JP5392829B2 - シートバック - Google Patents

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Description

本発明は、
シートバックパッドと、
前記シートバックパッドを支持するフレームと、
前記シートバックパッドの前面と周面を覆う表皮材と、
前記シートバックパッド及びフレームの後面を覆うカーペット材とを備え、
着座用の起立姿勢と車両前方側への倒伏姿勢とに切り換え自在に構成されて、前記倒伏姿勢で前記カーペット材の後面に荷物を載置可能に構成されているシートバックに関する。
従来、この種のシートバックパッドでは、フレームの周部に車両後方側に開放の断面U字状の係合溝部を折曲形成し、カーペット材の折曲した周縁部を係合溝部に挿入し、係合溝部の互いに対向する一対の側壁のうち、フレームの内方側に位置する一方の側壁にカーペット材の折曲した周縁部を接着剤で接着してあった。そして、表皮材の周縁部に設けた係合材を係合溝部に挿入し、前記係合材を前記カーペット材の周縁部と係合溝部の他方の側壁とで挟み込んであった(特許文献1参照)。
特開平2−102837号公報
フレームは一般に金属で形成されていることから、フレームに断面U字状の係合溝部を折曲形成してある上記従来の構造では、フレームを折曲する際に大きいプレス荷重が必要であった。その結果、プレス装置が大型化し、成形型も大きいプレス荷重に耐えられるように大型化していた。
また、カーペット材の折曲した周縁部を係合溝部に作業者が挿入しなければならず、カーペット材が保形性を備えていないために、前記周縁部を係合溝部に挿入しにくくて挿入作業に手間がかかっていた。
そして、係合溝部内のカーペット材の折曲した周縁部と係合材との間に隙間が発生することがあり、この隙間からフレームが見えて外観が低下しやすかった。
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、プレス装置及び成形型を小型化でき、組み付け作業を簡単化でき、外観を良くすることができるシートバックを提供する点にある。
本発明の特徴は、
シートバックパッドと、
前記シートバックパッドを支持するフレームと、
前記シートバックパッドの前面と周面を覆う表皮材と、
前記シートバックパッド及びフレームの後面を覆うカーペット材とを備え、
着座用の起立姿勢と車両前方側への倒伏姿勢とに切り換え自在に構成されて、前記倒伏姿勢で前記カーペット材の後面に荷物を載置可能に構成されているシートバックであって、
前記シートバックパッドの周部の裏面に車両前方側に凹む段差部が形成され、
前記フレームの幅は前記シートバックパッドの幅よりも短く設定されて、前記段差部が前記フレームの幅方向の縁端の外側に位置し、
前記カーペット材は、カーペット本体と、前記カーペット本体の前面に積層一体化された樹脂材とから成り、
前記カーペット材の周部が、車両後方側に開放の断面U字状の係合溝部に折曲形成され、
該係合溝部は前記シートバックパッドの周部の前記段差部に配置され、
前記表皮材の周部に係合材が取り付け固定され、
前記係合材が前記係合溝部に係合している点にある。(請求項1)
この構成によれば、カーペット本体と、カーペット本体の前面に積層一体化された樹脂材とから成るカーペット材に前記係合溝部を折曲形成するから、金属製のフレームに係合溝部を形成する場合に比べると小さい荷重で係合溝部を折曲形成することができて、係合溝部を折曲形成するためのプレス装置や成形型を小型化することができる。しかも、係合溝部が形成されるフレーム部分が不要となり、フレームを小さくすることができてフレームを軽量化することができる。
また、係合材は一般的に保形性を備えていることから係合材を係合溝部に係合させる作業を簡単に行うことができて、組み付け作業を簡単化することができる。
さらに、表皮材とカーペット材の間に隙間を発生させる要因としては係合溝部の幅のみになり、係合溝部の幅を管理することで隙間の発生を防止することができる。そして、係合溝部はカーペット材に形成されているから、係合溝部内で表皮材とカーペット材の間に隙間が発生していても、フレームがカーペット材の外方側から見えることがなくなって外観を良くすることができる。(請求項1)
本発明において、
前記係合材は断面U字のフック状に形成されて、前記係合材の先端部側が前記係合溝部に挿入され、
前記係合材の基端部側に前記係合材の内方側に突出する返し部が形成され、
前記係合溝部の開口部側から前記カーペット材の外方側に張り出す前記カーペット材の周縁部に前記返し部が車両前方側から係合していると、次の作用を奏することができる。(請求項2)
前記カーペット材の周縁部に前記返し部が車両前方側から係合しているから、係合材を係合溝部から抜けにくくすることができる。また、前記返し部を係合溝部に形成する場合に比べると、係合溝部を成形するための成形型の構造を簡素化することができて、成形型のコストを低廉化することができる。(請求項2)
本発明において、
前記係合材の外周面のほぼ全面が前記表皮材に覆われていると、係合材がカーペット材の外方側から見えるのを回避することができて外観をより良くすることができる。(請求項3)
本発明において、
前記係合溝部の背面部に断面U字状のクリップが外嵌していると、次の作用を奏することができる。(請求項4)
カーペット材の係合溝部の背面部に断面U字状のクリップが外嵌しているから、前記係合溝部の開きを防止することができる。
係合溝部の開きを防止する手段としてカーペット材の肉厚を厚くする手段があるが、この手段では重量が増大し材料コストが高くなる。
これに対して、本発明では、前クリップで係合溝部の開きを防止するから、カーペット材の肉厚を厚くする必要がなくて、カーペット材を軽量化することができ、材料コストを低廉化することができる。(請求項4)
本発明において、
前記カーペット材の係合溝部の背面部が前記段差部の車両後方側を向く段差面に車両前方側から受け止められていると、前記係合溝部が車両前方側にたわむことを防止することができて、表皮材が位置ずれすることを防止することができる。(請求項5)
本発明によれば、
プレス装置及び成形型を小型化でき、組み付け作業を簡単化でき、外観を良くすることができるシートバックを提供することができた。
リアシートの斜視図 シートバックの分解斜視図 シートバックの断面図 (a)は係合材を係合溝部に係合させる前のカーペット材等を示す断面図(b)は表皮材の断面図 クリップ及びカーペット材の斜視図 クリップ及びカーペット材の断面図 比較例のシートバックの断面図
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、着座者(乗員)の臀部及び大腿部を受け止める左右に長い二人用のシートクッション1と、着座者の背中を受け止める左右一対の一人用のシートバック2とを設けて自動車用のリアシート3を構成してある。
図2〜図4にも示すように、前記シートバック2は、発泡成形体としての軟質の発泡ウレタンから成るシートバックパッド4と、シートバックパッド4が装着される金属製のフレーム5と、シートバックパッド4の前面と周面(左右両側面と下端面)を覆う表皮材18と、シートバックパッド4及びフレーム5の後面5Kを覆うカーペット材6とを備え、着座用の起立姿勢と車両前方側Frへの倒伏姿勢(車両前方側Frに倒伏した姿勢)とに横軸芯周りに揺動切り換え自在に構成されて、前記倒伏姿勢でカーペット材6の後面6Kに荷物を載置可能に構成されている。
図1の右側のシートバック2は前記倒伏姿勢に設定された状態を示している。このようにシートバック2を前記倒伏姿勢に設定すると、倒伏姿勢のリアシート3の上方の空間がリアシート3の後方の荷室と連通し、荷室が車両前方側Frに拡大してカーペット材6の後面6Kに荷物を載置可能になる。
[シートバックパッド4の構造]
図1,図3,図4(a)に示すように、シートバックパッド4は、センター部7と、このセンター部7の左右両側部から車両前方側Frに隆起して、着座者の上半身を幅方向(左右方向)で保持する縦に長い左右一対のサイドサポート部8とを備えている。そして、センター部7の上端部にヘッドレスト9が連結されている。シートバックパッド4の周部の裏面のうち、左右両側部の裏面と上端部の裏面には車両前方側Frに凹む段差部10が形成されている。
[フレーム5の構造]
図2,図3に示すように、前記フレーム5は多数の孔を備えた長方形の鋼板11と、鋼板11を補強するパイプ材(図示せず)とを備え、シートバックパッド4を支持してシートバックパッド4の形状を保持している。フレーム5の鋼板11の幅はシートバックパッド4の幅よりも短く設定され、鋼板11の周縁に折曲形成された車両前方側Frに延びるフランジ5Fがシートバックパッド4の後端部に外嵌して、前記段差部10の段差面10M(左右外方側を向く段差面10Mと上方を向く段差面10M)に当接している。
[カーペット材6の構造]
図2,図3,図4(a),図5に示すように、カーペット材6は、カーペット本体13と、カーペット本体13の前面13Z(車両前方側Frの面)に積層一体化された樹脂材14とから成る。カーペット本体13は、繊維材を絡ませてシート状にプレス成形された所謂ニードルパンチカーペットで構成されている。
カーペット本体13として厚さが1.6mmのカットパイルを例示することができる。このカーペット本体13は幾重にも繊維が重なり合って絡まっていることから荷物の積載に対して高い耐摩耗性を発揮する。また、前記樹脂材14としてPP(ポリプロピレン)を例示することができる。前記樹脂材14はカーペット本体13の前面13Zに溶け込んで積層一体化されている。これにより、カーペット材6に保形性を備えさせることができる。このカーペット材6をフレーム5の後面5K(鋼板11の後面)に重ね合わせてクリップで固定してある。
カーペット材6の周部はプレス加工されて、車両後方側Rrに開放の断面U字状の係合溝部15に折曲形成されている。この係合溝部15には後述の表皮材18の係合材19が係合する。前記樹脂材14がカーペット本体13の前面13Zに溶け込んで積層一体化されていることから、カーペット材6を上記のようにプレス加工することができる。また、前記係合溝部15の開口部側からカーペット材6の外方側にカーペット材6の周縁部6Sがひれ状に張り出している。カーペット材6の周縁部6Sは、径方向内方側のカーペット材部分の後面6Kよりも少し車両前方側Frに位置している(図4(a)参照)。
前記係合溝部15の背面部は前記段差部10の車両後方側Rrを向く段差面10Nに車両前方側Frから受け止められている。これにより、前記係合溝部15(カーペット材6の周部)が車両前方側Frにたわむことを防止することができて、表皮材18の位置ずれを防止することができる。
[クリップ17の構造]
図5,図6に示すように、カーペット材6の係合溝部15の背面部に断面U字状の複数のクリップ17が車両前方側Frから外嵌して係合溝部15の開きを防止している。クリップ17は金属により形成され、クリップ17の互いに対向する一対の側壁17Sに脱落防止用の切り返し28がプレス加工により形成されて、クリップ17の幅方向内方側に突出している。切り返し28は先端側ほどクリップ17の底壁17T側に位置する状態に傾斜し、切り返し28の先端が係合溝部15の背面部(樹脂材14の背面)に圧接している。
係合溝部15の開きを膨出する手段として、カーペット材6の肉厚を厚くする手段があるが、この手段では重量が増大し材料コストが高くなる。これに対して、本発明では、カーペット材6の係合溝部15の背面部に断面U字状の複数のクリップ17が車両前方側Frから外嵌して係合溝部15の開きを防止しているから、カーペット材6の肉厚を厚くする必要がなくて、カーペット材6を軽量化することができ、材料コストを低廉化することができる。
[表皮材18の構造]
図3,図4(b)に示すように、表皮材18の周部の裏面のうち、幅方向の両端部の裏面と上端部の裏面に、各裏面のほぼ全長にわたる長さの樹脂製の係合材19が縫着されて取り付け固定されている。符号30は縫着部である。係合材19は前記係合溝部15に係合する。
係合材19は断面U字のフック状(より詳しくは断面J字のフック状)に形成され、係合材19の外周面のほぼ全面が表皮材18に覆われている。そして、係合材19の互いに対向する一対の側壁19S1,19S2のうち、係合材19の先端部側の側壁19S1が係合溝部15に挿入されている。
係合材19の基端部側の側壁19S2には係合材19の内方側に突出する第1返し部20が形成されている。そして、係合溝部15の開口部側からカーペット材6の外方側に張り出すカーペット材6の周縁部6S(ひれ部)に前記第1返し部20が車両前方側Frから係合している。
係合材19の先端部側の側壁19S1には係合材19の内方側に突出する第2返し部21が前記第1返し部20に対向する状態に形成されて、係合溝部15の開口部側のカーペット本体部分に圧接している。これにより、係合材19の係合溝部15からの抜け(係合解除)を防止することができる。第1返し部20の突出長さは第2返し部21の突出長さよりも長く設定されている。
また、表皮材18の下端部に樹脂プレートを設けてある。そして、この樹脂プレートに形成した係止孔を、鋼板11に設けた切り起こしに係止させてある。
上記の構成によれば、表皮材18の周部の裏面に係合材19が取り付け固定され、保形性を備えた係合材19を係合溝部15に係合させるから、係合材19を係合溝部15に係合させる作業を簡単に行うことができて組み付け作業を簡単化することができる。
また、前記係合材19の外周面のほぼ全面が表皮材18に覆われているから、係合材19がカーペット材6の外方側から見えるのを防止することができて外観をより良くすることができる。
[比較例のシートバック2の構造]
図7に比較例のシートバック2の断面図を示してある。カーペット材6は、木質のボード40と、ボード40の後面(車両後方側の面)を覆うカーペット本体13とから成る。カーペット本体13の周縁部は車両前方側Frに折り曲げられてボード40の前面に接合されている。このカーペット材6がフレーム5の後面に重ねられてクリップで取り付け固定されている。
金属製のフレーム5の周部は車両後方側Rrに開放の断面U字状の係合溝部25に折曲形成されている。そして、表皮材18の周部の裏面に係合材19が縫着されて取り付け固定され、係合材19が係合溝部25に係合している。符号30は縫着部である。
この構造によれば、木質のボード40をカーペット材6の一部分としているために、重量が重くなり材料コストが高くなる。また、金属製のフレーム5に断面U字状の係合溝部25を折曲形成してあるために、フレーム5を折曲する際に大きなプレス荷重が必要でプレス装置が大型化し、成形型も高いプレス荷重に耐えられるように大型化するという問題がある。
これに対して、本発明のシートバック2によれば、カーペット本体13と、カーペット本体13の前面13Zに積層一体化された樹脂材14とから成るカーペット材6に前記係合溝部15を折曲形成するから、小さい荷重で係合溝部15を折曲形成することができて、係合溝部15を折曲形成するためのプレス装置や成形型を小型化することができる。しかも、係合溝部15が形成されるフレーム部分が不要となり、フレーム5を小さくすることができてフレーム5を軽量化することができ、カーペット材6を軽量化することができる。
さらに、表皮材18とカーペット材6の間に隙間を発生させる要因としては係合溝部15の幅のみになり、係合溝部15の幅を管理することで、表皮材18とカーペット材6の間に隙間が発生することを防止することができる。そして、係合溝部15はカーペット材6に形成されているから、表皮材18とカーペット材6の間に隙間が発生していても、フレーム5がカーペット材6の外方側から見えることがなくなって外観を良くすることができる。
4 シートバックパッド
5 フレーム
5K フレームの後面
6 カーペット材
6K カーペット材の後面
6S カーペット材の周縁部
10 段差部
10N 段差面
13 カーペット本体
13Z カーペット本体の前面
14 樹脂材
15 係合溝部
17 クリップ
18 表皮材
19 係合材
20 返し部
Fr 車両前方側
Rr 車両後方側

Claims (5)

  1. シートバックパッドと、
    前記シートバックパッドを支持するフレームと、
    前記シートバックパッドの前面と周面を覆う表皮材と、
    前記シートバックパッド及びフレームの後面を覆うカーペット材とを備え、
    着座用の起立姿勢と車両前方側への倒伏姿勢とに切り換え自在に構成されて、前記倒伏姿勢で前記カーペット材の後面に荷物を載置可能に構成されているシートバックであって、
    前記シートバックパッドの周部の裏面に車両前方側に凹む段差部が形成され、
    前記フレームの幅は前記シートバックパッドの幅よりも短く設定されて、前記段差部が前記フレームの幅方向の縁端の外側に位置し、
    前記カーペット材は、カーペット本体と、前記カーペット本体の前面に積層一体化された樹脂材とから成り、
    前記カーペット材の周部が、車両後方側に開放の断面U字状の係合溝部に折曲形成され、
    該係合溝部は前記シートバックパッドの周部の前記段差部に配置され、
    前記表皮材の周部に係合材が取り付け固定され、
    前記係合材が前記係合溝部に係合しているシートバック。
  2. 前記係合材は断面U字のフック状に形成されて、前記係合材の先端部側が前記係合溝部に挿入され、
    前記係合材の基端部側に前記係合材の内方側に突出する返し部が形成され、
    前記係合溝部の開口部側から前記カーペット材の外方側に張り出す前記カーペット材の周縁部に前記返し部が車両前方側から係合している請求項1記載のシートバック。
  3. 前記係合材の外周面のほぼ全面が前記表皮材に覆われている請求項2記載のシートバック。
  4. 前記係合溝部の背面部に断面U字状のクリップが外嵌している請求項1〜3のいずれか一つに記載のシートバック。
  5. 前記カーペット材の係合溝部の背面部が前記段差部の車両後方側を向く段差面に車両前方側から受け止められている請求項1〜4のいずれか一つに記載のシートバック。
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