JP2009301695A - マイクロ波アシスト用薄膜磁気ヘッド及びマイクロ波アシスト磁気記録方法 - Google Patents

マイクロ波アシスト用薄膜磁気ヘッド及びマイクロ波アシスト磁気記録方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009301695A
JP2009301695A JP2009049222A JP2009049222A JP2009301695A JP 2009301695 A JP2009301695 A JP 2009301695A JP 2009049222 A JP2009049222 A JP 2009049222A JP 2009049222 A JP2009049222 A JP 2009049222A JP 2009301695 A JP2009301695 A JP 2009301695A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
layer
magnetic pole
spin wave
magnetization
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2009049222A
Other languages
English (en)
Inventor
Koji Shimazawa
幸司 島沢
Tsutomu Cho
勤 長
Yoshihiro Tsuchiya
芳弘 土屋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Publication of JP2009301695A publication Critical patent/JP2009301695A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
    • G11B5/127Structure or manufacture of heads, e.g. inductive
    • G11B5/31Structure or manufacture of heads, e.g. inductive using thin films
    • G11B5/3109Details
    • G11B5/313Disposition of layers
    • G11B5/3133Disposition of layers including layers not usually being a part of the electromagnetic transducer structure and providing additional features, e.g. for improving heat radiation, reduction of power dissipation, adaptations for measurement or indication of gap depth or other properties of the structure
    • G11B5/314Disposition of layers including layers not usually being a part of the electromagnetic transducer structure and providing additional features, e.g. for improving heat radiation, reduction of power dissipation, adaptations for measurement or indication of gap depth or other properties of the structure where the layers are extra layers normally not provided in the transducing structure, e.g. optical layers
    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
    • G11B2005/0002Special dispositions or recording techniques
    • G11B2005/0005Arrangements, methods or circuits
    • G11B2005/0024Microwave assisted recording

Abstract

【課題】頻繁に反転する非常に強い書き込み磁界の存在によっても、所望の周波数を有する高周波電磁界を安定して発生させる薄膜磁気ヘッドを提供する。
【解決手段】この薄膜磁気ヘッドは、書き込み磁界を発生させる第1の磁極、及び第2の磁極と、第1及び第2の磁極の間であって媒体対向面に達する位置に設けられた電磁界生成素子とを備えている。この電磁界生成素子は、第1の磁極に隣接していて外部磁界に応じて磁化の方向が変化し、スピン波の励起によって高周波電磁界を生成するためのスピン波励起層と、スピン波励起層の第1の磁極とは反対側に設けられた非磁性中間層とを備えている。さらにこの電磁界生成素子においては、スピン波励起層の磁化が第1の磁極から発生する磁界の一部によって層面に実質的に垂直な方向にバイアスされ、スピン波を励起するための電流が電磁界生成素子内を第2の磁極から第1の磁極へ向かう方向に流れる。
【選択図】図4

Description

本発明は、磁気記録媒体にマイクロ波を照射して、照射した部分にデータの書き込みを行うマイクロ波アシスト磁気記録技術に用いられる薄膜磁気ヘッドに関し、さらに、この技術による磁気記録方法に関する。
磁気記録装置、特に磁気ディスク装置の高記録密度化に伴い、薄膜磁気ヘッドのさらなる性能の向上が要求されている。薄膜磁気ヘッドとしては、データ読み出し用の磁気抵抗(MR)素子とデータ書き込み用の電磁変換素子とを積層した構造である複合型薄膜磁気ヘッドが広く用いられており、これらの素子によって磁気記録媒体である磁気ディスクに信号データが読み書きされる。
一方、磁気記録媒体は、いわば、磁性微粒子が集合した不連続体であり、それぞれの磁性微粒子は単磁区構造となっている。ここで、1つの記録ビットは、複数の磁性微粒子から構成されている。従って、記録密度を高めるためには、磁性微粒子を小さくして、記録ビットの境界の凹凸を減少させなければならない。しかし、磁性微粒子を小さくすると、体積減少に伴う磁化の熱安定性の低下が問題となる。
磁化の熱安定性の目安は、KV/kTで与えられる。ここで、Kは磁性微粒子の磁気異方性エネルギー、Vは1つの磁性微粒子の体積、kはボルツマン定数、Tは絶対温度である。磁性微粒子を小さくするということは、まさにVを小さくすることであり、そのままではKV/kTが小さくなって熱安定性が損なわれる。この対策として、同時にKを大きくすることが考えられるが、このKの増加は、媒体の保磁力の増加をもたらす。これに対して、磁気ヘッドによる書き込み磁界強度は、ヘッド内の磁極を構成する軟磁性材料の飽和磁束密度でほぼ決定されてしまう。従って、保持力が、この書き込み磁界強度の限界から決まる許容値を超えると書き込みが不可能となってしまう。
このような磁化の熱安定性の問題を解決する第1の方法として、パターンドメディアの使用が考えられる。通常の磁気記録においては、上述したように1つの記録ビットを、N個の磁性微粒子により構成して記録を行っている。これに対してパターンドメディアを用いた場合、1つの記録ビットを体積NVの1つの領域とすることによって、熱安定性の指標をKNV/kTとすることができ、熱安定性が飛躍的に向上する。
また、熱安定性の問題を解決する第2の方法として、Kの大きな磁性材料を用いる一方、書き込み磁界印加の直前に媒体に熱を加えることによって、保磁力を小さくして書き込みを行う方法が提案されている。この方法は、熱アシスト磁気記録技術と呼ばれている。この技術は光磁気記録技術と一見類似しているが、光磁気記録技術は空間分解能を光に持たせているのに対し、熱アシスト磁気記録技術は空間分解能を磁界に持たせている。
しかしながら、上述した第1及び第2の方法はともに、従来の媒体構造又はヘッド構造に対して大幅な変更を要求するものであり、これらの方法の実現には、技術面、コスト面における大きな困難さが伴う。これに対して現在、第3の方法、すなわち非特許文献1に記載されたようなマイクロ波アシスト磁気記録技術が提案されている。この技術においては、従来の書き込みヘッド素子の主磁極とトレーリングシールドとの間にMR素子を挿入した構造が用いられており、上述した第1及び第2の方法に比べてヘッドの形成が遙かに容易となる。なお、特許文献1及び特許文献2においても、同様のマイクロ波アシスト磁気記録技術が開示されている。
これらの提案されているマイクロ波アシスト磁気記録技術においては、書き込み磁極の近傍に形成されており磁化の方向が外部磁界に応じて変化する磁化自由層と、この磁化自由層上に積層された非磁性層と、この非磁性層上に積層された、磁化の方向が固定された磁化固定層と、この積層構造に電流を流すための一対の電極とが設けられたスピン波励起素子が用いられている。このスピン波励起素子においては、各層面に垂直な方向に電流が流される。この電流によって電子のスピンが移送され、これによりスピントルクが発生する。このスピントルクによって、磁化自由層の磁化が歳差運動を始めるのである。次いで、この磁化自由層の磁化の歳差運動によって、スピン波が励起される。このスピン波が励起された磁化自由層からは、マイクロ波領域の高周波電磁界が漏洩し、この電磁波を受けた磁気記録媒体の磁気記録層の磁化が、ゆらぎを与えられる。その結果、主磁極からの書き込み磁界単独では不可能であった磁気記録層の磁化の反転が可能となる。
この際、この高周波電磁界の周波数、すなわち、磁化自由層の磁化の歳差運動における周波数は、磁気記録層が有する固有の磁気共鳴周波数にチューニングされなければならない。そのため、磁化自由層の厚さ、磁化自由層に予め印加されるバイアス磁界、さらにはスピン波を励起するための電流の量等の調整が行われる。なお、非特許文献1には、磁化自由層に接するように垂直磁気異方性層(layer with perpendicular anisotropy)を設け、この層の垂直磁気異方性の大きさを調整することによって、歳差運動の周波数を制御する試みが開示されている。
国際公開第2003/010758号パンフレット 特開2005−285242号公報
Zhu他2名, "Microwave Assisted Magnetic Recording", IEEE TRANSACTIONS ON MAGNETICS 2008年1月, 第44巻, 第1号, p.125−131
しかしながら、以上に述べた従来技術においては、少なくとも2つの問題が存在する。1つは、磁化固定層における磁化の安定性の問題である。スピン波励起素子内の磁化固定層の磁化は、1つの向きに固定されている。この固定された向きは、外部磁界やスピン波励起のための電流が印加されても、安定的に保たれなければならない。さもなければ、発生するスピントルクの量が不安定となり、磁化自由層の磁化における所望の安定した歳差運動が得られなくなる。ここで、スピン波励起素子は、主磁極の近傍に配置されており、書き込み動作時に非常に強い書き込み磁界を被ることになる。受ける磁界の大きさは、例えば10kOe(キロエルステッド)程度、又はそれを超える値となる。さらに、この書き込み磁界は、書き込まれるべきデータに応じてその向きが頻繁に反転する。しかしながら、磁化固定層用の材料として、このように非常に大きく頻繁に反転する磁界に抗する保磁力を有する材料を見出すことは、非常に困難である。
さらに、2つめの問題は、磁化自由層の磁化における歳差運動の周波数の調整である。上述した従来技術においては、磁化自由層の厚さ、垂直磁気異方性層(layer with perpendicular anisotropy)の垂直磁気異方性の大きさ等を制御することによって、歳差運動の周波数が所定値に設定されている。しかしながら、スピン波励起素子が主磁極から受ける書き込み磁界によるこの周波数への影響は、何ら考慮されていない。従って、この歳差運動の周波数が、この書き込み磁界に依存して設定値から大きく変動し、場合によっては、歳差運動自体が生じなくなることもあり得る。
従って、本発明の目的は、頻繁に反転する非常に強い書き込み磁界の存在によっても、所望の周波数を有する高周波電磁界を安定して発生させることが可能な薄膜磁気ヘッドを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、頻繁に反転する非常に強い書き込み磁界の印加時においても、所望の周波数を有する高周波電磁界を、磁気記録媒体に安定して照射することが可能な磁気記録方法を提供することにある。
本発明について説明する前に、本明細書において用いられる用語の定義を行う。本発明に係る薄膜磁気ヘッドのスライダ基板の素子形成面に形成された積層構造若しくは素子構造において、基準となる層又は素子から見て、スライダ基板側を「下方」とし、その反対側を「上方」とする。また、ある層又は素子において、スライダ基板側の部分を「下部」とし、その反対側の部分を「上部」とする。
また、本発明による磁気ヘッドの実施形態において、必要に応じ、いくつかの図面中、「X、Y及びZ軸方向」を規定している。ここで、X軸方向は、上述した「上下方向」であり、+X方向がトレーリング側に相当し、−X方向がリーディング側に相当する。また、Y軸方向をトラック幅方向とし、Z軸方向をハイト方向とする。
本発明によれば、磁気記録媒体に書き込みを行うための書き込み磁界を発生させる第1の磁極(図2に示す実施形態においては主磁極層340)、及び第2の磁極(図2に示す実施形態においてはライトシールド層345)と、第1の磁極及び第2の磁極の間であって、媒体対向面に達する位置に設けられた電磁界生成素子とを備えた薄膜磁気ヘッドであって、
電磁界生成素子は、第1の磁極に隣接しており、外部磁界に応じて磁化の方向が変化し、スピン波の励起によって高周波電磁界を生成するためのスピン波励起層と、このスピン波励起層の第1の磁極とは反対側に設けられた非磁性中間層とを備えており、
スピン波励起層の磁化が、第1の磁極から発生する磁界の一部によって層面に実質的に垂直な方向にバイアスされ、スピン波を励起するための電流が、電磁界生成素子内を、第2の磁極から第1の磁極へ向かう方向に流れる薄膜磁気ヘッドが提供される。
この本発明による薄膜磁気ヘッドの電磁界生成素子においては、スピン波励起層の磁化が第1の磁極から発生する磁界の一部によってバイアスされる。この磁界の一部は、非常に強く頻繁に反転する。しかしながら、スピン波を励起するための電流が第2の磁極から第1の磁極へ向かう方向に流されることによって、スピン波励起層からは、所望の周波数fを有するマイクロ波領域の高周波電磁界が、安定して生成可能となるのである。
なお、「層面に実質的に垂直な方向に」とは、以下の意味とする。すなわち、書き込み磁界を発生させる第1の磁極から発生する磁界に対応する磁束は、電磁界生成素子内においても厳密には直線ではなく曲線を描き、その程度は具体的なヘッドデザインによる。従って、電磁界生成素子が第1の磁極及び第2の磁極の間に設けられている場合であって、具体的なヘッドデザインによって磁束が若干曲がることにより、磁界が層面に垂直な方向から若干ずれたとしても、磁界は「実質的に」層面に垂直とする。
この本発明による薄膜磁気ヘッドにおいて、スピン波励起層は、1×10erg/cm以下の磁気異方性エネルギーを有することが好ましく、層面に垂直な磁化容易軸を有することも好ましい。また、電磁界生成素子はさらに、外部磁界に応じて磁化の方向が変化する磁化自由層を備えており、非磁性中間層は、この磁化自由層とスピン波励起層との間に挟まれた位置に設けられていて、磁化自由層の磁化が、第1の磁極から発生する磁界の一部によって層面に実質的に垂直な方向にバイアスされることもまた好ましい。この磁化自由層を備えた場合において、磁化自由層は、1×10erg/cm以下の磁気異方性エネルギーを有することが好ましく、層面に垂直な磁化容易軸を有することも好ましい。
さらに、本発明による薄膜磁気ヘッドにおいて、第2の磁極は、第1の磁極と対向する媒体対向面側の端部に、第1の磁極に向かう方向に突出した突出部を備えており、電磁界生成素子は、この突出部と第1の磁極との間に設けられていることも好ましい。また、第1の磁極は、第2の磁極と対向する媒体対向面側の端部に、第2の磁極に向かう方向に突出した突出部を備えており、電磁界生成素子は、この突出部と第2の磁極との間に設けられていることも好ましい。これらの突出部の存在によって、主磁極からの磁界の一部が、より確実に電磁界生成素子の各層面に垂直となる。これにより、より良好なバイアス状態が実現し、より安定した高周波電磁界が生成可能となる。
さらに、本発明による薄膜磁気ヘッドにおいて、第1の磁極及び第2の磁極のうちの一部が、電気的な絶縁層で形成されており、第1の磁極の媒体対向面側の端部及び第2の磁極の媒体対向面側の端部が、スピン波を励起するための電流を電磁界生成素子に流すための電極となっていることも好ましい。また、電磁界生成素子の媒体対向面側の端におけるトラック幅方向の幅が、第1の磁極の媒体対向面側の端におけるトラック幅方向の幅よりも小さいことも好ましい。さらに、スピン波励起層から発生する高周波電磁界の周波数が、書き込み対象である磁気記録媒体の磁気記録層の磁気共鳴周波数と実質的に等しいことが好ましい。
ここで、「磁気共鳴周波数と実質的に等しい」とは、以下の意味とする。すなわち、磁気記録媒体に照射される高周波電磁界の周波数fが、磁気記録媒体の磁気記録層の磁気共鳴周波数fから若干ずれたとしても、磁気記録層の異方性磁界はそれなりに低減し得る。従って、照射される高周波電磁界において、書き込みが可能なまでに磁気記録層の異方性磁界が低減する周波数fの範囲を、「磁気共鳴周波数と実質的に等しい」範囲とする。
また、本発明によれば、さらに、以上に述べた薄膜磁気ヘッドと、この薄膜磁気ヘッドを支持する支持機構とを備えているヘッドジンバルアセンブリ(HGA)が提供される。
さらに、本発明によれば、以上に述べた少なくとも1つのHGAと、少なくとも1つの磁気記録媒体と、この少なくとも1つの磁気記録媒体に対して薄膜磁気ヘッドが行う書き込み動作を制御するための記録回路とを備えている磁気記録装置であって、この記録回路が、スピン波を励起する電流を制御するためのスピン波制御回路をさらに備えている磁気記録装置が提供される。
さらに、本発明によれば、媒体対向面に垂直な層面を有しており外部磁界に応じて磁化の方向が変化するスピン波励起層の磁化を、磁極から発生する磁界の一部によって層面に実質的に垂直な方向にバイアスし、
磁化がバイアスされたスピン波励起層に電流を流して、このスピン波励起層にスピン波を励起し、
スピン波によって生成され磁気記録媒体の面内方向の成分を含む高周波電磁界を、磁気記録媒体の一部分に照射することによって、この磁気記録媒体の一部分の異方性磁界を低下させ、
磁気記録媒体の異方性磁界が低下した部分に、磁極から発生する書き込み磁界を印加して書き込みを行う磁気記録方法が提供される。
この本発明による磁気記録方法を用いることによって、頻繁に反転する非常に強い書き込み磁界の印加時においても、所望の周波数を有する高周波電磁界を、磁気記録媒体に安定して照射することができ、良好なマイクロ波アシスト磁気記録を実現することが可能となる。
この本発明による磁気記録方法において、スピン波励起層の磁気異方性エネルギーを、1×10erg/cm以下とすることが好ましく、スピン波励起層の磁化容易軸を層面に垂直な方向とすることも好ましい。また、スピン波励起層と、非磁性中間層と、外部磁界に応じて磁化の方向が変化する磁化自由層とが順次積層された多層構造において、磁極から発生する磁界の一部によってスピン波励起層及び磁化自由層の磁化を各層面に実質的に垂直な方向にバイアスし、この多層構造に磁化自由層側からスピン波励起層側に向けて電流を流すことも好ましい。さらに、スピン波励起層から発生する高周波電磁界の周波数を、書き込み対象である磁気記録媒体の磁気記録層の磁気共鳴周波数と実質的に等しくすることが好ましい。
さらに、本発明による磁気記録方法において、磁極から書き込み磁界が立ち上がった後、スピン波励起層に電流を流し、この書き込み磁界が立ち下がる前に、この電流を止めることが好ましい。これにより、このスピン波を励起するための電流は、必ず、磁極から発生する磁界の一部がバイアス磁界として安定して印加されている状況において流されることになる。従って、設定通りの周波数を有する安定した高周波電磁界が生成可能となる。
本発明によれば、頻繁に反転する非常に強い書き込み磁界の存在によっても、所望の周波数を有する高周波電磁界を安定して発生させることができる。また、本発明によれば、磁気記録において、頻繁に反転する非常に強い書き込み磁界の印加時においても、所望の周波数を有する高周波電磁界を磁気記録媒体に安定して照射することができる。
本発明による磁気記録再生装置、ヘッドジンバルアセンブリ及び薄膜磁気ヘッドの一実施形態における構成を概略的に示す斜視図である。 薄膜磁気ヘッドの要部の構成を概略的に示す、図1のA面による断面図である。 電磁変換素子の主磁極層、電磁界生成素子及びライトシールド層の配置及び形状を概略的に示す、(A)素子形成面の真上から見下ろした際の平面図、及び(B)ヘッド端面側から見た平面図である。 電磁界生成素子における一実施形態の構造を概略的に示す、図1のA面による断面図である。 電磁界生成素子の動作原理を説明するための、電磁界生成素子付近の構成の概略図である。 電磁界生成素子の動作原理を説明するための、電磁界生成素子付近の構成の概略図である。 電磁界生成素子を含む電磁変換素子における、他の実施形態の構造を概略的に示す、図1のA面に相当する面による断面図である。 図1に示した磁気ディスク装置の記録再生及びスピン波制御回路の回路構成を示すブロック図である。 本発明による磁気記録方法の実施形態を説明するための、スピン波励起電流の波形を示すグラフである。
以下に、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、同一の要素は、同一の参照番号を用いて示されている。また、図面中の構成要素内及び構成要素間の寸法比は、図面の見易さのため、それぞれ任意となっている。
図1は、本発明による磁気記録再生装置、ヘッドジンバルアセンブリ及び薄膜磁気ヘッドの一実施形態における構成を概略的に示す斜視図である。なお、同図において、拡大して表示されているHGA及び薄膜磁気ヘッドのそれぞれは、磁気記録媒体に対向する側の面が見える状態となっている。
図1に示した磁気記録再生装置は、磁気ディスク装置であり、スピンドルモータ11の回転軸の回りを回転する磁気記録媒体としての複数の磁気ディスク10と、複数の駆動アーム14が設けられたアセンブリキャリッジ装置12と、各駆動アーム14の先端部に取り付けられており薄膜磁気ヘッド(スライダ)21を備えたヘッドジンバルアセンブリ(HGA)17と、書き込み及び読み出し動作を制御し、後に詳述するように、電磁界生成素子においてスピン波を励起する電流を制御するためのするための記録再生及びスピン波制御回路13とを備えている。
磁気ディスク10は、垂直磁気記録用であって、例えば、ディスク基板上に形成された、磁気回路の一部として働く軟磁性裏打ち層と、磁気記録層としての垂直磁化層との積層構造を含む。アセンブリキャリッジ装置12は、薄膜磁気ヘッド21を磁気ディスク10の垂直磁化層に形成されたトラック上に位置決めするための装置である。同装置内において、駆動アーム14は、ピボットベアリング軸16に沿った方向にスタックされており、ボイスコイルモータ(VCM)15によってこの軸16を中心にして角揺動可能となっている。ここで、例えば、1つの磁気ディスク10につき、これを挟むように2つのHGA17及び駆動アーム14が設けられていてもよい。また、2つの磁気ディスク10の間において、それぞれのディスクに対する2つのHGA17を支える1つの駆動アーム14が設けられていてもよい。さらに、磁気ディスク10、駆動アーム14、HGA17及びスライダ21は、単数であってもよい。記録再生及びスピン波制御回路13については、後に図面を用いて詳述する。
同じく図1によれば、HGA17において、薄膜磁気ヘッド21は、各磁気ディスク10の表面に対して所定の間隔(浮上量)をもって対向するように、サスペンション20の先端部に固着されている。さらに、配線部材25の一端が、薄膜磁気ヘッド21の端子電極に電気的に接続されている。
サスペンション20は、薄膜磁気ヘッド21の支持機構であり、ロードビーム22と、このロードビーム22に固着されていて弾性を有しており、薄膜磁気ヘッド21が固着されて薄膜磁気ヘッド21の位置に自由度を与えるフレクシャ23と、ロードビーム22の端部に設けられたベースプレート24とを有している。また、フレクシャ23上には、リード導体及びその両端に電気的に接続された接続パッドからなる配線部材25が設けられている。なお、サスペンション20の構造は、以上に述べたものに限定されるものではない。図示されていないが、サスペンション20の途中にヘッド駆動用ICチップが装着されていてもよい。
同じく図1によれば、薄膜磁気ヘッド21は、素子形成面31と適切な浮上量を得るように加工された浮上面(ABS)30とを有する、Al-TiC(アルチック)等のセラミック材料からなるスライダ基板210と、素子形成面31に形成された、データを読み出すための読み出しヘッド素子としての磁気抵抗(MR)素子33及びデータを書き込むための書き込みヘッド素子としての電磁変換素子34と、MR素子33及び電磁変換素子34を覆うように形成された被覆層39と、被覆層39の上層面から露出した4つの信号端子電極35と、同じく被覆層39の上層面から露出した2つの駆動端子電極36とを備えている。ここで、ABS30と、被覆層39のABS30側の端面であるヘッド端面300とが、磁気ディスク10に対向する媒体対向面となる。また、4つの信号端子電極35は、2つ単位でMR素子33及び電磁変換素子34にそれぞれ接続されている。さらに、2つの駆動端子電極36は、後に述べるように、磁極層を介して電磁界生成素子に接続されている。
MR素子33及び電磁変換素子34の一端は、ABS30側のヘッド端面300に達している。これらの端が磁気ディスク10の表面と対向することによって、信号磁界の感受による読み出しと信号磁界の印加による書き込みとが行われる。なお、これらの端が達しているヘッド端面300には、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)等からなる極めて薄い保護膜がコーティングされていてもよい。従って、素子の一端がヘッド端面300に「達している」という場合、その端面300が厳密には保護膜の外表面となっていて、素子の一端がその外表面から露出していない場合をも含むものとする。
図2は、薄膜磁気ヘッド21の要部の構成を概略的に示す、図1のA面による断面図である。ここで、A面は、ZX平面に平行な面である。
図2において、MR素子33は、例えば、トンネル磁気抵抗(TMR)素子、垂直通電型巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子又は面内通電型巨大磁気抵抗(CIP−GMR)素子であり、Al(アルミナ)等の絶縁材料からなる絶縁層320を介して、スライダ基板210の素子形成面31に形成されている。このMR素子33は、MR積層体332と、この積層体の少なくとも後方(+Z方向)を取り囲むように形成されたAl(アルミナ)等の絶縁材料からなるシールドギャップ層333と、MR積層体332及びシールドギャップ層333を挟む位置に配置されている下部シールド層330及び上部シールド層334とを含む。MR積層体332は、磁気ディスクからの信号磁界を非常に高い感度で感受し、電気抵抗の変化(電圧の変化)という形で出力する感磁部である。
上下部シールド層334及び330は、例えば、厚さ0.3〜5μm(マイクロメートル)程度のNiFe(パーマロイ)、CoFeNi、CoFe、FeN又はFeZrN等を含む軟磁性導電材料からなり、MR積層体332に対して積層面に垂直な方向のセンス電流を印加するための電極であるとともに、この積層体332がノイズとなる磁界を受けることを防止する磁気シールドとしての役割も兼ねている。
MR積層体332は、反強磁性材料からなる反強磁性層と、強磁性材料からなる磁化固定層と、酸化物層(TMR素子の場合)又は非磁性金属層(CPP−GMR素子及びCIP−GMR素子の場合)からなる非磁性中間層と、強磁性材料からなる磁化自由層とを有している。TMR素子の場合、磁化自由層の磁化は、磁化固定層の磁化との間で、非磁性中間層をトンネル効果の障壁とした強磁性トンネル結合を形成している。従って、磁化自由層の磁化方向が信号磁界に応答して変化すると、磁化固定層及び磁化自由層内の伝導電子のアップ及びダウンスピンバンドの状態密度の変動によってトンネル電流が増減し、結果としてMR積層体332の電気抵抗値が変化する。この変化量を計測することによって、微弱であって局所的な信号磁界を高感度で確実に検出することが可能となる。
なお、MR素子33が、CIP−GMR素子である場合、上下部シールド層334及び330とMR積層体332とのそれぞれの間にも、絶縁材料からなるシールドギャップ層が設けられ、さらにMR積層体332にセンス電流を供給するための導電材料からなる素子リード導体層が設けられることになる。この場合、上下部シールド層334及び330は、電極としては機能しない。
同じく図2において、電磁変換素子34は、垂直磁気記録用であり、主磁極層340と、電磁界生成素子37と、ギャップ層341と、書き込みコイル層343と、ライトシールド層345と、バッキングコイル層347とを備えている。
主磁極層340は、Al(アルミナ)等の絶縁材料からなる絶縁層3491上に設けられており、書き込みコイル層343に書き込み電流を印加することによって発生した磁束を、書き込みがなされる磁気ディスク10の磁気記録層(垂直磁化層)まで収束させながら導くための導磁路である。主磁極層340は、主磁極3400及び主磁極本体部3401が順次積層されて互いに磁気的に接続された2層構造を有している。このうち、主磁極3400は、Al(アルミナ)等の絶縁材料からなる絶縁層3492に周囲を絶縁されている。この主磁極3400は、ヘッド端面300に達しており、トラック幅方向(Y軸方向)の小さな幅W(図3(B))を有する主磁極先端部3400aと、この主磁極先端部3400aの後方に位置しており、主磁極先端部3400aの幅Wよりも大きなトラック幅方向(Y軸方向)の幅を有する主磁極後端部3400bとを有している。このように、主磁極先端部3400aが小さな幅Wを有することによって、微細な書き込み磁界が発生可能となる。
主磁極3400は、主磁極本体部3401よりも高い飽和磁束密度を有する軟磁性材料から形成されており、例えば、Feが主成分である鉄系合金材料である、FeNi、FeCo、FeCoNi、FeN又はFeZrN等の軟磁性材料から形成される。主磁極3400の厚さは、例えば、0.2〜0.5μm程度である。
書き込みコイル層343は、Al(アルミナ)等の絶縁材料からなる絶縁層3421上において、1ターンの間に少なくとも主磁極層340とライトシールド層345との間を通過するように形成されており、バックコンタクト部3402を中心として巻回するスパイラル構造を有している。この書き込みコイル層343は、例えば、Cu(銅)等の導電材料から形成されている。書き込みコイル層343の厚さは、例えば、0.3〜5μm程度である。ここで、加熱キュアされたフォトレジスト等の絶縁材料からなる書き込みコイル絶縁層344が、書き込みコイル層343を覆っており、書き込みコイル層と主磁極層340及びライトシールド層345との間を電気的に絶縁している。書き込みコイル層343は、本実施形態において1層であるが、2層以上又はヘリカルコイルでもよい。また、巻き数も図2での数に限定されるものではなく、例えば、2〜7ターンに設定され得る。
ライトシールド層345は、ヘッド端面300に達しており、磁気ディスクの垂直磁化層の下に設けられた軟磁性裏打ち層から戻ってきた磁束の導磁路としての役割を果たす。ライトシールド層345の厚さは、例えば、0.5〜5μm程度である。また、ライトシールド層345において、電磁界生成素子37を介して主磁極層340と対向する部分は、同じくヘッド端面300に達しており、主磁極層340から発して広がった磁束を取り込むためのトレーリングシールド3450となっている。トレーリングシールド3450は、本実施形態において、絶縁層3420及び主磁極本体部3401とともに平坦化されていて、主磁極先端部3400aのみならず主磁極後端部3400b及び主磁極本体部3401よりも大きなトラック幅(Y軸方向)方向の幅を有している。ライトシールド層345は、軟磁性材料から形成されるが、特に、トレーリングシールド3450は、高飽和磁束密度を有する、NiFe(パーマロイ)又は主磁極3400と同様の鉄系合金材料等から形成される。
電磁界生成素子37は、主磁極先端部3400aとトレーリングシールド3450との間であって、ヘッド端面300に達する位置に設けられている。電磁界生成素子37は、後に図面を用いて詳述するように、主磁極先端部3400aに隣接しており、外部磁界に応じて磁化の方向が変化し、スピン波の励起によって高周波電磁界を生成するためのスピン波励起層371(図4)を備えている。このスピン波励起層371の磁化は、主磁極先端部3400aから発生する磁界の一部によって層面に実質的に垂直な方向にバイアスされる。ここで、電磁界生成素子37内において、電流がトレーリングシールド3450から主磁極先端部3400aへ向かう方向に流れると、スピン波励起層371においてスピン波が励起され、これによりマイクロ波領域の高周波電磁界が生成される。
なお、「層面に実質的に垂直な方向に」とは、以下の意味とする。すなわち、書き込み磁界を発生させる主磁極先端部3400aから発生する磁界に対応する磁束は、電磁界生成素子37内においても厳密には直線ではなく曲線を描き、その程度は具体的なヘッドデザインによる。従って、電磁界生成素子37が主磁極先端部3400aとトレーリングシールド3450との間に設けられている場合であって、具体的なヘッドデザインによって磁束が若干曲がることにより、磁界が層面に垂直な方向から若干ずれたとしても、磁界は「実質的に」層面に垂直とする。
このように生成された高周波電磁界は、磁気ディスクの垂直磁化層の位置において、垂直磁化層の層面内方向の成分を有する。このような高周波電磁界を垂直磁化層の一部分に照射することによって、この一部分の異方性磁界Hを低下させることができる。ここで、異方性磁界Hは、保磁力Hを与える物理量である。この異方性磁界Hが低下した部分に、主磁極先端部3400aから書き込み磁界を印加する。これにより、非常に大きな異方性磁界Hを有する垂直磁化層に書き込みを行うことが可能となり、良好なマイクロ波アシスト磁気記録が実現する。
ギャップ層341は、主磁極3400とトレーリングシールド3450との間に設けられており、電磁界生成素子37を、トラック幅方向(Y軸方向)の両側及び後方(+Z方向)において取り囲んでいる。このギャップ層341は、例えば、厚さ0.01〜0.1μm程度の、Al(アルミナ)、SiO(二酸化珪素)、AlN(窒化アルミニウム)若しくはDLC等の非磁性絶縁材料で形成されている。
ライトシールド層345の一部は、電気的絶縁層346となっている。従って、ライトシールド層345におけるトレーリングシールド3450から電気的絶縁層346の上面に接する端部までの部分と、ライトシールド層345の電気的絶縁層346よりも下方の部分及び主磁極層340とは、電気的に絶縁されている。また、互いに絶縁されたこれらの部分は、それぞれ駆動端子電極36に電気的に接続されている。これにより、主磁極層340のヘッド端面300側の端部である主磁極先端部3400aと、ライトシールド層345のヘッド端面300側の端部であるトレーリングシールド3450とが、電磁界生成素子37にスピン波励起用の電流を流すための電極として働くことになる。
電気的絶縁層346は、電気的絶縁材料で形成されているが、例えばフェライトといった強磁性酸化物等の、電気的絶縁性を有する磁性材料で形成されていることが好ましく、その層厚は、例えば50nm〜2μm程度である。なお、主磁極先端部3400aとトレーリングシールド3450とが電極として働くことができるならば、電気的絶縁層346が主磁極層340内に設けられていてもよい。
バッキングコイル層347は、電磁変換素子34の書き込みコイル層343に印加される書き込み電流に由来しておりMR素子33内の上下部シールド層334及び330を経由する磁束ループを打ち消すためのコイルである。すなわち、バッキングコイル層347は、このような磁束ループを打ち消す磁束を発生させて、不要な書き込み又は消去の抑制を図っている。バッキングコイル層347は、例えば、バックコンタクト部3402を中心として巻回するスパイラル構造を有しており、例えば、書き込みコイル層343とは逆の方向に書き込み電流が流れるように設定されている。また、その周囲をバッキングコイル絶縁層348によって絶縁されている。バッキングコイル層347は、本実施形態において1層であるが、2層以上又はヘリカルコイルでもよい。また、巻き数も図2での数に限定されるものではないが、例えば、書き込みコイル層343の巻き数と一致させて、2〜7ターンとすることも好ましい。
また、本実施形態においては、MR素子33と電磁変換素子34との間に、絶縁層321及び322に挟まれた素子間シールド層38が設けられている。この素子間シールド層38は、主に、電磁変換素子34より発生する磁界からMR素子33をシールドする役割を果たしており、上下部シールド層334及び330と同じ軟磁性材料で形成されていてもよく、その厚さは、例えば0.5〜5μm程度である。なお、バッキングコイル層347、バッキングコイル絶縁層348及び素子間シールド層38は、設けられることが好ましいが、これらが設けられなくとも、本発明によるマイクロ波アシスト磁気記録を実施することは可能である。
図3(A)は、電磁変換素子34の主磁極層340、電磁界生成素子37及びライトシールド層345の配置及び形状を概略的に示す、素子形成面31の真上から見下ろした際の平面図である。また、図3(B)は、ヘッド端面300上に現れた主磁極層340、電磁界生成素子37及びライトシールド層345の端面の配置及び形状を示す、ヘッド端面300側から見た平面図である。
図3(A)によれば、主磁極3400は、本実施形態において羽子板状であり、ヘッド端面300に達した主磁極先端部3400aが、その手持ち部分に相当している。また、主磁極先端部3400aにおけるヘッド端面300に垂直な方向(Z軸方向)の長さ(高さ)は、ヘッドの書き込み特性の決定因子の1つであるスロートハイトTHとなる。本実施形態においては、トレーリングシールド3450におけるヘッド端面300に垂直な方向(Z軸方向)の高さも、スロートハイトTHに等しくなるように設定されているが、異なっていてもよい。
図3(B)によれば、電磁界生成素子37は、主磁極先端部3400a及びトレーリングシールド3450の間に挟まれている。ここで、主磁極先端部3400a、電磁界生成素子37、及びトレーリングシールド3450のトラック幅方向(Y軸方向)の幅をそれぞれ、W、W及びWとすると、本実施形態において、W<W<Wとなるように設定されている。これらの幅WS、W及びWはそれぞれ、例えば、800nm〜50μm程度、10nm〜500nm程度、及び1μm〜100μm程度とすることができる。ここで、電磁界生成素子37から発生する高周波電磁界の伝播領域は、ヘッド浮上量が10nm程度又はそれ未満であるとして、磁気ディスクの垂直磁化層の位置においてトラック幅方向(Y軸方向)に関して、幅Wと同程度の大きさとなる。この高周波電磁界を受けた垂直磁化層の部分に書き込みが可能となるのであるから、この電磁界生成素子37の幅Wがまさに、書き込みによって形成される垂直磁化層上のトラックの幅を決定することになる。これにより、マイクロ波がドミナントであるマイクロ波アシスト磁気記録が実現されることが理解される。
なお、電磁界生成素子37のハイト方向(Z軸方向)の高さH(図3(A))は、例えば10nm〜500nm程度であり、X軸方向の厚さL(図3(B))は、例えば20〜250nm程度である。ここで、厚さL(図3(B))は、主磁極先端部3400a及びトレーリングシールド3450の間のライトギャップ値に相当する。
また、主磁極先端部3400aのヘッド端面300上における形状は、トレーリング側(+X方向)に長辺を有する逆台形となっている。ここで、上述した主磁極先端部3400aの幅Wは、この長辺の長さである。また、言い換えると、主磁極先端部3400aの端面は、ヘッド端面300上において、ベベル角θを有している。ベベル角θは、ロータリーアクチュエータでの駆動により発生するスキュー角の影響によって、隣接トラックに不要な書き込み等を及ぼさないようにするための角度である。このベベル角θの大きさは、例えば、15°程度である。
図4は、電磁界生成素子37における一実施形態の構造を概略的に示す、図1のA面による断面図である。
図4によれば、電磁界生成素子37は、主磁極先端部3400aとトレーリングシールド3450とに挟まれており、一端がヘッド端面300をなす位置に設けられている。電磁界生成素子37は、主磁極先端部3400a側から、下地層370と、外部磁界に応じて磁化の方向が変化しスピン波の励起によって高周波電磁界が生成されるスピン波励起層371と、非磁性中間層372と、外部磁界に応じて磁化の方向が変化する磁化自由層373と、保護層374とが順次積層された構造を有している。
下地層370は、例えば厚さ0.5nm〜10nm程度の、例えばNi60Cr40、Ta、Ru、Cr、Ti又はW等の非磁性導電材料から形成される。スピン波励起層371は、例えば厚さ5nm〜100nm程度の、例えばCo50Fe50等の軟磁性導電材料から形成される。非磁性中間層372は、例えば厚さ1nm〜5nm程度の、例えばCu等の非磁性導電材料、ZnO、Al等の非磁性材料、又はCu/ZnO/Cu等の非磁性導電材料/半導体材料/非磁性導電材料の3層構造から形成される。磁化自由層373は、例えば厚さ約5nm〜100nm程度の、例えばCo90Fe10等の軟磁性導電材料から形成される。保護層374は、例えば厚さ約0.5nm〜50nm程度の、例えばTa等の導電材料から形成される。
以上説明したように、電磁界生成素子37は、外部磁界に応じて磁化の方向が変化する、例えば軟磁性導電材料からなるスピン波励起層371及び磁化自由層373を備えてはいるが、例えば、磁化固定層やバイアス磁界を印加するためのバイアス磁性層といった、磁化の方向が固定された強磁性層を必要としない。従って、素子の形成工程が比較的容易になり、工数低減に貢献し得る。また、後に詳述するように、非常に大きな頻繁に反転する書き込み磁界によって磁化方向の固定が乱される問題が、電磁界生成素子37においては解消されている。
図5(A)〜(C)及び図6(A)〜(C)は、電磁界生成素子37の動作原理を説明するための、電磁界生成素子37付近の構成の概略図である。
図5(A)〜(C)に、主磁極先端部3400aからの磁界51が+X方向である場合を最初に説明する。図5(A)によれば、データ書き込み時において、書き込み磁界50が、主磁極先端部3400aから磁気ディスクの垂直磁化層に向かう方向に(−Z方向に)生じるとともに、主磁極磁界51が、主磁極先端部3400aからトレーリングシールド3450に向かって(+X方向に)生じる。また、書き込み磁界50及び主磁極磁界51の強度はそれぞれ、例えば15kOe程度及び10kOe程度と、非常に大きな値となる。
電磁界生成素子37は、+X方向の主磁極磁界51を受けるが、これにより、スピン波励起層371及び磁化自由層373の磁化371m及び373mはそれぞれ、層面に垂直な方向であって+X方向に向けられる(バイアスされる)。なお、スピン波励起層371及び磁化自由層373の層面は共に、ヘッド端面300に垂直となっている。
次いで、図5(B)に示すように、スピン波励起電流52が、トレーリングシールド3450から主磁極先端部3400aに向かって(−X方向に)電磁界生成素子37内に流される。この電流52の印加は、スピン波励起層371内に存在する右向き(+X方向)スピンを有する自由電子53が、非磁性中間層372を介して磁化自由層373内に移動する(注入される)ことに相当する。ここで、磁化自由層373の磁化373mは、すでに主磁極磁界51によって+X方向にバイアスされているが、この右向き(+X方向)スピンを有する自由電子53の注入によって、+X方向により強固に固着される。
一方、スピン波励起層371は、上述したように、右向き(+X方向)スピンを有する自由電子が欠乏した状態となるが、この状態は、図5(C)に示すように、左向き(−X方向)スピンを有する自由電子54が注入された状態と等価である。従って、スピン波励起層371の磁化371mは、左向き(−X方向)に反転した状態に近づこうとして歳差運動55を始め、結果としてスピン波が励起される。この励起されたスピン波の緩和過程として、歳差運動の周波数に対応した発振周波数fを有するマイクロ波領域の高周波電磁界61が、スピン波励起層371から発生するのである。
次いで、図6(A)〜(C)に、主磁極先端部3400aからの磁界56が−X方向である場合を最初に説明する。図6(A)によれば、データ書き込み時において、書き込み磁界55が+Z方向に生じるとともに、主磁極磁界56が、トレーリングシールド3450から主磁極先端部3400aに向かって(−X方向に)生じる。また、書き込み磁界55及び主磁極磁界56の強度はそれぞれ、図5(A)〜(C)の場合と同様、例えば15kOe程度及び10kOe程度と非常に大きな値となる。
電磁界生成素子37は、−X方向の主磁極磁界56を受けるが、これにより、スピン波励起層371及び磁化自由層373の磁化371m及び373mはそれぞれ、層面に垂直な方向であって−X方向に向けられる(バイアスされる)。すなわち、磁化371m及び373mは共に、図5(A)〜(C)の場合とは反対の方向にバイアスされる。
次いで、図6(B)に示すように、スピン波励起電流57が、図5(B)及び(C)の電流52と同じく、トレーリングシールド3450から主磁極先端部3400aに向かって(−X方向に)電磁界生成素子37内に流される。この電流57の印加は、スピン波励起層371内に存在する左向き(−X方向)スピンを有する自由電子58が、非磁性中間層372を介して磁化自由層373内に移動する(注入される)ことに相当する。ここで、磁化自由層373の磁化373mは、すでに主磁極磁界56によって−X方向にバイアスされているが、この左向き(−X方向)スピンを有する自由電子58の注入によって、−X方向により強固に固着される。
一方、スピン波励起層371は、上述したように、左向き(−X方向)スピンを有する自由電子が欠乏した状態となるが、この状態は、図6(C)に示すように、右向き(+X方向)スピンを有する自由電子59が注入された状態と等価である。従って、スピン波励起層371の磁化371mは、右向き(+X方向)に反転した状態に近づこうとして歳差運動60を始め、結果としてスピン波が励起される。この励起されたスピン波の緩和過程として、歳差運動の周波数に対応した発振周波数fを有するマイクロ波領域の高周波電磁界62が、スピン波励起層371から発生するのである。
以上、述べたように、電磁界生成素子37は、スピン波励起電流を−X方向に流すことによって、書き込み時において頻繁に反転する主磁極磁界の方向にかかわらず、発振周波数fを有するマイクロ波領域の高周波電磁界を安定して生成することができる。特に、電磁界生成素子37は、例えば、磁化固定層やバイアス磁性層といった磁化の方向が固定された強磁性層を必要としていない。これらの層が存在する場合には、例えば10kOe程度といった非常に大きな、しかも書き込み時において頻繁に反転する主磁極磁界51及び56によって、本来固定されるべき方向から磁化が逸脱してしまう。しかしながら、電磁界生成素子37においては、そのような問題が回避可能となり、むしろ、主磁極磁界をバイアス磁界として積極的に利用して、主磁極磁界の方向にかかわらず、安定した高周波電磁界を生成することができる。
この高周波電磁界の発振周波数fは、
(1) f=γ・(2π)−1・((H+H)・(H+H+4πM))−0.5
と表される。
ここで、γはスピン波励起層371の磁気回転比であり、例えばCo50Fe50の場合、約0.0171Oe・nsである。Hは、主磁極先端部3400aからの主磁極磁界51及び56の強度であり、例えば5〜20kOeの範囲に調整することが可能である。Hは、スピン波励起層371の異方性磁界の強度であり、H=2KU1/Mで表される。ここで、KU1及びMはそれぞれ、スピン波励起層371の磁気異方性エネルギー及び飽和磁化である。このスピン波励起層371の磁気異方性エネルギーKU1は、磁化371mが主磁極磁界51及び56に追随して容易に磁化反転するように、10−4erg/cm以下であることが好ましく、実際、スピン波励起層371には、磁気異方性エネルギーKU1が10−2〜10−3erg/cm台の軟磁性材料が使用可能である。また、飽和磁化Mは、例えばCo50Fe50の場合、4πMとして10Oe程度の大きさとなる。
なお、発振周波数fは、スピン波励起電流や、スピン波励起層371のスピン分極率にも依存する。すなわち、スピン波励起電流値を増加させることによって、さらにはスピン分極率を大きく設定することによって、印加した磁界が増大した場合と等価な効果がもたらされ、その結果、発振周波数fを十分に大きくすることができる。このことから、スピン波励起層371の構成材料としてスピン分極率の高いCo50Fe50等の材料が使用されることが好ましい。さらに、下地層370(図(4))を適切に選択する等によって、スピン波励起層371に層面に垂直な磁化容易軸を持たせることも好ましい。これにより、バイアスされた磁化の分散が低減し、より安定した高周波電磁界が生成可能となる。なお、磁化自由層373も、層面に垂直な磁化容易軸を有することが好ましく、さらには1×10erg/cm以下の大きさの磁気異方性エネルギーを有することが好ましい。これにより、より良好なバイアス状態が実現される。
以上述べたような特性を有する材料をスピン波励起層371として用いた場合、高周波電磁界の発振周波数fは、バイアス磁界としての主磁極磁界51及び56の増加に依存して増大し、例えば20〜60GHz程度の広範囲にわたって設定可能となる。ここで、マイクロ波アシスト磁気記録の対象となるような高い異方性磁界を有する磁気ディスクの磁気記録層の磁気共鳴周波数は、例えば50GHz程度の非常に高い値であるが、スピン波励起層371を用いることにより、この周波数と実質的に等しい周波数を有する高周波電磁界が生成可能となる。
図7(A)〜(C)は、電磁界生成素子を含む電磁変換素子における、他の実施形態の構造を概略的に示す、図1のA面に相当する面による断面図である。
図7(A)によれば、電磁界生成素子70は、主磁極先端部3400aとトレーリングシールド3450とに挟まれており、一端がヘッド端面300をなす位置に設けられている。電磁界生成素子70は、主磁極先端部3400a側から、下地層700と、外部磁界に応じて磁化の方向が変化し、スピン波の励起によって高周波電磁界が生成されるスピン波励起層701と、非磁性中間層702とが順次積層された構造を有している。すなわち、電磁界生成素子37(図4)と比較すると、電磁界生成素子70においては磁化自由層373及び保護層374が設けられていない。ここで、下地層700は、例えば厚さ0.5nm〜10nm程度の、例えばNi60Cr40、Ta、Ru、Cr、Ti又はW等の非磁性導電材料から形成される。スピン波励起層701は、例えば厚さ5nm〜100nm程度の、例えばCo50Fe50等の軟磁性導電材料から形成される。非磁性中間層702は、例えば厚さ1nm〜5nm程度の、例えばCu等の非磁性導電材料、ZnO、Al等の非磁性材料、又はCu/ZnO/Cu等の非磁性導電材料/半導体材料/非磁性導電材料の3層構造から形成される。
この電磁界生成素子70においては、非磁性中間層702上に位置するトレーリングシールド3450の部分が、磁化自由層としての役割を果たす。従って、電磁界生成素子70において、スピン波励起電流を−X方向に流すことによって、書き込み時において頻繁に反転する主磁極磁界の方向にかかわらず、図5(C)の歳差運動55又は図6(C)の歳差運動60と同様の歳差運動がスピン波励起層701に生じ、結果としてスピン波が励起される。この励起されたスピン波の緩和過程として、歳差運動の周波数に対応した発振周波数fを有するマイクロ波領域の高周波電磁界が、スピン波励起層701から発生するのである。
図7(B)によれば、電磁界生成素子37は、主磁極先端部3400aとトレーリングシールド71とに挟まれており、バイアス磁界として主磁極磁界72を受ける。ここで、トレーリングシールド71は、主磁極先端部3400aと対向するヘッド端面300側の端部に、主磁極先端部3400aに向かう方向(−X方向)に突出した突出部710を備えている。その結果、主磁極磁界72は、この突出部710の存在によって、より確実に電磁界生成素子37の各層面に垂直となる。これにより、より良好なバイアス状態が実現し、より安定した高周波電磁界が生成可能となる。
さらに、図7(C)によれば、電磁界生成素子37は、主磁極先端部73とトレーリングシールド71とに挟まれており、バイアス磁界として主磁極磁界74を受ける。ここで、トレーリングシールド71は、上述したように突出部710を備えている。さらに、主磁極先端部73もまた、トレーリングシールド71と対向するヘッド端面300側の端部に、トレーリングシールド71に向かう方向(+X方向)に突出した突出部730を備えている。その結果、主磁極磁界74は、この突出部710及び730の存在によって、より確実に電磁界生成素子37の各層面に垂直となる。これにより、より良好なバイアス状態が実現し、より安定した高周波電磁界が生成可能となる。なお、電磁界生成素子37を間に挟んだ主磁極先端部とトレーリングシールドとのうち、主磁極先端部のみに突出部が存在する場合も、より良好なバイアス状態を実現することができ、本発明の範囲内である。また、図7(B)及び(C)において、電磁界生成素子37の代わりに、図7(A)に示した電磁界生成素子70を用いてもよい。この場合、トレーリングシールド71の突出部710が、磁化自由層としての役割を果たす。
図8は、図1に示した磁気ディスク装置の記録再生及びスピン波制御回路13の回路構成を示すブロック図である。
図8において、80は制御LSI、81は、制御LSI80から記録データを受け取るライトゲート、82は、電磁変換素子34に書き込み電流を供給するライト回路、83は、MR素子33へセンス電流を供給する定電流回路、84は、MR素子33の出力電圧を増幅する増幅器、85は、制御LSI80に対して再生データを出力する復調回路、86は、電磁界生成素子37にスピン波励起電流を供給する定電流回路、87は、スピン波励起電流値の制御用テーブル等を格納するROM、88は温度検出器をそれぞれ示している。
制御LSI80から出力される記録データは、ライトゲート81に供給される。ライトゲート81は、制御LSI80から出力される記録制御信号が書き込み動作を指示するときのみ、記録データをライト回路82へ供給する。ライト回路82は、この記録データに従って書き込みコイル層343に書き込み電流を流し、これにより電磁変換素子34が磁気ディスクの垂直磁化層に書き込み磁界を印加する。一方、制御LSI80から出力される再生制御信号が読み出し動作を指示するときのみ、定電流回路83からMR積層体332に定電流が流れる。このMR素子33により再生された信号は、増幅器84で増幅された後、復調回路85で復調され、得られた再生データが制御LSI80に出力される。
定電流回路86は、制御LSI80から出力されるスピン波制御信号を受け取る。このスピン波制御信号がスピン波励起動作を指示するときのみ、所定のスピン波励起電流が電磁界生成素子37に供給される。このスピン波励起電流の値は、このスピン波制御信号に応じた値に制御される。制御LSI80は、電磁界生成素子37及び磁気ディスクの垂直磁化層の位置における温度検出器88による温度測定値を考慮し、ROM87内の制御テーブルに基づき、スピン波制御信号の値を決定する。この際、このスピン波制御信号値は、電磁界生成素子37が生成する高周波電磁界の周波数が、磁気ディスクの垂直磁化層の磁気共鳴周波数と実質的に等しくなるように決められることになる。また、制御LSI80は、次に説明する図9に示すように、書き込み動作のタイミングに応じてスピン波制御信号を供給する。
なお、「磁気共鳴周波数と実質的に等しい」とは、以下の意味とする。すなわち、垂直磁化層に照射される高周波電磁界の周波数fが、垂直磁化層の磁気共鳴周波数fから若干ずれたとしても、垂直磁化層の異方性磁界はそれなりに低減し得る。従って、照射される高周波電磁界において、書き込みが可能なまでに垂直磁化層の異方性磁界が低減する周波数fの範囲を、「磁気共鳴周波数と実質的に等しい」範囲とする。
以上述べたような制御回路を用いることによって、書き込み電流に連動したスピン波励起電流を、より多様なモードで実現することが可能となる。なお、記録再生及びスピン波制御回路13の回路構成は、図8に示したものに限定されるものでないことは明らかである。例えば、記録制御信号を用いて、スピン波励起電流を供給する定電流回路86を直接制御してもよい。
図9は、本発明による磁気記録方法の実施形態を説明するための、スピン波励起電流の波形を示すグラフである。このグラフにおいて、横軸は時間tであり、縦軸は書き込み電流値又はスピン波励起電流値である。
図9によれば、書き込み電流の波形90は、矩形波状であり、時間93において一定のプラスの書き込み電流値を示し、時間94において一定のマイナスの書き込み電流値を示している。ここで、時間93においては、この書き込み電流に対応して、書き込み磁界50及び主磁極磁界51(図5(A))がそれぞれ一定の値をもって生成されている。また、時間94においては、この書き込み電流に対応して、書き込み磁界55及び主磁極磁界56(図6(A))がそれぞれ一定の値をもって生成されている。
これに対して、スピン波励起電流の波形91は、矩形パルス状であり、パルスの存在時間が時間93及び時間94に一致するように形成されている。従って、パルス幅は、ほぼ時間93又は時間94となる。その結果、電磁界生成素子内において、スピン波励起電流は、必ず、主磁極磁界51及び56(図5(A)及び図6(A))がバイアス磁界として安定して印加されている状況において流されることになる。ここで、電磁界生成素子から発生する高周波電磁界の周波数は、このバイアス磁界値に依存し、一般にバイアス磁界が強くなるほど、大きな値となる。従って、書き込み電流の波形90に合わせて、スピン波励起電流の波形91を用いることにより、設定通りの周波数を有する安定した高周波電磁界が生成可能となることが理解される。
なお、スピン波励起電流として、波形92を用いることも可能である。スピン波励起電流の波形92は、スピン波励起電流の波形91と同じく矩形パルス状であるが、各パルスの存在時間が時間93内又は時間94内の一部となるように形成されている。従って、パルス幅は、時間93又は時間94よりも短くなっている。この場合においても、スピン波励起電流は、主磁極磁界51及び56(図5(A)及び図6(A))がバイアス磁界として安定して印加されている状況において流されることになる。なお、実際に垂直磁化層に書き込みが行われる時間は、波形91及び波形92それぞれの場合において、パルス幅内の時間に、垂直磁化層の磁気異方性が戻り始めて書き込み可能な値を超えるまでの時間を加えた時間となる。いずれにしても、書き込み磁界が立ち上がった後、電磁界生成素子にスピン波励起電流を流し、この書き込み磁界が立ち下がる前に、スピン波励起電流を止めることにより、設定通りの周波数を有する安定した高周波電磁界が生成可能となる。
以下、本発明による薄膜磁気ヘッドを用いてマイクロ波の生成を行った実施例1及び2を示す。
(実施例1)
表1は、実施例1に用いた電磁界生成素子37(図4)の構成を示す。
Figure 2009301695
表1において、層面積の層面は、YZ面をなす層面である。また、電磁界生成素子37の形成においては、形成された主磁極先端部3400a上に、下地層370と、スピン波励起層371と、非磁性中間層372と、磁化自由層373と、保護層374とを、順次スパッタリング法を用いて積層した。スピン波励起層371及び磁化自由層373の成膜中には、膜面に垂直な方向に50Oeの磁界を印加して膜面に垂直な方向の誘導磁気異方性を付与した。このように形成された電磁界生成素子37と、MR素子33及び電磁変換素子34(図2、図3(A)及び図3(B))とを備えた薄膜磁気ヘッド21を作製した後、電磁変換素子34を作動させ、電磁界生成素子37に対して構成層の各層面に垂直な方向に、10kOeに磁界が印加されるように書き込み電流を調整した。その状態において、主磁極層340及びライトシールド層345に接続された駆動端子電極36間に定電流電源を用いて直流を印加し、電磁界生成素子37に対して、8×10A/mの電流密度となるスピン波励起電流を、トレーリングシールド3450から主磁極先端部3400aに向けて流した。
この際、作製した薄膜磁気ヘッド21のヘッド端面300(ABS30)に露出した電磁界生成素子37の近傍に、電磁波センサを設置しておいた。このセンサの出力をスペクトラムアナライザを用いて解析したところ、約50kHzマイクロ波の発振が確認された。
(実施例2)
表2は、実施例2に用いた電磁界生成素子70(図7(A))の構成を示す。
Figure 2009301695
表2において、層面積の層面は、YZ面をなす層面である。また、電磁界生成素子70の各層は、形成された主磁極先端部3400a上に、下地層700と、スピン波励起層701と、非磁性中間層702とを、順次スパッタリング法を用いて形成した。スピン波励起層701の成膜中には、膜面に垂直な方向に50Oeの磁界を印加して膜面に垂直な方向の誘導磁気異方性を付与した。このように形成された電磁界生成素子70と、MR素子33及び電磁変換素子34(図2、図3(A)及び図3(B))とを備えた薄膜磁気ヘッド21を作製した後、電磁変換素子34を作動させ、電磁界生成素子70に対して構成層の各層面に垂直な方向に、10kOeに磁界が印加されるように書き込み電流を調整した。その状態において、主磁極層340及びライトシールド層345に接続された駆動端子電極36間に定電流電源を用いて直流を印加し、電磁界生成素子70に対して、8×10A/mの電流密度となるスピン波励起電流を、トレーリングシールド3450から主磁極先端部3400aに向けて流した。
この際、作製した薄膜磁気ヘッド21のヘッド端面300(ABS30)に露出した電磁界生成素子70の近傍に、電磁波センサを設置しておいた。このセンサの出力をスペクトラムアナライザを用いて解析したところ、実施例1と同じく約50kHzマイクロ波の発振が確認された。
以上、本発明によれば、主磁極層からの頻繁に反転する非常に強い書き込み磁界の存在によっても、電磁界生成素子から、所望の周波数を有する高周波電磁界を安定して発生させることができる。これにより、良好なマイクロ波アシスト磁気記録を実現することが可能となり、例えば、1Tbits/inを超える記録密度の達成に貢献し得る。
なお、以上に述べた実施形態は全て、本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は、他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って、本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
10 磁気ディスク
11 スピンドルモータ
12 アセンブリキャリッジ装置
13 記録再生及びスピン波制御回路
14 駆動アーム
15 ボイスコイルモータ(VCM)
16 ピボットベアリング軸
17 HGA
20 サスペンション
21 薄膜磁気ヘッド
210 スライダ基板
22 ロードビーム
23 フレクシャ
24 ベースプレート
30 浮上面(ABS)
300 ヘッド端面
31 素子形成面
33 磁気抵抗(MR)素子
330 下部シールド層
332 MR積層体
334 上部シールド層
34 電磁変換素子
340 主磁極層
3400 主磁極
3400a、73 主磁極先端部
341 ギャップ層
343 書き込みコイル層
345 ライトシールド層
3450、71 トレーリングシールド
346 電気的絶縁層
347 バッキングコイル層
35、36 端子電極
37、70 電磁界生成素子
370、700 下地層
371、701 スピン波励起層
372、702 非磁性中間層
373 磁化自由層
374 保護層
38 素子間シールド層
39 被覆層
50、55 書き込み磁界
51、56 磁界
52、57 スピン波励起電流
53、54、58、59 自由電子
61、62 高周波電磁界
710、730 突出部
80 制御LSI
81 ライトゲート
82 ライト回路
83 定電流回路
84 増幅器
85 復調回路
86 定電流回路
87 ROM
88 温度検出器
90 書き込み電流の波形
91、92 スピン波励起電流の波形

Claims (19)

  1. 磁気記録媒体に書き込みを行うための書き込み磁界を発生させる第1の磁極、及び第2の磁極と、
    前記第1の磁極及び前記第2の磁極の間であって、媒体対向面に達する位置に設けられた電磁界生成素子と
    を備えた薄膜磁気ヘッドであって、
    前記電磁界生成素子は、前記第1の磁極に隣接しており、外部磁界に応じて磁化の方向が変化し、スピン波の励起によって高周波電磁界を生成するためのスピン波励起層と、該スピン波励起層の前記第1の磁極とは反対側に設けられた非磁性中間層とを備えており、
    前記スピン波励起層の磁化が、前記第1の磁極から発生する磁界の一部によって層面に実質的に垂直な方向にバイアスされ、スピン波を励起するための電流が、前記電磁界生成素子内を、前記第2の磁極から前記第1の磁極へ向かう方向に流れる
    ことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  2. 前記スピン波励起層は、1×10erg/cm以下の磁気異方性エネルギーを有する、請求項1に記載の薄膜磁気ヘッド。
  3. 前記スピン波励起層は、層面に垂直な磁化容易軸を有する、請求項1又は2に記載の薄膜磁気ヘッド。
  4. 前記電磁界生成素子はさらに、外部磁界に応じて磁化の方向が変化する磁化自由層を備えており、前記非磁性中間層は、該磁化自由層と前記スピン波励起層との間に挟まれた位置に設けられていて、該磁化自由層の磁化が、前記第1の磁極から発生する磁界の一部によって層面に実質的に垂直な方向にバイアスされる、請求項1から3のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。
  5. 前記磁化自由層は、1×10erg/cm以下の磁気異方性エネルギーを有する、請求項4に記載の薄膜磁気ヘッド。
  6. 前記磁化自由層は、層面に垂直な磁化容易軸を有する、請求項4又は5に記載の薄膜磁気ヘッド。
  7. 前記第2の磁極は、前記第1の磁極と対向する媒体対向面側の端部に、該第1の磁極に向かう方向に突出した突出部を備えており、前記電磁界生成素子は、該突出部と該第1の磁極との間に設けられている、請求項1から6のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。
  8. 前記第1の磁極は、前記第2の磁極と対向する媒体対向面側の端部に、該第2の磁極に向かう方向に突出した突出部を備えており、前記電磁界生成素子は、該突出部と該第2の磁極との間に設けられている、請求項1から7のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。
  9. 前記第1の磁極及び前記第2の磁極のうちの一部が、電気的な絶縁層で形成されており、前記第1の磁極の媒体対向面側の端部及び前記第2の磁極の媒体対向面側の端部が、前記スピン波を励起するための電流を前記電磁界生成素子に流すための電極となっている、請求項1から8のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。
  10. 前記電磁界生成素子の媒体対向面側の端におけるトラック幅方向の幅が、前記第1の磁極の媒体対向面側の端におけるトラック幅方向の幅よりも小さい、請求項1から9のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。
  11. 前記スピン波励起層から発生する高周波電磁界の周波数が、書き込み対象である磁気記録媒体の磁気記録層の磁気共鳴周波数と実質的に等しい、請求項1から10のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。
  12. 請求項1から11のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドと、該薄膜磁気ヘッドを支持する支持機構とを備えていることを特徴とするヘッドジンバルアセンブリ。
  13. 請求項12に記載のヘッドジンバルアセンブリを少なくとも1つ備えており、さらに、少なくとも1つの磁気記録媒体と、該少なくとも1つの磁気記録媒体に対して該薄膜磁気ヘッドが行う書き込み動作を制御するための記録回路とを備えている磁気記録装置であって、該記録回路が、前記スピン波を励起する電流を制御するためのスピン波制御回路をさらに備えていることを特徴とする磁気記録装置。
  14. 媒体対向面に垂直な層面を有しており外部磁界に応じて磁化の方向が変化するスピン波励起層の磁化を、磁極から発生する磁界の一部によって層面に実質的に垂直な方向にバイアスし、
    磁化がバイアスされた該スピン波励起層に電流を流して、該スピン波励起層にスピン波を励起し、
    前記スピン波によって生成され前記磁気記録媒体の面内方向の成分を含む高周波電磁界を、該磁気記録媒体の一部分に照射することによって、該磁気記録媒体の一部分の異方性磁界を低下させ、
    前記磁気記録媒体の異方性磁界が低下した部分に、磁極から発生する書き込み磁界を印加して書き込みを行う
    ことを特徴とする磁気記録方法。
  15. 前記スピン波励起層の磁気異方性エネルギーを、1×10erg/cm以下とする、請求項14に記載の磁気記録方法。
  16. 前記スピン波励起層の磁化容易軸を層面に垂直な方向とする、請求項14又は15に記載の磁気記録方法。
  17. 前記スピン波励起層と、非磁性中間層と、外部磁界に応じて磁化の方向が変化する磁化自由層とが順次積層された多層構造において、磁極から発生する磁界の一部によって該スピン波励起層及び該磁化自由層の磁化を各層面に実質的に垂直な方向にバイアスし、該多層構造に該磁化自由層側から該スピン波励起層側に向けて電流を流す、請求項14から16のいずれか1項に記載の磁気記録方法。
  18. 前記スピン波励起層から発生する高周波電磁界の周波数を、書き込み対象である磁気記録媒体の磁気記録層の磁気共鳴周波数と実質的に等しくする、請求項14から17のいずれか1項に記載の磁気記録方法。
  19. 前記磁極から書き込み磁界が立ち上がった後、前記スピン波励起層に前記電流を流し、該書き込み磁界が立ち下がる前に、該電流を止める、請求項14から18のいずれか1項に記載に磁気記録方法。
JP2009049222A 2008-06-17 2009-03-03 マイクロ波アシスト用薄膜磁気ヘッド及びマイクロ波アシスト磁気記録方法 Withdrawn JP2009301695A (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US12/140,670 US20090310244A1 (en) 2008-06-17 2008-06-17 Thin-film magnetic head for microwave assist and microwave-assisted magnetic recording method

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009301695A true JP2009301695A (ja) 2009-12-24

Family

ID=41414519

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009049222A Withdrawn JP2009301695A (ja) 2008-06-17 2009-03-03 マイクロ波アシスト用薄膜磁気ヘッド及びマイクロ波アシスト磁気記録方法

Country Status (3)

Country Link
US (1) US20090310244A1 (ja)
JP (1) JP2009301695A (ja)
CN (1) CN101609687A (ja)

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011249812A (ja) * 2010-05-28 2011-12-08 Headway Technologies Inc マイクロ波アシスト磁気記録構造、磁気ランダムアクセスメモリ構造、ハードバイアス構造、垂直磁気媒体および磁気デバイスの製造方法
JP2012074494A (ja) * 2010-09-28 2012-04-12 Toshiba Corp 発振素子
JP2012114364A (ja) * 2010-11-26 2012-06-14 Toshiba Corp スピントルク発振子および磁気記録装置
JP2012119026A (ja) * 2010-11-30 2012-06-21 Toshiba Corp 磁気ヘッド、およびこれを備えたディスク装置
JP2012123871A (ja) * 2010-12-08 2012-06-28 Hitachi Ltd 磁気記録ヘッド及びその製造方法、及び磁気ディスク装置
JP2012138138A (ja) * 2010-12-24 2012-07-19 Toshiba Corp 記録ヘッド、およびこれを備えたディスク装置
JP2012209005A (ja) * 2011-03-30 2012-10-25 Hitachi Ltd 磁気ヘッド及び磁気記憶装置
US20130057980A1 (en) * 2011-09-06 2013-03-07 Hitachi, Ltd. Magnetic recording head and magnetic recording apparatus
JP2013140662A (ja) * 2011-12-30 2013-07-18 Hgst Netherlands B V 環境条件制御を伴うエネルギー支援磁気記録ヘッドおよびそのシステム
JP2013246851A (ja) * 2012-05-25 2013-12-09 Toshiba Corp 磁気記録ヘッドの製造方法
JP2014002812A (ja) * 2012-06-18 2014-01-09 Hitachi Ltd マイクロ波アシスト磁気記録方式及び磁気記憶装置
JP2014123414A (ja) * 2012-12-21 2014-07-03 Toshiba Corp 磁気記録ヘッド、およびこれを備えた磁気記録装置
JP2014179158A (ja) * 2013-03-14 2014-09-25 Hgst Netherlands B V 高抵抗性磁気材料を有するマイクロ波アシスト磁気記録(mamr)ヘッド
JP2014203489A (ja) * 2013-04-05 2014-10-27 株式会社東芝 記録ヘッド、およびこれを備えたディスク装置
JP2016081550A (ja) * 2014-10-22 2016-05-16 株式会社東芝 高周波アシスト磁気ヘッド及び磁気記録再生装置
JP6148750B1 (ja) * 2016-03-04 2017-06-14 株式会社東芝 磁気記録再生装置

Families Citing this family (72)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5451096B2 (ja) * 2009-02-04 2014-03-26 エイチジーエスティーネザーランドビーブイ 磁気ヘッド
US9305586B2 (en) * 2009-02-04 2016-04-05 HGST Netherlands B.V. Microwave-assisted magnetic recording device and method of formation thereof
US9837108B2 (en) * 2010-11-18 2017-12-05 Seagate Technology Llc Magnetic sensor and a method and device for mapping the magnetic field or magnetic field sensitivity of a recording head
GB201118994D0 (en) * 2010-11-18 2011-12-14 Xyratex Tech Ltd A method and device for mapping the magnetic field or magnetic field sensitivity of a recording head
JP5135419B2 (ja) * 2010-12-03 2013-02-06 株式会社東芝 スピントルク発振子、その製造方法、磁気記録ヘッド、磁気ヘッドアセンブリ、磁気記録装置
US8203389B1 (en) 2010-12-06 2012-06-19 Headway Technologies, Inc. Field tunable spin torque oscillator for RF signal generation
JP5269957B2 (ja) 2011-07-14 2013-08-21 株式会社東芝 記録ヘッド、およびこれを備えたディスク装置
JP5117606B1 (ja) * 2011-09-13 2013-01-16 株式会社日立製作所 磁気記録ヘッド及びその製造方法、及び磁気ディスク装置
US9222994B2 (en) 2011-09-19 2015-12-29 Tdk Corporation Perpendicular spin torque oscillator FMR frequency measurement method
US8982502B2 (en) 2011-12-12 2015-03-17 HGST Netherlands B.V. Hard disk drive with write assist based on detected conditions
US8547656B2 (en) 2012-02-21 2013-10-01 HGST Netherlands B.V. Spin-torque oscillator (STO) for microwave-assisted magnetic recording (MAMR) and methods of use thereof
US8743667B1 (en) * 2013-02-26 2014-06-03 HGST Netherlands B.V. Method for controlling writing in a thermally-assisted recording (TAR) disk drive with thermal fly-height control
JP5649704B1 (ja) * 2013-09-18 2015-01-07 株式会社東芝 磁気記録装置
US8964332B1 (en) 2013-09-30 2015-02-24 HGST Netherlands B.V. Microwave-assisted magnetic recording head with asymmetric side gap for shingled magnetic recording
JP6442978B2 (ja) * 2013-12-18 2018-12-26 Tdk株式会社 磁気記録再生装置
JP2015149112A (ja) * 2014-02-07 2015-08-20 株式会社東芝 磁気記録ヘッド、およびこれを備えたディスク装置
JP2016012387A (ja) * 2014-06-30 2016-01-21 株式会社東芝 高周波アシスト記録ヘッドおよびこれを備えた磁気記録装置
EP3089227B1 (en) * 2015-04-30 2018-09-19 IMEC vzw Devices and methods for generation and detection of spin waves
CN105137371B (zh) * 2015-08-11 2017-12-05 北京航空航天大学 一种芯片级金刚石nv‑色心磁成像装置及成像方法
US9754611B1 (en) 2015-11-30 2017-09-05 Western Digital (Fremont), Llc Magnetic recording write apparatus having a stepped conformal trailing shield
US9767831B1 (en) 2015-12-01 2017-09-19 Western Digital (Fremont), Llc Magnetic writer having convex trailing surface pole and conformal write gap
US10366714B1 (en) 2016-04-28 2019-07-30 Western Digital Technologies, Inc. Magnetic write head for providing spin-torque-assisted write field enhancement
US10460752B2 (en) 2016-12-08 2019-10-29 Western Digital Technologies, Inc. Spin-torque oscillator with multilayer seed layer between the write pole and the free layer in a magnetic recording write head
US10566015B2 (en) 2016-12-12 2020-02-18 Western Digital Technologies, Inc. Spin transfer torque (STT) device with template layer for heusler alloy magnetic layers
WO2018111356A1 (en) 2016-12-14 2018-06-21 Western Digital Technologies, Inc. Spin-orbit torque induced magnetization switching in a magnetic recording head
US10388305B1 (en) 2016-12-30 2019-08-20 Western Digital Technologies, Inc. Apparatus and method for writing to magnetic media using an AC bias current to enhance the write field
US10424323B1 (en) 2016-12-30 2019-09-24 Western Digital Technologies, Inc. High-bandwidth STO bias architecture with integrated slider voltage potential control
US10446175B2 (en) 2017-05-16 2019-10-15 Western Digital Technologies, Inc. Spin transfer torque device with oxide layer beneath the seed layer
US10896690B1 (en) 2017-06-07 2021-01-19 Sandisk Technologies Llc Magnetic head with current assisted magnetic recording and method of making thereof
US10891974B1 (en) 2017-06-07 2021-01-12 Sandisk Technologies Llc Magnetic head with current assisted magnetic recording and method of making thereof
US10997988B1 (en) 2017-06-23 2021-05-04 Western Digital Technologies, Inc. Magnetic recording head with non-magnetic conductive structure
US10734014B2 (en) 2017-06-23 2020-08-04 Western Digital Technologies, Inc. Areal density capability improvement with a main pole skin
US10636441B2 (en) 2017-10-02 2020-04-28 Western Digital Technologies, Inc. Microwave-assisted magnetic recording (MAMR) write head with compensation for DC shunting field
US10734013B2 (en) 2017-10-03 2020-08-04 Western Digital Technologies, Inc. Spin transfer torque (STT) device with multilayer seed layers for magnetic recording and memory
US10741202B2 (en) 2017-10-05 2020-08-11 Western Digital Technologies, Inc. MAMR writer with low resistance MAMR stack
US10706877B2 (en) 2017-10-09 2020-07-07 Western Digital Technologies, Inc. Spin torque layer in side gap for improved field and cross track field gradient
US10679650B2 (en) 2017-10-13 2020-06-09 Western Digital Technologies, Inc. Current-assisted magnetic recording write head with improved write gap structure
US10699734B2 (en) 2017-11-02 2020-06-30 Western Digital Technologies, Inc. Magnetic recording write head with selected write gap current direction for minimization of cross-track interference
US10839828B2 (en) 2017-12-19 2020-11-17 Western Digital Technologies, Inc. Magnetic write head with current guiding layer
US10636439B2 (en) 2017-12-19 2020-04-28 Western Digital Technologies, Inc. MAMR write head with thermal dissipation conductive guide
US10872626B2 (en) 2018-03-06 2020-12-22 Western Digital Technologies, Inc. MAMR stack shape optimization for magnetic recording
US10566014B2 (en) 2018-03-08 2020-02-18 Western Digital Technologies, Inc. Data storage device detecting resistance delta of a spin torque oscillator
US10566018B2 (en) 2018-03-22 2020-02-18 Western Digital Technologies, Inc. Data storage device reverse biasing head element to counter electro-migration
US10839844B1 (en) 2018-06-18 2020-11-17 Western Digital Technologies, Inc. Current-assisted magnetic recording write head with wide conductive element in the write gap
US11127420B1 (en) 2018-09-06 2021-09-21 Western Digital Technologies, Inc. Seed layer for spin torque oscillator in microwave assisted magnetic recording device
US10891975B1 (en) 2018-10-09 2021-01-12 SanDiskTechnologies LLC. Magnetic head with assisted magnetic recording and method of making thereof
US11017801B1 (en) 2018-10-09 2021-05-25 Western Digital Technologies, Inc. Magnetic head with assisted magnetic recording and method of making thereof
US10777219B1 (en) 2018-11-26 2020-09-15 Western Digital Technologies, Inc. Write heads configured to redirect current
US10885933B2 (en) 2018-12-04 2021-01-05 Western Digital Technologies, Inc. Giant spin-seebeck effect induced magnon transfer torque-assisted MAMR
US10643643B1 (en) 2019-01-23 2020-05-05 Western Digital Technologies, Inc. Spin torque oscillator device including a high damping field generation layer or a damping enhancing capping layer
US10997993B1 (en) 2019-03-22 2021-05-04 Western Digital Technologies, Inc. Spin-torque oscillator with multilayer seed layer between the write pole and the free layer in a magnetic recording write head
US11049513B1 (en) 2019-03-27 2021-06-29 Western Digital Technologies, Inc. Magnetic recording head with non-magnetic conductive structure surrounding a main pole and contacting a spin torque oscillator
US11205446B1 (en) 2019-03-27 2021-12-21 Western Digital Technologies, Inc. Spin-orbit torque induced magnetization switching in a magnetic recording head
US10867625B1 (en) 2019-03-28 2020-12-15 Western Digital Technologies, Inc Spin transfer torque (STT) device with template layer for Heusler alloy magnetic layers
US10839833B1 (en) 2019-04-08 2020-11-17 Western Digital Technologies, Inc Spin transfer torque device with oxide layer beneath the seed layer
US11011190B2 (en) 2019-04-24 2021-05-18 Western Digital Technologies, Inc. Magnetic write head with write-field enhancement structure including a magnetic notch
US10891976B1 (en) 2019-04-24 2021-01-12 Western Digital Technologies, Inc. Areal density capability improvement with a main pole skin
US10957346B2 (en) 2019-05-03 2021-03-23 Western Digital Technologies, Inc. Magnetic recording devices and methods using a write-field-enhancement structure and bias current with offset pulses
US11087784B2 (en) 2019-05-03 2021-08-10 Western Digital Technologies, Inc. Data storage devices with integrated slider voltage potential control
US10997989B1 (en) 2019-06-11 2021-05-04 Western Digital Technologies, Inc. Bilayer hot seed to reduce gap field for magnetic recording heads
US10789977B1 (en) 2019-06-26 2020-09-29 Western Digital Technologies, Inc. Spin orbital torque via spin hall effect based energy assisted magnetic recording
US11557314B1 (en) 2019-06-26 2023-01-17 Western Digital Technologies, Inc. Write heads having conducting side gap for directing current
US10867626B1 (en) 2019-06-26 2020-12-15 Western Digital Technologies, Inc. Spin orbital torque based microwave assisted magnetic recording with dual spin hall layers or wrap around spin hall layer
US11056134B1 (en) 2019-12-20 2021-07-06 Seagate Technology Llc Capacitively operated microwave assisted magnetic recording oscillator
US11508401B1 (en) 2020-10-21 2022-11-22 Western Digital Technologies, Inc. Magnetic recording devices having cross-track current flow to facilitate downtrack magnetic field enhancements
US11869548B1 (en) 2020-10-29 2024-01-09 Western Digital Technologies, Inc. Magnetic recording devices having external alternating current sources
US11528038B2 (en) 2020-11-06 2022-12-13 Western Digital Technologies, Inc. Content aware decoding using shared data statistics
US11289118B1 (en) * 2021-01-04 2022-03-29 Western Digital Technologies, Inc. Spintronic device having negative interface spin scattering
US11854584B1 (en) 2021-07-29 2023-12-26 Western Digital Technologies, Inc. Current assisted HAMR magnetic writer
US11881237B1 (en) 2021-11-24 2024-01-23 Western Digital Technologies, Inc. Cross track current design for energy assisted magnetic recording
US11900971B1 (en) 2022-06-21 2024-02-13 Western Digital Technologies, Inc. Magnetic recording head with assisting electric current in trailing shield
US11894026B1 (en) 2022-06-21 2024-02-06 Western Digital Technologies, Inc. Magnetic recording head having leads over the trailing shield for assisting electric currents

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100520915C (zh) * 2001-07-24 2009-07-29 希捷科技有限公司 用于高各向异性介质的写入磁头
JP2005025831A (ja) * 2003-06-30 2005-01-27 Toshiba Corp 高周波発振素子、磁気情報記録用ヘッド及び磁気記憶装置
US7471491B2 (en) * 2004-03-30 2008-12-30 Kabushiki Kaisha Toshiba Magnetic sensor having a frequency filter coupled to an output of a magnetoresistance element
US20060039089A1 (en) * 2004-08-17 2006-02-23 Kabushiki Kaisha Toshiba Magnetic oscillator, magnetic head, and magnetic recording and reproducing apparatus
JP2007299460A (ja) * 2006-04-28 2007-11-15 Tdk Corp 磁気ヘッド装置及び磁気記録再生装置
US7616412B2 (en) * 2006-07-21 2009-11-10 Carnegie Melon University Perpendicular spin-torque-driven magnetic oscillator
US20080112087A1 (en) * 2006-11-14 2008-05-15 Seagate Technology Llc WAMR writer with an integrated spin momentum transfer driven oscillator for generating a microwave assist field
US7724469B2 (en) * 2006-12-06 2010-05-25 Seagate Technology Llc High frequency field assisted write device
JP2008277586A (ja) * 2007-04-27 2008-11-13 Toshiba Corp 磁気素子、磁気記録ヘッド及び磁気記録装置
JP4358279B2 (ja) * 2007-08-22 2009-11-04 株式会社東芝 磁気記録ヘッド及び磁気記録装置
JP4929108B2 (ja) * 2007-09-25 2012-05-09 株式会社東芝 磁気ヘッドおよび磁気記録装置
JP2009080875A (ja) * 2007-09-25 2009-04-16 Toshiba Corp 磁気ヘッド及び磁気記録装置
US8057925B2 (en) * 2008-03-27 2011-11-15 Magic Technologies, Inc. Low switching current dual spin filter (DSF) element for STT-RAM and a method for making the same

Cited By (21)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011249812A (ja) * 2010-05-28 2011-12-08 Headway Technologies Inc マイクロ波アシスト磁気記録構造、磁気ランダムアクセスメモリ構造、ハードバイアス構造、垂直磁気媒体および磁気デバイスの製造方法
JP2012074494A (ja) * 2010-09-28 2012-04-12 Toshiba Corp 発振素子
US8467149B2 (en) 2010-11-26 2013-06-18 Kabushiki Kaisha Toshiba Spin torque oscillator and magnetic recording apparatus
JP2012114364A (ja) * 2010-11-26 2012-06-14 Toshiba Corp スピントルク発振子および磁気記録装置
JP2012119026A (ja) * 2010-11-30 2012-06-21 Toshiba Corp 磁気ヘッド、およびこれを備えたディスク装置
US8508885B2 (en) 2010-11-30 2013-08-13 Kabushiki Kaisha Toshiba Magnetic head comprising pole including nonmagnetic layer and disk drive with the same
JP2012123871A (ja) * 2010-12-08 2012-06-28 Hitachi Ltd 磁気記録ヘッド及びその製造方法、及び磁気ディスク装置
JP2012138138A (ja) * 2010-12-24 2012-07-19 Toshiba Corp 記録ヘッド、およびこれを備えたディスク装置
JP2012209005A (ja) * 2011-03-30 2012-10-25 Hitachi Ltd 磁気ヘッド及び磁気記憶装置
US8824103B2 (en) * 2011-09-06 2014-09-02 Hitachi, Ltd. Magnetic recording head and magnetic recording apparatus
US20130057980A1 (en) * 2011-09-06 2013-03-07 Hitachi, Ltd. Magnetic recording head and magnetic recording apparatus
JP2013140662A (ja) * 2011-12-30 2013-07-18 Hgst Netherlands B V 環境条件制御を伴うエネルギー支援磁気記録ヘッドおよびそのシステム
JP2013246851A (ja) * 2012-05-25 2013-12-09 Toshiba Corp 磁気記録ヘッドの製造方法
JP2014002812A (ja) * 2012-06-18 2014-01-09 Hitachi Ltd マイクロ波アシスト磁気記録方式及び磁気記憶装置
JP2014123414A (ja) * 2012-12-21 2014-07-03 Toshiba Corp 磁気記録ヘッド、およびこれを備えた磁気記録装置
JP2014179158A (ja) * 2013-03-14 2014-09-25 Hgst Netherlands B V 高抵抗性磁気材料を有するマイクロ波アシスト磁気記録(mamr)ヘッド
JP2014203489A (ja) * 2013-04-05 2014-10-27 株式会社東芝 記録ヘッド、およびこれを備えたディスク装置
JP2016081550A (ja) * 2014-10-22 2016-05-16 株式会社東芝 高周波アシスト磁気ヘッド及び磁気記録再生装置
JP6148750B1 (ja) * 2016-03-04 2017-06-14 株式会社東芝 磁気記録再生装置
JP2017157264A (ja) * 2016-03-04 2017-09-07 株式会社東芝 磁気記録再生装置
US10127931B2 (en) 2016-03-04 2018-11-13 Kabushiki Kaisha Toshiba Perpendicular magnetic recording and reproducing device

Also Published As

Publication number Publication date
CN101609687A (zh) 2009-12-23
US20090310244A1 (en) 2009-12-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2009301695A (ja) マイクロ波アシスト用薄膜磁気ヘッド及びマイクロ波アシスト磁気記録方法
JP6414250B2 (ja) 下地積層体とそれを含む積層素子、並びに磁気センサ及びマイクロ波アシスト磁気ヘッド
US9824701B2 (en) Microwave assisted magnetic recording head with spin torque oscillator corner angle relationship, head gimbal assembly, and magnetic recording device
US10032470B1 (en) Magnetic recording head with spin torque oscillator, head gimbal assembly and magnetic recording apparatus
US8446690B2 (en) Perpendicular magnetic recording write head with spin torque oscillator for fast switching of write pole magnetization
US8351155B2 (en) Perpendicular magnetic recording system with spin torque oscillator and control circuitry for fast switching of write pole magnetization
US8345380B2 (en) Spin torque oscillator and magnetic recording head and magnetic recording device mounted with the spin torque oscillator
JP4697280B2 (ja) マイクロ波帯磁気駆動機能付の薄膜磁気ヘッド及び磁気記録再生装置
US8970996B2 (en) Spin-torque oscillator for microwave assisted magnetic recording
JP4960319B2 (ja) 磁気記録装置
US8116031B2 (en) Perpendicular magnetic recording system with helical write coil and auxiliary coil for fast switching of write pole magnetization
US7952827B2 (en) Heat-assisted magnetic recording method using eddy current and head for heat-assisted magnetic recording
JP4811471B2 (ja) マイクロ波帯磁気駆動機能付の薄膜磁気ヘッド及び磁気記録再生装置
JP6451763B2 (ja) 磁気記録装置及び磁気記録方法
US8467150B2 (en) Recording head, disk drive with recording head, and recording method using recording head
JP2008159105A (ja) 強磁性共鳴を用いる磁気記録方法及び該方法に用いる薄膜磁気ヘッド
US11011190B2 (en) Magnetic write head with write-field enhancement structure including a magnetic notch
JP2011048895A (ja) 書き込み極磁化を高速で切り替えるための横補助極を有する垂直磁気記録システムおよび書き込みヘッド
CN111477252A (zh) 包括高阻尼场发生层或阻尼增强封盖层的自旋转矩振荡器设备
US9741373B1 (en) Microwave assisted magnetic head, head gimbal assembly, and magnetic recording device
JP2014229324A (ja) マイクロ波アシスト磁気記録再生装置
JP4941481B2 (ja) マイクロ波帯磁気駆動機能付の薄膜磁気ヘッド及び磁気記録再生装置
US11817134B2 (en) Magnetic recording head and magnetic disk drive
JP2010097628A (ja) マイクロ波帯磁気駆動機能付の薄膜磁気ヘッド及び磁気記録再生装置
JP4586884B2 (ja) マイクロ波帯磁気駆動機能付の薄膜磁気ヘッドを備えた磁気記録再生装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20100730

A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20120605