JP2023515440A - 歯周炎または歯肉炎に対する活性物質としてのコラーゲン加水分解物 - Google Patents
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Abstract
以下の発明は、歯周炎または歯肉炎の治療および/または予防における活性物質としての使用のためのコラーゲン加水分解物に関する。
Description
本発明は、歯周炎または歯肉炎の治療および/または予防における活性物質としての使用のためのコラーゲン加水分解物に関する。
歯周炎は、いわゆる歯周器官の炎症である。すなわち、顎骨において歯を保持する組織の全体が、この疾患に侵される。医学的には正しくないが、口語的に、この疾患は、歯周症と呼ぶことも多い。
対照的に、歯肉炎は、歯ぐき(gum)(歯肉(gingiva))または歯肉線の単なる炎症である。しかし、歯肉炎は、歯周炎への前駆段階であることが多く、未治療のままとした場合、後者に発展することもある。したがって、歯周炎の治療または予防に言及する本説明の範囲内では、検討中の文脈上、他に指示しない限り、歯肉炎の治療または予防も常に含む。
先進国では、歯周炎および歯肉炎は、最も頻繁に生じる疾患の1つである。ドイツでは、現在、およそ2千3百万人が罹患している。
歯周炎は、急性であることもあるが、慢性経過を取ることが非常に多い。通常、初期段階では無痛性であるため、40~50歳の患者において頻繁に、手遅れであると同定されることが多い。典型的症候は、発赤、腫脹、歯ぐきの出血および歯ぐきの後退である。後者により、露出した歯頸の痛覚感受性の増大が引き起こされる。さらに増悪した段階では、歯周炎は、歯のぐらつきおよび最終的には歯を失うことにつながることもある。
しかし、歯周炎は、歯周器官または歯に対して望ましくなく、かつ部分的に重大な作用に加えて、全身作用をも有することがある。一方では、炎症性歯周器官により血流への病原体の浸潤が促進され、他方では、炎症誘発性メッセンジャー物質が患部組織により生成される。したがって、一部の場合では、慢性歯周炎は、循環器疾患、呼吸器疾患、心臓発作および脳卒中のリスクの著しい上昇につながる。
歯周炎の原因治療は、これまでには知られていない。しかし、疾患の増悪は、特に歯肉上下のプラークの定期的な機械的除去により抑えることができるが、進行した段階では、歯ぐきの外科的切開も必要となることがある。一部の場合では、抗生物質の投与が、加えて好都合である。概して、このような歯周炎治療は、遅延性かつ高価である。
このような背景に対して、本発明の目的は、歯周炎または歯肉炎の治療および/または予防のための活性物質を提唱することである。
このような目的を達成するために、適切な活性物質としてのコラーゲン加水分解物の使用を、本発明に従って提唱する。歯周炎の治療におけるコラーゲン加水分解物の有効性を、二重盲検のプラセボ対照臨床試験に基づいて明らかに実証することが可能であり、この結果をさらに以下に詳細に示す。
コラーゲン加水分解物の生理学的作用は、特に骨粗鬆症に関連して、または関節病において、比較的以前から既に知られている。また、皮膚の健康に対するコラーゲン加水分解物の望ましい作用が、例えば、国際特許出願WO2012/065782A2号において、既に記載されている。それにもかかわらず、歯周炎の治療におけるコラーゲン加水分解物の高い有効性は、驚異的である。
動物出発物質の副産物としてのコラーゲン加水分解物は、食品としても使用されるが、健康の点で完全に無害な産物であり、既知の有害な副作用を有しない。これは、医薬としての法的承認を必要とせず、特に、栄養補助食品の形態で、販売および使用することができる。コラーゲン加水分解物の栄養補助食品として、処方箋を必要としない(OTC)医薬として、または処方箋医薬としての(特に、他の活性物質と併用した)使用は、本発明の範囲内に含む。このような分類にかかわらず、コラーゲン加水分解物は、活性治療物質である。
コラーゲン加水分解物は、理想的には、経口投与される。コラーゲン加水分解物のペプチドが、最大10,000Daの比較的高分子量であっても、少なくともある程度、腸管において再吸収されることがわかっている。
コラーゲン加水分解物の特定の剤形は、散剤、液剤、錠剤またはカプセル剤により構成されることができる。
さらに好ましい剤形は、特に、圧縮した組成物に基づくガム剤、トローチ剤、または比較的長期間口内に留まる類似の製品、および飲用しても安全な洗口液剤である。この種の投与では、全身作用に加えて、コラーゲン加水分解物の歯ぐきに対する強い局所作用も可能となる。
投与されるコラーゲン加水分解物の1日用量は、特に、経口投与の場合では、好適には、およそ1~およそ20g、好ましくは、およそ2~およそ15g、より好ましくは、およそ3~およそ10gである。臨床試験では、コラーゲン加水分解物5gの1日用量で有効性を実証することが可能であった。
本発明の好ましい実施形態は、歯周炎または歯肉炎の治療、すなわち、対応する疾患、特に、慢性歯周炎を有する患者へのコラーゲン加水分解物の投与に関する。この場合では、投与は、特に、進行性疾患の場合、歯周炎のためのさらなる治療と併用して、好適に実施する。このさらなる治療は、特に、歯肉上下のプラーク(バイオフィルムおよび歯石)の機械的除去を含む。コラーゲン加水分解物の本発明による投与は、プラークの除去の代替にはならないが、疾患の増悪に望ましい影響を与えることができ、歯周炎により生じた損傷を著しく減少させることができる。一部の状況では、最終的に外科的手段も必要とするような重症度の疾患は、コラーゲン加水分解物の投与により予防することができる。
本発明のさらなる実施形態は、歯周炎または歯肉炎の予防に関する。これについては、このような疾患の1つまたは複数のリスク因子が存在する患者へのコラーゲン加水分解物の投与は、特に有利である。歯周炎のこのようなリスク因子は、特に、免疫系の衰弱、喫煙者であること、ホルモンの変化(例えば、閉経)および特定の遺伝性障害(例えば、ダウン症候群)を含む。歯肉炎の存在は、歯周炎のリスク因子であると一般に考えることができ、このため、コラーゲン加水分解物の投与による歯肉炎の治療は、同時に、歯周炎の予防となる。
本発明による活性物質としてのコラーゲン加水分解物は、平均分子量500~15,000Da、好ましくは、1,000~8,000Da、より好ましくは、1,500~5,000Da、最も好ましくは、1,800~2,200Daを典型的に有する。このような記載では、重量平均分子量を常に意味し、これは特に、ゲル浸透クロマトグラフィーにより決定することができる。
コラーゲン加水分解物は、好ましくは、コラーゲン含有出発物質の酵素加水分解により生成される。特に、微生物または植物起源のエンドペプチダーゼまたはエキソペプチダーゼが、この加水分解に使用される。所望の分子量範囲のコラーゲン加水分解物は、ペプチダーゼおよび加水分解条件を適切に選択することにより生成されることができる。
コラーゲン含有出発物質は、脊椎動物、好ましくは、哺乳類または鳥類の皮膚または骨から、特に、ウシまたはブタの皮膚(それぞれ分割牛皮(bovine split hide)または豚外皮(pork rind))から一般に選択される。あるいは、コラーゲン含有出発物質は、魚類、特に、冷水魚または熱帯魚の皮膚、骨および/または鱗から選択されてもよい。
コラーゲン加水分解物は、このような出発物質からの一段階法により、または中間段階のゼラチンによる手段のいずれかにより生成することができ、後者の場合では、A型およびB型の両方のゼラチンを使用することができる。
コラーゲン加水分解物は、好ましくは、異なる特異性を有する少なくとも2つのエンドプロテアーゼ、特に、少なくとも2つの異なるメタロプロテアーゼおよび/またはセリンプロテアーゼ、すなわち、特定のアミノ酸の前および/または後でコラーゲン分子のアミノ酸配列を切断するプロテアーゼの連続的作用により生成される。メタロプロテアーゼおよび/またはセリンプロテアーゼは、好都合には、微生物であるBacillus subtilis、Bacillus licheniformis、Bacillus amyloliquefaciens、Aspergillus oryzaeおよびAspergillus melleus由来の酵素である。
適するエンドプロテアーゼの選択により、コラーゲン加水分解物の特定の分子量分布を得ることができるだけでなく、加水分解物に含まれるペプチドの末端のアミノ酸の型にも影響を与える。これについては、例えば、コラーゲン加水分解物のN末端アミノ酸の少なくとも50%が疎水性アミノ酸、特に、アラニン、ロイシンおよびイソロイシンである場合が好ましい。
酵素加水分解の代わりに、コラーゲン加水分解物が、本発明の範囲内の組換え遺伝子発現により、生成されてもよい。特に、ウシまたはブタ由来の天然コラーゲン配列の使用、および遺伝子修飾細胞(例えば、酵母、細菌または植物細胞、特に、タバコ)におけるこの発現により、対応するコラーゲン含有原料の加水分解産物と実質的に同一の産物を生成することができる。ここでは、さらに狭義または詳細に特定された分子量分布を得ることが可能である。
また、本発明は、患者へのコラーゲン加水分解物の投与を含む、歯周炎または歯肉炎の治療および/または予防のための治療方法に関する。この方法の利点および好ましい実施形態は、本発明によるコラーゲン加水分解物に関連して既に記載している。
歯周炎の治療におけるコラーゲン加水分解物の有効性は、以下に記載する臨床試験、および歯肉線維芽細胞に対して実施する細胞検査に基づいて、さらに詳細に説明されることになる。
1.臨床試験
1.1 試験デザイン
二重盲検のプラセボ対照臨床試験をヴュルツブルク大学病院の歯周病学科において、歯周炎の存在により定期的治療(1年に2~4回の歯肉下のプラークの除去)のために、そこに参加した患者43人により実施した。すべての試験参加者は、歯肉炎指数が1または2(下記参照)および歯肉ポケットのプロービングデプスが少なくとも3mmを有する歯を少なくとも3つ有した。患者は、35~70歳であり、24~30のBMIを有した。
1.1 試験デザイン
二重盲検のプラセボ対照臨床試験をヴュルツブルク大学病院の歯周病学科において、歯周炎の存在により定期的治療(1年に2~4回の歯肉下のプラークの除去)のために、そこに参加した患者43人により実施した。すべての試験参加者は、歯肉炎指数が1または2(下記参照)および歯肉ポケットのプロービングデプスが少なくとも3mmを有する歯を少なくとも3つ有した。患者は、35~70歳であり、24~30のBMIを有した。
患者は、患者23人の治療群および患者20人のプラセボ群に分け、患者にも医療スタッフにも個々の参加者の区分を知らせなかった。
治療群の参加者は、全試験期間90±14日中に1日用量5gのコラーゲン加水分解物を受けた。ウシコラーゲンの酵素加水分解により生成し、平均分子量およそ2,000Daを有するコラーゲン加水分解物を使用し、これは、出願者GELITA AG社によりVERISOL Bの名称で販売されている。VERISOL Bの生成は、WO2012/065782A2号に記載の生成方法に実質的に対応する。
プラセボ群の参加者は、コラーゲン加水分解物の代わりに、対応する1日用量のプラセボを受け、これは、パッケージング、質感および味覚の点でコラーゲン加水分解物と識別不能であった。
試験の開始時に(0日目のV1)、すべての試験参加者に精密検査を行い、一連のパラメータおよび指数を決定して、歯周炎の状態を特性決定した。次いで、患者は、歯肉上下のプラークの機械的除去による専門的な歯磨き工程を受けた。
同一のパラメータおよび指数を、二次試験(60±14日後のV2)および試験期間終了時の三次試験(90±14日後のV3)により再び決定した。元々の試験参加者43人すべてについて、すべての試験が実施されたわけではなく、2つの群のそれぞれの調べた参加者の数は、以下の評価において述べる。
治療群とプラセボ群との間の決定したパラメータおよび指数に対する変化の比較により、歯周炎の治療におけるコラーゲン加水分解物の有効性を判定することが可能となる。
1.2 プロービング時の出血
プロービング時の出血(BoP)検査では、歯周プローブを歯肉ポケットに導入する。ここで生じる任意の出血は、急性炎症の確かな徴候である。
プロービング時の出血(BoP)検査では、歯周プローブを歯肉ポケットに導入する。ここで生じる任意の出血は、急性炎症の確かな徴候である。
プロービング時の出血検査をV1、V2およびV3試験で、歯周プローブPCP-11を使用する各場合において実施し、出血が生じたすべての歯肉ポケットの割合はここで、各患者に対してBoP[%]として検出した。結果を以下の表1に示す。
このような結果は、試験期間中のすべての患者における歯肉ポケット出血の割合は低下したが、治療群の参加者では、プラセボ群の参加者よりも有意に低下したことを示す。
1.3 プラークコントロールレコード
O’Leary et al. 1972に従ってプラークコントロールレコード(PCR)を決定するために、プラークを染色し、歯肉線全体に沿ったこの範囲(すなわち、歯の全側面)を光学的に記録した。パラメータは、評価した表面の全数と関連するプラーク陽性表面の数から、パーセントにより形成する。
O’Leary et al. 1972に従ってプラークコントロールレコード(PCR)を決定するために、プラークを染色し、歯肉線全体に沿ったこの範囲(すなわち、歯の全側面)を光学的に記録した。パラメータは、評価した表面の全数と関連するプラーク陽性表面の数から、パーセントにより形成する。
V1、V2およびV3試験におけるPCR[%]の結果を以下の表2に示す。
結果は、試験期間中のすべての患者におけるPCRは低下したが、治療群の参加者では、プラセボ群の参加者よりも有意に低下したことを示す。
1.4 歯肉炎指数
Loe 1967による歯肉炎指数(GI)(Lobene et al. 1986により改変)は、頬側の歯ぐきの急性炎症の状態の視覚的評価から、次のスキームに従って得る。
レベル0:炎症なし
レベル1:歯肉線または歯肉乳頭全体ではなく、歯ぐき領域に対する色の変化
レベル2:歯肉線または歯肉乳頭全体を包含する色の変化
レベル3:レベル2と同様であるが、顕著な赤み
Loe 1967による歯肉炎指数(GI)(Lobene et al. 1986により改変)は、頬側の歯ぐきの急性炎症の状態の視覚的評価から、次のスキームに従って得る。
レベル0:炎症なし
レベル1:歯肉線または歯肉乳頭全体ではなく、歯ぐき領域に対する色の変化
レベル2:歯肉線または歯肉乳頭全体を包含する色の変化
レベル3:レベル2と同様であるが、顕著な赤み
各患者では、歯肉炎指数GIは、すべての歯の指数の平均値として得る。歯肉炎指数の試験結果を以下の表3に示す。
結果は、試験期間中のすべての患者における歯肉炎指数が低下したこと、すなわち、歯ぐき炎症の急性度が低下したことを示す。しかし、この低下は、治療群の参加者において、プラセボ群の参加者よりも有意に大きい。
1.5 PISAスコア
PISAスコアは、歯周炎症の領域(歯周炎症表面積)の範囲をmm2で示す。PISAスコアは、上記のパラメータから算出することができ、結果は、以下の表4に示す。
PISAスコアは、歯周炎症の領域(歯周炎症表面積)の範囲をmm2で示す。PISAスコアは、上記のパラメータから算出することができ、結果は、以下の表4に示す。
結果は、試験期間中のすべての患者においてPISAスコアの有意な低下を示すが、このパラメータにおいても、治療群の参加者の変化は、プラセボ群の参加者よりもさらに顕著である。
1.6 要約
臨床試験は、プロービング時の出血、プラークコントロールレコード、歯肉炎指数およびPISAスコアのパラメータに基づいて、プラセボ群よりも有意に大きな歯周炎の改善が、コラーゲン加水分解物5gの連日投与により達成されたことを示す。この結果は、3か月の比較的短期間にわたって、両群が同一の従来治療(歯肉上下のプラーク除去)を受けることにより達成された。
臨床試験は、プロービング時の出血、プラークコントロールレコード、歯肉炎指数およびPISAスコアのパラメータに基づいて、プラセボ群よりも有意に大きな歯周炎の改善が、コラーゲン加水分解物5gの連日投与により達成されたことを示す。この結果は、3か月の比較的短期間にわたって、両群が同一の従来治療(歯肉上下のプラーク除去)を受けることにより達成された。
したがって、この結果は、歯周炎または歯肉炎の治療および/または予防における活性物質としてのコラーゲン加水分解物の有効性を明らかに実証する。
2.歯肉線維芽細胞に対する細胞検査
歯ぐきは、歯肉線維芽細胞(歯ぐき細胞)、およびこのような細胞により形成され、種々の型のコラーゲンおよびプロテオグリカンを含む細胞外マトリックスからなる。歯周炎または歯肉炎の場合では、このようなマトリックスタンパク質の生合成と分解との間のバランスも典型的に乱れている。したがって、線維芽細胞によるマトリックスタンパク質の合成を刺激することにより、歯周炎または歯肉炎に対抗することができる。
歯ぐきは、歯肉線維芽細胞(歯ぐき細胞)、およびこのような細胞により形成され、種々の型のコラーゲンおよびプロテオグリカンを含む細胞外マトリックスからなる。歯周炎または歯肉炎の場合では、このようなマトリックスタンパク質の生合成と分解との間のバランスも典型的に乱れている。したがって、線維芽細胞によるマトリックスタンパク質の合成を刺激することにより、歯周炎または歯肉炎に対抗することができる。
以下に記載する細胞検査では、ヒト歯肉線維芽細胞におけるマトリックスタンパク質I型コラーゲン、バイグリカンおよびデコリンの合成に対する、種々の平均分子量を有するコラーゲン加水分解物の刺激作用をin vitroで調べた。これは、リアルタイムPCRおよび半定量的評価により(コラーゲン加水分解物を有しない対照に基づいて)、対応するmRNAの発現を決定することによって達成した。
ヒト歯肉線維芽細胞を、外科的に摘出した歯ぐき組織から酵素分解により単離し、10%のウシ胎仔血清、20U/mlのペニシリン-ストレプトマイシンおよび50μg/mlのパルトリシンを補充したHAMs F12培地中で培養した。80%のコンフルエンスに達すると、培養培地を0.5mg/mlのコラーゲン加水分解物を補充した新たな培地と交換した。
細胞検査を3つの異なるコラーゲン加水分解:(1)上記臨床試験においても使用した、平均分子量およそ2,000Daを有するウシコラーゲン加水分解物、(2)平均分子量およそ3,000Daを有するブタコラーゲン加水分解物、および(3)平均分子量およそ6,000Daを有するウシコラーゲン加水分解物により実施した。
特定のコラーゲン加水分解物の存在下(または対照の場合は、コラーゲン加水分解物の非存在下)において24時間の線維芽細胞のインキュベーション後、細胞を回収および溶解し、次いで、全RNAを抽出および沈殿させた。
I型コラーゲン、バイグリカンおよびデコリンにおけるmRNAの量の半定量的評価の結果を図に示す。
したがって、調べたコラーゲン加水分解物の3つすべてによって、I型コラーゲン、バイグリカンおよびデコリンで構成される細胞外マトリックスタンパク質の、ヒト歯肉線維芽細胞によるin vitroでの合成の有意な刺激が引き起こされる。この作用は、平均分子量およそ2,000Daを有するコラーゲン加水分解物において、特に、I型コラーゲンおよびデコリンの合成の刺激に関して最も強力である。
この結果により、歯周炎または歯肉炎の治療および/または予防におけるコラーゲン加水分解物の有効性が確認される。ここでの作用の機構の少なくとも1つが、コラーゲン加水分解物作用下におけるマトリックスタンパク質の合成の増強による、歯ぐきの細胞外マトリックスの強化である。
Claims (15)
- 歯周炎または歯肉炎の治療および/または予防における活性物質としての使用のためのコラーゲン加水分解物。
- 栄養補助食品または医薬である、請求項1に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
- 経口投与される、請求項1または2に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
- 散剤、液剤、錠剤またはカプセル剤の形態で投与される、請求項3に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
- およそ1~およそ20gの1日用量、好ましくは、およそ2~およそ15gの1日用量、より好ましくは、およそ3~およそ10gの1日用量で投与される、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
- 歯周炎または歯肉炎、特に、慢性歯周炎を有する患者に投与される、請求項1から5のいずれか一項に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
- 歯周炎または歯肉炎のためのさらなる治療、特に、歯肉上下のプラークの機械的除去と併用して投与される、請求項6に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
- 歯周炎または歯肉炎の1つまたは複数のリスク因子が存在する患者に投与される、請求項1から5のいずれか一項に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
- 平均分子量500~15,000Da、好ましくは、1,000~8,000Da、より好ましくは、1,500~5,000Da、最も好ましくは、1,800~2,200Daを有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
- コラーゲン含有出発物質の酵素加水分解により生成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
- コラーゲン含有出発物質が、脊椎動物、好ましくは、哺乳類、鳥類または魚類の皮膚または骨から、特に、ウシまたはブタの皮膚から選択される、請求項10に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
- 異なる特異性を有する少なくとも2つのエンドプロテアーゼ、特に、少なくとも2つの異なるメタロプロテアーゼおよび/またはセリンプロテアーゼの連続的作用により生成される、請求項10または11に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
- メタロプロテアーゼおよび/またはセリンプロテアーゼが、微生物であるBacillus subtilis、Bacillus licheniformis、Bacillus amyloliquefaciens、Aspergillus oryzaeおよびAspergillus melleus由来の酵素から選択される、請求項12に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
- コラーゲン加水分解物のN末端アミノ酸の少なくとも50%が、疎水性アミノ酸、特に、アラニン、ロイシンおよびイソロイシンである、請求項12または13に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
- 組換え遺伝子発現により生成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の使用のためのコラーゲン加水分解物。
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