JP2023157514A - 車両用内装材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 車両用内装材において、基材への表皮材の取り付けを容易にするとともに、基材に対して係合部材をフラットに取り付け可能にする。【解決手段】 車体のパネルの車内側に設けられる基材11と、基材を車内側から被覆する表皮材12と、表皮材を基材に取り付けるための係合部材40とを有し、基材の車内側部14には、第1溝20と、第1溝の周囲に形成され第1溝より浅い第2溝18とが形成され、係合部材は、表皮材の車外側面に結合され第2溝に受容されるプレート部42と、プレート部から突出し第1溝に挿入され第1溝に係止される係止部43とを有し、プレート部の車内側面は、基材の車内側面と面一である車両用の内装材10を提供する。【選択図】 図1
Description
本発明は、車両用内装材に関する。
車室の内装を加飾するために、基材に加飾用の表皮材を取り付けた車両用内装材が公知である(例えば、特許文献1)。この車両用内装材は、表皮材が結合された係合部材を基材に設けられた溝に押し込むことによって表皮材が基材に取り付けられる。
特許文献1の内装材は、溝に押し込まれた係合部材が基材の表面から突出している。このため、表皮材と基材との間に厚みのあるクッションパットを設けることにより、表皮材の表面を平坦にしている。しかし、表皮材と基材との間に厚みが不要である場合等には係合部材の突出部分が邪魔になり、外観が好ましくないという問題がある。
本発明は、以上の背景を鑑み、車両用内装材において、基材への表皮材の取り付けを容易にするとともに、基材に対して係合部材をフラットに取り付け可能にすることを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、車体のパネルの車内側に設けられる基材(11)と、基材を車内側から被覆する表皮材(12)と、表皮材を基材に取り付けるための係合部材(40)とを有し、基材の車内側部(14)には、第1溝(20)と、第1溝の周囲に形成され第1溝より浅い第2溝(18)とが形成され、係合部材は、表皮材の車外側部に結合され第2溝に受容されるプレート部(42)と、プレート部から突出し第1溝に挿入され第1溝に係止される係止部(43)とを有し、プレート部の車内側面は、基材の車内側部と面一である車両用の内装材(10)を提供する。
この態様によれば、係合部材を押し込むことにより、表皮材を基材に取り付けることができる。よって、基材への表皮材の取り付けを容易にすることができる。また、プレート部の車内側面が基材の車内側部と面一になるため、基材に対して係合部材をフラットに取り付けることができる。
上記の態様において、表皮材は、第1表皮部(51)と、第1表皮部と重なり合って重複部(53)を形成する第2表皮部(52)とを有し、第1表皮部及び第2表皮部は、重複部においてプレート部に縫合されているとよい。
この態様によれば、2つの表皮部を縫合によって係止部材に取り付けることができる。
上記の態様において、第2表皮部は、第1表皮部より車内側に配置され、重複部において車外側に折り返されているとよい。
この態様によれば、第1表皮部及び第2表皮部の末端部が車内側から見えない。よって、車室内の美観を高めることができる。
上記の態様において、係止部は、プレート部に対して第1表皮部側にオフセットして配置されているとよい。
この態様によれば、プレート部の第2表皮部側の領域が大きくなるため、プレート部に対して表皮材を容易に縫合することができる。また、係止部がプレート部に対してオフセットして配置されるので、係合部材の取り付け方向がわかりやすい。
上記の態様において、第1溝は、係止部を係止するための抜け止め部(31)を有しているとよい。
この態様によれば、基材に対して係合部材を確実に係止することができる。よって、表皮材を基材に対して確実に取り付けることができる。
上記の態様において、第1溝は、基材から車外側に突出して係止部を覆う受容部(27、28)を有し、第1溝は、受容部に係止部に対向する第1孔(30)が設けられた開口領域(26)と、第1孔を有していない閉口領域(25)とを有し、閉口領域における受容部の厚みは、係止部の厚みより薄いとよい。
この態様によれば、受容部の厚みが薄く形成される。よって、係止部を第1溝に挿入するときに、受容部が撓みやすい。よって、基材に対して係合部材を容易に取り付けることができる。
上記の態様において、抜け止め部は、開口領域に対応する位置に設けられているとよい。
この態様によれば、基材全体にわたって抜け止め部が設けられている場合と比較して、係合部材の取り付けが容易になる。よって、作業性が向上する。
上記の態様において、基材は車内側に膨出する膨出面を備えた板状の湾曲板部(15)を含み、湾曲板部は膨出面の外縁を画定し、且つ、側面視で弧状をなす弧状縁部(55)を備え、表皮材は膨出面を車内側から覆うように配置され、表皮材の弧状縁部に対応する位置には、湾曲板部の車外側の面において、弧状縁部に沿って延在する弾発ワイヤ(56)が設けられ、弾発ワイヤは、湾曲板部の車外側の面に弾発的に当接し、表皮材を弧状縁部に掛け止めしているとよい。
この態様によれば、基材に対して表皮材の外縁部分を容易に取り付けることができる。
上記の態様において、内装材は、車両用ドア(1)のアームレスト(5)を構成し、係合部材は、アームレストの長手方向に沿って複数配置されているとよい。
この態様によれば、基材への表皮材の取り付けを容易にするとともに、基材に対して係合部材をフラットに取り付け可能にした内装材を備えたアームレストを提供することができる。また、係合部材が複数設けられているため、基材が大きい場合でも表皮材を確実に取り付けることができる。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、車体のパネルの車内側に設けられる基材(11)と、基材を車内側から被覆する表皮材(12)と、表皮材を基材に取り付けるための係合部材(40)とを有し、基材の車内側部(14)には、第1溝(20)と、第1溝の周囲に形成され第1溝より浅い第2溝(18)とが形成され、係合部材は、表皮材の車外側面に結合され第2溝に受容されるプレート部(42)と、プレート部から突出し第1溝に挿入され第1溝に係止される係止部(43)とを有し、プレート部の車内側面は、基材の車内側部と面一である車両用の内装材(10)を提供する。
この態様によれば、係合部材を押し込むことにより、表皮材を基材に取り付けることができる。よって、基材への表皮材の取り付けを容易にすることができる。また、プレート部の車内側面が基材の車内側部と面一になるため、基材に対して係合部材をフラットに取り付けることができる。
上記の態様において、表皮材は、第1表皮部(51)と、第1表皮部と重なり合って重複部(53)を形成する第2表皮部(52)とを有し、第1表皮部及び第2表皮部は、重複部においてプレート部に縫合されているとよい。
この態様によれば、2つの表皮部を縫合によって係止部材に取り付けることができる。
上記の態様において、第2表皮部は、第1表皮部より車内側に配置され、重複部において車外側に折り返されているとよい。
この態様によれば、第1表皮部及び第2表皮部の末端部が車内側から見えない。よって、車室内の美観を高めることができる。
上記の態様において、係止部は、プレート部に対して第1表皮部側にオフセットして配置されているとよい。
この態様によれば、プレート部の第2表皮部側の領域が大きくなるため、プレート部に対して表皮材を容易に縫合することができる。また、係止部がプレート部に対してオフセットして配置されるので、係合部材の取り付け方向がわかりやすい。
上記の態様において、第1溝は、係止部を係止するための抜け止め部(31)を有しているとよい。
この態様によれば、基材に対して係合部材を確実に係止することができる。よって、表皮材を基材に対して確実に取り付けることができる。
上記の態様において、第1溝は、基材から車外側に突出して係止部を覆う受容部(27、28)を有し、第1溝は、受容部に係止部に対向する第1孔(30)が設けられた開口領域(26)と、第1孔を有していない閉口領域(25)とを有し、閉口領域における受容部の厚みは、係止部の厚みより薄いとよい。
この態様によれば、受容部の厚みが薄く形成される。よって、係止部を第1溝に挿入するときに、受容部が撓みやすい。よって、基材に対して係合部材を容易に取り付けることができる。
上記の態様において、抜け止め部は、開口領域に対応する位置に設けられているとよい。
この態様によれば、基材全体にわたって抜け止め部が設けられている場合と比較して、係合部材の取り付けが容易になる。よって、作業性が向上する。
上記の態様において、基材は車内側に膨出する膨出面を備えた板状の湾曲板部(15)を含み、湾曲板部は膨出面の外縁を画定し、且つ、側面視で弧状をなす弧状縁部(55)を備え、表皮材は膨出面を車内側から覆うように配置され、表皮材の弧状縁部に対応する位置には、湾曲板部の車外側の面において、弧状縁部に沿って延在する弾発ワイヤ(56)が設けられ、弾発ワイヤは、湾曲板部の車外側の面に弾発的に当接し、表皮材を弧状縁部に掛け止めしているとよい。
この態様によれば、基材に対して表皮材の外縁部分を容易に取り付けることができる。
上記の態様において、内装材は、車両用ドア(1)のアームレスト(5)を構成し、係合部材は、アームレストの長手方向に沿って複数配置されているとよい。
この態様によれば、基材への表皮材の取り付けを容易にするとともに、基材に対して係合部材をフラットに取り付け可能にした内装材を備えたアームレストを提供することができる。また、係合部材が複数設けられているため、基材が大きい場合でも表皮材を確実に取り付けることができる。
以下、図面を参照して、本発明に係る内装材10を自動車の車両用ドア1に設けられたアームレスト5に適用した実施形態を説明する。以下の説明では、車両の進行方向を基準として上下、前後及び左右方向を定めるが、本発明はこれに限定されない。
図1は、車両の右側に設けられる車両用ドア1の正面図である。車両用ドア1は、骨格部材としてのドアパネル2と、ドアパネル2の車内側の面を覆うように設けられたドアトリム3とを有する。ドアパネル2は、鋼板から形成されたインナパネル及びアウタパネルを有する。インナパネル及びアウタパネルは、上縁を除く、前縁、下縁、及び後縁においてアウタパネルに結合され、中央部に空間を形成している。
ドアトリム3は、樹脂材料から形成されている。ドアトリム3は、面が左右を向き、ドアパネル2の車内側に配置されたトリム本体部3Aと、トリム本体部3Aの周縁からドアパネル2側に突出し、ドアパネル2の車内側の面における縁部に当接するトリム縁壁部3Bとを有する。トリム縁壁部3Bは、トリム本体部3Aの周縁に沿って延びている。
トリム本体部3Aの上部には、ドアを開閉するためのドアハンドル4が設けられている。トリム本体部3Aの前下部には、スピーカ6が設けられてもよい。また、トリム本体部3Aの下部においてスピーカ6の後方に位置する部分には、車内側に膨出したポケット部が設けられてもよい。
図1及び図2に示すように、トリム本体部3Aの車内側の面の上下方向における中間部には、アームレスト5が取り付けられている。アームレスト5は、前後に延びるように設けられている。アームレスト5は、その外殻をなす基材11と、基材11を被覆する表皮材12とを有している。
基材11は、樹脂材料から形成されている。基材11は、ねじ等によってトリム本体部3Aに結合されている。基材11は、トリム本体部3Aに接続された上部13と、車内側部14と、後部15とを有する。
上部13は、トリム本体部3Aに対して車内側に突出し、上方を向く面を有する板状の部材である。上部13は乗員の前腕部を支持することができる。上部13には、車内側部14が接続されている。車内側部14は、上部13に対して屈曲し、車内側かつ下方を向く面を有する板状の部材である。上部13及び車内側部14は、前端においてトリム本体部3Aに対して滑らかに接続されている。上部13と車内側部14とは、後端において後部15(湾曲板部)によって接続されている。後部15は、車内側に膨出する膨出面を有する板状の部材である。車内側部14には、浅溝18及び深溝20が形成されている。
浅溝18(第2溝)は、前後方向に延びる溝である。浅溝18は、車内側に開口するように凹設されている。浅溝18は、その底面を構成する第2底部22と、第2底部22に接続された上下の第2壁部23とを有する。第2底部22は、車内側を向く平坦な面を有している。上下の第2壁部23は、第2底部22の上下の端部から車内側に向けてそれぞれ垂直に立ち上がっている。上下の第2壁部23はそれぞれ上方及び下方を向く面を有している。上下の第2壁部23はそれぞれ車内側部14に接続されている。第2底部22には、前後方向に延びる深溝20(第1溝)が凹設されている。
図3は、車内側部14を車外側の面を示す概略斜視図である。深溝20は、閉口領域25と、開口領域26とを有している。閉口領域25と開口領域26とは、深溝20の延びる方向に沿って交互に配置されている。
図3~図5に示すように、閉口領域25は、深溝20の底部を構成する部分が完全に覆われた領域を指す。閉口領域25において、深溝20は、その底面を構成する第1底部27を備えている。第1底部27は、車内側を向く平坦な面を有している。第1底部27には、2つの第1壁部28の一端がそれぞれ接続されている。第1壁部28は第1底部27の端部からそれぞれ垂直に立ち上がっている。第1壁部28の他端は第2底部22に接続されている。第1壁部28は互いに対向する面を有している。
開口領域26は、深溝20の底部を構成する部分が覆われていない(すなわち、開口している)領域を指す。開口領域26では、深溝20は第1底部27を有していない。深溝20の底部には第1孔30が形成されている。第1孔30は、車幅方向に貫通する孔である。第1孔30は、第2底部22から垂直方向に延びる2つの第1壁部28と、隣り合う2つの閉口領域25の第1底部27とによって画定されている。開口領域26における第1壁部28は、隣り合う閉口領域25における第1壁部28と接続されている。開口領域26において、2つの第1壁部28にはそれぞれ抜け止め部31が形成されている。
抜け止め部31は、深溝20を画定する面において第1壁部28から突出した突出部である。抜け止め部31は、車両の上下方向において互いに対向する位置に設けられている。すなわち、抜け止め部31が設けられている部分において、深溝20の上下方向の寸法は、抜け止め部31が設けられていない部分と比較して小さくなっている。
車内側部14の車外側の面には、段部33が形成されている。段部33は車内側部14の車外側の面から車外側に垂直に延びる面を有する。段部33は車内側部14の車外側の面と第2底部22の車外側の面とを接続している。
図2に示すように、深溝20は、浅溝18に対して下方にオフセットして配置されている。すなわち、深溝20が形成されることにより、深溝20より上側の第2底部22における上下方向の寸法は、深溝20より下側の第2底部22における上下方向の寸法より大きくなる。深溝20の深さは、浅溝18の深さよりも浅い。深溝20の前後方向の長さは、浅溝18の前後方向の長さと同一であるとよい。浅溝18及び深溝20は、車両の前後方向に沿って複数設けられるとよい。浅溝18及び深溝20には、係合部材40が嵌合している。
係合部材40は、基材11に表皮材12を取り付けるための部材である。係合部材40は、例えばポリプロピレン、ポリカーボネート等の合成樹脂によって形成されている。係合部材40は、浅溝18及び深溝20に車外側から嵌合する。係合部材40は、プレート部42と、プレート部42から突出した係止部43とを有する。
プレート部42は、浅溝18に嵌合する。嵌合状態において、プレート部42の車内側の面は、車内側部14の車内側の面と面一になっている。プレート部42の車外側の面には、係止部43が接続されている。
図4及び図5に示すように、係止部43は、深溝20に嵌合する。嵌合状態では、係止部43は、閉口領域25において第1底部27及び第1壁部28によって受容される。係止部43は開口領域26において第1壁部28によって受容される。すなわち、第1底部27及び第1壁部28は係止部43を受容する受容部(27、28)を構成する。
係止部43は、前後方向視で略六角形をなす部材である。係止部43は、基部44と、中央部45と、先端部46とによって構成される。基部44は、プレート部42に接続されている。中央部45は、基部44に接続されている。先端部46は、中央部45に接続されている。閉口領域25において、中央部45は第1壁部28に当接する。開口領域26において、中央部45は抜け止め部31に係止される。中央部45は抜け止め部31に係止される係合爪を有していてもよい。中央部45における上下方向の寸法は、基部44における上下方向の寸法より大きい。中央部45における上下方向の寸法は、先端部46における上下方向の寸法より大きい。先端部46は、車外側を向く面を有している。すなわち、先端部46は、閉口領域25において第1底部27の車内側を向く面と対向する。閉口領域25において、係止部43の基部44から先端部46までの長さ(すなわち、係止部43の車幅方向の長さ)は第1底部27の車幅方向の厚みより小さい。
図2に示すように、係止部43は、プレート部42に対して下方向にオフセットして配置されている。すなわち、プレート部42は、係止部43より上側の領域と係止部43より下側の領域とで、異なる上下方向の長さを有する。プレート部42の上側の領域は、プレート部42の下側の領域よりも上下方向寸法において長い。上側の領域において、プレート部42の車内側の面には、表皮材12が縫合されている。
表皮材12は、車室内を加飾するための加飾部材である。表皮材12は、本革、合成皮革、樹脂シート等のシート材料から形成されている。表皮材12は、第1表皮部51と、第1表皮部51に接続された第2表皮部52とを有している。第1表皮部51及び第2表皮部52には同一の装飾が施されていてもよく、色、模様、素材等の異なる装飾が施されていてもよい。すなわち、第1表皮部51及び第2表皮部52は同一のシートから形成されていてもよく、異なるシートから形成されていてもよい。
第1表皮部51は、基材11の車内側部14の一部を覆っている。第2表皮部52は、基材11の上部13と、車内側部14の一部とを覆っている。第1表皮部51及び第2表皮部52は、それぞれの末端部分が重なり合った重複部53を形成している。重複部53において、第1表皮部51は第2表皮部52より車内側に配置されている。第2表皮部52の末端部は、車外側に折り返されている。表皮材12は、重複部53において係合部材40に縫合されている。これにより、第1表皮部51の上端と第2表皮部52の下端とが接続される。
図6は、後部15に取り付けられた第1表皮部51の後端を示している。第1表皮部51は、アームレスト5(図1に示す)の後端下部において、後部15を覆っている。後部15は、前後方向視で弧状をなす弧状縁部55を有している。弧状縁部55は、後部15の外縁を画定している。第1表皮部51の後端は、車内側から車外側に延びて弧状縁部55を覆っている。第1表皮部51の、弧状縁部55に対応する位置には、後部15の車外側の面において、弾発ワイヤ56が設けられている。
弾発ワイヤ56は、弾性を有する金属製の部材である。弾発ワイヤ56は、弧状縁部55に沿って延在している。弾発ワイヤ56は、第1表皮部51が車外側に折り返されることによって第1表皮部51内に支持されている。第1表皮部51の端部は、弾発ワイヤ56を巻き込むようにして縫合されている。弾発ワイヤ56は、後部15の車外側の面に第1表皮部51を介して弾発的に当接する。弾発ワイヤ56の当接によって、第1表皮部51の後端は後部15に掛け止めされている。
上記のように図6を参照して第1表皮部51の後端について説明したが、弾発ワイヤ56を用いて表皮材12を基材11に取り付ける構成は、アームレスト5の前端や後端上部においても同様である。すなわち、第2表皮部52の後端や、第1表皮部51及び第2表皮部52の前端についても同様の方法で弾発ワイヤ56を用いて基材11に取り付けられる。
また、第1表皮部51の下端及び第2表皮部52の両端は、加熱圧着又は超音波溶着等の方法で基材11に取り付けられるとよい。上部13及び車内側部14の外縁には、車内側の面において複数の係止部材(図示せず)が縫合されている。係止部材は、ホットメルトフィルムやトリムコードフィルムであるとよい。係止部材は、基材11と同一の材料構成を有しているとよい。
次に、本実施形態に係る内装材10の組み立て方法について説明する。まず初めに、基材11に取り付けるべき第1表皮部51及び第2表皮部52と、係合部材40とを用意する。続いて、係合部材40のプレート部42に、第1表皮部51の一端(すなわち、上端)を重ねる。このとき、第1表皮部51の端部がプレート部42の上側の領域に重なるように、第1表皮部51を配置する。
具体的には、プレート部42の2つの端部のうち、係止部43との接続部からの距離が遠い方の端部が上方を向くように、係合部材40を配置する。第1表皮部51を、その上端がプレート部42の上側の領域に重なるように、下方から配置する。これにより、係合部材40に対して第1表皮部51が配置される。
その後、用意した第2表皮部52の一端(すなわち、下端)を折り返す。続いて、折り返した部分が第2表皮部52の残りの部分と第1表皮部51との間に挟まれるように、第2表皮部52を第1表皮部51上に配置する。これにより、第1表皮部51の上端と第2表皮部52の下端とが重なり合った重複部53が形成される。続いて、重複部53とプレート部42を縫合する。これにより、表皮材12と係合部材40とが結合される。
次に、係合部材40を基材11に取り付ける。まず、プレート部42を基材11の車内側部14に設けられた浅溝18に嵌合させる。このとき、プレート部42の上端側(すなわち、重複部53が配置されている側)を浅溝18の上側の第2壁部23に押し付け、プレート部42の下端側を浅溝18に押し込むとよい。
続いて、プレート部42を車内側から車外側に向けて押すことによって係止部43を深溝20内に押し込む。開口領域26において深溝20には抜け止め部31が設けられているため、作業者は、開口領域26において係合部材40を基材11に対してしっかりと押し込むとよい。これにより、係止部43が抜け止め部31に係止され、係合部材40が基材11に係合する。以上の作業を繰り替えし、複数の係合部材40を対応する深溝20及び浅溝18に取り付けることによって、第1表皮部51及び第2表皮部52は車内側部14において基材11に取り付けられる。
次に、表皮材12の後端側を基材11に取り付ける。まず、第1表皮部51の後端部及び第2表皮部52の後端部によって構成される表皮材12の後端部に、弾発ワイヤ56を取り付ける。具体的には、表皮材12の後端部の車外側に、弾発ワイヤ56を配置する。このとき、弾発ワイヤ56は、表皮材12の後端部に沿って延びるように配置されるとよい。続いて、表皮材12の後端部を車外側に折り返し、弾発ワイヤ56を車外側から車内側に巻き込む。折り返し部分を、表皮材12の対応する車内側部分と縫合する。これにより、弾発ワイヤ56が表皮材12の折り返し部分の中に包含され、支持される。
その後、弾発ワイヤ56が支持された表皮材12の後端部を、基材11の後部15に沿うように配置する。具体的には、表皮材12の後端部によって、後部15の外縁を画定する弧状縁部55を覆う。作業者は、車内側から弧状縁部55を覆った表皮材12の後端部を、車外側から車内側に向けて折り返す。
表皮材12の後端部に支持された弾発ワイヤ56は、後部15の車外側の面に弾発的に当接する。これにより、表皮材12の後端部が後部15の車外側の面に掛け止めされる。これにより、表皮材12は後部15において基材11に取り付けられる。続いて表皮材12の前端側を基材11に取り付ける。表皮材12の前端側についても、組み立て方法は表皮材12の後端側と同様であるため説明は省略する。
次に、表皮材12の下端側(すなわち、第1表皮部51の下端側)を基材11に取り付ける。まず、第1表皮部51の下端を、基材11の車内側部14の外縁を覆うように折り返す。これにより、第1表皮部51の折り返し部分は車内側部14の外縁の車外側の面に重なるように配置される。このとき、作業者は車内側部14の外縁の車外側の面に設けられた係止部材(ホットメルトフィルム)上に第1表皮部51の折り返し部分を配置する。続いて、第1表皮部51の折り返し部分の上から加熱を行う。これにより、ホットメルトフィルムが溶解して第1表皮部51と基材11とが取り付けられる。以上の作業を複数の係止部材に対して繰り返すことによって、第1表皮部51は車内側部14において基材11に取り付けられる。表皮材12の上端側(すなわち、第2表皮部52の上端側)についても、組み立て方法は表皮材12の下端側と同様であるため説明は省略する。
以上により、本実施形態によるアームレスト5を構成する内装材10が組み立てられる。なお、上記で説明した組み立て順序は本発明を限定するものではなく、適宜入れ替えられて実施されてよい。例えば、表皮材12の前端側及び後端側についてはどちらを先に取り付けてもよい。また、表皮材12上端側及び下端側についてはどちらを先に取り付けてもよい。また、弾発ワイヤ56は予め表皮材12に縫合されていてもよい。
以下、本実施形態に係る車両用の内装材10の効果について説明する。内装材10は、基材11と、表皮材12と、係合部材40とを有している。基材11は、車体のパネルの車内側に設けられる。表皮材12は、基材11を車内側から被覆する。表皮材12は、係合部材40によって基材11に取り付けられる。基材11の車内側の面には、深溝20(第1溝)と、深溝20の周囲に形成された浅溝18(第2溝)とが形成されている。浅溝18の深さは、深溝20の深さより浅い。係合部材40は、プレート部42と、プレート部42から突出した係止部43とを有する。プレート部42は、表皮材12の車外側の面に結合され浅溝18に受容される。係止部43は、深溝20に挿入され深溝20内に係止される。プレート部42の車内側の面は、基材11の車内側の面と面一である。これにより、係合部材40を深溝20及び浅溝18に押し込むことによって、表皮材12を基材11に取り付けることができる。よって、基材11への表皮材12の取り付けを容易にすることができる。また、プレート部42の車内側の面が基材11の車内側の面と面一になるため、基材11に対して係合部材40をフラットに取り付けることができる。よって、車内側から見て、内装材10の表面に意図しない段差が生じることがない。
表皮材12は、第1表皮部51と、第2表皮部52とを有する。第1表皮部51及び第2表皮部52は重なり合って重複部53を形成する。表皮材12は重複部53においてプレート部42に縫合される。プレート部42は係止部43よりも薄い板状の部材であるため、2つの表皮材12を縫合によって係合部材40に取り付けることが容易である。
第2表皮部52は第1表皮部51より車内側に配置される。さらに、第2表皮部52は重複部53において車外側に折り返されている。第2表皮部52が車内側に配置されているため、車内側から見て、第1表皮部51の末端は第2表皮部52に覆われている。第2表皮部52は車外側に折り返されているため、第2表皮部52の末端は車内側から見えない。また、第2表皮部52は重複部53において折り返されているため、折り返された部分は第1表皮部51とともにプレート部42に縫合される。したがって、折り返された第2表皮部52の末端は車内側に露出されない。これにより、車室内の美観を高めることができる。
係止部43は、プレート部42に対して下方(すなわち、第1表皮部51側)にオフセットして配置されている。これにより、プレート部42において、係止部43より上方(すなわち、第2表皮部52側)の領域を、係止部43より下方(すなわち、第1表皮部51側)の領域より大きく形成することができる。したがって、プレート部42に対して表皮材12を縫合し易くなる。また、このように構成することにより係合部材40は上下非対称形に形成される。よって、特に第1表皮部51と第2表皮部52とに同一又は類似の材料シートを用いた場合等に、表皮材12の取り付け方向がわかり易くなる。よって、作業性が向上する。
深溝20は、係止部43を係止するための抜け止め部31を有している。これにより、係合部材40を基材11に押し込むと、抜け止め部31に係止部43が係止される。よって、基材11に対して係合部材40を確実に係止することができる。よって、表皮材12を基材11に対して確実に取り付けることができる。
深溝20は、基材11から車外側に延びる上下の第1壁部28と、上下の第1壁部28を接続する第1底部27とを有する。第1底部27及び第1壁部28は受容部(27、28)を構成する。受容部(27、28)は、深溝20に挿入された係止部43を車外側から覆う。深溝20は、開口領域26と、閉口領域25とを有する。開口領域26において、受容部(27、28)は係止部43に対向する第1孔30を有している。閉口領域25において、受容部(27、28)は第1孔30を有していない。また、第1底部27の厚みは係止部43の厚みより薄く形成されている。これにより、深溝20に係止部43が挿入されたときに、第1底部27が撓みやすい。よって、基材11に対して係合部材40を容易に取り付けることができる。
抜け止め部31は、開口領域26に対応する位置に設けられている。開口領域26において、受容部(27、28)には第1孔30が設けられている。したがって、深溝20に係止部43が挿入されたときに、受容部(27、28)が撓みやすい。よって、係止部43を抜け止め部31に係止することが容易になる。また、開口領域26及び閉口領域25の両方にわたって抜け止め部31が設けられている場合と比較して、係合部材40の取り付けが容易になる。よって、作業性が向上する。
基材11は、車内側に膨出する膨出面を備えた板状の後部15を含む。後部15は膨出面の外縁を画定し、且つ、側面視で弧状をなす弧状縁部55を備える。表皮材12は膨出面を車内側から覆うように配置される。表皮材12の後部15に対応する位置には、後部15の車外側の面において、弧状縁部55に沿って延在する弾発ワイヤ56が設けられる。弾発ワイヤ56は、湾曲板部の車外側の面に弾発的に当接し、表皮材12を弧状縁部55に掛け止めしている。これにより、表皮材12の外縁部分は弾発ワイヤ56によって基材11に対して取り付けられる。よって、取り付け作業が容易である。
内装材10は、車両用ドア1のアームレスト5を構成し、係合部材40は、アームレスト5の長手方向に沿って複数配置されている。これにより、基材11への表皮材12の取り付けを容易にするとともに、基材11に対して係合部材40をフラットに取り付け可能にした内装材10を備えたアームレスト5を提供することができる。また、係合部材40が複数設けられているため、表皮材12を取り付けるべき基材11の領域が大きい場合でも、表皮材12を確実に取り付けることができる。
車内側部14の車外側の面には、段部33が形成されている。これにより、基材11の強度が高まるため、係合部材40を取り付けるときに基材11が破損する虞がない。
また、弾発ワイヤ56の少なくとも一部は、前後方向視でみたときに、係合部材40と上下左右方向に整列して配置されている。これにより、弾発ワイヤ56をコンパクトに配置することができる。よって、内装材10を全体としてコンパクトに構成することができる。
また、係止部材は基材11と同一の材料構成を有している。これにより、表皮材12の種類に拠らず、表皮材12を基材11に対して安定して固定することができる。
上記実施形態では、内装材10はアームレスト5を構成していたが、これに限定されない。例えば、内装材10はドアトリム3を構成していてもよく、車室内に配置されるコンソールボックスなどを構成していてもよい。また、内装材10は車両用シートのシートクッションの側方に設けられるサイドカバーを構成していてもよい。また、内装材10は車両用シートそのものを構成していてもよい。
1 :車両用ドア
5 :アームレスト
10 :内装材
11 :基材
12 :表皮材
15 :湾曲板部
18 :第2溝
20 :第1溝
25 :閉口領域
26 :開口領域
27 :受容部
28 :受容部
30 :第1孔
31 :抜け止め部
40 :係合部材
42 :プレート部
43 :係止部
51 :第1表皮部
52 :第2表皮部
53 :重複部
55 :弧状縁部
56 :弾発ワイヤ
5 :アームレスト
10 :内装材
11 :基材
12 :表皮材
15 :湾曲板部
18 :第2溝
20 :第1溝
25 :閉口領域
26 :開口領域
27 :受容部
28 :受容部
30 :第1孔
31 :抜け止め部
40 :係合部材
42 :プレート部
43 :係止部
51 :第1表皮部
52 :第2表皮部
53 :重複部
55 :弧状縁部
56 :弾発ワイヤ
Claims (9)
- 車両用の内装材であって、
車体のパネルの車内側に設けられる基材と、
前記基材を車内側から被覆する表皮材と、
前記表皮材を前記基材に取り付けるための係合部材とを有し、
前記基材の車内側面には、第1溝と、前記第1溝の周囲に形成され前記第1溝より浅い第2溝とが形成され、
前記係合部材は、前記表皮材の車外側面に結合され前記第2溝に受容されるプレート部と、前記プレート部から突出し前記第1溝に挿入され前記第1溝に係止される係止部とを有し、
前記プレート部の車内側面は、前記基材の前記車内側面と面一である内装材。 - 前記表皮材は、第1表皮部と、前記第1表皮部と重なり合って重複部を形成する第2表皮部とを有し、
前記第1表皮部及び前記第2表皮部は、前記重複部において前記プレート部に縫合されている請求項1に記載の内装材。 - 前記第2表皮部は、前記第1表皮部より車内側に配置され、前記重複部において車外側に折り返されている請求項2に記載の内装材。
- 前記係止部は、前記プレート部に対して前記第1表皮部側にオフセットして配置されている請求項3に記載の内装材。
- 前記第1溝は、前記係止部を係止するための抜け止め部を有している請求項1~請求項4のいずれか1つの項に記載の内装材。
- 前記第1溝は、前記基材から車外側に突出して前記係止部を覆う受容部を有し、
前記第1溝は、前記受容部に前記係止部に対向する第1孔が設けられた開口領域と、前記第1孔を有していない閉口領域とを有し、
前記閉口領域における前記受容部の厚みは、前記係止部の厚みより薄い請求項5に記載の内装材。 - 前記抜け止め部は、前記開口領域に対応する位置に設けられている請求項6に記載の内装材。
- 前記基材は車内側に膨出する膨出面を備えた板状の湾曲板部を含み、
前記湾曲板部は前記膨出面の外縁を画定し、且つ、側面視で弧状をなす弧状縁部を備え、
前記表皮材は前記膨出面を車内側から覆うように配置され、
前記表皮材の前記弧状縁部に対応する位置には、前記湾曲板部の車外側の面において、前記弧状縁部に沿って延在する弾発ワイヤが設けられ、
前記弾発ワイヤは、前記湾曲板部の車外側の面に弾発的に当接し、前記表皮材を前記弧状縁部に掛け止めしている請求項1に記載の内装材。 - 前記内装材は、車両用ドアのアームレストを構成し、
前記係合部材は、前記アームレストの長手方向に沿って複数配置されている請求項4に記載の内装材。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022067465A JP2023157514A (ja) | 2022-04-15 | 2022-04-15 | 車両用内装材 |
PCT/JP2023/015182 WO2023200005A1 (ja) | 2022-04-15 | 2023-04-14 | 車両用内装材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022067465A JP2023157514A (ja) | 2022-04-15 | 2022-04-15 | 車両用内装材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023157514A true JP2023157514A (ja) | 2023-10-26 |
Family
ID=88469061
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022067465A Pending JP2023157514A (ja) | 2022-04-15 | 2022-04-15 | 車両用内装材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023157514A (ja) |
-
2022
- 2022-04-15 JP JP2022067465A patent/JP2023157514A/ja active Pending
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