JP2023135427A - 工程用フィルムのリサイクル方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】工程用フィルムを簡易にリサイクルする方法を提供することを課題とする。【解決手段】下記の工程1~4を有する、工程用フィルムのリサイクル方法であって、前記工程用フィルムが、基材上に粘着層を有する工程用フィルムであり、前記基材が、プラスチックフィルムであり、前記粘着層が、熱可塑性エラストマー及び可塑剤を含み、前記熱可塑性エラストマーが、スチレンモノマーユニットからなるブロックとゴムモノマーユニットからなるブロックとを有するポリマーを含む、工程用フィルムのリサイクル方法。工程1:前記工程用フィルムを回収する工程。工程2:回収した工程用フィルムから、粘着層を剥離する工程。工程3:基材であるプラスチックフィルムを回収する工程。工程4:回収したプラスチックフィルムをリサイクルする工程。【選択図】図1

Description

本発明は、工程用フィルムのリサイクル方法に関する。
電子機器部等を製造する過程において、接着フィルムに部品を仮固定し、打ち抜き加工等の所定の加工を実施した後に、接着フィルムから部品を剥離する工程が行われる場合がある。このような接着フィルムは、工程用フィルムと呼ばれている。
また、拡散フィルム、プリズムシート、偏光フィルム、位相差フィルム、ハードコートフィルム及び透明導電性フィルム等の光学フィルムは、製造時、流通時及び保管時等に傷が生じることを防止するために、光学フィルムの表面に接着フィルムが貼着される場合がある。このような接着フィルムも、工程用フィルムと呼ばれている。
工程用フィルムは、プラスチックフィルム等の基材上に、粘着層を有する構成を有する。工程用フィルムとしては、例えば、特許文献1~3が提案されている。
特開2009-292959号公報 特開2010-254789号公報 特開平11-129401号公報
工程用フィルムは、所定の工程及び時期が過ぎた後は、部品等から剥離される。環境への負荷を軽減するため、使用済みの工程用フィルムはリサイクルされることが望まれる。
しかし、特許文献1及び2のように、一般的な工程用フィルムは、リサイクルされることについて、何ら考慮していない。
特許文献3の工程用フィルムは、粘着層を構成する粘着剤を、水分散性の粘着剤とすることにより、水洗して基材から粘着剤を除去し、基材をリサイクルすることができる。
しかし、特許文献3の工程用フィルムは、粘着剤の種類が水分散性のものに限られるため、基材及び被着体の材質によっては、基材と粘着層との密着性、又は、粘着層と被着体との密着性を良好にすることができず、汎用性に欠けるものであった。
本発明は、工程用フィルムを簡易にリサイクルする方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく、本発明は、以下の[1]~[10]を提供する。
[1]下記の工程1~4を有する、工程用フィルムのリサイクル方法であって、前記工程用フィルムが、基材上に粘着層を有する工程用フィルムであり、前記基材が、プラスチックフィルムであり、前記粘着層が、熱可塑性エラストマー及び可塑剤を含み、前記熱可塑性エラストマーが、スチレンモノマーユニットからなるブロックとゴムモノマーユニットからなるブロックとを有するポリマーを含む、工程用フィルムのリサイクル方法。
工程1:前記工程用フィルムを回収する工程。
工程2:回収した工程用フィルムから、粘着層を剥離する工程。
工程3:基材であるプラスチックフィルムを回収する工程。
工程4:回収したプラスチックフィルムをリサイクルする工程。
[2]前記工程用フィルムの180°剥離、剥離速度300mm/minにおけるソーダガラスに対する剥離強度が0.001N/cm以上0.1N/cm以下である、[1]に記載の記載の工程用フィルムのリサイクル方法。
[3]前記粘着層の幅25mm、厚み25μm、引張速度200mm/minにおける破断伸度が300%以上2000%未満である、[1]又は[2]に記載の記載の工程用フィルムのリサイクル方法。
[4]前記粘着層と前記基材との間の、90°剥離、剥離速度50mm/minにおける剥離強度が0.01N/cm以上0.6N/cm以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の工程用フィルムのリサイクル方法。
[5]前記プラスチックフィルムがポリエステルフィルムである、[1]~[4]のいずれかに記載の工程用フィルムのリサイクル方法。
[6]前記熱可塑性エラストマーが、SIS、SBS、SEBS、SEPS、SEEPS及びこれらの変性物から選ばれる1種以上である、[1]~[5]のいずれかに記載の工程用フィルムのリサイクル方法。
[7]前記可塑剤が、ナフテンオイル及び流動パラフィンから選ばれる1種以上である、[1]~[6]のいずれかに記載の工程用フィルムのリサイクル方法。
[8]前記粘着層中の可塑剤の含有量が、前記熱可塑性エラストマー100質量部に対し、5質量部以上300質量部以下である、[1]~[7]のいずれかに記載の工程用フィルムのリサイクル方法。
[9]前記工程2において、前記基材と前記粘着層との剥離角度が5°以上135°以下である、[1]~[8]のいずれかに記載の工程用フィルムのリサイクル方法。
[10]更に、回収した粘着層をリサイクルする工程を有する、[1]~[9]のいずれかに記載の工程用フィルムのリサイクル方法。
本発明によれば、工程用フィルムを簡易にリサイクルすることができる。
本発明の工程用フィルムの一実施形態を示す断面図である。
以下、本発明の工程用フィルムのリサイクル方法の実施の形態を説明する。
[工程用フィルムのリサイクル方法]
本発明の工程用フィルムのリサイクル方法は、下記の工程1~4を有する、工程用フィルムのリサイクル方法であって、前記工程用フィルムが、基材上に粘着層を有する工程用フィルムであり、前記基材が、プラスチックフィルムであり、前記粘着層が、熱可塑性エラストマー及び可塑剤を含み、前記熱可塑性エラストマーが、スチレンモノマーユニットからなるブロックとゴムモノマーユニットからなるブロックとを有するポリマーを含むことを特徴としている。
工程1:前記工程用フィルムを回収する工程。
工程2:回収した工程用フィルムから、粘着層を剥離する工程。
工程3:基材であるプラスチックフィルムを回収する工程。
工程4:回収したプラスチックフィルムをリサイクルする工程。
(工程1)
工程1は、後述する本発明の工程用フィルムを回収する工程である。回収する工程用フィルムは、使用済みの工程用フィルムである。このため、回収する工程用フィルムは、離型シートを有さない。離型シートは、別のルートでリサイクルすることが好ましい。
工程1で回収する工程用フィルムは、ロールの形態であってもよいし、枚葉の形態であってもよい。
(工程2)
工程2は、回収した工程用フィルムから、粘着層を剥離する工程である。
工程2において、工程用フィルムから粘着層を剥離することにより、プラスチックフィルムのみを回収することができる。
工程用フィルムから粘着層を剥離する方法としては、工程用フィルム端部から粘着層を剥離した後、当該端部をきっかけとして粘着層を引張り、工程用フィルムから粘着層を剥離する方法が挙げられる。
本発明の工程用フィルムは、後述する通り、基材上に粘着層を有し、前記基材がプラスチックフィルムであり、前記粘着層が、熱可塑性エラストマー及び可塑剤を含み、前記熱可塑性エラストマーが、スチレンモノマーユニットからなるブロックとゴムモノマーユニットからなるブロックとを有するポリマーを含むことを特徴としていることから、粘着層と基材との間の粘着力及び粘着層の破断伸度が適度な範囲となるため、工程用フィルムから粘着層を剥離する際に、粘着層及び基材が破断することなく、容易に分離することが可能となる。
工程2において、工程用フィルムから粘着層を剥離する際の、基材と粘着層との剥離角度は、5°以上135°以下が好ましく、7°以上120°以下がより好ましく、9°以上100°以下が更に好ましく、10°以上90°以下がより更に好ましい。
剥離角度が5°以上であることにより、基材から粘着層を効率よく剥離し易くできる。また、剥離角度が135°以下であることにより、粘着層を剥離する際に、粘着層が破断し難くできる。
更に工程2において、剥離した粘着層を回収することが好ましい。工程2で回収する粘着層は、ロールの形態であってもよいし、枚葉の形態であってもよく、工程1で回収された工程用フィルムと同様の形態で回収されることが好ましい。
(工程3)
工程3は、基材であるプラスチックフィルムを回収する工程である。
プラスチックフィルムに、粘着層の一部が残存している場合があるため、工程3は、水及び溶剤等で洗浄する工程を有していてもよい。
リサイクルの作業性を良好にするため、工程1~3は、以下のように、ロールの状態で実施することが好ましい。
工程1では、工程用フィルムをロールの状態で回収する。
工程2では、ロール状の工程用フィルムを、ロールから送り出しながら粘着層を剥離する。
工程3では、プラスチックフィルムをロールの状態で回収する。
また、工程2において、ロール状の工程用フィルムを、ロールから送り出しながら粘着層を剥離する場合、粘着層はロール状態で回収されることが好ましい。
(工程4)
工程4は、回収したプラスチックフィルムをリサイクルする工程である。
プラスチックフィルムのリサイクルの手法としては、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルが挙げられる。これらの中でもマテリアルリサイクルが好ましい。
(工程5)
本発明の工程用フィルムのリサイクル方法は、工程5として、更に回収した粘着層をリサイクルする工程を有することが好ましい。
粘着層のリサイクルの手法としては、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルが挙げられる。これらの中でもマテリアルリサイクルが好ましい。
マテリアルリサイクルの方法としては、例えば、回収した粘着層をパウダー化した後、パウダー化した粘着層を溶剤に溶解させた塗布液を、再度コーティングに用いる方法が挙げられる。また、粘着層をパウダー化する方法としては、裁断等の物理的に粉砕する方法、加熱溶融した後に細粒化する方法等が挙げられる。
<工程用フィルム>
本発明において工程用フィルムは、基材上に粘着層を有する工程用フィルムであり、前記基材が、プラスチックフィルムであり、前記粘着層が、熱可塑性エラストマー及び可塑剤を含み、前記熱可塑性エラストマーが、スチレンモノマーユニットからなるブロックとゴムモノマーユニットからなるブロックとを有するポリマーを含むことを特徴としている。
図1は、本発明の工程用フィルムの一実施形態を示す断面図である。図1の工程用フィルム100は、基材としてのプラスチックフィルム10上に、粘着層20を有している。図1の工程用フィルム100は、粘着層20のプラスチックフィルムとは反対側に、離型シート30を有している。
工程用フィルムは、ロールの形態であってもよいし、枚葉の形態であってもよい。
(プラスチックフィルム(基材))
本発明において、工程用フィルムは基材としてプラスチックフィルムを用いる。
プラスチックフィルムには、粘着層が染み込みにくい。このため、基材をプラスチックフィルムとすることにより、基材をリサイクルしやすくできる。一方、基材が紙又は繊維の場合、紙又は繊維に粘着層等が染み込みやすいため、基材をリサイクルすることが困難である。
さらに、基材をプラスチックフィルムとすることにより、工程用フィルムの取り扱い性及び耐久性を良好にしやすくできる。
プラスチックフィルムを構成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリカーボネート;ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリスチレン;トリアセチルセルロース;ポリ(メタ)アクリレート;ポリ塩化ビニル;等が挙げられる。これらの樹脂の中でも、ポリエステルが好ましい。すなわち、プラスチックフィルムとしては、ポリエステルフィルムが好ましい。ポリエステルフィルムは、機械的強度、寸法安定性及び透明性に優れる点で好ましい。また、ポリエステルフィルムの中でも、二軸延伸ポリエステルフィルムが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムがより好ましい。
プラスチックフィルムは、表面をコロナ放電処理したものでもよい。
プラスチックフィルムの厚みは、取り扱い性及び強度の観点から、10μm以上500μm以下であることが好ましく、15μm以上250μm以下であることがより好ましく、20μm以上100μm以下であることがさらに好ましい。
≪剥離強度≫
本発明において、工程用フィルムの180°剥離、剥離速度300mm/minにおけるソーダガラスに対する剥離強度は、0.001N/cm以上0.1N/cm以下が好ましく、0.005N/cm以上0.05N/cm以下がより好ましく、0.008N/cm以上0.04N/cm以下が更に好ましく、0.01N/cm以上0.03N/cm以下がより更に好ましい。
剥離強度が0.001N/cm以上であることで、工程用フィルムと被着体との密着性を良好にし易くできる。また、剥離強度が0.1N/cm以下であることで、工程用フィルムと被着体とを剥離する際に掛かる力を低くすることができ、剥離の作業性を向上し易くできる。
また、使用済みの工程用フィルムは、ロール状に巻き取って回収する場合がある。ロール状に巻き取った使用済みの工程用フィルムの基材をリサイクルする場合、ロールから使用済みの工程用フィルムを送り出す必要がある。剥離強度が0.1N/cm以下であることにより、前述した送り出しがし易くなり、リサイクルの作業性を向上しやすくできる。
本発明において、工程用フィルムの剥離強度は、180°剥離、剥離速度300mm/minにおけるソーダガラスに対する剥離強度を意味する。剥離強度は、実施例に記載の方法により、測定することができる。
ソーダガラスとしては、平岡硝子工業株式会社製のソーダガラス(厚み:1.1mm)を使用することができる。
工程用フィルムの剥離強度は、粘着層の組成等で調整できる。例えば、可塑剤の含有量を多くすると、粘着層中に粘着力に寄与しない成分が多くなるため、剥離強度が小さくなる傾向があり、一方で、可塑剤の含有量を少なくすると剥離強度が大きくなる傾向がある。
(粘着層)
本発明において、工程用フィルムの粘着層は、熱可塑性エラストマー及び可塑剤を含み、前記熱可塑性エラストマーが、スチレンモノマーユニットからなるブロックとゴムモノマーユニットからなるブロックとを有するポリマーを含むことを要する。
粘着層が、前記の構成を有することにより、工程用フィルムの剥離強度を上記範囲内とすることができ、工程用フィルムと被着体との密着性、被着体からの剥離の作業性及びリサイクルの作業性を向上することができる。また、粘着層と基材との間の粘着力及び粘着層の破断伸度を後述の通り適度な範囲とできるため、特に上述の工程2において、工程用フィルムから粘着層を剥離する際に、粘着層及び基材が破断することなく、容易に分離することが可能となり、リサイクルの作業性を向上することができる。
本発明における熱可塑性エラストマーにおいて、スチレンモノマーユニットからなるブロックとゴムモノマーユニットからなるブロックとを有するポリマーの含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましく、99質量%以上がより更に好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
本発明において、スチレンモノマーユニットからなるブロックとゴムモノマーユニットからなるブロックとを有するポリマーは、工程用フィルムの剥離強度を上記の範囲にし易くする観点から、SIS、SBS、SEBS、SEPS、SEEPS、SI、SB、SEP及びこれらの変性物から選ばれる1種以上が好ましく、SIS、SBS、SEBS、SEPS、SEEPS及びこれらの変性物から選ばれる1種以上がより好ましく、SEBS及びSEBSの変性物から選ばれる1種以上が更に好ましい。
上記の変性物としては、酸変性物が好ましく、マレイン酸変性物がより好ましい。
また、本発明において、熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は、工程用フィルムの剥離強度を上記の範囲にし易くする観点から、15,000以上500,000以下が好ましく、100,000以上500,000以下が更に好ましい。
なお、本発明において、重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラム法(GPC法)により測定し、ポリスチレン換算した値である。
本発明において可塑剤は、工程用フィルムの剥離強度を上記の範囲にし易くし、また、粘着層の破断伸度及び基材と粘着層との間の剥離強度を後述の範囲にし易くする観点から、ナフテンオイル及び流動パラフィンから選ばれる1種以上であることが好ましく、流動パラフィンがより好ましい。
ナフテンオイルとしては、その引火点は、100℃以上300℃以下 が好ましく、150℃以上280℃以下がより好ましい。また、ナフテンオイルの流動点は、-30℃以上-5℃以下が好ましく、-25℃以上-10℃以下であることがより好ましい。また、ナフテンオイルの比重は、0.83以上0.87以下が好ましく、0.837以上0.868以下がより好ましい。また、ナフテンオイルの炭素数は、21以上35以下が好ましく、25以上33以下が更に好ましい。
流動パラフィンとしては、その引火点は、100℃以上300℃以下 が好ましく、150℃以上280℃以下がより好ましい。また、流動パラフィンの流動点は、-30℃以上-5℃以下が好ましく、-25℃以上-10℃以下であることがより好ましい。また、流動パラフィンの比重は、0.89以上0.91以下が好ましく、0.8917以上0.9065以下がより好ましい。また、流動パラフィンの炭素数は、21以上35以下が好ましく、25以上33以下が更に好ましい。
本発明において、可塑剤の含有量は、工程用フィルムの剥離強度を上記の範囲にし易くし、また、粘着層の破断伸度及び基材と粘着層との間の剥離強度を後述の範囲にし易くする観点から、熱可塑性エラストマー100質量部に対し、5質量部以上300質量部以下が好ましく、10質量部以上290質量部以下がより好ましく、20質量部以上280質量部以下が更に好ましく、30質量部以上270質量部以下がより更に好ましく、40質量部以上260質量部以下がより更に好ましく、50質量部以上250質量部以下が特に好ましい。
また、特に、可塑剤の移行による被着体の汚染を防止し易くする観点から、可塑剤の含有量は、熱可塑性エラストマー100質量部に対し、5質量部以上100質量部以下が好ましく、10質量部以上95質量部以下がより好ましく、20質量部以上90質量部以下が更に好ましく、30質量部以上85質量部以下がより更に好ましく、40質量部以上70質量部以下がより更に好ましく、50質量部以上65質量部以下が特に好ましい。
また、特に、破断伸度を維持し易くする観点から、可塑剤の含有量は、熱可塑性エラストマー100質量部に対し、100質量部超300質量部以下が好ましく、110質量部以上290質量部以下がより好ましく、120質量部以上280質量部以下が更に好ましく、130質量部以上270質量部以下がより更に好ましく、140質量部以上260質量部以下がより更に好ましく、150質量部以上250質量部以下が特に好ましい。
本発明において、粘着層は更に硬化剤を含むことが好ましい。硬化剤としては、イソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤及びアミン系硬化剤が好ましく、イソシアネート系硬化剤がより好ましい。硬化剤を含むことにより、プラスチックフィルムと粘着層との剥離強度を調整することができ、基材から粘着層が不本意に剥離することを防ぎ易くできる。
本発明において、粘着層の厚みは、工程用フィルムの剥離強度を上記の範囲にし易くし、また、粘着層の破断伸度及び基材と粘着層との間の剥離強度を後述の範囲にし易くする観点から、5μm以上50μm以下が好ましく、10μm以上40μm以下がより好ましく、15μm以上30μm以下が更に好ましい。
≪粘着層の破断伸度≫
粘着層の幅25mm、厚み25μm、速度200mm/minにおける破断伸度は、300%以上2000%未満が好ましく、400%以上1800%以下が好ましく、600%以上1600%以下が更に好ましく、800%以上1500%以下が更に好ましく、1000%以上1400%以下が特に好ましい。
破断伸度が300%以上であることによって、上述の工程2において工程用フィルムから粘着層を剥離する際に、粘着層が破断せず剥離し易くでき、リサイクルの作業性を向上し易くできる。また、剥離伸度が2000%未満であることにより、上述の工程2において工程用フィルムから粘着層を剥離する際に、必要以上に剥離層が伸びることを防ぐことができることから、剥離に必要なエネルギーを低くし易くできることから、剥離強度を小さくできるため、リサイクルの作業性を向上し易くできる。
粘着層の破断伸度は、粘着層の組成等で調整できる。例えば、可塑剤の含有量を増やすと粘着層の破断伸度が大きくなる傾向があり、可塑剤の含有量を少なくすると粘着層の破断伸度が小さくなる傾向がある。可塑剤の添加量を多くすることにより、粘着層の凝集力が低下し、破断伸度は大きくなる。
本発明において、粘着層の破断伸度は、幅25mm、厚み25μm、引張速度200mm/minにおける破断伸度を意味する。粘着層の破断伸度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
≪粘着層と基材との間の剥離強度≫
粘着層と基材との間の、90°剥離、剥離速度50mm/minにおける剥離強度は、0.01N/cm以上0.6N/cm以下が好ましく、0.02N/cm以上0.5N/cm以下がより好ましく、0.03N/cm以上0.4N/cm以下が更に好ましく、0.04N/cm以上0.3N/cm以下がより更に好ましく、0.05N/cm以上0.2N/cm以下が特に好ましい。
粘着層と基材との間の剥離強度が0.01N/cm以上であることによって、工程用フィルムを使用する際又は工程用フィルムをリサイクルする際に、基材から粘着層が不意にはがれることを防ぎ易くできる。また、粘着層と基材との間の剥離強度が0.6N/cm未満であることにより、上述の工程2において工程用フィルムから粘着層を剥離する際の粘着層の破断を抑制することができるため、リサイクルの作業性を向上し易くできる。
粘着層と基材との間の剥離強度は、粘着層の組成等で調整できる。例えば、可塑剤の含有量を増やすと、粘着層中に粘着力に寄与しない成分が多くなるため、粘着層と基材との間の剥離強度が小さくなる傾向があり、一方で、可塑剤の含有量を少なくすると粘着層と基材との間の剥離強度が大きくなる傾向がある。
本発明において、粘着層と基材との間の剥離強度は、90°剥離、剥離速度50mm/minにおける剥離強度を意味する。粘着層と基材との間の剥離強度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
(離型シート)
本発明において工程用フィルムは、粘着層のプラスチックフィルムとは反対側に、離型シートを有していてもよい。離型シートを有することにより、工程用フィルムの保管時及び流通時の取り扱い性を良好にすることができる。
工程用フィルムの使用時には、離型シートは剥離して用いられる。
離型シートとしては、プラスチックフィルム及び紙等が挙げられる。離型シートは、離型性を向上するため、プラスチックフィルム及び紙等の表面を、シリコーン等の離型剤で表面処理したものでもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
1.測定、評価
1-1.工程用フィルムの剥離強度
実施例及び比較例の工程用フィルムを幅25mm、長さ150mmに切断し、試験片とした。前記試験片から離型シートを剥離し、ソーダガラス板(平岡硝子工業株式会社製、厚み:1.1mm)と、工程用フィルムの粘着層とを対向させて重ね合わせ、工程用フィルム側から2kgゴムローラを1往復させ貼り合わせた後、引張試験機(「オートグラフ AGS-5NJ」、島津製作所社製)を用いて、180°剥離、剥離速度300mm/minで、工程用フィルムの剥離強度を測定した。測定環境は、温度23℃±5℃、相対湿度40~65%とした。測定結果を表1にまとめた。
1-2.粘着剤の破断伸度
実施例及び比較例で用いた粘着層用塗布液を用い、厚み25μmの粘着層の単層膜を作製し、これを幅25mm、長さ150mmに切断し、試験片とした。
前記試験片を、引張試験機(「オートグラフ AGS-5NJ」、島津製作所社製)を用いて、引張速度200mm/minで引張試験をし、各粘着層の25mm幅、厚み25μmにおける破断伸度を測定した。測定環境は、温度23℃±5℃、相対湿度40~65%とした。測定結果を表1にまとめた。
1-3.粘着層と基材との間の剥離強度
実施例及び比較例の工程用フィルムを幅25mm、長さ150mmに切断し、試験片とした。前記試験片の基材側を両面テープで台座に貼り合わせることで固定し、その後離型シートを剥離した。次に、基材から粘着層を端部から1cm程剥離した。前記剥離した粘着層の端部を、引張試験機(「オートグラフ AGS-5NJ」、島津製作所社製)のチャックに固定し、粘着層を基材から90°剥離、剥離速度50mm/minで剥離し、粘着層と基材との間の剥離強度を測定した。測定環境は、温度23℃±5℃、相対湿度40~65%とした。測定結果を表1にまとめた。
2.工程用フィルムの作製
[実施例1]
厚み38μmの透明ポリエステルフィルム(東レ株式会社製、ルミラー38S10)の一方の面に、下記の粘着層用塗布液1を塗布し、100℃で60秒乾燥し、厚み25μmの粘着層を形成した。次に、形成した粘着層上に、離型シートとして、厚み25μmのシリコーン処理離型シート(三井化学東セロ株式会社製、SP-PET O3-25-BU)を重ね合わせ、ラミネーターで貼り合わせることで、実施例1の工程用フィルムを得た。
<粘着層用塗布液1>
・熱可塑性エラストマー:タフテックH1053(SEBS、旭化成株式会社製) 30質量部
・可塑剤:スーパーオイルM10(流動パラフィン、流動点-12.5℃、ENEOS株式会社製) 70質量部
・溶媒:トルエン 適量
[実施例2]
下記の粘着層用塗布液2を用いて粘着層を形成した以外は、実施例1と同様にして実施例2の工程用フィルムを得た。
<粘着層用塗布液2>
・熱可塑性エラストマー:タフテックH1053(SEBS、旭化成株式会社製)26質量部
・熱可塑性エラストマー:タフテックM1911(マレイン酸変性SEBS、旭化成株式会社製) 13質量部
・可塑剤:PW-32(流動パラフィン、流動点-17.5℃、出光興産株式会社製) 59質量部
・硬化剤:コロネートHL(イソシアネート硬化剤、東ソー株式会社製 固形分75%) 0.25質量部
・溶媒:トルエン 適量
[実施例3]
下記の粘着層用塗布液3を用いて粘着層を形成した以外は、実施例1と同様にして実施例3の工程用フィルムを得た。
<粘着層用塗布液3>
・熱可塑性エラストマー:タフテックH1053(SEBS、旭化成株式会社製) 30質量部
・可塑剤:PW-32(流動パラフィン、流動点-17.5℃、出光興産株式会社製) 70質量部
・溶媒:トルエン 適量
[実施例4]
下記の粘着層用塗布液4を用いて粘着層を形成した以外は、実施例1と同様にして実施例4の工程用フィルムを得た。
<粘着層用塗布液4>
・熱可塑性エラストマー:タフテックH1053(SEBS、旭化成株式会社製) 100質量部
・可塑剤:PW-32(流動パラフィン、流動点-17.5℃、出光興産株式会社製) 50質量部
・溶媒:トルエン 適量
[比較例1]
下記の粘着層用塗布液5を用いて粘着層を形成した以外は、実施例1と同様にして比較例1の工程用フィルムを得た。
<粘着層用塗布液5>
・熱可塑性エラストマー:タフテックM1911(マレイン酸変性SEBS、旭化成株式会社製) 100質量部
・溶媒:トルエン 適量
[比較例2]
下記の粘着層用塗布液6を用いて粘着層を形成した以外は、実施例1と同様にして比較例2の工程用フィルムを得た。
<粘着層用塗布液6>
・粘着剤:SKダイン1439U(アクリル系粘着剤、綜研化学株式会社製) 100質量部
・硬化剤:E-50C(エポキシ系硬化剤、綜研化学株式会社製) 1.5質量部
・溶媒:酢酸エチル 適量
[比較例3]
下記の粘着層用塗布液7を用いて粘着層を形成した以外は、実施例1と同様にして比較例3の工程用フィルムを得た。
<粘着層用塗布液7>
・粘着剤:KP-1405(アクリル系粘着剤、日本カーバイド工業株式会社製) 100質量部
・硬化剤:CK-102(イソシアネート系硬化剤、日本カーバイド工業株式会社製) 1.5質量部
・溶媒:酢酸エチル 適量
[比較例4]
下記の粘着層用塗布液8を用いて粘着層を形成した以外は、実施例1と同様にして比較例4の工程用フィルムを得た。
<粘着層用塗布液8>
・粘着剤:SKダイン2094(アクリル系粘着剤、綜研化学株式会社製) 100質量部
・硬化剤:E-5C(エポキシ系硬化剤、綜研化学株式会社製) 2.7質量部
・溶媒:酢酸エチル 適量
表1の結果から、本発明の工程用フィルムのリサイクル方法は、工程用フィルムを簡易にリサイクルすることができることが確認された。
10:プラスチックフィルム
20:粘着層
30:離型シート
100:工程用フィルム

Claims (10)

  1. 下記の工程1~4を有する、工程用フィルムのリサイクル方法であって、
    前記工程用フィルムが、基材上に粘着層を有する工程用フィルムであり、
    前記基材が、プラスチックフィルムであり、
    前記粘着層が、熱可塑性エラストマー及び可塑剤を含み、
    前記熱可塑性エラストマーが、スチレンモノマーユニットからなるブロックとゴムモノマーユニットからなるブロックとを有するポリマーを含む、工程用フィルムのリサイクル方法。
    工程1:前記工程用フィルムを回収する工程。
    工程2:回収した工程用フィルムから、粘着層を剥離する工程。
    工程3:基材であるプラスチックフィルムを回収する工程。
    工程4:回収したプラスチックフィルムをリサイクルする工程。
  2. 前記工程用フィルムの180°剥離、剥離速度300mm/minにおけるソーダガラスに対する剥離強度が0.001N/cm以上0.1N/cm以下である、請求項1に記載の記載の工程用フィルムのリサイクル方法。
  3. 前記粘着層の幅25mm、厚み25μm、引張速度200mm/minにおける破断伸度が300%以上2000%未満である、請求項1又は2に記載の記載の工程用フィルムのリサイクル方法。
  4. 前記粘着層と前記基材との間の、90°剥離、剥離速度50mm/minにおける剥離強度が0.01N/cm以上0.6N/cm以下である、請求項1~3のいずれかに記載の工程用フィルムのリサイクル方法。
  5. 前記プラスチックフィルムがポリエステルフィルムである、請求項1~4のいずれかに記載の工程用フィルムのリサイクル方法。
  6. 前記熱可塑性エラストマーが、SIS、SBS、SEBS、SEPS、SEEPS及びこれらの変性物から選ばれる1種以上である、請求項1~5のいずれかに記載の工程用フィルムのリサイクル方法。
  7. 前記可塑剤が、ナフテンオイル及び流動パラフィンから選ばれる1種以上である、請求項1~6のいずれかに記載の工程用フィルムのリサイクル方法。
  8. 前記粘着層中の可塑剤の含有量が、前記熱可塑性エラストマー100質量部に対し、5質量部以上300質量部以下である、請求項1~7のいずれかに記載の工程用フィルムのリサイクル方法。
  9. 前記工程2において、前記基材と前記粘着層との剥離角度が5°以上135°以下である、請求項1~8のいずれかに記載の工程用フィルムのリサイクル方法。
  10. 更に、回収した粘着層をリサイクルする工程を有する、請求項1~9のいずれかに記載の工程用フィルムのリサイクル方法。
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