JP2023176387A - 食品調温システム - Google Patents

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富和 田中
Tomikazu Tanaka
勝弥 尾▲崎▼
Katsuya Ozaki
亮 中原
Akira Nakahara
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Fukushima Galilei Co Ltd
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Abstract

【課題】配膳車の収容室内の均一調温とステーションの小型化とを両立可能な食品調温システムを提供すること。【解決手段】食品調温システム10は、複数のトレイ5を上下方向に並べて収容可能な収容室44を有して複数のトレイ5を運搬可能である配膳車1と、配膳車1との接続及び分離が可能であり、配膳車1の接続時に横方向から収容室44に食品調温用の空気を供給するステーション2と、を備える。ステーション2は、収容室44に横方向に面する壁状部11aと、壁状部11aに設けられて収容室44に向けて開口する空気の吐出口67と、壁状部11aの内部に配置され、吐出口67に連通する通風路66と、壁状部11aの内部に配置され、通風路66の上方又は下方から通風路66の中に空気を送り込むブロワ室65と、空気の温度を調整する温度調整機構53,54と、を有する。【選択図】図5

Description

本発明は、食品を載せ置いたトレイを収容して運搬可能な配膳車と、配膳車の収容室に食品の調温のための空気を供給可能なステーションと、を備える食品調温システムに関する。
従来から、各種の施設(例えば、医療施設や介護施設など)での食事の提供を目的として、調理済みの食品が置かれた多数のトレイを収容して移動可能な配膳車と、食品の加熱や冷却が可能なステーションと、を備えた食品調温システムが提案されている。この種の食品調温システムは、例えば、ステーションに配膳車を接続した状態で食品の加熱や冷却を行った後、ステーションから配膳車を分離して食品の運搬及び提供を行うようになっている(例えば、特許文献1,2を参照)。
特開2016-209286号公報 特開2011-043310号公報
ところで、上述した従来の食品調温システムでは、配膳車の収容室に収容された食品の加熱や冷却を行うべく、ブロワ等の送風源を用いて、加熱器や冷却器を通過した空気を送風ダクトを介して配膳車の収容室内に供給するようになっている。ここで、配膳車の収容室には、一般に、食品を載せ置いたトレイが上下方向に並んだ状態で収容される。そのため、収容室内の温度を収容室の上部から下部まで出来る限り均一に(即ち、温度ムラを低減するように)調温することが望ましい。
上述した均一調温の観点では、例えば、送風源、加熱器や冷却器、及び、送風ダクト等の一連の機器(以下、便宜上、「調温用機器」という。)を、ステーションの側壁内(例えば、奥壁等)に配置して、収容室内に横方向から調温用の空気を上下均一に供給することが考えられる(特許文献1を参照)。しかし、ステーションの側壁内に調温用機器を配置するためには、その側壁内に送風手段と送風ダクトを横方向に配置する配置用のスペースを設ける必要がある。その結果、ステーションの側壁の横方向の厚さが増し、ステーションが(ひいては、食品調温システムが)大型化する。これに対し、ステーションの大型化を避けるべく、例えば、ステーションの天井壁に調温用機器を配置することが考えられる(特許文献2を参照)。しかし、ステーションの天井壁に調温用機器を配置すると、収容室内での空気の上下循環が円滑になされ難いことから、収容室内の均一調温が困難になる。このように、配膳車の収容室内の均一調温と、ステーションの小型化とは、一般に両立が困難であった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、配膳車の収容室内の均一調温とステーションの小型化とを両立可能な食品調温システムを提供することにある。
前述した目的を達成するために、本発明に係る食品調温システムは、下記[1]~[8]を特徴としている。
[1]
食品を載せ置いた複数のトレイを上下方向に並べて収容可能な収容室を有し、前記収容室に収容した前記複数の前記トレイを運搬可能である、配膳車と、
前記配膳車との接続及び分離が可能であり、前記配膳車が接続されているときに前記上下方向に交差する横方向から前記収容室に前記食品の調温のための空気を供給可能である、ステーションと、
を備える、食品調温システムであって、
前記ステーションは、
前記収容室に前記横方向において面する壁状部と、
前記壁状部に設けられて前記収容室に向けて開口する前記空気の吐出口と、
前記壁状部の内部に配置され、前記吐出口に連通する通風路と、
前記壁状部の内部に配置され、前記通風路の上方又は下方から前記通風路の中に前記空気を送り込むブロワ室と、
前記空気の温度を調整する温度調整機構と、を有する、
食品調温システムであること。
[2]
上記[1]に記載の食品調温システムであって、
前記ブロワ室の内部に設けられるブロワを、更に備え、
前記ブロワは、
回転しながら前記空気を当該ブロワの周囲に放射状に吹き出すように構成され、且つ、当該ブロワの回転軸に直交する回転面が前記吐出口からの前記空気の吐出向きと平行であるように配置され、
前記通風路は、
前記吐出口から前記横方向に延びる、
食品調温システムであること。
[3]
上記[2]に記載の食品調温システムにおいて、
前記温度調整機構は、
前記ブロワに沿って前記ブロワの上方から前記ブロワと前記収容室との間を経て前記ブロワの下方に延びるU字状の形状を有し、前記食品の調温の際に発熱可能である、第1ヒータを有する、
食品調温システムであること。
[4]
上記[3]に記載の食品調温システムにおいて、
前記温度調整機構は、
前記通風路の中に配置され、前記食品の調温の際に発熱可能である、第2ヒータを有する、
食品調温システムであること。
[5]
上記[4]に記載の食品調温システムにおいて、
前記第2ヒータは、
前記通風路を通過する前記空気の流れ方向に沿うように延びる、
食品調温システムであること。
[6]
上記[4]に記載の食品調温システムにおいて、
前記第1ヒータ及び前記第2ヒータが一体的に繋がる、
食品調温システムであること。
[7]
上記[2]に記載の食品調温システムにおいて、
前記吐出口は、
前記ブロワの下方にオフセットした位置に設けられる、
食品調温システムであること。
[8]
上記[2]に記載の食品調温システムにおいて、
前記ブロワ室は、
前記ブロワと前記通風路との間を仕切る仕切壁を、有し、
前記仕切壁は、
前記吐出口に近づくにつれて前記通風路の開口面積が徐々に大きくなるように湾曲した形状を、前記吐出口の周辺において有する、
食品調温システムであること。
上記[1]の構成の食品調温システムによれば、配膳車の収容室に横方向において面するステーションの壁状部(例えば、奥壁)に、温度調整機構によって調温された空気の吐出口と、吐出口に連通する通風路と、ブロワ室と、が配置される。ブロワ室が通風路に上方又は下方から空気を送り込むようになっているため、ブロワ室が通風路に横方向から空気を送り込む場合(例えば、ブロワ室と通風路とが壁状部の厚さ方向に並ぶ場合)に比べ、壁状部の厚さを薄くすることができる。更に、空気の吐出口が収容室に横方向に面する壁状部(例えば、奥壁)に配置されるため、吐出口がステーションの天井壁等に配置される場合に比べ、収容室内で空気を効率良く循環させることができる。なお、ブロワ室から通風路に空気を送り込むための送風源として、例えば、ブロワやプロペラファン等を用い得る。したがって、本構成の食品調温システムは、配膳車の収容室内の均一調温とステーションの小型化とを両立可能である。
上記[2]の構成の食品調温システムによれば、ブロワ室の内部に設けられたブロワから吹き出された空気が、ブロワ室、通風路、及び、吐出口をこの順に経て、収容室内に供給される。ブロワの回転面が吐出口からの空気の吐出向きと平行であるとともに、通風路が吐出口から横方向に延びるため、ブロワから吹き出された空気がブロワ室から通風路に流れ込み易く且つ吐出口に向けて流れ易い。その結果、ブロワから吐出口に至るまでの経路中での圧力損失が低減され、収容室内に空気を効率良く吹き出すことができる。よって、吐出口から吹き出された空気の循環が促進されることで迅速な均一調温が可能になるとともに、小型のブロワでも十分な量の空気を収容室内に供給できることでステーションの更なる小型化を図ることができる。
上記[3]の構成の食品調温システムによれば、温度調整機構が有する第1ヒータが、ブロワに沿ってブロワの上方からブロワと収容室との間を経てブロワの下方に延びるU字状の形状を有する。このように第1ヒータがブロワの周辺に沿うように配置されることで、ブロワから周囲に吹き出された空気を、効率良く加熱することができる。更に、ブロワの全周を取り囲むように第1ヒータを配置する場合に比べ、第1ヒータ自体を小さくできるため、ステーションの小型化を図ることができる。加えて、温度調整機構のメンテナンス等の際、U字状の第1ヒータを、ステーションの壁状部から収容室に向けて引き抜くように取り外すことができる。よって、例えば、ステーションの背面や側面から第1ヒータを取り外す場合等に比べ、食品調温システムのメンテナンス性を向上できる。
上記[4]の構成の食品調温システムによれば、温度調整機構が有する第2ヒータが、通風路の中に配置される。これにより、第1ヒータによって加熱された空気を第2ヒータによって通風路内で再度加熱することで、収容室に供給する空気の温度を更に高めることができる。よって、第1ヒータがブロワの全周を取り囲まないU字状であっても、第2ヒータの働きにより、十分に高い温度の空気を収容室に供給することができる。
上記[5]の構成の食品調温システムによれば、温度調整機構が有する第2ヒータが、通風路を通過する空気の流れ方向に沿うように延びる。これにより、第2ヒータが通風路内での空気の流れを妨げることを抑制し、収容室に空気を効率良く吹き出すことができる。よって、吐出口から吹き出された空気の循環が促進されることで、更に迅速な均一調温が可能になる。
上記[6]の構成の食品調温システムによれば、第1ヒータと第2ヒータとが一体的に繋がる。これにより、第1ヒータと第2ヒータとが別体である場合に比べ、第1ヒータ及び第2ヒータを発熱させるための機構(例えば、電源や回路等)を単純化できる。よって、ステーションを更に小型化することができる。
上記[7]の構成の食品調温システムによれば、吐出口が、ブロワの下方にオフセットした位置に設けられる。これにより、吐出口から収容室に加熱用の高温の空気(熱風)を供給するとき、収容室の出来る限り下方側から加熱用の空気が供給されることになる。そして、収容室内で高温の空気が下方から上方へ自然に対流することを利用し、収容室内の均一調温を図ることができる。
上記[8]の構成の食品調温システムによれば、ブロワと通風路との間を仕切る仕切壁が、吐出口に近づくにつれて通風路の開口面積が徐々に大きくなるように湾曲した形状を有する。これにより、仕切壁が、単にブロワと通風路を区分けする機能だけでなく、吐出口から吹き出す空気を拡散させる機能をも有することになる。仕切壁が複数の機能を発揮することで、機能ごとに個別の壁等を設ける場合に比べ、ステーションを更に小型化することができる。
このように、本発明によれば、配膳車の収容室内の均一調温とステーションの小型化とを両立可能な食品調温システムを提供できる。
図1は、本発明の実施形態に係る食品調温システムの斜視図である。 図2は、インサートとカートとステーションとが分離された図1に示す食品調温システムの斜視図である。 図3は、図2に示すステーションの正面図である。 図4は、図3のA-A断面の概略図である。 図5は、図4のB部の拡大図である。 図6は、インサートが格納されたカートがステーションに接続された図1に示す状態における、図4のC-C断面相当の断面の概略図である。 図7は、変形例における図4に対応する図である。
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る食品調温システム10について説明する。本例では、カート3にインサート4が格納されてカート3及びインサート4を一体として搬送可能となった構造体を、便宜上、「配膳車1」と称呼する。後述するように、配膳車1は、食品を載せ置いたトレイ5を収容室44に収容した状態で運搬可能となっている。
図1及び図2に示すように、食品調温システム10は、床面に静置されるステーション2と、移動可能であってステーション2と接続されるカート3と、移動可能であってカート3に格納されるインサート4と、を備える。なお、「調温」は、食品を加熱すること(例えば、調理済みの食品を喫食温度まで加熱すること)、食品を冷却すること(例えば、調理済みの食品を保管する温度まで冷却すること)、及び、加熱又は冷却した食品の温度を喫食温度に維持することを含む概念である。
食品調温システム10は、ステーション2から吹き出される冷風又は熱風によって、配膳車1に収容された食品の冷却及び加熱が可能であり、且つ、調温された食品が収容された配膳車1をステーション2から分離して運搬できるようになっている。食品調温システム10は、例えば、医療施設や介護施設などでの食事提供を目的として用いられる。
以下、説明の便宜上、図1等に示すように、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。前後方向は、ステーション2へのカート3の接続方向、及び、カート3へのインサート4の格納方向と一致している(図2参照)。
<ステーション2>
まず、ステーション2の構成について説明する。ステーション2は、接続された配膳車1の収容室44(具体的には、インサート4の枠体内に形成されてカート3によって外部から隔離される収容室44)に熱風又は冷風を供給可能な装置である。ステーション2は、図2及び図3に示すように、縦長の略矩形箱状の筐体11と、筐体11の上部に載置された機械室12と、筐体11の底部に設置された固定脚13と、を備えている。機械室12は、空気を冷却する後述する第1,第2冷却器53,56(図6参照)へ冷媒を循環させる冷却装置51(図4参照)と、熱風又は冷風の供給を制御する制御部52(図4参照)と、を内部に備えている。
筐体11は、左右一対の側壁と後壁11aとから構成されており、上方からみて前方が開口した略U字状の形状を有している(図6も参照)。ステーション2への配膳車1の接続時、筐体11の内部空間14(図2参照)には、前方からカート3の後側部分が収容される(図1参照)。筐体11の後壁11aの前面(内部空間14の後端を画成する面)には、図3に示すように、縦長の矩形状の加熱冷却用開口部15及び冷却用開口部16が、左右方向に隣接し且つ加熱冷却用開口部15が冷却用開口部16の左側に位置するように、設けられている。加熱冷却用開口部15の周縁部には矩形枠状のパッキン17が設けられ、冷却用開口部16の周縁部には矩形枠状のパッキン18が設けられている。パッキン17の上下方向に延びる右端部分と、パッキン18の上下方向に延びる左端部分とは、兼用されている。
筐体11の後壁11aの内部には、図3及び図6に示すように、加熱冷却用開口部15の後側に隣接配置され且つ加熱冷却用開口部15に連通する加熱冷却部19と、冷却用開口部16の後側に隣接配置され且つ冷却用開口部16に連通する冷却部20とが設けられている。
図6に示すように、加熱冷却部19は、機械室12に設けられた冷却装置51(図4参照)と接続する第1冷却器53と、ヒータ54と、ブロワ55と、を備えている。ブロワ55は、加熱冷却用開口部15に設けられた吸引部21(図3も参照)を介して内部空間14(実際には、内部空間14に配置された配膳車1の収容室44)から吸引した空気を第1冷却器53とヒータ54に通過させて、加熱冷却用開口部15に設けられた吐出部22(図3も参照)を介して内部空間14(配膳車1の収容室44)へ吹き出す機能を果たす(図6の白矢印を参照)。吐出部22は、加熱冷却用開口部15の左端近傍領域にて上下方向に亘って設けられ、吸引部21は、加熱冷却用開口部15の吐出部22の右側領域にて上下方向に亘って設けられている(図3参照)。なお、加熱冷却部19における、ヒータ54及びブロワ55並びにそれらの周辺の構成の詳細については後述する。
図6に示すように、冷却部20は、機械室12に設けられた冷却装置51と接続する第2冷却器56と、プロペラファン57と、を備えている。プロペラファン57は、冷却用開口部16に設けられた吸引部23(図3も参照)を介して内部空間14(配膳車1の収容室44)から吸引した空気を第2冷却器56に通過させて、冷却用開口部16に設けられた吐出部24(図3も参照)を介して内部空間14(配膳車1の収容室44)へ吹き出す機能を果たす(図6の白矢印を参照)。吐出部24は、冷却用開口部16の右端近傍領域にて上下方向に亘って設けられ、吸引部23は、冷却用開口部16の吐出部24の左側領域にて上下方向に並ぶ複数箇所に設けられている(図3参照)。
第1冷却器53、ヒータ54、ブロワ55、第2冷却器56、及び、プロペラファン57の運転は、機械室12に設けられた制御部52(図4参照)により制御される。加熱冷却部19について、ヒータ54及びブロワ55の運転により、加熱冷却用開口部15(吐出部22)から熱風が吹き出され、第1冷却器53及びブロワ55の運転により、加熱冷却用開口部15(吐出部22)から冷風が吹き出される。このように、加熱冷却部19では、加熱冷却用開口部15からの熱風の吹き出しと冷風の吹き出しとが切り替え可能となっている。冷却部20については、第2冷却器56及びプロペラファン57の運転により、冷却用開口部16(吐出部24)から冷風が吹き出される。これにより、後述するように、1つのトレイ5(図2参照)上に配置した複数の食品の一部を冷却しながら他部を加熱する同時調温が可能である。
機械室12の前面のパネルには、タッチ画面等で構成されて制御部を操作する操作部25が設けられている(図1~図3参照)。なお、操作部25は、タッチ画面に限らず、物理的に作動するハードボタンで構成されてもよく、さらに外部端末による通信等により操作するように構成されても良い。筐体11の後壁11aの前面の上部には、カート3の接続を検知する接続センサ26が設けられている(図3参照)。
<カート3>
次いで、カート3の構成について説明する。カート3は、インサート4を内部に格納した状態で、インサート4の仕切壁47(図2参照)によって左右に区分けされた加熱冷却用収容室44a及び冷却用収容室44b(図2参照)を覆い、加熱冷却用収容室44a及び冷却用収容室44bを外部から隔離する機能を有している。カート3は、図2に示すように、インサート4を格納する格納室33を有する矩形箱状のカート本体31と、カート本体31の底面に固定された複数のキャスター32と、を備えている。
カート本体31は、ステーション2と接続される矩形状の後側開口部34と、インサート4が搬入出自在とされる矩形状の前側開口部35と、後側開口部34を開閉するための左右一対の開閉扉36と、前側開口部35を開閉するための左右一対の開閉扉37と、を有している。カート本体31は、断熱材を内包した断熱構造を有し、格納室33を保温するようになっている。
<インサート4>
次いで、インサート4の構成について説明する。インサート4は、仕切壁47によって収容室44を区分けする機能、及び、食器を載せ置いたトレイ5を保持する機能を有している。インサート4は、図2に示すように、直方体状の枠体である本体部41と、本体部41の下部に設けられた底板42の底面に固定された複数のキャスター43と、を備えている。本体部41の内部空間は、トレイ5を収容可能な収容室44として機能する。
インサート4は、図2に示すように、底板42から上方に突出するように収容室44の中央部に立設された支柱部45と、支柱部45に着脱可能に取り付けられる複数の棒状のトレイ保持部46と、を備えている。
支柱部45には、複数の前後方向に延びるトレイ保持部46が、前後両側から、上下方向に沿って並ぶように取り付けられる(図2参照)。このように支柱部45に取り付けられた複数のトレイ保持部46は、支柱部45の前後両側において、前後方向且つ上下方向に延びる仕切壁47を構成している。前後一対の仕切壁47は、収容室44を、左側の加熱冷却用収容室44aと右側の冷却用収容室44bとに区分けしている(図2参照)。加熱冷却用収容室44aは、ステーション2の加熱冷却用開口部15に接続され、冷却用収容室44bは、ステーション2の冷却用開口部16に接続されることになる。
上下に隣り合うトレイ保持部46間には、トレイ5が保持可能となっている(図2参照)。より具体的には、トレイ5は、図2及び図6に示すように、左側の加熱冷却用トレイ部5aと、右側の冷却用トレイ部5bと、加熱冷却用トレイ部5a及び冷却用トレイ部5bを左右に連結する連結部5cと、を備えている。上下に隣り合うトレイ保持部46同士の間には、トレイ5の連結部5cが挿入され保持される(図6参照)。このように、収容室44には、複数のトレイ5を上下方向に並べて収容可能となっている。上下に隣り合うトレイ保持部46同士の間にトレイ5が保持された状態では、図2及び図5に示すように、加熱冷却用トレイ部5aが加熱冷却用収容室44aに露出し、冷却用トレイ部5bが冷却用収容室44bに露出している。
後述する作動例のように、食品を載せたトレイ5をインサート4に収容する際(上下に隣り合うトレイ保持部46同士の間に保持させる際)、加熱冷却用トレイ部5aには温めて食する食品が配置され、冷却用トレイ部5bには加熱せず冷たいまま食する食品が配置される。
<食品調温システム10の作動例>
食品調温システム10の実際の作動の一例を以下に記載する。まず、カート3の一対の開閉扉36が開放された状態(図2参照)で、カート3がステーション2の内部空間14に向けて後方に押し込まれる。これにより、カート3の後側部分が内部空間14に収容された状態で、カート3がステーション2に接続される。カート3の接続完了状態では、接続センサ26(図3参照)が、カート3の接続完了を検知する。カート3の接続完了状態では、カート3の後側開口部34が、ステーション2の加熱冷却用開口部15(特に、パッキン17)及び冷却用開口部16(特に、パッキン18)、並びに、インサート4の仕切壁47の後端面と、密着して連通している(図6参照)。
次いで、カート3の一対の開閉扉37が解放された状態(図2参照)で、食品を載せた複数のトレイ5が収容されたインサート4が、前側開口部35を介してカート3の格納室33に格納され、その後、一対の開閉扉37が閉じられる(図1参照)。これにより、インサート4の加熱冷却用収容室44aと冷却用収容室44bとが、カート本体31によって覆われることで外部から隔離されると共に、ステーション2の加熱冷却用開口部15(加熱冷却部19)と冷却用開口部16(冷却部20)とにそれぞれ個別に連通する。
以上より、ステーション2へのカート3の接続、及び、カート3へのインサート4の格納が完了し、ステーション2の運転が可能な状態となる。ステーション2の操作部25への所定の操作により、ステーション2の運転を開始すると、冷却運転が開始され、ブロワ55とプロペラファン57とが起動されるとともに、第1冷却器53と第2冷却器56とが駆動され、加熱冷却用収容室44a及び冷却用収容室44bともに冷風が循環する。これにより、加熱冷却用収容室44aに収容された食品、及び、冷却用収容室44bに収容された食品が、冷風によって冷却保存される。
予め設定した再加熱開始時刻になると、再加熱運転が開始され、第1冷却器53が停止し、ヒータ54が起動するように切り替わり、加熱冷却用収容室44aに熱風が循環する。これにより、加熱冷却用収容室44aに収容された食品が熱風により加熱される。このとき冷却用収容室44bでは継続して冷風が循環している。このように、食品調温システム10は、食品の一部を冷却しながら他部を加熱する同時調温が可能である。
所定時間経過したとき又は食事の温度が所定温度に到達したとき、再加熱運転は停止され、熱風及び冷風の循環が停止され、配膳可能な状態となる。このため、インサート4が格納されたカート3がステーション2から離脱され、カート3の一対の開閉扉36が閉じられる。これにより、カート3に格納されたインサート4の収容室44内の食品を保温しながら運搬、配膳できるようになる。
<加熱冷却部19におけるヒータ54及びブロワ55等の構成の詳細>
次いで、図4~図6を参照しながら、加熱冷却部19におけるヒータ54及びブロワ55等の構成の詳細について説明する。加熱冷却部19は、図3、図4及び図6に示すように、上下に延びる吐出部22の後側に隣接する上下に延びる領域(筐体11の後壁11aの内部)において、ヒータ54及びブロワ55を含む循環ユニット60を備えている。本例では、上下一対の循環ユニット60が、上下に並ぶように配置されている。上下一対の循環ユニット60の構成は略同じである。
図5に示すように、循環ユニット60は、ヒータ54と、ブロワ55と、ブロワ室65を画成する仕切壁58と、通風路66を画成する整流板59とで、構成される。ブロワ室65内の空気は、通風路66を経て、吐出部22における通風路66に面する箇所(以下、「吐出口67」と呼ぶ)から筐体11の内部空間14(配膳車1の収容室44)へ向けて前方に吹出される。吐出口67の前方には、複数の風向調整板73が、上下方向に所定の間隔をあけて並ぶように配置されている。以下、循環ユニット60を構成する各部材について順に説明する。
図5及び図6に示すように、ブロワ55は、左右方向に平行に延びる回転軸55aをモータ72(図6参照)により駆動することで、回転軸55aを中心に回転しながら空気をブロワ55の周囲に放射状に吹き出すように構成されている(図5の白矢印を参照)。モータ72は、機械室12に設けられた制御部52(図4参照)により駆動制御される。ブロワ55の回転軸55aが左右方向に延びていることにより、ブロワ55の回転軸55aに直交する回転面(即ち、ブロワ55の吸入面55bに平行な面。図6参照)は、吐出口67(図5参照)から筐体11の内部空間14(配膳車1の収容室44)へ向けて空気が吹き出す向き(前向き)と平行となっている。
図5及び図6に示すように、ヒータ54は、本例では、電熱線で構成されている。ヒータ54は、機械室12に設けられた制御部52(図4参照)により温度制御される。ヒータ54は、図6に示すように、ブロワ55が延在する左右方向範囲内の左右方向の3箇所にそれぞれ設けられている。3本のヒータ54は、同形である。各ヒータ54は、図5に示すように、第1ヒータ61と、通風路66の内部(例えば、第1ヒータ61の下側)に位置する第2ヒータ62と、仕切壁58の内部(例えば、第1ヒータ61の上側)に位置する第3ヒータ63とで構成されている。
第1ヒータ61は、ブロワ55の外周面に沿ってブロワ55の上方からブロワ55の前方を経てブロワ55の下方に延びるU字状の形状を有している。第2ヒータ62は、第1ヒータ61の下側の先端部(後端部)から連続して下方に延びる第1部分62aと、第1部分62aの下端部から前方に延びる第2部分62bと、第2部分62bの前端部から下方に延びる第3部分62cと、第3部分62cの下端部から後方に延びる第4部分62dとで構成されている。第3ヒータ63は、第1ヒータ61の上側の先端部(後端部)から連続して上方に延びる第1部分63aと、第1部分63aの上端部から前方に延びる第2部分63bと、第2部分63bの前端部から上方に延びる第3部分63cと、第3部分63cの上端部から後方に延びる第4部分63dとで構成されている。このように、第1ヒータ61、第2ヒータ62及び第3ヒータ63は、一体的に繋がっている。
図5に示すように、仕切壁58は、ブロワ室65を画成すると共にブロワ室65と通風路66との間を仕切る機能を果たす板状部材である。仕切壁58は、加熱冷却部19を囲う上下方向且つ左右方向に延びる後側の内壁19aにおける第3ヒータ63より上側の位置から第3ヒータ63の上側を覆うように前方に延び且つ左右方向に延びる上板部58aと、上板部58aの前端部から第3ヒータ63及び第1ヒータ61(即ち、ブロワ55)の前側を覆うように第1ヒータ61の上下方向中央位置まで下方に延び且つ左右方向に延びる前板部58bと、前板部58bの下端部から第1ヒータ61の湾曲形状に沿って左右方向からみて円弧状に後側に湾曲しながら延び且つ左右方向に延びる湾曲板部58cとで構成されている。ブロワ室65は、仕切壁58(=上板部58a+前板部58b+湾曲板部58c)と内壁19aとで画成される空間である。ブロワ室65には、ブロワ55と、第1ヒータ61と、第3ヒータ63とが収容されている。湾曲板部58cの先端と内壁19aとの間には、隙間64が形成されている。隙間64は、ブロワ室65と通風路66とを上下に連通している。第2ヒータ62の第1部分62aは、隙間64の内部を通過している。
図5に示すように、整流板59は、仕切壁58の湾曲板部58cとの間に通風路66を画成する板状部材である。整流板59は、内壁19aにおける第2ヒータ62より下側の位置から前方且つ下方に斜めに延び且つ左右方向に延びる平板状の形状を有している。通風路66は、仕切壁58の湾曲板部58cと整流板59とで画成される空間であり、吐出口67に向けて前後方向に延びている。通風路66、及び、通風路66に連通する吐出口67は、ブロワ室65(即ち、ブロワ55)の下方に配置されている。このように、ブロワ室65と通風路66とが上下方向に並んでいるため、ブロワ室65と通風路66とが前後方向に並ぶ場合と比べて、筐体11の後壁11a(加熱冷却部19が内部に配置される壁)の厚さ(前後方向の寸法)を低減できる。仕切壁58の湾曲板部58cの湾曲向きと整流板59の傾斜向きとに起因して、通風路66の開口面積は、吐出口67に近づくにつれて(前方に向かうにつれて)上下に拡がり徐々に大きくなっている。このため、隙間64を通ってブロワ室65から通風路66に供給された空気は、吐出口67に向けて上下に拡がりながら送風される。
更に、図4に示すように、上側の循環ユニット60では、下側の循環ユニット60とは異なり、仕切壁58の上板部58aの先端(後端)と内壁19aとの間に、隙間68が形成されている。隙間68は、ブロワ室65と、配膳車1の収容室44の最上部とを連通している。隙間68の上方には、整流板69が配置されている。加えて、筐体11の後壁11aにおける加熱冷却部19の上部には、放熱用の排気筒70が設けられている。排気筒70は、加熱冷却部19(即ち、筐体11の後壁11aの内部)とステーション2の外部とを連通している。排気筒70の上端には、排気筒70の上端開口を開閉する開閉板71が設けられている。以上、循環ユニット60及びその周辺を構成する各部材について説明した。
<作用・効果>
本発明の実施形態に係る食品調温システム10によれば、循環ユニット60において、ブロワ55を回転させると、ブロワ55の周囲に放射状に吹き出された空気は、図5に白矢印で示すように、ブロワ室65、隙間64、通風路66、及び、吐出口67をこの順に経て、筐体11の内部空間14(配膳車1の収容室44)へ供給される。
ここで、配膳車1の収容室44に横方向において面するステーション2の壁状部(筐体11の後壁11a)に、温度調整機構(第1冷却器53及びヒータ54)によって調温された空気の吐出口67と、吐出口67に連通する通風路66と、ブロワ室65と、が配置される。ブロワ室65が通風路66に上方又は下方から空気を送り込むようになっているため、ブロワ室65が通風路66に横方向(前後方向)から空気を送り込む場合(例えば、ブロワ室65と通風路66とが壁状部の厚さ方向に並ぶ場合)に比べ、壁状部11aの厚さを薄くすることができる。更に、空気の吐出口67が、収容室44に横方向に面する壁状部11aにおいて収容室44に向けて開口するため、上下に拡がった風(空気)が収容室44内を横方向に循環することとなり、吐出口67がステーション2の天井壁等に配置される場合に比べ、収容室44内で空気を上下均一に効率良く循環させることができる。したがって、本構成の食品調温システム10は、配膳車1の収容室44内の均一調温とステーション2の小型化とを両立可能である。
更に、食品調温システム10によれば、ブロワ55から吹き出された空気が、ブロワ室65、通風路66、及び、吐出口67をこの順に経て、収容室44内に供給される。ブロワ55の回転面が吐出口67からの空気の吐出向きと平行であるとともに、通風路66が吐出口67から横方向に延びるため、ブロワ55から吹き出された空気がブロワ室65から通風路66に流れ込み易く且つ吐出口67に向けて流れ易い。その結果、ブロワ55から吐出口67に至るまでの経路中での圧力損失が低減され、収容室44内に空気を効率良く吹き出すことができる。よって、吐出口67から吹き出された空気が収容室44の全体にゆき渡り、空気の循環が促進されることで迅速な均一調温が可能になるとともに、小型のブロワ55でも十分な量の空気を収容室44内に供給できることでステーション2の更なる小型化を図ることができる。
更に、食品調温システム10によれば、第1ヒータ61が、ブロワ55に沿ってブロワ55の上方からブロワ55と収容室44との間を経てブロワ55の下方に延びるU字状の形状を有する。このように第1ヒータ61がブロワ55の周辺に沿うように配置されることで、ブロワ55から周囲に吹き出された空気を、効率良く加熱することができる。更に、ブロワ55の全周を取り囲むように第1ヒータ61を配置する場合に比べ設置に要する前後方向のスペースが小さくなり、ステーション2を薄くして小型化を図ることができる。加えて、ヒータ54のメンテナンス等の際、U字状の第1ヒータ61を、ステーション2の壁状部11aから収容室44に向けて引き抜くように取り外すことができる。よって、例えば、ステーション2の背面や側面から第1ヒータ61を取り外す場合等に比べ、食品調温システム10のメンテナンス性を向上できる。
更に、食品調温システム10によれば、第2ヒータ62が、隙間64及び通風路66の中に配置される。これにより、第1ヒータ61によって加熱された空気を第2ヒータ62によって通風路66内で再度加熱することで、収容室44に供給する空気の温度を更に高めることができる。よって、第1ヒータ61がブロワ55の全周を取り囲まないU字状であっても、第2ヒータ62の働きにより、空気の温度を下げることなく、所定の温度を維持したまま収容室44に空気を供給することができる。
更に、食品調温システム10によれば、第2ヒータ62が、隙間64及び通風路66を通過する空気の流れ方向に沿うように延びている(図5の白矢印を参照)。具体的には、第2ヒータ62の第1部分62aが隙間64を通過する空気の流れ方向(下向き)に沿うように上下方向に延び、且つ、第2ヒータ62の第2部分62b及び第4部分62dが通風路66を通過する空気の流れ方向(前向き)に沿うように前後方向に延びている。これにより、第2ヒータ62は、通風路66内での空気の流れを妨げることなく、通過する空気と熱交換できるため、収容室44に空気を効率良く吹き出すことができる。よって、吐出口67から吹き出される、加熱された空気の循環が促進されることで、更に迅速な均一調温が可能になる。
更に、第3ヒータ63が、ブロワ室65内に配置されている。これにより、第1ヒータ61によって加熱された空気をブロワ室65内で更に加熱することができる。このため、第3ヒータ63の働きにより、ブロワ室65内の空気を迅速に加熱し、ブロワ室65から通風路66へ吹き出される空気をより効率良く加熱することができる。
第3ヒータ63も、ブロワ室65内を移動する空気の流れ方向に沿うように延びている(図5の白矢印を参照)。具体的には、第3ヒータ63の第1部分63aが空気の流れ方向(下向き)に沿うように上下方向に延び、且つ、第3ヒータ63の第2部分63b及び第4部分63dが通風路66を通過する空気の流れ方向(後向き)に沿うように前後方向に延びている。これにより、上記同様、第3ヒータ63がブロワ室65内での空気の流れを妨げることなく、通過する空気と熱交換できるため、ブロワ室65から通風路66を経て収容室44に向けて、加熱された空気を効率良く吹き出すことができる。
更に、食品調温システム10によれば、第1ヒータ61と第2ヒータ62とが一体的に繋がる。これにより、第1ヒータ61と第2ヒータ62とが別体である場合に比べ、第1ヒータ61及び第2ヒータ62を発熱させるための機構(例えば、電源や回路等。図示省略)を単純化できる。よって、メンテナンス性が向上するほか、ステーション2を更に小型化することができる。
更に、食品調温システム10によれば、吐出口67が、ブロワ55の下方にオフセットした位置に設けられる。これにより、吐出口67から収容室44に加熱用の高温の空気(熱風)を供給するとき、収容室44の出来る限り下方にその空気が供給されることになる。そして、収容室44内で高温の空気が下方から上方へ自然に対流することを利用し、収容室44内の均一調温を図ることができる。
更に、食品調温システム10によれば、ブロワ55と通風路66との間を仕切る仕切壁58が、吐出口67に近づくにつれて通風路66の開口面積が徐々に大きくなるように湾曲した形状を有する。これにより、仕切壁58が、単にブロワ55と通風路66を区分けする機能だけでなく、ブロワ55より放射状に吹き出された空気を隙間64に向け誘導するとともに、吐出口67から吹き出す空気を上下に拡散させる機能をも有することになる。仕切壁58が複数の機能を発揮することで、機能ごとに個別の壁等を設ける場合に比べ循環ユニット60がコンパクトに構成され、ステーション2を更に小型化することができる。
更に、上述したように、上下一対の循環ユニット60が、上下に並ぶように配置されている(図4参照)。これにより、上下2箇所の吐出口67から配膳車1の収容室44へ空気が吹き出されるので、単一の循環ユニット60が配置される場合と比べて、吐出口67から吹き出す空気がより一層上下に拡散され易くなる。これにより、配膳車1の収容室44内の温度がより一層均一に調温され易くなる。
更に、ブロワ室65内の高温の空気の一部が、隙間68を介してブロワ室65の外部に吹き出し、整流板69によって前方に向けて収容室44の最上部に案内される。これにより、収容室44の最上部に位置するトレイ5にも高温の空気が十分に届き易くなる。
加えて、加熱冷却部19に滞留する熱を放出する必要がある場合、排気筒70の開閉板71が開かれる。これにより、加熱冷却部19に滞留する熱(相対的に軽い高温の空気)が、排気筒70を介してステーション2の外部へと放出される。
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
例えば、上記実施形態では、上下一対の循環ユニット60の各々において、通風路66及び吐出口67がブロワ55(ブロワ室65)の下方にオフセットした位置に設けられている(図4参照)。これに対し、図7に示すように、上下一対の循環ユニット60の各々を上下逆向きに配置することで、上下一対の循環ユニット60の各々において、通風路66及び吐出口67がブロワ55(ブロワ室65)の上方にオフセットした位置に設けられてもよい。これによれば、配膳車1の収容室44の出来る限り上方に空気が供給されることになる。そして、特に吐出口67から冷却用の低温の空気を供給する場合、収容室44内での相対的に重い低温の空気の上方から下方への対流を利用して、収容室44内の温度を均一に調温することができる。
更に、上記実施形態では、調温後の食品を載せ置いたトレイ5を保持したインサート4をカート3で覆って、カート3及びインサート4を一体的に搬送させながら配膳を行うことから、カート3とインサート4とが組み付けられた構造体を配膳車1と称呼している。これに対し、インサート4のみを独立して搬送させながら配膳を行う場合、インサート4を単独で配膳車1と称呼してもよい。更に、上記実施形態では、カート3とインサート4とは別体の装置であるが、カート3の機能とインサート4の機能とを一体的に備えた装置(例えば、カート3の内部に仕切壁47等を設けた装置)を用いる場合、その装置を配膳車1と称呼してもよい。
ここで、上述した本発明に係る食品調温システム10の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[8]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
食品を載せ置いた複数のトレイ(5)を上下方向に並べて収容可能な収容室(44)を有し、前記収容室(44)に収容した前記複数の前記トレイ(5)を運搬可能である、配膳車(1)と、
前記配膳車(1)との接続及び分離が可能であり、前記配膳車(1)が接続されているときに前記上下方向に交差する横方向から前記収容室(44)に前記食品の調温のための空気を供給可能である、ステーション(2)と、
を備える、食品調温システム(10)であって、
前記ステーション(2)は、
前記収容室(44)に前記横方向において面する壁状部(11a)と、
前記壁状部(11a)に設けられて前記収容室(44)に向けて開口する前記空気の吐出口(67)と、
前記壁状部(11a)の内部に配置され、前記吐出口(67)に連通する通風路(66)と、
前記壁状部(11a)の内部に配置され、前記通風路(66)の上方又は下方から前記通風路(66)の中に前記空気を送り込むブロワ室(65)と、
前記空気の温度を調整する温度調整機構(53,54)と、を有する、
食品調温システム(10)。
[2]
上記[1]に記載の食品調温システム(10)であって、
前記ブロワ室(65)の内部に設けられるブロワ(55)を、更に備え、
前記ブロワ(55)は、
回転しながら前記空気を当該ブロワ(55)の周囲に放射状に吹き出すように構成され、且つ、当該ブロワ(55)の回転軸(55a)に直交する回転面(55bに平行な面)が前記吐出口(67)からの前記空気の吐出向きと平行であるように配置され、
前記通風路(66)は、
前記吐出口(67)から前記横方向に延びる、
食品調温システム(10)。
[3]
上記[2]に記載の食品調温システム(10)において、
前記温度調整機構は、
前記ブロワ(55)に沿って前記ブロワ(55)の上方から前記ブロワ(55)と前記収容室(44)との間を経て前記ブロワ(55)の下方に延びるU字状の形状を有し、前記食品の調温の際に発熱可能である、第1ヒータ(61)を有する、
食品調温システム(10)。
[4]
上記[3]に記載の食品調温システム(10)において、
前記温度調整機構は、
前記通風路(66)の中に配置され、前記食品の調温の際に発熱可能である、第2ヒータ(62)を有する、
食品調温システム(10)。
[5]
上記[4]に記載の食品調温システム(10)において、
前記第2ヒータ(62)は、
前記通風路(66)を通過する前記空気の流れ方向に沿うように延びる、
食品調温システム(10)。
[6]
上記[4]に記載の食品調温システム(10)において、
前記第1ヒータ(61)及び前記第2ヒータ(62)が一体的に繋がる、
食品調温システム(10)。
[7]
上記[2]に記載の食品調温システム(10)において、
前記吐出口(67)は、
前記ブロワ(55)の下方にオフセットした位置に設けられる、
食品調温システム(10)。
[8]
上記[2]に記載の食品調温システム(10)において、
前記ブロワ室(65)は、
前記ブロワ(55)と前記通風路(66)との間を仕切る仕切壁(58)を、有し、
前記仕切壁(58)は、
前記吐出口(67)に近づくにつれて前記通風路(66)の開口面積が徐々に大きくなるように湾曲した形状を、前記吐出口(67)の周辺において有する、
食品調温システム(10)。
1 配膳車
3 カート
4 インサート
5 トレイ
10 食品調温システム
11a 後壁(壁状部)
44 収容室
53 第1冷却器(温度調整機構)
54 ヒータ(温度調整機構)
55 ブロワ
55a 回転軸
58 仕切壁
61 第1ヒータ
62 第2ヒータ
65 ブロワ室
66 通風路
67 吐出口

Claims (8)

  1. 食品を載せ置いた複数のトレイを上下方向に並べて収容可能な収容室を有し、前記収容室に収容した前記複数の前記トレイを運搬可能である、配膳車と、
    前記配膳車との接続及び分離が可能であり、前記配膳車が接続されているときに前記上下方向に交差する横方向から前記収容室に前記食品の調温のための空気を供給可能である、ステーションと、
    を備える、食品調温システムであって、
    前記ステーションは、
    前記収容室に前記横方向において面する壁状部と、
    前記壁状部に設けられて前記収容室に向けて開口する前記空気の吐出口と、
    前記壁状部の内部に配置され、前記吐出口に連通する通風路と、
    前記壁状部の内部に配置され、前記通風路の上方又は下方から前記通風路の中に前記空気を送り込むブロワ室と、
    前記空気の温度を調整する温度調整機構と、を有する、
    食品調温システム。
  2. 請求項1に記載の食品調温システムであって、
    前記ブロワ室の内部に設けられるブロワを、更に備え、
    前記ブロワは、
    回転しながら前記空気を当該ブロワの周囲に放射状に吹き出すように構成され、且つ、当該ブロワの回転軸に直交する回転面が前記吐出口からの前記空気の吐出向きと平行であるように配置され、
    前記通風路は、
    前記吐出口から前記横方向に延びる、
    食品調温システム。
  3. 請求項2に記載の食品調温システムにおいて、
    前記温度調整機構は、
    前記ブロワに沿って前記ブロワの上方から前記ブロワと前記収容室との間を経て前記ブロワの下方に延びるU字状の形状を有し、前記食品の調温の際に発熱可能である、第1ヒータを有する、
    食品調温システム。
  4. 請求項3に記載の食品調温システムにおいて、
    前記温度調整機構は、
    前記通風路の中に配置され、前記食品の調温の際に発熱可能である、第2ヒータを有する、
    食品調温システム。
  5. 請求項4に記載の食品調温システムにおいて、
    前記第2ヒータは、
    前記通風路を通過する前記空気の流れ方向に沿うように延びる、
    食品調温システム。
  6. 請求項4に記載の食品調温システムにおいて、
    前記第1ヒータ及び前記第2ヒータが一体的に繋がる、
    食品調温システム。
  7. 請求項2に記載の食品調温システムにおいて、
    前記吐出口は、
    前記ブロワの下方にオフセットした位置に設けられる、
    食品調温システム。
  8. 請求項2に記載の食品調温システムにおいて、
    前記ブロワ室は、
    前記ブロワと前記通風路との間を仕切る仕切壁を、有し、
    前記仕切壁は、
    前記吐出口に近づくにつれて前記通風路の開口面積が徐々に大きくなるように湾曲した形状を、前記吐出口の周辺において有する、
    食品調温システム。
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