JP5987324B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

この発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、タイヤの製造工程を容易化できる空気入りタイヤに関する。
近年の空気入りタイヤでは、カーカス層をトレッド部センター領域で分割したカーカス分割構造が提案されている。かかるカーカス分割構造では、カーカス層がトレッド部センター領域に中抜き部を有することにより、タイヤの軽量化および低コスト化を実現できる。また、カーカス分割構造においても、タイヤの諸機能および安全性を適正に確保できる。このような従来の空気入りタイヤとして、特許文献1に記載される技術が知られている。
従来の空気入りタイヤの製造方法では、まず、軸方向に拡縮可能な成形ドラムに、一対のビードコア、一対のビードフィラー、一対のカーカス層、および、単一構造を有するインナーライナをセットする。そして、左右のカーカス層を巻き上げて、円筒形状の一次グリーンタイヤを成形する。次に、ベルト層およびトレッドゴムを有するベルト・トレッド組立体を成形する。そして、一次グリーンタイヤとベルト・トレッド組立体とを貼り合わせて二次グリーンタイヤを成形する。このとき、シェイピング用のブラダが一次グリーンタイヤを膨径させてベルト・トレッド組立体の内面に貼り合わせることにより、二次グリーンタイヤが成形される。その後に、この二次グリーンタイヤがタイヤ加硫モールドに投入されて加硫成形される。
なお、カーカス分割構造を有する空気入りタイヤにおいて、さらに、ベルト層のタイヤ径方向内側に配置されると共に左右のカーカス層とそれぞれラップする中間的なカーカスプライを備える従来の空気入りタイヤとして、特許文献2に記載される技術が知られている。
特開2011−20350号公報 特開平10−193914号公報
ところで、一般的な空気入りタイヤの製造方法として、剛体中子上にて各部材を配置してグリーンタイヤを成形し、このグリーンタイヤおよび剛体中子をタイヤ加硫モールドに充填して、タイヤ加硫成形工程を行う方法が広く知られている。
かかる剛体中子を用いる空気入りタイヤの製造方法では、剛体中子上にてグリーンタイヤを成形するときに、カーカス層の配置が容易でないという課題がある。すなわち、タイヤがビード部とトレッド部とで周長差を有するため、カーカス層をビード部からトレッド部に渡って配置したときに、ビード部にてカーカス層の余剰分が生じてシワになるという課題がある。このため、剛体中子を用いる従来の空気入りタイヤの製造方法では、カーカス層を短冊状に分断して配置する構成、剛体中子上にてカーカスコードを編み上げてカーカス層を形成する構成などが採用されている。
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、タイヤの製造工程を容易化できる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ幅方向に分離して配置されてトレッド部センター領域に中抜き部を有する一対のカーカス層と、前記カーカス層のタイヤ径方向外側に配置される一対の交差ベルトと、前記カーカス層のタイヤ径方向内側に配置されるインナーライナとを備える空気入りタイヤであって、前記インナーライナが、左右の前記カーカス層に沿ってそれぞれ配置される一対のサイドインナーライナと、前記交差ベルトに沿って配置されるベルト下インナーライナとを有し、前記一対のサイドインナーライナと、前記ベルト下インナーライナとが、タイヤ幅方向に相互にラップして配置され、前記一対のサイドインナーライナが、前記カーカス層のタイヤ幅方向内側の端部および前記ベルト下インナーライナの端部の双方をタイヤ内腔側から覆い、且つ、前記ベルト下インナーライナの両端部が、前記一対のカーカス層の前記中抜き部に位置して内径側の前記交差ベルトに接着されることを特徴とする。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ幅方向に分離して配置されてトレッド部センター領域に中抜き部を有する一対のカーカス層と、前記カーカス層のタイヤ径方向外側に配置される一対の交差ベルトと、前記カーカス層のタイヤ径方向内側に配置されるインナーライナとを備える空気入りタイヤであって、前記インナーライナが、左右の前記カーカス層に沿ってそれぞれ配置される一対のサイドインナーライナと、前記交差ベルトに沿って配置されるベルト下インナーライナとを有し、前記一対のサイドインナーライナと、前記ベルト下インナーライナとが、端面を相互に突き合わせて配置され、且つ、前記ベルト下インナーライナの両端部が、前記一対のカーカス層の前記中抜き部に位置して内径側の前記交差ベルトに接着されることを特徴とする。
この発明にかかるこの空気入りタイヤでは、空気入りタイヤの製造工程にて、カーカス層とサイドインナーライナとを有する左右のサイド部材を相互に分離した状態で独立して成形できる。そして、これらのサイド部材を剛体中子にそれぞれ配置することにより、カーカス層を剛体中子に容易に設置できる。これにより、タイヤの製造工程を容易化できる利点がある。また、サイドインナーライナと、ベルト下インナーライナとを、タイヤ幅方向に相互にラップさせることによって、それらの接着性を向上させ、タイヤの耐久性を向上させることができる。
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。 図2は、図1に記載した空気入りタイヤを示す拡大断面図である。 図3は、図1に空気入りタイヤのインナーライナの配置構造を示す説明図である。 図4は、図1に記載した空気入りタイヤの製造方法を示す説明図である。 図5は、図1に記載した空気入りタイヤの製造方法を示す説明図である。 図6は、図1に記載した空気入りタイヤの製造方法を示す説明図である。 図7は、図1に記載した空気入りタイヤの製造方法を示す説明図である。 図8は、図1に記載した空気入りタイヤの効果を示す説明図である。 図9は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図10は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図11は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図12は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図13は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図14は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図15は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図16は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図17は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図18は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図19は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図20は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図21は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図22は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図23は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図24は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
[空気入りタイヤ]
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤ1を示すタイヤ子午線方向の断面図である。同図は、空気入りタイヤ1の一例として、カーカス分割構造を有する乗用車用ラジアルタイヤを示している。なお、符号CLは、タイヤ赤道面である。
この空気入りタイヤ1は、一対のビードコア11、11と、一対のビードフィラー12、12と、一対のカーカス層13、13と、ベルト層14と、トレッドゴム15と、一対のサイドウォールゴム16、16と、一対のリムクッションゴム17、17とを備える(図1参照)。
一対のビードコア11、11は、環状構造を有し、左右のビード部のコアを構成する。一対のビードフィラー12、12は、一対のビードコア11、11のタイヤ径方向外周にそれぞれ配置されてビード部を補強する。
一対のカーカス層13、13は、2枚のカーカスプライ131、132を積層して成る二層構造をそれぞれ有し、左右のビードコア11、11からトレッド部に渡ってそれぞれ配置されてタイヤの骨格を構成する。また、一対のカーカス層13、13は、タイヤ幅方向に分離した構造を有する。また、各カーカス層13のタイヤ径方向内側の端部は、ビードコア11およびビードフィラー12を包み込むようにタイヤ幅方向外側に巻き返されて係止される。また、左右のカーカス層13、13がトレッド部センター領域にてタイヤ幅方向に分離して配置される(カーカス分割構造)。なお、カーカスプライ131、132は、スチールあるいは有機繊維材(例えば、ナイロン、ポリエステル、レーヨンなど)から成る複数のカーカスコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成される。
かかるカーカス分割構造では、トレッド部センター領域に中抜き部(カーカス層13、13が配置されない領域)が形成される。このとき、この中抜き部におけるタイヤの張力がベルト層14により担持され、左右のサイドウォール部における剛性が左右のカーカス層13、13によりそれぞれ確保される。これにより、タイヤの内圧保持能力およびサイドウォール部の剛性が維持されつつ、タイヤの軽量化が図られる。
ベルト層14は、一対の交差ベルト141、142と、ベルトカバー143と、一対のエッジカバー144とを積層して成り、カーカス層13の外周に掛け廻されて配置される。一対の交差ベルト141、142は、スチールあるいは有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で10[deg]以上30[deg]以下のベルト角度を有する。また、一対の交差ベルト141、142は、相互に異符号のベルト角度(タイヤ周方向に対するベルトコードの繊維方向の傾斜角)を有し、ベルトコードの繊維方向を相互に交差させて積層される(クロスプライ構造)。ベルトカバー143は、スチールあるいは有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で10[deg]以上45[deg]以下のベルト角度を有する。また、ベルトカバー143は、交差ベルト141、142のタイヤ径方向外側に積層されて配置される。一対のエッジカバー144、144は、ベルトカバー143のタイヤ径方向外側かつ左右のエッジ部に配置される。
トレッドゴム15は、カーカス層13、13およびベルト層14のタイヤ径方向外周に配置されてタイヤのトレッド部を構成する。一対のサイドウォールゴム16、16は、カーカス層13のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置されて左右のサイドウォール部を構成する。一対のリムクッションゴム17、17は、左右のビードコア11、11およびビードフィラー12、12のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置されて、左右のビード部を構成する。
なお、図1の構成では、上記のように、空気入りタイヤ1が、一対のビードコア11、11と、一対のビードフィラー12、12と、一対のサイドウォールゴム16、16とを備えている。しかし、これに限らず、空気入りタイヤ1が、複数対のビードコア11、11、複数対のビードフィラー12、12、あるいは、複数対のサイドウォールゴム16、16を備えても良い(図示省略)。例えば、ビードフィラー12がタイヤ左右に2つずつ配置される構成が挙げられる。
また、図1の構成において、左右のビードフィラー12、12が省略されても良い(図示省略)。したがって、ビードフィラー12を有さない構成が想定される。この実施の形態では、ビードコア11およびビードフィラー12の双方を有する構成(図1参照)、ならびに、ビードフィラー12を省略してビードコア11のみを有する構成(図示省略)をまとめて、ビード部材と呼ぶ。
[インナーライナ]
図2は、図1に記載した空気入りタイヤ1を示す拡大断面図である。図3は、図1に空気入りタイヤ1のインナーライナ18の配置構造を示す説明図である。同図は、カーカス層13と、ベルト層14(タイヤ径方向内側にある交差ベルト141)と、インナーライナ18(サイドインナーライナ181およびベルト下インナーライナ182)と、タイゴム19(サイドタイゴム191およびベルト下タイゴム192)との位置関係を模式的に示している。なお、図1および図2では、インナーライナ18とタイゴム19とが一体化されているため、タイゴム19の記載を省略している。
図1および図2に示すように、この空気入りタイヤ1は、インナーライナ18を有する。インナーライナ18は、タイヤ内周面にて左右のカーカス層13、13およびベルト層14を覆って配置されて、これらの露出による酸化を抑制し、また、タイヤに充填された空気の洩れを防止する。
例えば、図1および図2の構成では、インナーライナ18が、一対のサイドインナーライナ181、181と、ベルト下インナーライナ182とから成り、これらをタイヤ幅方向に相互にラップさせつつ貼り合わせて構成されている。一対のサイドインナーライナ181、181は、帯状のゴムシートであり、左右のカーカス層13、13に沿ってタイヤを一周し、周方向の両端部をそれぞれラップさせて貼り合わせた環状構造を有する。ベルト下インナーライナ182は、帯状のゴムシートであり、ベルト層14に沿ってタイヤを一周し、周方向の両端部をそれぞれラップさせて貼り合わせた環状構造を有する。また、左右のサイドインナーライナ181、181と、ベルト下インナーライナ182とは、幅方向の縁部を相互にラップさせて配置される。これにより、トロイダル状のゴムシートが形成されて、カーカス層13の内周面およびベルト層14の内周面が隙間なく被覆されている。
また、図3に示すように、インナーライナ18が、接着用のタイゴム19を介してカーカス層13およびベルト層14に対して接着されている。これにより、インナーライナ18の接着状態が適正に確保される。
具体的には、タイゴム19が、左右一対のサイドタイゴム191、191(図3では一方のサイドタイゴムのみが表示されている。)およびベルト下タイゴム192を有している。また、サイドタイゴム191とサイドインナーライナ181とがあらかじめ積層されて一体化され、また、ベルト下タイゴム192とベルト下インナーライナ182とがあらかじめ積層されて一体化されている。そして、サイドインナーライナ181がサイドタイゴム191を介してカーカス層13に接着し、また、ベルト下インナーライナ182がベルト下タイゴム192を介してベルト層14に接着している。また、サイドインナーライナ181およびサイドタイゴム191がベルト下インナーライナ182およびベルト下タイゴム192の縁部をタイヤ径方向内側から覆って配置されることにより、サイドインナーライナ181とベルト下インナーライナ182とが相互にラップして貼り合わされている。
また、左右のサイドインナーライナ181、181と、ベルト下インナーライナ182とのラップ幅W1が、それぞれ0.5[mm]≦W1≦35[mm]の範囲内にある(図2および図3参照)。これにより、左右のサイドインナーライナ181、181と、ベルト下インナーライナ182との貼り合わせ代が適正化されて、カーカス層13、13の内周面およびベルト層14の内周面が隙間なく被覆される。また、0.5[mm]≦W1として貼り合わせ代を残すことにより、タイヤ加硫時におけるサイドインナーライナ181、181とベルト下インナーライナ182とのラップ部の口開きが適正に防止される。また、W1≦35[mm]とすることにより、インナーライナ18のゴムボリュームを低減して、ゴムの非圧縮特性に起因する加硫成形時の中子あるいは金型の破損を防止できる。
また、一対の交差ベルト141、142のうち幅狭な交差ベルト142とカーカス層13とのラップ幅W2が、幅狭な交差ベルト142のベルト幅Wbに対して、0.05≦W2/Wb≦0.48の範囲内にある(図2参照)。0.05≦W2/Wbとすることにより、タイヤの内圧保持能力およびサイドウォール部の剛性を維持できる。また、W2/Wb≦0.48とすることにより、カーカス分割構造によるタイヤ軽量化の実効を図り得る。なお、ラップ幅W2は、カーカス層13(2枚のカーカスプライ131、132のうち)のタイヤ幅方向の最も内側にある端部を基準として測定される。
また、この空気入りタイヤ1では、後述する図7に示すように、インナーライナ18(左右のサイドインナーライナ181、181およびベルト下インナーライナ182)が両端部をタイヤ周方向に相互にラップさせた環状構造を有する。このとき、インナーライナ18のタイヤ周方向のラップ幅が、0[mm]以上3[mm]以下の範囲内にある。これにより、カーカス層13の内周面およびベルト層14の内周面が隙間なく適正に被覆される。
[空気入りタイヤの製造方法]
図4〜図7は、図1に記載した空気入りタイヤ1の製造方法を示す説明図である。これらの図において、図4は、成形された単体のサイド部材Xを示し、図5〜図7は、グリーンタイヤZの成形工程を示している。
空気入りタイヤ1は、以下のように製造される。
まず、一対のサイド部材X、Xが成形される。図4に示すように、1つのサイド部材Xは、1つのビードコア11と、1つのビードフィラー12と、1つのカーカス層13(積層された2枚のカーカスプライ131、132)と、1つのサイドウォールゴム16と、1つのリムクッションゴム17と、インナーライナ18を構成する1つのサイドインナーライナ181(およびサイドタイゴム191)とから構成され、一様断面かつ環状構造を有する。このサイド部材Xは、例えば、サイド部材成形ドラム(図示省略)上に各部材をセットして組み立てられる。また、左右一対のサイド部材X、Xが、同一工程によりそれぞれ成形される。かかるサイド部材Xの成形工程として、任意の工程が採用され得る。
次に、図5に示すように、剛体中子24上でグリーンタイヤZが成形される。このグリーンタイヤZは、左右一対のサイド部材X、Xと、ベルト層14(一対の交差ベルト141、142、ベルトカバー143および一対のエッジカバー144、144)と、トレッドゴム15と、インナーライナ18を構成するベルト下インナーライナ182(およびサイドタイゴム191)とから構成される(図5(b)参照)。グリーンタイヤZの成形工程では、あらかじめ組み立てられた剛体中子24が用いられる。この剛体中子24は、タイヤ加硫成形時にてタイヤ内面形状を形成するための外形を有する。かかる剛体中子24として、既存の構成が採用され得る。そして、この剛体中子24の左右に、サイド部材X、Xがそれぞれ配置される(図5(a)参照)。その後に、ベルト層14、トレッドゴム15およびベルト下インナーライナ182が配置されて、剛体中子24上にグリーンタイヤZ(図7参照)が成形される(図5(b)参照)。
また、グリーンタイヤZでは、図6に示すように、カーカス層13、13とベルト層14とが、タイヤ幅方向に相互にラップして配置される。また、図6および図7に示すように、左右のサイド部材X、Xのサイドインナーライナ181、181(およびサイドタイゴム191、191)と、ベルト下インナーライナ182(およびサイドタイゴム191)とが、タイヤ幅方向に相互にラップして配置される。また、図7に示すように、インナーライナ18の両端部がタイヤ周方向に相互にラップして配置される。
次に、グリーンタイヤZが加硫成形される。具体的には、グリーンタイヤZが剛体中子24に設置された状態でタイヤ加硫モールド(図示省略)に充填される。そして、タイヤ加硫モールドが加熱されて、タイヤ加硫モールドのタイヤ成形金型を加圧し閉じることでグリーンタイヤZがタイヤ加硫モールドのタイヤ成形金型と剛性中子間で押圧される。また、グリーンタイヤZが加熱されることにより、トレッド部のゴム分子と硫黄分子とが結合して加硫が行われる。このとき、タイヤ成形金型の形状がグリーンタイヤZのトレッド面に転写されて、タイヤのトレッドパターンが成形される。そして、成形されたタイヤがタイヤ加硫モールドから引き抜かれる。
図8は、図1に記載した空気入りタイヤ1の効果を示す説明図である。同図は、同一の断面高さSH、ならびに、相異なるトレッド幅TW1、TW2およびタイヤペリフェリー長TP1、TP2を有する2種類の空気入りタイヤ1A、1Bをそれぞれ示している。
上記のように、この空気入りタイヤ1は、その製造工程にて、サイド部材X(図4参照)があらかじめ組み立てられ、このサイド部材Xが剛体中子24上に配置されてグリーンタイヤZが成形される(図5参照)。このとき、環状のサイド部材Xを剛体中子24の側方から剛体中子24に配置できるので、カーカス層が単一構造(左右のビードコア間にトロイダル上に架け渡される構造)を有する構成と比較して、ビード部とトレッド部との周長差の影響を受けることなく、カーカス層13(サイド部材X)を剛体中子24に容易に配置できる。さらに、インナーライナ18(およびタイゴム19)が分割構造を有するので、カーカス層13およびインナーライナ18の一部(サイドインナーライナ181)を有する左右のサイド部材X、Xを独立して成形して、剛体中子24にそれぞれ配置できる。これにより、タイヤの製造工程を容易化できる。
また、この空気入りタイヤ1は、例えば、図8に示すような同一の断面高さSHおよび相互に異なるトレッド幅TW1、TW2を有する2種類の空気入りタイヤ1A、1Bを製造するときに、有益である。すなわち、空気入りタイヤ1が、分割構造を有する左右のカーカス層13、13と、分割構造を有する左右のサイドインナーライナ181、181とを備えるので(図1参照)、左右のサイド部材X、Xを相互に分離した状態で独立して成形できる(例えば、図4参照)。すると、同一の断面高さSHおよび相互に異なるタイヤペリフェリー長TP1、TP2を有する2種類の空気入りタイヤ1A、1B(図8参照)において、サイド部材Xを共用できる。これにより、半製品の在庫を低減できる。
同様に、この空気入りタイヤ1は、例えば、相互に異なる断面高さSH1、SH2および同一のトレッド幅TWを有する2種類の空気入りタイヤ(図示省略)を製造するときに、有益である。すなわち、この空気入りタイヤ1では、左右のサイド部材X、Xを相互に分離した状態で独立して成形できるので、相互に異なる断面高さSH1、SH2および同一のトレッド幅TWを有する2種類の空気入りタイヤにおいて、トレッド部を構成する各部材(ベルト層14、トレッドゴム15、ベルト下インナーライナ182およびサイドタイゴム191。図5(b)参照。)を共用できる。これにより、半製品の在庫を低減できる。
[変形例]
図9〜図18は、図1に記載した空気入りタイヤ1の変形例を示す説明図である。これらの図は、カーカス層13と、ベルト層14(タイヤ径方向内側にある交差ベルト141)と、インナーライナ18(サイドインナーライナ181およびベルト下インナーライナ182)と、タイゴム19(サイドタイゴム191およびベルト下タイゴム192)との位置関係を模式的に示している。
図1の空気入りタイヤ1では、図3に示すように、ベルト層14のタイヤ径方向内側に、カーカス層13、インナーライナ18およびタイゴム19が配置される。また、サイドインナーライナ181およびサイドタイゴム191が積層されて一体化された単一部材から成り、また、ベルト下インナーライナ182およびベルト下タイゴム192が積層されて一体化された単一部材から成る。
ここで、図3の構成では、サイドインナーライナ181とサイドタイゴム191とが端部を揃えて配置され、また、ベルト下インナーライナ182とベルト下タイゴム192とが端部を揃えて配置されている(W3=0.0[mm])。また、サイドインナーライナ181およびサイドタイゴム191と、ベルト下インナーライナ182およびベルト下タイゴム192とが、上記したラップ幅W1にてタイヤ幅方向に相互にラップして配置されている。
また、図3の構成では、サイドインナーライナ181の端部およびサイドタイゴム191の端部が、カーカス層13の端部よりもタイヤ幅方向内側にある。したがって、サイドインナーライナ181およびサイドタイゴム191が、カーカス層13の端部を覆って配置されている。具体的には、サイドインナーライナ181の端部とカーカス層13の端部との距離W4およびサイドタイゴム191の端部とカーカス層13の端部との距離W5の少なくとも一方が、0.0[mm]以上(0.0[mm]≦W4および/または0.0[mm]≦W5)の範囲にある。これにより、カーカス層13およびベルト層14が適正に被覆されて、その露出が防止される。なお、W4およびW5の上限は、W1により制約を受ける。
また、図3の構成では、カーカス層13の端部と、ベルト下インナーライナ182の端部およびベルト下タイゴム192の端部とが、タイヤ幅方向の同位置にあり、その端面を相互に突き合わせた状態で配置されている。
これに対して、図9の変形例は、図3の構成と比較して、カーカス層13の端部と、ベルト下インナーライナ182の端部およびベルト下タイゴム192の端部との間に、隙間がある点で相異する。また、図10の変形例では、カーカス層13の端部と、ベルト下インナーライナ182の端部およびベルト下タイゴム192の端部とが、タイヤ幅方向に相互にラップして配置されている。カーカス層13の端部とベルト下インナーライナ182の端部およびベルト下タイゴム192の端部との位置関係は、図3の構成となることが理想的であるが、タイヤ製造工程でカーカス層13の端部位置がズレることにより、図9あるいは図10の構成となる場合が想定される。図9あるいは図10の構成としても、図3の構成におけるタイヤ性能が適正に確保される。
図11の変形例は、図3の構成と比較して、カーカス層13の端部と、サイドインナーライナ181の端部およびサイドタイゴム191の端部とが、タイヤ幅方向の同位置にある(W4=W5=0)点で相異する。このため、サイドインナーライナ181およびサイドタイゴム191と、ベルト下インナーライナ182およびベルト下タイゴム192とが、その端面を相互に突き合わせた状態で配置されている。また、サイドインナーライナ181とベルト下インナーライナ182とのラップ幅W1が、W1=0[mm]となっている。
図12の変形例は、図11の変形例と比較して、カーカス層13の端部と、ベルト下インナーライナ182の端部およびベルト下タイゴム192の端部との間に、隙間がある点で相異する。また、サイドインナーライナ181およびサイドタイゴム191が、この隙間に挿入されて、ベルト下インナーライナ182およびベルト下タイゴム192と端面を相互に突き合わせて配置されている。かかる構成としても、ベルト層14およびカーカス層13が被覆されて、これらの露出が防止される。
図13の変形例は、図9の構成と比較して、サイドインナーライナ181の端部が、サイドタイゴム191の端部よりもタイヤ幅方向内側にある点で相異する。また、サイドインナーライナ181およびサイドタイゴム191と、ベルト下インナーライナ182とがタイヤ幅方向にラップして配置されている。これにより、ベルト層14およびカーカス層13が被覆されて、これらの露出が防止されている。このように、サイドインナーライナ181の端部とサイドタイゴム191の端部とがズレていても良い。また、サイドインナーライナ181がサイドタイゴム191の端部をタイヤ径方向内側から覆って配置されることにより、サイドインナーライナ181とベルト下インナーライナ182とが当接して、接着性が向上する。
ここで、サイドインナーライナ181がサイドタイゴム191の端部を覆う構成(図13参照)において、サイドインナーライナ181の端部とサイドタイゴム191の端部とのタイヤ幅方向の距離W3をとる。このとき、この距離W3が、0.0[mm]≦W3≦35[mm]の範囲内にあることが好ましい。これにより、サイドインナーライナ181の端部がサイドタイゴム191の端部を越えてベルト下インナーライナ182に適正に貼り合わされるので、接着性が向上する。なお、図3の構成では、サイドインナーライナ181の端部とサイドタイゴム191の端部とが同位置にあるため、この距離W3がW3=0.0[mm]となっている。
図14の変形例は、図13の構成と比較して、サイドタイゴム191の端部がサイドインナーライナ181の端部よりもタイヤ幅方向内側にあり、サイドタイゴム191の端部が露出する点で相異する。かかる構成としても、ベルト層14およびカーカス層13が被覆されて、これらの露出が防止される。
図15の変形例は、図13の構成と比較して、サイドタイゴム191の端部およびカーカス層13の端部と、ベルト下インナーライナ182の端部およびベルト下タイゴム192の端部と同位置にあり、相互に端面を突き合わせて配置される点で相異する。そして、これらの端面の突き合わせ位置を、サイドインナーライナ181が覆って配置されている。このように、各部材が隙間なく配置されることが好ましい。
一方で、図16の変形例のように、サイドタイゴム191の端部およびカーカス層13の端部と、ベルト下インナーライナ182の端部およびベルト下タイゴム192の端部との間に隙間が空いていても良い。かかる構成としても、サイドインナーライナ181とベルト下インナーライナ182とがラップすることにより(W1>0)、ベルト層14およびカーカス層13の露出が防止される。
図17の変形例は、図13の構成と比較して、カーカス層13の端部とベルト下インナーライナ182とがラップして配置される点で相異する。かかる構成においても、サイドインナーライナ181およびサイドタイゴム191がカーカス層13の端部をタイヤ径方向内側から覆って配置されることにより、ベルト層14およびカーカス層13の露出が防止される。また、サイドインナーライナ181とベルト下インナーライナ182とが当接して、接着性が向上する。
図18の変形例は、図17の構成と比較して、サイドタイゴム191がサイドインナーライナ181よりも長く、タイヤ内周面に露出する点で相異する。かかる構成としても、サイドタイゴム191がカーカス層13をタイヤ径方向内側から覆ってベルト下インナーライナ182に貼り合わされることにより、ベルト層14およびカーカス層13の露出が防止される。
図19〜図21は、図1に記載した空気入りタイヤ1の変形例を示す説明図である。これらの図は、サイドインナーライナ181およびサイドタイゴム191と、ベルト下インナーライナ182およびベルト下タイゴム192とが端面を突き合わせた状態を示している。
この空気入りタイヤ1では、例えば、図11あるいは図12の変形例のように、サイドインナーライナ181およびサイドタイゴム191と、ベルト下インナーライナ182およびベルト下タイゴム192とが、その端面を相互に突き合わせて配置され得る。このとき、図19に示すように、サイドインナーライナ181およびサイドタイゴム191と、ベルト下インナーライナ182およびベルト下タイゴム192とが矩形断面形状(バット形状)の端部を有する構成では、これらの端面をタイヤ全周に渡って精度良く突き合わせて配置することが難しい。
そこで、サイドインナーライナ181およびサイドタイゴム191と、ベルト下インナーライナ182およびベルト下タイゴム192とが、バットスプライス形状の端面をそれぞれ有すると共に、この端面を相互に突き合わせて配置されることが好ましい。
例えば、図20の変形例では、サイドインナーライナ181およびサイドタイゴム191の積層体の端部と、ベルト下インナーライナ182およびベルト下タイゴム192の積層体の端部とが、ゴム材の厚さ方向に対して角度θで傾斜する面取り形状を有し、その端部を相互に継ぎ合わせるように突き合わせて配置されている。また、角度θが、−60[deg]≦θ≦60[deg]の範囲内にある。すると、サイドインナーライナ181およびサイドタイゴム191と、ベルト下インナーライナ182およびベルト下タイゴム192とが、バットスプライス形状の端面を有することにより、サイドインナーライナ181およびサイドタイゴム191と、ベルト下インナーライナ182およびベルト下タイゴム192とのラップ幅W1’が形成される。これにより、カーカス層13およびベルト層14が隙間なく覆われて、これらの露出が防止される。
なお、図21の変形例のように、サイドインナーライナ181およびサイドタイゴム191の端部と、ベルト下インナーライナ182およびベルト下タイゴム192の端部とが、ゴム材の厚さ方向に位置をずらして配置されても良い。
図22および図23は、図1に記載した空気入りタイヤ1の変形例を示す説明図である。これらの図において、図22は、図1に記載した空気入りタイヤ1のカーカス層13およびインナーライナ18(タイゴム19)の配置構成を模式的に示し、図23は、その変形例を示している。
図1の空気入りタイヤ1は、図22に示すように、一対のカーカス層13、13がタイヤ左右に分離して配置されたカーカス分割構造を有している。これにより、タイヤ剛性を確保しつつタイヤの軽量化が図られている。また、インナーライナ18が、一対のサイドインナーライナ181、181と、ベルト下インナーライナ182とを有し、これらの端部をタイヤ幅方向かつ相互にラップさせつつ貼り合わせて構成されている(図1および図3参照)。これにより、インナーライナ18が、カーカス層13、13の内周面およびベルト層14の内周面を隙間なく覆っている。
これに対して、図23の変形例では、図22の構成において、空気入りタイヤ1が、中間カーカスプライ133を有する。この中間カーカスプライ133は、ベルト層14(交差ベルト141、142)とベルト下インナーライナ182との間に配置され、また、左右の縁部にて左右のカーカス層13、13にそれぞれラップして配置される。これにより、中間カーカスプライ133が左右のカーカス層13、13の間の中抜き部を埋めて、タイヤの剛性が補強される。
また、図23の変形例では、中間カーカスプライ133のカーカス剛性係数Eb[N/mm]と、左右のカーカス層13、13のカーカス剛性係数Esとが、0.1≦Eb/Es≦0.3の範囲にある。カーカス剛性係数Eは、以下の数式(1)により定義される。なお、Niは、単位幅あたりのカーカスコードの打ち込み本数であり、Eiは、荷重20[N]時のカーカスコードの弾性率[MPa]であり、Aiは、カーカスコードの断面積[mm]であり、Nは、カーカス層のカーカスプライ数である。
E=Σ(Ni×Ei×Ai) ・・・(1)
なお、中間カーカスプライ133は、例えば、グリーンタイヤの成形工程(図5(b)参照)にて、ベルト下インナーライナ182、ベルト層14およびトレッドゴム15と共に剛体中子24に配置されて、左右のサイド部材Xと組み合わされる(図示省略)。このとき、中間カーカスプライ133と、左右のカーカス層13、13とが相互にラップして配置される(図23参照)。
[効果]
以上説明したように、この空気入りタイヤ1は、タイヤ幅方向に分離して配置される一対のカーカス層13、13と、カーカス層13のタイヤ径方向外側に配置される一対の交差ベルト141、142と、カーカス層13のタイヤ径方向内側に配置されるインナーライナ18とを備える(図1参照)。また、インナーライナ18が、左右のカーカス層13に沿ってそれぞれ配置される一対のサイドインナーライナ181、181と、一対の交差ベルト141、142に沿って配置されるベルト下インナーライナ182とを有する。また、一対のサイドインナーライナ181と、ベルト下インナーライナ182とが、タイヤ幅方向に相互にラップして配置される。
かかる構成では、空気入りタイヤ1の製造工程にて、カーカス層13とサイドインナーライナ181とを有する左右のサイド部材X、Xを相互に分離した状態で独立して成形できる(図4参照)。そして、これらのサイド部材X、Xを剛体中子24にそれぞれ配置することにより(図5参照)、カーカス層13を剛体中子24に容易に設置できる。これにより、タイヤの製造工程を容易化できる利点がある。また、一対のサイドインナーライナ181と、ベルト下インナーライナ182とが、タイヤ幅方向に相互にラップして配置されることにより、ベルト層14およびカーカス層13が確実に被覆されて、これらの露出が防止される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、サイドインナーライナ181と、ベルト下インナーライナ182とのラップ幅W1が、0.5[mm]≦W1≦35[mm]の範囲内にある(図2および図3参照)。かかる構成では、左右のサイドインナーライナ181、181と、ベルト下インナーライナ182との貼り合わせ代が適正化される。これにより、カーカス層13、13の内周面およびベルト層14の内周面が隙間なく被覆されて、これらの露出が防止される利点があり、また、インナーライナ18の配置量を低減できる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1は、一対の交差ベルト141、142のうち幅狭な交差ベルト142とカーカス層13とのラップ幅W2が、幅狭な交差ベルト142のベルト幅Wbに対して、0.05≦W2/Wb≦0.48の範囲内にある(図2参照)。0.05≦W2/Wbとすることにより、タイヤの内圧保持能力およびサイドウォール部の剛性を維持できる利点がある。また、W2/Wb≦0.48とすることにより、カーカス分割構造によるタイヤ軽量化の実効を図れる利点がある。
また、この空気入りタイヤ1は、インナーライナ18が、左右のカーカス層13、13に沿ってそれぞれ配置される一対のサイドインナーライナ181、191と、交差ベルト141、142に沿って配置されるベルト下インナーライナ182とを有する(図1参照)。また、一対のサイドインナーライナ181、181と、ベルト下インナーライナ182とが、端面を相互に突き合わせて配置される(図19参照)。
かかる構成では、空気入りタイヤ1の製造工程にて、カーカス層13とサイドインナーライナ181とを有する左右のサイド部材X、Xを相互に分離した状態で独立して成形できる(図4参照)。そして、これらのサイド部材X、Xを剛体中子24にそれぞれ配置することにより(図5参照)、カーカス層13を剛体中子24に容易に設置できる。これにより、タイヤの製造工程を容易化できる利点がある。また、一対のサイドインナーライナ181、181と、ベルト下インナーライナ182とが、端面を相互に突き合わせて配置されることにより、サイドインナーライナ181とベルト下インナーライナ182とが当接して、接着性が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1は、サイドインナーライナ181とベルト下インナーライナ182とが、バットスプライス形状の端面をそれぞれ有すると共に、その端面を相互に突き合わせて配置される(図21および図22参照)。かかる構成では、サイドインナーライナ181とベルト下インナーライナ182とが端面を部分的にラップさせつつ相互に突き合わせて配置される。これにより、カーカス層13およびベルト層14が隙間なく覆われて、これらの露出が防止される利点がある。
この空気入りタイヤ1は、カーカス層13とサイドインナーライナ181との間に配置されるサイドタイゴム191を備える(図3参照)。また、サイドインナーライナ181およびサイドタイゴム191が、カーカス層13のタイヤ幅方向内側の端部を覆って配置される。また、サイドインナーライナ181の端部とカーカス層13の端部との距離W4およびサイドタイゴム191の端部とカーカス層13の端部との距離W5の少なくとも一方が、0.0[mm]以上(0.0[mm]≦W4および/または0.0[mm]≦W5)の範囲にある。これにより、カーカス層13およびベルト層14が適正に被覆されて、その露出が防止される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1は、サイドインナーライナ181の端部が、サイドタイゴム191の端部に対してタイヤ幅方向内側にある(例えば、図13参照)。かかる構成では、サイドインナーライナ181とベルト下インナーライナ182とが当接して、接着性が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1は、一対の交差ベルト141、142とベルト下インナーライナ182との間に配置されると共に、左右の縁部にて左右のカーカス層13、13にそれぞれラップする中間カーカスプライ133を備える(図23参照)。また、中間カーカスプライ133のカーカス剛性係数Ebと、一対のカーカス層13、13のカーカス剛性係数Esとが、Eb/Es≦0.3の範囲にある。かかる構成では、中間カーカスプライ133が左右のカーカス層13、13の間の中抜き部を埋めるので、タイヤの剛性が補強される利点がある。
図24は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
この性能試験では、相互に異なる複数の空気入りタイヤについて、(1)乗心地性能および(2)耐久性能に関する評価が行われた(図24参照)。この性能試験では、タイヤサイズ235/40R18の空気入りタイヤがJATMA規定の適用リムに組み付けられる。
(1)乗心地性能に関する評価では、試験タイヤが排気量2.0[L]かつFF(Front-engine Front-drive)の乗用車に装着され、また、試験タイヤに内圧230[kPa]が付与される。そして、テストコースにてパネラー5人による乗り心地のフィーリングテストを実施し、その結果を最高点と最低点の2人を除いた3人の平均点による5点法で評価し指数化した。この評価は、指数が大きいほど乗り心地性に優れていて好ましい。
(2)耐久性能に関する評価では、ドラム径1707[mm]のドラム試験機に取り付けられ、また、試験タイヤに内圧180[kPa]が付与される。そして、81[km/h]かつ周囲温度38±3[℃]の条件下にてJATMA規定の最大荷重の85[%]で4時間、90[%]で6時間、100[%]で24時間、115[%]で4時間、130[%]で4時間、145[%]で4時間、160[%]で4時間走行した後に、外観および内部に故障が発生したか否かを測定した。評価は、○が故障無し、×が故障発生を示している。
実施例1〜10の空気入りタイヤ1は、図1に示すカーカス分割構造を有することを前提として、所定のカーカス構造、インナーライナ・タイゴム構造を有している。また、実施例1〜7の空気入りタイヤ1が、図22に示すように、トレッド部センター領域に中抜き部を有し、実施例8〜10の空気入りタイヤ1が、図23に示すように、中間カーカスプライを有している。
従来例の空気入りタイヤは、図23に示す構成を前提として、所定のカーカス構造、インナーライナ・タイゴム構造を有している。
試験結果に示すように、実施例1〜10の空気入りタイヤ1では、耐久性能を維持しつつ乗心地性能を向上できることが分かる。
1、1A、1B 空気入りタイヤ、11 ビードコア、12 ビードフィラー、13 カーカス層、131、132 カーカスプライ、133 中間カーカスプライ、14 ベルト層、141、142 交差ベルト、143 ベルトカバー、144 エッジカバー、15 トレッドゴム、16 サイドウォールゴム、17 リムクッションゴム、18 インナーライナ、181 サイドインナーライナ、182 ベルト下インナーライナ、19 タイゴム、191 サイドタイゴム、192 ベルト下タイゴム、24 剛体中子、X サイド部材、グリーンタイヤZ

Claims (10)

  1. タイヤ幅方向に分離して配置されてトレッド部センター領域に中抜き部を有する一対のカーカス層と、前記カーカス層のタイヤ径方向外側に配置される一対の交差ベルトと、前記カーカス層のタイヤ径方向内側に配置されるインナーライナとを備える空気入りタイヤであって、
    前記インナーライナが、左右の前記カーカス層に沿ってそれぞれ配置される一対のサイドインナーライナと、前記交差ベルトに沿って配置されるベルト下インナーライナとを有し、
    前記一対のサイドインナーライナと、前記ベルト下インナーライナとが、タイヤ幅方向に相互にラップして配置され
    前記一対のサイドインナーライナが、前記カーカス層のタイヤ幅方向内側の端部および前記ベルト下インナーライナの端部の双方をタイヤ内腔側から覆い、且つ、
    前記ベルト下インナーライナの両端部が、前記一対のカーカス層の前記中抜き部に位置して内径側の前記交差ベルトに接着されることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記サイドインナーライナと、前記ベルト下インナーライナとのラップ幅W1が、0.5[mm]≦W1≦35[mm]の範囲内にある請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記一対の交差ベルトのうち幅狭な交差ベルトと前記カーカス層とのラップ幅W2が、前記幅狭な交差ベルトのベルト幅Wbに対して、0.05≦W2/Wb≦0.48の範囲内にある請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. タイヤ幅方向に分離して配置されてトレッド部センター領域に中抜き部を有する一対のカーカス層と、前記カーカス層のタイヤ径方向外側に配置される一対の交差ベルトと、前記カーカス層のタイヤ径方向内側に配置されるインナーライナとを備える空気入りタイヤであって、
    前記インナーライナが、左右の前記カーカス層に沿ってそれぞれ配置される一対のサイドインナーライナと、前記交差ベルトに沿って配置されるベルト下インナーライナとを有し、
    前記一対のサイドインナーライナと、前記ベルト下インナーライナとが、端面を相互に突き合わせて配置され、且つ、
    前記ベルト下インナーライナの両端部が、前記一対のカーカス層の前記中抜き部に位置して内径側の前記交差ベルトに接着されることを特徴とする空気入りタイヤ。
  5. 前記サイドインナーライナと前記ベルト下インナーライナとが、バットスプライス形状の端面をそれぞれ有すると共に、前記端面を相互に突き合わせて配置される請求項4に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記一対のサイドインナーライナの端面と、前記ベルト下インナーライナの端面とが、部材の厚さ方向に対して−60[deg]≦θ≦60[deg]の角度θで傾斜する面取り形状を有する請求項5に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記カーカス層と前記サイドインナーライナとの間に配置されるサイドタイゴムを備え、且つ、
    前記サイドインナーライナおよび前記サイドタイゴムが、前記カーカス層のタイヤ幅方向内側の端部を覆って配置される請求項1〜のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記サイドインナーライナの端部が、前記サイドタイゴムの端部に対してタイヤ幅方向内側にある請求項に記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記一対の交差ベルトと前記ベルト下インナーライナとの間に配置されると共に、左右の縁部にて左右の前記カーカス層にそれぞれラップする中間カーカスプライを備え、且つ、
    前記中間カーカスプライのカーカス剛性係数Ebと、前記一対のカーカス層のカーカス剛性係数Esとが、Eb/Es≦0.3の範囲にある請求項1〜のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記一対のカーカス層が、2枚のカーカスプライを積層して成る二層構造をそれぞれ有する請求項1〜9のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
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