醫藥上的應用
CN113801114B (zh) 2020-06-11 2022-11-18 江苏恒瑞医药股份有限公司 稠合二环杂芳基类衍生物、其制备方法及其在医药上的应用
TW202214639A (zh) 2020-06-11 2022-04-16 大陸商江蘇恆瑞醫藥股份有限公司 吡啶酮并嘧啶類衍生物、其製備方法及其在醫藥上的應用
TW202214608A (zh) 2020-07-20 2022-04-16 大陸商江蘇恆瑞醫藥股份有限公司 稠合噠嗪類衍生物、其製備方法及其在醫藥上的應用
CN116234807A (zh) 2020-07-24 2023-06-06 南京明德新药研发有限公司 喹唑啉类化合物
US20230312482A1 (en) 2020-07-28 2023-10-05 Mirati Therapeutics, Inc. Sos1 inhibitors
TWI793704B (zh) 2020-08-06 2023-02-21 大陸商北京泰德製藥股份有限公司 Sos1抑制劑、包含其的藥物組合物及其用途
WO2022058344A1 (en) 2020-09-18 2022-03-24 Bayer Aktiengesellschaft Pyrido[2,3-d]pyrimidin-4-amines as sos1 inhibitors
CN113200981A (zh) 2021-02-10 2021-08-03 杭州英创医药科技有限公司 作为sos1抑制剂的杂环化合物

Also Published As

Publication number Publication date
CN117479942A (zh) 2024-01-30
WO2022214594A1 (en) 2022-10-13
EP4319757A1 (en) 2024-02-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Belli et al. ESMO recommendations on the standard methods to detect RET fusions and mutations in daily practice and clinical research
KR102479696B1 (ko) Fgfr 억제제 및 igf1r 억제제의 조합물
EP3595651A1 (en) Macrocyclic compounds as ros1 kinase inhibitors
US20190002988A1 (en) Method of using a ret fusion gene as a biomarker to select non small cell lung cancer (nsclc) and thyroid cancer patients for a cancer treatment
JP2016524618A (ja) 癌のための併用療法
US20130078252A1 (en) Combination treatments comprising c-met antagonists and b-raf antagonists
US20160002741A1 (en) Method for predicting sensitivity to egfr inhibitor
KR20160136438A (ko) 조합물
KR20220133243A (ko) 항 tigit 길항제 항체를 이용한 암의 치료 방법
TW202136252A (zh) 化合物及其用途
MXPA05007207A (es) Metodos para evaluar y tratar cancer.
JP2023501950A (ja) サイクリン依存性キナーゼ7(cdk7)の阻害剤を用いてバイオマーカーにより特定された患者におけるがんを処置する方法
JP2022514280A (ja) Mdm2阻害剤のための延長低用量レジメン
TW201636020A (zh) 癌症的倂用治療法
KR20110140126A (ko) 항-egfr 작용제(들) 및 igf-1r 특이적 억제제를 사용하는 조합 요법
CN111821434A (zh) 抗pd-1抗体在制备治疗实体瘤的药物中的用途
EP3908282A1 (en) Treatment of cancer having gnaq or gna11 genetic mutations with protein kinase c inhibitors
JP2024514127A (ja) 抗がん剤療法
CN114222576A (zh) 治疗癌症的方法
WO2023002983A1 (ja) Fgfr阻害薬に対する感受性の判定方法
MXPA04006494A (es) Metodos para valorar y tratar cancer.
CA3217517A1 (en) Fgfr tyrosine kinase inhibitors for the treatment of advanced solid tumors
Leeuwenburgh et al. The metabolic landscape browser: a novel tool for understanding pan-cancer metabolic processes through variance in gene expression data
TW202342766A (zh) 用於癌症治療之精準療法
TW202410890A (zh) 使用cdk4/6抑制劑後發展之er⁺乳癌之拉索昔芬(lasofoxifene)組合治療