JP2023112428A - 磁気ヘッド及び磁気記録再生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スピントルク制御素子の劣化がわかりやすい磁気ヘッドを得る。【解決手段】 実施形態に係る磁気ヘッドは、主磁極と、主磁極にライトギャップを置いて設けられた補助磁極と、ライトギャップに設けられたスピントルク制御素子と、スピントルク制御素子にバイアス電流を供給するバイアス電流制御部と、スピントルク制御素子の抵抗値を測定する抵抗測定部とを含み、スピントルク制御素子の磁化が反転する極性にバイアス電流を通電した際の第1抵抗値と、上記極性とは逆極性にバイアス電流を通電した際の第2抵抗値との差分絶対値が4%以下である。【選択図】 図4

Description

本発明の実施形態は、磁気ヘッド及び磁気記録再生装置に関する。
スピントルク制御素子のようなアシスト素子を備えた磁気記録再生装置において、高温下の長時間駆動時などによりスピントルク制御素子が酸化劣化する兆候は、スピントルク制御素子の抵抗上昇で検出することが可能である。しかしながら、スピントルク制御素子は、ライト動作後に乱雑な残留磁化状態になりやすく、それ伴い磁気抵抗効果により抵抗値がばらつくため、酸化劣化の有無を精度よく検出することが難しいという課題があった。
特開2010-150351号公報
本発明の実施形態は、スピントルク制御素子の劣化がわかりやすい磁気ヘッドを得ることを目的とする。
実施形態によれば、主磁極と、前記主磁極にライトギャップを置いて設けられた補助磁極と、前記ライトギャップに設けられたスピントルク制御素子と、前記スピントルク制御素子にバイアス電流を供給するバイアス電流制御部と、前記スピントルク制御素子の抵抗値を測定する抵抗測定部とを含み、
前記スピントルク制御素子の磁化が反転する極性にバイアス電流を通電した際の第1抵抗値と、前記極性とは逆極性にバイアス電流を通電した際の第2抵抗値との差分絶対値が4%以下であることを特徴とする磁気ヘッドが提供される。
図1は、実施形態に係る磁気ディスク装置(HDD)を概略的に示すブロック図である。 図2は、実施形態に係るHDDにおける磁気ヘッド、サスペンション、記録媒体を示す側面図である。 図3は、実施形態に用いられる磁気ヘッドのヘッド部および磁気ディスクの一部を拡大して概略的に示す断面図である。 図4は、実施形態に用いられる磁気ヘッドの記録ヘッド先端部および磁気ディスクの一部を拡大して概略的に示す断面図である。 図5は、図4の磁気ヘッドを長時間動作させた様子を表す断面図である。 図6は、リターン磁極の磁化の向きの一例を表すモデル図である。 図7は、磁化制御層の磁化の向きの一例を表すモデル図である。 図8は、主磁極先端部の磁化の向きの一例を表す図である。 図9は、サンプルの抵抗値測定試験の結果を表すグラフ図である。 図10は、図9の抵抗値のばらつきの割合を表す図である。 図11は、実施形態にかかるサンプルの抵抗値測定試験の結果を表すグラフ図である。 図12は、図11の抵抗値のばらつきの割合を表す図である。 図13は、磁化が反転する極性にバイアス電流を通電する様子を表す模式図である。 図14は、磁化が反転する極性とは逆極性にバイアス電流を通電する様子を表す模式図である。 図15は、実施形態に用いられる磁気ヘッドの他の例を概略的に示す断面図である。 図16は、実施形態に用いられる磁気ヘッドの他の例を概略的に示す断面図である。 図17は、リターン磁極の磁化の向きの一例を表すモデル図である。 図18は、磁化制御層の磁化の向きの一例を表すモデル図である。 図19は、主磁極先端部の磁化の向きの一例を表す図である。 図20は、磁気抵抗効果の検出プロセスの一例を表すフロー図である。
実施形態に係る磁気ヘッドは、主磁極と、主磁極にライトギャップを置いて設けられた補助磁極と、ライトギャップに設けられたスピントルク制御素子と、スピントルク制御素子にバイアス電流を供給するバイアス電流制御部と、スピントルク制御素子の抵抗値を測定する抵抗測定部とを含む。実施形態に係る磁気ヘッドでは、スピントルク制御素子の磁化が反転する極性にバイアス電流を通電した際の第1抵抗値と、前記極性とは逆極性にバイアス電流を通電した際の第2抵抗値との差分絶対値が4%以下である。
他の実施形態に係る磁気ヘッドは、主磁極と、主磁極にライトギャップを置いて設けられた補助磁極と、前記ライトギャップに設けられたスピントルク制御素子とを含む。第2実施形態に係る磁気ヘッドでは、スピントルク制御素子と補助磁極間、またはスピントルク制御素子と主磁極間における磁気抵抗効果の絶対値が4%以下である。
また、さらに他の実施形態に係る磁気記録再生装置は、実施形態に係る磁気ヘッドまたは他の実施形態に係る磁気ヘッドを備えている。
実施形態に係る磁気ヘッドによれば、第1抵抗値と第2抵抗値との差分絶対値が4%以下であることにより、あるいはスピントルク制御素子と補助磁極間、またはスピントルク制御素子と主磁極間における磁気抵抗効果の絶対値が4%以下であることにより、ライト動作後のスピントルク制御素子の抵抗値バラつきを抑え、スピントルク制御素子酸化劣化の兆候を抵抗変化から精度よく検出することを可能とする。
スピントルク制御素子は、磁化制御層と非磁性導電層とを含むことができる。
スピントルク制御素子は、複数の磁化制御層と非磁性導電層を使用することが可能であり、磁化制御層と非磁性導電層とを交互に積層することができる。
第1抵抗値と第2抵抗値との差分絶対値が4%以下、あるいはスピントルク制御素子と補助磁極間、またはスピントルク制御素子と主磁極間における磁気抵抗効果の絶対値が4%以下にするためには、磁化制御層あるいは非磁性導電層の材料、または厚さ等を調整することができる。
磁化制御層は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、またはニッケル(Ni)のうち少なくとも1つの第1元素を含む合金を用いることができる。さらには、磁化制御層は、第1元素と、クロム(Cr)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、スカンジウム(Sc)、モリブデン(Mo)、パラジウム(Pd)、またはイリジウム(Ir)のうち少なくとも1つの第2元素とを含む合金材料により構成することができる。
あるいは、磁化制御層は、Fe、Co、またはNiのうち少なくとも1つの第1元素と第1元素以外の第2元素との積層により構成することができる。さらには、第2元素は、Cr、V、Mn、Ti、Sc、Mo、Pd、またはIrのうち少なくとも1つとすることができる。
例えば磁化制御層のスピン分極率絶対値が0から0.2にすることができる。このような特性を有する材料として、例えばFeCr、FeVをあげることができる。
磁化制御層の膜厚をtF、スピン拡散長をλFとしたとき、tF≦λFとすることができる。仮に、スピントルク制御素子が、補助磁極との間におけるスピントルクにより動作する場合、スピン拡散長λFは、主磁極側の非磁性導電層から磁化制御層へ注入される向きに偏りのない伝導電子のスピンが、磁化制御層から補助磁極側の非磁性導電層側へ伝導するに伴い緩和され、その向きが変わる距離である。このため、tF≦λFとなり、磁化制御層のスピン拡散長λFが長い場合には,磁化制御層のスピン分極率が大きくとも、注入される非磁性導電層からのスピン情報が失われず、磁化制御層から補助磁極側へと流れるスピンの向きにも偏りが生じなくなるため、磁化制御層と補助磁極の磁化の向きが変化した際の抵抗変化は生じなくなる傾向がある。
また、スピントルクが生じる界面側の非磁性導電層の膜厚をts、スピン拡散長をλsとしたとき、ts≧λsとすることができる。仮に、スピントルク制御素子が、補助磁極との間におけるスピントルクにより動作する場合、スピン拡散長λsは、磁化制御層から補助磁極側へ流れる向きに偏りを持った伝導電子のスピンが緩和され、その向きが変わり向きに偏りを持たなくなる距離である。このため、ts≧λsである場合には,磁化制御層のスピン分極率が大きくとも、磁化制御層から補助磁極側へ流入するスピンの向きに偏りが生じなくなるため、磁化制御層と補助磁極の磁化の向きが変化した際の抵抗変化は生じなくなる傾向がある。
また、磁化制御層の膜厚は、0.5nm以上20nm以下にすることができる。0.5nm未満のような薄い膜厚であると、結晶成長が十分に進まず磁化が消失してしまう傾向がある。一方で、記録ヘッドの記録線記録性能を確保するために、ライトギャップ長は一般に20nm以下が望ましいため、最大でも磁化制御層の膜厚は20nm以下にすることができる。
主磁極側の非磁性導電層を第1非磁性導電層、補助磁極側の非磁性導電層を第2非磁性導電層とするとき、第1非磁性導電層の材料としては、たとえば、Ta、Ru、Ir、等のスピン拡散長の短い材料、第2非磁性導電層の材料としては、たとえば、Cu、Ag、Cr、NiCr、等のスピン拡散長の長い材料があげられる。なお、第1非磁性導電層と第2非磁性導電層は入れ替えることが可能である。
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更であって容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
実施例1
図1は、実施形態に係る磁気ディスク装置であるハードディスクドライブ(HDD)を概略的に示すブロック図、図2は、浮上状態の磁気ヘッドおよび磁気ディスクを示す側面図、図3は、磁気ヘッドのヘッド部および磁気ディスクの一部を拡大して概略的に示す断面図である。
HDD10は、図1に示すように、矩形状の筐体11と、筐体11内に配設された記録媒体としての磁気ディスク12と、磁気ディスク12を支持および回転するスピンドルモータ14と、磁気ディスク12に対してデータの書込み、読出しを行う複数の磁気ヘッド16と、を備えている。また、HDD10は、磁気ヘッド16を磁気ディスク12上の任意のトラック上に移動するとともに位置決めするヘッドアクチュエータ18を備えている。ヘッドアクチュエータ18は、磁気ヘッド16を移動可能に支持するサスペンションアッセンブリ20と、このサスペンションアッセンブリ20を回動させるボイスコイルモータ(VCM)22とを含んでいる。
HDD10は、ヘッドアンプIC30、メインコントローラ40およびドライバIC48を備えている。ヘッドアンプIC30は、例えば、サスペンションアッセンブリ20に設けられ、磁気ヘッド16に電気的に接続されている。メインコントローラ40およびドライバIC48は、例えば、筐体11の背面側に設けられた図示しない制御回路基板に構成されている。メインコントローラ40は、R/Wチャネル(RDC)42と、ハードディスクコントローラ(HDC)44と、マイクロプロセッサ(MPU)46と、を備えている。メインコントローラ40は、ヘッドアンプIC30に電気的に接続されると共に、ドライバIC48を介してVCM22及びスピンドルモータ14に電気的に接続されている。HDD10は、図示しないホストコンピュータに接続可能である。
図1および図2に示すように、磁気ディスク12は、ディスク面に対して垂直方向に異方性をもつ記録層を有する垂直磁気記録媒体である。具体的には、磁気ディスク12は、例えば、直径約2.5インチ(6.35cm)の円板状に形成され非磁性体からなる基板101を有している。基板101の各表面には、下地層としての軟磁性層102と、その上層部に、磁気記録層103と保護膜104とが順次積層されている。磁気ディスク12は、スピンドルモータ14のハブに互いに同軸的に嵌合されている。磁気ディスク12は、スピンドルモータ14により所定の速度で矢印B方向に回転される。
サスペンションアッセンブリ20は、筐体11に回動自在に固定された軸受部24と、軸受部24から延出した複数のサスペンション26と、を有している。図2に示すように、磁気ヘッド16は、各サスペンション26の延出端に支持されている。磁気ヘッド16は、サスペンションアッセンブリ20に設けられた配線部材28を介して、ヘッドアンプIC30に電気的に接続されている。
次に、磁気ヘッド16の構成について詳細に説明する。
図2および図3に示すように、磁気ヘッド16は浮上型のヘッドとして構成され、ほぼ直方体状に形成されたスライダ15と、スライダ15の流出端(トレーリング)側の端部に形成されたヘッド部17とを有している。スライダ15は、例えば、アルミナとチタンカーバイドの焼結体(アルチック)で形成され、ヘッド部17は複数層の薄膜により成されている。
スライダ15は、磁気ディスク12の表面に対向する矩形状のABS(空気支持面)13を有している。スライダ15は、磁気ディスク12の回転によってディスク表面とABS13との間に生じる空気流Cにより、磁気ディスク12の表面から所定量浮上した状態に維持される。空気流Cの方向は、磁気ディスク12の回転方向Bと一致している。スライダ15は、空気流Cの流入側に位置するリーディング端15aおよび空気流Cの流出側に位置するトレーリング端15bを有している。
図3に示すように、ヘッド部17は、スライダ15のトレーリング端15bに薄膜プロセスで再生ヘッド54および記録ヘッド58を形成した、分離型の磁気ヘッドである。ヘッド部17の記録再生浮上量を制御するため、記録ヘッド58の奥行き側に記録ヒータ19aが配置され、再生ヘッド54の奥行き側に再生ヒータ19bが配置されている。
再生ヘッド54は、磁気抵抗効果を示す磁性膜による再生素子55と、この再生素子55のトレーリング側およびリーディング側に磁性膜による再生素子55を挟むようにシールド膜を配置した上部シールド56および下部シールド57と、で構成されている。これら再生素子55、上部シールド56、下部シールド57の下端は、スライダ15のABS13に露出している。再生ヘッド54は、図示しない電極、配線、および配線部材28を介して、ヘッドアンプIC30に接続され、読み取ったデータをヘッドアンプIC30に出力する。
記録ヘッド58は、再生ヘッド54に対して、スライダ15のトレーリング端15b側に設けられている。記録ヘッド58は、磁気ディスク12の表面に対して垂直方向の記録磁界を発生させる高透磁率材料からなる主磁極60、トレーリングシールド(ライトシールド、第1シールド)となるリターン磁極62、および、リーディングシールド(第2シールド)となるリーディングコア64を有している。主磁極60とリターン磁極62とは磁路を形成する第1磁気コアを構成し、主磁極60とリーディングコア64とは磁路を形成する第2磁気コアを構成している。記録ヘッド58は、第1磁気コアに巻き付けられた第1コイル(記録コイル)70と、第2磁気コアに巻き付けられた第2コイル(記録コイル)72とを有している。
図3に示すように、主磁極60は、磁気ディスク12の表面に対してほぼ垂直に延びている。主磁極60の磁気ディスク12側の先端部60aは、ディスク面に向かって先細に絞り込まれ、例えば、断面が台形状に形成されている。主磁極60の先端面は、スライダ15のABS13に露出している。先端部60aのトレーリング側端面60bの幅は、磁気ディスク12におけるトラックの幅にほぼ対応している。
軟磁性体で形成されたリターン磁極62は、主磁極60のトレーリング側に配置され、主磁極60の直下の磁気ディスク12の軟磁性層102を介して効率的に磁路を閉じるために設けられている。リターン磁極62は、ほぼL字形状に形成され、主磁極60に接続される第1接続部50を有している。第1接続部50は非導電体52を介して主磁極60の上部、すなわち、主磁極60のABS13から離れた部分、に接続されている。
リターン磁極62の先端部62aは、細長い矩形状に形成され、その先端面は、スライダ15のABS13に露出している。先端部62aのリーディング側端面62bは、磁気ディスク12のトラックの幅方向に沿って延び、また、ABS13に対してほぼ垂直に延びている。このリーディング側端面62bは、主磁極60のトレーリング側端面60bとライトギャップWGを置いてほぼ平行に対向している。
第1コイル70は、主磁極60およびリターン磁極62を含む磁気回路(第1磁気コア)に巻き付くように配置されている。第1コイル70は、例えば、第1接続部50の回りに巻付けられている。磁気ディスク12に信号を書き込む際、第1コイル70に記録電流を流すことにより、第1コイル70は、主磁極60を励起して主磁極60に磁束を流す。
スピントルク制御素子65は、ライトギャップWG内において、主磁極60の先端部60aとリターン磁極62との間に設けられ、その一部は、ABS13に露出している。スピントルク制御素子65の下端面は、ABS13と面一に位置している場合に限らず、ABS13から高さ方向上方に離間していてもよい。なお、スピントルク制御素子は、アシスト素子の一例であり、例えば、スピントルクにより磁化をライトギャップ内の磁束方向とは逆向きに反転させることによる磁束制御に伴うアシスト効果を目的としたものでもよいし、スピントルクにより磁化を高周波で発振させることで媒体磁化の共鳴を引き起こす高周波アシスト効果を目的とした構成(高周波アシスト素子)が考えられる。
図3に示すように、主磁極60とリターン磁極62とに接続端子91、92がそれぞれ接続され、これらの接続端子91、92は、配線を介してヘッドアンプIC30に接続される。これにより、ヘッドアンプIC30から主磁極60、スピントルク制御素子65、リターン磁極62を通して電流を直列に通電できるように電流回路が構成されている。また、記録ヒータ19aと再生ヒータ19bとに接続端子97、98がそれぞれ接続され、これらの接続端子97、98は、配線を介してヘッドアンプIC30に接続される。
図3に示すように、軟磁性体で形成されたリーディングコア64は、主磁極60のリーディング側に主磁極60と対向して設けられている。リーディングコア64は、ほぼL字形状に形成され、磁気ディスク12側の先端部64aは細長い矩形状に形成されている。この先端部64aの先端面(下端面)は、スライダ15のABS13に露出している。先端部64aのトレーリング側端面64bは、磁気ディスク12のトラックの幅方向に沿って延びている。このトレーリング側端面64bは、主磁極60のリーディング側端面とギャップを置いて対向している。このギャップは、非磁性体としての保護絶縁膜76によって覆われている。
リーディングコア64は、磁気ディスク12から離間した位置で主磁極60との間のバックギャップに接合された第2接続部68を有している。この第2接続部68は、例えば、軟磁性体で形成され、主磁極60およびリーディングコア64とともに磁気回路を形成している。記録ヘッド58の第2コイル72は、主磁極60およびリーディングコア64を含む磁気回路(第2磁気コア)に巻きつくように配置され、この磁気回路に磁界を印加する。第2コイル72は、例えば、第2接続部68の回りに巻付けられている。なお、第2接続部68の一部に非導電体、もしくは、非磁性体を挿入してもよい。
第2コイル72は、第1コイル70と反対向きに巻かれている。第1コイル70および第2コイル72は、端子95、96にそれぞれ接続され、これらの端子95、96は配線を介してヘッドアンプIC30に接続される。第2コイル72は、第1コイル70と直列に接続されてもよい。また、第1コイル70および第2コイル72は、別々に電流の供給を制御するようにしてもよい。第1コイル70および第2コイル72に供給する電流は、ヘッドアンプIC30およびメインコントローラ40によって制御される。
磁気ヘッド16及び記録ヘッド58を駆動するヘッドアンプIC30は、図1に示したように、接続端子95、96を介して第1コイル70および第2コイル72に記録電流を供給する記録電流供給回路81と、図示しない配線および接続端子91、92を介してスピントルク制御素子65にバイアス電流を供給するバイアス電流制御部としてのアシスト素子電流供給回路82と、図示しない配線および接続端子97、98を介して記録ヒータ19aおよび再生ヒータ19bにヒータ電圧を供給するヒータ電圧供給回路83と、磁気ヘッドの再生素子部へ電圧を印可したうえで、磁気ディスク12に記録された再生信号を読み取るリード電圧供給回路84と、スピントルク制御素子65の抵抗値を測定する抵抗測定部としてのアシスト素子抵抗測定回路85とを備えている。さらに、図示しないが、記録電流供給回路81に電流を流す時間及びそのタイミングを制御すると共に、スピントルク制御素子電圧供給回路82に電圧を印加する時間およびそのタイミングを制御する図示しないタイミング演算部と、R/Wチャネル42で発生する記録パターン信号に応じて、記録電流波形を発生する図示しない記録電流波形発生器と、を備えている。アシスト素子抵抗測定回路85では、抵抗値を定期的に測定し、検出することでスピントルク制御素子65の劣化をモニタすることができる。
図4は、実施形態に用いられる磁気ヘッドの記録ヘッド先端部および磁気ディスクの一部を拡大して概略的に示す断面図である。
図5は、図4の磁気ヘッドを長時間動作させた様子を表す断面図である。
図4に示すように、スピントルク制御素子65は、主磁極60a上に設けられ、スピン拡散長が短い材料からなる第1非磁性導電層65a、第1非磁性導電層65a上に設けられる磁化制御層65c、及び、磁化制御層65c上に設けられ、スピン拡散長の長い材料からなる第2非磁性導電層65bを有する。前述の通り、ヘッドアンプIC30から主磁極60、スピントルク制御素子65、リターン磁極62を通して電子が磁化制御層65cからリターン磁極62aに流れる極性へバイアス電流を直列にある一定値以上に通電することでリターン磁極62aからの反射のスピントルクにより磁化制御層65cを発振させることができる。ここで、第1非磁性導電層65aは必要に応じて省略することができる。また、主磁極60a上に、磁化制御層65c、磁化制御層65c、及び第2非磁性導電層65bを製膜する順序を逆にして、主磁極60aから、第2非磁性導電層65b、磁化制御層65c、及び磁化制御層65cを介してリターン磁極62aに流れる極性へバイアス電流を通電することも可能である。
スピントルク制御素子65を駆動するためには電流を通電する必要がある。それに伴いスピントルク制御素子65が発熱するため、とりわけ高温環境下で長時間動作させると、図5に示すように、スピントルク制御素子65がABS面側から酸化により劣化した酸化物層200が形成され、信頼性に問題が生じる。
通電試験
通電試験用に、FeCoから成る主磁極60及びリターン磁極62の間に、主磁極60からから順に下記の材料及び厚さを有する層を積層し、スピントルク制御素子65を製膜し、サンプル1~10を作成した。
サンプル1~10
第1非磁性導電層65a Ta 10nm
磁化制御層65c NiFe 5nm
第2非磁性導電層65b Cu 2nm
サンプル1~10について、高温100℃環境下においてライト動作をせずに、スピントルク制御素子へ7mAを長時間連続通電した。得られた結果の一例を下記表1に示す。
Figure 2023112428000002
表1のサンプル2及び10に示す通り、スピントルク制御素子65の酸化劣化の兆候は、スピントルク制御素子65の抵抗変化率が概ね+4%以上となる辺りから見られており、ドライブ動作中においてもヘッドアンプIC30内のアシスト素子抵抗測定回路85において定期的に抵抗値を検出することでスピントルク制御素子65の劣化をモニタすることができる。
図6は、図4の矢印201の方向から見たリターン磁極の磁化の向きの一例を表すモデル図である。
図7は、図4の矢印201の方向から見た磁化制御層の磁化の向きの一例を表すモデル図である。
図8は、図4の矢印201の方向から見た主磁極先端部の磁化の向きの一例を表す図である。
図中、203、204、205は、各々磁化の向きを表す矢印である。13は、ABS側を示す。
図6から図8に示すように、ライト後の磁化状態はデガウス動作による消磁操作がなされたとしても、リターン磁極62a、および磁化制御層65c、及び主磁極先端部60の磁化は製膜された膜の面内に乱雑な向きを向いた状態で残るため、磁化制御層65cの面内磁化とリターン磁極62aの面内磁化の相対角度に応じて磁気抵抗効果が生じ、ライト後の磁化状態によって抵抗値が変動してしまうことになる。
抵抗値測定試験
上記通電試験に使用したサンプルと同様にしてサンプル11を作製し、ライト動作後のスピントルク制御素子65の抵抗値を繰返し観測し、抵抗値測定試験を行った。
図9に、サンプルの抵抗値測定試験の結果を表すグラフ図を示す。
図10に、図9の抵抗値のばらつきの割合を表す図を示す。
図9に示すように、サンプルでは、磁気抵抗効果に伴う抵抗値のバラつきが生じ、図10に示されるように、測定最小値からの変動率としてはスピントルク制御素子が酸化劣化した際の抵抗変化率4%に近くなるケースが出てくるため、抵抗値からのみではスピントルク制御素子の素子劣化有無を検出することが困難となる。そこで抵抗バラつきを抑えるために磁気抵抗効果を意図的に抑える構成を使用することが望ましい。
通電試験に用いたサンプルのように、主磁極60a、スピントルク制御素子65、リターン磁極62aから成る強磁性体/非磁性体/強磁性体の面直通電型巨大磁気抵抗素子(CPP-GMR素子)の構成における磁気抵抗効果に関しては、Valet-Fertモデルにより表すことができる。単純な対称系の場合には、磁気抵抗効果に伴う面積抵抗変化率ΔRA(%)は強磁性体のスピン分極率をβ、抵抗率をρF、膜厚をtF、とすると、下記式(1)で表すことができる。
Figure 2023112428000003
一般的なFe、Co、あるいはNi等から成る強磁性体の導電性は、材料により大きな差異はない。また、設計上の膜厚が同じ前提の場合には、このΔRAすなわち磁気抵抗効果による抵抗変化率は、強磁性体のスピン分極率βによって左右される。通電試験に用いたサンプルのスピントルク制御素子の一例のように、主磁極60a及びリターン磁極62aの間に磁化制御層65cとして一般的なFe、Co、あるいはNi系の合金材料を使用したスピントルク制御素子を用いた場合、βは0.4~0.5と大きいために、図9で示されるような大きな磁気抵抗効果を示すこととなる。このようなことから、抵抗バラつきを抑制するためには、βの絶対値が小さい材料を用いることが望ましい。
実施形態に係るサンプル12として、FeCoから成る主磁極60及びリターン磁極62の間に、主磁極60上から順に下記の材料及び厚さを有する層を積層し、スピントルク制御素子65を製膜した。
サンプル12
第1非磁性導電層65a Ta 10nm、
磁化制御層65c FeCr 5nm、
第2非磁性導電層65b Cu2nm
なお、FeCrは、βの絶対値が0.1以下として知られている。
サンプル12について、ライト動作後のスピントルク制御素子の抵抗値を繰返し観測し、サンプルと同様に、抵抗値測定試験を行った。
図11に、実施形態にかかるサンプルの抵抗値測定試験の結果を表すグラフ図を示す。
図12に、図11の抵抗値のばらつきの割合を表す図を示す。
図11に示すように、実施形態に係るサンプル12では、磁化制御層をスピン分極率絶対値を抑える材料を用いて形成したことにより、磁気抵抗効果を低減できることがわかった。その結果、図12に示すように、抵抗バラつきを大きく低減することができる。
なお、ここではβの絶対値が概ね0.1である材料としてFeCrを磁化制御層65cに用いているが、磁化制御層の材料として、Fe、Co、あるいはNiのうち少なくとも1つの第1元素と、Cr、V、Mn、Ti、Sc、Mo、Pd、またはIrのうち少なくと1つの第2元素とを含む合金材料を用いることができる。
また、第1元素と第2元素の合金材料の代わりに、第1元素と第2元素の人工格子を使用することができる。
実施形態に係るサンプル13として、FeCoから成る主磁極60及びリターン磁極62の間に、主磁極60上から順に下記の材料及び厚さを有する層を積層し、スピントルク制御素子65を製膜することができる。
サンプル13
第1非磁性導電層65a Ta 10nm、
磁化制御層65cとして、第1元素 Fe 0.3nm/第2元素 Cr 0.2nm を10層繰返し積層した人工格子 5nm、
第2非磁性導電層65b Cu 2nm
サンプル13についても、Fe/Crを積層することにより、スピン分極率βの小さいFeCrを使用したサンプル12と同様にライト動作後のスピントルク制御素子の抵抗値のばらつきを低減することが可能である。
なお、実施形態に係るスピントルク制御素子において、主磁極60と第1非磁性導電層65aとの間に、さらに、下地層を設けることも可能である。下地層としては、たとえば、Ta、Ru等があげられる。主磁極60と第1非磁性導電層65aの間が接触することもできる。
第2非磁性導電層65bとリターン磁極62の間に、さらに、キャップ層を設けることができる。キャップ層としてはたとえば、Ta、Ru等があげられる。第2非磁性導電層65bとリターン磁極62の間が接触することもできる。
磁気抵抗効果に関しては、ライト後のスピントルク制御素子の抵抗バラつきとは別の形でも検出することは可能である。
図13に、磁化が反転する極性にバイアス電流を通電する様子を表す模式図を示す。
例えば、サンプル1~11と同様の構成のスピントルク制御素子、例えばFeCoから成る主磁極60、リターン磁極62 の間において、第1非磁性導電層65aがTa10nm、磁化制御層65cがNiFe5nm、及び第2非磁性導電層65bとしてCu2nmから成るスピントルク制御素子65を製膜し、磁気ディスク装置を作成した場合、記録電流供給回路81を用い、図示するように、記録コイルに、20~50mA程度のDC電流を通電した状態で、電子が磁化制御層65cからリターン磁極62aに流れる極性すなわち磁化が反転する極性でスピントルク制御素子内に電流を3~5mA程度通電することで、リターン磁極62aからの反射のスピントルクで磁化制御層65cの磁化は反転する。
ここで、スピントルク制御素子に通電する電流量は、磁化制御層65cの膜厚、及び、飽和磁化に応じて調整しても構わない。このとき、磁化制御層65cとリターン磁極62aの磁化が反平行状態となるため、この2層間の磁気抵抗効果によりスピントルク制御素子の抵抗値は上昇することとなる。
図14に、磁化が反転する極性とは逆極性にバイアス電流を通電する様子を表す模式図を示す。
一方で、図14のように、同じ記録コイル電流、および、バイアス電流においてバイアス通電極性を逆向きとすると、リターン磁極62aから磁化制御層65cへの透過スピントルクによって磁化制御層65cの磁化はリターン磁極62aの磁化と揃うようになる。この場合は、磁化制御層65cとリターン磁極62aの磁化が平行状態となるため、スピントルク制御素子の抵抗値は低くなる。これら図13、14でのスピントルク制御素子抵抗値の差を求めることでスピントルク制御素子の磁気抵抗効果を検出することができる。
例えば、ドライブ動作中に定期的にスピントルク制御素子の抵抗値をモニタすることでスピントルク制御素子の酸化劣化を検出することができる。
磁気抵抗効果の検出プロセスの一例を表すフロー図を図20に示す。
図示するように、まず、通常の記録再生モードにおいて一定の時間が経過したとき、磁気抵抗効果測定の要求があるかどうか判定する(S1)。要求がない場合には、通常の記録再生モードに移行する(S10)。要求がある場合には、該当する磁気ヘッドに対し専用トラックへシーク動作を行った後(S2)、記録コイルに20~50mAのDC電流を通電する(S3)。
次に、スピントルク制御素子に対し、正極性(電子が磁化制御層からリターン磁極に流れる向き)で所望の電流をアシスト素子電流供給回路82から通電する(S4)。ここで、電流量としては、磁化制御層が飽和磁化1TのNiFe5nmから成るとき、3~5mAにすることができる。この電流量は、膜厚と飽和磁化に応じて調整することが可能である。続いて、アシスト素子抵抗測定供給回路85において印可電圧をリードバックすることによりスピントルク制御素子の抵抗値Rpを測定する(S5)。同様に、今度はスピントルク制御素子に対し、負極性(電子がリターン磁極から磁化制御層に流れる向き)で(S4)と同じ電流量をアシスト素子電流供給回路82から通電する(S6)。アシスト素子抵抗測定供給回路85においてスピントルク制御素子の抵抗値Rnを測定する(S7)。ここで、下記式(2)により、磁化制御層磁化とリターン磁極磁化が平行/反平行状態において生じる磁気抵抗効果を算出することが可能となる(S8)。
Figure 2023112428000004
磁気抵抗効果を算出後、スピントルク制御素子に対するアシスト素子電流供給回路82からの通電をオフし(S9)、通常の記録再生モードに移行する(S10)。
図15に、ドライブ動作中に定期的にスピントルク制御素子の抵抗値をモニタすることピントルク制御素子の酸化劣化を検出した例として、ライト時間とスピントルク制御素子の抵抗値との関係を表すグラフ図を示す。
図中、220は、65aがTa10nm、65cがFeCr 5nm、65bがCu2nmから成る実施形態に使用されるスピントルク制御素子の測定結果、221は、65aがTa10nm、65cがNiFe5nm、65bがCu2nmから成る比較のスピントルク制御素子の測定結果を表す。
221に示すように、比較のスピントルク制御素子の測定結果では、ライト後の残留磁化に伴う磁気抵抗効果による抵抗バラつきが大きく、酸化劣化を誤検出する場合が発生していたのに対し、220に示すように、磁化制御層65cとしてβの絶対値が~0.1と小さいFeCr 5nmを適用した場合には、抵抗バラつきが抑制でき、抵抗値から精度よくスピントルク制御素子の劣化を検出することが可能となることがわかる。
実施例2
実施例1で説明した磁化制御層65c、リターン磁極62a間の磁気抵抗効果は、対称系想定であれば式(1)のように示される通り、強磁性体、すなわち磁化制御層65cの膜厚tFを薄くすることでも小さくする事が可能であり、更には、磁化制御層65cのスピン拡散長をλFとしたとき、tF≦λFとなるような膜厚に設計する事でスピン偏極させずに実効的にβを低減できるため、tF≦λFとなるように磁化制御層65cの膜厚を設計する事でも磁気抵抗効果を概消失させることが可能となる。例えば、磁化制御層65cとして、スピン拡散長λFが概3nmであるNiFeを膜厚tF 5nmで製膜した場合、tF≧λFのため、第2非磁性導電層界面にて十分スピン偏極し、磁気抵抗効果が生じる事となるが、代替材料として、例えば、スピン拡散長λFが概10nmであるFeCoやFeCrを膜厚tF 5nmで製膜することで、磁気抵抗効果を概消失させることが可能である。
実施例3
実施例1で説明した磁化制御層65c、リターン磁極62a間の磁気抵抗効果は、その2層間の第2非磁性導電層65bの材料を選択することにより低減させることが可能である。
具体的には、第2非磁性導電層65bの膜厚をts、スピン拡散長をλsとしたとき、 ts≧λs とすることで磁気抵抗効果を概ね消失できる。
例えば、第1非磁性導電層65aがTa 10nm、 磁化制御層65cがNiFe 5nm、 第2非磁性導電層65bとしてスピン拡散長λsが500nm以下であるCu 2nmから成るスピントルク制御素子の場合、ts<<λsとなるため、磁気抵抗効果による抵抗バラつきが生じる傾向がある。一方、第2非磁性導電層65bとして、Cu 2nmの代わりにスピン拡散長λsが 1~2nm であるTaやIrを2nm製膜することで磁気抵抗効果を概ね消失できる。
実施例4
スピントルク制御素子として、複数の磁化制御層と複数の非磁性導電層の積層を用いた例を示す。
図16に、実施形態に用いられる磁気ヘッドの他の例を概略的に示す断面図を示す。
図示するように、スピントルク制御素子65は、主磁極60a上に設けられ、スピン拡散長が短い材料からなる第1非磁性導電層65a、導電層65a上に交互に設けられる磁化制御層65e、磁化制御層65e上に設けられ、スピン拡散長の長い材料からなる第2非磁性導電層65d、磁化制御層65e、及び第2非磁性導電層65dからなる積層65-1を有すること以外は、図4と同様の構成を有する。ここで、非磁性導電層65aは必要に応じて省略することができる。また、主磁極60a上に、磁化制御層65e、磁化制御層65e、及び第2非磁性導電層65dを製膜する順序を逆にして、主磁極60aから、第2非磁性導電層65d、磁化制御層65e、第2非磁性導電層65d、及び磁化制御層65eを介してリターン磁極62aに流れる極性へバイアス電流を通電することも可能である。
FeCoから成る主磁極60及びリターン磁極62の間に、主磁極60上から順に下記の材料及び厚さを有する層を積層し、スピントルク制御素子65を製膜し、サンプル14を作成した。
サンプル14
第1非磁性導電層65a Ta 5nm
磁化制御層65e NiFe 3nm
非磁性導電層65d Cu 2nm
磁化制御層65e NiFe 5nm
非磁性導電層65d Cu 2nm
図16のようにリターン磁極62上に非磁性導電層65dと磁化制御層65eとの積層を設ける場合、第2非磁性導電層65bは省略することができる。
図17は、図16の矢印201の方向から見たリターン磁極の磁化の向きの一例を表すモデル図である。
図18は、図16の矢印201の方向から見た磁化制御層の磁化の向きの一例を表すモデル図である。
図19は、図16の矢印201の方向から見た主磁極先端部の磁化の向きの一例を表す図である。
図中、203’、204’、205’は、各々磁化の向きを表す矢印である。13は、ABS側を示す。
実施形態に用いられる磁気ヘッドの他の例においても、図17から図19に示すように、ライト後の磁化状態はデガウス動作による消磁操作がなされたとしても、リターン磁極62a、および磁化制御層65-1、及び主磁極先端部60の磁化は製膜された膜の面内に乱雑な向きを向いた状態で残るため、磁化制御層65-1の面内磁化とリターン磁極62aの面内磁化の相対角度に応じて磁気抵抗効果が生じ、ライト後の磁化状態によって抵抗値が変動してしまうことになる。
抵抗バラつきを抑制するためには、例えばサンプル12の磁化制御層65cのように、磁化制御層65eの材料として、NiFeの代わりにスピン分極率βの絶対値が0から0.2である材料例えばFeCr等を使用することも可能である。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
11…筐体、12…磁気ディスク、13…ABS、14…スピンドルモータ、15…スライダ、16…磁気ヘッド、17…ヘッド部、18…ヘッドアクチュエータ、30…ヘッドアンプIC、40…メインコントローラ、54…再生ヘッド、58…記録ヘッド、60…主磁極、62…補助磁極、64…リーディングコア、65…スピントルク制御素子、65-1…積層、65a…第1非磁性導電層、65b…第2非磁性導電層、65c…磁化制御層、81…記録電流供給回路、82…アシスト素子電流供給回路、83…ヒータ電圧供給回路、84…リード電圧供給回路、85…アシスト御素子抵抗測定回路

Claims (9)

  1. 主磁極と、前記主磁極にライトギャップを置いて設けられた補助磁極と、前記ライトギャップに設けられたスピントルク制御素子と、前記スピントルク制御素子にバイアス電流を供給するバイアス電流制御部と、前記スピントルク制御素子の抵抗値を測定する抵抗測定部とを含み、
    前記スピントルク制御素子の磁化が反転する極性にバイアス電流を通電した際の第1抵抗値と、前記極性とは逆極性にバイアス電流を通電した際の第2抵抗値との差分絶対値が4%以下であることを特徴とする磁気ヘッド。
  2. 主磁極と、前記主磁極にライトギャップを置いて設けられた補助磁極と、前記ライトギャップに設けられたスピントルク制御素子とを含み、
    前記スピントルク制御素子と補助磁極間、または前記スピントルク制御素子と主磁極間における磁気抵抗効果の絶対値が4%以下であることを特徴とする磁気ヘッド。
  3. 前記スピントルク制御素子は、磁化制御層と非磁性導電層とを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の磁気ヘッド。
  4. 前記磁化制御層のスピン分極率絶対値が0から0.2であることを特徴とする請求項3に記載の磁気ヘッド。
  5. 前記磁化制御層は、鉄、コバルト、またはニッケルのうち少なくとも1つの第1元素と、クロム、バナジウム、マンガン、チタン、スカンジウム、モリブデン、パラジウム、またはイリジウムのうち少なくとも1つの第2元素とを含む合金材料により構成される請求項3または4に記載の磁気ヘッド。
  6. 前記磁化制御層は、鉄、コバルト、またはニッケルのうち少なくとも1つの第1元素と、クロム、バナジウム、マンガン、チタン、スカンジウム、モリブデン、パラジウム、またはイリジウムのうち少なくとも1つの第2元素との積層により構成される請求項3または4に記載の磁気ヘッド。
  7. 前記磁化制御層の膜厚をtF、スピン拡散長をλFとしたとき、tF≦λFとなることを特徴とする請求項3ないし6のいずれか1項に記載の磁気ヘッド。
  8. 前記非磁性導電層の膜厚をts、スピン拡散長をλsとしたとき、ts≧λsとなることを特徴とする請求項3ないし7のいずれか1項に記載の磁気ヘッド。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の磁気ヘッドを具備する磁気記録再生装置。
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