JP3002904U

JP3002904U - 滑らない床板

Info

Publication number: JP3002904U
Application number: JP1994004904U
Authority: JP
Inventors: 正博瀬良田; 眞之横山; 昌彦赤尾
Original assignee: FUJICO CO., LTD.
Current assignee: FUJICO CO., LTD.
Priority date: 1994-04-08
Filing date: 1994-04-08
Publication date: 1994-10-11
Anticipated expiration: 2000-04-08

Abstract

(57)【要約】【目的】悪環境でも長期間使用できる滑らない床板を
提供する。【構成】縞鋼板又は普通鋼板からなる床板１０の表面
に、表面粗度１５μｍ以上のマルテンサイト系ステンレ
スの溶射被膜が形成されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、クレーン設備の歩廊、ディーゼル車のステップ、階段の踏み板あるいは坂道等に適用可能な滑らない床板に関する。

【０００２】

【従来の技術】

鉄板等で床板を形成すると滑るので、表面に凹凸を形成した縞鋼板が一般にノンスリップ用の床板として使用されている。ところが、床板として縞鋼板を使用した場合であっても、ディーゼル車のステップのように表面に油等があると極めて滑り易い状況となり、作業に危険が伴うという問題点がある。そこで、階段等においては、その表面にセラミックスやアルミや銅等の金属を溶射して表面粗度を向上させたものが一部で提案されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、セラミックスの被膜を形成した床板においては、溶射した直後は表面粗度を保持できるが、使用するとセラミックスは脆いので、表面に荷重がかかると欠けてしまい、短期間の内に滑らかになって滑り易くなり、更にはセラミックスは金属との付着力も十分でないので、使用中に剥げる場合があるという問題点がある。また、アルミや銅等を溶射した床板においては、アルミ、銅等の粒子が軟らかいので、荷重がかかると潰れて滑らかになり、更には水等の存在によって腐食を起こし工場等の滑り防止板としては使用し難いという問題点がある。本考案はかかる事情に鑑みてなされたもので、悪環境でも長期間使用できる滑らない床板を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

前記目的に沿う請求項１記載の滑らない床板は、縞鋼板又は普通鋼板からなる床板の表面に、表面粗度１５μｍ以上でマルテンサイト系ステンレスの溶射被膜が形成されて構成されている。請求項２記載の滑らない床板は、請求項１記載の滑らない床板において、前記縞鋼板又は普通鋼板は、厚みが４ｍｍ以上であるように構成されている。請求項３記載の滑らない床板は、請求項１記載の滑らない床板において、前記溶射被膜の気孔率は５〜１６％であるように構成されている。そして、請求項４記載の滑らない床板は、請求項２記載の滑らない床板において、前記溶射被膜の気孔率は５〜１６％であるようにして構成されている。

【０００５】

【作用】

請求項１〜４記載の滑らない床板は、縞鋼板又は普通鋼板にマルテンサイト系ステンレスからなる溶射被膜が形成されているので、溶射被膜は溶射後直ちに縞鋼板又は普通鋼板及び周囲の空気によって冷却されて焼きが入り硬くなる。従って、溶射被膜が硬くて強度を有ししかも靱性にも富むので、通常の荷重によって潰れたりあるいは摩耗しない。また、溶射被膜がステンレス鋼からなるので、水等の存在による腐食も生じ難い。そして、溶射被膜の表面粗度が１５μｍ以上となっているので、泥等が付着しても簡単に粗い流すことができ、滑り難さを保持できる。なお、溶射被膜の表面粗度が１５μｍ未満であると表面が密となって滑り易くなり、表面粗度の上限は通常の溶射技術でマルテンサイト系ステンレスの溶射被膜が安定して形成できる範囲となる。特に、請求項２記載の滑らない床板は、縞鋼板又は普通鋼板が４ｍｍ以上となっているので、十分な強度を有し、更には十分な冷熱容量を有するので、マルテンサイト系ステンレスの溶射被膜に焼きが入りやすい。そして、請求項３、４記載の滑らない床板においては、溶射被膜が５〜１６％の気孔率を有するので、表面に付着した水や浸透性の良い油が内部に浸透して流れ易く、表面に液膜を形成し難く、これによって滑り難い状態を保持できる。なお、気孔率が５％未満であれば液の浸透性が悪く、気孔率１６％を越える溶射被膜は形成しにくい。

【０００６】

【実施例】

続いて、添付した図面を参照しつつ、本考案を具体化した実施例につき説明し、本考案の理解に供する。ここに、図１は本考案の一実施例に係る滑らない床板の平面図である。図１に示すように、寸法が、８００×１０３５×４．５ｍｍの縞鋼板１０の片面にショットブラストを行い、１３Ｃｒ−０．４Ｃ材の粉末を溶射し、厚さ１．０ｍｍの溶射層を形成した。前記縞鋼板１０の一部には４つの吊り孔１１が設けられ、適当な金具を入れてクレーン等で吊って搬送できるようになっている。

【０００７】前記のように表面にマルテンサイト系ステンレス粉が溶射された縞鋼板１０を床板として用いたところ、床面に油類等の付着があっても滑ることがなく、吸いつくような安定感があった。また、水洗いを繰り返しても腐食がなく、安全性、作業性及び耐久性も完璧なものであった。

【０００８】前記実施例においては、床板として４．５ｍｍ厚の縞鋼板を使用したが、単独で使用する場合には、４ｍｍ以上の厚みの縞鋼板又は普通鋼板（材質は、ＪＩＳ規格で規定されるＳＳ４１で十分）であればよい。また、床板の広さは用途に合わせて自由である。また、溶射の方法はガスを用いた火炎溶射、プラズマ溶射のいずれも適用できる。

【０００９】

【考案の効果】

請求項１〜４記載の滑らない床板は、溶射被膜がマルテンサイト系ステンレスからなっているので、従来のセラミックスあるいは、アルミニウムあるいは銅等の溶射被膜に比較して、表面が硬く長期の寿命を有し、摩耗等にも強い。また、溶射被膜が腐食され難いので、水を含む場所であっても使用でき、更には汚れても簡単に水洗して元の状態に復元できる。特に、請求項３、４記載の滑らない床板においては、溶射被膜の表面に液膜を形成しにくいので、滑りにくい状態を保持できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係る床板の平面図である。

【符号の説明】

１０床板１１吊り孔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者赤尾昌彦福岡県北九州市戸畑区牧山新町４番31号株式会社フジコー北九州工場内

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】縞鋼板又は普通鋼板からなる床板の表面
に、表面粗度１５μｍ以上でマルテンサイト系ステンレ
スの溶射被膜が形成されていることを特徴とする滑らな
い床板。
【請求項２】前記縞鋼板又は普通鋼板は、厚みが４ｍ
ｍ以上である請求項１記載の滑らない床板。
【請求項３】前記溶射被膜の気孔率は５〜１６％であ
る請求項１記載の滑らない床板。
【請求項４】前記溶射被膜の気孔率は５〜１６％であ
る請求項２記載の滑らない床板。