JP4372292B2 - 塗装亜鉛系めっき鋼管およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗装亜鉛系めっき鋼管およびその製造方法に関し、特には、海浜環境で照明柱、標識柱、電柱などの柱として用いられ、飛砂や海塩粒子による塗膜剥れを極めて効果的に抑制することが可能な耐食性、耐摩耗性、塗膜密着性および耐汚染性に優れ、さらには耐候性に優れた塗装亜鉛系めっき鋼管およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、溶融亜鉛めっき鋼管が、亜鉛めっき層の犠牲防食作用によって、地鉄の腐食を長期間抑制できるため、広く使用されている。
また、道路の照明柱、標識柱、電柱などの鋼管としては、先端になるにしたがって管径が縮小された流線形状の形状が美しいテーパー鋼管が用いられている。
【0003】
さらに、景観が重視される市街地や観光地、公園などに設置される塗装溶融亜鉛めっき鋼管(テーパー鋼管)は、亜鉛めっき層の上に、エポキシ樹脂塗料やポリウレタン樹脂塗料などで下塗り塗装を施し、さらに中塗り塗装を施した後、フッ素樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料、シリコン樹脂塗料あるいはアクリルシリコン樹脂塗料などで上塗り塗装が施されている。
【0004】
しかしながら、海浜環境でこれらが用いられる場合、飛砂や海塩粒子によって摩耗を受け、溶融亜鉛めっき鋼管の場合、亜鉛が腐食して生成する白色の錆(白錆)や地鉄が腐食して生成する赤錆が生じる。
また、塗装溶融亜鉛めっき鋼管の場合、上塗り層、中塗り層あるいは下塗り層が剥れ、色調の異なる下層が部分的に露出し、さらには腐食が促進されて、白錆が生じ、著しく外観を損ねていた。
【0005】
上記した海浜環境などにおける重防食塗装の問題点を解決するために、特公昭59−2544号公報、特開昭56−133079号公報では、鋼板上に亜鉛末含有の無機ジンクリッチプライマーを塗布し、ポリウレタン樹脂プライマーを介してポリウレタン樹脂塗料の上塗りを施す方法、および、亜鉛末含有のポリウレタン樹脂プライマーを介して、ポリウレタン樹脂塗料の上塗りを施す方法が開示されている。
【0006】
しかし、上記した重防食塗装の場合、塗膜は2コートまたは3コートのため、施工性に劣る。
また、塗装膜厚も重量物の衝突による耐衝撃性を確保するために数mmと厚く、経済的でない。
また、海浜環境では、亜鉛末含有のジンクリッチプライマーと上塗りのポリウレタン樹脂との密着性、亜鉛末含有のポリウレタン樹脂とその上層のポリウレタン樹脂との密着性が劣る欠点があり、さらに硬化剤として耐候性が劣る芳香族イソシアネートを用いているため、屋外使用で短期間で塗膜表面にチョーキング(塗料の紫外線による劣化)が発生し、外観が変化するという欠点があった。
【0007】
以上述べたように、従来の塗装亜鉛めっき鋼管は、耐摩耗性、塗膜密着性が劣り、錆が発生し(耐食性が劣り)、耐候性に劣るものであった。
また、これら従来の塗装めっき鋼管は耐汚染性は考慮されていないものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した従来技術の問題点を解決し、海浜環境下においても耐食性、耐摩耗性、塗膜密着性および耐汚染性に優れ、さらには耐候性に優れた塗装亜鉛系めっき鋼管および該塗装亜鉛系めっき鋼管から成る照明柱、標識柱、電柱などとして用いられる柱、並びにそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記した従来技術の問題点を解決するために鋭意検討した結果、下記知見(1) 〜(5) を見出し、本発明に至った。
(1) 複合サイクル試験:
下塗り、中塗り、上塗りが施された3コートのポリウレタン塗装亜鉛めっき鋼管を、下記条件下で500 サイクルの複合サイクル試験を行っても、ブリスターはほとんど発生しなかった。
【0010】
〔複合サイクル試験:〕
JASO M610
1サイクル=塩水噴霧2時間+乾燥4時間+湿潤2時間
(2) ブラスト処理試験:
ブラスト処理装置を用い、「神奈川県林業試験場報告,7(3),39−53(1981)」に開示された飛砂の粒径に近い粒径:0.07〜0.15mmの海砂を用い、飛砂の浮遊時の速度30m/s の吹き付け速度で、3コート塗装亜鉛めっき鋼管(テーパー鋼管)に吹き付けた結果、「神奈川県林業試験場報告,20(3) ,45−61(1994)」に開示されている海岸べりの飛砂の1年分の飛砂量で塗膜剥れが生じ、下層が露出して、斑模様が発生した。
【0011】
(3) 塗装亜鉛系めっき鋼管の海浜環境での塗膜剥がれの機構:
上記した(1) 、(2) の実験結果から、塗装亜鉛系めっき鋼管の海浜環境下での塗膜剥れは、海塩粒子による腐食によって塗膜にブリスター(ふくれ)が発生し、その後ブリスターが飛砂によって削られて、下塗りが露出することにより生じるのではなく、飛砂によって健全な塗膜が削られることによることを見出した。
【0012】
(4) 亜鉛系めっき層上へのエポキシ変性ポリウレタン樹脂層の形成:
上記した(3) の知見に基づき、亜鉛系めっきに下塗りなどを介さないで、1コートで塗装した塗膜の密着性を改善する方法を鋭意検討した結果、エポキシ変性ポリウレタン樹脂が極めて密着性に優れることを見出し、本発明に至った。
(5) エポキシ変性ポリウレタン樹脂層の表面のつや消し処理による耐候性の改良:
本発明者らは、さらに、芳香族イソシアネートで硬化させて得られたたポリウレタン樹脂層が、屋外で短期間でつやがなくなる欠点を改善する方法を鋭意検討した結果、エポキシ変性ポリウレタン樹脂塗料の塗装後に、つや消し処理を施すことで、屋外使用でも塗膜外観が変化せず、耐候性に優れることを見出し、本発明に至った。
【0013】
すなわち、第1の発明は、鋼管の外面側の亜鉛系めっき層上に直接、エポキシ変性ポリウレタン樹脂からなる塗膜層を有することを特徴とする海浜環境用途用塗装亜鉛系めっき鋼管である。
前記した第1の発明においては、前記エポキシ変性ポリウレタン樹脂層の表面がつや消し処理されていることが好ましい(第1の発明の第1の好適態様)。
また、前記した第1の発明、第1の発明の第1の好適態様においては、前記エポキシ変性ポリウレタン樹脂層の膜厚が、300 〜1000μm であることが好ましい(第1の発明の第2の好適態様、第3の好適態様)。
【0014】
また、前記した第1の発明、第1の発明の第1の好適態様〜第3の好適態様においては、前記エポキシ変性ポリウレタン樹脂層が、エポキシ変性ポリオールとイソシアネート系硬化剤とを反応して得られたエポキシ変性ポリウレタン樹脂層であることが好ましい(第1の発明の第4の好適態様〜第7の好適態様)。
また、前記した第1の発明、第1の発明の第1の好適態様〜第3の好適態様においては、前記エポキシ変性ポリウレタン樹脂層が、(1) ポリオールと、(2) イソシアネート系硬化剤と、(3) エポキシ樹脂および/またはエポキシ系シランカップリング剤を反応して得られたエポキシ変性ポリウレタン樹脂層であることが好ましい(第1の発明の第8の好適態様〜第11の好適態様)。
【0015】
第2の発明は、前記した第1の発明、第1の発明の第1の好適態様〜第11の好適態様いずれかに記載の海浜環境用途用塗装亜鉛系めっき鋼管から成ることを特徴とする柱である。
さらに、上記した第2の発明のより好適な態様は、前記した第1の発明、第1の発明の第1の好適態様〜第11の好適態様いずれかに記載の海浜環境用途用塗装亜鉛系めっき鋼管から成ることを特徴とする照明柱もしくは標識柱もしくは電柱として用いられる海浜環境用途用柱である(第2の発明の第1の好適態様〜第12の好適態様)。
【0016】
第3の発明は、少なくとも外面側に亜鉛系めっき層が形成された鋼管の前記亜鉛系めっき層の表面に直接、エポキシ変性ポリオールとイソシアネート系硬化剤を含有するエポキシ変性ポリウレタン樹脂塗料を塗布することを特徴とする海浜環境用途用塗装亜鉛系めっき鋼管の製造方法である。
前記した第3の発明においては、前記したエポキシ変性ポリウレタン樹脂塗料において、エポキシ変性ポリオールがポリオールをエポキシ樹脂および/またはエポキシ系シランカップリング剤で変性したエポキシ変性ポリオールであって、前記したエポキシ樹脂および/またはエポキシ系シランカップリング剤の合計量が、前記ポリオールとイソシアネート系硬化剤の合計量:100 質量部に対して2〜20質量部であることが好ましい(第3の発明の第1の好適態様)。
【0017】
第4の発明は、少なくとも外面側に亜鉛系めっき層が形成された鋼管の前記亜鉛系めっき層の表面に直接、(1) ポリオールと、(2) イソシアネート系硬化剤と、(3) エポキシ樹脂および/またはエポキシ系シランカップリング剤を含有するエポキシ変性ポリウレタン樹脂塗料を塗布することを特徴とする海浜環境用途用塗装亜鉛系めっき鋼管の製造方法である。
【0018】
前記した第4の発明においては、前記したエポキシ樹脂および/またはエポキシ系シランカップリング剤の合計量が、前記したポリオールとイソシアネート系硬化剤の合計量:100 質量部に対して2〜20質量部であることが好ましい(第4の発明の第1の好適態様)。
また、前記した第3の発明、第3の発明の第1の好適態様、第4の発明、第4の発明の第1の好適態様においては、前記したエポキシ変性ポリウレタン樹脂塗料が塗布された塗膜表面に溶剤および/またはエポキシ変性ポリウレタン樹脂塗料を塗布し前記塗膜表面を粗面化することが好ましい(第3の発明の第2の好適態様、第3の好適態様、第4の発明の第2の好適態様、第3の好適態様)。
【0019】
さらに、前記した第1の発明、第1の発明の第1の好適態様〜第11の好適態様、第2の発明、第2の発明の第1の好適態様〜第12の好適態様、第3の発明、第3の発明の第1の好適態様〜第3の好適態様、第4の発明、第4の発明の第1の好適態様〜第3の好適態様においては、前記した亜鉛系めっきが溶融亜鉛めっきであることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明によれば、鋼管の外面側の亜鉛系めっき層上にエポキシ変性ポリウレタン樹脂層を形成することによって、海浜環境下においても耐摩耗性、耐食性、塗膜密着性、さらには耐汚染性に優れた塗装亜鉛系めっき鋼管を得ることができる。
【0021】
さらに、本発明によれば、上記したエポキシ変性ポリウレタン樹脂層の表面がつや消し処理されていることによって、上記した優れた特性に加えて耐候性に優れた塗装亜鉛系めっき鋼管を得ることができる。
上記した本発明の塗装亜鉛系めっき鋼管は、特に、照明柱、標識柱、電柱など道路用の柱として好適に用いられる。
【0022】
本発明によれば、鋼管の外面側の亜鉛系めっき層が、亜鉛の犠牲防食作用によって地鉄の腐食を抑制すると共に、外面側上層のエポキシ変性ポリウレタン樹脂と水素結合を形成し、鋼管に対する塗膜の密着性が向上する。
母材である鋼管への亜鉛系めっき層の形成は、鋼管を塩酸などで酸洗後、鋼管表面を、塩化亜鉛や塩化アンモニウムなどでフラックス処理し、溶融亜鉛めっき浴中へ浸漬することによって行うことができる。
【0023】
亜鉛系めっきの亜鉛の付着量は、 300〜700g/m2 であることが好ましい。
亜鉛系めっきの亜鉛の付着量が300g/m2 未満の場合、亜鉛系めっきの犠牲防食作用の持続期間が短くなり、700g/m2 を超える場合、亜鉛および溶融亜鉛めっきでめっきを施した場合の浴中のアルミニウムが地鉄と過度に合金化物を形成して、亜鉛系めっき層が脆くなる問題がある。
【0024】
本発明においては、耐食性向上効果、塗膜密着性向上効果、めっき付着量の確保などの面から、亜鉛系めっき層としては溶融めっきで形成することが好ましいが、電気めっきで形成してもよい。
本発明における亜鉛系めっき層は、純亜鉛めっき層、 Zn-Alめっき層、 Zn-Niめっき層、 Zn-Feめっき層、 Zn-Coめっき層などのZnを主成分として含有するめっき層である。
【0025】
本発明におけるエポキシ変性ポリウレタン樹脂層は、エポキシ変性したポリオールからなる主剤と、芳香族イソシアネートなどイソシアネート基を有するイソシアネート系硬化剤を、塗装の直前に混合し、得られた塗料を亜鉛系めっき鋼管の外面側の亜鉛系めっきの表面に塗布して形成することが好ましい。
エポキシ変性したポリオールは、予めエポキシ樹脂および/またはエポキシ系シランカップリング剤で変性したエポキシ変性ポリオールを用いることができる。
【0026】
また、本発明におけるエポキシ変性ポリウレタン樹脂層は、ポリオールと、イソシアネート基を有するイソシアネート系硬化剤に、エポキシ樹脂および/またはエポキシ系シランカップリング剤を単に混合した塗料を、亜鉛系めっき鋼管の外面側の亜鉛系めっきの表面に塗布することによっても形成することができる。ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールおよびアクリルポリオールなどから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
【0027】
ポリエステルポリオールとしては、耐摩耗性や低温での可撓性に優れたひまし油、アジピン酸系ポリエステルポリオール、フタル酸系ポリエステルポリオール、長鎖二塩基酸(アゼライン酸、セバチン酸)系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオールおよび芳香族ポリエステルポリオールなどから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
【0028】
ポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレン(エチレン)ポリオールおよび/またはポリテトラメチレンエーテルグリコールを用いることができる。
ポリカーボネートポリオールとしては、下記一般式(1) で示されるポリオールを用いることができる。
【0029】
【化1】
【0030】
また、アクリルポリオールとしては、ヒドロキシエチルメタクリレートなどの各種アクリル系モノマーとアクリル(メタクリル)酸エステル、スチレンなどとの共重合体を用いることができる。
なお、本発明においては、上記した各種ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールおよびアクリルポリオールなどから選ばれる1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0031】
本発明におけるエポキシ変性ポリウレタン樹脂層を形成するイソシアネート系硬化剤としては、硬化速度を速めるために、ベンゼン環に直接NCO 基が結合したTDI (トリレンジイソシアネート)やMDI (ジフェニルメタンジイソシアネート)が好適である。
上記したイソシアネート系硬化剤を用いることによって、好ましくは300 μm 以上の厚膜のエポキシ変性ポリウレタン樹脂層を一回の塗装で形成することができる。
【0032】
エポキシ変性ポリウレタン樹脂層を形成する塗料(以下、エポキシ変性ポリウレタン樹脂塗料とも記す)中のエポキシ樹脂および/またはエポキシ系シランカップリング剤の合計量は、下記の範囲であることが好ましい。
(1) エポキシ変性ポリオールとイソシアネート系硬化剤から成る塗料を用いる場合:
エポキシ変性ポリオールを得るためのエポキシ樹脂および/またはエポキシ系シランカップリング剤の合計量が、ポリオールとイソシアネート系硬化剤の合計量:100 質量部に対して2〜20質量部であることが好ましい。
【0033】
(2) ポリオールとイソシアネート系硬化剤に、エポキシ樹脂および/またはエポキシ系シランカップリング剤を添加した塗料を用いる場合:
エポキシ樹脂および/またはエポキシ系シランカップリング剤の合計量が、ポリオールとイソシアネート系硬化剤の合計量:100 質量部に対して2〜20質量部であることが好ましい。
【0034】
ポリオールとイソシアネート系硬化剤の合計量:100 質量部に対してエポキシ樹脂および/またはエポキシ系シランカップリング剤の合計量が2質量部未満の場合、樹脂層と亜鉛系めっき層との密着性が改善されず、20質量部を超える場合、樹脂層が脆くなり、耐摩耗性が劣化する。
前記したエポキシ変性ポリウレタン樹脂塗料の塗布法としては、亜鉛系めっき鋼管の外面側の亜鉛系めっきの表面に塗料をハケ、ローラーで塗布する方法、エアレススプレー塗装機を用いて塗布する方法を用いることができ、塗膜外観および作業性の面から、エアレススプレー塗装が好ましい。
【0035】
エポキシ変性ポリウレタン樹脂層の膜厚(乾燥後の膜厚)は、300 〜1000μm であることが好ましい。
膜厚が300 μm 未満の場合、塗膜剥れが生じ(塗膜密着性が劣り)易くなり、膜厚が1000μm を超える場合、塗膜剥れの防止(塗膜密着性の向上)効果が実用上飽和し、経済的でない。
【0036】
エポキシ変性ポリウレタン樹脂塗料の塗布は、亜鉛系めっき層をそのまま、あるいはサンダー処理またはブラスト処理して亜鉛系めっき表面を目荒した後に行ってもよい。
塗布は、雰囲気温度5〜40℃、相対湿度(RH)90%以下の条件下で行うことが好ましい。
【0037】
本発明においては、主剤であるポリオールに着色顔料を添加することによって、亜鉛系めっき鋼管の表面に種々の色調の着色ポリウレタン樹脂層を形成することができる。
色調としては、グリーン、グレー、クリーム、ブラウン、黒などが、海浜環境における景観上から好ましい。
【0038】
なお、本発明に係るエポキシ変性ポリウレタン樹脂塗料は無溶剤で用いることができるが、必要に応じて溶剤を添加して用いてもよい。
本発明においては、亜鉛系めっき層上のエポキシ変性ポリウレタン樹脂層の表面をつや消し処理することによって耐候性をさらに改善することができる。
つや消し処理は、下記(1) 、(2) の方法によって行うことができる。
【0039】
(1) 溶剤塗布による塗膜表面の粗面化:
塗布後の塗膜が指触乾燥するまでの間に、エポキシ変性ポリウレタン樹脂の塗膜表面に溶剤を吹き付けて、塗膜の極表層の樹脂を再溶解し、塗膜表面を粗面化する。
上記した溶剤の種類としては、塗膜の表層の樹脂を溶解できる溶剤であれば特に制限を受けるものではないが、キシレン、トルエン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンなどから選ばれる1種または2種以上を用いることが好ましい。
【0040】
(2) 塗膜表面へのエポキシ変性ポリウレタン樹脂塗料の再塗布:
エポキシ変性ポリウレタン樹脂層の上に、さらにエポキシ変性ポリウレタン樹脂塗料を、好ましくは30μm 以下の膜厚となるように薄く再塗布して、塗膜表面を粗面化する。
なお、再塗布するエポキシ変性ポリウレタン樹脂塗料は、1コート塗装に用いたと同じエポキシ変性ポリウレタン樹脂塗料を用いることが好ましく、またスプレー塗装によって吹き付け、塗布することが好ましい。
【0041】
以上、本発明について述べたが、本発明で使用する亜鉛系めっき鋼管は、円筒形状、角型形状のいずれの形状のものを用いてもよい。
本発明の塗装亜鉛系めっき鋼管から成る柱を照明柱、標識柱、電柱に用いると、耐食性、耐摩耗性、塗膜密着性および耐汚染性に優れ、さらには耐候性に優れた照明柱、標識柱、電柱となる。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。
表1に、本実施例において用いたポリオール、エポキシ系添加剤を示す。
(実施例1〜6)
板厚 6.8 mm の熱延鋼板をテーパー鋼管に成形加工後、脱脂、塩酸酸洗、塩化アンモニウムでのフラックス処理を行った。
【0043】
次に、処理後の鋼管を、 450℃に保持した溶融亜鉛めっき浴中に浸漬し、溶融亜鉛めっきを施し、室温まで冷却し、亜鉛めっき付着量が鋼管外面、内面それぞれの片面当たり 550g/m2の溶融亜鉛めっき鋼管を製造した。
次に、得られた溶融亜鉛めっき鋼管の外面側の溶融亜鉛めっき層上に、表2および下記に示す二液型エポキシ変性ポリウレタン樹脂塗料をエアレススプレー塗装機で塗装した。
【0044】
〔二液型エポキシ変性ポリウレタン樹脂塗料:〕
I液(主剤):エポキシ変性ポリオール
ポリオールとイソシアネート系硬化剤の合計量:100 質量部に対して、エポキシ樹脂またはエポキシ系シランカップリング剤:2〜20質量部をポリオールに添加したエポキシ変性ポリオール
II液(イソシアネート系硬化剤):MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)
次に、塗膜が指触乾燥するまでの間に、キシレンをスプレーガンで吹き付けてつや消し処理(塗膜表面の粗面化)し、室温で1日保持し、照明柱用の塗装溶融亜鉛めっき鋼管を試作した。
【0045】
(実施例7、8)
前記した実施例1〜6と同様の方法で製造した溶融亜鉛めっき鋼管の外面側の溶融亜鉛めっき層上に、表2および下記に示す二液型エポキシ変性ポリウレタン樹脂塗料をエアレススプレー塗装機で塗装した。
〔二液型エポキシ変性ポリウレタン樹脂塗料:〕
I液(主剤):ポリオールとエポキシ樹脂の混合物またはポリオールとエポキシ系シランカップリング剤の混合物
ポリオールとイソシアネート系硬化剤の合計量:100 質量部に対して、エポキシ樹脂またはエポキシ系シランカップリング剤:10質量部をポリオールに添加
II液(イソシアネート系硬化剤):MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)
次に、塗膜が指触乾燥するまでの間に、キシレンをスプレーガンで吹き付けてつや消し処理(塗膜表面の粗面化)し、室温で1日保持し、照明柱用の塗装溶融亜鉛めっき鋼管を試作した。
【0046】
(実施例9)
前記した実施例1において、つや消し処理(塗膜表面の粗面化)としてキシレンに代えて実施例1の1コート塗装に用いたと同じエポキシ変性ポリウレタン樹脂塗料を用いた以外は実施例1と同様の方法で照明柱用の塗装溶融亜鉛めっき鋼管を試作した。
【0047】
(実施例10)
前記した実施例1において、つや消し処理を施さなかった以外は実施例1と同様の方法で照明柱用の塗装溶融亜鉛めっき鋼管を試作した。
(実施例11)
前記した実施例1において、エポキシ樹脂の添加量を変え、つや消し処理を施さなかった以外は実施例1と同様の方法で照明柱用の塗装溶融亜鉛めっき鋼管を試作した。
【0048】
(実施例12)
前記した実施例1において、エポキシ樹脂の添加量を変え、つや消し処理を施さなかった以外は実施例1と同様の方法で照明柱用の塗装溶融亜鉛めっき鋼管を試作した。
(比較例1)
前記した実施例1において、エポキシ樹脂を無添加とし、つや消し処理を施さなかった以外は実施例1と同様の方法で照明柱用の塗装溶融亜鉛めっき鋼管を試作した。
【0049】
(比較例2)
前記した実施例1〜6と同様の方法で製造した溶融亜鉛めっき鋼管の溶融亜鉛めっき層上に、エポキシ樹脂系のプライマーをエアスプレー塗装機で30μm 塗装し、1日保持後、ポリウレタン樹脂系の中塗り塗料をエアスプレー塗装機で30μm 塗装して1日保持した。
【0050】
次に、着色顔料を添加した上塗り塗料である表2および下記に示す二液型アクリル系ポリウレタン樹脂塗料をエアスプレー塗装機で50μm 塗装し、室温で1日保持し、照明柱用の塗装溶融亜鉛めっき鋼管を試作した。
〔二液型アクリル系ポリウレタン樹脂塗料:〕
I液(主剤) :アクリル系ポリオール
II液(硬化剤):HMDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)
(比較例3)
前記した実施例1〜6と同様の方法で製造した溶融亜鉛めっき鋼管の溶融亜鉛めっき層上に、エポキシ樹脂系のプライマーをエアスプレー塗装機で40μm 塗装し、1日保持後、ガラスフレークを添加したビニルエステル樹脂系の中塗り塗料を、エアスプレー塗装機で80μm 塗布して1日保持した。
【0051】
次に、着色顔料およびガラスフレークを添加したビニルエステル樹脂系の上塗り塗料をエアスプレー塗装機で80μm 塗布し、室温で1日保持し、照明柱用の塗装溶融亜鉛めっき鋼管を試作した。
(比較例4)
前記した実施例1〜6と同様の方法で製造した溶融亜鉛めっき鋼管の溶融亜鉛めっき層上に、エポキシ樹脂系のプライマーをエアスプレー塗装機で30μm 塗布し、1日保持後、フッ素樹脂系の中塗り塗料をエアスプレー塗装機で30μm 塗布して1日保持した。
【0052】
次に、着色顔料を添加したフッ素樹脂系の上塗り塗料を、エアスプレー塗装機で50μm 塗布し、室温で1日保持し、照明柱用の塗装溶融亜鉛めっき鋼管を試作した。
(比較例5)
前記した実施例1〜6と同様の方法で製造した溶融亜鉛めっき鋼管の溶融亜鉛めっき層上に、着色顔料を添加したエポキシ樹脂塗料をエアスプレー塗装機で500 μm 塗布し、室温で1日保持し、照明柱用の塗装溶融亜鉛めっき鋼管を試作した。
【0053】
次に、前記した実施例1〜12、比較例1〜5で得られた塗装溶融亜鉛めっき鋼管の試験材について、下記試験法に基づき耐食性、耐摩耗性、塗膜密着性、耐汚染性および耐候性を評価した。
〔耐食性、耐摩耗性:〕
下記に示す複合サイクル試験(JASO M610 )110 サイクルと海砂によるブラスト処理試験1サイクルの組合せを1回の試験回数とする耐食性・耐摩耗性試験を行い、亜鉛めっき層もしくは下地塗膜が露出するまでの試験回数を調査した。
【0054】
(複合サイクル試験:)
JASO M610
1サイクル=塩水噴霧2時間+乾燥4時間+湿潤2時間
(ブラスト処理試験:)
海砂粒径:0.07〜0.15mm、重力式ブラスト装置、投射速度:30m/s 、吐出量:6kg/min、1サイクルのブラスト処理時間:30min
〔塗膜密着性:〕
エポキシ系接着剤で丸棒を塗膜に接着し、垂直引張試験を行い、最大引張荷重に基づき塗膜密着性を評価した。
【0055】
〔耐汚染性:〕
建設省・土木研究所規格による耐汚染性試験(水/カーボン汚れ促進試験)
カーボンブラック 5.0質量%を脱イオン水に分散後、分散液をエアスプレーで試験片に塗布し、60℃で1時間乾燥後、流水下でガーゼで汚れを拭き取り、3時間乾燥後、L値(明度)を測定した。
【0056】
(耐汚染性の評価方法)
明度差(試験後の明度−試験前の明度):△Lが−7以上であれば、屋外環境に用いられる土木構造物の被覆材料について、汚れが付着しにくい、あるいは、付着した汚れ物質を容易に落とすことができる防汚材料と評価した。
〔耐候性:〕
サンシャインカーボンアーク灯の光を 120分照射中に18分散水するサンシャインウエザーメータ試験を行い、2500時間後の光沢度の試験前の光沢度に対する保持率で耐候性を評価した。
【0057】
表3に、得られた評価結果を示す。
表3に示されるように、本発明の塗装亜鉛系めっき鋼管は、耐食性、耐摩耗性、塗膜密着性および耐汚染性に優れ、さらには優れた耐候性を有し、照明柱、標識柱、電柱などの道路用の柱として優れた性能を有していることが分かった。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の塗装亜鉛系めっき鋼管は、耐食性、耐摩耗性、塗膜密着性および耐汚染性に優れ、さらには優れた耐候性を有するため景観性に優れ、照明柱、標識柱、電柱などの道路用の柱として極めて有用である。
Claims (6)
- 鋼管の外面側の亜鉛系めっき層上に直接、エポキシ変性ポリウレタン樹脂からなる塗膜層を有することを特徴とする海浜環境用途用塗装亜鉛系めっき鋼管。
- 前記エポキシ変性ポリウレタン樹脂層の表面がつや消し処理されていることを特徴とする請求項1記載の海浜環境用途用塗装亜鉛系めっき鋼管。
- 請求項1または2記載の海浜環境用途用塗装亜鉛系めっき鋼管から成ることを特徴とする海浜環境用途用柱。
- 少なくとも外面側に亜鉛系めっき層が形成された鋼管の前記亜鉛系めっき層の表面に直接、エポキシ変性ポリオールとイソシアネート系硬化剤を含有するエポキシ変性ポリウレタン樹脂塗料を塗布することを特徴とする海浜環境用途用塗装亜鉛系めっき鋼管の製造方法。
- 少なくとも外面側に亜鉛系めっき層が形成された鋼管の前記亜鉛系めっき層の表面に直接、(1) ポリオールと、(2) イソシアネート系硬化剤と、(3) エポキシ樹脂および/またはエポキシ系シランカップリング剤を含有するエポキシ変性ポリウレタン樹脂塗料を塗布することを特徴とする海浜環境用途用塗装亜鉛系めっき鋼管の製造方法。
- 前記したエポキシ変性ポリウレタン樹脂塗料が塗布された塗膜表面に溶剤および/またはエポキシ変性ポリウレタン樹脂塗料を塗布し前記塗膜表面を粗面化することを特徴とする請求項4または5記載の海浜環境用途用塗装亜鉛系めっき鋼管の製造方法。
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