JP2024010614A - タイヤの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】生タイヤの成形における部材の組み合わせ工程を省略する。【解決手段】本発明のタイヤの製造方法は、第1プライ30にシート状のゴム部材20を貼付する工程と、第2プライ40とゴム部材20が貼付された第1プライ30とを円筒状の成形フォーマー110の外周面に沿って円筒状に成形し、径方向の内側から第2プライ40、第1プライ30、およびゴム部材20がこの順に配置された巻回体を形成する工程と、巻回体の軸方向の中央部を径方向の外側に変形させて、第1プライ30、第2プライ40、およびゴム部材20によって生タイヤのサイドウォール17を成形する工程と、を含む。【選択図】図7

Description

本開示は、タイヤの製造方法に関する。
例えば特許文献1には、インナーライナーとサイドウォールゴムとを備えたタイヤを製造する方法が開示されている。特許文献1に開示された方法では、未加硫のインナーライナーと未加硫の一対のサイドウォールゴムとを含む中間部材をドラムに巻き付け、筒状に形成する。その後、カーカスプライを筒状の中間部材に巻き付け、中間部材の一対のサイドウォールゴムをビードコア周りに折り返す。また、中間部材の中央部を半径方向外側に膨張させる。さらに、ベルトとトレッドゴムとを成形中の生タイヤの外側に貼り付けて生タイヤを形成する。特許文献1によれば、上記方法では一体化された中間部材を用いて生タイヤを成形するため、生タイヤの成形中に中間部材の複数のタイヤ構成部材を組み合わせる必要がない、とされている。そのため、生タイヤの成形時の工数を従来よりも削減して、タイヤの生産効率を向上させることができる、とされている。
特開2016-49708号公報
ここでは、生タイヤの成形における部材の組み合わせ工程を省略できる他のタイヤの製造方法を提案する。
本発明のタイヤ製造方法は、第1プライにシート状のゴム部材を貼付する工程と、巻回体を形成する工程と、生タイヤのサイドウォールを成形する工程と、を含む。巻回体を形成する工程では、第2プライとゴム部材が貼付された第1プライとを円筒状の成形フォーマーの外周面に沿って円筒状に成形し、径方向の内側から第2プライ、第1プライ、およびゴム部材がこの順に配置された巻回体を形成する。生タイヤのサイドウォールを成形する工程では、巻回体の軸方向の中央部を径方向の外側に変形させて、第1プライ、第2プライ、およびゴム部材によって生タイヤのサイドウォールを成形する。
上記タイヤの製造方法によれば、成形前に第1プライに貼付されたシート状のゴム部材によって生タイヤのサイドウォールゴムが形成される。そのため、成形時にサイドウォールゴムを組み合わせる必要がない。よって、上記タイヤの製造方法によれば、生タイヤの成形においてサイドウォールゴムの組み合わせ工程を省略できる。
タイヤの製造工程の一部を示す工程図である。 ゴムシート成形装置の模式的な側面図である。 ゴムシートが貼付されたフローティングプライの模式的な側面図である。 フローティングプライを成形中の成形フォーマーの模式的な一部破断正面図である。 カーカスプライを成形中の成形フォーマーの模式的な一部破断正面図である。 ビード部を形成中の成形フォーマーの模式的な一部破断正面図である。 サイドウォールを成形中の成形フォーマーの模式的な一部破断正面図である。
以下、一実施形態に係るタイヤの製造方法を図面に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。各図面は、一例を示すのみであり、特に言及されない限りにおいて本発明を限定しない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
[タイヤの製造工程]
図1は、一実施形態に係るタイヤの製造の製造工程の一部を示す工程図である。本実施形態では、タイヤは、自動二輪車用のタイヤである。ただし、タイヤの種類は特に限定されるわけではない。図1では、未加硫の生タイヤ(ローカバー)を成形する工程のうち、プライ30L、30R、40を含む中間カバー10(いずれも図7参照)を形成する工程を図示している。
図1に示すように、本実施形態では、タイヤの製造工程は、ゴムシート成形工程S10と、貼付工程S20と、巻回体成形工程S30と、膨張工程S40と、を含んでいる。巻回体成形工程S30は、さらに、フローティングプライ30の成形工程S31と、カーカスプライ40の成形工程S32と、ビード成形工程S33と、を含んでいる。
ゴムシート成形工程S10では、ゴムシート20をカレンダー成形によって成形する。ただし、ゴムシート20を所定の形状に形成できる限りにおいて、ゴムシート20の形成方法は限定されない。ゴムシート20は、シート状のゴム部材である。ゴムシート20は、完成したタイヤにおいてサイドウォールゴムを構成する。ゴムシート20は、サイドウォールゴムの材料を薄く成形したものである。ゴムシート20の厚さT(図3参照)は、好ましくは、2mm以下である。ゴムシート20を薄く成形することにより、タイヤのサイドウォールゴムの厚さが薄くなる。これにより、タイヤのサイドに荷重がかかったときのタイヤの変形が大きくなり、接地感や乗り心地が向上する。ただし、ゴムシート20の厚さは、特に限定されるわけではない。
図2は、ゴムシート成形装置100の模式的な側面図である。図2に示すように、一例に係るゴムシート成形装置100は、複数の加熱ローラ101と、複数の冷却ローラ102と、を備えている。ゴムシート20の材料の材料である材料ゴムGは、図示しない混錬機で混錬された後、複数の加熱ローラ101の間に押し出される。材料ゴムGは、複数の加熱ローラ101の間で圧延され、シート状にされる。シート状にされた材料ゴムGは、複数の冷却ローラ102の間を通る間に厚さが調整されるとともに、冷却される。これにより、所定の厚さ(好ましくは2mm以下の厚さ)のゴムシート20が形成される。ゴムシート成形装置100は、インナーライナーやインスレーションを成形する装置と同じ装置であってもよい。
貼付工程S20では、一対のフローティングプライ30にそれぞれゴムシート20を貼付する。図3は、ゴムシート20が貼付されたフローティングプライ30の模式的な側面図である。詳しくは後述するが、フローティングプライ30は、サイドウォールを支持するプライであり、一対で構成されている。以下、区別が必要な場合は、例えば図4のように、図示左側のフローティングプライ30を符号30Lで、図示右側のフローティングプライ30を符号30Rで示す。一対のフローティングプライ30を区別する必要がない場合には、符号30を使用する。同様に、区別が必要な場合は、図示左側のゴムシート20を符号20Lで、図示右側のゴムシート20を符号20Rで示す(例えば、図4を参照)。
図3に示すように、ここでは、ゴムシート20は、フローティングプライ30の側面から外にはみ出すようにフローティングプライ30に貼付される。ゴムシート20がフローティングプライ30からはみ出している方向(図3では左方)は、中間カバー10では、サイドウォール17からビード部16を見た方向となる(図7を参照)。中間カバー10では、ゴムシート20は、フローティングプライ30よりもビード部16の方に延びている。以下、このゴムシート20のフローティングプライ30からはみ出した部分を、はみ出し部分20aとも呼ぶ。なお、はみ出し部分20aは設けられなくてもよい。
巻回体成形工程S30では、カーカスプライ40とゴムシート20が貼付されたフローティングプライ30(以下、単にフローティングプライ30とも言う)とを円筒状の成形フォーマー110(図4参照)の外周面に沿って円筒状に成形する。これにより、径方向の内側からカーカスプライ40、フローティングプライ30、およびゴムシート20がこの順に配置された巻回体15(図6参照)を形成する。
巻回体成形工程S30のうち、フローティングプライ30の成形工程S31では、それぞれゴムシート20が貼付された一対のフローティングプライ30を成形フォーマー110の外周面に沿って円筒状に成形する。図4は、フローティングプライ30を成形中の成形フォーマー110の模式的な一部破断正面図である。図4に示すように、フローティングプライ30の成形工程S31では、一対のフローティングプライ30Lおよび30Rは、成形フォーマー110の軸方向に離れるように配置される。成形フォーマー110の軸方向は、図4では左右方向である。詳しくは、一対のフローティングプライ30Lおよび30Rは、それぞれ、円筒状の成形フォーマー110の図示左側の端部および右側の端部に巻き付けられる。図4の破断部分に示すように、一対のフローティングプライ30Lおよび30Rは、それぞれ、ゴムシート20が成形フォーマー110の径方向の内側にくるように配置される。また、一対のフローティングプライ30Lおよび30Rは、それぞれ、ゴムシート20のはみ出し部分20aを軸方向の内側に向けるように配置される。一対のフローティングプライ30Lおよび30Rは、それぞれ、成形フォーマー110を1周巻回され、周方向の両端が接合される。
巻回体成形工程S30のうち、カーカスプライ40の成形工程S32では、カーカスプライ40を一対のフローティングプライ30に重ね、成形フォーマー110の外周面に沿って円筒状に成形する。図5は、カーカスプライ40を成形中の成形フォーマー110の模式的な一部破断正面図である。図5に示すように、本実施形態では、カーカスプライ40は、フローティングプライ30の軸方向外側の端部よりも内側に巻き付けられる。一対のフローティングプライ30は、それぞれ、カーカスプライ40よりも軸方向外側にはみ出している。ただし、カーカスプライ40は、軸方向の長さが図5に示したよりも長く構成され、フローティングプライ30の軸方向外側の端部よりも外側にはみ出してもよい。カーカスプライ40は、成形フォーマー110を1周巻回され、周方向の両端が接合される。
なお、巻回体成形工程S30では、一対のフローティングプライ30とカーカスプライ40とを先に重ね、必要であれば両者を貼り合わせてから、成形フォーマー110で巻回してもよい。
巻回体成形工程S30のうち、ビード成形工程S33では、ビード部16を形成する。図6は、ビード部16を形成中の成形フォーマー110の模式的な一部破断正面図である。図6に示すように、ビード成形工程S33では、カーカスプライ40の軸方向の両端部をビードコア50周りに巻き上げることにより、一対のビード部16を形成する。これにより、ゴムシート20が径方向の外側にくるように、一対のフローティングプライ30およびゴムシート20が裏返る。
図6に示すように、巻回体15の軸方向の端部において、ゴムシート20のはみ出し部分20aは、ビード部16の外側を覆っている。ゴムシート20は、ビード部16を形成するためにカーカスプライ40の軸方向の両端部を巻き上げた後にビード部16の軸方向の端部よりも外側に突出するような長さを有している。なお、はみ出し部分20aが設けられていない場合には、ゴムシート20は、フローティングプライ30を間に挟んでビード部16の外側を覆ってもよい。フローティングプライ30は、ここでは、折り返したカーカスプライ40の端部40L、40Rよりも軸方向の内側に延びている。図6に示すように、巻回体成形工程S30により、径方向の内側からカーカスプライ40、フローティングプライ30、およびゴムシート20がこの順に配置された円筒状の巻回体15が形成される。
膨張工程S40では、巻回体15の軸方向の中央部を径方向の外側に変形させて、フローティングプライ30、カーカスプライ40、およびゴムシート20によって生タイヤのサイドウォール17を成形する。図7は、サイドウォール17を成形中の成形フォーマー110の模式的な一部破断正面図である。成形フォーマー110は、図示しないブラダーを膨張させ、巻回体15の軸方向の中央部を、径方向の外側に凸するように変形させる。これにより、図7に示すように、一対のサイドウォール17と、トレッドゴムが組付けられる外周部18と、を備えた中間カバー10が形成される。サイドウォール17では、カーカスプライ40が最も内側に配置され、次いでフローティングプライ30が、最も外側にはゴムシート20が配置されている。以降の工程で、トレッドゴムなどが中間カバー10に組付けられて生タイヤが成形される。生タイヤは、加硫等の工程を経て、完成品のタイヤとなる。完成品のタイヤにおいて、ゴムシート20は、サイドウォールゴムを構成する。
なお、上記の説明では省略したが、中間カバー10には、例えばインナーライナーやインスレーション等の他の部材が組み込まれていてもよい。
[実施例]
以下では、実施例およびその評価結果について説明する。表1は、実施例および比較例の製作方法および評価結果を示す表である。
Figure 2024010614000002
表1に示すように、比較例は、従来方法により製作されたタイヤである。従来方法では、フローティングプライ30にゴムシート20は貼付されず、サイドウォールゴムなしで形成された中間カバーにサイドウォールゴムを組み付ける。サイドウォールゴムは、押出成形によって形成される。サイドウォールゴムの厚さは、3mmである。押出形成では、3mmよりも薄いサイドウォールゴムを成形することは難しい。比較例は、従来方法においいて最もサイドウォールゴムを薄くした例である。
実施例1~4では、フローティングプライ30にゴムシート20を貼付する、上記で説明した方法によってタイヤが製作されている。実施例1では、ゴムシート20の厚さは、1mmである。実施例2では、ゴムシート20の厚さは、0.5mmである。実施例3では、ゴムシート20の厚さは、2mmである。実施例4では、ゴムシート20の厚さは、3mmである。
評価結果の「成形時間」は、生タイヤの成形に要した時間を表す。成形時間の結果は、「長」または「短」のいずれかである。評価結果の「撓み指数」は、撓み試験で得られたタイヤの撓み量を、実施例1を「100」として標準化したものである。撓み指数が大きいほど、タイヤが大きく撓むことを示す。評価結果の「操安性能」は、操作安定性の指数であり、数値が大きいほど、操作安定性が高いことを示す。操安性能は、各タイヤを取り付けた車両を同一の条件で走行させたときのテストライダーによる官能評価である。撓み指数には適値があり、撓み指数が大き過ぎると、タイヤの剛性不足により操安性能が低下する。操安性能も、実施例1を「100」として標準化している。なお、操安性能の評価試験では、排気量1300cc、リムがフロントMT3.50×17、リアMT5.50×17の4サイクル自動二輪車に各タイヤを取り付けた。タイヤの内圧は、フロント250KPa、リア290kPaとし、走行する路面はドライアスファルト路とした。各タイヤは、サイドウォールの製造方法とサイドウォールゴムの厚さとを除いて同じ条件で製作した。
表1に示すように、「成形時間」の評価結果は、比較例が「長」であり、実施例1~4が「短」である。この結果より、本実施形態に係る方法によれば、生タイヤの成形時間を短縮できることが分かる。
表1に示すように、「撓み指数」は、サイドウォールゴムの厚さが薄いほど大きくなっている。これは、サイドウォールゴムを従来方法で組み付けたか、フローティングプライ30に貼付しておいたかには依存しない。この結果より、フローティングプライ30に貼付したゴムシート20によってサイドウォールゴムを形成する本実施形態の方法でも、従来と同等性能のタイヤを製造可能であることが分かる。
図1に示すように、「操安性能」は、サイドウォールゴムの厚さが2mmの実施例3で最も高く、次いで、サイドウォールゴムの厚さが1mmの実施例1で高い。サイドウォールゴムの厚さが0.5mmの実施例2でも、サイドウォールゴムの厚さが3mmの実施例4および比較例よりも「操安性能」が高い。比較例と実施例4との比較より、「操安性能」は、サイドウォールゴムを従来方法で組み付けたか、フローティングプライ30に貼付しておいたかには依存しないことが分かる。この結果より、ゴムシート20の好適な厚さは、2mm以下であることが分かる。さら好適には、ゴムシート20の厚さは、1mm以上2mm以下が好ましいことが分かる。従来方法では、サイドウォールゴムの厚さを3mmよりも薄くすることは難しいため、本実施形態に係る方法によれば、従来方法よりもタイヤの操安性能を向上させることができる。特に、自動二輪車用のタイヤは、サイドに荷重が掛かることが多いため、本実施形態に係る方法により、接地感や乗り心地が向上する。
[実施形態の作用効果]
以下に、本実施形態に係るタイヤの製造方法によって奏することができる作用効果について説明する。
本実施形態に係るタイヤの製造方法は、フローティングプライ30にゴムシート20を貼付する貼付工程S20と、カーカスプライ40とゴムシート20が貼付されたフローティングプライ30とを円筒状の成形フォーマー110の外周面に沿って円筒状に成形し、径方向の内側からカーカスプライ40、フローティングプライ30、およびゴムシート20がこの順に配置された巻回体15を形成する巻回体成形工程S30と、巻回体15の軸方向の中央部を径方向の外側に変形させて、フローティングプライ30、カーカスプライ40、およびゴムシート20によって生タイヤのサイドウォール17を成形する工程と、を含んでいる。かかる方法によれば、成形前にフローティングプライ30に貼付されたゴムシート20によって生タイヤのサイドウォールゴムが形成される。そのため、成形時にサイドウォールゴムを組み合わせる必要がない。その結果、実施例に示すように、生タイヤの成形に要する時間を短縮することができる。
本実施形態では、ゴムシート20が貼付される第1のプライは、一対のフローティングプライ30を含んでいる。巻回体成形工程S30は、それぞれゴムシート20が貼付された一対のフローティングプライ30を成形フォーマー110の外周面に沿って円筒状に成形するフローティングプライ30の成形工程S31と、カーカスプライ40を一対のフローティングプライ30に重ね、成形フォーマー110の外周面に沿って円筒状に成形するカーカスプライ40の成形工程S32と、カーカスプライ40の軸方向の両端部をビードコア50周りに巻き上げることにより、一対のビード部16を形成するビード成形工程S33と、を含んでいる。フローティングプライ30の成形工程S31では、一対のフローティングプライ30が成形フォーマー110の軸方向に離れるように、かつ、ゴムシート20が成形フォーマー110の径方向の内側にくるように配置する。ビード成形工程S33では、カーカスプライ40の軸方向の両端部をビードコア50周りに巻き上げることにより、ゴムシート20が径方向の外側にくるように一対のフローティングプライ30およびゴムシート20を裏返す。かかる方法により、径方向の内側からカーカスプライ40、フローティングプライ30、およびゴムシート20がこの順に配置された巻回体15を形成することができる。
なお、ゴムシート20が貼付される第1のプライは、一対のフローティングプライ30を含んでいなくてもよく、例えば、1枚のプライであってもよい。その場合、例えば、カーカスプライ40の両端部を巻き上げてビード部16を形成した後に、ゴムシート20が貼付された第1のプライを外側から重ねてもよい。ゴムシート20も、一対で構成されなくてもよい。ゴムシート20は、例えば、1枚のシートであってもよい。
本実施形態では、ゴムシート20は、ビード部16の外側を覆うように構成されている。これにより、生タイヤおよび完成したタイヤにおいて、ビード部の外側がゴムにより保護される。
本実施形態に係る方法は、ゴムシート20をカレンダー成形で成形するゴムシート成形工程S10を含んでいる。ゴムシート20をカレンダー成形で成形することにより、薄いゴムシート20が得られる他、インナーライナー等の成形装置との間で装置の共通化もできる。
本実施形態では、ゴムシート20の厚さは、2mm以下である。かかる方法によれば、実施例の説明において説明したように、タイヤの操作安定性を高めることができる。さらには、本実施形態ではゴムシート20がフローティングプライ30に貼付されている。そのため、単独では成形時に引き延ばされやすい薄いゴムシート20を、フローティングプライ30のサポートにより、引き延ばされにくくすることができる。ゴムシート20が成形時に引き延ばされると、タイヤ品質が不安定となる。本実施形態に係る方法によれば、そのような事態を抑制し、タイヤ品質を安定させることができる。
本実施形態では、タイヤは、自動二輪車用のタイヤである。前述したように、自動二輪車用のタイヤは、サイドに荷重が掛かることが多いため、本実施形態に係る方法により、特に接地感や乗り心地が向上する。
[他の実施形態]
以上、一実施形態に係るタイヤの製造方法について、種々説明した。しかし、本発明のタイヤの製造方法は、特に言及されない限りにおいて、上述した実施形態に限定されない。例えば、上記した実施形態では、プライは2枚重ねであったが、3枚以上重ねられてもよい。
上記した工程には、適宜に他の工程が追加されてもよい。上記した工程は、適宜に一部が省略されてもよい。工程の順番は、特に言及されない限り、また、変更可能である限り、適宜に入れ替えられてもよい。
種々言及した実施形態や変形例の各構成は、互いに阻害しない関係であれば、適宜に組み合わせることができる。本明細書は以下の発明を含んでおり、以下の発明は、上記した実施形態には限定されない。
本発明(1)は、第1プライにシート状のゴム部材を貼付する工程と、第2プライとゴム部材が貼付された第1プライとを円筒状の成形フォーマーの外周面に沿って円筒状に成形し、径方向の内側から第2プライ、第1プライ、およびゴム部材がこの順に配置された巻回体を形成する工程と、巻回体の軸方向の中央部を径方向の外側に変形させて、第1プライ、第2プライ、およびゴム部材によって生タイヤのサイドウォールを成形する工程と、を含む。
本発明(2)は、本発明(1)に記載のタイヤの製造方法であり、第1プライは、一対のフローティングプライを含む。巻回体を形成する工程は、それぞれゴム部材が貼付された一対のフローティングプライを成形フォーマーの外周面に沿って円筒状に成形し、一対のフローティングプライが成形フォーマーの軸方向に離れるように、かつ、ゴム部材が成形フォーマーの径方向の内側にくるように配置する工程と、第2プライを一対のフローティングプライに重ね、成形フォーマーの外周面に沿って円筒状に成形する工程と、第2プライの軸方向の両端部をビードコア周りに巻き上げることにより、一対のビード部を形成するとともにゴム部材が径方向の外側にくるように一対のフローティングプライおよびゴム部材を裏返す工程と、を含む。
本発明(3)は、本発明(2)に記載のタイヤの製造方法であり、ゴム部材は、ビード部の外側を覆うように構成されている。
本発明(4)は、本発明(1)~(3)のいずれか一つに記載のタイヤの製造方法であり、ゴム部材をカレンダー成形で成形する工程をさらに含む。
本発明(5)は、本発明(1)~(4)のいずれか一つに記載のタイヤの製造方法であり、ゴム部材の厚さは、2mm以下である。
本発明(6)は、本発明(1)~(5)のいずれか一つに記載のタイヤの製造方法であり、タイヤは、自動二輪車用のタイヤである。
15 巻回体
16 ビード部
17 サイドウォール
20 ゴムシート(ゴム部材)
30 フローティングプライ(第1プライ)
40 カーカスプライ(第2プライ)
50 ビードコア
100 ゴムシート成形装置
110 成形フォーマー
S10 ゴムシート成形工程
S20 貼付工程
S30 巻回体成形工程
S31 フローティングプライの成形工程
S32 カーカスプライの成形工程
S33 ビード成形工程
S40 膨張工程

Claims (6)

  1. 第1プライにシート状のゴム部材を貼付する工程と、
    第2プライと前記ゴム部材が貼付された前記第1プライとを円筒状の成形フォーマーの外周面に沿って円筒状に成形し、径方向の内側から前記第2プライ、前記第1プライ、および前記ゴム部材がこの順に配置された巻回体を形成する工程と、
    前記巻回体の軸方向の中央部を径方向の外側に変形させて、前記第1プライ、前記第2プライ、および前記ゴム部材によって生タイヤのサイドウォールを成形する工程と、を含む、
    タイヤの製造方法。
  2. 前記第1プライは、一対のフローティングプライを含み、
    前記巻回体を形成する工程は、
    それぞれ前記ゴム部材が貼付された前記一対のフローティングプライを前記成形フォーマーの外周面に沿って円筒状に成形し、前記一対のフローティングプライが前記成形フォーマーの軸方向に離れるように、かつ、前記ゴム部材が前記成形フォーマーの径方向の内側にくるように配置する工程と、
    前記第2プライを前記一対のフローティングプライに重ね、前記成形フォーマーの外周面に沿って円筒状に成形する工程と、
    前記第2プライの軸方向の両端部をビードコア周りに巻き上げることにより、一対のビード部を形成するとともに前記ゴム部材が径方向の外側にくるように前記一対のフローティングプライおよび前記ゴム部材を裏返す工程と、を含む、
    請求項1に記載のタイヤの製造方法。
  3. 前記ゴム部材は、前記ビード部の外側を覆うように構成されている、
    請求項2に記載のタイヤの製造方法。
  4. 前記ゴム部材をカレンダー成形で成形する工程をさらに含む、
    請求項1に記載のタイヤの製造方法。
  5. 前記ゴム部材の厚さは、2mm以下である、
    請求項1に記載のタイヤの製造方法。
  6. タイヤは、自動二輪車用のタイヤである、
    請求項1に記載のタイヤの製造方法。
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