JP2023144838A - 支持シート、及びワーク加工物の製造方法 - Google Patents

支持シート、及びワーク加工物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基材とエネルギー線硬化性粘着剤層を備えた支持シートであって、粘着剤層は基材のマット面上に設けられ、基材のマット面が粘着剤層で十分に埋め込まれ、ワーク又はワーク加工物が貼付された支持シートを加熱した場合でも、支持シートからのワーク加工物の正常なピックアップを可能とする支持シートの提供。【解決手段】基材11と、その一方の面11a上に設けられた粘着剤層12を備え、前記一方の面11aがマット面であり、粘着剤層12がエネルギー線硬化性化合物を含有し、エネルギー線硬化性であり、23℃でのエネルギー線硬化性化合物の粘度が350mPa・s以下であり、支持シート1を粘着剤層12によってシリコンミラーウエハのミラー面に貼付し、粘着剤層12を130℃で加熱し、エネルギー線硬化させたとき、そのエネルギー線硬化物とシリコンミラーウエハとの間の粘着力(X1)が400mN/25mm以下である、支持シート1。【選択図】図1

Description

本発明は、支持シート、及びワーク加工物の製造方法に関する。
ウエハ等のワークを加工し、チップ等のワーク加工物を製造する際には、支持シートが用いられる。典型的な支持シートとしては、基材と、前記基材の一方の面上に設けられた粘着剤層と、を備えて構成された支持シートが挙げられる。支持シート中の粘着剤層は、例えば、加工対象であるワークに貼付されて、支持シートは加工中のワークを固定する。加工がダイシングである場合には、支持シートはダイシングシートとして機能する。得られたワーク加工物は、最終的に、支持シートから引き離されてピックアップされ、目的とする用途で用いられる。このとき、粘着剤層がエネルギー線硬化性である場合には、粘着剤層をエネルギー線硬化させることで、その硬化物とワーク加工物との間の粘着力が低下するため、ワーク加工物のピックアップが容易となる。
粘着剤層の基材側とは反対側の面上には、さらに、ワークに保護膜を形成するための保護膜形成フィルムが設けられて、保護膜形成用複合シートが構成されることもある。保護膜形成用複合シート中の保護膜形成フィルムは、例えば、加工対象であるワークに貼付されて、保護膜形成用複合シートは加工中のワークを固定するとともに、ワーク又はワーク加工物に保護膜を形成する。得られたワーク加工物は、最終的に、保護膜を備えた状態で支持シートから引き離されてピックアップされ、目的とする用途で用いられる。そして、上記と同様に、粘着剤層がエネルギー線硬化性である場合には、粘着剤層をエネルギー線硬化させることで、保護膜を備えたワーク加工物のピックアップが容易となる。
一方、支持シートは、ワーク又はワーク加工物が貼付された状態で、加熱されることがある。この加熱は、例えば、ワークの表面に付着している低分子量の樹脂成分等の異物を除去するために行われることがある。また、ワークのダイシング等の加工時に発生し、ワーク加工物の表面に付着している微細な異物を水によって洗浄し、除去した後に、ワーク加工物等を乾燥させるために行われることもある。そして、これらの加熱は、通常、加熱温度の上限値を135℃程度として行われる。ところが、支持シートの耐熱性が不十分であると、ワーク又はワーク加工物が貼付された支持シートを、このような温度で加熱すると、最終的にワーク加工物を支持シートからピックアップできなくなることがあった。
耐熱性を有し、加熱を行うのに適した支持シートとしては、基材と粘着剤層を備え、120℃で4時間加熱した後における基材の23℃におけるヤング率と、120℃における基材の貯蔵弾性率E’が、いずれも特定の範囲に規定された支持シート(ワーク加工用シート)が開示されている(特許文献1参照)。
特開2021-119592号公報
ところで、支持シートを構成するために用いる基材においては、その少なくとも一方の面が、凹凸度が比較的大きく、粗くなっていることがある。このような面は、光沢度が比較的低く、マット(matte)処理されたように見えることから、「マット面」と称されることがある。基材のマット面上に粘着剤層が設けられた支持シートにおいては、例えば、基材のマット面のうち、凹凸部の谷に相当する部位には、粘着剤層による埋め込みが困難で、空隙が生じることがある。
このように、基材と粘着剤層との間に空隙が生じると、支持シートの基材側の外部から、基材越しに粘着剤層側に光を照射したときに、光の透過率が低下してしまうことがある。その場合、例えば、ワークを加工してワーク加工物を作製した際に、支持シート上のワーク加工物を、支持シート越しに観察して検査するときに、ワーク加工物を正常に観察できず、検査精度が低下してしまうという問題点があった。また、粘着剤層がエネルギー線硬化性である場合には、エネルギー線を基材越しに粘着剤層に照射するときに、正常に照射できず、粘着剤層を正常に硬化できないという問題点があった。これに対して、特許文献1で開示されている支持シートは、このような問題点の解決を目的としていない。
本発明は、基材と粘着剤層とを備えた支持シートであって、前記粘着剤層はエネルギー線硬化性であり、前記基材のマット面上に設けられており、前記基材のマット面が前記粘着剤層で十分に埋め込まれており、ワーク又はワーク加工物が貼付された状態の支持シートを加熱した場合であっても、支持シートからのワーク加工物の正常なピックアップを可能とする支持シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[1].支持シートであって、前記支持シートは、基材と、前記基材の一方の面上に設けられた粘着剤層と、を備え、前記一方の面がマット面であり、前記粘着剤層が、エネルギー線硬化性化合物を含有し、かつエネルギー線硬化性であり、23℃での前記エネルギー線硬化性化合物の粘度が、350mPa・s以下であり、前記支持シートを、前記粘着剤層によってシリコンミラーウエハのミラー面に貼付し、貼付後の前記粘着剤層を130℃で加熱し、加熱後の前記粘着剤層をエネルギー線硬化させ、前記粘着剤層のエネルギー線硬化物と、前記シリコンミラーウエハと、の間の粘着力(X1)を測定したとき、前記粘着力(X1)が400mN/25mm以下である、支持シート。
[2].前記粘着剤層が、さらに、エネルギー線硬化性アクリル樹脂を含有する、[1]に記載の支持シート。
[3]. 前記支持シートを、前記粘着剤層によってステンレス鋼板の表面に貼付し、貼付後の前記粘着剤層を130℃で加熱し、加熱後の前記粘着剤層と、前記ステンレス鋼板と、の間の粘着力(Y2)を測定したとき、前記粘着力(Y2)が13000mN/25mm以上である、[1]又は[2]に記載の支持シート。
[4].前記支持シートを、前記粘着剤層によってステンレス鋼板の表面に貼付し、貼付後の前記粘着剤層を130℃で加熱し、加熱後の前記粘着剤層をエネルギー線硬化させ、前記粘着剤層のエネルギー線硬化物と、前記ステンレス鋼板と、の間の粘着力(Y1)を測定したとき、前記粘着力(Y1)が300mN/25mm以上である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の支持シート。
[5].前記支持シートを、前記粘着剤層によってシリコンミラーウエハのミラー面に貼付し、貼付後の前記粘着剤層を130℃で加熱し、加熱後の前記粘着剤層と、前記シリコンミラーウエハと、の間の粘着力(X2)を測定したとき、前記粘着力(X2)が13000mN/25mm以上である、[1]~[4]のいずれか一項に記載の支持シート。
[6].前記支持シートの、400~800nmの波長域での光透過率の平均値が、80%以上である、[1]~[5]のいずれか一項に記載の支持シート。
[7].ワーク加工物の製造方法であって、前記製造方法は、[1]~[6]のいずれか一項に記載の支持シート中の前記粘着剤層を、ワークとリングフレームに貼付することにより、前記ワークと、前記ワークに設けられた前記支持シートと、を備えた支持シート付きワークを、前記リングフレームに固定する貼付工程と、前記貼付工程の後に、前記リングフレームに固定した前記支持シート中の前記粘着剤層を加熱する加熱工程と、前記貼付工程の後に、前記リングフレームに固定した前記支持シート付きワーク中の前記ワークを加工することにより、前記ワーク加工物を作製する加工工程と、前記加熱工程及び加工工程の後に、前記リングフレームに貼付した前記粘着剤層をエネルギー線硬化させる硬化工程と、前記硬化工程の後に、前記粘着剤層の硬化物から前記ワーク加工物を引き離してピックアップするピックアップ工程と、を有する、ワーク加工物の製造方法。
本発明によれば、基材と粘着剤層とを備えた支持シートであって、前記粘着剤層はエネルギー線硬化性であり、前記基材のマット面上に設けられており、前記基材のマット面が前記粘着剤層で十分に埋め込まれており、ワーク又はワーク加工物が貼付された状態の支持シートを加熱した場合であっても、支持シートからのワーク加工物の正常なピックアップを可能とする支持シートが提供される。
本発明の一実施形態に係る支持シートの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る保護膜付きワーク加工物の製造方法の一例を、模式的に説明するための断面図である。
◇支持シート
本発明の一実施形態に係る支持シートは、基材と、前記基材の一方の面上に設けられた粘着剤層と、を備え、前記一方の面がマット面であり、前記粘着剤層が、エネルギー線硬化性化合物(本明細書においては、「エネルギー線硬化性化合物(α)」と称することがある)を含有し、かつエネルギー線硬化性であり、23℃での前記エネルギー線硬化性化合物の粘度が、350mPa・s以下であり、前記支持シートを、前記粘着剤層によってシリコンミラーウエハのミラー面に貼付し、貼付後の前記粘着剤層を130℃で加熱し、加熱後の前記粘着剤層をエネルギー線硬化させ、前記粘着剤層のエネルギー線硬化物と、前記シリコンミラーウエハと、の間の粘着力(X1)(本明細書においては、単に「粘着力(X1)」と称することがある)を測定したとき、前記粘着力(X1)が400mN/25mm以下である。
本実施形態の支持シートは、例えば、後述するように、ワーク加工物の製造に用いることができる。
本実施形態の支持シートは、例えば、後述するように、保護膜形成フィルムと積層することで、保護膜形成用複合シートを構成できる。
本実施形態の支持シートにおいては、23℃でのエネルギー線硬化性化合物の粘度が、350mPa・s以下であることで、基材のマット面と粘着剤層との間に空隙が生じることを抑制でき、基材のマット面の粘着剤層による埋め込み性が高い。
このように、基材のマット面の粘着剤層による埋め込み性が高いことによって、支持シートの可視光領域での光透過率の平均値が高くなるため、支持シートを用いてワークを加工して得られたワーク加工物が支持シート上で保持されている状態で、支持シート越しに、ワーク加工物での割れや欠け等の破損、いわゆるチッピングの有無を検査するときに、検査精度が高くなる。可視光領域での光透過率としては、例えば、400~800nmの波長域での光透過率(本明細書においては、「光透過率(400~800nm)」と称することがある)が挙げられる。
さらに、基材のマット面の粘着剤層による埋め込み性が高いことによって、粘着剤層に対して、基材越しにエネルギー線を照射することで、粘着剤層を硬化させるときに、正常に照射できるため、粘着剤層を正常に硬化させることができる。
本実施形態の支持シートにおいて、前記粘着力(X1)が400mN/25mm以下であることで、ワーク又はワーク加工物が貼付された状態の支持シートを高温で加熱した後であっても、支持シート上でワークからワーク加工物を作製し、支持シート中の粘着剤層を硬化させて硬化済み支持シートとした後に、ワーク加工物を硬化済み支持シートから正常にピックアップでき、ピックアップ性が高い。このときの加熱としては、例えば、ワークの表面に付着している低分子量の樹脂成分等の異物を除去するための加熱が挙げられる。また、このときの加熱としては、ワークのダイシング等の加工時に発生し、ワーク加工物の表面に付着している微細な異物を、水によって洗浄し、除去した後に、ワーク加工物等を乾燥させるときの加熱も挙げられる。これらの加熱時の加熱温度の上限値としては、135℃程度が挙げられる。
本明細書においては、粘着剤層が硬化した後の支持シートを、特に、粘着剤層が硬化していない状態での支持シートと区別するために、「硬化済み支持シート」と称することがある。
本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、18~28℃の温度等が挙げられる。
本実施形態において、ワークとしては、例えば、ウエハ、半導体装置パネル等が挙げられる。
前記ウエハとしては、シリコン、ゲルマニウム、セレン等の元素半導体や、GaAs、GaP、InP、CdTe、ZnSe、SiC等の化合物半導体、で構成される半導体ウエハ;サファイア、ガラス等の絶縁体で構成される絶縁体ウエハが挙げられる。
これらウエハを代表とするワークの一方の面上には、回路が形成されており、本明細書においては、このように回路が形成されている側のワークの面を「回路面」と称する。そして、ワークの回路面とは反対側の面を「裏面」と称する。
ウエハは、ダイシング等の手段により分割され、チップとなる。本明細書においては、ウエハの場合と同様に、回路が形成されている側のチップの面を「回路面」と称し、チップの回路面とは反対側の面を「裏面」と称する。
ワークの回路面には、いずれもバンプ、ピラー等の突状電極が設けられていることが好ましい。突状電極は、はんだで構成されていることが好ましい。
前記半導体装置パネルは、半導体装置の製造過程で取り扱うものであり、その具体例としては、1個又は2個以上の電子部品が封止樹脂によって封止された状態の半導体装置を用い、複数個のこれら半導体装置が、円形、矩形等の形状の領域内に、平面的に配置されて構成されたものが挙げられる。
本実施形態において、ワーク加工物は、ワークを加工して得られたものであり、例えば、ワークがウエハである場合、ワーク加工物としてはチップが挙げられ、ワークが半導体ウエハである場合、ワーク加工物としては半導体チップが挙げられる。
本明細書において、「エネルギー線」とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味する。エネルギー線の例としては、紫外線、放射線、電子線等が挙げられる。紫外線は、例えば、紫外線源として高圧水銀ランプ、ヒュージョンランプ、キセノンランプ、ブラックライト又はLEDランプ等を用いることで照射できる。電子線は、電子線加速器等によって発生させたものを照射できる。
本明細書において、「エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射することにより硬化する性質を意味し、「非エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射しても硬化しない性質を意味する。
本明細書において、「非硬化性」とは、加熱やエネルギー線の照射等、如何なる手段によっても、硬化しない性質を意味する。
図1は、本発明の一実施形態に係る支持シートの一例を模式的に示す断面図である。なお、以下の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
ここに示す支持シート1は、基材11と、基材11の一方の面11a上に設けられた粘着剤層12と、を備えて構成されている。支持シート1は、さらに、粘着剤層12の基材11側とは反対側の面12a上に設けられた剥離フィルム13を備えている。
基材11の一方の面11aは、マット面である。
粘着剤層12は、エネルギー線硬化性化合物(α)を含有しており、エネルギー線硬化性である。
支持シート1を用いて測定した前記粘着力(X1)は、400mN/25mm以下である。
本実施形態の支持シートは、図1に示すものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、図1に示すものにおいて、一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
例えば、図1に示す支持シート1は、剥離フィルム13を備えているが、本実施形態の支持シートにおいて、剥離フィルムは任意の構成であり、本実施形態の支持シートは剥離フィルムを備えていなくてもよい。
例えば、図1に示す支持シート1は、基材11と、粘着剤層12と、剥離フィルム13と、を備えているが、本実施形態の支持シートは、基材と、粘着剤層と、剥離フィルムと、のいずれにも該当しない他の層を備えていてもよい。前記他の層は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。ただし、本実施形態の支持シートにおいては、基材及び粘着剤層が互いに直接接触して設けられ、粘着剤層及び剥離フィルムが互いに直接接触して設けられていることが好ましい。
次に、本実施形態の支持シートを構成する各層の詳細について、説明する。
<<粘着剤層、粘着剤組成物(I)>>
前記粘着剤層は、シート状又はフィルム状であり、前記エネルギー線硬化性化合物(α)を含有し、エネルギー線硬化性である。粘着剤層は、その硬化前及び硬化後での物性を調節できる。
粘着剤層は1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよく、複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
本明細書においては、粘着剤層の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよいし、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、1~100μmであることが好ましく、3~60μmであることがより好ましく、5~30μmであることがさらに好ましく、8~25μmであることが特に好ましい。粘着剤層の厚さがこのような範囲であることで、基材のマット面の粘着剤層による埋め込み性がより良好となり、ワーク加工物の硬化済み支持シートからの上述のピックアップ性がより高くなる。
ここで、「粘着剤層の厚さ」とは、粘着剤層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる粘着剤層の厚さとは、粘着剤層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
本明細書においては、粘着剤層の場合に限らず「厚さ」とは、特に断りのない限り、対象物において無作為に選出された5箇所で測定した厚さの平均で表される値であり、JIS K7130に準じて、定圧厚さ測定器を用いて取得できる。
粘着剤層は、エネルギー線硬化性化合物(α)を含有する粘着剤組成物(I)を用いて形成できる。例えば、粘着剤層の形成対象面に粘着剤組成物(I)を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に粘着剤層を形成できる。粘着剤組成物(I)における、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、粘着剤層における前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。
粘着剤層において、粘着剤層の総質量に対する、粘着剤層の1種又は2種以上の後述する含有成分の合計含有量の割合は、100質量%を超えない。
同様に、粘着剤組成物(I)において、粘着剤組成物(I)の総質量に対する、粘着剤組成物(I)の1種又は2種以上の後述する含有成分の合計含有量の割合は、100質量%を超えない。
粘着剤組成物(I)の塗工は、公知の方法で行えばよく、例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、キスコーター等の各種コーターを用いる方法が挙げられる。
粘着剤組成物(I)の乾燥条件は、特に限定されない。ただし、粘着剤組成物(I)は、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましい。そして、溶媒を含有する粘着剤組成物(I)は、例えば、70~130℃で10秒~5分の条件で、加熱乾燥させることが好ましい。
基材上に粘着剤層を設ける場合には、例えば、基材上に粘着剤組成物(I)を塗工し、必要に応じて乾燥させればよい。また、例えば、剥離フィルム上に粘着剤組成物(I)を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、剥離フィルム上に粘着剤層を形成しておき、この粘着剤層の露出面を、基材の一方の表面(より具体的にはマット面)と貼り合わせることで、基材上に粘着剤層を積層してもよい。この場合の剥離フィルムは、支持シートの製造過程又は使用過程のいずれかのタイミングで、取り除けばよい。
<エネルギー線硬化性化合物(α)>
前記エネルギー線硬化性化合物(α)は、その23℃での粘度が350mPa・s以下であり、エネルギー線硬化性を有していれば、特に限定されない。
23℃でのエネルギー線硬化性化合物(α)の粘度は、例えば、320mPa・s以下、220mPa・s以下、120mPa・s以下、及び60mPa・s以下のいずれかであってもよい。前記粘度が低いほど、基材のマット面の粘着剤層による埋め込み性が高くなる。
23℃でのエネルギー線硬化性化合物(α)の粘度の下限値は、特に限定されない。例えば、前記粘度が5mPa・s以上であるエネルギー線硬化性化合物(α)は、より容易に入手できる。
23℃でのエネルギー線硬化性化合物(α)の粘度は、例えば、5~350mPa・s、5~320mPa・s、5~220mPa・s、5~120mPa・s、及び5~60mPa・s以下のいずれかであってもよい。ただし、これらは、前記粘度の一例である。
23℃でのエネルギー線硬化性化合物(α)の粘度は、例えば、単一円筒型のB形(ブルックフィード形)回転粘度計を用いて、測定できる。
エネルギー線硬化性化合物(α)としては、例えば、エネルギー線重合性不飽和基を有し、エネルギー線の照射により硬化可能なモノマー又はオリゴマーが挙げられる。
1分子のエネルギー線硬化性化合物(α)は、前記エネルギー線重合性不飽和基を1個又は2個以上有し、3個以上有していてもよいが、1個又は2個有することが好ましい。
エネルギー線重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の両方を包含する概念である。(メタ)アクリロイル基と類似の用語についても同様であり、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する概念である。
エネルギー線硬化性化合物(α)は、置換基を有していてもよい(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましい。置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル中の、アルコールに由来する炭化水素基(オキシカルボニル基(-O-C(=O)-)中のカルボニル基を構成していない酸素原子に結合している炭化水素基)の中の、1個又は2個以上の炭素原子が、この炭素原子に結合している水素原子と共に(例えば、-CH-、=CH-の単位で)、置換基で置換された構造を有する化合物が挙げられる。ただし、隣接する2個の炭素原子は置換基で置換されないものとする。
エネルギー線硬化性化合物(α)である前記(メタ)アクリル酸エステル中の前記炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよく、環状である場合には、単環状及び多環状のいずれであってもよい。前記炭化水素基は、鎖状構造(直鎖状構造及び分岐鎖状構造のいずれか一方又は両方)並びに環状構造をともに有していてもよい。
前記炭化水素基は、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれであってもよく、前記脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基のいずれであってもよい。本明細書においては、脂肪族基のみを有し、芳香族環式基を有しない炭化水素基は脂肪族炭化水素基であり、脂肪族基と芳香族環式基を共に有するか、又は、芳香族環式基のみを有する炭化水素基は、芳香族炭化水素基である。
前記炭化水素基は、環状構造を有すること、すなわち、環状の炭化水素基であるか、又は、鎖状構造及び環状構造をともに有する炭化水素基であることが好ましい。
前記炭化水素基は、アルキル基、アルキレン基又はアラルキル基(アリールアルキル基)であることが好ましい。
前記置換基は、複数個の原子が結合した構造を有する原子団であってもよいし、1個の原子であってもよい。
好ましい前記置換基としては、例えば、酸素原子(-O-)等が挙げられる。
前記炭化水素基が前記置換基を有する場合、置換基の数は、炭化水素基の種類によって適宜調節されるが、通常、1~4個であることが好ましく、1~3個であることがより好ましい。
前記炭化水素基の炭素数は、3~20であることが好ましく、例えば、3~16、3~12、及び3~8のいずれかであってもよいし、4~20、9~20、及び13~20のいずれかであってもよいし、4~16、及び9~14のいずれかであってもよい。ただし、これらは、前記炭素数の一例である。ここで、「炭化水素基の炭素数」とは、炭化水素基が前記置換基を有する場合には、置換基で置換される前の炭化水素基の炭素数を意味する。例えば、炭化水素基が置換基として酸素原子(-O-)のみを有する場合には、炭化水素基の炭素数とは、この酸素原子をメチレン基(-CH-)等の置換前の基に置き換えたときの炭化水素基の炭素数を意味する。
前記炭化水素基は、環状構造を有し、かつ置換基として酸素原子を有していてもよい炭化水素基であることが好ましく;鎖状構造及び環状構造をともに有し、かつ置換基として酸素原子を有していてもよい炭化水素基であることがより好ましく;置換基として酸素原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であることがさらに好ましく;置換基として酸素原子を有する脂肪族基と、置換基を有しない芳香族環式基と、をともに有する芳香族炭化水素基である(本明細書においては、この場合のエネルギー線硬化性化合物(α)を「エネルギー線硬化性化合物(α1)」と称することがある)か、置換基を有しない環状構造と、置換基を有しない鎖状構造と、を共に有する脂肪族炭化水素基である(本明細書においては、この場合のエネルギー線硬化性化合物(α)を「エネルギー線硬化性化合物(α2)」と称することがある)か、又は、置換基として酸素原子を有する環状構造と、置換基を有しない鎖状構造と、を共に有する脂肪族炭化水素基である(本明細書においては、この場合のエネルギー線硬化性化合物(α)を「エネルギー線硬化性化合物(α3)」と称することがある)ことがさらに好ましい。このようなエネルギー線硬化性化合物(α)を用いることにより、基材のマット面の粘着剤層による埋め込み性がより高くなる。
前記エネルギー線硬化性化合物(α1)の一例としては、実施例で後述するエネルギー線硬化性化合物(α)-1が挙げられる。
前記エネルギー線硬化性化合物(α2)の一例としては、実施例で後述するエネルギー線硬化性化合物(α)-2が挙げられる。
前記エネルギー線硬化性化合物(α3)の一例としては、実施例で後述するエネルギー線硬化性化合物(α)-3が挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物(α)の分子量は、特に限定されないが、500以下であることが好ましい。このようなエネルギー線硬化性化合物(α)を用いることにより、基材のマット面の粘着剤層による埋め込み性が、より高くなる。
エネルギー線硬化性化合物(α)の分子量は、100~500であることが好ましく、200~400であることがより好ましく、例えば、200~310、及び200~280のいずれかであってもよいし、250~400、及び310~400のいずれかであってもよいし、250~310であってもよい。前記分子量が前記上限値以下であることで、基材のマット面の粘着剤層による埋め込み性が、さらに高くなる。前記分子量が前記下限値以上であることで、粘着剤層の構造がより安定化する。ただし、これらは、エネルギー線硬化性化合物(α)の分子量の一例である。
エネルギー線硬化性化合物(α1)、エネルギー線硬化性化合物(α2)及びエネルギー線硬化性化合物(α3)で、ここに示すいずれかの分子量を有するものは、特に好ましいエネルギー線硬化性化合物(α)である。
エネルギー線硬化性化合物(α)は、(メタ)アクリル酸エステル中の、アルコールに由来する炭化水素基の中の、1個又は2個以上の炭素原子が、この炭素原子に結合している水素原子と共に置換基で置換された構造を有していてもよい(メタ)アクリル酸エステルであって、前記炭化水素基が環状構造を有し、分子量が500以下の化合物であることが好ましい。
このようなエネルギー線硬化性化合物(α)は、前記炭化水素基がアルキル基、アルキレン基又はアラルキル基であるものが好ましく、前記置換基が酸素原子であるものが好ましく、前記エネルギー線硬化性化合物(α1)、前記エネルギー線硬化性化合物(α2)又は前記エネルギー線硬化性化合物(α3)であることが好ましく、上述のさらに限定されたいずれかの数値範囲の分子量であるものが好ましく、これら4条件の1以上を同時に満たすものがより好ましい。
粘着剤層及び粘着剤組成物(I)が含有するエネルギー線硬化性化合物(α)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する、エネルギー線硬化性化合物(α)の含有量の割合は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上、及び14質量%以上のいずれかであってもよい。一方、前記割合は、100質量%以下である。
この内容は、粘着剤層における、粘着剤層の総質量に対する、エネルギー線硬化性化合物(α)の含有量の割合が、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上、及び14質量%以上のいずれかであってもよく、前記割合は100質量%以下である、ことと同義である。
これは、溶媒を含有する樹脂組成物から溶媒を除去して、樹脂膜を形成する過程では、溶媒以外の成分の量は、通常、変化しないことに基づいており、樹脂組成物と樹脂膜とでは、溶媒以外の成分同士の含有量の比率は同じである。そこで、本明細書においては、以降、粘着剤層の場合に限らず、溶媒以外の成分の含有量については、樹脂組成物から溶媒を除去した樹脂膜での含有量のみ記載する。
<エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)>
前記粘着剤層及び粘着剤組成物(I)は、さらに、エネルギー線硬化性アクリル樹脂を含有する(本明細書においては、「エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)」とも称する)ことが好ましい。エネルギー線硬化性化合物(α)及びエネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)を含有する粘着剤層は、基材のマット面の埋め込み性と、粘着力(X1)と、の双方を調節することが、より容易である。
前記エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)としては、例えば、非エネルギー線硬化性アクリル樹脂の側鎖に、不飽和基が導入された構造を有する樹脂が挙げられる。
[非エネルギー線硬化性アクリル樹脂]
前記非エネルギー線硬化性アクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位と、官能基含有モノマー由来の構成単位と、を有するアクリル重合体が挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、そのアルキルエステルを構成するアルキル基の炭素数が、1~20であるのものが挙げられる。前記アルキルエステルを構成するアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルのうち、前記アルキル基が直鎖状又は分岐鎖状であるものとして、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸イコシル等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルのうち、前記アルキル基が環状であるものとして、例えば、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等が挙げられる。
上記の中でも、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、粘着力(X1)をより小さくできる点では、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル(アクリル酸ラウリル)、又はメタクリル酸ドデシル(メタクリル酸ラウリル)であることが好ましい。
前記官能基含有モノマーとしては、例えば、前記官能基が後述する架橋剤と反応することで架橋の起点となったり、前記官能基が後述する不飽和基含有化合物中の、非エネルギー線硬化性アクリル樹脂と結合(反応)可能な基と、反応することで、アクリル重合体の側鎖に不飽和基の導入を可能とするものが挙げられる。
前記官能基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
前記水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;ビニルアルコール、アリルアルコール等の非(メタ)アクリル不飽和アルコール((メタ)アクリロイル骨格を有しない不飽和アルコール)等が挙げられる。
これらの中でも、前記水酸基含有モノマーは、粘着力(X1)をより小さくできる点では、メタクリル酸ヒドロキシアルキルであることが好ましく、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル又はメタクリル酸2-ヒドロキシブチルであることがより好ましい。
前記カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するモノカルボン酸);フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するジカルボン酸);前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の無水物;2-カルボキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸カルボキシアルキルエステル等が挙げられる。
前記エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
前記官能基含有モノマーは、水酸基含有モノマーであることが好ましい。
非エネルギー線硬化性アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位と、前記官能基含有モノマー由来の構成単位と、のいずれにも該当しない他のモノマー由来の構成単位を有していてもよい。
前記他のモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等と共重合可能なものであれば特に限定されない。
前記他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド等が挙げられる。
非エネルギー線硬化性アクリル樹脂が有する、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位と、前記官能基含有モノマー由来の構成単位と、前記他のモノマー由来の構成単位は、それぞれ、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
非エネルギー線硬化性アクリル樹脂において、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位の含有量は、構成単位の全量に対して、65~99質量%であることが好ましい。
非エネルギー線硬化性アクリル樹脂において、官能基含有モノマー由来の構成単位の含有量は、構成単位の全量に対して、1~35質量%であることが好ましい。
非エネルギー線硬化性アクリル樹脂において、前記他のモノマー由来の構成単位の含有量は、構成単位の全量に対して、0~10質量%であることが好ましい。
エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)は、例えば、非エネルギー線硬化性アクリル樹脂中の前記官能基に、エネルギー線重合性不飽和基を有する不飽和基含有化合物を反応させることで得られる。
前記不飽和基含有化合物は、前記エネルギー線重合性不飽和基以外に、さらに非エネルギー線硬化性アクリル樹脂中の官能基と反応することで、非エネルギー線硬化性アクリル樹脂と結合可能な基を有する化合物である。
前記エネルギー線重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基(エテニル基)、アリル基(2-プロペニル基)等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
非エネルギー線硬化性アクリル樹脂中の前記官能基と結合可能な基としては、例えば、水酸基又はアミノ基と結合可能なイソシアネート基及びグリシジル基、並びにカルボキシ基又はエポキシ基と結合可能な水酸基及びアミノ基等が挙げられる。
前記不飽和基含有化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
非エネルギー線硬化性アクリル樹脂中の前記官能基に、エネルギー線重合性不飽和基を有する不飽和基含有化合物を反応させることで、エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)を得るときに、非エネルギー線硬化性アクリル樹脂中の前記官能基の総モル数に対する、前記不飽和基含有化合物中の前記不飽和基の総モル数は、0.6倍以上及び0.75倍以上のいずれかであってもよいが、0.8倍以上であることが好ましく、0.85倍以上であることがより好ましく、0.9倍以上であることがさらに好ましい。前記不飽和基の総モル数が多いほど、粘着力(X1)をより小さくでき、ワーク加工物の硬化済み支持シートからのピックアップ性を、より高くできる傾向にある。
一方、非エネルギー線硬化性アクリル樹脂中の前記官能基の総モル数に対する、前記不飽和基含有化合物中の前記不飽和基の総モル数は、1倍以下であることが好ましい。
粘着剤層及び粘着剤組成物(I)が含有するエネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤層及び粘着剤組成物(I)がエネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)を含有する場合、粘着剤層における、粘着剤層の総質量に対する、エネルギー線硬化性化合物(α)の含有量の割合は、5~50質量%であることが好ましく、例えば、5~35質量%、及び5~25質量%のいずれかであってもよいし、10~50質量%、及び14~50質量%のいずれかであってもよいし、10~35質量%であってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、基材のマット面の粘着剤層による埋め込み性がより高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、上述のワーク加工物を支持シートから異常無くピックアップできるピックアップ性が、より高くなる。
粘着剤層及び粘着剤組成物(I)がエネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)を含有する場合、粘着剤層における、粘着剤層の総質量に対する、エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)の含有量の割合は、50~95質量%であることが好ましく、例えば、65~95質量%、及び75~95質量%のいずれかであってもよいし、50~90質量%、及び50~86質量%のいずれかであってもよいし、65~90質量%であってもよい。前記割合が、前記下限値以上であることで、上述のワーク加工物を支持シートから異常無くピックアップできるピックアップ性が、より高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、基材のマット面の粘着剤層による埋め込み性がより高くなる。
<他の成分>
粘着剤層及び粘着剤組成物(I)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、エネルギー線硬化性化合物(α)と、エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)と、のいずれにも該当しない、他の成分を含有していてもよい。
前記他の成分としては、例えば、架橋剤(β)、光重合開始剤(γ)、添加剤等が挙げられる。
粘着剤層及び粘着剤組成物(I)が含有する前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[架橋剤(β)]
エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)の調製時に、非エネルギー線硬化性アクリル樹脂中の前記官能基として、前記不飽和基含有化合物と未反応のものが残存した場合、エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)は、この官能基を有する。このようなエネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)を用いる場合には、粘着剤層及び粘着剤組成物(I)は、さらに、架橋剤(β)を含有していてもよい。前記架橋剤(β)を含有する粘着剤層及び粘着剤組成物(I)では、エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)同士が架橋され得る。
架橋剤(β)としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、これらジイソシアネートのアダクト体等のイソシアネート系架橋剤(イソシアネート基を有する架橋剤);エチレングリコールグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤(グリシジル基を有する架橋剤);ヘキサ[1-(2-メチル)-アジリジニル]トリフオスファトリアジン等のアジリジン系架橋剤(アジリジニル基を有する架橋剤);アルミニウムキレート等の金属キレート系架橋剤(金属キレート構造を有する架橋剤);イソシアヌレート系架橋剤(イソシアヌル酸骨格を有する架橋剤)等が挙げられる。
これらの中でも、架橋剤(β)は、粘着力(X1)を後述の範囲とすることがより容易となる点では、ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト体、又はヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体であることが好ましい。
粘着剤層及び粘着剤組成物(I)が含有する架橋剤(β)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤層において、架橋剤(β)の含有量は、エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)の含有量100質量部に対して、0.1~7質量部であることが好ましく、例えば、0.1~5質量部、及び0.1~3質量部のいずれかであってもよいし、0.5~7質量部、1~7質量部、及び3~7質量部のいずれかであってもよいし、0.5~5質量部、及び1~3質量部のいずれかであってもよい。
[光重合開始剤(γ)]
粘着剤層及び粘着剤組成物(I)は、さらに光重合開始剤(γ)を含有していてもよい。光重合開始剤(γ)を含有する粘着剤層及び粘着剤組成物(I)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
前記光重合開始剤(γ)としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール等のベンゾイン化合物;アセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-(4-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル)フェニル)-2-メチルプロパン-1-オン等のアセトフェノン化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド化合物;ベンジルフェニルスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のスルフィド化合物;1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα-ケトール化合物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;チタノセン等のチタノセン化合物;チオキサントン等のチオキサントン化合物;パーオキサイド化合物;ジアセチル等のジケトン化合物;ベンジル;ジベンジル;ベンゾフェノン;2,4-ジエチルチオキサントン;1,2-ジフェニルメタン;2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン;1-クロロアントラキノン、2-クロロアントラキノン等のキノン化合物が挙げられる。
光重合開始剤(γ)としては、例えば、アミン等の光増感剤等を用いることもできる。
これらの中でも、光重合開始剤(γ)は、粘着力(X1)を後述の範囲とすることがより容易となる点では、2-ヒドロキシ-1-(4-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル)フェニル)-2-メチルプロパン-1-オンであることが好ましい。
粘着剤層及び粘着剤組成物(I)が含有する光重合開始剤(γ)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤層において、光重合開始剤(γ)の含有量は、粘着剤層のエネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)の含有の有無によらず、エネルギー線硬化性化合物(α)と、エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)と、の合計含有量100質量部に対して、0.5~5質量部であることが好ましく、例えば、1~4質量部、及び1.5~3.5質量部のいずれかであってもよい。
[添加剤]
前記添加剤としては、例えば、帯電防止剤、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、充填材(フィラー)、防錆剤、着色剤(顔料、染料)、増感剤、粘着付与剤、反応遅延剤、架橋促進剤(触媒)等の公知の添加剤が挙げられる。
前記反応遅延剤とは、例えば、粘着剤組成物(I)中に混入している触媒の作用によって、保管中の粘着剤組成物(I)において、目的としない架橋反応が進行するのを抑制する成分である。反応遅延剤としては、例えば、触媒に対するキレートによってキレート錯体を形成するものが挙げられ、より具体的には、1分子中にカルボニル基(-C(=O)-)を2個以上有する成分が挙げられる。
粘着剤層及び粘着剤組成物(I)が含有する添加剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I)の添加剤の含有量は、特に限定されず、その種類に応じて適宜選択すればよい。
[溶媒]
粘着剤組成物(I)は、溶媒を含有していてもよい。粘着剤組成物(I)は、溶媒を含有していることで、塗工対象面への塗工適性が向上する。
前記溶媒は有機溶媒であることが好ましく、前記有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン;酢酸エチル等のエステル(カルボン酸エステル);テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;シクロヘキサン、n-ヘキサン等の脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;1-プロパノール、2-プロパノール等のアルコール等が挙げられる。
粘着剤組成物(I)が含有する溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I)の溶媒の含有量は、特に限定されず、適宜調節すればよい。
<粘着剤層の一実施形態>
好ましい粘着剤層及び粘着剤組成物(I)の一例としては、エネルギー線硬化性化合物(α)、エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)、架橋剤(β)及び光重合開始剤(γ)を含有するものが挙げられる。
<粘着剤組成物(I)の製造方法>
粘着剤組成物(I)は、エネルギー線硬化性化合物(α)と、必要に応じてエネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)等の、粘着剤組成物(I)を構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15~30℃であることが好ましい。
<<基材>>
前記基材は、シート状又はフィルム状であり、その構成材料としては、例えば、各種樹脂が挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン;ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ノルボルネン樹脂等のポリエチレン以外のポリオレフィン;エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-ノルボルネン共重合体等のエチレン系共重合体(モノマーとしてエチレンを用いて得られた共重合体);ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂(モノマーとして塩化ビニルを用いて得られた樹脂);ポリスチレン;ポリシクロオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート、すべての構成単位が芳香族環式基を有する全芳香族ポリエステル等のポリエステル;2種以上の前記ポリエステルの共重合体;ポリ(メタ)アクリル酸エステル;ポリウレタン;ポリウレタンアクリレート;ポリイミド;ポリアミド;ポリカーボネート;フッ素樹脂;ポリアセタール;変性ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリスルホン;ポリエーテルケトン等が挙げられる。
また、前記樹脂としては、例えば、前記ポリエステルとそれ以外の樹脂との混合物等のポリマーアロイも挙げられる。前記ポリエステルとそれ以外の樹脂とのポリマーアロイは、ポリエステル以外の樹脂の量が比較的少量であるものが好ましい。
また、前記樹脂としては、例えば、ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上が架橋した架橋樹脂;ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上を用いたアイオノマー等の変性樹脂も挙げられる。
上記の中でも、基材の構成材料である前記樹脂は、基材の高温(135℃程度)での耐熱性と、可撓性と、がより高くなる点では、ポリプロピレン又はポリブチレンテレフタレートが好ましい。
基材を構成する樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
基材は、前記樹脂等の主たる構成材料以外に、充填材、着色剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒、軟化剤(可塑剤)等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。
前記支持シートにおいては、粘着剤層がエネルギー線硬化性であるため、基材はエネルギー線を透過させるものが好ましく、透明であることが好ましい。
基材においては、その少なくとも一方の面がマット面であり、両面がマット面であってもよく、一方の面がマット面であり、他方の面が、凹凸度が小さいツヤ面であってもよい。
前記支持シートにおいては、基材のマット面上に粘着剤層が設けられている。そして、基材の両面がマット面である場合には、表面粗さ(Ra)が大きい方のマット面上に、粘着剤層が設けられていることが好ましい。
基材のマット面は、基材の一定値以上の粗さを有する面であり、光沢度が低いことから、その外観によって明瞭に識別できる。少なくとも一方の面がマット面である基材は、市販品として入手可能であり、公知の方法で作製も可能である。
基材のマット面の表面粗さ(Ra)は、0.05μm以上であることが好ましく、例えば、0.1μm以上、0.4μm以上、及び0.7μm以上のいずれかであってもよい。前記表面粗さが前記下限値以上であることで、基材のマット面の粘着剤層による埋め込み性が高い、という本発明の効果が、より顕著に得られる。また、基材を重ね合わせて保管したときの基材のブロッキングが、より抑制される。
基材のマット面の表面粗さ(Ra)の上限値は、特に限定されない。例えば、表面の凹凸度が過剰に大きくならない点では、前記表面粗さは2μm以下であることが好ましい。
基材のマット面の表面粗さ(Ra)は、例えば、0.05~2μm、0.1~2μm、0.4~2μm、及び0.7~2μmのいずれかであってもよい。ただし、これらは、前記表面粗さの一例である。
本明細書において、「表面粗さ(Ra)」とは、基材のマット面に限定されず、JIS B0601:2001に準拠して求められる、いわゆる算術平均粗さを意味する。
基材のツヤ面の表面粗さ(Ra)は、0.05μm未満であることが好ましく、例えば、0.04μm以下であってもよい。前記表面粗さがこのような範囲であることで、後述の支持シートの、400~800nmの波長域での光透過率の平均値が、より高くなる。
基材のツヤ面の表面粗さ(Ra)の下限値は、特に限定されない。例えば、基材を重ね合わせて保管したときの基材のブロッキングが抑制される点では、前記表面粗さは0.01μm以上であることが好ましい。
基材のツヤ面の表面粗さ(Ra)は、例えば、0.01μm以上0.05μm未満、及び0.01~0.04μmのいずれかであってもよい。ただし、これらは、前記表面粗さの一例である。
基材の両面の表面粗さ(Ra)は、例えば、基材の成形条件や、表面処理条件等により、調節できる。ここで表面処理としては、例えば、サンドブラスト処理、溶剤処理等による凹凸化処理と、研磨処理等による平滑化処理と、が挙げられる。
基材は、その上に設けられる粘着剤層との接着性を調節するために、コロナ放電処理、電子線照射処理、プラズマ処理、オゾン・紫外線照射処理、火炎処理、クロム酸処理、熱風処理等の酸化処理;親油処理;親水処理等が表面に施されていてもよい。基材の表面はプライマー処理されていてもよい。
基材は1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよく、複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
基材の厚さは、50~300μmであることが好ましく、60~100μmであることがより好ましい。基材の厚さがこのような範囲であることで、前記支持シートの耐熱性(例えば135℃程度)と、可撓性と、ワークへの貼付適性がより向上する。
ここで、「基材の厚さ」とは、基材全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる基材の厚さとは、基材を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
基材は、公知の方法で製造できる。例えば、樹脂を含有する基材は、前記樹脂を含有する樹脂組成物を成形することで製造できる。
<<剥離フィルム>>
前記剥離フィルムは、公知のものであってよい。
剥離フィルムとして、より具体的には、例えば、剥離フィルム用基材の一方の面又は両面が、剥離処理面であるものが挙げられる。前記剥離フィルム用基材は、ポリエチレンテレフタレート製フィルムであることが好ましい。
前記剥離処理面は、剥離フィルム用基材の表面を、公知の剥離処理剤によって剥離処理することで形成できる。
剥離フィルムの厚さは、例えば、2~300μmであってもよく、20~100μmであることが好ましい。
次に、前記支持シート(粘着剤層)の物性について説明する。
<粘着力(X1)>
前記粘着力(X1)は、400mN/25mm以下であり、340mN/25mm以下であることが好ましく、例えば、280mN/25mm以下、220mN/25mm以下、及び180mN/25mm以下のいずれかであってもよい。粘着力(X1)が小さいほど、ワーク加工物を硬化済み支持シートから異常無くピックアップできるピックアップ性が高くなる。
粘着力(X1)の下限値は、特に限定されない。例えば、粘着力(X1)が30mN/25mm以上である粘着剤層は、より容易に形成できる。
粘着力(X1)は、例えば、30~400mN/25mm、30~340mN/25mm、30~280mN/25mm、30~220mN/25mm、及び30~180mN/25mm以下のいずれかであってもよい。ただし、これらは、粘着力(X1)の一例である。
粘着力(X1)は、例えば、以下に示す方法で測定できる。
すなわち、はじめに、支持シートから、幅が25mmの試験片を切り出す。
次いで、この試験片(支持シート)を、その中の粘着剤層によってシリコンミラーウエハのミラー面に貼付することで、試験片付きシリコンミラーウエハを作製する。このときの貼付は、常温下で行うことが好ましく、貼付速度を290~310mm/minとし、貼付圧力を0.3MPaとして、ラミネートローラーを用いて、行うことが好ましい。
次いで、得られた試験片付きシリコンミラーウエハを、130℃で2時間加熱する。
次いで、試験片付きシリコンミラーウエハを、放冷によりその温度が23℃になるまで冷却した後、照度230mW/cm、光量200mJ/cmの条件で、この冷却後の試験片付きシリコンミラーウエハ中の粘着剤層に対して、基材越しにエネルギー線を照射することで、試験片中の粘着剤層を硬化させる。
次いで、常温下で、剥離速度を300mm/minとして、シリコンミラーウエハから試験片を剥離する。このとき、シリコンミラーウエハの試験片が貼付されていた面と、試験片のシリコンミラーウエハが貼付されていた面と、が180°の角度を為すように、試験片をその長さ方向へ剥離する、いわゆる180°剥離を行う。そして、この180°剥離のときの荷重(剥離力)を測定し、測定の長さを50mmとして、最初の長さ5mm分での測定値と、最後の長さ5mm分での測定値を、有効値から除外する。そして、その測定値の平均値を粘着力(X1)(mN/25mm)として採用する。
本実施形態においては、このような剥離力の測定を、2枚以上の複数枚の試験片(支持シート)に対して行い、得られた複数の測定値の平均値を、粘着力(X1)として採用してもよい。
<粘着力(X2)>
前記支持シートを、前記粘着剤層によってシリコンミラーウエハのミラー面に貼付し、貼付後の前記粘着剤層を130℃で加熱し、加熱後の前記粘着剤層と、前記シリコンミラーウエハと、の間の粘着力(X2)(本明細書においては、単に「粘着力(X2)」と称することがある)を測定したとき、前記粘着力(X2)が13000mN/25mm以上であることが好ましい。このような支持シートを用いることで、ワーク又はワーク加工物が貼付された状態の支持シートを高温で加熱した後であっても、ワークの加工や、ワーク加工物の水洗などによって、ワーク加工物に大きな力が加えられても、ワーク加工物の支持シートからの剥離が抑制される。
前記粘着力(X2)は、14000mN/25mm以上であることがより好ましく、例えば、14700mN/25mm以上、15400mN/25mm以上、及び16100mN/25mm以上のいずれかであってもよい。粘着力(X2)が大きいほど、上述のワーク加工物の支持シートからの剥離が抑制される効果が、より高くなる。
粘着力(X2)の上限値は、特に限定されない。例えば、粘着力(X2)が19000mN/25mm以下である粘着剤層は、より容易に形成できる。
粘着力(X2)は、例えば、13000~19000mN/25mm、14000~19000mN/25mm、14700~19000mN/25mm、15400~19000mN/25mm、及び16100~19000mN/25mmのいずれかであってもよい。ただし、これらは、粘着力(X2)の一例である。
粘着力(X2)は、例えば、以下に示す方法で測定できる。
すなわち、粘着力(X1)の測定時と同じ方法で、試験片付きシリコンミラーウエハを作製し、130℃で2時間加熱した後、放冷によりその温度が23℃になるまで冷却する。
次いで、23℃の環境下で、剥離速度を300mm/minとして、この冷却後のシリコンミラーウエハから試験片を剥離する。このとき、シリコンミラーウエハの試験片が貼付されていた面と、試験片のシリコンミラーウエハが貼付されていた面と、が180°の角度を為すように、試験片をその長さ方向へ剥離する、いわゆる180°剥離を行う。そして、この180°剥離のときの荷重(剥離力)を測定し、測定の長さを50mmとして、最初の長さ5mm分での測定値と、最後の長さ5mm分での測定値を、有効値から除外する。そして、その測定値の平均値を粘着力(X2)(mN/25mm)として採用する。
本実施形態においては、このような剥離力の測定を、2枚以上の複数枚の試験片(支持シート)に対して行い、得られた複数の測定値の平均値を、粘着力(X2)として採用してもよい。
<粘着力(Y1)>
前記支持シートを、前記粘着剤層によってステンレス鋼(SUS)板の表面に貼付し、貼付後の前記粘着剤層を130℃で加熱し、加熱後の前記粘着剤層をエネルギー線硬化させ、前記粘着剤層のエネルギー線硬化物と、前記ステンレス鋼板と、の間の粘着力(Y1)(本明細書においては、単に「粘着力(Y1)」と称することがある)を測定したとき、前記粘着力(Y1)が300mN/25mm以上であることが好ましい。
後述するワーク加工物の製造方法においては、ワークと、前記ワークに設けられた支持シートと、を備えた支持シート付きワークが、リングフレームに固定される。そして、この状態で、ワークからワーク加工物が作製され、支持シート中の粘着剤層がエネルギー線硬化物とされて、硬化済み支持シートとなる。すなわち、粘着剤層のエネルギー線硬化後には、支持シート付きワークからは、ワークと、前記ワークに設けられた硬化済み支持シートと、を備えた硬化済み支持シート付きワーク;ワーク加工物と、前記ワーク加工物に設けられた硬化済み支持シートと、を備えた硬化済み支持シート付きワーク加工物等が得られる。このように、粘着剤層のエネルギー線硬化後には、ワーク又はワーク加工物と、硬化済み支持シートと、の積層物が、リングフレームには固定される。
そして、前記粘着力(Y1)が300mN/25mm以上である支持シートを用いることで、支持シート付きワークが、リングフレームに固定された状態で、さらに加熱され、その後に、支持シート(粘着剤層)のリングフレームとの接触部にエネルギー線が照射されてしまっても、上述のワーク又はワーク加工物と、硬化済み支持シートと、の積層物の、リングフレームからの剥離が抑制される。
前記粘着力(Y1)は、400mN/25mm以上であることがより好ましく、例えば、500mN/25mm以上、及び600mN/25mm以上のいずれかであってもよい。粘着力(Y1)が大きいほど、上述のワーク又はワーク加工物と、硬化済み支持シートと、の積層物の、リングフレームからの剥離が抑制される効果が、より高くなる。
粘着力(Y1)の上限値は、特に限定されない。例えば、粘着力(Y1)が2000mN/25mm以下である粘着剤層は、より容易に形成できる。
粘着力(Y1)は、例えば、300~2000mN/25mm、400~2000mN/25mm、500~2000mN/25mm、及び600~2000mN/25mmのいずれかであってもよい。ただし、これらは、粘着力(Y1)の一例である。
粘着力(Y1)は、例えば、以下に示す方法で測定できる。
すなわち、はじめに、支持シートから、幅が25mmの試験片を切り出す。
次いで、この試験片(支持シート)を、その中の粘着剤層によって、厚さ1000μmのSUS板の一方の面に貼付することで、試験片付きSUS板を作製する。このときの貼付は、常温下で行うことが好ましく、貼付速度を290~310mm/minとし、貼付圧力を0.3MPaとして、ラミネートローラーを用いて、行うことが好ましい。
次いで、得られた試験片付きSUS板を、130℃で2時間加熱する。
次いで、試験片付きSUS板を、放冷によりその温度が23℃になるまで冷却した後、照度230mW/cm、光量200mJ/cmの条件で、この冷却後の試験片付きSUS板中の粘着剤層に対して、基材越しにエネルギー線を照射することで、試験片中の粘着剤層を硬化させる。
次いで、常温下で、剥離速度を300mm/minとして、SUS板から試験片を剥離する。このとき、SUS板の試験片が貼付されていた面と、試験片のSUS板が貼付されていた面と、が180°の角度を為すように、試験片をその長さ方向へ剥離する、いわゆる180°剥離を行う。そして、この180°剥離のときの荷重(剥離力)を測定し、測定の長さを50mmとして、最初の長さ5mm分での測定値と、最後の長さ5mm分での測定値を、有効値から除外する。そして、その測定値の平均値を粘着力(Y1)(mN/25mm)として採用する。
本実施形態においては、このような剥離力の測定を、2枚以上の複数枚の試験片(支持シート)に対して行い、得られた複数の測定値の平均値を、粘着力(Y1)として採用してもよい。
<粘着力(Y2)>
前記支持シートを、前記粘着剤層によってステンレス鋼(SUS)板の表面に貼付し、貼付後の前記粘着剤層を130℃で加熱し、加熱後の前記粘着剤層と、前記ステンレス鋼板と、の間の粘着力(Y2)(本明細書においては、単に「粘着力(Y2)」と称することがある)を測定したとき、前記粘着力(Y2)が13000mN/25mm以上であることが好ましい。このような支持シートを用いることで、後述するワーク加工物の製造方法において、支持シート付きワーク、又は、ワーク加工物と、前記ワーク加工物に設けられた支持シートと、を備えた支持シート付きワーク加工物が、リングフレームに固定された状態で、さらに加熱されても、支持シート付きワーク又は支持シート付きワーク加工物のリングフレームからの剥離が抑制される。
前記粘着力(Y2)は、14000mN/25mm以上であることがより好ましく、例えば、15000mN/25mm以上、16000mN/25mm以上、及び17000mN/25mm以上のいずれかであってもよい。粘着力(Y2)が大きいほど、上述の支持シート付きワーク又は支持シート付きワーク加工物のリングフレームからの剥離が抑制される効果が、より高くなる。
粘着力(Y2)の上限値は、特に限定されない。例えば、粘着力(Y2)が20000mN/25mm以下である粘着剤層は、より容易に形成できる。
粘着力(Y2)は、例えば、13000~20000mN/25mm、14000~20000mN/25mm、15000~20000mN/25mm、16000~20000mN/25mm、及び17000~20000mN/25mmのいずれかであってもよい。ただし、これらは、粘着力(Y2)の一例である。
粘着力(Y2)は、例えば、以下に示す方法で測定できる。
すなわち、粘着力(Y1)の測定時と同じ方法で、試験片付きSUS板を作製し、130℃で2時間加熱した後、放冷によりその温度が23℃になるまで冷却する。
次いで、23℃の環境下で、剥離速度を300mm/minとして、この冷却後のSUS板から試験片を剥離する。このとき、SUS板の試験片が貼付されていた面と、試験片のSUS板が貼付されていた面と、が180°の角度を為すように、試験片をその長さ方向へ剥離する、いわゆる180°剥離を行う。そして、この180°剥離のときの荷重(剥離力)を測定し、測定の長さを50mmとして、最初の長さ5mm分での測定値と、最後の長さ5mm分での測定値を、有効値から除外する。そして、その測定値の平均値を粘着力(Y2)(mN/25mm)として採用する。
本実施形態においては、このような剥離力の測定を、2枚以上の複数枚の試験片(支持シート)に対して行い、得られた複数の測定値の平均値を、粘着力(Y2)として採用してもよい。
<粘着力(X0)>
前記支持シートを、前記粘着剤層によってシリコンミラーウエハのミラー面に貼付し、前記支持シートを備えた前記シリコンミラーウエハを、23℃の温度条件下で30分間静置保管し、前記粘着剤層と、前記シリコンミラーウエハと、の間の粘着力(X0)(本明細書においては、単に「粘着力(X0)」と称することがある)を測定したとき、前記粘着力(X0)が2000mN/25mm以上であることが好ましい。このような支持シートを用いることで、ワーク又はワーク加工物が支持シートに貼付された状態で、ワークの負荷の大きい加工(例えば、半導体ウエハの高速でのダイシング)や、ワーク加工物の負荷の大きい水洗(例えば、ダイシング後の半導体チップの高い水圧での水洗)など、ワーク加工物により大きな力が加えられても、ワーク加工物の支持シートからの剥離が抑制される。
前記粘着力(X0)は、2500mN/25mm以上であることがより好ましく、例えば、3000mN/25mm以上、3500mN/25mm以上、及び4000mN/25mm以上のいずれかであってもよい。粘着力(X0)が大きいほど、上述のワーク加工物の支持シートからの剥離が抑制される効果が、より高くなる。
粘着力(X0)の上限値は、特に限定されない。例えば、粘着力(X0)と、粘着剤層の他の物性値と、の両立の点では、粘着力(X0)は6000mN/25mm以下であることが好ましい。
粘着力(X0)は、例えば、2000~6000mN/25mm、2500~6000mN/25mm、3000~6000mN/25mm、3500~6000mN/25mm、及び4000~6000mN/25mmのいずれかであってもよい。ただし、これらは、粘着力(X0)の一例である。
粘着力(X0)は、例えば、以下に示す方法で測定できる。
すなわち、はじめに、支持シートから、幅が25mmの試験片を切り出す。
次いで、この試験片(支持シート)を、その中の粘着剤層によってシリコンミラーウエハのミラー面に貼付することで、試験片付きシリコンミラーウエハを作製する。このときの貼付は、常温下で行うことが好ましく、貼付速度を290~310mm/minとし、貼付圧力を0.3MPaとして、ラミネートローラーを用いて、行うことが好ましい。
次いで、この試験片付きシリコンミラーウエハを、23℃の温度条件下で30分間静置保管する。
次いで、常温下で、剥離速度を300mm/minとして、シリコンミラーウエハから試験片を剥離する。このとき、シリコンミラーウエハの試験片が貼付されていた面と、試験片のシリコンミラーウエハが貼付されていた面と、が180°の角度を為すように、試験片をその長さ方向へ剥離する、いわゆる180°剥離を行う。そして、この180°剥離のときの荷重(剥離力)を測定し、測定の長さを50mmとして、最初の長さ5mm分での測定値と、最後の長さ5mm分での測定値を、有効値から除外する。そして、その測定値の平均値を粘着力(X0)(mN/25mm)として採用する。
本実施形態においては、このような剥離力の測定を、2枚以上の複数枚の試験片(支持シート)に対して行い、得られた複数の測定値の平均値を、粘着力(X0)として採用してもよい。
<粘着剤層の粘着力の調節方法>
上述の粘着剤層の各種粘着力、すなわち、加熱後の粘着剤層のエネルギー線硬化物と、シリコンミラーウエハと、の間の粘着力(X1);加熱後の粘着剤層と、シリコンミラーウエハと、の間の粘着力(X2);加熱後の粘着剤層のエネルギー線硬化物と、SUS板と、の間の粘着力(Y1);加熱後の粘着剤層と、SUS板と、の間の粘着力(Y2);粘着剤層とシリコンミラーウエハとの間の粘着力(X0)は、粘着剤層の含有成分の種類と含有量を調節することで、調節できる。
例えば、メタクリル基を有する官能基含有モノマー由来の構成単位を有するエネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)を、粘着剤層に含有させることで、粘着力(X1)を低くできる。
例えば、ガラス転移温度が比較的高いエネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)を、粘着剤層に含有させることで、粘着力(X1)を低くできる。
例えば、前記アクリル重合体中の官能基(例えば、水酸基)に、前記不飽和基含有化合物中の前記官能基と結合可能な基(例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート中のイソシアネート基)を反応させるときに、前記アクリル重合体中の前記官能基の総モル数に対する、前記不飽和基含有化合物中の前記官能基と結合可能な基の総モル数を、比較的多い量 (例えば、0.75倍以上)としてエネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)を調製し、このようなエネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)を粘着剤層に含有させることで、粘着力(X1)を低くできる。
例えば、粘着剤層がエネルギー線硬化性化合物(α)を含有することによって、エネルギー線硬化性化合物(α)を含有しない場合よりも、粘着力(X2)を高くできるが、エネルギー線硬化性化合物(α)の種類を調節することで、粘着力(X2)をさらに高くできる。
例えば、前記アクリル重合体中の官能基(例えば、水酸基)に、前記不飽和基含有化合物中の前記官能基と結合可能な基(例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート中のイソシアネート基)を反応させて得られたエネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)を用いるときに、前記アクリル重合体由来の未反応の前記官能基が少ない(換言すると、架橋剤(β)と反応可能な前記官能基が少ない)エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)を粘着剤層に含有させることで、粘着力(X2)を高くできる。
例えば、粘着剤層の架橋剤(β)の含有量を少なくすることで、粘着力(X2)を高くできる。
例えば、メタクリル基を有する官能基含有モノマー由来の構成単位を有するエネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)を、粘着剤層に含有させることで、粘着力(Y1)を高くできる。
例えば、前記置換基として酸素原子(-O-)を有する(メタ)アクリル酸エステルを、エネルギー線硬化性化合物(α)として、粘着剤層に含有させることで、粘着力(Y1)を高くできる。
例えば、前記アクリル重合体中の官能基(例えば、水酸基)に、前記不飽和基含有化合物中の前記官能基と結合可能な基(例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート中のイソシアネート基)を反応させて得られたエネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)を用いるときに、前記アクリル重合体由来の未反応の前記官能基が少ない(換言すると、架橋剤(β)と反応可能な前記官能基が少ない)エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)を粘着剤層に含有させることで、粘着力(Y1)を高くできる。
例えば、粘着剤層の架橋剤(β)の含有量を少なくすることで、粘着力(Y1)を高くできる。
例えば、粘着剤層がエネルギー線硬化性化合物(α)を含有することによって、エネルギー線硬化性化合物(α)を含有しない場合よりも、粘着力(Y2)を高くできるが、エネルギー線硬化性化合物(α)の種類を調節することで、粘着力(Y2)をさらに高くできる。
例えば、前記アクリル重合体中の官能基(例えば、水酸基)に、前記不飽和基含有化合物中の前記官能基と結合可能な基(例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート中のイソシアネート基)を反応させて得られたエネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)を用いるときに、前記アクリル重合体由来の未反応の前記官能基が少ない(換言すると、架橋剤(β)と反応可能な前記官能基が少ない)エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)を粘着剤層に含有させることで、粘着力(Y2)を高くできる。
例えば、粘着剤層の架橋剤(β)の含有量を少なくすることで、粘着力(Y2)を高くできる。
例えば、前記アクリル重合体中の官能基(例えば、水酸基)に、前記不飽和基含有化合物中の前記官能基と結合可能な基(例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート中のイソシアネート基)を反応させて得られたエネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)を用いるときに、前記アクリル重合体由来の未反応の前記官能基が少ない(換言すると、架橋剤(β)と反応可能な前記官能基が少ない)エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)を粘着剤層に含有させることで、粘着力(X0)を高くできる。
例えば、粘着剤層の架橋剤(β)の含有量を少なくすることで、粘着力(X0)を高くできる。
例えば、エネルギー線硬化性化合物(α)、エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)及び架橋剤(β)を含有する粘着剤層においては、架橋剤(β)として、環構造を有しない鎖状構造のものを用いることで、環構造を有するものを用いた場合よりも、粘着力(Y2)を高くし、粘着力(X1)を低くできる傾向にある。
例えば、エネルギー線硬化性化合物(α)、エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)及び架橋剤(β)を含有する粘着剤層においては、架橋剤(β)として、ジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体等のウレタン結合を有するものを用いることで、ウレタン結合を有しないものを用いた場合よりも、粘着力(Y2)を高くし、粘着力(X1)を低くできる傾向にある。
例えば、エネルギー線硬化性化合物(α)、エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)及び架橋剤(β)を含有する粘着剤層においては、エネルギー線硬化性化合物(α)の含有量を少なくすることで、多くした場合よりも、粘着力(X1)を低くできる。
<支持シートの光透過率(400~800nm)の平均値>
前記支持シートの光透過率(400~800nm)の平均値は、80%以上であることが好ましく、例えば、82%以上、及び84%以上のいずれかであってもよい。前記光透過率(400~800nm)の平均値が前記下限値以上であることで、ワーク加工物が支持シート上で保持されている状態で、支持シート越しに、ワーク加工物での割れや欠け等の破損(例えばチッピング)の有無を検査するときに、検査精度が高くなる。
前記光透過率(400~800nm)の平均値の上限値は、特に限定されない。例えば、前記光透過率(400~800nm)の平均値が95%以下である支持シートは、より容易に製造できる。
前記光透過率(400~800nm)の平均値は、例えば、80~95%、82~95%、及び84~95%のいずれかであってもよい。ただし、これらは、前記光透過率(400~800nm)の平均値の一例である。
ただし、本明細書においては、特に断りのない限り、支持シートの光透過率とは、400~800nmの波長域での光透過率に限らず、剥離フィルムを備えていない状態での支持シートの光透過率を意味する。
前記支持シートの光透過率(400~800nm)の平均値は、例えば、以下に示す方法で算出できる。
すなわち、支持シートに対して、その基材側の外部から光を照射し、積分球を使用せずに、直接受光により、光線透過率を測定し、400~800nmの波長範囲で、1nmごとに、波長がn(nm)である場合の光透過率の値T(式中、nは400~800の整数である)を測定する。そして、nが400~800である場合のTをすべて合算し、その合計値T400-800を算出する。得られたT400-800を、Tの測定数(すなわち、800-400+1=401)で除する(T400-800/401)ことにより、支持シートの光透過率(400~800nm)の平均値を算出できる。
前記支持シートの光透過率(400~800nm)の平均値は、例えば、基材の含有成分の種類と含有量、基材の両面の粗さ(例えば、表面粗さ(Ra))等を調節することで、調節できる。また、前記支持シートの光透過率(400~800nm)の平均値は、粘着剤層の含有成分の種類と含有量を調節することでも、調節できる。
<支持シートの一例>
前記支持シートは、粘着力(X1)以外に、さらに、粘着力(X2)、粘着力(Y1)、粘着力(Y2)、粘着力(X0)、及び光透過率(400~800nm)の平均値からなる群より選択される1種又は2種以上が、上述のいずれかの数値範囲であることが好ましい。
すなわち、好ましい支持シートの一例としては、例えば、下記条件(1-1):
(1-1) 加熱後の粘着剤層のエネルギー線硬化物と、シリコンミラーウエハと、の間の粘着力(X1)が、400mN/25mm以下である。
を満たし、かつ、下記条件(1-2)~(1-6):
(1-2) 加熱後の粘着剤層と、シリコンミラーウエハと、の間の粘着力(X2)が、13000mN/25mm以上である。
(1-3) 加熱後の粘着剤層のエネルギー線硬化物と、SUS板と、の間の粘着力(Y1)が、300mN/25mm以上である。
(1-4) 加熱後の粘着剤層と、SUS板と、の間の粘着力(Y2)が、13000mN/25mm以上である。
(1-5) 粘着剤層とシリコンミラーウエハとの間の粘着力(X0)が、2000mN/25mm以上である。
(1-6) 支持シートの光透過率(400~800nm)の平均値が、80%以上である。
からなる群より選択される1種又は2種以上を満たす支持シート、が挙げられる。
より好ましい支持シートの一例としては、例えば、前記条件(1-1)~(1-6)をすべて満たす支持シートが挙げられる。
ここに例示する支持シートにおいては、粘着力(X1)、粘着力(X2)、粘着力(Y1)、粘着力(Y2)、粘着力(X0)、及び光透過率(400~800nm)の平均値からなる群より選択される1種又は2種以上が、先に説明したいずれかの数値範囲にさらに限定されていることが、特に好ましい。
◇支持シートの製造方法
前記支持シートは、これを構成する上述の各層を対応する位置関係となるように積層し、必要に応じて、一部又はすべての層の形状を調節することで、製造できる。各層の形成方法は、先に説明したとおりである。
例えば、基材の一方の面(マット面)上に上述の粘着剤組成物(I)を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、支持シートを製造できる。
剥離フィルムの一方の面上に粘着剤組成物(I)を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、剥離フィルム上に粘着剤層を形成しておき、この粘着剤層の露出面を、基材の一方の面(マット面)と貼り合わせることでも、支持シートを製造できる。このとき、粘着剤組成物(I)は、剥離フィルムの剥離処理面に塗工することが好ましい。
このように粘着剤層を基材と貼り合わせるときに加える圧力(貼付圧力)は、0.2~0.6MPaであることが好ましい。前記圧力が前記下限値以上であることで、粘着剤層と基材との間の密着力を十分に大きくでき、かつ、基材のマット面の粘着剤層による埋め込み性をより高くできる。前記圧力が前記上限値以下であることで、過剰な加圧が避けられる。
このような粘着剤層と基材との貼り合わせは、例えば、15℃以上の温度条件下で行うことが好ましく、常温下で行ってもよい。
前記他の層を備えた支持シートは、例えば、基材上又は粘着剤層上の適切な箇所に、前記他の層を形成するための組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、他の層を形成し、必要に応じて、さらに必要な層を積層することで、製造できる。また、基材上又は粘着剤層上の適切な箇所に、フィルム状の他の層を積層することで、他の層を設け、必要に応じて、さらに必要な層を積層することでも、製造できる。
◇保護膜形成用複合シート
前記支持シートは、保護膜形成フィルムと積層することで、保護膜形成用複合シートを構成できる。すなわち、前記保護膜形成用複合シートは、前記支持シートと、前記支持シート中の前記粘着剤層の前記基材側とは反対側の面上に設けられた保護膜形成フィルムと、を備えている。より具体的には、前記保護膜形成用複合シートは、基材と、前記基材の一方の面上に設けられた粘着剤層と、前記粘着剤層の前記基材側とは反対側の面上に設けられた保護膜形成フィルムと、を備える。前記保護膜形成用複合シートは、さらに、保護膜形成フィルムの前記粘着剤層側とは反対側の面上に設けられた剥離フィルムを備えていてもよい。
<<保護膜形成フィルム>>
前記保護膜形成フィルムは、前記ワーク加工物のいずれかの箇所に保護膜を形成するためのフィルムである。前記保護膜形成用複合シートを用いることにより、ワーク加工物と、前記ワーク加工物のいずれかの箇所に設けられた保護膜と、を備えた保護膜付きワーク加工物を製造できる。例えば、ワークがウエハである場合、前記保護膜形成用複合シートを用いることにより、チップと、前記チップの裏面に設けられた保護膜と、を備えた保護膜付きチップを製造できる。
前記保護膜形成フィルムは、硬化性であってもよいし、非硬化性であってもよい。すなわち、前記保護膜形成フィルムは、その硬化によって保護膜として機能するものであってもよいし、硬化していない状態で保護膜として機能するものであってもよい。
硬化性の保護膜形成フィルムは、熱硬化性及びエネルギー線硬化性のいずれであってもよく、熱硬化性及びエネルギー線硬化性の両方の特性を有していてもよい。
保護膜形成フィルムは、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。保護膜形成フィルムが複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
熱硬化性保護膜形成フィルムとしては、例えば、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)を含有するものが挙げられる。
重合体成分(A)としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。
熱硬化性成分(B)としては、例えば、エポキシ系熱硬化性樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。
本明細書において、熱硬化性ポリイミド樹脂とは、熱硬化することによってポリイミド樹脂を形成する、ポリイミド前駆体と、熱硬化性ポリイミドと、の総称である。
前記エポキシ系熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂(B1)及び熱硬化剤(B2)からなる。
熱硬化性保護膜形成フィルムは、これらの成分以外に、さらに、硬化促進剤(C)、充填材(D)、カップリング剤(E)、架橋剤(F)、エネルギー線硬化性樹脂(G)、光重合開始剤(H)、着色剤(I)及び汎用添加剤(J)からなる群より選択される1種又は2種以上を含有していてもよい。
エネルギー線硬化性保護膜形成フィルムとしては、例えば、エネルギー線硬化性成分(a)を含有するものが挙げられる。
エネルギー線硬化性成分(a)としては、例えば、エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80000~2000000の重合体(a1)、エネルギー線硬化性基を有する、分子量が100~80000の化合物(a2)等が挙げられる。
エネルギー線硬化性保護膜形成フィルムは、エネルギー線硬化性成分(a)以外に、さらに、エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)を含有することが好ましい。
エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。
エネルギー線硬化性保護膜形成フィルムは、エネルギー線硬化性成分(a)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)以外に、さらに、着色剤、熱硬化性成分、熱硬化剤、充填材、カップリング剤、架橋剤、光重合開始剤及び汎用添加剤からなる群より選択される1種又は2種以上を含有していてもよい。
非硬化性保護膜形成フィルムとしては、例えば、重合体成分を含有するものが挙げられる。
前記重合体成分としては、例えば、上述の熱硬化性保護膜形成フィルムの含有成分として挙げた重合体成分(A)等の、硬化性ではない樹脂と同様のものが挙げられる。
非硬化性保護膜形成フィルムは、前記重合体成分以外に、さらに、着色剤、充填材、カップリング剤、架橋剤及び汎用添加剤からなる群より選択される1種又は2種以上を含有していてもよい。
保護膜形成フィルムの厚さは、1~100μmであることが好ましい。保護膜形成フィルムの厚さが前記下限値以上であることで、保護能がより高い保護膜を形成できる。保護膜形成フィルムの厚さが前記上限値以下であることで、保護膜の厚さが過剰となることが避けられる。
ここで、「保護膜形成フィルムの厚さ」とは、保護膜形成フィルム全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる保護膜形成フィルムの厚さとは、保護膜形成フィルムを構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
保護膜形成フィルムは、その構成材料を含有する保護膜形成用組成物(熱硬化性保護膜形成フィルムを形成するための熱硬化性保護膜形成用組成物、エネルギー線硬化性保護膜形成フィルムを形成するためのエネルギー線硬化性保護膜形成用組成物、非硬化性保護膜形成フィルムを形成するための非硬化性保護膜形成用組成物)を用いて形成できる。例えば、保護膜形成フィルムは、その形成対象面に保護膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、形成できる。保護膜形成用組成物における、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、保護膜形成フィルムにおける前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。
◇保護膜形成用複合シートの製造方法
前記保護膜形成用複合シートは、これを構成する上述の各層を対応する位置関係となるように積層し、必要に応じて、一部又はすべての層の形状を調節することで、製造できる。各層の形成方法は、先に説明したとおりである。
例えば、剥離フィルムの一方の面上に保護膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、剥離フィルム上に保護膜形成フィルムを形成しておき、この保護膜形成フィルムの露出面(剥離フィルム側とは反対側の面)を、支持シート中の粘着剤層の露出面(基材側とは反対側の面)と貼り合わせることで、保護膜形成用複合シートを製造できる。保護膜形成用組成物は、剥離フィルムの剥離処理面に塗工することが好ましい。
◇ワーク加工物の製造方法(支持シートの使用方法)
前記支持シートは、ワーク加工物の製造に用いることができる。
すなわち、本発明の一実施形態に係るワーク加工物の製造方法は、前記支持シート中の前記粘着剤層を、ワークとリングフレームに貼付することにより、前記ワークと、前記ワークに設けられた前記支持シートと、を備えた支持シート付きワークを、前記リングフレームに固定する貼付工程と、前記貼付工程の後に、前記リングフレームに固定した前記支持シート中の前記粘着剤層を加熱する加熱工程と、前記貼付工程の後に、前記リングフレームに固定した前記支持シート付きワーク中の前記ワークを加工することにより、前記ワーク加工物を作製する加工工程と、前記加熱工程及び加工工程の後に、前記リングフレームに貼付した前記粘着剤層をエネルギー線硬化させる硬化工程と、前記硬化工程の後に、前記粘着剤層の硬化物から前記ワーク加工物を引き離してピックアップするピックアップ工程と、を有する。
ワークが半導体ウエハである場合のワーク加工物の製造方法、すなわち半導体チップの製造方法としては、前記支持シート中の前記粘着剤層を、半導体ウエハとリングフレームに貼付することにより、前記半導体ウエハと、前記半導体ウエハに設けられた前記支持シートと、を備えた支持シート付き半導体ウエハを、前記リングフレームに固定する貼付工程と、前記貼付工程の後に、前記リングフレームに固定した前記支持シート中の前記粘着剤層を加熱する加熱工程と、前記貼付工程の後に、前記リングフレームに固定した前記支持シート付き半導体ウエハ中の前記半導体ウエハを分割することにより、前記半導体チップを作製する加工工程と、前記加熱工程及び加工工程の後に、前記リングフレームに貼付した前記粘着剤層をエネルギー線硬化させる硬化工程と、前記硬化工程の後に、前記粘着剤層の硬化物から前記半導体チップを引き離してピックアップするピックアップ工程と、を有する製造方法が挙げられる。
前記貼付工程の後、前記加熱工程及び加工工程を行う順番は、目的に応じて任意に選択でき、例えば、加熱工程を行ってから加工工程を行ってもよいし、加工工程を行ってから加熱工程を行ってもよい。例えば、前記製造方法においては、ワークの表面に付着している低分子量の樹脂成分等の異物を、揮発によって除去するために、加熱工程を行うことができる。この場合の加熱工程は、加工工程の前後のいずれであっても、行うことができる。また、前記製造方法においては、ワークのダイシング等の加工時に発生し、ワーク加工物の表面に付着している微細な異物を水によって洗浄し、除去した後に、ワーク加工物等を乾燥させるために、加熱工程を行うことができる。この場合の加熱工程は、加工工程の後に行う。そして、前記製造方法においては、これら異物の除去のための加熱工程と、乾燥のための加熱工程と、をともに行ってもよく、これら加熱工程を一括で行ってもよい。
<<ワーク加工物の製造方法の一例>>
図2は、ワークが半導体ウエハである場合の前記製造方法の一例を模式的に説明するための断面図である。ここでは、図1に示す支持シート1を用いた場合の製造方法について説明する。
<貼付工程>
前記貼付工程においては、支持シート1中の粘着剤層12を、ワークである半導体ウエハ9(より具体的には、半導体ウエハ9の裏面9b)と、リングフレーム8と、に貼付することにより、図2(a)に示すように、半導体ウエハ9と、半導体ウエハ9の裏面9bに設けられた支持シート1と、を備えた支持シート付き半導体ウエハ109を、リングフレーム8に固定する。支持シート付き半導体ウエハ109は、前記支持シート付きワークである。
支持シート1は、剥離フィルム13を取り除いてから用いる。粘着剤層12の基材11側とは反対側の面12aは、支持シート1の一方の面(粘着剤層12側の面)1aと同じである。
図2においては、半導体ウエハ9において、回路面9a上のバンプ等の図示を省略している。
貼付工程においては、粘着剤層12のうち、その幅方向における中央寄りの領域を半導体ウエハ9に貼付し、この半導体ウエハ9への貼付領域を取り囲む領域を、リングフレーム8に貼付する。
支持シート1(粘着剤層12)の半導体ウエハ9とリングフレーム8への貼付は、常温下で行うことができる。
支持シート1(粘着剤層12)を半導体ウエハ9とリングフレーム8へ貼付するときの貼付速度は、特に限定されないが、200~400mm/minであることが好ましい。
<加熱工程>
前記貼付工程の後、前記加熱工程においては、図2(b)に示すように、リングフレーム8に固定した支持シート1中の粘着剤層12を加熱する。この場合の粘着剤層12の加熱は、支持シート付き半導体ウエハ109全体の加熱に伴うものであり、この加熱によって、例えば、半導体ウエハ9の表面(例えば、回路面9a)に付着している低分子量の樹脂成分等の異物を、揮発によって除去できる。
粘着剤層12(支持シート付き半導体ウエハ109)の加熱時の温度(加熱温度)は、100~135℃であることが好ましい。加熱温度が前記下限値以上であることで、加熱による効果が十分得られる。加熱温度が前記上限値以下であることで、過剰な加熱が避けられ、例えば、支持シート付き半導体ウエハ109の劣化が抑制される。
支持シート1において、前記粘着力(Y2)が13000mN/25mm以上である場合には、前記加熱工程において、支持シート付き半導体ウエハ109がリングフレーム8に固定された状態で加熱されても、支持シート付き半導体ウエハ109のリングフレーム8からの剥離が抑制される。
<加工工程>
前記貼付工程及び加熱工程の後、前記加工工程においては、図2(c)に示すように、リングフレーム8に固定した、加熱後の支持シート付き半導体ウエハ109中の半導体ウエハ9を分割することにより、ワーク加工物である半導体チップ90を作製する。加工工程により、1枚の支持シート1上で複数個の半導体チップ90が整列して保持されて構成されている、支持シート付き半導体チップ群901が得られる。
符号90aは、半導体ウエハ9の回路面9aに対応する、半導体チップ90の回路面を示している。
符号90bは、半導体ウエハ9の裏面9bに対応する、半導体チップ90の裏面を示している。
半導体ウエハ9の分割は、公知の方法で行うことができる。例えば、ブレードを用いるブレードダイシング、レーザー照射によるレーザーダイシング、又は研磨剤を含む水の吹き付けによるウォーターダイシング等の各ダイシングによって、半導体ウエハ9を分割できる。
また、半導体ウエハ9として、ステルスダイシング(登録商標)によって改質層を形成し、かつ分割を行っていないものを用い、半導体ウエハ9を、その回路面9a又は裏面9bに対して平行な方向においてエキスパンドすることでも、半導体ウエハ9を分割できる。
ステルスダイシング(登録商標)とは、以下のような方法である。すなわち、まず、半導体ウエハの内部において、分割予定箇所を設定し、この箇所を焦点として、この焦点に集束するように、レーザー光を照射することにより、半導体ウエハの内部に改質層を形成する。半導体ウエハの改質層は、半導体ウエハの他の箇所とは異なり、レーザー光の照射によって変質しており、強度が弱くなっている。そのため、半導体ウエハに力が加えられることにより、半導体ウエハの内部の改質層において、半導体ウエハの両面方向に延びる亀裂が発生し、半導体ウエハの分割(切断)の起点となる。次いで、半導体ウエハに力を加えて、前記改質層の部位において半導体ウエハを分割し、半導体チップを作製する。
支持シート1において、前記粘着力(X2)が13000mN/25mm以上である場合には、前記加熱工程において、半導体ウエハ9が貼付された状態の支持シート1(換言すると、支持シート付き半導体ウエハ109)を、135℃程度を上限値とする高温で加熱した後であっても、加工工程において、半導体ウエハ9の分割や、半導体チップ90の水洗などによって、半導体チップ90に大きな力が加えられても、半導体チップ90の支持シート1(粘着剤層12)からの剥離が抑制される。
支持シート1において、前記粘着力(X0)が2000mN/25mm以上である場合には、加工工程において、半導体ウエハ9を小さいサイズの半導体チップ90へ高速で分割したり、このような分割によって得られた、切削屑が多く付着している小さいサイズの半導体チップ90を、高い水圧で水洗することによって、半導体チップ90により大きな力が加えられても、半導体チップ90の支持シート1(粘着剤層12)からの剥離が抑制される。
<硬化工程>
前記加熱工程及び加工工程の後、前記硬化工程においては、図2(d)に示すように、リングフレーム8に貼付した粘着剤層12をエネルギー線硬化させる。硬化工程により、1枚の硬化済み支持シート1’上で、複数個の半導体チップ90が整列して保持されて、構成されている、硬化済み支持シート付き半導体チップ群901’が得られる。
支持シート1は、粘着剤層12がエネルギー線硬化されて、エネルギー線硬化物12’となることによって、硬化済み支持シート1’となる。
硬化済み支持シート付き半導体チップ群901’は、先に説明した、ワーク加工物と、硬化済み支持シートと、の積層物(換言すると、硬化済み支持シート付きワーク加工物)であり、粘着剤層12がそのエネルギー線硬化物12’となっている点を除けば、支持シート付き半導体チップ群901と同じである。
粘着剤層12のエネルギー線硬化時における(粘着剤層12にエネルギー線を照射するときの)、エネルギー線の照度は、60~320mW/cmであることが好ましく、エネルギー線の光量は、100~1000mJ/cmであることが好ましい。
エネルギー線は、基材11越しに(基材11を介して)、支持シート1の外部から、粘着剤層12に照射することが好ましい。
支持シート1において、前記粘着力(Y1)が300mN/25mm以上である場合には、前記加熱工程において、支持シート付き半導体ウエハ109がリングフレーム8に固定された状態で加熱され、さらに、硬化工程において、支持シート1(粘着剤層12)のリングフレーム8との接触部にエネルギー線が照射されてしまっても、硬化済み支持シート付き半導体チップ群901’のリングフレーム8からの剥離が抑制される。
<ピックアップ工程>
前記硬化工程の後、前記ピックアップ工程においては、図2(e)に示すように、硬化済み支持シート1’中の粘着剤層のエネルギー線硬化物12’から、半導体チップ90を引き離してピックアップすることにより、硬化済み支持シート付き半導体チップ群901’から、目的とする半導体チップ90を取り出すことができる。ここでは、ピックアップの方向を矢印Pで示している。
半導体チップ90のピックアップ時には、半導体チップ90の裏面90bと、粘着剤層のエネルギー線硬化物12’の基材11側とは反対側の面12a’と、の間で、剥離が生じる。このとき、粘着剤層のエネルギー線硬化物12’と半導体チップ90との間の粘着力は、粘着剤層12と半導体チップ90との間の粘着力よりも小さいため、半導体チップ90は粘着剤層のエネルギー線硬化物12’から容易に剥離し、容易にピックアップできる。
粘着剤層のエネルギー線硬化物12’の基材11側とは反対側の面12a’は、粘着剤層12の基材11側とは反対側の面12aに対応しており、硬化済み支持シート1’の一方の面(粘着剤層のエネルギー線硬化物12’側の面)1a’と同じである。
半導体チップ90のピックアップは、公知の方法で行うことができる。例えば、半導体チップ90を硬化済み支持シート1’(粘着剤層のエネルギー線硬化物12’)から引き離すための引き離し手段7としては、真空コレット等が挙げられる。
支持シート1において、前記粘着力(X1)が400mN/25mm以下であることで、前記加熱工程において、半導体ウエハ9が貼付された状態の支持シート1(換言すると、支持シート付き半導体ウエハ109)を、135℃程度を上限値とする高温で加熱した後であっても、支持シート1上で半導体ウエハ9から半導体チップ90を作製した後に、半導体チップ90を硬化済み支持シート1’から正常にピックアップでき、ピックアップ性が高い。
<他の工程>
前記製造方法は、貼付工程と、加熱工程と、加工工程と、硬化工程と、ピックアップ工程と、のいずれにも該当しない他の工程を有していてもよい。
前記他の工程の種類と、前記他の工程の数と、前記他の工程を行うタイミングは、いずれも目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。
<<ワーク加工物の製造方法の他の例>>
ここまでは、ワーク加工物の製造方法として、貼付工程、加熱工程、加工工程、硬化工程及びピックアップ工程を、この順に行う場合の製造方法(以下、「製造方法(1)」と称することがある)について説明したが、本実施形態のワーク加工物の製造方法は、これ(製造方法(1))に限定されない。例えば、前記製造方法においては、上述のとおり、加熱工程及び加工工程を行う順序が逆であってもよい。
<貼付工程>
このようなワーク加工物の製造方法(以下、「製造方法(2)」と称することがある)においては、まず、貼付工程を行う。製造方法(2)の前記貼付工程は、製造方法(1)の貼付工程と同じである。
<加工工程>
製造方法(2)の前記貼付工程の後、前記加工工程においては、リングフレームに固定した未加熱の支持シート付き半導体ウエハ中の半導体ウエハを分割することにより、ワーク加工物である半導体チップを作製する。加工工程により、加熱されていない点を除けば、製造方法(1)の場合と同じ支持シート付き半導体チップ群が得られる。
支持シートにおいて、前記粘着力(X0)が2000mN/25mm以上である場合には、加工工程において、半導体ウエハを小さいサイズの半導体チップへ高速で分割したり、このような分割によって得られた、切削屑が多く付着している小さいサイズの半導体チップを、高い水圧で水洗することによって、半導体チップにより大きな力が加えられても、半導体チップの支持シート(粘着剤層)からの剥離が抑制される。
<加熱工程>
製造方法(2)の前記貼付工程及び加工工程の後、前記加熱工程においては、リングフレームに固定した支持シート中の粘着剤層を加熱する。この場合の粘着剤層の加熱は、支持シート付き半導体チップ群全体の加熱に伴うものである。この加熱によって、例えば、半導体チップの表面(例えば、回路面)に付着している低分子量の樹脂成分等の異物を、揮発によって除去できる。また、半導体ウエハのダイシング時に発生し、半導体チップの表面に付着している微細な異物を水によって洗浄し、除去した後に、この加熱によって、半導体チップ等を乾燥させることができる。加熱工程により、製造方法(1)の場合と同様の支持シート付き半導体チップ群が得られる。
支持シートにおいて、前記粘着力(X2)が13000mN/25mm以上である場合には、前記加熱工程において、半導体チップが貼付された状態の支持シート(換言すると、支持シート付き半導体チップ群)を、135℃程度を上限値とする高温で加熱した後、半導体チップに大きな力が加えられても、半導体チップの支持シート(粘着剤層)からの剥離が抑制される。
支持シートにおいて、前記粘着力(Y2)が13000mN/25mm以上である場合には、前記加熱工程において、支持シート付き半導体チップ群がリングフレームに固定された状態で加熱されても、支持シート付き半導体チップ群のリングフレームからの剥離が抑制される。
<硬化工程>
製造方法(2)の前記加熱工程及び加工工程の後、前記硬化工程は、製造方法(1)の場合と同様に行うことができ、前記硬化工程により、製造方法(1)の場合と同様の硬化済み支持シート付き半導体チップ群が得られる。
支持シートにおいて、前記粘着力(Y1)が300mN/25mm以上である場合には、前記加熱工程において、半導体チップが貼付された状態の支持シート(換言すると、支持シート付き半導体チップ群)がリングフレームに固定された状態で加熱され、さらに、硬化工程において、支持シート(粘着剤層)のリングフレームとの接触部にエネルギー線が照射されてしまっても、硬化済み支持シート付き半導体チップ群のリングフレームからの剥離が抑制される。
<ピックアップ工程>
製造方法(2)の前記硬化工程の後、前記ピックアップ工程は、製造方法(1)の場合と同様に行うことができ、前記ピックアップ工程により、製造方法(1)の場合と同様の、目的とする半導体チップを取り出すことができる。
支持シートにおいて、前記粘着力(X1)が400mN/25mm以下であることで、前記加熱工程において、支持シート付き半導体チップ群を、135℃程度を上限値とする高温で加熱した後であっても、半導体チップを硬化済み支持シートから正常にピックアップでき、ピックアップ性が高い。
<他の工程>
製造方法(2)は、製造方法(1)の場合と同様の他の工程を有していてもよい。
製造方法(2)においても、前記他の工程の種類と、前記他の工程の数と、前記他の工程を行うタイミングは、いずれも目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
<樹脂の製造原料>
本実施例及び比較例において略記している、樹脂の製造原料の正式名称を、以下に示す。
2EHA:アクリル酸2-エチルへキシル
2EHMA:メタクリル酸2-エチルへキシル
HEA:アクリル酸2-ヒドロキシエチル
HEMA:メタクリル酸2-ヒドロキシエチル
MOI:2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート
<粘着剤組成物(I)の製造原料>
本実施例及び比較例において、粘着剤組成物(I)の製造時に用いた製造原料を、以下に示す。
4種の架橋剤(β)の23℃での粘度は、ビスコテック社製デジタル回転式粘度計「ビスコリード・アドバンス」を用いて測定した。
[エネルギー線硬化性化合物(α)]
(α)-1:2-(2-フェノキシエトキシ)エチルアクリレート、新中村化学工業社製「AMP-20GY」、23℃での粘度18mPa・s、分子量236.1
(α)-2:日本化薬社製「R-684」、23℃での粘度180mPa・s、分子量304.4)
(α)-3:(2-(1-(アクリロイルオキシ)-2-メチルプロパン-2-イル)-5-エチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチルアクリレート、新中村化学工業社製「A-DOG」、23℃での粘度310mPa・s、分子量326.4)
[他のエネルギー線硬化性化合物(α’)]
(α’)-1:新中村化学工業社製「ATM-4E」、23℃での粘度360mPa・s、分子量528.6
[架橋剤(β)]
(β)-1:1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートの トリメチロールプロパンアダクト体(東ソー社製「コロネートHL」)
(β)-2:ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(東ソー社製「コロネートHX」)
[光重合開始剤(γ)]
(γ)-1:2-ヒドロキシ-1-(4-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル)フェニル)-2-メチルプロパン-1-オン(IGM Resins社製「オムニラッド(登録商標) 127」)
Figure 2023144838000002
なお、エネルギー線硬化性化合物(α)-1及び(α)-3は、いずれも、置換基を有するアクリル酸エステルである。エネルギー線硬化性化合物(α)-1において、アルコールに由来する炭化水素基が有する置換基の数は2であり、前記炭化水素基の炭素数は12である。エネルギー線硬化性化合物(α)-3において、アルコールに由来する炭化水素基が有する置換基の数は2であり、前記炭化水素基の炭素数は13である。
一方、エネルギー線硬化性化合物(α)-2は、置換基を有しないアクリル酸エステルである。エネルギー線硬化性化合物(α)-2において、アルコールに由来する炭化水素基の炭素数は12である。
[実施例1]
<<支持シートの製造>>
<エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)の製造>
アクリル重合体(1)にMOIを加え、空気気流中において50℃で48時間付加反応を行うことで、エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)-1を得た。前記アクリル重合体(1)は、2EHA(35質量部)と、2EHMA(45質量部)と、HEMA(20質量部)と、の共重合体である。MOIの使用量は、前記アクリル重合体(1)中のHEMA由来の水酸基の総モル数に対して、MOI中のイソシアネート基の総モル数が、0.95倍となる量とした。得られたエネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)-1の重量平均分子量は440000であり、ガラス転移温度は-26℃である。
<粘着剤組成物(I)の製造>
エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)-1(100質量部)、エネルギー線硬化性化合物(α)-1(15質量部)、架橋剤(β)-1(1.17質量部)、及び光重合開始剤(γ)-1(3質量部)を含有し、さらに溶媒としてメチルエチルケトンを含有しており、溶媒以外のすべての成分の合計濃度が25質量%である、エネルギー線硬化性の粘着剤組成物(I)-1を調製した。なお、ここに示すメチルエチルケトン以外の成分の含有量はすべて、溶媒を含まない目的物の含有量である。
<粘着剤層の形成>
ポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理された剥離フィルム(第2剥離フィルム)を用い、その前記剥離処理面に、上記で得られた粘着剤組成物(I)-1を塗工し、100℃で2分加熱乾燥させることにより、厚さ15μmのエネルギー線硬化性の粘着剤層を形成した。
<支持シートの製造>
次いで、常温下で、この粘着剤層の露出面に、基材としてポリプロピレン製フィルム(ダイヤプラスフィルム社製、厚さ80μm)を、貼付速度を5m/minとし、0.4MPaの圧力を加えて貼り合わせた。このポリプロピレン製フィルムの一方の面は、その表面粗さ(Ra)が0.90μmのマット面であり、他方の面は、その表面粗さ(Ra)が0.12μmの微マット面であって、このポリプロピレン製フィルムの前記マット面に、前記粘着剤層を貼り合わせた。
以上により、目的とする支持シートを得た。
<<支持シートの評価>>
<加熱後の粘着剤層のエネルギー線硬化物とシリコンミラーウエハとの間の粘着力(X1)の測定>
上記で得られた支持シートから、幅が25mmの試験片を切り出した。
23℃の貼付温度条件(ラミネートローラーの温度23℃、シリコンミラーウエハの温度23℃)で、貼付速度を300mm/minとし、貼付圧力を0.3MPaとして、この試験片をその中の粘着剤層によって、シリコンミラーウエハ(厚さ650nm)のミラー面に貼付し、試験片付きシリコンミラーウエハを得た。この試験片付きシリコンミラーウエハを、130℃に温度調節したオーブンの内部に入れて、この温度(130℃)で2時間加熱した。
次いで、オーブンから試験片付きシリコンミラーウエハを取り出し、放冷によりその温度が23℃になるまで冷却した。そして、紫外線照射装置(リンテック社製「RAD-2000UV」)を用いて、照度230mW/cm、光量200mJ/cmの条件で、この取り出した試験片付きシリコンミラーウエハ中の粘着剤層に対して、基材越しに紫外線を照射することで、試験片中の粘着剤層を紫外線硬化させた。
次いで、23℃の環境下で、剥離速度を300mm/minとして、シリコンミラーウエハから前記試験片を剥離した。このとき、シリコンミラーウエハの前記試験片が貼付されていた面と、前記試験片のシリコンミラーウエハが貼付されていた面と、が180°の角度を為すように、前記試験片をその長さ方向へ剥離した(180°剥離を行った)。そして、この180°剥離のときの荷重(剥離力)を測定し、測定の長さを50mmとして、最初の長さ5mm分での測定値と、最後の長さ5mm分での測定値を、有効値から除外した。そして、その測定値の平均値を粘着力(mN/25mm)として採用した。
このような、粘着力の測定を2回行い、その時の平均値を、加熱後の粘着剤層のエネルギー線硬化物とシリコンミラーウエハとの間の粘着力(X1)(mN/25mm)として採用した。結果を表1に示す。
<加熱後の粘着剤層とシリコンミラーウエハとの間の粘着力(X2)の測定>
上記の粘着力(X1)の測定時と同じ方法で、試験片付きシリコンミラーウエハを作製し、130℃で2時間加熱し、放冷によりその温度が23℃になるまで冷却した。
次いで、23℃の環境下で、剥離速度を300mm/minとして、この冷却後のシリコンミラーウエハから前記試験片を剥離した。このとき、シリコンミラーウエハの前記試験片が貼付されていた面と、前記試験片のシリコンミラーウエハが貼付されていた面と、が180°の角度を為すように、前記試験片をその長さ方向へ剥離した(180°剥離を行った)。そして、この180°剥離のときの荷重(剥離力)を測定し、測定の長さを50mmとして、最初の長さ5mm分での測定値と、最後の長さ5mm分での測定値を、有効値から除外した。そして、その測定値の平均値を粘着力(mN/25mm)として採用した。
このような、粘着力の測定を2回行い、その時の平均値を、加熱後の粘着剤層とシリコンミラーウエハとの間の粘着力(X2)(mN/25mm)として採用した。結果を表1に示す。
<加熱後の粘着剤層のエネルギー線硬化物とSUS板との間の粘着力(Y1)の測定>
試験片の貼付を、前記シリコンミラーウエハのミラー面に代えて、SUS板(パルテック社製「SUS304 ♯1200HL、厚さ1000μm、サイズ70mm×150mm」)の♯1200研磨された面に対して行った点以外は、上記の粘着力(X1)の測定時と同じ方法で、試験片付きSUS板を得た。
次いで、この試験片付きSUS板について、上記の粘着力(X1)の測定時の試験片付きシリコンミラーウエハの場合と同じ方法で、130℃で2時間加熱し、放冷によりその温度が23℃になるまで冷却し、試験片付きSUS板中の粘着剤層に対して、基材越しに紫外線を照射することで、試験片中の粘着剤層を紫外線硬化させた。
次いで、23℃の環境下で、剥離速度を300mm/minとして、SUS板から前記試験片を剥離した。このとき、SUS板の前記試験片が貼付されていた面と、前記試験片のSUS板が貼付されていた面と、が180°の角度を為すように、前記試験片をその長さ方向へ剥離した(180°剥離を行った)。そして、この180°剥離のときの荷重(剥離力)を測定し、測定の長さを50mmとして、最初の長さ5mm分での測定値と、最後の長さ5mm分での測定値を、有効値から除外した。そして、その測定値の平均値を粘着力(mN/25mm)として採用した。
このような、粘着力の測定を2回行い、その時の平均値を、加熱後の粘着剤層のエネルギー線硬化物とSUS板との間の粘着力(Y1)(mN/25mm)として採用した。結果を表1に示す。
<加熱後の粘着剤層とSUS板との間の粘着力(Y2)の測定>
上記の粘着力(Y1)の測定時と同じ方法で、試験片付きSUS板を作製し、130℃で2時間加熱し、放冷によりその温度が23℃になるまで冷却した。
次いで、23℃の環境下で、剥離速度を300mm/minとして、この冷却後のSUS板から前記試験片を剥離した。このとき、SUS板の前記試験片が貼付されていた面と、前記試験片のSUS板が貼付されていた面と、が180°の角度を為すように、前記試験片をその長さ方向へ剥離した(180°剥離を行った)。そして、この180°剥離のときの荷重(剥離力)を測定し、測定の長さを50mmとして、最初の長さ5mm分での測定値と、最後の長さ5mm分での測定値を、有効値から除外した。そして、その測定値の平均値を粘着力(mN/25mm)として採用した。
このような、粘着力の測定を2回行い、その時の平均値を、加熱後の粘着剤層とSUS板との間の粘着力(Y2)(mN/25mm)として採用した。結果を表1に示す。
<粘着剤層とシリコンミラーウエハとの間の粘着力(X0)の測定>
上記の粘着力(X1)の測定時と同じ方法で、試験片付きシリコンミラーウエハを作製した。
次いで、この試験片付きシリコンミラーウエハを、23℃の温度条件下で30分間静置保管した。
次いで、23℃の環境下で、剥離速度を300mm/minとして、この静置保管後のシリコンミラーウエハから前記試験片を剥離した。このとき、シリコンミラーウエハの前記試験片が貼付されていた面と、前記試験片のシリコンミラーウエハが貼付されていた面と、が180°の角度を為すように、前記試験片をその長さ方向へ剥離した(180°剥離を行った)。そして、この180°剥離のときの荷重(剥離力)を測定し、測定の長さを50mmとして、最初の長さ5mm分での測定値と、最後の長さ5mm分での測定値を、有効値から除外した。そして、その測定値の平均値を粘着力(mN/25mm)として採用した。
このような、粘着力の測定を2回行い、その時の平均値を、粘着剤層とシリコンミラーウエハとの間の粘着力(X0)(mN/25mm)として採用した。結果を表1に示す。
<支持シートの光透過率(400~800nm)の平均値の算出、基材のマット面の粘着剤層による埋め込み性の評価>
UV-vis測定装置(島津製作所社製「UV-vis―NIR3600」)を用いて、上記で得られた支持シートに対して、その基材側の外部から光を照射し、積分球を使用せずに、直接受光により、光線透過率を測定した。このときの測定の波長範囲は、190~2000nmとした。そして、可視光領域の400~800nmの波長範囲で、1nmごとに光透過率の値を合算し、その合計値を、合算した光透過率の値の数(すなわち、800-400+1=401)で除することにより、支持シートの光透過率(400~800nm)の平均値(%)を算出した。そして、この平均値から、下記基準に従って、基材のマット面の粘着剤層による埋め込み性を評価した。これらの結果を表1に示す。
(評価基準)
A:支持シートの光透過率(400~800nm)の平均値が80%以上であり、基材のマット面の粘着剤層による埋め込み性が高い。
B:支持シートの光透過率(400~800nm)の平均値が80%未満であり、基材のマット面の粘着剤層による埋め込み性が不十分である。
<支持シートのチッピング検査精度の評価>
(支持シート付きシリコンチップ群の製造)
一方の面が#2000研磨された8インチシリコンウエハ(厚さ350μm)を用意した。上記で得られた支持シート中の粘着剤層のうち、その幅方向における中央寄りの領域を、このシリコンウエハに貼付し、このシリコンウエハへの貼付領域を取り囲む領域を、リングフレームに貼付した。このときの、粘着剤層のシリコンウエハ及びリングフレームへの貼付は、23℃の貼付温度条件(ラミネートローラーの温度23℃、シリコンウエハの温度23℃)で、貼付速度を300mm/minとし、貼付圧力を0.3MPaとして行った。これにより、シリコンウエハと、前記シリコンウエハの一方の面に設けられた支持シートと、を備えた支持シート付きシリコンウエハを、リングフレームに固定した(貼付工程)。
次いで、リングフレームに固定した支持シート付きシリコンウエハを、オーブンの内部に入れて、130℃で2時間加熱した(加熱工程)。
次いで、オーブンから、リングフレームに固定した支持シート付きシリコンウエハを取り出し、放冷によりその温度が23℃になるまで冷却した。そしてダイシング装置(ディスコ社製「DFD6362」)を用いて、リングフレームに固定した支持シート付きシリコンウエハ中のシリコンウエハをダイシングすることにより、大きさが1mm×1mmのシリコンチップを複数個作製した(加工工程)。このとき、ダイシングブレードとしてはディスコ社製「ZH05-SD2000-N1-90 CC」を用い、ブレード回転数を20000rpm、ブレード送り速度を50mm/s、ブレード高さを0.06mmとして、支持シート付きシリコンウエハに対して、そのシリコンウエハ側の表面からブレードを入れて、基材の、その粘着剤層側の面から20μmの深さの領域まで、切り込んだ。
以上により、1枚の支持シート上で複数個のシリコンチップが整列して保持されている、支持シート付きシリコンチップ群を作製した。
(支持シートのチッピング検査精度の評価)
この支持シート付きシリコンチップ群中のシリコンチップのうち、ダイシング前のシリコンウエハにおける中心とその近傍の領域から分割された、直交する2方向における10列分の領域の、合計で100個のシリコンチップを選択した。光学顕微鏡(KEYENCE社製「VHX-7000」)を用いて、200倍の倍率で、これら100個のシリコンチップの支持シートへの貼付面に対して、支持シート越しに焦点を合わせ、支持シート越しにこれらシリコンチップを観察した。このとき、1個のシリコンチップを約1秒で観察した。そして、シリコンチップの支持シートへの貼付面において、大きさが100μm以上の割れ又は欠け(チッピング)が認められるシリコンチップの数を確認した。このような数の確認を、異なる3人の観察者で行い、平均値を算出して、チッピングの数C1として採用した。
次いで、23℃の温度条件下で、支持シート付きシリコンチップ群中の全てのシリコンチップの露出面(支持シート側とは反対側の面)に、粘着テープ(リンテック社製「PET50 PLシン」)を貼付した。この粘着テープは、厚さ50μmの基材と、前記基材の一方の面上に設けられたアクリル系粘着剤層と、を備えて構成されている。
次いで、紫外線照射装置(リンテック社製「RAD-2000UV」)を用いて、この粘着テープを貼付後の支持シート付きシリコンチップ群中の粘着剤層に対して、その基材側の外部から基材越しに、照度230mW/cm、光量200mJ/cmの条件で紫外線を照射することで、粘着剤層を紫外線硬化させた。
次いで、得られた硬化済み支持シート付きシリコンチップ群から、硬化済み支持シートを取り除いた。そして、これにより露出したシリコンチップ群中のシリコンチップのうち、上記のC1の算出時と同じ100個のシリコンチップを選択し、光学顕微鏡(KEYENCE社製「VHX-7000」)を用いて、200倍の倍率で、これら100個のシリコンチップの露出面(支持シートへ貼付されていた面)に対して焦点を合わせ、これらシリコンチップを観察した。このとき、シリコンチップでの異常を見逃さないように、1人の観察者が十分な時間をかけてシリコンチップを観察した。そして、シリコンチップの前記露出面において、大きさが100μm以上の割れ又は欠けが認められるシリコンチップ(チッピング)の数C2を確認した。
下記式(i)に従って、チッピングの検査精度値を算出し、下記基準に従って、支持シートのチッピング検査精度を評価した。結果を表1に示す。
[チッピングの検査精度値]=(C2-C1)/C2×100 (i)
(評価基準)
A:検査精度値が3未満であり、支持シートのチッピング検査精度が高く、検査精度が合格である。
B:検査精度値が3以上10未満であり、Aには劣るが、支持シートのチッピング検査精度が良好であり、検査精度が合格である。
C:検査精度値が10以上であり、支持シートのチッピング検査精度が低く、検査精度が不合格である。
<支持シートのシリコンチップのピックアップ性の評価>
(支持シート付きシリコンチップ群の製造)
上記の「支持シートのチッピング検査精度の評価」時と同じ方法で、支持シート付きシリコンウエハを、リングフレームに固定し(貼付工程)、このリングフレームに固定した支持シート付きシリコンウエハを、オーブンの内部に入れて、130℃で2時間加熱した(加熱工程)。
次いで、オーブンから、リングフレームに固定した支持シート付きシリコンウエハを取り出し、放冷によりその温度が23℃になるまで冷却した。そしてダイシング装置(ディスコ社製「DFD6362」)を用いて、リングフレームに固定した支持シート付きシリコンウエハ中のシリコンウエハをダイシングすることにより、大きさが3mm×3mmのシリコンチップを複数個作製した(加工工程)。このとき、ダイシングブレードとしてはディスコ社製「ZH05-SD2000-N1-90 CC」を用い、ブレード回転数を35000rpm、ブレード送り速度を30mm/s、ブレード高さを0.06mmとして、支持シート付きシリコンウエハに対して、そのシリコンウエハ側の表面からブレードを入れて、基材の、その粘着剤層側の面から20μmの深さの領域まで、切り込んだ。
以上により、1枚の支持シート上で複数個のシリコンチップが整列して保持されている、支持シート付きシリコンチップ群を作製した。
(支持シートのシリコンチップのピックアップ性の評価)
次いで、紫外線照射装置(リンテック社製「RAD-2000UV」)を用いて、この支持シート付きシリコンチップ群中の粘着剤層に対して、その基材側の外部から基材越しに、照度230mW/cm、光量200mJ/cmの条件で紫外線を照射することで、リングフレームに貼付した粘着剤層を紫外線硬化させた(硬化工程)。
次いで、ピックアップ・ダイボンディング装置(キャノンマシナリー社製「BESTEM D-510」)を用いて、硬化済み支持シート付きシリコンチップ群のシリコンチップを、下記のピックアップ条件で、粘着剤層の硬化物から引き離してピックアップした(ピックアップ工程)。このピックアップは、硬化済み支持シート付きシリコンチップ群のシリコンチップのうち、ダイシング前のシリコンウエハにおける中心とその近傍の領域から分割された、直交する2方向における10列分の領域の、合計で100個のシリコンチップに対して行い、1個のシリコンチップを、支持シート側から1本のピンによって突き上げる方式で行った。そして、下記基準に従って、支持シートのピックアップ性を評価した。結果を表1に示す。
(ピックアップ条件)
突き上げ速度:5mm/s
エキスパンド量:4mm
ピン先端部の曲率半径:0.75mm
(評価基準)
A:すべて(100個)のシリコンチップを正常にピックアップできた。
B:1~4個のシリコンチップを正常にピックアップできなかったが、他のすべて(96~99個)のシリコンチップを正常にピックアップできた。
C:5個以上のシリコンチップを正常にピックアップできなかった。
[実施例2]
<<支持シートの製造及び評価>>
エネルギー線硬化性化合物(α)-1(15質量部)に代わりエネルギー線硬化性化合物(α)-3(10質量部)を含有する点と、架橋剤(β)-1の含有量が1.17質量部に代わり1.33質量部である点、以外は、実施例1の場合と同じ組成である、エネルギー線硬化性の粘着剤組成物(I)-2を調製した。そして、粘着剤組成物(I)-1に代えてこの粘着剤組成物(I)-2を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、支持シートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
<<支持シートの製造及び評価>>
エネルギー線硬化性化合物(α)-1(15質量部)に代わりエネルギー線硬化性化合物(α)-2(10質量部)を含有する点と、架橋剤(β)-1の含有量が1.17質量部に代わり1.33質量部である点、以外は、実施例1の場合と同じ組成である、エネルギー線硬化性の粘着剤組成物(I)-3を調製した。そして、粘着剤組成物(I)-1に代えてこの粘着剤組成物(I)-3を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、支持シートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
[実施例4]
<<支持シートの製造>>
<エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)の製造>
前記アクリル重合体(1)にMOIを加え、空気気流中において50℃で48時間付加反応を行うことで、エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)-2を得た。MOIの使用量は、前記アクリル重合体(1)中のHEMA由来の水酸基の総モル数に対して、MOI中のイソシアネート基の総モル数が、0.785倍となる量とした。得られたエネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)-2の重量平均分子量は500000であり、ガラス転移温度は-26℃であった。
<粘着剤組成物(I)の製造>
エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)-2(100質量部)、エネルギー線硬化性化合物(α)-1(25質量部)、架橋剤(β)-2(4.12質量部)、及び光重合開始剤(γ)-1(3質量部)を含有し、さらに溶媒としてメチルエチルケトンを含有しており、溶媒以外のすべての成分の合計濃度が25質量%である、エネルギー線硬化性の粘着剤組成物(I)-4を調製した。なお、ここに示すメチルエチルケトン以外の成分の含有量はすべて、溶媒を含まない目的物の含有量である。
<支持シートの製造>
粘着剤組成物(I)-1に代えてこの粘着剤組成物(I)-4を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、支持シートを製造した。
<<支持シートの評価>>
上記で得られた支持シートについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
<<支持シートの製造>>
<粘着剤組成物の製造>
エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)-1(100質量部)、架橋剤(β)-1(0.53質量部)、及び光重合開始剤(γ)-1(3質量部)を含有し、さらに溶媒としてメチルエチルケトンを含有しており、溶媒以外のすべての成分の合計濃度が25質量%である、エネルギー線硬化性の粘着剤組成物(R)-1を調製した。なお、ここに示すメチルエチルケトン以外の成分の含有量はすべて、溶媒を含まない目的物の含有量である。
<支持シートの製造>
粘着剤組成物(I)-1に代えてこの粘着剤組成物(R)-1を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、支持シートを製造した。
<<支持シートの評価>>
上記で得られた支持シートについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
<<支持シートの製造>>
<エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)の製造>
アクリル重合体(2)にMOIを加え、空気気流中において50℃で48時間付加反応を行うことで、エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)-3を得た。前記アクリル重合体(2)は、2EHA(35質量部)と、2EHMA(45質量部)と、HEA(20質量部)と、の共重合体である。MOIの使用量は、前記アクリル重合体(2)中のHEA由来の水酸基の総モル数に対して、MOI中のイソシアネート基の総モル数が、0.7倍となる量とした。得られたエネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)-3の重量平均分子量は880000であり、ガラス転移温度は-35℃であった。
<粘着剤組成物の製造>
エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)-3(100質量部)、架橋剤(β)-1(9.26質量部)、及び光重合開始剤(γ)-1(3質量部)を含有し、さらに溶媒としてメチルエチルケトンを含有しており、溶媒以外のすべての成分の合計濃度が25質量%である、エネルギー線硬化性の粘着剤組成物(R)-2を調製した。なお、ここに示すメチルエチルケトン以外の成分の含有量はすべて、溶媒を含まない目的物の含有量である。
<支持シートの製造>
粘着剤組成物(I)-1に代えてこの粘着剤組成物(R)-2を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、支持シートを製造した。
<<支持シートの評価>>
上記で得られた支持シートについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[比較例3]
<<支持シートの製造>>
<粘着剤組成物の製造>
エネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)-3(100質量部)、他のエネルギー線硬化性化合物(α’)-1(10質量部)、架橋剤(β)-1(9.26質量部)、及び光重合開始剤(γ)-1(3質量部)を含有し、さらに溶媒としてメチルエチルケトンを含有しており、溶媒以外のすべての成分の合計濃度が25質量%である、エネルギー線硬化性の粘着剤組成物(R)-3を調製した。なお、ここに示すメチルエチルケトン以外の成分の含有量はすべて、溶媒を含まない目的物の含有量である。
<支持シートの製造>
粘着剤組成物(I)-1に代えてこの粘着剤組成物(R)-3を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、支持シートを製造した。
<<支持シートの評価>>
上記で得られた支持シートについて、実施例1の場合と同じ方法で評価を試みた。結果を表1に示す。
Figure 2023144838000003
上記結果から明らかなように、実施例1~4では、エネルギー線硬化性化合物(α)の23℃での粘度が310mPa・s以下であり、基材のマット面の粘着剤層による埋め込み性が高かった。その結果、実施例1~4では、支持シートの光透過率(400~800nm)の平均値が80.1%以上であり、十分に高く、支持シートのチッピング検査精度が高かった。
また、実施例1~4では、粘着力(X1)が350mN/25mm以下であり、シリコンミラーウエハが貼付された状態の支持シートを130℃で2時間加熱した後であっても、シリコンチップを概ねすべて正常にピックアップでき、ピックアップ性が高かった。特に、実施例1~3では、粘着力(X1)が200mN/25mm以下であり、ピックアップ性よりが高かった。
このように、実施例1~4の支持シートは、目的とする特性を有していた。
実施例1~4では、粘着剤組成物(I)がエネルギー線硬化性アクリル樹脂(Ia)とエネルギー線硬化性化合物(α)を含有しており、上記のような特性を容易に達成できたと推測された。特に、エネルギー線硬化性化合物(α)が特定範囲の構造を有していることで、上記のような特性を、さらに、容易に達成できたと推測された。
さらに、実施例1~3では、粘着力(Y2)が15600mN/25mm以上であり、十分に大きく、リングフレームに固定した支持シート付きシリコンウエハを高温で加熱しても、支持シート付きシリコンウエハのリングフレームからの剥離を抑制できた。
さらに、実施例1~3では、粘着力(X2)が15000mN/25mm以上であり、十分に大きく、支持シート付きシリコンウエハを高温で加熱した後、シリコンミラーウエハのダイシングや、ダイシング後のシリコンチップの水洗などによって、シリコンチップに大きな力が加えられても、シリコンチップの支持シートからの剥離が抑制された。
さらに、実施例1~3では、粘着力(X0)が2900mN/25mm以上であり、十分に大きく、例えば、シリコンミラーウエハの高速でのダイシングや、ダイシング後のシリコンチップの高圧での水洗などによって、シリコンチップに顕著に大きな力が加えられても、シリコンチップの支持シートからの剥離が抑制可能であると推測された。
特に、実施例1~2では、粘着力(Y1)が470mN/25mm以上であり、顕著に大きかった。実施例1~2の支持シートは、支持シート付きシリコンウエハの状態でリングフレームに固定され、加熱された後、仮に支持シート(粘着剤層)のリングフレームとの接触部にエネルギー線が照射されてしまっても、硬化済み支持シート付きシリコンチップ群のリングフレームからの剥離を抑制可能であると推測された。
このように、実施例1~3の支持シートは、目的外の特性にも優れており、より好ましかった。
これに対して、比較例1~2では、エネルギー線硬化性化合物(α)が不使用であり、基材のマット面の粘着剤層による埋め込み性が低かった。その結果、比較例1~2では、支持シートの光透過率(400~800nm)の平均値が79.1%以下であり、不十分であって、支持シートのチッピング検査精度が低かった。比較例1~2の支持シートは、目的とする特性を有していなかった。
加えて、比較例2では、粘着力(X1)が大きく、シリコンミラーウエハが貼付された状態の支持シートを130℃で2時間加熱した後、シリコンチップを正常にピックアップできず、ピックアップ性が低かった。
さらに、比較例1では、粘着力(Y1)及び粘着力(Y2)も不十分であり、この支持シートは、支持シート付きシリコンウエハ、硬化済み支持シート付きシリコンチップ群のいずれの状態でも、リングフレームからの剥離を抑制する効果も、不十分であると推測された。
さらに、比較例2では、粘着力(X2)が小さく、支持シート付きシリコンウエハを高温で加熱した後、シリコンミラーウエハのダイシングや、ダイシング後のシリコンチップの水洗などによって、シリコンチップに大きな力が加えられたときの、シリコンチップの支持シートからの剥離を抑制する効果が低いと推測された。
比較例3では、粘着剤組成物(I)がエネルギー線硬化性化合物(α)ではなく、他のエネルギー線硬化性化合物(α’)を含有しており、その23℃での粘度が360mPa・sと高く、基材のマット面の粘着剤層による埋め込み性が低く、比較例1~2の場合よりもさらに劣っていた。その結果、比較例3では、支持シートの光透過率(400~800nm)の平均値が比較例1~2の場合よりもさらに低かった。
加えて、比較例3では、粘着力(X1)が大きく、比較例2の場合よりもさらに大きかった。
このように、比較例3の支持シートは、比較例1~2の支持シートよりも、特性の点でさらに劣っていたため、比較例3ではこれ以上の評価を行わなかった。
本発明は、半導体チップ等のワーク加工物の製造に利用可能である。
1・・・支持シート、11・・・基材、11a・・・基材の一方の面、12・・・粘着剤層、12’・・・エネルギー線硬化物、8・・・リングフレーム、9・・・半導体ウエハ、90・・・半導体チップ、109・・・支持シート付き半導体ウエハ

Claims (7)

  1. 支持シートであって、
    前記支持シートは、基材と、前記基材の一方の面上に設けられた粘着剤層と、を備え、
    前記一方の面がマット面であり、
    前記粘着剤層が、エネルギー線硬化性化合物を含有し、かつエネルギー線硬化性であり、
    23℃での前記エネルギー線硬化性化合物の粘度が、350mPa・s以下であり、
    前記支持シートを、前記粘着剤層によってシリコンミラーウエハのミラー面に貼付し、貼付後の前記粘着剤層を130℃で加熱し、加熱後の前記粘着剤層をエネルギー線硬化させ、前記粘着剤層のエネルギー線硬化物と、前記シリコンミラーウエハと、の間の粘着力(X1)を測定したとき、前記粘着力(X1)が400mN/25mm以下である、支持シート。
  2. 前記粘着剤層が、さらに、エネルギー線硬化性アクリル樹脂を含有する、請求項1に記載の支持シート。
  3. 前記支持シートを、前記粘着剤層によってステンレス鋼板の表面に貼付し、貼付後の前記粘着剤層を130℃で加熱し、加熱後の前記粘着剤層と、前記ステンレス鋼板と、の間の粘着力(Y2)を測定したとき、前記粘着力(Y2)が13000mN/25mm以上である、請求項1又は2に記載の支持シート。
  4. 前記支持シートを、前記粘着剤層によってステンレス鋼板の表面に貼付し、貼付後の前記粘着剤層を130℃で加熱し、加熱後の前記粘着剤層をエネルギー線硬化させ、前記粘着剤層のエネルギー線硬化物と、前記ステンレス鋼板と、の間の粘着力(Y1)を測定したとき、前記粘着力(Y1)が300mN/25mm以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の支持シート。
  5. 前記支持シートを、前記粘着剤層によってシリコンミラーウエハのミラー面に貼付し、貼付後の前記粘着剤層を130℃で加熱し、加熱後の前記粘着剤層と、前記シリコンミラーウエハと、の間の粘着力(X2)を測定したとき、前記粘着力(X2)が13000mN/25mm以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の支持シート。
  6. 前記支持シートの、400~800nmの波長域での光透過率の平均値が、80%以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の支持シート。
  7. ワーク加工物の製造方法であって、
    前記製造方法は、請求項1~6のいずれか一項に記載の支持シート中の前記粘着剤層を、ワークとリングフレームに貼付することにより、前記ワークと、前記ワークに設けられた前記支持シートと、を備えた支持シート付きワークを、前記リングフレームに固定する貼付工程と、
    前記貼付工程の後に、前記リングフレームに固定した前記支持シート中の前記粘着剤層を加熱する加熱工程と、
    前記貼付工程の後に、前記リングフレームに固定した前記支持シート付きワーク中の前記ワークを加工することにより、前記ワーク加工物を作製する加工工程と、
    前記加熱工程及び加工工程の後に、前記リングフレームに貼付した前記粘着剤層をエネルギー線硬化させる硬化工程と、
    前記硬化工程の後に、前記粘着剤層の硬化物から前記ワーク加工物を引き離してピックアップするピックアップ工程と、を有する、ワーク加工物の製造方法。
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