JP2024041760A - 熱収縮接続部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】高耐熱性の絶縁電線の熱収縮接続部品用途として耐熱性及び熱収縮性能に優れる熱収縮チューブを提供する。【解決手段】本開示に係る熱収縮チューブは、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体を主成分とし、融点が210℃以上250℃以下であり、250℃以上280℃以下における貯蔵弾性率が0.8MPa以上2.8MPa以下である。【選択図】図2

Description

本開示は、熱収縮接続部品に関する。
本出願は、2021年2月24日出願の日本出願第2021-27985号に基づく優先権を主張し、上記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
航空機用、電子部品用、鉄道車両用、自動車用や自動二輪用のワイヤハーネスとして、複数の絶縁電線を接続帯や粘着テープ等でまとめた電線束が用いられる。各絶縁電線は、一般に、1又は複数の銅合金等の導体からなる素線の束に絶縁体を被覆して構成される。この電線束の末端や中間部にある接続部分(ジョイント部)は、素線が露出するため電気絶縁、機械的保護や防水が必要である。電気絶縁、機械的保護、防水には熱収縮チューブが用いられる。特に防水には、径方向に熱収縮性を有する熱収縮チューブを備える熱収縮接続部品が用いられる。この熱収縮接続部品が備える熱収縮チューブは、絶縁電線同士の接続部分に被覆して加熱すると、形状記憶効果により、接続部分の形状に沿って収縮して密着することで電線、パイプ等の接続部分を保護できる。
このような熱収縮チューブの材質としては、耐熱性、機械的強度等に優れ、摩擦係数も小さくできるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好適に使用される。ただし、PTFEは貯蔵弾性率が高く成形加工が容易ではないので、PTFEチューブを放射線照射により架橋させ、成形加工を容易にする技術が提案されている(特許文献1参照)。さらに、熱収縮チューブの材質として、融点が低く成形加工性に優れるポリフッ化ビニリデン(PVDF)も広く採用されている。
国際公開第2010/038800号
本開示の一態様に係る熱収縮チューブは、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体を主成分とし、250℃以上280℃以下における貯蔵弾性率が0.8MPa以上2.8MPa以下であり、融点が210℃以上250℃以下である。
本開示の他の態様に係る熱収縮チューブの製造方法は、熱収縮チューブを製造する方法であって、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体を主成分とする樹脂組成物をチューブ状に押出成形する工程と、上記押出成形工程により形成されるチューブを照射により架橋する工程と、上記架橋工程後のチューブを温度250℃以上280℃以下の温度下で加熱する工程と、上記チューブの内側の圧力を外側よりも50kPa以上高くしてチューブを膨張する工程とを備えており、上記熱収縮チューブの250℃以上280℃以下における貯蔵弾性率が0.8MPa以上2.8MPa以下であり、融点が210℃以上250℃以下である。
図1は、本開示の一実施形態に係る熱収縮チューブを示す模式的斜視図である。 図2は、本開示の一実施形態に係る熱収縮接続部品を示す模式的斜視図である。 図3は、本開示の他の実施形態に係る熱収縮接続部品を示す模式的斜視図である。 図4は、本開示の他の実施形態に係る熱収縮接続部品を示す模式的斜視図である。 図5は、本開示の他の実施形態に係る熱収縮接続部品を示す模式的斜視図である。 図6は、本開示の他の実施形態に係る熱収縮接続部品を示す模式的斜視図である。 図7は、本開示の一実施形態に係る熱収縮接続部品に2本の絶縁電線から露出する導体を挿入する前の状態を説明する模式図である。 図8は、本開示の一実施形態に係る熱収縮接続部品により2本の絶縁電線の接続部分が被覆された状態を説明する模式図である。 図9は、本開示の一実施形態に係る熱収縮接続部品が熱収縮を開始した状態を説明する模式図である。 図10は、本開示の一実施形態に係る熱収縮接続部品の封止剤が溶融した状態を説明する模式図である。 図11は、本開示の一実施形態に係る熱収縮接続部品の半田材が溶融した状態を説明する模式図である。
[本開示が解決しようとする課題]
PTFEの融点は327℃であり、非常に高いことから、熱収縮チューブの収縮時にエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体やシリコン等を含有する高耐熱絶縁電線の絶縁層がダメージを受けやすくなるおそれがある。一方、絶縁電線の熱収縮接続部品としては、絶縁電線の接続部分の保護だけではなく、接続部分への外部からの水の浸入を防ぐ高い防水性が必要となる。また、融点以上の温度では熱収縮チューブが収縮することから、融点が160℃であるPVDFを採用した場合、より高温における耐熱性が要求される用途では信頼性が不足するおそれがある。このように、高耐熱グレード絶縁電線向けの熱収縮接続部品に用いられる熱収縮チューブにおいては、高い耐熱性及び止水性能を有しつつ、被覆対象となる絶縁電線に対して熱によるダメージを与えることなく熱収縮できることが求められる。
本開示は、このような事情に基づいてなされたものであり、高耐熱性の絶縁電線の熱収縮接続部品用途として耐熱性及び熱収縮性能に優れる熱収縮チューブを提供することを目的とする。
[本開示の効果]
本開示によれば、高耐熱性の絶縁電線の熱収縮接続部品用途として耐熱性及び熱収縮性能に優れる熱収縮チューブを提供できる。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の一態様に係る熱収縮チューブは、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)を主成分とし、250℃以上280℃以下における貯蔵弾性率が0.8MPa以上2.8MPa以下であり、融点が210℃以上250℃以下である。
当該熱収縮チューブは、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体を主成分とすることで、融点及び融点以上における貯蔵弾性率を制御しやすい。当該熱収縮チューブは、融点が210℃以上250℃以下であることで、耐熱性を確保するとともに、被覆対象物の熱によるダメージを抑制できる。さらに、250℃以上280℃以下における貯蔵弾性率が0.8MPa以上2.8MPa以下であるので、融点以上に加熱した際の変形性に優れ、製造過程における膨張(拡径)を容易に行うことができる。また、チューブの収縮時における偏肉率(肉厚分布)及び長さ変化率を良好な範囲に制御でき、元の形状に収縮できる収縮性能に優れ、長さ方向の収縮を均一化することにより、収縮時の端面傾斜を抑制できる。従って、当該熱収縮チューブは、絶縁層がエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体やシリコン等を含有する高耐熱性の絶縁電線の熱収縮接続部品用途として耐熱性及び熱収縮性能に優れる。また、本発明の熱収縮チューブは、偏肉率及び長さ変化率を良好な範囲に制御できる単層のチューブであることから、従来の内側に流動性の接着剤層を備える2層タイプのように製造効率やコストの課題を生じることなく、被覆対象物との間の隙間の発生を抑制し、良好な収縮性を備えることができる。
当該熱収縮チューブにおける「主成分」とは、最も含有量の多い成分を意味し、当該熱収縮チューブの総質量に対して95質量%以上含まれ、かつ、樹脂成分の総質量に対して98質量%以上含まれる成分をいう。「貯蔵弾性率」とは、JIS-K7244-4(1999)に記載の動的機械特性の試験方法に準拠して測定される値であり、粘弾性測定装置を用いて、引張モード、歪0.08%の条件で上記温度と周波数で測定した値である。上記粘弾性測定装置としては、例えばアイティー計測制御社製「DVA-220」を用いることができる。
当該熱収縮チューブにおいては、上記エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体におけるフッ素の含有量が58質量%以上62質量%以下であることが好ましい。上記エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体におけるフッ素の含有量を上記範囲とすることで、当該熱収縮チューブの融点と融点以上における貯蔵弾性率を適正な範囲に制御することができる。
上記エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体中のエチレン単位数mに対するテトラフルオロエチレン単位数nの比率n/mが、1.02以上1.20以下であることが好ましい。上記エチレン単位数mに対するテトラフルオロエチレン単位数nの比率n/mが上記範囲であることで、当該熱収縮チューブの融点と融点以上における貯蔵弾性率を適正な範囲に制御することができる。
当該熱収縮チューブにおいては、25℃における貯蔵弾性率が、500MPa以上900MPa以下であることが好ましい。25℃における貯蔵弾性率が上記範囲であることで、当該熱収縮チューブが用いられる熱収縮接続部品の強度及び可撓性を良好な範囲に維持できる。
表面の算術平均粗さRaが0.1μm以上2.0μm以下であることが好ましい。上記算術平均粗さRaが上記範囲であることで、当該熱収縮チューブの内部の視認性を確保できるとともに、当該熱収縮チューブの製造工程時の赤外線(IR)加熱における赤外線の吸収性を向上できる。上記算術平均粗さRaは、JIS-B0601(2013)に準拠して測定した値である。
当該熱収縮チューブにおいては、波長1μmの赤外線の透過率が90.0%以上99.0%以下であることが好ましい。上記赤外線の透過率の範囲を上記範囲とすることで、当該熱収縮チューブの製造過程における加熱効率を良好にできる。また、当該熱収縮チューブを用いた熱収縮接続部品の収縮挙動を良好にできる。赤外線の透過率の測定方法としては、島津製作所社製の分光光度計UV-3600を用いて波長1μmの赤外線の透過率を測定することができる。
本開示の他の態様に係る熱収縮接続部品は、素線が絶縁層により被覆された絶縁電線を接続するための熱収縮接続部品であって、当該熱収縮チューブと、上記熱収縮チューブにおける両端側の内周面に配設される1対の封止部とを備える。当該熱収縮接続部品は当該熱収縮チューブを備えているので、熱収縮接続部品として良好な収縮性能、封止性及び耐熱性を備える。
上記封止部を構成する封止材の250℃、剪断速度100/sにおける剪断粘度が、1000Pa・s以上2000Pa・s以下であることが好ましい。上記250℃、剪断速度100/sにおける剪断粘度が、1000Pa・s以上2000Pa・s以下であることで、熱収縮チューブのチューブの収縮時に隙間が生じにくく、当該熱収縮接続部品の封止性を向上できる。上記剪断粘度の測定方法としては、回転式レオメーター(アントンパール社製の「MCR302」)を用い、所定の温度、剪断速度における剪断粘度の評価を行うことができる。
上記封止部を構成する封止材の215℃、剪断速度0.01/sにおける剪断粘度が、7000Pa・s以上70000Pa・s以下であることが好ましい。上記封止部を構成する封止材の215℃、剪断速度0.01/sにおける剪断粘度が、7000Pa・s以上70000Pa・s以下であることで、適度な流動性を有するので、封止性を向上できる。
当該熱収縮接続部品は、上記熱収縮チューブにおける上記1対の封止部の間の内周面に配設される半田部をさらに備えることが好ましい。当該熱収縮接続部品が上記熱収縮チューブにおける上記1対の封止部の間の内周面に配設される半田部をさらに備えることで、絶縁電線同士の接続性をより向上できる。
当該熱収縮接続部品においては、上記半田部を構成する半田材の融点が210℃以上240℃以下であり、上記封止材の軟化点が80℃以上170℃以下であることが好ましい。上記半田材の融点及び上記封止材の軟化点が上記範囲であることで、当該熱収縮チューブと、上記半田材及び上記封止材とを組み合わせて、当該熱収縮接続部品における耐熱性、封止性及び絶縁電線の接続性を良好にできる。ここで、「軟化点」とは、熱機械分析装置を用いて、圧力5kPaで加圧しながら昇温した際に、厚みが50%となる温度を意味する。
上記封止材の融点が110℃以上170℃以下であることが好ましい。上記封止材の融点が110℃以上170℃以下であることで、封止材がより良好な流動性を有し、隙間を充填する効果がさらに高くなるので封止性をより向上できる。
当該熱収縮接続部品においては、封止材における波長1μmの赤外線の透過率が1.0%以上30.0%以下であることが好ましい。上記封止材における波長1μmの赤外線の透過率が上記範囲であることで、当該熱収縮接続部品の赤外線加熱における赤外線の吸収性を向上できるとともに、当該熱収縮接続部品の良好な熱収縮挙動を得ることができる。
本開示の他の態様に係る熱収縮チューブの製造方法は、熱収縮チューブを製造する方法であって、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体を主成分とする樹脂組成物をチューブ状に押出成形する工程と、上記押出成形工程により形成されるチューブを照射により架橋する工程と、上記架橋工程後のチューブを温度250℃以上280℃以下の温度下で加熱する工程と、上記チューブの内側の圧力を外側よりも50kPa以上高くしてチューブを膨張する工程とを備えており、上記熱収縮チューブの250℃以上280℃以下における貯蔵弾性率が0.8MPa以上2.8MPa以下であり、融点が210℃以上250℃以下である。当該熱収縮チューブの製造方法によれば、高耐熱性の絶縁電線の熱収縮接続部品用途として耐熱性及び熱収縮性能に優れる熱収縮チューブを製造できる。
本開示の他の態様に係る熱収縮接続部品の製造方法は、当該熱収縮チューブにおける両端側の内周面に封止部を配設する工程と、上記熱収縮チューブを収縮させることにより封止部を固定する工程とを備えており、上記封止部を構成する封止材の軟化点が80℃以上170℃以下である。当該熱収縮接続部品の製造方法によれば、当該熱収縮接続部品の製造方法は、当該熱収縮チューブにおける両端側の内周面に1対の封止部を配設する工程と、収縮して固定する工程とを備え、上記封止部を構成する封止材の軟化点が80℃以上170℃以下であるので、良好な収縮性能、封止性及び耐熱性を備える熱収縮接続部品を容易に製造できる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態に係る熱収縮チューブについて、適宜図面を参照しつつ詳説する。
<熱収縮チューブ>
本開示の一実施形態に係る熱収縮チューブは、被覆対象物を保護するための被覆材として使用される。熱収縮チューブは、加熱されることで縮径するチューブである。より具体的には、被覆対象物が挿入された熱収縮チューブを被覆対象物上で加熱し、上記熱収縮チューブの収縮体で被覆対象物を被覆することで、被覆対象物が保護される。
図1の熱収縮チューブ1は、円筒形状の単層の基材層から構成されている。熱収縮チューブ1は、例えば被覆対象物同士の接続部分、配線の端末、金属管等の保護、絶縁、防水、防食等のための被覆に使用される。また、当該熱収縮チューブ1は、熱収縮チューブ形成用の樹脂組成物により形成され、当該熱収縮チューブ1は、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体を主成分とする。当該熱収縮チューブ1は、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体を主成分とすることで、融点及び融点以上における貯蔵弾性率を制御しやすい。
上記エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体におけるフッ素の含有量の下限としては、58質量%が好ましく、59質量%がより好ましい。一方、上記フッ素の含有量の上限としては、62質量%が好ましく、61質量%がより好ましい。上記フッ素の含有量が上記下限未満の場合、熱収縮チューブ1の融点が高くなり、融点以上における貯蔵弾性率が低下するおそれがある。上記フッ素の含有量が上記上限を超えると、熱収縮チューブ1の融点が低くなり、融点以上における貯蔵弾性率が高くなりすぎるおそれがある。上記フッ素の含有量が上記範囲であることで、上記熱収縮チューブの融点と融点以上における貯蔵弾性率を適正な範囲に制御することができる。上記フッ素の含有量は、ガスイオンクロマトグラフ分析により測定することができる。
上記エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体中のエチレン単位数mに対するテトラフルオロエチレン単位数nの比率n/mの下限としては、1.02が好ましく、1.03がより好ましく、1.04がさらに好ましい。一方、上記エチレン単位数mに対するテトラフルオロエチレン単位数nの比率n/mの上限としては、1.20が好ましく、1.15がより好ましく、1.12がさらに好ましい。上記エチレン単位数mに対するテトラフルオロエチレン単位数nの比率n/mが上記下限未満の場合、熱収縮チューブ1の融点が高くなり、融点以上における貯蔵弾性率が低下するおそれがある。上記エチレン単位数mに対するテトラフルオロエチレン単位数nの比率n/mが上記上限を超えると、熱収縮チューブ1の融点が低くなり、融点以上における貯蔵弾性率が高くなりすぎるおそれがある。上記エチレン単位数mに対するテトラフルオロエチレン単位数nの比率n/mが上記範囲であることで、上記熱収縮チューブの融点と融点以上における貯蔵弾性率を適正な範囲に制御することができる。
当該熱収縮チューブ1の250℃以上280℃以下における貯蔵弾性率の下限としては、0.8MPaであり、1.0MPaが好ましく、1.2MPaがより好ましい。また、上記貯蔵弾性率の上限としては、2.8MPaであり、2.0MPaが好ましく、1.6MPaがより好ましい。上記250℃以上280℃以下における貯蔵弾性率が上記下限未満の場合、熱収縮チューブ1の高温における強度や収縮性能(形状記憶効果)が不十分となるおそれがある。一方、上記貯蔵弾性率が上記上限を超える場合、チューブの膨張が困難になるため、当該熱収縮チューブ1の品質のばらつきの抑制が困難となるおそれがある。また、膨張時の偏肉率が悪く、収縮時の当該熱収縮チューブの長さ変化率の値やばらつきが大きくなるおそれがある。当該熱収縮チューブは、上記貯蔵弾性率を上記範囲とすることで、熱収縮チューブ1が融点以上に加熱した際の変形性に優れ、製造過程において容易かつ確実に拡径できる。これにより、品質のばらつきを低減することができる。
当該熱収縮チューブ1の25℃における貯蔵弾性率の下限としては、500MPaが好ましく、550MPaがより好ましく、600MPaがさらに好ましい。一方、上記25℃における貯蔵弾性率の上限としては、900MPaが好ましく、850MPaがより好ましく、800MPaがより好ましい。上記25℃における貯蔵弾性率が上記下限未満の場合、熱収縮チューブ1が用いられる熱収縮接続部品の強度が不足して破損しやすくなるおそれがある。一方、上記25℃における貯蔵弾性率が上記上限を超えると、熱収縮接続部品の可撓性が低下して組み立て時に熱収縮接続部品が折れやすくなるおそれがある。熱収縮接続部品においては、組み立て時、収縮時等のハンドリングから形状を維持するため、用いられる熱収縮チューブは半硬質が求められる。当該熱収縮チューブ1においては、25℃における貯蔵弾性率が上記範囲であることで、当該熱収縮チューブ1が用いられる熱収縮接続部品の強度及び可撓性を良好な範囲に維持できる。
当該熱収縮チューブ1の融点の下限としては、210℃であり、215℃がより好ましい。当該熱収縮チューブ1の融点が上記下限未満の場合、高温下における使用時に熱収縮チューブが軟化又は変形するおそれがある。一方、当該熱収縮チューブ1の融点の上限としては、250℃であり、240℃がより好ましい。当該熱収縮チューブ1の融点が上記上限を超えると、製造された熱収縮チューブ1を熱収縮させる際の収縮温度が高くなるため、被覆対象物に熱によるダメージを与えるおそれがある。当該熱収縮チューブは、融点が上記範囲であることで、耐熱性を確保するとともに、被覆対象物の熱によるダメージを抑制できる。
当該熱収縮チューブ1の表面の算術平均粗さRaの下限としては、0.1μmが好ましく、0.3μmがより好ましく、0.5μmがさらに好ましい。当該熱収縮チューブ1の表面の算術平均粗さRaが上記下限未満の場合、赤外線加熱装置で加熱した際の吸収が少なく加熱が不十分となるおそれがある。一方、上記算術平均粗さRaの上限としては、2.0μm以下が好ましく、1.5μmがより好ましく、1.0μmがさらに好ましい。当該熱収縮チューブ1の表面の算術平均粗さRaが上記上限を超える場合、可視光の散乱が大きくなり、当該熱収縮チューブ1の内部の視認性が低下するため、当該熱収縮チューブ1を備える熱収縮接続部材の収縮度合の確認が困難となるおそれがある。絶縁電線の熱収縮接続部品は、収縮状態、半田材の溶融、電線の接続状態等の確認を行うために、当該熱収縮チューブ1の内部の視認性が要求される。従って、熱収縮接続部品に用いられる熱収縮チューブとしては、透明性が求められる。当該熱収縮チューブ1においては、上記算術平均粗さRaが上記範囲であることで、当該熱収縮チューブ1の内部の視認性を確保できるとともに、当該熱収縮チューブ1の製造工程時の赤外線(IR)加熱における赤外線の吸収性を向上できる。
当該熱収縮チューブ1においては、波長1μmの赤外線の透過率の下限としては、90.0%が好ましく、92%がより好ましい。熱収縮チューブ1の赤外線の透過率が上記下限未満の場合、当該熱収縮チューブ1を用いた熱収縮接続部品の収縮時に、当該熱収縮チューブ1が優先的に加熱されて、熱収縮接続部品の内部の加熱が不十分になるおそれがある。一方、上記赤外線の透過率の上限としては、99.0%が好ましく、97%がより好ましい。上記赤外線の透過率が上記上限を超える場合、赤外線加熱により熱収縮チューブ1を加熱する場合に加熱効率が低下するおそれがある。当該熱収縮チューブ1においては、上記波長1μmの赤外線の透過率が上記範囲であることで、当該熱収縮チューブ1の製造過程における加熱効率を良好にできるとともに、当該熱収縮チューブ1を用いた熱収縮接続部品の収縮挙動を良好にできる。
熱収縮チューブ1の平均内径及び平均厚さは、用途等に合わせて適宜選択される。熱収縮チューブ1の熱収縮前の平均内径としては、例えば1mm以上60mm以下とできる。また、熱収縮チューブ1の熱収縮後の平均内径としては、例えば熱収縮前の平均内径の25%以上65%以下とできる。また、熱収縮チューブ1の平均厚さとしては、例えば0.1mm以上5mm以下とできる。
当該熱収縮チューブ1は、無機物を実質的に含まないことが好ましい。ここで、「無機物を実質的に含まない」とは、フィラーとしての無機物を含まないことを意味する。なお、当該熱収縮チューブ1は、不純物として少量の無機物が不可避的に含まれていてもよい。当該熱収縮チューブ1における無機不純物の含有量としては、例えば5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
当該熱収縮チューブ1は、必要に応じてその他の添加剤を含有していてもよい。そのような添加剤としては、例えば強度保持剤、酸化防止剤、難燃剤、銅害防止剤、架橋助剤、着色剤、熱安定剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。当該熱収縮チューブ1における添加剤の含有量は、5質量%未満とすることが好ましく、3質量%未満がより好ましい。添加剤の含有量が上記上限以上の場合、当該熱収縮チューブ1の性能にばらつきが生じ易くなるおそれがある。
当該熱収縮チューブによれば、高耐熱性の絶縁電線の熱収縮接続部品用途として耐熱性及び熱収縮性能に優れる熱収縮チューブを提供できる。当該熱収縮チューブは、例えば絶縁電線又はケーブル等のワイヤの保護、絶縁、防水、防食等に好適に使用できる。具体的には、当該熱収縮チューブは、ワイヤスプライス及びワイヤハーネスに適用することができる。当該熱収縮チューブは、半田材及び封止材と組み合わせて、熱収縮接続部品を形成して使用することができる。また、接着剤層及び圧着スリーブと組み合わせて、圧着端子の形成に使用することができる。
<熱収縮接続部材>
当該熱収縮接続部品は、素線が絶縁層により被覆された絶縁電線を接続するための熱収縮接続部品である。図2は、本開示の一実施形態に係る熱収縮接続部品を示す模式的斜視図である。図2に示すように、熱収縮接続部品40は、当該熱収縮チューブ1と、上記熱収縮チューブ1における両端側の内周面に配設される1対の封止部3とを備える。上記封止部3は、封止材から構成される。当該熱収縮接続部品40は当該熱収縮チューブ1を備えているので、熱収縮接続部品として良好な収縮性能、封止性及び耐熱性を備える。
当該熱収縮接続部品は、上記熱収縮チューブにおける上記1対の封止部の間の内周面に配設される半田部をさらに備えることが好ましい。当該熱収縮接続部品が上記熱収縮チューブにおける上記1対の封止部の間の内周面に配設される半田部をさらに備えることで、絶縁電線同士の接続性をより向上できる。図3に示す熱収縮接続部品50は、当該熱収縮チューブ1と、上記熱収縮チューブ1における両端側の内周面に配設される1対の封止部3と、上記熱収縮チューブ1における上記1対の封止部3の間の内周面に配設される半田部2とを備える。上記半田部2は半田材から構成される。
当該熱収縮接続部品は接地用絶縁電線を備えることができる。図4に示す熱収縮接続部品51は、当該熱収縮チューブ1と、上記熱収縮チューブ1における両端側の内周面に配設される1対の封止部3と、上記熱収縮チューブ1における上記1対の封止部3の間の内周面に配設される半田部2と、接地用絶縁電線25とを備える。接地用絶縁電線25は、素線23と、素線23を被覆する絶縁層24とを備える。熱収縮接続部品51が接地用絶縁電線25を備えることで、容易に接地(アース)を取ることができる。なお、接地用絶縁電線の絶縁性の被覆部は、樹脂や編組でもよい。
当該熱収縮接続部品においては、封止材の250℃、剪断速度100/sにおける剪断粘度の下限としては、1000Pa・sが好ましく、1100Pa・sがより好ましく、1200Pa・sがさらに好ましい。上記封止材の250℃、剪断速度100/sにおける剪断粘度が1000Pa・sよりも低い場合には、熱収縮チューブの収縮時に軟化して形状が変化しやすくなるので、隙間が生じやすく、封止性が低下するおそれがある。一方、封止材の250℃、剪断速度100/sにおける剪断粘度の上限としては、2000Pa・sが好ましく、1900Pa・sがより好ましく、1800Pa・sがさらに好ましい。上記封止材の250℃、剪断速度100/sにおける剪断粘度が2000Pa・sよりも高い場合は、熱収縮チューブの収縮時の流動性が低いため、隙間を充填する効果が低くなり封止性が低下するおそれがある。
当該熱収縮接続部品においては、封止材の250℃、剪断速度0.01/sにおける剪断粘度は、3000Pa・s以上40000Pa・s以下であることが好ましい。上記250℃、剪断速度0.01/sにおける剪断粘度が3000Pa・sよりも低い場合には、高温で長期間保持された際に封止材が流れやすくなり、封止性を維持するのが困難となるおそれがある。上記250℃、剪断速度0.01/sにおける剪断粘度が40000Pa・sよりも高い場合には、封止材の流動性が低いため、隙間を充填する効果が低くなり、封止性が低下するおそれがある。
当該熱収縮接続部品においては、封止材の215℃、剪断速度0.01/sにおける剪断粘度の下限としては、7000Pa・sが好ましく、10000Pa・sがより好ましく、13000Pa・sがさらに好ましい。上記封止材の215℃、剪断速度0.01/sにおける剪断粘度が7000Pa・sよりも低い場合には、高温で長期間保持された場合に流動しやすくなり、封止性を維持できなくなるおそれがある。一方、封止材の215℃、剪断速度0.01/sにおける剪断粘度の上限としては、70000Pa・sが好ましく、60000Pa・sがより好ましく、50000Pa・sがさらに好ましい。上記封止材の215℃、剪断速度0.01/sにおける剪断粘度が70000Pa・sよりも高い場合は、流動性が低くなり過ぎて、隙間を十分に充填できなくなり、封止性が低下するおそれがある。
当該熱収縮接続部品においては、封止材の215℃、剪断速度100/sにおける剪断粘度は、1500Pa・s以上2500Pa・s以下であることが好ましい。上記封止材の215℃、剪断速度100/sにおける剪断粘度が1500Pa・sよりも低い場合、熱収縮チューブの収縮時に軟化して形状が変化しやすくなり、隙間が生じやすくなるので、封止性が低下するおそれがある。上記封止材の215℃、剪断速度100/sにおける剪断粘度が2500Pa・sよりも高い場合、熱収縮チューブの収縮時に流動性が低くなるため、隙間を充填する効果が低くなって封止性が低下するおそれがある。
当該熱収縮接続部品50においては、上記半田部2を構成する半田材の融点が210℃以上240℃以下であることが好ましく、220℃以上230℃以下であることがより好ましい。また、上記封止部3を構成する封止材の軟化点が80℃以上170℃以下であることが好ましく、100℃以上150℃以下であることがより好ましく、110℃以上140℃以下であることがさらに好ましい。上記半田材の融点が210℃以上240℃以下であり、上記封止材の軟化点が80℃以上170℃以下であることで、熱収縮チューブ1と、上記半田材及び上記封止材とを組み合わせて、当該熱収縮接続部品50における耐熱性、封止性及び絶縁電線の接続性を良好にできる。
当該熱収縮接続部品50においては、上記封止材の融点が110℃以上170℃以下であることが好ましく、120℃以上160℃以下であることがより好ましい。封止材の融点が110℃以上170℃以下であることで、封止材がより良好な流動性を有し、隙間を充填する効果がさらに高くなるので封止性をより向上できる。融点が110℃よりも低い場合、チューブの収縮時に軟化し、形状が変化しやすくなるので、隙間が生じやすく、封止性が低下するおそれがある。融点が170℃よりも高い場合、収縮時の流動性が低いため、隙間を充填する効果が低くなり、封止性が低下するおそれがある。
上記封止材料としては、例えばポリオレフィン、フッ素樹脂、フッ素ゴムを用いることができる。高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-メチルメタクリレートの共重合体(EMMA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンフロライド共重合体(THV)、フッ化ビニリデン系ゴム(FKM)、フッ化エチレンプロピレン系ゴム(FEPM)、テトラフルオロエチレンパーフルオロビニルエーテル系ゴム(FFKM)等のうちのいずれかを1種又は2種以上混合して用いることができる。また、上記封止材料は、着色剤、酸化防止剤、赤外線吸収剤、潤滑剤を含むことができる。
上記封止材は、剪断粘度の調整のために架橋することができる。架橋は電子線やガンマ線等の電子線照射の他に、化学架橋を用いることができる。
また、上記封止材は、剪断粘度の調整のために無機フィラーを含有することができる。無機フィラーとしては、例えばシリカ、ハイドロタルサイト、クレー又はこれらの組み合わせを用いることができる。
上記封止材における無機フィラーの含有量としては、封止材の樹脂100質量部に対して0.2質量部超が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。無機フィラーの含有量が0.2質量部以下の場合、剪断粘度の十分な向上効果が得られないおそれがある。一方、上記封止材における無機フィラーの含有量としては、5.0質量部未満が好ましく、4.0質量部以下がより好ましく、3.5質量部以下がさらに好ましい。上記無機フィラーの含有量が5.0質量部を超える場合、剪断粘度が高くなり過ぎて封止性が低下するおそれがある。
上記半田材料としては、金属系材料を用いることができる。上記半田材料としては、例えばSn、Sb、Pb、Bi、Ag、Cu、Ni、In、Ge、P、Zn又はこれらの組み合わせを用いることができる。上記半田材料としては、これらの中でも半田材料の融点を良好な範囲に調整できる観点から、Sn-Ag、Sn-Cu、Sn-Sb、Sn-Pb、Pb-Inを含むものが好ましい。上記半田材料にはフラックスを含むことができる。
当該熱収縮接続部品50においては、封止材における波長1μmの赤外線の透過率が1.0%以上30.0%以下であることが好ましく、3%以上22%以下であることがより好ましく、5%以上16%以下であることがさらに好ましい。上記封止材における赤外線の透過率が上記上限を超えると、赤外線加熱時に封止部3の加熱が遅くなることで軟化が進みにくくなったために、熱収縮接続部品の封止性が低くなるおそれがある。一方、上記封止材における赤外線の透過率が上記下限未満の場合は、封止部3が優先的に軟化してしまい、半田材の封止性が低くなるおそれがある。上記封止材における波長1μmの赤外線の透過率が上記範囲であることで、当該熱収縮接続部品50の赤外線加熱における赤外線の吸収性を向上できるとともに、熱収縮接続部品の封止性を良好にできる。
当該熱収縮接続部品によれば、当該熱収縮チューブを備えているので、熱収縮接続部品として良好な収縮性能、封止性及び耐熱性を備える。
<熱収縮チューブの製造方法>
当該熱収縮チューブの製造方法は、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体を主成分とする樹脂組成物をチューブ状に押出成形する工程と、上記押出成形工程により形成されるチューブを照射により架橋する工程と、上記架橋工程後のチューブを温度250℃以上280℃以下の温度下で加熱する工程と、上記チューブの内側の圧力を外側よりも50kPa以上高くしてチューブを膨張する工程とを備えている。
(押出成形工程)
初めに、溶融混合機等を用いて当該熱収縮チューブの樹脂成分であるエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体と、必要に応じてその他の添加剤とを混合することにより熱収縮チューブを形成するための樹脂組成物を調製する。上記樹脂組成物においては、必要に応じてエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体の原料に着色剤や架橋助剤を添加する。エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体原料の選定や架橋の調整により、融点及び貯蔵弾性率を制御することができる。溶融混合機としては、特に限定されず、例えばオープンロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、単軸混合機、多軸混合機等を使用できる。
次に、本工程では、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体を主成分とする樹脂組成物をチューブ状に押出成形する。上記樹脂組成物を溶融押出成形機により押出成形する。具体的には、上記樹脂組成物を融点以上の温度に加熱して溶融させ、円筒状の空間を有する押出ダイスから溶出し、冷却水等で融点以下に冷却して固化させることで樹脂組成物をチューブ状に押出成形する。押出成形品の寸法は用途等に応じて設計することができる。押出成形品の寸法は、押出ダイスの寸法や、引き落とし率により調整できる。「引き落とし率」は、押出ダイスの断面積と押出成形後のチューブの断面積の比率である。押出時の表面荒れを抑制するためには、引き落とし率は6以上が好ましく、10以上がより好ましい。
(架橋工程)
架橋工程では、上記押出成形工程により形成されるチューブを照射により架橋する。本工程では、押出成形品のベース樹脂であるエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体を架橋することにより、膨張工程後に高温で加熱収縮させる際の収縮性(形状記憶効果)及び収縮後の高温における形状保持性を付与する。エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体を架橋する方法としては、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体に放射線を照射する方法が好ましい。放射線の照射によりエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体を架橋した後は成形が困難になるので、放射線の照射(架橋)は押出成形工程後に行われる。押出成形後に放射線の照射を行うことにより、成形を確実に実施し、かつ放射線の照射による効果を充分に得ることができる。
エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体の照射架橋に使用される放射線としては、電子線(β線)、γ線等が挙げられる。電子加速器はランニングコストが低く、大出力の電子線が得られ、また、制御も容易であるので、放射線としては電子線が好ましい。
放射線照射量としては、30kGy以上300kGy以下の範囲が好ましい。上記放射線照射量が30kGy未満の場合、架橋度が小さくなり、熱収縮接続部品の強度が不足して破損しやすくなる。また収縮性能(形状記憶性)が低下し、収縮後の高温における形状保持性が低下するおそれがある。一方、上記放射線照射量が300kGy超の場合、架橋度が大きくなり、収縮熱収縮接続部品の可撓性が低下して組立時に折れやすくなるおそれがある。また膨張が困難となり品質ばらつきが生じやすく、偏肉率の低下や長さ変化率のばらつきが生じるおそれがある。
(加熱工程)
加熱工程では、上記架橋工程後のチューブを温度250℃以上280℃以下の温度となるように加熱する。これにより膨張後チューブの偏肉率を低減し、膨張速度を増加することができる。よって、熱収縮チューブの製造コスト及び品質のばらつきをより確実に低減できる。チューブの加熱温度が上記下限未満の場合、膨張が不十分となるおそれや、膨張の線速が低下するおそれがある。逆に、チューブの加熱温度が上記上限を超える場合、チューブが熱によりダメージを受けるおそれがある。なおチューブ温度は膨張直前で250℃以上280℃以下に加熱されていればよく、加熱効率の向上や過加熱におけるダメージ抑制のために二段階以上の多段階の加熱とすることができる。
(膨張工程)
膨張工程では、加熱後のチューブを膨張する。なお、チューブの膨張は加熱と同時に行ってもよい。上記チューブの膨張の方法としては、従来の熱収縮チューブの作製に通常使用されている公知の膨張方法を用いることができる。例えば、押出成形品を融点以上の温度に加熱した状態で内部に圧縮空気を導入する方法や、外部から減圧する方法等により所定の内径となるように膨張させた後、冷却して形状を固定させる方法等が用いられる。膨張した押出成形品の形状を固定することで、当該熱収縮チューブが得られる。この固定方法としては、例えばベース樹脂成分の融点以下の温度に冷却する方法等が挙げられる。このようにして押出成形品を膨張させて形状固定したものが当該熱収縮チューブとなる。なお、チューブの膨張(拡径)は、例えばチューブの平均内径が1.4倍~4倍程度となるように行われる。
膨張工程では上記チューブの内側の圧力を外側よりも50kPa以上高くしてチューブを膨張する。チューブの内側の圧力が外側よりも50kPa未満の場合、膨張が不十分となるおそれや、膨張の線速が低下するおそれがある。熱収縮接続部品として使用される際の膨張倍率としては、2.5倍以上が好ましく、3倍以上がより好ましい。膨張時の拡径寸法は、膨張ダイスのサイズによって制御することができる。膨張ダイスは拡径時のチューブとの摩擦抵抗を低減することで膨張が安定化し、偏肉率の向上や長さ変化率のばらつきを低減することができる。摩擦抵抗低減のために、膨張ダイスに表面処理を施すことができる。表面処理には、摩擦係数の小さいPTFEやPFA等のフッ素樹脂等をコーティングすることや、サンドブラストや機械加工、放電加工により表面形状を変化させることができる。表面粗さの増加や、溝形状により接触面積を低減させることにより摩擦抵抗を低減できる。
当該熱収縮チューブの製造方法により製造される熱収縮チューブにおいては、250℃以上280℃以下における貯蔵弾性率の下限としては、0.8MPaであり、1.0MPaが好ましく、1.2MPaがより好ましい。一方、上記貯蔵弾性率の上限としては、2.8MPaであり、2.0MPaが好ましく、1.6MPaがより好ましい。
上記熱収縮チューブの融点の下限としては、210℃であり、215℃がより好ましい。一方、上記熱収縮チューブの融点の上限としては、250℃であり、240℃がより好ましい。上記貯蔵弾性率及び融点を上記範囲とすることで、膨張を安定化することができる。また、上記熱収縮チューブは、融点以上に加熱した際の変形性に優れ、容易かつ確実に拡径できる。
上記熱収縮チューブの偏肉率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。上記熱収縮チューブの長さ変化率の下限としては、-15%以上が好ましく、-10%以上がより好ましく、-5%以上がさらに好ましい。上記偏肉率は、以下の式で定義される。
偏肉率(%)=チューブ断面における最小肉厚/最大肉厚×100
上記熱収縮チューブの長さ変化率の上限としては、+15%以下が好ましく、+10%以下がより好ましく、+5%以下がさらに好ましい。上記長さ変化率は、以下の式で定義される。
長さ変化率(%)=(収縮後チューブ長さ-収縮前チューブ長さ)/収縮前チューブ長さ×100
熱収縮チューブの収縮時の端面傾斜角度としては、10°以下が好ましく、8°以下がより好ましく、5°以下がさらに好ましい。上記端面傾斜角度とは、熱収縮により熱収縮チューブの長手方向の端面に生じる変形の度合いを示す尺度となるものである。上記端面傾斜角度は、以下の手順で測定する。熱収縮チューブの熱収縮後に先端部から長手方向に沿って切断した縦断面視において、先端部から長手方向に対して最も突出した最上点を通る外径と平行な直線と、先端部から長手方向に対して向けて最もへこむ最下点を通る外径と平行な直線との距離をXmmとする。そして、熱収縮チューブの外径をDmmとした場合に下記式を満たす角度θをいう。
tanθ=X/D
上記熱収縮チューブの内径、上記偏肉率、上記長さ変化率及び上記収縮時の端面傾斜角度は、熱収縮チューブの貯蔵弾性率、加熱温度、加熱方式、チューブ内側と外側の圧力差等の膨張条件、膨張ダイスの表面処理の制御により行うことができる。
当該熱収縮チューブの製造方法によれば、高耐熱性の絶縁電線の熱収縮接続部品用途として耐熱性及び熱収縮性能に優れる熱収縮チューブを製造できる。また、当該熱収縮チューブの製造方法は、品質のばらつきを低減できる。
[熱収縮接続部品の製造方法]
当該熱収縮接続部品の製造方法は、熱収縮接続部品を製造する方法であって、封止部を作製する工程と、熱収縮チューブにおける両端側の内周面に1対の封止部を固定する工程とを備えている。また、当該熱収縮接続部品の製造方法は、上記熱収縮チューブにおける上記1対の封止部の間の内周面に半田部を固定する工程をさらに備えることが好ましい。当該熱収縮接続部品の製造方法は、封止材を用いて封止部を作製する工程と、熱収縮チューブにおける両端側の内周面に1対の封止部を固定する工程とを備えているので、良好な収縮性能、封止性及び耐熱性を備える熱収縮接続部品を製造できる。
(封止部を作製する工程)
本工程では、封止材を用いて封止部を作製する。封止部作製工程では、封止材を用いて封止部を作製する。初めに、溶融混合機等を用いて封止部を形成するための封止材を調製する。溶融混合機としては、特に限定されず、例えばオープンロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、単軸混合機、多軸混合機等を使用できる。
次に、上記封止材を溶融押出成形機により押出成形する。具体的には、封止材を主成分樹脂の融点以上の温度に加熱して溶融させ、円筒状の空間を有する押出ダイスから溶出する。そして、冷却水等で主成分樹脂の融点以下に冷却して固化させることで封止材をチューブ状に押出成形する。それを所定の長さに切断して、リング状の封止部を作製する。
(封止部を固定する工程)
本工程では、熱収縮チューブにおける両端側の内周面に1対の封止部を固定する。初めに、金属棒に当該熱収縮チューブ及び封止材から構成される一対の封止部を配設する。本工程で上記1対の封止部の間に半田材から構成される半田部も併せて配設してもよい。本工程では、金属棒に配設された当該熱収縮チューブ全体を加熱して上記熱収縮チューブを収縮させることにより、熱収縮チューブにおける両端側の内周面に1対の封止部を固定する。また、上記金属棒における1対の封止部の間に半田部も併せて配設している場合は、上記熱収縮チューブを収縮させることにより、上記熱収縮チューブにおける1対の封止部の間の内周面に半田部も併せて固定される。上記加熱方法としては、例えばヒートガンで加熱する方法、赤外線加熱装置で加熱する方法等が挙げられる。そして、封止部、半田部等が固定された熱収縮チューブを金属棒から取り出すことにより、熱収縮接続部品が形成される。
上記封止材の軟化点としては、80℃以上170℃以下が好ましい。上記封止材の軟化点が80℃以上170℃以下であることで、封止材が適度な流動性を有し、隙間を充填する効果が高くなるので封止性を向上できる。
当該熱収縮接続部品の製造方法におけるその他の構成については、上述の記載の通りである。
[当該熱収縮接続部品の使用態様]
当該熱収縮接続部品50の使用態様としては、例えば複数の絶縁電線の接続用の部品の他、絶縁電線向けの接地用のアース線取り付け用部品等に使用される。当該熱収縮接続部品50を用いて複数の絶縁電線を接続する態様の一例として、図7から図11を参照しながら、2本の絶縁電線から露出する導体の接続部分を接続する方法を説明する。なお、絶縁電線の本数や構成は図7から図11に限定されるものではない。当該熱収縮接続部品50を用いて複数の絶縁電線を接続する工程としては、主として熱収縮接続部品被覆工程と、熱収縮接続部品加熱工程と、熱収縮接続部品冷却工程とを備える。以下においては、当該熱収縮接続部品50を用いて2本の絶縁電線8及び絶縁電線18を接続して、図11に記載の電線束100を得る使用態様について説明する。
(熱収縮接続部品被覆工程)
当該熱収縮接続部品50を用いて2本の絶縁電線8及び絶縁電線18を接続する場合、始めに、図7に示すように、絶縁電線8の絶縁層7から露出する導体6及び絶縁電線18の絶縁層17から露出する導体16を当該熱収縮接続部品50の両端の開口から挿入する。そして、図8に示すように、導体6の露出部分と絶縁層7との境界、並びに導体16の露出部分と絶縁層17との境界を覆うように当該熱収縮接続部品50を被せる。2本の絶縁電線8及び絶縁電線18に当該熱収縮接続部品50を被せる際には、絶縁電線8の露出する導体6及び絶縁電線18の露出する導体16の境界周辺の導体接続部5が半田部2に覆われるように配置されることが好ましい。
(熱収縮接続部品加熱工程)
熱収縮接続部品加熱工程では、当該熱収縮接続部品50を加熱し、熱収縮させる。上記加熱方法としては、例えば当該熱収縮接続部品50をヒートガン、赤外線加熱装置等で加熱する方法が挙げられる。また、加熱温度は、当該熱収縮接続部品50の熱収縮温度により決まるが、例えば200℃以上600℃以下である。また、加熱時間としては、当該熱収縮接続部品50が十分に収縮する時間であればよく、例えば1秒以上30秒以下とできる。
図9~図11に示すように、熱収縮接続部品50の収縮挙動として、当該熱収縮チューブ1が先に収縮し、次に封止部3が変形し、最後に半田部2が溶融することが好ましい。当該熱収縮接続部品50を加熱した際、半田部2の半田材が流動し広がる。図11に接続後の電線束100における収縮後の熱収縮チューブ11、溶融後の半田部12及び溶融後の封止部13を示す。封止部3の封止材は、粘度が高いため半田部2に比べて広がらず、当該熱収縮チューブ1の開口を塞ぐ。このため、半田部2の半田材が当該熱収縮チューブ1の開口から流出することが防止される。また、半田部2の半田材は、絶縁電線8の導体6及び絶縁電線18の導体16の露出部分を覆うと共に、導体6の露出部分と絶縁層7との境界から絶縁層7の内側に侵入する一方で、導体16の露出部分と絶縁層17との境界から絶縁層17の内側に侵入する。
雰囲気加熱は外側から伝熱することから、半田部2の半田材の融点を210℃以上240℃以下、封止部3の封止材の軟化点を80℃以上170℃以下とすることにより、良好な組み立てが可能になる。封止部3の融点が高く、軟化が遅い場合、当該熱収縮チューブ1の端部を封止できないために、半田材が溶出する。封止部3の融点が低く、軟化が早いと封止材が溶出する。半田材の融点が高いと、熱収縮接続部品50による絶縁電線同士の接続が不十分となるおそれがある。半田材の融点が低いと封止部3で保持されずに半田材が溶出するおそれがある。チューブの収縮が遅い場合には、隙間が多い状態で封止部3、半田部2が溶融して保持することできない。上記半田材の融点及び上記封止材の軟化点が上記範囲であることで、当該熱収縮チューブ1と、上記半田材及び上記封止材とを組み合わせて、当該熱収縮接続部品50における耐熱性、封止性及び絶縁電線の接続性を良好にできる。
赤外線加熱装置を用いて熱収縮接続部品50が収縮される場合は、赤外線の吸収により封止部3が加熱される。上述したように、封止材における波長1μmの赤外線の透過率としては、1.0%以上30.0%以下であることが好ましく、3%以上22%以下であることがより好ましく、5%以上16%以下であることがさらに好ましい。上記封止材における赤外線の透過率が上記上限を超えると、封止部3が加熱されにくくなることで軟化が遅くなるおそれがある。一方、上記封止材における赤外線の透過率が上記下限未満の場合は、封止部3が優先的に軟化してしまい、熱収縮接続部品50から溶出するおそれがある。上記封止材における波長1μmの赤外線の透過率が上記範囲であることで、当該熱収縮接続部品50の赤外線加熱における赤外線の吸収性を向上できるとともに、熱収縮挙動の制御が容易となる。
なお半田材が十分に加熱され溶融したかを目視で確認するために、半田材には指定温度以上で色の消失する示温塗料を塗布することができる。また、中央部に高融点部分を有し、上記高融点部分の溶融により温度が確認できるバイアロイ型の半田リングを用いることもできる。高融点部分は目視確認のためであり、特性上は必ずしも完全に溶融する必要はない。
(熱収縮接続部品冷却工程)
熱収縮接続部品冷却工程では、熱収縮後の当該熱収縮接続部品50を冷却する。冷却方法としては、特に限定されないが、例えば自然放置による冷却や冷風等による強制冷却を利用することができる。この冷却により半田材及び封止材が固化し、絶縁電線同士の接続及び絶縁電線の止水が図られる。
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内における全ての変更が含まれることが意図される。
当該熱収縮接続部品の別の形態として、当該熱収縮接続部品は、当該熱収縮チューブと、上記熱収縮チューブにおける両端側の内周面に配設される1対の封止部と、半田部に変えて編組半田を備えていてもよい。図5に示す他の実施形態に係る熱収縮接続部品53は、熱収縮チューブ1と、熱収縮チューブ1における両端側の内周面に配設される1対の封止部3と、編組半田27を備える。半田部2が編組線に半田を含侵させた編組半田の場合、編組線を構成する金属材料としては、例えばCu、Fe、Sn、Sb、Ag、Ni、Al、Zn又はこれらの組み合わせを用いることができる。編組半田の半田材を構成する金属材料としては、上記半田材と同様のものを用いることができる。編組半田27にさらに上記半田部を組み合わせることもできる。
また、当該熱収縮接続部品の別の形態として、熱収縮接続部品の半田部に変えて圧着スリーブを用いてもよい。図6に示す他の実施形態に係る熱収縮接続部品54は、熱収縮チューブ1と、熱収縮チューブ1における両端側の内周面に配設される1対の封止部3と、圧着スリーブ28を備える。上記圧着スリーブの材料としては、Cu、Fe、Sn、Sb、Ag、Ni、Al、Znのいずれかを1種もしくは2種以上複合して用いることができる。また、摩耗やキズ抑制、化学的耐久性の向上のために表面にコーティング層を形成することができる。コーティング層には、Cu、Fe、Sn、Sb、Ag、Ni、Al、Znのいずれかを1種もしくは2種以上複合して用いることができる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<試験例1>
原料の選定、樹脂混合、押出、照射、膨張工程により、表1の熱収縮チューブNo.1~No.10を作製した。初めに、表1に記載の含有量のフッ素を含有するエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体樹脂に架橋助剤としてトリアリルイソシアヌレートを用いて混合した樹脂組成物を用いて、溶融押出成形でチューブを成形した。押出成形は、ダイス温度280℃で、引き落とし率10で、線速20m/minで行った。その後に、照射量25kGy~400kGyの条件で電子線照射により架橋を行った。照射後のチューブを250℃~280℃に加熱して、膨張ダイスを用いてチューブ内側を外側よりも高圧力にすることで膨張を行った。膨張ダイスには、フッ素樹脂をコーティングしたものを用いた。原料選定と架橋度により融点と高温における貯蔵弾性率を調整した。収縮は270℃で10分間加熱することで行った。
上記熱収縮チューブNo.1~No.10について、チューブの融点、250℃以上280℃以下における貯蔵弾性率[MPa]、偏肉率[%]及び長さ変化率[%]を示す。また、チューブの膨張性能及び収縮性能をA~Dの四段階で評価した。結果を表1に示す。なお、以下、表に記載の「―」は、該当する評価を実施していないことを示す。
チューブの膨張性能及び収縮性能の評価基準を下記に示す。以下、A~Cが実用上、問題のないレベルである。
(1)膨張性能
A:連続膨張時の寸法ばらつきが特に小さく、特に優れる。
B:連続膨張時に寸法ばらつきが小さく、優れる。
C:安定した連続膨張できる。
D:安定した連続膨張ができない。
(2)収縮性能
A:収縮時間が特に短く、特に優れる。
B:収縮時間が短く、優れる。
C:収縮時間がやや長い。
D:所望サイズまで収縮しない。
Figure 2024041760000002
表1に示すように、250℃以上280℃以下における貯蔵弾性率を0.8MPa以上2.8MPa以下にすることにより、良好な膨張性能、収縮性能及び偏肉率が得られた。一方、貯蔵弾性率が0.8MPa未満であるNo.1及びNo.9においては、チューブの収縮時に所望のサイズに収縮せず、十分な形状記憶効果が得られなかった。貯蔵弾性率が2.8MPa超であるNo.8及びNo.10は、安定した連続膨張が困難であった。
<試験例2>
上記エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体におけるフッ素含有量が表2に示す値となるようにエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体樹脂の原料を選定した点以外は、試験例1のNo.2と同様にしてNo.11~No.17の熱収縮チューブを作製した。No.18はPTFE原料を用い、PTFEは原料に石油系溶剤を添加して混合し、予備成形体のインゴットを作製した後に、ペースト押出成形、乾燥・焼成により押出チューブを作製した。押出チューブをETFEと同様に膨張した。No.19はPVDF原料を用いて熱収縮チューブを作製した。PVDFはETFEと同様に溶融成型により押出チューブを作製し、照射後に膨張を行った。次に、熱収縮チューブと、融点223℃の半田材(Sn96.0質量%、Ag3.0質量%及びCu1.0質量%)と、軟化点110℃の封止材(THV)とを用いて、金属棒の長手方向の中央部にリング状の半田部、両端部にリング状の封止部を設置した。次に、半田部の領域にリード線の先端が来るように設置し、その外周に熱収縮チューブを設置した。そして、ヒートガンにより500℃の熱風をあててチューブを収縮することにより半田部及び封止部を固定し、冷却後に金属棒から取り出すことにより、熱収縮接続部品を作製した。チューブの長さは20mmとした。封止材は幅2mm厚み0.4mmとした。半田材は幅2.5mm厚み0.4mmとした。軟化点の測定には熱機械分析装置TMA-50(島津製作所製)を用い、昇温速度:10℃/min、押込み棒径:0.5mmφ、圧力:5kPaとした際に0.4mmシートの厚みが50%となる温度を軟化点とした。熱収縮チューブNo.11~No.19のフッ素含有量、チューブの物性、試験例1と同様の膨張性能、偏肉率及び収縮性能、並びに熱収縮接続部品の性能の評価結果とを表2に示す。
熱収縮接続部品の性能は、ETFE電線の被覆を削除した部分に熱収縮接続部品を設置して収縮し、溶液中で電圧を印加して漏れ電流が閾値以下であるかにより評価した。耐熱性の評価のため、収縮後の電線を200℃で500時間加熱した後に漏れ電流の評価を行った。浸漬する溶液は5%NaCl、0.5%界面活性剤の溶液とし、1kVの電圧を60秒間印加して漏れ電流を評価した。
熱収縮接続部品の性能の評価基準を下記に示す。
A:漏れ電流試験の合格率が90%以上である。
B:漏れ電流試験の合格率80%以上である。
C:漏れ電流試験の合格率75%以上である。
D:漏れ電流試験の合格率75%未満である。
Figure 2024041760000003
表2に示すように、ETFEにおけるフッ素の含有量が58質量%以上62質量%以下であることにより、チューブの評価及び熱収縮接続部品の評価において良好な結果が得られた。一方、フッ素の含有量が58質量%未満のNo.11では、融点が高いことから収縮温度が高くなり、熱収縮接続部品として使用した際に、被覆対象となるETFE絶縁電線が熱によりダメージを受けていた。フッ素の含有量が62質量%超のNo.17においては、融点が低いため、熱収縮接続部品を200℃で使用した際に、性能ばらつきが生じた。No.18においては、PTFEの融点が327℃と高いため、材料が軟化せずに膨張が困難であった。また、PTFEは融点が高いために収縮温度が高く、長時間の加熱が必要となり、絶縁電線が熱によりダメージを受けていた。No.19においては、PVDFの融点が160℃と低いため、高温で材料の軟化が進んで安定膨張が困難であった。また、PVDFは融点が低く収縮温度が低いため、半田を溶融させる程度に加熱すると加熱条件が強く、チューブにダメージが生じ、熱収縮接続部品として良好な特性が発現しなかった。
<試験例3>
エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体樹脂の分子構造を制御した原料を用いた以外は、試験例1と同様に熱収縮チューブNo.20~No.27を作製した。次に、表3に記載の熱収縮チューブと、融点223℃の半田材(Sn96.5質量%及びAg3.5質量%)と、軟化点140℃の封止材(THV60質量%及びFKM40質量%)とを用いて、金属棒の長手方向の中央部にリング状の半田材、両端部にリング状の封止部を固定した。次に、半田部の領域にリード線の先端が来るように設置し、その外周に熱収縮チューブを設置した。そして、ヒートガンにより500℃の熱風をあててチューブを収縮することにより半田部及び封止部を固定し、冷却後に金属棒から取り出すことにより、熱収縮接続部品を作製した。チューブの長さは20mmとした。エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体中のエチレン単位数mとテトラフルオロエチレン単位数nとの比率n/mとの関係において、試験例1と同様のチューブの物性及び評価、並びに試験例2と同様の熱収縮接続部品の評価結果を表3に示す。
Figure 2024041760000004
表3に示すように、ETFE中のエチレン単位数mに対するテトラフルオロエチレン単位数nの比率n/mが、1.02以上1.20以下であることにより、チューブの評価及び熱収縮接続部品の評価において良好な結果が得られた。一方、上記比率n/mが1.02未満であるNo.20は、融点が高く収縮温度が高くなり、熱収縮接続部品として使用した際に、被覆対象となるETFE絶縁電線が熱によりダメージを受けていた。上記比率n/mが1.20超であるNo.27は融点が低いため、熱収縮接続部品を高温下で使用した際に安定した性能が発現せず、200℃耐熱性を満たさなかった。
<試験例4>
得られる熱収縮チューブの25℃における貯蔵弾性率が表4に示す値となるようにETFEの分子構造と照射線量を制御した点以外は、試験例1のNo.2と同様にしてNo.28~No.35の熱収縮チューブを作製した。次に、表4に記載の熱収縮チューブと、融点236℃の半田材(Sn95.0質量%及びSb5.0質量%)と、軟化点80℃の封止材(PVDF60質量%及びEVA40質量%)とを用いて、試験例2と同様の工程で熱収縮接続部品を作製した。熱収縮チューブNo.28~No.35の25℃における貯蔵弾性率、強度及び可撓性を評価した。評価結果を表4に示す。
熱収縮チューブNo.28~No.35の強度及び可撓性は下記の基準で評価した。
(1)熱収縮接続部品の強度
A:組み立て加工、収縮時、使用時に破損が生じない。
B:ごくまれに使用時に破損が生じる場合がある。
C:使用時に破損が生じる場合がある。
D:使用時に破損が生じる確率が高い。
(2)熱収縮接続部品の可撓性
A:組み立て加工時に破損が生じない。
B:ごくまれに組み立て加工時に破損が生じる場合がある。
C:組み立て加工時に破損が生じる場合がある。
D:組み立て加工時に破損が生じる確率が高い。
Figure 2024041760000005
表4に示すように、ETFEにおける25℃における貯蔵弾性率が、500MPa以上900MPa以下であることにより熱収縮接続部品の強度及び可撓性を向上できる。25℃における貯蔵弾性率が500MPa未満のNo.28では、熱収縮接続部品の強度が不足した。25℃における貯蔵弾性率が900MPa超のNo.35では、熱収縮接続部品の可撓性が低く、折れやすい結果となった。
<試験例5>
得られる熱収縮チューブの表面の算術平均粗さRaが表5に示す値となるように押出時の引き落とし率を制御した点以外は、試験例2のNo.15と同様にしてNo.36~No.43の熱収縮チューブを作製した。また、試験例2と同様の工程で熱収縮接続部品を作製した。半田材、封止材は試験例2と同様のものを用いた。熱収縮チューブNo.36~No.43の算術平均粗さRa及び赤外線における加熱効率と、熱収縮チューブの内部の視認性との評価結果を表5に示す。熱収縮チューブの算術平均粗さRaは、触針式の粗さ計で測定した。
熱収縮チューブの赤外線における加熱効率及び熱収縮チューブの内部の視認性は下記の基準で評価した。評価結果を表5に示す。
(1)熱収縮チューブの赤外線における加熱効率
A:熱収縮接続部品の収縮時間20秒以下で特に優れる。
B:熱収縮接続部品の収縮時間25秒以下である。
C:熱収縮接続部品の収縮時間35秒以下である。
D:熱収縮接続部品の収縮時間35秒以上である。
(2)熱収縮チューブの内部の視認性
A:半田材の電線への含侵状態、封止材の溶融、電線被覆状態の確認のしやすさが特に優れる。
B:半田材の電線への含侵状態、封止材の溶融、電線被覆状態が確認できる。
C:半田材の電線への含侵状態、封止材の溶融進行が確認できる。
D:半田材の電線への含侵状態、封止材の溶融進行の確認ができない。
Figure 2024041760000006
表5に示すように、チューブの表面の算術平均粗さRaが0.10μm以上2.00μm以下であることにより、チューブの評価及び熱収縮接続部品の評価において良好な結果が得られた。一方、算術平均粗さRaが0.10μm未満のNo.36においては、赤外線の透過率が高く、チューブの加熱効率が低い結果となった。算術平均粗さRaが2.00μm超のNo.43においては、可視光の散乱が大きく、熱収縮接続部品内部の状態を確認する際に、熱収縮チューブの内部の視認性の低下がみられた。
<試験例6>
得られる熱収縮チューブの赤外線の透過率が表6に示す値となるように着色剤の量を制御した点以外は、試験例1のNo.2と同様にしてNo.44~No.49の熱収縮チューブを作製した。次に、表6に記載の熱収縮チューブと、融点210℃の半田材(Pb62.0質量%及びIn38.0質量%)と、軟化点95℃の封止材(PVDF50質量%及びLLDPE50質量%)とを用いて、試験例2と同様の工程で熱収縮接続部品を作製した。赤外線加熱装置における中心波長1μmにおける熱収縮チューブNo.44~No.49の赤外線透過率と、試験例5と同様の熱収縮チューブの赤外線における加熱効率と、熱収縮接続部品内部の封止材の加熱効率とを表6に示す。
封止材の加熱効率は下記の基準で評価した。
A:特に短時間で封止材が加熱、溶融して熱収縮接続部品が作製できる。
B:短時間で封止材が加熱、溶融して熱収縮接続部品が作製できる。
C:封止材が加熱、溶融して熱収縮接続部品が作製できる。
D:封止材が十分に加熱、溶融しない。
Figure 2024041760000007
表6に示すように、チューブにおける波長1μmの赤外線の透過率が、90.0%以上99.0%以下であることにより、熱収縮チューブの赤外線における加熱効率及び熱収縮接続部品内部の封止材の加熱効率の評価において良好な結果が得られた。一方、赤外線の透過率が90.0%未満のNo.44は、熱収縮接続部品の加熱時に封止材の加熱効率が低下することで封止材が変形し難くなり、熱収縮接続部品の収縮が遅くなった。赤外線の透過率が99.0%超のNo.49は、熱収縮接続部品の加熱時に熱収縮チューブの加熱効率が低下することで、熱収縮チューブが収縮し難い結果となった。
<試験例7>
初めに、試験例1のNo.2と同様にしてNo.50~No.57の熱収縮チューブを作製した。次に、封止材の波長1μmにおける赤外線の透過率が表7に示す値となるように封止材を選定した点以外は、表7に記載の熱収縮チューブと、融点218℃の半田材(Sn67.0質量%、Pb32.0質量%及びCd1.0質量%)と、軟化点160℃の封止材(THV70質量%及びPVDF30質量%)とを用いて、試験例2と同様の工程で熱収縮接続部品を作製した。熱収縮接続部品No.50~No.57における封止材の波長1μmにおける赤外線の透過率と、試験例2と同様の熱収縮接続部品の性能評価の結果を表7に示す。
Figure 2024041760000008
表7に示すように、熱収縮接続部品の封止材における波長1μmの赤外線の透過率が1.0%以上30.0%以下であることにより、熱収縮接続部品の性能において良好な結果が得られた。一方、封止材における上記赤外線の透過率が1.0%未満のNo.50は、赤外線における加熱が早く進んだことにより封止材の軟化が早く、半田材の封止性が低くなったために、熱収縮接続部品の性能が低下する結果となった。封止材における上記赤外線の透過率が30.0%超のNo.57は、封止材の加熱が遅くなることで軟化が進みにくくなったために、熱収縮接続部品の性能が低下する結果となった。
<試験例8>
初めに、試験例1のNo.2と同様にしてNo.58~No.69の熱収縮チューブを作製した。次に、熱収縮接続部品の封止材の軟化点及び半田材の融点が表8に示す値となるように、封止材として、THV、PVDF、FKM、EVA、LLDPE、HDPEの中から1種又は2種以上を混合して用い、半田材は、Sn、Ag、Sb、Pb、Bi、Inの中から2種以上を混合して用いた。熱収縮接続部品No.58~No.69における封止材の軟化点及び半田材の融点を表8に示す。また、熱収縮接続部品の性能は、試験例2と同様の熱収縮接続部品の性能評価の結果を表8に示す。
Figure 2024041760000009
表8に示すように、熱収縮接続部品における半田材の融点が210℃以上240℃以下であり、封止材の軟化点が80℃以上170℃以下であるNo.61~No.66は、漏れ電流試験において良好な結果が得られた。一方、半田材の融点が210℃未満のNo.60、封止材の軟化点が80℃未満のNo.59、半田材の融点が210℃未満かつ封止材の軟化点が80℃未満のNo.58、半田材の融点が240℃超のNo.68、封止材の軟化点が170℃超のNo.67、半田材の融点が240℃超かつ封止材の軟化点が170℃超のNo.69は、いずれも熱収縮接続部品の漏れ電流試験の合格率が低下した。
<試験例9>
試験例1のNo.3と同様にして熱収縮チューブNo.70~No.77を作製した。次に、熱収縮チューブと、融点223℃の半田材(Sn96.0質量%、Ag3.0質量%及びCu1.0質量%)と、軟化点110℃のTHV及び表9に記載の含有量のシリカを含む封止材(THV+シリカ)とを用いて、金属棒の長手方向の中央部にリング状の半田材、両端部にリング状の封止部を固定した。次に、半田部の領域にリード線の先端が来るように設置し、その外周に熱収縮チューブを設置した。そして、ヒートガンにより500℃の熱風をあててチューブを収縮することにより半田部及び封止部を固定し、冷却後に金属棒から取り出すことにより、熱収縮接続部品を作製した。チューブの長さは20mmとした。封止材は幅2mm厚み0.4mmとした。半田材は幅2.5mm厚み0.4mmとした。シリカの添加量により封止材の剪断粘度の調整を行った。250℃における剪断粘度を表9に示す。
熱収縮接続部品の性能は、ETFE電線の被覆を削除した部分に熱収縮接続部品を設置して収縮し、溶液中で電圧を印加して漏れ電流が閾値以下であるかにより評価した。耐熱性の評価のため、収縮後の電線を215℃で750時間加熱した後に漏れ電流の評価を行った。浸漬する溶液は5%NaCl、0.5%界面活性剤の溶液とし、1kVの電圧を60秒間印加して漏れ電流を評価した。熱収縮接続部品の性能の評価結果を表9に示す。
熱収縮接続部品の性能の評価基準は下記の通りである。
A:漏れ電流試験の合格率が90%以上である。
B:漏れ電流試験の合格率80%以上である。
C:漏れ電流試験の合格率75%以上である。
D:漏れ電流試験の合格率75%未満である。
Figure 2024041760000010
表9に示すように、封止材の250℃、剪断速度100/sにおける剪断粘度が、1000Pa・s以上2000Pa・s以下である場合に良好な熱収縮接続部品の特性が得られた。上記剪断粘度が1000Pa・sよりも低いNo.70は、熱収縮チューブの収縮時に軟化して形状が変化しやすくなり、封止性が低下するために熱収縮接続部品の漏れ電流試験の合格率が低下した。一方、上記剪断粘度が2000Pa・sよりも高いNo.77は、熱収縮チューブの収縮時に流動性が低いために隙間を充填する効果が低くなり、熱収縮接続部品の漏れ電流試験の合格率が低下した。
<試験例10>
エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体におけるフッ素含有量が表10に示す値となるようにエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体樹脂の原料を選定し、照射量80kGyの条件で電子線照射により架橋を行ったことを除いては、試験例1のNo.2と同様にして熱収縮チューブNo.78~No.89を作製した。次に、熱収縮チューブと、融点223℃の半田材(Sn96.0質量%、Ag3.0質量%及びCu1.0質量%)と、THV70質量%、FKM30質量%及び表に記載の含有量のシリカを含む軟化点110℃の封止材とを用いて、金属棒の長手方向の中央部にリング状の半田材、両端部にリング状の封止部を固定した。次に、半田部の領域にリード線の先端が来るように設置し、その外周に熱収縮チューブを設置した。そして、ヒートガンにより500℃の熱風をあててチューブを収縮することにより半田部及び封止部を固定し、冷却後に金属棒から取り出すことにより、熱収縮接続部品を作製した。チューブの長さは20mmとした。封止材は幅2mm厚み0.4mmとした。半田材は幅2.5mm厚み0.4mmとした。シリカの添加量により封止材の剪断粘度の調整を行った。215℃における剪断粘度を表に示す。熱収縮接続部品の性能は、試験例9と同様に評価した。
Figure 2024041760000011
表10に示すように、封止材の215℃、剪断速度0.01/sにおける剪断粘度が、7000Pa・s以上70000Pa・s以下であることにより、熱収縮接続部品の封止性能において良好な結果が得られた。一方、上記剪断粘度が7000Pa・s未満のNo.78では、高温で長期間保持された際に封止材が流れやすくなり、漏れ電流試験の合格率が低下した。剪断粘度が70000Pa・sよりも高いNo.89では、流動性が低いために隙間を充填する効果が低く、封止性が低下することにより漏れ電流試験の合格率が低下した。
<試験例11>
試験例1のNo.2と同様にして熱収縮チューブNo.90~No.95を作製した。次に、熱収縮チューブと、融点223℃の半田材(Sn96.0質量%、Ag3.0質量%及びCu1.0質量%)と、表11に示す封止材(EVA、PVDF、THV)とを用いて、試験例9と同様に熱収縮接続部品No.90~No.95を作製した。封止材の融点は、樹脂の種類選定と比率調整により行った。熱収縮チューブNo.90~No.95の封止材の融点、並びに試験例9と同様の熱収縮接続部品の性能の評価結果を表11に示す。
Figure 2024041760000012
表11に示すように、封止材の融点が110℃以上170℃以下である熱収縮接続部品No.91~No.94は、良好な熱収縮接続部品の特性が得られた。融点が110℃よりも低いNo.90では、熱収縮チューブの収縮時に柔らかく形状が変化しやすくなり、封止性が低下するために熱収縮接続部品の漏れ電流試験の合格率が低下した。また高温下で長期間保持された際に封止材が流れやすくなり、封止性を維持しにくいために熱収縮接続部品の漏れ電流試験の合格率が低下した。融点が170℃よりも高いNo.95では、熱収縮チューブの収縮時に流動性が低いために隙間を充填する効果が低く封止性が低下し、熱収縮接続部品の漏れ電流試験の合格率が低下した。
<試験例12>
試験例1のNo.2~No.7のチューブを用いて、熱収縮接続部品No.96~No.103を作製した。次に、熱収縮チューブと、THV70質量%、FKM30質量%及び表12に記載の含有量のシリカを含む軟化点110℃の封止材とを用いて、金属棒の長手方向の端部にリング状の封止部を固定した。次にその外周に熱収縮チューブを設置した。そして、ヒートガンにより500℃の熱風をあててチューブを収縮することにより封止部を固定し、冷却後に金属棒から取り出すことにより、熱収縮接続部品No.96~No.103を作製した。チューブの長さは30mmとした。封止材は幅2mm厚み0.4mmとした。シリカの添加量により剪断粘度の調整を行った。250℃及び215℃における剪断粘度を表12に示す。
熱収縮接続部品の性能は、ETFE電線の被覆を削除した部分に圧着スリーブと熱収縮接続部品を設置し、削除部分にリード線の先端が来るように設置した状態で、圧着工具により圧着スリーブ部分を圧着して固定し、その後に加熱収縮し、溶液中で電圧を印加して漏れ電流が閾値以下であるかにより評価した。圧着スリーブは銅基材に厚さ8μmのニッケルをメッキし、長さが15mmのものを用いた。耐熱性の評価のため、収縮後の電線を215℃で750時間加熱した後に漏れ電流の評価を行った。浸漬する溶液は5%NaCl、0.5%界面活性剤の溶液とし、1kVの電圧を60秒間印加して漏れ電流を評価した。熱収縮接続部品の性能の評価結果を表12に示す。
熱収縮接続部品の性能の評価基準は下記の通りである。
A:漏れ電流試験の合格率が90%以上である。
B:漏れ電流試験の合格率80%以上である。
C:漏れ電流試験の合格率75%以上である。
D:漏れ電流試験の合格率75%未満である。
Figure 2024041760000013
表12に示すように、熱収縮チューブの250℃以上280℃以下における貯蔵弾性率が0.8MPa以上2.8MPa以下であり、封止材の250℃、剪断速度100/sにおける剪断粘度が、1000Pa・s以上2000Pa・s以下であり、封止材の215℃、剪断速度0.01/sにおける剪断粘度が、7000Pa・s以上70000Pa・s以下である熱収縮接続部品No.96~No.103は、良好な封止性能が得られた。
<試験例13>
試験例13では、添加剤として無機物を添加した場合の熱収縮チューブを評価した。表13に示す無機物を混合した点以外は、試験例1のNo.2と同様にして熱収縮チューブNo.104~No.110を作製した。この熱収縮チューブNo.104~No.110について、試験例1と同様の膨張性能及び収縮性能に加え、強度及び設備汚染についても評価した。評価結果を表13に示す。
強度及び設備汚染は、下記の方法で評価した。
(1)強度
強度は、ASTM D-638に従い、引張速度を50mm/分とした引張試験により測定した。強度は、下記の基準で評価した。
A:特に優れる。
B:優れる。
(2)設備汚染
上記設備汚染の評価は、熱収縮チューブ製造後の設備について下記の基準で評価した。
A:汚染なし。
B:わずかに汚染あり。
C:やや汚染あり。
D:汚染が著しい。
Figure 2024041760000014
表13に示すように、無機物の含有量を1質量%以下とすることで、熱収縮チューブの膨張特性、収縮特性及び強度を良好に維持できるとともに、設備汚染を抑制することができることがわかる。
以上の結果より、当該熱収縮チューブは、高耐熱性の絶縁電線の熱収縮接続部品用途として耐熱性及び熱収縮性能に優れることが示された。
1 熱収縮チューブ
2 半田部
3 封止部
5 導体接続部
6、16 導体
7、17 絶縁層
8、18 絶縁電線
11 収縮後の熱収縮チューブ
12 溶融後の半田部
13 溶融後の封止部
23 接地用絶縁電線の素線
24 接地用絶縁電線の絶縁層
25 接地用絶縁電線
27 編組体
28 圧着スリーブ
40、50、51、53、54 熱収縮接続部品
100 接続後の電線束

Claims (7)

  1. 素線が絶縁層により被覆された絶縁電線を接続するための熱収縮接続部品であって、
    エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体を主成分とし、融点が210℃以上250℃以下であり、250℃以上280℃以下における貯蔵弾性率が0.8MPa以上2.8MPa以下である熱収縮チューブと、
    上記熱収縮チューブにおける両端側の内周面に配設される1対の封止部とを備え、
    上記封止部を構成する封止材の250℃、剪断速度100/sにおける剪断粘度が、2000Pa・s以下である熱収縮接続部品。
  2. 上記封止部を構成する封止材の215℃、剪断速度0.01/sにおける剪断粘度が、7000Pa・s以上である請求項1に記載の熱収縮接続部品。
  3. 上記熱収縮チューブにおける上記1対の封止部の間の内周面に配設される半田部をさらに備える請求項1又は請求項2に記載の熱収縮接続部品。
  4. 上記半田部を構成する半田材の融点が210℃以上240℃以下であり、
    上記封止部を構成する封止材の軟化点が80℃以上170℃以下である請求項3に記載の熱収縮接続部品。
  5. 上記封止材の融点が110℃以上170℃以下である請求項4に記載の熱収縮接続部品。
  6. 上記封止材における波長1μmの赤外線の透過率が1.0%以上30.0%以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の熱収縮接続部品。
  7. 接地用絶縁電線をさらに備える請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の熱収縮接続部品。
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