JP2024026904A - 水分散体、これを含む塗液、この塗液を用いたフィルムの製造方法、及び水分散体を利用した機能性粒子製造方法。 - Google Patents

水分散体、これを含む塗液、この塗液を用いたフィルムの製造方法、及び水分散体を利用した機能性粒子製造方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】生分解性樹脂の水分散体には、経時安定性や接着性(ヒートシール性)の更なる向上が求められている。【解決手段】生分解性樹脂を含む分散質を水系の分散媒へ分散させてなる水系分散体であって、分散質にはカルボジイミド化合物が含まれ、かつ、分散媒にはpH調整剤が含まれる、水分散体を提案する。分散質におけるカルボジイミド化合物の配合割合は生分解性樹脂に対して質量比で0.6~5.5%とすることが好ましく、かつpH調整剤により分散媒のpHは4.0~8.0に調整されることが好ましい。【選択図】 図1

Description

本発明は水分散体、これを含む塗液、この塗液を用いたフィルムの製造方法、及び水分散体を利用した機能性粒子製造方法に関する。
生分解性樹脂を含んだ粒子を分散質として、これを水系の分散媒に分散させた水分散体(以下、単に「水分散体」ということがある)が知られている。
水に分散された生分解性樹脂はそれ自体が加水分解されるので、かかる水分散体を工業的に利用するためには、運搬や保管に要する時間を考慮して、生分解性樹脂の加水分解に伴う分子量低下(酸価数の上昇)を抑制する必要がある。
生分解性樹脂の分子量低下抑制剤としてカルボジイミド化合物が広く知られている(特許文献1)。例えば、生分解性樹脂がポリ乳酸の場合、カルボジイミド化合物は、加水分解後のポリ乳酸の末端(カルボン酸)と反応し架橋剤として働くことで、ポリ乳酸の分子量低下(酸価数の上昇)を抑制することができる。更に、ポリ乳酸が加水分解した際に生じる分解物(カルボン酸)はポリ乳酸に対する加水分解の触媒として機能するため、カルボジイミド化合物がその分解物(カルボン酸)と反応することで、加水分解の促進を抑制することができる。上記2点より、カルボジイミド化合物は、生分解性樹脂(ポリ乳酸などのポリエステル樹脂)の加水分解に伴う分子量低下(酸価数の上昇)を抑制することができる。また、特許文献2には、かかるカルボジイミド化合物を水分散体に適用した例が記載されている。
特許文献3にも、水分散体の加水分解に伴う分子量低下(酸価数の上昇)の抑制を目的としてカルボジイミド化合物を用いる例が記載されている。また、この特許文献3には、水分散体の経時安定性や得られる被膜の接着性を高める目的で水系の分散媒のpH調整が行われている。
特許第3776578号公報 特許第4077670号公報 特開2004-331847号公報
かかる生分解性樹脂の水分散体には、経時安定性の更なる向上が求められている。
ところで、水分散体の分散質を構成する生分解性樹脂にカルボジイミド化合物を添加し、かつ水系の分散質へpH調整剤を添加した例は、本発明者らの知る限りにおいて、存在しない。
つまり、生分解性樹脂からなる分散質へカルボジイミド化合物を添加し、かつ水系分散媒にpH調整剤を添加してなる水分散体がいかなる特性を備えるものか、本願発明前には不明であった。
換言すれば、かかる水分散体によれば、カルボジイミド化合物の奏する作用とpH調整剤が奏する作用が、ともに引き出されるのか、更には相乗的な効果が得られるのか、又はこれら効果が相殺されるのか、予断できなかった。
本発明者らは、分散質を構成する生分解性樹脂にカルボジイミド化合物を添加し、かつ水系の分散質へpH調整剤を添加してなる水分散体を調製し、その特性を調べた。
その結果、当該水分散体によれば経時安定性が向上することを突き止めた。
他方、本発明者らは特定のカルボジイミド化合物を選択することにより、pH調整剤が無くとも、水分散体の経時安定性を6ヶ月まで維持できることを見出している。より具体的には、カルボジイミド化合物としてカルボジイミド変性イソシアネート化合物を選択し、分散質においてこのカルボジイミド化合物を生分解性樹脂に対して0.6~5.5質量%配合している。
かかる水分散体の水系分散媒へpH調整剤を添加して、分散媒のpHを4.0~8.0にすると、経時安定性が3/2倍となり、8カ月経過後まで生分解性樹脂の加水分解に伴う酸価数の上昇を抑制できた。
図1に、各種水分散体とその経時安定性を示す。生分解性樹脂(ポリ乳酸)が加水分解されると酸(カルボン酸)が生成するので、加水分解が進むにつれて水分散体の酸価数が大きくなる。図1では、水分散体を作製した日からの経過時間を横軸に、水分散体の酸価数の変化を縦軸に示している。
図1の結果から、カルボジイミド化合物を分散質に添加したが、pH調整剤を水系分散媒に添加しない比較例2は、カルボジイミド化合物を分散質に添加せずかつpH調整剤を水系分散媒に添加しない(比較例1)に比べ、当初より加水分解に伴う酸価数の上昇が抑制され、かつその抑制効果は6ヶ月を経過しても維持されていることがわかる。
カルボジイミド化合物を分散質に添加せず、他方pH調整剤を水系分散媒に添加した比較例3は、既述の比較例1に比べ、当初は加水分解に伴う酸価数の上昇が抑制されているものの、短い時間で酸価数上昇の抑制効果が消失し、8カ月を経過した時点で比較例1と同等の酸価数となってしまう。
このように、分散質として生分解性樹脂にカルボジイミド化合物を配合したものを用い、かつpH調整剤を水系分散媒に添加すると、6ヶ月を経過しても加水分解に伴う酸価数の上昇が促進されることはなく、酸価数上昇の抑制が8カ月を経過しても維持されていることがわかる(実施例2、10)。
更には、実施例2、10では、各比較例に比べて、当初より酸価数が抑制されていることもわかる。
以上のことを敷衍すれば、水分散体の分散質を構成する生分解性樹脂にカルボジイミド化合物を添加し、かつ水系の分散質へpH調整剤を添加することで、カルボジイミド化合物の作用とpH調整剤の作用は、相殺されることなく、互いに引き出されることがわかる。換言すれば、専らカルボジイミド化合物による経時安定性の作用がpH調整剤により補強されると考えられる。
そこで、この発明の第1の局面を次のように規定した。即ち、
生分解性樹脂を含む分散質を水系の分散媒へ分散させてなる水系分散体であって、
前記分散質にはカルボジイミド化合物が含まれ、かつ、
前記分散媒にはpH調整剤が含まれる、
水分散体。
図1は各種水分散体の経時安定性を示すグラフである。
以下、この発明の実施の形態について説明する。
この発明の水分散体は分散質を水系の分散媒に分散させたものである。
<分散質>
ここに、分散質には生分解性樹脂、カルボジイミド化合物及びその他の助剤が含まれる。
生分解性樹脂としては、次のものが挙げられる。
ポリ乳酸、乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリ乳酸類、ポリカプロラクトン、カプロラクトンとヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリカプロラクトン類、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、熱可塑性デンプン、ポリマレート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートサクシネート、ポリブチレンテレフタレートサクシネート、ポリヒドロキシアルカン酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリヒドロキシヘキサノエート、ポリエチレンフラノエート等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用して用いることができる。
水系分散体を用いて基体上に形成した生分解性樹脂フィルムが食品包装用に用いられるとき、好適な生分解性樹脂として、ポリ乳酸が挙げられる。
ポリ乳酸を選択したのは、工業的に実用化が進んでおり、その他生分解性樹脂と比較し、安価で食品包装用として好ましいためである。
紙製基体に積層された生分解性樹脂フィルムをヒートシール層として適用する場合、L型とD型のポリ乳酸の配合比は6:94~94:6とすることが好ましい。
この範囲において優れたヒートシール性が得られる。他方、この範囲を外れると結晶化度と融点が上昇するため、低温でヒートシール性を発揮することが困難となるおそれがある。
また、基体上に形成した生分解性樹脂フィルムは、優れた耐水性及び耐油性を有しており、紙製基体に積層することで、耐水紙及び耐油紙として活用することができる。
カルボジイミド化合物としては、多価カルボジイミド化合物を用いることが望ましい。更に好ましくは、カルボジイミド変性イソシアネート化合物、カルボジイミド変性イソシアネート化合物のイソシアネート基とシクロヘキシルアミンのアミノ基を反応させた誘導体が挙げられる。
カルボジイミド変性イソシアネート化合物とは、イソシアネート化合物の一部をカルボジイミド化させたものであり、この発明で用いるカルボジイミド変性イソシアネート化合物としては、次に挙げるイソシアネートをカルボジイミド化したものの重合物を用いることができる。
フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルビフェニレンジイソシアネート、ジメトキシビフェニレンジイソシアネート、テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、4,4’-ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
カルボジイミド変性イソシアネート化合物のイソシアネート基とシクロヘキシルアミンのアミノ基を反応させた誘導体とは、前記化合物の重合体であるカルボジイミド変性イソシアネート化合物のイソシアネート基とシクロヘキシルアミンのアミノ基を反応させた誘導体である。
かかるカルボジイミド変性イソシアネート化合物及びカルボジイミド変性イソシアネート化合物のイソシアネート基とシクロヘキシルアミンのアミノ基を反応させた誘導体の中でも下記式1に示される化合物及び下記式1中のイソシアネート基とシクロヘキシルアミンのアミノ基を反応させた誘導体が好ましい。
[但し、nは2~20の整数]。
カルボジイミド化合物の重合度は、軟化温度及び粘度の観点から2~20、更に好ましくは2~15である。
nが2未満になると、分散質から当該化合物が水媒体へ溶出し、生分解性樹脂の経時安定性が低下するおそれがある。加えて、当該化合物が水媒体へ溶出する事で水系分散体自身がゲル化するなど貯蔵安定性が問題となるおそれもある。他方、nが20を超えると粘度が高くなりすぎて、分散質内において均等に分散させることが困難になる。
カルボジイミド化合物のカルボジイミド当量は、軟化温度及び粘度の観点から200~450Keq、更に好ましくは250~450Keqである。
カルボジイミド当量が200Keq未満になると、粘度が高くなりすぎて、分散質内において均等に分散させることが困難になる。他方、カルボジイミド当量が450Keqを超えると分散質から当該化合物が水媒体へ溶出し、生分解性樹脂の経時安定性が低下するおそれがある。加えて、当該化合物が水媒体へ溶出する事で水系分散体自身がゲル化するなど貯蔵安定性が問題となるおそれもある。
分散質における生分解性樹脂とカルボジイミド化合物との配合比は前者に対して、後者を0.6~5.5質量%とする。更に好ましい配合比は0.6~2.6質量%である。
上記配合比が0.6質量%未満となると、生分解性樹脂に対する経時安定性が十分に発揮されないおそれがある。他方、5.5質量%を超えても使用量に見合う効果は得られず、経済的でない。
分散質には、上記生分解性樹脂とカルボジイミド化合物の他に、助剤として可塑剤を配合することができる。
可塑剤とは、生分解性樹脂を軟化させる助剤であり、軟化させることで、低温でのヒートシール性を容易にすることができる。
可塑剤として次のものが挙げられる。
クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸誘導体、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジプロピオネート等のエーテルエステル誘導体、グリセリントリアセテート、グリセリントリプロピオネート、グリセリントリブチレート等のグリセリン誘導体、エチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等のフタル酸誘導体、アジピン酸2-(2-メトキシエトキシ)エタノール及びベンジルアルコールの反応生成物、アジピン酸と1,4-ブタンジオールとの縮合体等のアジピン酸誘導体、アルキルスルホン酸フェニルエステル、ポリカプロラクトン、ポリプロピオラクトン等のポリヒドロキシカルボン酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用して用いることができる。
可塑剤の配合量はこの水系分散体の用途等に応じて適宜選択されるものであるが、例えば、分散質に対して5.0~15.0質量%とすることができる。
助剤として耐油性向上剤を分散質に配合することができる。
耐油性向上助剤として、スチレン-アクリル共重合体、デンプン、ワックスが挙げられる。
スチレン-アクリル共重合体のスチレン系モノマーとしては、特に限定されず、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、α-エチルスチレン、α-ブチルスチレン、4-メトキシスチレン、ビニルトルエン等を挙げることができる。アクリル系モノマーとしては、特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、3-エトキシプロピルアクリレート、3-エトキシブチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート等のアクリル酸アリールエステル類及びアクリル酸アラルキルエステル類、ジエチレ ングリコール、トリエチレングリコール、グリセリンのような多価アルコールのモノアクリル酸エステル類等を挙げることができる。
デンプンとしては、トウモロコシデンプン、ポテトデンプン、タピオカデンプン、酸価デンプン、リン酸デンプン、エーテル化デンプン、 ジアルデヒド化デンプン、エステル化デンプン等の変性デンプン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用して用いることができる。
ワックスとしては、天然ワックス、合成ワックス等のワックス類を使用することができる。天然ワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ固体ろう等の植物系天然ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系天然ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系天然ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムワックス等の石油系天然ワックス等が挙げられる。また合成ワックスとしては、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素類、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等の変性ワックス、硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体等の水素化ワックス、12-ヒドロキシステアリン酸、植物油脂及び動物性油脂から得られる高級脂肪酸と高級アルコールから合成されるエステルワックス、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用して用いることができる。
耐油性向上助剤の配合量はこの水系分散体の用途等に応じて適宜選択されるものであるが、例えば分散質に対して0.1~15.0質量%とすることができる。
助剤として耐水性向上剤を分散質に配合することができる。
耐水性向上剤として、天然ワックス、合成ワックス等のワックス類が挙げられる。
天然ワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ固体ろう等の植物系天然ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系天然ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系天然ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムワックス等の石油系天然ワックス等が挙げられる。また合成ワックスとしては、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素類、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等の変性ワックス、硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体等の水素化ワックス、12-ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用して用いることができる。
耐水性向上助剤の配合量はこの水系分散体の用途等に応じて適宜選択されるものであるが、例えば分散質に対して0.1~15.0質量%とすることができる。
助剤としてアンチブロッキング性向上剤を分散質に配合することができる。
アンチブロッキング性向上剤として、次のものが挙げられる。
ワックス類、シリコーン樹脂、シリコーンオイル等の有機物、珪藻土、合成シリカ、タルク、セラミック球体 、雲母、カオリンなどの粘土、炭酸カルシウムなどの無機物が挙げられる。特に、アンチブロッキング剤としてワックス類が好ましく、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ固体ろう等の植物系天然ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系天然ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系天然ワックス、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等の変性ワックス、硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体等の水素化ワックス、12-ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド等が挙げられる。
アンチブロッキング性向上剤の配合量はこの水系分散体の用途等に応じて適宜選択されるものであるが、例えば分散質に対して0.1~15.0質量%とすることができる。
<水系分散媒>
水系分散媒とは、水を主体とした分散媒であり、この分散媒にpH調整剤が配合される。
かかるpH調整剤は、塩基性のものであれば特に限定されないが、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、その他の無機塩、アミン類等が挙げられる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸ナトリウム、乳酸カルシウム、 シュウ酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酢酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、塩基性乳酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、アンモニア,メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン,ジエタノールアミン,トリエタノールアミンが挙げられる。なお、pH調整剤には、1種類の塩基性化合物を単独で用いてもよいし、2種類以上の塩基性化合物を併用してもよい。
上記pH調整剤の中でも、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好適であり、更には水酸化ナトリウムが好ましい。
pH調整剤を使用することで、生分解性樹脂中の残留酸モノマー及び、生分解性樹脂が加水分解する際に発生する酸性分解物を中和することができる。酸性物質は加水分解の触媒として作用するため、pH調整剤は生分解性樹脂の加水分解抑制に有用である。
pH調整剤の配合割合は水分散体のpHを全体して4.0~8.0に調整することが好ましい。
この配合割合において、経時安定性の向上がみられた。
更に好ましい範囲は、5.0~7.0である。
水分散体のpHが4.0を下回ると、加水分解にともなう酸の中和が不十分になる。他方、pHが8.0を超えるアルカリ性になるとその塩基が生分解性樹脂の加水分解を助長するおそれがあり、それぞれ好ましくない。
分散媒には分散剤を溶解することができる。
この分散剤は分散質が水中において凝集することを防止するものである。
かかる分散剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、高分子界面活性剤、カチオン性高分子化合物、アニオン性高分子化合物から、1種又は2種以上の混合物として用いることができる。
水系分散体を用いて基体上に形成した生分解性樹脂フィルムが食品包装用に用いられるとき、好適な分散剤として、ポリビニルアルコールやエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロックコポリマーの1種又は混合体を用いることができる。食品安全性が周知されているからである。中でも部分ケン化型ポリビニルアルコールの採用が好ましく、ケン化度は90%以下とすることが好ましい。ケン化度をこの範囲とすることで、ポリビニルアルコールの生分解性を高めることができる。
かかる分散剤の配合量は、水系分散体の使用方法、保管条件、基体上に形成した生分解性樹脂フィルムの用途等に応じて適宜選択されるものであるが、例えば水に対して2.0~10.0質量%とすることができる。
2.0質量%未満であると、分散質が凝集しやすくなり、10.0質量%を超えるとヒートシール性が低下するため、それぞれ好ましくない。
分散媒には、上記分散剤に加えて、次の増粘剤を配合することができる。
増粘剤としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、カチオン化澱粉、エーテル化澱粉等の澱粉誘導体、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム等の植物ガム、カゼイン、キトサン、キチン等の動物性高分子等、ポリエチレングリコール等のポリアルコキシド系高分子、が挙げられる。
増粘剤の配合量はこの水系分散体の用途等に応じて適宜選択されるものであるが、例えば生分解性樹脂水分散体に対して0.1~1.0質量%とすることができる。
水分散体全体における分散質の配合割合は質量比で20~80質量%である。
分散質にカルボジイミド化合物を配合し、かつ分散媒にpH調整剤を添加した系においては水分散体全体における分散質の配合割合を上記の範囲とすることで、工業製品として好適な粘度に調整された水分散体となる。
この配合割合が20質量%以下となると分散質の沈降安定性が悪化し、同じく質量比が80%を超えると粘度が上昇し、工業的な利用に不向きな粘度となり、それぞれ好ましくない。
より好ましい配合割合は質量比で40~60質量%である。
<分散質の調製>
生分解性樹脂とカルボジイミド化合物をミキサーにて溶融撹拌後、組成物を取り出し、粉砕機により、粉末状態にした。
<水系分散媒の調製>
ホモディスパーを用いて、分散剤を水に溶解させた。
<水系分散媒に対する分散質の分散方法>
混合物の微粒子を得る方法としては、転相乳化法が好ましく、転相乳化で微粒子を得る場合、大きなせん断力が必要となるため、公知な機械乳化法である、コロイドミル、ホモミキサー、ホモジナイザー、各種押出機、ニーダールーダー、3軸遊星分散機等の使用が挙げられる。
<水分散体の適用例>
このようにして得られた水系分散体は次のようにして紙製基体の表面に塗工され、そこに生分解性樹脂フィルムを形成する。
水系分散体を紙製基体(日本製紙(株)社製:NPI上質)に塗工量10g/m(乾燥質量)となるようバーコーターを用いて片面塗工し、130℃で180秒間乾燥することでヒートシール層を基体シート上に作製した。
このようにして得られた紙製基体と生分解性樹脂フィルムとの積層体を、フィルムどうしを対向させて、基体側から熱を与えることでフィルムを融解し、ヒートシールをすることができる。
ヒートシールに要する温度及び時間は、生分解性樹脂の融点に応じて適宜選択される。
ポリ乳酸を選択した場合は、100~120℃で1~2秒の加熱を行う。
農薬や肥料等の機能性粒子の表面へ上記水分散体の被膜を形成し、その後、乾燥して被膜から水を除去することで、機能性粒子の表面を生分解性樹脂膜で被覆することができる。
機能性粒子の表面へ水分散体の被膜を形成する方法は特に限定されないが、例えばスプレー塗布などの周知の方法を採用できる。
水分散体の被膜から水分を除去する方法は、機能性粒子の機能に影響を与えない条件下、任意の方法を採用できる。
以下、この発明の実施例の説明をする。
(実施例1)
ポリ乳酸(トタルコービオン(株)社製 LX930 D型乳酸:L型乳酸=10:90)47.7質量部と多価カルボジイミド化合物(日清紡ケミカル(株)社製:HMV-15CA)0.3質量部を溶融撹拌後、粉砕した粉末を、ポリビニルアルコール(ケン化度86%、数平均分子量200,000g/mol)3.0質量部を水42.0質量部に溶解させた水溶液に混合し、一般的な転相乳化法により前者を固体分散質とし、水系分散媒としての後者に分散させた後、水酸化ナトリウム水溶液(濃度:1wt%)6.5質量部と固形分濃度調整用の水0.5質量部を添加し、実施例1の生分解性樹脂水分散体を得る。
(実施例2)
ポリ乳酸(トタルコービオン(株)社製 LX930 D型乳酸:L型乳酸=10:90)46.8質量部と多価カルボジイミド化合物(日清紡ケミカル(株)社製:HMV-15CA)1.2質量部を溶融撹拌後、粉砕した粉末を、ポリビニルアルコール(ケン化度86%、数平均分子量200,000g/mol)3.0質量部を水42.0質量部に溶解させた水溶液に混合し、一般的な転相乳化法により前者を固体分散質とし、水系分散媒としての後者に分散させた後、水酸化ナトリウム水溶液(濃度:1wt%)4.0質量部と固形分濃度調整用の水3.0質量部を添加し、実施例2の生分解性樹脂水分散体を得る。
(実施例3)
ポリ乳酸(トタルコービオン(株)社製 LX930 D型乳酸:L型乳酸=10:90)45.5質量部と多価カルボジイミド化合物(日清紡ケミカル(株)社製:HMV-15CA)2.5質量部を溶融撹拌後、粉砕した粉末を、ポリビニルアルコール(ケン化度86%、数平均分子量200,000g/mol)3.0質量部を水42.0質量部に溶解させた水溶液に混合し、一般的な転相乳化法により前者を固体分散質とし、水系分散媒としての後者に分散させた後、水酸化ナトリウム水溶液(濃度:1wt%)2.2質量部と固形分濃度調整用の水4.8質量部を添加し、実施例3の生分解性樹脂水分散体を得る。
(実施例4)
水酸化ナトリウム水溶液(濃度:1wt%)を水酸化カリウム水溶液(濃度:1wt%)に変更した点以外は、実施例2と同様にして実施例4の生分解性樹脂水分散体を得る。
(実施例5)
多価カルボジイミド化合物(日清紡ケミカル(株)社製:HMV-15CA)をカルボジイミド変性イソシアネート化合物(日清紡ケミカル(株)社製:LA-1)へ変更した点以外は、実施例2と同様にして実施例5の生分解性樹脂水分散体を得る。
(実施例6)
ポリ乳酸(トタルコービオン(株)社製 LX930 D型乳酸:L型乳酸=10:90)42.8質量部と多価カルボジイミド化合物(日清紡ケミカル(株)社製:HMV-15CA)1.2質量部と混基二塩基酸エステル(大八化学工業(株)社製:DAIFATTY-101)4.0質量部を溶融撹拌後、粉砕した粉末を、ポリビニルアルコール(ケン化度86%、数平均分子量200,000g/mol)3.0質量部を水42.0質量部に溶解させた水溶液に混合し、一般的な転相乳化法により前者を固体分散質とし、水系分散媒としての後者に分散させた後、水酸化ナトリウム水溶液(濃度:1wt%)4.0質量部と固形分濃度調整用の水3.0質量部を添加し、実施例6の生分解性樹脂水分散体を得る。
(実施例7)
混基二塩基酸エステル(大八化学工業(株)社製:DAIFATTY-101)をポリエチレングリコール(三洋化成工業(株)社製:PEG1000)へ変更した点以外は、実施例6と同様にして実施例7の生分解性樹脂水分散体を得る。
(実施例8)
ポリビニルアルコール(ケン化度86%、数平均分子量200,000g/mol)3.0質量部から1.5質量部へ、水を42.0質量部から43.5質量部へ変更した点以外は、実施例2と同様にして実施例8の生分解性樹脂水分散体を得る。
(実施例9)
ポリビニルアルコール(ケン化度86%、数平均分子量200,000g/mol)3.0質量部から4.0質量部へ、水を42.0質量部から41.0質量部へ変更した点以外は、実施例2と同様にして実施例9の生分解性樹脂水分散体を得る。
(実施例10)
水酸化ナトリウム水溶液(濃度:1wt%)4.0質量部を2.1質量部へ、固形分濃度調整用の水3.0質量部を4.9質量部に変更した点以外は、実施例2と同様にして実施例10の生分解性樹脂水分散体を得る。
(実施例11)
水酸化ナトリウム水溶液(濃度:1wt%)4.0質量部を4.3質量部へ、固形分濃度調整用の水3.0質量部を2.7質量部に変更した点以外は、実施例2と同様にして実施例11の生分解性樹脂水分散体を得る。
(実施例12)
ポリビニルアルコール(ケン化度86%、数平均分子量200,000g/mol)をポロキサマー188へ変更した点以外は、実施例2と同様にして実施例12の生分解性樹脂水分散体を得る。
(比較例1)
ポリ乳酸(トタルコービオン(株)社製 LX930 D型乳酸:L型乳酸=10:90)48.0質量部を、ポリビニルアルコール(ケン化度86%、数平均分子量200,000g/mol)3.0質量部を水42.0質量部に溶解させた水溶液に混合し、一般的な撹拌機を用いて転相乳化させた後、固形分濃度調整用の水7.0質量部を添加し、比較例1の生分解性樹脂水分散体を得る。
(比較例2)
ポリ乳酸(トタルコービオン(株)社製 LX930 D型乳酸:L型乳酸=10:90)46.8質量部と多価カルボジイミド化合物(日清紡ケミカル(株)社製:HMV-15CA)1.2質量部を溶融撹拌後、粉砕した粉末を、ポリビニルアルコール(ケン化度86%、数平均分子量200,000g/mol)3.0質量部を水42.0質量部に溶解させた水溶液に混合し、一般的な転相乳化法により前者を固体分散質とし、水系分散媒としての後者に分散させた後、固形分濃度調整用の水7.0質量部を添加し、比較例2の生分解性樹脂水分散体を得る。
(比較例3)
ポリ乳酸(日清紡ケミカル(株)社製 LX930 D型乳酸:L型乳酸=10:90)48.0質量部を、ポリビニルアルコール(ケン化度86%、数平均分子量200,000g/mol)3.0質量部を水42.0質量部に溶解させた水溶液に混合し、一般的な撹拌機を用いて転相乳化させた後、水酸化ナトリウム水溶液(濃度:1wt%)4.8質量部と固形分濃度調整用の水2.2質量部を添加し、比較例3の生分解性樹脂水分散体を得る。
実施例1から12及び比較例1から3の組成を表1に示す。なお、表1において、各名称は以下成分を示す。
ポリ乳酸:LX930
多価カルボジイミド化合物:HMV-15CA
カルボジイミド変性イソシアネート化合物:LA-1
芳香族カルボジイミド化合物:Stabaxol P
混基二塩基酸エステル:DAIFATTY-101
ポリエチレングリコール:PEG1000
分散剤A:ポリビニルアルコール
分散剤B:ポロキサマー188
このようにして得られた各実施例、各比較例の配合と生分解性樹脂水分散体のpHを表1にまとめた。
各実施例及び各比較例の経時安定性及びヒートシール性を表2及び表3にまとめた。
<生分解性樹脂水分散体のpH測定>
生分解性樹脂水分散体のpHは、(株)堀場製作所製pHメーター(pH METER F-51)により測定した。なお、pH電極として、9615S-JF15を使用した。
<酸価数測定による生分解性樹脂水分散体の経時安定性評価>
生分解性樹脂水分散体の経時安定性を評価するために、生分解性樹脂水分散体を30℃及び40℃に保管し、製造直後、3カ月後、6カ月後、8カ月後の酸価数を電位差自動滴定装置(京都電子工業(株)社製 AT-710)により測定した。なお、酸価数測定時は、生分解性樹脂水分散体1gを蒸留水で100倍希釈し、測定した。生分解性樹脂が分解した場合、酸性分解物が生じるため、酸価数が高いほど加水分解が進行していることを示しており、経時安定性が悪い。評価結果を表2に示す。
例えば、酸価数が5.0以上なるとヒートシール性を維持確保することが困難になると考えらえる。
<ヒートシール性評価>
紙製基体のヒートシール層同士を110℃のヒートシーラーによりヒートシールし、ヒートシール性評価サンプルを作製した。なお、ヒートシール時のプレス圧は0.2MPa、プレス時間は1秒とした。ヒートシール性評価は、引張試験機にて実施し、下記基準に基づき、ヒートシール性を評価した。評価結果を表3に示す。なお、引張速度は300mm/min、剥離条件は180度剥離とした。
表3において、
〇:上質紙が材破する程度の密着力がある。
×:密着力が乏しいため、上質紙が材破せず。
表2及び表3の結果から次のことがわかる。
実施例1、2、3、5及び比較例3より、ポリ乳酸に対するカルボジイミド化合物の添加量は0.6質量%以上、5.5質量%以下とすることが好ましいことがわかる。その比が0.6質量%未満の場合、経時安定性向上の効果が乏しく、5.5質量%を超える場合、経時安定性向上効果は十分に得られるものの、製造時に樹脂粘度が増加するため、製造時の生分解性樹脂(分散質)の微粒子化が困難となる。
カルボジイミド化合物を添加したポリ乳酸粒子を分散質とした水分散体において、pHの値は4.0より高い値で好ましい経時安定性が確認できる(実施例10、比較例2参照)。他方、pHの値を8.0より高い値にすると、分散媒中の塩基がポリ乳酸を分解する方向に作用するので好ましくない。
実施例8、9より、分散剤としてポリビニルアルコールの水に対する配合割合は質量比で2.0~10.0%とすることが好ましいことがわかる。
この発明は、上記発明の実施形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。

Claims (9)

  1. 生分解性樹脂を含む分散質を水系の分散媒へ分散させてなる水系分散体であって、
    前記分散質にはカルボジイミド化合物が含まれ、かつ、
    前記分散媒にはpH調整剤が含まれる、
    水分散体。
  2. 前記分散質における前記カルボジイミド化合物の配合割合は生分解性樹脂に対して質量比で0.6~5.5%であり、
    前記pH調整剤により前記分散媒のpHが4.0~8.0に調整される、請求項1に記載の水分散体。
  3. 前記カルボジイミド化合物は多価カルボジイミド化合物であり、
    前記pH調整剤は水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムである、請求項2に記載の水分散体。
  4. 前記生分解性樹脂はポリ乳酸を含む、請求項1~3のいずれかに記載の水分散体。
  5. 前記分散媒に部分ケン化型ポリビニルアルコールが更に含まれ、該ポリビニルアルコールの水に対する配合割合は質量比で2.0~10.0%である、請求項1~4のいずれかに記載の水分散体。
  6. 前記分散質には可塑剤が更に含まれる、請求項1~5のいずれかに記載の水分散体。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の水分散体を含む、塗液。
  8. 請求項7に記載の塗液を準備するステップと、
    該塗液を基体に塗工するステップと、
    該塗液を乾燥するステップと、を含む、生分解性樹脂フィルムの製造方法。
  9. 請求項1~6のいずれかに記載の水分散体を準備するステップと、
    肥料、農薬その他の機能粒子の表面へ前記水分散体の膜を形成するステップと、
    前記水分散体から水を除去するステップと、
    を備える徐放性機能粒子の製造方法。
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