JP2023514937A - 熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれを含む成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれを含む成形品 Download PDF

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Abstract

本記載は、熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれを含む成形品に関し、より詳細には、(A)平均粒径40~120nmであるアルキルアクリレートゴムを含むアルキルアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体35~75重量%と;(B)重量平均分子量50,000~180,000g/molである芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体25~65重量%と;を含み、数式1で算出したアルキルアクリレートカバレッジ値(X)が70%以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれを含む成形品に関する。本発明によれば、衝撃強度、引張強度、伸び率などの機械的物性、透明性、着色性及び加工性に優れ、特に折り曲げ加工時に白化が発生しない無白化特性に優れた熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれを含む成形品を提供する効果がある。

Description

〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2021年01月22日付の韓国特許出願第10-2021-0009295号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として組み込まれる。
本発明は、熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれを含む成形品に関し、より詳細には、衝撃強度、引張強度、伸び率などの機械的物性、透明性、着色性及び加工性に優れ、特に折り曲げ加工時に白化が発生しない無白化特性に優れた熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれを含む成形品に関する。
ポリ塩化ビニル樹脂(以下、「PVC樹脂」という)及びポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、「PET樹脂」という)は、成形性に優れ、塗色及び塗装に比べて製造工程が単純であるため、室内家具又はインテリア用デコシートに広く使用されている素材である。しかし、PVC樹脂の場合、作業中の燃焼時に発生する塩化水素ガス、及び柔軟性のために可塑剤の投入量が多いため、有害性関連の論難があり、PET樹脂の場合、耐候性が不十分であるため、時間が経過すると、黄変現象による外観品質の低下が発生するという問題がある。
アルキルアクリレート化合物を含むアクリレート-スチレン-アクリロニトリル共重合体(以下、「ASA樹脂」という)は、耐候性、耐老化性、耐化学性、剛性、耐衝撃性及び加工性をすべて備えており、用途が多様であるため、自動車、雑貨及び建材分野などで広範囲に使用されており、その使用規模が持続的に増大している。
一方、市場で感性品質に対するニーズとそのレベルが高くなるにつれ、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂、PVC樹脂、PET樹脂、鉄板などの基材をASA樹脂組成物で仕上げ処理することによって高級な外観、優れた着色性及び耐候性を実現しようとする研究が進められている。
しかし、ASA樹脂の特性上、常温で仕上げ処理時に、基材の仕上げ処理過程で製品の形状に応じて裁断、折り曲げ、成形などの加工工程において製品の表面で白化現象が発生してしまい、本来の色を失って美観を害するようになる。このような現象は、ASA樹脂の内部に存在するクラックによる空隙により発生するため、これを改善するために、従来にはゴム含量を高めるなど、樹脂の軟質化を通じて解決しようとしたが、従来のASA樹脂組成物と異なる機械的物性により、用途に制限があった。
そのため、従来のASA樹脂組成物と類似の機械的物性及び表面硬度を有しながらも、透明性及び着色性に優れ、かつ白化現象が発生しない熱可塑性樹脂組成物の開発が要求されている実情である。
特公平7-033470
上記のような従来技術の問題点を解決するために、本記載は、衝撃強度、引張強度、伸び率などの機械的物性、透明性、着色性及び加工性に優れ、特に折り曲げ加工時に白化が発生しない無白化特性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
また、本記載は、前記の熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
また、本記載は、前記の熱可塑性樹脂組成物から製造される成形品を提供することを目的とする。
本記載の上記目的及びその他の目的は、以下で説明する本記載によって全て達成することができる。
上記の目的を達成するために、本記載は、(A)平均粒径40~120nmであるアルキルアクリレートゴムを含むアルキルアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体35~75重量%と;(B)重量平均分子量50,000~180,000g/molである芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体25~65重量%と;を含み、下記数式1で算出したアルキルアクリレートカバレッジ値(X)が70%以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供する。
[数式1]
X={(G-Y)/Y}×100
(前記数式1において、Gは、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対してゲル含量(重量%)、Yは、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対してゲル中のアルキルアクリレートの含量(重量%)を示す。)
また、本記載は、(A)平均粒径40~120nmであるアルキルアクリレートゴムを含むアルキルアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体35~75重量%と;(B)重量平均分子量50,000~180,000g/molである芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体25~65重量%と;を含み、前記(A)グラフト共重合体は、アルキルアクリレートゴム20~60重量%及び芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体40~60重量%を含んでなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
また、本記載は、(A)平均粒径40~120nmであるアルキルアクリレートゴムを含むアルキルアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体35~75重量%と、(B)重量平均分子量50,000~180,000g/molである芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体25~65重量%とを含んで200~300℃及び100~500rpmの条件下で混練及び押出するステップを含み、下記数式1で算出したアルキルアクリレートカバレッジ値(X)が70%以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供する。
[数式1]
X={(G-Y)/Y}×100
(前記数式1において、Gは、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対してゲル含量(重量%)、Yは、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対してゲル中のアルキルアクリレートの含量(重量%)を示す。)
また、本記載は、(A)平均粒径40~120nmであるアルキルアクリレートゴムを含むアルキルアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体35~75重量%と、(B)重量平均分子量50,000~180,000g/molである芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体25~65重量%とを含んで200~300℃及び100~500rpmの条件下で混練及び押出するステップを含み、前記(A)グラフト共重合体は、アルキルアクリレートゴム20~60重量%及び芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物60~80重量%を含んでなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供することができる。
また、本記載は、前記熱可塑性樹脂組成物を含むことを特徴とする成形品を提供する。
本発明によれば、衝撃強度、引張強度、伸び率などの機械的物性、透明性、着色性及び加工性に優れ、特に折り曲げ加工時に白化が発生しない無白化特性に優れた熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれを含む成形品を提供する効果がある。
実施例2及び比較例4で製造されたTダイ押出フィルムを落球衝撃後に撮影した写真である。
以下、本記載の熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれを含む成形品を詳細に説明する。
本発明者らは、所定の平均粒径を有するゴムを含むアルキルアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体と、芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体とを所定の比率で配合し、これに、アルキルアクリレートカバレッジ値を所定の範囲内に調整する場合、機械的物性、透明性及び着色性が改善され、裁断、折り曲げまたは成形などの加工工程によって白化現象が発生しない、無白化特性に優れることを確認し、これに基づいてさらに研究に邁進して本発明を完成するようになった。
本記載の熱可塑性樹脂組成物は、(A)平均粒径40~120nmであるアルキルアクリレートゴムを含むアルキルアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体35~75重量%と;(B)重量平均分子量50,000~180,000g/molである芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体25~65重量%と;を含み、下記数式1で算出したアルキルアクリレートカバレッジ値(X)が70%以上であることを特徴とする。
[数式1]
X={(G-Y)/Y}×100
(前記数式1において、Gは、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対してゲル含量(重量%)、Yは、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対してゲル中のアルキルアクリレートの含量(重量%)を示す。)
このような場合、衝撃強度、引張強度、伸び率などの機械的物性、透明性、着色性及び加工性に優れ、特に折り曲げ加工時に白化が発生しない無白化特性に優れるという利点がある。
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成別に詳細に説明する。
(A)アルキルアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体
前記(A)グラフト共重合体のアルキルアクリレートゴムは、一例として平均粒径が40~120nm、好ましくは50~120nm、より好ましくは60~120nm、さらに好ましくは70~120nm、より一層好ましくは80~110nmであってもよく、この範囲内で、最終製造される熱可塑性樹脂組成物に、優れた衝撃強度、耐光性及び光沢性を付与することができる。
本記載において、平均粒径は、動的光散乱法(Dynamic light scattering)を用いて測定することができ、詳細には、粒子測定器(製品名:Nicomp380、製造社:PSS)を用いてガウス(Gaussian)モードでインテンシティ(intensity)値で測定する。このとき、具体的な測定例として、サンプルとして、総固形分含量35~50重量%であるラテックス0.1gを蒸留水で1,000~5,000倍希釈して準備し、測定方法は、自動希釈(Auto-dilution)してフローセル(flow cell)で測定し、測定モードは、動的光散乱法(Dynamic light scattering)/インテンシティ(Intensity) 300KHz/強度-荷重ガウス分析(Intensity-weight Gaussian Analysis)とし、設定(setting)値は、温度23℃、測定波長632.8nm、チャンネル幅(channel width) 10μsecとして測定することができる。
前記(A)グラフト共重合体は、(A)及び(B)成分の総重量に対して、一例として35~75重量%、好ましくは45~65重量%、より好ましくは55~65重量%であり、この範囲内で、衝撃強度、引張強度、曲げ強度などの機械的物性、光沢性及び表面硬度に優れるという効果がある。
前記(A)グラフト共重合体は、一例として、(a-1)アルキルアクリレートゴム20~60重量%及び(a-2)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体40~80重量%を含んでなり、好ましくは、(a-1)アルキルアクリレートゴム30~50重量%及び(a-2)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体50~70重量%を含んでなり、より好ましくは、(a-1)アルキルアクリレートゴム40~50重量%及び(a-2)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体50~60重量%を含んでなり、この範囲内で、機械的物性、光沢性及び表面硬度に優れるという効果がある。
本記載において、ある化合物を含んでなる重合体とは、その化合物を含んで重合された重合体を意味するもので、重合体内の単位体がその化合物に由来する。
前記(a-1)アルキルアクリレートゴムは、一例として、芳香族ビニル化合物をさらに含むことができ、この場合、耐化学性及び耐衝撃性がさらに優れるという効果がある。前記(a-1)アルキルアクリレートゴム中に含まれる芳香族ビニル化合物の含量は、一例として前記アクリレートゴムの総100重量%に対して0.1~35重量%、好ましくは1~32重量%、より好ましくは5~30重量%、さらに好ましくは10~20重量%であってもよく、この範囲内で、物性の低下なしに、機械的物性、光沢性及び表面硬度に優れるという効果がある。
前記(a-2)共重合体は、一例として、アルキルアクリレートをさらに含んでなってもよく、この場合、耐衝撃性、耐候性、加工性及び無白化特性の物性バランスに優れるという効果がある。
前記(a-2)共重合体は、一例として、(a-2)共重合体の総100重量%に対して芳香族ビニル化合物55~85重量%、ビニルシアン化合物10~30重量%及びアルキルアクリレート0.1~35重量%を含んでなるものであり、好ましくは、芳香族ビニル化合物60~80重量%、ビニルシアン化合物15~25重量%及びアルキルアクリレート1~25重量%を含んでなるものであり、より好ましくは、芳香族ビニル化合物60~75重量%、ビニルシアン化合物15~22重量%及びアルキルアクリレート5~22重量%を含んでなるものであってもよく、この範囲内で、耐衝撃性及び耐候性がさらに優れるという効果がある。
前記(A)グラフト共重合体は、一例として乳化重合により製造されてもよく、この場合、光沢性及び表面硬度に優れるという効果がある。
前記乳化重合は、本発明の属する技術分野で通常行われる乳化グラフト重合方法による場合、特に制限されない。
前記アルキルアクリレートは、一例として、アルキル基の炭素数が1~15であるアルキルアクリレートであってもよく、好ましくは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルブチルアクリレート、オクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、n-ペンチルアクリレート及びラウリルアクリレートからなる群から選択された1種以上であってもよく、より好ましくは、炭素数が2~8個であるアルキルアクリレートであってもよく、さらに好ましくは、ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレートまたはこれらの混合物であってもよく、より一層好ましくは、ブチルアクリレートであってもよい。
前記芳香族ビニル化合物は、一例として、スチレン、α-メチルスチレン、ο-メチルスチレン、p-メチルスチレン、m-メチルスチレン、エチルスチレン、イソブチルスチレン、t-ブチルスチレン、ο-ブロモスチレン、p-ブロモスチレン、m-ブロモスチレン、ο-クロロスチレン、p-クロロスチレン、m-クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、フルオロスチレン及びビニルナフタレンからなる群から選択された1種以上であってもよく、好ましくは、スチレン及びα-メチルスチレンからなる群から選択された1種以上、さらに好ましくはスチレンであってもよく、この場合、流動性が適切であるので加工性に優れ、耐衝撃性などの機械的物性に優れるという効果がある。
前記ビニルシアン化合物は、一例として、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エチルアクリロニトリル及びイソプロピルアクリロニトリルからなる群から選択された1種以上であってもよく、好ましくはアクリロニトリルである。
前記(A)グラフト共重合体は、一例として、下記数式3で算出したグラフト率が60%以上、好ましくは60~150%、より好ましくは65~140%、さらに好ましくは65~130%、より一層好ましくは65~120%であってもよく、この範囲内で、光沢性、着色性及び透明度に優れるという利点がある。
[数式3]
グラフト率(%)=[グラフトされた単量体の重量(g)/ゴム質の重量(g)]×100
(前記数式3において、グラフトされた単量体の重量(g)は、グラフト共重合体をアセトンに溶解させ、遠心分離した後の不溶性物質(ゲル:gel)の重量(g)からゴム質の重量(g)を引いた重量であり、ゴム質の重量(g)は、グラフト共重合体粉末中の理論上投入されたゴム質成分の重量(g)である。)
前記不溶性物質(gel)の重量は、(A)グラフト共重合体の乾燥粉末0.5gをアセトン50mlに加えた後、常温で12時間撹拌し、これを遠心分離して、アセトンに溶けなかった不溶分のみを採取して12時間乾燥させた後に測定した重量であり、ゴム質の重量(g)は、(A)グラフト共重合体の乾燥粉末0.5g中に投入された理論上のゴム質成分の重量(g)である。
具体的な測定例として、前記不溶性物質(gel)の重量は、グラフト共重合体の乾燥粉末0.5gをアセトン50mlに加えた後、常温で撹拌機(Orbital Shaker、装置名:Lab companion SKC-6075)を用いて210rpmで12時間撹拌し、これを遠心分離機(ハンイル科学社のSupra R30)を用いて0℃で18,000rpmで3時間遠心分離して、アセトンに溶けなかった不溶分のみを採取して、オーブン(Forced Convection Oven;装置名:Lab companion OF-12GW)で85℃で強制循環乾燥方式で12時間乾燥させた後、重量を測定する。
(B)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体
前記(B)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体は、前記(A)及び(B)成分の総重量に対して、一例として25~65重量%、好ましくは35~55重量%、より好ましくは40~50重量%であり、この範囲内で、衝撃強度、引張強度、曲げ強度などの機械的物性、表面硬度、透明性及び着色性に優れ、特に折り曲げ加工時に白化が発生しない無白化特性に優れる。
前記(B)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体は、一例として、重量平均分子量が50,000~180,000g/mol、好ましくは60,000~180,000g/mol、より好ましくは100,000~180,000g/molであってもよく、この範囲内で、耐候性がさらに優れ、引張強度及び衝撃強度に優れるという効果がある。
本記載において、重量平均分子量は、別途に定義しない限り、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー;Gel Permeation Chromatography、waters breeze)を用いて測定することができ、具体例として、溶出液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用い、GPC(Gel Permeation Chromatography、waters breeze)を通じて、標準PS(標準ポリスチレン;standard polystyrene)試料に対する相対値として測定することができる。このとき、具体的な測定例として、溶媒はTHF、カラム温度は40℃、流速は0.3ml/分、試料の濃度は20mg/ml、注入量は5μlとし、カラムモデルは、1×PLgel 10μm MiniMix-B(250×4.6mm)+1×PLgel 10μm MiniMix-B(250×4.6mm)+1×PLgel 10μm MiniMix-B Guard(50×4.6mm)、測定機器は、Agilent 1200シリーズシステム、屈折率検出器(Refractive index detector):Agilent G1362 RID、RI温度は35℃、データの処理はAgilent ChemStation S/W、及び試験方法はOECD TG 118の条件で測定することができる。
前記(B)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体は、一例として、芳香族ビニル化合物55~85重量%及びビニルシアン化合物15~45重量%を含んでなり、好ましくは、芳香族ビニル化合物60~80重量%及びビニルシアン化合物20~40重量%を含んでなり、より好ましくは、芳香族ビニル化合物65~75重量%及びビニルシアン化合物25~35重量%を含んでなり、この場合、加工性及び光沢性に優れると共に、無白化特性に優れるという利点がある。
前記(B)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体は、好ましくは、スチレン-アクリロニトリル共重合体(SAN樹脂)、α-メチルスチレン-アクリロニトリル共重合体(耐熱SAN樹脂)、またはこれらの混合物であり、より好ましくはスチレン-アクリロニトリル共重合体(SAN樹脂)であり、この場合、カレンダー加工性及び押出加工性に優れると共に、透明性に優れるという効果がある。
前記(B)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体に含まれた芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物の種類は、本記載の(A)グラフト共重合体に含まれる芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物の種類と同じ範疇内のものであってもよい。
前記(B)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体は、溶液重合、塊状重合、乳化重合または懸濁重合により製造されてもよく、好ましくは塊状重合であってもよく、この場合、耐熱性及び流動性などに優れるという効果がある。
前記溶液重合、塊状重合、乳化重合及び懸濁重合は、それぞれ、本発明の属する技術分野で通常行われる溶液重合及び塊状重合方法による場合、特に制限されない。
熱可塑性樹脂組成物
本記載の熱可塑性樹脂組成物は、好ましくは、下記数式1で計算されるアルキルアクリレートカバレッジ値(X)が70%以上、好ましくは70~150%、より好ましくは70~140%、さらに好ましくは70~135%、より一層好ましくは75~130%、特に好ましくは80~130%、特にさらに好ましくは85~110%であってもよく、この範囲内で、透明性及び着色性に優れると共に、特に折り曲げ加工時に白化が発生しない無白化特性に優れるという効果がある。
[数式1]
X={(G-Y)/Y}×100
(前記数式1において、Gは、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対してゲル含量(重量%)、Yは、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対してゲル中のアルキルアクリレートの含量(重量%)を示す。)
前記数式1において、熱可塑性樹脂組成物のゲル中のアルキルアクリレートの含量は、ゲル含量を求める過程で採取した不溶分中のアルキルアクリレートの含量(投入された熱可塑性樹脂組成物の総100重量%基準)を示す。ここで、ゲル含量は、熱可塑性樹脂組成物の総100重量%を基準とした不溶分の含量を示す。
前記ゲル中のアルキルアクリレートの含量は、NMR分析器又はFT-IRを用いて測定することができる。
前記ゲル含量は、熱可塑性樹脂組成物1gをアセトン30gに加えた後、常温で12時間撹拌し、これを遠心分離して、アセトンに溶けなかった不溶分のみを採取して12時間乾燥させた後に重量を測定し、下記数式2で算出する。具体的な測定例としては、熱可塑性樹脂組成物1gをアセトン30gに加えた後、常温で12時間、撹拌機(Orbital Shaker、装置名:Lab companion SKC-6075)を用いて210rpmで撹拌し、これを遠心分離機(ハンイル科学社のSupra R30)を用いて0℃で18,000rpmで3時間遠心分離して、アセトンに溶けなかった不溶分のみを採取して、オーブン(Forced Convection Oven;装置名:Lab companion OF-12GW)で85℃で強制循環乾燥方式で12時間乾燥させた後、重量を測定することができる。
[数式2]
ゲル含量(%)=[不溶分(ゲル)の重量(g)/試料の重量(g)]×100
本記載において、アルキルアクリレートカバレッジ値は、熱可塑性樹脂組成物においてアルキルアクリレートゴムにグラフトされた芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の分散の程度を測定するパラメータである。この値が高いほど、アルキルアクリレートゴムに芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体が均一にグラフトされてゴムを均一に囲む形態となるので、光沢性が高く、引張強度、着色性及び無白化特性に優れるという効果がある。また、アルキルアクリレートカバレッジ値が高いほど、ゴム粒子間の距離が狭くなり、熱可塑性樹脂組成物の内部に発生するクラックによる空隙が減少することで、折り曲げ時に白化現象が抑制される効果がある。
前記アルキルアクリレートカバレッジ値と前記グラフト率との差は、アルキルアクリレートカバレッジ値は、熱可塑性樹脂組成物中でアルキルアクリレートにグラフトされた芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体の分散の程度を測定したものであり、グラフト率は、アルキルアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体においてアルキルアクリレートに芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物重合体がグラフトされた程度を算出したものである。
また、前記アルキルアクリレートカバレッジ値は、NMR分析器又はFT-IRを用いて、熱可塑性樹脂組成物中に実際に存在するアルキルアクリレートの含量から算出され、グラフト率は、重合時に投入されたゴム質成分の含量から算出されるという差がある。
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、ASTM D256に準拠して測定したアイゾット衝撃強度(試験片の厚さ1/4”、常温)が3kgf・cm/cm以上、好ましくは3.5~9kgf・cm/cm、より好ましくは4~8.5kgf・cm/cm、さらに好ましくは4.5~8kgf・cm/cmであり、この範囲内で、物性バランス及び無白化特性に優れるという効果がある。
本記載において、常温は、20±5℃の範囲内の一地点であってもよい。
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、ガードナー衝撃試験機(Gardner impact tester)を用いて1kg重量の錘を25cmの高さから厚さ0.15mm×横10cm×縦10cmの押出フィルム上に垂直に落下させたとき、前記錘によって衝撃を受けた衝撃部で衝撃前後のヘイズをASTM D1003に準拠して測定したヘイズ差(△haze)が、10以下、好ましくは7以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは0.1~5、より一層好ましくは0.1~4.5、特に好ましくは0.1~4であり、この場合、外部からの衝撃(打撃)に対する無白化特性が優れるので、外観品質に優れるという効果がある。
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、Tダイ押出機を用いて厚さ0.15mmのシートを製造した後、製造されたシートを長さ100cmに切断した後、両端から2~3cmを除いた部分の厚さを10ヶ所以上測定して、最大厚さと最小厚さとの差で計算した厚さの偏差が0.05mm以下、好ましくは0.03mm以下、より好ましくは0.001~0.03mmであり、この場合、物性バランス及び無白化特性に優れ、押出成形性に優れるという効果がある。
前記Tダイ押出機でシートを押出する具体的な例としては、Tダイ押出機を用いて、押出スクリュー速度100~200rpm、押出温度200~300℃、3軸のロール温度80~90℃及びロール回転速度1~5m/分下で、厚さ0.15mmのシートを製造することができる。
前記Tダイ押出機は、一例として、韓国E.M社のST32HS(Twin screw、32Τ、L/D=44)を用いることができる。
本記載において、厚さは、Mitutoyo社のABSOLUTE ID-C1012BSで測定することができる。
前記熱可塑性樹脂組成物は、Tダイ押出加工性に優れるものであって、一例として、Tダイ押出機を用いて、押出スクリュー速度150~200rpm、押出温度200~300℃、3軸のロール温度80~90℃及びロール回転速度2~4m/分で押出時に、シートが裂けることなく押出することができ、この場合、物性バランス及び無白化特性に優れ、高いロール回転速度でも押出加工性に優れる。
前記Tダイ押出加工性は、具体的な測定例として、Tダイ押出機(韓国E.M社のST32HS、Twin screw、32Τ、L/D=44)を用いて、押出スクリュー速度150~200rpm、押出温度200~300℃、3軸のロール温度80~90℃、ロール回転速度2~4m/分で押出して、厚さ0.15mmのシートを製造することができる。
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、ロールミル機器でカレンダー加工を行った後に製造された総長さ30cmのシートの両端から2~3cmを除いた部分の厚さを10ヶ所以上測定して、最大厚さと最小厚さとの差で計算した厚さの偏差が0.05mm以下であり、好ましくは0.04mm以下であり、より好ましくは0.03mm以下であり、さらに好ましくは0.005~0.03mmであり、この範囲内で、シートの品質及び物性バランスに優れると共に、カレンダー加工性に優れるという効果がある。
前記カレンダー加工の具体的な例は、ロールミル機器で2本のカレンダーロールの温度180~220℃、カレンダーロールの速度8~12rpm、及びカレンダーロール間の間隔0.3mmとして、厚さ0.3mmのシートを製造することができる。
本記載において、カレンダー加工は、一例として、ロールミル機器(Mirae RPM(株)社のMR-LM0820)を用いて行うことができる。
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、ASTM D638に準拠して試験片の厚さ3.2mm及びクロスヘッド速度50mm/分下で測定した引張強度が280kgf/cm以上、好ましくは300kgf/cm以上、より好ましくは300~600kgf/cm、さらに好ましくは350~550kgf/cmであってもよく、この範囲内で、物性バランス及び無白化特性に優れるという効果がある。
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、ASTM D638に準拠して試験片の厚さ3.2mm及びクロスヘッド速度50mm/分下で測定した伸び率が47%以上、好ましくは52%以上、より好ましくは52~80%、さらに好ましくは55~75%であり、この範囲内で、物性バランス、加工性及び無白化特性に優れるという効果がある。
前記熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて選択的に熱安定剤、光安定剤、染料、顔料、着色剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、抗菌剤、加工助剤、金属不活性化剤、難燃剤、煙抑制剤、滴下防止剤、耐摩擦剤及び耐摩耗剤からなる群から選択された1種以上を、前記(A)グラフト共重合体と(B)共重合体を合わせた100重量部を基準として、それぞれ0.01~5重量部、好ましくは0.05~3重量部、より好ましくは0.1~2重量部、さらに好ましくは0.2~1.5重量部さらに含むことができ、この範囲内で、本記載の熱可塑性樹脂組成物本来の物性を低下させないながらも、必要な物性が良好に実現されるという効果がある。
前記熱安定剤は、好ましくは、1次熱安定剤及び2次熱安定剤を含むことができる。
前記1次熱安定剤は、好ましくは、フェノール系熱安定剤であってもよく、より好ましくは、2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-t-ペンチルフェニルアクリレート、1,6-ヘキサンジオールビス-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオジエチレンビス-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、トリス(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-t-ブチルベンジル)イソシアヌレート、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス[(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、トリス(4-t-ブチル-2,6-ジメチル-3-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)テレフタレート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-{β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-フェニル)プロピオニルオキシ}エチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、2,2-ビス[4-(2-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシハイドロシンナモイルオキシ)エトキシフェニル]プロパン、及びβ-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリルエステルからなる群から選択された1種以上であってもよく、より好ましくは、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン酸(octadecyl-3-(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyphenyl)propanoate;IR1076)であってもよい。
前記2次熱安定剤は、好ましくは、リン系熱安定剤であってもよく、より好ましくは、ビス(ジアルキルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトエステル、ホスファイトエステル、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリデシルホスファイト、(オクチル)ジフェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)-1,1,3-トリス(2-メチル-5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)ブタンジホスファイト、テトラ(C12-C15混合アルキル)-4,4’-イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、テトラ(トリデシル)-4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)ジホスファイト、トリス(モノ-及びジ-混合ノニルフェニル)ホスファイト、水素化-4,4’-イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、フェニル(4,4’-イソプロピリデンジフェノール)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス[4,4’-イソプロピリデンビス(2-t-ブチルフェノール)]ホスファイト、ジ(イソデシル)フェニルホスファイト、4,4’-イソプロピリデンビス(2-t-ブチルフェノール)ビス(ノニルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスファイト、2-[{2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンズ[d,f][1.3.2]-ジオキサ-ホスフェピン-6-イル}オキシ]-N,N-ビス[2-[{2,4,8,10-テトラ-t-ブチル-ジベンズ[d,f][1.3.2]-ジオキサホスフェピン-6-イル}オキシ]エチル]-エタンアミン、及び6-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンズ[d,f][1.3.2]-ジオキサホスフェピンからなる群から選択された1種以上であってもよく、より好ましくは、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(Tris(2,4-di-tert-butylphenyl)phosphite;IF168)であってもよい。
前記滑剤は、好ましくは、脂肪族アミド系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、及びオレフィン系ワックスからなる群から選択された1種以上であってもよい。
前記脂肪族アミド系滑剤は、好ましくは、ステアルアミド(stearamide)、オレアミド(oleamide)、エルカミド(erucamide)、エチレンビスステアロアミド(ethylene bis stearamide)、及びエチレンビスオレアミド(ethylene bis oleamide)からなる群から選択された1種以上であってもよい。
前記脂肪酸エステル系滑剤は、好ましくは、アルコールまたは多価アルコールの脂肪酸エステル、硬化油、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸モノグリセリド、テトラステアリン酸ペンタエリトリトール、ステアリン酸ステアリル、エステルワックス及びアルキルリン酸エステルからなる群から選択された1種以上であってもよい。
前記オレフィン系ワックスは、好ましくはポリエチレンワックスであってもよい。
前記光安定剤は、一例として、HALS系紫外線安定剤及びベンゾトリアゾール系紫外線安定剤からなる群から選択された1種以上であってもよく、好ましくは、HALS系紫外線安定剤とベンゾトリアゾール系紫外線安定剤との混合物であってもよい。
前記HALS系紫外線安定剤は、好ましくは、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート(bis-(2,2,6,6-tetramethyl-4-piperidinyl)sebacate;UV 770)、ビス[N-メチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル]セバケート(bis-[N-methyl-2,2,6,6-tetramethyl-4-piperidinyl] sebacate)及びコハク酸ジメチル-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(succinic acid dimethyl-1-(2-hydroxyethyl)-4-hydroxy-2,2,6,6-tetramethylpiperidine;Tinuvin 622)からなる群から選択された1種以上であってもよく、より好ましくは、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート(bis-(2,2,6,6-tetramethyl-4-piperidinyl)sebacate;UV 770)である。
前記ベンゾトリアゾール系紫外線安定剤は、好ましくは、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)-ベンゾトリアゾール(2-(2’-Hydroxy-5’-t-octylphenyl)-benzotriazole;Cyasorb UV-541)、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(2-(2’-Hydroxy-5’-methylphenyl)benzotriazole;Tinuvin-P)、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロ-ベンゾトリアゾール(2-(2’-Hydroxy-3’-tert-butyl-5’-methylphenyl)-5-chloro-benzotriazole;Tinuvin-326)、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ditert-ブチルフェニル)-5-クロロ-ベンゾトリアゾール(2-(2’-Hydroxy-3’,5’-ditert-butylphenyl)-5-chloro-benzotriazole;Tinuvin-327)、2-(2’-ヒドロキシ-3,5-ditert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(2-(2’-Hydroxy-3,5-ditert-amylphenyl)benzotriazole;Tinuvin-328)、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ(1,1-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール(2-(2’-hydroxy-3’,5’-di(1,1-dimethylbenzyl)phenyl]-2H-benzotriazole;Tinuvin-234)、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール(2-(2’-hydroxy-3’,5’-di-t-butylphenyl)benzotriazole;Tinuvin-320)、及び2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール(2-(2H-benzotriazole-2-yl)-4-(1,1,3,3-tetramethylbutyl)phenol;UV 329)からなる群から選択された1種以上であってもよく、より好ましくは、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール(2-(2H-benzotriazole-2-yl)-4-(1,1,3,3-tetramethylbutyl)phenol;UV 329)であってもよい。
熱可塑性樹脂組成物の製造方法
本記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、(A)平均粒径40~120nmであるアルキルアクリレートゴムを含むアルキルアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体35~75重量%と、(B)重量平均分子量50,000~180,000g/molである芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体25~65重量%とを含んで200~300℃及び100~500rpmの条件下で混練及び押出するステップを含み、下記数式1で算出したアルキルアクリレートカバレッジ値(X)が70%以上であることを特徴とする。
[数式1]
X={(G-Y)/Y}×100
(前記数式1において、Gは、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対してゲル含量(重量%)、Yは、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対してゲル中のアルキルアクリレートの含量(重量%)を示す。)
このような場合、衝撃強度、引張強度、伸び率などの機械的物性、透明性、着色性及び加工性に優れ、特に折り曲げ加工時に白化が発生しない無白化特性に優れるという利点がある。
前記熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、前述した熱可塑性樹脂組成物の全ての技術的特徴を共有する。したがって、重複部分についての説明は省略する。
前記溶融混練及び押出するステップは、好ましくは、押出混練機を用いて200~300℃下で10~199ファイの規格で行うものであってもよく、より好ましくは、210~260℃下で20~80ファイの規格で行うものであってもよく、さらに好ましくは、220~250℃下で25~75ファイの規格で行うものであり、この範囲内で、安定した押出が可能であり、混練効果に優れる。このとき、温度は、シリンダーに設定された温度であり、ファイは、スクリューの外径(単位:mm)を意味する。
前記押出混練機は、本発明の属する技術分野で通常用いられる押出混練機であれば、特に制限されず、好ましくは二軸押出混練機であってもよい。
成形品
本記載の成形品は前記熱可塑性樹脂組成物を含むことを特徴とし、この場合、衝撃強度、引張強度、曲げ強度などの機械的物性、表面硬度、透明性及び着色性に優れ、特に折り曲げ加工時に白化が発生しない無白化特性に優れることで高品質の外観を提供できるため、フィルムやシート製品に適用され得る。
前記成形品は、好ましくは、射出成形品、カレンダー加工成形品、またはTダイ押出成形品であってもよく、この場合、衝撃強度、引張強度、曲げ強度などの機械的物性、表面硬度、透明性及び着色性だけでなく無白化特性が全て優れるという効果がある。
前記成形品は、好ましくは、仕上げ用デコシート、屋外用建築資材仕上げ材、または屋根用仕上げ材であってもよい。
前記成形品の製造方法は、好ましくは、(A)平均粒径40~120nmであるアルキルアクリレートゴムを含むアルキルアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体35~75重量%と、(B)重量平均分子量50,000~180,000g/molである芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体25~65重量%とを含んで200~300℃及び100~500rpmの条件下で混練及び押出して押出物を製造するステップと;前記押出物を成形温度180~300℃で射出成形、カレンダー成形またはTダイ押出成形して成形品を製造するステップと;を含み、このような場合、衝撃強度、引張強度、曲げ強度などの機械的物性、表面硬度、透明性及び着色性に優れ、特に折り曲げ加工時に白化が発生しない無白化特性に優れるという効果がある。
前記押出物は、一例として、ペレット状または板状の形態であってもよい。
本記載において、板状の形態は、本発明の属する技術分野で通常の板状の形態として定義するものであれば、特に制限されず、一例として、平たい形状、シート状、フィルム状などを含むことができる。
前記成形品を製造するステップは、好ましい例として、製造された押出物をカレンダー温度140~220℃の条件下でシートとしてカレンダー成形することを含むことができ、このような場合、加工性に優れ、表面が均一なシート成形品を容易に製造できるという利点がある。
本記載において、カレンダー成形は、押出物をカレンダーロールを含むカレンダー工程によって圧延するもので、本発明の属する技術分野で通常用いる方法による場合、特に制限されないが、好ましくは、シート原料を130~200℃下でミキサーで混合するステップと、混合された原料を170~200℃下でベースシートとして製造するステップと、ベースシートを140~220℃下でカレンダーロールを用いてシートとして製造するステップとを含むことができる。ここで、ベースシート製造ステップは、一例として、ミキシングロールを用いることができる。
他の好ましい例として、前記成形品を製造するステップは、製造された押出物を射出温度200~260℃、射出圧力60~100bar及び保圧25~55barの条件下で射出成形することを含むことができ、このような場合、衝撃強度などの機械的物性に優れた射出成形品を容易に製造できるという利点がある。
前記射出温度は、好ましくは200~250℃、より好ましくは210~240℃であり、この範囲内で、衝撃強度などの機械的物性に優れた射出成形品を容易に製造できるという利点がある。
前記射出圧力は、好ましくは70~90bar、より好ましくは75~85barであり、この範囲内で、衝撃強度などの機械的物性に優れた射出成形品を容易に製造できるという利点がある。
前記保圧は、好ましくは30~50barであってもよく、より好ましくは35~50barであり、この範囲内で、衝撃強度などの機械的物性に優れた射出成形品を容易に製造できるという利点がある。
更に他の好ましい例として、前記成形品を製造するステップは、製造された押出物を押出温度200~300℃、押出スクリュー速度50~200rpm、3軸のロール温度60~100℃及びロール回転速度1~5m/分下でTダイ押出成形することを含むことができ、このような場合、加工性に優れ、表面が均一なシート成形品を容易に製造できるという利点がある。
本記載の熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及び成形品を説明するにおいて、明示的に記載していない他の条件や装置などは、当業界において通常行われる範囲内で適宜選択することができ、特に制限されないことを明示する。
以下、本記載の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、以下の実施例は、本記載を例示するものに過ぎず、本記載の範疇及び技術思想の範囲内で様々な変更及び修正が可能であることは当業者にとって明らかであり、このような変更及び修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然である。
[実施例]
下記の実施例及び比較例で用いられた物質は、次の通りである。
*(A-1)ASAグラフト共重合体:乳化重合方式で製造されたアルキルアクリレートゴムの平均粒径100nmのASAグラフト共重合体(コア:ブチルアクリレート38重量%、スチレン7重量%、シェル:ブチルアクリレート4重量%、スチレン40重量%及びアクリロニトリル11重量%、グラフト率70%)
*(A-2)ASAグラフト共重合体:乳化重合方式で製造されたアルキルアクリレートゴムの平均粒径50nmのASAグラフト共重合体(コア:ブチルアクリレート38重量%、スチレン7重量%、シェル:ブチルアクリレート4重量%、スチレン40重量%及びアクリロニトリル11重量%、グラフト率70%)
*(A-3)ASAグラフト共重合体:乳化重合方式で製造されたアルキルアクリレートゴムの平均粒径100nmのASAグラフト共重合体(コア:ブチルアクリレート37重量%、スチレン3重量%、シェル:ブチルアクリレート12重量%、スチレン37重量%及びアクリロニトリル11重量%、グラフト率120%)
*(A-4)ASAグラフト共重合体:乳化重合方式で製造されたアルキルアクリレートゴムの平均粒径100nmのASAグラフト共重合体(コア:ブチルアクリレート32重量%、スチレン13重量%、シェル:ブチルアクリレート4重量%、スチレン40重量%及びアクリロニトリル11重量%、グラフト率70%)
*(A-5)ASAグラフト共重合体:乳化重合方式で製造されたアルキルアクリレートゴムの平均粒径100nmのASAグラフト共重合体(コア:ブチルアクリレート30重量%、シェル:ブチルアクリレート12重量%、スチレン47重量%及びアクリロニトリル11重量%、グラフト率70%)
*(A-6)ASAグラフト共重合体:乳化重合方式で製造されたアルキルアクリレートゴムの平均粒径150nmのASAグラフト共重合体(コア:ブチルアクリレート38重量%、スチレン7重量%、シェル:ブチルアクリレート4重量%、スチレン40重量%及びアクリロニトリル11重量%、グラフト率70%)
*(A-7)ASAグラフト共重合体:乳化重合方式で製造されたアルキルアクリレートゴムの平均粒径30nmのASAグラフト共重合体(コア:ブチルアクリレート38重量%、スチレン7重量%、シェル:ブチルアクリレート4重量%、スチレン40重量%及びアクリロニトリル11重量%、グラフト率70%)
*(B-1)SAN樹脂:重量平均分子量170,000g/mol(LG化学社の97HC)
*(B-2)SAN樹脂:バルク重合方式のアクリロニトリル-スチレン共重合体(重量平均分子量30,000g/mol、スチレン75重量%及びアクリロニトリル25重量%)
*(B-3)SAN樹脂:バルク重合方式のアクリロニトリル-スチレン共重合体(重量平均分子量200,000g/mol、スチレン75重量%及びアクリロニトリル25重量%)
実施例1~7及び比較例1~8
それぞれ、下記表1及び表2に記載された成分及び含量と共に、滑剤としてPasflow7501(Patechfine chemical社)1重量部、酸化防止剤としてIrgonox 1076(BASF社)及びIrgafos 168(BASF社)のそれぞれ0.5重量部、及び紫外線安定剤としてTinuvin 770(BASF社)及びSunsorb 329(Sunfine Global社)のそれぞれ0.5重量部を二軸押出機に投入し、230℃及び150rpm下で溶融混練及び押出してペレットを製造した。以降、製造されたペレットを、射出機(ENGEL社のVC 330/80 TECJ PRO)を用いて成形温度220℃、射出圧力50bar及び保圧35bar下で射出して、外観及び物性測定用試験片を作製し、これを用いて、衝撃強度、引張強度、曲げ強度、表面硬度、光沢性、光透過率及びヘイズを測定した。さらに、前記製造されたペレットを、Tダイ押出機(韓国E.M社のST32HS(Twin screw、32Τ、L/D=44))を用いてスクリュー速度150~200rpm、温度200~250℃、3軸のロール温度80℃、ロール回転速度1.5m/分として、厚さ0.15Tのフィルムとして製造し、落球衝撃による無白化特性を評価した。
[試験例]
前記実施例1~7及び比較例1~8で製造された射出試験片及び押出試験片の特性を下記の方法により測定し、その結果を下記の表1、表2及び図1に示した。
測定方法
*アルキルアクリレートカバレッジ値(%):下記数式1で算出した。
[数式1]
X={(G-Y)/Y}×100
(前記数式1において、Gは、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対してゲル含量(重量%)、Yは、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対してゲル中のアルキルアクリレートの含量(重量%)を示す。)ここで、ゲル中のアルキルアクリレートの含量は、NMR分析器又はFT-IRを用いて定量的に測定した。
H NMR
-装置名:Bruker 600MHz NMR(AVANCE III HD) CPP BB(1H 19F tunable and broadband,with z-gradient) Prodigy Probe
-測定条件:H NMR(zg30):ns=32、d1=5s、TCE-d2、at room temp.
FT-IR
-装置名:Agilent Cary 660
-測定条件:ATRモード
前記ゲル含量は、熱可塑性樹脂組成物ペレット1gをアセトン30gに加えた後、常温で12時間、撹拌機(Orbital Shaker、装置名:Lab companion SKC-6075)を用いて210rpmで撹拌し、これを遠心分離機(ハンイル科学社のSupra R30)を用いて0℃で18,000rpmで3時間遠心分離して、アセトンに溶けなかった不溶分のみを採取して、オーブン(Forced Convection Oven;装置名:Lab companion OF-12GW)で85℃で強制循環乾燥方式で12時間乾燥させた後、重量を測定し、下記数式2で算出した。
[数式2]
ゲル含量(重量%)=[不溶分(ゲル)の重量(g)/試料の重量(g)]×100
*グラフト率(%):グラフト共重合体の乾燥粉末0.5gをアセトン50mlに加えた後、常温で12時間撹拌し、これを遠心分離して、アセトンに溶けなかった不溶分のみを採取して12時間乾燥させた後、重量を測定し、下記数式3で算出した。
[数式3]
グラフト率(%)=[グラフトされた単量体の重量(g)/ゴム質の重量(g)]×100
(前記数式3において、グラフトされた単量体の重量(g)は、グラフト共重合体をアセトンに溶解させ、遠心分離した後の不溶性物質(gel)の重量(g)からゴム質の重量(g)を引いた重量であり、ゴム質の重量(g)は、グラフト共重合体粉末中の理論上投入されたゴム質成分の重量(g)である。)
具体的に、前記不溶性物質(gel)の重量は、グラフト共重合体の乾燥粉末0.5gをアセトン50mlに加えた後、常温で撹拌機(Orbital Shaker、装置名:Lab companion SKC-6075)を用いて210rpmで12時間撹拌し、これを遠心分離機(ハンイル科学社のSupra R30)を用いて0℃で18,000rpmで3時間遠心分離して、アセトンに溶けなかった不溶分のみを採取して、オーブン(Forced Convection Oven;装置名:Lab companion OF-12GW)で85℃で強制循環乾燥方式で12時間乾燥させた後、重量を測定した。
*アイゾット衝撃強度(kgf・cm/cm):常温下で射出試験片(厚さ1/4”)を用いて、ASTM D256に準拠して測定した。
*引張強度(kgf/cm):ASTM D638に準拠して、射出試験片(厚さ3.2mm)及びクロスヘッド速度50mm/分で引張強度を測定した。
*伸び率(%):ASTM D638に準拠して、射出試験片(厚さ3.2mm)及びクロスヘッド速度50mm/分で伸び率を測定した。
*落球衝撃による無白化特性:ガードナー衝撃試験機(Gardner impact tester)を用いて1kg重量の錘を25cmの高さから厚さ0.15mm×横10cm×縦10cmのTダイ押出フィルム上に垂直に落下させたとき、前記錘によって衝撃を受けた衝撃部で白化現象が発生するか否かを目視で判断し、下記の基準により評価した。
○:白化現象が発生せず、無白化特性に優れる
×:白化現象が多量発生し、無白化特性が不良である
*落球によるヘイズ差(△haze):ガードナー衝撃試験機(Gardner impact tester)を用いて1kg重量の錘を25cmの高さから厚さ0.15mm×横10cm×縦10cmのTダイ押出フィルム上に垂直に落下させたとき、前記錘によって衝撃を受けた衝撃部で衝撃前後のヘイズをASTM D1003に準拠して測定し、下記数式4で計算した。
[数式4]
ヘイズ差(△haze)=落球後のヘイズ値-落球前のヘイズ値
*カレンダー加工後の厚さの偏差(mm):直径30cmである2本のカレンダーロールが0.3mmの間隔を置いて設置されたロールミル(Roll mill)機器(Mirae RPM(株)社のMR-LM0820)でロールを180~210℃に維持した状態で押出されたペレット状の熱可塑性樹脂組成物をカレンダー加工して、厚さ0.3mmのシートを製造した。製造された総長さ30cmのシートの両端から2~3cmを除いた部分の厚さを10ヶ所以上測定して、最大厚さと最小厚さとの差で厚さの偏差を求めた。前記厚さは、Mitutoyo社のABSOLUTE ID-C1012BSを用いて測定した。
*Tダイ押出加工後の厚さの偏差(mm):Tダイ押出機(韓国E.M社のST32HS(Twin screw、32Τ、L/D=44))を用いてスクリュー速度150~200rpm、温度200~250℃、3軸のロール温度80℃、ロール回転速度1.5m/分として、厚さ0.15mmのシートを製造した。製造されたシートを長さ100cmに切断した後、両端から2~3cmを除いた部分の厚さを10ヶ所以上測定して、最大厚さと最小厚さとの差で厚さの偏差を求めた。前記厚さは、Mitutoyo社のABSOLUTE ID-C1012BSを用いて測定した。
*光沢度:ASTM D2457に準拠して、光沢度測定器(Gloss Meter)を用いて45°で測定した。
Figure 2023514937000002
Figure 2023514937000003
前記表1及び表2に示したように、本発明によって製造された実施例1~7は、本発明の範囲を外れた比較例1~8と比較して、衝撃強度、引張強度、曲げ強度などの機械的物性に優れると共に、ヘイズ差が小さく、無白化特性に優れ、押出加工及びカレンダー加工後の厚さの偏差が小さかった。(A)ASA樹脂を本発明の範囲未満で含む比較例1及び2は、衝撃強度などの機械的物性が低下し、白化現象が発生し、(A)ASA樹脂を本発明の範囲を超えて含む比較例3は、引張強度と光沢度がいずれも劣悪になった。
また、(A)ASA樹脂のグラフト率が高いが、アルキルアクリレートカバレッジ値が本発明の範囲未満である比較例4は、白化現象が発生し、ヘイズ差が急激に大きくなり、光沢度が低下した。
また、(A)ASA樹脂に含まれるゴムの平均粒径が本発明の範囲を超える比較例5は、白化現象が発生し、ヘイズ差が大きく、光沢度が低下し、(A)ASA樹脂に含まれるゴムの平均粒径が本発明の範囲未満である比較例6は、衝撃強度が大きく低下した。
また、(B)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体の重量平均分子量が本発明の範囲を外れた比較例7及び8は、Tダイ押出加工及びカレンダー加工後のシートの厚さの偏差が大きくなり、加工性が不良であった。
また、下記図1に示したように、本発明に係る実施例2は、比較例4と比較して、大きな衝撃にも無白化特性に優れることが確認できた。

Claims (12)

  1. (A)平均粒径40~120nmであるアルキルアクリレートゴムを含むアルキルアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体35~75重量%と、
    (B)重量平均分子量50,000~180,000g/molである芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体25~65重量%とを含み、
    下記数式1で算出したアルキルアクリレートカバレッジ値(X)が70%以上であることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物。
    [数式1]
    X={(G-Y)/Y}×100
    (前記数式1において、Gは、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対してゲル含量(重量%)、Yは、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対してゲル中のアルキルアクリレートの含量(重量%)を示す。)
  2. 前記(A)グラフト共重合体は、アルキルアクリレートゴム20~60重量%、及び芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体40~80重量%を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記(A)グラフト共重合体は、下記数式3で算出したグラフト率が60%以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
    [数式3]
    グラフト率(%)=[グラフトされた単量体の重量(g)/ゴム質の重量(g)]×100
    (前記数式3において、グラフトされた単量体の重量(g)は、グラフト共重合体をアセトンに溶解させ、遠心分離した後の不溶性物質(gel)の重量(g)からゴム質の重量(g)を引いた重量であり、ゴム質の重量(g)は、グラフト共重合体粉末中の理論上投入されたゴム成分の重量(g)である。)
  4. 前記(B)共重合体は、芳香族ビニル化合物55~85重量%及びビニルシアン化合物15~45重量%を含んでなることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. ASTM D256に準拠して測定したアイゾット衝撃強度(試験片の厚さ1/4”、常温)が4.5kgf・cm/cm以上であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. ガードナー衝撃試験機(Gardner impact tester)を用いて1kg重量の錘を25cmの高さから厚さ0.15mm×横10cm×縦10cmに押出成形した押出フィルム上に垂直に落下させたとき、前記錘によって衝撃を受けた衝撃部で衝撃前後のヘイズをASTM D1003に準拠して測定したヘイズ差(△haze)が10以下であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. Tダイ押出機を用いて厚さ0.15mmのシートを製造した後、製造されたシートを長さ100cmに切断した後、両端から2~3cmを除いた部分の厚さを10ヶ所以上測定して、最大厚さと最小厚さとの差で計算した厚さの偏差が0.05mm以下であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. ロールミル機器でカレンダー加工を行った後に製造された総長さ30cmのシートの両端から2~3cmを除いた部分の厚さを10ヶ所以上測定して、最大厚さと最小厚さとの差で計算した厚さの偏差が0.05mm以下であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 熱安定剤、光安定剤、染料、顔料、着色剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、抗菌剤、加工助剤、金属不活性化剤、難燃剤、煙抑制剤、滴下防止剤、耐摩擦剤及び耐摩耗剤からなる群から選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  10. (A)平均粒径40~120nmであるアルキルアクリレートゴムを含むアルキルアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体35~75重量%と、(B)重量平均分子量50,000~180,000g/molである芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体25~65重量%とを含んで200~300℃及び100~500rpmの条件下で混練及び押出するステップを含み、
    下記数式1で算出したアルキルアクリレートカバレッジ値(X)が70%以上であることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
    [数式1]
    X={(G-Y)/Y}×100
    (前記数式1において、Gは、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対してゲル含量(重量%)、Yは、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対してゲル中のアルキルアクリレートの含量(重量%)を示す。)
  11. 請求項1~9のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を含むことを特徴とする、成形品。
  12. 前記成形品は、射出成形品、カレンダー加工成形品、または押出成形品であることを特徴とする、請求項11に記載の成形品。
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