JP2023131379A - 導電粒子、回路接続用接着フィルム及びその製造方法、並びに、接続構造体及びその製造方法 - Google Patents

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敏暁 松崎
Toshiaki Matsuzaki
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Abstract

【課題】 良好に分散された導電粒子を含み、接続構造体における隣り合う電極間の絶縁性と導電粒子の捕捉性を向上させることができる回路接続用接着フィルム、及び、該回路接続用接着フィルムに用いられる導電粒子を提供すること。【解決手段】 単分散率が90.0%以上である回路接続用接着フィルムの製造に用いられる導電粒子であって、導電性の母粒子31と、該母粒子31の表面を被覆する子粒子32と、を備え、該子粒子32の、水中での平均粒子径に対する酢酸エチル中での平均粒子径の比が、1.20以下である、導電粒子P。【選択図】図1

Description

本発明は、導電粒子、回路接続用接着フィルム及びその製造方法、並びに、接続構造体及びその製造方法に関する。
従来、例えば、液晶ディスプレイとテープキャリアパッケージ(TCP)との接続、フレキシブルプリント配線基板(FPC)とTCPとの接続又はFPCとプリント配線板との接続のための接着材料として、接着剤中に導電粒子が分散された回路接続用接着フィルム(例えば異方導電性接着フィルム)が使用されている。また、半導体シリコンチップを基板に実装する場合にも、従来のワイヤーボンディングに代えて、半導体シリコンチップを基板に直接実装する、いわゆるチップオンガラス(COG)が行われており、ここでも回路接続用接着フィルム(例えば異方導電性接着フィルム)が用いられている。ここで、「異方導電性」とは、加圧方向には導通し、非加圧方向では絶縁性を保つという意味である。
近年では、電子機器の発達に伴い、配線の高密度化及び回路の高機能化が進んでいる。その結果、接続電極間の間隔が狭い接続構造体が要求され、接続部材のバンプ電極も小面積化されてきている。小面積化されたバンプ接続において安定した電気的接続を得るためには、充分な数の導電粒子がバンプ電極と基板側の回路電極との間に介在している必要がある。
これに対し、接着フィルム内の導電粒子に外力を加えることで導電粒子同士を離間させ、隣り合う電極間の絶縁性と導電粒子の捕捉性(対向する電極間の接続性)を向上させる手法が検討されている。例えば、特許文献1では、2軸延伸可能なフィルム上に粘着層が設けられた積層体を有し、該積層体の上に平均粒径1~8μmの導電性粒子が密集充填された導電性粒子付着フィルムを用意し、該導電性粒子付着フィルムを2軸延伸することで、導電粒子同士を離間させる手法が提案されている。
特開2011-091049号公報
しかしながら、上記特許文献1記載の手法では、接着フィルム中の導電粒子の分散が不充分となりやすく、電極間隔の更なる狭小化及び電極の更なる小面積化に対応し難い。そのため、接着フィルム中の導電粒子をより良好に分散させ、より高い導電粒子捕捉性を達成し得る回路接続用接着フィルムの作製手法の開発が求められている。
そこで、本発明は、良好に分散された導電粒子を含み、接続構造体における隣り合う電極間の絶縁性と導電粒子の捕捉性を向上させることができる回路接続用接着フィルム及びその製造方法を提供すること、前記回路接続用接着フィルムの前記導電粒子に用いられる導電粒子を提供すること、並びに、前記回路接続用接着フィルムを用いて得られる接続構造体及びその製造方法を提供することを主な目的とする。
本発明は、いくつかの側面において、下記の[1]~[17]を提供する。
[1] 単分散率が90.0%以上である回路接続用接着フィルムの製造に用いられる導電粒子であって、導電性の母粒子と、該母粒子の表面を被覆する子粒子と、を備え、前記子粒子の、水中での平均粒子径に対する酢酸エチル中での平均粒子径の比が、1.20以下である、導電粒子。
[2] 前記子粒子による前記母粒子の表面の被覆率が、40.0%以上である、[1]に記載の導電粒子。
[3] 前記子粒子による前記母粒子の表面の被覆率のC.V.値が、10.0%以下である、[1]又は[2]に記載の導電粒子。
[4] SEMにより倍率30000倍で観察して求められる前記子粒子の平均粒子径が、200~400nmである、[1]~[3]のいずれかに記載の導電粒子。
[5] SEMにより倍率25000倍で観察して求められる前記母粒子の粒子径に対する、SEMにより倍率30000倍で観察して求められる前記子粒子の平均粒子径の比が、8.0~20.0である、[1]~[4]のいずれかに記載の導電粒子。
[6] 前記導電粒子からなる膜を形成したとき、該膜の表面の水に対する接触角が130°以上となる、[1]~[5]のいずれかに記載の導電粒子。
[7] 前記子粒子が、芳香族架橋性モノマーと非架橋性モノマーとをモノマー単位として含む共重合体を含有する、[1]~[6]のいずれかに記載の導電粒子。
[8] 前記芳香族架橋性モノマーがジビニルベンゼンである、[7]に記載の導電粒子。
[9] 前記非架橋性モノマーがスチレンである、[7]又は[8]に記載の導電粒子。
[10] 前記共重合体にモノマー単位として含まれる極性基含有モノマーの含有量が、前記共重合体に含まれるモノマー単位の全量を基準として、2.0モル%以下である、[7]~[9]のいずれかに記載の導電粒子。
[11] 前記共重合体が乳化重合体である、[7]~[10]のいずれかに記載の導電粒子。
[12] 接着剤成分と前記導電粒子とを含む膜中の前記導電粒子に外力を加えることにより導電粒子を分散させる工程を備える回路接続用接着フィルムの製造方法に用いられる、[1]~[11]のいずれかに記載の導電粒子。
[13] 接着剤成分と[1]~[12]のいずれかに記載の導電粒子とを含む導電性接着剤層を備え、前記導電性接着剤層における前記導電粒子の単分散率が、90.0%以上である、回路接続用接着フィルム。
[14] 接着剤成分と[1]~[12]のいずれかに記載の導電粒子とを含む膜中の前記導電粒子に外力を加えることにより、前記導電粒子を分散させる工程を備える、回路接続用接着フィルムの製造方法。
[15] 前記工程では、磁場を印加することにより前記導電粒子に磁力を加えて前記導電粒子を分散させる、[14]に記載の回路接続用接着フィルムの製造方法。
[16] 第一の電極を有する第一の部材と、第二の電極を有する第二の部材と、前記第一の部材及び前記第二の部材の間に配置され、前記第一の電極及び前記第二の電極を互いに電気的に接続する接続部と、を備え、前記接続部が、[13]に記載の回路接続用接着フィルムの硬化物を含む、接続構造体。
[17] 第一の電極を有する第一の部材と第二の電極を有する第二の部材とを、前記第一の部材と前記第二の部材との間に[13]に記載の回路接続用接着フィルムを介在させた状態で熱圧着し、前記第一の電極と前記第二の電極とを互いに電気的に接続する工程を備える、接続構造体の製造方法。
本発明によれば、良好に分散された導電粒子を含み、接続構造体における隣り合う電極間の絶縁性と導電粒子の捕捉性を向上させることができる回路接続用接着フィルム及びその製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、前記回路接続用接着フィルムの前記導電粒子に用いられる導電粒子を提供することができる。また、本発明によれば、前記回路接続用接着フィルムを用いて得られる接続構造体及びその製造方法を提供することができる。
本発明に係る導電粒子の一実施形態を示す模式断面図である。 本発明に係る回路接続用接着フィルムの一実施形態を示す模式的断面図である。 図2に示した回路接続用接着フィルムの製造工程を示す概略図である。 磁場印加工程の様子を示す模式図である。 磁場印加工程及び乾燥工程を経た後の回路接続用接着フィルムの状態を示す模式的断面図である。 積層工程の様子を示す模式的断面図である。 従来製法における導電粒子の分散の様子を示す顕微鏡写真である。 本製法における導電粒子の分散の様子を示す顕微鏡写真である。 本発明に係る接続構造体の一実施形態を示す模式断面図である。 図9に示した接続構造体の製造工程を示す模式的断面図である。 図10の後続の工程を示す模式的断面図である。
本明細書中、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。また、個別に記載した上限値及び下限値は任意に組み合わせ可能である。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート、及び、それに対応するメタクリレートの少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリロイル」等の他の類似の表現においても同様である。また、「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。また、以下で例示する材料は、特に断らない限り、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
<導電粒子>
図1は、一実施形態の導電粒子を示す模式断面図である。導電粒子Pは、導電性の母粒子31と、該母粒子31の表面を被覆する子粒子32と、を備える。ここで、本明細書中、導電性とは、絶縁性ではないことを意味し、絶縁性とは、粉体抵抗測定装置によって測定される抵抗値が1.0E+09Ωより大きいことを意味する。
本実施形態の導電粒子Pは、単分散率が高い(例えば90.0%以上である)回路接続用接着フィルムに用いられる導電粒子である。導電粒子Pは、特に、接着剤成分と導電粒子とを含む膜中の該導電粒子に外力(例えば磁力)を加えることにより該導電粒子を分散させる工程(外力付加工程)を備える回路接続用接着フィルムの製造方法に好適に用いられる。本明細書では、上記外力を用いて導電粒子を分散させる方法により製造される回路接続用接着フィルムを、「外力分散型回路接続用接着フィルム」という。外力分散型回路接続用接着フィルムの製造方法の詳細は後述する。
一般的に、回路接続用接着フィルムは、酢酸エチル等のSP値(Hildebrandの溶解度パラメータ)が8.5~10.0の有機溶剤を溶媒とする塗液(ペースト)を用いて製造される。そのため、導電粒子が、上記有機溶剤に対して高い親和性を有するほど、すなわち、導電粒子が塗液中で膨潤しやすいほど、導電粒子の立体障害が大きくなり、ストークスの沈降定理式に基づいて、塗液中での導電粒子の沈降速度が遅くなる。そのため、導電粒子は、有機溶剤に対する親和性が高いほど、より高い分散性を示すと考えられる。これに対し、本発明者らは、敢えて、上記有機溶剤によって膨潤し難い子粒子を備える導電粒子を用いることで、上記課題を解決し得ることを見出した。
具体的には、本実施形態の導電粒子Pにおいて、子粒子32の、水中での平均粒子径に対する酢酸エチル中での平均粒子径の比(以下、「膨潤比」という。)が、1.20以下である。ここで、水中での平均粒子径及び酢酸エチル中での平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定により求められる粒度分布における、積算値50%(体積基準)での粒子径である。子粒子32の上記膨潤比が1.20以下である場合、子粒子32は、酢酸エチルのみでなく、酢酸エチルに近いSP値を有する有機溶剤(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン等)によっても膨潤し難い粒子であるといえる。
このような子粒子32を備える導電粒子Pは、上記外力付加工程において良好な分散性を示す。かかる効果は、回路接続用接着フィルムの製造に使用する有機溶剤が、8.5~10.0のSP値を有する場合(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン等である場合)に顕著であり、該有機溶剤が酢酸エチルである場合に特に顕著である。
上記効果が得られる理由は次のように推察される。まず、導電粒子の子粒子が有機溶剤によって膨潤しやすい性質を有する場合、塗液の状態で膨潤した子粒子が、乾燥時に絡み合うことで凝集し、上記外力を加えたとしても分散し難くなると推察される。また、一般に、膜を形成するために使用される有機溶剤は、膜を形成する接着剤成分(樹脂等)に対して高い親和性を有することから、子粒子が有機溶剤によって膨潤しやすい性質を有する場合、該子粒子は接着剤成分に対しても高い親和性を有する傾向がある。そのため、上記外力付加工程において外力により導電粒子を分散させる際に、膜中の接着剤成分によって子粒子の流動が抑制されると推察される。これに対して、上記導電粒子Pは、子粒子32の上記膨潤比が1.20以下であることから、乾燥時における子粒子同士の絡み合いが生じ難く、また、上記接着剤成分による流動阻害が生じ難いため、良好な分散性を示すと推察される。
上記外力が磁力である場合(すなわち、上記外力付加工程が磁場印加工程である場合)、導電粒子Pとしては、磁場印加工程による分散化がより高い効率で実施される観点から、鉄、コバルト及びニッケルからなる群より選択される少なくとも一種を含有することが好ましく、ニッケルを含有することがより好ましい。一般的に、鉄、コバルト及びニッケルは強磁性体であり、外部磁場によって磁化することが知られている。この中でもニッケルを用いる場合、導電性及び磁場印加による分散性をより高い水準で両立することができる。導電粒子Pの磁性は、飽和磁化によって確認することができる。飽和磁化は、例えば試料振動型磁力計(VSM:Vibrating Sample Magnetmeter)によって測定することができる。外部磁場によって導電粒子Pをより良好に分散する観点では、VSM測定にて求められる飽和磁化が5.0emu/g~50emu/gの範囲であることが好ましい。
上記導電粒子Pによれば、子粒子がスペーサーとなることで、フィルム形成前後において導電粒子の結着及び凝集が生じ難いという効果も得られる。また、子粒子32が絶縁性を有する場合には、接続時に仮に導電粒子同士が連結したとしても絶縁性を確保することができるという効果も得られる。なお、対向する電極間では、子粒子32が母粒子31の表面から脱離するため、子粒子32が絶縁性を有する場合であっても接続信頼性を確保することができる。
(母粒子)
母粒子31は、導電性を有する粒子である。母粒子31としては、例えば、金、銀、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ニッケル、タングステン、モリブデン、銅、スズ、はんだ等の金属で構成された金属粒子、導電性カーボンで構成された導電性カーボン粒子などを用いることができる。母粒子31は、図1に示すように、絶縁性の核(コア)粒子31aと、核粒子31aを被覆する導電性の被覆層(シェル)31bとを備えるコアシェル粒子であってもよい。これらの中でも、核粒子31aを弾性変形可能な粒子とすることで、接続時に導電粒子を弾性変形させることができるようになり、導電粒子の捕捉性が向上する、電極等への負荷を低減させることができるといった効果が得られる観点から、コアシェル粒子が好ましい。
コアシェル粒子の核粒子31aは、絶縁性のガラス、セラミック、プラスチック等を含む粒子であってよい。核粒子31aは、好ましくは、絶縁性の有機コア粒子である。有機コア粒子は、有機化合物(例えばプラスチック)によって構成される粒子であり、通常、有機化合物を40質量%以上含む。有機コア粒子を構成する有機化合物としては、アクリルモノマーの重合体であるアクリル樹脂、オレフィンモノマーの重合体であるオレフィン樹脂等が挙げられる。アクリルモノマーとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、アルカンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。オレフィンモノマーとしては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン等が挙げられる。
核粒子31aは、硬い粒子であっても柔らかい粒子であってもよい。核粒子31aの好ましい硬さ(弾性率)は、用途に応じて異なる。核粒子31aを室温(例えば25℃)で圧縮させて20%変形させたときの弾性率(圧縮弾性率、以下「20%K値」という)は、0.5~40.0GPaであってよく、1.0~10.0GPa又は10.0~25.0GPaであってもよい。20%K値は、フィッシャースコープHM2000(フィッシャーインスツールメント製)を使用して、以下の方法で測定することができる。
1)室温(20~27℃)下で粒子試料をスライドガラス上に配置し、粒子の中心方向に対して、加重をかける。
2)粒子試料が20%変形したときの圧縮変形弾性率(K20、20%K値)を、50秒間で50mNの加重をかけつつ測定を行った後、下記式にしたがって算出する。
K20(圧縮変形弾性率)=(3/√2)×F20×S20-3/2×R-1/2
F20:粒子を20%変形させるのに必要な荷重(N)
S20:20%変形時の粒子の変形量(m)
核粒子31aは、球状であることが好ましい。核粒子31aの平均粒子径は、例えば、1.5~10.0μmであり、2.0~5.0μm又は5.0~10.0μmであってよい。この平均粒子径は、湿式フロー式粒子径分析装置(スペクトリス株式会社製 FPIA-3000S)により測定される平均粒子径である。
被覆層31bを構成する材料としては、金属又は導電性カーボンであってよい。被覆層31bは、金属層(金属を構成材料として含む層)であることが好ましい。金属層は、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ニッケル、錫、クロム、チタン、アルミニウム、コバルト、ゲルマニウム、カドミウム、タングステン、モリブデン等の金属の他、ITO、はんだ等の金属化合物などを含む材料で構成されていてもよい。金属層の構成材料としては、耐腐食性等の観点では、ニッケル、パラジウム又は金を用いることが好ましい。金属層は、金属又は金属化合物を95.0質量%以上含むことが好ましい。金属層は、導電性及び硬さを付与する観点では、カーボンナノチューブ、カーボンブラック等のカーボン化合物を含んでいてもよい。金属層を被覆層31bとして備えるコアシェル粒子は、例えば、核粒子の表面に、スパッタリング、めっき(例えば無電解めっき)等の方法で金属層を形成する方法により得ることができる。
被覆層31bは、単層構造であってもよく、複数の層からなる積層構造であってもよい。単層構造である場合、被覆層31bは、コスト、導電性及び耐腐食性の観点から、ニッケルを含むことが好ましい。
被覆層31bの厚さは、対向する電極間の導通信頼性を高める観点から、70nm以上であってよく、100nm以上又は150nm以上であってもよい。被覆層31bの厚さは、核粒子に由来する効果が得られやすくなる観点から150nm以下、170nm以下又は200nm以下であってよい。被覆層31bの厚さは、導電粒子を注型用の樹脂中に分散させて注型することで注型試料を作製した上で、イオンミリング等を用いて、注型試料の表面研磨を行い粒子の断面を露出させ、SEMを用いて、該粒子の断面を観察することにより測定される5箇所の厚さの平均値である。
母粒子31の表面は、平滑であってもよいが、凹凸を有していることが好ましい。また、母粒子31は、球状であることが好ましい。母粒子31の平均粒子径は、例えば、1.7~10.5μmであり、2.0~5.5μm又は5.5~10.5μmであってもよい。この平均粒子径は、湿式フロー式粒子径分析装置(スペクトリス株式会社製 FPIA-3000S)により測定される平均粒子径である。
(子粒子)
子粒子32は、上記膨潤比が1.20以下の粒子である。上記膨潤比は、上述した効果が得られやすくなる観点から、1.15以下又は1.10以下であってもよい。上記膨潤比は、子粒子の製造安定及び母粒子への吸着安定性の観点から、1.05以上であってよく、1.10以上又は1.15以上であってもよい。これらの観点から、上記膨潤比は、1.05~1.20、1.05~1.15、1.05~1.10、1.10~1.15又は1.15~1.20であってよい。
子粒子32は、例えば、有機化合物を構成材料として含む微粒子(有機微粒子)であり、好ましくは絶縁性の有機化合物を構成材料として含む微粒子である。子粒子32は、有機化合物と無機化合物とを含む微粒子(有機-無機ハイブリッド微粒子)であってもよい。子粒子32は、絶縁性の微粒子であることが好ましく、絶縁性の有機微粒子であることがより好ましい。
子粒子32は、好ましくは、芳香族架橋性モノマーと非架橋性モノマーとをモノマー単位として含む共重合体を含有する。子粒子32がこのような共重合体を含有する場合、子粒子32の膨潤比が上述した範囲となりやすい。
芳香族架橋性モノマーとは、芳香族炭化水素基及び2以上の架橋性基を含むモノマーを示す。架橋性基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和基を含む基が挙げられる。
芳香族架橋性モノマーとしては、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。絶縁性、フィルムへの分散性、合成の容易さ及びコストの面、並びに、子粒子の膨潤比をより低くする観点から、芳香族架橋性モノマーは、ジビニルベンゼンであることが好ましい。なお、芳香族架橋性モノマーに加えて、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン(非芳香族架橋性モノマー)を用いてもよい。
共重合体にモノマー単位として含まれる芳香族架橋性モノマーの含有量(架橋度)は、上記膨潤比が得られやすくなる観点から、共重合体に含まれるモノマー単位の全量を基準として、2.0~10.0質量%であってよく、2.0~5.0質量%又は5.0~10.0質量%であってもよい。芳香族架橋性モノマーの含有量が2.0質量%以上である場合、子粒子がより優れた耐溶剤性を有する傾向があり、また、比較的硬質で回復力のある子粒子となりやすい。芳香族架橋性モノマーの含有量が10.0質量%以下である場合、子粒子がより柔軟な粒子となりやすく、得られる接続構造体の導通抵抗をより向上させることができる傾向がある。
非架橋性モノマーとは、1つの重合性基を含むモノマーを示す。重合性基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和基を含む基が挙げられる。
非架橋性モノマーとしては、例えば、(i)スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、o-エチルスチレン、m-エチルスチレン、p-エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレン、p-クロロスチレン、3,4-ジクロロスチレン等のスチレン又はその誘導体、(ii)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2-クロロエチル、アクリル酸フェニル、α-クロロアクリル酸メチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸n-オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル酸エステル、(iii)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル、(iv)N-ビニルピロール、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルインドール、N-ビニルピロリドン等のN-ビニル化合物、(v)フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、アクリル酸トリフルオロエチル、アクリル酸テトラフルオロプロピル等のフッ化アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル、(vi)3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基を有するアルコキシシランなどが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いられる。
非架橋性モノマーとしては、絶縁性、フィルムへの分散性、合成の容易さ及びコストの面から、芳香族炭化水素基を有するモノマー(芳香族非架橋性モノマー)であることが好ましく、スチレンがより好ましい。また、子粒子の膨潤比をより低くする観点では、スチレンが好ましく用いられる。
非架橋性モノマーを2種以上組み合わせて用いる場合、官能基を有しない非架橋性モノマーと官能基を有するモノマーとを組み合わせて用いることが好ましい。官能基を有するモノマーとしては、(vi)p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシランを用いることが好ましい。このようなアルコキシシランは、加水分解によりシラノール基を生じるので、子粒子に対する後述する表面処理剤による表面処理性が向上する傾向がある。上記膨潤比が得られやすくなる観点及び接触角を高める観点では、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のジメトキシシランを用いることが好ましい。
共重合体にモノマー単位として含まれる非架橋性モノマーの含有量は、上記膨潤比が得られやすくなる観点から、共重合体に含まれるモノマー単位の全量を基準として、90.0~98.0質量%であってよい。非架橋性モノマーの含有量が90.0質量%以上である場合、子粒子がより柔軟な粒子となりやすく、得られる接続構造体の導通抵抗をより向上させることができる傾向がある。非架橋性モノマーの含有量が98.0質量%以下である場合、子粒子がより優れた耐溶剤性を有する傾向があり、また、比較的硬質で回復力のある子粒子となりやすい。
子粒子32に含まれる上記共重合体は、極性基含有モノマーをモノマー単位として含んでいてよい。例えば、上記芳香族架橋性モノマー及び非架橋性モノマーの一方又は両方が極性基を有していてよい。中でも、上記共重合体に含まれる非架橋性モノマーの一部が極性基含有モノマーである場合、安定的に子粒子32を合成することができ、粒子径の制御も容易になる傾向がある。
極性基としては、例えば、シラノール基、カルボキシ基、アミノ基、水酸基、スルホン酸基、シアノ基、エポキシ基、リン酸基等の官能基の他、加水分解によりこれらの極性基を生じる官能基(アルコキシシリル基)が挙げられる。エポキシ基は、グリシジル基の一部として含まれていてもよい。極性基含有モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸及びその塩、スチレンスルホン酸及びその塩、(メタ)アクリロイル基含有エポキシモノマー、(メタ)アクリロイル基含有カルボン酸エステル、上述したアルコキシシラン等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基含有リン酸モノエステルとしては、例えば、モノ(2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)ホスフェート等が挙げられる。モノ(2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)ホスフェートは他の成分との混合物として提供されてよい。
(メタ)アクリロイル基含有エポキシモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基含有カルボン酸エステルとしては、(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸等が挙げられる。
子粒子の膨潤比をより低くする観点では、上記共重合体中の極性基含有モノマーに由来する単位は少ないほど好ましい。このような観点から、上記共重合体にモノマー単位として含まれる極性基含有モノマーの含有量は、共重合体に含まれるモノマー単位の全量を基準として、2.0モル%以下であってよく、1.5モル%以下又は1.0モル%以下であってもよい。上記共重合体にモノマー単位として含まれる極性基含有モノマーの含有量は、母粒子との結合点を確保し、母粒子の子粒子による被覆率を高める観点では、共重合体に含まれるモノマー単位の全量を基準として、0.1モル%以上であってよく、0.3モル%以上又は1.0モル%以上であってもよい。これらの観点から、上記共重合体にモノマー単位として含まれる極性基含有モノマーの含有量は、共重合体に含まれるモノマー単位の全量を基準として、0.1~2.0モル%、0.3~2.0モル%、0.3~0.5モル%、0.5~1.0モル%、1.0~2.0モル%又は1.0~1.5モル%であってよい。
子粒子32を合成する方法としては、沈殿重合、乳化重合等が挙げられるが、中でも、膨潤比の制御、粒子径制御、合成の簡便性等の観点から、乳化重合が好ましい。すなわち、子粒子32は、乳化重合体であることが好ましい。
乳化重合法では、モノマーと水性媒体とから構成される乳化液を攪拌しながら加熱することにより重合を行う。乳化液は、例えば、モノマーを水性媒体に添加し、分散剤等で乳化する方法、モノマーを水性媒体に添加し、機械的に(例えば、ホモジナイザー、超音波処理機、ナノマイザー等の微細乳化機により)分散させる方法などで得ることができる。撹拌速度は100~500rpm(回転/分)の範囲であってよい。重合温度は40~90℃の範囲であってよい。重合時間は2~24時間の範囲であってよい。全モノマーの濃度は、水性媒体に対して1~30質量%であってよい。
乳化重合に用いる水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、低級アルコール)との混合媒体等が挙げられる。意図しないモノマーの媒体への溶解を防止する観点では水性媒体は水であってよい。
上記乳化液には、必要に応じて重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤とモノマーとを予め混合した後、得られた混合物を水性媒体に分散させてよく、重合開始剤とモノマーとを別々に水性媒体に分散させてもよい。重合開始剤は、例えば、ラジカル重合開始剤である。ラジカル重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルベンゾエート、ペルオキソ二硫酸カリウム、1,1-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2-アゾビスイソブチロ二トリル、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]等が挙げられる。これらの化合物は水和物として提供されているものを用いてもよい。重合開始剤は、全モノマー100質量部に対して、0.1~7.0質量部の範囲で使用してよい。
上記乳化液には、乳化剤として、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、両性イオン系等の界面活性剤が含まれていてもよい。
アニオン系界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリ等の脂肪酸油、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のジアルキルスルホコハク酸塩、アルケニルコハク酸塩(ジカリウム塩)、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩などが挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩などが挙げられる。両性イオン系界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミンオキサイド、リン酸エステル系、亜リン酸エステル系界面活性剤等が挙げられる。
上記界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。重合時の分散安定性の観点では、アニオン系界面活性剤を用いることが好ましい。
子粒子32の形状は、球体、扁平、赤血球状(おわん型)、半円型等であってもよいが、球体形状が好ましい。子粒子32の形状は、異形度によって数値化することができる。ここで、異形度とは、同程度の粒子径の真球に対する歪みの程度を示す指標であり、実施例に記載の方法で測定することができる。上記子粒子32の異形度が小さいほど、上記膨潤比が低くなり、外力による分散性が高くなる傾向がある。このような観点から、異形度は、3.0以下であってよく、2.0以下又は1.0以下であってもよい。異形度の下限値は0.1である。異形度は、子粒子の構成材料により調整可能であり、例えば、極性基含有モノマー(エチレン性不飽和基を有するアルコキシシラン等)の添加量等で調整することができる。
子粒子32の粒子径は、母粒子31の粒子径よりも小さい。SEM(走査型電子顕微鏡)により倍率25000倍で観察して求められる母粒子31の粒子径に対する、SEMにより倍率30000倍で観察して求められる子粒子32の平均粒子径の比は、好ましくは8.0~20.0である。この場合、導電粒子Pがより真球に近い形状となり、外力付加工程における導電粒子の立体障害が生じ難くなる。同様の観点から、上記粒子径の比は、8.0以上又は10.0以上であってもよく、20.0以下又は15.0以下であってもよい。なお、上記比の具体的な測定方法は実施例に示す。
SEMにより倍率30000倍で観察して求められる子粒子32の平均粒子径は、好ましくは200~400nmである。上記平均粒子径が200nm以上であると、子粒子32のスペーサーとしての機能が発現しやすくなる。上記平均粒子径が400nm以下であると、子粒子32が母粒子31から脱落しにくくなる。上記観点から、上記平均粒子径は250nm以上又は300nm以上であってもよく、350nm以下又は280nm以下であってもよい。なお、上記平均粒子径の具体的な測定方法は実施例に示す。
子粒子32による母粒子31の表面の被覆率は、好ましくは40.0%以上である。被覆率がこのような範囲である場合、母粒子31の被覆されていない部分が接合点となり導電粒子同士が結着することが防止又は抑制されるため、ショートによる不良がより起こり難くなり、また、導電粒子の分散性がより向上する傾向がある。同様の観点から、上記被覆率は、45.0%以上又は50.0%以上であってもよい。上記被覆率の上限値は、例えば75.0%である。すなわち、上記被覆率は、40.0~75.0%であってよい。ここで、上記被覆率は、複数の導電粒子の被覆率の平均であり、導電粒子をSEM(走査型電子顕微鏡)により倍率8000倍で観察して得られるSEM画像を解析することで求められる面積比率である。上記被覆率の具体的な測定方法は実施例に示す。
上記被覆率のC.V.(Coefficient of Variation)値は、好ましくは10.0%以下である。このようなC.V.値である場合、過度に被覆が不充分な粒子が存在し難いため、上記導電粒子同士の結着に起因する不具合が生じ難くなる。同様の観点から、上記C.V.値は5.0%以下又は4.0%以下であってもよい。上記C.V.値の下限値は、例えば0.5%である。すなわち、上記C.V.値は、0.5~10.0%であってよい。ここで、被覆率のC.V.値は、被覆率の標準偏差を上記被覆率(平均値)で除した値である。
子粒子32は、高分子電解質を介して、母粒子31に付着していてよい。高分子電解質については後述する。
子粒子32は表面処理されていてよい。例えば、子粒子32の表面が、シリコーンオリゴマーで覆われていてよい。シリコーンオリゴマーの重量平均分子量は500~4000であることが好ましい。シリコーンオリゴマーは、後述する高分子電解質又は子粒子に導入した官能基と反応する官能基を有することが好ましい。このような官能基としては、シラノール基、グリシジル基、カルボキシ基、アミノ基、イソシアネート基等が挙げられる。中でも、シラノール基又はグリシジル基であることが好ましい。なお、シリコーンオリゴマー中の官能基は、高分子電解質、子粒子に導入した官能基と反応した状態であってよい。
子粒子32の表面処理方法は、特に限定されないが、子粒子32となる粒子(例えば微粒子)の分散液を加温窒素雰囲気中で撹拌しつつ、シリコーンオリゴマーの5~100質量%溶液を混合し、攪拌することで処理する方法が簡便である。
以上説明した母粒子31と子粒子32とを備える導電粒子Pは、導通抵抗及び絶縁抵抗により優れる接続構造体が得られる観点から、表面が疎水性(撥水性)であることが好ましい。具体的には、導電粒子Pからなる膜を形成したとき、該膜の表面の水に対する接触角が130°以上となることが好ましい。上記接触角は、135°以上又は137°以上となってもよい。上記接触角の上限値は、例えば、140°である。すなわち、上記接触角は、130°~140°となってよい。上記接触角は、導電粒子Pが使用される回路接続用接着フィルムの表面(導電性接着剤層の表面)の水に対する接触角よりも20°以上大きいことが好ましい。上記接触角は、実施例に記載の方法で測定することができる。
上記導電粒子Pは、母粒子となる導電性粒子を、子粒子となる粒子(例えば微粒子)で被覆することにより得られる。被覆方法としては、粒子同士の凝集を排除する観点から、以下に述べる方法を用いることが好ましい。
まず、母粒子31となる導電性粒子の表面を特定の官能基を有する化合物で処理する。
導電性粒子が表面に金層又はパラジウム層を有する場合、メルカプト基、スルフィド基及びジスルフィド基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基と、水酸基、カルボキシ基、アルコキシ基及びアルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基とを有する化合物で処理を行ってよい。このような化合物で導電性粒子を処理することによって、メルカプト基、スルフィド基又はジスルフィド基が金又はパラジウムと配位結合を形成するため、導電性粒子上に水酸基、カルボキシ基、アルコキシ基又はアルコキシカルボニル基を付与することができる。このような化合物としては、メルカプト酢酸、2-メルカプトエタノール、メルカプト酢酸メチル、メルカプトコハク酸、チオグリセリン、システイン等が挙げられる。
導電性粒子が表面にニッケル層を有する場合、メルカプト基、スルフィド基又はジスルフィド基、カルボキシ基、シラノール基、水酸基及び窒素含有基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基と、水酸基、カルボキシ基、アルコキシ基及びアルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基とを有する化合物で処理を行ってよい。このような化合物で導電性粒子を処理することによって、シラノール基、水酸基又は窒素含有基がニッケルとの強固な結合を形成するため、導電性粒子上に水酸基、カルボキシ基、アルコキシ基又はアルコキシカルボニル基を付与することができる。このような化合物としては、カルボキシベンゾトリアゾール等が挙げられる。
導電性粒子を上記化合物で処理する方法としては、例えば、メタノール、エタノール等の有機溶媒中にメルカプト酢酸、カルボキシベンゾトリアゾール等の化合物の10~100mmol/l溶液を調製し、その溶液に導電性粒子を分散させる方法が挙げられる。
次に、処理後の導電性粒子を微粒子で被覆する。pHが中性領域である場合、水酸基、カルボキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基等を有する導電性粒子の表面電位(ゼータ電位)は負である。一方で、水酸基を有する微粒子の表面電位も、通常は負である。表面電位が負の粒子の周囲を表面電位が負の粒子で被覆することは難しいため、高分子電解質を介して導電性粒子を微粒子で被覆する方法が好適である。
高分子電解質を介して導電性粒子を微粒子で被覆する方法は、例えば、(1)処理した導電性粒子を、高分子電解質溶液に分散し、導電性粒子の表面に高分子電解質を吸着させる工程と、(2)高分子電解質を吸着させた導電性粒子を微粒子の分散溶液に分散し、高分子電解質の表面に微粒子を吸着させる工程と、を備える。
上記方法の実施にあたっては、交互積層法(Layer-by-Layer assembly)を参考にしてよい。交互積層法は、G.Decherらによって1992年に発表された有機薄膜を形成する方法である(Thin Solid Films, 210/211, p831(1992))。
導電性粒子の表面に高分子電解質を吸着させた後、又は高分子電解質の表面に微粒子を吸着させた後に溶剤を用いてすすぐことによって、余剰の高分子電解質又は微粒子を洗い流すことができる。用いる溶剤としては、水、アルコール、アセトン等が挙げられる。
高分子電解質としては、水溶液中で電離し、電荷を有する官能基を主鎖又は側鎖に有する高分子を用いることができる。このような高分子電解質は、ポリカチオンであることが好ましい。ポリカチオンとしては、ポリアミン類等のように正電荷を帯びることのできるものが用いられる。具体的には、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアリルアミン塩酸塩(PAH)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)、ポリビニルピリジン(PVP)、ポリリジン、ポリアクリルアミド及びこれらを少なくとも1種以上を含む共重合体等が挙げられる。高分子電解質の中でもポリエチレンイミン(PEI)は電荷密度が高く、結合力が強い。
高分子電解質は、エレクトロマイグレーション及び腐食を避ける観点から、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs)イオン、アルカリ土類金属(Ca、Sr、Ba、Ra)イオン及びハロゲン化物イオン(フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン)を含まないものであってよい。
高分子電解質は、水又はアルコール等の有機溶媒に可溶なものであってよい。高分子電解質の分子量は、1000~200000であってよい。分子量が1000以上であると、導電粒子の分散性が充分となり、凝集しにくい傾向にある。
高分子電解質溶液は、高分子電解質を水と水溶性の有機溶媒との混合溶媒に溶解したものである。水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルが挙げられる。溶液中の高分子電解質の濃度は、0.001~10質量%であってよい。高分子電解質溶液のpHは、特に限定されない。
この高分子電解質を用いることにより、上記被覆率及び上記被覆率のC.V.値を高めることができる。その結果、電極間隔が狭ピッチであっても絶縁性を確保しやすくなり、電気的に接続する電極間の接続抵抗をより低減しやすくなる。
高分子電解質の種類、分子量、濃度等を調整することによって、上記被覆率及び被覆率のC.V.値を調整することもできる。具体的にはポリエチレンイミン等の電荷密度の高い高分子電解質を用いた場合、子粒子による被覆率は高くなる傾向があり、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド等の電荷密度の低い高分子電解質を用いた場合、子粒子による被覆率は低くなる傾向がある。また、高分子電解質の分子量が大きい場合、子粒子による被覆率は高くなる傾向があり、高分子電解質の分子量が小さい場合、子粒子による被覆率は低くなる傾向がある。
導電性粒子を微粒子で被覆した後、加熱乾燥を行うことによって、子粒子と母粒子との結合を強化することもできる。加熱温度は60~120℃であってよく、加熱時間は60~180分間の範囲であってよい。加熱温度が60℃以上である場合又は加熱時間が60分間以上である場合、加熱乾燥時における子粒子の剥離が起こりがたい。加熱温度が120℃以下である場合又は加熱時間が180分間以下である場合、加熱乾燥時における母粒子の変形が起こりがたい。
導電粒子Pは、シランカップリング剤、シリコーン等の表面処理剤によって表面処理されていてもよい。
<回路接続用接着フィルム>
図2は、上述した導電粒子P(以下、単に「導電粒子P」という)を含有する回路接続用接着フィルムの一実施形態を示す模式断面図である。同図に示すように、回路接続用接着フィルム11は、剥離フィルム12と、導電粒子Pが分散された接着剤層からなる導電性接着剤層13と、導電粒子Pが分散されていない接着剤層からなる絶縁性接着剤層14とがこの順で積層されて構成されている。説明の便宜上、導電粒子Pが分散された層を導電性接着剤層と称し、導電粒子Pが分散されていない層を絶縁性接着剤層と称するが、両層を構成している接着剤成分自体は絶縁性である。なお、剥離フィルム12及び絶縁性接着剤層14は必須の構成ではない。また、以下では、説明の便宜上、剥離フィルムを有しない回路接続用接着フィルムについても、回路接続用接着フィルム11と称することがある。
剥離フィルム12は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン等によって形成されている。剥離フィルム12には、任意の充填剤を含有させてもよい。また、剥離フィルム12の表面には、離型処理、プラズマ処理等の処理が施されていてもよい。
導電性接着剤層13及び絶縁性接着剤層14は、いずれも、接着剤成分を含む。ここで、接着剤成分とは、接着剤層に含まれる成分のうち、接着性に寄与する成分をいう。接着剤成分は、例えば、熱硬化性を有する。
接着剤成分は、好ましくは、SP値が8.5~10.0の有機溶剤に可溶な成分を主として含む。すなわち、好ましくは、接着剤成分として含まれる成分のうち、含有比率が最も高い成分が上記SP値の有機溶剤に対して可溶である。具体的には、後述するモノマー及びフィルム形成材の一方又は両方が、上記SP値の有機溶剤に対して可溶であることがより好ましい。ここで、有機溶剤に「可溶」であるとは、25℃の該有機溶剤に対して50質量%以上溶解することを意味する。
接着剤成分は、例えば、モノマー(重合性化合物)、硬化剤及びフィルム形成材を含む。接着剤成分が熱硬化性である場合、モノマーは、熱により硬化剤と反応することにより硬化する。
モノマーは、重合性を有する化合物であればよく、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。例えば、モノマーがオリゴマーであってもよい。モノマーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。モノマーとして、低分子化合物と高分子化合物を併用してもよく、非重合体と重合体とを併用してもよい。
モノマーは、エポキシ樹脂モノマーであってよい。エポキシ樹脂モノマーとしては、エピクロルヒドリンとビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD等から誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリンとフェノールノボラック、クレゾールノボラック等から誘導されるエポキシノボラック樹脂、グリシジルアミン、グリシジルエーテル、ビフェニル、脂環式等の1分子内に2個以上のグリシジル基を有する各種のエポキシ化合物などを用いることができる。
モノマーは、ラジカル重合性モノマーであってもよい。ラジカル重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリルモノマーの他、マレイミド化合物、スチレン誘導体などが挙げられる。
硬化剤は、モノマーの重合による硬化に寄与する成分であればよい。硬化剤は、硬化後の分子骨格に組み込まれる成分であってよく、いわゆる重合開始剤であってもよい。
エポキシ樹脂モノマーを用いる場合、硬化剤としては、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素-アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミンの塩、ジシアンジアミド等を用いてよい。硬化剤は、可使時間を延長する観点から、ポリウレタン系又はポリエステル系の高分子化合物等で被覆されてマイクロカプセル化されていてもよい。
エポキシモノマーを用いた場合の硬化剤は、目的とする接続温度、接続時間、保存安定性等により適宜選定される。硬化剤は、高反応性の点から、エポキシ樹脂組成物とのゲルタイムが所定の温度で10秒以内であることが好ましく、保存安定性の点から、40℃で10日間恒温槽に保管後にエポキシ樹脂組成物とのゲルタイムに変化がないことが好ましい。このような点から、硬化剤は、スルホニウム塩であることが好ましい。
ラジカル重合性モノマーを用いる場合、硬化剤としては、過酸化化合物、アゾ系化合物等の加熱により分解して遊離ラジカルを発生するものを用いてよい。
ラジカル重合性モノマー(特に(メタ)アクリルモノマー)を用いた場合の硬化剤は、目的とする接続温度、接続時間、保存安定性等により適宜選定される。高反応性と保存安定性の点から、半減期10時間の温度が40℃以上かつ半減期1分の温度が180℃以下の有機過酸化物又はアゾ系化合物が好ましく、半減期10時間の温度が60℃以上かつ半減期1分の温度が170℃以下の有機過酸化物又はアゾ系化合物がより好ましい。これらの硬化剤は、単独で、又は、混合して使用することができる。硬化剤と、分解促進剤、抑制剤等を混合して用いてもよい。
接続時間を10秒以下とした場合、反応率の向上の観点から、硬化剤の配合量は、モノマーと後述のフィルム形成材との合計100質量部に対して、0.1質量部~40質量部としてよく、1質量部~35質量部としてもよい。
フィルム形成材は、上記の硬化剤及びモノマーを含む粘度の低い組成物の取り扱いを容易にする作用を有するポリマーである。フィルム形成材を用いることによって、フィルムが容易に裂けたり、割れたり、べたついたりすることが抑制され、取り扱いが容易な回路接続用接着フィルム11が得られる。
フィルム形成材としては、熱可塑性樹脂が好適に用いられる。熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、キシレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂等が挙げられる。これらのポリマー中には、シロキサン結合、フッ素置換基等が含まれていてもよい。これらの樹脂は、単独で、又は、2種類以上を混合して用いることができる。上記の樹脂の中でも、接着強度、相溶性、耐熱性、及び機械強度の観点から、フェノキシ樹脂を用いることが好ましい。
熱可塑性樹脂の分子量が大きいほどフィルム形成性が容易に得られ、また、回路接続用接着フィルムの流動性に影響する溶融粘度を広範囲に設定できる。熱可塑性樹脂の分子量は、重量平均分子量で5000~150000であってよく、10000~80000であってもよい。重量平均分子量を5000以上とすることで良好なフィルム形成性が得られやすくなり、150000以下とすることで他の成分との良好な相溶性が得られやすくなる。なお、重量平均分子量は、下記の条件にしたがって、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)より標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定した値である。
(測定条件)
装置:東ソー株式会社製 GPC-8020
検出器:東ソー株式会社製 RI-8020
カラム:昭和電工マテリアルズ株式会社製 Gelpack GLA160S+GLA150S
試料濃度:120mg/3mL
溶媒:テトラヒドロフラン
注入量:60μL
圧力:2.94×106Pa(30kgf/cm
流量:1.00mL/min
フィルム形成材の含有量は、モノマー、硬化剤及びフィルム形成材の総量を基準として5~80質量%であってよく、15~70質量%であってもよい。上記含有量を5質量%以上とした場合、良好なフィルム形成性が得られやすくなる。また、上記含有量を80質量%以下とした場合、硬化性組成物が良好な流動性を示す傾向がある。
導電性接着剤層13及び絶縁性接着剤層14は、いずれも、充填剤、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤、カップリング剤等の添加剤を更に含有していてもよい。
接着剤層が充填剤を含有する場合、接続信頼性の向上が更に期待できる。充填剤の最大径は、導電粒子の粒子径未満であることが好ましい。充填剤の含有量は、接着剤層100体積部に対して5~60体積部であることが好ましい。充填剤の含有量が60体積部以下であれば充分な信頼性向上の効果が得られる傾向がある。また、充填剤の含有量が5体積部以上であれば充填剤による効果が得られやすい。
導電粒子Pは、導電性接着剤層13において分散した状態で存在する。導電粒子Pが他の導電粒子Pと離間した状態(単分散状態)で存在している比率(単分散率)は、好ましくは90.0%以上であり、93.0%以上、95.0%以上、98.0%以上又は99.0%以上であってもよい。単分散率の上限値は100%である。単分散率が高いほど、絶縁信頼性に優れる接続構造体が得られやすくなる。このような分散状態は、後述の外力付加工程によって形成される。単分散率は、実施例に記載の方法で測定することができる。
導電粒子Pの含有量は、隣り合う電極間の絶縁性と導電粒子の捕捉性をより高水準で両立する観点から、導電性接着剤層の導電粒子P以外の成分100体積部に対して1~100体積部であってよく、10~50体積部であってもよい。
導電粒子Pの平均粒子径と導電性接着剤層13の厚さとの関係について、導電性接着剤層13の厚さは、導電粒子Pの平均粒子径の0.6倍以上1.0倍未満であることが好ましい。導電性接着剤層13の厚さが導電粒子Pの平均粒子径に対して0.6倍以上であると、より良好な接続性が得られやすい。導電性接着剤層13の厚さが導電粒子Pの平均粒子径に対して1.0倍未満であると、より良好な絶縁性が得られやすい。同様の観点から、導電性接着剤層13の厚さは、導電粒子Pの平均粒子径に対して0.7倍以上0.9倍以下であってもよい。
上記のような関係を満たす場合、導電粒子Pの一部は、絶縁性接着剤層14側に突出した状態となっており、隣り合う導電粒子P,Pの離間部分には、絶縁性接着剤層14と導電性接着剤層13との境界Sが位置している。また、導電粒子Pは、導電性接着剤層13における絶縁性接着剤層14の反対面(すなわち剥離フィルム12側の面)には露出しておらず、反対面は平坦面となっている。導電性接着剤層13の厚さ方向における、導電粒子Pと導電性接着剤層13の表面との間の最短距離は、0μmより大きく1μm以下であってよい。
絶縁性接着剤層14と導電性接着剤層13との境界Sは、回路接続用接着フィルム11の断面観察により確認することが可能である。絶縁性接着剤層14と導電性接着剤層13の組成の違いに起因する、FIB、SEM、TEM等の加工観察装置における観察像の違いにより、絶縁性接着剤層14と導電性接着剤層13の境界Sを判断することも可能である。
絶縁性接着剤層14と導電性接着剤層13とが互いに相溶し難い場合は、境界Sは界面として確認することが可能である。絶縁性接着剤層14と導電性接着剤層13の組成が類似しており、後述する積層工程において界面が消失する場合は、絶縁性接着剤層14と導電性接着剤層13が混合された境界層として観察されることがある。
導電性接着剤層13の厚さは、例えば、1.5~6.0μmである。絶縁性接着剤層14の厚さは、適宜設定可能である。導電性接着剤層13の厚さと絶縁性接着剤層14の厚さの合計は、例えば5μm~30μmである。
以上説明した回路接続用接着フィルム11は、回路の接続に用いられる接着フィルムである。回路接続用接着フィルム11は、異方導電性を有していてもよいし、異方導電性を有していなくてもよい。すなわち、回路接続用接着フィルム11は、異方導電性の接着フィルムであっても、非異方導電性(例えば等方導電性)の接着フィルムであってもよい。回路接続用接着フィルム11は、第一の電極を有する第一の部材と第二の電極を有する第二の部材とを、該第一の部材と該第二の部材との間に該回路接続用接着フィルム11を介在させた状態で熱圧着し、該第一の電極と該第二の電極とを互いに電気的に接続するために用いられてよい。
<回路接続用接着フィルムの製造方法>
図2に示した回路接続用接着フィルム11は、外力分散型回路接続用接着フィルムであってよい。すなわち、回路接続用接着フィルム11は、接着剤成分及び導電粒子Pを含む膜中の該導電粒子Pに外力(例えば磁力)を加えることにより、該導電粒子Pを分散させる工程(外力付加工程)を備える方法で製造されてよい。以下、図2に示した回路接続用接着フィルムの製造方法について詳細に説明する。
図3は、図2に示した回路接続用接着フィルムの製造工程を示す概略図である。同図に示すように、まず、導電性接着剤層13の形成材料となる接着剤ペーストWを剥離フィルム12上に塗布する工程(塗布工程)を実施する。同図の例では、長尺の剥離フィルム12を繰出ローラ21及び巻取ローラ22によって所定の速度で搬送している。剥離フィルム12の搬送経路上には、導電性接着剤層13の形成材料となる接着剤ペーストWを塗布するコータ23が配置されており、コータ23によって接着剤ペーストWが剥離フィルム12上に塗布される。コータ23によって剥離フィルム12上に塗布された接着剤ペーストWからなる膜(塗膜)の厚さは、樹脂組成物中に含まれる溶剤の割合によって適時変動するが、導電粒子Pの平均粒子径の1.6倍未満となっていることが好適である。
接着剤ペーストWは、接着剤成分と、接着剤成分中に分散された導電粒子Pと、有機溶剤と、を含有する。接着剤ペーストWは、例えば、接着剤成分(モノマー、硬化剤、フィルム形成材等)と、導電粒子Pと、を、有機溶剤中で撹拌混合、混練等を行うことによって、溶解又は分散させることで調製される。有機溶剤は、例えば、SP値が8.5~10.0である有機化合物であってよい。このような有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。
接着剤ペーストWの粘度は、用途、塗布方法等に応じて調整可能である。接着剤ペーストWの粘度は、10mPa・s~10000mPa・sであってよく、接着剤ペーストW中の配合物の分離の抑制及び相溶性向上の観点では、50mPa・s~5000mPa・sであってもよい。接着剤ペーストWの粘度は、回路接続用接着フィルム11の外観向上の観点では、100mPa・s~3000mPa・sであってもよい。
接着剤ペーストWの塗工方法は、上記に限られず、公知の方法を利用することができる。塗工方法としては、スピンコート法、ローラーコート法、バーコート法、ディップコート法、マイクログラビアコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、ニーダーコート法、フローコーティング法、スクリーン印刷法、キャスト法等が挙げられる。これらの中でも、バーコート法、ダイコート法、マイクログラビアコート法等の方法が回路接続用接着フィルム11の作製に適している。フィルム膜厚の精度の観点からは、マイクログラビアコート法が特に好適である。
次に、接着剤成分及び導電粒子を含む膜(接着剤ペーストW)中の該導電粒子Pに外力として磁力を加えることにより、導電粒子Pを分散させる(磁場印加工程)。図4に示すように、コータ23の後段側に、剥離フィルム12を挟むように一対の磁石24,25が上下に対向配置されており、上側に配置された磁石24がN極、下側に配置された磁石25がS極となっているため、磁石24から磁石25に向かう略垂直方向に磁場が形成される。したがって、磁石24,25間に剥離フィルム12が搬送されると、膜(接着剤ペーストW)中の導電粒子Pが磁化され、斥力によって導電粒子P,P同士が膜(接着剤ペーストW)の面内方向に離間した状態が形成される(磁場印加工程)。
次に、剥離フィルム12が磁石24,25間を通過している間に熱風等によって接着剤ペーストWの乾燥を行う(乾燥工程)。これにより、接着剤ペーストWの粘度が上昇することで磁場印加工程における導電粒子Pの離間状態が保持され、図5に示すように、導電性接着剤層13が剥離フィルム12上に形成される。また、乾燥工程によって膜(接着剤ペーストW)の厚みが減少していき、上述したように、膜(接着剤ペーストW)の厚さを導電粒子Pの平均粒子径の1.6倍未満としておくことで、導電性接着剤層13の厚さを導電粒子Pの平均粒子径の0.6倍以上1.0倍未満とすることが可能となる。
接着剤ペーストWの乾燥温度は、例えば20~80℃である。剥離フィルム12の搬送速度は、例えば30~160mm/sである。膜(接着剤ペーストW)の厚さは、例えば5~10μmである。
次に、導電性接着剤層13の形成の後、図6に示すように、別途作製した絶縁性接着剤層14を導電性接着剤層13上にラミネートする(積層工程)。これにより、図2に示した回路接続用接着フィルム11が得られる。絶縁性接着剤層14のラミネートには、例えばホットロールラミネータを用いることができる。また、積層方法は、ラミネートに限られず、絶縁性接着剤層14の材料となる接着剤ペーストを導電性接着剤層13上に塗布し、乾燥する方法であってもよい。
図7は、従来製法における導電粒子の分散の様子を示す顕微鏡写真であり、図8は、本製法における導電粒子の分散の様子を示す顕微鏡写真である。図7に示すように、従来製法では、互いに離間した状態の導電粒子も散在しているものの、大多数の導電粒子が他の導電粒子と接触し、凝集した状態となっている。これに対し、図8に示すように、本製法では、ほぼ全ての導電粒子が他の導電粒子と離間した状態を保持している。
以上説明した回路接続用接着フィルムの製造方法では、外力として磁力を用いているが、磁力に限られず、遠心力等により導電粒子を分散させる方法においても、上記実施形態の導電粒子Pを用いることで、導電粒子が良好に分散された回路接続用接着フィルムを得ることができる。
<接続構造体>
図9は、接続構造体の一実施形態を示す模式的断面図である。同図に示すように、接続構造体1は、第一の電極6を有する第一の部材2と、第二の電極8を有する第二の部材3と、第一の部材2及び第二の部材3の間に配置され、第一の電極6及び第二の電極8を互いに電気的に接続する接続部4と、を備える。第一の部材2及び第二の部材3は、第一の電極6と第二の電極8とが互いに対向するように配置されている。
第一の部材2は、例えば回路部材であり、テープキャリアパッケージ(TCP)、プリント配線板、半導体シリコンチップ等であってよい。第一の部材2が有する第一の電極6は、本体部5の実装面5a側に複数配置されている。第一の電極6は、例えばバンプ電極である。第一の電極6は、例えば平面視で矩形状をなしている。第一の電極6の厚さは、例えば3μm以上18μm未満である。第一の電極6の形成材料には、例えばAu等が用いられ、導電粒子Pよりも変形しやすくなっている。実装面5aにおいて、第一の電極6が形成されていない部分には、絶縁層が形成されていてもよい。
第二の部材3は、例えば回路部材であり、液晶ディスプレイに用いられる回路基板であってよい。第二の部材3は、例えば、ITO、IZO、金属等で回路が形成されたガラス基板又はプラスチック基板であってよく、フレキシブルプリント基板(FPC)又はセラミック配線板等であってもよい。第二の部材3は、図9に示すように、本体部7の実装面7a側に第一の電極6に対応する複数の第二の電極8を有している。第二の電極8は、例えば、回路電極である。第二の電極8は、例えば平面視で矩形状をなしている。第二の電極8の厚さは、例えば100nm程度である。第二の電極8の表面は、例えば、金、銀、銅、錫、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、インジウム錫酸化物(ITO)、及びインジウム亜鉛酸化物(IZO)からなる群より選択される1種又は2種以上の材料で構成されている。実装面7aにおいても、第二の電極8が形成されていない部分に絶縁層が形成されていてもよい。
接続部4は、回路接続用接着フィルム11を硬化してなる部分であり、回路接続用接着フィルム11の硬化物を含んでいる。接続部4は、回路接続用接着フィルム11の硬化物のみからなっていてもよい。接続部4は、導電性接着剤層13を硬化してなる第一の領域9と、絶縁性接着剤層14を硬化してなる第二の領域10とを有している。第一の領域9及び第二の領域10は、第一の部材2の実装面5a及び第二の部材3の実装面7aに沿うように、層状に広がっている。本実施形態では、第一の領域9が第二の部材3側に位置し、第二の領域10が第一の部材2側に位置している。第一の領域9と第二の領域10との境界は必ずしも明確でなくてよい。
導電粒子Pは、第二の部材3側に偏在した状態となっており、その一部が第一の電極6と第二の電極8との間に介在している。第一の電極6と第二の電極8との間の導電粒子Pは、圧着によって子粒子32の一部が脱離し、母粒子31が僅かに扁平に変形した状態で第一の電極6及び第二の電極8と接している。これにより、第一の電極6と第二の電極8との間の電気的な接続が実現されている。また、隣り合う第一の電極6,6間及び隣り合う第二の電極8,8間では、導電粒子Pが互いに離間した状態となっており、隣り合う第一の電極6,6間及び隣り合う第二の電極8,8間の電気的な絶縁が実現されている。
<接続構造体の製造方法>
接続構造体1の製造方法は、第一の部材2と第二の部材3とを、第一の部材2と第二の部材3との間に回路接続用接着フィルム11を介在させた状態で熱圧着し、第一の電極6と第二の電極8とを互いに電気的に接続する工程を備える。以下、図10及び図11を参照して、接続構造体1の製造方法について説明する。
図10及び図11は、図9に示した接続構造体1の製造工程を示す模式的断面図である。接続構造体1の製造にあたり、まずは、回路接続用接着フィルム11から剥離フィルム12を剥離し、導電性接着剤層13側が実装面7aと対向するようにして回路接続用接着フィルム11を第二の部材3上にラミネートする。次に、図11に示すように、第一の電極6と第二の電極8とが対向するように、回路接続用接着フィルム11がラミネートされた第二の部材3上に第一の部材2を配置する。そして、回路接続用接着フィルム11を加熱しながら第一の部材2と第二の部材3とを厚み方向に加圧する。
これにより、回路接続用接着フィルム11の接着剤成分が流動し、第一の電極6と第二の電極8との距離が縮まって導電粒子Pが噛合した状態で、導電性接着剤層13及び絶縁性接着剤層14が硬化する。導電性接着剤層13及び絶縁性接着剤層14の硬化により、第一の電極6と第二の電極8とが電気的に接続され、かつ隣り合う第一の電極6,6同士及び隣り合う第二の電極8,8同士が電気的に絶縁された状態で接続部4が形成され、図9に示した接続構造体1が得られる。得られた接続構造体1では、接続部4によって第一の電極6と第二の電極8との間の距離の経時的変化が充分に防止されるとともに、電気的特性の長期信頼性も確保できる。
回路接続用接着フィルム11の加熱温度は、硬化剤において重合活性種が発生し、モノマー(重合性化合物)の重合が開始される温度以上であることが好ましい。この加熱温度は、例えば80℃~200℃であり、好ましくは100℃~180℃である。加熱時間は、例えば0.1秒~30秒であり、好ましくは1秒~20秒である。
以下、本発明の内容を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<製造例1~8>
(絶縁性微粒子1~8の作製)
表1~3に示すモノマーを、乳化重合法を用いて重合させた。具体的には、まず、純水400gを合成用のフラスコに加えた後、該フラスコ中に表1~3に示す材料を表1~3に示す配合モル量にしたがって一括添加した。これらを、攪拌しながら70℃で8時間加熱した。攪拌速度は、300rpmとした。これにより、絶縁性微粒子1~8をそれぞれ作製した。
(膨潤比の測定)
絶縁性微粒子1~8の水中での平均粒子径dを測定した後、絶縁性微粒子1~8を酢酸エチルに浸漬した後、超音波周波数40kHz、出力120Wの超音波槽で5分間処理してから、絶縁性微粒子1~8の酢酸エチル中での平均粒子径dを測定した。得られた平均粒子径d及びdに基づき、絶縁性微粒子1~8の膨潤比(平均粒子径dに対する平均粒子径dの比、d/d)を求めた。平均粒子径の具体的な測定方法は以下に示す。
溶媒(水又は酢酸エチル)に、試料液のpHが7.3~7.8になるよう測定対象の粒子(絶縁性微粒子1~8のいずれか)を0.1~1.0質量%の範囲内で添加し、120Wの超音波槽で5.0分間振動することで、粒子を分散させた。次いで、レーザー回折式粒度分布計マイクロトラックMT3300EXII(マイクロトラック・ベル株式会社製、商品名)にて、25~27℃で粒度分布を測定した。屈折率の設定は、屈折率の設定は、絶縁性微粒子1~6(ポリスチレン系微粒子)の屈折率を1.59とし、絶縁性微粒子7~8(ポリメタクリル酸メチル系微粒子)の屈折率を1.49とした。得られた粒度分布における積算値50%(体積基準)での粒子径を平均粒子径とした。
(SEM平均粒子径及び異形度の測定)
電界放出形走査電子顕微鏡(SU-8020、日立ハイテク社製)を用いて30000倍の倍率で絶縁性微粒子1~8を観察し、得られたSEM画像を、XG VisionEditor(株式会社キーエンス製の画像解析ソフト)を用いて解析することで、絶縁性微粒子1~8のSEM観察による平均粒子径(SEM平均粒子径d)及び異形度を求めた。
具体的には、まず、絶縁性微粒子を乾燥させた後、乾燥後の絶縁性微粒子のSEM画像を取得した。次いで、JSRライフサイエンス株式会社製のラテックス粒子(CLINTEXシリーズ、粒子径:0.3μm)を標準見本として、該SEM画像から該標準見本に近似した粒子を1つ抽出した。次に、抽出された粒子の中心点を通る直線と、該粒子の縁上の点との交点を10点以上最大36点検出し、5個以上最大18個の直径d(上記直線上に存在する2つの上記交点間の距離)、及び、最大36個の半径r(上記中心点と上記交点との距離)を求めた。次いで、得られた直径dの平均値dを求め、dを直径とする真円の半径r(d/2)と上記粒子の半径rとの差の絶対値を求めた。この差の平均値を粒子の平均歪みDとし、平均歪みDと真円の半径rとを用いて、下記式により粒子の異形度を算出した。
異形度=平均歪みD/真円の半径r×100
上記操作を任意で抽出した100個の粒子に対して行い、算出されたd及び異形度の平均値を、絶縁性微粒子1~8のSEM平均粒子径d及び異形度とした。結果を表1~3に示す。
(ガラス転移温度の測定)
示差走査熱量計(DSC) Q1000(TA Instruments Japan株式会社製)を用いて絶縁性微粒子1~8のガラス転移温度(Tg)を測定した。結果を表1~3に示す。
Figure 2023131379000002
Figure 2023131379000003
Figure 2023131379000004
表1~3に示す材料の詳細は以下のとおりである。
(非架橋性モノマー)
・スチレン:富士フイルム和光純薬株式会社製
・アクリル酸ブチル:富士フイルム和光純薬株式会社製
・メタクリル酸メチル:三菱ガス化学株式会社製
・メタクリル酸グリシジル:富士フイルム和光純薬株式会社製
・3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン:信越化学工業株式会社製、商品名:KBM-502
・3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン:信越化学工業株式会社製、商品名:KBM-503
・メタクリル酸ナトリウム:シグマアルドリッチ株式会社製
・スチレンスルホン酸ナトリウム:富士フイルム和光純薬株式会社製
・モノ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)ホスフェート:城北化学工業株式会社製、商品名:JAMP-514
(架橋性モノマー)
・ジビニルベンゼン:新日鐵化学株式会社製、商品名:ジビニルベンゼン(DVB-960)
・ジエチレングリコールジメタクリレート:東京化成工業株式会社製

(ラジカル重合開始剤)
・ペルオキソ二硫酸カリウム:富士フイルム和光純薬株式会社製
・2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]4水和物:富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:VA-057
(乳化剤)
・ラウリル硫酸トリエタノールアミン30%溶液:花王株式会社製、商品名:エマールTD
<実施例1~4及び比較例1~4>
(導電粒子1~8の作製)
[母粒子1の作製]
アクリロイル基を2つ有するモノマー(2官能アクリルモノマー)の重合物からなる、平均粒子径3.0μmのプラスチック粒子を準備した。プラスチック粒子の硬さを、室温(25℃)で圧縮して粒子が20%変形したときの弾性率(以下、「20%K値」と称する)により評価したところ、20%K値は、2.0GPaであった。
上記プラスチック粒子の表面上に、無電解めっき法を用いてニッケルめっきを行い、厚さ100nmのニッケル金属層を形成した。これにより、プラスチック粒子と、プラスチック粒子の表面を被覆するニッケル金属層とからなる、導電性の母粒子1(粒子径:約3.1μm)を得た。なお、ニッケル金属層の厚さは、粒子を注型用の樹脂中に分散させて注型することで注型試料を作製し、得られた注型試料の表面を研磨して粒子の断面を露出させ、SEM(株式会社日立ハイテク製 SU-8020)を用いて該粒子の断面を観察することにより測定した、5箇所の厚さの平均値である。
[シリコーンオリゴマー1の作製]
攪拌装置、コンデンサー及び温度計を備えたガラスフラスコに、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン118g及びメタノール5.9gを配合した溶液を加えた。このガラスフラスコに、活性白土5g及び蒸留水4.8gを更に添加した後、75℃で一定時間攪拌することで、重量平均分子量1300のシリコーンオリゴマー1を得た。得られたシリコーンオリゴマー1は、水酸基と反応する末端官能基としてメトキシ基又はシラノール基を有するものである。得られたシリコーンオリゴマー1の溶液にメタノールを加えて、固形分20質量%の処理液を調製した。なお、シリコーンオリゴマー1の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することにより算出した。GPCの条件を以下に示す。
-GPC条件
装置:東ソー株式会社製 GPC-8020
検出器:東ソー株式会社製 RI-8020
カラム:昭和電工マテリアルズ株式会社製 Gelpack GL-A-160-S+GL-A150
試料濃度:120mg/3ml
溶媒:テトラヒドロフラン
注入量:60μl
圧力:30kgf/cm
流量:1.00ml/min
[導電粒子1~8の作製]
メルカプト酢酸8mmolをメタノール200mlに溶解させて反応液を作製した。次に、10gの母粒子1を上記反応液に加え、スリーワンモーターと直径45mmの攪拌羽を用いて、室温で2時間攪拌することで、母粒子1の表面処理(第一の処理)を行った。次いで、攪拌後の液から処理後の粒子を取り出し、メタノールで洗浄した後、孔径3μmのメンブレンフィルタ(ミリポア社製)を用いてろ過した。これにより、表面にカルボキシ基を有する粒子(粒子1A)を10g得た。
次に、重量平均分子量70000の30質量%ポリエチレンイミン水溶液(和光純薬社製)を純水で希釈し、0.1質量%ポリエチレンイミン水溶液及び0.01質量%ポリエチレンイミン水溶液を得た。導電粒子1~6及び8の作製時には0.1質量%ポリエチレンイミン水溶液を用い、導電粒子7の作製時には0.01質量%ポリエチレンイミン水溶液を用いた。
次に、上記粒子1A 10gを、0.1質量%ポリエチレンイミン水溶液又は0.01質量%ポリエチレンイミン水溶液に加え、室温で15分間攪拌することで、粒子1Aの表面処理(第二の処理)を行った。次いで、攪拌後の液から処理後の粒子を取り出し、孔径3μmのメンブレンフィルタ(ミリポア社製)を用いてろ過した。ろ過後の粒子を純水200gに入れて室温で5分間攪拌した後、このメタノールから粒子を取り出し、孔径3μmのメンブレンフィルタ(ミリポア社製)を用いてろ過し、上記メンブレンフィルタ上にて200gの純水で2回洗浄した。これにより、粒子1Aに吸着していないポリエチレンイミンを除去し、アミノ基含有ポリマーで被覆された粒子(粒子1B)を得た。
次に、絶縁性微粒子1~8をシリコーンオリゴマー1で処理し、表面にグリシジル基含有オリゴマーを有する微粒子(微粒子1A~8A)の酢酸エチル分散液を調製した。
次に、上記粒子1Bを酢酸エチルに浸漬した後、この液に、微粒子1A~8Aの酢酸エチル分散液を投入することで、絶縁性微粒子1~8のいずれかを子粒子とする導電粒子を得た。この際、酢酸エチル分散液の投入量は、母粒子の表面が子粒子(未吸着の子粒子を含む)によって完全に覆われるのに充分な量とした。
次に、得られた導電粒子を、ポリ(ジメチルジメトキシラン)(重量平均分子量Mw:800~1200)をIPA(イソプロピルアルコール)に溶解させてなる溶液(固形分濃度:1.9質量%)315gで処理し、洗浄することで、導電粒子の表面の疎水化を行った。その後、真空状態で、100℃、90分間の条件で加熱乾燥を行うことで導電粒子1~8を作製した。
(評価1)
[被覆率及びそのC.V.値の測定]
以下の方法で、導電粒子1~8の被覆率及びそのC.V.値の測定を行った。まず、導電粒子を、電界放出形走査電子顕微鏡(SU-8020、日立ハイテク社製)を用いて8000倍の倍率で観察し、SEM画像を得た。次いで、XG VisionEditor(株式会社キーエンス製の画像解析ソフト)を用いて、SEM画像の2値化処理を行った。次いで、2値化処理後のSEM画像から導電粒子を1つ抽出し、該導電粒子の外周円の半径を直径とする円(外周円と同心円状の円)を測定円として、測定円の面積Sと、測定円内に存在する絶縁性微粒子を示す部分の面積の合計Sとを求め、以下の式により、抽出された粒子の被覆率(子粒子による母粒子の被覆率)を算出した。
被覆率(%)=S/S×100
この操作を任意で抽出した100個の導電粒子に対して行い、算出された100個の導電粒子の被覆率を平均し、導電粒子1の被覆率とした。また、上記式で算出された被覆率の標準偏差を、上記平均値で除することで、被覆率のC.V.値を求めた。結果を表4に示す。
[粒子径の測定]
以下の方法で、導電粒子1~8における、子粒子の平均粒子径、及び、母粒子の粒子径に対する子粒子の平均粒子径の比を求めた。まず、SEM試料台上にカーボンテープを貼付け、その上に導電粒子(導電粒子1~8)を散布した。散布された導電粒子をSEMで観察し、測定対象となる導電粒子を定め、25000倍の倍率で該導電粒子における母粒子の粒子径を測定した。続いて、子粒子の粒子径を測定するため、SEM倍率を30000倍に変更し、母粒子の粒子径を測定した導電粒子における、子粒子の粒子径を測定した。一つの導電粒子について、子粒子5個の粒子径を測定し、これらの平均を該導電粒子における子粒子の平均粒子径とした。また、得られた測定値から、母粒子の粒子径に対する子粒子の平均粒子径の比を求めた。上記測定を25個の導電粒子について繰り返し行い、子粒子の平均粒子径、及び、母粒子の粒子径に対する子粒子の平均粒子径の比の平均値(25個の平均値)を求め、これらを、導電粒子1~8における、子粒子の平均粒子径、及び、母粒子の粒子径に対する子粒子の平均粒子径の比とした。結果を表4に示す。
[接触角の測定]
導電粒子1~8の水に対する接触角を、以下の方法で測定した。まず、ガラス板の表面に両面テープ(商品名:ハイボン 11-583(昭和電工マテリアルズ株式会社製)、幅10.0mm、長さ76.0mm、厚さ0.14mm)を貼り付けた。次いで、両面テープ上に導電粒子1.0gを配置し、両面テープの表面全体が導電粒子によって覆われるように(可能な限り導電粒子間に隙間が生じないように)、導電粒子を両面テープ上に広げた。次いで、エアブロー(商品名:エアーダスター AHSze300、エア・ウォーター・ゾル株式会社製)によって、噴射時間を30秒として、両面テープ上に積み重なった余分な導電粒子を除去した。これにより、ガラス、両面テープ及び導電粒子からなる膜で構成される積層体を得た。この積層体を接触角測定用の試験片とした。
次に、上記試験片を用いて、JIS R 3257(1999)「基板ガラス表面のぬれ性試験方法」項6記載の静適法にしたがって、水に対する接触角を測定した。具体的には、協和界面科学株式会社製接触角計「DM-701」を用いて、試料片の導電粒子からなる膜の上に純水6μLを滴下した。滴下後、2000ms経過した後の接触角を測定した。上記操作を7~10mm間隔で合計10回(10箇所で)行い、得られた数値の平均値を求めた。この平均値を導電粒子の接触角とした。結果を表4に示す。なお、上記接触角の測定は、室温(25℃)で行った。
Figure 2023131379000005
(回路接続用接着フィルムの作製)
4,4’-(9-フルオレニリデン)-ジフェノール45g(シグマアルドリッチジャパン株式会社製)、及び3,3’,5,5’-テトラメチルビフェノールジグリシジルエーテル50g(三菱化学株式会社製:YX-4000H)を、ジムロート冷却管、塩化カルシウム管、及び攪拌モーターに接続されたテフロン攪拌棒(「テフロン」は登録商標)を装着した3000mLの3つ口フラスコ中でN-メチルピロリドン1000mLに溶解して反応液とした。これに炭酸カリウム21gを加え、マントルヒーターで110℃に加熱しながら攪拌した。3時間攪拌後、1000mLのメタノールが入ったビーカーに反応液を滴下し、生成した沈殿物を吸引ろ過することによってろ取した。ろ取した沈殿物をさらに300mLのメタノールで3回洗浄して、フェノキシ樹脂aを75g得た。
その後、フェノキシ樹脂aの分子量を東ソー株式会社製高速液体クロマトグラフGP8020を用いて測定した(カラム:日立化成株式会社製GelpakGLA150S及びGLA160S、溶媒:テトラヒドロフラン、流速:1.0mL/min)。その結果、ポリスチレン換算でMn(数平均分子量)=15769、Mw(重量平均分子量)=38045、Mw/Mn=2.413であった。
次に、エポキシ化合物としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製:jER828)を固形分で50質量部と、硬化剤として4-ヒドロキシフェニルメチルベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートを固形分で5部質量部と、フィルム形成材として上記フェノキシ樹脂aを固形分で50質量部と、導電粒子を80質量部と、を配合し、導電性接着剤組成物(接着剤ペースト)1~8を得た。この際、導電粒子としては、上記導電粒子1~8をそれぞれ用いた。また、溶媒として、酢酸エチルを用いた。
次に、上記導電性接着剤組成物1~8をそれぞれ用いて、PET樹脂フィルム上に、厚さが2.7μmの導電性接着剤層1~8を得た。具体的には、まず、導電性接着剤組成物を、厚さ50μmのPET樹脂フィルムにコータを用いて塗布して塗膜を形成した後、該塗膜の乾燥を行うとともに磁場印加を実施した。導電性接着剤層1~8の厚さは導電性接着剤組成物の塗布量により調整した。
次に、エポキシ化合物としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製:jER807)を固形分で45質量部と、硬化剤として4-ヒドロキシフェニルメチルベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートを固形分で5質量部と、フィルム形成材としてMw(重量平均分子量)50000、Tg(ガラス転移温度)70℃のフェノキシ樹脂bを固形分で55質量部と、を配合し、絶縁性接着剤組成物を得た。
次に、上記絶縁性接着剤組成物を、厚さ50μmのPET樹脂フィルムにコータを用いて塗布して塗膜を形成した後、該塗膜を70℃で5分間熱風乾燥することによって厚さが16μmの絶縁性接着剤層を得た。
次に、導電性接着剤層1~8のそれぞれと、絶縁性接着剤層とを40℃に加熱してホットロールラミネータで貼り合わせ、実施例1~4及び比較例1~4の回路接続用接着フィルムを得た。
(評価2)
[導電粒子の単分散率]
金属顕微鏡を用いて、200倍の倍率で実施例1~4及び比較例1~4の回路接続用接着フィルムを導電性接着剤層側から観察し、導電性接着剤層中の導電粒子数を実測することにより、導電粒子の単分散率を求めた。結果を表5に示す。なお、単分散率は、導電粒子が他の導電粒子と離間した状態(単分散状態)で存在している比率であり、下記式を用いて求めた。
単分散率(%)=(2500μm中の単分散状態の導電粒子数/2500μm中の導電粒子数)×100
[導電粒子捕捉性及び絶縁性の評価]
(1)接続構造体の作製
第一の部材として、ストレートに配列されたバンプ電極が二列配置された構造を有するICチップ(外形:0.9mm×20.3mm、厚さ:0.3mm、バンプ電極の大きさ:75μm×12μm(粒子捕捉数評価用)又は100μm×12μm(絶縁性評価用)、バンプ電極間距離:24μm、バンプ電極の厚さ:8μm、バンプ電極配置:1列目のバンプ電極の中心に対して、2列目のバンプ電極はICチップの長手方向に12μmずらした位置に配置され、1列目のバンプ電極と2列目のバンプ電極の間隔は25μm)を準備した。また、第二の部材として、ガラス基板(コーニング社製:#1737、外形:38mm×28mm、厚さ:0.3mm)の表面にITOの配線パターン(パターン幅:19μm、電極間スペース:5μm)を形成した配線基板を準備した。
実施例1~4及び比較例1~4の回路接続用接着フィルムを用いて、第一の部材(ICチップ)と第二の部材(配線基板)とを、以下に示す手順で接続し、実施例1~4及び比較例1~4の接続構造体をそれぞれ複数得た。接続には、セラミックヒータからなるステージ(150mm×150mm)及びツール(3mm×20mm)から構成される熱圧着装置を用いた。
まず、回路接続用接着フィルム(外形:2.5mm×25mm)の導電性接着剤層上のPET樹脂フィルムを剥離し、導電性接着剤層側の面を第二の部材(配線基板)の配線パターンが形成されている面に、80℃・0.98MPa(10kgf/cm)の条件で2秒間加熱及び加圧することにより貼り付けた。
次に、回路接続用接着フィルムの絶縁性接着剤層上のPET樹脂フィルムを剥離し、第一の部材(ICチップ)のバンプ電極と第二の部材(配線基板)の回路電極との位置合わせを行った後、回路接続用接着フィルムの実測最高到達温度170℃、及びバンプ電極での面積換算圧力70MPaの条件で、5秒間加熱及び加圧して絶縁性接着剤層を第一の部材(ICチップ)に貼り付け、接続構造体を得た。
(2)導電粒子捕捉性の評価
実施例1~4及び比較例1~4の接続構造体における、バンプ電極と回路電極との間に捕捉された導電粒子の数(粒子捕捉数)を、光学顕微鏡により測定し、1バンプ電極当たりの粒子捕捉数(粒子捕捉数/バンプ電極数)、及び、そのC.V.値により、導電粒子捕捉性を評価した。結果を表5に示す。
(3)絶縁性の評価
絶縁性の評価は、絶縁抵抗値から絶縁抵抗不良と判定される接続構造体の割合(絶縁抵抗不良率)に基づき行った。接続抵抗値は、接続構造体端部に設けた端子に絶縁抵抗測定装置の端子を接続し、接続構造体に50Vの電圧を印加し、絶縁抵抗を一括で測定した。絶縁抵抗測定器が示す絶縁抵抗値が1.0E+09Ω以下の場合を絶縁抵抗不良として判定した。実施例1~4及び比較例1~4ともにN(評価される接続構造体数)=10で上記判定評価を行い、絶縁抵抗不良となった接続構造体をカウントし、絶縁抵抗不良率を算出した。結果を表5に示す。
Figure 2023131379000006
1…接続構造体、2…第一の部材、3…第二の部材、4…接続部、6…第一の電極(バンプ電極)、8…第二の電極(回路電極)、11…回路接続用接着フィルム、13…導電性接着剤層、14…絶縁性接着剤層、31…母粒子、32…子粒子、P…導電粒子。

Claims (17)

  1. 単分散率が90.0%以上である回路接続用接着フィルムの製造に用いられる導電粒子であって、
    導電性の母粒子と、該母粒子の表面を被覆する子粒子と、を備え、
    前記子粒子の、水中での平均粒子径に対する酢酸エチル中での平均粒子径の比が、1.20以下である、導電粒子。
  2. 前記子粒子による前記母粒子の表面の被覆率が、40.0%以上である、請求項1に記載の導電粒子。
  3. 前記子粒子による前記母粒子の表面の被覆率のC.V.値が、10.0%以下である、請求項1又は2に記載の導電粒子。
  4. SEMにより倍率30000倍で観察して求められる前記子粒子の平均粒子径が、200~400nmである、請求項1~3のいずれか一項に記載の導電粒子。
  5. SEMにより倍率25000倍で観察して求められる前記母粒子の粒子径に対する、SEMにより倍率30000倍で観察して求められる前記子粒子の平均粒子径の比が、8.0~20.0である、請求項1~4のいずれか一項に記載の導電粒子。
  6. 前記導電粒子からなる膜を形成したとき、該膜の表面の水に対する接触角が130°以上となる、請求項1~5のいずれか一項に記載の導電粒子。
  7. 前記子粒子が、芳香族架橋性モノマーと非架橋性モノマーとをモノマー単位として含む共重合体を含有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の導電粒子。
  8. 前記芳香族架橋性モノマーがジビニルベンゼンである、請求項7に記載の導電粒子。
  9. 前記非架橋性モノマーがスチレンである、請求項7又は8に記載の導電粒子。
  10. 前記共重合体にモノマー単位として含まれる極性基含有モノマーの含有量が、前記共重合体に含まれるモノマー単位の全量を基準として、2.0モル%以下である、請求項7~9のいずれか一項に記載の導電粒子。
  11. 前記共重合体が乳化重合体である、請求項7~10のいずれか一項に記載の導電粒子。
  12. 接着剤成分と前記導電粒子とを含む膜中の前記導電粒子に外力を加えることにより導電粒子を分散させる工程を備える回路接続用接着フィルムの製造方法に用いられる、請求項1~11のいずれか一項に記載の導電粒子。
  13. 接着剤成分と請求項1~12のいずれか一項に記載の導電粒子とを含む導電性接着剤層を備え、
    前記導電性接着剤層における前記導電粒子の単分散率が、90.0%以上である、回路接続用接着フィルム。
  14. 接着剤成分と請求項1~12のいずれか一項に記載の導電粒子とを含む膜中の前記導電粒子に外力を加えることにより、前記導電粒子を分散させる工程を備える、回路接続用接着フィルムの製造方法。
  15. 前記工程では、磁場を印加することにより前記導電粒子に磁力を加えて前記導電粒子を分散させる、請求項14に記載の回路接続用接着フィルムの製造方法。
  16. 第一の電極を有する第一の部材と、第二の電極を有する第二の部材と、前記第一の部材及び前記第二の部材の間に配置され、前記第一の電極及び前記第二の電極を互いに電気的に接続する接続部と、を備え、
    前記接続部が、請求項13に記載の回路接続用接着フィルムの硬化物を含む、接続構造体。
  17. 第一の電極を有する第一の部材と第二の電極を有する第二の部材とを、前記第一の部材と前記第二の部材との間に請求項13に記載の回路接続用接着フィルムを介在させた状態で熱圧着し、前記第一の電極と前記第二の電極とを互いに電気的に接続する工程を備える、接続構造体の製造方法。
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