JP2024027437A - ゴム組成物およびその製造方法ならびにタイヤ製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】タイヤの耐摩耗性が向上し、さらに、ウェットグリップ性に優れるか、または、耐カット性および耐チッピング性に優れるゴム組成物の提供。【解決手段】本発明のゴム組成物は、ガラス転移温度が-90℃以上-50℃未満であるゴム成分と、含硫黄炭化水素重合体を含むゴム用添加剤とを含み、前記ゴム成分が、イソプレン系ゴムを50質量%以上含み、前記含硫黄炭化水素重合体が、不飽和炭化水素の重合体と硫黄との反応生成物であり、前記不飽和炭化水素が脂環式不飽和化合物を含み、前記含硫黄炭化水素重合体の重量平均分子量が500以上4000以下であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物およびその製造方法に関する。また、本発明は、該ゴム組成物を用いて製造されたタイヤ製品に関する。
従来、タイヤは、加硫を担う加硫剤、カーボンブラックやシリカなどの充填剤、品質劣化を抑制する老化防止剤やワックスなどを含むゴム組成物から製造されており、それぞれの成分について改良がなされてきた。
近年、タイヤには、ウェットグリップ性および耐摩耗性等の様々な性能が求められている。例えば、タイヤのウェットグリップ性およびドライグリップ性の総合性能を改善するために、水によって可逆的に動的弾性率E*が変化し、特定の式(水湿潤時の動的弾性率E*/乾燥時の動的弾性率E*×100%≦90%)を満たすゴム組成物が提案されている(特許文献1参照)。しかし、特許文献1に記載の発明では、タイヤの耐摩耗性は十分に検討されていなかった。
ところで、タイヤ用ゴム組成物に、ウェットグリップ性能の向上を目的として、ガラス転移温度が高いゴム成分を用いた場合や、石油樹脂のようなゴム成分のガラス転移温度を上げる添加剤を配合した場合には、タイヤの耐摩耗性が悪化する傾向にある。そのため、ガラス転移温度が高いゴム成分を用いた場合であっても、タイヤの耐摩耗性を向上させるタイヤ用ゴム組成物が求められている。
国際公開第2020/022326号
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、驚くべきことに、特定の含硫黄炭化水素重合体を含むゴム用添加剤を、特定のゴム成分に配合して得られたゴム組成物を用いて製造したタイヤは、耐摩耗性が向上し、さらにウェットグリップ性が向上することを知見した。また、得られたゴム組成物を用いて製造したタイヤは、破断強度と破断伸びとの積である抗張積が高くなり、その結果、耐カット性、耐チッピング性を向上できることを知見した。本発明者らは、かかる知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1] ガラス転移温度が-90℃以上-50℃未満であるゴム成分と、
含硫黄炭化水素重合体を含むゴム用添加剤と、
を含み、
前記ゴム成分が、イソプレン系ゴムを50質量%以上含み、
前記含硫黄炭化水素重合体が、不飽和炭化水素の重合体と硫黄との反応生成物であり、前記不飽和炭化水素が脂環式不飽和化合物を含み、
前記含硫黄炭化水素重合体の重量平均分子量が500以上4000以下である、ゴム組成物。
[2] 前記脂環式不飽和炭化水素が、ノルボルネン骨格を有する化合物を含む、[1]に記載のゴム組成物。
[3]
前記ノルボルネン骨格を有する化合物が、ジシクロペンタジエンを含む、[2]に記載のゴム組成物。
[4] 前記ノルボルネン骨格中の不飽和結合が硫黄と反応してなる、[2]または[3]に記載のゴム組成物。
[5] 前記含硫黄炭化水素重合体の重量平均分子量が700以上2000以下である、[1]~[5]のいずれかに記載のゴム組成物。
[6] 前記イソプレン系ゴムが、天然ゴムを含む、[1]~[6]のいずれかに記載のゴム組成物。
[7] 充填剤をさらに含む、[1]~[6]のいずれかに記載のゴム組成物。
[8] 前記充填剤が、シリカおよびカーボンブラックからなる群から選択される少なくとも1種を含む、[7]に記載のゴム組成物。
[9] 前記充填剤の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して5質量部以上100質量部以下である、[7]または[8]に記載のゴム組成物。
[10] 前記ゴム用添加剤が、タイヤの耐摩耗性向上剤である、[1]~[9]のいずれかに記載のゴム組成物。
[11] タイヤ用である、[1]~[10]のいずれかに記載のゴム組成物。
[12] 少なくともゴム成分とゴム用添加剤とを混練する工程を含む、ゴム組成物の製造方法であって、
前記ゴム成分のガラス転移温度が-90℃以上-50℃未満であり、
前記ゴム成分が、イソプレン系ゴムを50質量%以上含み、
前記ゴム用添加剤が、含硫黄炭化水素重合体を含み、
前記含硫黄炭化水素重合体が、不飽和炭化水素の重合体と硫黄との反応生成物であり、前記不飽和炭化水素が脂環式不飽和化合物を含み、
前記含硫黄炭化水素重合体の重量平均分子量が500以上4000以下である、ゴム組成物の製造方法。
[13] [1]~[11]のいずれかに記載のゴム組成物を用いて製造されたタイヤ製品。
[14] 前記タイヤ製品が、サイドウォールまたはタイヤトレッドである、[13]に記載のタイヤ製品。
[15] 前記タイヤ製品が、重荷重用タイヤである、[13]に記載のタイヤ製品。
本発明によれば、耐摩耗性が向上し、さらに、ウェットグリップ性に優れるか、または、耐カット性および耐チッピング性に優れるタイヤを製造するためのゴム組成物を提供することができる。さらに、本発明によれば、耐摩耗性が向上し、さらに、ウェットグリップ性に優れるタイヤを製造することができる。また、本発明によれば、耐摩耗性が向上し、さらに、抗張積(=破断強度×破断伸び)が高くなり、その結果、耐カット性および耐チッピング性に優れるタイヤを製造することができる。
[ゴム組成物]
本発明のゴム組成物は、ゴム成分と、ゴム用添加剤とを含み、充填剤をさらに含んでもよい。本発明のゴム組成物を用いて製造したタイヤは、耐摩耗性が向上し、さらに、ウェットグリップ性に優れるか、または、耐カット性および耐チッピング性に優れる。ゴム成分の含有量は、ゴム組成物の固形分質量全体に対して、好ましくは20質量%以上70質量%以下であり、より好ましくは25質量%以上65質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以上60質量%以下である。ゴム用添加剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して好ましくは1質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは3質量部以上25質量部以下であり、さらに好ましくは5質量部以上20質量部以下である。充填剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上100質量部以下であり、より好ましくは10質量部以上90質量部以下であり、さらに好ましくは20質量部以上80質量部以下である。
本発明のゴム組成物を用いて製造したゴムは重荷重用タイヤに好適に用いることができる。充填剤としてシリカを特定量(ゴム成分100質量部に対して5質量部以上100質量部以下)含有するゴム組成物はウェットグリップ性に優れるため、重過重用タイヤの中でも特にトラックタイヤおよびバスタイヤに好適である。また、充填剤としてカーボンブラックを特定量(ゴム成分100質量部に対して5質量部以上100質量部以下)含有するゴム組成物は抗張積(耐カット性および耐チップ性)に優れるため、重過重用タイヤの中でも特にジャイアントタイヤおよび鉱山用タイヤに好適である。また、ゴム成分としてブタジエンゴム(BR)を含むゴム組成物はサイドウォール部材として特に好適である。
(ゴム成分)
ゴム組成物に用いるゴム成分は、ガラス転移温度(Tg)が、-90℃以上-50℃未満であり、好ましくは-89℃以上-51℃以下であり、より好ましくは-87℃以上-53℃以下であり、さらに好ましくは-85℃以上-55℃以下である。ガラス転移温度(Tg)が上記数値範囲内のゴム成分を用いたタイヤは、耐摩耗性が向上し、さらに、ウェットグリップ性に優れるか、または、耐カット性および耐チッピング性に優れるために好ましい。
ゴム成分として2種以上のゴムを用いる場合には、混合後のゴム成分のTgが上記範囲内であれば良い。
なお、ゴム成分のTgは、従来公知の方法により測定することができる。例えば、ゴム成分のTgは、示差熱分析(DTA)や示差走査熱量測定(DSC)により測定することができる。
ゴム成分としては、上記のTgを満たすものであれば特に限定されないが、少なくともイソプレン系ゴムを含む。下記の含硫黄炭化水素重合体は、一般的な不飽和炭化水素重合体である不飽和石油樹脂(硫黄を含有しないもの)に比べて、イソプレン系ゴムに対する反応性が高く、ゴム分子鎖に反応し易い。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム、イソプレン-ブタジエンゴム、およびハロゲン化イソプレンゴム等が挙げられる。これらの中でも、天然ゴムを用いることが好ましい。天然ゴムとしては、天然ゴムラテックス、技術的格付けゴム(TSR)、スモークドシート(RSS)、ガタパーチャ、杜仲由来天然ゴム、グアユール由来天然ゴム、ロシアンタンポポ由来天然ゴム、植物成分発酵ゴム等が挙げられ、さらにこれらの天然ゴムを変性した、エポキシ化天然ゴム、メタクリル酸変性天然ゴム、スチレン変性天然ゴム、スルホン酸変性天然ゴム、スルホン酸亜鉛変性天然ゴム等の変性天然ゴム等も、天然ゴムに含まれる。天然ゴムの二重結合部のシス/トランス/ビニルの比率は、特に制限はなく、いずれの比率においても好適に用いることができる。また、ジエン系ゴムの数平均分子量および分子量分布は、特に制限はないが、数平均分子量500~3000000、分子量分布1.5~15が好ましい。
ゴム成分は、イソプレン系ゴム以外の他のジエン系ゴムを含んでもよい。他のジエン系ゴムとしては、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴム、スチレン-イソプレンゴム、部分水添スチレン-ブタジエンゴム、スチレン-α-メチルスチレン-ブタジエンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム等が挙げられる。
イソプレン系ゴムの含有量は、ゴム成分全体の50質量%以上であり、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、100質量%であってもよい。イソプレン系ゴムの含有量が上記数値範囲内であれば、平均ガラス転移温度を上述の数値範囲内に調節し易く、タイヤの耐摩耗性が向上し、さらに、ウェットグリップ性に優れるか、または、耐カット性および耐チッピング性に優れるゴム組成物を製造することができる。
また、本発明のゴム組成物には、その機能を損なわない範囲で、上記のゴム成分以外にもエラストマーを配合することもできる。エラストマーとしては、スチレン-イソプレン-スチレン三元ブロック共重合体(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレン三元ブロック共重合体(SBS)、それらの水添物(SEBS,SEPS,SEEPS)等のポリスチレン系エラストマー性ポリマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、及び、ポリアミド系エラストマーのからなる群より選択される熱可塑性エラストマーが挙げられる。
(ゴム用添加剤)
ゴム組成物に用いるゴム用添加剤は、下記の含硫黄炭化水素重合体を含む。上記のガラス転移温度が高いゴム成分に、従来公知の石油樹脂のようなゴム成分のガラス転移温度を上げる添加剤を配合した場合には、得られたゴム組成物を用いて製造したタイヤの耐摩耗性は悪化する。一方、本発明においては、上記のガラス転移温度が高いゴム成分に、下記の含硫黄炭化水素重合体を含むゴム用添加剤を配合することで、得られたゴム組成物を用いて製造したタイヤの耐摩耗性を向上することができる。そのため、下記の含硫黄炭化水素重合体は、タイヤの耐摩耗性向上剤として用いることができる。
(含硫黄炭化水素重合体)
含硫黄炭化水素重合体は、不飽和炭化水素の重合体と硫黄との反応生成物である。具体的には、含硫黄炭化水素重合体は、不飽和炭化水素の重合体の不飽和結合に硫黄を反応させて得た反応生成物であることが好ましい。
含硫黄炭化水素重合体の重量平均分子量(Mw)は、500以上4000以下であり、下限値は好ましくは600以上であり、より好ましくは700以上であり、さらに好ましくは800以上であり、また、上限値は好ましくは3000以下であり、より好ましくは2000以下であり、さらに好ましくは1500以下である。特に、含硫黄炭化水素重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは600以上3000以下であり、より好ましくは700以上2000以下であり、さらに好ましくは800以上1500以下である。含硫黄炭化水素重合体の重量平均分子量を小さくすることで、含硫黄炭化水素重合体同士が硫黄を介して結合するのを抑制し、ゴム成分と結合する硫黄量を増大させ、耐摩耗性が向上し、さらに、ウェットグリップ性、または、耐カット性および耐チッピング性をより向上させることができる。
また、含硫黄炭化水素重合体の分子量分布(Mw/数平均分子量(Mn))は、好ましくは1.0以上5.0以下であり、より好ましくは1.0以上4.0以下であり、さらに好ましくは1.0以上3.0以下であり、さらにより好ましくは1.0以上2.5以下である。
なお、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)は、従来公知のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)解析の方法によって測定することができる。
本発明においては、重合体の原料として、少なくとも、硫黄と反応させるための不飽和結合を有する炭化水素を用いる。不飽和炭化水素は脂環式不飽和化合物を含むものであり、脂環式不飽和炭化水素はノルボルネン骨格を有する化合物であることが好ましい。ノルボルネン骨格の二重結合の構造がひずみを持ち、硫黄との反応性が良いためである。脂環式不飽和化合物の不飽和結合は硫黄との反応後に残存してもよく、全て消費されてもよい。脂環式不飽和化合物の不飽和結合としては、ノルボルネン骨格に存在する不飽和結合とシクロペンテン骨格に存在する不飽和結合があるが、タイヤの耐摩耗性向上の観点からは、ノルボルネン骨格の不飽和結合は全て消費されていることがより好ましい。
本発明の一実施形態においては、不飽和炭化水素の重合体として、工業的な製造の観点から、ナフサを熱分解して得た留分のうち、エチレン、プロピレンおよびブタジエン等の有用な化合物を取り去った残りの留分を、混合状態のまま重合して得られた樹脂(以下、「石油樹脂」という)を用いることができる。石油樹脂としては、一般的には、C5留分を(共)重合して得られる脂肪族系石油樹脂(C5系石油樹脂)、ナフサの熱分解によって得られるC9留分を(共)重合して得られる芳香族系石油樹脂(C9系石油樹脂)、前記C5留分とC9留分を共重合して得られる共重合系石油樹脂(C5/C9系石油樹脂)が挙げられる。なお、石油樹脂は、原料中のオレフィン含有量によって生成する樹脂の性質が異なるが、分子量200~8000、軟化点5~180℃の透明な淡黄色ないし黄褐色の松脂(まつやに)状の樹脂である。
本発明においては、石油樹脂の中でも、脂環式不飽和炭化水素を含む留分を(共)重合して得られる石油樹脂(以下、「脂環式不飽和炭化水素系石油樹脂」という)を用いる。脂環式不飽和炭化水素系石油樹脂は、例えば、C5留分中に含まれるシクロペンタジエン類を2量体化してジシクロペンタジエン類とし、蒸留して他のC5留分と分離し、加熱してディールス・アルダー反応により重合させたものを含む。シクロペンタジエン類とは、例えば、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン等が挙げられる。また、ジシクロペンタジエン類とは、例えば、ジシクロペンタジエン(DCPD)、メチルジシクロペンタジエン等があげられ、特にジシクロペンタジエンが好ましい。
脂環式不飽和炭化水素系石油樹脂には、シクロペンタジエン類以外のC5留分やC9留分が含まれていてもよい。
C5留分は、一般的には、石油類の熱分解により得られる留分のうち、沸点範囲が20~110℃程度の留分が用いられる。シクロペンタジエン類以外のC5留分としては、例えば、1-ペンテン、2-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、3-メチル-1-ブテン等のオレフィン系炭化水素、2-メチル-1,3-ブタジエン、1,2-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、3-メチル-1,2-ブタジエン等のジオレフィン系炭化水素が挙げられる。
C9留分は、一般的には、石油類の熱分解により得られる留分のうち、沸点範囲が100~280℃程度の留分が用いられる。C9留分としては、例えば、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、γ-メチルスチレン等のスチレン同族体やインデン、クマロン等のインデン同族体等が挙げられる。
一般的なC5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5/C9系石油樹脂の製造方法は以下の通りである。原料油に対して0.01~5重量%のフリーデルクラフツ型触媒を添加し、重合反応を行う。反応終了後、アルカリを用いてフリーデルクラフツ型触媒を分解除去し、最後に蒸留等により未反応油および低分子重合物を除去する。一般的にフリーデルクラフツ型触媒としては、例えば三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、三フッ化ホウ素あるいはそのフェノール錯体、ブタノール錯体等が挙げられる。中でも三塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素のフェノール錯体、三フッ化ホウ素のブタノール錯体が好ましい。重合温度は0~100℃が好ましく、特に好ましくは0~80℃である。また、触媒量及び重合時間は、原料油100質量部に対して触媒0.1~2.0質量部のとき、0.1~10時間であることが好ましい。反応圧力は大気圧~1MPaが好ましい。
石油樹脂は一部に種々の官能基を有する化合物が重合していてもよい。官能基の例としては、水酸基を有するアルコール化合物やフェノール化合物が挙げられる。アルコール化合物の具体例としては、アリルアルコール、2-ブテン-1,4-ジオール等の二重結合を有するアルコール化合物が挙げられる。フェノール化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、p-t-ブチルフェノール、p-オクチルフェノール、p-ノニルフェノール等のアルキルフェノール類を使用できる。これらの水酸基を有する化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
また、水酸基含有石油樹脂は、石油留分と共に(メタ)アクリル酸アルキルエステル等を熱重合して石油樹脂中にエステル基を導入した後、該エステル基を還元する方法や、石油樹脂中に残存又は導入した二重結合を水和する方法等によっても製造できる。本発明では、水酸基含有石油樹脂として、上記のような各種方法により得られるものが使用できるが、性能及び製造の観点から、フェノール変性石油樹脂等を使用するのが好ましい。
該フェノール変性石油樹脂は、C9留分をフェノールの存在下でカチオン重合して得られ、変性が容易である。
重合の方法は、特に限定されず、例えば、上述のディールス・アルダー反応等の150~300℃程度で1~10時間程度の加熱を行う熱重合反応や、上述のフリーデルクラフツ型反応などから選択できる。
上述のこれらの樹脂は、軟化点が200℃以下(測定法:ASTM E28-58-T)であることが好ましく、更に好ましくは、45~160℃が望ましい。
本発明においては、上述の石油樹脂中の二重結合の一部を水素添加した部分水添石油樹脂を使用することもできる。水素添加の条件は任意であるが、常圧での沸点が140~280℃の飽和鎖状炭化水素、飽和脂環式炭化水素、芳香族炭化水素より選ばれた1種以上の溶剤と石油樹脂とを混合し、ニッケル、モリブデン、コバルト、パラジウム、白金等を含む一般的な水素化触媒を使用し、反応温度150~320℃、反応圧力3~30MPa、反応時間1~10時間の条件で反応を行う。
分子内に二重結合を有するC5系、C9系、C5/C9系石油樹脂の市販品としては、ENEOS(株)製ネオレジンEP-140 (軟化点:140℃)、丸善石油化学(株)製マルカレッツM-890A (軟化点:105℃)、丸善石油化学(株)製マルカレッツM-845A (軟化点:145℃)ENEOS(株)製T-REZ RB093(軟化点:92℃)、ENEOS(株)製T-REZ RB100(軟化点:98℃)、ENEOS(株)製T-REZ RC093(軟化点:93℃)、ENEOS(株)製T-REZ RC100(軟化点:97℃)、ENEOS(株)製T-REZ RC115(軟化点:112℃)、ENEOS(株)製T-REZ RD104(軟化点:102℃)、ENEOS(株)製T-REZ PR802(軟化点:89℃)、日本ゼオン(株)製 Quintone B170(軟化点:70℃)、日本ゼオン(株)製 Quintone M100(軟化点:95℃)、日本ゼオン(株)製 Quintone R100(軟化点:96℃)、日本ゼオン(株)製 Quintone A100(軟化点:100℃)、日本ゼオン(株)製 Quintone RX110(軟化点:110℃)、Exxon Mobil Chemical製 Escorez 1102(軟化点:100℃)、Exxon Mobil Chemical製 Escorez 1304(軟化点:94℃)、Exxon Mobil Chemical製 Escorez 1310LC(軟化点:100℃)、Exxon Mobil Chemical製 Escorez 1315(軟化点:115℃)、KOLON Indutries製 HIKOREZ A-1100(軟化点:98℃)、KOLON Indutries製 HIKOREZ A-1115(軟化点:112℃)、KOLON Indutries製 HIKOREZ A-2115(軟化点:112℃)、KOLON Indutries製 HIKOREZ C-1100(軟化点:98℃)等が挙げられる。
(含硫黄炭化水素重合体の製造方法)
含硫黄炭化水素重合体は、不飽和炭化水素を無溶媒下で加熱しながら溶融状態で硫黄と反応させることにより製造することができる。加熱反応を溶媒中ではなく無溶媒下で行うことで、含硫黄炭化水素重合体の重量平均分子量を小さくしながら、分子量のばらつきを小さくすることができる。また、加熱反応の条件は、特に限定されず適宜設定することができるが、好ましくは90~160℃で、より好ましくは100~150℃で、さらに好ましくは100~140℃で、反応時間は好ましくは0.5~10時間、より好ましくは1~8時間である。なお、加熱反応の条件を調節することで、含硫黄炭化水素重合体の重量平均分子量を調節することができる。
上記の製造方法によれば、副反応を抑制することができるため、含硫黄炭化水素重合体の収率が向上し、精製工程を経ずにそのままゴム用組成物に配合することができる。
石油樹脂に対する硫黄の添加量は特に限定されないが、不飽和炭化水素の不飽和結合(二重結合)当たり、0.1当量以上、好ましくは0.3~5当量の割合であることが好ましい。
本発明においては、不飽和脂環式炭化水素としてノルボルネン骨格を有する化合物、特にジシクロペンタジエンを用いることが好ましい。さらに、ジシクロペンタジエンのノルボルネン骨格上の二重結合が硫黄と反応することが好ましく、ノルボルネン骨格上の二重結合のみが硫黄と反応することがより好ましい。ノルボルネン骨格上の二重結合が硫黄と反応して消費されたことは、H-NMRにより確認することができる。
(充填剤)
充填剤としては、シリカ、カーボンブラック、および硫酸バリウム等が挙げられ、シリカおよびカーボンブラックの少なくとも1種を用いることが好ましく、シリカを用いることがより好ましい。
(シリカ)
シリカとしては、特に限定されないが、例えば、乾式法シリカ、湿式法シリカ、コロイダルシリカ、および沈降シリカ等が挙げられる。これらの中でも、含水ケイ酸を主成分とする湿式法シリカが好ましい。これらのシリカは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
シリカの比表面積は、特に制限されないが、窒素吸着比表面積(BET法)で通常10~400m/g、好ましくは20~300m/g、更に好ましくは120~190m/gの範囲である。シリカの比表面積が上記数値範囲内であれば、機械的特性等を向上させることができる。ここで、窒素吸着比表面積は、ASTM D3037-81に準じ、BET法で測定される値である。
(シランカップリング剤)
シリカを配合する場合には、シランカップリング剤を配合することが好ましい。シランカップリング剤としては、公知のシランカップリング剤を用いることができる。例えば、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン(3-octanoylthio-1-propyltriethoxysilane))およびその単独縮合物もしくは3-メルカプトプロピルトリエトキシシランとの共縮合物が挙げられる。ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィドは、市販されているものを使用してもよく、例えば、エボニック社製のSi-69が挙げられる。また、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィドについても、市販されているものを使用してもよく、例えば、エボニック社製のSi-75が挙げられる。また、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン(3-octanoylthio-1-propyltriethoxysilane))は、市販されているものを使用してもよく、例えば、モメンティブ社製のNXT-シランが挙げられる。また、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン(3-octanoylthio-1-propyltriethoxysilane))の縮合物は、市販されているものを使用してもよく、例えば、モメンティブ社製のNXT-Z45シランが挙げられる。シランカップリング剤の含有量は、シリカ量の1~30質量%が好ましく、2~20質量%がより好ましい。
(その他の加工助剤)
本発明のゴム組成物は、その機能を損なわない範囲で、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、老化防止剤、軟化剤、酸化防止剤、及び着色剤等のその他の加工助剤を含んでいてもよい。
加硫剤としては、粉末硫黄、沈降性硫黄、高分散性硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等の硫黄系加硫剤や、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、リサージ、p-キノンジオキシム、p-ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ-p-ベンゾキノン、ポリ-p-ジニトロベンゼン、メチレンジアニリン、フェノール樹脂、臭素化アルキルフェノール樹脂、塩素化アルキルフェノール樹脂等が挙げられる。加硫剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して好ましくは0.1~10質量部であり、より好ましくは1~5質量部である。
加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)等のチウラム系、ヘキサメチレンテトラミン等のアルデヒド・アンモニア系、ジフェニルグアニジン(DPG)等のグアニジン系、2-メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルジサルファイド(DM)等のチアゾール系、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアマイド(CBS)、N-t-ブチル-2-ベンゾチアジルスルフェンアマイド(BBS)等のスルフェンアミド系、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnPDC)等のジチオカルバミン酸塩系挙げられる。加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1~10質量部であり、より好ましくは1~5質量部である。
加硫促進助剤としては、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ステアリン酸、アクリル酸、マレイン酸等の脂肪酸、酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、酪酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、アクリル酸亜鉛、マレイン酸亜鉛等の脂肪酸亜鉛、およびそれらの塩である脂肪酸亜鉛塩、ならびに酸化亜鉛等が挙げられる。加硫促進助剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1~10質量部であり、より好ましくは1~5質量部である。
老化防止剤としては、例えば、脂肪族および芳香族のヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系等の化合物が挙げられる。老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1~10質量部であり、より好ましくは1~5質量部である。
酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。酸化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1~10質量部であり、より好ましくは1~5質量部である。
軟化剤としては、従来公知のものを用いることができ、特に制限されるものではないが、アロマオイル、パラフィンオイル、ナフテンオイル等の石油系軟化剤や、パーム油、ひまし油、綿実油、大豆油等の植物系軟化剤等が挙げられる。使用の際にはこれらの中から1種単独で又は2種以上を適宜選択使用すればよい。軟化剤を含有する場合には、取り扱い容易性の観点から、上述した軟化剤の中でも、25℃等の常温で液体であるもの、例えば、アロマオイル、パラフィンオイル、ナフテンオイル等の石油系軟化剤を含有することが好ましく、特にアロマオイルが好ましい。軟化剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して好ましくは10~200質量部であり、より好ましくは20~100質量部である。
着色剤としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等の無機顔料、アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。着色剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1~10質量部であり、より好ましくは1~5質量部である。
その他の加工助剤は、公知のゴム用混練機、例えば、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー等でゴム成分と混練し、任意の条件で加硫してゴム組成物として使用することができる。その他の加工助剤の添加量は、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な含有量とすることができる。
[ゴム組成物の製造方法]
本発明のゴム組成物の製造方法は、少なくとも上記のゴム成分と上記のゴム用添加剤とを混練する工程を含んでなる。ゴム組成物の製造方法は、好ましくは、さらに上記の加硫剤を混練する工程を含んでなるものであってもよい。より好ましくは、さらに該加硫剤と上記の加硫促進剤を混練する工程を含んでなるものであってもよい。
また、ゴム組成物の製造方法は、ゴム組成物の機能を損なわない範囲で、上記のその他の加工助剤を適宜配合して、混練することができる。
ゴム組成物の製造には、従来公知の混練装置を用いることができ、混練温度や時間、配合順序等を適宜選択することができる。
[タイヤ製品]
本発明のゴム組成物を用いて、従来公知の方法および当業者に広く知られた技術常識によりタイヤ製品を製造することができる。タイヤ製品としては、タイヤやその他の関連部材が挙げられる。例えば、ゴム組成物を押し出し、次いで、タイヤ成型機を用いて成形した後、加硫機を用いて加熱、加圧することにより架橋が形成され、タイヤを製造することができる。本発明のゴム組成物を用いて製造したタイヤは耐摩耗性が向上し、さらに、ウェットグリップ性に優れるか、または、耐カット性および耐チッピング性に優れる。
タイヤの用途としては、特に制限はなく、例えば、乗用車用タイヤ、重荷重用タイヤ、モーターサイクル(自動二輪車)用タイヤ、およびスタッドレスタイヤ等が挙げられる。これらの中でも、重荷重用タイヤに好適に使用できる。重荷重用タイヤの中でも、トラックタイヤ、バスタイヤ、ジャイアントタイヤ、および鉱山用タイヤに特に好適に使用できる。
タイヤの形状、構造、大きさ及び材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、本発明のゴム組成物はタイヤの各部に適用することができる。タイヤの適用部としては、特に制限はなく、サイドウォール、タイヤトレッド、カーカス、インナーライナー、アンダートレッド、ベルト部など、目的に応じて適宜選択することができる。これらの中でも、サイドウォールおよびタイヤトレッドが特に好適である。
[ゴム製品]
本発明のゴム組成物を用いて、タイヤ製品以外のゴム製品を製造することもできる。タイヤ以外のゴム製品としては、自動車用ゴム部品(外装、内装、ウェザーストリップ類、ブーツ類、マウント類、シール類、シーラー類、ガスケット類)、ホース、ベルト、シート、防振ゴム、ローラー、ライニング、ゴム引布、シール材、手袋、防舷材、医療用ゴム(シリンジガスケット、チューブ、カテーテル)、ガスケット(家電用、建築用)、アスファルト改質剤、グリップ類、玩具、靴、サンダル、キーパッド、ギア、ペットボトルキャプライナー等が挙げられる。
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(調製例1)
・含硫黄炭化水素重合体Aの合成
300ml二口ナスフラスコに、石油樹脂A(Mw:810、Mw/Mn:1.74、軟化点85℃、ヨウ素価(JIS K0070準拠):185.0、DCPD含有不飽和炭化水素の重合体)90gを入れて、130℃に加熱し、溶融状態とした。次に、フラスコ内に硫黄8.7gを入れて、3時間撹拌した。反応完了後、反応物をアルミ皿に流し出し自然放冷した。
その後、得られた反応物のH-NMR解析を行い、5.8ppm付近のノルボルネン骨格上の二重結合の消費を確認した。また、反応物をGPC解析した結果、Mw:1,220、Mw/Mn:2.10であった。元素分析の結果、硫黄量は8.9質量%であり、ノルボルネン骨格上の二重結合量当たり3.01個の硫黄分子の導入を確認した。
(調製例2)
・炭化水素重合体Bの合成
ナフサクラッカーから得られるC5留分およびC9留分を原料モノマーとして、酸触媒による重合工程、残触媒の中和工程、軽質分の除去工程を経て、芳香族分12%、軟化点90℃、Mw1300の石油樹脂を得た。
<試験例1>
[実施例1]
以下の各成分を、250mLニーダー(東洋精機社製ラボプラストミル)を用いて混練し、ゴム組成物を得た。実施した混練操作の詳細は以下の(i)~(iii)の通りである。
(i)ミキサー混練:130℃に加熱した密閉式加圧ニーダーへゴム成分を投入し、30rpmで1分間素練りを行った後、シリカ、酸化亜鉛、ステアリン酸、および老化防止剤の混合物の1/2量を測り取ったものと、シランカップリング剤1の全量および含硫黄炭化水素重合体Aの全量を投入し、50rpmに回転数を上げて1分30秒間混練を行った。さらに残りの1/2量の前記シリカ、酸化亜鉛、ステアリン酸、および老化防止剤の混合物を加えて、5分30秒間混練を行い、放出した。
(ii)リミル:シリカの分散をよくするために、120℃に加熱した密閉式加圧ニーダーへ放出して十分温度が下がった混練物を、さらに50rpmで2分間混練を行った後、放出した。
(iii)ロール混練(加硫系添加):放出して十分温度が下がった後、2本ロールで上述の混練物に硫黄、加硫促進剤等を加え、混練し、ゴム組成物を得た。
・天然ゴム(NR、Tg:-70℃) 100質量部
・シリカAQ(東ソー社製、商品名:ニップシールAQ) 70質量部
・酸化亜鉛3号(東邦亜鉛社製、商品名:銀嶺R) 3質量部
・ステアリン酸(新日本理化製、商品名:ステアリン酸300) 1質量部
・老化防止剤(大内新興化学社製、商品名:ノクラック6C) 1質量部
・シランカップリング剤1(エボニック社製、商品名:Si69) 5.6質量部
・含硫黄炭化水素重合体A 15質量部
・硫黄(細井化学社製、5%油処理硫黄) 2質量部
・加硫促進剤1(大内新興化学社製、商品名:ノクセラーCZ) 2質量部
・加硫促進剤2(大内新興化学社製、商品名:ノクセラーD) 1.5質量部
[比較例1]
含硫黄炭化水素重合体Aの代わりに炭化水素重合体B(硫黄非含有)15質量部を添加し、硫黄の添加量を2.5質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、ゴム組成物を得た。
[実施例2]
シランカップリング剤1(Si69)の代わりにシランカップリング剤2(エボニック社製、商品名:Si-75)5.6質量部を添加した以外は実施例1と同様にして、ゴム組成物を得た。
[実施例3]
シランカップリング剤1(Si69)の代わりにシランカップリング剤3(エボニック社製、商品名:Si-363)5.6質量部を添加した以外は実施例1と同様にして、ゴム組成物を得た。
[実施例4]
シランカップリング剤1(Si69)の代わりにシランカップリング剤4(モメンティブ社製、商品名:NXT-シラン)5.6質量部を添加した以外は実施例1と同様にして、ゴム組成物を得た。
[実施例5]
シランカップリング剤1(Si69)の代わりにシランカップリング剤5(モメンティブ社製、商品名:NXT-Z45シラン)5.6質量部を添加した以外は実施例1と同様にして、ゴム組成物を得た。
[比較例2]
ゴム成分として、NRの添加量を30質量部に変更し、SBR(Tg:-27℃)70質量部を添加した以外は比較例1と同様にして、ゴム組成物を得た。
[比較例3]
炭化水素重合体Bの代わりに含硫黄炭化水素重合体A15質量部を添加し、硫黄の添加量を2質量部に変更した以外は比較例2と同様にして、ゴム組成物を得た。
[実施例6]
シリカの添加量を40質量部に変更し、カーボンブラック(ASTMコード:N339、東海カーボン社製、商品名:シ―ストKH)30質量部を添加した以外は実施例1と同様にして、ゴム組成物を得た。
[比較例4]
含硫黄炭化水素重合体Aの代わりに炭化水素重合体B15質量部を添加し、硫黄の添加量を2.5質量部に変更した以外は実施例6と同様にして、ゴム組成物を得た。
[実施例7]
シリカの添加量を30質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、ゴム組成物を得た。
[比較例5]
含硫黄炭化水素重合体Aの代わりに炭化水素重合体B15質量部を添加し、硫黄の添加量を2.5質量部に変更した以外は実施例7と同様にして、ゴム組成物を得た。
[実施例8]
ゴム成分として、NRの添加量を60質量部に変更し、BR(Tg:-100℃)40質量部を添加した以外は実施例1と同様にして、ゴム組成物を得た。
[比較例6]
含硫黄炭化水素重合体Aの代わりに炭化水素重合体B15質量部を添加し、硫黄の添加量を2.5質量部に変更した以外は実施例8と同様にして、ゴム組成物を得た。
[実施例9]
ゴム成分として、NRの添加量を60質量部に変更し、SBR40質量部を添加した以外は実施例1と同様にして、ゴム組成物を得た。
[比較例7]
含硫黄炭化水素重合体Aの代わりに炭化水素重合体B15質量部を添加し、硫黄の添加量を2.5質量部に変更した以外は実施例9と同様にして、ゴム組成物を得た。
[物性評価]
実施例1~9および比較例1~7で得られたゴム組成物を用いて、下記の測定を行った。なお、各ゴム成分のTgは、示差走査熱量測定装置(DSC、日立ハイテクサイエンス製、型番:DSC7000X)を用いて、サンプル量:約10mg、流通条件:窒素ガス40ml/分、昇温速度:20℃/分の条件で測定した値である。
(引張強度)
各ゴム組成物42gを金型(150mm×150mm×1mm)に入れて、160℃、20MPaの条件で、40分間加熱加圧して、1mm厚のゴムシート(厚さ1mm、縦150mm、横150mm)を得た。各ゴムシートから3号ダンベル状の試験片を打ち抜き、引張速度500mm/分での引張試験をJIS K6251(2010年発行)に準拠して行い、100%モジュラス[MPa]を室温(25℃)にて測定した。なお、各実施例および各比較例では、各ゴムシートの架橋密度の指標である100%モジュラスの値を概ね近い値になるように調節した上で他の物性を確認した。
(摩耗量)
各ゴム組成物15gを、直径16.0mm、厚さ8mmの円盤状の試料となるようにそれぞれ成型した。次に、得られた円盤状の試料をそれぞれ用いて、JIS K6264-2(2005年発行)に準拠して、DIN摩耗試験機(回転円筒型摩耗試験機:安田精機社製の商品名「DIN摩耗試験機」)を用いて、温度:室温(25℃)、荷重:2.5N、ドラム回転速度:40rpm、試料横送り速度:2.8mm/secの条件で耐摩耗試験を行って、摩耗量(体積基準:摩耗前の総体積に対する試験により摩耗した体積の割合(体積%))を測定した。なお、摩耗量が少ない方が、耐摩耗性に優れることを示す。
(ウェットグリップ性)
上記で得られた各ゴムシートについて、粘弾性測定装置(UBM社製REOGEL E-4000)を用い、JIS K 6394に準拠して、引張モードで、歪約0.1%、周波数10Hzの条件下において、測定温度0℃におけるtanδを測定した。tanδ(0℃)の値が高い方がウェットグリップ性に優れることを示す。
以上の測定結果を表1および2に表す。なお、耐摩耗性およびウェットグリップ性の各結果について、実施例1~5は比較例1における各値を100とした場合の相対値として記載し、比較例3は比較例2における各値を100とした場合の相対値として記載し、実施例6は比較例4における各値を100とした場合の相対値として記載し、実施例7は比較例5における各値を100とした場合の相対値として記載し、実施例8は比較例6における各値を100とした場合の相対値として記載し、実施例9は比較例7における各値を100とした場合の相対値として記載した。
Figure 2024027437000001
Figure 2024027437000002
実施例1~5および比較例1の結果、実施例6および比較例4の結果、ならびに実施例7および比較例5の結果から、ガラス転移温度が-70℃であるゴム成分に対して硫黄非含有の炭化水素重合体Bの代わりに含硫黄炭化水素重合体Aを添加することで、得られたゴムシートは、タイヤの耐摩耗性およびウェットグリップ性が非常に優れていた。
比較例2および比較例3の結果から、ガラス転移温度が-40℃のゴム成分に対して硫黄非含有の炭化水素重合体Bの代わりに含硫黄炭化水素重合体Aを添加したところ、得られたゴムシートは、耐摩耗性およびウェットグリップ性が改善しなかった。
実施例8および比較例6の結果から、ガラス転移温度が-82℃であるゴム成分に対して硫黄非含有の炭化水素重合体Bの代わりに含硫黄炭化水素重合体Aを添加することで、得られたゴムシートは、耐摩耗性およびウェットグリップ性が非常に優れていた。
実施例9および比較例7の結果から、ガラス転移温度が-53℃であるゴム成分に対して硫黄非含有の炭化水素重合体Bの代わりに含硫黄炭化水素重合体Aを添加することで、得られたゴムシートは、耐摩耗性およびウェットグリップ性が非常に優れていた。
よって、本発明のゴム組成物を用いることで、耐摩耗性およびウェットグリップ性に優れたタイヤを製造できることが判明した。
<試験例2>
[実施例10]
以下の各成分を、250mLニーダー(東洋精機社製ラボプラストミル)を用いて混練し、ゴム組成物を得た。実施した混練操作の詳細は以下の(i)~(iii)の通りである。
(i)ミキサー混練:130℃に加熱した密閉式加圧ニーダーへゴム成分を投入し、30rpmで1分間素練りを行った後、カーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、および老化防止剤の混合物の1/2量を測り取ったものと、含硫黄炭化水素重合体Aの全量を投入し、50rpmに回転数を上げて1分30秒間混練を行った。さらに残りの1/2量の前記カーボンブラック、酸化亜鉛、ステアリン酸、および老化防止剤の混合物を加えて、5分30秒間混練を行い、放出した。
(ii)リミル:カーボンブラックの分散をよくするために、120℃に加熱した密閉式加圧ニーダーへ放出して十分温度が下がった混練物を、さらに50rpmで2分間混練を行った後、放出した。
(iii)ロール混練(加硫系添加):放出して十分温度が下がった後、2本ロールで上述の混練物に硫黄、加硫促進剤等を加え、混練し、ゴム組成物を得た。
・天然ゴム(NR、Tg:-70℃) 100質量部
・カーボンブラック(ASTMコード:N339、東海カーボン社製、商品名:シ―ストKH) 20質量部
・酸化亜鉛3号(東邦亜鉛社製、商品名:銀嶺R) 3質量部
・ステアリン酸(新日本理化製、商品名:ステアリン酸300) 1質量部
・老化防止剤(大内新興化学社製、商品名:ノクラック6C) 1質量部
・含硫黄炭化水素重合体A 15質量部
・硫黄(細井化学社製、5%油処理硫黄) 2質量部
・加硫促進剤1(大内新興化学社製、商品名:ノクセラーCZ) 2質量部
[比較例8]
含硫黄炭化水素重合体Aの代わりに炭化水素重合体B(硫黄非含有)15質量部を添加し、硫黄の添加量を2.5質量部に変更した以外は実施例10と同様にして、ゴム組成物を得た。
[実施例11]
カーボンブラックの添加量を100質量部に変更した以外は実施例10と同様にして、ゴム組成物を得た。
[比較例9]
含硫黄炭化水素重合体Aの代わりに炭化水素重合体B15質量部を添加し、硫黄の添加量を2.5質量部に変更した以外は実施例11と同様にして、ゴム組成物を得た。
[実施例12]
カーボンブラックの添加量を50質量部に変更し、シリカ(東ソー社製、商品名:ニップシールAQ)30質量部を添加し、シランカップリング剤1(エボニック社製、商品名:Si69)5.6質量部を添加し、加硫促進剤2(大内新興化学社製、商品名:ノクセラーD)1.5質量部を添加した以外は実施例10と同様にして、ゴム組成物を得た。
[比較例10]
含硫黄炭化水素重合体Aの代わりに炭化水素重合体B15質量部を添加し、硫黄の添加量を2.5質量部に変更した以外は実施例12と同様にして、ゴム組成物を得た。
[実施例13]
シリカの添加量を70質量部に変更し、カーボンブラックの添加量を10質量部に変更した以外は実施例12と同様にして、ゴム組成物を得た。
[比較例11]
含硫黄炭化水素重合体Aの代わりに炭化水素重合体B15質量部を添加し、硫黄の添加量を2.5質量部に変更した以外は実施例13と同様にして、ゴム組成物を得た。
[実施例14]
シランカップリング剤1(Si69)の代わりにシランカップリング剤2(エボニック社製、商品名:Si-75)5.6質量部を添加した以外は実施例13と同様にして、ゴム組成物を得た。
[実施例15]
シランカップリング剤1(Si69)の代わりにシランカップリング剤3(エボニック社製、商品名:Si-363)5.6質量部を添加した以外は実施例13と同様にして、ゴム組成物を得た。
[実施例16]
シランカップリング剤1(Si69)の代わりにシランカップリング剤4(モメンティブ社製、商品名:NXT-シラン)5.6質量部を添加した以外は実施例13と同様にして、ゴム組成物を得た。
[実施例17]
シランカップリング剤1(Si69)の代わりにシランカップリング剤5(モメンティブ社製、商品名:NXT-Z45シラン)5.6質量部を添加した以外は実施例13と同様にして、ゴム組成物を得た。
[比較例12]
ゴム成分として、NRの添加量を30質量部に変更し、SBR(Tg:-27℃)70質量部を添加し、カーボンブラックを添加しなかった以外は比較例11と同様にして、ゴム組成物を得た。
[比較例13]
炭化水素重合体Bの代わりに含硫黄炭化水素重合体A15質量部を添加し、硫黄の添加量を2質量部に変更した以外は比較例12と同様にして、ゴム組成物を得た。
[実施例18]
ゴム成分として、NRの添加量を60質量部に変更し、SBR(Tg:-27℃)40質量部を添加した以外は実施例12と同様にして、ゴム組成物を得た。
[比較例14]
含硫黄炭化水素重合体Aの代わりに炭化水素重合体B15質量部を添加し、硫黄の添加量を2.5質量部に変更した以外は実施例18と同様にして、ゴム組成物を得た。
[実施例19]
ゴム成分として、NRの添加量を60質量部に変更し、BR(Tg:-100℃)40質量部を添加した以外は実施例12と同様にして、ゴム組成物を得た。
[比較例15]
含硫黄炭化水素重合体Aの代わりに炭化水素重合体B15質量部を添加し、硫黄の添加量を2.5質量部に変更した以外は実施例19と同様にして、ゴム組成物を得た。
[実施例20]
シリカ、シランカップリング剤1、および加硫促進剤2を添加しなかった以外は実施例19と同様にして、ゴム組成物を得た。
[比較例16]
含硫黄炭化水素重合体Aの代わりに炭化水素重合体B15質量部を添加し、硫黄の添加量を2.5質量部に変更した以外は実施例20と同様にして、ゴム組成物を得た。
[物性評価]
実施例10~20および比較例8~16で得られたゴム組成物を用いて、下記の測定を行った。なお、各ゴム成分のTgは、示差走査熱量測定装置(DSC、日立ハイテクサイエンス製、型番:DSC7000X)を用いて、サンプル量:約10mg、流通条件:窒素ガス40ml/分、昇温速度:20℃/分の条件で測定した値である。
(引張強度)
各ゴム組成物42gを金型(150mm×150mm×1mm)に入れて、160℃、20MPaの条件で、40分間加熱加圧して、1mm厚のゴムシート(厚さ1mm、縦150mm、横150mm)を得た。各ゴムシートから3号ダンベル状の試験片を打ち抜き、引張速度500mm/分での引張試験をJIS K6251(2010年発行)に準拠して行い、100%モジュラス[MPa]を室温(25℃)にて測定した。なお、各実施例および各比較例では、各ゴムシートの架橋密度の指標である100%モジュラスの値を概ね近い値になるように調節した上で他の物性を確認した。
(摩耗量)
各ゴム組成物15gを、直径16.0mm、厚さ8mmの円盤状の試料となるようにそれぞれ成型した。次に、得られた円盤状の試料をそれぞれ用いて、JIS K6264-2(2005年発行)に準拠して、DIN摩耗試験機(回転円筒型摩耗試験機:安田精機社製の商品名「DIN摩耗試験機」)を用いて、温度:室温(25℃)、荷重:2.5N、ドラム回転速度:40rpm、試料横送り速度:2.8mm/secの条件で耐摩耗試験を行って、摩耗量(体積基準:摩耗前の総体積に対する試験により摩耗した体積の割合(体積%))を測定した。なお、摩耗量が少ない方が、耐摩耗性に優れることを示す。
(抗張積)
上記の引張強度と同様にして、各ゴムシートから3号ダンベル状の試験片を打ち抜き、JIS K6251(2010年発行)に準拠して、温度20℃、引張速度500mm/分の条件で破断強度(MPa)および破断伸び(%)を測定した。これらの測定結果から、抗張積(=破断強度×破断伸び)を算出した。抗張積が高い方が、タイヤの耐カット性、耐チッピング性に優れることを示す。
以上の測定結果を表3および4に表す。なお、耐摩耗性および抗張積の各結果について、実施例10は比較例8における各値を100とした場合の相対値として記載し、実施例11は比較例9における各値を100とした場合の相対値として記載し、実施例12は比較例10における各値を100とした場合の相対値として記載し、実施例13~17は比較例11における各値を100とした場合の相対値として記載し、比較例13は比較例12における各値を100とした場合の相対値として記載し、実施例18は比較例14における各値を100とした場合の相対値として記載し、実施例19は比較例15における各値を100とした場合の相対値として記載し、実施例20は比較例16における各値を100とした場合の相対値として記載した。
Figure 2024027437000003
Figure 2024027437000004

Claims (15)

  1. ガラス転移温度が-90℃以上-50℃未満であるゴム成分と、
    含硫黄炭化水素重合体を含むゴム用添加剤と、
    を含み、
    前記ゴム成分が、イソプレン系ゴムを50質量%以上含み、
    前記含硫黄炭化水素重合体が、不飽和炭化水素の重合体と硫黄との反応生成物であり、前記不飽和炭化水素が脂環式不飽和化合物を含み、
    前記含硫黄炭化水素重合体の重量平均分子量が500以上4000以下である、ゴム組成物。
  2. 前記脂環式不飽和炭化水素が、ノルボルネン骨格を有する化合物を含む、請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記ノルボルネン骨格を有する化合物が、ジシクロペンタジエンを含む、請求項2に記載のゴム組成物。
  4. 前記ノルボルネン骨格中の不飽和結合が硫黄と反応してなる、請求項2に記載のゴム組成物。
  5. 前記含硫黄炭化水素重合体の重量平均分子量が700以上2000以下である、請求項1に記載のゴム組成物。
  6. 前記イソプレン系ゴムが、天然ゴムを含む、請求項1に記載のゴム組成物。
  7. 充填剤をさらに含む、請求項1に記載のゴム組成物。
  8. 前記充填剤が、シリカおよびカーボンブラックからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項7に記載のゴム組成物。
  9. 前記充填剤の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して5質量部以上100質量部以下である、請求項7に記載のゴム組成物。
  10. 前記ゴム用添加剤が、タイヤの耐摩耗性向上剤である、請求項1~9のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  11. タイヤ用である、請求項1~9のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  12. 少なくともゴム成分とゴム用添加剤とを混練する工程を含む、ゴム組成物の製造方法であって、
    前記ゴム成分のガラス転移温度が-90℃以上-50℃未満であり、
    前記ゴム成分が、イソプレン系ゴムを50質量%以上含み、
    前記ゴム用添加剤が、含硫黄炭化水素重合体を含み、
    前記含硫黄炭化水素重合体が、不飽和炭化水素の重合体と硫黄との反応生成物であり、前記不飽和炭化水素が脂環式不飽和化合物を含み、
    前記含硫黄炭化水素重合体の重量平均分子量が500以上4000以下である、ゴム組成物の製造方法。
  13. 請求項1~9のいずれか一項に記載のゴム組成物を用いて製造されたタイヤ製品。
  14. 前記タイヤ製品が、サイドウォールまたはタイヤトレッドである、請求項13に記載のタイヤ製品。
  15. 前記タイヤ製品が、重荷重用タイヤである、請求項13に記載のタイヤ製品。
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