JP2024010061A - アブラナ科野菜調味料及びその製造方法 - Google Patents

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JP2024010061A JP2023181741A JP2023181741A JP2024010061A JP 2024010061 A JP2024010061 A JP 2024010061A JP 2023181741 A JP2023181741 A JP 2023181741A JP 2023181741 A JP2023181741 A JP 2023181741A JP 2024010061 A JP2024010061 A JP 2024010061A
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Kayoko OKUYAMA
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Abstract

【課題】コクが強化されたアブラナ科野菜調味料の製造。【解決手段】本願発明者は、アブラナ科野菜調味料を開発する中で、特定の製造工程を経ることで、コクを強化し、青臭さが抑制された野菜調味料を製造することが可能であることを見出した。本発明に係るアブラナ科野菜調味料の製造方法を構成するのは、少なくとも、減香加熱及び付香加熱である。この付香加熱が行われるのは、当該減香加熱より後である。更に別の観点で定義すると、本発明に係るアブラナ科野菜調味料の製造方法を構成するのは、少なくとも、減香加熱及び付香加熱である。この付香加熱が行われるのは、前記減香加熱と同時である。この製造方法を更に構成するのは、分画である。得られる画分は、少なくとも、うま味成分及び香気成分である。これらの成分の由来は、焼かれ又は炒められたアブラナ科野菜である。【選択図】図1

Description

本発明が関係するのは、アブラナ科野菜調味料及びその製造方法である。
アブラナ科野菜の用途開発において、本発明者が着目したのは、アブラナ科野菜のコク
である。ここで、「コク」を説明すると、香味の持続性であり、より好ましくは、香味の
複雑さも加味される。「コク」に寄与する成分を例示すると、水溶性成分、脂溶性成分等
である。
「コク」が重要視されるのは、飲食品の分野でも、とりわけ、調味料の分野である。「
コク」が左右するのは、飲食品の美味しさだからである。調味料において重要な成分は、
アミノ酸である。そのような観点から、調味料で用いられるのは、動物性原料であり、例
えば、肉類や魚類などである。他方で、市場で求められるのは、動物性原料の不使用であ
る。そのような需要を受けて、動物性原料に代わるのは、タンパク質の豊富な植物性原料
であり、例示すると、豆類である。
そのような背景の下、本発明者が着想したのは、アブラナ科野菜調味料である。アブラ
ナ科野菜調味料とは、調味料であって、その原料の全部又は一部がアブラナ科野菜である
ものをいう。これに関連して、既知なのは、ソフリットである。ソフリットとは、香味野
菜(タマネギやニンニク等)を炒めたものをいう。香味野菜の欠点の一つは、コクの弱さ
である。この欠点を解決できる一つの手段は、アブラナ科野菜である。アブラナ科野菜の
アミノ酸含量は、他の野菜に比して高いからである。
アブラナ科野菜が有するのは、青臭さである。この青臭さは、忌避される。青臭さを低
減する方法は、種々検討されてきた。特許文献1に記載されているのは、アブラナ科野菜
の処理方法であり、具体的には、細断前に特定条件で蒸して、搾汁液を陰イオン交換して
いる。特許文献2に記載されているのは、アブラナ科野菜の搾汁液の製造方法であり、具
体的には、アブラナ科野菜の香り成分を吸着している。
特許第3676178号公報 特開平10-313834号公報
本発明が解決しようとする課題は、アブラナ科野菜調味料におけるコクの強化である。
より詳しくは、アブラナ科野菜調味料におけるコクの強化及び青臭さの抑制である。前述
のとおり、アブラナ科野菜に内在するのは、トレードオフの関係である。すなわち、コク
も強いが、青臭さも強い。アブラナ科野菜調味料の製造方法に求められるのは、コクをよ
り強くしながらも、青臭さを抑制することである。
本願発明者が検討していたのは、如何に、アブラナ科野菜調味料のコクに寄与する成分
を増加させ、青臭さ成分を除去するかである。その結果、本願発明者が見出したのは、(
1)加熱により、コクに寄与する香気が増加すること、(2)青臭さが強いと、コクを感
じにくくなること、(3)青臭さに寄与する成分は揮発性が高く、気化を伴う工程により
その含有量が減少しやすいこと、さらには、(4)加熱により、青臭さに寄与する成分を
発生させる酵素を失活できること、である。上記機序を応用して、本発明を定義すると、
以下のとおりである。
本発明に係るアブラナ科野菜調味料の製造方法を構成するのは、少なくとも、減香加熱
及び付香加熱である。この付香加熱が行われるのは、当該減香加熱より後である。ここで
、アブラナ科野菜調味料とは、調味料であって、その原料の全部又は一部がアブラナ科野
菜であるものをいう(以下、本欄では同じ。)。また、減香加熱とは、加熱であって、そ
の目的が香りを減ずるものをいう(以下、本欄では同じ。)。減香加熱を例示すると、茹
でること(ブランチング)等である。また、付香加熱とは、加熱であって、その目的が香
りを付加するものをいう(以下、本欄では同じ。)。付香加熱を例示すると、加熱濃縮な
どである。アブラナ科野菜が減香加熱されることで、アブラナ科野菜の内在酵素が失活す
る。アブラナ科野菜の液は、付香加熱されることで、加熱香が付加される。アブラナ科野
菜の液とは、液体であって、その由来が減香加熱されたアブラナ科野菜であるものをいう
更に別の観点で定義すると、本発明に係るアブラナ科野菜調味料の製造方法を構成する
のは、少なくとも、減香加熱及び付香加熱である。この付香加熱が行われるのは、前記減
香加熱と同時である。アブラナ科野菜が減香加熱されることで、このアブラナ科野菜に含
まれる香気成分が気化する。同時に、アブラナ科野菜は、付香加熱されることで、加熱香
が付加される。これらの加熱を例示すると、焼くことや炒めること等である。この製造方
法を更に構成するのは、分画である。得られる画分は、少なくとも、うま味成分及び香気
成分である。これらの成分の由来は、付香加熱(例えば、焼くことや炒めること)された
アブラナ科野菜である。分画を例示すると、溶媒抽出や搾汁等である。
本発明が可能にするのは、コクが強化されたアブラナ科野菜調味料の提供である。
第1の実施の形態に係るアブラナ科野菜調味料の製造方法の流れ図 第2の実施の形態に係るアブラナ科野菜調味料の製造方法の流れ図 第3の実施の形態に係るアブラナ科野菜調味料の製造方法の流れ図
<アブラナ科野菜調味料>
本発明に係るアブラナ科野菜調味料(以下、「本野菜調味料」という。)とは、調味料
であって、その原料の全部又は一部がアブラナ科野菜であるものをいう。ここで、調味料
とは、調味用途の材料をいう。アブラナ科以外の原料は、好ましくは、後述する野菜であ
る。
<本野菜調味料の系統及び性状>
本野菜調味料の系統は、不問であり、例示すると、だし系、ソース系、砂糖系、塩系、
酢系、醤油系、味噌系、酒系、油系、香辛料系などである。だしの呼び名は、多岐にわた
っており、例えば、だし(出汁)、スープストック、ブイヨン、フォン・ド・ヴォー、湯
(タン)等である。また、本野菜調味料の性状は、不問であり、例示すると、液状(抽出
物、搾汁液、及びそれらの濃縮物等を含む)、ペースト状、固形状、粉状等である。
<アブラナ科野菜>
アブラナ科野菜とは、野菜であって、その学術上の分類がアブラナ科であるものをいう
。アブラナ科野菜を例示すると、キャベツ、ブロッコリー、ケール、クレソン、コマツナ
、チンゲンサイ、カイワレダイコン、カリフラワー、ハクサイ、ナバナ、タカナ、コール
ラビ等である。本野菜調味料で採用するのは、アブラナ科野菜の部位(花、葉や茎など)
の全部又は一部である。本野菜調味料で採用するのは、これらのアブラナ科野菜のうち一
又は複数であるが、好ましくは、ブロッコリー、又はキャベツである。
<アブラナ科野菜以外の野菜>
本野菜調味料で使用できるのは、アブラナ科野菜以外の野菜である。この野菜の種類は
、不問であるが、例示すると、ニンジン、タマネギ、カブ、大根、セロリ、ホウレンソウ
、ピーマン、アスパラガス、大麦若葉、春菊、カラシ菜、サラダ菜、小松菜、明日葉、甘
藷、馬鈴薯、トマト、モロヘイヤ、パプリカ、パセリ、セロリ、三つ葉、レタス、ラディ
ッシュ、紫蘇、茄子、インゲン、カボチャ、牛蒡、ネギ、生姜、大蒜、ニラ、トウモロコ
シ、さやえんどう、オクラ、かぶ、きゅうり、ウリ、ズッキーニ、へちま、もやし等であ
る。アブラナ科野菜以外の野菜は、好ましくは、ニンジン、タマネギ、セロリである。な
ぜなら、全体的な味のバランスが良くなるからである。
<本野菜調味料の製造方法の概念的構成>
本野菜調味料の製造方法(以下、この欄では、「本製法」ということもある。)を概念
的に構成するのは、少なくとも、減香加熱及び付香加熱である。減香加熱とは、加熱であ
って、その目的が香りを減ずるものをいう。具体的には、青臭さが減ぜられる。付香加熱
とは、加熱であって、その目的が香りを付加するものをいう。具体的には、加熱香が付加
される。当該付香加熱の実施時期は、減香加熱と同時又はそれより後である。本製法を更
に構成するのは、分画である。得られる画分は、少なくとも、うま味成分及び香気成分で
ある。これらの成分の由来は、付香加熱されたアブラナ科野菜である。本製法のうちを具
現化するのは、以下の第1~第3の実施の形態である。
<第1の実施の形態>
図1が示すのは、第1の実施の形態に係る製造方法の流れである。この製法を構成する
のは、切断(S10)、焼き又は炒め(S20)、水出し(S30)、固液分離(S40
)、濃縮(S50)、並びに、殺菌及び充填(S60)である。本実施の形態で、減香加
熱及び付香加熱の双方を具現化したものは、少なくとも、焼き又は炒め(S20)である
。また、分画を具現化したものは、少なくとも、水出し(S30)である。当該第1の実
施の形態では、比較的粘度が低い性状の調味料を製造することができ、種々の飲食品に適
用しやすいことが特徴である。
<切断(S10)>
アブラナ科野菜及びその他の野菜(以下、単に「野菜」ということもある。)を切断す
る目的は、加熱時間の短縮である。他の目的は、抽出時間の短縮である。野菜の一部(例
えば、花部や虫食われた葉など)は、捨てても良い。切断された野菜の大きさは、任意で
あるが、好ましくは、5mm~5cm程度である。
<焼き又は炒め(S20)>
切断された野菜を焼き又は炒める目的は、青臭さの抑制である。すなわち、アブラナ科
野菜を焼き又は炒めすることで気化されるのは、アブラナ科野菜の青臭さ成分(香気成分
)である。もう一つの目的は、コクの強化である。すなわち、野菜を焼き又は炒めること
で生成されるのは、加熱香であり、それにより感じられるのは香味の持続感である。加熱
香は、人をしてコクを感じさせる。本発明者は特に、フェニルアセトアルデヒド(Phe
nylacetaldehyde)が加熱により増加する成分であり、コクに寄与してい
ることを見出した。これはアミノ酸の一種であるフェニルアラニンが加熱により分解され
、生成したものと推測される。青臭さに寄与する成分は、加熱香に寄与する成分よりも沸
点が低く、比較的揮発性が高い。焼き又は炒めるのが不十分であると、青臭さが抑制され
ない。焼き又は炒めるのが過剰であると、コゲ臭が強くなる。強いコゲ臭は、忌避される
。そのような観点から、野菜を焼き又は炒める温度は、45℃~200℃であり、好まし
くは、75℃~180℃である。また、焼き又は炒める時間は、10~120分であり、
好ましくは、15分~90分である。これらの方法は、公知の方法で良く、例示すると、
ニーダーや焙焼釜等である。熱源は、火に限らず、IH等でもよい。
<水出し(S30)>
水出しの目的は、焼き又は炒められた野菜からその含有成分を抽出することである。焼
き又は炒められた野菜が浴することで、その含有成分が溶け出す。当該成分が溶け出す先
は、水である。水(溶媒)の温度が低すぎると、抽出時間が長くなる。他方で、水(溶媒
)の温度が高すぎると、野菜由来の成分が劣化してしまう。そのような観点から、水(溶
媒)の温度は、好ましくは、85~98℃である。
<固液分離(S40)>
固液分離の目的は、青臭さの抑制である。野菜の青臭さが多く残留しているのは、野菜
の固形部分である。当該固形部分を取り除くことで、青臭さが低下する。他の目的は、後
工程の効率化である。固形を取り除くことで、後工程の濃縮を行う際に、濃縮度が上がる
。また、固形部分を取り除くことで、液体の粘度が低下し、種々の飲食品への適用が容易
となる。固液分離の方法は、公知の方法で良く、例えば、ふるい式、遠心分離式等である
。遠心分離の原理は連続式、バッチ式のいずれの方法でもよいが、遠心分離装置を例示す
ると、デカンターがある。本工程の実施要否は、最終的な素材の用途を考慮して判断する
ことができる。
<濃縮(S50)>
固液分離で得られた液体部分(液体)を濃縮する目的は、素材のハンドリングの向上で
ある。液体を濃縮することで、液体の容積が減る。つまり、液体の保管コストが下がる。
濃縮方法は、公知の方法で良く、例えば、真空濃縮、膜濃縮、凍結濃縮等である。
<殺菌及び充填(S60)>
以上に加えて、本製法が適宜採用するのは、殺菌及び充填である。これらの方法は、公
知の方法で良く、例えば、プレート式殺菌、チューブラー式殺菌方法等がある。
<第2の実施の形態>
図2が示すのは、実施の形態2に係る製造方法の流れである。この製法を構成するのは
、切断(S10)、焼き又は炒め(S20)、搾り(S31)、固液分離(S40)、濃
縮(S50)、並びに、殺菌及び充填(S60)である。本実施の形態で、減香加熱及び
付香加熱の双方を具現化したものは、少なくとも、焼き又は炒め(S20)である。また
、分画を具現化したものは、少なくとも、搾り(S31)である。本実施の形態2に係る
製法の特徴のみである。その他の説明は、前述の実施の形態1での説明に同旨である。当
該第2の実施の形態では、比較的粘度が高く、Brixも高い調味料を製造することがで
きることが特徴である。
<搾り(S31)>
切断された野菜を搾って得られるのは、搾汁及び粕である。つまり、野菜を搾る方法は
、公知の方法で良く、例えば、圧搾式、遠心分離式等である。搾汁装置を例示すると、エ
クストルーダー、フィルタープレス、デカンター、ギナー等である。
<第3の実施の形態>
図3が示すのは、第3の実施の形態に係る製造方法の流れである。この製法を構成する
のは、切断(S10)、ブランチ(S21)、搾り(S31)、固液分離(S40)、加
熱濃縮(S51)、並びに、殺菌及び充填(S60)である。本実施の形態で、減香加熱
を具現化したものは、少なくとも、ブランチ(S10)である。また、付香加熱を具現化
したものは、少なくとも、加熱濃縮(S51)である。さらに、分画を具現化したものは
、少なくとも、搾り(S31)である。以下で説明するのは、本実施の形態3に係る製法
の特徴のみである。その他の説明は、前述の実施の形態1及び2での説明に同旨である。
当該第3の実施の形態では、ブランチ工程を含むことで、硝酸、シュウ酸等のえぐみ、渋
味に関わる成分が低減された調味料を製造することができることが特徴である。
<ブランチ(S21)>
切断された野菜をブランチする目的は、酵素の失活である。
他の目的は、アク除去である。切断された野菜をブランチする方法は、不問であり、具体
的には、蒸気や温水等である。切断された野菜をブランチする温度は、50度乃至100
度である。ブランチングの具体的な説明のために本願明細書が取り込むのは、特許第37
71919号公報の内容である。
<加熱濃縮(S51)>
搾汁又は固液分離で得られた野菜の液を加熱濃縮する目的は、素材のハンドリングの向
上である。素材を濃縮することで、容積を減らすことができ、保管コストを低減すること
ができる。他の目的は、コクの強化である。搾汁又は固液分離で得られた野菜の液が加熱
濃縮することで、加熱香が付与され、コクが強くなる。この場合、加熱温度は、45℃~
100℃であることが好ましい。
<コク>
本発明における「コク」とは、官能特性の一つである。コクの判断の主たる要素は、香
味の持続性であり、より好ましくは、香味の複雑さも加味される。
<青臭さ>
本発明における「青臭さ」は、アブラナ科野菜が有する青臭さである。
<糖度(Brix)>
本実施の形態に係るアブラナ科野菜を含む野菜調味料において、Brixは、特に限定
されないが、好ましくは、1.0以上60.0以下である。Brixの測定方法は、公知
の方法でよい。測定手段を例示すると、光学屈折率計(NAR-3T ATAGO社製)
である。
<pH>
本実施の形態に係るアブラナ科野菜を含む野菜調味料のpHは、特に限定されないが、
好ましくは、4.0~7.0である。pHが低くなりすぎて酸味が強くなると、酸味が強調
されることでコクが感じにくくなる。また、pHが高すぎると、衛生管理上の観点から強
い殺菌が必要となり、香味への影響等の観点からも好ましくない。より好ましくは、当該
pHは、5.0~7.0である。
<遠心沈殿量>
遠心沈殿量とは、試料を一定条件で遠心処理した際の沈殿量を体積割合で表したもので
ある。本実施の形態で採用する測定方法は、次のとおりである。すなわち、10ml容の
沈殿管(目盛付きスピッチグラス)にアブラナ科野菜を含む野菜調味料を10ml入れ、
3,000rpm(1,600×g)で10分間遠心後の沈殿物の体積を測定する。遠心沈
殿量は特に限定されないが、好ましくは、Brix2.9における遠心沈殿量が、30%
未満である。より好ましくは、Brix2.9における遠心沈殿量が、5%未満である。
さらに、より好ましくは、Brix2.9における遠心沈殿量が、1%未満である。遠心
沈殿量が少ないことで、粘度を低下させることができ、種々の商品に適用しやすくなる。
遠心沈殿量を少なくする方法は、公知の方法で良いが、具体的には、ふるいによるパルプ
分の除去、及び遠心分離によるパルプの除去等が挙げられる。
<累積%粒子径>
粒子径とは、粒子の長径を測定した値である。ここで「累積a%粒子径」とは、測定で
得られた粒度分布において、粒子集団の全体積を100%として累積頻度を求めたとき、
累積頻度がa%に達する粒子径をいう。すなわち、累積50%粒子径(D50)とは、累
積頻度が50%となる点の粒子径をいう。また、累積90%径(D90)とは、累積頻度
が90%となる点の粒子径をいう。粒子径を測定する手段は、レーザー回折/散乱式粒子
径分布測定装置である。
本発明におけるアブラナ科野菜を含む野菜調味料の粒子径は、特に限定されないが、好
ましくは、D50が250μm以下である。また、好ましくは、D90が700μm以下
である。より好ましくは、D50が100μm以下である。また、より好ましくは、D9
0が400μm以下である。粒子径を小さくすることで、性状が滑らかなものとなり、種
々の商品に適用しやすくなる。粒子径を小さくする方法は、公知の方法で良いが、具体的
には、微細処理機による微細化、ふるいによるパルプ分の除去、及び遠心分離によるパル
プの除去等が挙げられる。
[野菜調味料におけるコクの評価]
<比較例1>
ブロッコリーを5mm程度に細断し、細断したブロッコリーの2倍量の水で95℃、1
h抽出した。0.5mmメッシュのふるいで固形部と液部に分離し、液部を試料とした。
<実施例1>
ブロッコリーを5mm程度に細断し、140℃で焙炒した。その後、細断したブロッコ
リーの2倍量の水で95℃、1h抽出した。0.5mmメッシュのふるいで固形部と液部
に分離し、液部を試料とした。
<比較例2>
ブロッコリーを5mm程度に細断し、搾汁機で搾汁した後、ホットパック充填を行った
<実施例2>
ブロッコリーを5mm程度に細断し、140℃で焙炒した。その後、搾汁機で搾汁した
後、ホットパック充填を行った。
<比較例3>
キャベツを2cm程度に切断し、切断したキャベツの2倍量の水で95℃、1h抽出し
た。0.5mmメッシュのふるいで固形部と液部に分離し、液部を試料とした。
<実施例3>
キャベツを2cm程度に切断し、140℃で焙炒した。その後、切断したキャベツの2
倍量の水で95℃、1h抽出した。0.5mmメッシュのふるいで固形部と液部に分離し
、液部を試料とした。
<比較例4>
ブロッコリー、タマネギ、セロリ、ニンジンを2cm程度に切断し、切断した野菜の2
倍量の水で95℃、1h熱水抽出した。固形分を除去後、抽出液を真空濃縮により、Br
ix20まで濃縮した。濃縮試料を水でBrix5.0まで希釈した。
<実施例4>
ブロッコリー、タマネギ、セロリ、ニンジンを2cm程度に切断し、切断した野菜を1
40℃で焙炒後、切断した野菜の2倍量の水で95℃、1h熱水抽出した。固形分を除去
後、抽出液を真空濃縮により、Brix20まで濃縮した。濃縮試料を水でBrix5.
0まで希釈した。
<糖度(Brix)の測定>
本測定で採用した糖度(Brix)の測定器は、屈折計(NAR-3T ATAGO社
製)である。測定時の品温は、20℃であった。
<pHの測定>
本測定で採用したpHの測定器は、pH計(pH METER F-52 HORIB
A社製)である。測定時の品温は、20℃であった。
<遠心沈殿量>
10ml容の沈殿管(目盛付きスピッチグラス)にアブラナ科野菜を含む野菜調味料(
Brix2.9)を10ml入れ、3,000rpm(1,600×g)で10分間遠心後
の沈殿物の体積を測定した。
<粒子径の測定>
レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(HORIBA製「LA-960」を用い、
体積換算で頻度の累積が50%になる粒子径(D50)、及び90%になる粒子径(D9
0)を測定した。屈折率を「1.60-0.00i」、循環速度を「3」、撹拌速度を「
1」とした。
<官能評価>
香味評価に鋭敏な感覚を持つ官能評価者(パネル)を選定した。(比較例1及び実施例
1を併せて区分1と呼び、区分2~4についても、以下同様とする。)官能評価は、区分
1及び区分2に関しては、蒸留水でBrixを2.9に合わせ、区分3に関してはBri
xを1.9に合わせて行った。区分1~区分4に関して、比較例、及び実施例に関する識
別性評価を、9名のパネルによる3点識別法により行った。
さらに、各区分それぞれに関して、比較例と実施例を比較し、香味における「コクの強
化、及び青臭さの抑制」の評価を、11名のパネルによる2点比較法により行った。コク
の定義は、香味の「持続性」、及び「複雑さ」とし、「複雑さ」については、定義を以下
のとおりとした。
「複雑さ」を感じる・・・香味を多く感じられるが、特定の香味が際立ってなく、か
つ、明確に香味を分解できない状態。
<官能評価基準>
識別性の判断は、各パネリストの評価を基にして、個別項の2項分布確率(BINOM
DIST関数)により、危険率(P値)5%にて判断した。2点比較法による官能評価は
、同区分内において、比較例を対照として、実施例のコクが強化されているか、及び青臭
さが抑制されているかをパネルが評価した。
「コクの強化、及び青臭さの抑制」の有無(○又は×)に関する評価は、各パネリストの
評価を基にして、個別項の2項分布確率(BINOMDIST関数)により、危険率(P
値)5%にて判断した。
<結果>
区分1~4それぞれに関して、比較例と実施例は有意に異なり、識別可能であるという
結果であった。また、区分1~4それぞれに関して、実施例は比較例と比較してコクが強
化され、かつ青臭さが抑制されているという結果であった。
Figure 2024010061000002
<まとめ>
以上の試験結果より、焼き又は炒め工程を経たアブラナ科野菜を水出して、固液分離す
ることにより、コクが強化されたエキス(抽出液)を製造することが可能であった。また
、焼き又は炒め工程を経たアブラナ科野菜を搾汁することにより、コクが強化された搾汁
液を製造することが可能であった。さらに、アブラナ科野菜に加えて他の野菜を併用した
場合にも、本発明の効果を確認することができた。上記結果をまとめると、本発明に係る
アブラナ科野菜調味料の製造方法を構成するのは、少なくとも、減香加熱及び付香加熱で
あることがわかった。この付香加熱が行われるのは、当該減香加熱より後、又は同時であ
る。
本発明が有用な分野は、野菜調味料の製造及び販売である。

Claims (2)

  1. アブラナ科野菜調味料の製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも、以下の工程である:
    焼き又は炒め:ここで焼き又は炒められるのは、少なくとも、アブラナ科野菜、及びアブラナ科以外の野菜であり、
    分画:ここで分画されるのは、少なくとも、前記焼き又は炒められた、アブラナ科野菜、及びアブラナ科以外の野菜であり、
    前記アブラナ科以外の野菜は、ニンジン、タマネギ、及びセロリのみである。
  2. アブラナ科野菜調味料の製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも、以下の工程である:
    ブランチ:ここでブランチされるのは、少なくとも、アブラナ科野菜、及びアブラナ科以外の野菜であり、
    加熱濃縮:ここで加熱濃縮されるのは、少なくとも、前記ブランチされたアブラナ科野菜の液、及び前記ブランチされたアブラナ科以外の野菜の液であり、
    前記アブラナ科以外の野菜は、ニンジン、タマネギ、及びセロリのみである。
JP2023181741A 2017-05-12 2023-10-23 アブラナ科野菜調味料及びその製造方法 Pending JP2024010061A (ja)

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