従来より、配膳車には、冷蔵機能や温蔵機能を有したものが存在する(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−225024号公報
そこで、冷蔵機能及び温蔵機能を有する配膳車(以下、単に「配膳車」という)の構造について、図21及び図22に基づいて説明する。図21は、配膳車の斜視図である。図22は、配膳車の内部構造を示す部分断面図である。図21に示すように、配膳車101は、走行方向と交差する左右両側面が開放された全体として矩形箱状をなす断熱構造の本体102を備え、その本体102は、四周をバンパ103で囲まれている。また、本体102の内部には、複数の温蔵室および冷蔵室が区画され、本体102に配設した加熱装置で生成した暖気を温蔵室に循環することで、温蔵室に収納されている食品を温蔵し、また、本体102に配設した冷凍装置で生成した冷気を冷蔵室に循環することで、冷蔵室に収納されている食品を冷蔵するよう構成されている。また、本体102の開放される左右両側面には、各室を開閉可能に各扉105が設けられ、本体102内に食品を出し入れできるように構成されている。
また、図22に示すように、本体102の上面には機械室106が設けられている。さらに、本体102の底面には車輪107が装備されていて、図22の左右方向である前後方向に移動可能とされている。そして、本体102の内部は、基台108上に複数個の単位仕切壁109を積み上げて形成された仕切壁110によって、温蔵室111と冷蔵室112とに区画されている。
ここで、冷蔵室112の冷却構造について説明すると、冷蔵室112の上方に対応する本体102上には、冷却器室113が配設されるとともに、冷蔵室112の仕切壁110と裏面側には、冷気流通用のダクト114が縦向きの溝形状に形成されて配設されている。そのダクト114の表面には、上下方向に複数の領域に分かれて、通気口群115がそれぞれ形成されている。
また、冷却器室113の内部には、冷却器116(蒸発器に相当するもの)とその外側に冷却ファン117が装備されている。この点、冷却器116は、機械室106内に装備された冷凍装置の蒸発器として冷却配管で循環接続され、周知の冷凍サイクルが構成されている。そして、冷凍サイクルと冷却ファン117とが駆動されると、冷却器116の近傍において生成された冷気が、冷却ファン117によりダクト114内に吹き込まれ、ダクト114内を下降しつつ通気口群115を通して冷蔵室112に吹き出され、吹き出された冷気は、冷蔵室112内を立ち上って、冷却器116側に導かれるといった循環流を生じ、もって、冷蔵室112内が冷却されるようになっている。
尚、機械室106内に装備された冷凍装置においては、図示しないが、フィンとチューブを併用した凝縮器を空冷ファンで空冷させており、その間に空気フィルタが挿着されることにより、凝縮器のフィンとチューブに付着物が発生して目詰まりを起こすことを防止して、凝縮器の性能を維持させている。
一方、温蔵室111の加熱構造について説明すると、先ず、温蔵室111の壁面119がヒータパネルで構成されており、遠赤外線の輻射により、温蔵室111に収納されている食品が加熱されるようになっている。また、壁面119の裏面側の両端には、図23に示すように、暖気流通用のダクト120が縦向きの溝形状に形成されて配設されている。そのダクト120の表面には、上下方向に複数の領域に分かれて、通気口群121がそれぞれ形成されている。さらに、壁面119の裏面側の中央には、図23に示すように、暖気流通用のダクト122が縦向きの溝形状に形成されて配設されている。そのダクト122の表面には、ヒータパネルとしてのヒータ123が装着されるとともに、そのダクト122の下部には、一つの通気口124が形成されている。
そして、温蔵室111の上方に対応する本体102上には、図24に示すように、加熱ファン室125が配設されるとともに、加熱ファン室125の内部には、加熱ファン126が装備されている。従って、ヒータ123と加熱ファン126とが駆動されると、ヒータパネルである壁面119の裏面側で生成された暖気が、加熱ファン126によりダクト120,122内に吹き込まれ、ダクト120,122内を下降しつつ通気口群121及び通気口124を通して温蔵室111に吹き出され、吹き出された暖気は、温蔵室111内を立ち上って、加熱ファン126側に導かれるといった循環流を生じ、もって、温蔵室111内が加熱されるようになっている。
尚、ダクト122内を下降する暖気は、ヒータパネルである壁面119の温度分布を均一にさせる働きもある。
そして、配膳車101では、図22に示すように、一人前の食品(調理済の食材)が盛りつけられたトレー127を各単位仕切壁109の間に挟み込ませることにより、冷蔵室112側に収納されたトレー127上の食品を冷却させるとともに、温蔵室111側に収納されたトレー127上の食品を保温させながら搬送させることができる。
尚、トレー127の両端は、トレー受け128で支持される。
また、配膳車101では、図21に示すように、オペレーションパネル129が設けられており、そのオペレーションパネル129には、冷蔵室112の庫内温度を表示する冷蔵温度表示部130と、温蔵室111の庫内温度を表示する温蔵温度表示部131が設けれている。
本発明の実施の形態は、所謂ワゴンタイプの配膳車であって、例えば、10〜20食分の料理が入ったホテルパン・シートパンなどのトレーを保冷・保温の運転中の庫内に収納し、食事をする場所まで搬送した後に、保冷・保温を再運転させて待機しつつ、適時になり次第、トレーを庫内より取り出して天上部にのせ、個別皿へ盛りつける配膳作業に適したものである。
図1に、本実施の形態の配膳車の斜視図を示す。本実施の形態の配膳車1は、図1に示すように、移動架台2と、移動架台2に載置された本体3、本体3の上部に設けられた天板4などから構成されている。
この点、移動架台2には、その底面に車輪11が装備されていて、前後方向に移動可能とされている。さらに、その底面にブレーキペダル12が装備されていて、ブレーキペダル12を軽く踏むだけで、確実に床に固定することができ、待機中や傾斜地などでの不意な移動を防ぐことできる。
また、本体3には、その正面に、温蔵室用扉13や、冷蔵室用扉14、機械室用パネル15が設けられており、温蔵室用扉13の窓16からは庫内に収納された複数のトレー17を確認することができ、冷蔵室用扉14の窓18からも庫内に収納された複数のトレー19を確認することができる。また、上下の配置関係にある冷蔵室用扉14及び機械室用パネル15と温蔵室用扉13との間には、オペレーションパネル20が設けられている。
尚、温蔵室用扉13及び冷蔵室用扉14は回動可能に設けられているが、機械室用パネル15はそのパネルをねじ止めしている。
また、天板4には、その端部に、ハンドル21が設けられており、ハンドル21を握ることにより、移動操作を容易にしている。また、天板4には、折りたたみ式サイドテーブル22が装備されている。そして、天板4と折りたたみ式サイドテーブル22においては、トレー17,19を置くことが可能であり、トレー17,19に入った料理を陳列するためのスペースや盛り付け作業をするためのスペース等として利用できる。
尚、図1は、折りたたみ式サイドテーブル22を拡げた状態が記載されている。
次に、本体3の概要について説明する。図2は、温蔵室用扉13及び、冷蔵室用扉14、機械室用パネル15、オペレーションパネル20を取り外した状態の本体3を示した正面図である。図2に示すように、本体3は、その内部が、冷蔵室31と、温蔵室32、機械室33に画成されている。この点、冷蔵室31と温蔵室32においては、その内装壁面34,35の上下左右の奥の四隅34C,35CがR加工されている。
また、冷蔵室31においては、その内装壁面34の底面34Bにつき、冷蔵室用扉14と接触する前面側をフラットな構造にしている。図3は、図2の線A−Aで切断した部分断面図である。ここでは、図3に示すように、底面34Bは、その前面側をヘミング加工され、伝熱防止用の樹脂板36を挟んで前面枠37とネジ38で固定されることにより、フラットな構造を実現している。この点は、温蔵室31における内装壁面35の底面35Bについても同様である。
従って、冷蔵室31と温蔵室32においては、内装壁面34,35に窪んだ箇所がないので、搬送対象の料理や水がこぼれても、容易に外へ掻き出すことができ、もって、掃除性が向上している。よって、水を外に排出するためのドレインを設ける必要がない。
尚、配膳車1においては、搬送中の振動などで搬送対象の料理や水などがこぼれ得る機会が多く、また、凝結水などの発生し得る機会も多いので、掃除性の向上は重要である。
また、本体3においては、機械室33に、冷蔵室31を冷却するための冷凍装置が配置されている。尚、冷凍装置は、コンプレッサや、凝縮器、空冷ファン、空気フィルタ、蒸発器、キャピラリ、定圧式膨張弁などで構成されているが、それらの構成部品のうち、図2には、説明の便宜上、コンプレッサ39のみが記載されている。そして、ここでの冷凍サイクルでは、凝縮器と蒸発器の間にあるしぼり部分にキャピラリを使用している。一方、定圧式膨張弁は、凝縮器の入口と蒸発器の入口をバイパスさせるラインに設けられ、ホットガスを蒸発器に流すことによって、蒸発器による冷却が過剰にならないようにしている。これにより、蒸発器で冷却される冷蔵室31の内装壁面34は、約−15℃から約−5℃に抑えられる。
ここで、冷蔵室31と温蔵室32の構成について説明する。図4は、本体3の概略構成を示した図である。図4に示すように、冷蔵室31は、その周囲をウレタン発泡による断熱材40で覆われた断熱箱体51となっており、これにより、その断熱性能を高めた構造になっている。また、温蔵室32は、その周囲を断熱板41で覆われた断熱箱体52となっており、これにより、その断熱性能を高めた構造になっている。この点、ここでは、本体3の大きさの制約などから、断熱箱体51と断熱箱体52とを隣接させているが、これにより、冷蔵室31と温蔵室32とを隣り合わせにしても、ウレタン発泡による断熱材40及び断熱板41によって、隣り合う冷蔵室31と温蔵室32との間が断熱されることから、冷蔵室31と温蔵室32の機能が損なわれることはない。
そして、機械室33には、上述したように、冷蔵室31を冷却するための冷凍装置42が配置されているが、この点、冷凍装置42の蒸発器を構成する銅パイプ43は、機械室33にはなく、冷蔵室31の内装壁面34の左右上面の裏側に貼り付けられており、ウレタン発泡による断熱材40によって包まれている。従って、冷蔵室31の内部は、内装壁面34の左右上面により冷却され、そこで発生する冷気が自然対流で循環することになる。従って、冷蔵室31の内部においては、背景技術における配膳車の冷蔵室とは異なって、冷気の強制対流を起こすための冷却ファンやダクトがなく、また、内装壁面34のみで構成されるため、掃除性が向上する。さらに、冷気が強制的に循環されることもないので、冷蔵室31内に収納された料理が冷気に触れることによって乾燥する現象を抑えることができる。
また、温蔵室32では、内装壁面35のうち機械室33と隣り合う領域にヒータパネル45が設けられており、遠赤外線による輻射によって、温蔵室32内に収納された料理を温蔵することができる。さらに、温蔵室32では、暖気が強制的に循環されており、これによっても、温蔵室32内に収納された料理を温蔵することができる。そこで、ここでは、温蔵室32における暖気の強制的循環構造について説明する。図5は、温蔵室32における暖気の強制的循環構造の概要を示した図である。
図5に示すように、温蔵室32においては、上述したように、内装壁面35のうち機械室33と隣り合う領域にヒータパネル45が設けられており、ヒータパネル45の裏面側にコードヒータ54が貼り付けられている。さらに、ヒータパネル45の裏面側においては、ヒータパネル45に対して向かい合う位置に仕切板53が設けられており、ヒータパネル45と仕切板53の間に吹出流路57を形成している。また、仕切板53においては、吹出流路57の表面側にコードヒータ55が貼り付けられている。そして、吹出流路57は、ヒータパネル45の下方に形成された吹出口58を介して、温蔵室32の内部と連通している。従って、吹出口58は、温蔵室32の下部に位置する。
一方、仕切板53の裏面側においては、仕切板53に対して向かい合う位置に吸気板60が設けられており、仕切板53と吸気板60の間に吸込流路49を形成している。そして、吸込流路49は、吸気板60の裏側に確保された加熱ファン室48を介して、吹出流路57に連通している。従って、コードヒータ54,55と加熱ファン室48に設置された加熱ファン56とが駆動すると、温蔵室32内の空気は、後述する吸込口を介して、吸込流路49に流入し、加熱ファン室48を通過した後に、吹出流路57に流入する。そして、吹出流路57に流入した空気は、ヒータパネル45と仕切板53の双方向からコードヒータ54,55により加熱されて暖気となり、温蔵室32の下部に位置する吹出口58を介して、温蔵室32の内部に吹き出される。その後、暖気は、後述する吸込口を介して、吸込流路49に再び流入し、温蔵室32における暖気の強制的循環構造となる。
すなわち、この暖気の強制的循環構造においては、ヒータパネル45の裏面側に対向して設けられた仕切板53によって吸込流路49と吹出流路57とが区画された二重構造となり、さらに、吹出流路57においては、仕切板53に付着されたコードヒータ55とヒータパネル45に付着されたコードヒータ54とが対向する位置にあるので、本体3の大きさの制約などから、温蔵室32の内装壁面35に対するヒータパネル45の面積割合が相対的に小さくなっても、温蔵機能に必要な暖気を生成させることができる。尚、ここでは、ヒータパネル45の面積割合は、温蔵室32の内装壁面35の一側面に対して半分以下になっている。従って、温蔵室32の内装壁面35の一側面のうち、比較的高温となる部分は、ヒータパネル45の面積割合に相当する半分以下で済み、小さくなっている。
また、コードヒータ54,55のW密度を少なくすることが可能となる一方で、温蔵室32の庫内温度もはやく上昇させることも可能となる。
尚、本実施の形態の配膳車1においては、図4に示すように、本体3内に設けられた機械室33と隣接する温蔵室32の内装壁面35の下部にヒータパネル45を設けているので、上述した暖気の強制的循環構造を機械室33付近に集約させることがスペース的に可能となり、さらに、本体3内に設けられた冷蔵室31を温蔵室32の上部に隣接させたことによって、上述した暖気の強制的循環構造から冷蔵室31を遠ざけることも可能となるので、本体3の大きさが制約されても、省スペースや断熱性能の観点からより貢献できる構造を有している。
次に、温蔵室32における暖気の強制的循環構造に関し、温蔵室32内の空気が吸込流路49に流入する際に通過する吸込口について説明する。図6は、ヒータパネル45が設けられた温蔵室32の内装壁面35の一側面を示した正面図である。また、図7は、ヒータパネル45が設けられた温蔵室32の内装壁面35の一側面を示した側面図である。
図6及び図7に示すように、ヒータパネル45の裏面側においては、ヒータパネル45に対して向かい合う位置に仕切板53が設けられている。また、ヒータパネル45の下方には、温蔵室32の内部と連通する吹出口58が形成されている。一方、仕切板53の裏面側においては、仕切板53に対して向かい合う位置に吸気板60が設けられており、吸気板60には、加熱ファン56で吸い込まれる空気が流入するための吸気口群61と、加熱ファン56で送り出された空気が流出するための吐出口62が形成されている。尚、吸気板60の吸気口群61は図5に示す吸込流路49と連通し、吸気板60の吐出口62は図5に示す吹出流路57と連通することは言うまでもない。
一方、ヒータパネル45が設けられた温蔵室32の内装壁面35の一側面においては、図6及び図7に示すように、ヒータパネル45の両端に棚柱63がそれぞれ突き出して固定されている。この点、これらの棚柱63の内部は、縦向きの溝形状のダクトとなっており、仕切板53の両端側において、図5に示す吸込流路49と連通している。さらに、これらの棚柱63には、複数の開口部64が設けられており、その内部に形成されたダクトに連通している。従って、温蔵室32内の空気は、棚柱63の複数の開口部64を介して、棚柱63の内部に形成されたダクトを下方に向かって通過すると、仕切板53の両端側において、図5に示す吸込流路49に流入することができる。
すなわち、本実施の形態の配膳車1では、温蔵室32における暖気の強制的循環構造に関し、ヒータパネル45が設けられた温蔵室32の内装壁面35の一側面から突設させた棚柱63の開口部64を、温蔵室32内の空気を吸い込むための吸込口として使用しており、当該吸込口を個別に設けることなく、温蔵室32内の空気を循環させることができるので、温蔵機能を備えつつ小型化に適した構造にある。
さて、棚柱63は、ヒータパネル45が設けられた温蔵室32の内装壁面35の一側面だけでなく、それに対向する内装壁面35の一側面においても設けられている。図8は、温蔵室32の平面図である。図8に示すように、温蔵室32においては、内装壁面35の両側面において、一対の棚柱63が対向するように突設されている。そして、内装壁面35の両側面のそれぞれにおいては、同じ高さにある棚柱63の開口部64に対し、断面が段差形状で長尺状のスライド板65に固設されたホルダ68の一部を係入させることによって、一対のスライド板65が同じ高さで平行に固定された棚受けをセットすることができる。
尚、ヒータパネル45に対向する内装壁面35の一側面において設けられた棚柱63については、温蔵室32における暖気の強制的循環構造とは無関係である。
また、図8では、ヒータパネル45が設けられた温蔵室32の内装壁面35の一側面においては棚受けがセットされているが、それに対向する内装壁面35の一側面においては棚受けがセットされていない状態を記載している。
そして、図9や図10に示すように、スライド板65上をスライドさせることにより、シートパン66やホテルパン67をトレー17として温蔵室32に収納させることができる。この点、シートパン66やホテルパン67は大きさが異なるものであるが、図9と図10を比較すればわかるように、ここでは、シートパン66とホテルパン67がそれぞれスライドする位置を、スライド板65の異なる段上にそれぞれ分担させることで、シートパン66とホテルパン67のいずれも収納可能にしており、これにより、ユニバーサルタイプを実現している。
この点は、冷蔵室31でも同様であり、内装壁面34の両側面に一対の棚柱63を設けて、同じ高さにある棚柱63の開口部64に対し、断面が段差形状で長尺状のスライド板65に固設されたホルダ68の一部を係入させることによって、一対のスライド板65が同じ高さで平行に固定された棚受けをセットすることができる。そして、図9や図10に示すように、スライド板65上をスライドさせることにより、シートパン66やホテルパン67を冷蔵室31に収納させることができる。
また、本実施の形態の配膳車1では、シートパン66やホテルパン67には、一人前に盛り付けされた料理でなく、10〜20食分の料理が入っているので、棚受けを構成するホルダ68にかかる負担は大きい。従って、ホルダ68については、その強度をアップさせる工夫がなされている。図11は、ホルダ68の正面図である。図12は、ホルダ68の平面図である。図13は、ホルダ68の側面図である。図11〜図13に示すように、ホルダ68は、プレス加工により成形されるものであって、スライド板65が載置されるトップ板部69と、棚柱63の開口部64に係入される係入部72、係入部72に対向する端板部70、一対の側板部71から構成されている。この点、図12に示すように、係入部72は、その両端が切り欠かれ、図11に示すように、一対の側板部71との間に僅かな空間を形成させている。
そして、棚受けをセットするために、ホルダ68の係入部72を棚柱63の開口部64に係入させると、一対の側板部71の側面71Aが棚柱63と面接するので、シートパン66やホテルパン67の荷重は、係入部72の根元だけでなく、一対の側板部71の側面71Aにも作用して、分散することから、ホルダ68の強度をアップさせることができる。
以上より、本実施の形態の配膳車1では、シートパン66やホテルパン67を冷蔵室31や温蔵室32に何層に渡って収納させる観点より、棚柱63の開口部64は必要不可欠な構成要素である。従って、温蔵室32における暖気の強制的循環構造に関し、必要不可欠な棚柱63の開口部64を、温蔵室32内の空気を吸い込むための吸込口として使用することは、吸込口そのものを設けることが不要となって、温蔵室32における開口部を一つなくしたことを意味しているので、面倒な掃除箇所を一つなくしたということができる。
次に、オペレーションパネル20について説明する。オペレーションパネル20は、冷蔵室31や温蔵室32の庫内温度に関する表示部、ボタン、スイッチなどが設けられている。図14は、オペレーションパネル20の上部を示した正面図である。
図14に示すように、オペレーションパネル20には、冷蔵室31に関し、第1冷蔵温度表示部74と、第2冷蔵温度表示部73、温度上昇ボタン76、温度下降ボタン77、温度設定ボタン75、電源スイッチ93、電源表示ランプ95が設けられている。この点、第1冷蔵温度表示部74と第2冷蔵温度表示部73は、冷蔵室31の庫内温度を液晶表示するものであるが、詳細は後述する。また、電源スイッチ93は、冷蔵室31を冷却するための冷凍装置42のスイッチであり、電源スイッチ93がONされると電源表示ランプ95が点灯し、電源スイッチ93がOFFされると電源表示ランプ95が消灯する。また、第1冷蔵温度表示部74においては、通常、冷蔵室31の庫内温度が点灯表示されるが、温度設定ボタン75が押下されると、この冷蔵室31の庫内温度に代わって、現在の設定温度が点滅表示される。そして、この設定温度を変更したい場合には、温度設定ボタン75が押下された状態を維持して、設定モードとし、ここで、温度上昇ボタン76を押下することにより、点滅表示中の温度を上昇させ、又は、温度下降ボタン77を押下することにより、点滅表示中の温度を下降させ、所望の温度となったときに、温度設定ボタン75の押下状態を解除する。これにより、設定モードから抜け出すと同時に、点滅表示中の温度を設定温度に変更させることができる。尚、温度設定ボタン75の押下状態が解除された後は、第1冷蔵温度表示部74において、冷蔵室31の庫内温度が点灯表示される。また、冷蔵室31の温度制御は、図示しないサーモコントローラによって、コンプレッサ39のON・OFFを制御することにより行われる。
また、オペレーションパネル20には、温蔵室32に関し、第1温蔵温度表示部79と、第2温蔵温度表示部78、温度上昇ボタン91、温度下降ボタン92、温度設定ボタン90、電源スイッチ94、電源表示ランプ96が設けられている。この点、第1温蔵温度表示部79と第2温蔵温度表示部78は、温蔵室32の庫内温度を液晶表示するものであるが、詳細は後述する。また、電源スイッチ94は、温蔵室32を加熱するためのコードヒータ54,55と加熱ファン56のスイッチであり、電源スイッチ94がONされると電源表示ランプ96が点灯し、電源スイッチ94がOFFされると電源表示ランプ96が消灯する。また、第1温蔵温度表示部79においては、通常、温蔵室32の庫内温度が点灯表示されるが、温度設定ボタン90が押下されると、この温蔵室32の庫内温度に代わって、現在の設定温度が点滅表示される。そして、この設定温度を変更したい場合には、温度設定ボタン90が押下された状態を維持して、設定モードとし、ここで、温度上昇ボタン91を押下することにより、点滅表示中の温度を上昇させ、又は、温度下降ボタン92を押下することにより、点滅表示中の温度を下降させ、所望の温度となったときに、温度設定ボタン90の押下状態を解除する。これにより、設定モードから抜け出すと同時に、点滅表示中の温度を設定温度に変更させることができる。尚、温度設定ボタン90の押下状態が解除された後は、第1温蔵温度表示部79において、温蔵室32の庫内温度が点灯表示される。また、温蔵室32の温度制御は、図示しないサーモコントローラによって、コードヒータ54,55や加熱ファンに対して行われる。
図15は、オペレーションパネル20の温度表示機能に関するブロック図である。図15に示すように、リレー回路97には、図示しない電源プラグを介してコンセントから供給される電源98と、冷蔵室31の庫内温度を測定するサーミスタ201、温蔵室32の庫内温度を測定するサーミスタ202、冷蔵室31の庫内温度を液晶表示する第1冷蔵温度表示部74及び第2冷蔵温度表示部73、温蔵室32の庫内温度を液晶表示する第1温蔵温度表示部79及び第2温蔵温度表示部78が接続されている。
尚、冷蔵室31の庫内温度を測定するサーミスタ201には、第2冷蔵温度表示部73に直接接続されるものがもう一つ設けられている。
また、温蔵室32の庫内温度を測定するサーミスタ202には、第2温蔵温度表示部78に直接接続されるものがもう一つ設けられている。
この点、第1冷蔵温度表示部74及び第1温蔵温度表示部79は、電源98を駆動源とするものであり、リレー回路97によって、図示しない電源プラグがコンセントに差し込まれると、一方のサーミスタ201で測定された冷蔵室31の庫内温度が第1冷蔵温度表示部74に液晶表示されるとともに、一方のサーミスタ202で測定された温蔵室32の庫内温度が第1温蔵温度表示部79に液晶表示され、図示しない電源プラグがコンセントから外されると、第1冷蔵温度表示部74及び第1温蔵温度表示部79における液晶表示が不能となる。
一方、第2冷蔵温度表示部73は、電池回路203に搭載された内蔵電池を駆動源とし、第2温蔵温度表示部78は、電池回路204に搭載された内蔵電池を駆動源としている。そして、リレー回路97は、電池回路203,204に接続されることによって、図示しない電源プラグがコンセントから外されると、他方のサーミスタ201で測定された冷蔵室31の庫内温度が第2冷蔵温度表示部73に液晶表示されるとともに、他方のサーミスタ202で測定された温蔵室32の庫内温度が第2温蔵温度表示部78に液晶表示され、図示しない電源プラグがコンセントに差し込まれると、第2冷蔵温度表示部73及び第2温蔵温度表示部78における液晶表示が不能となる。
従って、本実施の形態の配膳車1では、冷蔵室31の庫内温度を表示する冷蔵温度表示部として、第1冷蔵温度表示部74と第2冷蔵温度表示部73とが個別に確保されるとともに、温蔵室32の庫内温度を表示する温蔵温度表示部として、第1温蔵温度表示部79と第2温蔵温度表示部78とが個別に確保されている。そして、これらの表示部の駆動態様は、リレー回路97によって制御されている。すなわち、図示しない電源プラグがコンセントに差し込まれた最中には、第1冷蔵温度表示部74で冷蔵室31の庫内温度が液晶表示されるとともに第1温蔵温度表示部78で温蔵室32の庫内温度が表示され、第2冷蔵温度表示部73及び第2温蔵温度表示部78における液晶表示が不能となる。その一方で、図示しない電源プラグがコンセントから外された最中には、第2冷蔵温度表示部73で冷蔵室31の庫内温度が表示されるとともに第2温蔵温度表示部78で温蔵室32の庫内温度が表示され、第1冷蔵温度表示部74及び第1温蔵温度表示部79における液晶表示が不能となる。
これにより、リレー回路97を使用すれば、例えば、搬送中など、図示しない電源プラグがコンセントから外された状態にあっても、冷蔵室31及び温蔵室32の庫内温度の表示が可能となる。さらに、リレー回路97により、第1冷蔵温度表示部74と第2冷蔵温度表示部73とが同時に液晶表示することがなく、また、第1温蔵温度表示部79と第2温蔵温度表示部78とが同時に液晶表示することがないので、冷蔵室31及び温蔵室32の庫内温度が二重に表示されることによる弊害(例えば、表示温度違い)を防ぐことができ、また、これらの表示部の駆動態様を見れば、図示しない電源プラグがコンセントに差し込まれているか外されているかを確認することができ、電源プラグの入れ忘れ・抜き忘れを防止することに役立つ。
尚、上記実施例とは異なり、電源表示ランプ95が点灯中には、第1冷蔵温度表示部74で冷蔵室31の庫内温度が液晶表示されるとともに第2冷蔵温度表示部73における液晶表示を不能とし、電源表示ランプ95が消灯中には、第2冷蔵温度表示部73で冷蔵室31の庫内温度が液晶表示されるとともに第1冷蔵温度表示部74における液晶表示を不能としてもよい。このようにすれば、第1冷蔵温度表示部74及び第2冷蔵温度表示部73の駆動態様により、冷蔵室31の温度制御中の庫内温度であるか否かを容易に判断することができる。また、電源表示ランプ96が点灯中には、第1温蔵温度表示部79で温蔵室32の庫内温度が液晶表示されるとともに第2温蔵温度表示部78における液晶表示を不能とし、電源表示ランプ96が消灯中には、第2温蔵温度表示部78で温蔵室32の庫内温度が液晶表示されるとともに第1温蔵温度表示部79における液晶表示を不能としてもよい。このようにすれば、第1温蔵温度表示部79及び第2温蔵温度表示部78の駆動態様により、温蔵室32の温度制御中の庫内温度であるか否かを容易に判断することができる。
また、本実施の形態の配膳車1は、高さが約850mm、奥行が約660mm、間口が約900mmの大きさであって、所謂ワゴンタイプの小型のものであり、オペレーションパネル20の配置場所に対する制約が大きい。この観点を重視すると、オペレーションパネル20は、機械室33内に設けることが妥当であるが、冷蔵室31又は温蔵室32の設定温度の変更を行うためには、機械室用パネル15の開閉が必要となって、不便である。そこで、本実施の形態の配膳車1では、図1に示すように、オペレーションパネル20を冷蔵室用扉14と温蔵室用扉13との間に設けており、冷蔵室31又は温蔵室32の設定温度の変更操作を行いやすくしたので、これにより、冷蔵室31又は温蔵室32に収納されるトレー17,19(シートパン66やホテルパン67)上の料理に応じて、冷蔵室31又は温蔵室32の庫内温度を速やかに変更させることができる。
次に、機械室33における冷凍装置42の各機器の配置箇所について説明する。図16は、機械室33の冷凍装置42の各機器の配置を示した平面図である。図16に示すように、機械室33には、機械室用パネル15の側から順に、コンプレッサ39、定圧式膨張弁207、空冷ファン206、ドライヤ214、フィンとチューブを併用した凝縮器205、空気フィルタ208が配置されている。尚、冷凍装置42の蒸発器については、上述したように、機械室33にはなく、冷蔵室31の内装壁面34の左右上面の裏側に銅パイプ43として貼り付けられている。
また、空冷ファン206を駆動させると、空冷ファン206により吸い込まれた空気が、空気フィルタ208と凝縮器205を通過し、その後は、空冷ファン206の下側から外部に吐き出される。
ここで、空気フィルタ208について説明する。図17は、空気フィルタ208の正面図である。図17に示すように、空気フィルタ208には、4つのフィルタ部210が設けられており、これらにより、空冷ファン206により吸い込まれた空気に含まれる浮遊物を除去することができ、よって、凝縮器のフィンとチューブに付着物が発生して目詰まりを起こすことを抑止し、冷凍装置の性能を維持させている。ここでは、空気フィルタ208は、凝縮器205の横にセットされることになるが、そのセットには、図18に示すように、機械室33(本体3)の一側面211に設けられた装着口212を介して行われる。すなわち、空気フィルタ208の摘み部209(図17参照)をつまんで、空気フィルタ208を装着口212に挿入しきれば、凝縮器205の横に空気フィルタ208が正しくセットされる。このとき、空気フィルタ208の摘み部209(図17参照)は、外部からの空気フィルタ208の交換作業に備えるため、装着口212から突き出ているが、図19の配膳車1の平面図に示すように、バンパ213からはみ出すことはない。尚、バンパ213は、移動架台2(図1参照)の四周に設けられたものであり、衝突時の衝撃をやわらげるものである。
従って、本実施の形態の配膳車1では、機械室33(本体3)の一側面211に設けられた挿着口212に対し空気フィルタ208を出し入れすることにより、本体3の機械室33に配置された凝縮器205の横に空気フィルタ208を着脱させることができ、さらに、凝縮器205の横に空気フィルタ208がセットされた際には、挿着口212から突出する空気フィルタ208の摘み部209がバンパ213の上方領域内に位置することから、搬送時に壁や人などに空気フィルタ208の摘み部209が接触するおそれが少なく、もって、空気フィルタ208の交換が容易でその保護に優れた構造にある。
また、本実施の形態の配膳車1においては、冷蔵室31又は温蔵室32に収納されたトレー17,19(シートパン66やホテルパン67)を取り出して天板4に置くことにより、トレー17,19(シートパン66やホテルパン67)に入った料理を陳列したり、個別皿に盛り付けることができる。この点、天板4の両端には、図20の断面図にも示すように、突条部213が形成されている。従って、トレー17,19(シートパン66やホテルパン67)を天板4に置いた状態で、配膳車1を旋回移動させても、また、直進移動の振動が激しくても、トレー17,19(シートパン66やホテルパン67)が天板4から滑り落ちることはない。尚、この点は、折りたたみ式サイドテーブル22においても同様であり、その両端には、突条部213が形成されている。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、本実施の形態の配膳車1は、手動走行による移動を行う機種であったが、積載されたバッテリ電源などにより補助的な電動走行が可能な機種であってもよい。