JP2013119718A - 連結金具の接合構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】柱に対する連結金具の周方向の位置決めを容易かつ確実に行うことができるとともに、位置決めした状態を確実に保持することが可能な連結金具の接合構造の提供を目的とする。
【解決手段】柱2の下端部に連結ボルト3が柱2の下端面から突出して設けられた連結ボルト付き柱1と、基礎連結用の連結金具10とを接合してなる連結金具10の接合構造において、連結金具10と柱座金4との間に、この連結金具10が、柱2に対して連結ボルト3の周方向に沿って回転することを防ぐとともに、柱2の側面と連結金具10の側面とが同一方向に向くように位置決めする位置決め手段を設ける。これにより、連結ボルト付き柱と連結金具との接合作業時に、柱に対する連結金具の周方向の位置決めを容易かつ確実に行えるとともに、連結ボルト付き柱と連結金具とを接合した後に、位置決めした状態を確実に保持できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、柱の下端部に連結ボルトが柱の下端面から突出して設けられた連結ボルト付き柱と、基礎連結用の連結金具とを接合してなる連結金具の接合構造に関する。
柱の下端部に連結ボルトが柱の下端面から突出して設けられた連結ボルト付き柱と、基礎連結用の連結金具とを接合する連結金具の接合構造の一例として特許文献1に記載のものが知れられている。
特許文献1に記載されている連結ボルト付き柱は、柱の下端面に形成された孔に連結ボルトが柱の下端面から突出して挿入されるとともに、前記孔の内壁と前記連結ボルトとの間に接着剤が充填されてなるものである。
このような連結ボルト付き柱と、基礎連結用の連結金具とを接合する場合は、まず、柱の下端部に、連結ボルトの直径と略等しい内径のボルト挿通孔が形成された柱座金を取り付ける。そして、この柱座金に連結金具の上壁を当接させるとともに、この上壁に形成された孔に、柱座金のボルト挿通孔に挿通された連結ボルトを挿通させたうえで、この連結ボルトに連結金具の開口から挿入されたナットを螺合して締め付けることによって、連結ボルト付き柱と、基礎連結用の連結金具とを接合することができる。
特開2010−144395号公報
ところで、上述のような連結金具は、上壁を、柱座金に当接させただけである。このため、例えば、ナットを締め付けて連結ボルト付き柱と連結金具とを接合する作業時や、これら連結ボルト付き柱と連結金具とを接合し終わった後などに、連結金具が連結ボルトの周方向に沿って回転してしまう場合がある。
そして、このように連結金具が連結ボルトの周方向に沿って回転してしまうと、連結ボルト付き柱と連結金具との接合作業時には、柱に対する連結金具の周方向の位置決めが難しくなり、接合作業に手間がかかる場合がある。また、連結ボルト付き柱と連結金具とを接合した後には、連結金具の位置決めした状態を確実に保持できず、機能上や外観上好ましくない場合がある。
本発明の課題は、柱に対する連結金具の周方向の位置決めを容易かつ確実に行うことができるとともに、位置決めした状態を確実に保持することが可能な連結金具の接合構造を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図7に示すように、柱2の下端部に連結ボルト3が柱2の下端面から突出して設けられた連結ボルト付き柱1と、基礎連結用の連結金具10とを接合してなる連結金具10の接合構造において、
前記柱2の下端部には、前記柱2の下端面に当接するとともに前記連結ボルト3の直径と略等しい内径のボルト挿通孔8が形成された平板部6を有する柱座金4が取り付けられており、
前記連結金具10は、側面の少なくとも一部が開口した箱状に形成されており、この連結金具10の上壁11には、前記柱座金4のボルト挿通孔8に挿通された連結ボルト3が挿通される孔11aが形成されており、
この孔11aに前記連結ボルト3を挿通するとともに、前記柱座金4の平板部6に連結金具10の上壁11を当接させたうえで、前記連結ボルト3に前記連結金具10の開口10aから挿入されたナット13を螺合して締め付けることによって、前記連結ボルト付き柱1と前記連結金具10とが接合されており、
前記連結金具10と柱座金4との間には、この連結金具10が、前記柱2に対して連結ボルト3の周方向に沿って回転することを防ぐとともに、前記柱2の側面と連結金具10の側面とが同一方向に向くように位置決めする位置決め手段(例えば突出部15および当接部16)が設けられていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、前記連結金具10と柱座金4との間に、前記位置決め手段(例えば突出部15および当接部16)が設けられているので、前記連結ボルト付き柱1と連結金具10との接合作業時には、前記柱2の側面と連結金具10の側面とが同一方向に向くように位置決めしつつ、例えば前記ナット13の締め付けに伴って、このナット13と共に、前記連結金具10が連結ボルト3の周方向に沿って回転してしまうようなことを防ぐことができる。これによって、前記柱2に対する連結金具10の周方向の位置決めを容易かつ確実に行うことができる。
また、前記連結ボルト付き柱1と連結金具10とを接合した後には、前記連結金具10に、前記連結ボルト3の周方向に沿う回転力がかかった場合であっても、前記位置決め手段(例えば突出部15および当接部16)によって前記柱2の側面と連結金具10の側面とが同一方向に向くように位置決めした状態を確実に保持することができる。
請求項2に記載の発明は、例えば図1〜図5に示すように、請求項1に記載の連結金具10の接合構造において、
前記位置決め手段は、前記柱座金4の平板部6に形成されるとともに、前記連結金具10側に突出する突出部15と、
前記連結金具10の上壁11側端部に形成されるとともに、前記柱2の側面と連結金具10の側面とが同一方向に向く際に前記突出部15に当接する当接部16と、を備えていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、前記連結金具10の上壁11に当接する柱座金4の平板部6に前記突出部15が形成されており、前記柱座金4の平板部6に当接する連結金具10の上壁11側端部に前記当接部16が形成されているので、前記柱座金4の平板部6に連結金具10の上壁11を当接させた際に、前記突出部15に、前記当接部16を当接させることができる。また、前記突出部15に、前記当接部16を当接させることによって、前記柱2の側面と連結金具10の側面とが同一方向に向けることができる。これによって、前記柱2に対する連結金具10の周方向の位置決めを、より容易かつ確実に行うことができる。
請求項3に記載の発明は、例えば図1〜図5に示すように、請求項2に記載の連結金具10の接合構造において、
前記突出部15は、前記平板部6の複数の角部に形成されており、
前記当接部16は、前記連結金具10の上壁11側端部の複数の角部に、前記突出部15の位置に対応して形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、前記柱座金4の平板部6に連結金具10の上壁11を当接させた際に、前記平板部6の複数の角部に形成された各突出部15…に、前記連結金具10の上壁11側端部の複数の角部に形成された各当接部16…をそれぞれ当接させることができる。これによって、例えば前記突出部15を平板部6の一つの角部に形成し、前記当接部16を上壁11側端部の一つの角部に形成する場合に比して、前記突出部15…と当接部16…とが合致するように柱2と連結金具10との向きを考慮する必要がなくなり、前記柱2に対する連結金具10の周方向の位置決めを、さらに容易かつ確実に行うことができる。また、前記連結ボルト付き柱1と連結金具10とを接合した後も、前記連結金具10が、前記連結ボルト3の周方向に沿って回転しないように、位置決めした状態を、より確実に保持することができる。
請求項4に記載の発明は、例えば図1〜図5に示すように、請求項3に記載の連結金具10の接合構造において、
前記突出部15…は、外側に傾斜するようにして突出形成されており、
前記当接部16…は、前記連結金具10の上壁11側端部の複数の角部を面取りするようにして形成されており、前記突出部15…の傾斜角度に対応して傾斜していることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、前記連結金具10側に突出する突出部15…が外側に傾斜し、この突出部15…に当接する当接部16…が、突出部15…の傾斜角度に対応して傾斜するように面取りするようにして形成されているので、前記当接部16…が突出部15…に当接するように、前記柱座金4の平板部6と連結金具10の上壁11とを接近させて当接させるだけで、前記柱2に対する連結金具10の周方向の位置決めを、より一層容易かつ確実に行うことができる。
請求項5に記載の発明は、例えば図1〜図7に示すように、請求項2〜4のいずれか一項に記載の連結金具10の接合構造において、
前記位置決め手段は、前記連結金具10の底壁12側端部に形成されるとともに、前記連結金具10の上壁11側端部に形成された当接部16…と対称に構成された他の当接部17…を備えており、
この連結金具10の底壁12にはアンカーボルト23が挿通される孔12aが形成されており、
この底壁12に形成された孔12aと、前記上壁11に形成された孔11aは略等しい内径に設定されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、前記位置決め手段は、前記他の当接部17…を備えており、前記連結金具10の底壁12にアンカーボルト23が挿通される孔12aが形成されており、この底壁12に形成された孔12aと、前記上壁11に形成された孔11aは略等しい内径に設定されているので、前記連結金具10の天地が逆になって用いられたとしても、前記柱2に対する連結金具10の周方向の位置決めを容易かつ確実に行うことができるとともに、位置決めした状態を確実に保持することが可能となる。
請求項6に記載の発明は、例えば図5に示すように、請求項1〜5のいずれか一項に記載の連結金具10の接合構造において、
前記連結金具10には、前記上壁11に形成された孔11aから前記開口10aまで延在するスリット部18が形成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、前記連結金具10を、前記連結ボルト3に対して、この連結ボルト3がスリット部18を通過するようにして横から装着できるので、予め、前記連結ボルト3に対してナット13を前記柱座金4に当接しない程度に螺合させておくことができる。すなわち、予め、前記ナット13を連結ボルト3に取り付けておいてから連結金具10の接合作業を行うことができるので、この接合作業を簡易化できる。
本発明によれば、連結金具と柱座金との間に位置決め手段が設けられているので、連結ボルト付き柱と連結金具との接合作業時には、柱の側面と連結金具の側面とが同一方向に向くように位置決めしつつ、連結金具が連結ボルトの周方向に沿って回転してしまうことを防ぐことができる。これによって、柱に対する連結金具の周方向の位置決めを容易かつ確実に行うことができる。
また、連結ボルト付き柱と連結金具とを接合した後には、連結金具に、連結ボルトの周方向に沿う回転力がかかった場合であっても、位置決め手段によって柱の側面と連結金具の側面とが同一方向に向くように位置決めした状態を確実に保持することができる。
本発明に係る連結金具の接合構造であり、連結ボルト付き柱と連結金具とを接合する直前の状態を示す斜視図である。 同、連結ボルト付き柱と連結金具とを接合した状態を示す斜視図である。 柱座金の一例を示す斜視図である。 連結金具の一例を示す斜視図である。 連結金具の他の一例を示す斜視図である。 連結ボルト付き柱を基礎に連結した状態を示す断面図である。 連結ボルト付き柱に制振装置を取り付けた状態を示す正面図である。ただし、連結金具の部分は断面で表す。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1および図2は本発明に係る連結金具の接合構造を示す斜視図である。また、図1は連結ボルト付き柱と連結金具とを接合する直前の状態を示しており、図2は連結ボルト付き柱と連結金具とを接合した状態を示す。
図1および図2において符号1は、連結ボルト付き柱を示す。この連結ボルト付き柱1は、柱2と、連結ボルト3と、柱座金4とを備えている。
柱2は正方形断面の木製の四角柱であり、その下端面には前記連結ボルト3を挿入するための孔2aが形成されている。
孔2aは円形断面に形成されており、その内径は前記連結ボルト3の直径より接着剤充填用の隙間の分だけ大きくなっている。また、孔2aの深さは、図6に示すように、連結ボルト3の長さより短くなっている。
連結ボルト3は外周部の全体に雄ねじが形成されたものであり、前記孔2aに挿入されている。この状態において、連結ボルト3の先端部(下端部)は柱2の下端面から突出している。
また、孔2aの内壁と連結ボルト3との間には、図6に示すように、接着剤5が充填されている。この接着剤5としては、例えばエポキシ系接着剤やウレタン系接着剤が使用される。
また、柱2の下端外周部には、後述する環状部7が装着される装着面2bが形成されている。装着面2bは柱2の下端外周部を周方向に沿って所定の幅で所定の深さだけ削って形成されたものであり、柱2の外周面(側面)との間に所定の段差を有している。
前記柱座金4は、柱2の下端部に取り付けられるものであり、図1〜図3に示すように、平板部6と環状部7とを備えて構成されている。
平板部6は正方形板状のものであり、柱2の下端面とほぼ等しい大きさに形成されている。また、平板部6の中央部には、連結ボルト3の直径とほぼ等しい内径のボルト挿通孔8が形成されている。さらに、平板部6にはボルト挿通孔8を挟んでビス穴9,9が平板部6の対角方向に離間して形成されている。
また、この平板部6の四つの角部には、後述する突出部15…が形成されている。
さらに、柱座金4の4つの角部には、角穴4aがそれぞれ形成されている。これら角穴4a…は、前記突出部15…を、前記平板部6から切り出して形成する際に同時に形成される。
環状部7は平板部6の外周部に沿って正方形環状に、かつ、平板部6に対して直角に形成されている。また、環状部7の高さは前記装着面2bの幅とほぼ等しくなっており、環状部7の厚さは、装着面2bと柱2の外周面との間の段差とほぼ等しくなっている。
このように構成された柱座金4は、前記平板部6の裏面を柱2の下端面に当接するともに、ボルト挿通孔8に前記連結ボルト3を挿通し、さらに、環状部7を柱2の下端外周部の装着面2bに外嵌して取り付けられている。この状態において、ボルト挿通孔8と連結ボルト3とは同軸に配置され、かつ、連結ボルト3の先端部(下端部)は柱座金4の平板部6より所定の長さだけ突出している。
また、平板部6に形成されたビス穴9,9には木ねじ9a,9aが挿通され、柱2の下端面にねじ込まれている。これによって、柱座金4は柱2の下端部に強固に固定されている。
さらに、柱座金4の角穴4aに、柱2の下端面の4つの角部が露出しており、これによって、柱2の下端面を柱座金4の平板部6の裏面に確実に当接させるとともに、柱2の下端面の4つの角部の潰れを防止している。
図1および図2において符号10は、連結金具を示す。この連結金具10は箱状に形成された鉄製のものであり、その対向する二つの側面にはそれぞれ開口10a,10aが形成されている。開口10a,10aは対向する一対の側面の中央側に、側面の面積に対して広めに形成されたものであり、スパナやレンチ、ドライバー等の工具を連結金具10内に挿入できるようになっている。
連結金具10の上壁11の中央部には、図4および図6に示すように、前記連結ボルト3の先端部(下端部)が挿通される孔11aが形成されている。
また、底壁12の中央部には、図1および図2,図6に示すように、アンカーボルト23が挿通される孔12aが孔11aと同軸に形成されている。さらに、これら孔11aと孔12aとは略等しい内径に設定されている。
また、上壁11および底壁12には、水抜き孔11b,12bが形成されており、連結金具10周囲に生じる結露等の水分を排出できるようになっている。
また、連結金具10の上壁11側端部には後述する当接部16が形成されており、底壁12側端部には後述する他の当接部17が形成されている。
そして、連結金具10は、前記上壁11に形成された孔11aに前記連結ボルト3を挿通するとともに、前記柱座金4の平板部6に連結金具10の上壁11を当接させたうえで、前記連結ボルト3に前記連結金具10の開口10aから挿入されたナット13を、前記上壁11の下面との間に座金14を挟んだ状態で螺合して締め付けることによって、前記連結ボルト付き柱1と前記連結金具10とが接合されている。
前記連結ボルト付き柱1と連結金具10とを接合する際は、前記連結金具10と柱座金4との間に設けられる位置決め手段が機能するように設定されている。
この位置決め手段は、前記連結金具10が、前記柱2に対して連結ボルト3の周方向に沿って回転することを防ぐとともに、前記柱2の側面と連結金具10の側面とが同一方向に向くように位置決めするものである。
また、この位置決め手段は、前記突出部15と、前記当接部16と、前記他の当接部17と、を備えている。
前記突出部15は、図1〜図3に示すように、前記柱座金4の平板部6の四つの角部に、前記連結金具10側に突出するようにして形成されている。また、これら四つの突出部15…は、外側に傾斜するようにして突出形成されている。
なお、これら突出部15…は、平板部6の四つの角部を適宜切削することによって、これら突出部15…の形状に具象化されている。また、突出部15の平板部6に近い基端部は、この平板部6の面方向に沿って設けられており、先端部が、前記連結金具10側に突出形成されている。
また、突出部15は、この突出部15の中央付近を折り曲げることによって形成されており、その先端部が前記連結金具10側に突出し、かつ外側に傾斜している。
前記当接部16は、図1,図2,図4,図5に示すように、前記連結金具10の上壁11側端部の四つの角部に、前記突出部15…の位置に対応して形成されている。さらに、この当接部16は、前記柱2の側面と連結金具10の側面とが同一方向に向く際に前記突出部15に当接するように設定されている。
また、これら当接部16…は、前記上壁11側端部の四つの角部それぞれを面取りするようにして形成されており、前記突出部15…の傾斜角度に対応して傾斜している。これら当接部16…は、角部を面取りするようにして形成されているので、その正面形状は三角形状に形成されている。
なお、三角形状に形成された当接部16のうち、前記柱座金4の最も近くに位置する一辺は、前記連結金具10の上壁11を柱座金4の平板部6に当接させた際に、前記突出部15の折曲部分に当接するように設定されている。さらに、当接部16が、前記突出部15の先端部の内側面に当接するように設定されている。
そして、上記のように前記柱座金4の平板部6に形成された突出部15…が外側に傾斜し、これら突出部15…に当接する当接部16…が、突出部15…の傾斜角度に対応して傾斜するように面取りするようにして形成されているので、前記当接部16…が突出部15…に当接するように、前記柱座金4の平板部6と連結金具10の上壁11とを接近させて当接させるだけで、前記柱2に対する連結金具10の周方向の位置決めを行うことができる。
また、前記突出部15は、前記平板部6の複数の角部に形成されており、前記当接部16は、前記連結金具10の上壁11側端部の複数の角部に、前記突出部15の位置に対応して形成されているので、前記柱座金4の平板部6に連結金具10の上壁11を当接させた際に、前記平板部6の複数の角部に形成された各突出部15…に、前記連結金具10の上壁11側端部の複数の角部に形成された各当接部16…をそれぞれ当接させることができる。
これによって、例えば前記突出部15を平板部6の一つの角部に形成し、前記当接部16を上壁11側端部の一つの角部に形成する場合に比して、前記突出部15…と当接部16…とが合致するように柱2と連結金具10との向きを考慮する必要がなくなり、前記柱2に対する連結金具10の周方向の位置決めを容易かつ確実に行うことができる。
また、前記連結ボルト付き柱1と連結金具10とを接合した後も、前記連結金具10が、前記連結ボルト3の周方向に沿って回転しないように、位置決めした状態を確実に保持することができる。つまり、前記突出部15…は、前記連結金具10が、前記連結ボルト3の周方向に沿って回転することを防ぐストッパーとして機能することになる。
前記他の当接部17は、図1,図2,図4に示すように、前記連結金具10の底壁12側端部の四つの角部に形成されている。
これら他の当接部17…は、前記上壁11側端部に形成された当接部16…と対称に構成されている。すなわち、これら他の当接部17…の構成は、底壁12側端部に形成されている点を除いて、前記当接部16…の構成と同様に設定されている。しかも、上述のように前記連結金具10の底壁12にはアンカーボルト23が挿通される孔12aが形成されており、この底壁12に形成された孔12aと、前記上壁11に形成された孔11aは略等しい内径に設定されているので、前記連結金具10を、天地を逆にして用いることが可能となる。このように連結金具10を、天地を逆にして用いたとしても、前記柱2に対する連結金具10の周方向の位置決めを変わりなく容易かつ確実に行うことができるとともに、位置決めした状態を変わりなく確実に保持することが可能となる。
なお、本実施の形態においては、以上のような構成の連結金具10を用いているが、これに限られるものではない。
例えば図5に示すように、前記上壁11に形成された孔11aから、前記対向する一対の側面のうち一方の側面の開口10aまで延在するスリット部18を形成した連結金具10を用いてもよいものとする。
これによって、前記連結金具10を、前記連結ボルト3に対して、この連結ボルト3がスリット部18を通過するようにして横から装着できるので、予め、前記連結ボルト3に対してナット13を前記柱座金4に当接しない程度に螺合させておくことができる。すなわち、予め、前記ナット13を連結ボルト3に取り付けておいてから連結金具10の接合作業を行うことができるので、この接合作業を簡易化できる。
また、このスリット部18は、上壁11側だけでなく、底壁12側に形成してもよいものとする。すなわち、図5に示すように、スリット部18を、前記底壁12に形成された孔12aから、前記対向する一対の側面のうち一方の側面の開口10aまで延在するようにして形成してもよい。
これによって、前記連結金具10を、前記アンカーボルト23に対して、このアンカーボルト23がスリット部18を通過するようにして横から装着できるので、予め、前記アンカーボルト23に対してナット24,25を螺合させておくことができる。
さらに、前記連結金具10を、天地を逆にして用いる場合には、前記上壁11側に形成されたスリット部18も、前記底壁12側に形成されたスリット部18も同様に使用することができる。
次に、前記連結ボルト付き柱1を、前記連結金具10を介して基礎20に連結する方法について説明する。
図6に示すように、基礎20の上面には土台21が設置されており、この土台21上には床22が設けられている。
基礎20の内部には、アンカーボルト23が埋設されており、このアンカーボルト23の上端部は、土台21と床22を貫通して該床22の上面から突出している。
このアンカーボルト23の上端部は、ナット24に螺合されたうえで連結金具10の底壁12に形成された孔12aに挿通されており、このアンカーボルト23の上端部にはナット25が螺合されて締め付けられている。これによって、連結金具10はその底壁12がナット24,25によって挟み付けられた状態で、アンカーボルト23の上端部に固定されている。この状態において、連結金具10と床22との間には所定の隙間Sが設けられている。なお、ナット25の締め付け作業は、連結金具10の開口10aからスパナやレンチ等の工具を挿入することによって行う。
また、上述したようにして前記連結金具10と連結ボルト付き柱1とを接合し、連結ボルト付き柱1を、前記連結金具10を介して基礎20に連結する。
上記のようにして、基礎20に連結された連結ボルト付き柱1には、図7に示すように、制振装置30が取り付けられる。
制振装置30は、図7に示すように、矩形枠状の矩形フレーム31と、この矩形フレーム31の縦フレーム31a,31aに対向して設けられた一対の支持部32,32と、この一対の支持部32,32間に配置され、かつ該一対の支持部32,32によって支持された上下に長尺な振り子部材33と、矩形フレーム31の上下の横フレーム31b,31bに設けられた制振ボックス34,34とを備えている。
そして、矩形フレーム31は左右方向に力が作用すると平行四辺形を形成するようにして変形可能となっている。なお、矩形フレーム31は鉄やアルミニウム等の金属で形成されている。
前記振り子部材33は板状でかつ、縦長の八角形状に形成されており、長手方向を上下に向けて配置されている。
振り子部材33は鉄やアルミニウム等の金属によって形成されており、地震等の振動によって矩形フレーム31が変形して一対の支持部32,32が変位した場合に、該一対の支持部32,32間の略中央部を中心として振れるように構成されている。
すなわち、一方の支持部32の先端中央部には穴が形成されており、他方の支持部32の先端中央部にも穴が形成されている。一方、振り子部材33の中央部には、左右に離間して穴が形成されており、これら穴のうち左側の穴は左右に長い長穴となっている。
そして、一方の支持部32に形成された穴と、振り子部材33の中央部に形成された一方の長穴とには、軸35が振り子部材33を回転可能とするように、かつ、長穴の長さ方向に摺動可能となるように挿通されている。
また、他方の支持部32に形成された穴と、振り子部材33の中央部に形成された他方の穴とには、軸35が振り子部材33を回転可能とするように挿通されている。
これによって、振り子部材33は、一対の支持部32,32によって軸35,35を介して支持されており、この振り子部材33は、地震等の振動によって一対の支持部32,32が変位した場合に、該一対の支持部32,32間の略中央部、言い換えれば、軸35,35間の中央部を中心として振れるように構成されている。
前記制振ボックス34は、上下面が開口した箱状のボックス36と、このボックス36内に取り付けられた一対の制振部材37,37と、これら制振部材37,37間に挿入されかつ該一対の制振部材37,37に固着されたプレート38とを備えている。制振部材37としては、例えば高減衰ゴムによって形成された粘弾性体37を使用している。
ボックス36の対向する内面にはそれぞれ前記粘弾性体(制振部材)37,37が接着剤等によって固着されている。これら粘弾性体37,37間には、プレート38が挿入されており、該プレート38の表面は前記粘弾性体37,37に固着されている。プレート38の一端部は、ボックス36より突出しており、この突出している一端部は、振り子部材33の端部に連結されている。
そして、制振ボックス34は矩形フレーム31の横フレーム31bの略中央部に取り付けられている。なお、制振ボックス34のボックス36、プレート38等は鉄やアルミニウム等の金属で形成されている。
基礎20には、前記連結ボルト付き柱1,1が左右に離間して連結されており、これら連結ボルト付き柱1,1間に前記制振装置30が配置されている。
また、連結ボルト付き柱1,1の上端部間には上構造材40が配置されており、下端部間には下構造材41が配置されている。
連結ボルト付き柱1,1の内側を向く側面には、制振装置30の左右の縦フレーム31a,31aが取り付けられている。この取付けは、縦フレーム31aから連結ボルト付き柱1にビスや木ねじ等の止着材をねじ込むとともに、縦フレーム31aを連結ボルト付き柱1の側面に接着剤によって接着することによって行われている。
前記上構造材40は、LVL(単板積層材)や合板で形成されてなる矩形板状のものであり、その両側端面は連結ボルト付き柱1,1の側面に接着剤によって接着固定されている。
さらに、上構造材40の下端面は制振装置30の上の横フレーム31bに当接、固定されている。この固定は、横フレーム31bから上構造材40にビスや木ねじ等の止着材をねじ込むとともに、上構造材40の下端面を横フレーム31bに接着剤によって接着することによって行われている。
前記下構造材41は、上構造材40と同様に、LVL(単板積層材)や合板で形成されてなる矩形板状のものであり、その下端面は前記連結ボルト付き柱1の下端面より下方に位置しているとともに、床22に当接されている。
また、下構造材41の両側端面は連結ボルト付き柱1,1の側面に接着剤によって接着固定されている。
さらに、下構造材41の上端面は制振装置30の下の横フレーム31bに当接、固定されている。この固定は、横フレーム31bから下構造材41にビスや木ねじ等の止着材をねじ込むとともに、下構造材41の上端面を横フレーム31bに接着剤によって接着することによって行われている。
前記連結ボルト付き柱1,1の上端部には、梁45が架設されており、この梁45と連結ボルト付き柱1,1との交差部にガセットプレート46,46が正面と背面側から固定されている。
ガセットプレート46は鉄板等の金属板で形成された矩形板状のものであり、正面側のガセットプレート46は、連結ボルト付き柱1の上端部の正面、上構造材40の上端部の正面、梁45の正面に跨るようにして当接され、釘等の止着材によって固定されている。
同様に、背面側のガセットプレート46、連結ボルト付き柱1の上端部の背面、上構造材40の上端部の背面、梁45の背面に跨るようにして当接され、釘等の止着材によって固定されている。
なお、連結ボルト付き柱1の下端部は、上述したようにして基礎20に連結されており、連結金具10の側面は下構造材41に当接されている。
そして、連結ボルト付き柱1,1に制振装置30が取り付けられた建物の躯体では、建物に地震等の横揺れ振動によって変形が生じると、基礎20および土台21と、梁45とが互いに水平方向逆方向に変位する。これによって、制振装置30の矩形フレーム31の上下の横フレーム31b,31bが左右にずれるようにして変位するとともに、縦フレーム31a,31aが横方向に傾斜することによって矩形フレーム31が略平行四辺形状に変形する。
矩形フレーム31が略平行四辺形状に変形すると、一対の支持部32,32が斜め上下に互いに離間するようにして変位する。
一対の支持部32,32が変位することによって、振り子部材33が一対の支持部32,32間の略中央部を中心として振り子のように振れ、この振り子部材33の端部は振れが増幅され、これによって、前記一対の支持部32,32の変位が増幅される。
そして、振り子部材33の端部と制振ボックス34のプレート38とが連結されており、このプレート38は粘弾性体37,37間に挿入されかつ該一対の粘弾性体37,37に固着されているので、この粘弾性体37,37の変形を増幅できる。したがって、建物の小さな変形から制振機能を有効に働かせることができる。
また、粘弾性体37,37の変形速度も建物の変形速度より増幅することができるため、エネルギー吸収性能が変形速度に比例する粘弾性材料から形成された粘弾性体を用いる場合には、より効率的にエネルギーを吸収でき、大きな減衰力を発揮できる。
本実施の形態によれば、前記連結金具10と柱座金4との間に、前記位置決め手段(例えば突出部15および当接部16)が設けられているので、前記連結ボルト付き柱1と連結金具10との接合作業時には、前記柱2の側面と連結金具10の側面とが同一方向に向くように位置決めしつつ、前記連結金具10が連結ボルト3の周方向に沿って回転してしまうようなことを防ぐことができる。すなわち、前記柱座金4の平板部6に連結金具10の上壁11を当接させた際に、前記突出部15に、前記当接部16を当接させることができる。また、前記突出部15に、前記当接部16を当接させることによって、前記柱2の側面と連結金具10の側面とが同一方向に向けることができる。これによって、前記柱2に対する連結金具10の周方向の位置決めを容易かつ確実に行うことができる。
また、前記連結ボルト付き柱1と連結金具10とを接合した後には、前記連結金具10に、前記連結ボルト3の周方向に沿う回転力がかかった場合であっても、前記当接部16が突出部に当接していることによって、前記柱2の側面と連結金具10の側面とが同一方向に向くように位置決めした状態を確実に保持することができる。
1 連結ボルト付き柱
2 柱
3 連結ボルト
4 柱座金
6 平板部
10 連結金具
11 上壁
11a 孔
15 突出部
16 当接部

Claims (6)

  1. 柱の下端部に連結ボルトが柱の下端面から突出して設けられた連結ボルト付き柱と、基礎連結用の連結金具とを接合してなる連結金具の接合構造において、
    前記柱の下端部には、前記柱の下端面に当接するとともに前記連結ボルトの直径と略等しい内径のボルト挿通孔が形成された平板部を有する柱座金が取り付けられており、
    前記連結金具は、側面の少なくとも一部が開口した箱状に形成されており、この連結金具の上壁には、前記柱座金のボルト挿通孔に挿通された連結ボルトが挿通される孔が形成されており、
    この孔に前記連結ボルトを挿通するとともに、前記柱座金の平板部に連結金具の上壁を当接させたうえで、前記連結ボルトに前記連結金具の開口から挿入されたナットを螺合して締め付けることによって、前記連結ボルト付き柱と前記連結金具とが接合されており、
    前記連結金具と柱座金との間には、この連結金具が、前記柱に対して連結ボルトの周方向に沿って回転することを防ぐとともに、前記柱の側面と連結金具の側面とが同一方向に向くように位置決めする位置決め手段が設けられていることを特徴とする連結金具の接合構造。
  2. 請求項1に記載の連結金具の接合構造において、
    前記位置決め手段は、前記柱座金の平板部に形成されるとともに、前記連結金具側に突出する突出部と、
    前記連結金具の上壁側端部に形成されるとともに、前記柱の側面と連結金具の側面とが同一方向に向く際に前記突出部に当接する当接部と、を備えていることを特徴とする連結金具の接合構造。
  3. 請求項2に記載の連結金具の接合構造において、
    前記突出部は、前記平板部の複数の角部に形成されており、
    前記当接部は、前記連結金具の上壁側端部の複数の角部に、前記突出部の位置に対応して形成されていることを特徴とする連結金具の接合構造。
  4. 請求項3に記載の連結金具の接合構造において、
    前記突出部は、外側に傾斜するようにして突出形成されており、
    前記当接部は、前記連結金具の上壁側端部の複数の角部を面取りするようにして形成されており、前記突出部の傾斜角度に対応して傾斜していることを特徴とする連結金具の接合構造。
  5. 請求項2〜4のいずれか一項に記載の連結金具の接合構造において、
    前記位置決め手段は、前記連結金具の底壁側端部に形成されるとともに、前記連結金具の上壁側端部に形成された当接部と対称に構成された他の当接部を備えており、
    この連結金具の底壁にはアンカーボルトが挿通される孔が形成されており、
    この底壁に形成された孔と、前記上壁に形成された孔は略等しい内径に設定されていることを特徴とする連結金具の接合構造。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の連結金具の接合構造において、
    前記連結金具には、前記上壁に形成された孔から前記開口まで延在するスリット部が形成されていることを特徴とする連結金具の接合構造。
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