JP2024068985A - 無鉛圧電部材、圧電素子および装置 - Google Patents

無鉛圧電部材、圧電素子および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】無鉛圧電部材の熱耐久性を高めることができる。【解決手段】ニオブ酸アルカリ系ペロブスカイト型酸化物を含む主相を含む無鉛圧電部材である。2つの抗電場+Ec、-Ecが、以下の関係式(1)を満たす。15kV/cm≦||+Ec|-|-Ec||≦40kV/cm …式(1)【選択図】図1

Description

本開示は、無鉛圧電部材、圧電素子および装置に関する。
超音波メス、超音波スケーラなどに用いられる圧電振動子は、高負荷下で駆動されるため、機械的品質係数(Qm)の高い圧電材料が用いられる。このような圧電振動子に用いられる圧電材料は、ほとんどが鉛を含んでおり、環境負荷低減などのために鉛を用いない無鉛圧電材料が求められている。
圧電振動子に用いられるような材料の例として、例えば特許文献1,2のようなものが挙げられる。
特開2014-114187号公報 国際公開第2022/215666号
上記特許文献1,2においては、熱耐久性、例えば高温と室温とに複数回温度調整を行った際の劣化の程度などに関する検討が行われていない。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、無鉛圧電部材における熱耐久性を高めることを目的とする。本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
〔1〕ニオブ酸アルカリ系ペロブスカイト型酸化物を含む主相を含み、
2つの抗電場+Ec、-Ecが、以下の関係式(1)を満たす、無鉛圧電部材。
15kV/cm≦||+Ec|-|-Ec||≦40kV/cm …式(1)
〔2〕前記主相は、Mn(マンガン)を含む、〔1〕に記載の無鉛圧電部材。
〔3〕Ti(チタン)を含むスピネル化合物からなる副相を含む、〔1〕又は〔2〕に記載の無鉛圧電部材。
〔4〕前記ニオブ酸アルカリ系ペロブスカイト型酸化物は、組成式(KNaLi(B)O
(元素AはCa(カルシウム),Sr(ストロンチウム),Ba(バリウム)のうちの少なくとも1種を含み、
元素Bは少なくともNb(ニオブ)を含み且つTa(タンタル),Ti,Zr(ジルコニウム),Hf(ハフニウム)のうちの少なくとも1種を含んでもよく、
元素Cは少なくともMnを含み且つMg(マグネシウム),Fe(鉄),Co(コバルト),Zn(亜鉛)のうちの少なくとも1種を含んでもよく、
a+b+c+d=1、a+b+c≠0、0.80≦e≦1.10、f+g=1を満たし、hはペロブスカイトを構成する任意の値)で表される酸化物である、〔1〕から〔3〕のいずれか一つに記載の無鉛圧電部材。
〔5〕〔1〕から〔4〕のいずれか一つに記載の無鉛圧電部材と、
前記無鉛圧電部材に接する電極と、
を備える、圧電素子。
〔6〕〔5〕に記載の圧電素子を有する、装置。
〔7〕超音波メス、超音波スケーラ、超音波洗浄機、超音波加工機、圧電トランスデューサー、超音波モータ、圧電ジャイロセンサ、圧電フィルタ、及びノックセンサからなる群より選択される、〔6〕に記載の装置。
本開示の無鉛圧電部材は、熱耐久性が高い。
本開示の一実施形態としての圧電素子を示す斜視図である。 本開示の一実施形態における圧電素子の製造方法を示すフローチャートである。 実施形態の一つである超音波メスを示す模式図である。 実施形態の一つである超音波スケーラを示す模式図である。 実施形態の一つである超音波洗浄機を示す模式図である。 実施形態の一つである超音波加工機を示す模式図である。 実施形態の一つである圧電トランスデューサーを示す模式図である。 実施形態の一つである超音波モータを示す模式図である。 実施形態の一つである圧電ジャイロセンサを示す模式図である。 実施形態の一つである圧電フィルタを示す模式図である。 実施形態の一つであるノックセンサを示す模式図である。 実施例1のP-Eヒステリシス測定の結果を示す図である。 実施例2のP-Eヒステリシス測定の結果を示す図である。 実施例3のP-Eヒステリシス測定の結果を示す図である。 実施例4のP-Eヒステリシス測定の結果を示す図である。
以下、本開示を詳しく説明する。
1.無鉛圧電部材
本実施形態の無鉛圧電部材は、Pb(鉛)を含まず、Nb(ニオブ)酸アルカリ系ペロブスカイト型酸化物を主成分とする。すなわち、無鉛圧電部材は、ニオブ酸アルカリ系ペロブスカイト型酸化物を含む主相を含んでいる。主相は、Mn(マンガン)を含んでいることが好ましい。無鉛圧電部材は、Ti(チタン)を含むスピネル化合物を含む副相を含んでいることが好ましい。
(1)主相
主相に含まれるニオブ酸アルカリ系ペロブスカイト型酸化物は、アルカリ土類金属に属する少なくとも一種の元素を含むことが好ましい。アルカリ土類金属は、例えば、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、及びBa(バリウム)等が挙げられる。
ニオブ酸アルカリ系ペロブスカイト型酸化物としては、以下の組成式(1)で表されるものが好ましく例示される。

(KNaLi(B)O …組成式(1)

元素Aは、Ca、Sr、Baのうちの少なくとも1種を含む。元素Bは、少なくともNb(ニオブ)を含み、且つTa(タンタル),Ti,Zr(ジルコニウム),Hf(ハフニウム)のうちの少なくとも1種を含んでもよい。元素Cは、少なくともMnを含み、且つMg(マグネシウム),Fe(鉄),Co(コバルト),Zn(亜鉛)のうちの少なくとも1種を含んでもよい。なお、hの値は、ペロブスカイト型結晶構造を維持し得る任意の値である。すなわち、O原子は、ペロブスカイト型結晶構造を維持できる量とされている。
上記組成式(1)において、元素Bは、具体的には、Ta、Ti、Zr、Hfのうちいずれも選択しない場合、Nbである。また、元素Bは、Ta、Ti、Zr、Hfのうち1種以上を選択した場合、Nbと、Ta、Ti、Zr、Hfのうちの1種以上である。
上記組成式(1)において、元素Cは、具体的には、Mg、Fe、Co、Znのうちいずれも選択しない場合、Mnである。また、元素Cは、Mg、Fe、Co、Znのうち1種以上を選択した場合、Mnと、Mg、Fe、Co、Znのうちの1種以上である。
上記組成式(1)において、それぞれの元素割合は、無鉛圧電部材の熱耐久性を高める観点から、以下の範囲が好ましい。
0.10≦a≦0.65
0.25≦b≦0.85
0.00≦c≦≦0.08
0.00≦d≦0.10
0.80≦e≦1.10
0.90≦f≦0.998
0.002≦g≦0.10
hはペロブスカイト型酸化物の結晶構造を維持しうる任意の値
a+b+c+d=1
a+b+c≠0
f+g=1
上記組成式(1)において、それぞれの元素割合は、以下の範囲がより好ましい。
0.40≦a≦0.60
0.40≦b≦0.60
0.02≦c≦0.05
0.03≦d≦0.08
0.80≦e≦1.10
0.90≦f≦0.95
0.05≦g≦0.1
hはペロブスカイト型酸化物の結晶構造を維持し得る任意の値
a+b+c+d=1
a+b+c≠0
f+g=1
上記組成式(1)において、元素Aが1種類以上3種類以下の元素を含み得るとともに、元素B,Cがそれぞれ1種類以上5種類以下の元素を含み得る場合には、以下の組成式(2)のように書き換えることができる。

(KNaLiCad1Srd2Bad3(Nbf1Taf2Tif3Zrf4Hff5Mgg1Mng2Feg3Cog4Zng5)O …組成式(2)

組成式(2)は、以下の関係式を満たす。
d=d1+d2+d3
f=f1+f2+f3+f4+f5
g=g1+g2+g3+g4+g5
f1≠0
g2≠0
元素Aから元素Cに含まれる各元素の組成割合は、以下の範囲が好ましい。
0.00≦d1≦0.05
0.00≦d2≦0.05
0.00≦d3≦0.05
0.90≦f1≦0.95
0.00≦f2≦0.05
0.005≦f3≦0.04
0.000≦f4≦0.005
0.000≦f5≦0.005
0.000≦g1≦0.005
0.002≦g2≦0.05
0.000≦g3≦0.005
0.000≦g4≦0.005
0.000≦g5≦0.005
(2)副相
副相は、M-Ti-O系スピネル化合物を含むことが好ましい。元素Mは、1価以上4価以下の金属元素であることが好ましい。M-Ti-O系スピネル化合物としては、以下の組成式(3)で表されるものが好ましい。

TiO …組成式(3)

元素Mは、Li(リチウム)、Mg、Mn、Fe、Co、Zr、Hfのうちの少なくとも1種であることが好ましい。
2.抗電場に関する要件
無鉛圧電部材は、2つの抗電場+Ec、-Ecが、以下の関係式(1)を満たす。

15kV/cm≦||+Ec|-|-Ec||≦40kV/cm …関係式(1)

関係式(1)中、|+Ec|、|-Ec|は、それぞれ+Ec、-Ecの絶対値を示している。||+Ec|-|-Ec||は、|+Ec|-|-Ec|の絶対値を示している。
より具体的には、||+Ec|-|-Ec||=ΔEcは、15kV/cm以上であり、18kV/cm以上が好ましく、20kV/cm以上がより好ましい。ΔEcは、40kV/cm以下であり、30kV/cm以下が好ましく、25kV/cm以下がより好ましい。したがって、ΔEcは、15kV/cm以上40kV/cm以下であり、18kV/cm30kV/cm以下以上が好ましく、20kV/cm以上25kV/cm以下がより好ましい。
ΔEcは、以下のようにして求めることができる。P-Eヒステリシス測定を行い、測定によって得られる2つの抗電場+Ec、-Ecに基づき、ΔEc=||+Ec|-|-Ec||を算出する。
具体的には、作製した無鉛圧電部材を厚さ1mm程度に平面研磨した後、蒸着装置を用いて金電極を上面および下面それぞれに蒸着後、分極処理を行う。この試料に対して、ファンクションジェネレーターにより発生させるとともに高圧アンプにより増幅した三角波(±0.5kV、±1kV、±1.5kV、±2kV、±2.5kV、±3kV、±3.5kV、±4kV、±4.5kV、±5kVの各電圧の三角波)を印加する。P-Eヒステリシス測定は、室温(20℃)で行う。三角波は、1Hzである。発生した分極電荷をQ/V変換機で検出し、抗電場(+Ec、-Ec)を求める。得られた各電圧それぞれのP-Eヒステリシス曲線からΔEcを算出し、最もEcの大きい値を用いる。
3.無鉛圧電部材の効果
本開示の無鉛圧電部材は、抗電場に関する要件(上記関係式(1))を満たすことによって、抗電場の偏り(内部電解)が生じ易く、脱分極が抑えられ、熱耐久性を高めることができる。例えば、無鉛圧電部材は、超音波メスなどに用いた場合、滅菌処理(オートクレーブ)を使用の度に行うため、熱サイクルによる特性劣化を抑制できる。
4.圧電素子
図1は、本開示の一実施形態としての圧電素子10を示す斜視図である。この圧電素子10は、本開示の無鉛圧電部材20と、無鉛圧電部材20に接する電極31,32と、を備えている。この圧電素子10は、円板状の無鉛圧電部材20の上面と下面にそれぞれ電極31,32が取り付けられた構成を有している。なお、圧電素子として、これ以外の種々の形状や構成を採用できる。
5.圧電素子の製造方法
図2は、本開示の一実施形態における圧電素子の製造方法を示すフローチャートの一例である。以下で作製される第1成分と第2成分とが混合されて、主相と副相が形成される。第1成分は、主相に含まれる主成分である。第2成分は、主相とは異なる成分である。
工程T110では、第1成分の原料混合を行う。工程T110では、第1成分の原料として、KCO粉末,NaCO粉末,LiCO粉末,CaCO粉末,SrCO粉末,BaCO粉末,Nb粉末,Ta粉末,TiO粉末,ZrO粉末,MgO粉末,Fe粉末,CoO粉末,ZnO粉末等の原料のうちから必要なものを選択し、以下に記す主相に含まれるニオブ酸アルカリ系ペロブスカイト型酸化物の組成式(1)における係数aから係数hの値に応じて秤量する。

(KNaLi(B)O …組成式(1)
原料粉末にエタノールを加え、ボールミルにて湿式混合してスラリーを得る。ボールミルを用いた湿式混合は、好ましくは15時間以上行う。工程T120では、スラリーを乾燥して得られた混合粉末を、例えば大気雰囲気下600℃以上1100℃以下で1時間以上10時間以下仮焼して第1成分の仮焼粉末を生成する。
工程T130では、第2成分の原料混合を行う。第2成分の組成は、例えば、K0.85Ti0.85Nb1.15であることが好ましい。なお、第2成分の組成は、KTiNbO、K0.90Ti0.90Nb1.10などであってもよい。第2成分の原料として、KCO粉末,Nb粉末,TiO粉末を選択し、上記第2成分の組成式の値に応じて秤量する。そして、これらの原料粉末にエタノールを加え、ボールミルにて湿式混合してスラリーを得る。ボールミルを用いた湿式混合は、好ましくは15時間以上行う。工程T140では、スラリーを乾燥して得られた混合粉末を、例えば大気雰囲気下600℃以上1100℃以下で1時間以上10時間以下仮焼して第2成分の仮焼粉末を生成する。
工程T150では、第1成分、第2成分、及びMn種(例えば、MnCO3、MnO、Mn、MnOなど)をそれぞれ秤量し、ボールミルにて湿式混合してスラリーを得る。ボールミルを用いた湿式混合は、好ましくは15時間以上行う。湿式混合後のスラリーをメッシュ通しすることで、粗大粒子を取り除く。メッシュ通しをしたスラリーを乾燥後、大気雰囲気下900℃で1時間以上10時間以下、仮焼を行う。
工程T160では、得られた成形体(仮焼粉末)を、例えば大気雰囲気下900℃以上1300℃以下で1時間以上10時間以下保持して焼成することによって無鉛圧電部材を得る。焼成後に第2成分が第1成分及びMn酸化物と反応して、Tiを含むスピネル化合物を含有する副相が形成される。工程T160の焼成は、O雰囲気で行ってもよい。次に、工程T170で、無鉛圧電部材を、圧電素子に要求される寸法精度に従って加工する。工程T180では、こうして得られた無鉛圧電部材に電極を取り付け、工程T190で分極処理を行う。
上述した製造方法は一例であり、圧電素子を製造するための他の種々の工程や処理条件を採用可能である。例えば、図2のように第1成分と第2成分を予め別個に生成した後に両者の粉末を混合し焼成している。その代わりに、第1成分と第2成分を含む原料を一括して混合し、焼成することによって、無鉛圧電部材を製造してもよい。但し、図2の製造方法によれば、第1成分と第2成分の組成をより厳密に管理し易いので、無鉛圧電部材の歩留まりを高めることが可能である。
6.無鉛圧電部材の適用例
圧電素子10は、以下の装置に好適に用いられる。装置としては、例えば、超音波メス40、超音波スケーラ50、超音波洗浄機60、超音波加工機70、圧電トランスデューサー80、超音波モータ90、圧電ジャイロセンサ100、圧電フィルタ110、及びノックセンサ120などが挙げられる。
(1)超音波メス40
図3は、本開示の実施形態の1つである超音波メス40を示す模式図である。超音波メス40は、超音波振動子41と、作用部材43と、を備えている。超音波振動子41は、上記圧電素子10を有し、電気信号が与えられたときに駆動して超音波振動を発生させる。超音波振動子41は、軸状に構成された作用部材43に対して超音波振動を伝達するように動作する。超音波振動子41は、作用部材43付近において生体組織を切開、剥離又は熱凝固止血する作用が生じるように作用部材43を駆動する。
(2)超音波スケーラ50
図4は、本開示の実施形態の1つである超音波スケーラ50を示す模式図である。超音波スケーラ50は、超音波振動子51と、歯科用チップ52と、を備えている。超音波振動子51は、上記圧電素子10を有し、電気信号が与えられたときに駆動して超音波振動を発生させる。超音波振動子51は、歯科用チップ52に対して超音波振動を伝達するように動作する。
(3)超音波洗浄機60
図5は、本開示の実施形態の1つである超音波洗浄機60を示す模式図である。超音波洗浄機60は、超音波振動子61と、洗浄容器63と、を備えている。超音波振動子61は、上記圧電素子10を有し、電気信号が与えられたときに駆動して超音波振動を発生させる。洗浄液を収容した洗浄容器63に被洗浄物65が投入され、超音波振動子61が振動させられることで発生する超音波振動が洗浄液に伝わり、被洗浄物65が洗浄される。
(4)超音波加工機70
図6は、本開示の実施形態の1つである超音波加工機70を示す模式図である。超音波加工機70は、基材71と、超音波振動子73と、砥石部75と、スピンドル77と、取り付け治具79と、を備えている。基材71は、円板状を成し、その外周には砥石部75が形成されている。基材71の中心は、スピンドル77に固定されている。
超音波振動子73は、上記圧電素子10を有し、電気信号が与えられたときに駆動して超音波振動を発生させる。超音波振動子73の駆動方向は、基材71の中心から外周に向かう放射方向である。超音波振動子73によって振動を発生させつつ、スピンドル77をその軸線方向を中心に回転させた状態で、基材71の外周に形成された砥石部75を被加工対象に押し当てることによって、その被加工対象を切削することができる。
(5)圧電トランスデューサー80
図7は、本開示の実施形態の1つである圧電トランスデューサー80を示す模式図である。圧電トランスデューサー80は、圧電素子81を備えている。圧電素子81は、上記圧電素子10と同様の構成である。圧電素子81は、無鉛圧電部材83と、無鉛圧電部材83の両面に取り付けられた電極85,87を有する。
(6)超音波モータ90
図8は、本開示の実施形態の1つである超音波モータ90を示す模式図である。超音波モータ90は、超音波振動子91と、ロータ93と、出力軸95と、を備えている。超音波振動子91は、上記圧電素子10を有している。例えば、圧電素子に交流電圧を印加すると、超音波振動子91に屈曲進行波が発生し、超音波振動子91の摺動面上の各点が楕円運動をする。超音波振動子91の摺動面にロータ93が圧接されていると、ロータ93が超音波振動子91から摩擦力を受け、屈曲進行波とは逆方向へ回転する。
(7)圧電ジャイロセンサ100
図9は、本開示の実施形態1つである圧電ジャイロセンサ100を示す模式図である。圧電ジャイロセンサ100は、無鉛圧電部材101と、無鉛圧電部材101の両面に塗布された電極103,105を備える圧電素子107を有している。圧電素子107は、上記圧電素子10と同様の構成である。
(8)圧電フィルタ110
図10は、圧電フィルタの実施形態の一例である積層型の圧電フィルタ110を表す模式図である。積層型の圧電フィルタ110は、円柱形状の無鉛圧電部材111と、無鉛圧電部材111の両面に電極113,115を備える圧電素子117を有する。圧電素子117は、圧電素子10と同様の構成である。
(9)ノックセンサ120
図11は、本開示の装置の一実施形態であるノックセンサ120の模式図である。ノックセンサ120は、無鉛圧電部材121、電極123,125を備える圧電素子127を有している。圧電素子127は、上記圧電素子10と同様の構成である。
実施例により本開示を更に具体的に説明する。
1.無鉛圧電部材の作製
実施形態に記載の製造方法に基づき、第1成分の原料、第2成分の原料の種類及び分量を適宜選択して、実施例1から実施例4および比較例1の無鉛圧電部材を作製した。表1に、実施例1から実施例4および比較例1の無鉛圧電部材の製造条件を示す。実施例1から実施例4は、大気雰囲気下にて、900℃で5時間仮焼した。比較例1は、大気雰囲気下にて、700℃で5時間仮焼した。
Figure 2024068985000002
表1中、「メッシュ処理」の有無は、工程T150で、第1成分、第2成分、及びMn種を湿式混合して得られたスラリーに対して、メッシュ通しを行ったか否かを示している。表1中、「仮焼温度」は、工程T150で、仮焼を行う際の加熱温度を示している。表1中、「材料系」の欄の「KNN-Mn」は、無鉛圧電部材がK、NaおよびNbに加えMnを主な元素成分としていることを示している。
表2に、実施例1から実施例4および比較例1の無鉛圧電部材において主相に含まれるニオブ酸アルカリ系ペロブスカイト型酸化物(以下の組成式(2)で表される化合物)の組成比を示す。なお、表2中、例えば「K」の欄は元素「K」の組成比「a」の値を示し、「Na」「Li」「Cad1」「Bad3」「Nbf1」「Tif3」「Mn」についても同様である。
(KNaLiCad1Srd2Bad3(Nbf1Taf2Tif3Zrf4Hff5Mgg1Mng2Feg3Cog4Zng5)O …組成式(2)
具体的には、実施例1から実施例4および比較例1において、組成式(2)は以下の組成式(4)で表される。
(KNaLiCad1Bad3(Nbf1Tif3Mng2)O …組成式(4)
Figure 2024068985000003
2.抗電場の測定
具体的には、作製した無鉛圧電部材を厚さ1mm程度に平面研磨した後、蒸着装置を用いて金電極を上面および下面それぞれに蒸着後、分極処理を行った。この試料に対して、ファンクションジェネレーターにより発生させるとともに高圧アンプにより増幅した三角波(±0.5kV、±1kV、±1.5kV、±2kV、±2.5kV、±3kV、±3.5kV、±4kV、±4.5kV、±5kVの各電圧の三角波)を印加した。P-Eヒステリシス測定は、室温(20℃)で行った。三角波は、1Hzであった。発生した分極電荷をQ/V変換機で検出し、抗電場(+Ec、-Ec)を求めた。得られた各電圧それぞれのP-Eヒステリシス曲線からΔEcを算出し、最もΔEcの大きい値を用いた。図12から図15に、実施例1から実施例4のP-Eヒステリシス測定の結果を示す。実施例1から実施例4、比較例1のΔEcの測定結果を、表1に示す。
3.熱耐久性の評価
作製した無鉛圧電部材を厚さ1mm程度に平面研磨した後、蒸着装置を用いて金電極を上面および下面それぞれに蒸着後、分極処理を行った。この試料を恒温試験機による大気雰囲気かつ室温下で、インピーダンスアナライザーを用いて共振-反共振法による測定を行った。その後、室温から140℃に昇温して5分保持した後に室温に戻すという工程を5回行い、最後に室温でインピーダンスアナライザーを用いて共振周波数付近でZ-θの周波数掃引を実施し、位相θの最大値θmax(分極の度合いを示す値)の減少率(熱耐久性)を評価した。評価結果を、表1に示す。
評価は、以下の基準とした。
「A」:θmaxの減少率が10%未満(熱耐久性が良好である)
「B」:θmaxの減少率が10%以上(熱耐久性が良好でない)
4.評価結果
実施例1から実施例4は、仮焼温度が900℃であり、メッシュ処理を行った。これにより、実施例1から実施例4では、ΔEc=||+Ec|-|-Ec||の値が、15kV/cmから25kV/cmの範囲にあり、以下の関係式(1)を満たしている。
15kV/cm≦||+Ec|-|-Ec||≦40kV/cm …関係式(1)
比較例1は、仮焼温度が700℃であり、メッシュ処理を行っていない。これにより、比較例1では、ΔEc=||+Ec|-|-Ec||の値が、5kV/cmとなり、上記関係式(1)を満たしていない。
実施例1から実施例4は、熱耐久性の評価が「A」であり、熱耐久性が良好であった。一方で、比較例1は、熱耐久性の評価が「B」であり、熱耐久性が良好ではなかった。実施例1から実施例4は、上記関係式(1)を満たすことで、内部電界が導入され、熱刺激による分極ドメインの動きが抑制され、熱耐久性が向上したことが推測される。
5.実施例の効果
本実施例の無鉛圧電部材は、熱耐久性が高い。
本開示は上記で詳述した実施形態に限定されず、様々な変形又は変更が可能である。
10: 圧電素子
20: 無鉛圧電部材
31,32: 電極
40: 超音波メス
50: 超音波スケーラ
60: 超音波洗浄機
70: 超音波加工機
80: 圧電トランスデューサー
90: 超音波モータ
100: 圧電ジャイロセンサ
110: 圧電フィルタ
120: ノックセンサ

Claims (7)

  1. ニオブ酸アルカリ系ペロブスカイト型酸化物を含む主相を含み、
    2つの抗電場+Ec、-Ecが、以下の関係式(1)を満たす、無鉛圧電部材。
    15kV/cm≦||+Ec|-|-Ec||≦40kV/cm …式(1)
  2. 前記主相は、Mn(マンガン)を含む、請求項1に記載の無鉛圧電部材。
  3. Ti(チタン)を含むスピネル化合物からなる副相を含む、請求項1又は請求項2に記載の無鉛圧電部材。
  4. 前記ニオブ酸アルカリ系ペロブスカイト型酸化物は、組成式(KNaLi(B)O
    (元素AはCa(カルシウム),Sr(ストロンチウム),Ba(バリウム)のうちの少なくとも1種を含み、
    元素Bは少なくともNb(ニオブ)を含み且つTa(タンタル),Ti,Zr(ジルコニウム),Hf(ハフニウム)のうちの少なくとも1種を含んでもよく、
    元素Cは少なくともMnを含み且つMg(マグネシウム),Fe(鉄),Co(コバルト),Zn(亜鉛)のうちの少なくとも1種を含んでもよく、
    a+b+c+d=1、a+b+c≠0、0.80≦e≦1.10、f+g=1を満たし、hはペロブスカイトを構成する任意の値)で表される酸化物である、請求項1又は請求項2に記載の無鉛圧電部材。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の無鉛圧電部材と、
    前記無鉛圧電部材に接する電極と、
    を備える、圧電素子。
  6. 請求項5に記載の圧電素子を有する、装置。
  7. 超音波メス、超音波スケーラ、超音波洗浄機、超音波加工機、圧電トランスデューサー、超音波モータ、圧電ジャイロセンサ、圧電フィルタ、及びノックセンサからなる群より選択される、請求項6に記載の装置。
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