JP5498014B2 - 連結ボルト付き柱および連結金具の接合構造 - Google Patents
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特許文献1に記載されている連結ボルト付き柱は、柱の下端面に形成された孔に連結ボルトが柱の下端面から突出して挿入されるとともに、前記孔の内壁と前記連結ボルトとの間に接着剤が充填されてなるものである。
そして、このような連結ボルト付き柱に、基礎連結用の連結金具を接合する場合、一側面が開口した箱状の連結金具の上壁に連結ボルト付き柱の下端面を当接するとともに、前記上壁に形成された孔に、連結ボルトを挿通したうえで、この連結ボルトに前記開口から挿入されたナットを螺合されて締め付けることによって、連結ボルト付き柱に連結金具を接合している。
また、連結ボルト付き柱に、地震等によって外力が作用した場合に、柱の下端面に形成された孔の開口部が連結ボルトから力を受け、この結果、柱の下端部が損傷するおそれもある。
前記柱2の下端面に形成された孔2aに前記連結ボルト3が前記柱2の下端面から突出して挿入されるとともに、前記孔2aの内壁と前記連結ボルト3との間に接着剤5が充填されており、
前記柱2の下端部に、前記連結ボルト3の直径とほぼ等しい内径のボルト挿通孔8が形成された平板部6と、この平板部6の外周部に沿って形成された環状部7とを有する柱座金4が、前記平板部6を前記柱2の下端面に当接するとともに、前記ボルト挿通孔8に前記連結ボルト3を挿通し、さらに、前記環状部7を前記柱2の下端外周部に外嵌して取り付けられていることを特徴とする。
そして、この位置決めされたボルト挿通孔8に連結ボルト3が挿通されているので、この連結ボルト3を径方向において容易かつ確実に位置決めできる。また、ボルト挿通孔8に連結ボルト3が挿通されているので、接着剤硬化前の連結ボルト3の径方向の位置ずれを防止できる。
さらに、柱2の下端外周部に柱座金4の環状部7が外嵌されているので、柱2の下端部を環状部7によって外側から補強できる。
前記柱2の下端外周部に、前記環状部7が装着される装着面2bが形成されており、この装着面2bと前記柱2の外周面との間の段差は前記環状部7の厚さとほぼ等しいことを特徴とする。
前記ボルト挿通孔8に、前記連結ボルト3に螺合する雌ねじ部が形成されていることを特徴とする。
前記連結金具10は側面の少なくとも一部が開口した箱状に形成されており、
この連結金具10の上壁に前記柱座金4の平板部6が当接されるとともに、前記上壁に形成された孔11に、前記柱座金4のボルト挿通孔8に挿通された連結ボルト3が挿通されたうえで、この連結ボルト3に前記連結金具10の開口10aから挿入されたナット13が螺合されて締め付けられることによって、前記連結ボルト付き柱1に前記連結金具10が接合されていることを特徴とする。
前記連結金具10の底壁に、アンカーボルト23が挿通されるアンカーボルト挿通孔12が形成されていることを特徴とする。
図1は本発明に係る連結ボルト付き柱の一例を示すもので、その先端部の斜視図、図2は分解斜視図、図3は連結ボルト付き柱に連結金具を接合した状態を示す斜視図、図4は図3におけるX円部の拡大図、図5は連結ボルト付き柱を基礎に連結した状態を示す断面図である。
柱2は正方形断面の木製の四角柱であり、その下端面には前記連結ボルト3を挿入するための孔2aが形成されている。孔2aは円形断面に形成されており、その内径は前記連結ボルト3の直径より接着剤充填用の隙間の分だけ大きくなっている。また、孔2aの深さは連結ボルト3の長さより短くなっている(図5参照)。
連結ボルト3は外周部の全体に雄ねじが形成されたものであり、前記孔2aに挿入されている。この状態において、連結ボルト3の先端部(下端部)は柱2の下端面から突出している。また、孔2aの内壁と連結ボルト3との間には接着剤5が充填されている(図5参照)。接着剤5としては、例えばエポキシ系接着剤やウレタン系接着剤が使用される。
また、柱2の下端外周部には、後述する環状部7が装着される装着面2bが形成されている。装着面2bは柱2の下端外周部を周方向に沿って所定の幅で所定の深さだけ削って形成されたものであり、柱2の外周面(側面)との間に所定の段差を有している。
平板部6は正方形板状のものであり、柱2の下端面とほぼ等しい大きさに形成されている。また、平板部6の中央部には、連結ボルト3の直径とほぼ等しい内径のボルト挿通孔8が形成されている。さらに、平板部6にはボルト挿通孔8を挟んでビス穴9,9が平板部6の対角方向に離間して形成されている。
環状部7は平板部6の外周部に沿って正方形環状に、かつ、平板部6に対して直角に形成されている。また、環状部7の高さは前記装着面2bの幅とほぼ等しくなっており、環状部7の厚さは、装着面2bと柱2の外周面との間の段差とほぼ等しくなっている。
さらに、柱座金4の4つの角部には、角穴4aがそれぞれ形成されている。
連結金具10は、箱状に形成された鉄製のものであり、その対向する二つの側面にはそれぞれ開口10a,10aが形成されている。開口10a,10aは対向する一対の側面ほぼ全体に形成されたものであり、スパナやレンチ、ドライバー等の工具を連結金具10内に挿入できるようになっている。
連結金具10の上壁の中央部には、前記連結ボルト3の先端部(下端部)が挿通される孔11が形成されており、下壁の中央部には、アンカーボルトが挿通されるアンカーボルト挿通孔12が孔11と同軸に形成されている。
そして、連結金具10は、その上壁に柱座金4の平板部6の表面が当接されるとともに、前記上壁に形成された孔11に、柱座金4のボルト挿通孔8に挿通された連結ボルト3が挿通されたうで、この連結ボルト3に開口10aから挿入されたナット13が、連結金具10の上壁の下面との間に座金14を挟んだ状態で螺合されて締め付けられることによって、前記連結ボルト付き柱1に接合されている。
図5に示すように、基礎20の上面には土台21が設置されており、この土台21上に、床22が設けられている。
基礎20の内部には、アンカーボルト23が埋設されており、このアンカーボルト23の上端部は、土台21と床22を貫通して該床22の上面から突出している。
このアンカーボルト23の上端部は、ナット24に螺合されたうえで連結金具10のアンカーボルト挿通孔12に挿通されており、このアンカーボルト23の上端部にはナット25が螺合されて締め付けられている。これによって、連結金具10はその底壁がナット24,25によって挟み付けられた状態で、アンカーボルト23の上端部に固定されている。この状態において、連結金具10と床22との間には所定の隙間Sが設けられている。なお、ナット25の締め付け作業は、連結金具10の開口10aからスパナやレンチ等の工具を挿入することによって行う。
また、連結金具10の上壁に、上述したようにして、連結ボルト付き柱1を接合する。このようにして、連結ボルト付き柱1を連結金具10を介して基礎20に連結する。
制振装置30は、図6に示すように、矩形枠状の矩形フレーム31と、この矩形フレーム31の縦フレーム31a,31aに対向して設けられた一対の支持部32,32と、この一対の支持部32,32間に配置され、かつ該一対の支持部32,32によって支持された上下に長尺な振り子部材33と、矩形フレーム31の上下の横フレーム31b,31bに設けられた制振ボックス34,34とを備えている。
そして、矩形フレーム31は左右方向に力が作用すると平行四辺形を形成するようにして変形可能となっている。なお、矩形フレーム31は鉄やアルミニウム等の金属で形成されている。
そして、一方の支持部32に形成された穴と、振り子部材33の中央部に形成された一方の長穴とには、軸35が振り子部材33を回転可能とするように、かつ、長穴の長さ方向に摺動可能となるように挿通されている。
また、他方の支持部32に形成された穴と、振り子部材33の中央部に形成された他方の穴とには、軸35が振り子部材33を回転可能とするように挿通されている。
これによって、振り子部材33は、一対の支持部32,32によって軸35,35を介して支持されており、この振り子部材33は、地震等の振動によって一対の支持部32,32が変位した場合に、該一対の支持部32,32間の略中央部、言い換えれば、軸35,35間の中央部を中心として振れるように構成されている。
ボックス36の対向する内面にはそれぞれ前記粘弾性体(制振部材)37,37が接着剤等によって固着されている。これら粘弾性体37,37間には、プレート38が挿入されており、該プレート38の表面は前記粘弾性体37,37に固着されている。プレート38の一端部は、ボックス36より突出しており、この突出している一端部は、振り子部材33の端部に連結されている。
そして、制振ボックス34は矩形フレーム31の横フレーム31bの略中央部に取り付けられている。なお、制振ボックス34のボックス36、プレート38等は鉄やアルミニウム等の金属で形成されている。
また、連結ボルト付き柱1,1の上端部間には上構造材40が配置されており、下端部間には下構造材41が配置されている。
連結ボルト付き柱1,1の内側を向く側面には、制振装置30の左右の縦フレーム31a,31aが取り付けられている。この取付けは、縦フレーム31aから連結ボルト付き柱1にビスや木ねじ等の止着材をねじ込むとともに、縦フレーム31aを連結ボルト付き柱1の側面に接着剤によって接着することによって行われている。
また、下構造材41の両側端面は連結ボルト付き柱1,1の側面に接着剤によって接着固定されている。さらに、下構造材41の上端面は制振装置30の下の横フレーム31bに当接、固定されている。この固定は、横フレーム31bから下構造材41にビスや木ねじ等の止着材をねじ込むとともに、下構造材41の上端面を横フレーム31bに接着剤によって接着することによって行われている。
ガセットプレート46は鉄板等の金属板で形成された矩形板状のものであり、正面側のガセットプレート46は、連結ボルト付き柱1の上端部の正面、上構造材40の上端部の正面、梁45の正面に跨るようにして当接され、釘等の止着材によって固定されている。同様に、背面側のガセットプレート46、連結ボルト付き柱1の上端部の背面、上構造材40の上端部の背面、梁45の背面に跨るようにして当接され、釘等の止着材によって固定されている。
なお、連結ボルト付き柱1の下端部は、上述したようにして基礎20に連結されており、連結金物10の側面は下構造材41に当接されている。
矩形フレーム31が略平行四辺形状に変形すると、一対の支持部32,32が斜め上下に互いに離間するようにして変位する。
一対の支持部32,32が変位することによって、振り子部材33が一対の支持部32,32間の略中央部を中心として振り子のように振れ、この振り子部材33の端部は振れが増幅され、これによって、前記一対の支持部32,32の変位が増幅される。
そして、振り子部材33の端部と制振ボックス34のプレート38とが連結されており、このプレート38は粘弾性体37,37間に挿入されかつ該一対の粘弾性体37,37に固着されているので、この粘弾性体37,37の変形を増幅できる。したがって、建物の小さな変形から制振機能を有効に働かせることができる。
また、粘弾性体37,37の変形速度も建物の変形速度より増幅することができるため、エネルギー吸収性能が変形速度に比例する粘弾性材料から形成された粘弾性体を用いる場合には、より効率的にエネルギーを吸収でき、大きな減衰力を発揮できる。
柱2の下端部に柱座金4が、その平板部6を柱2の下端面に当接するともに、環状部7を柱2の下端外周部に外嵌して取り付けられているので、柱座金4の平板部6に形成されたボルト挿通孔8は、その径方向の位置決めがなされている。
そして、この位置決めされたボルト挿通孔8に連結ボルト3が挿通されているので、この連結ボルト3を径方向において容易かつ確実に位置決めできる。また、ボルト挿通孔8に連結ボルト3が挿通されているので、接着剤5の硬化前の連結ボルト3の径方向の位置ずれを防止できる。
さらに、柱2の下端外周部に柱座金4の環状部7が外嵌されているので、柱2の下端部を環状部7によって外側から補強できる。
さらに、連結金具10の上壁に柱座金4の平板部6が当接されるとともに、前記上壁に形成された孔11に、柱座金4のボルト挿通孔8に挿通された連結ボルト3が挿通されたうで、この連結ボルト3に連結金具10の開口10aから挿入されたナット13が螺合されて締め付けられているので、連結ボルト付き柱1に連結金具10を容易かつ強固に接合することができる。
加えて、基礎20から延出するアンカーボルト23の上端部を連結金具10の底壁に形成されたアンカーボルト挿通孔12に挿通したうえで、このアンカーボルト23に連結金具10の開口10aから挿入されたナット25を螺合して締め付けることによって、基礎20と柱2とを強固に連結することができる。
2 柱
2a 孔
2b 装着面
3 連結ボルト
4 柱座金
5 接着剤
6 平板部
7 環状部
8 ボルト挿通孔
10 連結金具
10a 開口部
11 孔
12 アンカーボルト挿通孔
13 ナット
20 基礎
23 アンカーボルト
Claims (5)
- 柱の下端部に連結ボルトが前記柱の下端面から突出して設けられた連結ボルト付き柱において、
前記柱の下端面に形成された孔に前記連結ボルトが前記柱の下端面から突出して挿入されるとともに、前記孔の内壁と前記連結ボルトとの間に接着剤が充填されており、
前記柱の下端部に、前記連結ボルトの直径とほぼ等しい内径のボルト挿通孔が形成された平板部と、この平板部の外周部に沿って形成された環状部とを有する柱座金が、前記平板部を前記柱の下端面に当接するとともに、前記ボルト挿通孔に前記連結ボルトを挿通し、さらに、前記環状部を前記柱の下端外周部に外嵌して取り付けられていることを特徴とする連結ボルト付き柱。 - 請求項1に記載の連結ボルト付き柱において、
前記柱の下端外周部に、前記環状部が装着される装着面が形成されており、この装着面と前記柱の外周面との間の段差は前記環状部の厚さとほぼ等しいことを特徴とする連結ボルト付き柱。 - 請求項1または2に記載の連結ボルト付き柱において、
前記ボルト挿通孔に、前記連結ボルトに螺合する雌ねじ部が形成されていることを特徴とする連結ボルト付き柱。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の連結ボルト付き柱に、基礎連結用の連結金具を接合する連結金具の接合構造において、
前記連結金具は側面の少なくとも一部が開口した箱状に形成されており、
この連結金具の上壁に前記柱座金の平板部が当接されるとともに、前記上壁に形成された孔に、前記柱座金のボルト挿通孔に挿通された連結ボルトが挿通されたうえで、この連結ボルトに前記連結金具の開口から挿入されたナットが螺合されて締め付けられることによって、前記連結ボルト付き柱に前記連結金具が接合されていることを特徴とする連結金具の接合構造。 - 請求項4に記載の連結金具の接合構造において、
前記連結金具の底壁に、アンカーボルトが挿通されるアンカーボルト挿通孔が形成されていることを特徴とする連結金具の接合構造。
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