JP2023131224A - 制振装置の取付構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】地震等の振動によって建物躯体に変形が生じたときに、制振装置による制振機能を発揮させやすくする。【解決手段】建物躯体に生じた振動を抑制する機能を有する制振装置1と、制振装置1の下方に離間して配置された下部躯体3と、制振装置1の上方に離間して配置された上部躯体30と、下部躯体3と上部躯体30との間に組み込まれる制振装置組込体5と、を備えており、制振装置組込体5は、制振装置1と下部躯体3との間、制振装置1と上部躯体30との間にそれぞれ設けられた上下の構造材26,27と、制振装置1及び上下の構造材26,27の左右方向外側に設けられた左右一対の柱材25と、一対の柱材25から上下の構造材26,27に向かって設けられた第一固定材31と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、制振装置の取付構造に関する。
制振装置の取付け構造の一例として特許文献1に記載のものが知られている。
この特許文献1に記載されている制振装置は、矩形枠状の矩形フレームと、この矩形フレームの左右の縦フレームに左右に対向して設けられた一対の支持部と、この一対の支持部に支持され、当該一対の支持部の略中央部を中心として揺動可能とされた上下に長尺な振り子部材と、当該振り子部材の端部と前記矩形フレームとの間に設けられた制振部材とを備えている。そして、振り子部材は、一対の支持部に対し、振り子部材に形成された2つの穴に、一対の支持部に設けられた2つの軸をそれぞれ摺動可能に挿入することによって揺動可能に支持されており、振り子部材における2つの穴のうち少なくともいずれか一方が横方向に長い長穴となっている。
上記のような構成の制振装置は、建物躯体のうち、上下の構造材と左右の柱材とで囲まれた部位に組み込まれている。また、左右の柱材は、下端部に柱脚連結金物が取り付けられ、当該柱脚連結金物には、基礎から突出したアンカーボルトが連結されて、地盤の振動が基礎から確実に伝達されるようになっている。そして、建物躯体に生じた振動が、矩形フレーム及び一対の支持部を変形・変位に応じて振り子部材に伝達されることで当該振り子部材が揺動し、その振り子部材の揺動が制振部材によって抑えられることで、建物躯体に生じた振動を抑制できるようになっている。
特許第5320029号公報
特許文献1における柱脚金物は、柱材に対して軸方向に沿って埋め込まれて下端部から下方に突出する柱脚ボルトに連結されているため、柱材の下端部は、柱脚ボルトが芯となって剛性の高い状態となり、基礎や土台等の下部躯体に対する柱材の連結強度は向上することになる。
ところが、柱材の下端部における剛性の高くなった部分は、地震等の振動によって建物躯体に変形が生じたときに変形しにくくなる。すなわち、柱材が、剛性の高い部分と、剛性の低い部分がある状態となってしまう。そうなると、柱材における剛性の高い部分と、その周囲の部分が建物躯体及び制振装置の変形に追従しにくくなってしまい、その結果、制振装置は、その機能を発揮しにくくなってしまう場合がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、地震等の振動によって建物躯体に変形が生じたときに、制振装置による制振機能を発揮させやすくすることである。
請求項1に記載の発明は、例えば図1~図4に示すように、建物躯体に生じた振動を抑制する機能を有する制振装置1と、
前記建物躯体を構成し、前記制振装置1の下方に離間して配置された下部躯体3と、
前記建物躯体を構成し、前記制振装置1の上方に離間して配置された上部躯体30と、
前記制振装置1が設けられるとともに、前記下部躯体3と前記上部躯体30との間に組み込まれる制振装置組込体5と、を備えており、
前記制振装置組込体5は、
前記制振装置1と前記下部躯体3との間、前記制振装置1と前記上部躯体30との間にそれぞれ設けられた上下の構造材26,27と、
前記制振装置1及び前記上下の構造材26,27の左右方向外側に設けられた左右一対の柱材25と、
前記一対の柱材25から前記上下の構造材26,27に向かって設けられた第一固定材31と、を有することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、第一固定材31が、一対の柱材25から上下の構造材26,27に向かって設けられているので、この第一固定材31によって、一対の柱材25と上下の構造材26,27とを一体化することができる。
例えば地震等の振動によって建物躯体に変形が生じると、制振装置1によって建物躯体に生じた振動を抑制するが、第一固定材31によって、一対の柱材25と上下の構造材26,27とを一体化できるので、建物躯体の変形に伴う制振装置1の動作に、一対の柱材25と上下の構造材26,27を追従させやすくなる。これにより、制振装置1の動作と、一対の柱材25と上下の構造材26,27の動作が乖離しないので、制振装置1による制振機能を発揮させやすくすることができる。
請求項2に記載の発明は、例えば図1,図2に示すように、請求項1に記載の制振装置1の取付構造において、
前記制振装置組込体5は、前記制振装置1及び前記上下の構造材26,27の左右方向外側であって、かつ、前記一対の柱材25の左右方向内側に設けられた左右の側材28,29を更に有しており、
前記第一固定材31は、前記一対の柱材25から前記左右の側材28,29を介して前記上下の構造材26,27に向かって設けられていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、左右の側材28,29は、制振装置1及び上下の構造材26,27の左右方向外側であって、かつ、一対の柱材25の左右方向内側に設けられているので、制振装置1及び上下の構造材26,27と一対の柱材25に挟み込まれる中間材として設けられることになる。このような左右の側材28,29は、地震等の振動によって建物躯体に剪断変形が生じたときに、左右方向外側に一対の柱材25があるため、制振装置1及び上下の構造材26,27から離間する方向には変位しづらく、結果的に、制振装置1と上下の構造材26,27とを繋ぎ止める役割を果たすこととなる。
そのうえで、第一固定材31が、一対の柱材25から左右の側材28,29を介して上下の構造材26,27に向かって設けられているので、第一固定材31によって、一対の柱材25と左右の側材28,29と上下の構造材26,27とを強固に一体化でき、建物躯体の変形に伴う制振装置1の動作に、一対の柱材25と左右の側材28,29と上下の構造材26,27を追従させやすくなる。これにより、制振装置1の動作と、一対の柱材25と左右の側材28,29と上下の構造材26,27の動作が乖離しないので、制振装置1による制振機能を、より発揮させやすくすることができる。
請求項3に記載の発明は、例えば図1,図2に示すように、請求項2に記載の制振装置1の取付構造において、
前記制振装置組込体5は、前記一対の柱材25から前記左右の側材28,29に向かって設けられた第二固定材32を更に有することを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、制振装置組込体5は、一対の柱材25から左右の側材28,29に向かって設けられた第二固定材32を更に有するので、この第二固定材32によって、一対の柱材25と左右の側材28,29とを一体化することができる。これにより、建物躯体の変形に伴う制振装置1の動作に、一対の柱材25と左右の側材28,29を追従させやすくなる。これにより、制振装置1の動作と、一対の柱材25と左右の側材28,29の動作がより乖離しにくくなるので、制振装置1による制振機能を、より発揮させやすくすることができる。
請求項4に記載の発明は、例えば図1~図4に示すように、請求項3に記載の制振装置1の取付構造において、
前記一対の柱材25における下端部には、前記一対の柱材25と前記下部躯体3とを連結するための柱脚連結金物35が取り付けられ、
前記柱脚連結金物35は、前記一対の柱材25に対して軸方向に沿って埋め込まれ、かつ前記一対の柱材25の下端部から下方に突出する柱脚ボルト40に連結されており、
前記第一固定材31及び前記第二固定材32のそれぞれは、前記柱脚ボルト40を挟む位置関係で複数設けられていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、一対の柱材25における下端部には、一対の柱材25と下部躯体3とを連結するための柱脚連結金物35が取り付けられ、柱脚連結金物35は、一対の柱材25に対して軸方向に沿って埋め込まれ、かつ一対の柱材25の下端部から下方に突出する柱脚ボルト40に連結されているので、柱脚ボルト40によって一対の柱材25における下端部の剛性を向上できるとともに、一対の柱材25における下端部を下部躯体3に対して確実かつ強固に固定できる。
さらに、第一固定材31及び第二固定材32のそれぞれは、柱脚ボルト40を挟む位置関係で複数設けられているので、柱脚ボルト40を避けて、一対の柱材25と左右の側材28,29と上下の構造材26,27とを強固に一体化できるとともに、第二固定材32によって、一対の柱材25と左右の側材28,29とを強固に一体化できる。
請求項5に記載の発明は、例えば図1,図2に示すように、請求項4に記載の制振装置1の取付構造において、
前記柱脚ボルト40は、その上端部が、前記制振装置1の下端部よりも上方に位置する程度の長さに設定されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、柱脚ボルト40は、その上端部が、制振装置1の下端部よりも上方に位置する程度の長さに設定されているので、例えば柱脚ボルト40の長さを、上端部が、制振装置1の下端部よりも下方に位置する程度に設定した場合に比して、引き抜き抵抗力の向上を図ることができる。つまり、柱脚ボルト40を一定以上の長さに設定することで、例えば一定以下の長さに設定した場合よりも引き抜き抵抗力を向上できるので、建物躯体の変形に伴って一対の柱材25に生じる引き抜き力に対して効果的に耐えることができる。
請求項6に記載の発明は、例えば図1,図2,図4に示すように、請求項3から5のいずれか一項に記載の制振装置1の取付構造において、
前記一対の柱材25における上端部には、前記一対の柱材25と前記上部躯体30とを連結するための柱頭連結金物45が取り付けられ、
前記柱頭連結金物45は、前記一対の柱材25に対して軸方向に沿って埋め込まれ、前記一対の柱材25の上端部から上方に突出する柱頭ボルト50に連結されており、
前記柱脚ボルト40は、前記柱頭ボルト50よりも長さが長く形成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、一対の柱材25における上端部には、一対の柱材25と上部躯体30とを連結するための柱頭連結金物45が取り付けられ、柱頭連結金物45は、一対の柱材25に対して軸方向に沿って埋め込まれ、一対の柱材25の上端部から上方に突出する柱頭ボルト50に連結されているので、柱頭ボルト50によって一対の柱材25における上端部の剛性を向上できるとともに、一対の柱材25における上端部を上部躯体30に対して確実かつ強固に固定できる。
さらに、柱脚ボルト40は、柱頭ボルト50よりも長さが長く形成されているので、長さの長い柱脚ボルト40によって応力の集中しやすい一対の柱材25における下端部の剛性を確実に向上できるとともに、下端部よりも応力の集中しにくい一対の柱材25における上端部では、十分な剛性を発揮しつつ、柱頭ボルト50の長さを極力抑えてコストの低減を図ることができる。
請求項7に記載の発明は、例えば図2に示すように、請求項6に記載の制振装置1の取付構造において、
前記柱材25の上端部には、前記柱頭ボルト50の下端部が差し込まれる柱穴25bが形成され、当該柱穴25bと前記柱頭ボルト50との間の隙間には接着剤が充填されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、柱材25の上端部には、柱頭ボルト50の下端部が差し込まれる柱穴25bが形成され、当該柱穴25bと柱頭ボルト50との間の隙間には接着剤が充填されているので、柱材25と柱頭ボルト50とを一体化でき、制振装置組込体5付近の耐力の向上に貢献できる。
請求項8に記載の発明は、例えば図1,図2に示すように、請求項1から7のいずれか一項に記載の制振装置1の取付構造において、
前記制振装置組込体5は、少なくとも前記上部躯体30と前記上下の構造材26,27のうち上側に位置する前記構造材26に跨って配置されて、これらを連結するガセットプレート33を更に有することを特徴とする。
請求項8に記載の発明によれば、制振装置組込体5は、少なくとも上部躯体30と上下の構造材26,27のうち上側に位置する構造材26に跨って配置されて、これらを連結するガセットプレート33を更に有するので、このガセットプレート33によって、上側の構造材26の上端部を、上部躯体30に対して強固に連結することができる。これにより、建物躯体の変形に伴う制振装置1の動作に、上下の構造材26,27を追従させやすくなる。
本発明によれば、地震等の振動によって建物躯体に変形が生じたときに、制振装置による制振機能を発揮させやすくすることができる。
制振装置の取付構造を示す正面図である。 制振装置を示す正面図である。 アンカーボルトに柱材を連結した状態を示す断面図である。 柱脚連結金物又は柱頭連結金物を示す斜視図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。なお、以下の実施形態及び図示例における方向は、あくまでも説明の便宜上設定したものである。
図1及び図2において符号1は、制振装置を示す。この制振装置1は、矩形枠状の矩形フレーム7と、この矩形フレーム7に対向して設けられた一対の支持部8と、この一対の支持部8間に配置され、かつ当該一対の支持部8によって支持された上下に長尺な振り子部材15と、矩形フレーム7の上端部及び下端部に設けられた制振ボックス16と、を備えている。
なお、制振装置1は、後述する制振部材21を除き、そのほとんどが鉄やアルミニウム等の金属で形成されている。
まず、矩形フレーム7は、左右一対の縦フレーム11と、上下一対の横フレーム12とを矩形枠状に組み立てて形成されたものであり、縦フレーム11の端部と横フレーム12の端部はピン結合されている。したがって、矩形フレーム7は左右方向に力が作用すると平行四辺形を形成するようにして変形可能となっている。
縦フレーム11は、矩形フレーム7の外周面を構成する帯板状の外周板部11aと、この外周板部11aの内面に直角に形成されて、上記の支持部8が取り付けられる帯板状の内側板部11bとから構成され、断面T字状に形成されている。
横フレーム12は、矩形フレーム7の外周面を構成する帯板状の外周板部12aと、この外周板部12aの両端部の内面にそれぞれ直角に形成されて、上記縦フレーム11の内側板部11bの端部にピン結合される内側板部12bとを備える。内側板部12bには制振ボックス16が取り付けられている。
続いて、一対の支持部8は、左右一対の縦フレーム11における内側板部11bのそれぞれに対し、互いに対向した状態で固定されている。
各支持部8は、長方形板状の2枚の支持板によって構成されており、支持板の一方の側部は、縦フレーム11の内側板部11bを挟むようにして当該内側板部11bに固定されている。上記2枚の支持板間には所定の間隔が設けられており、当該2枚の支持板間には上下に長尺な振り子部材15の中央部が挿入されて支持されるようになっている。
続いて、振り子部材15は、板状で、かつ、縦長の八角形状に形成されており、長手方向を上下に向けて配置されている。振り子部材15の中央部の左半分は、一方の支持部8における2枚の支持板間に挟まれており、右半分は他方の支持部8における2枚の支持板間に挟まれている。
振り子部材15は、その長手方向中央部が、一対の支持部8,8の中央側先端部によって支持されている。そして、振り子部材15は、地震等の振動によって矩形フレーム7が変形して一対の支持部8,8が変位した場合に、当該一対の支持部8,8間の略中央部を中心として振れるように構成されている。
すなわち、一方の支持部8における2枚の支持板の先端中央部には孔が対向して形成されており、他方の支持部8における2枚の支持板の先端中央部にも孔が対向して形成されている。一方、振り子部材15の中央部には、左右に離間して孔が形成されており、これら孔のうち左側(又は右側)の孔は左右に長い長孔となっている。
そして、一方の支持部8における2枚の支持板に形成された孔と、振り子部材の中央部に形成された一方の長孔とには、軸17が振り子部材15を回転可能とするように、かつ長孔の長さ方向に摺動可能となるように挿通されている。この軸17は例えば先端部にねじ部を有するボルト17で形成されており、このボルト17は上記の孔及び長孔に挿通され、これら孔及び長孔に挿通されたボルト17にはナットが締め付けられて設けられている。
また、他方の支持部8における2枚の支持板に形成された孔と、振り子部材15の中央部に形成された他方の孔とには、軸17が振り子部材15を回転可能とするように挿通されている。この軸17も先端部にねじ部を有するボルト17で形成されており、このボルト17は上記の双方の孔に挿通され、これら孔に挿通されたボルト17にはナットが締め付けられて設けられている。
これによって、振り子部材15は、一対の支持部8によって軸17を介して支持されており、この振り子部材15は、地震等の振動によって一対の支持部8が変位した場合に、当該一対の支持部8,8間の略中央部、換言すれば、左右の軸17間の中央部を中心として振れるように構成されている。
続いて、制振ボックス16は、上下面が開口した箱状のボックス20と、このボックス20内に取り付けられた一対の制振部材21と、これら制振部材21間に挿入され、かつ当該一対の制振部材21に固着されたプレート22とを備えている。
制振部材21としては、例えば高減衰ゴムによって形成された粘弾性体21を使用している。
ボックス20の対向する内面にはそれぞれ粘弾性体(制振部材)21が接着剤等によって固着されている。これら粘弾性体21間には、上記のプレート22が挿入されており、当該プレート22の表面は一対の粘弾性体21に固着されている。
プレート22の一端部は、ボックス20よりも振り子部材15側に突出しており、この突出している側の端部は、振り子部材15の端部に連結されている。
そして、制振ボックス16は、ボックス20を横フレーム12の外周板部12aに設置したうえで、ボックス20に形成された取付プレートを内側板部12bにボルト連結することによって横フレーム12の略中央部に取り付けられている。
上記のように構成された制振装置1は、図1~図4に示すように、基礎4上に構築された建物躯体に組み込まれている。
建物躯体は、制振装置1の下方に離間して配置される下部躯体3と、制振装置1の上方に離間して配置される上部躯体30と、下部躯体3と上部躯体30との間に組み込まれる複数の壁体2と、を備える。
なお、基礎4の上面には、台輪4aが設けられている。この台輪4aは、床下空間と屋外空間とを連通する換気台輪とされており、床下空間の換気が可能となっている。建物躯体は、このような台輪4a上に構築されている。
下部躯体3は、建物躯体における床体であり、本実施形態においては床パネルが採用されている。
より詳細に説明すると、床パネル3は、図3に示すように、縦横の框材3a(在来工法では根太に相当)が矩形状に組み立てられるとともに、この矩形状の枠の内部に複数の桟材(根太に相当)が組み付けられて枠体が構成され、この枠体の上面に面材3b(床板に相当)が貼設されたものである。そして、隣り合う框材3aと桟材との間及び隣り合う桟材間には、グラスウールやロックウール等からなる断熱材3cが装填されている。
また、床パネル3は、当該床パネル3と等しい高さに設定されるとともに建物の外周に亘って設けられる半土台3dとともに床を構成している。
なお、制振装置1は、建物躯体の外周に沿って配置されるだけでなく、屋内の中央側に設けられて、建物躯体の外周に沿わずに配置される場合もある。そのような場合、図3に示す例においては、半土台3dの代わりに床パネル3が並んで設けられることとなる。
上部躯体30は、本実施形態においては桁材が採用されている。ただし、これに限られるものではなく、下部躯体3と同様に床体(すなわち、2階の床)であってもよい。
なお、上部躯体30が床体である場合は、下部躯体3と同様に床パネルが採用される。上部躯体30の床パネルは、当該床パネルと等しい高さに設定されるとともに建物の外周に亘って設けられる半胴差とともに床を構成している。
また、上部躯体30は、枠組壁工法における頭繋ぎ部材であってもよい。その場合、複数の壁体2の上端部と制振装置組込体5(後述する)の上端部が、頭繋ぎ部材によって連結される。
壁体2は、矩形枠状の枠体2a内に、上下に配置された複数の桟材2bを左右に所定間隔で配置するとともに、当該桟材2bの上下端部を枠体2aに固定し、さらに、枠体2aの表裏両面に合板等の面材2cを取り付けて構成されている。
複数の壁体2は、下部躯体3である床パネル3及び半土台3d上に、左右に間隔を空けて設置されている。なお、上部躯体30上にも同様に設置されてもよい。
そして、左右に離間して隣り合う複数の壁体2間に、制振装置1を含む制振装置組込体5が配置されている。
制振装置組込体5は、図1及び図2に示すように、左右一対の柱材25と、上下の構造材26,27と、左右の側材28,29と、第一固定材31と、第二固定材32と、ガセットプレート33と、を有する。
左右一対の柱材25は、木製の四角柱状の角材であり、それぞれの左右方向内側面に、左右の側材28,29が取り付けられている。また、これら一対の柱材25の左右方向内側面は、左右の側材28,29の左右方向外側面に接着剤によって接着固定されている。
また、一対の柱材25における上下端部には、断面コ字状に形成された金属製の端部カバー25aが取り付けられている。
これら一対の柱材25は、詳細については後述するが、柱脚連結金物35及び柱頭連結金物45によって、下部躯体3及び上部躯体30に連結されている。
上下の構造材26,27のうち上構造材26は、制振装置1と上部躯体30との間に設けられる正面視矩形状の構造材であり、その上端面は左右の側材28,29の上端面と面一となっており、さらに、壁体2の上端面とも面一となっている。また、上構造材26の上端面は柱材25の上端面より上方に位置しているとともに、上部躯体30の下面に当接されている。
また、上構造材26の左右の長さは、制振装置1の左右の長さと等しくなっており、上構造材26の左右方向外側面は、左右の側材28,29の左右方向内側面に接着剤によって接着固定されている。
さらに、上構造材26の下端面は制振装置1の上の横フレーム12に当接固定されている。この固定は、横フレーム12の外周板部12aから上構造材26にビスや木ネジ等の止着材をねじ込むとともに、上構造材26の下端面を外周板部12aに接着剤によって接着することによって行われている。
上構造材26は、正面視における上下方向の長さ及び左右方向の長さに比して、奥行方向(厚み方向)の長さが短い状態となるように形成されている。したがって、この上構造材26は、板状あるいは厚板状と判断されてもよい。また、本実施形態の上構造材26における奥行寸法(例えば90mm、120mmなど)は、左右の側材28,29における奥行寸法と略等しく、かつ、一対の柱材25における奥行寸法と略等しい。また、本実施形態の上部躯体30及び壁体2における奥行寸法と略等しくてもよい。上部躯体30次第では、上部躯体30の奥行寸法よりも短い場合もある。
なお、上構造材26は、例えばLVG材(単板集成材)、LVL(単板積層材)、合板等の木質材料によって構成されている。
上下の構造材26,27のうち下構造材27は、制振装置1と下部躯体3との間に設けられる正面視矩形状の構造材であり、上構造材26と同様の木質材料によって構成されている。その下端面は柱材25の下端面より下方に位置しているとともに、下部躯体3の上面に当接されている。
また、下構造材27の左右の長さは、制振装置1及び上構造材26の左右の長さと等しくなっており、下構造材27の左右方向外側面は、左右の側材28,29の左右方向内側面に接着剤によって接着固定されている。
さらに、下構造材27の上端面は制振装置1の下の横フレーム12に当接固定されている。この固定は、横フレーム12の外周板部12aから下構造材27にビスや木ネジ等の止着材をねじ込むとともに、下構造材27の上端面を外周板部12aに接着剤によって接着することによって行われている。
下構造材27は、正面視における上下方向の長さ及び左右方向の長さに比して、奥行方向(厚み方向)の長さが短い状態となるように形成されている。その寸法設定は、上構造材26と同様である。
左右の側材28,29は、木製の四角柱状の角材であり、高さ方向中央部における左右方向内側面に、制振装置1の左右の縦フレーム11が取り付けられている。この取付けは、縦フレーム11の外周板部11aから柱材25にビスや木ネジ等の止着材をねじ込むとともに、外周板部11aを柱材25の側面に接着剤によって接着することによって行われている。
また、左右の側材28,29の高さ方向上端部における左右方向内側面に、上構造材26が接着固定されている。さらに、左右の側材28,29の高さ方向下端部における左右方向内側面に、下構造材27が接着固定されている。
すなわち、左右の側材28,29は、地震等の振動によって建物躯体に剪断変形が生じたときに、制振装置1と上下の構造材26,27とを繋ぎ止める役割を果たす。換言すれば、制振装置1と上下の構造材26,27は、左右の側材28,29によって一体化されている。また、上下の構造材26,27と左右の側材28,29は、矩形状に形成された枠体を構成しており、その枠体の内側に制振装置1が設けられた状態となっている。
第一固定材31は、一対の柱材25から左右の側材28,29を介して上下の構造材26,27に向かって設けられる固定材であり、例えばロングビスが採用されている。すなわち、第一固定材31は、一対の柱材25における左右方向外側の面からねじ込まれ、先端部が上下の構造材26,27に達する。
上構造材26側に位置する第一固定材31は、上下2か所の高さ位置に設けられるとともに、同一の高さ位置において正背方向の2か所に設けられている。つまり、上構造材26側に位置する第一固定材31は、左側に4本、右側に4本設けられている。
また、下構造材27に位置する第一固定材31も、上下2か所の高さ位置に設けられるとともに、同一の高さ位置において正背方向の2か所に設けられている。つまり、下構造材27側に位置する第一固定材31は、左側に4本、右側に4本設けられている。
第二固定材32は、一対の柱材25から左右の側材28,29に向かって設けられる固定材であり、例えばロングビスが採用されている。すなわち、第二固定材32は、一対の柱材25における左右方向外側の面からねじ込まれ、先端部が左右の側材28,29に達し、制振装置1には達しない。したがって、第二固定材32は、第一固定材31よりも長さが短く設定されている。
また、第二固定材32は、制振装置1が配置される範囲(制振装置組込体5の上下方向中央部)に収まるように配置されており、当該範囲内で上下4か所の高さ位置に設けられるとともに、同一の高さ位置において正背方向の2か所に設けられている。つまり、第二固定材32は、左側に8本、右側に8本設けられている。
ガセットプレート33は、鉄板等の金属板で形成された矩形板状のものであり、本実施形態においては、図1,図2に示すように、3枚のガセットプレート33が用いられている。これらのガセットプレート33のうち、真ん中に位置するガセットプレート33は、上部躯体30と上構造材26に跨って配置されている。また、左側と右側に位置するガセットプレート33は、上部躯体30と上構造材26と左右の側材28,29に跨って配置されている。そして、釘等の止着材によって固定されている。
なお、ガセットプレート33は、図1,図2にて示す建物躯体の正面側だけでなく、背面側においても同様の配置で設けられて、釘等の止着材によって固定されている。
これにより、制振装置組込体5の上端部と上部躯体30の下端部が連結された状態となっている。
次に、一対の柱材25が、下部躯体3及び上部躯体30に連結される構造について説明する。
すなわち、一対の柱材25における下端部には、一対の柱材25と下部躯体3とを連結するための柱脚連結金物35が取り付けられ、この柱脚連結金物35に、基礎4から延出して下部躯体3を貫通するアンカーボルト(アンカー)36が連結されている。
さらに、一対の柱材25における上端部には、一対の柱材25と上部躯体30とを連結するための柱頭連結金物45が取り付けられ、この柱頭連結金物45に、上部躯体30を貫通して延出するアンカーボルト(アンカー)46が連結されている。
柱脚連結金物35は、図3及び図4に示すように、金物本体35a、アンカー挿通孔35b,貫通孔35c、開口部35dを備えている。
金物本体35aは箱状に形成された鉄製のものであり、正面側及び背面側には開口部35dが形成されている。この開口部35dは、金物本体35aの正面側及び背面側の側面全体に形成されたものであり、スパナやレンチ、ドライバー等の工具を金物本体35a内に挿入できるようになっている。
アンカー挿通孔35bは、金物本体35aの底板の中央部に円形状に形成された孔である。貫通孔35cは、金物本体35aの天板の中央部に円形状に形成された孔であり、アンカー挿通孔35bと略同径に形成され、同軸に配置されている。
図2及び図3に示すように、基礎4の上面には下部躯体3が設置されている。基礎4の内部には、アンカーボルト(アンカー)36が埋設されており、このアンカーボルト36の上端部は、下部躯体3(床パネル3及び半土台3d)を貫通して当該下部躯体3の上面から突出している。
アンカーボルト36の上端部は、ナット37(丸ナット)に螺合されたうえで柱脚連結金物35のアンカー挿通孔35bに挿通されており、このアンカーボルト36の上端部には、ナット38が螺合されて締め付けられている。これによって、柱脚連結金物35はその金物本体35aの底板がナット37,38によって挟み付けられた状態でアンカーボルト36の上端部に固定されている。この状態において、柱脚連結金物35と下部躯体3との間には所定の隙間Sが設けられている。なお、ナット38の締め付け作業は、柱脚連結金物35の開口部35dからスパナやレンチ等の工具を挿入することによって行う。
また、柱脚連結金物35の上面に、柱材25の下端部が連結されている。柱脚連結金物35の上面と、柱材25の下端部に設けられた端部カバー25aは接している。
この柱材25には、下端部から下方に突出する柱脚ボルト40が、柱材25に対して軸方向に沿って埋め込まれている。つまり、柱材25の下端部には、下端面から上方に延びる柱穴25bが、柱材25の軸に沿って形成されており、この柱穴25bに、柱脚ボルト40が埋め込まれている。
なお、図示はしないが、柱脚ボルト40と柱穴25bの内壁との間には隙間が形成されている。そして、この隙間に接着剤が充填されている。この接着剤としては、例えばエポキシ系接着剤やウレタン系接着剤が使用される。
柱脚連結金物35の貫通孔35cには、柱脚ボルト40の下端部が挿通されており、当該柱脚ボルト40の下端部には、ナット42が螺合されて締め付けられている。なお、ナット42の締め付け作業は、柱脚連結金物35の開口部35dからスパナやレンチ等の工具を挿入することによって行う。
続いて、柱頭連結金物45、図1,図2,図4に示すように、金物本体45a、アンカー挿通孔45b,貫通孔45c、開口部45dを備えている。その構成は、柱脚連結金物35と略同一であるため説明を省略する。なお、柱頭連結金物45の場合は、アンカー挿通孔45bが上方に位置し、貫通孔45cが下方に位置する。
図1及び図2に示すように、上部躯体30には、アンカーボルト(アンカー)46が貫通して設けられており、このアンカーボルト46の下端部は、上部躯体30下面から突出している。アンカーボルト46の上端部は、上部躯体30の上面から突出してナットが螺合しているが、上部躯体30の上面に座堀部を形成し、当該座堀部内に、アンカーボルト46の上端部及びナットを収めてもよい。
アンカーボルト46の下端部は、柱頭連結金物45のアンカー挿通孔45bに挿通されており、このアンカーボルト46の下端部には、ナット48が螺合されて締め付けられている。なお、ナット48の締め付け作業は、柱頭連結金物45の開口部45dからスパナやレンチ等の工具を挿入することによって行う。
また、柱頭連結金物45の下面に、柱材25の下端部が連結されている。柱頭連結金物45の下面と、柱材25の上端部に設けられた端部カバー25aは接している。
この柱材25には、上端部から上方に突出する柱頭ボルト50が、柱材25に対して軸方向に沿って埋め込まれている。つまり、柱材25の上端部には、上端面から下方に延びる柱穴25bが、柱材25の軸に沿って形成されており、この柱穴25bに、柱頭ボルト50が埋め込まれている。また、柱脚ボルト40と同様に、柱頭ボルト50と柱穴25bの内壁との間の隙間にも接着剤が充填されている。
柱頭連結金物45の貫通孔45cには、柱頭ボルト50の上端部が挿通されており、当該柱頭ボルト50の上端部には、ナット52が螺合されて締め付けられている。なお、ナット52の締め付け作業は、柱頭連結金物45の開口部45dからスパナやレンチ等の工具を挿入することによって行う。
本実施形態において、柱脚ボルト40及び柱頭ボルト50は、上記のように一対の柱材25における柱穴25bに対して埋め込まれて接着剤が充填され、一対の柱材25と一体化している。このような方法は、所謂グルードインロッドと呼ばれており、このように一対の柱材25に埋め込まれた柱脚ボルト40及び柱頭ボルト50を、柱脚連結金物35及び柱頭連結金物45を介して建物躯体(下部躯体3、上部躯体30)に連結することで、制振装置組込体5付近の耐力の向上に貢献できる。
また、本実施形態においては、このようなグルードインロッドによる方法を採用するとともに、ガセットプレート33によって制振装置組込体5の上端部と上部躯体30の下端部とを連結しているが、これらは必ずしも併用しなくてよい。すなわち、上記のようにガセットプレート33を採用するのであれば、柱頭ボルト50を、一対の柱材25に対してグルードインロッドの方法で埋め込まなくてもよいし、グルードインロッドの方法を採用するのであれば、ガセットプレート33は採用しなくてもよい。
また、第一固定材31及び第二固定材32のそれぞれは、上記のように、同一の高さ位置において正背方向の2か所に設けられているが、それはすなわち、柱脚ボルト40及び柱頭ボルト50を挟む位置関係(一対の柱材25における左右方向外側面を見たときの柱脚ボルト40及び柱頭ボルト50の両脇)で複数設けられていることを意味している。
換言すれば、一対の柱材25における左右方向外側面のうち、正面側及び背面側のそれぞれに2か所に、第一固定材31及び第二固定材32が設けられていて、正面側及び背面側の第一固定材31の中間と、正面側及び背面側の第二固定材32の中間に、柱材25における軸線が通った状態となっている。そして、柱材25の下端部においてはその軸線に沿って柱脚ボルト40が埋め込まれ、上端部においてはその軸線に沿って柱頭ボルト50が埋め込まれている。
なお、一対の柱材25における左右方向外側面のうち、第一固定材31及び第二固定材32が設けられる高さ位置の、正面側及び背面側のそれぞれに2か所には、第一固定材31及び第二固定材32をそれぞれ通すためのビス孔25cが形成されている。ビス孔25cは、一対の柱材25だけに形成されるものとしてもよいし、左右の側材28,29に形成されてもよい。さらに、上下の構造材26,27に形成されてもよい。
なお、柱脚ボルト40の上端部は、制振装置1の下端部よりも上方に位置している。より具体的には、一対の支持部8の下端部に近い高さ位置に、柱脚ボルト40の上端部が位置している。そのため、柱材25の下端部には、かなりの高さ位置まで鉄心が埋め込まれたような状態となっており、剛性が高くなっている。
また、柱脚ボルト40は、柱頭ボルト50よりも長さが長く形成されている。これは、地震等の振動によって生じる応力の相違を考慮したものであり、柱材25の下端部は応力が集中しやすくなっているため、柱脚ボルト40の方が長く形成されている。
さらに言えば、本実施形態においては、柱脚ボルト40を設計上必要な長さに設定した結果、柱脚ボルト40の上端部が、制振装置1の下端部よりも上方に位置した状態となっている。これにより、引き抜き抵抗力の向上を図ることができるので好ましい。一方、柱脚ボルト40を設計上必要な長さに設定した結果、柱脚ボルト40の上端部が、制振装置1の下端部よりも下方に位置した状態となる場合もある。そのため、本実施形態においては、上記のように、柱脚ボルト40の上端部が、制振装置1の下端部よりも上方に位置した状態となっているが、これに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であるものとする。
なお、柱脚ボルト40は、その太さ(径)も設計上必要な寸法設定となっているものとする。すなわち、柱脚ボルト40の径が適切であれば、引き抜き抵抗力の向上を図ることができるので好ましい。
制振装置1が取り付けられた建物躯体においては、地震等の横揺れ振動によって変形が生じると、下部躯体3と上部躯体30とが互いに水平方向(左右方向)逆方向に変位する。これによって、制振装置1の矩形フレーム7の上下の横フレーム12が左右にずれるようにして変位するとともに、縦フレーム11が横方向に傾斜することによって矩形フレーム7が略平行四辺形状に変形する。
矩形フレーム7が略平行四辺形状に変形すると、一対の支持部8が斜め上下に互いに離間するようにして変位する。
このとき、制振装置組込体5も、制振装置1における矩形フレーム7と同様に、略平行四辺形状に変形するが、上下の構造材26,27と、その左右方向外側に位置する左右の側材28,29と、更にその左右方向外側に位置する一対の柱材25との一体性が十分でないと、制振装置1はその制振機能を発揮しにくい。この点について、本実施形態においては、第一固定材31によって、一対の柱材25と左右の側材28,29と上下の構造材26,27とを十分に一体化できるとともに、第二固定材32によって、一対の柱材25と左右の側材28,29とを一体化できるようになっている。
一対の支持部8が変位すると、振り子部材15が一対の支持部8間の略中央部を中心として振り子のように振れ、この振り子部材15の端部は振れが増幅され、これによって、一対の支持部8の変位が増幅される。
そして、振り子部材15の端部と制振ボックス16のプレート22とが連結されており、このプレート22は一対の粘弾性体21間に挿入され、かつ、当該一対の粘弾性体21に固着されているので、これら粘弾性体21の変形を増幅できる。したがって、建物の小さな変形から制振機能を有効に働かせることができる。
また、粘弾性体21の変形速度も建物躯体の変形速度より増幅することができるため、エネルギー吸収性能が変形速度に比例する粘弾性材料から形成された粘弾性体を用いる場合には、より効率的にエネルギーを吸収でき、大きな減衰力を発揮できる。
本実施形態によれば、以下のような優れた効果を奏する。
第一固定材31が、一対の柱材25から上下の構造材26,27に向かって設けられているので、この第一固定材31によって、一対の柱材25と上下の構造材26,27とを一体化することができる。
例えば地震等の振動によって建物躯体に変形が生じると、制振装置1によって建物躯体に生じた振動を抑制するが、第一固定材31によって、一対の柱材25と上下の構造材26,27とを一体化できるので、建物躯体の変形に伴う制振装置1の動作に、一対の柱材25と上下の構造材26,27を追従させやすくなる。これにより、制振装置1の動作と、一対の柱材25と上下の構造材26,27の動作が乖離しないので、制振装置1による制振機能を発揮させやすくすることができる。
また、左右の側材28,29は、制振装置1及び上下の構造材26,27の左右方向外側であって、かつ、一対の柱材25の左右方向内側に設けられているので、制振装置1及び上下の構造材26,27と一対の柱材25に挟み込まれる中間材として設けられることになる。このような左右の側材28,29は、地震等の振動によって建物躯体に剪断変形が生じたときに、左右方向外側に一対の柱材25があるため、制振装置1及び上下の構造材26,27から離間する方向には変位しづらく、結果的に、制振装置1と上下の構造材26,27とを繋ぎ止める役割を果たすこととなる。
そのうえで、第一固定材31が、一対の柱材25から左右の側材28,29を介して上下の構造材26,27に向かって設けられているので、第一固定材31によって、一対の柱材25と左右の側材28,29と上下の構造材26,27とを強固に一体化でき、建物躯体の変形に伴う制振装置1の動作に、一対の柱材25と左右の側材28,29と上下の構造材26,27を追従させやすくなる。これにより、制振装置1の動作と、一対の柱材25と左右の側材28,29と上下の構造材26,27の動作が乖離しないので、制振装置1による制振機能を、より発揮させやすくすることができる。
また、制振装置組込体5は、一対の柱材25から左右の側材28,29に向かって設けられた第二固定材32を更に有するので、この第二固定材32によって、一対の柱材25と左右の側材28,29とを一体化することができる。これにより、建物躯体の変形に伴う制振装置1の動作に、一対の柱材25と左右の側材28,29を追従させやすくなる。これにより、制振装置1の動作と、一対の柱材25と左右の側材28,29の動作がより乖離しにくくなるので、制振装置1による制振機能を、より発揮させやすくすることができる。
また、一対の柱材25における下端部には、一対の柱材25と下部躯体3とを連結するための柱脚連結金物35が取り付けられ、柱脚連結金物35は、一対の柱材25に対して軸方向に沿って埋め込まれ、かつ一対の柱材25の下端部から下方に突出する柱脚ボルト40に連結されているので、柱脚ボルト40によって一対の柱材25における下端部の剛性を向上できるとともに、一対の柱材25における下端部を下部躯体3に対して確実かつ強固に固定できる。
さらに、第一固定材31及び第二固定材32のそれぞれは、柱脚ボルト40を挟む位置関係で複数設けられているので、柱脚ボルト40を避けて、一対の柱材25と左右の側材28,29と上下の構造材26,27とを強固に一体化できるとともに、第二固定材32によって、一対の柱材25と左右の側材28,29とを強固に一体化できる。
また、柱脚ボルト40は、その上端部が、制振装置1の下端部よりも上方に位置する程度の長さに設定されているので、例えば柱脚ボルト40の長さを、上端部が、制振装置1の下端部よりも下方に位置する程度に設定した場合に比して、引き抜き抵抗力の向上を図ることができる。つまり、柱脚ボルト40を一定以上の長さに設定することで、例えば一定以下の長さに設定した場合よりも引き抜き抵抗力を向上できるので、建物躯体の変形に伴って一対の柱材25に生じる引き抜き力に対して効果的に耐えることができる。
また、一対の柱材25における上端部には、一対の柱材25と上部躯体30とを連結するための柱頭連結金物45が取り付けられ、柱頭連結金物45は、一対の柱材25に対して軸方向に沿って埋め込まれ、一対の柱材25の上端部から上方に突出する柱頭ボルト50に連結されているので、柱頭ボルト50によって一対の柱材25における上端部の剛性を向上できるとともに、一対の柱材25における上端部を上部躯体30に対して確実かつ強固に固定できる。
さらに、柱脚ボルト40は、柱頭ボルト50よりも長さが長く形成されているので、長さの長い柱脚ボルト40によって応力の集中しやすい一対の柱材25における下端部の剛性を確実に向上できるとともに、下端部よりも応力の集中しにくい一対の柱材25における上端部では、十分な剛性を発揮しつつ、柱頭ボルト50の長さを極力抑えてコストの低減を図ることができる。
また、柱材25の上端部には、柱頭ボルト50の下端部が差し込まれる柱穴25bが形成され、当該柱穴25bと柱頭ボルト50との間の隙間には接着剤が充填されているので、柱材25と柱頭ボルト50とを一体化でき、制振装置組込体5付近の耐力の向上に貢献できる。
また、制振装置組込体5は、少なくとも上部躯体30と上下の構造材26,27のうち上側に位置する構造材26に跨って配置されて、これらを連結するガセットプレート33を更に有するので、このガセットプレート33によって、上側の構造材26の上端部を、上部躯体30に対して強固に連結することができる。これにより、建物躯体の変形に伴う制振装置1の動作に、上下の構造材26,27を追従させやすくなる。
〔変形例〕
上記の実施形態においては、制振装置組込体5が、制振装置1及び上下の構造材26,27の左右方向外側であって、かつ、一対の柱材25の左右方向内側に設けられた左右の側材28,29を有していた。これに対し、本変形例においては、図示はしないが、制振装置組込体5が、左右の側材28,29を有していない。
すなわち、本変形例においては、制振装置1及び上下の構造材26,27の左右方向外側に、一対の柱材25が設けられた状態となっている。そして、第一固定材31は、一対の柱材25から上下の構造材26,27に向かって設けられている。
さらに、ガセットプレート33は、上部躯体30と上構造材26にのみ跨って配置されて、これらを連結している。
また、上記の実施形態においては、制振装置1が、矩形フレーム7と、一対の支持部8と、振り子部材15と、制振ボックス16と、を備えた構成となっているが、これに限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。すなわち、下部躯体3と上部躯体30との間に組み込まれる制振装置組込体5に対して設けることが可能な構成であれば適用可能となっている。
さらに、制振装置組込体5が組み込まれる建物躯体の構造も、制振装置組込体5の下に下部躯体があり、制振装置組込体5の上に上部躯体があればよい。そのため、例えば在来の軸組構造、パネル工法による構造、ツーバイフォー工法による構造、あるいは鉄骨を含む建物躯体でも適用可能となっている。
1 制振装置
3 下部躯体
4 基礎
4a 台輪
5 制振装置組込体
7 矩形フレーム
8 支持部
11 縦フレーム
12 横フレーム
15 振り子部材
16 制振ボックス
17 軸(ボルト)
20 ボックス
21 制振部材(粘弾性体)
22 プレート
25 柱材
26 上構造材
27 下構造材
28 側材
29 側材
30 上部躯体
31 第一固定材
32 第二固定材
33 ガセットプレート
35 柱脚連結金物
36 アンカーボルト
40 柱脚ボルト
45 柱頭連結金物
46 アンカーボルト
50 柱頭ボルト

Claims (8)

  1. 建物躯体に生じた振動を抑制する機能を有する制振装置と、
    前記建物躯体を構成し、前記制振装置の下方に離間して配置された下部躯体と、
    前記建物躯体を構成し、前記制振装置の上方に離間して配置された上部躯体と、
    前記制振装置が設けられるとともに、前記下部躯体と前記上部躯体との間に組み込まれる制振装置組込体と、を備えており、
    前記制振装置組込体は、
    前記制振装置と前記下部躯体との間、前記制振装置と前記上部躯体との間にそれぞれ設けられた上下の構造材と、
    前記制振装置及び前記上下の構造材の左右方向外側に設けられた左右一対の柱材と、
    前記一対の柱材から前記上下の構造材に向かって設けられた第一固定材と、を有することを特徴とする制振装置の取付構造。
  2. 請求項1に記載の制振装置の取付構造において、
    前記制振装置組込体は、前記制振装置及び前記上下の構造材の左右方向外側であって、かつ、前記一対の柱材の左右方向内側に設けられた左右の側材を更に有しており、
    前記第一固定材は、前記一対の柱材から前記左右の側材を介して前記上下の構造材に向かって設けられていることを特徴とする制振装置の取付構造。
  3. 請求項2に記載の制振装置の取付構造において、
    前記制振装置組込体は、前記一対の柱材から前記左右の側材に向かって設けられた第二固定材を更に有することを特徴とする制振装置の取付構造。
  4. 請求項3に記載の制振装置の取付構造において、
    前記一対の柱材における下端部には、前記一対の柱材と前記下部躯体とを連結するための柱脚連結金物が取り付けられ、
    前記柱脚連結金物は、前記一対の柱材に対して軸方向に沿って埋め込まれ、かつ前記一対の柱材の下端部から下方に突出する柱脚ボルトに連結されており、
    前記第一固定材及び前記第二固定材のそれぞれは、前記柱脚ボルトを挟む位置関係で複数設けられていることを特徴とする制振装置の取付構造。
  5. 請求項4に記載の制振装置の取付構造において、
    前記柱脚ボルトは、その上端部が、前記制振装置の下端部よりも上方に位置する程度の長さに設定されていることを特徴とする制振装置の取付構造。
  6. 請求項3から5のいずれか一項に記載の制振装置の取付構造において、
    前記一対の柱材における上端部には、前記一対の柱材と前記上部躯体とを連結するための柱頭連結金物が取り付けられ、
    前記柱頭連結金物は、前記一対の柱材に対して軸方向に沿って埋め込まれ、前記一対の柱材の上端部から上方に突出する柱頭ボルトに連結されており、
    前記柱脚ボルトは、前記柱頭ボルトよりも長さが長く形成されていることを特徴とする制振装置の取付構造。
  7. 請求項6に記載の制振装置の取付構造において、
    前記柱材の上端部には、前記柱頭ボルトの下端部が差し込まれる柱穴が形成され、当該柱穴と前記柱頭ボルトとの間の隙間には接着剤が充填されていることを特徴とする制振装置の取付構造。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載の制振装置の取付構造において、
    前記制振装置組込体は、少なくとも前記上部躯体と前記上下の構造材のうち上側に位置する前記構造材に跨って配置されて、これらを連結するガセットプレートを更に有することを特徴とする制振装置の取付構造。
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