JP2024059249A - 走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、走査型プローブ顕微鏡に関する。
走査型プローブ顕微鏡は、微小な針形状のプローブで試料を走査することによって、試料の形状や物性値を画像化する装置である。
特許文献1には、窒素-空孔対を有するダイヤモンド(以下、NVダイヤモンド)をプローブとし、当該プローブに励起光とマイクロ波を照射し、窒素-空孔対から放出される蛍光を収集する走査型プローブ顕微鏡が開示される。
しかしながら特許文献1では、試料の中から測定箇所を容易に決定することに対する配慮がなされていない。多くの走査型プローブ顕微鏡では、比較的大きい開口数を有する対物レンズが使用されるため、対物レンズを介して得られる視野は狭く、測定箇所を決定するのに時間と手間を要する。
そこで本発明は、対物レンズの開口数が比較的大きい場合であっても測定箇所を容易に決定可能な走査型プローブ顕微鏡を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、試料を走査するプローブと、前記プローブに対物レンズを介して励起光を照射する光源と、前記プローブで生じる蛍光を検出する検出器を備える走査型プローブ顕微鏡であって、前記対物レンズと前記試料との間に配置される反射部材と、前記反射部材の反射面を撮像する反射面撮像装置をさらに備えることを特徴とする。
本発明によれば、対物レンズの開口数が比較的大きい場合であっても測定箇所を容易に決定可能な走査型プローブ顕微鏡を提供することができる。
以下、添付図面に従って本発明に係る走査型プローブ顕微鏡の実施例について説明する。なお、以下の説明及び添付図面において、同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。
図1は走査型プローブ顕微鏡の全体構成を示す図である。なお図1において、横方向をx軸、紙面に垂直な方向をy軸、縦方向をz軸とする。走査型プローブ顕微鏡は、試料ステージ7、プローブ3、光源14、対物レンズ9、検出器15、マイクロ波アンテナ6、反射部材23、反射面撮像装置34、コンピュータ21を備える。以下、各部について説明する。
試料ステージ7は、試料1を保持するとともに、試料1の位置をxyz方向に制御する装置であり、例えばピエゾステージで構成される。試料ステージ7は、防振台8の上に配置される。
プローブ3は、試料ステージ7がxyz方向に移動することによって、試料1を走査する微小な針である。プローブ3は、発光点であるNVセンタ4を含むNVダイヤモンドやシリコンカーバイド等を有する。プローブ3はプローブ駆動部2の先端に固定され、プローブ駆動部2によって位置を制御されても良い。
光源14は、プローブ3に励起光18を照射する装置である。励起光18は、例えば波長532nmのレーザ光である。励起光18が照射されるタイミングは光スイッチ13の動作によって制御されても良い。
対物レンズ9は、プローブ3に含まれるNVセンタ4に励起光18を集束させるレンズである。励起光18は、対物レンズ9の光軸に沿ってNVセンタ4に照射される。対物レンズ9の位置は、例えばピエゾステージで構成される対物レンズ駆動部10によって制御されても良い。
検出器15は、プローブ3のNVセンタ4で生じる蛍光19を検出する装置である。NVセンタ4で生じた蛍光19は、対物レンズ9と波長選別ミラー17、波長選別フィルタ16、レンズ22、ピンホール33を経由して検出器15に達する。波長選別ミラー17と波長選別フィルタ16を経由することにより、例えば600nm程度以上の蛍光19のみが検出器15に到達する。また径が数10μm程度のピンホール33とその前後に配置されるレンズ22によって構成される共焦点光学系によって、NVセンタ4の発光領域はz方向の1μm以下に限定される。
マイクロ波アンテナ6は、プローブ3にマイクロ波を照射するものであり、プローブ3から所定の距離、例えば50μm以内に配置される。プローブ3に照射されるマイクロ波の波長を変えながら、蛍光19を検出することにより、例えば磁場計測のもととなるゼーマン分裂に対応した光検出磁気共鳴(ODMR:Optically Detected Magnetic Resonance)スペクトルが取得できる。マイクロ波アンテナ6はアンテナ駆動部5の先端に固定され、アンテナ駆動部5によって位置を制御されても良い。
反射部材23は、試料1の上面を映す反射面23Aを有するものであり、対物レンズ9と試料1との間に配置される。反射部材23は、対物レンズ9のワーキングディスタンス(W.D.)の中に納められるように構成される。例えばW.D.が4.5mmである場合、直径2mmのガラス管の先端を、ガラス管の中心軸に対して45°で切断し、切断面に金属膜を形成することにより、金属膜を反射面23Aとする反射部材23が構成される。なお、切断面と中心軸との角度は45°に限定されない。また反射部材23の位置や姿勢は、反射部材駆動部24によって制御されても良い。
反射面撮像装置34は、反射部材23の反射面23Aを撮像する装置である。反射部材23の反射面23Aに映る試料の1の上面を撮像した画像は、対物レンズ9を介するものではないので、比較的広い視野、例えば2mm角程度の視野を有する。そのため、反射面23Aを撮像した画像を利用することにより、試料1の中の測定箇所を容易に決めることができる。
また反射面撮像装置34の位置や姿勢は、撮像装置駆動部25によって制御されても良い。例えば、反射部材23の側方に位置する反射面撮像装置34を、撮像装置駆動部25によってz方向に移動させて試料1の側方へ位置させることにより、試料1をx方向から撮像した画像を得ることができる。試料1を側方から撮像した画像も、対物レンズ9を介するものではないので、比較的広い視野を有する。
コンピュータ21は、プログラムに従って各部の動作を制御するとともに、各種画像を生成・表示する装置である。
なお走査型プローブ顕微鏡は、試料1からの反射光を分離するフリップミラー12と、分離された反射光を撮像する撮像装置20を備えていても良い。撮像装置20により得られる画像の視野は、対物レンズ9を介しているため比較的狭く、例えば200μm角程度である。
図2を用いて、反射部材23、反射面撮像装置34、プローブ3、マイクロ波アンテナ6の配置例について説明する。反射部材23、反射面撮像装置34、プローブ3、マイクロ波アンテナ6の配置は、図1に例示されるような四者が同一平面に並ぶものに限定されない。図2には、反射部材23の中心軸と反射面撮像装置34の中心軸を含む面Aと、プローブ3の中心軸とマイクロ波アンテナ6の中心軸を含む面Bとが交差する配置が例示される。なお面Aと面Bとの交差角度は、90°に近いことが好ましく、90°が最良である。すなわち交差角度が90°に近いほど、反射部材23と反射面撮像装置34の対とプローブ3とマイクロ波アンテナ6の対とを干渉させることなく反射部材23を大きくすることができ、より広い視野で試料1の中の測定箇所を決めることができる。
また面Aと面Bの少なくとも一方は対物レンズ9の光軸を含むことが好ましい。面Aと面Bのいずれかに光軸が含まれることにより、測定箇所をより精度良く調整することができる。なお、面Aと面Bがともに光軸を含む場合、面Aと面Bの交差部は光軸と一致する。
図3を用いて、プローブ3とマイクロ波アンテナ6の配置例について説明する。プローブ3とマイクロ波アンテナ6の配置は、図1や図2に例示されるような対物レンズ9の光軸を介して両者が相対するものに限定されない。図3には、プローブ3とマイクロ波アンテナ6がz方向に並ぶ配置が例示される。なお図3では、プローブ3とマイクロ波アンテナ6は支持部材36を介してプローブ駆動部2とアンテナ駆動部5にそれぞれ接続される。またプローブ駆動部2とアンテナ駆動部5は、光学定盤32の上でxy方向に稼働するベース板35の上に積み重ねられる。このような構造により、プローブ3とマイクロ波アンテナ6との位置調整をやり直すことなく、試料1を付け替えることができる。すなわち、プローブ駆動部2とアンテナ駆動部5とによって位置調整されたプローブ3とマイクロ波アンテナ6は、ベース板35の稼働によって試料1に対して位置調整される。
図4を用いて、図1の走査型プローブ顕微鏡におけるプローブ3、マイクロ波アンテナ6、試料1の位置調整の手順の一例についてステップ毎に説明する。
(S401)
プローブ3の位置が調整される。例えば検出器15によって検出される蛍光19に基づいて、プローブ3が対物レンズ9の光軸から所定の距離内に配置されるように、プローブ駆動部2がコンピュータ21によって制御される。なお検出器15によって蛍光19を検出するとき、反射部材23は対物レンズ9の光軸と重ならないように反射部材駆動部24によって退避させられる。
プローブ3の位置が調整される。例えば検出器15によって検出される蛍光19に基づいて、プローブ3が対物レンズ9の光軸から所定の距離内に配置されるように、プローブ駆動部2がコンピュータ21によって制御される。なお検出器15によって蛍光19を検出するとき、反射部材23は対物レンズ9の光軸と重ならないように反射部材駆動部24によって退避させられる。
(S402)
マイクロ波アンテナ6の位置が調整される。例えば反射面撮像装置34によって得られる画像に基づいて、マイクロ波アンテナ6がプローブ3から所定の距離内に配置されるように、アンテナ駆動部5がコンピュータ21によって制御される。S402では、反射部材駆動部24によって反射部材23が試料1と対物レンズ9との間に挿入される。
マイクロ波アンテナ6の位置が調整される。例えば反射面撮像装置34によって得られる画像に基づいて、マイクロ波アンテナ6がプローブ3から所定の距離内に配置されるように、アンテナ駆動部5がコンピュータ21によって制御される。S402では、反射部材駆動部24によって反射部材23が試料1と対物レンズ9との間に挿入される。
(S403)
図5A及び図5Bに例示される試料1の位置の粗調整が実行される。図5Aは試料パターン27を有する試料1の上面図であり、図5Bは試料1の断面図である。
図5A及び図5Bに例示される試料1の位置の粗調整が実行される。図5Aは試料パターン27を有する試料1の上面図であり、図5Bは試料1の断面図である。
より具体的には、反射面撮像装置34によって得られる図6Aや図6Bに例示される撮像画像28に基づいて、試料1の測定箇所が視野内に配置されるように、試料ステージ7がコンピュータ21によって制御される。なお反射面撮像装置34によって撮像するときには、反射部材駆動部24によって反射部材23が試料1と対物レンズ9との間に挿入される。図6Aは反射部材23の反射面23Aを低倍率で撮像した画像であり、2mm径程度の反射面23Aが映る反射面領域29と反射面領域29以外の領域が含まれる。低倍率で撮像された画像である図6Aの撮像画像28には、試料1やマイクロ波アンテナ6、プローブ3とともに、試料1の周囲に配置される給電パッド30や給電線31が映し出される。給電パッド30と給電線31は試料1に電流を供給するものであり、電流の供給により動作する試料1を観察するときに用いられる。図6Bは反射部材23の反射面23Aを高倍率で撮像した画像であり、図6Aの中央部が拡大された画像である。図6Aの撮像画像28のような比較的視野の広い画像を利用することにより、測定箇所の決定に要する時間と手間を低減できる。さらに図6Bの撮像画像28のような比較的高倍率である画像を利用することにより、高い精度で試料1の位置を調整することができる。
なお図6Aや図6Bの撮像画像28とともに、図7Aや図7Bに例示される撮像画像28が試料1の位置調整に用いられても良い。図7Aの撮像画像28は、反射部材23を介することなく、試料1を側方から撮像した画像であり、反射面撮像装置34を対物レンズ9の光軸と平行に移動させてから撮像される。図7Bの撮像画像28は、図7Aよりも高倍率で撮像された画像である。図7Aや図7Bの撮像画像28を利用することにより、プローブ3及びマイクロ波アンテナ6と、試料1との距離を調整することができる。
(S404)
試料1の位置の微調整が実行される。例えば撮像装置20によって得られる高倍率で高精細に撮像された画像に基づいて、測定箇所が視野の中心に配置されるように、試料ステージ7がコンピュータ21によって制御される。撮像装置20によって画像を得るとき、反射部材23は対物レンズ9の光軸と重ならないように反射部材駆動部24によって退避させられる。なおS404の微調整は、反射面撮像装置34によって得られる画像に基づいて行われても良い。
試料1の位置の微調整が実行される。例えば撮像装置20によって得られる高倍率で高精細に撮像された画像に基づいて、測定箇所が視野の中心に配置されるように、試料ステージ7がコンピュータ21によって制御される。撮像装置20によって画像を得るとき、反射部材23は対物レンズ9の光軸と重ならないように反射部材駆動部24によって退避させられる。なおS404の微調整は、反射面撮像装置34によって得られる画像に基づいて行われても良い。
図4を用いて説明した手順によって、プローブ3、マイクロ波アンテナ6、試料1の位置調整が完了する。特にS403において、反射面撮像装置34によって反射部材23の反射面の画像が利用されることにより、試料1の中から適切な測定箇所を容易に決定することができる。
実施例1では、ガラス管の先端を45°の傾斜角で切断し、切断面に形成された反射面23Aを有する反射部材23について説明した。実施例2では、反射面23Aとともに貫通穴26を有する反射部材23について説明する。なお、反射部材23以外の構成は、実施例1と同じであるので説明を省略する。
図8Aを用いて、貫通穴26を有する反射部材23の一例について説明する。図8Aに例示される反射部材23は、実施例1と同様に45°の傾斜角を有する切断面に反射面23Aが形成されるとともに、対物レンズ9の光軸が通る貫通穴26が反射面23Aの中央部に設けられる。
図8Aを用いて、貫通穴26を有する反射部材23の一例について説明する。図8Aに例示される反射部材23は、実施例1と同様に45°の傾斜角を有する切断面に反射面23Aが形成されるとともに、対物レンズ9の光軸が通る貫通穴26が反射面23Aの中央部に設けられる。
図8Bを用いて、貫通穴26を有する反射部材23の他の例について説明する。図8Bに例示される反射部材23は、三角柱の側面に反射面23Aが形成されるとともに、反射面23Aの中央部に貫通穴26が設けられる。図8Bの貫通穴26も対物レンズ9の光軸が通るように設けられる。
図8Aや図8Bのような貫通穴26が設けられることにより、図4のS401やS404において、反射部材23を退避させることなく検出器15による検出や撮像装置20による撮像が可能になる。その結果、プローブ3、マイクロ波アンテナ6、試料1の位置調整に要する手間が軽減される。
以上、本発明の実施例について説明した。本発明は上記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、上記実施例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除しても良い。
1:試料、2:プローブ駆動部、3:プローブ、4:NVセンタ、5:アンテナ駆動部、6:マイクロ波アンテナ、7:試料ステージ、8:防振台、9:対物レンズ、10:対物レンズ駆動部、12:フリップミラー、10:対物レンズ駆動部、12:フリップミラー、13:光スイッチ、14:光源、15:検出器、16:波長選別フィルタ、17:波長選別ミラー、18:励起光、19:蛍光、20:撮像装置、21:コンピュータ、22:レンズ、23:反射部材、23A:反射面、24:反射部材駆動部、25:撮像装置駆動部、26:貫通穴、27:試料パターン、28:撮像画像、29:反射面領域、30:給電パッド、31:給電線、32:光学定盤、33:ピンホール、34:反射面撮像装置、35:ベース板、36:支持部材
Claims (8)
- 試料を走査するプローブと、
前記プローブに対物レンズを介して励起光を照射する光源と、
前記プローブで生じる蛍光を検出する検出器を備える走査型プローブ顕微鏡であって、
前記対物レンズと前記試料との間に配置される反射部材と、
前記反射部材の反射面を撮像する反射面撮像装置をさらに備えることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。 - 請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡であって、
前記プローブにマイクロ波を照射するマイクロ波アンテナをさらに備え、
前記プローブの中心軸と前記マイクロ波アンテナの中心軸とを含む第一の面と、前記反射部材の中心軸と前記反射面撮像装置の中心軸とを含む第二の面とは交差することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。 - 請求項2に記載の走査型プローブ顕微鏡であって、
前記第一の面と前記第二の面の少なくとも一方は、前記対物レンズの光軸を含むことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。 - 請求項3に記載の走査型プローブ顕微鏡であって、
前記第一の面と前記第二の面との交差部は、前記光軸と一致することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。 - 請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡であって、
前記反射部材は、前記対物レンズの光軸が通る貫通穴を有することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。 - 請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡であって、
前記反射面撮像装置を前記対物レンズの光軸と平行に移動させる撮像装置駆動部をさらに備えることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。 - 請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡であって、
前記プローブにマイクロ波を照射するマイクロ波アンテナと、
前記マイクロ波アンテナの位置を制御するアンテナ駆動部と、
前記プローブの位置を制御するプローブ駆動部をさらに備えることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。 - 請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡であって、
前記プローブは、窒素-空孔対を有するダイヤモンドまたはシリコンカーバイドを有することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
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- 2023-10-16 US US18/380,309 patent/US20240126061A1/en active Pending
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