JP2023154811A - ガスバリア性積層体、包装フィルム、包装容器及び包装製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】レトルト処理後のラミネート強度に優れ且つレトルト処理及び虐待処理を行った後の酸素バリア性にも優れるガスバリア性積層体等を提供すること。【解決手段】樹脂を含む基材層、無機酸化物層、ガスバリア性被覆層をこの順に備え、ガスバリア性被覆層が組成物の硬化物であり、組成物が、水溶性高分子、下記式(1)のケイ素アルコキシド等で構成される第1ケイ素化合物、下記式(2)のケイ素アルコキシド等で構成される第2ケイ素化合物を含み、水溶性高分子及び第2ケイ素化合物中の水溶性高分子の比率は55~95質量%、第1ケイ素化合物及び第2ケイ素化合物中の第1ケイ素化合物の比率は0質量%より大きく89質量%以下であるガスバリア性積層体。Si(OR1)4・・・(1)(R2Si(OR3)3)n・・・(2)(上記式(1)、(2)中、R1,R3はアルキル基等、R2は有機官能基を表す。nは1以上の整数を表す。)【選択図】図1

Description

本開示は、ガスバリア性積層体、包装フィルム、包装容器及び包装製品に関する。
食品、医薬品等の包装に用いられる包装袋などの包装容器においては、内容物の変質や腐敗などを抑制し、それらの機能や性質を保持するために、水蒸気、酸素、その他の内容物を変質させる気体の進入を遮断するガスバリア性が要求される。そのため、従来、これら包装袋においてはガスバリア性積層体が用いられている。
ガスバリア性積層体は一般に、基材層、無機酸化物層及びガスバリア性被覆層をこの順に備えており、ガスバリア性被覆層は、ガスバリア性の機能を付与しうるガスバリア性被覆層形成用組成物を無機酸化物層上に塗布し硬化させることによって形成される。
このようなガスバリア性積層体として、従来より、種々のものが開示されている。
例えば、下記特許文献1には、多層基材と、蒸着膜と、蒸着膜上に設けられたバリアコート層とを備えるバリア性積層体であって、バリアコート層が、金属アルコキシドと、水溶性高分子と、シランカップリング剤との樹脂組成物から構成されるガスバリア性塗布膜であるバリア性積層体が開示されている。
特許第6902231号公報
しかし、上記特許文献1に記載されたガスバリア性積層体は、以下の課題を有していた。
すなわち、上記特許文献1に記載されたガスバリア性積層体は、レトルト処理後のラミネート強度、および、レトルト処理及び虐待処理を行った後の酸素バリア性を両立させる点で改善の余地を有していた。
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、レトルト処理後のラミネート強度に優れ、且つ、レトルト処理及び虐待処理を行った後の酸素バリア性にも優れるガスバリア性積層体、包装フィルム、包装容器及び包装製品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本開示の第1の側面は、熱可塑性樹脂を含む基材層と、無機酸化物層と、ガスバリア性被覆層と、をこの順に備え、前記ガスバリア性被覆層が、ガスバリア性被覆層形成用組成物の硬化物であり、前記ガスバリア性被覆層形成用組成物が、水溶性高分子と、下記一般式(1)で表されるケイ素アルコキシド及びその加水分解物の少なくとも一方で構成される第1ケイ素化合物と、下記一般式(2)で表されるケイ素アルコキシド及びその加水分解物の少なくとも一方で構成される第2ケイ素化合物とを含み、前記水溶性高分子と前記第2ケイ素化合物の合計質量中の前記水溶性高分子の質量比率は、前記第2ケイ素化合物を(RSi(OH)に換算した場合に、55~95質量%であり、前記第1ケイ素化合物と前記第2ケイ素化合物の合計質量中の前記第1ケイ素化合物の質量比率は、前記第1ケイ素化合物をSiOに換算し、前記第2ケイ素化合物を(RSi(OH)に換算した場合に、0質量%より大きく89質量%以下である、ガスバリア性積層体を提供する。
Si(OR・・・(1)
(RSi(OR・・・(2)
(上記一般式(1)および(2)中、R,Rは、アルキル基又は-COCH、を表し、Rは有機官能基を表す。nは1以上の整数を表す。)
本開示のガスバリア性積層体は、レトルト処理後のラミネート強度に優れ、且つ、レトルト処理及び虐待処理を行った後の酸素バリア性にも優れる。
本開示のガスバリア性積層体によりこのような効果が得られる理由は定かではないが、基材層が熱可塑性樹脂を含むようにしたことに加えて、ガスバリア性被覆層において水溶性高分子と、第1ケイ素化合物と、第2ケイ素化合物とがバランスよく配合されることで、基材層に対するガスバリア性被覆層のラミネート強度が増加し、基材層とガスバリア性被覆層との密着性が向上するとともに、ガスバリア性被覆層に熱的及び機械的な耐久性が付与されたためではないかと推測される。
本開示の第2の側面は、上記第1の側面のガスバリア性積層体であって、前記第1ケイ素化合物と前記第2ケイ素化合物の合計質量中の前記第1ケイ素化合物の質量比率が、前記第1ケイ素化合物をSiOに換算し、前記第2ケイ素化合物を(RSi(OH)に換算した場合に、20質量%以上89質量%以下であるガスバリア性積層体を提供する。
この場合、ガスバリア性被覆層形成用組成物の硬化によって、ガスバリア性積層体に対してより優れたガスバリア性を付与することが可能となる。
本開示の第3の側面は、上記第1の側面又は第2の側面のガスバリア性積層体であって、前記熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂であるガスバリア性積層体を提供する。
一般に、基材層に含まれる熱可塑性樹脂をポリオレフィン樹脂としたガスバリア性積層体を用いて包装容器を作製し、この包装容器に対してレトルト処理を行うと、層内剥離が生じやすくなる傾向がある。これに対し、本開示のガスバリア性積層体によれば、基材層に対するガスバリア性被覆層のラミネート強度が大きくなるため、ガスバリア性積層体を用いて包装容器を作製し、この包装容器に対してレトルト処理を行っても、ガスバリア性被覆層が基材層から剥離しにくくなる。
本開示の第4の側面は、上記第1~第3の側面のいずれかのガスバリア性積層体であって、前記第2ケイ素化合物を構成する前記ケイ素アルコキシドが、前記一般式(2)におけるRをNCO-R-とし、前記Rを炭素数が1以上の整数であるアルキレン基とし、nを3とした、三量体1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートであるガスバリア性積層体を提供する。
この場合、ガスバリア性被覆層の湿熱耐性が向上し、レトルト処理後の、基材層に対するガスバリア性被覆層のラミネート強度(密着強度)が向上する。
本開示の第5の側面は、上記第1~第3の側面のいずれかのガスバリア性積層体であって、前記第2ケイ素化合物を構成する前記ケイ素アルコキシドが、前記一般式(2)におけるRを3-グリシドキシプロピル基とし、nを1とした、3-グリシドキシプロピルトリアルコキシシランであるガスバリア性積層体を提供する。
この場合、ガスバリア性被覆層の湿熱耐性が向上し、レトルト処理後の、基材層に対するガスバリア性被覆層のラミネート強度(密着強度)が向上する。
本開示の第6の側面は、上記第1~第5の側面のいずれかのガスバリア性積層体であって、前記基材層と前記無機酸化物層との間にアンカーコート層をさらに備えるガスバリア性積層体を提供する。
この場合、アンカーコート層の表面の平滑性が、基材層の表面の平滑性よりも向上する。このため、無機酸化物層の厚みを均一にすることが可能となり、ガスバリア性積層体のガスバリア性をより向上させることができる。また、ガスバリア性被覆層と無機酸化物層との密着性を向上させることが可能となり、ガスバリア性積層体における層内剥離を抑制することができる。
また、本開示の第7の側面は、上記第1~第6の側面のいずれかのガスバリア性積層体と、シーラント層とを備える包装フィルムを提供する。
この包装フィルムは、上記ガスバリア性積層体を備えるため、レトルト処理後のラミネート強度に優れ、且つ、レトルト処理及び虐待処理を行った後の酸素バリア性にも優れる。
さらに、本開示の第8の側面は、上記第7の側面の包装フィルムを備える包装容器を提供する。
この包装容器は、上記包装フィルムを備えるため、内容物を充填した後、レトルト処理を行ってもガスバリア性被覆層が剥離し難くなるとともに、レトルト処理後に包装フィルムを変形させる力が加えられても、酸素の混入による内容物の品質の低下を長期間にわたって抑制することができる。
さらにまた、本開示の第9の側面は、上記第8の側面の包装容器と、前記包装容器内に充填される内容物とを備える包装製品を提供する。
この包装製品は、上記包装容器を備えるため、レトルト処理を行ってもガスバリア性被覆層が剥離し難くなるとともに、レトルト処理後に包装フィルムを変形させる力が加えられても内容物への酸素の混入が抑制され、酸素の混入による内容物の品質の低下を長期間にわたって抑制することができる。
本開示によれば、レトルト処理後のラミネート強度に優れ、且つ、レトルト処理及び虐待処理を行った後の酸素バリア性にも優れるガスバリア性積層体、包装フィルム、包装容器及び包装製品が提供される。
本開示のガスバリア性積層体の一実施形態を示す断面図である。 本開示の包装フィルムの一実施形態を示す断面図である。 本開示の包装製品の一実施形態を示す側面図である。
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。
<ガスバリア性積層体>
まず、本開示のガスバリア性積層体の一実施形態について図1を参照しながら説明する。図1は、本開示のガスバリア性積層体の一実施形態を示す断面図である。図1において、ガスバリア性積層体10は、熱可塑性樹脂を含む基材層1と、無機酸化物層3と、ガスバリア性被覆層4とを、この順に備える。ガスバリア性被覆層4は、ガスバリア性被覆層形成用組成物の硬化物であり、ガスバリア性被覆層形成用組成物は、水溶性高分子と、下記一般式(1)で表されるケイ素アルコキシド及びその加水分解物の少なくとも一方で構成される第1ケイ素化合物と、下記一般式(2)で表されるケイ素アルコキシド及びその加水分解物の少なくとも一方で構成される第2ケイ素化合物とを含む。水溶性高分子と第2ケイ素化合物の合計質量中の水溶性高分子の質量比率は、第2ケイ素化合物を(RSi(OH)に換算した場合に、55~95質量%であり、第1ケイ素化合物と第2ケイ素化合物の合計質量中の第1ケイ素化合物の質量比率は、第1ケイ素化合物をSiOに換算し、第2ケイ素化合物を(RSi(OH)に換算した場合に、0質量%より大きく89質量%以下である。
Si(OR・・・(1)
(RSi(OR・・・(2)
(上記一般式(1)および(2)中、R,Rは、アルキル基又は-COCH、を表し、Rは有機官能基を表す。nは1以上の整数を表す。)
なお、ガスバリア性積層体10は、基材層1と無機酸化物層3との間にアンカーコート層2を有してもよい。
このガスバリア性積層体10は、レトルト処理後のラミネート強度に優れ、且つ、レトルト処理及び虐待処理を行った後の酸素バリア性にも優れる。
以下、基材層1、アンカーコート層2、無機酸化物層3及びガスバリア性被覆層4について詳細に説明する。
(基材層)
基材層1は、ガスバリア性被覆層4の支持体となる層であり、熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、及び天然高分子化合物(セルロースアセテート等)が挙げられる。これらは単独で又は2種以上の混合物で構成されてもよい。
本開示は、熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂である場合に特に有用である。一般に、基材層に含まれる熱可塑性樹脂をポリオレフィン樹脂としたガスバリア性積層体を用いて包装容器を作製し、この包装容器に対してレトルト処理を行うと、層内剥離が生じやすくなる傾向がある。これに対し、本開示のガスバリア性積層体によれば、基材層1に対するガスバリア性被覆層4のラミネート強度が大きくなるため、ガスバリア性積層体10を用いて包装容器を作製し、この包装容器に対してレトルト処理を行っても、ガスバリア性被覆層4が基材層1から剥離しにくくなる。
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン及びポリプロピレンなどが挙げられるが、レトルト処理耐性の観点からは、ポリプロピレンが好ましい。ここで、ポリプロピレンは、ホモポリプロピレンでもプロピレンコポリマーでもよいが、酸素バリア性の観点からは、ポリプロピレン共重合体であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)及びポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)などが挙げられる。
基材層1は、延伸フィルムでもよいし、非延伸フィルムでもよいが、酸素バリア性の観点からは、延伸フィルムであることが好ましい。ここで、延伸フィルムとしては、一軸延伸フィルム及び二軸延伸フィルムが挙げられるが、二軸延伸フィルムが、耐熱性を向上させることから、好ましい。
基材層1の厚みは、特に制限されないが、例えば0.1mm以下であればよい。中でも、基材層1の厚みは、40μm以下であることが好ましく、35μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることが特に好ましい。基材層1の厚みが40μm以下であると、基材層1の厚みが40μm未満である場合に比べて、ガスバリア性積層体10の柔軟性がより向上し、虐待後のガスバリア性積層体10の酸素ガスバリア性をより向上させることができる。但し、強度を向上させる観点からは、10μm以上であることが好ましく、12μm以上であることがより好ましい。
基材層1は、必要に応じて、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤等の添加剤を含んでいてもよい。
(アンカーコート層)
アンカーコート層2は、基材層1と無機酸化物層3との密着性をより向上させるための層であり、基材層1と無機酸化物層3との間に設けられるものである。
アンカーコート層2を構成する材料は、基材層1と無機酸化物層3との密着性を向上させることが可能なものであれば特に制限されるものではないが、このような材料としては、オルガノシラン又は有機金属化合物と、ポリオール化合物と、イソシアネート化合物との反応物を含む。すなわち、アンカーコート層2は、ウレタン系接着剤層であるということもできる。オルガノシランは、例えば3官能オルガノシラン、又は3官能オルガノシランの加水分解物である。有機金属化合物は、例えば金属アルコキシド又は金属アルコキシドの加水分解物である。有機金属化合物に含まれる金属元素は、例えばAl、Ti、Zr等である。オルガノシランの加水分解物及び金属アルコキシドの加水分解物はそれぞれ、少なくとも一つの水酸基を有していればよい。透明性の観点から、ポリオール化合物はアクリルポリオールであることが好ましい。イソシアネート化合物は、主に架橋剤又は硬化剤として機能する。ポリオール化合物およびイソシアネート化合物は、モノマーでもよいしポリマーでもよい。
アンカーコート層2の厚みは基材層1と無機酸化物層3との密着性を向上させることが可能な厚みであれば特に制限されるものではないが、好ましくは30nm以上である。この場合、アンカーコート層2の厚みが30nm未満である場合に比べて、基材層1の表面よりもアンカーコート層2の表面の平滑性をより向上させることが可能となり、無機酸化物層3の厚みをより均一にすることが可能となるとともに、酸素バリア性をより向上させることもできる。このため、ガスバリア性積層体10の酸素バリア性をより一層向上させることができる。アンカーコート層2の厚みは40nm以上であることがより好ましく、50nm以上であることがさらに好ましい。アンカーコート層2の厚みを大きくすることにより、延伸等の外力がかかった場合の水蒸気バリア性の低下を一層抑制することができる。アンカーコート層2の厚みは300nm以下であることが好ましい。この場合、アンカーコート層2の厚みが300nm以上である場合に比べて、ガスバリア性積層体10の柔軟性がより向上し、虐待後のガスバリア性積層体10の酸素ガスバリア性をより向上させることができる。アンカーコート層2の厚みは200μm以下であることがより好ましい。
(無機酸化物層)
無機酸化物層3は、無機酸化物を含む層である。ガスバリア性積層体10は、無機酸化物層3を有することにより、ガスバリア性をより向上させることができる。
無機酸化物としては、Si、Al、Mg、Sn、Ti、及びInからなる群より選択される少なくとも1種の金属の酸化物、又は、炭素若しくはリンなどの非金属を金属酸化物に添加してなる非金属添加金属酸化物が挙げられる。無機酸化物としては、水蒸気バリア性の観点から、SiO又はAlOが好ましい。中でも、無機酸化物としては、SiOが好ましい。この場合、ガスバリア性積層体10がより優れた水蒸気バリア性を有することが可能となる。
無機酸化物層3は単層からなっていてもよく、複数層からなっていてもよい。
無機酸化物層3の厚みは特に制限されるものではないが、5nm以上であることが好ましい。この場合、無機酸化物層3の厚みが5nm未満である場合に比べて、ガスバリア性積層体10の酸素バリア性がより向上する。無機酸化物層3の厚みは8nm以上であることがより好ましく、10nm以上であることが特に好ましい。
また、無機酸化物層3の厚みは80nm以下であることが好ましい。この場合、無機酸化物層3の厚みが80nmを超える場合に比べて、ガスバリア性積層体10の柔軟性がより向上し、虐待後のガスバリア性積層体10の酸素バリア性をより向上させることができる。また、レトルト処理後のガスバリア性積層体10の酸素バリア性をより向上させることもできる。無機酸化物層3の厚みは70nm以下であることがより好ましく、60nm以下であることが特に好ましい。
(ガスバリア性被覆層)
ガスバリア性被覆層4は、ガスバリア性被覆層形成用組成物の硬化体で構成される。
スバリア性被覆層形成用組成物は、水溶性高分子と、上記一般式(1)で表されるケイ素アルコキシド及びその加水分解物の少なくとも一方で構成される第1ケイ素化合物と、上記一般式(2)で表されるケイ素アルコキシド及びその加水分解物の少なくとも一方で構成される第2ケイ素化合物とを含む。
水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、その変性体、及び、ポリアクリル酸などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール樹脂又はその変性体が好ましい。この場合、この組成物は、硬化により、ガスバリア性積層体10に対してより優れたガスバリア性を付与することができる。また、この組成物は、硬化されても、ガスバリア性積層体10に対しより優れた柔軟性を付与することができ、虐待後における酸素バリア性をより向上させることができる。
水溶性高分子が、ポリビニルアルコール樹脂又はその変性体で構成される場合、水溶性高分子の鹸化度は、特に制限されるものではないが、ガスバリア性積層体10のガスバリア性を向上させる観点からは、95%以上であることが好ましく、100%であってもよい。
水溶性高分子の重合度は、特に制限されるものではないが、ガスバリア性積層体10のガスバリア性を向上させる観点からは、300以上であることが好ましい。水溶性高分子の重合度は、450~2400が好ましい。
第1ケイ素化合物は、上記一般式(1)で表されるケイ素アルコキシド及びその加水分解物の少なくとも一方で構成される。
ケイ素アルコキシドを表す一般式(1)において、Rは、アルキル基、又は、-COCHを表す。アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基などが挙げられる。中でも、エチル基が好ましい。この場合、ケイ素アルコキシドはテトラエトキシシランとなり、加水分解後、水系の溶媒中で比較的安定化することが可能となる。
第2ケイ素化合物は、上記一般式(2)で表されるケイ素アルコキシド及びその加水分解物の少なくとも一方で構成される。第2ケイ素化合物は、硬化剤として機能するものであり、シランカップリング剤ともいう。
第2ケイ素化合物を構成するケイ素アルコキシドを表す一般式(1)において、Rは1価の有機官能基を表し、Rは、アルキル基、又は、-COCHを表す。
この場合、ガスバリア性被覆層4と無機酸化物層3との密着性を向上させることが可能となり、ガスバリア性積層体10における層間剥離(デラミネーション)を抑制することができる。
なお、RとRは互いに同一でも異なってもよい。R同士は互いに同一でも異なっていてもよい。
で示される1価の有機官能基としては、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基、アミノ基、又は、イソシアネート基を含有する1価の有機官能基が挙げられる。中でも、1価の有機官能基としては、イソシアネート基を含有する1価の有機官能基が好ましい。この場合、組成物が、硬化によって、より優れた熱水耐性を有することが可能となり、ガスバリア性積層体10に対してレトルト処理後でもより大きなラミネート強度を付与することが可能となる。
で表されるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基などが挙げられる。中でも、メチル基が好ましい。この場合、加水分解が速く行われる。
nは1以上の整数を表す。nが1である場合、第2ケイ素化合物は単量体を表すのに対し、nが2以上である場合、第2ケイ素化合物は多量体を表す。nは3であることが好ましい。この場合、ガスバリア性被覆層4の熱水耐性をより向上させることができ、ガスバリア性積層体10に対してレトルト処理後でもより大きなラミネート強度を付与することが可能となる。
第2ケイ素化合物を構成するケイ素アルコキシドは、上記一般式(2)におけるRをNCO-R-とし、Rを炭素数が1以上の整数であるアルキレン基とし、nを3とした、三量体1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートであることが好ましい。この場合、ガスバリア性被覆層の湿熱耐性が向上し、レトルト処理後の、基材層に対するガスバリア性被覆層のラミネート強度(密着強度)が向上する。
第2ケイ素化合物を構成するケイ素アルコキシドは、上記一般式(2)におけるRを3-グリシドキシプロピル基とし、nを1とした、3-グリシドキシプロピルトリアルコキシシランであってもよい。この場合、ガスバリア性被覆層の湿熱耐性が向上し、レトルト処理後の、基材層に対するガスバリア性被覆層のラミネート強度(密着強度)が向上する。
第2ケイ素化合物を構成するケイ素アルコキシドとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基を持つシランカップリング剤;3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン等のエポキシ基を持つシランカップリング剤;3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプト基を持つシランカップリング剤;3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を持つシランカップリング剤;3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、1,3,5-トリス(3-メトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等のイソシアネート基を持つシランカップリング剤が挙げられる。これらの第2ケイ素化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
水溶性高分子と第2ケイ素化合物の合計質量中の水溶性高分子の質量比率は、第2ケイ素化合物を(RSi(OH)に換算した場合に、55~95質量%であればよいが、75~90質量%とすることが好ましい。この場合、レトルト処理後における酸素バリア性をより向上させることができる傾向がある。
第1ケイ素化合物と第2ケイ素化合物の合計質量中の第1ケイ素化合物の質量比率は、第1ケイ素化合物をSiOに換算し、第2ケイ素化合物を(RSi(OH)に換算した場合に、0質量%より大きく89質量%以下であればよいが、20質量%以上89質量%以下であることが好ましい。この場合、ガスバリア性被覆層形成用組成物の硬化によって、ガスバリア性積層体10に対してより優れたガスバリア性を付与することが可能となる。また、第1ケイ素化合物の質量比率は、0質量%より大きく60質量%以下であることがあってもよく、20~60質量%であってもよい。この場合、レトルト処理及び虐待処理を行った後における酸素バリア性をより向上させることができる傾向がある。
(その他の成分)
ガスバリア性被覆層形成用組成物は、ガスバリア性被覆層4のガスバリア性を損なわない範囲で、分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの公知の添加剤を必要に応じてさらに含んでもよい。
(液体)
ガスバリア性被覆層形成用組成物は、固形分を溶解又は分散させる液体を含んでいてよい。このような液体としては、通常、水性媒体が用いられる。水性媒体としては、水、親水性の有機溶剤、またはこれらの混合物が挙げられる。親水性の有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;セロソルブ類;カルビトール類;アセトニトリル等のニトリル類等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
水性媒体としては、水のみからなる水性媒体、又は、水を主成分として含む水性媒体が好ましい。水性媒体が水を主成分として含む場合、水性媒体中の水の含有率は70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
ガスバリア性被覆層4の厚みは特に制限されるものではないが、50nm以上であることが好ましい。
この場合、ガスバリア性被覆層4の厚みが50nm未満である場合に比べて、ガスバリア性積層体10の酸素バリア性がより向上する。
ガスバリア性被覆層4の厚みは、ガスバリア性を向上させる観点から、100nm以上であることがより好ましく、200nm以上であることが特に好ましい。
一方、ガスバリア性被覆層4の厚みは700nm以下であることが好ましい。ガスバリア性被覆層4の厚みが700nmを超える場合に比べて、ガスバリア性積層体10の柔軟性がより向上し、虐待後のガスバリア性積層体10の酸素バリア性をより向上させることができる。また、レトルト処理後のガスバリア性積層体10の酸素バリア性をより向上させることもできる。
ガスバリア性被覆層4の厚みは、ガスバリア性積層体10の柔軟性をより向上させる観点からは、500nm以下であることがより好ましく、400nm以下であることが特に好ましい。
<ガスバリア性積層体の製造方法>
次に、ガスバリア性積層体10の製造方法について説明する。
まず基材層1を用意する。
次に、基材層1の一面上にアンカーコート層2を形成する。
具体的には、基材層1の一面上に、アンカーコート層2を形成するアンカーコート層形成用組成物を塗布し加熱して乾燥させることによってアンカーコート層2を形成する。このとき、加熱温度は、例えば、50~200℃であり、乾燥時間は、例えば、10秒~10分程度である。
次に、アンカーコート層2の上に無機酸化物層3を形成する。
無機酸化物層3は、例えば真空成膜法により形成することができる。真空成膜法としては、物理気相成長法及び化学気相成長法が挙げられる。物理気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタ蒸着法、イオンプレーティング法等を挙げることができる。物理気相成長法としては、真空蒸着法が特に好ましく用いられる。真空蒸着法としては、抵抗加熱式真空蒸着法、EB(Electron Beam)加熱式真空蒸着法、誘導加熱式真空蒸着法が挙げられる。化学気相成長法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等を挙げることができる。
次に、無機酸化物層3上にガスバリア性被覆層4を形成する。
ガスバリア性被覆層4は、例えば、無機酸化物層3上にガスバリア性被覆層形成用組成物を塗布し、硬化させることによって形成できる。ここで、固形分が硬化するとは、固形分中の第1ケイ素化合物及び水溶性高分子、又は、第1ケイ素化合物、水溶性高分子及び第2ケイ素化合物が互いに反応して一体化することをいう。また、ガスバリア性被覆層形成用組成物は、水溶性高分子、第1ケイ素化合物及び第2ケイ素化合物を含み、水溶性高分子と前記第2ケイ素化合物の合計質量中の水溶性高分子の質量比率が、第2ケイ素化合物を(RSi(OH)に換算した場合に、55~95質量%となり、第1ケイ素化合物と第2ケイ素化合物の合計質量中の第1ケイ素化合物の質量比率が、第1ケイ素化合物をSiOに換算し、第2ケイ素化合物を(RSi(OH)に換算した場合に、0質量%より大きく89質量%以下となるように調製する。
ガスバリア性被覆層形成用組成物の塗布方法としては、公知の方法を採用することができる。塗布方法としては、具体的には、グラビアコート法、ディップコート法、リバースコート法、バーコート法、ダイコート法等のウェット成膜法が挙げられる。
硬化は、例えば加熱などによって行うことができる。
硬化を加熱によって行う場合、加熱温度及び加熱時間は、ガスバリア性被覆層形成用組成物中の固形分の硬化と水性媒体等の液体の除去を同時に行うことができるように設定すればよい。加熱温度は、例えば80~250℃とすればよく、加熱時間は、例えば3秒~10分とすればよい。
以上のようにしてガスバリア性積層体10が得られる。
<包装フィルム>
次に、本開示の包装フィルムの実施形態について図2を参照しながら説明する。なお、図2において、図1と同一の構成要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図2は、本開示の包装フィルムの一実施形態を示す断面図である。図2に示すように、包装フィルム20は、ガスバリア性積層体10と、ガスバリア性積層体10に積層されるシーラント層21とを備えており、シーラント層21は、ガスバリア性積層体10の基材層1のガスバリア性被覆層4側に配置されている。図2に示すように、ガスバリア性積層体10において、ガスバリア性被覆層4とシーラント層21とが接着剤層22によって接着されていてもよい。
この包装フィルム20は、上記ガスバリア性積層体10を備えるため、レトルト処理後のラミネート強度に優れ、且つ、レトルト処理及び虐待処理を行った後の酸素バリア性にも優れる。
接着剤層22の材料としては、例えば、ポリエステル-イソシアネート系樹脂、ウレタン樹脂、ポリエーテル系樹脂などを用いることができる。包装フィルム20をレトルト用途に使用するには、レトルト処理耐性のある2液硬化型のウレタン系接着剤を好ましく用いることができる。
(シーラント層)
シーラント層21の材質としては、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられるが、ポリオレフィン樹脂が一般的に使用される。具体的に、ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体などのエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂、又はこれらの混合物等を使用することができる。シーラント層21の材質は、上述した熱可塑性樹脂の中から、使用用途やボイル処理、レトルト処理などの温度条件によって適宜選択できる。
シーラント層21を構成する熱可塑性樹脂は、延伸されていても延伸されていなくてもよいが、融点を低下させ、ヒートシールを容易にする観点からは、延伸されていない方が好ましい。
シーラント層21の厚みは、内容物の質量や、包装袋の形状などにより適宜定められ、特に限定されるものではないが、包装フィルム20の柔軟性及び接着性の観点から、30~150μmであることが好ましい。
<包装製品>
次に、本開示の包装製品の実施形態について図3を参照しながら説明する。なお、図3は、本開示の包装製品の一実施形態を示す側面図である。図3において、図1又は図2と同一の構成要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図3に示すように、包装製品40は、包装容器30と、包装容器30内に充填された内容物Cとを備えている。図3に示す包装容器30は、一対の包装フィルム20を用い、シーラント層21同士を対向させた状態で包装フィルム20の周縁部をヒートシールすることによって得られたものである。なお、図3において、包装フィルム20の接着剤層22は省略して示してある。
この包装製品40は、包装容器30を備えているため、レトルト処理を行ってもガスバリア性被覆層4が剥離し難くなるとともに、レトルト処理後に包装フィルム20を変形させる力が加えられても内容物Cへの酸素の混入が抑制され、酸素の混入による内容物Cの品質の低下を長期間にわたって抑制することができる。
なお、包装容器30は、1つの包装フィルム20を折り曲げ、シーラント層21同士を対向させた状態で包装フィルム20の周縁部をヒートシールすることによっても得ることができる。
包装容器30としては、包装袋、ラミネートチューブ容器、液体紙容器などが挙げられる。
内容物Cは、特に限定されるものではなく、内容物Cとしては、食品、液体、医薬品、電子部品などが挙げられる。
本開示は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、包装フィルム20において、シーラント層21が、ガスバリア性積層体10の基材層1のガスバリア性被覆層4側に配置されているが、シーラント層21は、基材層1のガスバリア性被覆層4と反対側に配置されていてもよい。
以下、実施例を挙げて本開示を具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
<コーティング液の調製>
実施例又は比較例で用いられるガスバリア性被覆層形成用組成物を調製するためのコーティング液A~Dを以下のようにして調製した。
(コーティング液A)
ポリビニルアルコール(商品名:「クラレポバール60-98」、株式会社クラレ製、以下「PVA」ともいう)を水と混合し、固形分の割合が5質量%であるコーティング液Aを調製した。
(コーティング液B)
ケイ素アルコキシドとしてのテトラエトキシシラン(商品名:「KBE04」、固形分:100%、信越化学工業株式会社製、以下「TEOS」ともいう)とメタノール(関東化学)と0.1N塩酸(関東化学株式会社製)とを、質量比が17/10/73となるように混合し、固形分の割合が5質量%であるコーティング液Bを調製した。このとき、固形分の割合の計算は、TEOSをSiOに換算して行った。
(コーティング液C1)
シランカップリング剤(SC剤A)としての1,3,5-トリス(3-メトキシシリルプロピル)イソシアヌレートを、水/IPA=1/1(質量比)の混合溶媒に加え、固形分の割合が5質量%であるコーティング液C1を得た。固形分の割合の計算は、SC剤Aを、(NCO(CHSi(OH)に換算して行った。
(コーティング液C2)
シランカップリング剤(SC剤B)としての3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランのイソプロパノール(IPA)溶液に、0.1N 塩酸(関東化学株式会社製)を加え、得られた溶液を30分間撹拌してSC剤Bを加水分解させた後、水/IPA=1/1(質量比)の混合溶媒に加え、固形分の割合が5質量%であるコーティング液C2を得た。固形分の割合の計算は、SC剤Bを、(CHO)CHOCSi(OH)に換算して行った。
<アンカーコート層形成用組成物の調製>
アンカーコート層形成用組成物は以下のようにして調製した。
アクリルポリオールとトリレンジイソシアネートとを、アクリルポリオールのOH基の数に対してトリレンジイソシアネートのNCO基の数が等量となるように混合し、固形分(アクリルポリオール及びトリレンジイソシアネートの合計量)が5質量%になるよう酢酸エチルで希釈した。希釈後の混合液に、さらにβ-(3,4エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシランを、アクリルポリオール及びトリレンジイソシアネートの合計量100質量部に対して5質量部となるように添加し、これらを混合することでアンカーコート層形成用組成物(アンカーコート剤)を調製した。
<ガスバリア性積層体の作製>
(実施例1)
まず、厚み20μmの基材層としての二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名「ME-1」、三井化学東セロ株式会社製)に、上記のようにして調製したアンカーコート剤を、厚みが50nmとなるように塗布し、100℃で加熱した後、乾燥させてアンカーコート層を形成した。次に、電子線加熱方式による電子ビーム式真空蒸着法によりアンカーコート層に無機酸化物として酸化ケイ素を蒸着させ、厚さ25nmの無機酸化物層を形成し、積層体を得た。
その後、水溶性高分子及び第2ケイ素化合物の合計質量中の水溶性高分子の質量比率(以下、「水溶性高分子の質量比率X1」ともいう)、及び、第1ケイ素化合物及び第2ケイ素化合物の合計質量中の第1ケイ素化合物の質量比率(以下、「第1ケイ素化合物の質量比率X2」ともいう)が表1に示す割合となるようにコーティング液A、B及びC1を混合して混合液を調合し、この混合液を、バーコート法にて上記積層体の無機酸化物層の表面に塗布し、厚みが400nmとなるようにガスバリア性被覆層を形成した。こうして無機酸化物層、基材層、アンカーコート層、無機酸化物層及びガスバリア性被覆層がこの順で積層されたガスバリア性積層体を得た。
(実施例2、4及び5)
水溶性高分子の質量比率X1及び第1ケイ素化合物の質量比率X2が表1に示す割合となるようにコーティング液A、B及びC1を混合して混合液を調合したこと以外は実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。
(実施例3及び6)
水溶性高分子の質量比率X1及び第1ケイ素化合物の質量比率X2が表1に示す割合となるようにコーティング液A、B及びC1を混合して混合液を調合し、アンカーコート層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にしてガスバリア性積層体を得た。
(実施例7)
水溶性高分子の質量比率X1及び第1ケイ素化合物の質量比率X2が表1に示す割合となるようにコーティング液A、B及びC2を混合して混合液を調合したこと以外は実施例1と同様にしてガスバリア性積層体を得た。
(比較例1~3)
水溶性高分子の質量比率X1及び第1ケイ素化合物の質量比率X2が表1に示す割合となるようにコーティング液A、B及びC1を混合して混合液を調合したこと以外は実施例1と同様にしてガスバリア性積層体を得た。
<ラミネートフィルムの作製>
実施例1~7及び比較例1~3で得られたガスバリア性積層体の基材層の表面上に、2液型の接着剤(商品名「タケラックA-525/タケネートA-52」、三井化学SKCポリウレタン株式会社製)を用いて、厚み60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(商品名「トレファン(登録商標)ZK207」、東レ株式会社製)を貼り付けることによって表面の幅が210mmであるラミネートフィルムを作製した。
<ラミネートフィルムの評価>
上記のようにして得られたラミネートフィルムについて、以下のようにして酸素バリア性、及び、ラミネート強度を評価した。
(1)酸素バリア性
上記のようにして作製したラミネートフィルムについて、以下のようにしてレトルト処理後の酸素バリア性、並びに、レトルト処理及び虐待後の酸素バリア性を評価した。
(1-1)レトルト処理後の酸素バリア性
(試験サンプルの作製)
まず、レトルト処理後の酸素バリア性の評価を行うために、以下のようにして試験サンプルAを作製した。
まず、上記のようにして作製したラミネートフィルムから縦315mm×横230mmの大きさのシートを切り出し、このシートを用いて、開口を有する三方パウチを作製した。このとき、三方パウチは、ラミネートフィルムを、未延伸ポリプロピレンフィルム同士が対向するように折り曲げ、未延伸ポリプロピレンフィルム同士を熱融着させることによって形成した。そして、開口から三方パウチ内に水を入れて三方パウチの開口を封止した。こうして試験サンプルAを作製した。
(レトルト処理)
上記のようにして得られた試験サンプルAについて、121℃で30分間のレトルト処理を行った。
(酸素透過度の測定)
そして、レトルト処理後の試験サンプルAについて、酸素透過度測定装置(製品名「OX-TRAN2/20」、MOCON社製)を用い、温度30℃、相対湿度70%の条件で酸素透過度を測定した。このとき、測定は、JIS K-7126-2に準拠して行った。結果を表1に示す。
(1-2)レトルト処理及び虐待処理後の酸素バリア性
(試験サンプルの作製)
上記のようにしてレトルト処理を行った試験サンプルAのうちの上部から縦295mm×横210mmの大きさのシートを切り出し、このシートを試験サンプルBとした。
(虐待性試験)
そして、この試験サンプルBに対して、以下のようにして虐待性試験(ゲルボフレックス試験)を行うことにより虐待処理を行った。
すなわち、まず上記試験サンプルBを、ゲルボフレックステスター(テスター産業社製)の固定ヘッドに、直径87.5mm×210mmの円筒状になるように取り付け、円筒体を作製した。そして、円筒体の両端を保持し、初期把持間隔を175mm、ストロークを87.5mmに設定して440度のひねりを加える動作を繰り返し行う往復運動を、速度40回/分で5回行い、円筒体を屈曲させた。こうして虐待性試験を行った。
(酸素透過度の測定)
そして、虐待処理後の試験サンプルBについて、上述したレトルト処理後の酸素透過度の測定と同様にして酸素透過度を測定した。結果を表1に示す。
(2)ラミネート強度
まず、上記のようにして作製した試験サンプルAについて、JIS Z-1707に準拠してラミネート強度を測定した。
具体的には、まず上記試験サンプルAを、幅15mmの短冊状にカットしてカットサンプルを得た。次に、テンシロン万能材料試験機(製品名「テンシロンRTC-1250」、オリエンテック社製)を用いて、カットサンプルのガスバリア性被覆層と残りの部分とを、互いに反対方向に引っ張り、剥離されたガスバリア性被覆層及び残りの部分と、剥離されていない部分とがT型を形成するようにして、300mm/分の剥離速度で剥離し、剥離に要した強度(単位:N/15mm)をラミネート強度として測定した。結果を表1に示す。
Figure 2023154811000002
表1に示すように、実施例1~7のガスバリア性積層体は、レトルト処理後のラミネート強度が大きく、且つ、レトルト処理及び虐待処理後における酸素透過度が小さいことが分かった。これに対し、比較例1~3のガスバリア性積層体は、レトルト処理後のラミネート強度が小さいか、又は、レトルト処理及び虐待処理後における酸素透過度が大きくなることが分かった。
以上のことから、本開示のガスバリア性積層体は、レトルト処理後のラミネート強度に優れ、且つ、レトルト処理及び虐待処理後における酸素バリア性にも優れることが確認された。
1…基材層、3…無機酸化物層、4…ガスバリア性被覆層、10…ガスバリア性積層体、20…包装フィルム、21…シーラント層、30…包装容器、40…包装製品。

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂を含む基材層と、無機酸化物層と、ガスバリア性被覆層と、をこの順に備え、
    前記ガスバリア性被覆層が、ガスバリア性被覆層形成用組成物の硬化物であり、
    前記ガスバリア性被覆層形成用組成物が、
    水溶性高分子と、
    下記一般式(1)で表されるケイ素アルコキシド及びその加水分解物の少なくとも一方で構成される第1ケイ素化合物と、
    下記一般式(2)で表されるケイ素アルコキシド及びその加水分解物の少なくとも一方で構成される第2ケイ素化合物とを含み、
    前記水溶性高分子と前記第2ケイ素化合物の合計質量中の前記水溶性高分子の質量比率は、前記第2ケイ素化合物を(RSi(OH)に換算した場合に、55~95質量%であり、
    前記第1ケイ素化合物と前記第2ケイ素化合物の合計質量中の前記第1ケイ素化合物の質量比率は、前記第1ケイ素化合物をSiOに換算し、前記第2ケイ素化合物を(RSi(OH)に換算した場合に、0質量%より大きく89質量%以下である、ガスバリア性積層体。
    Si(OR・・・(1)
    (RSi(OR・・・(2)
    (上記一般式(1)および(2)中、R,Rは、アルキル基又は-COCH、を表し、Rは有機官能基を表す。nは1以上の整数を表す。)
  2. 前記第1ケイ素化合物と前記第2ケイ素化合物の合計質量中の前記第1ケイ素化合物の質量比率は、前記第1ケイ素化合物をSiOに換算し、前記第2ケイ素化合物を(RSi(OH)に換算した場合に、20質量%以上89質量%以下である、請求項1に記載のガスバリア性積層体。
  3. 前記熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂である、請求項1に記載のガスバリア性積層体。
  4. 前記第2ケイ素化合物を構成する前記ケイ素アルコキシドが、前記一般式(2)におけるRをNCO-R-とし、前記Rを炭素数が1以上の整数であるアルキレン基とし、nを3とした、三量体1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートである、請求項1に記載のガスバリア性積層体。
  5. 前記第2ケイ素化合物を構成する前記ケイ素アルコキシドが、前記一般式(2)におけるRを3-グリシドキシプロピル基とし、nを1とした、3-グリシドキシプロピルトリアルコキシシランである、請求項1に記載のガスバリア性積層体。
  6. 前記基材層と前記無機酸化物層との間にアンカーコート層をさらに備える、請求項1に記載のガスバリア性積層体。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載のガスバリア性積層体と、シーラント層とを備える包装フィルム。
  8. 請求項7に記載の包装フィルムを備える包装容器。
  9. 請求項8に記載の包装容器と、前記包装容器内に充填される内容物とを備える包装製品。
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