JP2023121280A - インクジェット捺染用インク組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】C.I.アシッドレッド138を含み、インクジェットノズルでの詰りが生じにくく、インクジェット捺染用インク組成物の固形分が析出した場合でも、当該固形分の再溶解性を良好とすることができ、インクジェット法による吐出信頼性に優れ、発色性、湿潤堅牢性、信頼性に優れた記録物の製造に用いることができるインクジェット捺染用インク組成物を提供すること。【解決手段】本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、C.I.アシッドレッド138と、20℃における水への溶解度が前記C.I.アシッドレッド138の0.05倍以上2.5倍以下であるバイオレット染料と、水溶性有機溶剤と、水と、を含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット捺染用インク組成物に関する。
近年、インクジェットプリントの用途が拡大しており、オフィス、家庭用の印刷機としてのほか、商業印刷、テキスタイルプリント等へも適用されている。
インクジェット用インクでは、所望のパターンを形成するために、インクジェット法による吐出信頼性に優れていることが求められる。
そして、布帛に対して付与されるインクジェット用インクであるインクジェット捺染用インク組成物も用いられている。
特に、布帛に対して付与されるインクジェット捺染用インク組成物においては、疎水性の高い酸性染料を用いることで、得られる記録物の水に対する堅牢性を良好とすることができるため有利であり、このような酸性染料として発色性に優れるC.I.アシッドレッド138を含むインクジェット捺染用インク組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002-348504号
しかしながら、C.I.アシッドレッド138は水に対する溶解性が低いため、従来のインクジェット捺染用インク組成物においてC.I.アシッドレッド138を用いた場合、ノズル詰りを生じやすく、インクジェット法による吐出信頼性が劣るという課題があった。また、インクジェット捺染用インク組成物中におけるC.I.アシッドレッド138の含有量を高めることが困難なため、色濃度、光学濃度をさらに高めることが困難であり、C.I.アシッドレッド138が本来有している発色性を十分に生かすことが困難であった。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することができる。
本発明の適用例に係るインクジェット捺染用インク組成物は、C.I.アシッドレッド138と、
20℃における水への溶解度が前記C.I.アシッドレッド138の0.05倍以上2.5倍以下であるバイオレット染料と、
水溶性有機溶剤と、
水と、を含有する。
また、本発明の他の適用例に係るインクジェット捺染用インク組成物では、前記バイオレット染料の20℃における水への溶解度が50g/L以下である。
また、本発明の他の適用例に係るインクジェット捺染用インク組成物では、前記バイオレット染料の重量平均分子量をMw(V)、前記バイオレット染料が分子内に有するアニオン性基の数をX個としたとき、500<Mw(V)/Xの関係を満たす。
また、本発明の他の適用例に係るインクジェット捺染用インク組成物では、前記バイオレット染料が、C.I.アシッドバイオレット48,54および109よりなる群から選択される1種以上である。
また、本発明の他の適用例に係るインクジェット捺染用インク組成物では、前記C.I.アシッドレッド138の含有量が1.0質量%以上4.0質量%以下である。
また、本発明の他の適用例に係るインクジェット捺染用インク組成物では、前記バイオレット染料の含有量が0.5質量%以上2.0質量%以下である。
また、本発明の他の適用例に係るインクジェット捺染用インク組成物では、前記C.I.アシッドレッド138の含有量をXR[質量%]、前記バイオレット染料の含有量をXV[質量%]としたとき、1.0≦XR/XV≦3.0の関係を満たす。
また、本発明の他の適用例に係るインクジェット捺染用インク組成物では、インクジェット捺染用インク組成物中に含まれる全色材の含有量が6.0質量%以下である。
また、本発明の他の適用例に係るインクジェット捺染用インク組成物では、前記C.I.アシッドレッド138の含有量に対する尿素類の含有量の比率は、質量比で、0.10以下である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[1]インクジェット捺染用インク組成物
まず、本発明のインクジェット捺染用インク組成物について説明する。
C.I.アシッドレッド138は、発色性に優れ、かつ、疎水性の高い酸性染料であることから、インク組成物としての発色性、記録物の水に対する堅牢性を向上させる上で有利であると考えられてきた。
しかしながら、C.I.アシッドレッド138は、疎水性が高いがゆえに、水に対する親和性が低く、従来においては、C.I.アシッドレッド138を用いた場合、インクジェット法による吐出信頼性が低下してしまうという問題があった。本発明者が研究を行った結果、このような問題は、インク組成物中において、C.I.アシッドレッド138が凝集、結晶化していることに起因していることが分かった。
そこで、本発明者は、さらに鋭意研究を行うことにより、C.I.アシッドレッド138と、水に対する親和性、すなわち、水への溶解性がC.I.アシッドレッド138に近しい染料とを併用することで、上記のようなC.I.アシッドレッド138を用いることによる利益を得つつ、染料の凝集、結晶化を抑制し、吐出信頼性を良好とすることができることを見出した。
すなわち、本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、C.I.アシッドレッド138と、20℃における水への溶解度が前記C.I.アシッドレッド138の0.05倍以上2.5倍以下であるバイオレット染料と、水溶性有機溶剤と、水と、を含有する。
これにより、発色性に優れ、耐水堅牢性に優れるとともに、インクジェットノズルでの詰りが生じにくく、インクジェット法による吐出信頼性を優れたものとすることができる。また、水溶性が近い染料を含むことで、インクジェット捺染用インク組成物の固形分が析出した場合でも、当該固形分中における染料の結晶化を効果的に抑制することができ、当該固形分の再溶解性を良好とすることができる。また、C.I.アシッドレッド138と併用する染料を、バイオレット染料とすることで、インクジェット捺染用インク組成物により形成される記録部をマゼンタ色調とすることができる。また、インクジェット捺染用インク組成物により形成される記録部の耐光性も優れたものとすることができる。
これに対し、上記のような条件を満たさない場合には、満足のいく結果が得られない。
例えば、インクジェット捺染用インク組成物が、色材としてC.I.アシッドレッド138のみを含む場合、上記のようなC.I.アシッドレッド138の凝集、結晶化を抑制する作用が発揮されず、インクジェット捺染用インク組成物のインクジェット法による吐出信頼性が著しく劣ったものとなる。
また、インクジェット捺染用インク組成物が、C.I.アシッドレッド138とともに、他の色材を含むものであっても、当該他の色材の20℃における水への溶解度が小さすぎると、インクジェット捺染用インク組成物のインクジェット法による吐出信頼性が著しく低下し、製造される記録物の信頼性も劣ったものとなる。これは、水溶解性の低い前記他の色材だけが凝集、結晶化し、且つ再溶解しにくいことで、吐出信頼性が著しく低下するためである。さらには、C.I.アシッドレッド138の凝集、結晶化の抑制にも寄与しない。
また、インクジェット捺染用インク組成物が、C.I.アシッドレッド138とともに、他の色材を含むものであっても、当該他の色材の20℃における水への溶解度が大きすぎると、インクジェット捺染用インク組成物を用いて製造される記録物の耐水堅牢性が著しく低下する。また官能基が多いことでエネルギーを受けた時にその影響を受けやすく、記録物の耐光性が低下するものも多い。
[1-1]色材
本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、色材として、少なくとも、C.I.アシッドレッド138と、20℃における水への溶解度がC.I.アシッドレッド138の0.05倍以上2.5倍以下であるバイオレット染料とを含む。
以下、20℃における水への溶解度がC.I.アシッドレッド138の0.05倍以上2.5倍以下であるバイオレット染料のことを「特定バイオレット染料」とも言う。
本発明のインクジェット捺染用インク組成物中に含まれる全色材の含有量は、6.0質量%以下であるのが好ましく、1.5質量%以上4.7質量%以下であるのがより好ましく、2.0質量%以上4.5質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、インクジェット捺染用インク組成物を用いて形成される記録部において、十分な色濃度、光学濃度を確保しやすくなるとともに、インクジェット捺染用インク組成物の保存安定性、吐出信頼性等をさらに優れたものとすることができる。
[1-1-1]C.I.アシッドレッド138
本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、酸性染料であるC.I.アシッドレッド138を含んでいる。
本発明のインクジェット捺染用インク組成物中におけるC.I.アシッドレッド138の含有量は、1.0質量%以上4.0質量%以下であるのが好ましく、1.4質量%以上3.9質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、インクジェット捺染用インク組成物を用いて形成される記録部において、十分な色濃度、光学濃度を確保しやすくなるとともに、インクジェット捺染用インク組成物の保存安定性、吐出信頼性等をさらに優れたものとすることができる。
[1-1-2]特定バイオレット染料
本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、特定バイオレット染料、すなわち、20℃における水への溶解度がC.I.アシッドレッド138の0.05倍以上2.5倍以下であるバイオレット染料を含んでいる。
上記のように、C.I.アシッドレッド138とともにインクジェット捺染用インク組成物中に含まれる特定バイオレット染料の20℃における水への溶解度は、C.I.アシッドレッド138の20℃における水への溶解度の0.05倍以上2.5倍以下であればよいが、0.05倍以上2.0倍以下であるのが好ましく、0.05倍以上1.9倍以下であるのがより好ましく、0.05倍以上0.12倍以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。
なお、C.I.アシッドレッド138の20℃における水への溶解度は、19g/Lである。
特定バイオレット染料の20℃における水への溶解度は、50g/L以下であるのが好ましく、1.0g/L以上40g/L以下であるのがより好ましく、1.0g/L以上20g/L以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。
本発明のインクジェット捺染用インク組成物に含まれる特定バイオレット染料の重量平均分子量をMw(V)、当該特定バイオレット染料が分子内に有するアニオン性基の数をX個としたとき、500<Mw(V)/Xの関係を満たすのが好ましく、550≦Mw(V)/X≦1000の関係を満たすのがより好ましく、600≦Mw(V)/X≦900の関係を満たすのがさらに好ましい。
これにより、インクジェット捺染用インク組成物のインクジェット法による吐出信頼性をより優れたものとすることができるとともに、インクジェット捺染用インク組成物を用いて形成される記録部の耐水堅牢性をより優れたものとすることができる。
なお、特定バイオレット染料として、複数種の染料を組み合わせて用いる場合には、Mw(V)、Xの値としては、インクジェット捺染用インク組成物に含まれる複数種の特定バイオレット染料の質量比での含有量の比率に基づく加重平均値を採用することができる。
特定バイオレット染料としては、例えば、カラーインデックスで「バイオレット」が付く名称の染料のうち、上記のような水への溶解度の条件を満たすものを用いることができるが、より具体的には、C.I.アシッドバイオレット48,54,109、C.I.ダイレクトバイオレット66,107等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、特定バイオレット染料は、C.I.アシッドバイオレット48,54および109よりなる群から選択される1種以上であるのが好ましく、C.I.アシッドバイオレット54であるのがより好ましい。
これにより、インクジェット捺染用インク組成物のインクジェット法による吐出信頼性をより優れたものとすることができるとともに、インクジェット捺染用インク組成物を用いて形成される記録部の耐水堅牢性をより優れたものとすることができる。また、インクジェット捺染用インク組成物を用いて形成される記録部の色調、色相角をより好適なものとすることができる。
本発明のインクジェット捺染用インク組成物中における特定バイオレット染料の含有量は、0.5質量%以上2.0質量%以下であるのが好ましく、0.7質量%以上1.8質量%以下であるのがより好ましく、0.9質量%以上1.6質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、インクジェット捺染用インク組成物のインクジェット法による吐出信頼性をより優れたものとすることができるとともに、インクジェット捺染用インク組成物を用いて形成される記録部の耐水堅牢性をより優れたものとすることができる。また、インクジェット捺染用インク組成物を用いて形成される記録部の色調、色相角をより好適なものとすることができる。
本発明のインクジェット捺染用インク組成物中における、C.I.アシッドレッド138の含有量をXR[質量%]、特定バイオレット染料の含有量をXV[質量%]としたとき、1.0≦XR/XV≦3.0の関係を満たすのが好ましく、1.0≦XR/XV≦2.5の関係を満たすのがより好ましく、1.0≦XR/XV≦1.8の関係を満たすのがさらに好ましい。
これにより、インクジェット捺染用インク組成物のインクジェット法による吐出信頼性をより優れたものとすることができるとともに、インクジェット捺染用インク組成物を用いて形成される記録部の耐水堅牢性、発色性をより優れたものとすることができる。また、インクジェット捺染用インク組成物を用いて形成される記録部の色調、色相角をより好適なものとすることができる。
[1-1-3]その他の色材
本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、色材として、C.I.アシッドレッド138および特定バイオレット染料を含んでいるが、さらに、これら以外の色材を含んでいてもよい。以下、C.I.アシッドレッド138、特定バイオレット染料以外の色材を「その他の色材」ともいう。
本発明のインクジェット捺染用インク組成物中におけるその他の色材の含有量は、0.5質量%以下であるのが好ましく、0.3質量%以下であるのがより好ましく、0.1質量%以下であるのがさらに好ましい。
なお、本発明のインクジェット捺染用インク組成物がその他の色材として複数種の成分を含む場合には、これらの成分の含有量の和が前記範囲内の値であるのが好ましい。
本発明のインクジェット捺染用インク組成物中に含まれる色材全体に対するその他の色材の割合は、質量比で、10%以下であるのが好ましく、5.0%以下であるのがより好ましく、1.0%以下であるのがさらに好ましい。
[1-2]水溶性有機溶剤
本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、水溶性有機溶剤を含んでいる。
これにより、インクジェット捺染用インク組成物の保湿性を向上させることができ、インクジェットヘッド等での乾燥等により、インクジェット捺染用インク組成物の固形分が不本意に析出してしまうこと等をより効果的に防止することができる。また、インクジェット捺染用インク組成物の粘度をより好適に調整することができる。このようなことから、インクジェット法によるインクジェット捺染用インク組成物の吐出信頼性をさらに優れたものとすることができる。
水溶性有機溶剤は、水に対して溶解性を示す有機溶媒であればよいが、例えば、20℃における水への溶解度が10g/100g水以上の有機溶媒を好適に用いることができる。
水溶性有機溶剤の1気圧下での沸点は、150℃以上350℃以下であるのが好ましい。
これにより、インクジェット捺染用インク組成物の保湿性をさらに向上させることができ、インクジェットヘッド等での乾燥等により、インクジェット捺染用インク組成物の固形分が不本意に析出してしまうこと等をさらに効果的に防止することができる。このようなことから、インクジェット法によるインクジェット捺染用インク組成物の吐出信頼性をさらに優れたものとすることができる。また、インクジェット捺染用インク組成物を吐出した後、必要時においては、比較的容易に揮発させることができ、製造される記録物中に、水溶性有機溶剤が不本意に残存することをより効果的に防止することができる。
このような水溶性有機溶剤としては、例えば、アルキルモノアルコール類;アルキルジオール類;グリセリン;グリコール類;グリコールモノエーテル類;ラクタム類等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
グリコール類としては、例えば、トリエタノールアミン;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。また、グリコールモノエーテル類としては、例えば、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。また、ラクタム類としては、例えば、2―ピロリドン等が挙げられる。
本発明のインクジェット捺染用インク組成物中における水溶性有機溶剤の含有量は、4.0質量%以上40.0質量%以下であるのが好ましく、9.0質量%以上35.0質量%以下であるのがより好ましく、11.0質量%以上30.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、インクジェット捺染用インク組成物の粘度をより好適なものとしつつ、インクジェット捺染用インク組成物の保湿性をより好適に向上させることができる。その結果、インクジェット法によるインクジェット捺染用インク組成物の吐出信頼性をさらに優れたものとすることができる。
[1-3]水
本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、水を含んでいる。
水は、通常、インクジェット捺染用インク組成物の主成分であり、前述した色材の溶媒として機能する。このような水を含むことにより、インクジェット捺染用インク組成物は、好適な流動性、粘度を有するものとなり、インクジェット法による吐出を好適に行うことができる。また、インクジェット捺染用インク組成物が付与される記録媒体、特に、布帛へのダメージをより効果的に抑制できる。また、VOC(揮発性有機化合物)の問題を抑制する観点からも好ましい。
インクジェット捺染用インク組成物中における水の含有量は、特に限定されないが、40.0質量%以上95.0質量%以下であるのが好ましく、60.0質量%以上94.0質量%以下であるのがより好ましく、70.0質量%以上93.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、色材等の含有量を十分に高いものとしつつ、インクジェット捺染用インク組成物の吐出信頼性等をより優れたものとすることができる。
また、インクジェット捺染用インク組成物中における水の含有量をXW[質量%]、インクジェット捺染用インク組成物中における水溶性有機溶剤の含有量をXH[質量%]としたとき、XH/XWは、0.05以上0.50以下であるのが好ましく、0.10以上0.45以下であるのがより好ましく、0.15以上0.43以下であるのがさらに好ましい。
これにより、インクジェット捺染用インク組成物の粘度をより好適なものとしつつ、インクジェット捺染用インク組成物の保湿性をより好適に向上させることができる。その結果、インクジェット法によるインクジェット捺染用インク組成物の吐出信頼性等をさらに優れたものとすることができる。
[1-4]尿素類
本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、尿素類を含んでいてもよい。
尿素類は、インクジェット捺染用インク組成物の保湿剤として機能したり、色材、特に、反応性染料の染着性を向上させる染着助剤として機能したりする。
尿素類としては、例えば、尿素、エチレン尿素、テトラメチル尿素、チオ尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられる。
ただし、インクジェット捺染用インク組成物中におけるC.I.アシッドレッド138との組合せにおいては、過度に含有した場合にC.I.アシッドレッド138と尿素類が反応を起こし凝集物を産生し吐出信頼性を損ねることから、インクジェット捺染用インク組成物中におけるC.I.アシッドレッド138に対する尿素類の含有量の比率は、質量比で、0.10以下であるのが好ましく、0.05以下であるのがより好ましく、0.01以下であるのがさらに好ましい。
これにより、C.I.アシッドレッド138と尿素類とが反応し凝集物を生じてしまうことをより効果的に防止することができる。
なお、インクジェット捺染用インク組成物は尿素類を含んでいなくてもよい。すなわち、インクジェット捺染用インク組成物中におけるC.I.アシッドレッド138の含有量に対する尿素類の含有量の比率の下限値はゼロである。
[1-5]その他の成分
本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、前述した成分以外の成分を含んでいてもよい。以下、このような成分を「その他の成分」ともいう。
その他の成分としては、例えば、pH調整剤;キレート化剤;防腐剤・防かび剤;防錆剤;防炎剤;各種分散剤;界面活性剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;酸素吸収剤;溶解助剤;浸透剤等が挙げられる。
キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸塩等が挙げられる。また、防腐剤・防かび剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2-ピリジンチオール-1-オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2-ジベンゾイソチアゾリン-3-オン、4-クロロ-3-メチルフェノール等が挙げられる。また、防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
防腐剤・防かび剤としては、例えば、分子内にイソチアゾリン環構造を有する化合物を好適に用いることができる。
界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の各種界面活性剤を用いることができる。
その他の成分の含有量は、6.0質量%以下であるのが好ましく、5.0質量%以下であるのがより好ましい。
なお、その他の成分の含有量の下限は、0質量%である。
[1-6]その他
本発明のインクジェット捺染用インク組成物の20℃における表面張力は、特に限定されないが、20mN/m以上50mN/m以下であるのが好ましく、21mN/m以上45mN/m以下であるのがより好ましく、23mN/m以上43mN/m以下であるのがさらに好ましい。
これにより、インクジェットヘッドのノズルの目詰まり等がより生じにくくなり、インクジェット捺染用インク組成物の吐出信頼性がより向上する。また、ノズルの詰まりを生じた場合でも、ノズルにキャップをすることによる回復性をより優れたものとすることができる。
なお、表面張力としては、ウィルヘルミー法、もしくはリング法により測定した値を採用することができる。表面張力の測定は、表面張力計(例えば、協和界面科学社製、DY-300、DY-500、DY-700等)を用いることができる。
本発明のインクジェット捺染用インク組成物の20℃における粘度は、2mPa・s以上10mPa・s以下であるのが好ましく、3mPa・s以上8mPa・s以下であるのがより好ましく、4mPa・s以上6mPa・s以下であるのがさらに好ましい。
これにより、インクジェット捺染用インク組成物のインクジェット法による吐出信頼性がより優れたものとなる。
なお、粘度は、振動式粘度計を用いたJIS Z8809に準拠した測定により求めることができる。
本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、インクジェット法による吐出に供されるものであればよく、インクジェット法としては、例えば、荷電偏向方式、コンティニュアス方式、ピエゾ式、バブルジェット(登録商標)式等のオンデマンド方式等が挙げられるが、本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、特に、ピエゾ振動子を用いたインクジェットヘッドより吐出されるものであるのが好ましい。
これにより、インクジェットヘッド内での色材の変性をより効果的に防止し、インクジェット法による吐出信頼性をより優れたものとすることができる。
[2]インクジェット捺染用インク組成物セット
次に、本発明に係るインクジェット捺染用インク組成物セットについて説明する。
本発明に係るインクジェット捺染用インク組成物セットは、複数のインクジェット捺染用インク組成物を備えている。そして、インクジェット捺染用インク組成物セットを構成する少なくとも1つのインクジェット捺染用インク組成物が、前述した本発明のインクジェット捺染用インク組成物である。
本発明に係るインクジェット捺染用インク組成物セットを構成する複数のインクジェット捺染用インク組成物のうち、少なくとも1つが前述した本発明のインクジェット捺染用インク組成物であればよく、本発明に係るインクジェット捺染用インク組成物セットは、前述した本発明のインクジェット捺染用インク組成物ではないインクジェット捺染用インク組成物を備えていてもよい。
本発明に係るインクジェット捺染用インク組成物セットは、色の三原色、すなわち、シアン、マゼンタおよびイエローに対応する3種のインクジェット捺染用インク組成物を備えているのが好ましい。なお、色の三原色については、その色濃度によって、さらに細分化されていてもよい。例えば、シアン、マゼンタおよびイエローに加え、ライトシアン、ライトマゼンタおよびライトイエローを備えていてもよい。
また、本発明に係るインクジェット捺染用インク組成物セットは、上記の有彩色のインクに加えて、無彩色のインク、より具体的には、黒色のインクを、さらに備えているのが好ましい。
[3]記録方法
次に、本発明に係る記録方法について説明する。
本発明に係る記録方法は、本発明のインクジェット捺染用インク組成物をインクジェット法により吐出し、記録媒体に付着させる工程を有する。
これにより、インクジェット捺染用インク組成物のインクジェットノズルでの詰りが生じにくく、インクジェット捺染用インク組成物の固形分が析出した場合でも、当該固形分の再溶解性を良好とすることができ、C.I.アシッドレッド138を含み、発色性、湿潤堅牢性、信頼性に優れた記録物を安定的に製造することができる記録方法を提供することができる。
特に、本実施形態の記録方法は、記録媒体に対し、本発明のインクジェット捺染用インク組成物をインクジェット方式により付与する吐出工程と、前記記録媒体に対し、付与されたインクジェット捺染用インク組成物の染着処理をする染着処理工程とを有する。また、以下の説明では、記録媒体として、布帛を用いる場合について代表的に説明する。
[3-1]吐出工程
吐出工程では、インクジェット法により本発明のインクジェット捺染用インク組成物を液滴として吐出し、記録媒体である布帛に、当該液滴を付着させる。これにより、所望の像を形成する。像の形成には、複数種のインクジェット捺染用インク組成物、例えば、本発明のインクジェット捺染用インク組成物を用いてもよい。
インクジェット捺染用インク組成物を吐出するインクジェット法は、いずれの方式でもよく、例えば、荷電偏向方式、コンティニュアス方式、ピエゾ式、バブルジェット(登録商標)式等のオンデマンド方式等が挙げられる。
[3-2]染着処理工程
染着処理工程では、記録媒体である布帛に付着した色材を定着させる。
染着処理工程は、通常、高温加湿の条件で行う。
染着処理工程での処理温度は、特に限定されないが、90℃以上150℃以下であるのが好ましく、95℃以上130℃以下であるのがより好ましく、98℃以上120℃以下であるのがさらに好ましい。
これにより、記録媒体である布帛やインクジェット捺染用インク組成物の構成成分等の不本意な変性、劣化等をより効果的に防止しつつ、より効率よく色材を定着させることができる。
染着処理工程の処理時間は、特に限定されないが、1分間以上120分間以下であるのが好ましく、2分間以上90分間以下であるのがより好ましく、3分間以上60分間以下であるのがさらに好ましい。
これにより、記録媒体である布帛に対する色材の染着性をより優れたものとしつつ、記録物の生産性をより優れたものとすることができる。
染着処理工程での高温加湿処理には、各種のスチーマー、例えば、マチス社製、スチーマーDHe型等を用いることができる。
本発明に係る記録方法では、必要に応じて、吐出工程、染着処理工程以外の工程を有していてもよい。
例えば、吐出工程に先立って、記録媒体としての布帛に対して前処理を施す前処理工程を有していてもよい。
前処理には、例えば、公知の前処理剤を用いることができるが、前処理剤は、一般に、糊剤、pH調整剤およびヒドロトロピー剤を含んでいる。
糊剤としては、例えば、天然ガム類、澱粉類、海草類、植物皮類、繊維素誘導体、加工澱粉、加工天然ガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン誘導体、合成糊、エマルジョン等を好適に用いることができる。
天然ガム類としては、例えば、グア、ローカストビーン等が挙げられる。また、海草類としては、例えば、ふのり等が挙げられる。また、植物皮類としては、例えば、ペクチン酸等が挙げられる。また、繊維素誘導体としては、例えば、メチル繊維素、エチル繊維素、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。また、加工澱粉としては、例えば、焙焼澱粉、アルファ澱粉、カルボキシメチル澱粉、カルボキシエチル澱粉、ヒドロキシエチル澱粉等が挙げられる。また、加工天然ガムとしては、例えば、シラツガム系、ローストビーンガム系等のものが挙げられる。また、合成糊としては、例えば、ポリビニールアルコール、ポリアクリル酸エステル等が挙げられる。
また、pH調整剤としては、例えば、硫酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム等の酸アンモニウム塩等を好適に用いることができる。
また、ヒドロトロピー剤としては、例えば、尿素、ジメチル尿素、チオ尿素、モノメチルチオ尿素、ジメチルチオ尿素等のアルキル尿素等の各種の尿素類を用いることができる。
なお、前処理剤は、例えば、さらに、シリカを含んでいてもよい。
また、例えば、染着処理工程の後、必要に応じて、染料が定着された布帛に対する洗浄処理を行う洗浄工程を有していてもよい。
洗浄工程は、例えば、染料が定着された布帛を水道水で揉み洗いした後に、40℃以上70℃以下の温水中に、ノニオン性ソーピング剤を添加した洗浄液中に、適宜撹拌しながら浸漬することにより行うことができる。洗浄液中への浸漬時間は、例えば、5分間以上60分間以下とすることができる。その後、洗浄液中に水道水を入れながら手揉み洗いをすることにより洗浄剤を除去することができる。
[3-3]布帛
次に、インクジェット捺染用インク組成物が付与される記録媒体としての布帛について説明する。
布帛としては、例えば、平織、斜文織、朱子織、変化平織、変化斜文織、変化朱子織、変わり織、紋織、片重ね織、二重組織、多重組織、経パイル織、緯パイル織、絡み織等の各種織物を用いることができる。
また、布帛を構成する繊維の太さは、例えば、10d以上100d以下とすることができる。
布帛を構成する繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、トリアセテート繊維、ジアセテート繊維、ポリアミド繊維、セルロース繊維等の合成繊維、レーヨン等の再生繊維、木綿、絹、羊毛等の天然繊維等が挙げられ、これらの混紡品を用いてもよい。
[4]記録物
本発明に係る記録物は、前述した本発明のインクジェット捺染用インク組成物を用いて製造されたものであり、前述した記録方法を用いて製造することができる。
これにより、インクジェット法による吐出不良等に起因する不良の発生が効果的に防止され、かつ、発色性、湿潤堅牢性、信頼性に優れた記録物を提供することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態では、インクジェット法により本発明のインクジェット捺染用インク組成物が付与される記録媒体が布帛である場合について中心的に説明したが、インクジェット法により本発明のインクジェット捺染用インク組成物が付与される記録媒体は、いかなるものであってもよい。例えば、インクジェット法により本発明のインクジェット捺染用インク組成物が付与される記録媒体は、普通紙等の紙や、インクジェット用専用紙、コート紙等で呼称されるインク受容層が設けられた記録媒体等の中間転写媒体であってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[5]インクジェット捺染用インク組成物の調製
(実施例1)
表1に示す各成分を所定の比率で所定の容器に入れて、スターラーで1時間混合および攪拌した。その後、孔径1μmのメンブランフィルター(メルクミリポア社製、オムニポアメンブレンフィルター:JAWP)で濾過することで、表1に示す組成のインクジェット捺染用インク組成物を得た。
(実施例2~14)
インクジェット捺染用インク組成物の調製に用いる成分の種類、各成分の配合比率を変更し、表1に示す組成となるようにした以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット捺染用インク組成物を調製した。
(比較例1~4)
インクジェット捺染用インク組成物の調製に用いる成分の種類、各成分の配合比率を変更し、表1に示す組成となるようにした以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット捺染用インク組成物を調製した。
[6]評価
前記各実施例および各比較例のインクジェット捺染用インク組成物について、以下のような評価を行った。
[6-1]吐出回復性
前記各実施例および各比較例のインクジェット捺染用インク組成物を、それぞれインクジェットプリンターPX-G930(セイコーエプソン社製)に充填し、プリントヘッドから正常に吐出することを確認した。
その後、プリントヘッドを待機位置からずらして印字領域にて停止させた状態で、40℃、20%RHの環境に3日間、放置した。放置後、プリントヘッドを待機位置に戻して、クリーニング動作を行い、吐出が回復するまでにかかったクリーニング回数を数えた。
[6-2]発色濃度
評価布帛として絹帛(絹羽二重14匁、色染社製)を用意し、これに、下記の前処理液を塗布し、マングルにてピックアップ率20%で絞り、乾燥させることにより、記録物製造用の布帛を得た。
アルギン酸ナトリウム: 1.0質量%
グアーガム : 1.0質量%
硫酸アンモニウム : 4.0質量%
尿素 :10.0質量%
水 :84.0質量%
セイコーエプソン社製のインクジェット捺染機“Monna-Lisa EVO TRE 16”に、前記各実施例および各比較例のインクジェット捺染用インク組成物を充填したインクカートリッジを装着して、“900×600D.P.I.、2パス”印刷モードにて、上記の記録物製造用の布帛に対し、単位面積当たりの塗布量が1.2mg/cmになるように均等にベタ印刷を実施した。
印刷後、スチーマー(マチス社製;スチーマーDHe型)を用いて、100℃×30分間のスチーム処理を行い、その後、水洗して未固着の染料を除去した。
さらに、ラッコールSTA(洗浄助剤;明成化学社製)を0.2質量%含む55℃のお湯を用いて10分洗浄し、これを乾燥させて、記録物としての印捺布を得た。
分光濃度計FD-7(コニカミノルタ社製)を用いて、測定条件[光源:D65、視野角10度、Status T、UVフィルタ有、グリーンフィルタ]にて、上記のようにして得られた各印捺布の発色濃度(Dm値)を求めた。
[6-3]耐水堅牢度
上記[6-2]で得られた各実施例および各比較例に係る印捺布について、JIS L 0844:2011 A-2法に従い、各堅牢度試験を実施し、JIS L 0801の箇条10のa)視感法に基づく等級を求めた。なお添付白布は、JIS L 0803記載の絹(2-1号)を使用した。
[6-4]色相角
上記[6-3]の耐水堅牢性の評価に供した印捺布について、分光濃度計FD-7(コニカミノルタ社製)を用いて、Lab値を求め、a値およびb値から色相角θを算出した。計算値は以下の通りである。
0≦a、0≦bのとき:θ=tan-1(a/b)×180÷π
0≧aのとき :θ=tan-1(a/b)×180÷π+180
0≦a、0≧bのとき:θ=tan-1(a/b)×180÷π+360
なお、色を順序だてて円環状にした色相環において、バイオレット染料は、概ね270~360度の範囲に含まれ、中でも300度付近の色相を示すものが好ましい。
[6-5]耐光性
上記[6-2]で述べたのと同様にして製造した各実施例および各比較例に係る印捺布について、JIS L 0843:2006のA-2法に従い耐光性試験を実施した。
これらの結果を、前記各実施例および各比較例のインクジェット捺染用インク組成物の組成とともに、表1にまとめて示す。なお、表中、各成分の含有量の単位は質量%であり、20℃における水に対する溶解度が19g/Lの酸性染料であるC.I.アシッドレッド138を「AR138」、20℃における水に対する溶解度が36g/Lで、分子量:678、分子内に有するアニオン性基の数:1個の酸性染料であるC.I.アシッドバイオレット48を「AV48」、20℃における水に対する溶解度が2.3g/Lで、分子量:663、分子内に有するアニオン性基の数:1個の酸性染料であるC.I.アシッドバイオレット54を「AV54」、20℃における水に対する溶解度が1.0g/Lで、分子量:834、分子内に有するアニオン性基の数:1個の酸性染料であるC.I.アシッドバイオレット109を「AV109」、20℃における水に対する溶解度が1.7g/Lで、分子量:431、分子内に有するアニオン性基の数:2個の酸性染料であるC.I.アシッドバイオレット43を「AV43」、20℃における水に対する溶解度が0.12g/Lで、分子量:624、分子内に有するアニオン性基の数:2個の酸性染料であるC.I.アシッドバイオレット50を「AV50」、20℃における水に対する溶解度が129g/Lで、分子量:762、分子内に有するアニオン性基の数:2個の酸性染料であるC.I.アシッドバイオレット17を「AV17」、トリエチレングリコールモノブチルエーテルを「TEGmBE」、アセチレングリコール系界面活性剤であるオルフィンPD002W(日信化学工業社製)を「PD002W」、トリエタノールアミンを「TEA」、Proxel XL-2(Lonza社製)を「XL2」と示した。また、前記各実施例のインクジェット捺染用インク組成物は、いずれも、20℃における表面張力が20mN/m以上50mN/m以下の範囲内の値であり、20℃における粘度が2mPa・s以上10mPa・s以下の範囲内の値であった。なお、表面張力は、表面張力計(協和界面科学社製、DY-300)を用いてウィルヘルミー法により測定し、粘度は、振動式粘度計(セコニック社製、VM-100)を用いたJIS Z8809に準拠して測定した。
また、表中の耐水堅牢性の評価は、JIS L 0801の箇条10のa)視感法に基づいて評価した等級を示す。
また、表中の耐光性の評価を示す数値は、変退色の程度が同程度であったブルースケールの等級を示し、数値が大きい方が耐光性に優れているといえる。なお、例えば「3/4」のように二つの等級を示す場合は、変退色が、数値が低い側のブルースケールの等級よりも小さく、数値が高い側のブルースケールの等級よりも大きかったことを示す。
表1から明らかなように、本発明では優れた結果が得られたのに対し、比較例では、満足のいく結果が得られなかった。

Claims (9)

  1. C.I.アシッドレッド138と、
    20℃における水への溶解度が前記C.I.アシッドレッド138の0.05倍以上2.5倍以下であるバイオレット染料と、
    水溶性有機溶剤と、
    水と、を含有する、インクジェット捺染用インク組成物。
  2. 前記バイオレット染料の20℃における水への溶解度が50g/L以下である、請求項1に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
  3. 前記バイオレット染料の重量平均分子量をMw(V)、前記バイオレット染料が分子内に有するアニオン性基の数をX個としたとき、500<Mw(V)/Xの関係を満たす、請求項1または2に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
  4. 前記バイオレット染料が、C.I.アシッドバイオレット48,54および109よりなる群から選択される1種以上である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
  5. 前記C.I.アシッドレッド138の含有量が1.0質量%以上4.0質量%以下である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
  6. 前記バイオレット染料の含有量が0.5質量%以上2.0質量%以下である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
  7. 前記C.I.アシッドレッド138の含有量をXR[質量%]、前記バイオレット染料の含有量をXV[質量%]としたとき、1.0≦XR/XV≦3.0の関係を満たす、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
  8. インクジェット捺染用インク組成物中に含まれる全色材の含有量が6.0質量%以下である、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
  9. 前記C.I.アシッドレッド138の含有量に対する尿素類の含有量の比率は、質量比で、0.10以下である、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
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