JP2024047341A - 外壁パネルの接合構造と外壁パネル接合用のファスナー - Google Patents

外壁パネルの接合構造と外壁パネル接合用のファスナー Download PDF

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Abstract

【課題】施工時における外壁パネルの仮固定の際に、ファスナーを構造躯体に対して溶接固定することを解消もしくは低減できる外壁パネルの接合構造と外壁パネル接合用のファスナーを提供すること。【解決手段】構造躯体10に対してファスナー90を介して外壁パネル20が接合される外壁パネルの接合構造100であり、ファスナー90は、外壁パネル20に取り付けられる第1フランジ31と、第1遊嵌孔35とタップ孔36を備えた第2フランジ32とからなる山形鋼30、構造躯体10に溶接接合され、第2遊嵌孔45を備えている鋼製の角筒材60、角筒材60の内面に一端が予め溶接接合され、第2遊嵌孔45と第1遊嵌孔35を貫通し、第2フランジ32に対して締め付けナット75にて締め付けられている連結ボルト70、タップ孔36に対して螺合し、下端81が角筒材60に係止自在で外壁パネル20の高さを調整する調整ボルト80を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、外壁パネルの接合構造と外壁パネル接合用のファスナーに関する。
建物の外壁をプレキャストコンクリート版や金属パネル等の外壁パネル(もしくは、カーテンウォール)により形成する場合には、建物の層間変形に対して外壁パネルが追随可能な接合構造とするべく、建物の鉄骨梁等の構造躯体に対して、外壁パネルが水平変位自在なスウェイ方式や、相対回転自在なロッキング方式により接合されるのが一般的である。
この接合構造において、構造躯体と外壁パネルはファスナーを介して相互に接合されており、ファスナーは、外壁パネルの鉛直荷重(自重や地震時の鉛直荷重)と、面外や面内の水平荷重を負担し、さらには層間変位を吸収する機能を有している。
上記するファスナーには様々な形態が存在するが、施工時における外壁パネルの仮固定の際にも、外壁パネルの自重(鉛直荷重)や水平荷重を構造躯体に支持させる必要があるものの、ファスナーの形状等により、施工時における外壁パネルの仮固定のたびにファスナーの一部を構造躯体に溶接する必要の生じる場合があり、このことによって溶接作業の工数が増加し、溶接作業員の作業待ち時間が増加するといった溶接作業に関する様々な課題がある。
以上のことから、施工時の特に外壁パネルの仮固定の際に、構造躯体に対してファスナーを溶接固定することを解消もしくは低減でき、このことによって、高い安全性と効率的な施工を実現できる外壁パネルの接合構造と、この接合構造を形成するファスナーが望まれる。
ここで、特許文献1には、カーテンウォールの上部または下部のいずれか一方をスラブに対して一体に固定するとともに、他方を梁もしくは他のカーテンウォールに対して、ファスナーを介してロッキング可能かつスウェイ可能な状態で連結する、カーテンウォールの取付構造が提案されている。この取付構造を形成するファスナーは、梁または他方のカーテンウォールに対して固定される1次部材と、取り付けるべきカーテンウォールに固定される2次部材と、それら1次部材と2次部材とをカーテンウォールの面外方向の変位を規制しつつ面内方向の相対水平変位および相対回転を許容する状態で連結する連結具と、1次部材と2次部材との間に介装される弾性部材とを備えている。
特開2003-119941号公報
特許文献1に記載のカーテンウォールの取付構造では、カーテンウォール取付用のファスナーの構造が複雑でなく、取り付け作業を容易に行えるとしているが、施工時における外壁パネルの仮固定の際に、ファスナーを構造躯体に対して溶接固定することを解消もしくは低減できるものであるか否かは定かでない。
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、施工時における外壁パネルの仮固定の際に、ファスナーを構造躯体に対して溶接固定することを解消もしくは低減でき、高い安全性と効率的な施工を実現できる外壁パネルの接合構造と、この接合構造を形成する外壁パネル接合用のファスナーを提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による外壁パネルの接合構造の一態様は、
構造躯体に対してファスナーを介して外壁パネルが接合される、外壁パネルの接合構造であって、
前記ファスナーは、
前記外壁パネルの背面に取り付けられる第1フランジと、第1遊嵌孔とタップ孔とを備えている第2フランジとにより形成される、山形鋼と、
前記構造躯体の上面に溶接接合され、第2遊嵌孔を備えている、鋼製の角筒材と、
前記角筒材の内面に一端が予め溶接接合され、前記第2遊嵌孔と前記第1遊嵌孔を下方から順に貫通し、前記第2フランジに対して直接的もしくは間接的に締め付けナットにて締め付けられている、連結ボルトと、
前記タップ孔に対して上方から螺合し、下端が前記角筒材の上面に係止自在であって、前記外壁パネルの高さを調整する、調整ボルトと、を有することを特徴とする。
本態様によれば、外壁パネルの接合構造を形成するファスナーが、外壁パネルの背面に取り付けられる山形鋼と、構造躯体の上面に溶接接合される鋼製の角筒材と、角筒材の内面に一端が予め溶接接合され、角筒材と山形鋼の第2フランジの備える双方の遊嵌孔を貫通して第2フランジに対して直接的もしくは間接的に締め付けナットにて締め付けられている連結ボルトと、第2フランジの備えるタップ孔に螺合して角筒材の上面に反力を取りながら外壁パネルの高さ調整を行う調整ボルトを有することにより、外壁パネルの仮固定の際に、ファスナーを構造躯体に対して溶接固定することを解消もしくは低減することができる。
ここで、構造躯体としては、H形鋼等の形鋼材や角形鋼管等により形成される鉄骨梁等が挙げられる。
また、「予め溶接接合される」とは、工場等において溶接接合され、現場にて溶接接合されないことを意味している。従って、角筒材の内面に対する連結ボルトの一端の溶接接合は工場にて行われる。
また、「溶接接合」は、工場等における溶接接合と現場における溶接接合のいずれか一方を意味する。例えば、構造躯体の上面に対する角筒材の溶接接合は、現場における溶接であってもよいし、工場等における溶接であってもよい。尚、この構造躯体に対する角筒材の溶接接合は、外壁パネルの仮固定の際の溶接ではなく、外壁パネルを構造躯体に本固定する際の溶接であるため、仮に現場にて角筒材を構造躯体に溶接する場合でも、外壁パネルの仮固定のための溶接には含まれない。
また、「第2フランジに対して直接的もしくは間接的に締め付けナットにて締め付けられている」とは、締め付けナットが、第2フランジを直接締め付ける形態の他に、第2フランジと締め付けナットの間に鋼板や座金等が介在し、従って締め付けナットがこれら鋼板や座金等を締め付けることにより、第2フランジを間接的に締め付ける形態を含んでいる。
また、角筒材としては、角鋼管や、溝形鋼と鋼板(平鋼)の接合体等が挙げられる。また、「遊嵌孔」とは、挿通されるボルト(連結ボルト)の外径よりも大径の孔であり、第1遊嵌孔と第2遊嵌孔の孔径は同じであってもよいし、異なっていても良いが、山形鋼の第2フランジに設けられている第1遊嵌孔が連結ボルトの外径よりも大幅に大径のルーズ孔であることにより、外壁パネルの水平方向の位置調整を行えることから望ましい。
また、本発明による外壁パネルの接合構造の他の態様は、
前記角筒材が、第1鋼板と溝形鋼が予め溶接接合された接合体であり、該溝形鋼はウェブと2つの第3フランジを備え、該ウェブに前記第2遊嵌孔が開設されており、
前記第1鋼板の下面が前記構造躯体の上面に当接して溶接接合され、
前記連結ボルトが前記第2遊嵌孔を貫通して、その一端にあるボルト頭部が前記第1鋼板の上面に対して予め溶接接合されていることを特徴とする。
本態様によれば、角筒材が、第1鋼板と溝形鋼が予め溶接接合された接合体であることにより、第1鋼板の広幅面に対して連結ボルトのボルト頭部を溶接接合した後、連結ボルトを溝形鋼のウェブの第2遊嵌孔に貫通させながら第1鋼板に対して溝形鋼を組み付けた後に、双方を溶接接合することにより、角筒材と連結ボルトとのユニットの工場における製作性が良好になる。例えば、角筒材が角鋼管により形成される場合は、角鋼管の内部からその一側面に設けられている第2遊嵌孔に連結ボルトを挿通し、連結ボルトの一旦にあるボルト頭部を角鋼管の内面に溶接接合する必要があることから、製作性が良好とは必ずしも言えない。
また、本発明による外壁パネルの接合構造の他の態様において、
前記第1遊嵌孔と前記第2遊嵌孔の双方の孔径はいずれも、前記連結ボルトの外径よりも大径であり、
前記締め付けナットと前記第2フランジとの間に、前記連結ボルトの外径と同径もしくは略同径の第1貫通孔を備えた第2鋼板が介在し、該第2鋼板が前記第2フランジの上面に溶接接合され、前記第2遊嵌孔と該第1貫通孔を下方から順に貫通した前記連結ボルトを締め付ける該締め付けナットが、該第2鋼板を直接的に締め付けており、
前記溝形鋼の前記ウェブの上面に、前記連結ボルトの外径と同径もしくは略同径の第2貫通孔を備えた第3鋼板が配設され、前記第2遊嵌孔に該第2貫通孔が位置合わせされた状態で該第3鋼板が該ウェブの上面に溶接接合されていることを特徴とする。
本態様によれば、山形鋼の第2フランジにある第1遊嵌孔が連結ボルトの外径よりも大径である例えばルーズ孔(数mm乃至1,2cm程度大きな孔)であることにより、外壁パネルの水平方向の位置調整を図ることが可能になる。また、角筒材に設けられている第2遊嵌孔も連結ボルトよりも大径であるが、第1遊嵌孔のようにルーズ孔にする必要は必ずしもなく、例えば連結ボルトの外径よりも1,2mm程度大きな孔径を有していればよい。
その上で、締め付けナットと第2フランジとの間に連結ボルトの外径と同径もしくは略同径の第1貫通孔を備えた第2鋼板が介在し、第2鋼板が第2フランジの上面に溶接接合されるとともに、溝形鋼のウェブの上面に連結ボルトの外径と同径もしくは略同径の第2貫通孔を備えた第3鋼板が配設され、第2遊嵌孔に第2貫通孔が位置合わせされた状態で第2鋼板がウェブの上面に溶接接合されることにより、構造躯体に対して本固定された外壁パネルから作用する面内もしくは面外の水平力を、ファスナーを介して構造躯体に伝達することが可能になる。すなわち、外壁パネルの仮固定の際の水平方向の位置調整と、外壁パネルの本固定後の水平力の構造躯体への伝達の双方を実現することができる。
また、本発明による外壁パネルの接合構造の他の態様において、
前記第1フランジが、下方にある前記構造躯体の方向に延びている状態で前記外壁パネルの背面に取り付けられていることを特徴とする。
本態様によれば、山形鋼の第1フランジが下方にある構造躯体の方向に延びている状態で外壁パネルの背面に取り付けられていることにより、ファスナーの一部である山形鋼が構造躯体の上方に大きく張り出す(突出する)ことが解消されることから、例えば構造躯体の上に施工される床スラブの天端から上方へ第1フランジの一部が張り出すことを抑制できる。このことにより、外壁パネルの室内側に設けられて壁下地材の下端が嵌め込まれるランナー等と、第1フランジとの干渉が抑制され、ランナー等を外壁パネルと床スラブの取り合い箇所に設置することができるため、室内空間の有効利用に繋がる。
ここで、端部に溝を備えている床スラブが、構造躯体の上面に載置され、溝にファスナーが収容され、溝に充填材が充填されて溝が閉塞されている床スラブを備えた形態であってもよい。
この形態では、端部に溝を備えている床スラブが構造躯体の上面に載置され、溝にファスナーが収容されて充填材が充填され、溝が閉塞されていることにより、ファスナーが床スラブの天端から上方へ張り出すことがなく、外壁パネルの室内側に設けられて壁下地材の下端が嵌め込まれるランナー等を、外壁パネルと床スラブの取り合い箇所に設置することができる。ここで、床スラブには、デッキプレートと現場打ちコンクリートが一体とされたデッキスラブや、プレキャストRC床版等、様々な形態が含まれる。現場打ちコンクリートを含む床スラブでは、構造躯体の上にコンクリート止め用の山形鋼等を取り付けておくことで、ファスナーを収容する溝が形成される。
また、本発明による外壁パネル接合用のファスナーの一態様は、
構造躯体に対して外壁パネルを接合する際に適用される、外壁パネル接合用のファスナーであって、
前記外壁パネルの背面に取り付けられる第1フランジと、第1遊嵌孔とタップ孔とを備えている第2フランジとにより形成される、山形鋼と、
前記構造躯体の上面に溶接接合され、第2遊嵌孔を備えている、鋼製の角筒材と、
前記角筒材の内面に一端が予め溶接接合され、前記第2遊嵌孔と前記第1遊嵌孔を下方から順に貫通し、前記第2フランジに対して直接的もしくは間接的に締め付けナットにて締め付けられる、連結ボルトと、
前記タップ孔に対して上方から螺合し、下端が前記角筒材の上面に係止自在であって、前記外壁パネルの高さを調整する、調整ボルトと、を有することを特徴とする。
本態様によれば、外壁パネルの接合構造を形成するファスナーが、外壁パネルの背面に取り付けられる山形鋼と、構造躯体の上面に溶接接合される鋼製の角筒材と、角筒材の内面に一端が予め溶接接合され、角筒材と山形鋼の第2フランジの備える双方の遊嵌孔を貫通して第2フランジに対して直接的もしくは間接的に締め付けナットにて締め付けられている連結ボルトと、第2フランジの備えるタップ孔に螺合して角筒材の上面に反力を取りながら外壁パネルの高さ調整を行う調整ボルトを有することにより、外壁パネルの仮固定の際に、ファスナーを構造躯体に対して溶接固定することを解消もしくは低減することができる。
以上の説明から理解できるように、本発明の外壁パネルの接合構造と外壁パネル接合用のファスナーによれば、施工時における外壁パネルの仮固定の際に、ファスナーを構造躯体に対して溶接固定することを解消もしくは低減でき、高い安全性と効率的な施工を実現できる外壁パネルの接合構造と、この接合構造を形成する外壁パネル接合用のファスナーを提供することができる。
実施形態に係る外壁パネルの接合構造と外壁パネル接合用のファスナーの一例を、ファスナーの斜め上方から見た斜視図である。 実施形態に係る外壁パネルの接合構造と外壁パネル接合用のファスナーの一例を、図1と反対側のファスナーの斜め上方から見た斜視図である。 実施形態に係る外壁パネル接合用のファスナーの一例を、斜め下方から見た斜視図である。 実施形態に係る外壁パネルの接合構造と外壁パネル接合用のファスナーの一例を、構造躯体の長手方向から見た正面図である。 構造躯体の上に溝を備えた床スラブが施工され、溝の内部にファスナーが収容されている状態を示す斜視図である。 図5に示す溝が閉塞された状態を示す斜視図である。
以下、実施形態に係る外壁パネルの接合構造と外壁パネル接合用のファスナーの一例について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
[実施形態に係る外壁パネルの接合構造と外壁パネル接合用のファスナー]
図1乃至図6を参照して、実施形態に係る外壁パネルの接合構造と外壁パネル接合用のファスナーの一例について説明する。ここで、図1と図2は、実施形態に係る外壁パネルの接合構造と外壁パネル接合用のファスナーの一例を、ファスナーの斜め上方から見た斜視図であり、図3は、実施形態に係る外壁パネル接合用のファスナーの一例を、斜め下方から見た斜視図であり、図4は、実施形態に係る外壁パネルの接合構造と外壁パネル接合用のファスナーの一例を、構造躯体の長手方向から見た正面図である。さらに、図5は、造躯体の上に溝を備えた床スラブが施工され、溝の内部にファスナーが収容されている状態を示す斜視図であり、図6は、図5に示す溝が閉塞された状態を示す斜視図である。
図2に明りょうに示すように、構造躯体10はH形鋼により形成される鉄骨梁であり、上フランジ11とウェブ12と下フランジ13とを備え、上フランジ11の上面11aにファスナー90が取り付けられるようになっている。
また、外壁パネル20は、例えば軽量コンクリートにより形成され、厚みが100mm程度のRC(Reinforced Concrete)カーテンウォールパネルであり、厚みが150mm乃至170mm程度の通常のRCパネルに比べて軽量である。そのため、構造躯体10への接合のために使用されるファスナー90の数を低減できるパネルであるが、一般のRCパネルや金属パネル等が適用されてもよい。
ファスナー90は、外壁パネル20の背面21に取り付けられる山形鋼30と、構造躯体10の上面に取り付けられる鋼製の角筒材60と、連結ボルト70と、外壁パネル20の高さを調整する調整ボルト80とを有する。
山形鋼30は、図3に示すように、外壁パネル20の背面21に取り付けられる第1フランジ31と、第1遊嵌孔35とタップ孔36とを備えている第2フランジ32とにより形成される。
第1遊嵌孔35の孔径t2は、第1遊嵌孔35に挿通される連結ボルト70の外径t1よりも大きなルーズ孔である。
第1フランジ31にはボルト孔33(図1参照)が開設され、ボルト孔33と、外壁パネル20に設けられている不図示のボルト孔に対して固定ボルト34が螺合されることにより、外壁パネル20の背面21に対して山形鋼30がボルト接合される。図示例は、2本の固定ボルト34により山形鋼30の固定が図られている。
また、第1フランジ31は、下方にある構造躯体10の方向に延びている状態で外壁パネル20の背面21に取り付けられている。このことにより、以下で詳説するように、第1フランジ31が床スラブの上方に張り出すことが解消される。
角筒材60は、第1鋼板51と溝形鋼40が予め工場等にて溶接接合された接合体である。溝形鋼40は、ウェブ41と2つの第3フランジ42,43とを備え、ウェブ41には、図3に示すように、第2遊嵌孔45が開設されている。
第2遊嵌孔45の孔径t3は、連結ボルト70の外径t1よりも1,2mm程度大径であるが、山形鋼30の第1遊嵌孔35のようなルーズ孔ではなく、僅かに大きな孔であることにより、角筒材60の製作性を良好にしている。
具体的には、工場において、第1鋼板51の広幅面である上面51aに対して、連結ボルト70のボルト頭部72を溶接接合する。次いで、連結ボルト70を溝形鋼40のウェブ41の第2遊嵌孔45に貫通させながら第1鋼板51に対して溝形鋼40を組み付け、溝形鋼40の2つの第3フランジ42,43を第1鋼板51の上面51aに溶接接合することにより、角筒材60が形成されるとともに、角筒材60と連結ボルト70とのユニットが製作される。
現場では、構造躯体10の上フランジ11の上面11aの所定位置に対して、角筒材60を構成する第1鋼板51が位置合わせされ、溶接接合により本固定される。
角筒材60が上フランジ11の上面11aの所定位置に溶接接合された後、図1に示すように、連結ボルト70の外径t1と同径もしくは略同径の第2貫通孔56を備えた第3鋼板55の当該第2貫通孔56に連結ボルト70を挿通させる。ここで、「略同径」とは、僅かに大径であることを意味しているが、同径と実質的に変わりは無い。
その後、外壁パネル20に取り付けられている山形鋼30の第2フランジに設けられている第1遊嵌孔35に対して、連結ボルト70を挿通させ、連結ボルト70の外径t1と同径もしくは略同径の第1貫通孔54を備えた第2鋼板53の当該第1貫通孔54に連結ボルト70を挿通させる。
その後、座金76に連結ボルト70を挿通させ、締め付けナット75を連結ボルト70に仮に締め付けることにより、外壁パネル20の仮固定時における自重による鉛直荷重を、山形鋼30と連結ボルト70と角筒材60を介して構造躯体10に伝達させ、鉛直荷重を支持させる。
また、外壁パネル20の仮固定時における、外壁の幅方向(構造躯体10の長手方向)である面内方向や、面内方向に直交もしくは交差する方向である面外方向への水平荷重も、山形鋼30と連結ボルト70と角筒材60を介して構造躯体10に伝達させ、面内もしくは面外の水平荷重を支持させる。
また、山形鋼30の第2フランジ32に設けられているタップ孔36に螺合している調整ボルト80を締め付けることにより、調整ボルト80の下端81を溝形鋼40のウェブ41の上面41aに係止させ、溝形鋼40を介して構造躯体10に反力を取りながら、調整ボルト80によって外壁パネル20の高さ調整を行う。
さらに、ルーズ孔である第1遊嵌孔35の範囲内で外壁パネル20を水平方向に移動させながら、外壁パネル20の水平位置の調整を行う。ここで、外壁パネル20の移動や位置調整、構造躯体10への取り付けといった各種作業は、足場上にいる作業員による人力や、クレーン等の重機により行われるが、ファスナー90を適用することにより、無足場での屋内側からの人力作業でも行うことができ、例えば狭隘な都市部において、外部足場を組み立てるスペースや重機を設置するスペースの無い施工現場等には好適となる。
構造躯体10に対する外壁パネル20の高さ調整と水平調整が行われた後、山形鋼30の第2フランジ32の上面32aに対して第2鋼板53を溶接接合し、溝形鋼40のウェブ41の上面41aに対して第3鋼板55を溶接接合し、締め付けナット75を本固定の締め付け力にて締め付けることにより、ファスナー90を介した構造躯体10に対する外壁パネル20の接合が行われ、図1、図2、及び図4に示す接合構造100が形成される。
ここで、第2鋼板53や第3鋼板55の溶接も、本固定の際の溶接となる。
この接合構造100により、構造躯体10に対して外壁パネル20が相対回転自在なロッキング方式等によって接合されている、カーテンウォールが施工される。
ここで、締め付けナット75は、直接的には座金76を締め付けているが、本明細書では、第2鋼板53を直接締め付けているとしてよく、第2鋼板53が直接締め付けられることにより、山形鋼30の第2フランジ32の上面32aは締め付けナット75によって間接的に締め付けられることになる。
以上で説明するように、山形鋼30の第2フランジ32にある第1遊嵌孔35が連結ボルト70よりも大径であるルーズ孔であることにより、外壁パネル20の水平方向の位置調整を図ることが可能になる。また、溝形鋼40のウェブ41に設けられている第2遊嵌孔45が連結ボルト70よりも大径であることにより、角筒材60の製作性が良好になる。
その上で、締め付けナット75と第2フランジ32との間に連結ボルト70の外径と同径もしくは略同径の第1貫通孔54を備えた第2鋼板53が介在し、第2鋼板53が第2フランジ32の上面32aに溶接接合されるとともに、溝形鋼40のウェブ41の上面41aに連結ボルト70の外径と同径もしくは略同径の第2貫通孔56を備えた第3鋼板55が配設され、第3鋼板55がウェブ41の上面41aに溶接接合されることにより、構造躯体10に対して本固定された外壁パネル20から作用する面内もしくは面外の水平力を、ファスナー90を介して構造躯体10に伝達することが可能になる。すなわち、外壁パネル20の仮固定の際の水平方向の位置調整と、外壁パネル20の本固定後の水平力の構造躯体10への伝達の双方を実現することができる。
上記する接合構造100の形成過程において、構造躯体10に対して外壁パネル20を仮固定する際に、ファスナー90を構造躯体10に現場にて溶接する作業は生じない。すなわち、現場での溶接作業は、構造躯体10の上フランジ11の上面11aの所定位置に角筒材60を本固定する溶接と、第2鋼板53と第3鋼板55をそれぞれ、第2フランジ32とウェブ41に本固定する溶接のみである。
ここで、構造躯体10に対する角筒材60の溶接接合も工場にて行うことにより、現場における溶接作業がさらに低減されるため、このような製作方法であってもよいが、構造躯体10とファスナー90の溶接接合は、現場における建物架構(構造躯体10を備えた架構)の組み付け誤差等を勘案して行われることが望ましいことから、構造躯体10に対する角筒材60の溶接接合は現場にて行われるのがよい。
外壁パネル接合用のファスナー90と、このファスナー90を備えた外壁パネルの接合構造100によれば、施工時における外壁パネル20の仮固定の際に、ファスナー90を構造躯体10に対して溶接固定することを解消もしくは低減でき、高い安全性と効率的な施工を実現できる。
図5に示すように、例えば下階の外壁パネル20の背面21の上端近傍の2箇所を、ファスナー90を介して構造躯体10に接合する。下階の外壁パネル20の上には上階の外壁パネル20が配設され、上階の外壁パネル20も不図示の構造躯体に対して不図示のファスナーを介して同様に接合される。そして、上階と下階の各外壁パネル20同士は、不図示の連結部材等により相互に連結され、カーテンウォールが形成される。
図5において、構造躯体10の上には、ファスナー90を収容する溝96を備えた床スラブ95の一端が支持されている。
床スラブ95は、例えばデッキプレートと現場打ちコンクリートが一体とされたデッキスラブである。この床スラブ95を形成するコンクリートの現場打設に際し、構造躯体10の上に不図示のコンクリート止め用の山形鋼等を取り付けておくことにより、ファスナー90を収容する溝96が形成される。
山形鋼30の第1フランジ31が下方の構造躯体10側に延びた状態で外壁パネル20の背面に取り付けられていることから、図5からも明らかなように、床スラブ95の床面よりも上方に第1フランジ31が張り出すことはない。
図6に示すように、床スラブ95の溝96に対してモルタル等の充填材97が充填されることにより、溝96が閉塞される。
図6からも明らかなように、床スラブ95の上方に山形鋼30の第1フランジ31が張り出していないことから、外壁パネル20の背面21と床スラブ95の取り合い箇所(隅角部)に不図示のランナーを設置し、外壁パネル20の室内側に設けられる不図示の壁下地材の下端をランナーに嵌め込むことができる。すなわち、ランナーの設置位置を外壁パネル20の背面21に当接する位置に設定できるため、室内空間を有効に利用することが可能になる。
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
10:構造躯体(鉄骨梁、H形鋼)
11:上フランジ
11a:上面
12:ウェブ
13:下フランジ
20:外壁パネル
21:背面
30:山形鋼
31:第1フランジ
32:第2フランジ
32a:上面
33:ボルト孔
34:固定ボルト
35:第1遊嵌孔
36:タップ孔
40:溝形鋼
41:ウェブ
41a:上面
42,43:第3フランジ
45:第2遊嵌孔
51:第1鋼板
51a:上面(広幅面)
53:第2鋼板
54:第1貫通孔
55:第3鋼板
56:第2貫通孔
60:角筒材
70:連結ボルト
72:ボルト頭部
75:締め付けナット
76:座金
80:調整ボルト
81:下端
90:ファスナー(外壁パネル接合用のファスナー)
95:床スラブ
96:溝
97:充填材
100:接合構造(外壁パネルの接合構造)

Claims (5)

  1. 構造躯体に対してファスナーを介して外壁パネルが接合される、外壁パネルの接合構造であって、
    前記ファスナーは、
    前記外壁パネルの背面に取り付けられる第1フランジと、第1遊嵌孔とタップ孔とを備えている第2フランジとにより形成される、山形鋼と、
    前記構造躯体の上面に溶接接合され、第2遊嵌孔を備えている、鋼製の角筒材と、
    前記角筒材の内面に一端が予め溶接接合され、前記第2遊嵌孔と前記第1遊嵌孔を下方から順に貫通し、前記第2フランジに対して直接的もしくは間接的に締め付けナットにて締め付けられている、連結ボルトと、
    前記タップ孔に対して上方から螺合し、下端が前記角筒材の上面に係止自在であって、前記外壁パネルの高さを調整する、調整ボルトと、を有することを特徴とする、外壁パネルの接合構造。
  2. 前記角筒材が、第1鋼板と溝形鋼が予め溶接接合された接合体であり、該溝形鋼はウェブと2つの第3フランジを備え、該ウェブに前記第2遊嵌孔が開設されており、
    前記第1鋼板の下面が前記構造躯体の上面に当接して溶接接合され、
    前記連結ボルトが前記第2遊嵌孔を貫通して、その一端にあるボルト頭部が前記第1鋼板の上面に対して予め溶接接合されていることを特徴とする、請求項1に記載の外壁パネルの接合構造。
  3. 前記第1遊嵌孔と前記第2遊嵌孔の双方の孔径はいずれも、前記連結ボルトの外径よりも大径であり、
    前記締め付けナットと前記第2フランジとの間に、前記連結ボルトの外径と同径もしくは略同径の第1貫通孔を備えた第2鋼板が介在し、該第2鋼板が前記第2フランジの上面に溶接接合され、前記第2遊嵌孔と該第1貫通孔を下方から順に貫通した前記連結ボルトを締め付ける該締め付けナットが、該第2鋼板を直接的に締め付けており、
    前記溝形鋼の前記ウェブの上面に、前記連結ボルトの外径と同径もしくは略同径の第2貫通孔を備えた第3鋼板が配設され、前記第2遊嵌孔に該第2貫通孔が位置合わせされた状態で該第3鋼板が該ウェブの上面に溶接接合されていることを特徴とする、請求項2に記載の外壁パネルの接合構造。
  4. 前記第1フランジが、下方にある前記構造躯体の方向に延びている状態で前記外壁パネルの背面に取り付けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の外壁パネルの接合構造。
  5. 構造躯体に対して外壁パネルを接合する際に適用される、外壁パネル接合用のファスナーであって、
    前記外壁パネルの背面に取り付けられる第1フランジと、第1遊嵌孔とタップ孔とを備えている第2フランジとにより形成される、山形鋼と、
    前記構造躯体の上面に溶接接合され、第2遊嵌孔を備えている、鋼製の角筒材と、
    前記角筒材の内面に一端が予め溶接接合され、前記第2遊嵌孔と前記第1遊嵌孔を下方から順に貫通し、前記第2フランジに対して直接的もしくは間接的に締め付けナットにて締め付けられる、連結ボルトと、
    前記タップ孔に対して上方から螺合し、下端が前記角筒材の上面に係止自在であって、前記外壁パネルの高さを調整する、調整ボルトと、を有することを特徴とする、外壁パネル接合用のファスナー。
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