JP2023539735A - 反応物の供給に好都合な配位子を持つ有機スズ組成物の製造方法 - Google Patents

反応物の供給に好都合な配位子を持つ有機スズ組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

構造RSnL3(Rはスズに対する有機配位子であり、Lは加水分解性配位子又はその加水分解生成物である)の化合物を効率的且つ特異的に形成するための合成反応が記載される。この合成は、多様なR配位子に有効である。この合成は、アルカリ金属イオン及び任意選択的なアルカリ土類(疑似アルカリ土類)金属イオンの使用に基づく。化合物は、式RSn(C≡CSiR'3)3、R'R''ACSnL3(式中、Aはハロゲン原子(F、Cl、Br、又はI)、又は少なくとも1つのハロゲン置換を含む芳香環である)、R'R''(R'''O)CSnL3、又はR'R''(N≡C)CSnZ3で表される構造で形成される。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、同時係属中のEdsonらの2020年8月25日に出願された「Methods to Produce Monoalkyl Tin Compositions Wit Low Concentration of Contaminants」という表題の米国仮特許出願第63/070,098号及びCardineauらの2021年5月21日に出願された「High EUV Absorption Organotin Patterning Compositions and Coatings」という表題の米国仮特許出願第63/191,646号に基づく優先権を主張するものであり、これらは共に参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、モノオルガノスズトリアミド及びモノオルガノスズトリアセチリドの製造のための改善された方法に関し、これらの中の有機基は、1つ以上のヘテロ原子を有する又は有さないヒドロカルビルとして定義される。
有機金属化合物は、薄膜堆積のために溶液処理可能な及び気相形態で金属イオンを供給する。有機スズ化合物は、薄膜をリソグラフィーでパターニングするために使用可能な放射感受性Sn-C結合を提供する。より小さくなってきている寸法での半導体デバイスの製造には、必要なパターニング解像度を実現するための新しい万能な材料が求められる。有機スズ化合物は、必要とされるパターニングの利点の提供を約束するものである。
一態様において、本発明は、有機溶媒を含む溶液、及び溶媒に溶解する(又は溶解している)有機金属組成物(またはオルガノメタリック組成物、organometallic composition)に関する。有機金属組成物は、アルカリ金属イオンと、スズイオンと、-SnLとしてスズに結合する有機配位子(または有機リガンド)とを含み、有機配位子(L)は、-NR'、-C≡CR、又はそれらの混合で表され、RはSiR''又はR'であり、3つのR''は独立してH又はR'であり、R'は、独立して、1~31個の炭素原子と、任意選択的な不飽和炭素-炭素結合と、任意選択的な芳香族基と、任意選択的なヘテロ原子とを有するヒドロカルビル基(hydrocarbyl group)である。いくつかの実施形態では、有機金属組成物は、アルカリ土類イオン(Be(+2)、Mg(+2)、Ca(+2)、Sr(+2)、Ba(+2))又は疑似アルカリ土類イオン(または疑アルカリ土類イオン、pseudo-alkaline earth ion)(Zn(+2)、Cd(+2)、又はHg(+2/+1(あるいは+2若しくは+1)))を更に含む。
別の態様では、本発明は、アルカリ金属スズ組成物の形成方法に関し、この方法は、アルカリ金属スズ組成物を形成するために、有機溶媒中で、MLと、ハロゲン化スズ(II)(またはスズ(II)ハライド)(SnX、X=F、Cl、B、I、又はそれらの混合)と、任意選択的なM'OR(式中、Mは、Li、Na、K、Cs、又はそれらの組み合わせであり、M'は、Na、K、Cs、又はそれらの組み合わせであり、Lはジアルキルアミド(-NR')又はアセチリド(-C≡CR)である)とを反応させて、部位SnL(moiety SnL3)を有する対応する有機金属組成物を形成することを含み、部位SnLは、金属カチオンM''を伴って存在し(もしくは関連する金属カチオンM''と共に存在し、present with associated metal cation M'')、スズトリアミド(M''Sn(NR')又はスズトリアセチリド(M''Sn(C≡CL)(またはM''Sn(C≡CR)(あるいは、金属カチオンM''を伴って存在するスズトリアミド(M''Sn(NR')又はスズトリアセチリド(M''Sn(C≡CL)(またはM''Sn(C≡CR)であり、式中のM''は、M'が存在する場合はM'、M'が存在しない場合はMであり、Rは、1~31個の炭素原子と、任意選択的な不飽和炭素-炭素結合と、任意選択的な芳香族基と、任意選択的なヘテロ原子とを有するヒドロカルビル基であり、RはSiR''又はR'であり、3つのR''は独立してH又はR'であり、R'は、独立して、1~31個の炭素原子と、任意選択的な不飽和炭素-炭素結合と、任意選択的な芳香族基と、任意選択的なヘテロ原子とを有するヒドロカルビル基である。いくつかの実施形態では、方法は、(アルカリ土類/疑似アルカリ土類)金属ハロゲン化物(または金属ハライド)(M'''X、X=F、Cl、B、I、又はそれらの混合)をアルカリ金属スズ組成物と反応させて、アルカリ金属(アルカリ土類/疑似アルカリ土類)金属スズ組成物を形成することを更に含み、アルカリ土類/疑似アルカリ土類金属は、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、水銀、又はそれらの組み合わせである。
更なる態様では、本発明は、モノヒドロカルビルスズ化合物(monohydrocarbyl tin compound)の合成方法に関し、この方法は、アルカリ金属スズ組成物(alkali metal tin composition)を形成するために、一級ハロゲン化ヒドロカルビル化合物(または第一級ハライドヒドロカルビル化合物、primary halide hyrocarbyl compound)(R-X、Xはハロゲン化原子(またはハライド原子、ハリド原子もしくはハロゲン化部原子、halide atom)である)を、金属カチオンM(Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及び/又は疑似アルカリ金属(Zn、Cd、又はHg)である)に対応するSnL部位(Lは、アルカリ金属スズトリアミド化合物を生成するアミド配位子、又はアルカリ金属スズトリアセチリドを生成するアセチリド配位子のいずれかである)を含む有機金属組成物と反応させて、対応するモノヒドロカルビルスズトリアミド(RSn(NR')又はモノヒドロカルビルスズトリアセチリド(RSn(C≡CL)(またはRSn(C≡CR)を形成することを含み、モノヒドロカルビル配位子(R)は、1~31個の炭素原子と、任意選択的な不飽和炭素-炭素結合と、任意選択的な芳香族基と、任意選択的なヘテロ原子とを有するヒドロカルビル基であり、LはSiR''又はR'であり、3つのR''は独立してH又はR'であり、R'は、独立して、1~31個の炭素原子と、任意選択的な不飽和炭素-炭素結合と、任意選択的な芳香族基と、任意選択的なヘテロ原子を有するヒドロカルビル基である。
追加の態様では、本発明は、式RSn(C≡CSiR'によって表される化合物に関し、式中、R'及びRは、独立して、1~31個の炭素原子と、任意選択的な不飽和炭素-炭素結合と、任意選択的な芳香族基と、任意選択的なヘテロ原子とを有するヒドロカルビル基である。
更に、本発明は、式R'R''ACSnLで表されるハロゲン化ヒドロカルビルスズ化合物(または、ヒドロカルビルスズハロゲン化物化合物、halogenated hydrocarbyl tin compound)に関し、式中、Aは、ハロゲン原子(F、Cl、Br、又はI)又は少なくとも1つのハロゲン置換(またはハロゲン置換部もしくはハロゲン置換基、halogen substituent)を有する芳香環であり、R'及びR''は、独立して、H、ハロゲン、又は1~15個の炭素原子と、任意選択的な不飽和炭素-炭素結合と、任意選択的な芳香族基と、任意選択的なヘテロ原子とを有するヒドロカルビル基であり、LはLであり、Lは、加水分解性配位子(または加水分解可能な配位子、hydrolysable ligand)、又はO(OH)3-x(0<x<3)である。
更に、本発明は、式R'R''(R'''O)CSnLで表されるヒドロカルビルスズ化合物に関し、式中、R'、R''、及びR'''は、独立して、H、又は1~15個の炭素原子と、任意選択的な不飽和炭素-炭素結合と、任意選択的な芳香族基と、任意選択的なヘテロ原子とを有するヒドロカルビル基であり、LはLであり、Lは、加水分解性配位子、又はO(OH)3-x(0<x<3)である。
いくつかの態様では、本発明は、式R'R''(N≡C)CSnLで表されるヒドロカルビルスズ化合物に関し、式中、R'及びR''は、独立して、H、又は1~15個の炭素原子と、任意選択的な不飽和炭素-炭素結合と、任意選択的な芳香族基と、任意選択的なヘテロ原子とを有するヒドロカルビル基であり、LはLであり、Lは、加水分解性配位子、又はO(OH)3-x(0<x<3)である。
ベンゼン-d中のLiSn(NEt119Sn NMRスペクトルである。 ベンゼン-d中のn-PrSn(NEt119Sn NMRスペクトルである。 ベンゼン-d中のn-PrSn(NEtH NMRスペクトルである。 ベンゼン-d中のn-PrSn(O-tAm)119Sn NMRスペクトルである。 ベンゼン-d中のn-PrSn(O-tAm)H NMRスペクトルである。 ベンゼン-d中のEtSn(NEt119Sn NMRスペクトルである。 ベンゼン-d中のEtSn(O-tAm)119Sn NMRスペクトルである。 ベンゼン-d中のt-BuSn(NEt119Sn NMRスペクトルである。 ベンゼン-d中のt-BuSn(O-tAm)119Sn NMRスペクトルである。 ベンゼン-d中の(NC(CHC)Sn(NEt119Sn NMRスペクトルである。 ベンゼン-d中のLiSn(CCSiMe119Sn NMRスペクトルである。 ベンゼン-d中の(CHOCH)Sn(CCSiMe119Sn NMRスペクトルである。 ベンゼン-d中の(NC(CHC)Sn(CCSiMe119Sn NMRスペクトルである。 2-ヨードプロピルスズトリス(tert-ブトキシド)(2IP)の119Sn NMRスペクトルである。 2IPのH NMRスペクトルである。 3-ヨードベンジルスズトリス(tert-ブトキシド)(IBT)の119Sn NMRスペクトルである。 IBTのH NMRスペクトルである。
モノヒドロカルビルスズ化合物を合成するためのより汎用的且つ効率的な技術が、有機アルカリ金属化合物と、ハロゲン化スズ(stannous halide)(SnX、Xはハライド(またはハロゲン化部、ハロゲン化部位、ハリド)である)と、(sp)炭素-スズ結合を持つスズへの配位子のためのR基に寄与する有機ハロゲン化物(または有機ハライドもしくは有機ハリド、organo halide)と、任意選択的な追加の金属化合物と、スズへの3つの加水分解性配位子に寄与するアミン又はアセチリド(NR'又は-C≡CR')と、が関与する反応に基づいて説明される。改良された合成は、モノヒドロカルビルスズ化合物の合成における中間体としての、アルカリ金属(及び/又は以下に規定するアルカリ土類金属若しくは疑似アルカリ土類金属)スズ組成物の推定される形成に基づくものであるが、様々な金属錫組成物は別の状況においても有用な中間体である場合がある。中間体である金属スズ組成物は、その後、有機ハロゲン化物と反応することで、R-SnL構造(RはC-Sn結合を形成し、Lは加水分解性配位子を表す)を形成する。金属スズ化合物は、溶液中で安定でありキャラクタリゼーションできることが分かっているものの、その単離はこれまで行うのが困難であった。これらの金属スズ組成物は、金属(アルカリ金属及び/又はアルカリ土類及び/又は疑似アルカリ土類)の置換によって、炭素スズ結合を形成するための便利な前駆体を、良好な収率及び多様な配位子に対する良好な特異性で提供する。これは、反応のエネルギー論によるものであると考えられる。これらの合成アプローチは、ひいては加水分解性配位子の置換によるトリアミド若しくはトリアセチリド又は配位子の加水分解によるオキソ/ヒドロキソ化合物のいずれかからの有機スズトリアルコキシド(トリオルガノオキシド)の合成へと拡張することができる。モノオルガノスズ化合物、すなわち加水分解に対して安定なC-Sn結合を有する化合物は、非常に低いポリオルガノ汚染で直接合成することができ、モノオルガノスズ化合物はパターニング用途の放射感受性組成物としてより望ましいことが分かっている。モノオルガノスズトリアミドは放射によりパターニング可能な組成物の前駆体として直接使用できる一方で、トリアルコキシドは放射によりパターニング可能なコーティングの溶液堆積又は蒸着のいずれかに特に有用な前駆体であることが分かっている。この合成技術は、他の公知の合成技術を使用すると実用的でないことがある、ヘテロ原子置換有機配位子、例えばハロゲン化配位子、及び例えばシアノ基やエーテル基などを含む官能化有機配位子(またはハロゲン化された官能化有機配位子)の組み込みをもたらすものである。この合成技術は、広範囲の有機配位子の効率的な形成に有効であることが見出され、放射を多く吸収するハロゲン化配位子、特にヨウ化配位子が記載され、例示される。これらの分類の化合物は、放射によりパターニング可能なコーティングの提供に優れている。
本明細書で使用される、この分野における使用法と概して一致する「モノアルキル」は、「アルキル」配位子を有する「モノオルガノ」又は「モノヒドロカルビル」と交換可能に使用することができ、これは、炭素でスズに結合して、水との接触によっては通常加水分解されないsp又はsp混成炭素を含むであろう結合を形成することを示唆する一方で、「アルキル」基は、スズとの結合に関与しない内部の不飽和結合、及びヘテロ原子、すなわち炭素及び水素とは異なる原子を有することができる。本明細書に記載の新規な合成方法は、モノヒドロカルビルスズトリアミド(トリヒドロカルビルアミド)及びモノヒドロカルビルスズトリアセチリド(トリヒドロカルビルアセチリド)を高収率で、且つ低(非スズ)金属及びポリアルキル(すなわちポリヒドロカルビル)汚染で生成する。この合成アプローチは、対応するコスト効率の高い製品での商業生産のための効率的なスケールアップに適している。本明細書に記載の改良された合成アプローチにより、スズへの及び/又はアミド若しくはアセチリド加水分解性配位子内での両方の結合のために、より多様な有機官能基をより効果的に採用することができる。目的化合物を形成するための反応種の使用は、吸熱反応を伴う。理論に拘束されることを望むものではないが、本明細書で選択される反応物は、反応を変化させ、場合によっては遅くすることで、発生した熱の放散を可能にして、及び/又は発生する熱の量を減少させて、より安定でないR-Sn結合の形成を可能にする、及び/又はより高い生成物収率を提供すると考えられる。この段落の最初の文で説明されている代替可能な用語は、本明細書全体を通じて持ち越されるが、一般的に使用される配位子種の範囲をより直接的に反映する用語の採用によって、更に明確になる可能性がある。したがって、スズに結合したsp又はsp炭素を有する配位子を表すためにヒドロカルビルという用語が採用されるものの、この基は必ずしも水素原子を有する必要はない。スズにsp炭素が結合したアセチリド配位子は、加水分解可能な結合を形成するため、これらは容易に区別することができる。
高性能の放射に基づくパターニング組成物におけるアルキル金属配位化合物の使用は、例えばMeyersらの「Organometallic Solution Based High Resolution Patterning Compositions」という表題の米国特許第9,310,684号明細書に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。パターニングのためのこれらの有機金属組成物の改良は、Meyersらの「Organometallic Solution Based High Resolution Patterning Compositions and Corresponding Methods」という表題の米国特許第10,642,153号明細書及びMeyersらの「Organotin Oxide Hydroxide Patterning Compositions,Precursors,and Patterning」という表題の米国特許第10,228,618号明細書(以下‘618特許という)に記載されており、これらは共に参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で合成される組成物は、例えば極端紫外線(EUV)、紫外線(UV)、電子ビームリソグラフィーにおける高解像度パターニングに有利なアルキルスズオキソ-ヒドロキソ組成物を形成するための有効な前駆体となり得る。アルキルスズ前駆体組成物は、適切な条件下で水又は他の適切な試薬により加水分解されてモノヒドロカルビルスズオキソ-ヒドロキソパターニング組成物を形成することができる基を含み、これは、完全に加水分解されると、式RSnO(1.5-(x/2))(OH)(0<x≦3)で表すことができる。堆積中及び/又は最初のコーティング形成後など、系内で加水分解を行ってオキソ-ヒドロキソ組成物を形成することが好都合な場合がある。本明細書に記載のトリアミド及びトリアセチリドは、パターニングのための放射感受性コーティングを形成するために加水分解条件下で使用することができるが、コーティングを形成するために更に中間体であるヒドロカルビルスズトリアルコキシド(トリヒドロカルビルオキシド)を形成することが望ましい場合がある。ヒドロカルビルスズトリアルコキシドを形成するための処理は本明細書に記載されている。加水分解性配位子を有する様々な前駆体化合物は、一般的に、プロセスを通じてR配位子をスズに持ち越し、この観点から合成される。
加水分解性配位子を有する前駆体に関し、加水分解性Sn-X基を有する組成物を変換できる代表的な加水分解及び縮合反応は、次の反応で示される:
RSnL+3HO→RSn(OH)+3HL、
RSn(OH)→RSnOx/2OH3-x+(x/2)H
加水分解生成物HLが十分に揮発性である場合、基板コーティングプロセス中に水蒸気を用いて系内で加水分解を行うことができるが、加水分解反応を溶液中で行ってアルキルスズオキソ-ヒドロキソ組成物を形成することもできる。これらの処理の選択肢は、‘618特許で更に説明されている。放射でパターニング可能なコーティングを形成するための全体の合成プロセスには、3つの加水分解性配位子との目的のR-Sn(C-Sn)結合の形成が含まれ、R配位子を維持しながら適切な状況下で加水分解性配位子を交換する可能性がある。
Rは炭素-スズ結合を形成し、スズに結合した炭素はsp又はsp混成であり、Rは炭素又は水素ではないヘテロ原子を含むことができる。上述したように、当該技術分野における便宜上及び一貫性のために、Rは、アルキル配位子、有機配位子、又はヒドロカルビル配位子(またはヒドロカルビル・リガンド)と交換可能に呼ぶことができる。いくつかの実施形態では、化合物が一般にRCSnO(2-(z/2)-(x/2))(OH)(式中、R、R、及びRは、独立して水素、又は1~10個の炭素原子を有するアルキル基である)として表すことができる一部のパターニング組成物のためには、アルキル配位子が望ましい場合がある。同様に、アルキル配位子Rのこの表現は、一般にRCSn(L)を有する他の実施形態にも同様に適用可能であり、Lは、アルコキシド(ヒドロカルビルオキシド)、アセチリド、又はアミド部位などの加水分解性配位子に対応する。いくつかの実施形態では、R及びRは、環状アルキル部位を形成することができ、Rは、環状部位において他の基と結合することもできる。適切な分岐アルキル配位子は、例えば、イソプロピル(R及びRはメチルであり、Rは水素である)、tert-ブチル(R、R、及びRはメチルである)、tert-アミル(R及びRはメチルであり、Rは-CHCHである)、sec-ブチル(またはセカンダリー・ブチル)(Rはメチルであり、Rは-CHCHであり、Rは水素である)、ネオペンチル(R及びRは水素であり、Rは-C(CHである)、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロブチル、及びシクロプロピルであってよい。適切な環状基の例としては、例えば、1-アダマンチル(三級炭素で金属に結合している(-C(CH(CH)(CH又はトリシクロ(3.3.1.13,7)デカン)、及び2-アダマンチル(二級炭素で金属に結合している(-CH(CH)(CH(CH)(CH)又はトリシクロ(3.3.1.13,7)デカン)が挙げられる。別の実施形態では、ヒドロカルビル基は、アリール又はアルケニル基、例えばベンジル又はアリル、又はアルキニル基を含み得る。別の実施形態では、ヒドロカルビル配位子Rは、CとHのみからなり且つ1~31個の炭素原子を含む任意の基を含み得る。まとめると、スズに結合した適切なアルキル基のいくつかの例としては、例えば、直鎖(もしくは直鎖状、linear)又は分岐(もしくは分岐状あるいは枝分かれ、branched)のアルキル(i-Pr((CHCH-)、t-Bu((CHC-)、Me(CH-)、n-Bu(CHCHCHCH-))、シクロ-アルキル(シクロ-プロピル、シクロ-ブチル、シクロ-ペンチル)、オレフィン(アルケニル、アリール、アリル)、若しくはアルキニル基、又はこれらの組み合わせが挙げられる。更なる実施形態では、適切なR基は、シアノ、チオ、シリル(及びゲルマニウム類似体)、エーテル、ケト、エステル、若しくはハロゲン化基(halogenated group)、又はそれらの組み合わせを含むヘテロ原子官能基で置換されたヒドロカルビル基を含み得る。当該技術分野で一般的なように、ヒドロカルビル基は、不飽和結合、アリール基、ヘテロ原子などを有することができるものの、アルキル基と呼ぶことができる。ハロゲン原子を有するR基は、以下で例示され、特定の構造に関してより詳しく説明される。シアノ基又はエーテル基を有するR基も以下で例示される。シリル部位を有するR基は、Jilekらの「Organotin Patterning Materials:Compositions and Methods」という表題の同時係属中の仮特許出願第63/210,769号明細書に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。重水素化部位を有するR基は、Jilekらの「Deuterated Organotin Compounds」という表題の同時係属中の米国仮特許出願第63/215,720号明細書に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
前駆体組成物は、共通のオキソ/ヒドロキソネットワークに組み込まれる有機スズオキソ/ヒドロキソコーティング組成物を形成するために使用することができる。前駆体組成物は、1種以上の可溶性有機スズオキソ/ヒドロキソ化合物、又は加水分解及び/若しくは縮合によりオキソ及び/若しくはヒドロキソ配位子を形成する加水分解性配位子を有する対応する化合物を含むことができる。複数の化合物を含む前駆体組成物については、化合物は、金属-炭素結合を有する別個の有機配位子、及び同じ又は別個の加水分解性配位子を有することができる。したがって、放射線感受性コーティングを形成するための前駆体組成物は、通常、Rが上述したような1~31個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、Lが加水分解可能なM-L結合を有する配位子である、RSnLによって表される1種以上の化合物及びそれらの混合物の溶液を含むことができる。本明細書に記載の組成物については、加水分解性配位子としてジアルキルアミド及びアルキルアセチリド(-C≡CR)が例示される。ジアルキルアミド及びアルキルアセチリドは、有機スズカルボキシレート、有機スズアルコキシド、有機スズ酸化物水酸化物などの他の有機スズ組成物を調製するために容易に置換及び/又は反応できる配位子として有用である場合があり、これらはその後の処理に有利な場合がある。有機スズカルボキシレートは、カルボン酸との反応により容易に形成することができる。有機スズアルコキシドの調製は以下の実施例で記載されており、有機スズ酸化物水酸化物の形成は以下でまとめられている。有機スズアルコキシドは、アルコキシ配位子(-OR)を含み、R基は、ヘテロ原子と不飽和炭素-炭素結合とを持つことができるように、Rについて上述した同じ部位のうちの1つとすることができる。特に、有機スズトリアルコキシド組成物は、式RSn(ORで表すことができる。同様に、有機スズトリジアルキルアミド組成物は、式RSn(NRで表すことができ、式中、R及びR基は、独立して、Rについて上述した同じ部位のうちの1つとすることができ、ヒドロカルビルスズトリアルキルアセチリドは、式RSn(C≡CRで表すことができる。R配位子と同様に、加水分解性配位子はアルキルアミド又はアルキルアセチリドを指し、これらについても厳密な有機化学の意味でのアルキル基に限定されないことが当該技術分野で認識されているが、有機基又はヒドロカルビル基として同等に表すことができる。しかし、これらの配位子については、用語が非常に早く更に扱いにくくなる可能性があるため、この表現は当該技術分野で一般的なように広く解釈されるべきであるという理解の下、加水分解性配位子についてはアルキルが維持され、加水分解性配位子におけるシリル誘導体が例示される。いくつかの実施形態では、R、R、Rは、独立して、直鎖又は分岐のアルキル(-C2n+1、nは1~5である)であることができる。
加水分解性配位子を有するモノヒドロカルビルスズ組成物は、一般に式RSn(L)で表すことができ、式中のRは、sp又はsp炭素を介して炭素-スズ結合を形成することとの関係で上で定義されており、Rに関する上記広い考察は、ここで詳細に繰り返されるとみなすことができる。加水分解性配位子に関し、Lは-OR'、NR'、又は-C≡CR'であることができる。通常、R'は、Rと同様に、隣接原子にsp又はsp炭素が結合した、Rについて上で説明した任意の種のいずれかであることができ、具体的には、不飽和炭素-炭素結合、芳香族部位、及びヘテロ原子を任意選択的に含んでいてもよい。ケイ素ヘテロ原子は以下で具体的に例示される。Rと同様に、用語「アルキル(alkyl)」又は「アルク(alk)」は、アルコキシの場合と同様に、ヘテロ原子を含まない飽和炭化水素への限定を意味することを意図していないため、代わりにヒドロカルビル又は有機基と呼ばれることがある。いくつかの実施形態では、R'は≦10個の炭素原子を含むことができ、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t-ブチル、イソブチル、又はt-アミルとすることができる。R基は、直鎖、分岐(すなわち金属に結合した炭素原子において二級又は三級)、又は環状の基であってよい。R'がケイ素原子を含む複数の実施形態は、以下で更に説明され、例示される。
式MSnL(式中、Mは1つ以上の(+1)又は(+2)金属イオンであり、Lは加水分解性配位子、特にジアルキルアミド又はアルキルアセチリドである)で表される中間体混合物を最初に合成するという共通の概念に基づく種々の合成の実施形態が本明細書に記載されている。通常、中間体は、約0.005M~約2M、更なる実施形態では約0.01M~約1.75M、別の実施形態では約1.5M~約0.025Mのスズ含有量に基づく濃度で形成される。当業者であれば、これらの明確な範囲内で更なる濃度範囲が想定され、それが本開示に含まれることを認識するであろう。この中間体は、RX(Xはハロゲン化原子(またはハライド原子、ハリド原子もしくはハロゲン化部原子)である)と反応してRSnLを形成し、これは必要に応じて更に使用することができる。いくつかの実施形態では、MはLiとすることができる。別の実施形態では、Mは、別のアルカリ金属、例えばNa、K、Rb、又はCsであってよい。いくつかの実施形態では、Mは、アルカリ金属と共に、例えばMg、Ca、Sr、又はBaなどのアルカリ土類金属を更に含むことができる。更なる実施形態では、Mは、アルカリ金属と共に、例えばZn、Cd、又はHgなどの疑似アルカリ土類イオンを更に含むことができる。いくつかの実施形態では、Mは、前述したアルカリ金属、アルカリ土類金属、又は擬似アルカリ土類金属のいずれかの混合物であってよい。Mの適切な選択は、例えば適切な収率と純度で目的のアルキル化(すなわちSn-C結合の形成)反応を進めることを可能にするMとSnとの間の電気陰性度の違いなど、熱力学的及び/又は速度論的要因によって決定することができる。適切なMの選択に影響を与え得るその他の要因は、反応物/生成物によって生じる危険性(例えば自然発火性、毒性)や反応物/生成物の物理的特性などの物理的な考慮事項である場合がある。いずれの場合であっても、リチウムの代わりに若しくはリチウムに加えて別のアルカリ金属イオンを使用することによって、又はリチウム若しくは他のアルカリ金属イオンに加えてアルカリ土類若しくは疑似アルカリ土類イオンを導入することによって、いくつかの状況では、より良好な収率及びより純粋な生成物を実現できることが見出された。中間体は安定であるものの(例えば析出物が形成されない)、反応性を有しておりその結果それらを単離することが困難なことから、中間体の構造は、利用可能な測定と合理的な代替手段の検討から推測される。したがって、より正確には、理想化された式MSnLは、Mが上述した1つ以上の金属を含むことができる複雑な中間体混合物であると理解することができる。
理論に拘束されることを望むものではないが、Mの適切な選択は、求核試薬であるMSnL中間体と求電子試薬であるRXとの間のアルキル化反応の反応性によって影響を受ける可能性があると考えられる。より反応性の高いR基、例えば低いC-Sn結合解離エネルギー及び/又は高い求電子性を有する基については、アルキル化反応から生じるエネルギーの放出がSn-C結合の分解に寄与し、不十分な生成物収率になると考えられる。したがって、求電子性ハロゲン化アルキル(または求電子性アルキルハライド、求電子性アルキルハリドもしくは求電子性アルキルハロゲン化物)が求核性MSnL中間体と反応する際に放出されるエネルギーを減らすために、Mがより高い電気陰性度(すなわち低い電気的陽性)の金属を含むことが望ましい場合がある。逆に、反応性の低いR基については、目的のRSn結合の収率を高めるために電気陰性度が低い(すなわち高い電気陽性)金属を選択することが望ましい場合がある。
合成アプローチは、ハロゲン化スズ(II)(SnClなどのSnX)、二級アミン又はアセチリド、アルキル金属(MR'')、及びハロゲン化アルキル(またはアルキルハライドもしくはアルキルハリド)(RX)を利用し、式中のR''及びRは有機基であり、Mはアルカリ金属(Li、Na、K、Rb、及び/又はCs)であり、Xはハライド(またはハロゲン化部、ハロゲン化部位、ハリド)である。二級アミンは式HNR'で表すことができ、アセチリドはR'C≡CHで表すことができ、式中のR'は有機基、すなわちヒドロカルビル基である。Mが非リチウムアルカリ金属である実施形態では、アルカリ金属をMORとして導入して、Mがアルカリ金属-スズ中間体に取り込まれるようにすることが便利且つより効率的な場合がある。Mは、加水分解性配位子の化学量論ではなく、スズのモル量に対応するより低い化学量論量で導入することができるため、LiR''がMR''に変換されるかどうかは判断されていない。それにもかかわらず、非リチウムアルカリ金属の導入は、そのような置換が反応の複雑さを増す可能性があり、追加の反応物を追加するとしても、より効率的な全体の反応及び改善された収率をもたらすことができる。合成の中間体は、Lが-NR'又は-C≡CR'であるMSnL組成物であると考えられる。このアルカリ金属スズ化合物は、他の化合物の合成にも有用な中間体である可能性がある。
アルカリ金属、通常はリチウム及び任意選択的な非リチウムアルカリ金属の使用に加えて、アルカリ土類金属イオン(Be、Mg、Ca、Sr、Ba)、又は疑似アルカリ土類金属イオン(Zn、Cd、Hg)、又はそれらの混合を配合することも有用な場合があり、一部の反応では、より高い収率及び/又はより高い純度での生成物の形成を促進することができる。これらの+2金属イオンは、Xがハライド(またはハロゲン化部、ハロゲン化部位、ハリド)であるハロゲン化物塩(またはハライド塩もしくはハリド塩)MXとして導入することができる。マグネシウムなどのアルカリ土類金属は、グリニャール試薬におけるような、アルキル配位子を含む求核配位子を有する組成物の平衡混合物を形成することが知られている。求核配位子に結合したリチウム化合物と混合すると、アルカリ土類金属はリチウム組成物と平衡組成物を形成すると見込まれる。疑似アルカリ土類金属とは、2族のアルカリ土類金属と同様の化学的性質を示す周期表の12族の金属(亜鉛、カドミウム、水銀)を指す。以下の合成反応では亜鉛が例示されている。Q(Sn(L及びLi(Q(Sn(L)(Qはアルカリ土類金属又は疑似アルカリ土類金属である)などの組成物が溶液中で形成されると考えられるが、正確な組成は直接評価されておらず、比較的複雑な平衡が存在し得る。理論によって限定されることを望むものではないが、アルカリ土類金属及び/又は疑似アルカリ土類金属を導入すると、反応の過程で放出されるエネルギーがSn-C結合の形成を促進するように反応経路及び/又は中間体を変更することによって、その後のスズ-炭素結合の形成が促進される。アルカリ土類又は疑似アルカリ土類金属は、化学量論量で添加してもしなくてもよいが、得られるMSnL中間体の望まれる求核性を提供するように選択することができる。
モノアルキルスズ組成物は、一般的に、以下のタイプの再分配反応によって生成するモノアルキルスズトリクロリドから調製することができる。
Sn+3SnX→4RSnX
SnX+SnX→2RSnX
(式中、Rはアルキル基であり、Xはハライド(またはハロゲン化部、ハロゲン化部位、ハリド)であり、一般的にはクロリド(chloride)である)。Langerらは、高温のジメチルスルホキシド(DMSO)中で(CHSnClとSnClが関与する再分配反応からのCHSnClの形成を報告した。(Tetrahedron Letters,1967,1,43-47;米国特許第3,454,610号明細書,1969、共に参照により本明細書に組み込まれる)。DMSOはモノアルキルスズ生成物との付加体を形成し、これは生成物の分離及び精製を支援する。
触媒を使用しない場合には調製が困難であるか不可能な場合があるモノアルキル誘導体を製造するために、触媒を使用することができる。五酸化リン及び塩酸との混合物における触媒としてのリン-ハロゲン化合物の使用は、例えば、Neumannの「Process for the production of alkyltin trihalides」という表題の米国特許第3,459,779号明細書に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。四ハロゲン化スズを用いたジアルキルスズジハライド又はテトラアルキルスズ組成物の再分配は、150℃を超える温度で四級アンモニウム塩によって触媒することもできる(T.G.Kugele及びD.H.Parkerの米国特許第3,867,198号明細書、「Catalyzed redistribution of alkyltin halides」、これは参照により本明細書に組み込まれる)。SnFは、再分配反応を触媒することが見出されている(Buschhoff及びNeumannの米国特許第4,604,475号明細書、「Method for making organotin halides」、これは参照により本明細書に組み込まれる)。Thoonenらは、「Process for the production of monoalkyl tin trihalides」という表題の米国特許第6,768,017号明細書(これは参照により本明細書に組み込まれる)において、再分配反応を触媒するための遷移金属の使用を記載している。
Boeleらは、「Process for the Preparation of Monoalkyl Tin Trihalides and Dialkyl Dihalides」という表題の米国特許第7,592,472号明細書(これは参照により本明細書に組み込まれる)において、アルケンと、二ハロゲン化スズと、ハロゲン化水素とを遷移金属触媒の存在下で反応させてモノアルキルスズトリハライドを生成することを記載している。Deelmanらは、「High Purity Monoalkyltin Compounds and Uses Thereof」という表題の米国特許第8,198,352号明細書(これは参照により本明細書に組み込まれる)において、モノアルキルスズトリクロリドの精製、及び塩化物をメルカプトアセテートで置換することによるそれらの誘導体組成物への変換を記載している。
モノアルキルスズ組成物を調製するために複数の方法が利用可能であるが、それらの適用可能性は、具体的なアルキル基へ実用面によって制限されることが多い。更に、報告されている反応は、低い生成物収率並びに複数のモノ及びポリアルキル生成物を生じさせる可能性もあり、目的化合物を単離するための後続の精製工程を伴う。生成物に触媒が残留すると、非常に低濃度の微量金属であることが求められる用途が損なわれる可能性もある。
Edsonらは、「Monoalkyl Tin Compounds with Low Polyalkyl Contamination,Their Compositions and Methods」という表題の米国特許出願公開第第2019/0315781A1号明細書(これは参照により本明細書に組み込まれる)において、モノヒドロカルビルスズトリアミド及びモノヒドロカルビルスズトリアルコキシドを合成するための改良された方法を記載している。トリアミドは、アルキル亜鉛又はアルキルマグネシウム試薬とスズテトラアミドとの間の置換反応によって調製される。生成物であるトリアミドを、その後分別蒸留により精製することで、ポラルキル(polalkyl)不純物が除去される。その後、トリアミドは、アミドと化学量論量のアルコールとの反応によって、トリアルコキシドに変換することができる。この研究では、最初の反応からポリアルキル不純物がほとんど生成されなかったが、不純物レベルを更に下げるために分別蒸留が使用された。
モノアルキルスズトリアミドの調製方法は、従来、スズテトラアミドを目的のトリアミドに変換するためにリチウム試薬を使用していた。例えば、t-ブチルトリス(ジエチルアミド)スズ、(t-BuSn(NEt)は、Haenssgen,D.;Puff,H.;Beckerman,N.J.Organomet.Chem.1985,293,191(これは参照により本明細書に組み込まれる)の方法に従ってリチウム試薬を用いて合成することができる。しかしながら、リチウム試薬を用いるこれらの方法は、モノアルキルとジアルキルのスズ生成物の混合物を生成する可能性がある。二級アルキル基を含むモノアルキルスズトリアミドを調製するための報告された方法では、モノ、ジ、及びトリアキルスズ生成物が多く含まれる混合物が生成する。
本明細書に記載の方法は、蒸留前のポリアルキル濃度が低いモノアルキルスズトリアミド及びモノアルキルスズトリアセチリドの合成に焦点を当てている。この方法は、当該技術分野で知られている他の方法では純粋な形態で容易に調製できないヒドロカルビル基を含むモノアルキルスズ生成物を合成するためにも適用することができる。本合成反応において、ヒドロカルビル配位子は、有機ハロゲン化物反応物(または有機ハロゲン化物リアクタントもしくは有機ハライド・リアクタント、organohalide reactant)から生成される。有機ハロゲン化物反応物は、配位子を供給するために広範囲の化合物を容易に入手することができる。他の合成技術は、様々なヒドロカルビル配位子の範囲の合成に広く適用可能である場合があるものの、配位子を導入するための反応物の組成、並びに収率、反応時間、適切な溶媒の選択、及び潜在的な他の実用上の制約に関して、実用上の制約が存在することがある。アルカリ金属スズ化合物の合成は、他の状況でも有用な場合がある有効な中間体を提供する。
改良されたEUVパターニング組成物の設計に関し、パターニングプロセスの効率を改善するために、ヨウ素などの高いEUV吸収を持つ原子を含むようにヒドロカルビル配位子を調整することが有利な場合がある。本明細書に記載の方法において、有機ハロゲン化物である反応物(または有機ハロゲン化物反応物・リアクタント、オルガノハライド反応物・リアクタント、オルガノハリド反応物・リアクタント、organohalide reactant)は、式RXで表されるヨウ化有機ハライド(またはヨウ化有機ハロゲン化物、ヨウ化オルガノハライドもしくはヨウ化オルガノハリド、iodinated organohalide)であってよく、式中、Rは、1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビル基(アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール)であり、その中の少なくとも1個の水素原子はヨウ素原子で置換されている。Xは、ヨージド(または沃化物化部・部位、iodide)、クロリド(または塩化物化部・部位、chloride)、及びブロミド(または臭化物化部・部位、bromide)などのハライド(またはハロゲン化部、ハロゲン化部位、ハリド)である。いくつかの実施形態では、ヨウ素化された基の代わりに他のハライド基(またはハロゲン化部基、ハロゲン化部位基もしくはハリド基、halide group)を同様に導入することができ、そのためRはヨウ素を置き換えるための他のハライド(またはハロゲン化部、ハロゲン化部位、ハリド)を有するとみなすこともできる。通常、反応物(またはリアクタント)は複数のハロゲン化原子(またはハライド原子、ハリド原子もしくはハロゲン化部原子、halide atoms)を備えている。これは、1つが求核置換により置換されてスズ-炭素結合を形成する一方で、他のハライドはその後ハロゲン化配位子に残るためである。ハライドが等価でない場合、ハライドに直接結合しているC原子は、ハライドが何であるかに応じて異なる求電子性を有する。そのため、そのような場合には、適切なハライドが目的の炭素上にあることを確認することによって、正しい生成物に反応を導くことが可能である。通常、ハライドが小さいほどCはより求電子性になるが、他の考慮事項が常に存在する。通常、反応は、より求電子的な炭素に付加するように高度に選択的であることができる。
は、必要に応じて、N、O、P、S、又は他のハロゲン化原子(またはハライド原子、ハリド原子もしくはハロゲン化部原子)などの他のヘテロ原子置換も有することができる。ヨウ化有機ハライド反応物(iodinated organohalide reactant)の非限定的な例としては、2,2-ジヨードプロパン及び3-ヨードベンジルブロミドが挙げられる。考えられる他のヨウ化有機ハライド反応物(またはヨウ化有機ハロゲン化物リアクタント、ヨウ化オルガノハライドリアクタントもしくはヨウ化オルガノハリドリアクタント、iodinated organohalide reactant)は、ヒドロカルビル基に2個又は3個又はそれ以上のヨウ素原子を有する。十分(または完全)にヨウ素化されたハロゲン化アリール(fully iodinated aryl halide)も考えられる。ヨウ化有機ハライド反応物は、ヨウ化ヒドロカルビル配位子を含むモノアルキルスズトリアミド及びアセチリド生成物を合成するために利用することができる。ヨウ化ヒドロカルビルスズトリアルコキシドは、本明細書の非ヨウ化ヒドロカルビルスズトリアルコキシドについて記載した通りに更に形成することができる。本開示の目的のためには、RX又はRSnL化合物が関与する反応は、RX又はRSnL化合物と交換可能であると解釈される。いくつかの望ましい実施形態では、ハロゲン化配位子(halogenated ligand)は、式RXC-で表される構造を有し、式中、R及びRは、独立して、Hであるか、又はRとR'の両方がHではないことを条件として、上のRの広い定義と一致する任意の他の有機部位であり、Xは、ハライド(またはハロゲン化部、ハロゲン化部位、ハリド)、F、Cl、Br、又はIである。したがって、これらの化合物では、ハロゲン原子はスズ結合を形成する炭素に直接結合している。合成の完了後、任意選択的な加水分解及び/又は縮合を伴う生成物である化合物は、式RXCSnZで表すことができ、ZはLであり、Lは加水分解性配位子又はO(OH)3-xであり、0<x<3である。別の望ましい実施形態では、ハロゲン化配位子は、式ARC-によって表され、式中、Aは、少なくとも1つのハロゲン置換(またはハロゲン置換部もしくはハロゲン置換基)を有する芳香環であり、R及びRは、独立して、Hであるか、上のRの広い定義と一致する任意の他の有機部位である。Aは、CX、C、C、又は他の任意の妥当な芳香環であることができ、Xは、ハライド(またはハロゲン化部、ハロゲン化部位、ハリド)、F、Cl、Br、又はIである。合成の完了後、任意選択的な加水分解及び/又は縮合を伴う生成物である化合物は、式ARCSnZで表すことができ、式中のZはLであり、Lは加水分解性配位子又はO(OH)3-xであり、0<x<3である。特に、ヨウ素はEUV吸収が大きい。他のハロゲンのEUV吸収はあまり顕著ではないものの、水素のEUV吸収はわずかであるため、これらは依然として水素を置き換えるのに有利な場合がある。
例示された前駆体化合物は、シアノ(ニトリルとも呼ばれる)基又はエーテル基を有するR基も含む。シアノ化合物は、式R'R''(N≡C)CSnZを有することができ、式中、R'及びR''は、独立して、1~15個の炭素原子と、任意選択的な不飽和炭素-炭素結合と、任意選択的な芳香族基と、任意選択的なヘテロ原子とを有するヒドロカルビル基であり、ZはLであり、Lは、加水分解性配位子、又はO(OH)3-x(0<x<3)である。いくつかの実施形態では、R'及びR''は、R'が直鎖又は分岐のアルキル(-C2n+1、nは1~5)である場合である。エーテル基を有する化合物は、式を有することができる。
全体の合成は全体で2ステップとみなすことができるものの、より一般的には、本合成は多段階プロセスと見なすことができる。ただし、中間体は通常単離及び精製されないという点で、ステップ数は主観的な場合がある。理論によって限定されることを望むものではないが、概念的には、全体の合成プロセスが2つのステップを含むと考えることが有用な場合があり、最初のステップは3つのアミド/アセチリド配位子と金属-スズ結合(金属はアルカリ金属及び/又はアルカリ土類/疑似アルカリ土類金属である)とを有する4配位スズの形成を含み、これはイオン性と共有結合の両方の特徴を有し得るが、その概念は構造の理論によっては限定されない。第2のステップでは、金属-スズ相互作用が、sp又はsp炭素-スズ結合を含むスズへのヒドロカルビル配位子に置き換えられる。全体の反応は、スズ(II)からスズ(IV)への酸化と、対応する2つのハライド配位子(またはハリド配位子)の3つのアミド/アセチリド配位子及び炭素-スズ結合への交換を含む。金属スズトリアミド/アセチリドを形成する最初のステップは、通常、具体的な出発物質に応じて概念的に複数のステップに分けることができる。
例示されるように、モノヒドロカルビルスズトリアミド及びモノヒドロカルビルスズトリアセチリドは、以下の全体の反応によって調製することができる:
3HNR'+3MR''(+M'Z)+SnX+RX→RSn(NR'+副生成物、又は
3R'CCH+3MR''(+M'Z)+SnX+RX→RSn(CCR')+副生成物。(1)
これらの反応では、Mは通常リチウムであるが、リチウムは他のアルカリ金属、すなわちナトリウム、カリウム、ルビジウム、及びセシウムで置き換えることができる。括弧内のM'Zは、任意選択的な反応物M''OR''又はM'''Xを表し、M''はアルカリ金属イオン、OR''は不活性な(またはパッシブ若しくは受動的な、passive)ままのアルコキシド、M'''はハライド(またはハロゲン化部、ハロゲン化部位、ハリド)として供されるアルカリ土類/疑似アルカリ土類金属であり、Xはハライド・イオン(またはハロゲン化イオン、ハリド・イオンもしくはハロゲン化部イオン)である。一部の目的生成物の実用上の観点からは、反応の最初のステップにアルカリ金属アルコキシド(MOR)を添加すると、反応は、より優れた反応収率及び反応速度を実現する。加えて、そのような処理では、望ましい反応物がより容易に得やすい。それにもかかわらず、一部の有機配位子については、非リチウムアルカリ金属化合物を導入することでより優れた収率を得ることができる。したがって、カリウムを含む更なる例示的な実施形態は、以下の全体の反応を有する:
3HNR'+3LiR''+KOR+SnX+RX→RSn(NR'+副生成物、又は
3R'CCH+3LiR''+KOR+SnX+RX→RSn(CCR')+副生成物(2)
これらの式で表される反応では、カリウム(K)を他の非Liアルカリ金属イオンに置き換えることができる。実施例7には、反応(2)に従う反応による、式(CHICSn(N(CHで表されるヨウ化アルキルスズトリアミドの合成が記載されている。この合成には、n-ブチルリチウムとカリウムtert-ブトキシドの両方、及びヨウ化アルキルハライド(またはヨウ化アルキルハロゲン化物もしくはヨウ化アルキルハリド)が含まれる。実施例8には、反応(2)に従う反応による、(CI)CHSn(CCSi(CH)によって表されるヨウ化アリールスズトリアセチリドの合成が記載されている。合成には、n-ブチルリチウムとカリウムtert-ブトキシドの両方、及びヨウ化アリールハライド(またはヨウ化アリールハロゲン化物もしくはヨウ化アリールハリド)が含まれる。反応(1)及び(2)において、Xはハライド(またはハロゲン化部、ハロゲン化部位、ハリド)であり、R''は通常≦10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である。R''は、副生成物、通常はHR''に組み込まれるため、これが何であるかは一般的には特に限定されず、或いは重要ではなく、一般的な入手可能性、低コスト、副生成物の除去し易さ、及び良好な反応性のために選択することができる。R'基は、生成物である組成物の対応する配位子の置換基を提供する。式(2)において、カリウムは、この反応におけるリチウムの状況であるアミド配位子の導入のための化学量論量ではなく、カリウムスズ組成物の形成のためのスズに対する化学量論量で導入することができる。追加の又は代替の実施形態では、KORは、ZnClなどのM''Xで置換又は補足することができ、ここでのM''はアルカリ土類金属イオン又は疑似アルカリ土類金属イオンである。
いくつかの実施形態では、Edsonらの「Monoalykyl Tin Compounds with Low Polyalkyl Contamination, Their Compositions and Methods」という表題の米国特許出願公開第2019/0315781号明細書(以下‘781出願、これは参照により本明細書に組み込まれる)において記載されているように、トリス(2-アミノエチル)アミン(TREN)などの適切な添加剤の存在下で上記の反応を行うことが有益な場合がある。そのような添加剤は、生成物の純度の改善、反応工程の活性化エネルギーの低減、反応工程の触媒などを行うことができる。上記反応は、適切な反応物及び生成物の溶媒和、毒性、可燃性などの様々な特性のために選択された適切な溶媒中で行うことができる。改善された感光性組成物の調製後、必要に応じて、組成物を更に精製することができる。いくつかの実施形態では、‘781出願に記載されているような分別蒸留法を効果的に使用することができる。
RX有機ハライド化合物(またはRX有機ハリド化合物、RXハロゲン化有機化合物、RX organohalide compound)は、モノ有機スズ生成物に望ましい有機配位子を提供するように選択される。反応物としてのRX化合物の幅広い利用可能性、及び対応する反応における化合物の幅広い反応性のため、実用的な収率及び合理的な反応時間で多様な有機配位子を生成物であるモノオルガノスズ生成物に導入する能力が提供される。汎用性は、例示された生成物によってある程度実証されている。
以降で更に説明するように、全体の反応は、2つ以上の連続した反応の結果とみなすことができるものの、通常中間体の単離又は精製は行われない。最初の反応は、リチウムアミド又はリチウムアセチリドなどのアルカリ金属アミド又はアルカリ金属アセチリドの合成を含む。リチウムアミド及びリチウムアセチリドは既知の化合物であり、一部は何らかの形態で市販されている場合があるが、これらの化合物は反応性が高く、自然発火性であるため、全体の反応の一部として系内で合成することが都合がよくまた有利である。非リチウムアルカリ金属アミド又は非リチウムアルカリ金属アセチリドに関しても同様に合成することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、非リチウムアルカリ金属は、アミド/アセチリド配位子に対応するこの量の3倍ではなく、スズと同様の化学量論量で導入することができる。非リチウム金属イオンは、他のアルカリ金属前駆体化合物よりも容易に入手可能なアルカリ金属アルコキシド化合物、及び/又はアルカリ土類/疑似アルカリ土類二ハライド(もしくはアルカリ土類/疑似アルカリ土類二ハロゲン化物、alkaline earth/pseudo-alkaline earth dihalide(s))としてより好都合に供給することができる。二塩化スズなどの二ハロゲン化スズ(tin dihalide(s))は、アルカリ金属アミドと反応して、アルカリ金属スズトリアミド又はアルカリ金属スズトリアセチリドを形成する。
現在のところ、アルカリ金属スズトリアミド又はアルカリ金属スズトリアセチリドの単離は達成されていない。改善された合成技術は、中間体が正確に何であるかに左右されるものではなく、本明細書における一般的な議論は、出発物質全体と、単離及びキャラクタリゼーションが可能な最終生成物に焦点を当てている。とはいうものの、中間体が何であるかの推定は、存在する種から導かれる強い仮定に基づいている。使用される特定の溶媒中では、金属イオンが十分に溶媒和されるとは見込まれない。しかしながら、組成物は溶液のままであるため、大きなクラスターの形成やゲル化は観察されない。理論によって制限されることを望むものではないが、有機金属試薬、例えばアルキルリチウム、アルキルマグネシウム(グリニャール試薬)、及びカリウムtert-ブトキシドは、金属-金属結合を有する四量体、六量体、及びキュバンなどのクラスターを形成することが知られており、したがって、これまでキャラクタリゼーションが困難であった、おそらく複雑な平衡混合物として溶液中で同様の種が形成されるということが妥当であろう。その場合、既知の種の相対的な安定性は、どの中間種が存在すると予想できるかを示唆するものの、反応への基本的な化学的関与を理解するために厳密な構造のキャラクタリゼーションは必要ない。種の反応性は、溶媒を除去することで種を単離することができないことと矛盾しないであろう。
全体の反応を上に示したが、これらの反応は複数のステップで実行される。反応物の1つは二塩化スズなどの二ハロゲン化スズであるため、溶媒選択の考慮事項には、二ハロゲン化スズの適切な溶解性が含まれる。ジヒドロカルビルアミン及びモノアルキルリチウム(又は一般にモノアルキルアルカリ金属)などの他の初期反応物は、異なる溶媒に溶解することができる。反応は、通常、窒素パージ雰囲気などの無酸素又は欠乏雰囲気(depleted atmosphere)で乾燥有機溶媒中で行われる。溶媒は、様々な成分の溶解性をもたらすように選択することができる。溶媒と金属イオンとの相互作用のため、溶媒の選択は、選択された溶媒中での反応速度に少なくとも部分的に基づくことができ、これは経験的に評価することができる。異なる溶媒が選択される場合、それらは通常混和性である。エーテル(例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、及びそれらの混合物などとして挙げられる非プロトン性極性溶媒(または非プロトン性(aprotic)の極性溶媒もしくは極性有機溶媒)が一般的に有用である。溶媒は、通常、反応物、中間体、及び生成物に対して不活性であるように選択する必要がある。例えば別個の反応物を導入するために複数の溶媒が使用される場合、溶媒は通常互いに混和性である必要がある。最初の反応は、MSnL中間体の合成と考えることができ、式中のLは、ジアルキルアミド(ジヒドロカルビルアミド)又はアルキルアセチリド(ヒドロカルビルアセチリド)であるが、具体的な構造は確認されていない。反応物及び反応条件から、証拠はスズ-配位子結合の形成を示唆しているため、SnL部位が存在する可能性が高く、金属カチオンは安定化のためにスズ部位を伴う可能性が高いようであるものの、具体的な構造は複雑な平衡混合物に存在する可能性がある。この最初の反応は、必要に応じて、金属配位子組成物(ML)の形成を目的とする最初の部分反応と、SnCl又は他の二ハロゲン化スズとの後続の部分反応とを含む2つの別個の反応とみなすことができる。詳しく記載されるように、Mは、アルカリ金属、並びにアルカリ土類金属及び/又は疑似アルカリ土類金属であってよい。通常、最初の反応では、溶液は、通常10℃未満、いくつかの実施形態では0℃に冷却され、これは氷浴の使用に便利な温度である場合がある。ただし、非水溶液の場合はこの温度について特別なことはない。冷却により、適度な反応速度を維持しながらも、反応を望まれる通りに制御することができる。最初の部分反応は、実用的である限り行うことができ、特に限定されない。最初の部分反応は、少なくとも約30秒間、別の実施形態では少なくとも約2分間、いくつかの実施形態では1分から5時間、いくつかの実施形態では約2分から約3時間継続させることができる。いくつかの実施形態では、2つの部分反応を組み合わせて本質的に単一の反応として進行させることができ、これは最初の部分反応について事実上ゼロ時間であるか、又は最初の部分反応について短時間である。非リチウムアルカリ金属アルコキシド及び/又はアルカリ土類(又は疑似アルカリ土類)ジハライドが反応物として導入される場合、この化合物は、概念的には、最初の部分反応又は2番目の部分反応の一部として、或いは場合によっては最初の部分反応と2番目の部分反応との間の3番目の部分反応の観点から添加することができる。当業者であれば、上記明示的な範囲内の時間及び温度の追加の範囲が想定され、それが本開示の範囲内であることを認識するであろう。
通常、アルキルリチウム反応物及びアミン/アセチレン反応物はおおよそ化学量論量であるが、通常、少しから中程度までの過剰量でアミン/アセチレン反応物が使用され、例えば約1モルパーセント(mol%)から約50mol%のアミン/アセチレン反応物を使用することができる。非リチウムアルキルアルカリ金属化合物が使用される場合、同様の化学量論量又は配位子前駆体(ジアルキルアミン又はアルキルアセチレン)を使用することができる。通常、各スズに3つの配位子を付加させるために、Snのモル量に対して3:1の比率でMLの組成を有することが望ましい。アルキルリチウムと共に非リチウム金属アルコキシアルカリ金属化合物が使用される場合、アルキルリチウムは、アミン/アセチレン反応物のモル当量に基づく量を有することができる一方で、非アルカリ金属化合物は、添加されるスズ化合物に等しいモル量を有することができるが、追加の量のMLが形成されない限り、必要に応じてより多くの量の金属(アルカリ金属又はアルカリ土類金属又は疑似アルカリ土類金属)を使用することができる。対応する実施形態では、各スズ原子に対して3つの配位子スズ結合を形成するために、ML配位子に寄与する反応物についてのおおよそのモル当量(1:3)でスズ反応物を添加することができる。1、2、又は4つの配位子を持つスズ生成物由来の汚染物質が少ないことは、ML反応物に対するスズのモル比を制御することの有効性を裏付けている。反応物溶液中の金属濃度は、通常約0.025M~約2Mであり、更なる実施形態では、約0.5~約1.5Mである。当業者であれば、上記明示的な範囲内の濃度範囲及び許容される化学量論比が想定され、それらが本開示の範囲内であることを認識するであろう。
2番目の反応は、スズに結合した有機配位子の形成と共に、炭素-スズ結合の導入を含む。炭素-スズ結合は概念的には金属-スズ結合から置き換わるものであり、金属はアルカリ金属、アルカリ土類金属、及び/又は疑似アルカリ土類金属である。スズに結合する有機配位子は、有機ハライド(または有機ハロゲン化物もしくは有機ハリド、organohalide)RXとの反応から生じる。通常、炭素-スズ結合を形成するために少なくともほぼ化学量論量の有機ハライドが導入されるが、過剰の有機ハライドを導入することもできる。いくつかの実施形態では、最大3倍モル過剰の有機ハライドを反応に使用することができ、更なる実施形態では、Snのモル数に対して約1~約2モル当量のRXを使用することができる。溶媒は、最初の反応で使用したものと同じであるか、又は同じ利用可能な溶媒及びそれらの混合物から選択することができる。最初の反応の生成物は、通常、2番目の反応を行う前に精製されないが、都合がよい場合には副生成物を除去することもできる。金属濃度は、概して最初の反応ステップの濃度と同様であるが、希釈のため通常わずかに小さくなる。反応の発熱性を考慮するために、2番目の反応は、必ずしも必要ではないものの、通常約0℃、より一般的には約-78.5℃~約10℃などの低温で開始することができるが、いくつかの実施形態では、反応物は室温で混合することができる。2番目の反応のための反応物を混合した後、反応は、同じ温度で継続させることができ、或いは約20℃~約50℃の温度又は室温(20~24℃)まで徐々に温めることができる。反応は、少なくとも約15分間、いくつかの実施形態では約15分から約24時間、いくつかの実施形態では約30分から約15時間行うことができるが、必要に応じてより長い反応時間を使用することができる。当業者であれば、2番目の反応について上に示した濃度、モル比、温度、及び時間の追加の範囲が想定され、それが本開示の範囲内であることを認識するであろう。
本明細書に記載の反応は発熱性であるため、反応物の量、反応温度、試薬添加時間、反応時間などの合成の様々なパラメータを変更することが有益である場合がある。このような考慮事項は当業者に公知である。反応を分析し、適切なプロセス条件を実施者に知らせるための有用な分析技術は、反応熱量測定である。熱量測定データは、所定の反応に有用な熱力学的変数を提供することができる。特に、目的の反応についてのスケール依存変数(例えばエンタルピーの熱)を測定することができ、これはより大きなスケールで反応を適切に実施するために使用することができる。このようにして、異なるスケールの反応について、プロセス変数を適切に制御することができる。反応熱量測定データは、以下の実施例の一部に含まれている。以下の実施例のガイダンスと共に上で示されたガイドライン内で、当業者であれば、望みの結果を得るために、特定の反応の具体的なパラメータを調整できることを認識するであろう。当業者は、広範囲の生成物の組成についてのこれらの教示に基づいて、日常的な実験を使用して最適化を行うことができる。例示された反応では、生成物組成物についての良好な収率及び高い特異性が得られる。
生成物が形成された後、有機スズトリ(ジヒドロカルビルアミド/ヒドロカルビルアセチリド)を精製することができる。精製は、生成物の性質によって異なるものの、一般的には、副生成物及び可能性のあるあらゆる未反応の試薬から目的生成物を分離することを含む。精製は、通常、当該技術分野で知られている方法によって行うことができる。精製の典型的な手段は、濾過、再結晶、抽出、蒸留、それらの組み合わせなどを含むことができる。濾過は、目的の生成物を含有する溶液から、不溶性の汚染物質及び/又は副生成物、例えばLiClなどの金属ハロゲン化物塩(または金属ハライド塩もしくは金属ハリド塩、metal halide salt)を除去するために、典型的には粗生成物混合物に対して行われる。再結晶法は、加熱により飽和溶液を形成し、その後放冷することによって、固体化合物を精製するのに有用な場合がある。抽出技術は、例えば、異なる密度を有する2つの非混和性溶媒を使用して、それらの相対的溶解性に基づいて目的の化合物を分離する、液-液抽出を含むことができる。精製は、溶媒を含むあらゆる揮発性化合物の、乾燥又は真空への暴露による生成物混合物からの除去も含み得る。蒸気圧が高い生成物については、真空蒸留、又は必要に応じて高純度を実現するように設計された分別蒸留によって生成物を精製することが望ましい場合がある。Clarkらの「Monoalkyl Tin Trialkoxides and/or Monoalkyl Tin Triamides With Low Metal Contamination and/or Particulate Contamination and Corresponding Methods」という表題の米国特許出願公開第2020/0241413号明細書(これは参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。有機スズトリアルコキシドなどの誘導体を形成するために生成物を反応させることもでき、これは上の技術及び当該技術分野で知られている他の手段によって更に精製することができる。
本明細書に記載の有機スズ前駆体組成物は、放射パターニング、特にEUVパターニングに効果的に使用することができる。配位子選択のより大きな柔軟性を有する能力のため、特定の用途に特に有効であるように配位子を設計できるのみならず、パターニング結果を更に改善することもできる。一般に、前駆体溶液を基板に供給するために、任意の適切なコーティングプロセスを使用することができる。適切なコーティング手法としては、例えば、スピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、ナイフエッジコーティングなどの溶液堆積技術、インクジェット印刷やスクリーン印刷などの印刷等を挙げることができる。前駆体の多くは、上で挙げた‘618特許で説明されているように、基板上への蒸着にも適している。一部のR配位子組成及び/又は具体的なプロセスの検討では、蒸着は放射感受性コーティングの調製に有用な場合がある。
溶液堆積パターニング組成物で使用するためには、生成物を有機スズトリアルコキシドに変換することが望ましい場合がある。この反応は、通常、蒸留で精製した後に対応するアルコールと反応させることにより行われる。追加の溶媒は、使用されても使用されなくてもよい。反応をよりよく制御するために、反応を最初に氷浴温度などまで冷却し、次いで室温まで加温して(又は室温まで放置して温めて若しくは放置して室温に至るまで加温して、allowed to warm to room temperature)よい。生成物である有機スズトリアルコキシドは、通常、蒸留によって精製することができるオイルである。これらのステップは、以下の実施例で概説される。コーティング前駆体を形成するために前駆体組成物をトリアルコキシドに変換する必要はないものの、有機スズトリアルコキシドは、加水分解及びコーティング形成の後に例えばアルコールなどの害のない揮発性生成物を生成するため、堆積に都合がよい前駆体となり得る。
目的の有機スズ前駆体を調製した後、前駆体を適切な溶媒に溶解することで、有機溶媒、例えば、アルコール、芳香族及び脂肪族炭化水素、エステル、又はそれらの組み合わせなどの前駆体溶液を調製することができる。特に、適切な溶媒としては、例えば、芳香族化合物(例えばキシレン、トルエン)、エーテル(アニソール、テトラヒドロフラン)、エステル(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、乳酸エチル)、アルコール(例えば4-メチル-2-ペンタノール、1-ブタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、1-プロパノール)、ケトン(例えばメチルエチルケトン)、それらの混合物などが挙げられる。通常、有機溶媒の選択は、溶解性パラメータ、揮発性、可燃性、毒性、粘度、及び他の処理材料との潜在的な化学的相互作用の影響を受ける場合がある。溶液の成分を溶解して混合した後、部分的な系内加水分解、水和、及び/又は縮合の結果として、種の特徴が変化する可能性がある。
有機スズ前駆体は、処理に適切な厚さのコーティングを形成するのに適した濃度のSnを与える濃度で溶媒に溶解することができる。前駆体溶液中の種の濃度は、溶液の望まれる物理的特性を実現するように選択することができる。特に、全体の濃度が低いと、妥当なコーティングパラメータを使用してより薄いコーティングを実現できるスピンコーティングなどの特定のコーティング手法のための溶液の望ましい特性を得ることができる。超微細パターニングを実現し、材料コストを削減するために、より薄いコーティングを使用することが望ましい場合がある。通常、濃度は、選択されたコーティング手法に適切であるように選択することができる。コーティング特性については以下で更に説明する。通常、スズの濃度は、約0.005M~約1.4M、更なる実施形態では約0.02M~約1.2M、追加の実施形態では約0.1M~約1.0Mに含まれる。当業者であれば、上記の明示範囲内の追加のスズ濃度範囲が想定され、それが本開示内であることを認識するであろう。
いくつかの実施形態では、改良された感光性前駆体組成物は、RSnX4-n及びその加水分解物などの1種以上の有機スズ組成物と共にブレンド溶液中に存在することができ、Rは、本明細書に詳細に記載されており上で明示的に詳述された様々な部位から選択される。このようなブレンドされた溶液は、溶液安定性、コーティングの均一性、及びパターニング性能などの様々な性能の考慮事項を最適化するために調整することができる。いくつかの実施形態では、改良された感光性組成物は、ブレンドされた溶液中の目的成分の少なくとも1モル%のSn、更なる実施形態ではブレンドされた溶液の少なくとも10モル%のSn、更なる実施形態ではブレンドされた溶液の少なくとも20モル%のSn、更なる実施形態ではブレンドされた溶液の特定の目的成分の少なくとも50モル%のSnを含むことができる。ブレンドされた溶液の明確な範囲内の改良された感光性組成物のモル%の更なる範囲が想定され、それは本開示の範囲内である。
全体的に蒸気圧が高いため、本明細書に記載の有機スズ組成物は、蒸着によってコーティングを形成するための前駆体として有用な場合がある。蒸着法には、通常、化学気相成長(CVD)、物理気相成長(PVD)、原子層堆積(ALD)、及びそれらの改良形態が含まれる。典型的な蒸着プロセスでは、有機スズ組成物は、HO、O、H、O、CHOH、HCOOH、CHCOOHなど(またはその類)の小分子気相試薬と反応することができ、これらは、放射感受性の有機スズ酸化物及び酸化物水酸化物コーティングの製造のためのO及びHの供給源として機能する。放射でパターニング可能な有機スズコーティングの蒸着については、Wuらの「Methods for Making EUV Patternable Hard Masks」という表題の国際特許出願第PCT/US2019/031618号明細書に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。放射感受性有機スズコーティングの製造は、通常、揮発性有機スズ前駆体RSnLを小さな気相分子と反応させることによって達成することができる。反応は、Sn-C結合を実質的に無傷のままにしながら加水分解性配位子を加水分解するための有機スズ前駆体の加水分解/縮合を含むことができる。
放射に基づくパターニングのための代表的なプロセス、例えば極端紫外線(EUV)リソグラフィープロセスの概要に関し、フォトレジスト材料は、基板上に薄膜として堆積又はコーティングされ、露光前ベークされ、潜像を形成するための放射パターンで露光され、露光後ベークされ、その後液体(典型的には有機溶媒)で現像されることでレジストの現像されたパターンを生成する。必要に応じてより少ないステップを使用することができ、また残留物を除去してパターンの忠実度を改善するために追加のステップを使用することができる。
放射でパターニング可能なコーティングの厚さは、望まれるプロセスに依存し得る。単一パターニングEUVリソグラフィーで使用される場合、コーティングの厚さは、通常、欠陥が少なくパターニングの再現性があるパターンが得られるように選択される。いくつかの実施形態では、適切なコーティングの厚さは、0.1nm~100nm、更なる実施形態では約1nm~50nm、更なる実施形態では約2nm~25nmとすることができる。当業者であれば、コーティング厚さの追加の範囲が想定され、それが本開示の範囲内であることを理解するであろう。
蒸着技術によって作製される放射によりパターニング可能なコーティングのコーティング厚さは、一般に、反応時間又はプロセスのサイクルを適切に選択することによって制御することができる。放射によりパターニング可能なコーティングの厚さは、望まれるプロセスに依存し得る。単一パターニングEUVリソグラフィーにおける使用では、コーティングの厚さは、通常、欠陥率が低くパターニングの再現性が高いパターンが得られるように選択される。いくつかの実施形態では、適切なコーティングの厚さは、0.1nm~100nm、更なる実施形態では約1nm~50nm、更なる実施形態では約2nm~25nmとすることができる。当業者であれば、コーティング厚さの更なる範囲が想定され、それが本開示の範囲内であることを理解するであろう。
基板は、一般に、コーティング材料を上に堆積させることができる表面を示し、その表面が最上層に関連する複数の層を含み得る。基板は特に限定されず、シリコン、シリカ、セラミックなどの他の無機材料、及びポリマー系材料などの任意の適切な材料を含むことができる。
放射でパターニング可能なコーティングを堆積及び形成した後、放射に暴露する前に更に処理を行うことができる。いくつかの実施形態では、コーティングは、30℃~300℃、更なる実施形態では50℃~200℃、更なる実施形態では80℃~150℃で加熱することができる。加熱は、いくつかの実施形態では約10秒~約10分間、更なる実施形態では約30秒~約5分間、更なる実施形態では約45秒~約2分間行うことができる。上記明示的な範囲内の温度及び加熱時間についての追加の範囲が予期され、また想定される。
組成物のパターニング:
通常、放射は、マスクを通してコーティングされた基板に向けることができ、或いは放射ビームを基板全体にわたって制御可能に走査することができる。通常、放射は、電磁放射、電子ビーム(ベータ線)、又は他の適切な放射を含むことができる。一般的に、電磁放射は、可視放射、紫外放射、又はX線放射など望まれる波長又は波長範囲を有することができる。放射パターンに対して達成可能な解像度は一般に放射波長に依存し、より高い解像度のパターンは、一般により短い波長の放射で達成され得る。したがって、特に高解像度のパターンを得るためには、紫外光、X線放射、又は電子ビームを使用することが望ましい場合がある。
参照により本明細書に組み込まれる国際規格ISO21348(2007)に従い、紫外光は、100nm以上から40030nm未満までの波長に及ぶ。248nmの紫外光の光源として、フッ化クリプトンレーザーを使用することができる。紫外線の範囲は、10nm以上から121nm未満までの極端紫外線(EUV)や122nm以上から200nm未満までの遠紫外線(FUV)など、受け入れられている規格に基づいていくつかの方法で細分化することができる。FUVの放射源としては、フッ化アルゴンレーザーからの193nmのラインを使用することができる。リソグラフィーのためには13.5nmのEUV光が使用されており、この光は、高エネルギーレーザー又は放電パルスを使用して励起されたXe又はSnのプラズマ源から生成される。軟X線は、0.1nm以上から5、10nm未満まで定義することができる。
コーティング材料の設計に基づいて、縮合したコーティング材料を有する照射領域と、実質的に無傷のSn-C結合を有する未照射のコーティング材料との間に、材料特性の大きなコントラストが存在することができる。照射後熱処理が使用される実施形態では、照射後熱処理は、約45℃~約250℃、追加の実施形態では約50℃~約190℃、更なる実施形態では約60℃~約175℃の温度で行うことができる。露光後加熱は、通常、少なくとも約0.1分間、更なる実施形態では約0.5分~約30分、追加の実施形態では約0.75分~約10分間行うことができる。当業者であれば、上記明示的な範囲内の照射後加熱温度及び時間の追加の範囲が想定され、それが本開示の範囲内であることを認識するであろう。材料特性におけるこの高いコントラストは、以下のセクションで説明されるように、現像後のパターンにおける滑らかなエッジを持つ高解像度のラインの形成を更に容易にする。
ネガ型画像形成については、現像液は、前駆体溶液を形成するために使用される溶媒などの有機溶媒とすることができる。一般的に、現像液の選択は、照射及び非照射の両方のコーティング材料に関する溶解性パラメータ、並びに現像液の揮発性、可燃性、毒性、粘度、及び他のプロセス材料との潜在的な化学的相互作用によって影響を受ける可能性がある。特に、適切な現像液としては、例えば、アルコール(例えば4-メチル-2-ペンタノール、1-ブタノール、イソプロパノール、1-プロパノール、メタノール)、乳酸エチル、エーテル(例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール)、ケトン(ペンタノン、ヘキサノン、2-ヘプタノン、オクタノン)などが挙げられる。現像は、約5秒間~約30分間、更なる実施形態では約8秒間~約15分間、追加の実施形態では約10秒間~約10分間行うことができる。当業者であれば、上記明示的な範囲内の追加の範囲が想定され、それが本開示の範囲内であることを認識するであろう。主要な現像液組成物に加えて、現像液は、現像プロセスを容易にする追加の組成物を含むことができる。適切な添加剤としては、例えば、粘度調整剤、可溶化助剤、又は他の加工助剤を挙げることができる。任意選択的な添加剤が存在する場合、現像液は、約10重量パーセント以下の添加剤、更なる実施形態では約5重量パーセント以下の添加剤を含むことができる。当業者であれば、上記明示的な範囲内の追加の範囲の添加剤濃度が想定され、それが本開示の範囲内であることを認識するであろう。
より弱い現像液、例えば希釈された有機現像液又はコーティングがより低い現像速度を有する組成物では、プロセスの速度を増加させるために、より高い温度の現像プロセスを使用することができる。より強い現像液では、現像の速度を下げるために、及び/又は現像の動力学を制御するために、現像プロセスの温度を下げることができる。一般的に、現像温度は、溶媒の揮発性と一致する適切な値の間で調整することができる。更に、現像液-コーティング界面付近でコーティング材料が溶解している現像液は、現像中に超音波処理で分散させることができる。現像液は、任意の合理的なアプローチを使用して、パターニングされたコーティング材料に塗布することができる。例えば、パターニングされたコーティング材料に現像液を噴霧することができる。また、スピンコーティングを使用することもできる。自動化された処理では、現像液を静止した形式でコーティング材料に注ぐことを含むパドル法を使用することができる。必要に応じて、現像プロセスを完了するためにスピンリンス及び/又は乾燥を使用することができる。適切なリンス溶液としては、例えば、超純水、水酸化テトラアルキルアンモニウム水溶液、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、及びそれらの組み合わせが挙げられる。画像が現像された後、コーティング材料はパターンとして基板上に配置される。
いくつかの実施形態では、無溶媒(乾式)現像プロセスは、Tanらの「Photoresist Development With Halide Chemistries」という表題の国際特許出願第PCT/US2020/039615号明細書(これは参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているものなどの適切な熱現像又はプラズマ現像プロセスを使用することによって行うことができる。有機スズフォトレジストコーティングについては、乾式現像は、ハロゲン含有プラズマと、例えばHBrやBClなどのガスとを使用することにより行うことができる。場合によっては、乾式現像は、パターン倒れの減少、スカムの減少、現像液組成すなわちプラズマ及び/又はエッチングガスの細かい制御など、湿式現像よりも優れた利点を提供することができる。
現像ステップが完了した後、材料を更に縮合し、材料からの残留現像液を更に脱水、緻密化、又は除去するために、コーティング材料を熱処理することができる。更なるパターニングを容易にするためにコーティング材料の安定化が望ましい場合には、コーティング材料がレジストとして使用されて最終的に除去されるいくつかの実施形態で熱処理を行うことが望ましい場合があるものの、この熱処理は、酸化物コーティング材料が最終的なデバイスに組み込まれる実施形態で特に望ましい場合がある。特に、パターニングされたコーティング材料のベークは、パターニングされたコーティング材料が望みのレベルのエッチング選択性を示す条件下で行うことができる。いくつかの実施形態では、パターニングされたコーティング材料は、約100℃~約600℃、更なる実施形態では約175℃~約500℃、追加の実施形態では約200℃~約400℃の温度に加熱することができる。加熱は、少なくとも約1分間、別の実施形態では約2分間~約1時間、更なる実施形態では約2.5分間~約25分間行うことができる。加熱は、空気、真空、又は不活性ガス雰囲気(Ar又はNなど)の中で行うことができる。当業者であれば、上記明示的な範囲内の熱処理のための温度及び時間の追加の範囲が想定され、それが本開示の範囲内であることを認識するであろう。同様に、ブランケットUV曝露、又はOなどの酸化性プラズマへの曝露を含む非熱処理も、同様の目的のために使用することができる。
以下の実施例は、ポリアルキル汚染が少ないモノアルキルスズトリアミド、トリアセチリド、及びトリアルコキシド生成物の合成及びNMRによるキャラクタリゼーションを示す。いくつかの実施例では以下の反応熱量データが示される:
最高到達温度:MAT(℃)
反応熱:ΔH (kJ/mol)
熱転化率%:TC(%)
実施例1.CHCHCHSn(N(CHCH及びCHCHCHSn(OC(CHCHCHの調製
この実施例は、SnCl、ジエチルアミン、n-ブチルリチウム、及びn-ヨウ化プロピルが関与する酸化的スタニル化反応によるn-プロピルスズトリアミド、CHCHCHSn(N(CHCH(略称n-PrSn(NEt)の合成、及びそれに続くn-プロピルスズトリアルコキシド、CHCHCHSn(OC(CHCHCH(略称n-PrSn(O-tAm))への変換を示す。
(a)CHCHCHSn(N(CHCHの合成
バブラー出口を備えた400mL反応器内で、Nを流しながら正のN(g)圧力下で、ジエチルアミン(175mmol、Aldrich)と無水ジエチルエーテル(53ml、Aldrich)を混合した。反応器を0℃に冷却し、続いて150mmolのn-ブチルリチウム(Aldrich、ヘキサン中1.6M)を滴下した。30分間撹拌した後、中間生成物であるLiNEtが形成され、二重に採取した試料をキャラクタリゼーションのために使用した。次いで、テトラヒドロフラン中のSnCl(50ml、1M、Fisher)を溶液に滴下した。反応器を18℃まで温め、30分間撹拌した。中間生成物であるLiSn(NEtが形成され、二重に採取した試料をキャラクタリゼーションのために使用した。溶液を再度0℃まで冷却し、続いてヨウ化n-プロピル(75mmol、Oakwood)を滴下した。溶液を18℃まで温め、一晩撹拌した。その後、溶液の揮発性成分を真空下で除去した。無水ペンタン(200ml、Aldrich)をフラスコに添加し、混合物をCelite(登録商標)S(Aldrich)を通して濾過した。追加の無水ペンタン200mLを使用してフラスコを洗浄し、混合物の濾過も行った。濾液を濃縮して揮発性成分を除去した後、真空蒸留(250mTorr、70~76℃)により精製することで、n-プロピルスズトリス(ジエチルアミド)、n-PrSn(NEtを無色の液体として収率65.4%で得た。
反応熱量測定を行って、各反応タイプの最高到達温度(MAT)、反応熱(ΔH)、及び熱転化率(TC)を評価した。TCは、試薬の添加のみの間に発生した合計の熱の相対量に対応する。
Figure 2023539735000002
図1にベンゼン-d中のLiSn(NEt119Sn NMRスペクトルを示す。スペクトルは、31.53ppmに単一のピークを示す。図2は、ベンゼン-d中のn-PrSn(NEt119Sn NMRスペクトルを示す。スペクトルは、次の化学シフトを示す:119Sn NMR(149MHz,ベンゼン-d)δ17.35、-43.75、-68.88。-43.75ppmにおけるピークは、ピーク積分の99%を占め、モノアルキルスズトリアミド生成物の高純度と関連付けられる。図3は、ベンゼン-d中のn-PrSn(NEtH NMRスペクトルである。スペクトルは次の化学シフトを示す:H NMR(400MHz,ベンゼン-d)δ3.08-2.88(m,6H,-N-CH-),1.67-1.53(m,1H,-Sn-CH-CH-)、1.11-0.89(m,11H,-CH)。
(b)CHCHCHSn(OC(CHCHCHへの変換
実施例1のステップ(a)からのN-プロピルスズトリス(ジエチルアミド)(31.4mmol)を、撹拌子を備えた50mLの丸底フラスコに入れた。フラスコを氷浴で0℃まで冷却し、続いてt-アミルアルコール(97.3mmol、Aldrich)をゆっくりと滴下した。次いで、反応物を室温にし、30分間撹拌した。溶液の揮発性成分を真空下で除去し、粗生成物を真空蒸留(400mTorr、65~70℃)により精製することで、n-PrSn(O-tAm)を無色オイルとして収率81%で生成した。
図4は、ベンゼン-d中のn-PrSn(O-tAm)119Snスペクトルを示す。スペクトルは、次の化学シフトを示す:119Sn NMR(149MHz,ベンゼン-d)δ-195.65。単一のピークは、単一のスズ環境と一致しており、したがってモノアルキルスズ生成物である。図5は、ベンゼン-d中のn-PrSn(O-tAm)Hスペクトルであり、以下の化学シフトを有する:H NMR(400MHz,ベンゼン-d)δ1.65(hept,J=7.5Hz,1H)、1.45(qd,J=7.5,1.8Hz,3H)、1.30-1.17(m,9H)、0.96(d,J=7.2Hz,1H)、0.94-0.78(m,5H)。生成物の純度を評価するために、選択した標準を用いて定量的プロトンスズNMR及びプロトンNMRを行った。119Sn qNMR、標準CHSn(C、純度94.2(7)mol%のモノアルキルスズ;H qNMR、標準1,3,5-トリメトキシベンゼン、純度95.60(2)mol%のモノアルキルスズ。
実施例2.CHCHSn(N(CHCH及びCHCHSn(OC(CHCHCHの調製
この実施例は、SnCl、ジエチルアミン、n-ブチルリチウム、及びヨードエタンが関与する酸化的スタニル化反応によるエチルスズトリアミド、CHCHSn(N(CHCH(略称EtSn(NEt)の合成、及びそれに続くエチルスズトリアルコキシド、CHCHSn(OC(CHCHCH(略称EtSn(O-tAm))への変換を示す。
(a)CHCHSn(N(CHCHの合成
連続的なN(g)の流れをサポートするためのバブラーと圧力解放口とを備えた3Lの丸底フラスコ内で、Nを流しながら正のN(g)圧力下で、ジエチルアミン(1442mmol、Aldrich)と無水ジエチルエーテル(437ml、Aldrich)を混合した。反応器を氷水浴で0℃に冷却し、続いて1236mmolのn-ブチルリチウム(Aldrich、ヘキサン中1.55M)を滴下した。1時間撹拌した後、中間生成物であるLiNEtが形成され、二重に採取した試料をキャラクタリゼーションのために準備した。次いで、テトラヒドロフラン中のSnCl(412ml、1M、Fisher)を溶液に滴下し、次いでこれを1時間撹拌した。中間生成物であるLiSn(NEtが形成され、キャラクタリゼーションのために二重に採取した試料を準備した。その後、ヨードエタン(618mmol、Aldrich)を滴下し、続いて反応を室温まで温め、一晩撹拌した。溶液の揮発性成分を真空下で除去した。500mLの無水ペンタンを2回フラスコに添加した後、Celite(登録商標)S(Aldrich)を通して濾過した。濾液を濃縮して揮発性成分を除去した後、真空蒸留(60mTorr、80~85℃)により精製することで、エチル-スズ[トリス(ジエチルアミド)]、EtSn(NEtを無色液体として収率78.6%で得た。
図6にEtSn(NEt119Sn NMRスペクトルを示す。スペクトルは、次の化学シフトを示す:119Sn NMR(149MHz,ベンゼン-d)δ-40.69。-40.69ppmの単一のピークは、モノアルキルスズトリアミド生成物の高純度と関連付けられる。
(b)CHCHSn(OC(CHCHCHへの変換
実施例2のステップ(a)からのエチルスズ[トリス(ジエチルアミド)](324mmol)を、50mLのペンタンが入っている400mLの反応器に入れた。フラスコを冷却装置で0℃に冷却し、続いてt-アミルアルコール(1004mmol、Aldrich)をゆっくりと滴下した。反応を室温にし、30分間撹拌した。溶液の揮発性成分を真空下で除去し、粗生成物を真空蒸留(40mTorr、82~88℃)により精製することで、EtSn(O-tAm)を無色オイルとして収率97%で生成した。
図7は、ベンゼン-d中のEtSn(O-tAm)119Sn NMRスペクトルを示す。スペクトルは、次の化学シフトを示す:119Sn NMR(149MHz,ベンゼン-d)δ-194.24。単一のピークは、単一のスズ環境と一致しており、したがってモノアルキルスズ生成物である。生成物の純度を評価するために、選択した標準を用いて定量的プロトンスズNMR及びプロトンNMRを行った。119Sn qNMR、標準CHSn(C、純度95.5(8)mol%のモノアルキルスズ;H qNMR、標準1,3,5-トリメトキシベンゼン、純度96.8(1)mol%のモノアルキルスズ。
エチルスズトリアミド及びエチルスズトリアルコキシドを形成するための反応の熱的挙動を以下にまとめる。
Figure 2023539735000003
実施例3.(CHCSn(N(CHCH及び(CHCSn(OC(CHCHCHの調製
この実施例は、SnCl、ジエチルアミン、n-ブチルリチウム、及びヨウ化t-ブチルが関与する酸化的スタニル化反応によるt-ブチルスズトリアミド、(CHCSn(N(CHCH(略称t-BuSn(NEt)の合成、及びそれに続くt-ブチルスズトリアルアルコキシド((CHCSn(OC(CHCHCH(略称t-BuSn(O-tAm))への変換を示す。
(a)(CHCSn(N(CHCHの合成
バブラー出口を備えた400mL反応器内で、Nを流しながら正のN(g)圧力下で、ジエチルアミン(88mmol、Aldrich)と無水ジエチルエーテル(27ml、Aldrich)を混合した。反応器を0℃に冷却し、続いて50mmolのn-ブチルリチウム(Aldrich、ヘキサン中1.6M)を滴下した。30分間撹拌した後、中間生成物であるLiNEtが形成され、一部をキャラクタリゼーションのために分離した。次いで、テトラヒドロフラン中のSnCl(28ml、1M、Fisher)を溶液に滴下した。反応器を20℃まで温め、30分間撹拌した。中間生成物であるLiSn(NEtが形成され、キャラクタリゼーションのために一部を分離した。溶液を再度0℃まで冷却し、続いてヨウ化t-ブチル(38mmol、Aldrich)を滴下した。溶液を40℃まで温め、一晩撹拌した。その後、溶液の揮発性成分を真空下で除去した。無水ペンタン(2×60ml、Aldrich)をフラスコに添加し、混合物をCelite(登録商標)S(Aldrich)を通して濾過した。追加の無水ペンタン60mLを使用してフラスコを洗浄し、混合物の濾過も行った。濾液を濃縮して揮発性成分を除去した後、真空蒸留(250mTorr、72~76℃)により精製することで、t-ブチルスズトリス(ジエチルアミド)、t-BuSn(NEtを無色の液体として収率53%で得た。
図8は、ベンゼン-d中のt-BuSn(NEt119Sn NMRスペクトルを示す。スペクトルは、次の化学シフトを示す:119Sn NMR(149MHz,ベンゼン-d)δ-81.69。-81.69ppmの鋭い単一のピークは、モノアルキルスズトリアミド生成物の高純度と関連付けられる。トリアミドの蒸留後、追加のピークはみられない。
(b)(CHCSn(OC(CHCHCHへの変換
実施例3のステップ(a)からのt-ブチルスズトリス(ジエチルアミド)(13.2mmol)を、撹拌子を備えた50mLの丸底フラスコに入れた。フラスコを氷浴で0℃まで冷却し、続いてt-アミルアルコール(41mmol、Aldrich)をゆっくりと滴下した。次いで、反応物を室温にし、30分間撹拌した。溶液の揮発性成分を真空下で除去し、粗生成物を真空蒸留(60mTorr、90℃)により精製することで、t-BuSn(O-tAm)を無色オイルとして収率94%で生成した。
図9は、ベンゼン-d中のt-BuSn(O-tAm)119Sn NMRスペクトルを示す。スペクトルは、次の化学シフトを示す:119Sn NMR(149MHz,ベンゼン-d)δ-219.45、-241.08、-369.97。-219.45ppmのピークは0.0018の積分値を有しており、ビアルキル生成物とは関係ない。-241.08ppmのピークは0.9897の積分値を有しており、モノアルキルt-BuSn(O-tAm)生成物と一致する。-369.97ppmのピークは0.0086の積分値を有しており、Sn(O-tAm)に起因する。
NMRの結果は、モノアルキルスズトリアミド及びトリアルコキシド生成物を選択的に合成する能力を明確に示している。
実施例4.(NC(CHC)Sn(N(CHCHの調製
この実施例は、SnCl、ジエチルアミン、n-ブチルリチウム、及び2-ブロモ-2-メチルプロパンニトリルが関与する酸化的スタニル化反応によるイソブチロニトリルスズトリアミド(NC(CHC)Sn(N(CHCH(略称(NC(CHC)Sn(NEt)の合成を示す。
バブラー圧力解放口を備えた250mL丸底フラスコ内で、N(g)を流しながら、ジエチルアミン(87.5mmol、Aldrich)と無水ジエチルエーテル(26.5ml、Aldrich)を混合した。反応器を氷水浴で0℃に冷却し、続いて75mmolのn-ブチルリチウム(Aldrich、ヘキサン中2.53M)を滴下した。30分間撹拌した後、テトラヒドロフラン中のSnCl(25ml、1M、Fisher)を溶液に滴下し、次いで1時間撹拌した。その後、2-ブロモ-2-メチルプロパンニトリル(37.5mmol、社内で合成)を添加した。反応を室温まで温め、1時間撹拌した。揮発性の溶液成分を真空下で除去した。100mLの無水ペンタンを2回フラスコに添加した後、Celite(登録商標)S(Aldrich)を通して濾過した。濾液を濃縮して揮発性成分を除去した後、真空蒸留(250mTorr、70~76℃)により精製することで、イソブチロニトリルスズトリス(ジエチルアミド)を黄色オイルとして収率21%で得た。
図10は、ベンゼン-d中の(NC(CHC)Sn(NEt119Sn NMRスペクトルを示す。濾液を濃縮して全ての揮発性成分を除去した後、図10に示す119Sn NMRスペクトルを得た。スペクトルは、次の化学シフトを持つ主たるシングレットと2番目の大きさのシングレットを示す:119Sn NMR(149MHz,ベンゼン-d)δ-94.73、-120.28。
実施例5.(CHOCH)Sn(CCSi(CHの調製
この実施例は、トリメチルシリルアセチレン、SnCl、n-ブチルリチウム、及びクロロメチルメチルエーテルが関与する酸化的スタニル化反応によるメトキシメチルスズトリアセチリド、(CHOCH)Sn(CCSi(CH(略称(CHOCH)Sn(CCSiMe又はMOMSn(CCTMS))の合成を示す。
圧力解放バブラーを備えた400mLの反応器内で、正のN圧力を形成するためにN(g)を流しながら、トリメチルシリルアセチレン(248mmol、Oakwood、略称「HCCTMS」)と無水ジエチルエーテル(123ml、Aldrich)を混合した。反応器を冷却装置で0℃に冷却し、続いて240mmolのn-ブチルリチウム(Aldrich、ヘキサン中1.64M)をゆっくり滴下した。30分間撹拌した後、中間生成物であるLiCCSiMe(LiCCTMSとも略される)が形成され、キャラクタリゼーションのために二重に採取した試料を準備した。次いで、テトラヒドロフラン中のSnCl(80ml、1M、Fisher)を溶液に滴下した。溶液を室温で2時間撹拌した。中間体生成物であるLiSn(CCSiMe(LiSn(CCTMS)とも略される)が形成され、キャラクタリゼーションのために二重に採取した試料を準備した。その後反応器を冷却装置で0℃まで冷却し、続いてクロロメチルメチルエーテル(88mmol、Aldrich、略称「MOM-Cl」)を滴下し、次いで室温で一晩撹拌した。溶液の揮発性成分を真空下で除去した。それぞれ200mLの無水ペンタンの2つのアリコートをフラスコに添加し、続いてCelite(登録商標)S(Aldrich)を通して濾過した。濾液を濃縮して揮発性成分を除去(250mTorr、70~76℃)することで、メトキシメチルスズトリス(トリメチルシリルアセチリド)、MOMSn(CCTMS)を白色粉末として収率31%で得た。
図11に、ベンゼン-d中のLiSn(CCSiMe119Sn NMRスペクトルを示す。スペクトルは、-478.5ppmに単一のピークを示す。図12は、以下の化学シフトを有するベンゼン-d中の(CHOCH)Sn(CCSiMe119Sn NMRスペクトルを示す:119Sn NMR(149MHz,ベンゼン-d)δ-324.23。-324.23ppmの単一の鋭いピークは、モノアルキルスズトリアセチリド生成物の高純度と関連付けられる。
各生成物を形成するための反応の熱的挙動を以下にまとめる。
Figure 2023539735000004
実施例6.(NC(CHC)Sn(CCSi(CHの調製
この実施例は、トリメチルシリルアセチレン、SnCl、n-ブチルリチウム、及び2-ブロモ-2-メチルプロパンニトリルが関与する酸化的スタニル化反応によるイソブチロニトリルスズトリアセチリド、(NC(CHC)Sn(CCSi(CH(略称(NC(CHC)Sn(CCSiMe)の合成を示す。
バブラー圧力解放口を備えた400mLの反応器内で、N(g)を流しながら、トリメチルシリルアセチレン(232.5mmol、Oakwood)と無水ジエチルエーテル(116ml、Aldrich)を混合した。反応器を冷却装置で0℃に冷却し、続いて225mmolのn-ブチルリチウム(Aldrich、ヘキサン中2.53M)をゆっくり滴下した。30分間撹拌した後、中間生成物であるLiSnCCSiMe(LiCCTMSとも略される)が形成され、キャラクタリゼーションのために二重に採取した試料を準備した。次いで、テトラヒドロフラン中のSnCl(75ml、1M、Fisher)を溶液に滴下した。溶液を20℃まで温め、1時間撹拌した。中間体生成物であるLiSn(CCSiMe(LiSn(CCTMS)とも略される)が形成され、キャラクタリゼーションのために二重に採取した試料を準備した。溶液を冷却装置で0℃まで再度冷却し、続いてTHF(Aldrich)中のZnBr(75ml、1M、Aldrich)を滴下した。反応を10分間撹拌した。中間生成物であるLi[Zn(Sn(CCTMS)]が形成され、キャラクタリゼーションのために追加の試料を準備した。その後、82.5mmolの2-ブロモ-2-メチルプロパンニトリル(IBN、社内で合成)を反応に添加した。反応器温度を0℃に維持し、一晩撹拌した。100mLの無水ペンタンをフラスコに添加した後、シリカ(Aldrich)を通して濾過した。更に200mLの無水ペンタンを使用してフラスコを洗浄し、続いて濾過した。濾液を濃縮して揮発性成分を除去することで、イソブチロニトリルスズトリス(トリメチルシリルアセチリド)、(NC(CHC)Sn(CCSiMeを粘ちょうなオフホワイトの半固体として収率76%で生成した。
図13に、ベンゼン-d中の(NC(CHC)Sn(CCSiMe119Sn NMRスペクトルを示す。スペクトルは、次の化学シフトを示す:119Sn NMR(149MHz,ベンゼン-d)δ-73.55、-151.23、-166.08、-175.87、-264.02、-274.33、-384.39。主な一重線と副次的な一重線は-264.02と-166.08にあり、ピーク積分はそれぞれ0.75と0.17である。
ZnBrとIBNが関与する反応の熱的挙動を以下にまとめる。
Figure 2023539735000005
上記実施例は、ポリアルキルスズ化合物に関連するピークを示さない、合成された有機スズ化合物のNMRスペクトルを示す。
実施例7.(CHICSn(N(CHCH及び(CHICSn(OC(CHの調製
この実施例は、SnCl、ジエチルアミン、n-ブチルリチウム、カリウムtert-ブトキシド、及び2,2-ジヨードプロパンが関与する酸化的スタニル化反応によるヨードプロピルスズトリアミド、(CHICSn(N(CHCH(略称2-ヨード-PrSn(NEt)の合成と、それに続く2-ヨードプロピルスズトリス(tert-ブトキシド)、(CHICSn(OC(CH(略称ヨードPrSn(O-tBu))への変換を示す。
nブチルリチウム(1.03mL、2.53mmol、ヘキサン中2.45M)を、ジエチルエーテル(4mL)中のジエチルアミン(0.262g、2.53mmol)の冷温溶液(-50℃)に添加した。数分後、THF(4mL)中の塩化スズ(II)(0.160g、0.845mmol)とカリウムtert-ブトキシド(0.095g、0.845mmol)のスラリーを添加した。内容物を0℃まで温め、2時間撹拌した。フラスコを-50℃に再度冷却し、2,2-ジヨードプロパン(0.25g、0.845mmol)を添加した。得られた反応混合物を放置して16時間かけて室温まで温め、その時点で溶媒を真空で除去した。生成物である2,2-ジヨードプロピルスズトリス(ジエチルアミド)をペンタンから再結晶し、tert-ブタノール(3.1当量)を添加した。トリアルコキシド生成物を動的真空下で60℃で蒸留し、分別蒸留によって更に精製した。単離された生成物の119Sn NMR及びH NMRスペクトルをそれぞれ図14及び図15に示す。
実施例8.(CI)CHSn(CCSi(CH及び(CI)CHSn(OC(CHの調製
この実施例は、トリメチルシリルアセチレン(TMSA)、SnCl、n-ブチルリチウム、カリウムtert-ブトキシド、及びヨードベンジルブロミドが関与する酸化的スタニル化反応によるヨードベンジルスズトリアセチリド、(CI)CHSn(CCSi(CH(略称3-ヨードベンジルSn(CCSiMe)の合成と、それに続く3-ヨードベンジルスズトリス(tert-ブトキシド)、(CI)CHSn(OC(CH(略称ヨードベンジルSn(O-tBu))への変換を示す。
nブチルリチウムを、ジエチルエーテル中のトリメチルシリルアセチレン(TMSA)の低温溶液(-50℃)に添加した。数分後、THF中の塩化スズ(II)とカリウムtert-ブトキシドとのスラリーを添加した。内容物を、室温まで温めながら少なくとも2時間撹拌した。新たに形成された推定される中間体であるカリウムトリス(トリメチルシリルアセチリド)スタンナン(potassium tris(trimethylsilylacetylide)stannane)を、THF中の3-ヨードベンジルブロミドの低温(-50℃)溶液にゆっくりと添加した。一晩撹拌した後、溶媒を真空で除去し、生成物をペンタンで抽出した。塩を濾過により除去し、ペンタンを真空で除去することで、白色の半固体を得た。トリエチルアミン(5.0当量)及びtert-ブタノール(5.0当量)を添加し、溶液を80℃に40時間加熱した。過剰のTEA/tBuOHを真空中で除去し、トリアルコキシド生成物を蒸留により単離した。分別蒸留によって更に精製した。単離された生成物の119Sn NMR及びH NMRスペクトルをそれぞれ図16及び図17に示す。
上記実施形態は、例示を意図したものであり、限定を意図するものではない。追加の実施形態が特許請求の範囲内にある。更に、本発明は特定の実施形態を参照して説明されたが、当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなしに形態及び詳細事項に変更を行うことができることを認識するであろう。上での文献の参照によるいずれの組み込みも、本明細書の明示的な開示に反する主題が組み込まれないように限定される。特定の構造、組成物、及び/又はプロセスが構成要素、要素、成分、又は他の区切りと共に本明細書に記載されている限りにおいて、本明細書の開示は、別段の具体的な指示がない限り、特定の実施形態、並びに特定の構成要素、要素、成分、他の区切り、又はそれらの組み合わせを含む実施形態、並びに議論において示唆されるような主題の基本的性質を変えない追加の特徴を含むことができるそのような特定の構成要素、成分、又は他の区切り、又はそれらの組み合わせから本質的になる実施形態も網羅されると理解すべきである。本明細書における「約」という用語の使用は、当業者が特定の文脈において理解するであろう関連する値における見込まれる不確実性を表す。

Claims (44)

  1. 有機溶媒、および
    前記有機溶媒に溶解している、アルカリ金属イオンと、スズイオンと、-SnLとしてスズに結合する有機配位子とを含む有機金属組成物であって、前記有機配位子(L)が、-NR'、-C≡CR、又はそれらの混合で表され、RはSiR''又はR'であり、3つのR''が独立してH又はR'であり、R'が、独立して、1~31個の炭素原子と、任意選択的な不飽和炭素-炭素結合と、任意選択的な芳香族基と、任意選択的なヘテロ原子とを有するヒドロカルビル基である、有機金属組成物
    を含む、溶液。
  2. 前記有機金属組成物が、アルカリ土類イオン(Be(+2)、Mg(+2)、Ca(+2)、Sr(+2)、Ba(+2))、疑似アルカリ土類イオン(Zn(+2)、Cd(+2)、Hg(+2/+1))、又はそれらの組合せを更に含む、請求項1に記載の溶液。
  3. 前記有機溶媒が非プロトン性極性有機溶媒である、請求項1又は請求項2に記載の溶液。
  4. 前記アルカリ金属イオンがリチウム金属イオンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の溶液。
  5. Lが-NR'であり、R'が直鎖又は分岐のアルキル(-C2n+1、nは1~5)である、請求項1~4のいずれか一項に記載の溶液。
  6. Lが-C≡CR''であり、R''が直鎖又は分岐のアルキル(-C2n+1、nは1~5)である、請求項1~4のいずれか一項に記載の溶液。
  7. 約0.005M~約2Mのスズ濃度を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の溶液。
  8. 前記有機金属組成物が亜鉛イオンを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の溶液。
  9. アルカリ金属スズ組成物を形成するための方法であって、
    前記アルカリ金属スズ組成物を形成するために、有機溶媒にて、ハロゲン化スズ(II)(SnX、X=F、Cl、B、I、又はそれらの混合)、および、ML(Mは、Li、Na、K、Cs、又はそれらの組合せであり、M'は、Na、K、Cs、又はそれらの組合せであり、Lはジアルキルアミド(-NR')又はアセチリド(-C≡CL)である)を反応させ、金属カチオンM''を伴って存在するスズトリアミド(Sn(NR')又はスズトリアセチリド(M''Sn(C≡CR)である部位SnLを有する対応する有機金属組成物を形成することを含み、M''は、M'が存在する場合はM'、或いはM'が存在しない場合はMであり、RはSiR''又はR'であり、3つのR''は独立してH又はR'であり、R'は、独立して、1~31個の炭素原子と、任意選択的な不飽和炭素-炭素結合と、任意選択的な芳香族基と、任意選択的なヘテロ原子とを有するヒドロカルビル基である、方法。
  10. (アルカリ土類/疑似アルカリ土類)金属ハロゲン化物(M'''X、X=F、Cl、B、I、又はそれらの混合)を前記アルカリ金属スズ組成物と反応させて、アルカリ金属(アルカリ土類/疑似アルカリ土類)金属スズ組成物を形成することを更に含み、前記アルカリ土類/疑似アルカリ土類金属が、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、水銀、又はそれらの組合せである、請求項9に記載の方法。
  11. M'''XがZnClである、請求項10に記載の方法。
  12. MLおよびSnXの前記反応がM'ORとの反応を更に含み、Rが1~31個の炭素原子と、任意選択的な不飽和炭素-炭素結合と、任意選択的な芳香族基と、任意選択的なヘテロ原子とを有するヒドロカルビル基である、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. MがLiであり、M'ORが存在しない、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. MがLiであり、M'がKである、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記反応が約0℃以下の温度で開始され、前記反応が少なくとも約2分間継続される、請求項9~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. Rが、メチル(CH-)、エチル(CHCH-)、イソプロピル(CHCHHC-)、t-ブチル((CHC-)、t-アミル(CHCH(CHC-)、sec-ブチル(CH(CHCH)CH-)、ネオペンチル((CHCCH-)、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロブチル、又はシクロプロピルである、請求項9~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. モノヒドロカルビルスズ化合物を合成するための方法であって、
    アルカリ金属スズ組成物を形成するために、一級ハロゲン化ヒドロカルビル化合物(R-X、Xはハロゲン化原子である)を、金属カチオンM(Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、疑似アルカリ土類金属(Zn、Cd、又はHg)、又はそれらの混合である)を伴うSnL部位(Lは、アルカリ金属スズトリアミド化合物を生じるアミド配位子、又はアルカリ金属スズトリアセチリドを生じるアセチリド配位子のいずれかである)を含む有機金属組成物と反応させて、対応するモノヒドロカルビルスズトリアミド(RSn(NR')又はモノヒドロカルビルスズトリアセチリド(RSn(C≡CR)を形成することを含み、前記モノヒドロカルビル配位子(R)は、1~31個の炭素原子と、任意選択的な不飽和炭素-炭素結合と、任意選択的な芳香族基と、任意選択的なヘテロ原子とを有するヒドロカルビル基であり、RはSiR''又はR'であり、3つのR''は独立してH又はR'であり、R'は、独立して、1~31個の炭素原子と、任意選択的な不飽和炭素-炭素結合と、任意選択的な芳香族基と、任意選択的なヘテロ原子とを有するヒドロカルビル基である、方法。
  18. Lが-C≡CSiR'であり、式中のR'が直鎖又は分岐のアルキル(-C2n+1、nは1~5)である、請求項17に記載の方法。
  19. MがLiである、請求項17又は請求項18に記載の方法。
  20. MがKを含む、請求項17又は請求項18に記載の方法。
  21. MがZnを含む、請求項17又は請求項18又は請求項20に記載の方法。
  22. Rが、メチル(CH-)、エチル(CHCH-)、イソプロピル(CHCHHC-)、t-ブチル((CHC-)、t-アミル(CHCH(CHC-)、sec-ブチル(CH(CHCH)CH-)、ネオペンチル((CHCCH-)、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロブチル、又はシクロプロピルを含む、請求項17~21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記反応は、室温で開始されるか、又は室温まで加温され、少なくとも約15分間継続される、請求項17~22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 式RSn(C≡CSiR'(式中、R'及びRは、独立して、1~31個の炭素原子と、任意選択的な不飽和炭素-炭素結合と、任意選択的な芳香族基と、任意選択的なヘテロ原子とを有するヒドロカルビル基である)で表される化合物。
  25. Rが、メチル(CH-)、エチル(CHCH-)、イソプロピル(CHCHHC-)、t-ブチル((CHC-)、t-アミル(CHCH(CHC-)、sec-ブチル(CH(CHCH)CH-)、ネオペンチル((CHCCH-)、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロブチル、又はシクロプロピルである、請求項24に記載の化合物。
  26. R'が直鎖又は分岐のアルキル(-C2n+1、nは1~5)である、請求項24又は請求項25に記載の化合物。
  27. 非プロトン性有機溶媒、および、約0.0001M~約1Mのスズ濃度を有する請求項24~26のいずれか一項に記載の化合物を含む溶液。
  28. 式R'R''ACSnL(式中、Aは、ハロゲン原子(F、Cl、Br若しくはI)又は少なくとも1つのハロゲン置換を有する芳香環であり、R'及びR''は、独立して、H、ハロゲン、又は1~15個の炭素原子と、任意選択的な不飽和炭素-炭素結合と、任意選択的な芳香族基と、任意選択的なヘテロ原子とを有するヒドロカルビル基であり、LはLであり、Lは、加水分解性配位子、又はO(OH)3-x(0<x<3)である)で表される、ハロゲン化ヒドロカルビルスズ化合物。
  29. AがIである、請求項28に記載のハロゲン化ヒドロカルビルスズ化合物。
  30. R'とR''が共にCHである、請求項29に記載のハロゲン化ヒドロカルビルスズ化合物。
  31. AがCIである、請求項28に記載のハロゲン化ヒドロカルビルスズ化合物。
  32. LがNR'であり、R'は、1~31個の炭素原子と、任意選択的な不飽和炭素-炭素結合と、任意選択的な芳香族基と、任意選択的なヘテロ原子とを有するヒドロカルビル基である、請求項28~31のいずれか一項に記載のハロゲン化ヒドロカルビルスズ化合物。
  33. LがC≡CRであり、RがSiR 又はRであり、3つのRが独立してH又はRであり、前記Rが独立して1~31個の炭素原子と、任意選択的な不飽和炭素-炭素結合と、任意選択的な芳香族基と、任意選択的なヘテロ原子とを有するヒドロカルビル基である、請求項28~31のいずれか一項に記載のハロゲン化ヒドロカルビルスズ化合物。
  34. 非プロトン性有機溶媒、および、約0.0001M~約1Mのスズ濃度を有する請求項28~33のいずれか一項に記載の化合物を含む溶液。
  35. 式R'R''(R'''O)CSnL(式中、R'、R''、及びR'''は、独立して、H、又は1~15個の炭素原子と、任意選択的な不飽和炭素-炭素結合と、任意選択的な芳香族基と、任意選択的なヘテロ原子とを有するヒドロカルビル基であり、LはLであり、Lは、加水分解性配位子、又はO(OH)3-x(0<x<3)である)で表されるヒドロカルビルスズ化合物。
  36. R'及びR''がHであり、R'''がCHである、請求項35に記載のヒドロカルビルスズ化合物。
  37. LがNR'であり、R'が1~31個の炭素原子と、任意選択的な不飽和炭素-炭素結合と、任意選択的な芳香族基と、任意選択的なヘテロ原子とを有するヒドロカルビル基である、請求項35又は請求項36に記載のヒドロカルビルスズ化合物。
  38. LがC≡CRであり、RがSiR 又はRであり、3つのRが独立してH又はRであり、前記Rが独立して1~31個の炭素原子と、任意選択的な不飽和炭素-炭素結合と、任意選択的な芳香族基と、任意選択的なヘテロ原子とを有するヒドロカルビル基である、請求項35又は請求項36に記載のヒドロカルビルスズ化合物。
  39. 非プロトン性有機溶媒、および、約0.005M~約1.4Mのスズ濃度を有する請求項35~38のいずれか一項に記載の化合物を含む溶液。
  40. 式R'R''(N≡C)CSnZ(式中、R'及びR''は、独立して、1~15個の炭素原子と、任意選択的な不飽和炭素-炭素結合と、任意選択的な芳香族基と、任意選択的なヘテロ原子とを有するヒドロカルビル基であり、ZはLであり、Lは、加水分解性配位子、又はO(OH)3-x(0<x<3)である)で表されるヒドロカルビルスズ化合物。
  41. R'及びR''が独立して直鎖又は分岐のアルキル(-C2n+1、nは1~5)である、請求項40に記載のヒドロカルビルスズ化合物。
  42. ZがNR'であり、R'が1~31個の炭素原子と、任意選択的な不飽和炭素-炭素結合と、任意選択的な芳香族基と、任意選択的なヘテロ原子とを有するヒドロカルビル基である、請求項40又は請求項41に記載のヒドロカルビルスズ化合物。
  43. LがC≡CRであり、RがSiR 又はRであり、3つのRが独立してH又はRであり、前記Rが独立して1~31個の炭素原子と、任意選択的な不飽和炭素-炭素結合と、任意選択的な芳香族基と、任意選択的なヘテロ原子とを有するヒドロカルビル基である、請求項40又は請求項41に記載のヒドロカルビルスズ化合物。
  44. 非プロトン性有機溶媒、および、約0.005M~約1.4Mのスズ濃度を有する請求項40~43のいずれか一項に記載の化合物を含む溶液。
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