JP2023165448A - 潤滑油組成物、潤滑方法及び変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、低粘度化とギヤ保護性とを高いレベルで両立しながら、更に優れた銅腐食防止性及び酸化安定性をも達成する潤滑油組成物、それを用いた潤滑方法、及びそれを備えた変速機を提供することを目的とする。【解決手段】基油(A)と、硫黄系極圧剤(B)と、リン系極圧剤(C)と、を含有し、前記硫黄系極圧剤(B)が、炭素数3以上24以下の分岐有機基を有するチアジアゾールであり、前記リン系極圧剤(C)が、環構造を含む炭素数6以上24以下の有機基を有するリン酸エステルである潤滑油組成物、及びそれを用いた潤滑方法、それを備えた変速機を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、潤滑油組成物、当該潤滑油組成物を用いた潤滑方法及び当該潤滑油組成物を備えた変速機に関するものである。
近年、自動変速機を搭載した車両の省燃費性を目的として、それに使用する潤滑油組成物の低粘度化が要求されている。また省燃費性は潤滑油組成物の低粘度化に加えて、自動変速機の小型化によっても達成できる。しかし自動変速機を小型化することにより、使用される歯車の直径が小さくなり、歯巾も小さくなる。これにより歯面にかかる力は大きくなるため、変速機に用いられる潤滑油にはギヤ保護性に対する要求が高くなっている。
また、電動車両では、モータと変速機の一体化によって、モータの冷却油と変速機の潤滑油の兼用に対する要求も高まっている。このような兼用では、省燃費性向上及びモータ冷却性能の向上のため、低粘度化に対する強い要求もある。
これら要求に応えるため、例えば、硫黄系極圧剤及びリン系極圧剤を添加した潤滑油組成物が検討されている(特許文献1)。
特許文献1:特開2021-80429号公報
潤滑油組成物が低粘度化すると省燃費性及び冷却性の向上を図ることができるが、流動性が増加するため、歯面の表面での潤滑油組成物の油膜の形成が難しくなる。また、低粘度化により、潤滑油組成物の歯面が局所的な過熱した際に油膜の破断を生じることがある。このように歯面の表面の油膜の層厚が減少又は破断すると、変速機の歯車にスカッフィングのような損傷が生じやすくなる。このように潤滑油組成物の低粘度化は、ギヤの損傷を生じさせる要因となる。つまり、低粘度化とスカッフィングを抑制する性質を含むギヤ保護性はトレードオフの関係にあるといえる。
前記の特許文献1では、スコーリング性を改善する(本願における耐スカッフィング性と同様の意味を有する。)ため、硫黄系極圧剤及びリン系極圧剤を組み合わせて使用することが検討されている。しかし、特許文献1の潤滑油組成物は、100℃における動粘度が大きく、低粘度化の要求に応えておらず、スコーリング性の改善も十分であるとはいえない。
また、特許文献1では検討されていないが、潤滑油組成物に前記極圧剤を添加すると、これら極圧剤や、極圧剤に由来する分解物の影響により、潤滑油組成物の銅腐食防止性及び酸化安定性が低下する傾向にある。
本発明は、低粘度化とギヤ保護性とを高いレベルで両立しながら、更に優れた銅腐食防止性及び酸化安定性をも達成する潤滑油組成物、それを用いた潤滑方法、及びそれを備えた変速機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは、以下の[1]~[17]を提供する。
[1] 基油(A)と、硫黄系極圧剤(B)と、リン系極圧剤(C)と、を含有し、
前記硫黄系極圧剤(B)が、炭素数3以上24以下の分岐有機基を有するチアジアゾールであり、
前記リン系極圧剤(C)が、環構造を含む炭素数6以上24以下の有機基を有するリン酸エステルである、潤滑油組成物。
[2] 前記基油(A)の100℃における動粘度が、6.000mm/s以下である、[1]に記載の潤滑油組成物。
[3] 前記基油(A)が、鉱油を含み、前記鉱油の前記基油(A)の全量基準(100質量%)の含有量が、70.00質量%以上である、[1]又は[2]に記載の潤滑油組成物。
[4] 前記チアジアゾールが、一般式(B1)~(B3)で表される化合物から選ばれる化合物である、[1]~[3]のいずれか1に記載の潤滑油組成物。
(一般式(B1)~(B3)中、RB11~RB32は各々独立に、炭素数3以上24以下の分岐有機基を表し、nB11~nB32は各々独立に、1~4の整数を表す。)
[5] 前記リン酸エステルが有する環構造を含む炭素数6以上24以下の有機基が、置換基を有していてもよいアリール基である、[1]~[4]のいずれか1に記載の潤滑油組成物。
[6] 前記リン酸エステルが、アミン塩ではない、[1]~[5]のいずれか1に記載の潤滑油組成物。
[7] 前記リン酸エステルが、中性リン酸エステルである、[1]~[6]のいずれか1に記載の潤滑油組成物。
[8] 前記中性リン酸エステルが、一般式(C1)で表される化合物である、[7]に記載の潤滑油組成物。
(一般式(C1)中、RC11~RC13は各々独立に、炭素数1以上24以下の炭化水素基を表すが、前記炭化水素基中の-CH-は各々独立に-O-、-S-、-CO-又は-CS-で置換されていてもよく、nC11~nC13は各々独立に、0~5の整数を表すが、同一分子内に、RC11~RC13が複数存在する場合には、それらは同一であっても、異なっていてもよく、XC11~XC13は各々独立に、-O-又は-S-を表し、XC14は、=O又は=Sを表す。)
[9] 前記潤滑油組成物中の硫黄原子の含有量が、前記潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、0.01質量%以上0.20質量%以下である、[1]~[8]のいずれか1に記載の潤滑油組成物。
[10] 前記潤滑油組成物中のリン原子の含有量が、前記潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、0.005質量%以上0.100質量%以下である、[1]~[9]のいずれか1に記載の潤滑油組成物。
[11] 前記潤滑油組成物に含まれる硫黄原子とリン原子との質量比(S/P比)が、1.00以上7.00以下である、[1]~[10]のいずれか1に記載の潤滑油組成物。
[12] 100℃における動粘度が、6.000mm/s以下である、[1]~[11]のいずれか1に記載の潤滑油組成物。
[13] 変速機用である、[1]~[12]のいずれか1に記載の潤滑油組成物。
[14] [1]~[13]のいずれか1に記載の潤滑油組成物を用いた潤滑方法。
[15] [1]~[13]のいずれか1に記載の潤滑油組成物を備えた変速機。
本発明によれば、低粘度化とギヤ保護性とを高いレベルで両立しながら、更に優れた銅腐食防止性及び酸化安定性をも達成する潤滑油組成物、それを用いた潤滑方法、及びそれを備えた変速機を提供することができる。
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」と称することがある。)について説明する。なお、本明細書において、「以上」、「以下」、「~」の数値範囲に係る上限及び下限の数値は任意に組み合わせできる数値であり、また実施例の数値を上限及び下限の数値として用いることもできる。
本実施形態の潤滑油組成物、それを用いた潤滑方法、及びそれを備えた変速機はあくまで本発明の一実施形態であり、本発明はそれらに限定されるものではない。
[潤滑油組成物]
本実施形態の潤滑油組成物は、基油(A)と、硫黄系極圧剤(B)と、リン系極圧剤(C)と、を含有し、前記硫黄系極圧剤(B)が、炭素数3以上24以下の分岐有機基を有するチアジアゾールであり、前記リン系極圧剤(C)が、環構造を含む炭素数6以上24以下の有機基を有するリン酸エステルであることを要する。
本実施形態の潤滑油組成物は、前記基油(A)とともに、特定の構造を有する硫黄系極圧剤(B)及び特定の構造を有するリン系極圧剤(C)を含有することで、低粘度化とギヤ保護性とを高いレベルで両立しながら、更に優れた銅腐食防止性及び酸化安定性をも達成することができる。このように特定の構造を有する硫黄系極圧剤(B)及び特定の構造を有するリン系極圧剤(C)を用いることで、極圧剤としての効果に加えて、低粘度化した潤滑油組成物であっても高いギヤ保護性を発現し、更に銅腐食防止性及び酸化安定性も達成することを可能としている。
本明細書において「低粘度化」とは、潤滑油組成物の100℃における動粘度の値を小さくすることを意味し、具体的には6.000mm/s以下であることが好ましい。100℃における動粘度は、実施例記載の方法により決定することができる。
前記のように特許文献1の潤滑油組成物は、100℃における動粘度が大きく、本実施形態の潤滑油組成物において、これが改善されたことを確認するため、100℃における動粘度に着目した。
ギヤは、使用によりスカッフィング(スコーリング)、スポーリング、ピッチング及び摩耗を生じる。「ギヤ保護性」とは、耐スカッフィング性を含むものであり、ギヤに含まれる歯車等の損傷を生じさせない又は抑える性質を意味する。「耐スカッフィング性」とは、歯車の歯面等の滑り接触面に生じる固相融着による局所的表面損傷(スカッフィング)を軽減する性質を意味する。前記したように低粘度化とギヤ保護性はトレードオフの関係にあり、本実施形態においては、基油(A)とともに、特定の構造を有する硫黄系極圧剤(B)及び特定の構造を有するリン系極圧剤(C)を用いることで、これらを高いレベルで両立することができる。その理由は定かではないが、これら硫黄系極圧剤(B)及びリン系極圧剤(C)を用いることで、潤滑対象物となる変速機の金属の表面、とりわけその表面に微細な凹凸を有する金属を被覆し、潤滑油組成物が油膜を形成する性質及び油膜を形成する能力(以下、「油膜形成性」とも称する。)を高くすることができるためであると考えられる。この油膜形成性が高ければ、油膜により金属同士の衝撃や固相融着を抑えることができるため、高いギヤ保護性を得ることができると考えられる。また、特定の構造を有する硫黄系極圧剤(B)及び特定の構造を有するリン系極圧剤(C)により、優れた銅腐食防止性及び酸化安定性を発現するものと考えられる。
「ギヤ保護性」は、例えば歯車の歯面に生じる固相融着による局所的表面損傷を軽減する性質であるが、これは例えば実施例に記載したASTM D4172-18に準拠したシェル四球摩耗試験により生じる摩耗痕の観察と摩耗痕径により評価することができる。摩耗痕の観察から表面損傷が生じることを確認し、更に摩耗痕径の大きさから、その程度を確認することができる。摩耗痕径が小さい方が、「ギヤ保護性」が高いと評価できる。
また、「銅腐食防止性」及び「酸化安定性」は、潤滑油組成物が潤滑対象物に対して、化学的に影響を与えるか又は潤滑対象物から潤滑油組成物が化学的な影響を受けるかを評価する指標となる。前記のように硫黄系極圧剤及びリン系極圧剤を添加することにより、高いギヤ保護性を得ることはできるが、例えば潤滑対象物が有する銅の表面の腐食が生じたり、潤滑対象物の表面の金属が触媒として作用して、硫黄系極圧剤及びリン系極圧剤の分解が生じたりしてしまう。このように潤滑油組成物に金属が溶け出すことや、それの構成成分が劣化すると潤滑油組成物が当初有する性能の低下が生じるため、好ましくない。本実施形態の潤滑油組成物は、上記のような成分を組み合わせることで、潤滑油組成物の性能の低下を抑えることが可能となった。「銅腐食防止性」は例えば実施例記載の銅の溶出量により評価することができ、「酸化安定性」は例えば実施例記載の内燃機関潤滑酸化安定度試験(ISOT試験)及びISOT試験前後の酸価の増加量により評価することができる。
本実施形態の潤滑油組成物において、前記基油(A)、前記硫黄系極圧剤(B)及び前記リン系極圧剤(C)の合計含有量としては、前記潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、低粘度化と、ギヤ保護性を改善するために、下限値は60.00質量%以上であることが好ましく、70.00質量%以上であることがより好ましく、80.00質量%以上であることが更に好ましく、85.00質量%以上であることがより更に好ましく、88.00質量%以上であることが一層好ましく、89.00質量%以上であることがより一層好ましい。また、優れた銅腐食防止性及び酸化安定性の発現のため上限値は、100質量%以下であることが好ましく、99.00質量%以下であることがより好ましく、97.00質量%以下であることが更に好ましく、95.00質量%以下であることがより更に好ましく、92.00質量%以下であることが一層好ましい。
前記潤滑油組成物中の硫黄原子の含有量が、前記潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、0.01質量%以上0.20質量%以下であるとギヤ保護性を改善しつつ、優れた銅腐食防止性及び酸化安定性を達成できるため好ましい。下限値としては、0.02質量%以上がより好ましく、0.03質量%以上が更に好ましい。上限値としては、0.15質量%以下であることがより好ましく、0.10質量%以下であることが更により好ましく、0.09質量%以下であることがより更により好ましい。
前記潤滑油組成物中のリン原子の含有量が、前記潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、0.005質量%以上0.100質量%以下であるとギヤ保護性を改善しつつ、優れた銅腐食防止性及び酸化安定性を達成できるため好ましい。下限値としては、0.010質量%以上がより好ましく、0.013質量%以上が更に好ましい。上限値としては、0.080質量%以下であることがより好ましく、0.050質量%以下であることが更により好ましく、0.035質量%以下であることがより更により好ましい。
前記潤滑油組成物に含まれる硫黄原子とリン原子との質量比(S/P比)が、1.00以上7.00以下であると、ギヤ保護性を改善しつつ、特に銅腐食防止性を改善することができるため好ましい。硫黄原子の含有量及びリン原子の含有量が前記の範囲内にあり、S/P比が前記の範囲にあることがより好ましいが、S/P比の下限値としては、1.10以上がより好ましく、1.15以上が更に好ましい。上限値としては、6.50以下であることがより好ましく、6.00以下であることが更により好ましく、5.40以下であることがより更により好ましい。
前記潤滑油組成物中の硫黄原子の含有量は主に硫黄系極圧剤(B)の含有量によって、前記潤滑油組成物中のリン原子の含有量は主にリン系極圧剤(C)の含有量によって、適宜調整できる。このため、S/P比についても、硫黄系極圧剤(B)及びリン系極圧剤(C)の含有量によって、適宜調整することができる。
前記潤滑油組成物の100℃における動粘度は、優れた省燃費性及び油膜形成性を達成するため、上限値としては、6.000mm/s以下であることが好ましく、5.000mm/s以下であることがより好ましく、4.800mm/s以下であることが更に好ましく、4.500mm/s以下であることがより更に好ましく、4.100mm/s以下であることが一層好ましく、下限値は特に制限はないが、2.000mm/s以上であることが好ましく、3.000mm/s以上であることがより好ましく、3.300mm/s以上であることが更に好ましく、3.600mm/s以上であることがより更に好ましく、3.800mm/s以上であることが一層好ましい。
前記潤滑油組成物の40℃における動粘度は、優れた省燃費性及び油膜形成性を達成するため、上限値としては、20.00mm/s以下であることが好ましく、18.00mm/s以下であることがより好ましく、16.50mm/s以下であることが更に好ましく、16.00mm/s以下であることがより更に好ましく、15.90mm/s以下であることが一層好ましく、下限値は特に制限はないが、12.00mm/s以上であることが好ましく、13.00mm/s以上であることがより好ましく、14.00mm/s以上であることが更に好ましく、15.00mm/s以上であることがより更に好ましく、15.50mm/s以上であることが一層好ましい。
前記潤滑油組成物の粘度指数は、優れた省燃費性及び油膜形成性を達成するため、上限値としては、180以下であることが好ましく、175以下であることがより好ましく、170以下であることが更に好ましく、167以下であることがより更に好ましく、下限値は特に制限はないが、130以上であることが好ましく、140以上であることがより好ましく、145以上であることが更に好ましく、150以上であることがより更に好ましく、155以上であることが一層好ましい。
前記のようにギヤ保護性は、シェル四球摩耗試験により生じる摩耗痕の観察と摩耗痕径により評価したが、摩耗痕径は、上限値としては、0.65mm以下であることが好ましく、0.63mm以下であることがより好ましく、0.60mm以下であることが更に好ましく、0.58mm以下であることがより更に好ましく、0.55mm以下であることが一層好ましい。下限値は特に制限はないが、一般的には0.30mm程度となる。
前記のように酸化安定性については、ISOT試験の条件で、その前後の酸価の増加により酸化増加を測定し、評価するが、酸化増加は、上限値としては、0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましく、0.12以下であることが更に好ましく、0.10以下であることがより更に好ましい。下限値は特に制限はないが、一般的には0.01程度であれば実使用に問題とならない。
前記の銅腐食防止性について、銅溶出量は、上限値としては、50ppm以下であることが好ましく、45ppm以下であることがより好ましく、40ppm以下であることが更に好ましく、38ppm以下であることがより更に好ましい。下限値は特に制限はないが、一般的には5ppm以上程度であれば実使用に問題とならない。
<基油(A)>
本実施形態で用いる基油(A)は、鉱油であってもよく、合成油であってもよく、鉱油と合成油との混合油を用いてもよい。
前記鉱油としては、例えば、パラフィン系原油、中間基系原油、ナフテン系原油等の原油を常圧蒸留して得られる常圧残油;これらの常圧残油を減圧蒸留して得られる留出油;前記留出油を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製等の精製処理を1つ以上施して得られる鉱油等が挙げられる。
また、前記鉱油としては、低摩擦係数を実現し、かつ耐銅腐食性を向上させる観点から、API(米国石油協会)のベースオイルカテゴリーにおいて、グループII、IIIのいずれかに相当されるものが好ましく用いられるが、グループII及びグループIIIに相当される鉱油をともに用いることがより好ましい。
前記合成油としては、例えば、ポリブテン、エチレン-α-オレフィン共重合体、α-オレフィン単独重合体又は共重合体等のポリα-オレフィン類;ポリオールエステル、二塩基酸エステル、リン酸エステル等の各種エステル油;ポリフェニルエーテル等の各種エーテル;ポリグリコール;アルキルベンゼン;アルキルナフタレン;天然ガスからフィッシャー・トロプシュ法等により製造されるワックス(GTLワックス(Gas to Liquids WAX))を異性化することで得られるGTL基油等が挙げられる。
前記基油(A)は、前記の鉱油及び合成油のうちの一種を単独で用いてもよいし、鉱油を複数種組み合わせて用いてもよく、合成油を複数種組み合わせて用いてもよく、また鉱油と合成油とを組み合わせて用いてもよい。
前記基油(A)は、前記鉱油を含み、前記鉱油の前記基油(A)全量基準(100質量%)の含有量が、下限値としては、70.00質量%以上であることが好ましく、80.00質量%以上であることがより好ましく、90.00質量%以上であることが更に好ましく、95.00質量%以上であることがより更に好ましく、98.00質量%以上であることが一層好ましく、実質的に鉱油のみであることがより一層好ましい。
前記基油(A)の粘度については特に制限はないが、40℃における動粘度は、下限値としては、8.000mm/s以上が好ましく、10.000mm/s以上がより好ましく、13.000mm/s以上が更に好ましく、上限値としては、20.000mm/s以下が好ましく、17.500mm/s以下がより好ましく、14.500mm/s以下が更に好ましい。
前記基油(A)の100℃における動粘度は、上限値としては、6.000mm/s以下が好ましく、5.500mm/s以下がより好ましく、5.000mm/s以下が更に好ましく、下限値としては、2.000mm/s以上が好ましく、2.500mm/s以上がより好ましく、3.000mm/s以上が更に好ましい。
前記基油(A)の前記潤滑油組成物の全量(100質量%)基準の含有量は、下限値としては、好ましくは70.00質量%以上、より好ましくは80.00質量%以上、更に好ましくは85.00質量%以上であり、上限値としては、好ましくは99.00質量%以下、より好ましくは95.00質量%以下、更に好ましくは92.00質量%以下である。前記基油(A)の含有量を上記範囲内とすると、後記する硫黄系極圧剤(B)とリン系極圧剤(C)とともに、低粘度化とギヤ保護性とを高いレベルで両立しながら、更に優れた銅腐食防止性及び酸化安定性を向上しやすくなるため好ましい。
<硫黄系極圧剤(B)>
本実施形態で用いる硫黄系極圧剤(B)は、炭素数3以上24以下の分岐有機基を有するチアジアゾールであることを要する。これにより低粘度化とギヤ保護性とを高いレベルで両立しながら、更に優れた銅腐食防止性及び酸化安定性を向上しやすくなるため好ましい。
炭素数3以上24以下の分岐有機基を有するチアジアゾールは、直鎖の有機基を有するチアジアゾールと比べて、立体的に混み合った置換基を有するため、触媒作用を有する金属が反応点に近づきにくいためか、チアジアゾールが影響を受けにくく、優れた銅腐食防止性及び酸化安定性を有するものと考えられる。
前記特性を発現させるためには、前記分岐有機基は、分岐部分を有していればよく、分岐アルキル基、分岐アルケニル基又は分岐アルキニル基であることが好ましく、分岐アルキル基、分岐アルケニル基又は分岐アルキニル基は、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-S-、-S-、-S-、-S-、-CS-、-C(=S)O-、-C(=O)S-、-SC(=S)-、-NH-、-NHCO-又は-C(=O)NH-を有していてもよい。分岐有機基は、分岐アルキル基又は分岐アルケニル基が好ましく、分岐アルキル基がより好ましい。分岐有機基は、炭素数5以上20以下が好ましく、炭素数6以上18以下が好ましく、炭素数7以上15以下がより好ましく、炭素数8以上13以下が更に好ましく、炭素数9以上12以下がより更に好ましい。
分岐有機基としては、一般式(B0)で表される置換基が好ましい。なお、分岐アルキル基における分岐は、あくまで「アルキル基」が分岐鎖を有することを意味する。
(一般式(B0)中、RB01及びRB02は各々独立に、炭素数1から22のアルキル基を表し、RB03は、水素原子又は炭素数1から21のアルキル基を表し、nB0は、0~20の整数を表す。)
B01は、炭素数1から22の直鎖アルキル基であることが好ましく、炭素数1から8の直鎖アルキル基であることがより好ましく、メチル基、エチル基又はn-プロピル基であることが更に好ましく、メチル基又はエチル基であることがより更に好ましく、メチル基であることが一層好ましい。
B02は、炭素数1から22の直鎖アルキル基であることが好ましく、炭素数3から12の直鎖アルキル基であることがより好ましく、炭素数6から10の直鎖アルキル基であることが更に好ましく、炭素数6から9の直鎖アルキル基であることがより更に好ましい。
B03は、水素原子又は炭素数1から22の直鎖アルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1から8の直鎖アルキル基であることがより好ましく、メチル基、エチル基又はn-プロピル基であることが更に好ましく、メチル基又はエチル基であることがより更に好ましく、メチル基であることが一層好ましい。
nB0は、0~8の整数が好ましく、0~4の整数がより好ましく、0~2の整数が更に好ましく、0又は1がより更に好ましく、0が一層好ましい。
前記硫黄系極圧剤(B)は、一般式(B1)~(B3)で表される化合物から選ばれる化合物であることが、低粘度化とギヤ保護性とを高いレベルで両立しながら、更に優れた銅腐食防止性及び酸化安定性を向上しやすくなるため好ましく、一般式(B1)で表される化合物が、より好ましい。
(一般式(B1)~(B3)中、RB11~RB32は各々独立に、炭素数3以上24以下の分岐有機基を表し、nB11~nB32は各々独立に、1~4の整数を表す。)
同一分子内に存在するRB11~RB32は、それぞれ同一の分岐有機基であっても、異なる分岐有機基でもよいが、入手の容易性からは同一の分岐有機基であることが好ましい。RB11~RB32は、分岐部分を有していればよく、分岐アルキル基、分岐アルケニル基又は分岐アルキニル基であることが好ましく、分岐アルキル基、分岐アルケニル基又は分岐アルキニル基は、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-S-、-S-、-S-、-S-、-CS-、-C(=S)O-、-C(=O)S-、-SC(=S)-、-NH-、-NHCO-又は-C(=O)NH-を有していてもよい。分岐有機基は、分岐アルキル基又は分岐アルケニル基が好ましく、分岐アルキル基がより好ましい。分岐有機基は、炭素数5以上20以下が好ましく、炭素数6以上18以下が好ましく、炭素数7以上15以下がより好ましく、炭素数8以上13以下が更に好ましく、炭素数9以上12以下がより更に好ましい。分岐有機基は、前記の一般式(B0)で表される置換基であることが好ましい。
nB11~nB32は各々独立に、1~3の整数であることが好ましく、1又は2がより好ましく、2が更に好ましい。
前記硫黄系極圧剤(B)中の硫黄原子の含有量は、より優れたギヤ保護性を得るために、下限値として好ましくは10.00質量%以上、より好ましくは20.00質量%以上、更に好ましくは30.00質量%以上であり、上限値として好ましくは50.00質量%以下、より好ましくは40.00質量%以下、更に好ましくは36.00質量%以下である。
前記硫黄系極圧剤(B)の含有量は、前記潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、ギヤ保護性を改善するために、下限値は0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましく、0.08質量%以上が更に好ましい。また、優れた銅腐食防止性及び酸化安定性の発現のため上限値は、5.00質量%以下が好ましく、3.00質量%以下がより好ましく、2.00質量%以下が更に好ましく、1.00質量%以下がより更に好ましく、0.50質量%以下が一層好ましく、0.30質量%以下がより一層好ましい。
前記硫黄系極圧剤(B)に由来する硫黄原子の含有量は、前記潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、0.01質量%以上0.20質量%以下であるとギヤ保護性を改善しつつ、優れた銅腐食防止性及び酸化安定性を達成できるため好ましい。下限値としては、0.02質量%以上がより好ましく、0.03質量%以上が更に好ましい。上限値としては、0.15質量%以下であることがより好ましく、0.10質量%以下であることが更により好ましく、0.09質量%以下であることがより更により好ましい。
<リン系極圧剤(C)>
本実施形態で用いるリン系極圧剤(C)は、環構造を含む炭素数6以上24以下の有機基を有するリン酸エステルであることを要する。これにより低粘度化とギヤ保護性とを高いレベルで両立しながら、更に優れた銅腐食防止性及び酸化安定性を向上しやすくなるため好ましい。
前記リン酸エステルには、中性リン酸エステル、酸性リン酸エステル、亜リン酸エステル、亜リン酸水素エステル等のリン酸エステル、及び該リン酸エステルのアミン塩等が好ましく挙げられる。低粘度化とギヤ保護性とを高いレベルで両立しながら、更に優れた銅腐食防止性及び酸化安定性をも達成するためには、リン酸エステルが、アミン塩ではないことがより好ましく、中性リン酸エステルであることが更に好ましい。
前記環構造を含む炭素数6以上24以下の有機基を有するリン酸エステルは、環構造を持たない炭素数6以上24以下のリン酸エステルと比べて、立体的に混み合った置換基を有するため、触媒作用を有する金属が反応点に近づきにくいためか、リン酸エステルが影響を受けにくく、優れた銅腐食防止性及び酸化安定性を有するものと考えられる。
前記環構造を含む有機基の炭素数は、6以上20以下が好ましく、6以上16以下がより好ましく、6以上14以下が更に好ましく、6以上11以下がより更に好ましく、6以上10以下が一層好ましく、9が特に好ましい。
前記特性を発現させるためには、前記リン酸エステルが有する環構造を含む炭素数6以上24以下の有機基が、置換基を有していてもよいアリール基であることが好ましい。アリール基であることで、立体障害に寄与し、またアリール基自体の化学的安定性も高いため、優れた銅腐食防止性及び酸化安定性を発現するものと考えられる。
前記アリール基としては、フェニル基、ナフタレン-1-イル基又はナフタレン-2-イル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。アリール基は無置換であってもよいが、置換基を有していてもよい。前記置換基としては、炭素数1以上18以下の有機基が好ましく、炭素数1以上18以下の炭化水素基がより好ましく、炭素数1以上18以下のアルキル基が更に好ましく、炭素数1以上8以下のアルキル基がより更に好ましく、炭素数1以上6以下のアルキル基が一層好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基がより一層好ましい。
前記中性リン酸エステルは、一般式(C1)で表される化合物であることが好ましい。
(一般式(C1)中、RC11~RC13は各々独立に、炭素数1以上24以下の炭化水素基を表すが、前記アルキル基中の-CH-はそれぞれ各々独立に、-O-、-S-、-CO-又は-CS-で置換されていてもよく、nC11~nC13は各々独立に、0~5の整数を表すが、同一分子内に、RC11~RC13が複数存在する場合には、それらは同一であっても、異なっていてもよく、XC11~XC13は各々独立に、-O-又は-S-を表し、XC14は、=O又は=Sを表す。)
C11~RC13は各々独立に、炭素数1以上24以下の炭化水素基を表すが、前記炭化水素基としては、炭素数1以上8以下のアルキル基がより好ましく、炭素数1以上6以下のアルキル基が更に好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基がより更に好ましい。
nC11~nC13は各々独立に、0~3の整数が好ましく、0~2の整数が好ましく、0又は1が好ましい。XC11~XC13は-O-が好ましい。
前記リン系極圧剤(C)中のリン含有量は、より優れたギヤ保護性を得るために、好ましくは1.00質量%以上、より好ましくは3.00質量%以上、更に好ましくは6.00質量%以上であり、上限値として好ましくは15.00質量%以下、より好ましくは13.00質量%以下、更に好ましくは10.00質量%以下である。
前記リン系極圧剤(C)の含有量は、前記潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、ギヤ保護性を改善するために、下限値は0.01質量%が好ましく、0.03質量%がより好ましく、0.05質量%が更に好ましく、0.10質量%が更に好ましい。また、優れた銅腐食防止性及び酸化安定性の発現のため上限値は、3.00質量%が好ましく、2.00質量%がより好ましく、1.00質量%が更に好ましく、0.70質量%がより更に好ましく、0.50質量%が一層好ましい。
前記リン系極圧剤(C)に由来するリン原子の含有量は、前記潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、100質量ppm以上500質量ppm以下であるとギヤ保護性を改善しつつ、優れた銅腐食防止性及び酸化安定性を達成できるため好ましい。下限値としては、120質量ppm以上がより好ましく、140質量ppm以上が更に好ましい。上限値としては、450質量ppm以下であることがより好ましく、400質量ppm以下であることが更により好ましく、350質量ppm以下であることがより更により好ましい。
前記硫黄系極圧剤(B)と前記リン系極圧剤(C)との合計の含有量は、前記潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、ギヤ保護性を改善するために、下限値としては、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.10質量%以上が更に好ましく、0.20質量%以上が更に好ましい。また、優れた銅腐食防止性及び酸化安定性の発現のため上限値としては、3.00質量%以下が好ましく、2.00質量%以下がより好ましく、1.00質量%以下が更に好ましく、0.80質量%以下がより更に好ましく、0.60質量%以下が一層好ましい。
前記硫黄系極圧剤(B)と前記リン系極圧剤(C)の合計の含有量を前記基油(A)の含有量で除した値を100倍した値は、低粘度化とギヤ保護性とを高いレベルで両立しながら、更に優れた銅腐食防止性及び酸化安定性をも達成するために、下限値としては、0.10以上が好ましく、0.20以上がより好ましく、0.30以上が更に好ましい。また、優れた銅腐食防止性及び酸化安定性の発現のため、上限値としてはは、1.00以下が好ましく、0.80以下がより好ましく、0.70以下が更に好ましく、0.60以下がより更に好ましい。
前記潤滑油組成物は、前記基油(A)、前記硫黄系極圧剤(B)及び前記リン系極圧剤(C)のみを含むものであってもよいし、後記するその他添加剤を含むものであってもよく、前記基油(A)、前記硫黄系極圧剤(B)、前記リン系極圧剤(C)及び後記するその他添加剤のみを含むものであってもよい。
<その他添加剤>
本実施形態の潤滑油組成物は、更に、その他添加剤として、製品としての品質を向上できる他の硫黄系極圧剤、他のリン系極圧剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、流動点降下剤、清浄剤、摩擦調整剤、消泡剤及び分散剤から選ばれる少なくとも1種を含有していてもよい。
前記その他添加剤混合物の含有量は、低粘度化とギヤ保護性とを高いレベルで両立しながら、更に優れた銅腐食防止性及び酸化安定性をも達成するため、前記潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、下限値としては、0.10質量%以上が好ましく、1.00質量%以上がより好ましく、3.00質量%以上が更に好ましく、5.00質量%以上がより更に好ましく、8.00質量%以上が一層好ましい。また、上限としては、40.00質量%以下が好ましく、30.00質量%以下がより好ましく、20.00質量%以下が更に好ましく、15.00質量%以下がより更に好ましく、12.00質量%以下が一層好ましく、11.00質量%以下がより一層好ましい。
本明細書において、「その他添加剤混合物」とは、潤滑油組成物にその他添加剤混合物として添加することのみを意味するものではなく、またその他添加剤を1種のみ使用する場合も含む。潤滑油組成物に添加した各その他添加剤を混合物とした場合に、その前記潤滑油組成物の全量基準の含有量を表すものである。
(他の硫黄系極圧剤)
本実施形態の潤滑油組成物は、前記硫黄系極圧剤(B)とは異なる他の硫黄系極圧剤を更に含有することが好ましい。前記他の硫黄系極圧剤は、その構造中に炭素数3以上24以下の分岐有機基を有さないチアジアゾールであり、直鎖の有機基を有するチアジアゾールであり、一般式(B1)~(B3)で表される化合物において、RB11~RB32が各々独立に、炭素数1以上24以下の直鎖有機基を表し、nB11~nB32が各々独立に、1~4の整数を表す化合物が好ましく使用できる。
(他のリン系極圧剤)
本実施形態の潤滑油組成物は、前記リン系極圧剤(C)とは異なる前記他のリン系極圧剤を更に含有することが好ましい。前記他のリン系極圧剤は、その構造中に環構造を有さない炭素数6以上24以下のリン酸エステルであり、中性リン酸エステル、酸性リン酸エステル、亜リン酸エステル、亜リン酸水素エステル等のリン酸エステル化合物、及び該リン酸エステル化合物のアミン塩等が好ましく挙げられるが、酸性リン酸エステルのアミン塩又は亜リン酸水素エステルが好ましく、亜リン酸水素エステルがより好ましい。これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
前記リン酸エステルとしては、例えば、エチルジフェニルホスフェート、トリブチルホスフェート、エチルジブチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリ(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリデシルホスフェート、トリラウリルホスフェート、トリミリスチルホスフェート、トリパルミチルホスフェート、トリステアリルホスフェート、トリオレイルホスフェート等が挙げられる。
前記酸性リン酸エステルとしては、例えば、モノ(ジ)エチルアシッドホスフェート、モノ(ジ)n-プロピルアシッドホスフェート、モノ(ジ)2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、モノ(ジ)ブチルアシッドホスフェート、モノ(ジ)オレイルアシッドホスフェート、モノ(ジ)イソデシルアシッドホスフェート、モノ(ジ)ラウリルアシッドホスフェート、モノ(ジ)ステアリルアシッドホスフェート、モノ(ジ)イソステアリルアシッドホスフェート等が挙げられる。
前記亜リン酸エステルとしては、例えば、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリ(2-エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリステアリルホスファイト、トリオレイルホスファイトが挙げられる。
前記亜リン酸水素エステルとしては、例えば、モノ(ジ)エチルハイドロジェンホスファイト、モノ(ジ)-n-プロピルハイドロジェンホスファイト、モノ(ジ)-n-ブチルハイドロジェンホスファイト、モノ(ジ)-2-エチルヘキシルハイドロジェンホスファイト、モノ(ジ)ラウリルハイドロジェンホスファイト、モノ(ジ)オレイルハイドジェンホスファイト、モノ(ジ)ステアリルハイドロジェンホスファイト、モノ(ジ)フェニルハイドロジェンホスファイト等が挙げられる。
また、前記リン酸エステル、前記酸性リン酸エステル、前記亜リン酸エステル、前記亜リン酸水素エステル等のリン酸エステル化合物のアミン塩としては、これらのリン酸エステル化合物と、アミンとから形成されるアミン塩が好ましく挙げられる。ここで、アミン塩の形成に用いられるアミンとしては、第1アミン、第2アミン、第3アミン、ポリアルキレンアミン等が挙げられ、第1アミン、第2アミン、第3アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、ヘプタエチレンオクタミン、テトラプロピレンペンタミン、ヘキサブチレンヘプタミン等が挙げられる。
(粘度指数向上剤)
本実施形態の潤滑油組成物は、更に粘度指数向上剤を含有することが好ましい。粘度指数向上剤を含有することで、潤滑油組成物の動粘度を低くしても、高温での油膜形成性の低下を抑えることができ、高温でのギヤ保護性の低下が生じにくいため好ましい。
前記粘度指数向上剤としては、例えば、非分散型ポリメタクリレート、分散型ポリメタクリレート、スチレン系共重合体(例えば、スチレン-ジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体等)等の重合体が挙げられる。
前記粘度指数向上剤の質量平均分子量(Mw)としては、その種類に応じて適宜設定されるが、粘度特性の観点から、500以上1,000,000以下が好ましく、より好ましくは5,000以上800,000以下、更に好ましくは10,000以上600,000以下である。
非分散型及び分散型ポリメタクリレートの場合は、Mwは、5,000以上300,000以下が好ましく、10,000以上100,000以下がより好ましく、20,000以上50,000以下が更に好ましい。
Mwは例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により、標準ポリスチレン換算にて測定することができる。
(酸化防止剤)
本実施形態の潤滑油組成物は、更に前記酸化防止剤を含有することが好ましい。酸化防止剤を含有することで、優れた銅腐食防止性及び酸化安定性を達成することができる。
前記酸化防止剤としては、アミン系酸化防止剤及びフェノール系酸化防止剤が好ましい。
前記アミン系酸化防止剤としては、例えば、ジオクチルジフェニルアミン、フェニル-α-ナフチルアミン、ジフェニルアミン、ジノニルジフェニルアミン、モノブチルフェニルモノオクチルフェニルアミン、p-t-オクチルフェニル-1-ナフチルアミン、4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等が挙げられる。
前記フェノール系酸化防止剤は、ヒンダードフェノール構造を有するものが好ましく、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシメチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-イソプロピリデンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、トリデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、及びオクチル-3-(3-メチル-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等を挙げることができる。
(流動点降下剤)
本実施形態の潤滑油組成物は、更に前記流動点降下剤を含有することが好ましい。前記流動点降下剤としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩素化パラフィンとナフタレンとの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールとの縮合物、ポリメタクリレート(PMA)、ポリアルキルスチレン等の重合体が挙げられ、ポリメタクリレートが好ましい。これらの重合体の重量平均分子量(Mw)としては、好ましくは5万以上、15万以下である。
Mwは例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により、標準ポリスチレン換算にて測定することができる。
(清浄剤)
本実施形態の潤滑油組成物は、更に前記清浄剤を含有することが好ましい。前記清浄剤としては、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム等のサリシレート、スルホネート、フェネート等の金属系清浄剤等が挙げられるが、カルシウムスルホネートがより好ましい。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(摩擦調整剤)
本実施形態の潤滑油組成物は、更に前記摩擦調整剤を含有することが好ましい。前記摩擦調整剤としては、無灰系摩擦調整剤が好ましい無灰系化合物としては、例えば、アミン系摩擦調整剤、エステル系摩擦調整剤、アミド系摩擦調整剤、脂肪酸系摩擦調整剤、アルコール系摩擦調整剤、エーテル系摩擦調整剤、ウレア系摩擦調整剤、ヒドラジド系摩擦調整剤等が挙げられ、アミン系摩擦調整剤、エステル系摩擦調整剤及びアミド系摩擦調整剤から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、アミン系摩擦調整剤がより好ましい。アミン系摩擦調整剤としては、通常前記潤滑油組成物の分野で使用されるアミン系摩擦調整剤を使用することができるが、2級アミンがより好ましい。
(消泡剤)
本実施形態の潤滑油組成物は、更に前記消泡剤を含有することが好ましい。前記消泡剤としては、例えば、シリコーン系消泡剤、フルオロシリコーン油及びフルオロアルキルエーテル等のフッ素系消泡剤、ポリアクリレート系消泡剤等が挙げられ、シリコーン系消泡剤が好ましい。
(分散剤)
本実施形態の潤滑油組成物は、更に前記分散剤を含有することが好ましい。前記分散剤としては、ホウ素非含有コハク酸イミド類、ホウ素含有コハク酸イミド類、ベンジルアミン類、ホウ素含有ベンジルアミン類、コハク酸エステル類、脂肪酸あるいはコハク酸で代表される一価又は二価カルボン酸アミド類等の無灰系分散剤が挙げられるが、ホウ素非含有コハク酸イミド類又はホウ素含有コハク酸イミド類がより好ましく、ポリアルケニルコハク酸イミド又はホウ素含有ポリアルケニルコハク酸イミドが更に好ましく、ポリブテニルコハク酸イミド又はホウ素含有ポリブテニルコハク酸イミドがより更に好ましい。ポリアルケニルコハク酸イミド又はホウ素含有ポリアルケニルコハク酸イミドとしては、質量平均分子量(Mw)が500以上2000以下であるものが好ましく、750以上1500以下であるものがより好ましく、800以上1200以下であるものが更に好ましい。また前記アルケニル基は炭素数2以上8以下が好ましく、3以上5以下が好ましい。
Mwは例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により、標準ポリスチレン換算にて測定することができる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[潤滑方法及び変速機]
本実施形態の潤滑油組成物は、低粘度化とギヤ保護性とを高いレベルで両立しながら、更に優れた銅腐食防止性及び酸化安定性をも達成することができるものであるため、本実施形態の潤滑油組成物は、緩衝器、変速機、パワーステアリング等の駆動系機器用、中でも変速機用、とりわけ、ガソリン自動車、ハイブリッド自動車、電気自動車等の変速機用の潤滑油組成物として用いることができ、特に、ハイブリッド自動車、電気自動車用の変速機用の潤滑油組成物として好適に用いることができる。
本実施形態の潤滑方法は、前記の潤滑油組成物を用いた潤滑方法であり、本実施形態の変速機は、前記の潤滑油組成物を備えた変速機である。このように本実施形態の潤滑油組成物を用いた潤滑方法及び本実施形態の潤滑油組成物を構成成分として備えた変速機は、低粘度化とギヤ保護性とを高いレベルで両立しながら、更に優れた銅腐食防止性及び酸化安定性をも達成するものである。
また、本実施形態の潤滑油組成物について適用しうる他の用途としては、例えば、内燃機油、油圧作動油、タービン油、圧縮機油、工作機械用潤滑油、切削油、歯車油、流体軸受け油組成物、転がり軸受け油等も好ましく挙げられる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1~6、比較例1~5
表1及び2に示す配合量(質量%)で潤滑油組成物を調製した。得られた潤滑油組成物について、以下の方法により各種試験を行い、その物性を評価した。評価結果を表3及び4に示す。
潤滑油組成物の性状の測定は以下の方法で行った。
(1)40℃における動粘度(40℃動粘度)、100℃における動粘度(100℃動粘度)、及び粘度指数
JISK2283:2000準拠し、40℃、100℃における動粘度及び粘度指数を測定した。
(2)粘度指数(VI)
ASTM D2270に準拠して測定した。
(3)酸価
JIS K2501に準じ、指示薬光度滴定法(左記JIS規格における付属書1参照)により測定した。後記する銅溶出量を評価するISOT試験の前後の潤滑油組成物の酸価を測定し、その差を酸価増加とした。この酸価増加が少ない方が、酸化安定性に優れていることを示す。
(4)硫黄原子含有量
JIS K2541-6に準拠して測定した。
(5)リン原子含有量
ASTM D4951に準拠して測定した。
(6)シェル四球摩耗試験(Shell 摩耗)
ASTM D4172-18に準拠し、80℃、1,200rpm、392N、30分の条件で試験を行い、摩耗痕径(mm)を測定した。
摩耗痕を顕微鏡によりの観察から表面損傷が生じることを確認し、更に摩耗痕径の大きさから、その程度を確認した。摩耗痕径が小さい方が、ギヤ保護性(耐摩耗性)に優れていることを示す。
(7)銅溶出量(Cu溶出)
ISOT試験をJIS K-2514-1(2013)「潤滑油-酸化安定度試験」に準じて行った。すなわち、油に鉄-銅板を入れて、150℃で攪拌し、72時間後の銅溶出量(ppm)をASTM D4951により測定した。銅溶出量が少ない方が、銅腐食防止性に優れていることを示す。
表1及び2において、(A)、(B)及び(C)は、潤滑油組成物の全量(100質量%)基準の基油(A)、硫黄系極圧剤(B)及びリン系極圧剤(C)の含有量を表す。空欄は、該当する成分を含まないことを表す。表3及び4において、S/Pは、潤滑油組成物に含まれる硫黄原子とリン原子との質量比を表す。
表3及び4において、ISOT後より下に記載した酸価、酸価増加及び銅溶出量はISOT試験後の数値である。
チアジアゾール(分岐鎖):式(B-1)で表される化合物(炭素数12の分岐有機基を有する。)
チアジアゾール(直鎖):一般式(B-2)で表される化合物の混合物
(式中、Rb21~Rb22は各々独立に、炭素数6以上10以下の直鎖のアルキル基を表し、mb21~mb22は各々独立に、1~4の整数を表す。)
ベンゾトリアゾール:一般式(BT)で表される化合物の混合物
(式中、RBT1は、炭素数1以上4以下の直鎖のアルキル基又は水素原子を表し、RBT2~RBT3は各々独立に、炭素数1以上20以下の直鎖のアルキル基又は水素原子を表す。)
リン系化合物(1):式(C-1)で表される化合物(炭素数6又は10の環構造を含む有機基を有する)
リン系化合物(2):式(C-2)で表される化合物(炭素数9の環構造を含む有機基を有する)
リン系化合物(3):式(C-3)で表される化合物(炭素数7の環構造を含む有機基を有する)
リン系化合物(4):式(C-4)で表される化合物(炭素数6の環構造を含む有機基を有する)
酸性リン酸極圧剤:ジラウリルアシッドフォスフェート
その他添加剤混合物:粘度指数向上剤、酸化防止剤、流動点降下剤、清浄剤、摩擦調整剤、消泡剤、分散剤等
表3の結果から明らかなように、実施例1~6の潤滑油組成物は、低粘度化とギヤ保護性とを高いレベルで両立しながら、更に優れた銅腐食防止性及び酸化安定性をも有するものであった。
これに対し、表1~4に示すように、実施例3の硫黄系極圧剤(B)をチアジアゾール(直鎖)に置き換えた比較例1、実施例4の硫黄系極圧剤(B)をチアジアゾール(直鎖)に置き換えた比較例2、実施例5の硫黄系極圧剤(B)をチアジアゾール(直鎖)に置き換えた比較例3では、ギヤ保護性が低下し、銅腐食防止性及び酸化安定性も低下してしまうことが確認された。
実施例3の硫黄系極圧剤(B)をベンゾトリアゾールに置き換えた比較例4では、銅腐食防止性及び酸化安定性の低下は起こらないものの、ギヤ保護性が大きく悪化してしまうことが確認された。
リン系極圧剤(C)を酸性リン酸極圧剤に置き換えた比較例5では、均一な潤滑油組成物にすることはできたが、その後沈殿が発生し、不均一となったため物性値に関する測定ができず、実用的な潤滑油組成物とはならなかった。

Claims (15)

  1. 基油(A)と、硫黄系極圧剤(B)と、リン系極圧剤(C)と、を含有し、
    前記硫黄系極圧剤(B)が、炭素数3以上24以下の分岐有機基を有するチアジアゾールであり、
    前記リン系極圧剤(C)が、環構造を含む炭素数6以上24以下の有機基を有するリン酸エステルである、潤滑油組成物。
  2. 前記基油(A)の100℃における動粘度が、6.000mm/s以下である、請求項1に記載の潤滑油組成物。
  3. 前記基油(A)が、鉱油を含み、前記鉱油の前記基油(A)の全量(100質量%)基準の含有量が、70.00質量%以上である、請求項1又は2に記載の潤滑油組成物。
  4. 前記チアジアゾールが、一般式(B1)~(B3)で表される化合物から選ばれる化合物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。

    (一般式(B1)~(B3)中、RB11~RB32は各々独立に、炭素数3以上24以下の分岐有機基を表し、nB11~nB32は各々独立に、1~4の整数を表す。)
  5. 前記リン酸エステルが有する環構造を含む炭素数6以上24以下の有機基が、置換基を有していてもよいアリール基である、請求項1~4のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  6. 前記リン酸エステルが、アミン塩ではない、請求項1~5のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  7. 前記リン酸エステルが、中性リン酸エステルである、請求項1~6のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  8. 前記中性リン酸エステルが、一般式(C1)で表される化合物である、請求項7に記載の潤滑油組成物。

    (一般式(C1)中、RC11~RC13は各々独立に、炭素数1以上24以下の炭化水素基を表すが、前記炭化水素基中の-CH-は各々独立に-O-、-S-、-CO-又は-CS-で置換されていてもよく、nC11~nC13は各々独立に、0~5の整数を表すが、同一分子内に、RC11~RC13が複数存在する場合には、それらは同一であっても、異なっていてもよく、XC11~XC13は各々独立に、-O-又は-S-を表し、XC14は、=O又は=Sを表す。)
  9. 前記潤滑油組成物中の硫黄原子の含有量が、前記潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、0.01質量%以上0.20質量%以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  10. 前記潤滑油組成物中のリン原子の含有量が、前記潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、0.005質量%以上0.100質量%以下である、請求項1~9のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  11. 前記潤滑油組成物に含まれる硫黄原子とリン原子との質量比(S/P比)が、1.00以上7.00以下である、請求項1~10のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  12. 100℃における動粘度が、6.000mm/s以下である、請求項1~11のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  13. 変速機用である、請求項1~12のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  14. 請求項1~13のいずれか1項に記載の潤滑油組成物を用いた潤滑方法。
  15. 請求項1~13のいずれか1項に記載の潤滑油組成物を備えた変速機。
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