JP2023137006A - 電解コンデンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】封口体の変形を抑制しつつ、高温環境下でも電解液の蒸散が抑制された電解コンデンサを提供する。【解決手段】電解コンデンサは、陽極箔と陰極箔と電解液と固体電解質層とを有するコンデンサ素子と、コンデンサ素子を収容するケースと、ケースを封口する封口体とを備える。封口体は、ブチルゴムを含む。電解液は、溶媒及び酸化防止剤を含む。この溶媒は、グリセリン、ジグリセリン又はこれらの両方を含む。酸化防止剤は、水溶性であり、分子構造中にベンゼン環と2つ以上のヒドロキシ基を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、誘電体酸化皮膜の誘電分極作用により静電容量を得て電荷の蓄電及び放電を行う電解コンデンサに関する。
タンタル或いはアルミニウム等の弁作用金属を利用する電解コンデンサは、陽極側対向電極としての弁作用金属を焼結体或いはエッチング箔等の形状にして誘電体を拡面化することにより、小型で大きな容量を得られる。この種の電解コンデンサは、陽極の誘電体酸化皮膜を対向電極と密着させるべく、電解液で空隙を埋めている。
電解液は、誘電体酸化皮膜に直接接触して真の陰極として作用するとともに、誘電体酸化皮膜の修復作用を有する。しかしながら、電解液が時間経過とともに電解コンデンサの外部へ抜けてしまう蒸発揮散が起こる。そのため、電解コンデンサはドライアップに向けて経時的に静電容量が低下し、ついには寿命を迎える。
コンデンサ素子は有底の外装ケースに収容され、外装ケースの開口を封口体で封止している。この封口体は、加締め加工によりケースの開口に密着しており、シール性向上のために適度な硬度の弾性部材により構成される。例えば、封口体には、ブチルゴム等のエラストマーを含む。エラストマーは、架橋反応させるために加硫にて作成される。
但し、電解液はケース内に完全に閉じ込められるわけではなく、封口体を少しずつ透過して、電解コンデンサの外部に徐々に揮散していく。そこで、電解液には沸点が高い溶媒を用いることが提案されている(例えば特許文献1参照)。沸点が高い溶媒としては、沸点が203℃のγ-ブチロラクトン、沸点が230℃のブタンジオール、沸点が285℃のスルホラン、沸点が198℃のエチレングリコール、沸点が244℃のポリエチレングリコール等が知られている。
近年、電解コンデンサには、車載用途等のように例えば170℃といった高温環境下における良好な性能が要求されている。具体的には、電解コンデンサには、高温環境下においても一定以上の静電容量を長期間維持する長寿命が要求されている。
高温環境下に長期間晒された場合、封口体が熱酸化劣化し易くなり、封口体の透過性が上がり、また封口体のひび割れの可能性が高くなる。そのため、沸点が170℃を超えるような高い溶媒で電解液を組成しても、高温環境下に長期間晒されれば、電解液の蒸散を抑制できず、電解コンデンサが容易にドライアップを迎えてしまう虞がある。
即ち、エラストマー分子のC-H結合が開裂してラジカルが発生する。第1に、このラジカルがエラストマー分子の別のC-H結合にアタックして更なる開裂を促す。また、第2に、このラジカルに酸素が付加されて過酸化物が生じる。この過酸化物が熱で分解してラジカルを加速的に発生させ、このラジカルがエラストマー分子の別のC-H結合にアタックして更なる開裂を促す。
これが繰り返されると、エラストマーの分子の鎖長が短くなっていき、エラストマー部材が軟化していく。低分子化したエラストマーは気化し易くなる。また、鎖長が短く切断されたエラストマーが再結合したときに、エラストマーの密度が高まる。そのため、エラストマー部材は収縮していく。そのため、電解液が封口体を通過し易くなる。また、封口体の収縮は各所で差が生じ、収縮差によって封口体に割れが生じてしまう。
封口体の熱酸化劣化を抑制するために酸化防止剤を電解コンデンサの封口体に混入させることが提案されている。しかし、酸化防止剤は酸化防止作用を果たすに連れて消費され、次第に失われてしまい、電解コンデンサの長寿命化に限界がある。また、封口体に添加する酸化防止剤を増量すると、封口体の特性が悪化し、最終的には電解コンデンサの特性悪化を招来する。そのため、電解液の溶媒を親油性溶媒とし、酸化防止剤を親油性溶媒に溶解する脂溶性の化合物とする案が提案されている(例えば、特許文献2参照)。脂溶性の酸化防止剤としては例えばトコフェロールが挙げられている。
この案によると、親油性溶媒が封口体へ脂溶性の酸化防止剤を浸透させ易くする。封口体に酸化防止剤が浸透すると、封口体を透過する酸素や水分が少ないため、電解液中の酸化防止剤は酸化等の劣化が少ない状態でコンデンサ素子に長期間保持される。また、封口体に熱酸化劣化が生じても、酸化防止剤が封口体の分子間の隙間に侵入するため封口体が収縮し難く、ひび割れが抑制される。
国際公開第2013/094462号 国際公開第2021/171611号
溶媒と脂溶性の酸化防止剤を含めて電解コンデンサを構成した場合、170℃といった高温環境下に長時間晒すと、封口体が一度溶けて再凝固したように変形してしまうことが確認された。この確認の際には、溶媒としてグリセリンを用い、脂溶性の酸化防止剤としてトコフェロールを用いた。
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、封口体の変形を抑制しつつ、高温環境下でも電解液の蒸散が抑制された電解コンデンサを提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究の結果、封口体がブチルゴムを含み、且つ電解液にグリセリン又はジグリセリンが含まれている場合、特定の酸化防止剤については高い酸化劣化抑制効果を有するとの知見を得た。しかも、この特定の酸化防止剤は、水溶性である。この特定の酸化防止剤(以下、本特定酸化防止剤ともいう。)とは、水溶性であり、分子構造中にベンゼン環と2つ以上のヒドロキシ基を有する。
このような知見に立脚し、上記課題を解決すべく、本実施形態の電解コンデンサは、陽極箔と陰極箔と電解液と固体電解質層とを有するコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子を収容するケースと、前記ケースを封口する封口体と、酸化防止剤と、を備え、前記封口体は、ブチルゴムを含み、前記電解液は、グリセリン、ジグリセリン又はこれらの両方を溶媒として含み、前記酸化防止剤は、水溶性であり、分子構造中にベンゼン環と2つ以上のヒドロキシ基を有する。
これにより、170℃といった高温環境下に電解コンデンサが晒されたとしても、封口体を変形させず、電解液の蒸散が抑制され、電解コンデンサの寿命を伸ばすことができる。
前記酸化防止剤は、前記電解液に含まれるようにしてもよい。その他、酸化防止剤は、電解液とは別にコンデンサ素子に付着させることもできるし、電解液の含浸後にケースに添加することもできる。
前記酸化防止剤は、ヒドロキノン、カテコール、2-メチルヒドロキノン、2-アセチルヒドロキノン、4,4′-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、1,4-ジヒドロキシナフタレン、2-フェニルヒドロキノン、1,2,4-トリヒドロキシベンゼン、又は1,4-ジヒドロキシ-2-メトキシベンゼンであるようにしてもよい。
前記溶媒は、グリセリン、ジグリセリン又はこれらの両方は、当該溶媒全量中、20wt%以上含まれるようにしてもよい。これにより、本特定酸化防止剤が良好な酸化劣化抑制効果を発揮する良好な環境となり、封口体を変形させず、電解液の蒸散が抑制され、電解コンデンサの寿命を伸ばすことができる。
前記酸化防止剤は、前記電解液全量に対して1.5wt%以上含まれるようにしてもよい。これにより、本特定酸化防止剤の良好な酸化劣化抑制効果が顕著に現われ、封口体を変形させず、電解液の蒸散を簡便に抑制でき、電解コンデンサの寿命を簡便に伸ばすことができる。
前記溶媒は、グリセリン、ジグリセリン又はこれらの両方は、当該溶媒全量中、40wt%以上含み、前記酸化防止剤は、前記電解液全量に対して3wt%以上含まれるようにしてもよい。これにより、本特定酸化防止剤が良好な酸化劣化抑制効果を発揮する更に良好な環境となり、封口体を変形させず、電解液の蒸散が更に抑制され、電解コンデンサの寿命を更に伸ばすことができる。
前記電解液は、更にエチレングリコールを含むようにしてもよい。グリセリンやジグリセリンに加えて、電解液の溶媒としてエチレングリコールを用いた場合、電解液の溶媒としてγ-ブチロラクトンやスルホランを用いた場合と比べて、より低濃度のグリセリンやジグリセリンで同程度の電解液蒸散抑制効果を発揮でき、電解液蒸散抑制効果をより強くしたり、グリセリンやジグリセリンの濃度を下げたりすることができる。
封口体にブチルゴム以外が含まれていても、封口体を変形させず、電解液の蒸散を簡便に抑制できる。例えば、前記封口体は、エチレンプロピレンゴムを更に含み、前記ブチルゴムと前記エチレンプロピレンゴムは樹脂加硫により架橋されているようにしてもよい。
尚、前記コンデンサ素子に、固体電解質層を備えるようにすることで、グリセリンやジグリセリンは粘度が高く比抵抗が高いが、電解コンデンサの抵抗成分を下げることができる。
前記固体電解質層には、沸点が150℃以上且つ水酸基を有する液体状化合物が含まれるようにしてもよい。前記液体状化合物は、エチレングリコールであるようにしてもよい。
本発明によれば、封口体の変形を抑制しつつ、高温環境下で電解液の蒸散が抑制され、電解コンデンサの長寿命化が達成される。
高温環境下で2500時間経過後の各種封口体を写した写真である。
以下、本発明の実施形態に係る電解コンデンサについて説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものでない。
電解コンデンサは、誘電体酸化皮膜の誘電分極作用により静電容量を発現させ、電荷の蓄電及び放電を行う受動素子である。電解コンデンサのコンデンサ素子は、陽極箔、陰極箔、セパレータ及び電解質を備え、巻回形又は積層形を採る。陽極箔と陰極箔はセパレータを介して対向する。陽極箔の表面には誘電体酸化皮膜が形成されている。
電解質として、電解コンデンサは電解液及び固体電解質層を有する。固体電解質層は、導電性高分子を有し、陽極箔と陰極箔との間に介在し、誘電体酸化皮膜と密着する。電解液は、アニオン成分とカチオン成分が溶媒に添加された溶液であり、コンデンサ素子の空隙部に充填される。
コンデンサ素子は、電解コンデンサのケースに収容され、封口体で密封されている。コンデンサ素子を収容する有底筒状であり、例えばアルミニウム製である。封口体は、ケースの開口に加締め加工により取り付けられ、ケースの開口を封止する。陽極箔と陰極箔には引出端子が接続され、その接続端子には外部端子が電気的に接続されている。外部端子が封口体の貫通孔を通って外部に導出されている。
この封口体は、加締め加工によるケースとの密着性向上のため、また絶縁性確保のために、エラストマーを主とする弾性体を備えている。封口体は、弾性体に対して合成樹脂板や金属板を積層した積層体であってもよい。エラストマーとして、この封口体はブチルゴムとも呼ばれるイソブチレンイソプレンゴムを含んでいる。また、電解液は、アニオン成分とカチオン成分に解離するイオン解離性塩の溶液でもよいが、この電解液は、溶媒がグリセリン、ジグリセリン又はこれらの両方であり、そして封口体の熱酸化劣化を抑制する酸化防止剤が含まれている。
酸化防止剤は、水溶性であり、分子中にベンゼン環と2つ以上のヒドロキシ基を有する。水溶性とは、例えば18℃の水100ミリリットルに対して0.01g以上の酸化防止剤が溶解することをいう。ベンゼン環は、1個又は2個以上の複数個が分子中に存在してもよく、ナフタレンのように隣り合うベンゼン環が1辺を共有していてもよい。2つ以上のヒドロキシ基は、1個のベンゼン環の置換基であってもよいし、2個以上のベンゼン環のうちの複数に分配された置換基であってもよいし、ベンゼン環から側鎖状に延びる有機基に存在していてもよい。
この酸化防止剤は、封口体がブチルゴムを含み、電解液がグリセリン、ジグリセリン又はこれらの両方が含まれる溶媒環境であると、酸化防止剤の封口体への浸透を抑制して封口体を変形させることなく、高い酸化劣化抑制効果を発揮する。即ち、封口体は、一度溶けて再凝固したような変形をし難い。また、170℃といった高温環境下に電解コンデンサが長時間晒されたとしても、封口体から外部へ電解液が蒸散し難く、また封口体にひび割れが発生し難くなる。そのため、電解コンデンサ内に電解液が長期間残って低いESRが維持でき、長寿命な電解コンデンサが達成される。
酸化防止剤は、電解液に含有させる他、電解液とは別にコンデンサ素子に付着させるようにしてもよいし、コンデンサ素子に電解液を含浸させた後にケースに入れることもできる。
このような酸化防止剤としては、下記化学式(1)に示すヒドロキノンが挙げられる。ヒドロキノンは、ベンゼン環と、当該ベンゼン環の1位と4位に計2個のヒドロキシ基を有し、水溶性である。
(化1)
Figure 2023137006000002
また、酸化防止剤としては、下記化学式(2)に示すカテコールが挙げられる。カテコールは、ベンゼン環と、当該ベンゼン環の1位と2位に計2個のヒドロキシ基を有し、水溶性である。
(化2)
Figure 2023137006000003
また、酸化防止剤としては、下記化学式(3)に示す2-メチルヒドロキノンが挙げられる。2-メチルヒドロキノンは、ベンゼン環と、当該ベンゼン環の1位と4位に計2個のヒドロキシ基を有し、水溶性である。
(化3)
Figure 2023137006000004
また、酸化防止剤としては、下記化学式(4)に示す2-アセチルヒドロキノンが挙げられる。2-アセチルヒドロキノンは、ベンゼン環と、当該ベンゼン環の1位と4位に計2個のヒドロキシ基を有し、水溶性である。
(化4)
Figure 2023137006000005
また、酸化防止剤としては、下記化学式(5)に示す4,4-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)が挙げられる。4,4-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)は、互いの4位が硫黄原子を介して2個のフェノールが結合した分子構造を有し、計2個のベンゼン環と計2個のヒドロキシ基を有し、水溶性である。
(化5)
Figure 2023137006000006
また、酸化防止剤としては、下記化学式(6)に示す1,4-ジヒドロキシナフタレンが挙げられる。1,4-ジヒドロキシナフタレンは、1辺を共有する2個のベンゼン環と、1個のベンゼン環の1位と4位に計2個のヒドロキシ基を有し、水溶性である。
(化6)
Figure 2023137006000007
また、酸化防止剤としては、下記化学式(7)に示す2-フェニルヒドロキノンが挙げられる。2-フェニルヒドロキノンは、2個のベンゼン環と、1個のベンゼン環の1位と4位に計2個のヒドロキシ基を有し、水溶性である。
(化7)
Figure 2023137006000008
また、酸化防止剤としては、下記化学式(8)に示す1,2,4-トリヒドロキシベンゼンが挙げられる。1,2,4-トリヒドロキシベンゼンは、ベンゼン環と、ベンゼン環の1位、2位及び4位に計3個のヒドロキシ基を有し、水溶性である。
(化8)
Figure 2023137006000009
また、酸化防止剤としては、下記化学式(9)に示す1,4-ジヒドロキシ-2-メトキシベンゼンが挙げられる。1,4-ジヒドロキシ-2-メトキシベンゼンは、ベンゼン環と、ベンゼン環の1位及び4位に計2個のヒドロキシ基を有し、水溶性である。
(化9)
Figure 2023137006000010
電解液の溶媒はグリセリン、ジグリセリン又はこれらの両方を含むものであるが、二量体を超えるポリグリセリンは長期間の高温環境下で封口体にひび割れを生じさせてしまう。また、グリセリン、ジグリセリン又はこれらの両方を電解液の溶媒に用いる場合、溶媒全量中20wt%以上を占めることが好ましい。20wt%未満であっても、封口体の変形抑制と電解液の蒸散抑制の観点では効果が見られる。しかし、20wt%以上であれば、グリセリン、ジグリセリン又はこれらの両方と酸化防止剤との相乗効果により、電解液の蒸散が更に抑制され、封口体のひび割れが更に抑制され、電解コンデンサの更なる長寿命化を図ることができる。または、20wt%以上であれば、この酸化防止剤との相乗効果を生かすことで、酸化防止剤の添加量を限定でき、漏れ電流の増大リスクを低減することもできる。
もっとも、酸化防止剤は、電解液に対して1.5wt%以上を占めるように添加されることが好ましい。酸化防止剤が1.5wt%未満であっても、グリセリンやジグリセリンの濃度を上げることで、電解コンデンサが高温環境下に長時間晒されても、電解液の蒸散を抑制できるが、電解液の粘度が上がる。また、酸化防止剤は、電解液に対して3wt%以上を占めるように添加されることが特に好ましい。酸化防止剤が3wt%以上であると、電解コンデンサが高温環境下に特に長い期間晒されたとしても、封口体のひび割れを抑制し、電解液の蒸散を抑制できる。
グリセリンやジグリセリンの濃度を上げたとしても、電解コンデンサが固体電解質層を備えるようにすればよい。固体電解質層は、導電性高分子を含み、電解液と共に電解コンデンサの真の陰極として作用すると共に、グリセリン及びジグリセリンの高粘度に起因する比抵抗の高さを減殺し、電解コンデンサの内部抵抗を下げる。しかも、導電性高分子に脱ドープが生じると、固体電解質層の導電性が下がり、グリセリン及びジグリセリンの比抵抗に対するキャンセリング効果が薄れてしまうが、グリセリン及びジグリセリンはイオン拡散性が低いために、脱ドープ反応が抑制される。従って、この電解コンデンサでは、電解液と共に固体電解質層を併用する。
電解コンデンサが電解液と固体電解質層を併用する場合、グリセリン、ジグリセリン又はこれらの両方は、溶媒全量に対して40wt%以上を占めるように含有させることができる。40wt%以上になると、電解コンデンサが高温環境下に特に長い期間晒されたとしても、電解液の蒸散を抑制できる。
電解液の溶媒はヒドロキシ基などの親水性基又は親水性分子を有する溶媒が好ましい。電解液の溶媒として、グリセリン、ジグリセリン又はこれらの両方以外の種類を追加する場合には、エチレングリコールが好ましい。例えばγ-ブチロラクトンやスルホラン等のようなエチレングリコール以外を溶媒として追加した場合と比べて、封口体からの電解液の蒸散量を少なくすることができ、電解コンデンサの寿命が延びる。
以上の電解コンデンサにおいて、封口体に含まれるブチルゴムは加硫にて作製される。加硫としては、樹脂加硫、硫黄加硫、キノイド加硫等が挙げられる。加硫剤としては、例えば、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂類、キノイド、硫黄等が挙げられる。また、架橋促進剤には、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、過酸化鉛、ジベンゾチアジル、ジスルフィド、1,2-ポリブタジエン、トリアリルシアヌレートメタクリル酸及びアクリル酸の金属塩及びエステルステアリン酸N,N’-メタフェニルレンジマレインシド等が挙げられる。
弾性体には他のエラストマーとしてエチレンプロピレンゴムが含まれていてもよく、この電解コンデンサの電解液蒸散抑制効果は維持される。但し、ブチルゴム(A)とエチレンプロピレンゴム(B)の重量比は、A/(A+B)×100≧10を満たすことが好ましい。換言すれば、ブチルゴム(A)とエチレンプロピレンゴム(B)との重量比はA:B=10:90か、当該重量比よりも多くのブチルゴムを含めることが好ましい。
ブレンドゴムの比較において、ブチルゴムがエラストマー全量に対して10wt%未満になり、換言すればエチレンプロピレンゴムがエラストマー全量に対して90wt%超になると、封口体のひび割れは阻止できるものの、電解コンデンサから外部へ抜け出る電解液の量が多くなる。ブレンドゴムの比較において、ブチルゴムがエラストマー全量に対して90wt%超になり、換言すればエチレンプロピレンゴムがエラストマー全量に対して10wt%未満になると、封口体がひび割れし易くなる。
ブチルゴムとエチレンプロピレンゴムを併用する場合、エラストマーは、ブチルゴムとエチレンプロピレンゴムとを樹脂加硫で架橋したブレンドゴムとすることが好ましい。ブチルゴムとエチレンプロピレンゴムを別々に加硫して混合するよりも、電解液の蒸散が抑制される。このブレンドゴムは、未加硫のブチルゴムと未加硫のエチレンプロピレンゴムとを混合してから、混合体に対して樹脂加硫剤を加え、加圧及び加熱する。または、このブレンドゴムは、未加硫のブチルゴムと未加硫のエチレンプロピレンゴムと樹脂加硫剤とを加え、加圧及び加熱する。
弾性体には、ブチルゴムの他、カーボン及び無機充填剤が含まれるようにしてもよい。カーボン及び無機充填剤が添加されると、ブチルゴムが開裂し難くなり、ブチルゴムの軟化が抑えられる。無機充填剤としては、タルク、マイカ、シリカ、カオリン、チタニア、アルミナ及びこれらの混合が挙げられ、扁平形状を有するタルクやマイカ等が好ましい。扁平形状を有する無機充填剤は、架橋が促進され、架橋密度を調整するために好適である。
電解液の溶媒として、エチレングリコール以外の溶媒としては、一価アルコール類、及び多価アルコール類、オキシアルコール化合物類、水などのプロトン性の極性溶媒、又はスルホン系、アミド系、ラクトン類、環状アミド系、ニトリル系、スルホキシド系などの非プロトン性の極性溶媒が挙げられる。
この電解液は、アニオン成分とカチオン成分が溶媒に添加された溶液である。アニオン成分とカチオン成分は、典型的には、有機酸の塩、無機酸の塩、又は有機酸と無機酸との複合化合物の塩であり、アニオン成分とカチオン成分に解離するイオン解離性塩によって溶媒に添加される。アニオン成分となる酸及びカチオン成分となる塩基が別々に溶媒に添加されてもよい。また、電解液は、アニオン成分又はカチオン成分、アニオン成分とカチオン成分の両者が溶媒に含まれていなくてもよい。
電解液のアニオン成分としては、有機酸、無機酸又は有機酸と無機酸の複合化物が挙げられる。有機酸としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、アジピン酸、安息香酸、トルイル酸、エナント酸、マロン酸、1,6-デカンジカルボン酸、1,7-オクタンジカルボン酸、アゼライン酸、レゾルシン酸、フロログルシン酸、没食子酸、ゲンチシン酸、プロトカテク酸、ピロカテク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のカルボン酸や、フェノール類、スルホン酸が挙げられる。また、無機酸としては、ホウ酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、炭酸、ケイ酸等が挙げられる。有機酸と無機酸の複合化合物としては、ボロジサリチル酸、ボロジ蓚酸、ボロジグリコール酸、ボロジマロン酸、ボロジコハク酸、ボロジアジピン酸、ボロジアゼライン酸、ボロジ安息香酸、ボロジマレイン酸、ボロジ乳酸、ボロジリンゴ酸、ボロジ酒石酸、ボロジクエン酸、ボロジフタル酸、ボロジ(2-ヒドロキシ)イソ酪酸、ボロジレゾルシン酸、ボロジメチルサリチル酸、ボロジナフトエ酸、ボロジマンデル酸及びボロジ(3-ヒドロキシ)プロピオン酸等が挙げられる。
電解液のカチオン成分としては、アンモニウム塩、四級アンモニウム塩、四級化アミジニウム塩、アミン塩、ナトリウム塩、カリウム塩等から生じるカチオンイオンが挙げられる。四級アンモニウム塩の四級アンモニウムイオンとしては、テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等が挙げられる。四級化アミジニウム塩としては、エチルジメチルイミダゾリニウム、テトラメチルイミダゾリニウム等が挙げられる。アミン塩としては、一級アミン、二級アミン、三級アミンの塩が挙げられる。一級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン等、二級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、ジブチルアミン等、三級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、エチルジメチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等が挙げられる。
さらに、電解液には他の添加剤を添加することもできる。添加剤としては、リン酸、リン酸エステル等のリン酸化合物、ホウ酸、ホウ酸エステル等のホウ酸化合物、ホウ酸とマンニットやソルビット等の糖アルコールとの錯化合物、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、ポリプロピレングリコール等のポリオキシアルキレンポリオール、コロイダルシリカ、シリコーンオイル等が含まれていても良い。また、添加剤としてはニトロ化合物が含まれてもよい。ニトロ化合物としては、o-ニトロ安息香酸、m-ニトロ安息香酸、p-ニトロ安息香酸、o-ニトロフェノール、m-ニトロフェノール、p-ニトロフェノール、p-ニトロベンセン、p-ニトロベンジルアルコール、m-ニトロアセトフェノン、o-ニトロアニソール等が挙げられる。他の添加剤としては、化成性の向上を目的としてリン酸エステル等のリン酸化合物を添加したり、ガス吸収を目的としてp-ニトロ安息香酸等のニトロ化合物を添加することが好ましい。
尚、電解液は、アニオン成分とカチオン成分に解離するイオン解離性塩及び添加剤を含まず、グリセリン又はグリセリンとエチレングリコールの混合液のみで組成されていてもよい。
固体電解質層の導電性高分子は、分子内のドーパント分子によりドーピングされた自己ドープ型又は外部ドーパント分子によりドーピングされた共役系高分子である。共役系高分子は、π共役二重結合を有するモノマー又はその誘導体を化学酸化重合または電解酸化重合することによって得られる。共役系高分子としては、公知のものを特に限定なく使用することができる。例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリチオフェンビニレンなどが挙げられる。これら共役系高分子は、単独で用いられてもよく、2種類以上を組み合わせても良く、更に2種以上のモノマーの共重合体であってもよい。
上記の共役系高分子のなかでも、チオフェン又はその誘導体が重合されて成る共役系高分子が好ましく、3,4-エチレンジオキシチオフェン(すなわち、2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン)、3-アルキルチオフェン、3-アルコキシチオフェン、3-アルキル-4-アルコキシチオフェン、3,4-アルキルチオフェン、3,4-アルコキシチオフェン又はこれらの誘導体が重合された共役系高分子が好ましい。チオフェン誘導体としては、3位と4位に置換基を有するチオフェンから選択された化合物が好ましく、チオフェン環の3位と4位の置換基は、3位と4位の炭素と共に環を形成していても良い。アルキル基やアルコキシ基の炭素数は1~16が適しているが、特に、EDOTと呼称される3,4-エチレンジオキシチオフェンの重合体、即ち、PEDOTと呼称されるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。また、3,4-エチレンジオキシチオフェンにアルキル基が付加された、アルキル化エチレンジオキシチオフェンでもよく、例えば、メチル化エチレンジオキシチオフェン(すなわち、2-メチル-2,3-ジヒドロ-チエノ〔3,4-b〕〔1,4〕ジオキシン)、エチル化エチレンジオキシチオフェン(すなわち、2-エチル-2,3-ジヒドロ-チエノ〔3,4-b〕〔1,4〕ジオキシン)などが挙げられる。
ドーパントは、公知のものを特に限定なく使用することができる。例えば、ホウ酸、硝酸、リン酸などの無機酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、アスコット酸、酒石酸、スクアリン酸、ロジゾン酸、クロコン酸、サリチル酸、p-トルエンスルホン酸、1,2-ジヒドロキシ-3,5-ベンゼンジスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ボロジサリチル酸、ビスオキサレートボレート酸、スルホニルイミド酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、プロピルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸などの有機酸が挙げられる。また、ポリアニオンとしては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸などが挙げられる。
固体電解質層には、導電性高分子に加えて、沸点が150℃以上の極性溶媒を含めてもよい。この極性溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、又はこれらの2種以上の組み合わせが挙げられる。これら極性溶媒は、導電性高分子の高次構造の変化及びポリマー鎖の結晶構造が再配向されることで、キャリア移動度を向上させ、導電性高分子の電気伝導度が向上する。
これら極性溶媒のなかでも、沸点が150℃以上で水酸基を有する液体状化合物は、導電性高分子の電気伝導度がさらに向上するため好ましい。この液体状化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリンが好ましい。
また、沸点が150℃以上で、水酸基を有する化合物として、ソルビトール、ペンタエリスリトール、マンニトール、キシリトール、ボレミトール、又はこれらの2種以上の組み合わせが挙げられる。これら化合物は、誘電体酸化皮膜の化成性を向上させ、耐電圧を高める。
この固体電解質層は、導電性高分子が溶媒中に分散して成る分散液にコンデンサ素子を浸漬して乾燥させることにより形成される。陽極箔、陰極箔及びセパレータを組立て前に別々に分散液に浸漬させてもよいし、滴下塗布したり、スプレー塗布等してもよい。
尚、陽極箔、陰極箔、セパレータ及びケースについては、公知の何れについても限定無く使用できる。
即ち、陽極箔及び陰極箔は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、酸化ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス及びアンチモン等の弁作用金属を材料とする長尺の箔体である。陽極箔は、アルミニウム等の弁作用金属の粉体を焼結した焼結体、又は延伸された箔にエッチング処理を施したエッチング箔として、表面が拡面化される。拡面構造は、トンネル状のピット、海綿状のピット、又は密集した粉体間の空隙により成る。
誘電体酸化皮膜は、典型的には、陽極箔の表層に形成される酸化皮膜であり、陽極箔がアルミニウム製であれば多孔質構造領域を酸化させた酸化アルミニウムである。この誘電体酸化皮膜は、アジピン酸、ホウ酸又はリン酸等の水溶液中で電圧印加する化成処理により形成される。また、陰極箔の表層に必要に応じて化成処理により薄い誘電体酸化皮膜(1~10V程度)を形成しても良い。さらに、陰極箔は、金属窒化物、金属炭化物、金属炭窒化物からなる層を蒸着法により形成したもの、あるいは表面に炭素を含有したものを用いて作出してもよい。
セパレータは、クラフト、マニラ麻、エスパルト、ヘンプ、レーヨン等のセルロースおよびこれらの混合紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、それらの誘導体などのポリエステル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ビニロン系樹脂、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、トリメチルペンテン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等が挙げられ、これらの樹脂を単独で又は混合して用いることができる。
ケースは、アルミニウム、アルミニウム若しくはマンガンを含有するアルミニウム合金、又はステンレス製であり、有底及び他端が開口の例えば筒体である。封口体は、このケースの開口をカシメ加工によって内側へ折り曲げることで潰され、ケースの内周面に密着する。
以下、実施例に基づいて本発明の電解コンデンサをさらに詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1乃至9)
実施例1乃至9並びに比較例1乃至4の電解コンデンサを作製した。これら電解コンデンサは酸化防止剤の種類を除いて共通であり、次の通り作製された。
即ち、陽極箔及び陰極箔は、アルミニウム箔であり、エッチング処理により拡面化し、化成処理により酸化皮膜を形成した。陽極側の酸化皮膜は電解コンデンサの誘電体酸化皮膜となる。同じ陽極箔と陰極箔を全電解コンデンサに用い、各々にリード線を接続し、マニラ系セパレータを介して陽極箔と陰極箔を対向させて巻回した。コンデンサ素子は、同一濃度のリン酸二水素アンモニウム水溶液に10分間浸漬されることで、修復化成が行われた。
次に、導電性高分子として同一製品のポリスチレンスルホン酸がドープされたポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT/PSS)の分散液を同一濃度で準備し、コンデンサ素子を浸漬し、コンデンサ素子を引き上げ、150℃で30分間乾燥させた。これにより、コンデンサ素子に固体電解質を形成した。
電解液を構成する溶媒全量をグリセリンとし、イオン解離性塩としてアゼライン酸アンモニウムを添加した。アゼライン酸アンモニウムは1kgの溶媒に対して0.16molの割合で添加された。電解液には各実施例及び各比較例に応じた種類の酸化防止剤を添加及び混合した。酸化防止剤の添加量は電解液全量に対して5wt%とした。固体電解質が形成されたコンデンサ素子をこの電解液に浸漬し、コンデンサ素子内に150mgの電解液を含侵させた。
そして、このコンデンサ素子を同一寸法及び同一形状のアルミニウムケースに収容した。アルミニウムケースの開口端部には、封口体を装着し、同一加圧力で加締め加工によって封止した。但し、コンデンサ素子から引き出されるリード線は封口体から引き出しておき、固体電解コンデンサに通電できるようにした。封口体は、全実施例及び全比較例に共通で有り、ブチルゴムから成る弾性体である。ブチルゴムとしてはレギュラーブチルを用いた。固体電解コンデンサのサイズは直径10mm、高さ10mmであり、定格35WV、270μFであった。
実施例1乃至9並びに比較例1乃至4において用いられた酸化防止剤の種類は下表1の通りである。
(表1)
Figure 2023137006000011
上表1に示すように、実施例1乃至9に用いられた酸化防止剤は、上記化学式(1)乃至(9)に示した化合物であり、水溶性であり、分子構造中にベンゼン環と2つ以上のヒドロキシ基を有する。
一方、比較例1の酸化防止剤は、下記化学式(10)に示すパラニトロフェノールである。パラニトロフェノールは、ベンゼン環を有するものの、ヒドロキシ基は1個のみである。
(化10)
Figure 2023137006000012
比較例2の酸化防止剤は、下記化学式(11)に示すアスコルビン酸である。アスコルビン酸は、複数のヒドロキシ基を有するものの、五員環を有し、ベンゼン環がない。
(化11)
Figure 2023137006000013
比較例3の酸化防止剤は、下記化学式(12)に示すクエン酸である。クエン酸は、複数のヒドロキシ基を有するものの、環構造を備えない。
(化12)
Figure 2023137006000014
比較例4の酸化防止剤は、下記化学式(13)に示すトコフェロールである。トコフェロールは、ベンゼン環を有し、1個ではあるもののヒドロキシ基を有するが、炭素数が大きい側鎖を有して脂溶性であり、水溶性ではない。
(化13)
Figure 2023137006000015
(ESR1)
実施例1乃至9並びに比較例1乃至4の電解コンデンサを170℃の高温環境下に晒した。そして、高温環境下に晒す直前、及び高温環境下に2500時間晒した段階の等価直列抵抗(ESR)を測定周波数100kHzで測定し、また封口体の状態を目視で観察した。
各時間での測定結果及び目視の結果を下表2に示す。
(表2)
Figure 2023137006000016
また、170℃の高温環境下に2500時間晒した後、実施例1及び比較例4の封口体の様子を写真撮影した。その結果を図1に示す。図1の(a)は実施例1の封口体の写真であり、(b)は比較例4の封口体の写真であり、(c)は封口体がひび割れた状態を示す参考写真である。ひび割れた状態とは、封止性が保たれていない状態である。
表2に示すように、実施例1乃至9の電解コンデンサは、高温環境下に2500時間晒しても封口体にひび割れが見られなかった。そして、高温環境下に2500時間晒してもESRも低く抑えられており、電解液の残存していることが示された。一方、比較例1乃至3の電解コンデンサは、封口体にひび割れが生じ、ESRが急上昇してしまった。即ち、比較例1乃至3の電解コンデンサは、封口体のひび割れにより電解液全量が蒸散してしまった。
比較例4の封口体にはひび割れは生じなかった。また、高温環境下に2500時間晒した段階では、ESRも低く抑えられており、電解液も残存していることが示された。しかしながら、図1に示すように、比較例4の封口体は、一度溶けて再凝固したように変形してしまった。比較例4の封口体が実装基板に溶け落ちる虞や、高温環境下に更に長く晒されることで電解液の蒸散量が増える虞が示された。
このように、封口体にブチルゴムを用い、溶媒にグリセリン、ジグリセリン又はこれらの両方を用い、そしてベンゼン環と2つ以上のヒドロキシ基を有する水溶性の酸化防止剤が電解液に含まれていれば、封口体の変形を抑制しつつ、高温環境下で電解液の蒸散が抑制され、電解コンデンサの長寿命化が達成されることが確認された。
次に、実施例10乃至15の電解コンデンサを作製した。実施例10乃至15の電解コンデンサは、溶媒に含まれるグリセリンの混合比率が実施例1と比べて異なる。実施例10乃至15の電解コンデンサは、グリセリンとエチレングリコールの混合液を電解液の溶媒として有している。実施例10乃至15は溶媒中のグリセリンの混合比率が異なる。実施例10乃至15は、電解液の溶媒を除き、実施例1と同じ酸化防止剤を有し、実施例1と同一製造方法、同一製造条件で作製された。
また、比較例5乃至7の電解コンデンサを作製した。比較例5の電解コンデンサにおいて、電解液の溶媒はエチレングリコールのみで、グリセリンは電解液の溶媒として未添加である。また、比較例5の電解コンデンサは酸化防止剤を備えていない。比較例6の電解コンデンサにおいて、電解液の溶媒はグリセリンを含んでいるが、酸化防止剤を備えていない。比較例7の電解コンデンサにおいて、電解液の溶媒は10wt%のグリセリンと90wt%のエチレングリコールを含んでいる。この比較例7の電解コンデンサにおける酸化防止剤はヒドロキノンであり、このヒドロキノンの添加量は電解液全量に対して0.05wt%である。
このような実施例10乃至15並びに比較例5乃至7の電解液の溶媒の混合比率、酸化防止剤の種類は、次の下表3の通りである。下表3には実施例1も示してある。
(表3)
Figure 2023137006000017
(ESR2)
実施例10乃至15並びに比較例5乃至7の電解コンデンサを170℃の高温環境下に晒した。そして、高温環境下に晒す直前、高温環境下に2000時間晒した段階、及び高温環境下に2500時間晒した段階の等価直列抵抗(ESR)を測定周波数100kHzで測定し、また封口体の状態を目視で観察した。
各時間での測定結果及び目視の結果を下表4に示す。
(表4)
Figure 2023137006000018
表4の比較例6に示すように、ブチルゴムに封口体を用い、溶媒中の60wt%をグリセリンとすれば、高温環境下で2000時間までは封口体にひび割れは無く、電解液が残存して良好なESRを維持している。しかし、この比較例6も2500時間が経過すると、封口体にひび割れが生じて電解液全量が蒸散し、ESRが示すように電解コンデンサの寿命が尽きてしまう。
一方、表4の実施例10及び11が示すように、ベンゼン環と2つ以上のヒドロキシ基を有する水溶性の酸化防止剤を電解液に含んでいれば、溶媒中のグリセリンの量が20wt%であっても、2500時間を超えて封口体にひび割れが無いことが確認された。そのため、電解液が電解コンデンサ内に残存し、電解コンデンサのESRは2500時間を超えても良好に維持されている。即ち、電解コンデンサの長寿命化が確認された。
一方、表4の実施例10及び11が示すように、酸化防止剤の添加量は電解液全量に対して1.5wt%であれば、2500時間経過後においても封口体のひび割れを抑制できることが確認された。そのため、電解液が電解コンデンサ内に残存し、電解コンデンサのESRは2500時間を超えても良好に維持されている。即ち、電解コンデンサの長寿命化が確認された。
(更なる耐熱試験)
実施例12及び実施例14の電解コンデンサを170℃の温度環境下に3000時間まで晒し続けた。そして、高温環境下に3000時間晒した段階の等価直列抵抗(ESR)を測定周波数100kHzで測定し、また封口体の状態を目視で観察した。
3000時間経過後の実施例12及び14の電解コンデンサのESRの測定結果及び目視の結果を下表5に示す。
(表5)
Figure 2023137006000019
表5に示すように、実施例12の電解コンデンサは、3000時間経過後も封口体にひび割れは生じなかった。しかしながら、実施例12の電解コンデンサは、封口体から電解液の蒸散量が多く、3000時間ではドライアップを迎え、ESRが示すように電解コンデンサの寿命が尽きてしまった。一方、実施例14の電解コンデンサは、3000時間経過後も封口体にひび割れは生じず、また電解液が残存した。そのため、実施例14の電解コンデンサのESRは3000時間を超えても良好に維持されている。即ち、電解コンデンサの長寿命化が確認された。
実施例14の電解コンデンサでは、電解液の溶媒中に40wt%以上のグリセリンが含まれ、また酸化防止剤が電解液の全量中に3wt%以上含まれている。これにより、電解液の溶媒中に40wt%以上のグリセリンが含まれ、また酸化防止剤が電解液の全量中に3wt%以上含まれていると、電解コンデンサの更なる長寿命化を達成できることが確認された。

Claims (10)

  1. 陽極箔と陰極箔と電解液と固体電解質層とを有するコンデンサ素子と、
    前記コンデンサ素子を収容するケースと、
    前記ケースを封口する封口体と、
    酸化防止剤と、
    を備え、
    前記封口体は、ブチルゴムを含み、
    前記電解液は、グリセリン、ジグリセリン又はこれらの両方を溶媒として含み、
    前記酸化防止剤は、水溶性であり、分子構造中にベンゼン環と2つ以上のヒドロキシ基を有すること、
    を特徴とする電解コンデンサ。
  2. 前記酸化防止剤は、前記電解液に含まれること、
    を特徴とする請求項1記載の電解コンデンサ。
  3. 前記酸化防止剤は、ヒドロキノン、カテコール、2-メチルヒドロキノン、2-アセチルヒドロキノン、4,4′-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、1,4-ジヒドロキシナフタレン、2-フェニルヒドロキノン、1,2,4-トリヒドロキシベンゼン、又は1,4-ジヒドロキシ-2-メトキシベンゼンであること、
    を特徴とする請求項1又は2記載の電解コンデンサ。
  4. 前記溶媒は、グリセリン、ジグリセリン又はこれらの両方は、当該溶媒全量中、20wt%以上含まれること、
    を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の電解コンデンサ。
  5. 前記酸化防止剤は、前記電解液全量に対して1.5wt%以上含まれること、
    を特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の電解コンデンサ。
  6. 前記溶媒は、グリセリン、ジグリセリン又はこれらの両方を、当該溶媒全量中、40wt%以上含み、
    前記酸化防止剤は、前記電解液全量に対して3wt%以上含まれること、
    を特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の電解コンデンサ。
  7. 前記電解液は、更にエチレングリコールを含むこと、
    を特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の電解コンデンサ。
  8. 前記封口体は、エチレンプロピレンゴムを更に含み、
    前記ブチルゴムと前記エチレンプロピレンゴムは樹脂加硫により架橋されていること、
    を特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の電解コンデンサ。
  9. 前記固体電解質層には、沸点が150℃以上且つ水酸基を有する液体状化合物が含まれること、
    を特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の電解コンデンサ。
  10. 前記液体状化合物は、エチレングリコールであること、
    を特徴とする請求項9記載の電解コンデンサ。
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