JP6940357B2 - 伸縮性膜及びその形成方法、並びに伸縮性配線膜及びその製造方法 - Google Patents

伸縮性膜及びその形成方法、並びに伸縮性配線膜及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、伸縮性と強度と撥水性を兼ね備えた伸縮性膜及びその形成方法、並びに伸縮性膜で導電性配線の両面が被覆された伸縮性配線膜及びその製造方法に関する。
近年、IoT(Internet of Things)の普及とともにウェアラブルデバイスの開発が進んでいる。インターネットに接続できる時計や眼鏡がその代表例である。また、医療分野やスポーツ分野においても、体の状態を常時モニタリングできるウェアラブルデバイスが必要とされており、今後の成長分野である。
ウェアラブルデバイスとしては、体に貼り付けて常時体の状態をモニタリングする形態が示される。このようなウェアラブルデバイスは、通常、体からの電気信号を検知するための生体電極、電気信号をセンサーに送るための配線、センサーとなる半導体チップと電池からなる。また、通常、肌に粘着するための粘着パッドも必要である。生体電極及びこの周りの配線や粘着パッドの構造については、特許文献1に詳細に記載されている。特許文献1に記載のウェアラブルデバイスは、生体電極の周りにシリコーン系粘着膜が配置され、生体電極とセンサーデバイスの間は伸縮性のウレタン膜で被覆された蛇腹の形の伸縮可能な銀配線で結ばれている。
ウレタン膜は伸縮性と強度が高く、伸縮配線の被覆膜として優れた機械特性を有している。しかしながら、ウレタン膜には加水分解性があるため、加水分解によって伸縮性と強度が低下するという欠点がある。一方で、シリコーン膜には加水分解性がないものの、強度が低いという欠点がある。
そこで、ウレタン結合とシロキサン結合の両方を分子内に有するシリコーンウレタンポリマーが検討されている。このポリマーの硬化物は、シリコーン単独よりは高強度で、ポリウレタン単独よりは低加水分解性である。しかしながら、このポリマーの硬化物では、ポリウレタン単独の強度、シリコーン単独の撥水性には及ばず、シリコーンとポリウレタンの中間の強度と撥水性しか得られない。
また、一方で、ポリウレタンとシリコーンとをブレンドした材料が検討されている。例えば、特許文献2や特許文献3には、反応性がないシリコーンと、架橋性のポリウレタンとをブレンドした材料が記載されている。このような材料で膜を形成すると、硬化後のポリウレタンの膜表面にシリコーンが浮いてきて(ブリードアウト)、膜表面の撥水性が向上する。しかし、このような膜では、シリコーンが架橋していないため、膜表面のシリコーンが剥がれ落ち、撥水性が低下しやすいという問題がある。
また、特許文献4には、架橋性のウレタンアクリレートと、シリコーンアクリレートとをブレンドした材料が記載されている。この材料では、シリコーンアクリレートのブレンドによって耐熱性を上げ、ウレタンアクリレートによって高強度で接着性のある硬化物を形成することができる。ただし、この材料では、溶剤を配合していない。さらに、特許文献5には、架橋性のウレタンアクリレートと、シリコーンウレタンアクリレートと、エタノールやメタノール等の低沸点の溶剤とをブレンドした材料が記載されている。ただし、この材料は、ウレタンアクリレートの割合に対してシリコーンウレタンアクリレートの割合が高いものである。また、特許文献6にも、架橋性のウレタンアクリレートと、シリコーンウレタンアクリレートとをブレンドした材料が記載されている。ただし、この材料では、溶剤を配合していない。
このように、これまでにも、架橋性のウレタンアクリレートと、シリコーン(ウレタン)アクリレートとをブレンドした材料は検討されていたが、これらの材料から得られる硬化物では、ウレタンアクリレートとシリコーン(ウレタン)アクリレートが均一に分散した状態で硬化しているため、シリコーンとポリウレタンの中間の強度と撥水性しか得られない。
また、特許文献7には、架橋性のウレタンアクリレートと、シリコーンウレタンアクリレートと、架橋性の溶剤とをブレンドした材料が記載されている。しかし、これらの材料を硬化させる際には、ウレタンアクリレートと、シリコーンウレタンアクリレートが架橋するときに重合性二重結合を有する架橋性の溶剤も同時に架橋してしまうために、ウレタンアクリレートとシリコーンウレタンアクリレートが均一に分散した状態で硬化する。従って、硬化物は、シリコーンとポリウレタンの中間の強度と撥水性しか得られない。また、架橋性の溶剤として使用されている2−エチルヘキシルアクリレートは、沸点が200℃を超えるものであり、蒸発速度が遅いという問題もある。
特開2004−033468号公報 特開2011−194757号公報 特開2013−139534号公報 特開2005−320418号公報 特許第3865622号公報 特許第5495799号公報 特開平5−278166号公報
このような背景から、ポリウレタンと同程度の優れた伸縮性と強度を有し、かつ膜表面はシリコーンと同程度の優れた撥水性を有する伸縮性膜及びその形成方法の開発が望まれている。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、優れた伸縮性と強度を有し、かつ膜表面の撥水性にも優れた伸縮性膜及びその形成方法を提供することを目的とする。また、このような伸縮性膜を用いた伸縮性配線膜及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、伸縮性膜であって、(A)シルセスキオキサンを有する(メタ)アクリレート化合物、(B)ウレタン結合を有する前記(A)成分以外の(メタ)アクリレート化合物、及び(C)大気圧での沸点が115〜200℃の範囲の有機溶剤を含有する組成物の硬化物であり、前記(A)成分が膜の表面側に偏在する伸縮性膜を提供する。
このようなものであれば、優れた伸縮性と強度を有し、かつ膜表面の撥水性にも優れた伸縮性膜となる。
このとき、前記(A)成分の割合が、前記(C)成分を除いた組成物中の固形分の総量に対して0.1〜35質量%の範囲であることが好ましい。
(A)成分がこのような割合であれば、伸縮性膜の表面側に偏在する(A)成分が十分な量となるため、伸縮性膜の表面の撥水性がさらに良好なものとなる。また、(A)成分の量が適量であり、(B)成分の割合が低くなりすぎないため、伸縮性膜の強度がより良好なものとなるだけでなく、(A)成分の凝集物が発生して斑模様の層分離構造となる恐れがない。
またこのとき、前記(A)成分が、下記一般式(1)で示される化合物であることが好ましい。
Figure 0006940357
(式中、Rは水素原子又はメチル基である。Rは単結合、あるいは下記一般式(2)で示される連結基である。Rは同一又は異種の水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、もしくは環状の炭化水素基、又はフッ素化されたアルキル基であり、エーテル基、ラクトン基、エステル基、ヒドロキシ基、又はシアノ基を含んでいてもよい。Xはエステル基又は−C(=O)−O−R−である。Rは炭素数1〜14の直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基、炭素数2〜14の直鎖状、分岐状、環状のアルケニレン基又はアルキニレン基、炭素数6〜10のアリーレン基であり、エーテル基、エステル基を有していてもよい。mは4〜40の整数であり、m’は0又は1であり、m’’は0〜8の整数である。また、(R−SiO3/2単位における一部のシロキサン結合は分断してシラノール基を形成していてもよい。)
Figure 0006940357
(式中、R、Rは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、Rは単結合、酸素原子、又は炭素数1〜4のアルキレン基である。nは1〜40の整数である。)
このような(A)成分であれば、伸縮性膜の表面の撥水性と表面の硬さがさらに良好なものとなる。
またこのとき、前記(B)成分が、下記一般式(3)で示される化合物であることが好ましい。
Figure 0006940357
(式中、R23は水素原子又はメチル基である。R20、R22は単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、又は炭素数2〜20のアルケニレン基であり、エーテル基、エステル基、アリール基、及びアリーレン基から選ばれる1種以上を有していてもよい。R21は単結合又は炭素数1〜15の二価炭化水素基である。Zは単結合、又はエーテル基、エステル基、及びカーボネート基から選ばれる1種以上を有していてもよい炭素数1〜12の二価炭化水素基である。Y、Yはどちらか一方が酸素原子でもう一方がNH基である。eは1〜100の整数、fは0〜200の整数、gは0〜200の整数である。)
このような(B)成分であれば、伸縮性膜の伸縮性及び強度がさらに良好なものとなる。
またこのとき、前記(C)成分が、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートから選ばれる1種以上であることが好ましい。
このような(C)成分は、上記のような範囲の沸点を有するものであるため、本発明の伸縮性膜に特に好適である。
またこのとき、前記伸縮性膜は、JIS K 6251に規定される伸縮率が40〜600%のものであることが好ましい。
このような伸縮率であれば、伸縮配線の被覆膜として特に好適に用いることができる。
またこのとき、前記伸縮性膜が、伸縮性を有する導電性配線を覆う膜として用いられるものであることが好ましい。
本発明の伸縮性膜は、特にこのような用途に好適に用いることができる。
また、本発明では、伸縮性膜を形成する方法であって、(A)シルセスキオキサンを有する(メタ)アクリレート化合物、(B)ウレタン結合を有する前記(A)成分以外の(メタ)アクリレート化合物、及び(C)大気圧での沸点が115〜200℃の範囲の有機溶剤を含有する組成物を基板上に塗布し、加熱によって前記(C)成分を蒸発させるとともに、前記(A)成分を膜の表面側に偏在させ、その後、熱又は光照射によって前記(A)成分及び前記(B)成分を硬化させる伸縮性膜の形成方法を提供する。
このような方法であれば、優れた伸縮性と強度を有し、かつ膜表面の撥水性にも優れた伸縮性膜を容易に形成することができる。
このとき、前記(A)成分の割合を、前記(C)成分を除いた組成物中の固形分の総量に対して0.1〜35質量%の範囲とすることが好ましい。
(A)成分をこのような割合とすれば、伸縮性膜の表面側に偏在する(A)成分を十分な量とすることができるため、伸縮性膜の表面の撥水性をさらに良好なものとすることができる。また、(A)成分の量が適量であり、(B)成分の割合が低くなりすぎないため、伸縮性膜の強度をより良好なものとすることができるだけでなく、(A)成分の凝集物が発生して斑模様の層分離構造となる恐れがない。
またこのとき、前記(A)成分として、下記一般式(1)で示される化合物を用いることが好ましい。
Figure 0006940357
(式中、Rは水素原子又はメチル基である。Rは単結合、あるいは下記一般式(2)で示される連結基である。Rは同一又は異種の水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、もしくは環状の炭化水素基、又はフッ素化されたアルキル基であり、エーテル基、ラクトン基、エステル基、ヒドロキシ基、又はシアノ基を含んでいてもよい。Xはエステル基又は−C(=O)−O−R−である。Rは炭素数1〜14の直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基、炭素数2〜14の直鎖状、分岐状、環状のアルケニレン基又はアルキニレン基、炭素数6〜10のアリーレン基であり、エーテル基、エステル基を有していてもよい。mは4〜40の整数であり、m’は0又は1であり、m’’は0〜8の整数である。また、(R−SiO3/2単位における一部のシロキサン結合は分断してシラノール基を形成していてもよい。)
Figure 0006940357
(式中、R、Rは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、Rは単結合、酸素原子、又は炭素数1〜4のアルキレン基である。nは1〜40の整数である。)
このような(A)成分を用いれば、表面の撥水性と表面の硬さがさらに良好な伸縮性膜を形成することができる。
またこのとき、前記(B)成分として、下記一般式(3)で示される化合物を用いることが好ましい。
Figure 0006940357
(式中、R23は水素原子又はメチル基である。R20、R22は単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、又は炭素数2〜20のアルケニレン基であり、エーテル基、エステル基、アリール基、及びアリーレン基から選ばれる1種以上を有していてもよい。R21は単結合又は炭素数1〜15の二価炭化水素基である。Zは単結合、又はエーテル基、エステル基、及びカーボネート基から選ばれる1種以上を有していてもよい炭素数1〜12の二価炭化水素基である。Y、Yはどちらか一方が酸素原子でもう一方がNH基である。eは1〜100の整数、fは0〜200の整数、gは0〜200の整数である。)
このような(B)成分を用いれば、伸縮性及び強度がさらに良好な伸縮性膜を得ることができる。
またこのとき、前記(C)成分として、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートから選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
このような(C)成分は、上記のような範囲の沸点を有するものであるため、本発明の伸縮性膜の形成方法に特に好適である。
また、本発明では、伸縮性を有する導電性配線の両面が、上記の伸縮性膜で被覆されたものであり、前記伸縮性膜の(A)成分が偏在した表面が外側、前記導電性配線が内側に配置された伸縮性配線膜を提供する。
このような本発明の伸縮性配線膜であれば、伸縮性及び強度に優れるだけでなく、表面の撥水性にも優れたものとなる。従って、本発明の伸縮性配線膜であれば、ウェアラブルデバイスにおいて、生体電極とセンサーを接続する配線部として特に好適に用いることができる。
また、本発明では、上記の伸縮性配線膜の製造方法であって、前記伸縮性を有する導電性配線を基板上に置き、この上に前記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含有する組成物を塗布し、加熱によって前記(C)成分を蒸発させるとともに、前記(A)成分を膜の表面側に偏在させ、その後、熱又は光照射によって前記(A)成分及び前記(B)成分を硬化させて、伸縮性膜を形成することで、前記導電性配線の片面が被覆された配線被覆基板を製造し、該配線被覆基板の前記基板から前記片面が被覆された導電性配線を一旦剥がし、被覆した面を下にして前記基板上に置き、この上に前記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含有する組成物を塗布し、加熱によって前記(C)成分を蒸発させるとともに、前記(A)成分を膜の表面側に偏在させ、熱又は光照射によって前記(A)成分及び前記(B)成分を硬化させて、前記導電性配線の両面が被覆された伸縮性配線膜を製造する伸縮性配線膜の製造方法を提供する。
このような製造方法であれば、導電性配線の両面を上記の本発明の伸縮性膜で被覆するため、伸縮性及び強度に優れるだけでなく、表面の撥水性にも優れた伸縮性配線膜を容易に製造することができる。
本発明の伸縮性膜であれば、ポリウレタンと同程度の優れた伸縮性と強度を有し、かつ膜表面は直鎖状のシリコーンと同程度かそれ以上の優れた撥水性を有し、かつ直鎖状のシリコーンでは生み出すことができなかった表面硬度が高い伸縮性膜となる。また、膜表面に偏在する(A)シルセスキオキサンを有する(メタ)アクリレート化合物が架橋しているため、非架橋性のシリコーンを表面にブリードアウトさせたものとは異なり、膜表面のシリコーンが剥がれ落ちて撥水性が低下する恐れがない。3官能シリコーンのシルセスキオキサンは、2官能の直鎖状のシロキサンに比べて硬度が極めて高いため、シルセスキオキサンが表面に偏在することによって、膜表面の硬度や強度を向上させることができる。また、本発明の伸縮性膜の形成方法であれば、ポリウレタンと同程度の優れた伸縮性と強度を有し、かつ膜表面はシリコーンと同程度の優れた撥水性を有し、かつ直鎖状のシリコーンでは生み出すことができなかった表面硬度が高い伸縮性膜を容易に形成することができる。また、このような伸縮性膜で導電性配線の両面を被覆した本発明の伸縮性配線膜であれば、伸縮性及び強度に優れるだけでなく、表面の撥水性にも優れたものとなる。従って、本発明の伸縮性配線膜であれば、ウェアラブルデバイスにおいて、生体電極とセンサーを接続する配線部として特に好適に用いることができる。また、本発明の製造方法であれば、このような伸縮性膜を用いて、配線被覆基板及び伸縮性配線膜を容易に製造することができる。
本発明の伸縮性膜の一例を示す概略図である。なお、(a)は基板上に形成された伸縮性膜、(b)は基板から剥がした(独立した)伸縮性膜を示す。 本発明の伸縮性膜の形成方法の一例を示すフロー図である。 本発明の伸縮性配線膜の製造方法の一例における配線被覆基板を製造するまでを示すフロー図である。 本発明の伸縮性配線膜の製造方法の一例における配線被覆基板から伸縮性配線膜を製造するまでを示すフロー図である。 本発明の伸縮性配線膜の製造方法の別の一例を示すフロー図である。 本発明の伸縮性配線膜の製造方法のさらに別の一例を示すフロー図である。
上述のように、ポリウレタンは十分な伸縮性と強度を有するが、撥水性が低く、加水分解によって強度と伸縮性が低下するという欠点があり、シリコーンは撥水性が高いが強度が低いという欠点があった。また、ウレタン結合とシロキサン結合の両方を有するシリコーンウレタンポリマーの硬化物では、強度や撥水性がポリウレタンとシリコーンの中間であり、ポリウレタン単独の強度、シリコーン単独の撥水性には及ばないという問題があった。さらに、ポリウレタンとシリコーンをブレンドしてシリコーンを表面に偏在させた膜を形成させても、膜表面の強度は弱いという欠点があった。このような背景から、ポリウレタンと同程度の優れた伸縮性と強度を有し、膜表面の強度も十分に高く、かつシリコーンと同程度かそれ以上の優れた撥水性と表面硬度を有する伸縮性膜及びその形成方法の開発が求められていた。
そこで、本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、撥水性と硬度が高いシルセスキオキサンを有する(メタ)アクリレート化合物と、伸縮性及び強度に優れたウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物の両方を含み、撥水性と強度に優れたシルセスキオキサンを有する(メタ)アクリレート化合物が膜の表面側に偏在する伸縮性膜であれば、ポリウレタンと同程度の優れた伸縮性と強度を有し、かつ膜表面がシリコーン同等又はそれ以上の優れた撥水性と直鎖状のシリコーンでは得ることができない高い硬度とを有する伸縮性膜となるため、ウェアラブルデバイスにおける伸縮配線の被覆膜として特に好適なものとなることを見出し、本発明を完成させた。
ここで、本発明者らは、重合性二重結合を有するシルセスキオキサン樹脂と、ウレタンアクリレート樹脂と、大気圧での沸点が115〜200℃の範囲の有機溶剤とを含有する組成物を基板上に塗布し、加熱によって上記有機溶剤を蒸発させるとともに、上記重合性二重結合を有するシルセスキオキサン樹脂を膜の表面側に偏在させ、その後、熱又は光照射によって上記重合性二重結合を有するシルセスキオキサン樹脂及び上記ウレタンアクリレート樹脂を硬化させて形成した膜が、ウレタンアクリレートと同等の伸縮性と強度を有し、高い撥水性を有し、伸縮性の生体電極被覆用膜として有効であることを知見した。
即ち、本発明は、伸縮性膜であって、(A)シルセスキオキサンを有する(メタ)アクリレート化合物、(B)ウレタン結合を有する前記(A)成分以外の(メタ)アクリレート化合物、及び(C)大気圧での沸点が115〜200℃の範囲の有機溶剤を含有する組成物の硬化物であり、前記(A)成分が膜の表面側に偏在する伸縮性膜である。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<伸縮性膜>
本発明の伸縮性膜は、(A)シルセスキオキサンを有する(メタ)アクリレート化合物、(B)ウレタン結合を有する(A)成分以外の(メタ)アクリレート化合物、及び(C)大気圧での沸点が115〜200℃の範囲の有機溶剤を含有する組成物の硬化物である。以下、本発明の伸縮性膜を形成するための組成物に含まれる各成分について、さらに詳細に説明する。
[(A)シルセスキオキサンを有する(メタ)アクリレート化合物]
本発明の伸縮性膜を形成するための組成物には、(A)成分として、シルセスキオキサンを有する(メタ)アクリレート化合物が含まれる。ここで、シルセスキオキサンを有する(メタ)アクリレート化合物とは、シルセスキオキサンを有するメタクリレート化合物又はシルセスキオキサンを有するアクリレート化合物を示す。また、シルセスキオキサンを有する(メタ)アクリレート化合物は、3官能のシロキサン結合を有する(メタ)アクリレート化合物を指す。
シルセスキオキサンを有する(メタ)アクリレート化合物としては、具体的には、シルセスキオキサンPOSS(登録商標)(Polyhedral Oligomeric SilSesquioxanes)を有する(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
(A)成分としては、下記一般式(1)で示される化合物が好ましい。このような(A)成分であれば、伸縮性膜の表面の撥水性と表面の硬さがさらに良好なものとなる。
Figure 0006940357
(式中、Rは水素原子又はメチル基である。Rは単結合、あるいは下記一般式(2)で示される連結基である。Rは同一又は異種の水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、もしくは環状の炭化水素基、又はフッ素化されたアルキル基であり、エーテル基、ラクトン基、エステル基、ヒドロキシ基、又はシアノ基を含んでいてもよい。Xはエステル基又は−C(=O)−O−R−である。Rは炭素数1〜14の直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基、炭素数2〜14の直鎖状、分岐状、環状のアルケニレン基又はアルキニレン基、炭素数6〜10のアリーレン基であり、エーテル基、エステル基を有していてもよい。mは4〜40の整数であり、m’は0又は1であり、m’’は0〜8の整数である。また、(R−SiO3/2単位における一部のシロキサン結合は分断してシラノール基を形成していてもよい。)
Figure 0006940357
(式中、R、Rは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、Rは単結合、酸素原子、又は炭素数1〜4のアルキレン基である。nは1〜40の整数である。)
としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、フェニル基、ナフチル基、ビニル基、アリル基、エチニル基等が特に好ましい。
、Rとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基が特に好ましい。
上記一般式(1)中のXの種類を変えた化合物としては、具体的には下記のものを例示することができる。
Figure 0006940357
Figure 0006940357
(式中、R、R、R、m、及びm’は上記と同様である。)
上記一般式(1)に示される化合物のうち、3次元かご状構造のシルセスキオキサンを有するシルセスキオキサンペンダント(メタ)アクリレート(POSSMA)の合成方法としては、様々な方法が挙げられるが、代表的な合成方法としてはMacromolecules 1995, 28, p8435に示すように、POSSトリシラノールとメタクリルペンダントトリクロロシランのカップリング反応が挙げられる。
POSSトリシラノールの合成方法としては、J. Am. Chem. Soc. 1989, 111, p1741に示されるように、シクロヘキシルトリクロロシランのアセトン水溶液中の縮合反応による合成方法が報告されている。この方法では、シラノールが少ない不純物を濾過で取り除きながら、ほぼ100%の純度のPOSSトリシラノールを得ることができる。しかしながら、濾過を繰り返しながら純度を高めるには数年の時間を要し、非常に量産性に乏しい欠点がある。
そこで縮合速度を上げるために、触媒を添加することができる。添加する触媒としては、具体的には酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、サリチル酸、安息香酸、ギ酸、マロン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、塩酸、硫酸、硝酸、スルホン酸、メチルスルホン酸、トシル酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の酸、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、コリンヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等の塩基、テトラアルコキシチタン、トリアルコキシモノ(アセチルアセトナート)チタン、テトラアルコキシジルコニウム、トリアルコキシモノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム等の金属キレート化合物を挙げることができる。また、室温から100℃の範囲で温度を上げて縮合速度を上げることもできる。
ここで、縮合を行う原料は、下記一般式(4)で示すことができる。
Figure 0006940357
は前記と同様であり、X、X、及びXはそれぞれ独立にハロゲン原子、ヒドロキシ基、又は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基もしくはアシロキシ基である。
J. Am. Chem. Soc. 1989, 111, p1741によると、上記一般式(4)で示されるシラン化合物(特に、シクロヘキシルトリクロロシラン)の縮合では、下記式(5−a)、(5−b)、(5−c)で示される化合物が生成するため、濾過によって下記式(5−b)で示される化合物と下記式(5−c)で示される化合物を取り除くことにより、下記式(5−a)で示される化合物の純度を高めている。
Figure 0006940357
(式中、Rは上記と同様である。)
次に、上記式(5−a)で示される化合物と下記式(6)で示されるシラン化合物とのカップリングによって、下記式(7−1)で示される化合物を得る。
Figure 0006940357
(式中、R、R、X、X、X、及びXは上記と同様である。)
上記一般式(1)で示される化合物を得るための他の合成方法としては、上記一般式(4)で示されるシラン化合物と上記式(6)で示されるシラン化合物を混合させて共縮合反応を行う方法が挙げられる。このように、3官能性シラン化合物を縮合させることによって上記一般式(1)で示される化合物を得ることができる。
また、上記一般式(1)で示される化合物としては、上記式(7−1)で示されるもの以外には下記に示す式(7−2)〜(7−8)で示されるものを挙げることができる。
Figure 0006940357
Figure 0006940357
Figure 0006940357
(式中、R、R、R、R、及びXは上記と同様である。)
(A)成分がかご型シルセスキオキサンを有する化合物である場合、かご型シルセスキオキサンの部分は必ずしも完全な立方体構造でなくてもよく、一部のシロキサン結合が切断されてシラノールを形成していてもよい。また、複数の8面体が連結したかご型構造を取っていてもよい。また、(A)成分としては、上記式(7−1)〜(7−8)で示されるもの以外でもよく、またこれらのものの混合物であっても構わない。
なお、(A)成分の割合は、後述の(C)成分を除いた組成物中の固形分の総量に対して0.1〜35質量%の範囲であることが好ましい。(A)成分がこのような割合であれば、伸縮性膜の表面側に偏在する(A)成分が十分な量となるため、伸縮性膜の表面の撥水性がさらに良好なものとなる。また、(A)成分の量が適量であり、(B)成分の割合が低くなりすぎないため、伸縮性膜の強度がより良好なものとなるだけでなく、(A)成分の凝集物が発生して斑模様の層分離構造となる恐れがない。
[(B)ウレタン結合を有する(A)成分以外の(メタ)アクリレート化合物]
本発明の伸縮性膜を形成するための組成物には、(B)成分として、ウレタン結合を有する(A)成分以外の(メタ)アクリレート化合物が含まれる。ここで、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物とは、ウレタン結合を有するメタクリレート化合物又はウレタン結合を有するアクリレート化合物を示す。
(B)成分としては、下記一般式(3)で示される化合物が好ましい。このような(B)成分であれば、伸縮性膜の伸縮性及び強度がさらに良好なものとなる。
Figure 0006940357
(式中、R23は水素原子又はメチル基である。R20、R22は単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、又は炭素数2〜20のアルケニレン基であり、エーテル基、エステル基、アリール基、及びアリーレン基から選ばれる1種以上を有していてもよい。R21は単結合又は炭素数1〜15の二価炭化水素基である。Zは単結合、又はエーテル基、エステル基、及びカーボネート基から選ばれる1種以上を有していてもよい炭素数1〜12の二価炭化水素基である。Y、Yはどちらか一方が酸素原子でもう一方がNH基である。eは1〜100の整数、fは0〜200の整数、gは0〜200の整数である。)
23は水素原子又はメチル基である。なお、R23が水素原子であればアクリレート化合物となり、R23がメチル基であればメタクリレート化合物となる。
20、R22は単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、又は炭素数2〜20のアルケニレン基であり、エーテル基、エステル基、アリール基、及びアリーレン基から選ばれる1種以上を有していてもよい。R20、R22としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等が特に好ましい。
21は単結合又は炭素数1〜15の二価炭化水素基である。R21としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等が特に好ましい。
Zは単結合、又はエーテル基、エステル基、及びカーボネート基から選ばれる1種以上を有していてもよい炭素数1〜12の二価炭化水素基である。Zとしては、以下に示される基等が特に好ましい。
Figure 0006940357
、Yはどちらか一方が酸素原子でもう一方がNH基である。なお、これは、式中のカルボニル基を挟む1対のY、Yにおいて、一方が酸素原子、もう一方がNH基となることで、この部分がウレタン結合となることを意味している。
eは1〜100、好ましくは1〜50の整数、fは0〜200、好ましくは0〜100の整数、gは0〜200、好ましくは0〜100の整数である。
上記一般式(3)で示されるウレタン(メタ)アクリレート化合物は、両末端にヒドロキシ基を有するポリエーテル化合物と、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート化合物を反応させる方法;両末端にヒドロキシ基を有するポリエステル化合物と、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート化合物を反応させる方法;両末端にヒドロキシ基を有するポリカーボネート化合物と、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート化合物を反応させる方法等で得ることができる。また、この場合、ジイソシアネート化合物やジヒドロキシ化合物を鎖長延長として用いることもできる。
このときに用いられるイソシアネート化合物としては、下記のものを例示することができる。
Figure 0006940357
[(C)大気圧での沸点が115〜200℃の範囲の有機溶剤]
本発明の伸縮性膜を形成するための組成物には、(C)成分として、大気圧での沸点が115〜200℃の範囲の有機溶剤が含まれる。
このような(C)成分としては、具体的には、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートから選ばれる1種以上であることが好ましい。
後述するように、伸縮性膜の形成時には、例えば基板上に組成物を塗布した後、加熱によって(C)成分を膜表面から蒸発させる。このとき、(C)成分の膜表面側への移動に伴って(A)成分が膜表面側に移動することで、膜表面側に(A)成分が偏在した構造となる。従って、(C)成分の大気圧での沸点が115℃未満だと、(A)成分が膜表面側に移動する前に(C)成分が蒸発して組成物塗布膜が固化してしまい、膜表面側に十分な量の(A)成分が偏在しない。一方、(C)成分の大気圧での沸点が200℃を超えると、十分に(C)成分が蒸発しないため、伸縮性膜中に多量の(C)成分が残存してしまう。このような伸縮性膜を生体センサー等のウェアラブルデバイス用の伸縮性膜として用いると、残存溶剤が徐々に蒸発して肌アレルギーを引き起こすリスクが高くなる。
また、(C)成分は、重合性二重結合を含まない(即ち、非架橋性の)有機溶剤であることが好ましい。このような有機溶剤であれば、膜表面に存在する重合性二重結合を有する有機溶剤が架橋して、シリコーン(メタ)アクリレートで膜表面が覆われなくなり、撥水性が低下することを防止することができる。
(C)成分の添加量としては、組成物中の固形分100質量部に対して5〜1,000質量部が好ましく、より好ましくは10〜500質量部、さらに好ましくは20〜300質量部の範囲である。
[添加剤]
本発明においては、(A)成分及び(B)成分を硬化させるために、光又は熱によってラジカルを発生させるラジカル発生剤を添加してもよい。なお、後述のように、本発明の伸縮性膜の形成方法では、加熱によって(C)成分を蒸発させるとともに、(A)成分を膜の表面側に移動(偏在)させるが、この(C)成分を蒸発させる際の加熱で(A)成分と(B)成分を硬化させることもできるし、(C)成分を蒸発させる際の加熱で(A)成分を膜表面側へ移動させた後に光照射によって架橋させることもできる。前者の場合は、組成物に熱ラジカル発生剤を添加し、加熱中に(A)成分及び(B)成分を硬化させる。後者の場合は、組成物に光ラジカル発生剤を添加し、加熱後に光照射を行って(A)成分及び(B)成分を硬化させる。
熱ラジカル発生剤としては、アゾ系ラジカル発生剤、過酸化物系ラジカル発生剤が挙げられ、アゾ系ラジカル発生剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が挙げられる。過酸化物系ラジカル発生剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバロエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等が挙げられる。
光ラジカル発生剤としては、アセトフェノン、4,4’−ジメトキシベンジル、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾフェノン、2−ベンゾイル安息香酸、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、4−ベンゾイル安息香酸、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2−ベンゾイル安息香酸メチル、2−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−4’−モルホリノブチロフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、1,4−ジベンゾイルベンゼン、2−エチルアントラキノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノン、2−イソニトロソプロピオフェノン、2−フェニル−2−(p−トルエンスルホニルオキシ)アセトフェノン(BAPO)、カンファーキノンを挙げることができる。
なお、熱又は光ラジカル発生剤の添加量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して0.1〜50質量部の範囲とすることが好ましい。
その他の添加剤としては、チオール系の架橋剤を添加することもできる。これにより、ラジカル架橋の効率を向上させることができる。
本発明の伸縮性膜は、撥水性に優れた(A)成分と、伸縮性及び強度に優れた(B)成分の両方を含み、撥水性に優れた(A)成分が膜の表面側(片面側)に偏在する伸縮性膜である。このような構造であるために、(B)成分によってポリウレタンと同程度の優れた伸縮性と強度が達成され、かつ膜の表面側に偏在した(A)成分によって膜表面はシリコーンと同程度の優れた撥水性を有する伸縮性膜となる。
なお、本発明の伸縮性膜は、JIS K 6251に規定される伸縮率(切断時伸び)が40〜600%のものであることが好ましい。このような伸縮率であれば、伸縮配線の被覆膜として特に好適に用いることができる。
また、本発明の伸縮性膜が、伸縮性を有する導電性配線を覆う膜として用いられるものであることが好ましい。本発明の伸縮性膜は、特にこのような用途に好適に用いることができる。
ここで、図1(a)、(b)に本発明の伸縮性膜の一例を示す。図1(a)の伸縮性膜1は、基板2上に形成された伸縮性膜1である。この伸縮性膜1は、上述の(A)〜(C)成分を含有する組成物の硬化物であり、(A)成分が膜の表面側に偏在するものである。また、図1(b)の伸縮性膜1’は、図1(a)の基板2上に形成された伸縮性膜1から、基板2を剥がしたものである。このように、本発明の伸縮性膜は、基板等の上に形成された伸縮性膜であってもよいし、独立した伸縮性膜であってもよい。なお、図1(a)、(b)では、(A)成分の分布を濃淡で模式的に示しており、色の濃い表面側に(A)成分が偏在している。
以上説明したような、本発明の伸縮性膜であれば、ポリウレタンと同程度の優れた伸縮性と強度を有し、膜表面はシリコーンと同程度の優れた撥水性を有し、かつ直鎖状のシリコーンでは生み出すことができなかった表面硬度が高い伸縮性膜となる。また、膜表面に偏在する(A)シルセスキオキサンを有する(メタ)アクリレート化合物が架橋しているため、シリコーンを表面にブリードアウトさせたものとは異なり、膜表面のシリコーンが剥がれ落ちて撥水性が低下する恐れがない。
<伸縮性膜の形成方法>
また、本発明では、伸縮性膜を形成する方法であって、(A)シルセスキオキサンを有する(メタ)アクリレート化合物、(B)ウレタン結合を有する前記(A)成分以外の(メタ)アクリレート化合物、及び(C)大気圧での沸点が115〜200℃の範囲の有機溶剤を含有する組成物を基板上に塗布し、加熱によって前記(C)成分を蒸発させるとともに、前記(A)成分を膜の表面側に偏在させ、その後、熱又は光照射によって前記(A)成分及び前記(B)成分を硬化させる伸縮性膜の形成方法を提供する。
なお、組成物としては、上述の伸縮性膜についての説明で挙げたものと同様のものを使用することができる。
硬化後の膜を後に一旦基板から剥がす必要がある場合には、基板として剥離性が高い基板を用いることが好ましく、テフロン(登録商標)やPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)のようなフッ素系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等の表面エネルギーが低い樹脂で表面が覆われた基板が特に好ましい。
組成物を基板上に塗布する方法としては、例えば、スピンコート、バーコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターコート等が挙げられる。また、塗布膜厚が1μm〜2mmとなるように塗布することが好ましい。
組成物を基板上に塗布した後の加熱は、例えば、ホットプレートやオーブン中あるいは遠赤外線の照射によって行うことができ、加熱条件は、30〜150℃、10秒〜30分間が好ましく、50〜120℃、30秒〜20分間がより好ましい。ベーク環境は大気中でも不活性ガス中でも真空中でもかまわない。
この加熱によって、(C)成分は組成物塗布膜の内部から膜の表面側に移動し、膜表面から蒸発する。このとき、これに伴って(A)成分の膜表面側への移動も起こる。(C)成分の沸点が115℃未満だと、(A)成分の膜表面側への移動が起こる前に(C)成分が蒸発しきって組成物塗布膜が固化してしまい、膜の表面側に偏在する(A)成分の割合が低下し、結果として十分な撥水性を得ることができなくなる。一方、(C)成分の沸点が200℃を超えると、(C)成分が蒸発しにくいために組成物塗布膜が固化しにくくなるだけでなく、硬化後の伸縮性膜に(C)成分が多量に残存しやすくなる。(C)成分が伸縮性膜に多量に残存すると、残存した(C)成分が徐々に揮発して肌に対する刺激となる恐れがあるため、肌に接触するウェアラブルデバイスの部品としては好ましくない。
なお、熱によって(A)成分と(B)成分を硬化させる場合は、上記の(C)成分を蒸発させる加熱で(A)成分と(B)成分を硬化させる。
また、光照射によって(A)成分と(B)成分を硬化させる場合は、上記の加熱を行った後に光照射を行って(A)成分と(B)成分を硬化させる。加熱後の光照射は、波長200〜500nmの光で行うことが好ましく、光源としては、例えば、ハロゲンランプ、キセノンランプ、エキシマレーザー、LED等を用いることができる。また、電子ビームの照射であってもよい。照射量は、1mJ/cm〜100J/cmの範囲とすることが好ましい。これによって(A)成分及び(B)成分の架橋反応が行われ、組成物塗布膜が硬化して、伸縮性膜となる。
図2(a)〜(d)に、本発明の伸縮性膜の形成方法の一例のフロー図を示す。図2(a)〜(d)に示される伸縮性膜の形成方法では、まず、上述の(A)〜(C)成分を含有する組成物を基板2上に塗布して組成物塗布膜3を形成する(図2(a))。次に、加熱によって(C)成分を蒸発させるとともに、(A)成分を膜の表面側に偏在させることで、(A)成分が偏在した塗布膜4とする(図2(b))。その後、光照射によって(A)成分及び(B)成分を硬化させることで、伸縮性膜1を形成する(図2(c))。なお、必要に応じて、伸縮性膜1を基板2から剥がして、独立した伸縮性膜1’としてもよい(図2(d))。
以上説明したような、本発明の伸縮性膜の形成方法であれば、ポリウレタンと同程度の優れた伸縮性と強度を有し、膜表面はシリコーンと同程度の優れた撥水性を有し、かつ直鎖状のシリコーンでは生み出すことができなかった表面硬度が高い伸縮性膜を容易に形成することができる。
<伸縮性配線膜>
また、本発明では、伸縮性を有する導電性配線の両面が、上述の本発明の伸縮性膜で被覆されたものであり、前記伸縮性膜の(A)成分が偏在した表面が外側、前記導電性配線が内側に配置されたものである伸縮性配線膜を提供する。
伸縮性を有する導電性配線としては、特に限定されないが、例えば、銀配線等を好適に用いることができる。
このような本発明の伸縮性配線膜であれば、伸縮性及び強度に優れるだけでなく、表面の撥水性にも優れたものとなる。従って、本発明の伸縮性配線膜であれば、ウェアラブルデバイスにおいて、生体電極とセンサーを接続する配線部として特に好適に用いることができる。
<伸縮性配線膜の製造方法>
また、本発明では、上述の伸縮性配線膜の製造方法であって、伸縮性を有する導電性配線を基板上に置き、この上に前記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含有する組成物を塗布し、加熱によって前記(C)成分を蒸発させるとともに、前記(A)成分を膜の表面側に偏在させ、その後、熱又は光照射によって前記(A)成分及び前記(B)成分を硬化させて、伸縮性膜を形成することで、前記導電性配線の片面が被覆された配線被覆基板を製造し、該配線被覆基板の前記基板から前記片面が被覆された導電性配線を一旦剥がし、被覆した面を下にして前記基板上に置き、この上に前記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含有する組成物を塗布し、加熱によって前記(C)成分を蒸発させるとともに、前記(A)成分を膜の表面側に偏在させ、熱又は光照射によって前記(A)成分及び前記(B)成分を硬化させて、前記導電性配線の両面が被覆された伸縮性配線膜を製造する伸縮性配線膜の製造方法を提供する。
本発明の伸縮性配線膜の製造方法においては、まず、伸縮性を有する導電性配線を基板上に置き、この上に前記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含有する組成物を塗布し、加熱によって前記(C)成分を蒸発させるとともに、前記(A)成分を膜の表面側に偏在させ、その後、熱又は光照射によって前記(A)成分及び前記(B)成分を硬化させて伸縮性膜を形成することで、前記導電性配線の片面が被覆された配線被覆基板を製造する。
なお、組成物としては、上述の伸縮性膜についての説明で挙げたものと同様のものを使用することができる。また、基板としては、上述の伸縮性膜の形成方法についての説明で挙げたものと同様のものを使用することができる。また、伸縮性を有する導電性配線としては、上述の伸縮性配線膜についての説明で挙げたものと同様のものを使用することができる。
また、(C)成分を蒸発させる際の加熱条件や、(A)成分及び(B)成分を熱又は光照射によって硬化させる際の条件は、上述の伸縮性膜の形成方法についての説明で挙げた条件と同様の条件を適用することができる。
図3(a)〜(e)に、本発明の伸縮性配線膜の製造方法の一例における配線被覆基板を製造するまでのフロー図を示す。図3(a)〜(e)に示される伸縮性配線膜の製造方法では、まず、伸縮性を有する導電性配線5を基板2上に置く(図3(a))。次に、この上に上述の(A)〜(C)成分を含有する組成物を塗布して組成物塗布膜3を形成する(図3(b))。次に、加熱によって(C)成分を蒸発させるとともに、(A)成分を膜の表面側に偏在させることで、(A)成分が偏在した塗布膜4とする(図3(c))。その後、光照射によって(A)成分及び(B)成分を硬化させて伸縮性膜1を形成する(図3(d))。これにより、基板2上の導電性配線5の片面が伸縮性膜1で被覆された配線被覆基板7を製造する(図3(e))。
このようにして、導電性配線の片面を、伸縮性及び強度に優れ、膜表面の撥水性にも優れた本発明の伸縮性膜で被覆した配線被覆基板を容易に製造することができる。また、このようにして製造した配線被覆基板は、続く伸縮性配線膜の製造に好適に用いることができる。
本発明の伸縮性配線膜の製造方法においては、次に、上記の方法で製造した配線被覆基板の前記基板から前記片面が被覆された導電性配線を一旦剥がし、被覆した面を下にして前記基板上に置き、この上に前記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含有する組成物を塗布し、加熱によって前記(C)成分を蒸発させるとともに、前記(A)成分を膜の表面側に偏在させ、その後、熱又は光照射によって前記(A)成分及び前記(B)成分を硬化させて伸縮性膜を形成することで、前記導電性配線の両面が被覆された伸縮性配線膜を製造する。
なお、組成物としては、上述の伸縮性膜についての説明で挙げたものと同様のものを使用することができる。
また、(C)成分を蒸発させる際の加熱条件や、(A)成分及び(B)成分を熱又は光照射によって硬化させる際の条件は、上述の伸縮性膜の形成方法についての説明で挙げた条件と同様の条件を適用することができる。
図4(a)〜(f)に、本発明の伸縮性配線膜の製造方法の一例における配線被覆基板から伸縮性配線膜を製造するまでのフロー図を示す。図4(a)〜(f)に示される方法では、まず、図3(a)〜(e)に示される方法で製造した配線被覆基板7の基板2から片面が伸縮性膜1で被覆された導電性配線5を一旦剥がす(図4(a))。次に、これを被覆した面(即ち、伸縮性膜1側)を下にして基板2上に置く(図4(b))。次に、この上に上述の(A)〜(C)成分を含有する組成物を塗布して組成物塗布膜3を形成する(図4(c))。次に、加熱によって(C)成分を蒸発させるとともに、(A)成分を膜の表面側に偏在させることで、(A)成分が偏在した塗布膜4とする(図4(d))。その後、光照射によって(A)成分及び(B)成分を硬化させて伸縮性膜1を形成する(図4(e))。これにより、導電性配線5の両面が伸縮性膜1で被覆された伸縮性配線膜6を製造する(図4(f))。
このような製造方法であれば、導電性配線の両面を上記の本発明の伸縮性膜で被覆するため、伸縮性及び強度に優れるだけでなく、表面の撥水性にも優れた伸縮性配線膜を容易に製造することができる。
なお、本発明の伸縮性配線膜の製造方法としては、伸縮性を有する導電性配線の両面を、上述の本発明の伸縮性膜の前記(A)成分が偏在した表面が外側になるように2枚の伸縮性膜で挟み、加熱と加圧によってラミネートすることで、前記導電性配線の両面を被覆する伸縮性配線膜の製造方法であってもよい。
なお、伸縮性を有する導電性配線としては、上述の伸縮性配線膜についての説明で挙げたものと同様のものを使用することができる。
図5(a)〜(c)に、本発明の伸縮性配線膜の製造方法の別の一例のフロー図を示す。図5(a)〜(c)に示される方法では、まず、伸縮性を有する導電性配線5の両面を、伸縮性膜1’の(A)成分が偏在した表面が外側になるように2枚の伸縮性膜1’で挟む(図5(a))。次に、加熱と加圧によってラミネートする(図5(b))。これにより、導電性配線5の両面が伸縮性膜1’で被覆された伸縮性配線膜6を製造する(図5(c))。
さらに、本発明の伸縮性配線膜の製造方法は、図6(a)〜(d)に示されるような方法であってもよい。図6(a)〜(d)に示される方法では、まず、伸縮性を有する導電性配線5を基板2上に置く(図6(a))。次に、導電性配線5の片面を、伸縮性膜1’の(A)成分が偏在した表面が外側になるようにして、加熱と加圧によってラミネートする(図6(b))。基板2を剥がした後、導電性配線5の反対側の面を、伸縮性膜1’の(A)成分が偏在した表面が外側になるようにして、加熱と加圧によってラミネートする(図6(c))。これにより、導電性配線5の両面が伸縮性膜1’で被覆された伸縮性配線膜6を製造する(図6(d))。
このような方法でも、本発明の伸縮性膜を用いたラミネーションによって伸縮性配線膜を容易に製造することができるが、上記の図5(a)〜(c)に示される方法であれば、図6(b)と図6(c)のラミネート加工を一度に行うことができ、ラミネーションステップが簡略化されるため、より好ましい。
ラミネーションは、加熱と加圧によって中心部材の形状に合わせてフィルム状の樹脂で覆う簡便な方法であり、多くの分野で利用されている。シリコーン樹脂だけで膜を形成すると、強度が低いために独立した膜(フィルム)にすることができなかったが、本発明の伸縮性膜では、膜成分の殆どを高強度で伸縮性のウレタン樹脂((B)成分)とし、表面側のごく僅かな部分だけをシルセスキオキサン樹脂((A)成分)とすることができるため、ウレタン樹脂と同程度の優れた強度を有する膜とすることができる。このため基板から剥がして独立したフィルムにすることができ、ラミネート加工に適用することが可能である。
なお、ラミネート加工時の温度は、特に限定されないが、50〜150℃程度が好ましく、ラミネート加工時の圧力は、特に限定されないが、0.1〜10kg/cm程度が好ましい。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。なお、重量平均分子量(Mw)はGPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量を示す。
伸縮性膜形成用組成物に(A)成分として配合したシルセスキオキサン(メタ)アクリレート1〜5を以下に示す。
Figure 0006940357
伸縮性膜形成用組成物に(B)成分として配合したウレタンアクリレート1〜11及びシリコーンアクリレート1を以下に示す。
Figure 0006940357
Figure 0006940357
(式中の繰り返し数は平均値を示す。)
伸縮性膜形成用組成物に添加剤として配合した光ラジカル発生剤1〜4、熱ラジカル発生剤1,2を以下に示す。
光ラジカル発生剤1:4,4’−ジメトキシベンジル
光ラジカル発生剤2:2,2−ジエトキシアセトフェノン
光ラジカル発生剤3:2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン
光ラジカル発生剤4:(±)−カンファーキノン
熱ラジカル発生剤1:2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル
熱ラジカル発生剤2:アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)
伸縮性膜形成用組成物に(C)成分としてあるいはその代わりに配合した有機溶剤の大気圧での沸点を以下に示す。
2−ヘプタノン:151℃
2−オクタノン:173℃
シクロヘキサノン:156℃
酢酸アミル:149℃
酢酸イソアミル:142℃
酢酸ブチル:126℃
PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート):146℃
PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル):120℃
エタノール:78℃
2−エチルへキシルアクリレート:214℃
1−ビニル−2−ピロリドン:90℃
[実施例1〜16、比較例1〜4]
表1,2に記載の組成で、シルセスキオキサン(メタ)アクリレート1〜5、ウレタンアクリレート1〜11、シリコーンアクリレート1、光ラジカル発生剤1〜4、熱ラジカル発生剤1,2、及び有機溶剤を混合し、伸縮性膜形成用組成物(Sol 1〜16、比較Sol 1〜4)を調製した。テフロン(登録商標)で表面が覆われた基板上に、調製した伸縮性膜形成用組成物をバーコート法で塗布し、Sol 1〜14,比較Sol 1〜4の場合は、110℃で20分間ベークした後に、窒素雰囲気下1,000Wのキセノンランプで1J/cmの光を照射して組成物塗布膜を硬化させ、基板上に厚み100μmの伸縮性膜(Film 1〜14、比較Film 1〜4)を形成した。Sol 15,16の場合は、テフロン(登録商標)で表面が覆われた基板上に、調製した伸縮性膜形成用組成物をバーコート法で塗布し、窒素雰囲気下で110℃、20分間ベークした。
Figure 0006940357
Figure 0006940357
(接触角・伸縮率・強度の測定)
硬化後の伸縮性膜における表面の水の接触角を測定した。また、伸縮性膜表面の水の接触角を測定した後に、伸縮性膜を基板から剥がし、JIS K 6251に準じた方法で伸縮率と強度を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0006940357
表3に示されるように、シルセスキオキサン(メタ)アクリレート1〜5((A)成分)、ウレタンアクリレート1〜11((B)成分)、及び大気圧での沸点が115〜200℃の範囲の有機溶剤((C)成分)を含有する伸縮性膜形成用組成物(Sol 1〜16)を用いて伸縮性膜(Film 1〜16)を形成した実施例1〜16では、組成物塗布膜形成後のベークによって(C)成分が蒸発するとともに、(A)成分が膜の表面側に偏在し、その状態で(A)成分及び(B)成分を光照射又は熱によって硬化させたため、優れた伸縮性と強度を有し、かつ膜表面の撥水性にも優れた伸縮性膜が得られた。
一方、(A)成分を含まず、(B)成分としてシリコーンアクリレート1を含む伸縮性膜形成用組成物(比較Sol 1)を用いて伸縮性膜(比較Film 1)を形成した比較例1では、撥水性、伸縮性、及び強度が低く、伸縮率と強度は測定できなかった。また、(A)成分を含まず、(B)成分としてウレタンアクリレート1を含む伸縮性膜形成用組成物(比較Sol 2)を用いて伸縮性膜(比較Film 2)を形成した比較例2では、(A)成分を含まないために撥水性が実施例1〜16に比べて劣っており、また、伸縮性及び強度も劣るものとなった。また、(A)成分を含まず、(C)成分の代わりに大気圧での沸点が115℃未満あるいは200℃を超える有機溶剤を含む伸縮性膜形成用組成物(比較Sol 3,4)を用いて伸縮性膜(比較Film 3,4)を形成した比較例3,4では、撥水性、伸縮性、及び強度が実施例1〜16に比べて劣っていた。
以上のことから、本発明の伸縮性膜であれば、優れた伸縮性と強度を有し、かつ膜表面の撥水性にも優れるため、ウェアラブルデバイス等に用いられる伸縮性の配線を覆う膜として優れた特性を有していることが明らかとなった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…伸縮性膜(基板上に形成された膜)、 1’…伸縮性膜(独立した膜)、
2…基板、 3…組成物塗布膜、 4…(A)成分が偏在した塗布膜、
5…導電性配線、 6…伸縮性配線膜、 7…配線被覆基板。

Claims (13)

  1. 伸縮性を有する導電性配線を覆う膜として用いられるものである伸縮性膜であって、
    (A)シルセスキオキサンを有する(メタ)アクリレート化合物、(B)ウレタン結合を有する前記(A)成分以外の(メタ)アクリレート化合物、及び(C)大気圧での沸点が115〜200℃の範囲の有機溶剤を含有する組成物の硬化物であり、前記(A)成分が膜の表面側に偏在するものであることを特徴とする伸縮性膜。
  2. 前記(A)成分の割合が、前記(C)成分を除いた組成物中の固形分の総量に対して0.1〜35質量%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性膜。
  3. 前記(A)成分が、下記一般式(1)で示される化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の伸縮性膜。
    Figure 0006940357
    (式中、Rは水素原子又はメチル基である。Rは単結合、あるいは下記一般式(2)で示される連結基である。Rは同一又は異種の水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、もしくは環状の炭化水素基、又はフッ素化されたアルキル基であり、エーテル基、ラクトン基、エステル基、ヒドロキシ基、又はシアノ基を含んでいてもよい。Xはエステル基又は−C(=O)−O−R−である。Rは炭素数1〜14の直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基、炭素数2〜14の直鎖状、分岐状、環状のアルケニレン基又はアルキニレン基、炭素数6〜10のアリーレン基であり、エーテル基、エステル基を有していてもよい。mは4〜40の整数であり、m’は0又は1であり、m’’は0〜8の整数である。また、(R−SiO3/2単位における一部のシロキサン結合は分断してシラノール基を形成していてもよい。)
    Figure 0006940357
    (式中、R、Rは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、Rは単結合、酸素原子、又は炭素数1〜4のアルキレン基である。nは1〜40の整数である。)
  4. 前記(B)成分が、下記一般式(3)で示される化合物であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の伸縮性膜。
    Figure 0006940357
    (式中、R23は水素原子又はメチル基である。R20、R22は単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、又は炭素数2〜20のアルケニレン基であり、エーテル基、エステル基、アリール基、及びアリーレン基から選ばれる1種以上を有していてもよい。R21は単結合又は炭素数1〜15の二価炭化水素基である。Zは単結合、又はエーテル基、エステル基、及びカーボネート基から選ばれる1種以上を有していてもよい炭素数1〜12の二価炭化水素基である。Y、Yはどちらか一方が酸素原子でもう一方がNH基である。eは1〜100の整数、fは0〜200の整数、gは0〜200の整数である。)
  5. 前記(C)成分が、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の伸縮性膜。
  6. 前記伸縮性膜は、JIS K 6251に規定される伸縮率が40〜600%のものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の伸縮性膜。
  7. 伸縮性を有する導電性配線を覆う膜として用いられるものである伸縮性膜を形成する方法であって、
    (A)シルセスキオキサンを有する(メタ)アクリレート化合物、(B)ウレタン結合を有する前記(A)成分以外の(メタ)アクリレート化合物、及び(C)大気圧での沸点が115〜200℃の範囲の有機溶剤を含有する組成物を基板上に塗布し、加熱によって前記(C)成分を蒸発させるとともに、前記(A)成分を膜の表面側に偏在させ、その後、熱又は光照射によって前記(A)成分及び前記(B)成分を硬化させることを特徴とする伸縮性膜の形成方法。
  8. 前記(A)成分の割合を、前記(C)成分を除いた組成物中の固形分の総量に対して0.1〜35質量%の範囲とすることを特徴とする請求項7に記載の伸縮性膜の形成方法。
  9. 前記(A)成分として、下記一般式(1)で示される化合物を用いることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の伸縮性膜の形成方法。
    Figure 0006940357
    (式中、Rは水素原子又はメチル基である。Rは単結合、あるいは下記一般式(2)で示される連結基である。Rは同一又は異種の水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、もしくは環状の炭化水素基、又はフッ素化されたアルキル基であり、エーテル基、ラクトン基、エステル基、ヒドロキシ基、又はシアノ基を含んでいてもよい。Xはエステル基又は−C(=O)−O−R−である。Rは炭素数1〜14の直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基、炭素数2〜14の直鎖状、分岐状、環状のアルケニレン基又はアルキニレン基、炭素数6〜10のアリーレン基であり、エーテル基、エステル基を有していてもよい。mは4〜40の整数であり、m’は0又は1であり、m’’は0〜8の整数である。また、(R−SiO3/2単位における一部のシロキサン結合は分断してシラノール基を形成していてもよい。)
    Figure 0006940357
    (式中、R、Rは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、Rは単結合、酸素原子、又は炭素数1〜4のアルキレン基である。nは1〜40の整数である。)
  10. 前記(B)成分として、下記一般式(3)で示される化合物を用いることを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の伸縮性膜の形成方法。
    Figure 0006940357
    (式中、R23は水素原子又はメチル基である。R20、R22は単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、又は炭素数2〜20のアルケニレン基であり、エーテル基、エステル基、アリール基、及びアリーレン基から選ばれる1種以上を有していてもよい。R21は単結合又は炭素数1〜15の二価炭化水素基である。Zは単結合、又はエーテル基、エステル基、及びカーボネート基から選ばれる1種以上を有していてもよい炭素数1〜12の二価炭化水素基である。Y、Yはどちらか一方が酸素原子でもう一方がNH基である。eは1〜100の整数、fは0〜200の整数、gは0〜200の整数である。)
  11. 前記(C)成分として、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートから選ばれる1種以上を用いることを特徴とする請求項7から請求項10のいずれか一項に記載の伸縮性膜の形成方法。
  12. 伸縮性を有する導電性配線の両面が、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の伸縮性膜で被覆されたものであり、前記伸縮性膜の(A)成分が偏在した表面が外側、前記導電性配線が内側に配置されたものであることを特徴とする伸縮性配線膜。
  13. 請求項12に記載の伸縮性配線膜の製造方法であって、
    前記伸縮性を有する導電性配線を基板上に置き、この上に前記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含有する組成物を塗布し、加熱によって前記(C)成分を蒸発させるとともに、前記(A)成分を膜の表面側に偏在させ、その後、熱又は光照射によって前記(A)成分及び前記(B)成分を硬化させて、伸縮性膜を形成することで、前記導電性配線の片面が被覆された配線被覆基板を製造し、
    該配線被覆基板の前記基板から前記片面が被覆された導電性配線を一旦剥がし、被覆した面を下にして前記基板上に置き、この上に前記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含有する組成物を塗布し、加熱によって前記(C)成分を蒸発させるとともに、前記(A)成分を膜の表面側に偏在させ、熱又は光照射によって前記(A)成分及び前記(B)成分を硬化させて、前記導電性配線の両面が被覆された伸縮性配線膜を製造することを特徴とする伸縮性配線膜の製造方法。
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