JP2023150820A - 伸縮性配線材及び伸縮性デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】高導電性でかつ高伸縮性、さらに伸縮時の導電性の変化が小さい伸縮性配線材を提供することである。【解決手段】本発明の伸縮性配線材は、樹脂と金属粉を含み、破断伸び率が130%以上であり、伸縮前の抵抗率(ρ0)が2×10-2[Ωmm]以下であり、前記金属粉が鱗片形状粉を含み、前記樹脂の割合は8wt%以上、20wt%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、伸縮性配線材及び伸縮性デバイスに関する。
近年、フレキシブルセンサーの発展とともに、体調管理可能なウエアラブルデバイスが注目を集めている。ウエアラブルデバイスは、スポーツ科学やヘルスケアの分野において、洋服に内蔵するものや皮膚に直接貼り付けるものなど、体の特定部位の測定及びモニタリングが想定されたもので、幅広い用途での応用が期待されている。人の肌は、日常、伸び縮みを繰り返しているので、ウエアラブルデバイスにストレスのない装着性を求める場合、ウエアラブルデバイスは、装着対象物に対応して伸縮性を有することが望ましい。また、ウエアラブルデバイスは、その取り扱いや人の動きを想定し、その折り曲げ時や捲回時に発生する応力に対して、一定以上の強度を有することが望ましい。このような特性を有するデバイスを、本明細書においては、その用途をウエアラブルデバイスに限らず、伸縮性デバイスと称する。
伸縮性デバイスとしては、伸縮性素体の中に、電極、配線、デバイス、電子部品、薄膜センサー等を含むものが想定され、それらは伸び縮みを繰り返す使用環境下でも、その品質が保たれることが必要である。しかし、従来の薄膜樹脂基板で使用されるポリイミド製シートでは、このような伸縮性デバイスを実現するのは困難である。このような理由から、伸縮性デバイスのうち、素体及び電極には、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン又はポリオレフィン等の、伸縮性に対応した樹脂を主たる構成材料として用いることが想定されている。なかでも、シロキサン結合を有する(メタ)アクリレート化合物、ウレタン結合を有する前記(メタ)アクリレート化合物以外の(メタ)アクリレート化合物、及び大気圧での沸点が115~200℃の範囲の有機溶剤を含有する組成物の硬化物であり、前記シロキサン結合を有する(メタ)アクリレート化合物が膜の表面側に偏在する伸縮性膜は、ポリウレタンと同程度の優れた伸縮性と強度を有し、かつ膜表面はシリコーンと同程度の優れた撥水性を有する、とされている(特許文献1参照)。
特開2017-206626号公報
しかし、特許文献1に記載のような、樹脂組成物の硬化物を主たる構成材料とする樹脂シート(樹脂膜)の場合、硬化反応が均一に進行しない場合に、樹脂シート中において、組成や硬化度のばらつきを生じ、目的とする伸縮性、強度及び耐経時劣化特性を有しないものになるという問題点があった。
また、伸縮性デバイスの実現のために、高導電性でかつ高伸縮性、さらには伸縮時の導電性の変化が小さい配線が望まれる。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、高導電性でかつ高伸縮性、さらに伸縮時の導電性の変化が小さい伸縮性配線材及び伸縮性デバイスを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
本発明の第1態様に係る伸縮性配線材は、樹脂と金属粉を含み、破断伸び率が130%以上であり、伸縮前の抵抗率(ρ)が2×10-2[Ωmm]以下であり、前記金属粉が鱗片形状粉を含み、前記樹脂の割合は8wt%以上、20wt%以下である。
本発明の第2態様に係る伸縮性配線材は、樹脂と金属粉を含み、破断伸び率が130%以上であり、伸縮前の抵抗率(ρ)に対する伸縮率50%での抵抗率(ρ50)の比(ρ50/ρ)は7以下であり、前記金属粉が鱗片形状粉を含み、前記樹脂の割合は8wt%以上、20wt%以下である。
上記態様に係る伸縮性配線材において、伸縮率50%での抵抗率(ρ50)に対する伸縮率100%での抵抗率(ρ100)の比(ρ100/ρ50)は8以下であってもよい。
本発明の第3態様に係る伸縮性配線材は、樹脂と金属粉を含み、破断伸び率が130%以上であり、伸縮前の抵抗率(ρ)に対する伸縮率50%での抵抗率(ρ50)の比(ρ50/ρ)に対する、伸縮率50%での抵抗率(ρ50)に対する伸縮率100%での抵抗率(ρ100)の比(ρ100/ρ50)の変化率が140%以下であり、前記金属粉が鱗片形状粉を含み、前記樹脂の割合は8wt%以上、20wt%以下である。
上記態様に係る伸縮性配線材において、前記樹脂は乾燥によって固化されていてもよい。
上記態様に係る伸縮性配線材において、前記金属粉における鱗片形状粉の割合が2.5wt%以上、50wt%以下であってもよい。
上記態様に係る伸縮性配線材において、前記鱗片形状粉の平均最大粒子径が3μm以上、10μm以下であってもよい。
本発明の第3態様に係る伸縮性デバイスは、上記態様に係る伸縮性配線材が用いられている。
本発明によれば、高導電性でかつ高伸縮性、さらに伸縮時の導電性の変化が小さい伸縮性配線材を提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。以下の説明において例示される材料、寸法等は、一例であって、本発明はそれらに限定されず、その要旨を変更しない範囲で適宜変更できる。
(伸縮性配線材(第1実施形態))
第1実施形態の伸縮性配線材は、樹脂と金属粉を含み、破断伸び率が130%以上であり、伸縮前の抵抗率が2×10-3[Ωmm]以下であり、金属粉が鱗片形状粉を含み、樹脂の割合は4wt%以上、20wt%以下である。
(樹脂)
第1実施形態の伸縮性配線材が含有する樹脂は特に限定されず、伸縮性を有する樹脂として公知のものを用いることができる。例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレア系樹脂、ポリウレタンウレア系樹脂、メタクリル酸系樹脂、ポリアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂ポリスチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂を例示できる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記樹脂は、溶媒であるジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)、ブチルカルビトール(BC)、エチルシアノアクリレート(ECA)、α-テルピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートから選ばれるいずれか一種以上に可溶であることが好ましい。
第1実施形態の伸縮性配線材は、用いられる樹脂と金属粉と溶媒とを含む樹脂組成物を塗布して固化させることにより形成することができる。
上記樹脂のうち、硬化反応を行うことなく、樹脂組成物の塗工及び乾燥のみで成形固化できる乾燥固化型の樹脂であることが好ましい。乾燥固化型の樹脂としてはウレタン系樹脂を例示できる。この場合、本発明に係る伸縮性配線材は乾燥固化型伸縮性配線材と称することができる。
硬化反応を行う必要がある樹脂では、硬化反応が均一に進行しない場合に配線材シート中において、組成や硬化度のばらつきを生じ、目的とする伸縮性、強度及び耐経時劣化特性を有しないものになりうるからである。
また、ウレタン系樹脂を用いる場合、樹脂成分にシロキサン結合を有していることが好ましい。この場合、樹脂組成物は適度な撥水性を有しており、ウレタン結合の加水分解が抑制されるからである。
第1実施形態の伸縮性配線材中の樹脂の割合は8wt%以上、20wt%以下である。
第1実施形態の伸縮性配線材は伸縮時における導電性の変化が小さい配線材であるが、その前提として高い伸縮性(高い破断伸び率)を確保するために樹脂の割合を8wt%以上としたものである。一方で、第1実施形態の伸縮性配線材は伸縮前及び伸縮時の導電性が高い配線材であるが、高導電性(低抵抗率)を確保するために樹脂の割合を20wt%以下としたものである。
伸縮性配線材中の樹脂の割合は10wt%以上であることが好ましい。伸縮性配線材中の樹脂の割合は18wt%以下であることが好ましい。
第1実施形態の伸縮性配線材中の樹脂にウレタン系樹脂を含む場合、樹脂中のウレタン結合の割合は、15wt%以上であることが好ましく、17wt%以上であることがより好ましい。
樹脂中のウレタン結合の割合は、例えば、C13NMR(Nuclear Magnetic Resonance)スペクトルにおいて、ウレタン結合に対応するピーク面積を計算することで算出することができる。
また、後述する、樹脂中のウレタン結合の割合が多い実施例において、破断伸び率が低い場合がある。現状ではこの理由は明らかではないが、実施例に基づくと、樹脂中のウレタン結合の割合は、30wt%以下であることが好ましく、25wt%以下であることがより好ましく、22mol%以下であることがさらに好ましい。
(金属粉)
金属粉としては特に限定されず、金属粉として公知のものを用いることができる。例えば、銀(Ag)粉、カーボン(C)、銅(Cu)粉、パラジウム(Pd)粉、金(Au)粉、白金(Pt)粉を例示できる。この中で、抵抗が低いことから、銀粉又は銀を主成分とする合金粉が好ましい。ここで、銀を主成分とする合金粉とは50wt%を超える割合が銀であることを意味し、銀が70wt%以上であることが好ましく、80wt%以上であることがより好ましく、90wt%以上であることがさらに好ましい。
金属粉としては、適宜製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
例えば、銀粉の製造方法としては、銀イオンを含有する水性反応系に還元剤含有水溶液を添加して銀粒子を還元析出させる方法などが挙げられる。また、銀粉は銀被覆銅粉のように、表面が銀であり内部が銀以外の金属からなる銀粉を用いてもよい。
金属粉は、鱗片形状粉を含む。ここで、本明細書において「鱗片形状粉」とは、最大粒子径に対して厚みが1/10以下である粉体(金属粉)を指すものとする。ここで、鱗片形状粉の最大粒子径は以下のように定めたものである。各粉末は、その平面視において方向によって端から端の長さは異なるが、それらの長さのうち最長のものを最大粒子径とする。最大粒子径は光学顕微鏡観察や走査型電子顕微鏡(SEM)観察(例えば、視野5000倍)などによって決定できる。
金属粉が鱗片形状である場合、面方向に拡がった上下面を有するために金属粉同士の接触が面接触となる割合が高くなり、高導電性(低抵抗率)につながる。
また、鱗片形状(フレーク形状)の金属粉は、適宜製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
鱗片形状の金属粉は例えば、所望の金属の薄膜を作製し、その薄膜を微粉砕することによって製造することができる。この製造方法によって、薄膜を微粉砕することにより得られるものであるから、破砕された個々の金属片も偏平なものとなっている。粒子径に対する厚み(すなわち、扁平の程度)は、薄膜の厚み及び微粉砕の程度を調整することによって調整できる。
金属粉に含まれる鱗片形状粉の割合は、2.5wt%以上であることが好ましく、5wt%以上であることがより好ましく、7.5wt%以上であることがさらに好ましい。また、金属粉に含まれる鱗片形状粉の割合は、50wt%以下であることが好ましく、40wt%以下であることがより好ましく、30wt%以下であることがさらに好ましく、25wt%以下であることがもっと好ましい。
高導電性(低抵抗率)の観点では、金属粉に含まれる鱗片形状粉の割合が高い方が好ましいが、高くなり過ぎると伸縮性が低下して破断伸び率が低くなる。伸縮性配線材の伸縮時に滑らかに伸縮するためには金属粉の移動の自由度が必要であるが、鱗片形状粉の割合が50wt%を超えると、鱗片形状という形状自体は移動に対する抵抗が大きいことに起因すると考えられる。
鱗片形状粉の平均最大粒子径は3μm以上、10μm以下であることが好ましい。
3μm以上であれば、金属粉同士の面接触の効果によって十分に高導電性(低抵抗率)が得られ、また、10μm以下であれば十分な伸縮性が低下して破断伸び率が低くなることが抑制されるからである。
(破断伸び率)
伸縮性配線材の破断伸び率は130%以上である。破断伸び率は150%以上であることが好ましく、200%以上であることがより好ましく、250%以上であることがさらに好ましく、300%以上であることがもっと好ましい。
伸縮性配線材の破断伸び率は、伸縮性配線材に含まれる樹脂の割合を増加することによって増大できるが、樹脂の割合の増加は抵抗率の増大につながる。そのため、破断伸び率は、伸縮性配線材が用いられる伸縮性デバイスに求められる破断伸び率及び抵抗率に応じて、樹脂の割合を調整して適宜調整される。
本明細書において、「破断伸び率」とは、{(破断時の長さ-引っ張る前の長さ)/引っ張る前の長さ}×100、で定義されたものである。破断伸び率は所定の方向ごとに測定できるが、本明細書において、「破断伸び率が150%以上」とは、破断伸び率が最大の方向における破断伸び率を規定するものとする。なお、破断伸び率に異方性がなければ、いずれの方向でも破断伸び率は等しくなり、また、破断伸び率の異方性が小さければ、いずれの方向でも破断伸び率は近い値となる。
(破断伸び率の測定方法)
まず、サンプルの準備方法の一例を以下に説明する。
表面が清浄なガラス板を準備する。次いで、ガラス板の上にPETフィルムを置き、上側をテープで止める。次いで、アプリケータ(例えば、YOSHIMITSU製、YA型,75mm、152μm)を準備セットする。次いで、容器に入っている伸縮性配線ペーストを空気が入らない状態でかき混ぜる。次いで、PETフィルム上に伸縮性配線ペーストを塗布する。次いで、アプリケータをスライドさせて伸縮性配線ペーストを伸ばす。次いで、伸縮性配線ペーストを伸ばした後、PETフィルムとガラス板をテープで止める。次いで、3~5分放置した後、予め90~100℃に温めておいた乾燥機に入れて1時間乾燥する。以上の工程にて、厚み30~70μm程度の伸縮性配線材のシート状サンプルを得る。なお、PETフィルムと伸縮性配線材のシート状サンプルとを合わせた厚みは150μm程度となる。
破断伸び率は以下のように測定できる。伸縮性配線材のシート状サンプルから、幅10mm、長さ30mmの帯状の測定サンプルを6つずつ切り出す。各測定サンプルについて、それぞれ以下に示す方法により、破断時の伸びを算出し、その平均値を破断時の伸びとする。測定器の上下にある掴み部に金属基板を挟み、測定箇所が幅10mm、長さ10mmとなるように、測定サンプルを金属基板に両面テープで固定する。その後、測定サンプルを、引張試験機(例えば、商品名:オートグラフAGS-5kNX、株式会社島津製作所製)を用いて引張速度10mm/minで引っ張る。そして、破断したときの測定サンプルの長さを測定し、その長さから引っ張る前の長さ10mmを差し引き、各測定サンプルの破断時の伸びを算出する。その平均値を破断時の伸びとし、上記定義に従って破断伸び率を算出する。
(伸縮前抵抗率)
伸縮性配線材の伸縮前抵抗率(通常の抵抗率)は、2×10-2[Ωmm]以下である。7×10-3[Ωmm]以下であることが好ましく、6×10-3[Ωmm]以下であることがより好ましく、4×10-3[Ωmm]以下であることがさらに好ましい。
伸縮性配線材の伸縮前抵抗率は、伸縮性配線材に含まれる金属粉の割合を増加することによって低下できるが、金属粉割合の増加に伴う樹脂割合の低下は破断伸び率の低下につながる。そのため、伸縮前抵抗率は、伸縮性配線材が用いられる伸縮性デバイスに求められる破断伸び率及び抵抗率に応じて、金属粉の割合を調整して適宜調整される。
(抵抗値、抵抗率の測定方法)
まず、上述した方法によって伸縮性配線材のシート状サンプルを準備する。
伸縮前抵抗率は以下のように測定できる。破断伸び率の測定と同様に、伸縮性配線材のシート状サンプルから、幅10mm、長さ30mmの帯状の測定サンプルを6つずつ切り出す。測定器の上下にある掴み部に金属基板を挟み、測定箇所が幅10mm、長さ10mmとなるように、測定サンプルを金属基板に両面テープで固定する。この状態で各測定サンプルの抵抗値を測定する。その平均値を伸縮前抵抗値Rとする。なお、各伸び率ごとの抵抗値は金属基板を1mmずつ移動してサンプルを伸ばしながら、その伸びのときの抵抗値をその都度測定し、6つのサンプルの平均値をその伸びのときの抵抗値Rとする。
次いで、伸縮性配線材のシート状サンプルの厚みは以下のように測定する。伸縮性配線材のシート状サンプルを円状に打ち抜く。次いで、平らな台の上にサンプルを載置し、そのサンプルの上に、円状サンプルの直径より大きな1辺の矩形のPETフィルムを載置する。矩形のPETフィルムの4隅の厚みを例えば、デジマイクロZC-101(株式会社ニコン製)によって測定し、その平均をPETフィルムの厚みとする。次に、サンプルとPETフィルムとを合わせた厚みを上下左右及び中央の5点で測定し、その平均の厚みからPETフィルムの厚みを引いてサンプルの厚みtを算出する。
次いで、上記の伸縮前抵抗値Rと、伸縮性配線材のシート状サンプルの厚みt、幅、長さとから、抵抗率ρ(=R×(断面積/長さ))を算出する。
また、各伸び率のときの抵抗率も同様に、各伸び率の抵抗値と伸縮性配線材のシート状サンプルの厚みt、幅、長さとから、抵抗率ρ(=R×(断面積/長さ))を算出する。
第1実施形態に係る伸縮性配線材において、伸縮前の抵抗率(ρ)に対する伸縮率50%での抵抗率(ρ50)の比(ρ50/ρ)が7以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましく、5以下であることがさらに好ましい。また、伸縮率50%での抵抗率(ρ50)に対する伸縮率100%での抵抗率(ρ100)の比(ρ100/ρ50)は8以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましく、6以下であることがさらに好ましく、5以下であることがもっと好ましい。
また、伸縮前の抵抗率(ρ)に対する伸縮率50%での抵抗率(ρ50)の比(ρ50/ρ)、及び、伸縮率50%での抵抗率(ρ50)に対する伸縮率100%での抵抗率(ρ100)の比(ρ100/ρ50)がいずれも7以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましく、5以下であることがさらに好ましい。
第1実施形態に係る伸縮性配線材において、伸縮前の抵抗率(ρ)に対する伸縮率50%での抵抗率(ρ50)の比(ρ50/ρ)に対する、伸縮率50%での抵抗率(ρ50)に対する伸縮率100%での抵抗率(ρ100)の比(ρ100/ρ50)の変化率は、140%以下であることが好ましく、80%以下であることがより好ましく、70%以下であることがさらに好ましく、60%以下であることがもっと好ましく、50%以下であることがさらにもっと好ましい。
第1実施形態に係る伸縮性配線材において、伸縮前の抵抗率(ρ)に対する伸縮率50%での抵抗率(ρ50)の比(ρ50/ρ)、及び、伸縮率50%での抵抗率(ρ50)に対する伸縮率100%での抵抗率(ρ100)の比(ρ100/ρ50)がいずれも7以下であり、かつ、伸縮前の抵抗率(ρ)に対する伸縮率50%での抵抗率(ρ50)の比(ρ50/ρ)に対する、伸縮率50%での抵抗率(ρ50)に対する伸縮率100%での抵抗率(ρ100)の比(ρ100/ρ50)の変化率が140%以下であることがより好ましい。
(伸縮性配線材(第2実施形態))
第2実施形態に係る伸縮性配線材は、樹脂と金属粉を含み、破断伸び率が130%以上であり、伸縮前の抵抗率(ρ)に対する伸縮率50%での抵抗率(ρ50)の比(ρ50/ρ)は7以下であり、金属粉が鱗片形状粉を含み、樹脂の割合は8wt%以上、20wt%以下である。第1実施形態に係る伸縮性配線材と共通する構成については説明を省略する。
さらに伸縮率50%での抵抗率(ρ50)に対する伸縮率100%での抵抗率(ρ100)の比(ρ100/ρ50)が8以下であることが好ましい。
また、伸縮性配線材中の樹脂の割合は10wt%以上であることが好ましい。伸縮性配線材中の樹脂の割合は18wt%以下であることが好ましい。
伸縮性配線材が伸びたときの抵抗率の変化は小さいほど好ましい。
伸縮前と伸縮率50%の抵抗率比(ρ50/ρ)は、6以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。また、伸縮率50%での抵抗率(ρ50)に対する伸縮率100%での抵抗率(ρ100)の比(ρ100/ρ50)は7以下であることがより好ましく、6以下であることがさらに好ましく、5以下であることがもっと好ましい。
第2実施形態に係る伸縮性配線材において、伸縮前の抵抗率(ρ0)に対する伸縮率50%での抵抗率(ρ50)の比(ρ50/ρ0)に対する、伸縮率50%での抵抗率(ρ50)に対する伸縮率100%での抵抗率(ρ100)の比(ρ100/ρ50)の変化率が140%以下であることが好ましい。
(伸縮性配線材(第3実施形態))
第3実施形態の伸縮性配線材は、樹脂と金属粉を含み、破断伸び率が130%以上であり、伸縮前の抵抗率(ρ)に対する伸縮率50%での抵抗率(ρ50)の比(ρ50/ρ)に対する、伸縮率50%での抵抗率(ρ50)に対する伸縮率100%でのs抵抗率(ρ100)の比(ρ100/ρ50)の変化率が140%以下であり、金属粉が鱗片形状粉を含み、樹脂の割合は8wt%以上、20wt%以下である。第1実施形態に係る伸縮性配線材と共通する構成については説明を省略する。
また、伸縮性配線材中の樹脂の割合は10wt%以上であることが好ましい。伸縮性配線材中の樹脂の割合は18wt%以下であることが好ましい。
伸縮性配線材は伸びるに従って抵抗率は低下するが、その低下の割合が小さいほど好ましい。変化率(比(ρ100/ρ50)/比(ρ50/ρ))は80%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましく、60%以下であることがさらに好ましく、50%以下であることがもっと好ましい。
(伸縮性配線材の作製方法)
第1実施形態~第3実施形態の伸縮性配線材は主な工程として、(1)伸縮性配線ペースト作製工程、(2)伸縮性配線ペースト塗布工程、(3)乾燥固化工程、を経て作製することができる。
すなわち、(1)伸縮性配線ペースト作製工程において、上記の樹脂と溶媒とを含む樹脂組成物に、金属粉を含有させて伸縮性配線ペーストを作製する。次いで、(2)伸縮性配線ペースト塗布工程において、その伸縮性配線ペーストを基材(例えば、PETフィルム)に塗布する。その後、(3)乾燥固化工程において、溶媒を除去して乾燥固化することによって伸縮性配線材を作製できる。
以下、伸縮性配線材を製造するための樹脂組成物(樹脂及び溶媒)の具体的な例を挙げつつ、伸縮性配線材の特徴を説明する。
具体的な例として、樹脂成分(本明細書においては、「樹脂成分(II)」と称することがある)を含有し、樹脂成分が、下記一般式(11)、(21)又は(31)で表される基と、ウレタン結合と、を有する樹脂組成物を挙げることができる。
Figure 2023150820000001

(式中、Z1はアルキル基であり、前記アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、シアノ基、カルボキシ基又はメトキシカルボニル基で置換されていてもよく、2個以上の前記置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。Z2はアルキル基である。Z3はアリール基である。R4は水素原子又はハロゲン原子である。符号*を付した結合は、前記一般式(11)、(21)又は(31)で表される基の結合先との間で形成される。)
この樹脂組成物が含有する樹脂成分(II)は、ウレタン結合を有しているため、柔軟性が高い。
また、樹脂成分(II)は、ウレタン結合及び重合性不飽和結合を有する樹脂と、前記一般式(11)、(21)又は(31)で表される基の由来となる、可逆的付加-開裂連鎖移動重合(Reversible Addition Fragmentation Chain Transfer Polymerization、本明細書においては、「RAFT重合」と略記することがある)を行うためのRAFT剤とを用いて、重合反応を行って得られたものである。このように重合反応を行うことによって、重合中の樹脂が架橋構造を形成する過程でゲル化することが避けられ、目的とする重合度及び架橋状態の樹脂成分が得られる。すなわち、前記一般式(11)、(21)又は(31)で表される基を有する樹脂成分(II)は、重合度及び架橋状態の点で、ばらつきが小さい。
また、樹脂成分(II)は、シロキサン結合を有していてもよく、その場合、前記樹脂組成物は適度な撥水性を有しており、樹脂成分(II)が有するウレタン結合の加水分解が抑制される。このような樹脂成分(II)は、さらに、シロキサン結合及び重合性不飽和結合を有する樹脂を用いて、重合反応を行うことで得られる。
なお、RAFT重合を行う樹脂成分(II)の製造方法については、別途詳細に説明する。
樹脂成分(II)の製造に用いる前記ウレタン結合及び重合性不飽和結合を有する樹脂は、オリゴマーであり、「樹脂(a)」と称することがある。
また、樹脂成分(II)の製造に用いる前記シロキサン結合及び重合性不飽和結合を有する樹脂は、オリゴマーであり、本実施形態においては、「樹脂(b)」と称することがある。
樹脂成分(II)は、樹脂(a)同士が、その重合性不飽和結合において重合することによって生成した重合体である。樹脂(b)を用いた場合には、樹脂成分(II)は、樹脂(a)及び樹脂(b)が、これらの重合性不飽和結合において重合することによって生成した重合体である。
樹脂(b)を用いた場合の前記樹脂成分(II)は、その1分子中に、ウレタン結合及びシロキサン結合を共に有するものが好ましい。
前記樹脂(a)は、ウレタン結合及び重合性不飽和結合を有していれば、特に限定されない。
樹脂(a)としては、例えば、ウレタン結合を有し、かつ重合性不飽和結合を有する基として、(メタ)アクリロイル基を有するもの等が挙げられ、より具体的には、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する概念である。(メタ)アクリレートと類似の用語につても同様であり、例えば、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の両方を包含する概念である。
前記樹脂(b)は、シロキサン結合及び重合性不飽和結合を有していれば、特に限定されない。
樹脂(b)としては、例えば、重合性不飽和結合を有する基として、(メタ)アクリロイル基を有する、公知の各種シリコーン樹脂等が挙げられ、より具体的には、例えば、ポリジメチルシロキサン等のポリジアルキルシロキサンの片末端又は両末端に、(メタ)アクリロイル基が結合している、変性ポリジアルキルシロキサン等が挙げられる。
樹脂成分(II)は、その組成により、溶媒への溶解性が高い。したがって、樹脂成分(II)を含有する前記樹脂組成物も、溶媒への溶解性が高い。
このような溶解性が高い樹脂組成物は、例えば、各種印刷法によって、適用対象物に対して印刷することにより、樹脂組成物層を容易に形成できる。そして、この樹脂組成物層を、硬化させずに、乾燥により固化させることで、前記配線材シートと同様の層(樹脂層、配線材シート)を製造できる。このような手法は、導電性成分を含有する前記樹脂組成物を用いて、電極又は配線を形成するのに好適である。
このような溶解性が高い樹脂組成物を用いて、伸縮性を有する配線材シートを形成し、この配線材シートを用いて構成した伸縮性デバイスは、その伸縮時に破損を抑制できるという大きな利点を有する。
通常の伸縮性デバイスが、その伸縮時に破損する要因として、材料の観点で考えられるのは、(i)熱や硬化反応に伴う収縮等が原因で生じる、空隙等の構造的欠陥及び界面剥離、(ii)組成ムラが原因で生じる硬度ムラ、(iii)光照射、酸化等が原因で生じる、材料の経時劣化等である。
したがって、空隙等の構造的欠陥及び界面剥離、組成ムラ、及び材料の経時劣化を抑制することで、伸縮性デバイスの伸縮時における破損を抑制できる。
伸縮性基材の加工としては、熱溶融による成形、熱又は光硬化反応による架橋が一般的であるが、前記(i)~(iii)の理由により、微細加工までを考慮すると、伸縮性デバイスの信頼性が低くなることが懸念される。これに対して、例えば、積層工法に対応した、樹脂組成物の塗工及び乾燥のみで成形できる樹脂があれば、良好な結果を得られることが期待される。
伸縮性配線材は、上記の具体例の樹脂組成物に金属粉を含有させて伸縮性配線ペーストを作製し、その伸縮性配線ペーストを基材に塗布し、その後、乾燥により固化させて配線材シート状の伸縮性配線材(以下、「配線材シート」ということがある。)を得られる。複数の配線材シートを積層して、伸縮性配線材を作製してもよい。
前記配線材シートは、樹脂成分(II)を主成分として含有しているため、良好な伸縮性を有する。樹脂(b)を用いた場合には、前記配線材シートは、さらに、適度な撥水性を有しているため、加水分解に起因する経時劣化が抑制される。このような特性を有する前記配線材シートは、ウエアラブルデバイス等をはじめとする各種伸縮性デバイスを構成するのに、特に好適である。
前記配線材シートは、樹脂組成物の硬化反応を行うことなく、上記のとおり、乾燥により固化させるだけで形成できる。したがって、硬化反応を行うことに伴う不具合を有しない。
例えば、光硬化反応は、紫外光が透過しないものを均一に硬化することが極めて困難である。例えば、光硬化性の配線材シートのうち、実装されたデバイス又は電子部品の周辺部に紫外光を照射した場合には、紫外光の透過性がばらつくために、硬化度が異なる部位が生じてしまい、架橋密度が低い部位では、配線材シートが破損し易い。また、非架橋部位は、酸化により劣化し易い。
一方、熱硬化反応は、硬化時の熱分布によって、配線材シートにおいて収縮差が生じ易い。このような収縮差が生じると、デバイスとシーリング材の間など、構成材料が異なるもの同士が、これらの界面において剥離し易い。また、熱分布によって、配線材シートに硬化度が異なる部位が生じてしまうと、伸縮を繰り返すことによって、劣化し易い。
さらに、光硬化反応と熱硬化反応のいずれの場合も、配線材シート中では均一に進行し難く、その場合、配線材シート中において、組成や硬化度のばらつきを生じ、硬化後の配線材シートが、目的とする伸縮性及び強度を有しないものになってしまう。そのうえ、硬化剤を含有するために、熱、光によって経時劣化を生じ易い。
これに対して、上記具体例の樹脂組成物を含む伸縮性配線ペーストを、乾燥により固化させて得られた前記配線材シートは、このような不具合を有しない。
前記配線材シートは、例えば、前記伸縮性配線ペーストを目的とする箇所に塗工し、乾燥により固化させることで、硬化反応を行うことなく製造できる。
前記伸縮性配線ペーストは、例えば、各種コーター又はワイヤーバー等を用いる公知の方法、又は、インクジェット印刷法をはじめとする各種印刷法で塗工できる。
配線材シートの製造時において、前記伸縮性配線ペーストの乾燥温度は、25~150℃であることが好ましく、25~120℃であることがより好ましい。前記乾燥温度が25℃以上であると、配線材シートをより効率的に製造できる。前記乾燥温度が150℃以下であると、乾燥温度が過剰に高温となることが抑制され、剥離シートの変形、配線材シートのダメージが起こりづらく、配線材シートの変質が抑制される。
前記配線材シートの製造時において、前記伸縮性配線ペーストの乾燥時間は、前記乾燥温度に応じて適宜設定すればよいが、10~120分であることが好ましく、30~90分であることがより好ましい。前記乾燥時間がこのような範囲であると、良好な特性の配線材シートを効率的に製造できる。
伸縮性配線ペーストの乾燥による固化(配線材シートの形成)の完了は、例えば、乾燥に供している樹脂組成物の質量に明確な変化が認められなくなったことによって、確認できる。
伸縮性配線材の厚みは特に限定するものではないが、例えば、10~5000μmのものを用いることができる。
(用途)
本発明に係る伸縮性配線材は、伸縮性デバイスにおいて配線として用いることができる。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
伸縮性配線ペーストの作製に用いた原料を以下に示す。
・樹脂(a)
(a)-1:ウレタンアクリレートオリゴマー(製品名:UN-5500、根上工業社製)
・樹脂(b)
(b)-1:片末端がメタクリロイル基で修飾されたメタクリレート変性ポリジメチルシロキサン(製品名:サイラプレーン(登録商標)FM-0721、JNC社製)
・重合開始剤(c)
(c)-1:ジメチル 2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、アゾ重合開始剤(製品名:V601、富士フイルム和光純薬社製)
・RAFT剤
(1)-1:下記式(1)-1で表されるRAFT剤(富士フイルム和光純薬社製)
(3)-1:下記式(3)-1で表されるRAFT剤(富士フイルム和光純薬社製)
・他の重合性成分
MMA:メタクリル酸メチル
・溶媒
BCA:ブチルカルビトールアセテート
・金属粉
銀粉(鱗片形状粉の割合:12.5[wt%]、平均最大粒子径:3μm)
Figure 2023150820000002
[実施例1]
樹脂(a)-1と、重合開始剤(c)-1と、RAFT剤(1)-1と、銀粉と、BCAとをフラスコ内に秤量し、常温下で撹拌機を用いてこれらを混合することにより、伸縮性配線ペーストを得た。
樹脂(a):100質量部を基準として、得られる伸縮性配線材の樹脂中のウレタン結合の割合が20wt%になるように、樹脂(b)、重合開始剤(c)、及び、RAFT剤の配合量を決定した。また、得られる伸縮性配線材の樹脂の割合が5wt%になるように銀粉の配合量を決定した。すなわち、樹脂と銀粉の割合が8wt%:92wt%となるように銀粉の配合量を決定した。
次いで、上述した方法にて、伸縮性配線材のシート状サンプルを作製し、破断伸び率、伸縮前抵抗率(ρ)、伸縮率50%での抵抗率(ρ50)、伸縮率100%での抵抗率(ρ100)を測定した。表1に得られた結果を示す。
Figure 2023150820000003
(実施例2~5、比較例1、2)
実施例2~5、及び、比較例1、2はそれぞれ、得られる伸縮性配線材の樹脂の割合が10wt%、15wt%、18wt%、20wt%、6wt%、22wt%になるように銀粉の配合量を調整した以外は、実施例1と同様にして伸縮性配線材のシート状サンプルを作製した。得られたサンプルについて同様の特性を測定した。その結果を表1に示す。
(実施例6~9、比較例3~5)
実施例6~9、比較例3~5はいずれも、得られる伸縮性配線材の樹脂の割合が15wt%になると共に、それぞれ、得られる伸縮性配線材の樹脂中のウレタン結合の割合が17.5wt%、20wt%、22wt%、25wt%、30wt%、0wt%、10w%、15wt%になるように、配合量を調整した以外は、実施例1と同様にして伸縮性配線材のシート状サンプルを作製した。得られたサンプルについて同様の特性を測定した。その結果を表1に示す。
(比較例6、7)
比較例6、7は、伸縮性配線ペーストを塗布後、乾燥固化ではなく、硬化反応させたものである。比較例6は、銀粉が鱗片形状のものを含まない以外は比較例5と同様にして、伸縮性配線ペーストを得た。比較例7は、実施例9と同じ伸縮性配線ペーストを用いた。得られたサンプルについて同様の特性を測定した。その結果を表1に示す。
(実施例10~16)
実施例10~16はいずれ、得られる伸縮性配線材の樹脂の割合が15wt%になると共に、得られる伸縮性配線材の樹脂中のウレタン結合の割合が20mol%であり、それぞれ、銀粉中の鱗片形状粉の割合が2.5wt%、7.5wt%、12.5wt%、30wt%、40wt%、50wt%の銀粉を用いた以外は、実施例1と同様にして伸縮性配線材のシート状サンプルを作製した。
得られたサンプルについて同様の特性を測定した。その結果を表1に示す。
表1の結果から得られる知見を示す。表1中に値が入っていないものは測定不能であったか、又は、測定を実施しなかったものである。
まず、実施例1~6及び比較例1、2を対比する。樹脂中のウレタン結合の割合及び鱗片形状粉の割合を表1に示した割合に固定した場合、以下の知見が得られた。
配線材中の樹脂の割合が8wt%(樹脂:銀粉=8:92)以上のときに破断伸び率が130%以上となり、樹脂の割合が高いほど破断伸び率は高い値が得られた。一方、樹脂の割合が20wt%以上のときには伸縮前抵抗率が1×10-2[Ωcm]以上となった。より高い破断伸び率(150%以上)とより低い伸縮前抵抗率(5×10-3[Ωcm]以下)を両立する観点では、配線材中の樹脂の割合は10wt%以上、18wt%以下であることが好ましい。
また、樹脂の割合が20wt%(樹脂:銀粉=20:80)のとき(実施例5)では、伸縮前抵抗率は1.53×10-2[Ωcm]とやや高めであったが、高い破断伸び率を反映して、伸縮前の抵抗率(ρ)に対する伸縮率50%での抵抗率(ρ50)の比(ρ50/ρ)は1.7と低い変化率であり、また、伸縮率50%での抵抗率(ρ50)に対する伸縮率100%での抵抗率(ρ100)の比(ρ100/ρ50)は4.0と十分に低い変化率であった。高い破断伸び率(150%以上)と、低い比(ρ50/ρ)及び比(ρ100/ρ50)を両立する観点では、配線材中の樹脂の割合は10wt%以上、20wt%以下であることが好ましい。
また、高い破断伸び率(150%以上)と、低い比(ρ50/ρ)に対する比(ρ100/ρ50)の変化率を両立する観点では、配線材中の樹脂の割合は10wt%以上、15wt%以下であることが好ましい。
さらに、高い破断伸び率(150%以上)、低い伸縮前抵抗率、低い比(ρ50/ρ)及び比(ρ100/ρ50)、及び、低い比(ρ50/ρ)に対する比(ρ100/ρ50)の変化率をすべて満たす観点では、配線材中の樹脂の割合は10wt%以上、15wt%以下であることが好ましい。
次に、実施例3、6~9及び比較例3、4を対比する。配線材中の樹脂の割合及び鱗片形状粉の割合を表1に示した割合に固定した場合、以下の知見が得られた。
樹脂中のウレタン結合の割合が15wt%以下の場合、破断伸び率は40%以下であった。一方、ウレタン結合の割合が25wt%のとき(実施例8)では破断伸び率は245.5%であったが、30wt%になると(実施例9)、破断伸び率は130.4%となった。高い破断伸び率(150%以上)の観点では、樹脂中のウレタン結合の割合は17.5wt%以上、25wt%以下であることが好ましい。また、より高い破断伸び率(150%以上)とより低い伸縮前抵抗率(7×10-3[Ωcm]以下)を両立する観点では、樹脂中のウレタン結合の割合は20wt%以上、25wt%以下であることが好ましい。
また、高い破断伸び率(150%以上)と、低い比(ρ50/ρ)及び比(ρ100/ρ50)を両立する観点では、樹脂中のウレタン結合の割合は17.5wt%以上、25wt%以下であることが好ましい。
また、高い破断伸び率(150%以上)と、低い比(ρ50/ρ)に対する比(ρ100/ρ50)の変化率を両立する観点では、樹脂中のウレタン結合の割合は17.5wt%以上、22wt%以下であることが好ましい。
さらに、高い破断伸び率(150%以上)、低い伸縮前抵抗率、低い比(ρ50/ρ)及び比(ρ100/ρ50)、及び、低い比(ρ50/ρ)に対する比(ρ100/ρ50)の変化率をすべて満たす観点では、樹脂中のウレタン結合の割合は17.5wt%以上、22wt%以下であることが好ましい。
比較例6、7は、伸縮性配線ペーストを塗布後、乾燥固化ではなく、硬化反応させたものであるが、銀粉が鱗片形状のものを含まない比較例6では、伸縮前抵抗率が5×10-1[Ωcm]程度とかなり高く、また、伸縮性配線ペーストの組成自体は実施例9と同じ比較例7で破断伸び率が10%以下であり、ストレッチャブルデバイスへの適用には適していないことがわかった。
次に、実施例3、10~14を対比する。配線材中の樹脂の割合及び樹脂中のウレタン結合の割合を表1に示した割合に固定した場合、以下の知見が得られた。
銀粉中の鱗片形状粉の割合が40wt%、50wt%になると、破断伸び率にマイナスの影響が出て、徐々に破断伸び率が低くなった。さらに40wt%の場合(実施例13)、比(ρ50/ρ)に対する比(ρ100/ρ50)の変化率は130%以上に大きくなり、また、50wt%の場合(実施例14)、比(ρ50/ρ)が51倍となっている。
観点では、銀粉中の鱗片形状粉の割合は2.5wt%以上、50wt%以下の範囲で、より高い破断伸び率(150%以上)とより低い伸縮前抵抗率(7×10-3[Ωcm]以下)を両立できている。
高い破断伸び率(150%以上)と、低い比(ρ50/ρ)及び比(ρ100/ρ50)を両立する観点では、銀粉中の鱗片形状粉の割合は2.5wt%以上、40wt%以下であることが好ましい。
また、高い破断伸び率(150%以上)と、低い比(ρ50/ρ)に対する比(ρ100/ρ50)の変化率を両立する観点では、銀粉中の鱗片形状粉の割合は2.5wt%以上、12.5wt%以下であることが好ましい。
さらに、高い破断伸び率(150%以上)、低い伸縮前抵抗率、低い比(ρ50/ρ)及び比(ρ100/ρ50)、及び、低い比(ρ50/ρ)に対する比(ρ100/ρ50)の変化率をすべて満たす観点では、銀粉中の鱗片形状粉の割合は2.5wt%以上、12.5wt%以下であることが好ましい。
樹脂にウレタン結合を含むことによって高い柔軟性が得られる。また、樹脂にウレタン結合またはシロキサン結合のいずれかを含む場合に、銀粉の分散、凝集の改善効果を通して高伸縮性及び低抵抗性の両立が図られる。さらにウレタン結合及びシロキサン結合の両方含む場合、より高い改善効果が得られる。

Claims (8)

  1. 樹脂と金属粉を含み、
    破断伸び率が130%以上であり、
    伸縮前の抵抗率(ρ)が2×10-2[Ωmm]以下であり、
    前記金属粉が鱗片形状粉を含み、
    前記樹脂の割合は8wt%以上、20wt%以下である、伸縮性配線材。
  2. 樹脂と金属粉を含み、
    破断伸び率が130%以上であり、
    伸縮前の抵抗率(ρ)に対する伸縮率50%での抵抗率(ρ50)の比(ρ50/ρ)は7以下であり、
    前記金属粉が鱗片形状粉を含み、
    前記樹脂の割合は8wt%以上、20wt%以下である、伸縮性配線材。
  3. 伸縮率50%での抵抗率(ρ50)に対する伸縮率100%での抵抗率(ρ100)の比(ρ100/ρ50)が8以下である、請求項2に記載の伸縮性配線材。
  4. 樹脂と金属粉を含み、
    破断伸び率が130%以上であり、
    伸縮前の抵抗率(ρ)に対する伸縮率50%での抵抗率(ρ50)の比(ρ50/ρ)に対する、伸縮率50%での抵抗率(ρ50)に対する伸縮率100%での抵抗率(ρ100)の比(ρ100/ρ50)の変化率が140%以下であり、
    前記金属粉が鱗片形状粉を含み、
    前記樹脂の割合は8wt%以上、20wt%以下である、伸縮性配線材。
  5. 前記樹脂は乾燥によって固化されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の伸縮性配線材。
  6. 前記金属粉における鱗片形状粉の割合が2.5wt%以上、50wt%以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の伸縮性配線材。
  7. 前記鱗片形状粉の平均最大粒子径が3μm以上、10μm以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の伸縮性配線材。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の伸縮性配線材が用いられている、伸縮性デバイス。

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