JP2023121163A - エレベータシステム、運転制御方法及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】エレベータ側に運転サービスに必要な最小限の制御プログラムのみを残して、エレベータの運転制御を可能とする。【解決手段】一実施形態に係るエレベータシステムは、エレベータに設置された制御装置と、クラウド内に設けられたサーバとを備え、前記制御装置は回線接続用のコントローラを介して前記サーバに接続される。前記制御装置には、運転サービスに必要な最小限の機能を実行するためのプログラムが記憶される。前記サーバは、前記エレベータの運転制御を行うための主要な制御プログラムを記憶した記憶手段と、前記制御装置から前記エレベータで発生した運転信号を取得する信号取得手段と、前記制御プログラムの中から前記運転信号の処理に必要なプログラムを選択し、当該プログラムに従って制御信号を生成する信号生成手段と、前記制御信号を前記制御装置に送信して、前記制御装置に前記運転信号に対する処理を実行させる運転制御手段とを具備する。【選択図】 図1
Description
本発明の実施形態は、エレベータシステム、運転制御方法及びプログラムに関する。
エレベータの制御装置(制御盤とも称す)は、昇降路内あるいは機械室に設置され、乗りかごの運転制御の他、巻上機やブレーキの駆動制御、ドアの開閉制御など、エレベータの運転に関わる一連の制御を実行している。
通常、この制御装置には、エレベータの運転制御に関わるすべての制御プログラムが記憶されている。このため、例えば制御プログラムに不具合があった場合、あるいは、制御プログラムをバージョンアップする場合には、各地に設置された全てのエレベータの制御装置に対し、制御プログラムの更新作業を必要とし、作業員に多大な負担がかかっているのが現状である。
なお、遠隔操作により、制御装置内の制御プログラムを更新する方法もあるが、プログラムの量が莫大であるため、更新している間、エレベータの運転サービスを止めておく必要があり、利用者に迷惑がかかる。
上述したように、エレベータの制御装置に制御プログラムが記憶されているため、更新時に作業員の負担が大きく、また、エレベータの運転サービスを停止する必要があった。
本発明が解決しようとする課題は、エレベータ側に運転サービスに必要な最小限の制御プログラムのみを残して、エレベータの運転制御を可能とし、制御プログラムの更新時における作業員の負担を軽減でき、また、エレベータの運転サービスを継続できるエレベータシステム、運転制御方法及びプログラムを提供することである。
一実施形態に係るエレベータシステムは、エレベータに設置された制御装置と、クラウド内に設けられたサーバとを備え、前記制御装置は回線接続用のコントローラを介して前記サーバに接続される。
前記制御装置には、運転サービスに必要な最小限の機能を実行するためのプログラムが記憶される。前記サーバは、前記エレベータの運転制御を行うための主要な制御プログラムを記憶した記憶手段と、前記制御装置から前記エレベータで発生した運転信号を取得する信号取得手段と、前記制御プログラムの中から前記運転信号の処理に必要なプログラムを選択し、当該プログラムに従って制御信号を生成する信号生成手段と、前記制御信号を前記制御装置に送信して、前記制御装置に前記運転信号に対する処理を実行させる運転制御手段とを具備する。
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係るエレベータシステムの構成を示す図である。図中の11は建物に設置されたマシンルームレスタイプのエレベータを示している。
図1は第1の実施形態に係るエレベータシステムの構成を示す図である。図中の11は建物に設置されたマシンルームレスタイプのエレベータを示している。
例えば、オフィスビルやマンションビルなどにエレベータ11が設置されている。エレベータ11は、昇降路12内に巻上機13、乗りかご15、カウンターウェイト16を備える。乗りかご15とカウンターウェイト16は、それぞれに昇降路内に立設された図示せぬ一対のガイドレールに昇降自在に支持されており、ロープ14を介して昇降動作する。乗りかご15内には、かご操作盤17が設置されている。かご操作盤17は、建物の各階に対応した行先階ボタン18の他、戸開ボタン、戸閉ボタンなどを含む各種操作ボタンを有する。
一方、各階の乗場20には、乗場操作盤21が設けられている。乗場操作盤21には、乗りかご15を乗場20に応答させるための乗場ボタン21aが設けられている。乗場ボタン21aは、利用者の行先方向を指定するための上方向ボタンと下方向ボタンからなる(最下階では上方向ボタンのみ、最上階では下方向ボタンのみで構成される)。この乗場操作盤21の操作により、上方向または下方向の乗場呼びが登録される。
「乗場呼び」とは、各階の乗場で登録される呼びの信号のことであり、登録階と行先方向の情報を含む。「かご呼び」とは、かご室内で登録される呼びの信号のことであり、行先階の情報を含む。
エレベータ制御装置30は、「制御盤」とも呼ばれ、エレベータ11側に設置された物理的な制御装置である。エレベータ制御装置30は、回線接続用のコントローラ40を介して昇降機クラウドC1内のサーバ50に接続されている。コントローラ40は、サーバ50とエレベータ制御装置30との間で各種信号をやり取りするためのインターフェース機能およびハブ機能を備え、エレベータ制御装置30と共に昇降路12内に設置されている。
サーバ50は、エレベータ11の関連会社が構築したクラウド上に存在する。本システムでは、このサーバ50にエレベータ11の運転制御に関わる主要な制御プログラムを持たせている。一方、エレベータ制御装置30は、運転サービスに必要な最小限の制御プログラムしか持たない。つまり、エレベータ制御装置30は、「SD(Software-Defined)制御盤」として存在し、サーバ50からの指示によってエレベータ11を運転する。
図2はエレベータ制御装置30の構成を示すブロック図である。
エレベータ制御装置30は、一般的なコンピュータの構成として、制御部31と記憶部32と通信部33とを備える。制御部31は、ハードウェアプロセッサ(CPU)からなり、エレベータ11の運転に関わる制御を実行する部分である。ただし、エレベータ11の運転制御に関わる主要な制御プログラムはサーバ50側に持たせているため、エレベータ11側の制御部31は、サーバ50からの指示に従って、巻上機13の駆動制御や乗りかご15の戸開閉制御などの必要な最小限の制御を行うだけである。
エレベータ制御装置30は、一般的なコンピュータの構成として、制御部31と記憶部32と通信部33とを備える。制御部31は、ハードウェアプロセッサ(CPU)からなり、エレベータ11の運転に関わる制御を実行する部分である。ただし、エレベータ11の運転制御に関わる主要な制御プログラムはサーバ50側に持たせているため、エレベータ11側の制御部31は、サーバ50からの指示に従って、巻上機13の駆動制御や乗りかご15の戸開閉制御などの必要な最小限の制御を行うだけである。
記憶部32は、ROM,RAM等のメモリデバイスからなり、制御部31の処理に必要な各種データや、運転サービスに必要な最小限の機能を実行するためのプログラム32aなどを記憶している。「運転サービスに必要な最小限の機能」とは、具体的には巻上機13の駆動制御(上昇/下降の制御)、戸開閉制御、法規で定められている安全装置の制御などである。通信部33は、所定の通信プロトコルを有する通信デバイスからなり、エレベータ制御装置30とサーバ50との間の通信処理を行う。
図3は昇降機クラウドC1内のサーバ50の機能構成を示すブロック図である。
サーバ50は、一般的なコンピュータの構成として、制御部51、記憶部52、通信部53などを備える。制御部51は、ハードウェアプロセッサ(CPU)からなり、エレベータ制御装置30と協働して、エレベータ11の運転制御を行う。制御部51には、本システムを実現する機能として、信号取得部51aと、信号生成部51b、運転制御部51cを備える。
サーバ50は、一般的なコンピュータの構成として、制御部51、記憶部52、通信部53などを備える。制御部51は、ハードウェアプロセッサ(CPU)からなり、エレベータ制御装置30と協働して、エレベータ11の運転制御を行う。制御部51には、本システムを実現する機能として、信号取得部51aと、信号生成部51b、運転制御部51cを備える。
信号取得部51aは、エレベータ制御装置30からエレベータ11で発生した運転信号を取得する。その際、信号取得部51aは、エレベータ11から前記運転信号と共に送られてくる識別情報に基づいて、運転信号の発信元を特定する機能を有する。信号生成部51bは、サーバ50側で記憶している制御プログラム52aの中から当該運転信号の処理に必要なプログラムを選択し、そのプログラムに従って制御信号を生成する。運転制御部51cは、この制御信号を前記運転信号の発信元であるエレベータ制御装置30に送信して、前記運転信号に対する処理を実行させる。
記憶部52は、ROM,RAM等のメモリデバイスからなり、制御部51の処理に必要な各種データや、エレベータ11の運転制御に必要な制御プログラム52aなどを記憶している。この制御プログラム52aには、エレベータ11側に備えられている必要最低限の機能を除く、エレベータ11に標準的に備えられた各機能に関する各種プログラムが含まれている。
「標準的に備えられた各機能」とは、例えば乗場呼びやかご呼びの登録機能など、エレベータ11の運転に必要不可欠な機能のことである。なお、サーバ50が持つ制御プログラム52aに、オプション機能に関するプログラムを含ませておくことでも良い。「オプション機能」とは、エレベータ11に標準的に備えられている各機能以外の機能のことであり、必ずしも当該機能がなくてもエレベータ11を運転でき、ビルオーナなどが有償あるいは無償にて追加できる機能である。オプション機能には、例えば車いす呼び機能などが含まれる。通信部53は、所定の通信プロトコルを有する通信デバイスからなり、エレベータ制御装置30や携帯端末23とサーバ50との間の通信処理を行う。
次に、本システムの動作について説明する。
図4は本システムの動作を説明するためのフローチャートであり、エレベータ側の処理とサーバ側の処理を示している。図中の「エレベータの運転信号」とは、エレベータ11側で発生した運転に関わる信号のことである。例えば、利用者が乗場操作盤21を操作して乗場呼びを登録した場合には、「乗場呼びの信号」が「エレベータの運転信号」として扱われる。また、利用者がかご操作盤17を操作してかご呼びを登録した場合には、「かご呼びの信号」が「エレベータの運転信号」として扱われる。
図4は本システムの動作を説明するためのフローチャートであり、エレベータ側の処理とサーバ側の処理を示している。図中の「エレベータの運転信号」とは、エレベータ11側で発生した運転に関わる信号のことである。例えば、利用者が乗場操作盤21を操作して乗場呼びを登録した場合には、「乗場呼びの信号」が「エレベータの運転信号」として扱われる。また、利用者がかご操作盤17を操作してかご呼びを登録した場合には、「かご呼びの信号」が「エレベータの運転信号」として扱われる。
以下では、乗場呼びの信号が発生した場合を想定して説明する。
エレベータ制御装置30は、任意の階の乗場20で発生した乗場呼びの信号をサーバ50に送信する(ステップS11)。詳しくは、エレベータ制御装置30は、乗場呼びの信号をエレベータ11の識別情報と共に回線接続用のコントローラ40を介してサーバ50に送る。
エレベータ制御装置30は、任意の階の乗場20で発生した乗場呼びの信号をサーバ50に送信する(ステップS11)。詳しくは、エレベータ制御装置30は、乗場呼びの信号をエレベータ11の識別情報と共に回線接続用のコントローラ40を介してサーバ50に送る。
サーバ50は、エレベータ制御装置30から乗場呼びの信号を受信すると(ステップS12)、図3に示した制御プログラム52aの中から乗場呼びの信号の処理に必要なプログラムを選択し(ステップS13)、当該プログラムに従って制御信号を生成する(ステップS14)。
「乗場呼びの信号の処理に必要なプログラム」とは、例えば乗場呼びを乗りかご15に割り当てるために必要な処理手順が記述されたプログラムのことである。このプログラムで生成される制御信号には、乗場呼びの登録階に乗りかご15を移動させるための信号などが含まれる。
サーバ50は、乗場呼びの信号と共に送られてきた識別情報に基づいて、発信元を特定し、その発信元であるエレベータ制御装置30に前記ステップS14で生成された制御信号を送信する(ステップS15)。エレベータ制御装置30は、サーバ50から送られてきた制御信号を受信し(ステップS16)、この制御信号に基づいて乗場呼びに対する処理を実行する(ステップS17)。詳しくは、エレベータ制御装置30は、制御信号に従って巻上機13を駆動制御し、乗場呼びの登録階に乗りかご15を移動させるなどの処理を実行する。
次に、本システムにおいて、(a)エレベータをリニューアルする場合、(b)エレベータにオプション機能を追加する場合、(c)サーバ故障と通信不具合の対策について説明する。
(a)エレベータをリニューアルする場合
リニューアル前にエレベータ11に設置されていた制御装置(従来の制御盤)に記憶されていた制御プログラムを昇降機クラウドC1内のサーバ50側で管理する。リニューアル後は、サーバ50からエレベータ11に制御信号が送られて、エレベータ11の運転が制御される。
リニューアル前にエレベータ11に設置されていた制御装置(従来の制御盤)に記憶されていた制御プログラムを昇降機クラウドC1内のサーバ50側で管理する。リニューアル後は、サーバ50からエレベータ11に制御信号が送られて、エレベータ11の運転が制御される。
(b)エレベータにオプション機能を追加する場合
エレベータ11にオプション機能を追加する場合に、そのオプション機能に関するプログラムはエレベータ制御装置30に追加するのではなく、昇降機クラウドC1内のサーバ50に追加する。これにより、サーバ50から当該オプション機能に関する制御信号がエレベータ11に送られる。
エレベータ11にオプション機能を追加する場合に、そのオプション機能に関するプログラムはエレベータ制御装置30に追加するのではなく、昇降機クラウドC1内のサーバ50に追加する。これにより、サーバ50から当該オプション機能に関する制御信号がエレベータ11に送られる。
(c)サーバ故障と通信不具合の対策
本システムでは、昇降機クラウドC1内のサーバ50側にエレベータ11を運転制御すためのプログラムが記憶されている。このため、何らかの原因でサーバ50が故障、あるいは、通信回線が遮断されるなどの異常が生じた場合に、エレベータ11を運転制御できない状態になる。そこで、以下のような対策を講じておくことが好ましい。
本システムでは、昇降機クラウドC1内のサーバ50側にエレベータ11を運転制御すためのプログラムが記憶されている。このため、何らかの原因でサーバ50が故障、あるいは、通信回線が遮断されるなどの異常が生じた場合に、エレベータ11を運転制御できない状態になる。そこで、以下のような対策を講じておくことが好ましい。
(1)ミラーサーバの設置
図5に示すように、昇降機クラウドC1内にサーバ50と同等の機能を有する別のサーバ50aをミラーサーバとして設置しておく。サーバ50が故障した場合に、サーバ50aに切り替え、サーバ50aに記憶されている制御プログラムを用いて制御信号を生成する。その際、通信回線についても、サーバ50と同じ回線L1とサーバ50と別の回線L2を用意しておき、回線L1が遮断されている場合には、回線L2を使ってエレベータ11と信号のやり取りを行う。
図5に示すように、昇降機クラウドC1内にサーバ50と同等の機能を有する別のサーバ50aをミラーサーバとして設置しておく。サーバ50が故障した場合に、サーバ50aに切り替え、サーバ50aに記憶されている制御プログラムを用いて制御信号を生成する。その際、通信回線についても、サーバ50と同じ回線L1とサーバ50と別の回線L2を用意しておき、回線L1が遮断されている場合には、回線L2を使ってエレベータ11と信号のやり取りを行う。
なお、図5の例では、昇降機クラウドC1内にミラー用として1台のサーバ50aを設置した場合を示したが、さらに多数のミラーサーバを設置しておくことでも良い。通信回線についても同様であり、ミラーサーバ毎に別の回線を用意しておくことでも良い。
(2)制御盤の設置
図6に示すように、エレベータ11側にサーバ50と同じ制御プログラムを有する制御装置(制御盤)30aを設置しておき、通常時は制御装置30aを非動作状態(スリープ状態)にしておく。昇降機クラウドC1内のサーバ50,50aとエレベータ11との間の通信回線が切れた場合に、制御装置30aが動作状態に切り替わり、サーバ50,50aに代わってエレベータ11の運転制御を行う。その後、制御装置30aは、サーバ50,50aとエレベータ11との間の通信回線の状態を監視し、通信回線が復帰した場合に、所定のタイミングでサーバ50またはサーバ50aに制御権を渡す。「所定のタイミング」とは、登録済みの乗場呼びとかご呼びがなくなり、乗りかご15が運転サービスを終えて、待機状態になったときである。
図6に示すように、エレベータ11側にサーバ50と同じ制御プログラムを有する制御装置(制御盤)30aを設置しておき、通常時は制御装置30aを非動作状態(スリープ状態)にしておく。昇降機クラウドC1内のサーバ50,50aとエレベータ11との間の通信回線が切れた場合に、制御装置30aが動作状態に切り替わり、サーバ50,50aに代わってエレベータ11の運転制御を行う。その後、制御装置30aは、サーバ50,50aとエレベータ11との間の通信回線の状態を監視し、通信回線が復帰した場合に、所定のタイミングでサーバ50またはサーバ50aに制御権を渡す。「所定のタイミング」とは、登録済みの乗場呼びとかご呼びがなくなり、乗りかご15が運転サービスを終えて、待機状態になったときである。
なお、図6の例では、昇降機クラウドC1内にサーバ50とミラー用のサーバ50aが設置されている場合を想定して説明したが、昇降機クラウドC1内にサーバ50だけが設置されている場合も同様である。
(変形例)
(1)通常、エレベータ11には国内法規に準じた安全機能が備えられている。具体的には、戸開走行保護装置(UCMP)などである。このような安全機能に関するプログラムについては、サーバ50側ではなく、エレベータ11側つまりエレベータ制御装置30に記憶させておくことが好ましい。
(1)通常、エレベータ11には国内法規に準じた安全機能が備えられている。具体的には、戸開走行保護装置(UCMP)などである。このような安全機能に関するプログラムについては、サーバ50側ではなく、エレベータ11側つまりエレベータ制御装置30に記憶させておくことが好ましい。
(2)サーバ50には、各地に設置された複数のエレベータ11が接続されていても良い。サーバ50は、各エレベータ11に固有の識別情報に基づいて、運転信号を送ってきたエレベータ11を特定し、そのエレベータ11の運転制御を行う。
(3)地域やビルオーナなどの特定の条件ごとにサーバ50を構築しても良い。また、複数台のサーバ50を多層配置し、例えば建物の上層階エリアと下層階エリアなど、エリア毎に各サーバ50を使い分けることでも良い。
(4)建物内に複数台のエレベータが設置されている場合に、これらのエレベータの中の1台を親機としてサーバ50に接続しておき、サーバ50は、親機のエレベータを介して他のエレベータ(子機)の運転制御を行うようにしても良い。
このように第1の実施形態によれば、昇降機クラウド内のサーバにエレベータの運転制御に関わる主要な制御プログラムを記憶させておくことで、エレベータ側に運転サービスに必要な最小限の制御プログラムのみを残して、エレベータの運転を制御できる。したがって、エレベータ機能の追加/変更が生じた場合に、エレベータ側のハードウェアの変更を伴わずに、サーバ側のソフトウェアのみの追加/変更によって実現できる。これにより、制御プログラムの更新に伴う作業員の負担を軽減でき、現場ではエレベータの運転サービスを停止しなくても、サーバ側で制御プログラムを効率的に更新できる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態では、エレベータ11の運転制御に関わる主要な制御プログラム(前記第1の実施形態の制御プログラム52a)を基本制御プログラムと非基本制御プログラムに分けて複数のサーバで管理し、各サーバを連携させてエレベータの運転を制御する構成とする。
次に、第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態では、エレベータ11の運転制御に関わる主要な制御プログラム(前記第1の実施形態の制御プログラム52a)を基本制御プログラムと非基本制御プログラムに分けて複数のサーバで管理し、各サーバを連携させてエレベータの運転を制御する構成とする。
「基本制御プログラム」は、例えば乗場呼びの登録機能など、エレベータ11の基本的な制御機能に関するプログラムである。「非基本制御プログラム」は、例えば車いす専用運転など、エレベータ11の非基本的な制御機能に関するプログラムであり、オプション機能に関するプログラムを含んでいる。
図7は第2の実施形態に係るエレベータシステムの構成を示す図である。なお、前記第1の実施形態における図1のシステム構成と同じ部分には同一符号を付して、その説明は省略する。
図7の例では、昇降機クラウドC1と内のサーバ50と外部クラウドC2内のサーバ60とが通信ネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。昇降機クラウドC1内のサーバ50は、本システムの上位装置として存在し、外部クラウドC2内のサーバ60と連携して、エレベータ11の運転を制御する。一方、外部クラウドC2内のサーバ60は、昇降機クラウドC1とは別のクラウド上に存在し、各種オプション機能を含め、昇降機クラウドC1内のサーバ50で管理されていない制御プログラム(後述する非基本制御プログラムP2)を有する。
ここで、第2の実施形態において、図3に示したサーバ50の記憶部52には、基本制御プログラムP1が記憶されている。また、サーバ50の制御部51には、信号判断部51dが設けられている。信号判断部51dは、信号取得部51aで取得されたエレベータ11の運転信号が基本制御プログラムP1に関する信号であるか、あるいは、非基本制御プログラムP2に関する信号であるかを判断する。運転信号が基本制御プログラムP1に関する信号でない場合に、信号生成部51bは、外部クラウドC2内のサーバ60から当該運転信号の処理に必要な非基本制御プログラムP2に含まれるプログラムを受け取り、当該プログラムに従って制御信号を生成する。
一方、外部クラウドC2内のサーバ60には、非基本制御プログラムP2が記憶されている。例えばかご内防犯カメラの映像を液晶インジケータに表示する機能、保守点検に関する機能など、社内あるいは外部の会社から提供される様々なオプション機能に関するプログラムが非基本制御プログラムP2としてサーバ60に記憶されている。
次に、本システムの動作について説明する。
図8は本システムの動作を説明するためのフローチャートであり、エレベータ側の処理と2つのサーバ側の処理を示している。「第1のサーバ」は昇降機クラウドC1内のサーバ50に対応し、「第2のサーバ」は外部クラウドC2内のサーバ60に対応する。図中の「エレベータの運転信号」とは、エレベータ11側で発生した運転に関わる信号のことであり、基本制御機能に関する信号または非基本制御機能に関する信号に分けられる。
図8は本システムの動作を説明するためのフローチャートであり、エレベータ側の処理と2つのサーバ側の処理を示している。「第1のサーバ」は昇降機クラウドC1内のサーバ50に対応し、「第2のサーバ」は外部クラウドC2内のサーバ60に対応する。図中の「エレベータの運転信号」とは、エレベータ11側で発生した運転に関わる信号のことであり、基本制御機能に関する信号または非基本制御機能に関する信号に分けられる。
エレベータ制御装置30は、エレベータ11で発生した運転信号をサーバ50に送信する(ステップS21)。詳しくは、エレベータ制御装置30は、運転信号をエレベータ11の識別情報と共にコントローラ40を介してサーバ50に送る。
サーバ50は、エレベータ制御装置30からエレベータ11で発生した運転信号を受信すると(ステップS22)、基本制御機能に関する信号であるか、非基本制御機能に関する信号であるかを判断する(ステップS23)。この判断は、例えば各種信号を基本制御/非基本制御別に分類したテーブルTBを参照することで行う。基本制御機能に関する信号とは、例えば乗場呼び機能に関する信号(乗場ボタン21aの操作によって発生する乗場呼びの信号)などである。非基本制御機能に関する信号とは、例えばオプション機能である車いす呼び機能に関する信号(図示せぬ車いすボタンの操作によって発生する車いす呼びの信号)などである。
エレベータ11で発生した運転信号が基本制御機能に関する信号であった場合には(ステップS23のYes)、サーバ50は、基本制御プログラムP1の中から当該運転信号の処理に必要なプログラムを選択し(ステップS24)、そのプログラムに従って制御信号を生成する(ステップS25)。
基本制御プログラムP1を用いて制御信号が生成されると、サーバ50は、運転信号と共に送られてきた識別情報に基づいて、発信元を特定し、その発信元であるエレベータ制御装置30に前記ステップS25で生成された制御信号を送信する(ステップS26)。エレベータ制御装置30は、サーバ50から送られてきた制御信号を受信し(ステップS34)、この制御信号に基づいて運転信号に対する処理を実行する(ステップS35)。
一方、エレベータ11で発生した運転信号が非基本制御機能に関する信号であった場合には(ステップS23のNo)、サーバ50は、外部クラウドC2内のサーバ60に当該運転信号の処理に必要なプログラムを要求する(ステップS27)。例えば、車いす呼びの信号であれば、昇降機クラウドC1内のサーバ50は、外部クラウドC2内のサーバ60に車いす呼び機能に関するプログラムを要求することになる。
サーバ60は、この要求を受けると(ステップS28)、非基本制御プログラムP2の中から当該運転信号の処理に必要なプログラムを選択し(ステップS29)、そのプログラムをサーバ50に送る(ステップS30)。サーバ50は、サーバ60からプログラムを受け取ると(ステップS31)、そのプログラムに従って制御信号を生成する(ステップS32)。
このようにして、非基本制御プログラムP2を用いて制御信号が生成されると、サーバ50は、運転信号と共に送られてきた識別情報に基づいて、発信元を特定し、その発信元であるエレベータ制御装置30に前記ステップS32で生成された制御信号を送信する(ステップS33)。エレベータ制御装置30は、サーバ50から送られてきた制御信号を受信し(ステップS34)、この制御信号に基づいて運転信号に対する処理を実行する(ステップS35)。
なお、図8の例では、昇降機クラウドC1内のサーバ50側で基本制御機能の信号と非制御機能の信号を判断したが、エレベータ11側でその判断を行う構成としても良い。その場合、エレベータ11側で運転信号に基本制御機能あるいは非制御機能であることを示す情報を付してサーバ50に送ることになる。
図9はエレベータの標準的な仕様の一例を示す図である。図中の二重丸印が「基本仕様」、丸印が「標準装備仕様」、三角印が「有償付加仕様」を示している。基本制御機能は、「基本仕様」に該当する。非基本制御機能は、「標準装備仕様」と「有償付加仕様」に該当する。オプション機能は、「有償付加仕様」に該当する。
図10に基本制御機能と非基本制御機能に分けて各サーバで管理する場合の一例を示す。図7の例は、下記のタイプ1に相当する。タイプ2-5のように、基本制御機能と非基本制御機能を細かく分けて各サーバで管理する構成としても良い。
・タイプ1は、昇降機クラウド内のサーバに基本制御機能に関するプログラム、外部クラウド内のサーバに非基本制御機能の全てに関するプログラムが記憶されている。
・タイプ2は、昇降機クラウド内の第1のサーバに基本制御機能に関するプログラム、昇降機クラウド内の第2のサーバに非基本制御機能に関するプログラム、外部クラウド内の第1のサーバにオプション機能、外部クラウド内の第2のサーバに保守機能に関するプログラムが記憶されている。
・タイプ3は、昇降機クラウド内の第1のサーバに基本制御機能に関するプログラム、昇降機クラウド内の第2のサーバに非基本制御機能に関するプログラム、外部クラウド内の第1のサーバにオプション機能、外部クラウド内の第2のサーバに保守機能に関するプログラムが記憶されている。また、外部クラウド内の第3のサーバが他社サーバと連携されている。
・タイプ4は、昇降機クラウド内の第1のサーバに基本制御機能の安全装置に関するプログラム、昇降機クラウド内の第2のサーバに基本制御機能の非安全装置に関するプログラム、外部クラウド内のサーバに非基本制御機能の全てに関するプログラムが記憶されている。
・タイプ5は、昇降機クラウド内の第1のサーバに基本制御機能に関するプログラム、昇降機クラウド内の第2のサーバに、ミラーサーバとして第1のサーバと同じ基本制御機能に関するプログラム、外部クラウド内のサーバに非基本制御機能の全てに関するプログラムが記憶されている。
・タイプ2は、昇降機クラウド内の第1のサーバに基本制御機能に関するプログラム、昇降機クラウド内の第2のサーバに非基本制御機能に関するプログラム、外部クラウド内の第1のサーバにオプション機能、外部クラウド内の第2のサーバに保守機能に関するプログラムが記憶されている。
・タイプ3は、昇降機クラウド内の第1のサーバに基本制御機能に関するプログラム、昇降機クラウド内の第2のサーバに非基本制御機能に関するプログラム、外部クラウド内の第1のサーバにオプション機能、外部クラウド内の第2のサーバに保守機能に関するプログラムが記憶されている。また、外部クラウド内の第3のサーバが他社サーバと連携されている。
・タイプ4は、昇降機クラウド内の第1のサーバに基本制御機能の安全装置に関するプログラム、昇降機クラウド内の第2のサーバに基本制御機能の非安全装置に関するプログラム、外部クラウド内のサーバに非基本制御機能の全てに関するプログラムが記憶されている。
・タイプ5は、昇降機クラウド内の第1のサーバに基本制御機能に関するプログラム、昇降機クラウド内の第2のサーバに、ミラーサーバとして第1のサーバと同じ基本制御機能に関するプログラム、外部クラウド内のサーバに非基本制御機能の全てに関するプログラムが記憶されている。
このように第2の実施形態によれば、エレベータの運転制御に関わる主要な制御プログラムを基本制御プログラムと非基本制御プログラムに分けて複数のサーバで管理しておくことで、前記第1の実施形態と同様に、エレベータ側に運転サービスに必要な最小限の制御プログラムのみを残して、エレベータの運転を制御できる。特に、第2の実施形態では、基本制御プログラムと非基本制御プログラムに分けているので、基本制御を担うメインのサーバの処理負担を軽減できるといったメリットがある。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態として、オプション機能として、利用者の携帯端末を用いて呼び登録を行う機能と、ロボットとエレベータシステムとを連動させる機能を例にして、これらのオプション機能に関するプログラムをメインのサーバ(サーバ50)とは別のサーバ(サーバ60)で管理する場合の構成について説明する。
次に、第3の実施形態として、オプション機能として、利用者の携帯端末を用いて呼び登録を行う機能と、ロボットとエレベータシステムとを連動させる機能を例にして、これらのオプション機能に関するプログラムをメインのサーバ(サーバ50)とは別のサーバ(サーバ60)で管理する場合の構成について説明する。
図11は第3の実施形態に係るエレベータシステムの構成を示す図である。なお、前記第2の実施形態における図7のシステム構成と同じ部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
第3の実施形態におけるエレベータシステムは、利用者の携帯端末23を利用して乗場呼びとかご呼びを登録可能な構成を有する。具体的には、乗場20の任意の箇所に、例えばBluetooth(登録商標)等からなる無線信号装置22が設置されている。無線信号装置22は、「乗場ビーコン(beacon)」として用いられ、所定周波数帯の無線信号を発信する。無線信号装置22は、基準階を含む各階の乗場20に設置されている。無線信号装置22は、エレベータ制御装置30に有線あるいは無線で接続されており、エレベータ11(乗りかご15)の運転中は常時ON状態にあり、所定周波数帯の電波で発信する機能を有する。
利用者の携帯端末23は、例えばスマートフォンなどである。この携帯端末23には、予め呼び登録用のアプリケーションソフト(以後、呼び登録アプリと称す)24がインストールされている。この呼び登録アプリ24は、エレベータ11の関連企業によって開発されたものであり、携帯端末23のOS(Operating System)に依存するWebサイトから自由にダウンロードできる。
この呼び登録アプリ24を用いて、複数の物件毎に利用者の乗車情報を設定しておくことができる。ここで言う「物件」とは、本システムを有するエレベータが設置された建物のことである。利用者の乗車情報には、物件毎に乗車階,行先階の情報が含まれる。
図12は携帯端末23の外観構成の一例を示す図である。
携帯端末23は、通信機能を備えた小型の端末装置からなる。携帯端末23には、上述した呼び登録アプリ24がインストールされている。図中の24aは呼び登録アプリ24がインストールされていることを示すアイコンである。乗場20に設置された無線信号装置(乗場ビーコン)22から所定周波数帯の無線信号を携帯端末23が受信すると、呼び登録アプリ24が起動される。
携帯端末23は、通信機能を備えた小型の端末装置からなる。携帯端末23には、上述した呼び登録アプリ24がインストールされている。図中の24aは呼び登録アプリ24がインストールされていることを示すアイコンである。乗場20に設置された無線信号装置(乗場ビーコン)22から所定周波数帯の無線信号を携帯端末23が受信すると、呼び登録アプリ24が起動される。
この呼び登録アプリ24の起動により、携帯端末23から現在の物件に対応した利用者の乗車情報(乗車階と行先階)が利用者ID、物件IDなどの情報と共にサーバ50に送られる。これにより、サーバ50からエレベータ制御装置30に乗車情報(乗車階と行先階)が送られ、乗場20に設置された乗場操作盤21に利用者の行先方向が乗場呼びとして登録され、乗りかご15内のかご操作盤17に利用者の行先階がかご呼びとして登録される。なお、利用者の行先方向は、乗車情報に含まれる乗車階と行先階との関係から判断される。
このように、携帯端末23を用いて呼び登録を行う機能(以下、端末呼び機能と称す)は、エレベータ11のオプション機能の1つである。この端末呼び機能を実行するためのプログラムは、非基本制御プログラムP2として、サーバ50とは別のサーバ60に記憶されている。サーバ60は、携帯端末23から発信される呼び信号および端末呼び機能に関する制御プログラムを物件情報と共にサーバ50に送る機能を備える。
また、エレベータ11の関連会社以外から提供されるオプション機能として、ロボット61の運転をエレベータシステムに連動させる機能がある。これは、自律走行型のロボット61を乗りかご15に乗せて各階を移動させる機能(以下、ロボット呼び機能と称す)である。このロボット呼び機能を実行するためのプログラムは、非基本制御プログラムP2として、サーバ50とは別のサーバ60に記憶されている。サーバ60は、ロボット61から発信される呼び信号およびロボット呼び機能に関する制御プログラムを物件情報と共にサーバ50に送る機能を備える。
なお、図11の例では、端末呼び機能に関する制御プログラムとロボット呼び機能に関する制御プログラムをサーバ60に設けたが、それぞれに別のサーバに設ける構成としても良い。また、端末呼び機能とロボット呼び機能に限らず、その他のオプション機能についても、非基本制御機能として分類されて、サーバ50以外のサーバで管理される。非基本制御機能の種類とその機能に関する制御プログラムの記憶先(サーバ)の情報は、前記テーブルTBに記憶されている。
次に、本システムの動作について説明する。
基本的な処理の流れは、前記第2の実施形態と同様である。すなわち、図8のフローチャートで説明したように、エレベータ制御装置30は、エレベータ11で発生した運転信号をエレベータ11の識別情報と共にコントローラ40を介してサーバ50に送る(ステップS21)。サーバ50は、エレベータ制御装置30からエレベータ11で発生した運転信号を受信すると(ステップS22)、基本制御機能に関する信号であるか、非基本制御機能に関する信号であるかを判断する(ステップS23)。
基本的な処理の流れは、前記第2の実施形態と同様である。すなわち、図8のフローチャートで説明したように、エレベータ制御装置30は、エレベータ11で発生した運転信号をエレベータ11の識別情報と共にコントローラ40を介してサーバ50に送る(ステップS21)。サーバ50は、エレベータ制御装置30からエレベータ11で発生した運転信号を受信すると(ステップS22)、基本制御機能に関する信号であるか、非基本制御機能に関する信号であるかを判断する(ステップS23)。
ここで、携帯端末23から発信される呼び信号や、ロボット61から発信される呼び信号は、エレベータ11で発生した運転信号として扱われる。両信号ともに非基本制御機能に関する信号として、上述した基本制御/非基本制御別の分類テーブルTBに記憶されている。
なお、無線信号装置22が受信機能を備えていれば、携帯端末23から発信される呼び信号は、無線信号装置22で受信された後、エレベータ制御装置30を介してサーバ50に送られる。無線信号装置22が受信機能を備えていない場合、携帯端末23から発信される呼び信号は、インターネットを介してサーバ50に直接送られる。ロボット61から発信される呼び信号(乗車階と行先階の情報を含む)は、サーバ60からサーバ50に送られてくる。ロボット61の呼び信号を受信する受信器が乗場20に設置されていれば、その受信器からエレベータ制御装置30を介してロボット61の呼び信号がサーバ50に送られる。
携帯端末23の呼び信号もロボット61の呼び信号も、非基本制御機能に関する運転信号と判断される(ステップS23のNo)。非基本制御機能に関する運転信号であった場合、サーバ50は、サーバ60に当該運転信号の処理に必要なプログラムを要求する(ステップS27)。つまり、携帯端末23の呼び信号であれば、サーバ50は、サーバ60に端末呼び機能に関するプログラムを要求する。ロボット61の呼び信号であれば、サーバ50は、サーバ60にロボット呼び機能に関するプログラムを要求する。
サーバ60は、この要求を受けると(ステップS28)、非基本制御プログラムP2の中から当該運転信号の処理に必要なプログラムを選択し(ステップS29)、そのプログラムをサーバ50に送る(ステップS30)。サーバ50は、サーバ60からプログラムを受け取ると(ステップS31)、そのプログラムに従って制御信号を生成し(ステップS32)、当該運転信号と共に送られてきた識別情報に基づいて、発信元を特定し、その発信元であるエレベータ制御装置30に前記ステップS32で生成された制御信号を送信する(ステップS33)。エレベータ制御装置30は、サーバ50から送られてきた制御信号を受信し(ステップS34)、この制御信号に基づいて運転信号に対する処理を実行する(ステップS35)。
具体的に説明すると、「端末呼び機能」の場合、利用者の携帯端末23から発信される現在の物件に対応した利用者の乗車情報(乗車階と行先階)がエレベータ11の運転信号として、利用者ID、物件IDなどの情報と共にサーバ50に送られる。サーバ50は、前記テーブルTBを参照して、端末呼び機能に関する制御プログラムの記憶先としてサーバ60を特定し、サーバ60から携帯端末23の呼び信号(利用者の乗車情報)を処理するための制御プログラムと物件の識別情報を取得し、当該プログラムによって生成した制御信号を識別情報によって特定されるエレベータ制御装置30に送信する。
エレベータ制御装置30は、サーバ50から送られてきた制御信号に基づいて、端末呼び機能の対応処理を実行する。つまり、エレベータ制御装置30は、乗場操作盤21の乗場ボタン21aを点灯して利用者の行先方向を乗場呼びとして登録した後、乗りかご15を利用者の乗車階に移動させる。また、乗りかご15が利用者の乗車階に到着したときに、エレベータ制御装置30は、かご操作盤17に利用者の行先階をかご呼びとして登録し、乗りかご15をその行先階に移動させる。
「ロボット呼び機能」についても同様であり、サーバ50は、前記テーブルTBを参照して、ロボット呼び機能に関する制御プログラムの記憶先としてサーバ60を特定し、サーバ60からロボット61の呼び信号を処理するための制御プログラムと物件の識別情報を取得し、当該プログラムによって生成した制御信号を識別情報によって特定されるエレベータ制御装置30に送信して、エレベータ11の運転を制御する。これにより、ロボット61がいる建物において、ロボット61が呼び信号で指定した乗車階に乗りかご15を応答させ、ロボット61が乗りかご15に乗車したときに、ロボット61の行先階に乗りかご15を移動させるといったロボットシステムとエレベータシステムの連携が実現される。
このように第3の実施形態によれば、端末呼び機能、ロボット呼び機能などのオプション機能に関する制御プログラムを非基本制御プログラムとして、基本制御を担うメインのサーバとは別のサーバで管理することでも、エレベータ側に運転サービスに必要な最小限の制御プログラムのみを残して、前記オプション機能に対応した運転サービスを実現できる。また、オプション機能が追加された場合でも、その追加のオプション機能に関する制御プログラムを別サーバで管理しておけば良いため、メインのサーバの処理負担が少なく、各種オプション機能に対応した運転サービスを効率的に実現できる。
以上述べた少なくとも1つの実施形態によれば、エレベータ側に運転サービスに必要な最小限の制御プログラムのみを残して、エレベータの運転制御を可能とし、制御プログラムの更新時における作業員の負担を軽減でき、また、エレベータの運転サービスを継続できるエレベータシステムを提供することができる。
なお、前記各実施形態では、エレベータを例にして説明したが、エスカレータでも同様であり、エスカレータの運転制御に関するプログラムをクラウド内のサーバに記憶しておくことにより、前記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
要するに、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
11…エレベータ、12…昇降路、13…巻上機、14…ロープ、15…乗りかご、16…カウンターウェイト、17…かご操作盤、18…行先階ボタン、20…乗場、21…乗場操作盤、21a…乗場ボタン、22…無線信号装置、23…携帯端末、24…呼び登録アプリ、30…エレベータ制御装置、40…コントローラ、50…サーバ、60…サーバ。
Claims (6)
- エレベータに設置された制御装置と、クラウド内に設けられたサーバとを備え、前記制御装置は回線接続用のコントローラを介して前記サーバに接続されるエレベータシステムにおいて、
前記制御装置には、運転サービスに必要な最小限の機能を実行するためのプログラムが記憶され、
前記サーバは、
前記エレベータの運転制御を行うための主要な制御プログラムを記憶した記憶手段と、
前記制御装置から前記エレベータで発生した運転信号を取得する信号取得手段と、
前記制御プログラムの中から前記運転信号の処理に必要なプログラムを選択し、当該プログラムに従って制御信号を生成する信号生成手段と、
前記制御信号を前記制御装置に送信して、前記制御装置に前記運転信号に対する処理を実行させる運転制御手段と
を具備したことを特徴とするエレベータシステム。 - 前記制御プログラムには、前記エレベータに標準的に備えられた各機能に関するプログラムが含まれることを特徴とする請求項1記載のエレベータシステム。
- 前記制御プログラムには、前記エレベータのオプション機能に関するプログラムが含まれることを特徴とする請求項1記載のエレベータシステム。
- 国内法規に準じた安全機能に関するプログラムは、前記制御装置に記憶されていることを特徴とする請求項1記載のエレベータシステム。
- クラウド内に設けられ、エレベータに設置された制御装置に回線接続用のコントローラを介して接続されるサーバに用いられる運転制御方法であって、
前記制御装置には、運転サービスに必要な最小限の機能を実行するためのプログラムが記憶され、
前記サーバは、
前記エレベータの運転制御を行うための主要な制御プログラムを記憶し、
前記制御装置から前記エレベータで発生した運転信号を取得し、
前記制御プログラムの中から前記運転信号の処理に必要なプログラムを選択し、
当該プログラムに従って制御信号を生成し、
前記制御信号を前記制御装置に送信して、前記制御装置に前記運転信号に対する処理を実行させることを特徴とする運転制御方法。 - クラウド内に設けられ、エレベータに設置された制御装置に回線接続用のコントローラを介して接続され、前記エレベータの運転制御を行うための主要な制御プログラムを有するサーバによって実行されるプログラムであって、
前記制御装置には、運転サービスに必要な最小限の機能を実行するためのプログラムが記憶され、
前記サーバを、
前記制御装置から前記エレベータで発生した運転信号を取得する手段、
前記制御プログラムの中から前記運転信号の処理に必要なプログラムを選択し、当該プログラムに従って制御信号を生成する手段、
前記制御信号を前記制御装置に送信して、前記制御装置に前記運転信号に対する処理を実行させる手段、
として機能させるためのプログラム。
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