JP2023163754A - パワーモジュール基板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い放熱性を確保しつつ、加工する際の材料ロスを抑えることができるパワーモジュール基板と、当該パワーモジュール基板が容易に得られる製造方法の提供。【解決手段】金属板と、当該金属板上に積層された絶縁層とを備え、当該絶縁層の金属板側面と反対の面側に、金属箔と合金層と金属層とが積層されてなる実装パッドが形成されていることを特徴とするパワーモジュール基板。【選択図】図1
Description
本発明は、特に、パワーモジュールなどに使用される、大電流基板に対して高い放熱性を有するパワーモジュール基板及びその製造方法に関する。
自動車産業は、カーボンニュートラルの方向性で、EV関連の自動車の生産が今後増加していく傾向にある。その中で、大電流基板に関しては、半導体素子からの放熱性を向上させるために、金属ベース基板に絶縁層を介して厚い金属層を備えたプリント配線板が主流となる。
以下、図4及び図5を用いて、従来技術のエッチング方式によるパワーモジュール基板の製造方法(特許文献1)について説明する。
まず、図4(a)に示すような、一方の面に金属板21が配置され、他方の面に厚い金属層23が配置された絶縁層22の当該厚い金属層23側に、露光・現像にてフォトレジスト24を形成する(図4(b)参照)。次いで、当該厚い金属層23をエッチングし、間隙25を形成した後(図4(c)参照)、フォトレジスト24を剥離する工程を経て、図5(d)に示した厚い金属層23からなり、上端(トップ)の幅と下端(ボトム)の幅に差がある実装パッド26が形成されたパワーモジュール基板200を得る。
まず、図4(a)に示すような、一方の面に金属板21が配置され、他方の面に厚い金属層23が配置された絶縁層22の当該厚い金属層23側に、露光・現像にてフォトレジスト24を形成する(図4(b)参照)。次いで、当該厚い金属層23をエッチングし、間隙25を形成した後(図4(c)参照)、フォトレジスト24を剥離する工程を経て、図5(d)に示した厚い金属層23からなり、上端(トップ)の幅と下端(ボトム)の幅に差がある実装パッド26が形成されたパワーモジュール基板200を得る。
斯かるエッチングによって間隙加工を行う方法には、次のような問題があった。すなわち、間隙の幅に対して金属層が厚い場合は、エッチング加工に多くの時間がかかる。そのため、エッチング液のかかり方が不均一な場合に寸法精度にバラツキが発生しやすい。また、金属層が厚いほど、実装パッドの上端(トップ)の幅と下端(ボトム)の幅に差が生じやすく、放熱性が低くなりやすい。さらに、加工方法の制約から、得ようとする回路間のエッチング液が循環しやすいように間隙幅を大きくする必要があった。またさらに、金属層を加工する際の材料ロスが多く、生産性の面で不利であった。
そこで、エンドミルなどの切削加工にて、途中まで厚い金属層を切削し、金属層の残存部分をエッチングにて加工する製造方法が提案されている(特許文献2)。この製造方法では、まず、一方の面に金属板31が配置され、他方の面に厚い金属層33が配置された絶縁層32の当該厚い金属層33側を、エンドミルなどで切削加工する(図6(a)、(b)参照)。次いで、露出した当該厚い金属層33上にフォトレジスト34を形成した後(図7(c)参照)、切削加工にて残存した金属層Tをエッチングにて剥離し、間隙35を形成する工程と(図7(d)参照)、フォトレジスト34を剥離する工程を経て、図7(e)に示した厚い金属層33からなる実装パッド36が形成されたパワーモジュール基板300を得る、というものである。
しかしながら、切削加工によっても金属層を加工する際の材料ロスが多いとともに、加工時間が長くなり、生産性の面で不利であることから、これらを代替えする構造及び製造方法が望まれていた。
本発明は、上記の如き従来の問題に鑑みなされたものであり、高い放熱性を確保しつつ、加工する際の材料ロスを抑えることができるパワーモジュール基板と、当該パワーモジュール基板が容易に得られる製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記の課題を解決すべく種々研究を重ねた結果、厚い金属層を加工するのではなく、一方の面に金属板が配置された絶縁層の当該金属板側面と反対の面側に、金属箔と合金層と金属層とが積層されてなる実装パッドを形成すれば極めて良い結果が得られることを見い出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、金属板と、当該金属板上に積層された絶縁層とを備え、当該絶縁層の金属板側面と反対の面側に、金属箔と合金層と金属層とが積層されてなる実装パッドが形成されていることを特徴とするパワーモジュール基板により上記課題を解決したものである。
また、本発明は、一方の面に金属板が配置され、他方の面に金属箔が配置された絶縁層の当該金属箔側に、フォトレジストを形成する工程と、当該フォトレジストに開口部を形成する工程と、当該開口部内の金属箔にメタライズペーストを塗布して、開口部内に金属層素材を配置した後、メタライズペーストを加熱することにより合金層を形成させるとともに、金属箔と当該合金層と金属層とを積層させる工程と、当該開口部外のフォトレジスト及び金属箔を除去して、金属箔と合金層と金属層とが積層されてなる実装パッドを形成する工程と、を有することを特徴とするパワーモジュール基板の製造方法により上記課題を解決したものである。
また、本発明は、一方の面に金属板が配置され、他方の面に金属箔が配置された絶縁層の当該金属箔側に、フォトレジストを形成する工程と、当該フォトレジストに開口部を形成する工程と、当該開口部内の金属箔にメタライズペーストを塗布して、開口部内に金属層素材を配置した後、メタライズペーストを加熱することにより合金層を形成させるとともに、金属箔と当該合金層と金属層とを積層させる工程と、当該開口部外のフォトレジスト及び金属箔を除去して、金属箔と合金層と金属層とが積層されてなる実装パッドを形成する工程と、を有することを特徴とするパワーモジュール基板の製造方法により上記課題を解決したものである。
本発明によれば、実装パッドとなる金属層素材を任意の大きさの金属板から所望な大きさ且つ形状に切り出せるため、材料ロスの低減が可能で、尚且つ、金属層素材を上端(トップ)の幅と下端(ボトム)の幅に差が小さい形状に切り出せるので、熱伝導の向上を図ることができ、放熱性能に優れたパワーモジュール基板を得ることができる。また、金属層素材を加工する際、重ね加工が可能となり生産性が向上する。
さらに、メタライズペーストを使用して合金層を形成させ、当該合金層を金属箔と金属層との間に配置することで金属箔と金属層との強固な接着が可能となり、接続信頼性が得られる。
さらに、メタライズペーストを使用して合金層を形成させ、当該合金層を金属箔と金属層との間に配置することで金属箔と金属層との強固な接着が可能となり、接続信頼性が得られる。
以下本発明パワーモジュール基板の実施の形態を、図1を用いて説明する。
図1において、100はパワーモジュール基板で、金属板1と、当該金属板1上に積層された絶縁層2と、当該絶縁層2の金属板1側面と反対の面側に形成された実装パッド6とから構成されている。
図1に示したように、実装パッド6は、金属箔3と合金層4と金属層5とが積層されてなる。
この実施の形態では、合金層4は後述するメタライズペーストを加熱することにより溶融させ、合金層としたものである。
図1に示したように、実装パッド6は、金属箔3と合金層4と金属層5とが積層されてなる。
この実施の形態では、合金層4は後述するメタライズペーストを加熱することにより溶融させ、合金層としたものである。
また、この実施の形態では、断面形状が略矩形形状の実装パッド6が形成されている。実装パッド6の断面形状自体は、略矩形形状に限らず、略台形状など任意に選択することができるが、上端(トップ)の幅と下端(ボトム)の幅に差が小さい形状であることが、熱伝導の向上を図ることができるため望ましい。さらに、図1に示したように、上端(トップ)の角が丸みを帯びていることが、ハンドリングなどでキズが発生し難いため望ましい。
また、図1には示さないが、金属板1の表面には、酸化防止膜として、Ni膜を形成しても構わない。
また、図1には示さないが、金属板1の表面には、酸化防止膜として、Ni膜を形成しても構わない。
続いて、上記本発明パワーモジュール基板100の製造方法を図2及び図3を用いて説明する。
まず、図2(a)に示したように、金属板1上に絶縁層2が配置され、当該絶縁層2上に金属箔3が配置された材料を用意する。
金属板1としては、特に限定されず、例えば、銅や白銅、青銅、黄銅、アルミニウム、アルミ合金、ステンレス等が好ましく利用できる。金属板の厚みは、500μm~2mmのものを用いるのが好ましい。
絶縁層2は、放熱性、熱伝導性を考慮した絶縁層が好ましい。例えば、フィラー含量が85~90重量%で、樹脂含量が10~15重量%の絶縁基材が好ましく使用できる。
フィラーとしては、窒化アルミニウムや水酸化アルミニウムが挙げられる。放熱性を考慮して、窒化アルミニウムと水酸化アルミニウムの配合比は任意に設定することができる。
樹脂は、熱伝導率が高い樹脂が好ましい。絶縁層2には、熱伝導率が3W/mK~12W/mKの絶縁基材や、18W/mK~30W/mKの絶縁基材が好ましく使用できる。
絶縁層2の厚みは、例えば125μm~175μmである。フィラーの大きさや複数のフィラーの配合により、絶縁層の厚みが調整される。絶縁層の厚みは薄い方が放熱性や熱伝導性に有利である。その点を踏まえ、絶縁層2の厚みは、125μmより薄くすることが望ましい。
金属箔3としては、一般的な銅箔、アルミニウム箔などが、導電性や加工性、コスト的な面で好ましく使用できる。その厚みは、例えば12μm~18μmである。
金属板1としては、特に限定されず、例えば、銅や白銅、青銅、黄銅、アルミニウム、アルミ合金、ステンレス等が好ましく利用できる。金属板の厚みは、500μm~2mmのものを用いるのが好ましい。
絶縁層2は、放熱性、熱伝導性を考慮した絶縁層が好ましい。例えば、フィラー含量が85~90重量%で、樹脂含量が10~15重量%の絶縁基材が好ましく使用できる。
フィラーとしては、窒化アルミニウムや水酸化アルミニウムが挙げられる。放熱性を考慮して、窒化アルミニウムと水酸化アルミニウムの配合比は任意に設定することができる。
樹脂は、熱伝導率が高い樹脂が好ましい。絶縁層2には、熱伝導率が3W/mK~12W/mKの絶縁基材や、18W/mK~30W/mKの絶縁基材が好ましく使用できる。
絶縁層2の厚みは、例えば125μm~175μmである。フィラーの大きさや複数のフィラーの配合により、絶縁層の厚みが調整される。絶縁層の厚みは薄い方が放熱性や熱伝導性に有利である。その点を踏まえ、絶縁層2の厚みは、125μmより薄くすることが望ましい。
金属箔3としては、一般的な銅箔、アルミニウム箔などが、導電性や加工性、コスト的な面で好ましく使用できる。その厚みは、例えば12μm~18μmである。
次に、図2(b)に示したように、絶縁層2の金属箔3側に、フォトレジスト7を形成した後、当該フォトレジスト7に開口部8を形成する。フォトレジスト7及び開口部8の形成は、特に限定されず、周知の露光処理、現像処理、剥離処理を順次行えばよい。
続いて、図3(c)に示したように、開口部8内の金属箔3にメタライズペーストを塗布して、開口部8内に金属層素材5aを配置した後、メタライズペーストを加熱することにより合金層4を形成させるとともに、金属箔と当該合金層と金属層とを積層させる。
メタライズペーストは、導電性と半田の特性を備えたペーストである。半田と同等の接続信頼性があるため、金属箔と金属層とを強固に接着させ、両者間の接続信頼性が得られる。メタライズペーストは、例えば、導電性フィラーとしては、(銀・銅・はんだ粉)、(銀・銅合金・はんだ粉)、などを含有するものが好ましく使用できる。また、メタライズペーストは、樹脂成分を含むことが、熱負荷の際の応力緩和効果が期待され、絶縁層のクラックを防止できるため望ましい。樹脂は、エポキシ樹脂や変性エポキシ樹脂などが好ましい。
メタライズペーストは、加熱することにより溶融し、合金層を形成する。加熱温度は、メタライズペーストの種類に応じて適宜設定できるが、例えば160℃以上である。
金属層素材5aは、任意の大きさの金属板から所望な大きさ且つ形状に切り出すことができる。そのため、エッチング工程やエンドミルなどの切削加工に比べて金属板そのものの加工ロスがなくなるといった利点がある。金属板としては、銅、アルミニウムなどが、導電性や加工性、コスト的な面で好ましく使用できる。金属層素材5aの厚みは、例えば500μm~2mmである。
メタライズペーストは、導電性と半田の特性を備えたペーストである。半田と同等の接続信頼性があるため、金属箔と金属層とを強固に接着させ、両者間の接続信頼性が得られる。メタライズペーストは、例えば、導電性フィラーとしては、(銀・銅・はんだ粉)、(銀・銅合金・はんだ粉)、などを含有するものが好ましく使用できる。また、メタライズペーストは、樹脂成分を含むことが、熱負荷の際の応力緩和効果が期待され、絶縁層のクラックを防止できるため望ましい。樹脂は、エポキシ樹脂や変性エポキシ樹脂などが好ましい。
メタライズペーストは、加熱することにより溶融し、合金層を形成する。加熱温度は、メタライズペーストの種類に応じて適宜設定できるが、例えば160℃以上である。
金属層素材5aは、任意の大きさの金属板から所望な大きさ且つ形状に切り出すことができる。そのため、エッチング工程やエンドミルなどの切削加工に比べて金属板そのものの加工ロスがなくなるといった利点がある。金属板としては、銅、アルミニウムなどが、導電性や加工性、コスト的な面で好ましく使用できる。金属層素材5aの厚みは、例えば500μm~2mmである。
続いて、図3(d)に示したように、開口部8外のフォトレジスト7を剥離した後、露出した金属箔3を除去する。この工程は、周知のレジスト剥離処理(例えば、苛性ソーダによる剥離処理)、及びエッチング処理(例えば、塩化第二鉄溶液や塩化第二銅溶液等を用いたエッチング処理)を順次行う。当該処理を施すことによって、金属箔と合金層と金属層とが積層されてなる実装パッドが形成され、図3(e)に示したパワーモジュール基板100を得る。
因に、エッチング処理を施した際には、金属層5の上端(トップ)の角が丸みを帯びた形状となる(図3(e)参照)。
因に、エッチング処理を施した際には、金属層5の上端(トップ)の角が丸みを帯びた形状となる(図3(e)参照)。
本発明を説明するに当たって、金属板1上に絶縁層2が配置され、当該絶縁層2上に実装パッド6が形成された単層のパワーモジュール基板の形態を用いて説明してきたが、本発明を逸脱しない範囲であれば、他の構成にも本発明を適用することは可能であり、さらにまた、層数、材料なども本発明の範囲内で変更が可能である。
1、21、31:金属板
2、22、32:絶縁層
3:金属箔
4:合金層
5:金属層
5a:金属層素材
6、26、36:実装パッド
7、24、34:フォトレジスト
8:開口部
23、33:厚い金属層
25、35:間隙
T:切削加工後金属層33の残存
100:パワーモジュール基板
200、300:従来の厚い金属層を用いたパワーモジュール基板
2、22、32:絶縁層
3:金属箔
4:合金層
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T:切削加工後金属層33の残存
100:パワーモジュール基板
200、300:従来の厚い金属層を用いたパワーモジュール基板
Claims (5)
- 金属板と、当該金属板上に積層された絶縁層とを備え、当該絶縁層の金属板側面と反対の面側に、金属箔と合金層と金属層とが積層されてなる実装パッドが形成されていることを特徴とするパワーモジュール基板。
- 前記合金層がメタライズペーストを加熱することにより合金層としたものであることを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール基板。
- 前記メタライズペーストが樹脂成分を含むことを特徴とする請求項2に記載のパワーモジュール基板。
- 一方の面に金属板が配置され、他方の面に金属箔が配置された絶縁層の当該金属箔側に、フォトレジストを形成する工程と、当該フォトレジストに開口部を形成する工程と、当該開口部内の金属箔にメタライズペーストを塗布して、開口部内に金属層素材を配置した後、メタライズペーストを加熱することにより合金層を形成させるとともに、金属箔と当該合金層と金属層とを積層させる工程と、当該開口部外のフォトレジスト及び金属箔を除去して、金属箔と合金層と金属層とが積層されてなる実装パッドを形成する工程と、を有することを特徴とするパワーモジュール基板の製造方法。
- 前記メタライズペーストが樹脂成分を含むことを特徴とする請求項4に記載のパワーモジュール基板の製造方法。
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