JP2024022306A - 粉体塗装方法および粉体塗装された物品 - Google Patents

粉体塗装方法および粉体塗装された物品 Download PDF

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Abstract

【課題】グレーチングのような塗装しにくい物品に対して粗面化できるとともにきれいな塗装を行うこと【解決手段】本発明の粉体塗装方法は、グレーチングの表面にプライマーを噴霧するプライマー付与工程(S200)と、プライマーが付着したグレーチングの表面に対して無機粉体を噴霧する無機粉体付与工程(S250)と、無機粉体が付着したグレーチングの表面に対して静電気を利用した粉体塗装を行う塗装工程(S300)とを含む。【選択図】図3

Description

新規性喪失の例外適用申請有り
本発明は、粉体塗装方法および粉体塗装された物品(グレーチング、マンホール蓋などの粉体塗装物)に関する。特に、グレーチングを着色及び粗面化することに適した粉体塗装方法および粉体塗装物に関する。
従来、マンホール蓋、グレーチング、階段の踏板や梯子等のステップ、手摺、床材など室内外で使用される金属部材に、防食性を付与するために当該金属部材の表面を亜鉛メッキしたり、プラスチック粉末を金属部材の表面で加熱溶融させて連続被膜を形成する粉体塗装、即ち流動浸浸法、静電塗装法、溶射法等により防蝕処理を施すことが一般に行われている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記のような亜鉛メッキやプラスチック粉体塗装が施された金属部材は、その表面が極めて平滑であるため、例えば室内に取り付けられる階段の踏板、手摺または床板等にあっては滑りやすく転倒事故を引き起こしたりする。また、屋外にあっては、マンホール蓋、グレーチングなど、人や自動車が立ち入る場所に取り付けられる場合、特にこれが雨水に曝されるものである場合には非常に滑りやすくなり、歩行者の転倒や自動車のスリップ事故などのおそれがある。さらに、金属部材の表面に施されている亜鉛メッキや粉体塗装された被膜は、薄く且つ比較的摩耗しやすい層であるため、経時的に摩耗してしまうという問題がある。
特許文献1では、金属部材の耐蝕性、防滑性及び耐摩耗性を改良することができる粗面構造体の製造方法を提案している。特許文献1に開示された粗面構造体の製造方法では、金属製基材を覆うプラスチック被膜に、噴射ガンを用いて火炎と共に無機質粗粒体を吹き付けた後、プラスチック被膜の融点以上の温度のもとで無機質粗粒体の一部がプラスチック被膜面から吐出するように融着させ、しかる後、プラスチック被膜を冷却固化することを行う。その結果、得られた粗面構成体を、マンホール蓋、グレーチング、排水溝、階段の踏板や梯子等のステップ、手摺、床材等の屋内外の用途に用いれば、耐蝕性、耐摩耗性とともに防滑性に優れたものにすることができる。
特許第3903369号公報
本願発明者が、特許文献1の粗面構造体の製造方法を検討したところ、次のような問題があることに気がついた。まず、特許文献1の粗面構造体の製造方法では、金属製基材を覆うプラスチック被膜に対して火炎を吹き付けるため、危険である。すなわち、燃料ガスを燃焼させて火炎をプラスチック被膜に吹き付けるのであるが、火炎が他のものにうつる可能性があるとともに、火炎の状態によってはプラスチック被膜/金属製基材に損傷を与えてしまう可能性を否定できない。
図1及び図2は、本願発明者が検討したグレーチング1000を示している。図1及び図2に、それぞれ、グレーチング1000の平面図および斜視図である。なお、グレーチングは、いわゆる側溝の蓋であり、格子状の金属製スノコである。図示したグレーチング1000は、比較的幅広の上面部110とともに、幅狭の横格子バー120および幅狭の縦格子バー122が格子状に形成されている。ここで、横格子バー120は、表面に凹凸がある凹凸バーであり、縦格子バー122は、表面が螺旋状のツイストバーであり、それぞれ、滑り止めの役割を担っている。
本願発明者の検討によると、幅広の上面部110をきれいに塗装することは簡単であるが、凹凸バー120及びツイストバー122をきれいに塗装することは困難である。また、凹凸バー122の側面125にも塗装を行いたい場合、その側面125にきれいに塗装することも同様に困難である。そして、凹凸バー120の側面125に対して、適切に火炎を吹き付けることは難しい。さらには、ツイストバー122は螺旋状の表面をとなっているので、細いだけでなく、その点においても適切に火炎を吹き付けることが難しい。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、グレーチングのような塗装しにくい物品に対して、粗面化できるとともにきれいな塗装を行うことができる粉体塗装方法を提供することにある。
本発明に係る粉体塗装方法は、グレーチングへの粉体塗装方法であり、グレーチングの表面にプライマーを噴霧するプライマー付与工程と、前記プライマーが付着した前記グレーチングの表面に対して無機粉体を噴霧する無機粉体付与工程と、前記無機粉体が付着した前記グレーチングの表面に対して、静電気を利用した粉体塗装を行う塗装工程とを含む。
ある好適な実施形態では、前記プライマー付与工程の前に、グレーチングの表面に静電気を利用した粉体塗装を行う前処理塗装工程を実行する。前記前処理塗装工程の後に、焼き付けをする前処理焼付け工程を実行する。前記前処理焼付け工程の後に、前記プライマー付与工程を実行する。前記塗装工程の後に、前記グレーチングの焼き付けをする焼付け工程を実行する。
ある好適な実施形態において、前記無機粉体は、アルミナ、窒化ケイ素およびガラスからなる群から選択された少なくとも一つである。前記無機粉体付与工程は、前記無機粉体を噴霧するハンドガンを用いて行われる。
ある好適な実施形態において、前記グレーチングの表面は、前記グレーチングの格子部材の上面および側面の領域を含む。
ある好適な実施形態では、前記塗装工程の後に、前記グレーチングの焼き付けをする焼付け工程を実行する。
本発明に係る粉体塗装方法は、金属部材の表面にプライマーを噴霧するプライマー付与工程と、前記プライマーが付着した前記金属部材の表面に対して無機粉体を噴霧する無機粉体付与工程と、前記無機粉体が付着した前記金属部材の表面に対して、静電気を利用した粉体塗装を行う塗装工程と、前記金属部材を焼成する焼成工程とを含む。
前記プライマー付与工程の前に、金属部材の表面に静電気を利用した粉体塗装を行う前処理塗装工程を実行する。前記前処理塗装工程の後に、焼き付けをする前処理焼付け工程を実行する。前記前処理焼付け工程の後に、前記プライマー付与工程を実行する。
ある好適な実施形態において、前記金属部材は、マンホール蓋、排水溝、階段の踏板、梯子、手摺、床材および蓋材からなる群から選択される一つである。
本発明に係る粉体塗装方法は、非導電性部材の表面に導電性プライマーを噴霧するプライマー付与工程と、前記導電性プライマーが付着した前記非導電性部材の表面に対して無機粉体を噴霧する無機粉体付与工程と、前記無機粉体が付着した前記非導電性部材の表面に対して、静電気を利用した粉体塗装を行う塗装工程と、前記非導電性部材を焼成する焼成工程とを含む。
本発明に係るグレーチングは、格子部材を含むグレーチングであり、前記格子部材の上面および側面において無機粉体が融着しており、前記格子部材の上面および側面において、粉体塗装による着色がなされている。
ある好適な実施形態において、前記無機粉体は、熱硬化性樹脂からなる樹脂膜に含まれている。前記樹脂膜の下地には、下層の粉体塗装膜が形成されている。前記樹脂膜の上地に、上層の粉体塗装膜が形成されている。
本発明に係る着色部材は、金属部材及び非導電性部材の一方の表面において無機粉体が融着しており、前記表面において粉体塗装による着色がなされている。
ある好適な実施形態において、前記無機粉体は、熱硬化性樹脂からなる樹脂膜に含まれている。前記樹脂膜の下地には、下層の粉体塗装膜が形成されている。前記樹脂膜の上地に、上層の粉体塗装膜が形成されている。
本発明に係る粉体塗装方法によれば、グレーチングの表面にプライマーを噴霧した後、無機粉体を噴霧し、続いて、そのグレーチングの表面に対して粉体塗装を行うことにより、グレーチングのような塗装しにくい物品に対して粗面化できるとともにきれいな塗装を行うことができる。その結果、耐摩耗性に優れ、滑りにくく、カラフルなグレーチングを製造することができる。
グレーチング1000の構成を示す平面図である。 グレーチング1000の構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る粉体塗装方法を説明するためのフローチャートである。 本実施形態に係る無機粉体噴霧装置(ハンドガン)10の構成を示す図である。 本実施形態に係る静電粉体ハンドガン20の構成を示す図である。 本実施形態に係る粉体塗装物(グレーチング)の実験結果を示すテーブルである。 本実施形態に係る粉体塗装物(グレーチング)の実験結果を示すテーブルである。 本実施形態の床材1100の構成を示す図である。 本実施形態の蓋材1200の構成を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のために、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、必ずしも実際の寸法関係を正確に反映していない場合がある。また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事項は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面によって開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。加えて、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
図3は、本発明の実施形態に係る粉体塗装方法(粉体塗装物の製造方法)を説明するためのフローチャートである。また、図4は、無機粉体(アルミナ)を噴霧する装置(ハンドガン)10の構成を示している。図5は、粉体塗装を行うための静電粉体ハンドガン20の構成を示す図である。
本実施形態の粉体塗装方法は、図1及び図2に示したようなグレーチング1000に対しての塗装方法であり、言い換えると、粉体塗装されたグレーチングの製造方法である。
まず、塗装及び粗面化したいグレーチング1000を用意する(工程S100)。図1及び図2に示すように、グレーチング1000は格子部材(120、122)を有しており、その部分の塗装及び粗面化は、比較的幅広の部位(110)よりも困難である。ここで、塗装を行うために用意したグレーチング1000は、事前に洗浄してきれいな状態にしておくことが好ましい。
次に、グレーチング1000の表面(110、120、122、125)にプライマーを噴霧するプライマー付与工程を行う(工程S200)。粉体塗装におけるプライマーは、より安定した付着性の確保、及び/又は、より高い防錆性能の付与のために用いられるものである。本実施形態のプライマーは、溶剤系プライマーであり、無色で、焼付け対応のものである。本実施形態のプライマーは、例えば、焼付け塗装用塗装プライマー(製品名:ミッチャクロンBK・X、株式会社染めQテクノロジィ製)であり、アクリル樹脂(熱硬化性樹脂)をベースにした金属向けプライマーである。これは、クリヤー状の粘稠液であり、比重0.88、標準塗布量は6~8μm、60~80g/m2であり、吹付塗装で付与することができる。本実施形態では、噴霧器(スプレー)を使用して、グレーチング1000の表面にプライマーを付与する。
次に、プライマーが付着したグレーチング1000の表面(110、120、122、125)に対して無機粉体を噴霧する無機粉体付与工程を行う(工程S250)。本実施形態では、無機粉体として、アルミナを使用している。また、無機粉体は、アルミナに限らず、他のもの(例えば、窒化ケイ素、ガラス(ビーズ)など)を使用してもよい。また、無機粉体は、特性・用途に適したものであれば、アルミナ、窒化ケイ素、ガラス(ビーズ)以外のものを使用してもよい。本実施形態の無機粉体(アルミナ)は、例えば、F(粒度JIS表示)で、F180(90μm)~F40(500μm)程度のものを使用することができき、好適なものはF120(125μm)~F100(150μm)のものを使用することができる。さらには、無機粉体(アルミナ)は、F120のものとF100のものをそれぞれ50%(±10%)配合したものを使用することも好ましい。
図4は、無機粉体噴霧装置(ハンドガン)10の構成を示す図である。図4に示したハンドガン10は、噴霧装置本体部11と、噴霧ヘッド12と、持ち手15、コンプレッサライン17を備えている。噴霧装置本体部11には、無機粉体(アルミナ)収納部14と、無機粉体供給部16とが設けられており、無機粉体(アルミナ)はヘッド12に送られて、ヘッド12の先から対象物(グレーチング1000)に付与される。ハンドガン10は、静電気を発生させて、帯電した無機粉体(アルミナ)を対象物(1000)に付与させることができる。
次に、無機粉体が付着したグレーチング1000の表面(110、120、122、125)に対して、静電気を利用した粉体塗装を行う塗装工程を行う(工程S300)。静電粉体塗装は、粉体(着色物質)を用いて塗装する方式であり、溶剤系の塗装の場合、重量のおよそ半分が揮発してしまう一方で、粉体塗料のような揮発がなく、塗着しなかった塗料の回収再利用が容易という利点がある。さらには、粉体塗装の場合、VOC(揮発性有機化合物)を含まないため、作業時の大気汚染や引火がないという利点もある。粉体塗装(静電粉体塗装)は、コロナ帯電方式、トリボ帯電方式があり、どの方式を選択するかは、被塗物の大きさや形状、材質、求められる塗膜、塗料の回収・非回収などの条件に応じて適宜好適なものを決定することが好ましい。
図5は、静電粉体ハンドガン20の構成を示す図である。静電粉体ハンドガン20は、図4に示したハンドガン20と基本的に同様な構造を有している。図示した静電粉体ハンドガン20では、着色粉体が収納された容器(不図示)が容器セット部18に取り付けられ、吸入部材(ピン)19から着色粉体がヘッド12に送られて、着色粉体は、ヘッド12の先から対象物(グレーチング1000)に付与されて、静電気によって対象物に付着する。本実施形態の着色粉体(粉体塗料)は、熱硬化性粉体塗料(例えば、ポリエステル樹脂製のもの)である。熱硬化性粉体塗料の場合、加熱することで架橋反応が起きて塗膜になり、再加熱しても軟化することがないので利用可能である。その粉体塗料を帯電させ、接地(アース)された対象物(グレーチング1000、被塗物)に吹付けをする。すると粉体塗料は静電気の力で対象物(グレーチング1000)に付着する。静電気の力で粉状の塗料を付着させるものであるので、対象物(グレーチング1000)は電気が流れる物(典型的には金属素材)であることが求められる。本実施形態の粉体塗料として好適なものは、ポリエステル樹脂製のものである。その平均粒径は、例えば、数μm~数十μm程度であるが、粉体塗料として機能するのであれば粒径は特にこだわるものではない。
本実施形態の粉体塗装(工程S300)を行うと、無機粉体(例えば、アルミナ)が付着したグレーチング1000の表面(110、120、122、125)に、静電気によって着色粉体がきれいに付着する。付着しなかった余分な着色粉体は、吸い取ることで除去することができる。グレーチング1000の表面は、グレーチング1000の格子部材の上面(120、122)および側面(125)の領域を含む。そのような場所は、特許文献1の技術における火炎を適切に吹き付けるのが難しい箇所であるが、本実施形態の粉体塗装(工程S300)であればきれいに塗装することができる。
次に、粉体塗装(工程S300)の後、グレーチング1000の焼付け(焼付け乾燥)を行う(工程S400)。粉体塗装における焼付け乾燥は、例えば、160℃~180℃の温度が必要であり、そのような温度を設定できる乾燥炉(焼成炉)に、粉体塗装工程後のグレーチング1000を入れる。本実施形態では、乾燥炉(焼成炉)の温度を160℃~200℃(粉体塗料の仕様に従ったもの)とし、乾燥(焼成)時間を15分~20分として、焼付け乾燥を行う。
焼付け乾燥の後、乾燥炉(焼成炉)から取り出すことで、本実施形態の着色(粗面化)したグレーチング1000が得られる。焼き付け後のグレーチング1000は、無機粉体(アルミナ)がほとんど取れることもなく、また、着色が剥がれることもほとんどない。無機粉体(アルミナ)は、グレーチング1000の表面にしっかりと融着しており、そのグレーチング1000の粗面化によって滑り止めの効果を果たしている。
本実施形態の製造工程(工程S200~S300)は、具体的には、次のようにして行う。
(1)まず、粉体塗料の仕様に従って、1コート1ベイク(典型的な粉体塗装)で、電圧は30~120V、膜厚は100μm程度、焼付温度・時間は160℃~200℃で15~20分程度である。これは、プライマー付与(塗布)の前工程である。
(2)次に、粉体塗料のベイクを冷ましてから、プライマーを吹き付ける。これにより、軽く湿った状態を作る。これは、プライマー付与工程(S200)である。
(3)次に、無機粉体を粉体塗装ガン(10)で帯電させて吹きつける。図1に示した幅広の上面部110には全体に隙間がないよう均一に吹き付ける。また、図1に示した凹凸バー120及びツイストバー122にはできるだけ多く乗せるように吹き付ける。これは、無機粉体付与工程(S250)である。なお、グレーチングの温度、気温、湿度などの条件で無機粉体が乗りにくい場合は、目視で確認しながら、当該(2)及び(3)を2~3度繰り返す。
(4)次に、粉体塗料を上から吹きつける。電圧は30~120V、膜厚は100μm~150μm程度である。これは、粉体塗料工程(S300)である。
(5)その後、2ベイク目(焼付け乾燥)を行う。焼付温度・時間は、160℃~200℃で15~20分程度であり、粉体塗料の仕様に従う。これは、焼付け乾燥工程(又は焼付け工程)(S400)である。
このようにして、本実施形態の製造方法の一例は実行されて、着色・粗面化された粉体塗装物(グレーチング)が得られる。最初に、上記(1)で下層の粉体塗装膜を形成しておくことで、上記(2)のプライマー膜および上記(3)の無機粉体を、上記(4)の上層の粉体塗装膜で挟むができる。すなわち、下地となる下層の粉体塗装膜と上層の粉体塗装膜とで、無機粉体が付与されたプライマー膜(熱硬化性樹脂膜)をサンドイッチ構造にすることができ、それにより、無機粉体が付与された凹凸膜(無機粉体が存在するプライマー膜)を保護することができ、粗面化された粉体塗装物(グレーチング)の強度(または、耐久性、耐候性など)を向上させることができる。なお、上記(1)の前に、プライマーの付与(特に、無機粉体がないもの)を行ってもよく、その方が密着性を向上させることができる。
図6は、本実施形態の着色(粗面化)したグレーチング1000の促進耐候性(300時間)および耐摩耗性(200回)の試験結果を示している。「試験板ザラザラ」が、本実施形態のグレーチング(実施例)の結果であり、「試験板ノーマル」は比較例(無機粉体のないもの)の結果である。
促進耐候性の試験方法は、JIS K 5600-7-7:2008(促進耐候性及び促進耐候性(キセノンランプ法)に基づいて行った。試験時間は300時間で、評価項目は、膨れ、割れ、はがれ、変色である。耐摩耗性の試験方法は、JIS K 5600-5-8:1999(耐摩耗性(研磨紙法))に基づいて行った。試験紙はS-42、回転数は200回、荷重は片輪当たり4.90N(500fg)で、評価項目は摩耗減量である。
本実施形態のグレーチング(実施例)は、促進耐候性(300時間)および耐摩耗性(200回)ともに、良好な結果を示した。これにより、本実施形態のグレーチングが、促進耐候性および耐摩耗性に優れたものであることが示される。
図7は、本実施形態の着色(粗面化)したグレーチング1000のすべり抵抗試験の結果、すなわち、すべり抵抗値(BPN)の試験結果を示している。すべり抵抗値(BPN)は、振り子式スキッドレジスタンステスタを用いて測定した。
グレーチング1000のすべり抵抗値(BPN測定値)は、横断の乾燥/湿潤、縦断の乾燥/湿潤において良好な結果を示した。これにより、本実施形態のグレーチングが、滑りにくい特性(防滑性)を備えていることが示される。
本実施形態の粉体塗装方法(粉体塗装物の製造方法)によれば、グレーチング1000の表面にプライマーを噴霧した後、無機粉体を噴霧し、続いて、そのグレーチング1000の表面(110、120、122、125など)に対して粉体塗装を行うことにより、グレーチングのような塗装しにくい物品に対して粗面化できるとともにきれいな塗装を行うことができる。その結果、耐摩耗性(および/または耐候性)に優れ、滑りにくく(防滑性があり)、カラフルなグレーチングを製造することができる。なお、着色(塗装)は、赤色、黄色、青色、緑色などのものに限らず、黒色や白色、グレー色などあってもよい。
加えて、本実施形態の粉体塗装方法(粉体塗装物の製造方法)を実施することで、下地の粉体塗装膜と上層の粉体塗装膜とで、無機粉体が付与されたプライマー膜をサンドイッチ構造にすることができ、それにより、無機粉体が付与された凹凸膜(無機粉体が存在するプライマー膜)を保護することができる。すなわち、熱硬化性樹脂からなる樹脂膜(プライマーから形成された樹脂膜)に無機粉体(例えば、アルミナ粉体)が含まれており、その樹脂膜の下地に下層の粉体塗装膜が形成されて、その樹脂膜の上地に上層の粉体塗装膜が形成されている構造を構築することができる。その結果、粗面化された粉体塗装物の強度(または、耐久性、耐候性など)をより向上させることができる。
また、本実施形態の粉体塗装方法は、グレーチングだけでなく、他の金属部材にも行うことができる。他の金属部材とは、例えば、マンホール蓋、排水溝、階段の踏板、梯子(遊具含む)、手摺(遊具含む)、床材、蓋材などある。
図8は、建築現場や道路などで使用される床材1100である。図示した床材(金属部材)1100は、金属部材本体部200と凸部210とから構成されている。図8に示した床材(金属部材)1100に対して、本実施形態の粉体塗装方法を行ったところ、きれいな塗装(粗面化)ができた。
図9は、金属製の蓋材1200である。図示した蓋材1200は、枠部210付きの金属部材本体部200と凸部210と開口部220から構成されている。図9に示した蓋材(金属部材)1200に対して、本実施形態の粉体塗装方法を行ったところ、きれいな塗装(粗面化)ができた。
さらに、本実施形態の粉体塗装方法を用いることで、金属部材(グレーチング、床材、蓋など)の熱伝導率を調整することができる。具体的には、無機粉体の付与工程(S250)で用いる無機粉体として、熱伝導率が低く、マイナス静電気を帯びやすい粉状の化学的に安定した無機物を用いることができ、そのような無機物として、アルミナ(熱伝導率29W/(m・K))、窒化ケイ素(Si3N4、熱伝導率27W/(m・K))、ガラス(パウダー、ビーズ、熱伝導率1W/(m・K))を挙げることができる。なお、鉄の熱伝導率は、90W/(m・K)である。
本実施形態の粉体塗装方法を用いて、粉体塗装物の表面の熱伝導率を、鉄の熱伝導率から下げることができれば、炎天下のグレーチング、マンホール、遊具などで子供やペットが火傷するのを防ぐことができる。
本実施形態の粉体塗装方法において、無機粉体の付与工程(S250)でアルミナを用いて一般構造用圧延鋼材(SS400)製の金属部材に対して粉体塗装を行った場合の測定結果は、熱拡散率2.311(mm2/s)であった。ここで、SS400の密度は7.87(g/cm3)で、一般構造用圧延鋼材(SS400)の比熱は0.444(kJ/kg・K)として計算した場合、熱伝導率約8.1(W/mK)となる。一般構造用圧延鋼材(SS400)の熱伝導率51.6であることを考慮すると、大幅に熱伝導率を低下させること(約1/6以下)ができることがわかった。
さらに、上述した実施形態では、金属製の物品(金属部材)に対して本実施形態の粉体塗装方法を用いたが、プライマー付与工程(工程S200)において導電性プライマー(通電プライマ-)を用いることで、非金属部材または非導電性部材(無機素材部材(セラミック、石、ガラスなど))にも、本実施形態の粉体塗装方法を適用することが可能である。本実施形態の手法で、非導電性部材(非金属部材)が無機素材部材であるとき、それは瓦、コンクリートブロックなどである。また、非導電性部材(非金属部材)が有機物から構成された部材であっても、200℃程度の熱に耐えることができて、化学的に安定しているものであれば、対象の部材することができ、そのようなものとしては、例えば、耐熱プラスチック、FRP(繊維強化プラスチック)から構成された部材などである。導電性プライマーは、非導電材料に粉体塗装を行うために導電性を付与するプライマーであり、導電素材を含む熱硬化性樹脂である。本実施形態の導電性プライマーは、例えば、通電プライマー(商品名:サイキックプライマー、有限会社ブレイヴオート(屋号:カーベック)製)である。またそのときの製造条件(粉体塗装条件)は、基本的に、上述したプライマーの条件と同様である。この場合でも、上述した手法を改変して、無機粉体を含む樹脂膜(無機粉体が付与された熱硬化性樹脂層)を、粉体塗装膜で挟んだサンドイッチ構造のものを作製することができる。すなわち、熱硬化性樹脂からなる樹脂膜に無機粉体が含まれており、その樹脂膜の下地に下層の粉体塗装膜が形成されて、その樹脂膜の上地に上層の粉体塗装膜が形成されている構造を構築することができる。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。また、上述した実施形態の各特徴は、相互に適用することが可能である。
本発明によれば、グレーチングのような塗装しにくい物品に対して粗面化できるとともにきれいな塗装を行うことができる粉体塗装方法を提供することができる。
10 無機粉体噴霧装置(ハンドガン)
11 噴霧装置本体部
12 ヘッド
14 無機粉体(アルミナ)収納部
15 持ち手
16 無機粉体供給部
17 コンプレッサライン
18 容器セット部
19 吸入部材(ピン)
20 静電粉体ハンドガン
110 上面部
120 横格子バー(凹凸バー)
122 縦格子バー(ツイストバー)
125 横格子バーの側面
200 金属部材本体部
210 凸部
1000 グレーチング
1100 床材(金属部材)
1200 蓋材(金属部材)

Claims (11)

  1. グレーチングへの粉体塗装方法であって、
    グレーチングの表面にプライマーを噴霧するプライマー付与工程と、
    前記プライマーが付着した前記グレーチングの表面に対して無機粉体を噴霧する無機粉体付与工程と、
    前記無機粉体が付着した前記グレーチングの表面に対して、静電気を利用した粉体塗装を行う塗装工程と
    を含む、粉体塗装方法。
  2. 前記プライマー付与工程の前に、グレーチングの表面に静電気を利用した粉体塗装を行う前処理塗装工程を実行し、
    前記前処理塗装工程の後に、焼き付けをする前処理焼付け工程を実行し、
    前記前処理焼付け工程の後に、前記プライマー付与工程を実行し、
    前記塗装工程の後に、前記グレーチングの焼き付けをする焼付け工程を実行する、請求項1に記載の粉体塗装方法。
  3. 前記無機粉体は、アルミナ、窒化ケイ素およびガラスからなる群から選択された少なくとも一つであり、
    前記無機粉体付与工程は、前記無機粉体を噴霧するハンドガンを用いて行われる、請求項1または2に記載の粉体塗装方法。
  4. 前記グレーチングの表面は、前記グレーチングの格子部材の上面および側面の領域を含む、請求項1または2に記載の粉体塗装方法。
  5. 金属部材の表面にプライマーを噴霧するプライマー付与工程と、
    前記プライマーが付着した前記金属部材の表面に対して無機粉体を噴霧する無機粉体付与工程と、
    前記無機粉体が付着した前記金属部材の表面に対して、静電気を利用した粉体塗装を行う塗装工程と、
    前記金属部材を焼成する焼成工程と
    を含む、粉体塗装方法。
  6. 前記プライマー付与工程の前に、金属部材の表面に静電気を利用した粉体塗装を行う前処理塗装工程を実行し、
    前記前処理塗装工程の後に、焼き付けをする前処理焼付け工程を実行し、
    前記前処理焼付け工程の後に、前記プライマー付与工程を実行する、請求項5に記載の粉体塗装方法。
  7. 非導電性部材の表面に導電性プライマーを噴霧するプライマー付与工程と、
    前記導電性プライマーが付着した前記非導電性部材の表面に対して無機粉体を噴霧する無機粉体付与工程と、
    前記無機粉体が付着した前記非導電性部材の表面に対して、静電気を利用した粉体塗装を行う塗装工程と、
    前記非導電性部材を焼成する焼成工程と
    を含む、粉体塗装方法。
  8. 格子部材を含むグレーチングであって、
    前記格子部材の上面および側面において無機粉体が融着しており、
    前記格子部材の上面および側面において、粉体塗装による着色がなされている、グレーチング。
  9. 前記無機粉体は、熱硬化性樹脂からなる樹脂膜に含まれており、
    前記樹脂膜の下地には、下層の粉体塗装膜が形成されており、
    前記樹脂膜の上地に、上層の粉体塗装膜が形成されている、請求項8に記載のグレーチング。
  10. 金属部材及び非導電性部材の一方の表面において無機粉体が融着しており、
    前記表面において粉体塗装による着色がなされている、着色部材。
  11. 前記無機粉体は、熱硬化性樹脂からなる樹脂膜に含まれており、
    前記樹脂膜の下地には、下層の粉体塗装膜が形成されており、
    前記樹脂膜の上地に、上層の粉体塗装膜が形成されている、請求項10に記載の着色部材。
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