JP2023143792A - ステント - Google Patents
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Abstract
【課題】必要な屈曲性を保ちつつ、生体管腔内で軸方向に短縮した状態が続くことを抑制できるステントを提供する。【解決手段】生体管腔2に留置される筒状のステント1は、軸方向の一部分に設けられ、金属製の線材11を格子状に編組して形成された第1環状骨格部10を備える。第1環状骨格部10は、軸方向に折り返す線材同士を掛止めして形成された第1の線材交点部12と、第1環状骨格部10が軸方向に短縮する力に対して抵抗する第2の線材交点部13と、を有する。第1及び第2の線材交点部12、13が、周方向に並んで設けられ、第1及び第2の線材交点部12、13の一周あたりの全数に対する第1の線材交点部12の数の比率は、30~70%である。【選択図】図3
Description
本発明は、ステントに関する。
従来、血管、食道、胆管、気管、尿管などの生体管腔に生じた狭窄部又は閉塞部に留置され、病変部位を拡径して生体管腔の開存状態を維持するステントが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この種のステントに関しては、生体管腔の生体機能を温存するために、線材を編組した部位を設けて生体管腔の動きに対して追従可能としたものもある。しかし、上記のステントは一般に軸方向への形状復元能力が低く、生体管腔内で軸方向に短縮した状態が続くことがある。これにより、ステントの病変部位からの逸脱や病変部位の再閉塞などの事象が生じる虞がある。
そこで、本発明は上記の状況に鑑みてなされたものであって、必要な屈曲性を保ちつつ、生体管腔内で軸方向に短縮した状態が続くことを抑制できるステントを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、生体管腔に留置される筒状のステントであって、軸方向の一部分に設けられ、金属製の線材を格子状に編組して形成された第1環状骨格部を備える。第1環状骨格部は、軸方向に折り返す線材同士を掛止めして形成された第1の線材交点部と、第1環状骨格部が軸方向に短縮する力に対して抵抗する第2の線材交点部と、を有する。第1及び第2の線材交点部が、周方向に並んで設けられ、第1及び第2の線材交点部の一周あたりの全数に対する第1の線材交点部の数の比率は、30~70%である。
本発明によれば、必要な屈曲性を保ちつつ、生体管腔内で軸方向に短縮した状態が続くことを抑制できるステントを提供できる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係るステントの構成例について説明する。
ここで、図面における各部の形状、寸法等は模式的に示したもので、実際の形状や寸法等を示すものではない。図面において、部材の軸方向Axを必要に応じて矢印で示す。また、軸方向Axと略直交する方向を径方向と定義する。なお、図面において部材の一端側を必要に応じて符号Fで示し、一端側と対向する他端側を必要に応じて符号Bで示す。
ここで、図面における各部の形状、寸法等は模式的に示したもので、実際の形状や寸法等を示すものではない。図面において、部材の軸方向Axを必要に応じて矢印で示す。また、軸方向Axと略直交する方向を径方向と定義する。なお、図面において部材の一端側を必要に応じて符号Fで示し、一端側と対向する他端側を必要に応じて符号Bで示す。
図1は、本実施形態のステント1の構成例を示す正面図である。図2は、本実施形態のステント1の構成例を示す斜視図である。図3は、第1環状骨格部10の構成例を示す図である。図4は、第2環状骨格部20の構成例を示す図である。図5は、ステント1の留置部位の例を示す概略図である。図6は、ステント1が生体管腔内に留置された状態を模式的に示す図である。
本実施形態のステント1は、血管、食道、胆管、気管、尿管などの生体管腔における狭窄部位や閉塞部位等の病変部位に留置され、これらの病変部位を拡張させるために適用される。図5、図6では、生体管腔の一例として消化管2(例えば十二指腸など)の病変部位2aにステント1が留置される場合を示している。なお、ステント1は、消化管2に限られず、他の生体管腔に留置されるものであってもよい。
図1、図2に示すように、ステント1は、軸方向Axの一端側と他端側が連通する円筒状に形成され、軸方向Axにおいて第1環状骨格部10および第2環状骨格部20を有している。図6に示すように、ステント1の第2環状骨格部20は、ステント1の軸方向中央に位置し、ステント1の留置時に消化管2の病変部位2aに臨む。
一方、ステント1の第1環状骨格部10は、軸方向Axに沿って第2環状骨格部20を挟み込むようにステント1の軸方向両端側にそれぞれ部分的に位置している。図6に示すように、第1環状骨格部10は、ステント1の留置時に消化管2の正常部位2b(非病変部位)に臨む。
ステント1は、拡張状態の形状が記憶されたいわゆる自己拡張型の構成であって、径方向内側に収縮した収縮状態から径方向外側に拡張する拡張状態へと拡縮可能である。本実施形態のステント1は、図示しないカテーテルを用いて、径方向内側に収縮された状態(不図示)で消化管2内に導入される。ステント1は、消化管2内の病変部位2aに運ばれた後にカテーテルのシースから放出され、径方向外側に拡張する。
なお、カテーテルから放出されたステント1は、ステント1の内側からバルーン(不図示)を拡張させて押圧することで径方向外側に拡張されてもよい。
なお、カテーテルから放出されたステント1は、ステント1の内側からバルーン(不図示)を拡張させて押圧することで径方向外側に拡張されてもよい。
ステント1の内腔は、例えば一端側を消化管2の上流側(口側)に向けてステント1が消化管2に留置されたときに、軸方向Axの一端側から他端側にかけて消化管2を流れる流体が通過可能な流路を構成する。
なお、消化管2を流れる流体については、例えば、全く消化が行われていない摂取された直後の食物、食物が消化管2を通ることで分解処理された物、消化管2を通っても消化されなかった物(例えば、便等)などを含み、物質の状態は問わない。
なお、消化管2を流れる流体については、例えば、全く消化が行われていない摂取された直後の食物、食物が消化管2を通ることで分解処理された物、消化管2を通っても消化されなかった物(例えば、便等)などを含み、物質の状態は問わない。
図6に示すように、ステント1の留置時には、ステント1の第2環状骨格部20の外周面によって消化管2の病変部位2aの内面が径方向外側に押圧され、消化管2を閉塞するように内側に窄まった病変部位2aが径方向外側に押し広げられる。また、ステント1の第1環状骨格部10は、病変部位2aの軸方向両側に位置する消化管2の正常部位2bをカバーする。これにより、病変部位2aを跨いで消化管2の正常部位2bの範囲に至るまでステント1が留置され、消化管2の軸方向への運動(ぜん動運動、分節運動、振子運動)などで誘発される留置部位からのステント1のマイグレーション(位置ずれ)が抑制される。
図1、図2では、直筒形状のステント1を示しているが、ステント1の形状は、例えば、弓状に湾曲した形状や、捻れを有する形状であってもよい。また、ステント1の端部には、端部に向かうにつれて径が広がるフレア部(不図示)が形成されていてもよい。なお、ステント1の寸法などの仕様は、例えば、留置する消化管2の太さや、ステント1の留置範囲の長さなどに応じて適宜設定される。
次に、図3を参照しつつ、ステント1の第1環状骨格部10の構成について説明する。各々の第1環状骨格部10の構成はいずれも共通のため重複説明は省略する。なお、図3の上下方向は軸方向Axに対応し、図3の左右方向はステント1の周方向に対応する。
図3(a)は、第1環状骨格部10の一例を周方向に展開して平面的に示した図である。
第1環状骨格部10は、金属製の第1の線材11を格子状に編組して形成されている。第1の線材11の材料としては、例えば、Ni-Ti合金、ステンレス鋼、チタン合金などに代表される公知の金属又は金属合金等が挙げられる。また、第1の線材11にはX線造影性を有する合金材料を用いてもよく、あるいはX線造影性を有する合金材料で形成されたマーカ片(不図示)を第1の線材11に適宜取り付けてもよい。これらの場合、第1環状骨格部10の位置を体外から確認できるようになる。
第1環状骨格部10は、金属製の第1の線材11を格子状に編組して形成されている。第1の線材11の材料としては、例えば、Ni-Ti合金、ステンレス鋼、チタン合金などに代表される公知の金属又は金属合金等が挙げられる。また、第1の線材11にはX線造影性を有する合金材料を用いてもよく、あるいはX線造影性を有する合金材料で形成されたマーカ片(不図示)を第1の線材11に適宜取り付けてもよい。これらの場合、第1環状骨格部10の位置を体外から確認できるようになる。
図3(a)に示すように、第1環状骨格部10を構成する第1の線材11は、山部11aと谷部11bが交互に形成されるようにジグザグに軸方向に折り返されている。また、軸方向の一方側と他方側で隣り合う段の間では、第1の線材11の一方側の段において他方側に突出した屈曲部(谷部11b)と、第1の線材11の他方側の段において一方側に突出した屈曲部(山部11a)とがそれぞれ対向している。
第1環状骨格部10の隣り合う段では、対向する第1の線材11の屈曲部(山部11a、谷部11b)同士が互いに掛け止めされて第1の線材交点部12が形成される。これにより、第1環状骨格部10では、第1の線材11がフェンス状に編み込まれてひし形の格子が形成される。
第1の線材交点部12において第1の線材11同士は拘束されていないため、第1の線材交点部12で掛け止めされている屈曲部は互いに自由に動くことができる。例えば、第1環状骨格部10に対して軸方向の曲げの外力が作用するときには、第1の線材交点部12では屈曲部同士の向きが変化する。これにより、第1の線材交点部12は、軸方向の曲げに伴って一方側の段と他方側の段の角度が開く(または閉じる)動きに追従できる。また、第1環状骨格部10に対して軸方向に短縮させる外力が作用するときには、第1の線材交点部12では掛け止めされていた屈曲部が分離する。これにより、第1の線材交点部12は、軸方向に短縮する動きに追従できる。
第1環状骨格部10の各段には、第1の線材11を編み込まずに交差させた交差部14がさらに設けられている。交差部14は、軸方向の隣り合う段に第1の線材11を移行させるために設けられており、第1の線材11において格子の一辺よりも長く延びている直線部位11c同士が交差してなる。第1環状骨格部10に対して軸方向に短縮させる外力が作用するときには、交差部14を構成する第1の線材11の直線部位11cが上記の外力に対して抵抗する要素となり、軸方向の短縮に対して復元力を生じさせる。
図3(a)に示されるように、第1環状骨格部10の各段において、交差部14が設けられる周方向の位置は互いにずれている。なお、交差部14の周方向の位置は、軸方向に規則的にずれて配置されてもよく、不規則的に配置されてもよい。
また、図3(a)に示す第1の線材交点部12の一部は、掛け止めされている第1の線材11の屈曲部同士が分離しないように固定されている。以下、屈曲部同士が固定されている第1の線材交点部12を固定部15とも称する。
例えば、図3(a)に示す固定部15では、生体適合性を有するひも部材による結束で第1の線材11の屈曲部同士が固定されている。固定部15に適用可能なひも部材としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロンなどの樹脂製のひも部材や、或いは金属細線などが挙げられる。なお、固定部15での屈曲部の固定は、接着などによって行われてもよい。
固定部15は、掛け止めされている第1の線材11の屈曲部が軸方向に分離しない点で第1の線材交点部12と相違する。そのため、第1環状骨格部10に対して軸方向に短縮させる外力が作用するときには、固定部15で固定された第1の線材11が上記の外力に対して抵抗する要素となり、軸方向の短縮に対して復元力を生じさせる。なお、固定部15は、一対の屈曲部を1点で連結しているので、当該連結部分を中心とする回動をある程度許容する。そのため、固定部15は、軸方向の曲げに対応することもできる。
交差部14および固定部15は第2の線材交点部13の一例であり、いずれも第1環状骨格部10が軸方向に短縮する力に対して抵抗する機能を担う。第1の線材交点部12と第2の線材交点部13は周方向に並んで設けられており、第1環状骨格部10の格子の交点を形成する。
第1環状骨格部10は、第1の線材交点部12を有することで軸方向の曲げや軸方向の短縮を含む変位に対応でき、第2の線材交点部13を有することで軸方向に短縮した状態が続くことを抑制できる。
第1環状骨格部10は、第1の線材交点部12を有することで軸方向の曲げや軸方向の短縮を含む変位に対応でき、第2の線材交点部13を有することで軸方向に短縮した状態が続くことを抑制できる。
ここで、第1環状骨格部10の周方向で第1の線材交点部12の数が少ないと、第1環状骨格部10の屈曲性が低下し、第1環状骨格部10が軸方向の曲げに追従しにくくなる。上記の観点から、例えば、第1の線材交点部12と第2の線材交点部13の一周あたりの全数に対して、第1の線材交点部12の数の比率は30%以上であることが好ましい。
一方、第1環状骨格部10の周方向で第1の線材交点部12の数が多くなると、第1環状骨格部10に対して軸方向に短縮させる外力への抵抗が小さくなり、第1環状骨格部10が軸方向に短縮した状態が続きやすくなる。上記の観点から、例えば、第1の線材交点部12と第2の線材交点部13の一周あたりの全数に対して、第1の線材交点部12の数の比率は70%以下であることが好ましい。
例えば、第1の線材交点部12と第2の線材交点部13の一周あたりの全数が6個、8個、10個の場合を想定する。上記の全数が6個のとき、第2の線材交点部13の数が2個から4個であれば、上記の全数に対する第1の線材交点部12の数の比率は30%以上70%以下(33.3%~66.7%)となる。
また、上記の全数が8個のとき、第2の線材交点部13の数が3個から5個であれば、上記の全数に対する第1の線材交点部12の数の比率は30%以上70%以下(37.5%~62.5%)となる。例えば、図3(a)の符号16の矢印で示す段では、上記の全数が8個であり、交差部14が1つで、屈曲部同士が掛け止めされている箇所が7つある。また、屈曲部同士が掛け止めされている7箇所のうち、2箇所がひも部材で結束されて固定部15をなし、5箇所は第1の線材交点部12をなしている。つまり、上記の例では、第1の線材交点部12が5箇所、第2の線材交点部13が3箇所となり、上記の全数に対する第1の線材交点部12の数の比率は62.5%となる。
なお、上記の全数が10個のとき、第2の線材交点部13の数が3個から7個であれば、上記の全数に対する第1の線材交点部12の数の比率は30%以上70%以下(30%~70%)となる。
また、第1環状骨格部10の屈曲性は、第1の線材11の線径に応じても変化する。第1の線材11の線径が小さいと、線径が大きい場合と比べて第1環状骨格部10の屈曲性は高くなる。一方、第1の線材11の線径が大きいと、線径が小さい場合と比べて第1環状骨格部10の屈曲性は低くなるが、第2の線材交点部13の数の比率を低くしても軸方向に短縮させる外力への抵抗を大きくしやすい。
例えば、第1の線材11の線径が0.1mm未満であると、線径が小さくなることで第1環状骨格部10の屈曲性は高くなる。しかし、第1の線材11の線径が0.1mm未満の場合、第2の線材交点部13の数の比率を大きくしても軸方向の短縮に対する抵抗が小さくなり、軸方向に短縮した状態が続きやすくなる。そのため、第1の線材11の線径は0.1mm以上であることが好ましい。
例えば、第1の線材11の線径が0.35mmより大きいと、第2の線材交点部13の数の比率を低くしても軸方向に短縮させる外力への抵抗が大きくなるので、第1の線材交点部12の数の比率を高くできる。しかし、第1の線材11の線径が0.35mmより大きいと、第1環状骨格部10をシース内に装填しにくくなるとともに、第1環状骨格部10のアキシャルフォースが高くなるので第1環状骨格部10の屈曲性が低下してしまう。そのため、第1の線材11の線径は0.35mm以下であることが好ましい。
また、図3(b)は、第1環状骨格部10の他の例を周方向に展開して平面的に示した図である。
図3(b)の第1環状骨格部10は、第1の線材交点部12と、第2の線材交点部13である交差部14とを有する構成である。図3(b)の第1環状骨格部10では固定部15は設けられていない。図3(b)の第1環状骨格部10では、図3(a)と比べて直線部位11cが多い形状の第1の線材11を適用し、当該直線部位11cを交差させて交差部14が複数形成されている。また、第1の線材11の屈曲部(山部11a、谷部11b)同士が対向する箇所では、屈曲部同士を互いに掛け止めして第1の線材交点部12が形成される。
図3(b)に示す第1環状骨格部10によっても、図3(a)の第1環状骨格部10とほぼ同様の作用を得ることができる。
次に、図4を参照しつつ、ステント1の第2環状骨格部20の構成について説明する。
第2環状骨格部20は、材質が互いに異なる第2の線材21及び第3の線材22を組みあわせて筒状に形成されている。第2の線材21は、例えば、金属素線などの所定の剛性を有する材料で形成される。第3の線材22は、第2の線材21に対して相対的に低い剛性を有する材料で形成される。
第2環状骨格部20は、材質が互いに異なる第2の線材21及び第3の線材22を組みあわせて筒状に形成されている。第2の線材21は、例えば、金属素線などの所定の剛性を有する材料で形成される。第3の線材22は、第2の線材21に対して相対的に低い剛性を有する材料で形成される。
第2の線材21の材料は、第1の線材11と同じであってもよく、異なっていてもよい。第2の線材21の材料としては、例えば、Ni-Ti合金、ステンレス鋼、チタン合金などに代表される公知の金属又は金属合金等が挙げられる。また、第2の線材21にはX線造影性を有する合金材料を用いてもよく、あるいはX線造影性を有する合金材料で形成されたマーカ片(不図示)を第2の線材21に適宜取り付けてもよい。
また、第2の線材21は、例えば、上記の各種金属からなる薄肉円筒体をレーザーカットすることで線状に形成されてもよい。すなわち、第2の線材21は、第2環状骨格部20を形成した状態で線状に形成された部分を有する部材であれば如何なるものであってもよい。さらに、第2の線材21は、金属以外の材料(例えば、セラミックや樹脂等)で形成されていてもよい。
第2の線材21は、環状をなす段を軸方向に間隔をあけて複数有している。各々の段では、第2の線材21が所定のピッチで山部21aと谷部21bが交互に形成されるように軸方向にジグザグ状に屈曲している。そして、第2の線材21は、自己拡張力によって外周方向に拡径し、留置される消化管2の病変部位2aを拡張させる機能を担う。
また、第2の線材21において軸方向に隣り合う段では、一端側に突出した屈曲部(山部21a)の位置と、他端側に突出した屈曲部(谷部21b)の位置の位相が軸方向にそれぞれ略重なるように配置されている。また、第2の線材21は、軸方向に隣り合う段に移行するために、二つの段をつなぐ渡り部24を有している。
一方、第3の線材22は、第2の線材21に対して金属の含有量が相対的に少ないか、或いは、金属を含有しない材料で形成されている。第3の線材22は、生体適合性を有する樹脂製のひも部材や、或いは金属細線などで形成される。なお、第3の線材22は、固定部15に適用されるひも部材と同じであってもよい。
第3の線材22として樹脂製のひも部材を適用する場合、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロンなどの材料を用いることができる。また、第3の線材22として金属細線を適用する場合、第2の線材21よりも剛性の低い材料で線材を形成するか、或いは第2の線材21と同じ材料で第2の線材21よりも細径の線材を用いればよい。なお、本実施形態では、第3の線材22として樹脂製のひも部材を適用する例を説明する。
また、第3の線材22は、例えば、軸方向に直交する断面が円形や長円形や矩形等で長尺なものであってもよく、軸方向に直交する一辺が幅広で長尺なもの(帯状やリボン状)であってもよい。さらに、消化管2に対するステント1の位置ずれを抑制するために、図示を省略するが、第3の線材22には消化管2の内壁に引っ掛かる係止ピン(バーブなど)を設けてもよい。
また、第2の線材21において、軸方向に隣り合わない位置にある二つの段は、第3の線材22で軸方向に連結されている。第3の線材22は、第2環状骨格部20の軸方向の曲げや第2の線材21の周方向の変位を許容しつつ第2の線材21の段どうしを軸方向に連結し、第2環状骨格部20の全体形状を筒状に保つ機能を担う。なお、第3の線材22で連結される第2の線材21の段は、軸方向に隣り合っていてもよい。
第2環状骨格部20は、剛性の低い第3の線材22を含むとともに、第2の線材21と第3の線材22を組み合わせることで金属量を抑制できる。そのため、第2環状骨格部20は、第1の線材11を編組した第1環状骨格部10と比べて金属量が少なくなるので軸方向に対する屈曲性が高くなる。
また、第2の線材21と第3の線材22が交差することで第2環状骨格部20には網目が形成され、当該網目によって消化管2の生体組織がステント1内に浸潤するイングロースも抑制される。
以下、本実施形態のステント1の効果を述べる。
本実施形態において、消化管2(生体管腔)に留置されるステント1は、軸方向の一部分に設けられ、金属製の第1の線材11を格子状に編組して形成された第1環状骨格部10を備える。第1環状骨格部10は、軸方向に折り返す線材同士を掛止めして形成された第1の線材交点部12と、第1環状骨格部10が軸方向に短縮する力に対して抵抗する第2の線材交点部13と、を有する。第1及び第2の線材交点部12、13が、周方向に並んで設けられ、第1及び第2の線材交点部12、13の一周あたりの全数に対する第1の線材交点部12の数の比率は、30%以上70%以下である。
ステント1の第1環状骨格部10は、第1の線材交点部12によって軸方向の曲げや軸方向の短縮を含む変位に対応でき、第2の線材交点部13が軸方向の短縮に対して抵抗することで、軸方向に短縮した状態から復元することが可能となる。また、第1及び第2の線材交点部12、13の一周あたりの全数に対する第1の線材交点部12の数の比率を30%以上70%以下とすることで、第1環状骨格部10は、必要な屈曲性を保ちつつ、消化管内で軸方向に短縮した状態が続くことを抑制できる。
本実施形態において、消化管2(生体管腔)に留置されるステント1は、軸方向の一部分に設けられ、金属製の第1の線材11を格子状に編組して形成された第1環状骨格部10を備える。第1環状骨格部10は、軸方向に折り返す線材同士を掛止めして形成された第1の線材交点部12と、第1環状骨格部10が軸方向に短縮する力に対して抵抗する第2の線材交点部13と、を有する。第1及び第2の線材交点部12、13が、周方向に並んで設けられ、第1及び第2の線材交点部12、13の一周あたりの全数に対する第1の線材交点部12の数の比率は、30%以上70%以下である。
ステント1の第1環状骨格部10は、第1の線材交点部12によって軸方向の曲げや軸方向の短縮を含む変位に対応でき、第2の線材交点部13が軸方向の短縮に対して抵抗することで、軸方向に短縮した状態から復元することが可能となる。また、第1及び第2の線材交点部12、13の一周あたりの全数に対する第1の線材交点部12の数の比率を30%以上70%以下とすることで、第1環状骨格部10は、必要な屈曲性を保ちつつ、消化管内で軸方向に短縮した状態が続くことを抑制できる。
また、第2の線材交点部13は、第1の線材交点部12の折り返された線材同士を固定して構成される固定部15及び格子の一辺よりも長く延びる線材の直線部位11cを交差させて構成される交差部14のうち、少なくとも一方を含む。第2の線材交点部13として固定部15および交差部14の少なくとも一方を含むことで、第1環状骨格部10において軸方向の短縮に対して抵抗する要素を比較的容易に形成できる。
また、第1及び第2の線材交点部12、13の一周あたりの全数は6~8であり、線材11の線径は、0.1mm以上0.35mm以下である。これにより、屈曲性が高く、消化管2内で軸方向に短縮した状態が続くことを抑制しやすい第1環状骨格部10を得ることができる。
また、本実施形態のステント1は、第1環状骨格部10よりも軸方向に対する屈曲性の高い第2環状骨格部20をさらに備える。第1環状骨格部10は、第2環状骨格部20よりも軸方向の端部側に配置される。
軸方向の端部側に第1環状骨格部10を設けることでステント端部が軸方向に短縮し続けて位置ずれすることを抑制できる。そのため、消化管2の屈曲に対応しつつ、マイグレーションの生じにくいステント1を実現できる。また、軸方向の中央部に第2環状骨格部20を設けることで、ステント1の屈曲性をより高くできる。そのため、屈曲した消化管2にステント1を留置しやすく、ステント1の曲げによるキンクなども生じにくくなる。
軸方向の端部側に第1環状骨格部10を設けることでステント端部が軸方向に短縮し続けて位置ずれすることを抑制できる。そのため、消化管2の屈曲に対応しつつ、マイグレーションの生じにくいステント1を実現できる。また、軸方向の中央部に第2環状骨格部20を設けることで、ステント1の屈曲性をより高くできる。そのため、屈曲した消化管2にステント1を留置しやすく、ステント1の曲げによるキンクなども生じにくくなる。
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってもよい。
例えば、第2環状骨格部20は、第1環状骨格部10よりも屈曲性の高いものであれば上記実施形態の構成に限定されない。例えば、第2環状骨格部20は、格子状、螺旋状のパターンを有する金属骨格などで構成されてもよい。
また、第2環状骨格部20の第2の線材21は、周方向に周回していれば必ずしも環状に接続されていなくてもよい。例えば、ジグザグ状に折り曲げた第2の線材21をらせん状に旋回させて、第2の線材21の屈曲部を第3の線材22で軸方向に連結して第2環状骨格部20を形成してもよい。
加えて、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1…ステント、2…消化管(生体管腔)、2a…病変部位、2b…正常部位、10…第1環状骨格部、11…第1の線材、11a…山部、11b…谷部、11c…直線部位、12…第1の線材交点部、13…第2の線材交点部、14…交差部、15…固定部、20…第2環状骨格部、21…第2の線材、21a…山部、21b…谷部、22…第3の線材、24…渡り部
Claims (4)
- 生体管腔に留置される筒状のステントであって、
軸方向の一部分に設けられ、金属製の線材を格子状に編組して形成された第1環状骨格部を備え、
前記第1環状骨格部は、
軸方向に折り返す前記線材同士を掛止めして形成された第1の線材交点部と、
前記第1環状骨格部が軸方向に短縮する力に対して抵抗する第2の線材交点部と、を有し、
前記第1及び第2の線材交点部が、周方向に並んで設けられ、
前記第1及び第2の線材交点部の一周あたりの全数に対する前記第1の線材交点部の数の比率は、30%以上70%以下である
ステント。 - 前記第2の線材交点部は、前記第1の線材交点部の前記折り返された前記線材同士を固定して構成される固定部及び格子の一辺よりも長く延びる前記線材の直線部位を交差させて構成される交差部のうち、少なくとも一方を含む
請求項1に記載のステント。 - 前記第1及び第2の線材交点部の一周あたりの全数は、6~8であり、
前記線材の線径は、0.1mm以上0.35mm以下である
請求項1に記載のステント。 - 前記ステントは、前記第1環状骨格部よりも軸方向に対する屈曲性の高い第2環状骨格部をさらに備え、
前記第1環状骨格部は、前記第2環状骨格部よりも軸方向の端部側に配置される
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のステント。
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2023
- 2023-03-15 JP JP2023040317A patent/JP2023143792A/ja active Pending
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