JP2024070642A - ポリアセタール共重合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヘテロポリ酸を重合触媒として使用する場合であっても、成形品の表面性及び成形時の流動性に優れる、ポリアセタール共重合体の製造方法を提供する。【解決手段】主モノマー(a)としてトリオキサンと、コモノマー(b)として前記トリオキサンと共重合し得る化合物とを共重合する工程を含み、前記工程において、重合触媒(c)として、所定の構造を有するヘテロポリ酸を、窒素-炭素間又は窒素-酸素間に不飽和結合を有する官能基を持つ化合物(d)の共存下で使用して共重合反応を行い、共重合反応によって得られる粗ポリアセタール共重合体に塩基性化合物(e)を添加して溶融混練を行う、ポリアセタール共重合体の製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアセタール共重合体の製造方法に関する。
ポリアセタール共重合体は、機械的性質、耐薬品性、摺動性等のバランスに優れ、かつ、その加工が容易であることにより、エンジニアリングプラスチックとして、電気・電子部品、自動車部品その他の各種機械部品を中心として広く利用されている。
ポリアセタール共重合体は、トリオキサンを主モノマーとし、該トリオキサンと共重合し得る化合物をコモノマーとして共重合する共重合体(コポリマー)である。そして、ポリアセタール共重合体(コポリマー)の製造方法として、トリオキサンを主モノマーとし、少なくとも一つの炭素-炭素結合を有する環状エーテル及び/又は環状ホルマールをコモノマーとするカチオン共重合が知られている。共重合に用いるカチオン活性触媒としては、中でも三フッ化ホウ素、又は三フッ化ホウ素と有機化合物、例えばエーテル類との配位化合物は、トリオキサンを主モノマーとする重合触媒として最も一般的であり、工業的にも広く用いられている。
しかし、三フッ化ホウ素系化合物等の一般に使用される重合触媒では、重合に比較的多量(例えば全モノマーに対し40ppm又はそれ以上)の触媒を必要とする。そのため、重合後の触媒失活処理を十分に行い難く、また、失活化させたとしても触媒に由来する物質が共重合体中に残存し、共重合体の分解が促進される等の問題が生じる場合がある。また、重合収率が低く未反応モノマーが数%から数十%残っている。そのため、触媒の失活はトリエチルアミン等の塩基性化合物を含む多量の高温水溶液中で処理するのが一般的であり、その際に未反応のモノマーは処理液中に溶出する。触媒失活後に共重合体を未反応モノマーが溶解した処理液と分離洗浄した後に乾燥する工程等、煩雑な工程を必要とするものであり、経済的にも課題を含むものであった。
一方、上記のようにして失活した後の重合生成物には、熱的に不安定な末端が存在する。そのため、トリエチルアミン水溶液などを用いた末端の不安定部分を加水分解することによる精製安定化処理が必要であり、その分、工数が増え、コスト増加の原因にもなる。
そこで、上記のような問題を解決するため、重合触媒としてヘテロポリ酸又はその酸性塩を使用することが提案されている(特許文献1参照)。
特開平1-170610号公報
特許文献1のように、重合触媒としてヘテロポリ酸又はその酸性塩を使用してポリアセタール共重合体を製造することにより、上記諸問題を解決することができ、一定の成果が得られた。しかし、得られたポリアセタール共重合体は成形時の流動性が低下することや、その成形品の表面性が悪化するという別の問題があり、改善の余地が残されていた。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その課題は、ヘテロポリ酸を重合触媒として使用してポリアセタール共重合体を製造する場合であっても、成形時の流動性及び成形品の表面性に優れる、ポリアセタール共重合体の製造方法を提供することにある。
本発明者は、所定の構造を有するヘテロポリ酸を、窒素-炭素間又は窒素-酸素間に不飽和結合を有する官能基を持つ化合物の共存下で使用することで前記問題点を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
前記課題を解決する本発明の一態様は以下の通りである。
(1)主モノマー(a)としてトリオキサンと、コモノマー(b)として前記トリオキサンと共重合し得る化合物とを共重合する工程を含み、
前記工程において、重合触媒(c)として、下記一般式(1)で表されるヘテロポリ酸を、窒素-炭素間又は窒素-酸素間に不飽和結合を有する官能基を持つ化合物(d)の共存下で使用して共重合反応を行い、
共重合反応によって得られる粗ポリアセタール共重合体に塩基性化合物(e)として、アルカリ金属元素又は第2族元素(Beを除く。)の炭酸塩、炭酸水素塩若しくはカルボン酸塩又はその水和物、又は10g/L水溶液としたときのpHが10以上の窒素含有有機化合物を添加して溶融混練を行う、ポリアセタール共重合体の製造方法。
[M ・M ]・nHO ・・・一般式(1)
〔一般式(1)中、MはP、Si、B及びGeより選択される元素からなる中心元素を表す。MはW、Mo及びVより選択される1種以上の配位元素を表す。xは1以上10以下の整数を示し、yは6以上40以下の整数を表し、zは10以上100以下の整数を表し、mは1以上の整数を表し、nは0以上50以下の整数を表す。〕
(2)前記第1族元素(水素を除く)又は第2族元素(Beを除く。)の炭酸塩、炭酸水素塩若しくはカルボン酸塩又はその水和物が、アルカリ金属元素の炭酸塩、炭酸水素塩若しくはカルボン酸塩又はその水和物である、前記(1)に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
(3)前記コモノマー(b)が、1,3-ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4-ブタンジオールホルマール、1,3-ジオキサン、及びエチレンオキシドからなる群より選択される少なくとも1種である、前記(1)又は(2)に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
(4)前記ヘテロポリ酸が、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイモリブドタングステン酸、及びケイモリブドタングストバナジン酸からなる群より選択される少なくとも1種である、前記(1)~(3)のいずれかに記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
(5)前記窒素-炭素間又は窒素-酸素間に不飽和結合を有する官能基を持つ化合物(d)の官能基がニトリル基及びニトロ基からなる群より選択される少なくとも1種である、前記(1)~(4)のいずれかに記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
(6)前記窒素-炭素間又は窒素-酸素間に不飽和結合を有する官能基を持つ化合物(d)がアセトニトリル、ベンゾニトリル、及びニトロメタンからなる群より選択される少なくとも1種である、前記(1)~(5)のいずれかに記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
本発明によれば、ヘテロポリ酸を重合触媒として使用してポリアセタール共重合体を製造する場合であっても、成形時の流動性及び成形品の表面性に優れる、ポリアセタール共重合体の製造方法を提供することができる。
本実施形態のポリアセタール共重合体の製造方法は、主モノマー(a)としてトリオキサンと、コモノマー(b)としてトリオキサンと共重合し得る化合物とを共重合する工程を含む。そして、前記工程において、重合触媒(c)として、下記一般式(1)で表されるヘテロポリ酸を、窒素-炭素間又は窒素-酸素間に不飽和結合を有する官能基を持つ化合物(d)の共存下で使用して共重合反応を行う。そして、共重合反応によって得られる粗ポリアセタール共重合体に塩基性化合物(e)として、アルカリ金属元素又は第2族元素(Beを除く。以下においても同じとする。)の炭酸塩、炭酸水素塩若しくはカルボン酸塩又はその水和物、又は10g/L水溶液のpHが10以上の窒素含有有機化合物を添加して溶融混練を行う。
[M ・M ]・nHO ・・・一般式(1)
〔一般式(1)中、MはP、Si、B及びGeより選択される元素からなる中心元素を表す。MはW、Mo及びVより選択される1種以上の配位元素を表す。xは1以上10以下の整数を示し、yは6以上40以下の整数を表し、zは10以上100以下の整数を表し、mは1以上の整数を表し、nは0以上50以下の整数を表す。〕
本実施形態の製造方法においては、主モノマー(a)としてトリオキサンと、コモノマー(b)としてトリオキサンと共重合し得る化合物とを共重合する工程において、重合触媒(c)として前記一般式(1)で表されるヘテロポリ酸を、窒素-炭素間又は窒素-酸素間に不飽和結合を有する官能基を持つ化合物(d)の共存下で使用して共重合反応を行う。すなわち、本実施形態においては、重合触媒(c)として、前記一般式(1)で表されるヘテロポリ酸をそのままの状態で使用するのではなく、窒素-炭素間又は窒素-酸素間に不飽和結合を有する官能基を持つ化合物(d)の共存下で使用する。そのようにすると、重合反応が安定化し、得られた共重合体は成形時の流動性及び成形品としたときの表面性に優れる。そのようになる原理は不明であるが、実験事実から明らかである。
主モノマー(a)としてのトリオキサンは、ホルムアルデヒドの環状三量体であり、一般的には酸性触媒の存在下でホルムアルデヒド水溶液を反応させることによって得られ、これを蒸留等の方法で精製して用いられる。重合に用いるトリオキサンは、水、メタノールなどの不純物を極力低減させたものが好ましい。
コモノマー(b)は、トリオキサンと共重合し得る化合物が使用される。コモノマーとしては、例えば、少なくとも1つの炭素- 炭素結合を有する環状エーテル及び/又は環状ホルマールが挙げられる。コモノマー(b)として使用する化合物の代表的な例としては、例えば、1,3-ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4-ブタンジオールホルマール、1,3-ジオキサン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エピクロルヒドリン等が挙げられる。中でも、重合の安定性から考慮して、1,3-ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4-ブタンジオールホルマール、1,3-ジオキサン、及びエチレンオキシドからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
更に、得られるポリアセタール共重合体の性能を大幅に低下させないような範囲ならば、主モノマー(a)及びコモノマー(b)に加えて、第三のコモノマー成分として、分岐剤などの公知の変性剤コモノマーを併用添加しても差し支えない。
本実施形態において、コモノマー(b)として用いる、環状エーテル及び/又は環状ホルマールから選ばれる化合物の量は、全モノマー(主モノマー(a)とコモノマー(b)の合計量)中の割合として0.1~20モル%であることが好ましく、0.2~10モル%であることがより好ましい。コモノマー(b)の量が0.1モル%未満であると、重合によって生成するポリアセタール共重合体の不安定末端部が増加して安定性が悪くなることがある。コモノマー(b)の量が20モル%を超えると、生成共重合体が軟質となり融点の低下を生じることがある。
本実施形態の製造方法においては、重合触媒(c)として下記一般式(1)で表されるヘテロポリ酸を、窒素-炭素間又は窒素-酸素間に不飽和結合を有する官能基を持つ化合物(d)(以下、「特定官能基含有化合物(d)」とも呼ぶ。)の共存下で使用する。
[M ・M ]・nHO ・・・一般式(1)
〔一般式(1)中、MはP、Si、B及びGeより選択される元素からなる中心元素を表す。MはW、Mo及びVより選択される1種以上の配位元素を表す。xは1以上10以下の整数を示し、yは6以上40以下の整数を表し、zは10以上100以下の整数を表し、mは1以上の整数を表し、nは0以上50以下の整数を表す。〕
なお、yはMの個数を表すが、Mが単一の場合はその個数を表し、Mが複数種からなる場合はそれら複数種の元素の合計を表す。
はP、Si、B及びGeより選択される元素からなる中心元素を表すが、P又はSiが好ましい。
重合触媒(c)たる一般式(1)で表されるヘテロポリ酸としては、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイモリブドタングステン酸、及びケイモリブドタングストバナジン酸からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本実施形態においては、重合触媒として、一般式(1)で表されるヘテロポリ酸に加え、当該ヘテロポリ酸のHの一部又は全部が各種金属に置き換わった構造の酸性塩を併用してもよい。
本実施形態においては、重合触媒(c)はギ酸メチルなどの重合に悪影響を及ぼさない溶媒の溶液の形で主モノマー(a)とコモノマー(b)の混合物に添加してもよい。
本実施形態の製造方法においては、ポリアセタール共重合体の共重合において一般に使用される三フッ化ホウ素等の重合触媒と比べて重合触媒(c)の使用量を少なくしても、高い収率で共重合体が得られ、実質的に未反応モノマーがほとんど残存しないポリアセタール共重合体が得られる。具体的には、主モノマー(a)及びコモノマー(b)の合計量に対する重合触媒(c)の使用量は1.0~20.0質量ppmとすることができ、1.5~10.0質量ppmとすることが好ましい。そして、このような少量の重合触媒でも共重合が可能なことは、重合触媒による共重合体の主鎖分解、解重合等の好ましくない反応を僅少に留め、不安定なホルメート末端基(-O-CH=O)、ヘミアセタール末端基(-O-CH-OH)等の生成を抑制するのに効果的であり、また、経済的にも有利である。
本実施形態における特定官能基含有化合物(d)とは、窒素-炭素間に不飽和結合を有する官能基はニトリル基、又は窒素-酸素間に不飽和結合を有する官能基はニトロ基である。特定官能基含有化合物(d)としては、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ニトロメタン、ニトロベンゼン等が挙げられ、中でも、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ニトロメタンが好ましい。
また、主モノマー(a)及びコモノマー(b)の合計量に対する特定官能基含有化合物(d)の使用割合は、300~5000ppmとすることが好ましく、500~3000ppmとすることがより好ましい。使用割合が5000ppmを超えると反応は安定化するが収率の低下が起こる。使用割合が300ppm未満であると、期待される成形特性の改善効果の低下が起こる。
本実施形態においては、主モノマー(a)と、コモノマー(b)と、重合触媒(c)と、特定官能基含有化合物(d)とを重合反応装置に投入して共重合反応を行う。この際、特定官能基含有化合物(d)は重合触媒(c)の溶液にあらかじめ混合して加えてもよいし、個別に加えてもよい。より具体的には、重合触媒(c)の混合態様としては、[1]主モノマー(a)及びコモノマー(b)の混合物に重合触媒(c)の溶液を加える、[2]主モノマー(a)及び重合触媒(c)の溶液の混合物にコモノマー(b)を加える、[3]コモノマー(b)及び重合触媒(c)の溶液を混合して得た混合物を主モノマー(a)に加える、の3通りが挙げられる。また、特定官能基含有化合物(d)の混合態様としては、主モノマー(a)又はコモノマー(b)と特定官能基含有化合物(d)とを混合した状態又は重合触媒(c)の溶液に特定官能基含有化合物(d)を添加した状態で上記重合触媒(c)の3通りの混合態様([1]~[3])と同様に混合するという態様が挙げられる。より具体的には、[X]重合触媒(c)の溶液に特定官能基含有化合物(d)を加えた状態で、主モノマー(a)、コモノマー(b)を、上記重合触媒(c)の溶液との3通りの混合態様([1]~[3])と同様に混合する、[Y]特定官能基含有化合物(d)を主モノマー(a)又はコモノマー(b)に混合した状態で、重合触媒(c)を上記重合触媒(c)の溶液との3通りの混合態様([1]~[3])と同様に混合する。
また、重合反応は、主モノマー(a)を融液としたバルク重合で行うことが好ましく、通常、65℃以上114℃以下で開始させる。ポリアセタール共重合体は主モノマー(a)に不溶であるので析出するが、岩塊状とならないように高速で強力な撹拌を行い、反応生成物の粉砕を行う。持続的な反応を得るためには65℃以上に保つ必要があるが解重合反応が起こらないよう130℃以下に保つことが好ましい。より好ましくは70℃~125℃である。
重合時間は、触媒濃度、コモノマー濃度、反応温度に依存し、特に限定できないが、一般には0.5~10分の重合時間が選ばれる。
以上のように共重合反応を行うことで、粗ポリアセタール共重合体が高い収率で得られる。この粗ポリアセタール共重合体は未反応モノマーがほとんど残存しておらず、熱水で洗浄を行う除去工程が不要となる。そして、本実施形態の製造方法においては、当該粗ポリアセタール共重合体に塩基性化合物(e)を添加して溶融混練を行う。塩基性化合物(e)は、重合触媒(c)に対して塩基性失活剤としての機能を有し、塩基性化合物(e)により、重合触媒(c)たる前記一般式(1)で表される化合物を失活することができる。しかも、失活は均一な溶融樹脂中で行われるため、従来のように、粗ポリアセタール共重合体を粉砕した粉末を失活剤の水溶液に浸漬し、固液不均一な状態で長時間処理することなく、重合触媒(c)を失活することができる。そのため、失活剤の水溶液に浸漬してから乾燥するまでの工程を省略することができる。さらに、失活剤の水溶液に長時間浸漬することで生成する、熱的に不安定な末端の生成を抑制することができるため、安定化処理を必要としない。熱的に不安定な末端としては、-CHCHO-(CHO)-CHOHや-CHCHO-(CHO)-CHO-CHOが挙げられる。上記不安定な末端を示す基の中のnはゼロ又は任意の正の整数を示す。さらには、従来は塩基性溶液に浸漬することで粗共重合体中の触媒を失活させていた際に水溶液中に抽出されていた未反応モノマーも回収が可能となり、モノマーの損失が抑制可能となる。
本実施形態において、塩基性化合物(e)としては、アルカリ金属又は第2族元素の炭酸塩、炭酸水素塩若しくはカルボン酸塩又はその水和物、又は10g/L水溶液のpHが10以上の窒素含有有機化合物を用いる。アルカリ金属又は第2族元素の炭酸塩、炭酸水素塩若しくはカルボン酸塩又はその水和物としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、等が挙げられる。10g/L水溶液のpHが10以上の窒素含有有機化合物としては、トリエチルアミン、水酸化コリン、トリメチルアミン、エタノールアミン等のアミン化合物等が挙げられる。中でも、アルカリ金属元素の炭酸塩、炭酸水素塩若しくはカルボン酸塩又はその水和物であることが好ましい。なお、10g/L水溶液のpHが10以上の窒素含有有機化合物におけるpHとは25℃におけるpHである。
塩基性化合物(e)の種類、添加方法は、特に限定されるものでないが、重合反応生成物、すなわち、ポリアセタール共重合体を洗浄することなく、ポリアセタール共重合体に対して塩基性化合物(e)をそのまま添加し溶融混練することで、重合触媒(c)の失活及びポリアセタール共重合体の不安定末端の除去に供することができるものを用いる。それらの塩基性化合物(e)以外では、押出機での溶融混練で重合触媒の失活はできるが、不安定末端の分解除去は不十分である。
さらには、塩基性化合物(e)を使用した場合に、最終的に得られる組成物において、そのホルムアルデヒド発生量は特に低い値となり、より好ましい。
本実施形態において、上記の塩基性化合物(e)は、1種類であってもよいし、2種以上を併用してもよく、それらの水和物や混合物、複塩等の状態であっても構わない。
本実施形態においては、上記の通り、重合触媒(c)の使用量が少量であることから、当該重合触媒(c)の失活剤である塩基性化合物(e)の使用量も少量とすることができる。具体的には、重合生成物に対して1~100ppmとすることができる。
本実施形態においては、必要に応じて分子量調整剤を使用してもよい。分子量調整剤としては、線状ホルマール化合物が用いることができる。線状ホルマール化合物としては、メチラール、エチラール、ジブトキシメタン、ビス(メトキシメチル)エーテル、ビス(エトキシメチル)エーテル、ビス(ブトキシメチル)エーテル等が例示される。その中でも、メチラール、エチラール、及びジブトキシメタンからなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
かかる重合及び失活処理の後、必要に応じて更に未反応モノマーの分離回収、乾燥等を従来公知の方法にて行う。
更に、本実施形態のポリアセタール共重合体の製造方法においては、重合する工程において、必要に応じて酸化防止剤を添加してもよい。
以下に、実施例により本実施形態をさらに具体的に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1~11、比較例1]
重合反応装置として連続式二軸重合機を用いた。この重合機は、外側に加熱用又は冷却用の媒体を通すためのジャケットを備え、その内部には撹拌、推進及び粉砕用の多数のバドルを付した2本の回転軸が長手方向に設けられている。そして、重合機の2本の回転軸をそれぞれ150rpmで回転させながら、主モノマー(トリオキサン)、表1に示す添加物(特定官能基含有化合物(d))、表1に示すコモノマーを表1に示す割合で加えて混合し、得られた混合物に、さらに表1に示す重合触媒(2g/Lのギ酸メチル溶液にして、全モノマーに対して10ppm)を加えた。ここで、表1において、添加物の添加量は主モノマー(a)及びコモノマー(b)の合計量に対する割合である。次いで、分子量調整剤としてメチラールを、得られた共重合体のメルトフローレートが9g/10minとなるように供給した。以上の状態で塊状重合を行い、粉砕されて重合機から排出された粉末状の粗ポリアセタール共重合体を得た。その後、得られた粗ポリアセタール共重合体に、表1に示す失活剤(塩基性化合物(e))を25ppmとIrganox1010を0.3質量%及びメラミンを0.1質量%添加して二軸押出機へ投入して溶融混練(シリンダー温度:200℃)し、重合触媒を失活させ、ポリアセタール共重合体のペレットを得た(比較例1を除く。)。
一方、比較例1においては、実施例1と同様の操作により粗ポリアセタール共重合体を得た後、得られた粗ポリアセタール共重合体に、BASFジャパン(株)製、Irganox1010を0.3質量%及びメラミンを0.1質量%、それぞれ二軸押出機へ投入して溶融混練(シリンダー温度:200℃)し、ポリアセタール共重合体のペレットを得た。
また、表1、2において、コモノマーは略号で示しているが、具体的には以下の通りである。
DO:1,3-ジオキソラン
BDF:1,4-ブタンジオールホルマール
さらに、表1において、触媒1及び2は以下の通りである。
触媒1:リンタングステン酸(HPW1240
触媒2:リンモリブデン酸(HPMo1240
[実施例12~16]
先ず、表1に示す重合触媒をギ酸メチルに溶解し、重合触媒濃度が2g/Lの触媒溶液を調製した。触媒溶液に表2に示す添加物(特定官能基含有化合物(d))を表2に記載の添加量となる様に添加した。重合反応装置として連続式二軸重合機を用いた。この重合機は、外側に加熱用又は冷却用の媒体を通すためのジャケットを備え、その内部には撹拌、推進および粉砕用の多数のバドルを付した2本の回転軸が長手方向に設けられている。そして、重合機の2本の回転軸をそれぞれ150rpmで回転させながら、主モノマー(トリオキサン)、表2に示すコモノマーを表2に示す割合で加え、さらに、前記のように調製した触媒溶液を加えた。それ以降は、実施例1と同様の操作を行い、ポリアセタール共重合体のペレットを得た。
[比較例2]
特定官能基含有化合物(d)を添加しなかったこと以外、実施例1と同様にしてポリアセタール共重合体のペレットを得た。
[成形品外観評価]
(評価方法)
得られたポリアセタール共重合体ペレットを成形機(FANUC製射出成型機 S100iA(φ36))を用いて、φ1.5mmのセンター1点ピンゲートの50角3t平板を以下の条件で射出成形した。その後、成形品のゲート付近でのフローマークの大きさを測定し、外観評価を目視による5段階で評価した。
(成形条件)
シリンダー温度(ノズルヘッドの温度:200℃)
金型温度:90℃
保圧:75MPa
射出時間:4.5秒
射出条件:計量位置 20mm、サックバック 5mm、 V-P切り替え位置 8mm
(評価)
5:フローマークの大きさが6mm未満である
4:フローマークの大きさが6mm以上8mm未満である
3:フローマークの大きさが8mm以上10mm未満である
2:フローマークの大きさが10mm以上12mm未満である
1:フローマークの大きさが12mm以上である
得られた共重合体ペレットを成形機(日精樹脂工業株式会社製射出成型機 ES3000)を用いて、厚さが2mmtの評価用金型へ、ポリアセタール共重合体1~16をそれぞれ射出して流動長を測定した。射出圧100MPaでの流動長(単位はmm)を5段階で評価した。
(成形条件)
シリンダー温度(ノズルヘッドの温度:195℃)
金型温度:80℃
射出速度:70mm/s
射出圧:100MPa
(評価)
5:流動長が450mm以上である
4:流動長が440mm以上450mm未満である
3:流動長が430mm以上440mm未満である
2:流動長が420mm以上430mm未満である
1:流動長が420mm未満である
[熱安定性(溶融体からのホルムアルデヒド発生量)]
得られたポリアセタール共重合体のペレット5gを秤量し、200℃に保ったシリンダーに充填して、5分間で溶融後、溶融物を密閉容器内に押し出した。この密閉容器に窒素ガスを流し、出てきた窒素ガスに含まれるホルムアルデヒドを水中に捕集した。この水中のホルムアルデヒド濃度をJISK0102 29.1(2013)により測定することにより、溶融物からのホルムアルデヒドの質量を求めた。この質量を用いたポリアセタール共重合体の質量で除してホルムアルデヒド発生量(単位ppm)とした。本方法によるホルムアルデヒド発生量は70ppm以下であることが実用上好ましい。
Figure 2024070642000001
Figure 2024070642000002
表1~2より、実施例1~16はいずれも成形時の流動性に優れることが分かる。同様に、実施例1~16はいずれも、成形品の外観評価が良好であり、成形品の表面性に優れることが分かる。また、ホルムアルデヒド発生量も少なく、熱安定性が高いことが分かる。
これに対して、比較例1は、塩基性化合物を使用せず、失活剤として粗ポリアセタール共重合体と同時に投入するメラミンを使用したため、不安定末端の除去ができず、熱安定性に劣っていた。また、添加物を共存させずに共重合反応を行った比較例2は、成形時の流動性及び成形品の表面性のいずれも劣っていた。

Claims (6)

  1. 主モノマー(a)としてトリオキサンと、コモノマー(b)として前記トリオキサンと共重合し得る化合物とを共重合する工程を含み、
    前記工程において、重合触媒(c)として、下記一般式(1)で表されるヘテロポリ酸を、窒素-炭素間又は窒素-酸素間に不飽和結合を有する官能基を持つ化合物(d)の共存下で使用して共重合反応を行い、
    共重合反応によって得られる粗ポリアセタール共重合体に塩基性化合物(e)として、アルカリ金属元素又は第2族元素(Beを除く。)の炭酸塩、炭酸水素塩若しくはカルボン酸塩又はその水和物、又は10g/L水溶液としたときのpHが10以上の窒素含有有機化合物を添加して溶融混練を行う、ポリアセタール共重合体の製造方法。
    [M ・M ]・nHO ・・・一般式(1)
    〔一般式(1)中、MはP、Si、B及びGeより選択される元素からなる中心元素を表す。MはW、Mo及びVより選択される1種以上の配位元素を表す。xは1以上10以下の整数を示し、yは6以上40以下の整数を表し、zは10以上100以下の整数を表し、mは1以上の整数を表し、nは0以上50以下の整数を表す。〕
  2. 前記アルカリ金属元素又は第2族元素(Beを除く。)の炭酸塩、炭酸水素塩若しくはカルボン酸塩又はその水和物が、アルカリ金属元素の炭酸塩、炭酸水素塩若しくはカルボン酸塩又はその水和物である、請求項1に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
  3. 前記コモノマー(b)が、1,3-ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4-ブタンジオールホルマール、1,3-ジオキサン、及びエチレンオキシドからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
  4. 前記ヘテロポリ酸が、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイモリブドタングステン酸、及びケイモリブドタングストバナジン酸からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
  5. 前記窒素-炭素間又は窒素-酸素間に不飽和結合を有する官能基を持つ化合物(d)の官能基がニトリル基及びニトロ基からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
  6. 前記窒素-炭素間又は窒素-酸素間に不飽和結合を有する官能基を持つ化合物(d)がアセトニトリル、ベンゾニトリル、及びニトロメタンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
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