JP6149683B2 - フィルム状回路接続材料及びこれを用いた接続構造体 - Google Patents

フィルム状回路接続材料及びこれを用いた接続構造体 Download PDF

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Description

本発明は、フィルム状回路接続材料及びこれを用いた接続構造体に関する。
液晶表示用ガラスパネルに液晶駆動用ICを実装する方式は、COG(Chip−on−Glass)実装とCOF(Chip−on−Flex)実装の2種類に大別することができる。COG実装では、導電粒子を含む異方性導電接着剤を用いて液晶用ICを直接ガラスパネル上に接合する。一方、COF実装では、金属配線を有するフレキシブルテープに液晶駆動用ICを接合し、導電粒子を含む異方性導電接着剤を用いてそれらをガラスパネルに接合する。ここでいう異方性とは、加圧方向に導通し、非加圧方向に絶縁性を保つという意味である。導電粒子には、プラスチック粒子の表面にニッケルめっきを施した粒子、プラスチック粒子の表面にニッケル及び金をこの順でめっきを施した粒子等を用いる。プラスチック粒子の表面にニッケル及び金をこの順でめっきを施した粒子の方が良好な絶縁性を有する。
近年の液晶表示の高精細化に伴い、液晶駆動用ICの回路電極である金バンプは狭ピッチ化及び狭面積化しており、そのため、異方性導電接着剤の導電粒子が隣接する回路電極間に流出してショートを発生させるといった問題がある。特にCOG実装ではその傾向が顕著である。隣接する回路電極間に導電粒子が流出すると、金バンプとガラスパネルとの間に捕捉される異方性導電接着剤中の導電粒子数が減少し、対向する回路電極間の接続抵抗が上昇し、接続不良を起こすといった問題がある。特に近年は金バンプの狭ピッチ化、狭面積化により単位面積あたり2万個/mm以上の導電粒子を投入するため、その傾向が顕著である。
そこで、これらの問題を解決する方法として、特許文献1に開示されるように異方性導電接着剤の少なくとも片面に絶縁性の接着剤層を形成することで、COG実装又はCOG実装における接合品質の低下を防ぐ方法、特許文献2に開示されるように導電粒子の全表面を絶縁性の被膜で被覆する方法、特許文献3に開示されるように導電粒子の表面に絶縁粒子を被覆する方法等が知られている。
特開平8−279371号公報 特許第2794009号公報 国際公開第2009/078469号
しかしながら、特許文献1に記載の異方性導電接着剤の少なくとも片面に絶縁性の接着剤層を形成する方法では、バンプ面積が3000μm未満で、かつ安定した接続抵抗を得るために導電粒子を増やす場合に、隣り合う電極間の絶縁性に改善の余地がある。また、特許文献2に記載の導電粒子の全表面を絶縁性膜で被覆する方法及び特許文献3に記載の導電粒子の表面に絶縁粒子を被覆する方法では、絶縁性が高くなるものの導電性が低くなりやすいといった課題がある。
一方、安定した接続抵抗を得るために導電粒子を増やした場合であっても、圧着時の樹脂流動等により導電粒子がバンプに乗りにくくなり、接続信頼性が低下する傾向にある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、回路部材同士の接続に使用した場合に、接続信頼性及び絶縁信頼性に優れるフィルム状回路接続材料を提供することを目的とする。また、本発明は上記のフィルム状回路接続材料を用いて回路部材が接続された接続構造体を提供することを目的とする。
本発明は、下記(1)〜(8)に記載のフィルム状回路接続材料を提供する。また、下記(9)に記載のこれらフィルム状回路接続材料を用いた接続構造体を提供する。
(1)回路部材同士を接着するとともにそれぞれの回路部材が有する回路電極同士を電気的に接続するために用いられるフィルム状回路接続材料であって、接着剤成分、導電粒子及び当該導電粒子と一体化していない絶縁粒子を含有し、前記絶縁粒子が芳香族架橋性モノマーと非架橋性モノマーとの共重合体を含む、フィルム状回路接続材料。
(2)前記共重合体における芳香族架橋性モノマーの含有量が3〜50質量%である、上記フィルム状回路接続材料。
(3)前記絶縁粒子の平均粒径に対する前記導電粒子の平均粒径の比が、0.2〜10である、上記フィルム状回路接続材料。
(4)前記非架橋性モノマーが芳香族非架橋性モノマーである、上記フィルム状回路接続材料。
(5)前記非架橋性モノマーがスチレンである、上記フィルム状回路接続材料。
(6)前記芳香族架橋性モノマーがジビニルベンゼンである、上記フィルム状回路接続材料。
(7)前記絶縁粒子が表面処理されている、上記フィルム状回路接続材料。
(8)前記絶縁粒子の含有量が前記フィルム状回路接続材料の全体積を基準として、5〜60体積%である、上記フィルム状回路接続材料。
(9)対向配置された一対の回路部材と、上記フィルム状回路接続材料の硬化物からなり、前記一対の回路部材の間に介在し、それぞれの回路部材が有する回路電極同士が電気的に接続されるように当該回路部材同士を接着する接続部と、を備える接続構造体。
上記フィルム状回路接続材料を用いることによって、回路部材間の接続信頼性及び絶縁信頼性が向上する理由は必ずしも明らかでないが、本発明者らは、導電粒子のフィルム内単分散性が向上したこと、フィルム自身が柔軟になったこと、そして回路部材同士の圧着時に導電粒子が動きにくくなったことによるためであると考えている。
本発明によれば、回路部材同士の接続に使用した場合に、接続信頼性及び絶縁信頼性に優れるフィルム状回路接続材料を提供することができる。また、上記のフィルム状回路接続材料を用いて回路部材が接続された接続構造体を提供することができる。
(a)は本発明の一実施形態である接続構造体の製造方法を示す模式断面図であり、(b)は導電粒子の一例である絶縁被覆導電粒子を示す拡大断面図である。 本発明の一実施形態である接続構造体を示す模式断面図である。 本発明の一実施形態である接続構造体の製造方法を示す模式断面図である。 本発明の一実施形態である接続構造体を示す模式断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態のフィルム状回路接続材料は、回路部材同士を接着するとともにそれぞれの回路部材が有する回路電極同士を電気的に接続するために用いられるものであって、接着剤成分、導電粒子及び絶縁粒子を含有する。以下、各成分について説明する。
[接着剤成分]
本実施形態における接着剤成分とは、フィルム状回路接続材料中の導電粒子及び絶縁粒子以外の成分を示す。接着剤成分の具体例としては、熱反応性樹脂と硬化剤との混合物、ラジカル反応性樹脂と有機過酸化物との混合物、エネルギー線(紫外線等)硬化性樹脂などが挙げられる。これらのうち、熱反応性樹脂と硬化剤との混合物が好ましく、エポキシ樹脂と潜在性硬化剤との混合物がより好ましい。ここで、潜在性硬化剤としては、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミン塩、ジシアンジアミド等が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、エピクロルヒドリンとビスフェノールA、F、AD等から誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂;エピクロルヒドリンとフェノールノボラック又はクレゾールノボラックから誘導されるエポキシノボラック樹脂;ナフタレン環を含むナフタレン系エポキシ樹脂;グリシジルアミン、グリシジルエーテル;ビフェニル、脂環式等の1分子中に2個以上のグリシジル基を有する各種のエポキシ化合物などを単独に又は2種以上を混合して用いることが可能である。
これらのエポキシ樹脂は、不純物イオン(Na、Cl等)、加水分解性塩素等を300ppm以下に低減した高純度品を用いることがエレクトロマイグレーション防止のために好ましい。
接着剤成分には、接着後の応力を低減させるため、又は接着性を向上させるために、ブタジエンゴム、アクリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴム等のゴム成分を混合することができる。また、フィルム形成性を向上させるために、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂をフィルム形成性高分子として接着剤成分に配合することができる。これらのフィルム形成性高分子は、フィルム状回路接続材料の硬化物の応力緩和に効果がある。フィルム形成性高分子としては、接着性が向上することから、水酸基等の官能基を有するものが好ましい。
[絶縁粒子]
本実施形態の絶縁粒子は、後述する導電粒子と一体化せずに、フィルム状回路接続材料中で独立に存在する。
本実施形態の絶縁粒子は、芳香族架橋性モノマーと非架橋性モノマーとの共重合体を含む。ここで、芳香族架橋性モノマーとは、芳香族炭化水素基及び2以上の架橋性基を含むモノマーを示す。架橋性基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和基を含む基が挙げられる。
また、非架橋性モノマーとは、1つの重合性基を含むモノマーを示す。重合性基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和基を含む基が挙げられる。
芳香族架橋性モノマーとしては、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン等が挙げられる。これらのモノマーは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。絶縁性、フィルムへの分散性、合成の容易さ及びコストの面から、芳香族架橋性モノマーは、ジビニルベンゼンであることが好ましい。これら芳香族架橋性モノマーは、シラノール基、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、シアノ基等の官能基を有していてもよい。なお、芳香族架橋性モノマーに加えて、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン(非芳香族架橋性モノマー)を用いてもよい。
非架橋性モノマーとしては、例えば、(i)スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン又はその誘導体、(ii)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、α−クロロアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸エステル、(iii)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル、(iv)N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、(v)フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、アクリル酸トリフルオロエチル、アクリル酸テトラフルオロプロピル等のフッ化アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル、(vi)3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基を有するアルコキシシランが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いられる。これら非架橋性モノマーは、シラノール基、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、シアノ基等の官能基を有していてもよい。
非架橋性モノマーとしては、絶縁性、フィルムへの分散性、合成の容易さ及びコストの面から、芳香族炭化水素基を有するモノマー(芳香族非架橋性モノマー)であることが好ましく、スチレンであることがより好ましい。
非架橋性モノマーを2種以上組み合わせて用いる場合、官能基を有しない非架橋性モノマーと官能基を有するモノマーとを組み合わせて用いることが好ましい。また、官能基を有するモノマーとしては、(vi)3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシランを用いることが好ましい。このようなアルコキシシランは、加水分解によりシラノール基を生じるので、形成される絶縁粒子は後述する表面処理剤による表面処理を行いやすくなる。
芳香族架橋性モノマーと非架橋性モノマーとの共重合体を含むことによって、絶縁粒子の硬さを調整することができる。共重合体における芳香族架橋性モノマーの含有量(架橋度)は、3〜50質量%の範囲であることが好ましく、4〜40質量%の範囲であることがより好ましく、4〜30重量%の範囲であることが更に好ましい。芳香族架橋性モノマーを5質量%以上とすることによって、より優れた耐溶剤性を有する、比較的硬質で回復力のある絶縁粒子を合成することができる。また、芳香族架橋性モノマーを50質量%以下とすることによって、より柔軟な粒子を合成することができ、このような絶縁粒子を含有するフィルム状回路接続材料を用いて得られる接続構造体は、導通抵抗に優れる傾向がある。
本実施形態における絶縁粒子は、例えば、シード重合法及び懸濁重合法により合成することができるが、シード重合法により合成することが好ましい。シード重合では、大きさが均一で、かつ分散性の良好な単分散微粒子を容易に合成できる。
シード重合法については、特開2005−327509号公報に開示される。シード粒子(種粒子)を合成した後、シード粒子にモノマーを吸収させて、重合を行う。
シード粒子としては、メタクリル酸メチル、スチレン等の重合体が用いられる。シード粒子の重量平均分子量は5000〜30000であることが好ましく、5000〜20000であることがより好ましい。シード粒子の重量平均分子量を30000以下とすることで、シード粒子のモノマーの吸収能力を向上させ、吸収させるモノマーと相分離による力学強度の低下を抑制することができる。また、重量平均分子量を5000以上とすることで、シード粒子の粒径が均一にすることができる。シード粒子は、例えば乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、分散重合法等の公知の方法で合成することができる。
なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により、測定することができる。分子量標準物質として、ポリスチレンを用いるとことが好ましい。
シード粒子の平均粒径は、所望の絶縁粒子の平均粒径に応じて決められるべきであるが、0.1〜1.0μmであることが好ましい。1.0μm以下とすることによって、モノマーの吸収時間が短くなり、0.1μm以上とすることによって、粒径が均一となり、真球性が向上する。
シード粒子の平均粒径は、SEM(走査型電子顕微鏡)で観察した粒子100個の平均値から求めることができる。また、マイクロトラックのような粒度分布径から平均粒径を算出することも可能である。
上記シード粒子の粒径の変動係数(C.V.)は、10%以下であることが好ましい。10%以下とすることで、得られる絶縁粒子の均一性が向上する。なお、粒径の変動係数は、粒径の標準偏差を平均粒径で除した値である。
本実施形態の絶縁粒子は、シード粒子にモノマーとして芳香族架橋性モノマー及び非架橋性モノマーを吸収させて、重合を行うことによって得ることができる。
以下にシード重合法による絶縁粒子の合成方法について述べるが、絶縁粒子の合成方法はこの方法に限定されるものではない。
まず、モノマーと水性媒体とから構成される乳化液にシード粒子を添加する。乳化液は、例えば、モノマーを水性媒体に添加し、ホモジナイザー、超音波処理機、ナノマイザー等の微細乳化機により分散させることで得ることができる。得られた乳化液中のモノマー液滴の粒径は、シード粒子よりも小さいほうが、モノマーがシード粒子に効率よく吸収されるので好ましい。シード粒子は、乳化液に直接添加してもよく、シード粒子を水性媒体に分散させた形態で添加してもよい。また、モノマーは、必要に応じて重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤は、モノマーに予め混合させた後、水性媒体中で分散させてもよく、両者を別々に水性媒体に分散させた分散液を混合させてもよい。
シード粒子を乳化液への添加後、シード粒子へモノマーを吸収させる。この吸収は、通常、シード粒子の添加後の乳化液を、室温で1〜24時間撹拌することによって行うことができる。また、乳化液を30〜50℃程度に加温することにより吸収を促進してもよい。シード粒子は、モノマーの吸収により膨潤する。全モノマー質量は、シード粒子の質量に対して70〜300倍であることが好ましく、100〜300倍であることがより好ましく、100〜250倍であることが更に好ましい。全モノマーの質量をシード粒子の質量の70倍以上とすることによって、重合による粒径の増加が大きくなり、生産性が向上する。また、300倍以下とすることによって、シード粒子に吸収されやすくなり、水性媒体中で独自に懸濁重合して異常粒子が生成することを抑制することができる。なお、吸収の終了については、光学顕微鏡の観察によって粒径の拡大を確認することにより判断することできる。
シード重合に用いる水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、低級アルコール)との混合媒体等が挙げられる。水性媒体には、界面活性剤が含まれている。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、両性イオン系等の界面活性剤が挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリ等の脂肪酸油、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のジアルキルスルホコハク酸塩、アルケルニルコハク酸塩(ジカリウム塩)、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩が挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩が挙げられる。両性イオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミンオキサイド、リン酸エステル系、亜リン酸エステル系界面活性剤が挙げられる。
上記界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記界面活性剤のうち、重合時の分散安定性の観点から、アニオン系界面活性剤を用いることが好ましい。
必要に応じて添加される重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物が挙げられる。重合開始剤は、全モノマー100質量部に対して、0.1〜7.0質量部の範囲で使用することが好ましい。
次に、シード粒子に吸収させたモノマーを重合させることで、単分散な絶縁粒子が得られる。重合温度は、モノマー及び重合開始剤の種類に応じて、適宜選択することができる。重合温度は、好ましくは25〜110℃、より好ましくは50〜100℃である。重合反応は、シード粒子にモノマー及び任意成分である重合開始剤を完全に吸収させた後に、昇温して行うことが好ましい。重合完了後、必要に応じて絶縁粒子を遠心分離して水性媒体から取り出し、水等で洗浄した後、乾燥することによって、得ることができる。
シード粒子に吸収させたモノマーを重合させる際に、絶縁粒子の分散安定性を向上させるために、高分子分散安定剤を添加してもよい。高分子分散安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリカルボン酸、セルロース類(ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。また、トリポリリン酸ナトリウム等の無機系水溶性高分子化合物も併用することができる。これらのうち、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンを用いることが好ましい。高分子分散安定剤の添加量は、全モノマー100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましい。また、水系での乳化粒子の発生を抑えるために、亜硝酸塩類、亜硫酸塩類、ハイドロキノン類、アスコルビン酸類、水溶性ビタミンB類、クエン酸、ポリフェノール類等の水溶性の重合禁止剤を用いてもよい。
本実施形態の絶縁粒子の平均粒径は、1〜5μmの範囲であることが好ましく、1〜3μmの範囲であることがより好ましく、1〜2μmの範囲であることが更に好ましい。平均粒径を5μm以下にすることで、導電粒子の凝集を抑制し、絶縁性を向上させることができる。また、平均粒径を1μm以上にすることで、表面積を抑えることができ、絶縁粒子を大量に投入することが可能となる。
以上のように合成した絶縁粒子は、表面がやや親水性の状態で、水に分散している。絶縁粒子は、表面処理され、疎水性(撥水性)となっていることが好ましい。疎水性の絶縁粒子を含有するフィルム状回路接続材料を用いて得られる接続構造体は、導通抵抗及び絶縁抵抗に優れる傾向がある。
表面処理を行う表面処理剤としては、ケイ素含有化合物を用いることが好ましい。このような化合物としては、シランカップリング剤、シリコーン等が挙げられ、シリコーンオリゴマー、シリコーンポリマーが好ましい。シランカップリング剤は、絶縁粒子に対して立体的に付与することが難しいため、同じ処理量であるならばシリコーンを用いることが好ましい。これらの化合物はシラノール基を有するため、絶縁粒子上にシラノール基があると、脱水縮合によって強固な化学結合を形成することができる。
これら絶縁粒子に付与されるシリコーンオリゴマー又はシリコーンポリマーは、直鎖型又は3次元架橋型構造を有しており、シラノールと反応する基と疎水性基とをそれぞれ有しているものが好ましい。具体的には、2官能シロキサン単位(RSiO2/2)、3官能シロキサン単位(RSiO3/2)及び4官能シロキサン単位(SiO4/2)からなる群より選ばれる少なくとも1種類のシロキサン単位を含有し、重合度が3〜90(GPCによる重量平均分子量から換算したもの)であるものが好ましく、5〜80であるものがより好ましい。重合度が90以下であるシリコーンオリゴマーを用いると、表面処理の際の処理むらが起こりにくく、信頼性が向上する傾向にある。また、重合度が3以上であるシリコーンコーンオリゴマーを用いると、吸着厚みを得ることができ、疎水性の効果を十分なものとすることができる。ここで、2官能、3官能及び4官能シロキサン単位は、それぞれ下記の構造を有する。
Figure 0006149683

[式中、Rはメチル基、エチル基等の炭素数1又は2のアルキル基、フェニル基等の炭素数6〜12のアリール基、ビニル基などを表し、Rは互いに同一であっても、異なっていてもよい。]
また、絶縁粒子の処理に用いられるシリコーンオリゴマーは予め3次元架橋型構造を有していることが好ましい。したがって、3官能及び4官能シロキサン単位からなる群より選ばれる少なくとも1種類のシロキサン単位を有することが好ましい。例えば、3官能シロキサン単位のみからなるもの、4官能シロキサン単位のみからなるもの、2官能シロキサン単位と3官能シロキサン単位とからなるもの、3官能シロキサン単位と4官能シロキサン単位とからなるもの、2官能性シロキサン単位と3官能性シロキサン単位と4官能性シロキサン単位とからなるものが挙げられる。また、全シロキサン単位中、4官能シロキサン単位を15〜70モル%とすることが好ましく、20〜60モル%とすることがより好ましい。また、十分な3次元架橋型構造によって絶縁粒子表面を覆うためには、3官能性シロキサン単位及び/又は4官能性シロキサン単位を含有するシリコーンオリゴマーの重合度を6〜70とすることが好ましく、10〜50とすることがより好ましい。このようなシリコーンオリゴマーは、例えば、所望のシロキサン単位に対応するクロロ又はアルコキシシランを、水の存在下、酸触媒を用いて縮合させることにより合成することができる。縮合反応は、表面処理前にゲル状態とならない程度に行う。このようにするためには、反応温度、反応時間、オリゴマーの組成比、触媒の種類又は量を適宜調整する。触媒としては、酢酸、塩酸、マレイン酸、リン酸等が好ましく用いられる。
絶縁粒子への表面処理方法は、特に限定されないが、一例を示すと、加温窒素雰囲気中で絶縁粒子の分散液を撹拌しつつ、シリコーンオリゴマーの5〜100質量%溶液を滴下する方法が簡便である。
[導電粒子]
本実施形態における導電粒子は、金属のみからなる粒子又は有機若しくは無機のコア粒子の表面に金属層を形成したものを用いることができる。これらのうち、有機コア粒子の表面に金属層を形成したものを用いることが好ましい。金属層を形成する方法は特に限定されないが、スパッタリング、めっき等の方法が挙げられ、めっきが簡便で好ましい。
有機コア粒子は特に限定されないが、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂などが挙げられ、回復率等の観点から、アルカンジオールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等の重合体であってもよい。
めっき等で形成する金属層の金属は、特に限定されないが、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、パラジウム、ニッケル、錫、クロム、チタン、アルミニウム、コバルト、ゲルマニウム、カドミウム等の金属、ITO、はんだ等の金属化合物などが挙げられる。耐腐食性の観点からニッケル、パラジウム、金を用いることが好ましい。また、導電性及び硬さを付与するため、カーボンナノチューブ、カーボンブラック等のカーボン化合物を混合することもできる。
上記金属層は、単層構造であってもよく、複数の層からなる積層構造であってもよい。単層構造である場合、金属層は、コスト、導電性及び耐腐食性の観点からニッケルであることが好ましい。更に、近年のガラス電極の平坦化を考えると、表面に突起を有するニッケルであることが好ましい。積層構造である場合、ニッケル層の表面に金、パラジウム等の貴金属層を有するものが好ましい。
導電粒子の表面に突起を形成する場合、突起の形成方法としては、めっきの異常析出による方法と芯材を用いる方法が挙げられる。両者を比較すると突起形状の均一化を考慮した場合、芯材を用いる方法が好ましい。芯材としては、ニッケル、炭素、パラジウム、金等の導電性材料、プラスチック、シリカ、酸化チタン等の非導電性材料などが挙げられる。芯材に強磁性材料を用いると、後述する絶縁子粒子によって導電粒子を被覆する段階において磁性凝集による不具合の原因となるので、非磁性材料を芯材にした方が好ましい。例えば、ニッケルを芯材にする場合、非磁性材料であるリンを含ませることが好ましい。
突起の高さは、30nm〜300nmの範囲であることが好ましく、50〜200nmの範囲であることがより好ましい。突起の高さを300nm以下とすることによって、ショートの確率が減少する。また、30nm以上とすることによって、導通が十分なものとなる。このような突起は、導電粒子の表面積に対して5〜60%を占めていることが好ましい。
本実施形態の導電粒子の平均粒径は、基板の電極の最小の間隔よりも小さいことが必要であり、電極の高さによるばらつきがある場合、そのばらつきよりも大きいことが好ましい。上記概念により1〜10μmの範囲が好ましく、2〜5μmの範囲がより好ましく、2〜4μmの範囲が更に好ましい。導電粒子の平均粒径が1μm以上である場合、電極の高さによるばらつきを吸収できるため、導通信頼性が向上する。導電粒子の平均粒径が10μm以下である場合、絶縁信頼性が向上する傾向にある。
ここで述べる導電粒子の平均粒径とは、コア粒子とその表面の金属層の合計を表すものとし、上述の金属突起部分及び後述する絶縁子粒子を含まないものとする。導電粒子の平均粒径は、SEM(走査型電子顕微鏡)により数千〜数万倍の倍率で100個程度の導電粒子を撮影した後、画像解析によって観察した導電粒子100個程度の平均値から求めることができる。導電粒子の平均粒径は、例えば、HITACHI S−4800(日立ハイテク株式会社製)によって求めることができる。
絶縁粒子の平均粒径に対する導電粒子の平均粒径の比は、0.2〜10であることが好ましく、0.3〜5であることがより好ましく、0.5〜3であることが更に好ましい。絶縁粒子の平均粒径に対する導電粒子の平均粒径の比を0.2以上とすることで、得られる接続構造体の導通抵抗及び絶縁抵抗が良好となる傾向にある。また、絶縁粒子の平均粒径に対する導電粒子の平均粒径の比を10以下とすることで、フィルム形成性を向上させることができる。
金属層の厚みは特に限定されないが、0.001〜1.0μmの範囲が好ましく、0.005〜0.3μmの範囲がより好ましい。金属層の厚みを0.001μm以上とすることで、導通不良を抑制することができ、1.0μm以下とすることで導通信頼性を向上させることができる。
導電粒子は、絶縁性を向上させるため、絶縁粒子(以下、場合により「絶縁子粒子」という。)で被覆されていてもよい。
導電粒子を被覆する絶縁子粒子としては、有機微粒子、無機酸化物微粒子、有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。これらのうち、有機微粒子であることが好ましく、芳香族架橋性モノマーと非架橋性モノマーの共重合体を含むことが好ましい。
絶縁子粒子の平均粒径は、100〜500nmの範囲であることが好ましい。絶縁子粒子の平均粒径が100nm以上であると、スペーサーとして十分なものとなるため、絶縁低下を抑制できる。絶縁子粒子の平均粒径が500nm以下であると、絶縁子粒子が導電粒子から脱落しにくくなり、絶縁低下を抑制できる。
なお、絶縁子粒子の平均粒径は、上述の導電粒子の平均粒径と同様に、SEM(走査型電子顕微鏡)による画像解析によって求めることができる。
絶縁子粒子を合成する方法としては、沈殿重合、乳化重合等が挙げられるが、中でもソープフリー乳化重合が粒径制御及び合成の簡便性の観点から好ましい。
芳香族架橋性モノマー及び非架橋性モノマーとしては、上述の芳香族架橋性モノマー及び非架橋性モノマーと同様のものを挙げることができる。
絶縁性、フィルムへの分散性、合成の容易さ及びコストの面から、芳香族架橋性モノマーはジビニルベンゼンであることが好ましい。
絶縁性、フィルムへの分散性、合成の容易さ及びコストの面から、非架橋性モノマーは芳香族炭化水素基を有するモノマー(芳香族非架橋性モノマー)であることが好ましく、スチレンであることがより好ましい。
上記共重合体における芳香族架橋性モノマーの含有量は、全モノマーを基準として1〜10モル%の範囲が好ましく、1〜5モル%の範囲であることがより好ましい。芳香族架橋性モノマーの含有量が1モル%以上であると絶縁子粒子の耐溶剤性が向上し、絶縁性が良好となる。また、芳香族架橋性モノマーの含有量が10モル%以下であると、合成が容易となり、絶縁子粒子の単分散性が向上し、実装時に導電粒子と電極の間で導通不良のリスクを抑制できる傾向にある。
非架橋性モノマーを2種以上組み合わせて用いる場合、官能基を有しない非架橋性モノマーと官能基を有するモノマーとを組み合わせて用いることが好ましい。また、官能基を有するモノマーとしては、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシランを用いることが好ましい。このようなアルコキシシランの含有量は、非架橋性モノマー全体に対して、1〜5モル%であることが好ましい。
絶縁子粒子で被覆された導電粒子及び絶縁粒子を含有するフィルム状回路接続材料において、絶縁子粒子は、絶縁粒子で用いられるモノマーと同じものを含むことが好ましい。このようなモノマーを含むことによって、絶縁子粒子で被覆された導電粒子及び絶縁粒子をフィルム状回路接続材料中で均一に分散させやすくなる。
絶縁子粒子の形状は扁平、赤血球状(おわん型)、半円型等であってもよい。絶縁子粒子の形状は、エチレン性不飽和基を有するアルコキシシランの添加量で調整することができる。
ソープフリー乳化重合を行う場合、親水性を示す非架橋性モノマーを加えてもよい。親水性を示す非架橋性モノマーを加えることによって、安定的に絶縁子粒子を合成することができ、粒径制御も容易になる。親水性を示す非架橋性モノマーとしては、スチレンスルホン酸ナトリウム、メタクリル酸、メタクリル酸ナトリウム等が挙げられる。
ソープフリー乳化重合に用いるラジカル重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルベンゾエート、ペルオキソ二硫酸カリウム、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2−アゾビスイソブチロ二トリル等が挙げられる。
ソープフリー乳化重合は、上記モノマー、水、開始剤等をフラスコに入れて、窒素雰囲気下で行う。撹拌速度としては100〜500回転/分好ましい。
重合温度は40℃〜90℃の範囲が好ましく、重合時間は2時間〜15時間の範囲が好ましい。
ソープフリー乳化重合における全モノマーの濃度は、溶媒の水に対して1〜20質量%であることが好ましい。
絶縁子粒子の表面は、分子量1000〜4000の官能基を有するシリコーンオリゴマーで覆われていることが好ましい。ここで、官能基としては、後述する高分子電解質と反応するものが好ましく、グリシジル基、カルボキシル基、イソシアネート基等が挙げられる。中でも、グリシジル基であることが好ましい。
絶縁子粒子の粒径の変動係数(C.V.)は、10%未満であることが好ましく、3%未満であることがより好ましい。
導電粒子が突起を有する場合、絶縁子粒子の最大粒径は前述の金属突起の高さよりも大きいことが好ましい。
導電粒子は、被覆率20〜75%で絶縁子粒子に覆われていることが好ましい。被覆率が20%以上であると、ショートによる不良を抑制することができる。導電粒子が球状である場合、細密充填に近いので、75%を超える被覆率を得ることは難しくなる。なお、絶縁子粒子が複層を形成して被覆すると、導通が得られにくくなるため、好ましくない。
ここで、被覆率とは、絶縁子粒子で覆われた導電粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)画像における導電粒子の中心部(導電粒子の外周円の直径の半分の長さを直径とし、当該外周円と同心円状の円)を解析することにより算出することができるものをいう。具体的には、上記SEM画像における導電粒子の中心部の総表面積をW(導電粒子の粒子径から算出した面積)、上記SEM画像における導電粒子の中心部のうち、絶縁子粒子で被覆されていると分析された部分の表面積をPとしたときに、被覆率はP/W×100(%)と表される。なお、本実施形態における上記被覆されていると分析された部分の表面積Pは、複合粒子のSEM画像から求めた表面積の平均値である。
導電粒子を絶縁子粒子で被覆する方法としては、粒子同士の凝集を排除する観点から、以下に述べる方法を用いることが好ましい。
導電粒子が表面に金層又はパラジウム層を有する場合、メルカプト基、スルフィド基及びジスルフィド基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基と、水酸基、カルボキシル基、アルコキシル基及びアルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基とを有する化合物で処理する方法が挙げられる。このような化合物で導電粒子を処理することによって、メルカプト基、スルフィド基又はジスルフィド基が金又はパラジウムと配位結合を形成するため、導電粒子上に水酸基、カルボキシル基、アルコキシル基又はアルコキシカルボニル基を付与することができる。このような化合物としては、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、メルカプト酢酸メチル、メルカプトコハク酸、チオグリセリン、システイン等が挙げられる。
導電粒子が表面にニッケル層を有する場合、シラノール基、水酸基及び窒素含有基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基と、水酸基、カルボキシル基、アルコキシル基及びアルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基とを有する化合物で処理する方法が挙げられる。このような化合物で導電粒子を処理することによって、メルカプト基、スルフィド基又はジスルフィド基が金又はパラジウムと配位結合を形成するため、導電粒子上に水酸基、カルボキシル基、アルコキシル基又はアルコキシカルボニル基を付与することができる。シラノール基、水酸基又は窒素含有基がニッケルと強固な結合を形成するため、導電粒子上に水酸基、カルボキシル基、アルコキシル基又はアルコキシカルボニル基を付与することができる。このような化合物としては、カルボキシベンゾトリアゾール等が挙げられる。
導電粒子を上記化合物で処理する方法としては、例えば、メタノール、エタノール等の有機溶媒中にメルカプト酢酸、カルボキシベンゾトリアゾール等の化合物の10〜100mmol/l溶液を調製し、その溶液に導電粒子を分散させる方法が挙げられる。
次に処理した導電粒子を絶縁子粒子で被覆するが、水酸基、カルボキシル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基等を有する導電粒子の表面電位(ゼータ電位)はpHが中性領域である場合、負である。一方で、水酸基を有する絶縁子粒子の表面電位も通常負である。表面電位が負の粒子の周囲を表面電位が負の粒子で被覆することは難しい。
そこで、高分子電解質を介して、導電粒子を絶縁子粒子で被覆する方法が好ましい。このような方法は、(1)処理した導電粒子を、高分子電解質溶液に分散し、導電粒子の表面に高分子電解質を吸着させる工程、(2)高分子電解質を吸着させた導電粒子を絶縁子粒子の分散溶液に分散し、高分子電解質の表面に絶縁子粒子を吸着させる工程を備える。このような方法によって、高分子電解質を介して、絶縁子粒子によって被覆された導電粒子(以下、場合により「絶縁被覆導電粒子」という。)を製造することができる。
このような方法は、交互積層法(Layer−by−Layer assembly)を参考とした。交互積層法は、G.Decherらによって1992年に発表された有機薄膜を形成する方法である(Thin Solid Films, 210/211, p831(1992))。交互積層法では、正電荷を有するポリマー電解質(ポリカチオン)と負電荷を有するポリマー電解質(ポリアニオン)の水溶液に、基材を交互に浸漬することで基板上に静電的引力によって吸着したポリカチオンとポリアニオンの組が積層して複合膜(交互積層膜)が得られるものである。
交互積層法では、静電的な引力によって、基材上に形成された材料の電荷と、溶液中の反対電荷を有する材料が引き合うことにより膜成長するので、吸着が進行して電荷の中和が起こるとそれ以上の吸着が起こらなくなる。したがって、ある飽和点に至れば、それ以上膜厚が増加することはない。Lvovらは交互積層法を、微粒子に応用し、シリカ、チタニア、セリアの各微粒子分散液を用いて、微粒子の表面電荷と反対電荷を有する高分子電解質を交互積層法で積層する方法を報告している(Langmuir、Vol.13、(1997)p6195−6203)。
導電粒子の表面に高分子電解質を吸着させた後、又は高分子電解質の表面に絶縁子粒子を吸着させた後に溶剤を用いてすすぐことによって、余剰の高分子電解質又は絶縁子粒子を洗い流すことができる。用いる溶剤としては、水、アルコール、アセトン等が挙げられる。
高分子電解質としては、水溶液中で電離し、電荷を有する官能基を主鎖又は側鎖に有する高分子を用いることができるが、本実施形態においては、ポリカチオンを用いることが好ましい。また、ポリカチオンとしては、一般に、ポリアミン類等のように正電荷を帯びることのできるもの、例えば、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアリルアミン塩酸塩(PAH)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)、ポリビニルピリジン(PVP)、ポリリジン、ポリアクリルアミド及びこれらを少なくとも1種以上を含む共重合体等が挙げられる。
高分子電解質の中でもポリエチレンイミン(PEI)は電荷密度が高く、結合力が強い。これらの高分子電解質の中でも、エレクトロマイグレーション及び腐食を避けるために、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs)イオン、アルカリ土類金属(Ca、Sr、Ba、Ra)イオン及びハロゲン化物イオン(フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン)を含まないものが好ましい。
これらの高分子電解質は、いずれも水又はアルコール等の有機溶媒に可溶なものであり、高分子電解質の分子量としては、用いる高分子電解質の種類により一概には定めることができないが、1000〜200000であることが好ましい。分子量が1000以上であると、導電粒子の分散性が十分となり、凝集しにくい傾向にある。
高分子電解質溶液は、高分子電解質を水と水溶性の有機溶媒との混合溶媒に溶解したものである。水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルが挙げられる。
なお、溶液中の高分子電解質の濃度は、0.01〜10質量%が好ましい。また、高分子電解質溶液のpHは、特に限定されない。
この高分子電解質を用いることにより、導電粒子の表面に欠陥なく均一に被覆することができ、回路電極間隔が狭ピッチでも絶縁性が確保され、電気的に接続する電極間では接続抵抗が低く良好となる。
導電粒子が小径(2.0μm以下)になった場合、導電粒子の磁性凝集が大きくなり、絶縁子粒子を吸着させるのが困難になる。その場合、導電粒子表面を分子量1000以上のポリマーで処理すると、導電粒子の分散を促し、吸着が容易になる。
また、高分子電解質の種類、分子量、濃度等を調整することにより絶縁子粒子による被覆率を調整することができる。
具体的にはポリエチレンイミン等、電荷密度の高い高分子電解質薄膜を用いた場合、絶縁子粒子による被覆率は高くなる傾向があり、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド等、電荷密度の低い高分子電解質薄膜を用いた場合、絶縁子粒子による被覆率は低くなる傾向がある。また、高分子電解質の分子量が大きい場合、絶縁子粒子による被覆率は高くなる傾向があり、高分子電解質の分子量が小さい場合、絶縁子粒子による被覆率は低くなる傾向がある。更に高分子電解質を高濃度で用いた場合、絶縁子粒子による被覆率は高くなる傾向があり、高分子電解質を低濃度で用いた場合、絶縁子粒子による被覆率は低くなる傾向がある。
絶縁被覆導電粒子は、加熱乾燥することによって、絶縁子粒子と導電粒子との結合を強化することができる。加熱乾燥の温度は60℃〜100℃、加熱時間は10〜180分の範囲であることが好ましい。温度が60℃以上である場合又は加熱時間が10分以上である場合は絶縁子粒子が剥離しにくく、温度が100℃以下である場合又は加熱時間が180分以下である場合は導電粒子が変形しにくくなる。
絶縁被覆導電粒子は、表面処理されていてもよい。表面処理を行う表面処理剤としては、上述のケイ素含有化合物が挙げられる。
[フィルム状回路接続材料]
フィルム状回路接続材料の厚みは導電性粒子の平均粒径及びフィルム状回路接続材料の特性を考慮して相対的に決定されるが、導電粒子を含有する層(以下、場合により「導電粒子含有層」という。)と導電粒子を含有しない層(以下、場合により「導電粒子非含有層」という。)の2層構成であることが好ましい。導電粒子非含有層を金属バンプ側に、導電粒子含有層をガラス側にそれぞれ配置することで導電粒子が高効率で金属バンプ側に捕捉されるようになる。したがって、導電粒子非含有層を導電粒子含有層よりも厚くする方が好ましい。具体的には導電粒子含有層の厚み3〜15μmの範囲であり、導電粒子非含有層の厚み7〜20μmの範囲であることが好ましく、導電粒子含有層はフィルム状回路接続材料全体の50質量%以下であることが好ましい。なお、導電粒子含有層及び導電粒子非含有層における接着剤成分は、同一であっても異なっていてもよい。
また、ガラス及びITOとの接着性を強化する観点から、厚み1〜4μmの導電粒子非含有層をガラス電極側に配置した3層構成とすることも好ましい。なお、この場合の導電粒子非含有層における接着剤成分は、上述の2層構成における導電粒子非含有層における接着剤成分と同一であっても異なっていてもよいが、流動性が高いことが好ましい。
絶縁粒子は少なくとも導電粒子含有層に含有されており、導電粒子非含有層にも含有されてもよい。絶縁粒子は、フィルム状回路接続材料の全体積を基準として、5〜60体積%含有することが好ましい。5体積%以上とすることで、得られる接続構造体の導通抵抗及び絶縁抵抗が良好となる傾向にあり、60体積%以下とすることでフィルム状回路接続材料の接着力が向上する。
導電粒子は、フィルム状回路接続材料の全体積を基準として、0.1〜30体積%含有することが好ましい。
導電粒子含有層における導電粒子は、単位面積あたり2万個/mm以上存在することが好ましい。本来、このような個数の導電粒子が存在すると、マイグレーションの原因となるが、本実施形態においては、導電粒子含有層に大量の絶縁粒子が存在するため、マイグレーションを抑制して絶縁性を向上させることができる。導電粒子が大量に存在することで導電性が増し、バンプ毎の捕捉導電粒子数も安定するため好ましい。
また、導電粒子含有層における導電粒子の個数の上限は、特に限定されないが、例えば、10万個/mm以下とすることができる。
[接続構造体の製造方法]
図1及び2は、本発明の一実施形態である接続構造体及びその製造方法を説明する図である。図1(a)は本発明の一実施形態である接続構造体の製造方法を示す模式断面図であり、導電粒子の一例である絶縁被覆導電粒子を示す拡大断面図である。図2は本発明の一実施形態である接続構造体を示す模式断面図である。
接続構造体は、ICチップ22上の金属バンプ24と、ガラス基板32上の電極34(ITO(Indium Tin Oxide)又はIZO(Indium Zinc Oxide)電極)とを、導電粒子非含有層12a、12b及び導電粒子含有層14を有するフィルム状回路接続材料10を介して接続することによって、製造することができる。図1(a)において、フィルム状回路接続材料は導電粒子非含有層12aと導電粒子含有層14と導電粒子非含有層12bとの3層構成となっている。なお、導電粒子非含有層12a及び12bは省略してもよい。
導電粒子含有層14には、導電粒子と絶縁粒子2が分散されている。導電粒子としては、上述の導電粒子を特に限定なく使用することができるが、図1(b)に示す絶縁被覆導電粒子4を用いることが好ましい。図1(b)に示す絶縁被覆導電粒子4は、有機コア粒子6a上に金属層6bが形成され、さらに、金属層6b上に絶縁子粒子8が付着している。
このとき、ICチップ22上の金属バンプ24とガラス基板32上の電極34が対向するように配置し、ICチップ22を方向Aから、ガラス基板32を方向Bから加熱加圧して接続する。このようにして、図2に示すような、フィルム状回路接続材料の硬化物10aを接続部とする接続構造体100を得ることができる。
接続構造体100は、絶縁粒子2により絶縁被覆導電粒子4の流動が抑えられるため、絶縁被覆導電粒子4が金属バンプ24上に捕捉されやすくなり、加圧方向に高い導電性が得られる。金属バンプ24及び電極34に対しては、絶縁粒子2の濃度が低い層が接触するため、埋め込み性と接着性を維持することができる。非加圧方向への絶縁性に関しては、捕捉率向上によりバンプ間に流れる導電粒子の割合が低減するので向上する。絶縁被覆導電粒子4の絶縁子粒子8の被覆率を下げても絶縁性が確保されやすくなる。絶縁子粒子8の被覆率を下げることで更に導電性が向上する。柔軟な絶縁粒子2の効果で導通信頼性も向上する。
図3及び4は、本発明の他の実施形態である接続構造体及びその製造方法を説明する図である。図3は本発明の一実施形態である接続構造体の製造方法示す模式断面図である。図4は一実施形態である接続構造体を示す模式断面図である。図3は図1(a)とほとんど同じであるが、導電粒子非含有層12aにおいても絶縁粒子2が含まれている。図4に示すような接続構造体100は、導通信頼性と絶縁信頼性が更に向上する。なお、導電粒子非含有層12a及び12bは省略してもよい。
以下に、実施例により本発明を更に詳しく説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(導電粒子1の作製)
架橋度を調整したジビニルベンゼンとアクリル酸の共重合体からなる平均粒径2.6μmのプラスチック核体10gを準備した。このプラスチック核体はその表面にカルボキシル基を有する。プラスチック核体の硬さ(200℃において粒子直径が20%変位したときの圧縮弾性率、20%K値)は2746MPa(280kgf/mm)であった。
このプラスチック核体上に無電解ニッケルめっきと無電解パラジウムめっきとをこの順で行い、導電粒子1を作製した。ニッケルの厚みは100nmであり、パラジウムの厚みは16nmであった。
(絶縁子粒子1〜3の作製)
純水400g中に表1に示す配合モル比に従ってモノマーを入れた(表中、KBM−503は信越化学工業株式会社製の3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの商品名である。)。なお、純水に対して全モノマーが10質量%となるように配合した。それらを500mlのフラスコに加え、窒素置換後、70℃で6時間加熱を行った。撹拌速度は300回転/分であった。得られた絶縁子粒子1〜3の平均粒径をHITACHI S−4800を用いて画像解析することによって求めた。
Figure 0006149683
(シリコーンオリゴマー1の調製)
撹拌装置、コンデンサー及び温度計を備えたガラスフラスコに、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン118gとメタノール5.9gを配合した溶液を調製し、活性白土5g及び蒸留水4.8gを添加した。得られた混合物を75℃で一定時間撹拌し、分子量1300(GPCによる重量平均分子量測定)のシリコーンオリゴマー1を合成した。得られたシリコーンオリゴマー1は、水酸基と反応する末端官能基としてメトキシ基又はシラノール基を有するものである。得られたシリコーンオリゴマー1溶液にメタノールを加えて、固形分20質量%の処理液を調製した。
(絶縁被覆導電粒子1)
メルカプト酢酸8mmolをメタノール200mlに溶解させて反応液を調製した。次に導電粒子1を10g上記反応液に加え、室温で2時間スリーワンモーターと直径45mmの撹拌羽根を用いて撹拌した。メタノールで洗浄後、φ3μmのメンブレンフィルタ(ミリポア社製)でろ取することによって、表面にカルボキシル基を有する導電粒子10gを得た。
次に、分子量70000の30質量%ポリエチレンイミン水溶液(和光純薬工業株式会社製)を超純水で希釈し、0.3質量%ポリエチレンイミン水溶液を得た。上記カルボキシル基を有する導電粒子10gを0.3質量%ポリエチレンイミン水溶液に加え、室温で15分撹拌した。次にφ3μmのメンブレンフィルタ(メルク社製)で導電粒子をろ取し、超純水200gに入れて室温で5分撹拌した。更にφ3μmのメンブレンフィルタで導電粒子をろ取し、このメンブレンフィルタ上にて200gの超純水で2回洗浄を行い、吸着していないポリエチレンイミンを除去することによって、表面にアミノ基含有ポリマーを有する導電粒子を作製した。
次に、絶縁子粒子1をシリコーンオリゴマー1で処理し、表面処理した絶縁子粒子1のメタノール分散液を調製した。次に、表面にアミノ基含有ポリマーを有する導電粒子をイソプロピルアルコールに浸漬し、表面処理した絶縁子粒子1のメタノール懸濁液を滴下することで、絶縁被覆導電粒子を作製した。次に、絶縁被覆導電粒子をジフェニルジメトキシシランの縮合反応により合成された分子量約1000のシリコーンオリゴマーCV1000(日立化成株式会社製、商品名)によって処理し、表面を疎水化した。その後、80℃で1時間加熱乾燥を行うことで絶縁被覆導電粒子1を作製した。
(絶縁被覆導電粒子2、3)
絶縁子粒子1を絶縁子粒子2又は3に変更した以外は、絶縁被覆導電粒子1と同様の方法で絶縁被覆導電粒子2、3を作製した。
次に、絶縁粒子をシード重合で合成した。
(シード粒子1の合成)
500mLの三口フラスコに下記の各化合物を一括して仕込み、70℃のウォーターバスで加熱しながら、撹拌機を用いて約8時間撹拌して、シード粒子1を形成した。
メタクリル酸メチル(MMA):70g
オクタンチオール(OCT):2.1g
ペルオキソ二硫酸カリウム(KPS):0.7g
水:400g
マイクロトラックにて平均粒径を測定したところ、平均粒径554nmであった。
また、GPCを用いて分子量を測定したところ、重量平均分子量10200であった。
(絶縁粒子1)
モノマーに開始剤を溶解させた溶液を、ラウリル硫酸トリエタノールアミンであるエマールTD(花王株式会社製、商品名)が溶解したイオン交換水に混合し、超音波ホモジナイザーにて10分間処理して乳化液を得た。各成分の配合比(単位:グラム)については表2に示す。なお、表2中、BPOは過酸化ベンゾイルを示し、KBM−503は3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを示す。
この乳化液にシード粒子1の分散液300gを加え、室温で12時間撹拌した。その後、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社、GH−17)の6質量%水溶液を135g加え、80℃で8時間重合を行い、架橋ポリマー粒子1を合成した。なお、架橋ポリマー粒子1の粒径はシード粒子1の添加量で調整した。架橋ポリマー粒子1はC.V.が5%以下の単分散粒子であった。続いて、架橋ポリマー粒子1をシリコーンオリゴマーCV1000で処理を行うことによって、絶縁粒子1を得た。
(絶縁粒子2〜7)
モノマーの配合比又は種類を表2に示すものに変更した以外は、絶縁粒子1と同様の方法で絶縁粒子2〜7を得た。
(絶縁粒子8)
シリコーンオリゴマーCV1000で処理を行わなかった以外は、絶縁粒子1と同様の方法で絶縁粒子8を得た。
Figure 0006149683
(実施例1)
フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製、商品名PKHC)100gと、アクリルゴム(ブチルアクリレート40質量部、エチルアクリレート30質量部、アクリロニトリル30質量部及びグリシジルメタクリレート3質量部の共重合体、分子量85万)75gを酢酸エチルとトルエンを質量比で1:1に混合した溶媒300gに溶解し、30質量%溶液を得た。次いで、マイクロカプセル型潜在性硬化剤を含有する液状エポキシ樹脂(エボキシ当量185、旭化成エポキシ株式会社製、ノバキュアHX−3941)300gと液状エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ株式会社製、YL980)400gを、この溶液に加え、撹拌して接着剤成分1を調製した。次に、後述するフィルム状回路接続材料の全体積を基準として50体積%となるように絶縁粒子1を加えた。
ビーカーに、酢酸エチルとトルエンとを質量比1:1で混合した分散媒10gと、絶縁被覆導電粒子1を入れて超音波分散した。超音波分散の条件は、周波数が38kHZ、エネルギーが400W、体積が20Lの超音波槽(藤本科学株式会社、商品名:US107)に上記ビーカーを浸漬して1分間分散した。
得られた絶縁被覆導電粒子1の分散液を接着剤成分1中に分散した。得られた分散液をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフイルム、厚み40μm)にロールコータで塗布し、90℃で10分間乾燥し、厚み10μmのフィルムAを作製した。この接着剤フィルムには、単位面積当たり7万個/mmの絶縁被覆導電粒子1が含まれていた。
次に、接着剤成分1をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフイルム、厚み40μm)にロールコータで塗布し、90℃で10分乾燥し、厚み3μmのフィルムBを作製した。
次にフィルムAとフィルムBをラミネートし、2層からなるフィルム状回路接続材料1aを作製した。
次に、作製したフィルム状回路接続材料1aを用いて、金バンプ(面積:30×90μm、スペース:8μm、高さ:15μm、バンブ数362)付きチップ(1.7×1.7mm、厚み:0.5μm)と回路付きガラス基板(厚み:0.7mm)の接続を行った。接続は、フィルム状回路接続材料1aのフィルムA側を回路付きガラス基板に80℃で0.98MPa(10kgf/cm)で貼り付けた後、フィルムB側のセパレータを剥離し、チップの金バンプと回路付きガラス基板の位置合わせを行い、190℃において0.39N/バンプ(40gf/バンプ)、10秒の条件でチップ上方から加熱、加圧することによって、本接続を行い、接続構造体1aを得た。
(実施例2、3)
絶縁被覆導電粒子1を絶縁被覆導電粒子2又は3に変更した以外は、実施例1と同様の方法でフィルム状回路接続材料2a、3aを作製し、これを用いて接続構造体2a、3aを得た。
(実施例4〜10)
絶縁粒子1を絶縁粒子2〜8に変更した以外は、実施例1と同様の方法でフィルム状回路接続材料4a〜10aを作製し、これを用いて接続構造体4a〜10aを得た。
(実施例11、12)
フィルム状回路接続材料の全体積を基準として5体積%又は20体積%となるように絶縁粒子1を加えたこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルム状回路接続材料11a、12aを作製し、これを用いて接続構造体11a、12aを得た。
(比較例1)
絶縁粒子1を加えなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルム状回路接続材料1bを作製し、これを用いて接続構造体1bを得た。
(絶縁抵抗試験及び導通抵抗試験)
実施例1〜12及び比較例1で作製した接続構造体1a〜12a、1bの絶縁抵抗試験及び導通抵抗試験を行った。絶縁抵抗試験は、チップ電極間の絶縁抵抗を測定して20サンプルの平均値を算出し、初期の平均値と吸湿耐熱試験(気温60℃、湿度90%の条件で100時間通電20V)後の平均値とを比較することによって行った。また、導通抵抗試験は、チップ電極とガラス電極との間の導通抵抗を測定して14サンプルの平均値を算出し、初期の平均値と吸湿耐熱試験(気温85℃、湿度85%の条件で500時間放置)後の平均値を比較することによって行った。
(結果)
実施例1〜12及び比較例1の結果を表3に示す。
Figure 0006149683

表中、評価は接続信頼性の総合評価を表し、Aは接続信頼性が特に良好、Bは接続信頼性が十分に良好、Cは接続信頼性が良好、Dは接続信頼性が不良であることを表す。
2…絶縁粒子、4…絶縁被覆導電粒子、6a…有機コア粒子、6b…金属層、8…絶縁子粒子、10…フィルム状回路接続材料、10a…フィルム状回路接続材料の硬化物、12a、12b…導電粒子非含有層、14…導電粒子含有層、22…ICチップ、24…金属バンプ、32…ガラス基板、34…電極(ITO又はIZO電極)、100…接続構造体。

Claims (9)

  1. 回路部材同士を接着するとともにそれぞれの回路部材が有する回路電極同士を電気的に接続するために用いられるフィルム状回路接続材料であって、
    接着剤成分、導電粒子及び当該導電粒子と一体化していない絶縁粒子を含有し、前記絶縁粒子が芳香族架橋性モノマーと非架橋性モノマーとの共重合体を含む、フィルム状回路接続材料。
  2. 前記共重合体における芳香族架橋性モノマーの含有量が3〜50質量%である、請求項1に記載のフィルム状回路接続材料。
  3. 前記絶縁粒子の平均粒径に対する前記導電粒子の平均粒径の比が、0.2〜10である、請求項1又は2に記載のフィルム状回路接続材料。
  4. 前記非架橋性モノマーが芳香族非架橋性モノマーである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム状回路接続材料。
  5. 前記非架橋性モノマーがスチレンである、請求項4に記載のフィルム状回路接続材料。
  6. 前記芳香族架橋性モノマーがジビニルベンゼンである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルム状回路接続材料。
  7. 前記絶縁粒子が表面処理されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のフィルム状回路接続材料。
  8. 前記絶縁粒子の含有量が前記フィルム状回路接続材料の全体積を基準として、5〜60体積%である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のフィルム状回路接続材料。
  9. 対向配置された一対の回路部材と、
    請求項1〜8のいずれか一項に記載のフィルム状回路接続材料の硬化物からなり、前記一対の回路部材の間に介在し、それぞれの回路部材が有する回路電極同士が電気的に接続されるように当該回路部材同士を接着する接続部と、を備える接続構造体。
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