JP2015149896A - ネギ属植物ペーストおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】風味がよく臭みの少ないネギ属植物ペーストの提供。
【解決手段】香気性成分に含まれる環状硫黄化合物と非環状硫黄化合物との合計量中に、非環状硫黄化合物を55質量%以上含有する、ネギ属植物ペースト。
【選択図】なし
【解決手段】香気性成分に含まれる環状硫黄化合物と非環状硫黄化合物との合計量中に、非環状硫黄化合物を55質量%以上含有する、ネギ属植物ペースト。
【選択図】なし
Description
本発明は、飲食品に好適に用いることができるネギ属植物ペーストを製造する方法に関する。
従来、ネギ属植物を粉砕、磨砕または裏ごししたペーストは、ミートボール、ハンバーグ等の各種肉食品や、シチュー、スープ、ソース等各種の液体食品の風味付けやコク味付けに使用されている。しかし、生のネギ属植物から得られたペーストは、生野菜特有のえぐみや臭みが強いため、そのまま大量に用いるのは好ましくないことが多い。一方、ボイルまたは蒸し煮したネギ属植物を粉砕して得られたペーストは、長時間水分にさらされることによって、うまみに欠け、ボイル臭が強いものとなる。特許文献1には、野菜の粉砕または細断物をブランチング、蒸煮または焙煎処理して得られた野菜磨砕物を用いてルウを製造したことが記載されている。特許文献2には、野菜を過熱水蒸気で加熱後に破砕して、さらに酵素処理することで野菜ペーストを得たことが記載されている。しかし、これらの野菜ペーストにもなお、野菜のえぐみや臭みが残る、舌触りが悪いなどの問題がある。
本発明は、ミートボール、ハンバーグ、カレー、シチュー、スープ、ソース等の各種食品の製造に好適に用いることができるネギ属植物ペーストに関する。詳細には、ネギ属植物特有の刺激臭やえぐみが少なく、食品にネギ属植物の好ましい風味を付与することができるネギ属植物ペーストの提供に関する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ネギ属植物を、香気性成分中における環状硫黄化合物と非環状硫黄化合物の量が特定の比率になるように油脂とともに加熱した後、粉砕することにより、良好な風味を有するネギ属植物ペーストが得られることを見出した。
すなわち、本発明は、香気性成分に含まれる環状硫黄化合物と非環状硫黄化合物との合計量中に、非環状硫黄化合物を55質量%以上含有するネギ属植物ペーストを提供する。
また本発明は、ネギ属植物を油脂と共に加熱して、加熱後の該ネギ属植物の香気性成分に含まれる環状硫黄化合物と非環状硫黄化合物との合計量中における非環状硫黄化合物の量を55質量%以上にすることと、該加熱したネギ属植物を粉砕することとを含むネギ属植物ペーストの製造方法を提供する。
また本発明は、ネギ属植物を油脂と共に加熱して、加熱後の該ネギ属植物の香気性成分に含まれる環状硫黄化合物と非環状硫黄化合物との合計量中における非環状硫黄化合物の量を55質量%以上にすることと、該加熱したネギ属植物を粉砕することとを含むネギ属植物ペーストの製造方法を提供する。
本発明により提供されるネギ属植物ペーストは、ネギ属植物に特有のえぐみや臭みが少なく、かつ良好な風味やコク味を有しており、ミートボール、ハンバーグ、カレー、シチュー、スープ類、ソース類、ドレッシング類等の各種食品の材料として有用である。
本発明のネギ属植物ペーストの原料となるネギ属植物の種類は、食用に用い得るものであれば特に限定がなく、アサツキ、ネギ、タマネギ、ワケギ、ニンニク、ギョウジャニンニク、ニラ、ラッキョウなどを挙げることができる。本発明の製造方法において、上記に挙げたネギ属植物は単独で使用してもよいが、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明のネギ属植物ペーストは、香気性成分中に環状硫黄化合物と非環状硫黄化合物とを特定の比率で含有する。すなわち、本発明のネギ属植物ペーストは、香気性成分に含まれる硫黄化合物全量(非環状硫黄化合物と環状硫黄化合物との合計量)中に、非環状硫黄化合物を55質量%以上、好ましくは60質量%以上含有する。該香気性成分中の非環状硫黄化合物の量が、硫黄化合物全量中55質量%未満であると、ネギ属植物の臭みが強いペーストとなる。あるいは、本発明のネギ属植物ペーストの香気性成分に含まれる非環状硫黄化合物の量は、該香気性成分中55質量%以上であると好ましい。
好ましくは、本発明のネギ属植物ペーストの香気性成分に含まれるアルデヒド化合物の含有量は、1質量%未満であり、より好ましくは0.6質量%未満である。アルデヒド化合物の量が当該範囲であると、ペーストにおいてネギ属植物の甘い香りが強まるため好ましい。一方、該香気性成分中におけるアルデヒド化合物の量が1質量%を越えると、香りがきついペーストとなる。
上記香気性成分に含まれる非環状硫黄化合物としては、メタンチオール、ジメチルジスルフィド、メチル−1−プロピルジスルフィド、メチル−2−プロピルジスルフィド、ジメチルトリスルフィド、アリルジスルフィド、ジアリルジスルフィド等が挙げられる。
上記香気性成分に含まれる環状硫黄化合物としては、メチルチイラン、2,5−ジメチルチオフェン、2,4−ジメチルチオフェン、2,3−ジメチルチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、2−エチル−5−クロロ−1,3,4−チアジアゾール、1,2−ジチオラン等が挙げられる。
上記香気性成分に含まれるアルデヒド化合物としては、プロパナール等が挙げられる。
香気性成分に含まれる上記各成分の含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析装置を用いた分析により、定量することができる。
本発明のネギ属植物ペーストの製造方法は、ネギ属植物中の香気性成分中における非環状硫黄化合物および環状硫黄化合物の量、好ましくはさらにアルデヒド化合物の量を、上記所定の比率にすることができる方法である限り、どのような方法であってもよいが、好ましくは、まず原料となるネギ属植物を、当該香気性成分が所定の比率になるまで油脂と共に加熱し(加熱工程)、その後、該加熱したネギ属植物を粉砕してペーストにすること(粉砕工程)を含む方法である。
本発明の製造方法において、ネギ属植物は、上記加熱工程に供する前に、種類または必要に応じて適切に前処理されてもよい。前処理としては、洗浄、不要部分のトリミング、小片化、ブランチング(表面の殺菌や酵素の失活を目的とした熱湯や蒸気等による短時間の加熱処理)等が挙げられる。例えば、上記ネギ属植物を予め切断して一定の大きさの小片にしておくと、上記加熱工程において加熱ムラや加熱不足が起こりにくくなるため好ましい。小片は、ダイス状、拍子木状等の通常の調理で行われる形状であればよく、その大きさは、加熱ムラや加熱不足を防ぐ観点からは、好ましくは、少なくとも一辺が5cm以下、より好ましくは3cm以下となるようにする。しかしながら、上記ネギ属植物は、上記加熱工程の前に粉砕されることはない。また小片を小さくし過ぎると、加熱工程において焦げが発生しやすくなり、最終的に得られたペーストの品質が低下するため好ましくない。したがって小片は、各辺を1mm未満、好ましくは3mm未満としないことが望ましく、より好ましくは各辺を3mm以上、さらに好ましくは5mm以上とする。なお、本明細書において、ネギ属植物の粉砕とは、当該ネギ属植物をその細胞内容物が漏出して全体が液状またはペースト状になる程度に、あるいはろ過によって液状物を分離できるようになる程度に、物理的に破壊することをいう。好ましくは、本明細書において、ネギ属植物の粉砕とは、各粉砕物の最大長が1mm未満となるように、ネギ属植物を任意の手段で細分化することであり得る。
本発明の製造方法における加熱工程は、上述の必要に応じて前処理したネギ属植物を油脂とともに加熱して、加熱後の該ネギ属植物に含まれる香気性成分中における硫黄化合物の全量(非環状硫黄化合物と環状硫黄化合物との合計量)中に、非環状硫黄化合物の量が55質量%以上、好ましくは60質量%以上になるようにする工程であり得る。また好ましくは、該香気性成分の合計量中、アルデヒド化合物の量が1質量%未満、より好ましくは0.6質量%未満なるまで、該ネギ属植物を加熱する。当該加熱工程により、ネギ属植物の細胞構造を緩和させ、えぐみや臭みの成分を低下させ、風味やコク味の成分を凝縮することができ、さらにネギ属植物の加熱によって生じる新たな風味やコク味成分を付加することができる。
上記加熱工程により、上記ネギ属植物に含まれる水分や他の揮発成分は蒸発、揮発または飛散するため、加熱後のネギ属植物の質量は加熱前と比べて減少する。本発明の製造方法においては、加熱後のネギ属植物の質量が、加熱前の質量に対して、好ましくは90〜58質量%、より好ましくは82〜65質量%であるとよい。言い換えると、当該加熱工程においては、加熱後のネギ属植物の質量が、加熱前の質量に対して、好ましくは90〜58質量%、より好ましくは82〜65質量%に減少するまで、当該ネギ属植物を加熱すればよい。上記所定の水分量となるようにネギ属植物を油脂とともに加熱することにより、香気性成分中に非環状硫黄化合物、環状硫黄化合物およびアルデヒド化合物を上述した所定の比率で含有する、ネギ属植物の加熱物を得ることができる。
上記加熱工程における、ネギ属植物を油脂と共に加熱する手段としては、ネギ属植物の水分等を蒸発、揮発または飛散させて当該ネギ属植物の質量を減少させることができる方法であれば、特に限定されないが、例えば、油脂を用いた炒め、揚げ焼き、油ちょうに供する方法が挙げられる。このうち、ネギ属植物をムラ無く加熱でき、かつ加熱状況を観察しながら処理できるとの観点では、少量の油を用いた油炒めが好ましく用いられる。当該加熱工程に用いる油脂としては、通常食用に用いられる油脂であれば特に限定されないが、植物性油脂が好ましく、コーン油、大豆油、綿実油、なたね油、ピーナッツ油、オリーブ油等がより好ましい。加熱条件としては、油脂温度またはヒーター等の設定温度として、70℃以上180℃以下が好ましく、75℃以上160℃以下がより好ましい。加熱温度が70℃未満であると、得られたペーストの風味やコク味が十分に向上せず、またえぐみや臭みの成分が十分に除去されない場合がある。一方、加熱温度が180℃超であると、ネギ属植物が焦げやすくなり、またメイラード反応やカラメル反応が過剰になるため、得られたペーストがやはり風味やコク味に劣るものになる場合がある。加熱時間は、加熱方法、加熱温度、加熱する食材の種類や大きさに応じて、ネギ属植物の質量が所定量減少する時間を適宜設定すればよい。油脂を用いた加熱工程の後、余分な油脂は除去することが好ましい。油脂を除去する方法としては、紙等に染み込ませる方法、網等で油切りする方法等が挙げられる。
一方、ネギ属植物の加熱手段として、油脂を用いない加熱、例えば、焙煎、油脂添加なしでのオーブン加熱、水(湯)を用いるボイルや、水蒸気を用いる蒸煮による加熱は、ネギ属植物のえぐみや臭みの除去効果が不十分であり、または風味やコク味成分の水(湯)中への溶出や流出により、最終的に得られたペーストの風味やコク味が十分に向上しないため好ましくない。
本発明のネギ属植物ペーストの製造方法においては、次いで、上記加熱工程で得られた加熱したネギ属植物を粉砕して粉砕物を得る。この粉砕工程により、加熱したネギ属植物を滑らかなペースト状にして舌触りをよくするとともに、当該加熱したネギ属植物中の風味やコク味の成分をペースト全体に分散させる。本発明の製造方法により得られたネギ属植物ペーストは、ペースト状にする前のネギ属植物を加熱してえぐみや臭みの成分を減少させているため、粉砕しても細胞内のえぐみや臭みの成分がペースト中に漏れ出て風味が損なわれることがない。
上記粉砕工程は、上述した加熱工程直後に行ってもよいが、当該加熱工程後に、加熱したネギ属植物を一旦冷却してから行ってもよい。当該粉砕工程における、加熱したネギ属植物を粉砕する手段としては、フードプロセッサーやミキサー等の回転刃による処理、ホモゲナイザーやブレンダー等によるせん断処理、ミル等の粉砕装置による処理などが挙げられる。このうち、処理能力や操作の簡便さの観点からは、回転刃による処理が好ましい。ネギ属植物の粉砕の際には、ネギ属植物の種類、含水量、粉砕手段等により、必要に応じて加水してもよい。加水により、例えば、粉砕機器の壁や回転刃に材料が付着することを防いで、粉砕効率の低下を防止することができる。また、ネギ属植物の種類により、例えば繊維質が多量に含まれるネギ属植物では、上記粉砕工程を行って全体が液状またはペースト状になった状態であっても、最大長が1mm以上の細長い破片が残ることがある。このような繊維質等の破片は風味やコク味への影響は少なく、一部残留しても問題ないが、舌触りの点で劣ることがある。その場合は、粉砕物を目開き1mmのざる、網、篩などに通して当該細長い破片を除去するか、または除去した破片をさらに粉砕して用いることが好ましい。
上記粉砕工程を経て得られた本発明のネギ属植物ペーストは、平均粒子径が、好ましくは520μm以下、より好ましくは400μm以下である。本発明の製造方法によれば、平均粒子径をそれほど細かくしなくとも比較的滑らかで舌触りのよいネギ属植物ペーストが得られるが、ペーストの平均粒子径が520μm以下であると、香りがよく立ち、舌触りも滑らかになって、該ペーストを配合する食品の食感が好ましいものとなる。なお、本明細書における粉砕物またはネギ属植物ペーストの平均粒子径とは、前記の最大長が1mm以上の細長い破片を除いた後の該粉砕物またはペーストの粒度分布をレーザー回折・散乱法により測定したときの、体積の積算値50%での値をいう。
本発明のネギ属植物ペーストは、そのまま単独で食することもでき、またはミートボール、ハンバーグ、カレー、シチュー、スープ、ソース、ドレッシングなどの材料とすることもできる。あるいは、当該ネギ属植物ペーストは、それ単独でもしくは他の食材と合わせてディップソースの製造に用いたり、またはマッシュしたイモやカボチャなどに添加混合してサラダやコロッケの製造に用いるなど、各種食品の製造に使用することができる。本発明の製造方法により製造されたネギ属植物ペーストを含有し得る食品としては、通常ペースト状のネギ属植物を添加して製造することができるあらゆる食品が挙げられ、例えば、カレー、シチュー、スープ、ソース、ディップ、ドレッシング、コロッケ、ハンバーグ、ミートボール、サラダ、ベビーフード、ムース、ゼリー、プディング、ベーカリー食品、パスタ、流動食等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のネギ属植物ペーストは、ネギ属植物の特有の色や、風味、コク味を有しながら、そのネギ属植物の持つえぐみや臭みが低減されており、しかも舌触りが非常に滑らかであるから、他の食材の風味を邪魔することなく、食品の味や風味を一層引き立てることができる。
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
以下の実施例において、ペーストに含まれる香気性成分の組成分析方法は次のとおりである。
ペースト測定試料100mgを20mLのガラス容器に入れ、80℃、60分間加熱して、放出された香気成分を固相マイクロ抽出(SPME)ファイバー(SUPELCO社製)に捕集した。SPMEファイバーからガスクロマトグラフィー質量分析装置(ISQ;サーモサイエンティフィック社製)を用いて、以下の条件にて香気性成分の含有比を分析した。結果は、クロマトグラムの面積から換算した質量%として表した。
<カラム条件>
カラム:サーモサイエンティフィック社製TR−1MS 0.25mm径×60ml、カラム温度:注入口280℃
カラム流量:1.5mL/min
ペースト測定試料100mgを20mLのガラス容器に入れ、80℃、60分間加熱して、放出された香気成分を固相マイクロ抽出(SPME)ファイバー(SUPELCO社製)に捕集した。SPMEファイバーからガスクロマトグラフィー質量分析装置(ISQ;サーモサイエンティフィック社製)を用いて、以下の条件にて香気性成分の含有比を分析した。結果は、クロマトグラムの面積から換算した質量%として表した。
<カラム条件>
カラム:サーモサイエンティフィック社製TR−1MS 0.25mm径×60ml、カラム温度:注入口280℃
カラム流量:1.5mL/min
(製造例1〜2)
タマネギの皮を除去し、洗浄後、約1cm角のダイス状にカットした。約150〜160℃に熱したフライパンに、油50gを入れ、さらに上記カットしたタマネギ950gを投入して13分間炒めた。加熱後のタマネギを、余分な油を紙に吸い取った後、質量を測定したところ、713g(加熱前の75%)であった。この加熱処理したタマネギに加水して質量を1000gとし、250gずつ4つに小分けした。そのうち2つを、それぞれフードプロセッサーを用いて20秒間(製造例1)、またはコーヒーミルを用いて180秒間(製造例2)粉砕し、2種類のタマネギペーストを得た。
タマネギの皮を除去し、洗浄後、約1cm角のダイス状にカットした。約150〜160℃に熱したフライパンに、油50gを入れ、さらに上記カットしたタマネギ950gを投入して13分間炒めた。加熱後のタマネギを、余分な油を紙に吸い取った後、質量を測定したところ、713g(加熱前の75%)であった。この加熱処理したタマネギに加水して質量を1000gとし、250gずつ4つに小分けした。そのうち2つを、それぞれフードプロセッサーを用いて20秒間(製造例1)、またはコーヒーミルを用いて180秒間(製造例2)粉砕し、2種類のタマネギペーストを得た。
(製造例3〜4)
タマネギの皮を除去し、洗浄後、約1cm角のダイス状にカットした。このカットしたタマネギ1000gを耐熱皿に厚みが均等になるように並べ、電子レンジにセットして500Wで5分間加熱した。加熱後のタマネギの質量を測定したところ、928g(加熱前の93%)であった。この加熱処理したタマネギに加水して質量を1000gとし、250gずつ4つに小分けした。そのうち2つを、それぞれフードプロセッサーを用いて20秒間(製造例3)、またはコーヒーミルを用いて180秒間(製造例4)粉砕処理し、タマネギペーストを得た。
タマネギの皮を除去し、洗浄後、約1cm角のダイス状にカットした。このカットしたタマネギ1000gを耐熱皿に厚みが均等になるように並べ、電子レンジにセットして500Wで5分間加熱した。加熱後のタマネギの質量を測定したところ、928g(加熱前の93%)であった。この加熱処理したタマネギに加水して質量を1000gとし、250gずつ4つに小分けした。そのうち2つを、それぞれフードプロセッサーを用いて20秒間(製造例3)、またはコーヒーミルを用いて180秒間(製造例4)粉砕処理し、タマネギペーストを得た。
(製造例5〜6)
タマネギの皮を除去し、洗浄後、約1cm角のダイス状にカットした。このカットしたタマネギ1000gを耐熱皿に厚みが均等になるように並べ、オーブンにセットして140℃で10分間加熱した。加熱後のタマネギの質量を測定したところ、793g(加熱前の79%)であった。この加熱処理したタマネギに加水して質量を1000gとし、250gずつ4つに小分けした。そのうち2つを、それぞれフードプロセッサーを用いて20秒間(製造例5)、またはコーヒーミルを用いて180秒間(製造例6)粉砕処理し、タマネギペーストを得た。
タマネギの皮を除去し、洗浄後、約1cm角のダイス状にカットした。このカットしたタマネギ1000gを耐熱皿に厚みが均等になるように並べ、オーブンにセットして140℃で10分間加熱した。加熱後のタマネギの質量を測定したところ、793g(加熱前の79%)であった。この加熱処理したタマネギに加水して質量を1000gとし、250gずつ4つに小分けした。そのうち2つを、それぞれフードプロセッサーを用いて20秒間(製造例5)、またはコーヒーミルを用いて180秒間(製造例6)粉砕処理し、タマネギペーストを得た。
(製造例7)
タマネギの皮を除去し、洗浄後、約1cm角のダイス状にカットした。このカットしたタマネギ250gずつをフードプロセッサーを用いて20秒間粉砕処理し、タマネギペーストを得た。約150〜160℃に熱したフライパンに、油12gを入れ、さらに上記のタマネギペースト238gを投入して4分間炒めた。加熱後のタマネギペーストを、余分な油を紙に吸い取った後、質量を測定したところ、159g(加熱前の67%)であった。この加熱処理したタマネギペーストに加水して質量を250gとした。
タマネギの皮を除去し、洗浄後、約1cm角のダイス状にカットした。このカットしたタマネギ250gずつをフードプロセッサーを用いて20秒間粉砕処理し、タマネギペーストを得た。約150〜160℃に熱したフライパンに、油12gを入れ、さらに上記のタマネギペースト238gを投入して4分間炒めた。加熱後のタマネギペーストを、余分な油を紙に吸い取った後、質量を測定したところ、159g(加熱前の67%)であった。この加熱処理したタマネギペーストに加水して質量を250gとした。
(製造例8)
タマネギの皮を除去し、洗浄後、約1cm角のダイス状にカットした。このカットしたタマネギ250gずつをコーヒーミルを用いて180秒間粉砕処理し、タマネギペーストを得た。約150〜160℃に熱したフライパンに、油12gを入れ、さらに上記のタマネギペースト238gを投入して3分間炒めた。加熱後のタマネギペーストを、余分な油を紙に吸い取った後、質量を測定したところ、158g(加熱前の66%)であった。この加熱処理したタマネギペーストに加水して質量を250gとした。
タマネギの皮を除去し、洗浄後、約1cm角のダイス状にカットした。このカットしたタマネギ250gずつをコーヒーミルを用いて180秒間粉砕処理し、タマネギペーストを得た。約150〜160℃に熱したフライパンに、油12gを入れ、さらに上記のタマネギペースト238gを投入して3分間炒めた。加熱後のタマネギペーストを、余分な油を紙に吸い取った後、質量を測定したところ、158g(加熱前の66%)であった。この加熱処理したタマネギペーストに加水して質量を250gとした。
(試験例1)
製造例1〜8の各タマネギペーストについて、SALD−2100(島津製作所)を用いてレーザー回折・散乱法により平均粒子径を算出し、また香気性成分を分析した。さらに、各ペーストの香り、味および食感を、表1の基準に従って10名のパネラーにより評価し、平均値を求めた。以上の結果を表2に示す。
製造例1〜8の各タマネギペーストについて、SALD−2100(島津製作所)を用いてレーザー回折・散乱法により平均粒子径を算出し、また香気性成分を分析した。さらに、各ペーストの香り、味および食感を、表1の基準に従って10名のパネラーにより評価し、平均値を求めた。以上の結果を表2に示す。
(試験例2)
製造例2と同様の手順で、ただし、油炒めの時間を変えることでタマネギの加熱後質量を表3記載のとおりに調整し、タマネギペーストを得た(製造例9〜12)。試験例1と同様の手順で各ペーストの香り、味、食感を評価した。結果を表3に示す。なお、表3には製造例2の結果を再掲する。
製造例2と同様の手順で、ただし、油炒めの時間を変えることでタマネギの加熱後質量を表3記載のとおりに調整し、タマネギペーストを得た(製造例9〜12)。試験例1と同様の手順で各ペーストの香り、味、食感を評価した。結果を表3に示す。なお、表3には製造例2の結果を再掲する。
Claims (7)
- 香気性成分に含まれる環状硫黄化合物と非環状硫黄化合物との合計量中に、非環状硫黄化合物を55質量%以上含有する、ネギ属植物ペースト。
- 前記香気性成分中のアルデヒド化合物の含有量が1質量%未満である、請求項1記載のペースト。
- 平均粒子径が520μm以下である、請求項1又は2記載のペースト。
- ネギ属植物を油脂と共に加熱して、加熱後の該ネギ属植物の香気性成分に含まれる環状硫黄化合物と非環状硫黄化合物との合計量中における非環状硫黄化合物の量を55質量%以上にすることと、該加熱したネギ属植物を粉砕することとを含む、ネギ属植物ペーストの製造方法。
- 前記加熱後のネギ属植物の香気性成分中におけるアルデヒド化合物の含有量を1質量%未満にすることを含む、請求項4記載の方法。
- 前記ネギ属植物を油脂と共に加熱する際に、該ネギ属植物を、加熱前の質量に対して90〜58質量%になるまで加熱する、請求項4又は5記載の方法。
- 前記粉砕後のネギ属植物の平均粒子径が520μm以下である、請求項4〜6のいずれか記載の方法。
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