JP2023110286A - インサート成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インサート部品同士が接合されているインサート成形品をより簡易に製造する製造方法を提供すること。【解決手段】互いに接合された第1インサート部品と第2インサート部品とを有するインサート成形品を製造するためのインサート成形方法であって、第1インサート部品と第2インサート部品との間に、加熱されることにより接着性を発揮する接着剤を配置する第1配置工程と、接着剤が配置された第1インサート部品と第2インサート部品とを成形型に配置する第2配置工程と、成形型に溶融樹脂を充填して成形する成形工程と、を含み、成形工程において、溶融樹脂の有する熱により加熱されることで、接着剤は第1インサート部品と第2インサート部品とを接合する、インサート成形方法。【選択図】図1
Description
本開示は、インサート成形方法に関する。
従来、インサート部品を配置した金型に樹脂を射出して、インサート部品と樹脂とを一体成形するインサート成形方法がある(例えば、特許文献1)。
インサート部品が複数ある場合についてのインサート成形方法については十分検討されていない。
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本開示の一形態によれば、インサート成形方法が提供される。このインサート成形方法は、互いに接合された第1インサート部品と第2インサート部品とを有するインサート成形品を製造するためのインサート成形方法であって、前記第1インサート部品と前記第2インサート部品との間に、加熱されることにより接着性を発揮する接着剤を配置する第1配置工程と、前記接着剤が配置された前記第1インサート部品と前記第2インサート部品とを成形型に配置する第2配置工程と、前記成形型に溶融樹脂を充填して成形する成形工程と、を含み、前記成形工程において、前記溶融樹脂の有する熱により加熱されることで、前記接着剤は前記第1インサート部品と前記第2インサート部品とを接合する。この形態によれば、成形工程において、溶融樹脂の熱により第1インサート部品と第2インサート部品とを接合することができる。よって、インサート成形品においての第1インサート部品と第2インサート部品との位置ずれを抑制することができる。また、成形工程の前に行われる、第1インサート部品と第2インサート部品とを予め接合する工程を省略することができる。このため、製造工程を簡略化することができ、複数のインサート部品を有するインサート成形品をより簡易に製造することができる。
(2)上記形態のインサート成形方法において、前記成形工程は、前記溶融樹脂の充填が完了した後に、前記成形型内を保圧する保圧工程を含んでもよい。この形態によれば、成形型内が保圧されることにより、第1インサート部品と第2インサート部品とには、互いに押し付け合う方向に力を受ける。よって、第1インサート部品と第2インサート部品との接着強度を向上させることができる。
(3)上記形態のインサート成形方法において、前記接着剤は、シート状であってもよい。この形態によれば、第1配置工程において、第1インサート部品と第2インサート部品との間に接着剤を容易に配置することができる。
(4)上記形態のインサート成形方法において、第1インサート部品および前記第2インサート部品は、金属製であってもよい。この形態によれば、熱伝導率が樹脂よりも高い金属製の第1インサート部品および第2インサート部品を介して、溶融樹脂の熱を接着剤に効率的に伝えることができる。このため、本成形方法を好適に適用することができる。
本開示は、インサート成形方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、インサート成形品やインサート成形装置等の形態で実現することができる。
(2)上記形態のインサート成形方法において、前記成形工程は、前記溶融樹脂の充填が完了した後に、前記成形型内を保圧する保圧工程を含んでもよい。この形態によれば、成形型内が保圧されることにより、第1インサート部品と第2インサート部品とには、互いに押し付け合う方向に力を受ける。よって、第1インサート部品と第2インサート部品との接着強度を向上させることができる。
(3)上記形態のインサート成形方法において、前記接着剤は、シート状であってもよい。この形態によれば、第1配置工程において、第1インサート部品と第2インサート部品との間に接着剤を容易に配置することができる。
(4)上記形態のインサート成形方法において、第1インサート部品および前記第2インサート部品は、金属製であってもよい。この形態によれば、熱伝導率が樹脂よりも高い金属製の第1インサート部品および第2インサート部品を介して、溶融樹脂の熱を接着剤に効率的に伝えることができる。このため、本成形方法を好適に適用することができる。
本開示は、インサート成形方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、インサート成形品やインサート成形装置等の形態で実現することができる。
A.実施形態:
図1は、本実施形態に係るインサート成形方法を実現するインサート成形工程の手順を示すフローチャートである。図2は、インサート成形装置10の断面で示す模式図である。図2では、インサート成形装置10とともに、インサート成形品100が示されている。図3は、溶融樹脂MRの充填による接着を説明する図である。本実施形態に係るインサート成形方法を用いて製造されるインサート成形品100は、図2に示すように、第1インサート部品である第1鉄板101と、第2インサート部品である第2鉄板102と、樹脂104とを有する。樹脂104として、熱可塑性樹脂を用いることができる。第1鉄板101と第2鉄板102とは、インサート成形の過程において接着剤103により、互いに接合される。本実施形態において、インサート成形品100は、車両の部品として用いられるが、インサート成形品100の用途は、車両に限られない。
図1は、本実施形態に係るインサート成形方法を実現するインサート成形工程の手順を示すフローチャートである。図2は、インサート成形装置10の断面で示す模式図である。図2では、インサート成形装置10とともに、インサート成形品100が示されている。図3は、溶融樹脂MRの充填による接着を説明する図である。本実施形態に係るインサート成形方法を用いて製造されるインサート成形品100は、図2に示すように、第1インサート部品である第1鉄板101と、第2インサート部品である第2鉄板102と、樹脂104とを有する。樹脂104として、熱可塑性樹脂を用いることができる。第1鉄板101と第2鉄板102とは、インサート成形の過程において接着剤103により、互いに接合される。本実施形態において、インサート成形品100は、車両の部品として用いられるが、インサート成形品100の用途は、車両に限られない。
複数のインサート部品を有するインサート成形体を製造する場合には、複数のインサート部品の互いの位置ずれを抑制するために、複数のインサート部品を成形型に配置する前に、インサート部品同士が接合されることが好ましい。この場合、インサート部品が金属製の場合には、溶接やカシメなどにより、インサート部品同士を接合することが考えられる。ここで、発明者らは、次に説明するインサート成形工程を考案した。これにより、複数のインサート部品の互いの位置ずれを抑制しつつ、より簡易にインサート成形体を製造することができる。
図1に示す工程P10において、所望の形状となるように、素材の鉄板が切断され、曲げ加工が行われ、インサート部品である第1鉄板101および第2鉄板102が形成される。工程P20において、第1鉄板101と第2鉄板102との間にシート状の接着剤103(図2)が配置される。シート状の接着剤103を使用することにより、接着剤103を容易に配置することができる。接着剤103は、加熱されることにより接着性を発揮する市販の接着剤である。接着剤103として、例えばエラストマーや樹脂を含む接着剤を用いることができる。
工程P30において、第1鉄板101および第2鉄板102が仮組され、成形型20(図2)に配置される。具体的には、作業者が、第1鉄板101および第2鉄板102を把持して、成形型20に配置する。なお、工程P30において、第1鉄板101および第2鉄板102の互いの位置を固定するための固定治具が用いられてもよい。また、第1鉄板101および第2鉄板102がロボットにより配置されてもよい。
図2に示すように、インサート成形装置10は、成形型20と、射出装置50とを備える。成形型20は、コア型21と、スライド型22とを有する。スライド型22は、コア型21を覆う形状を有しており、コア型21に対して遠ざかる方向および近づく方向に移動可能である。なお、本実施形態では、スライド型22は、インサート成形品100を取り出し易くするために、分割されている。コア型21とスライド型22との間に形成されるキャビティと連通するランナー23の端部には、ゲートバルブ51が配置されている。射出装置50は、溶融樹脂MR(図3)をゲートバルブ51から成形型20のキャビティに向かって射出する。
図1に示す工程P30では、コア型21とスライド型22とが離れた状態の成形型20に、仮組された第1鉄板101および第2鉄板102が、第2鉄板102がコア型21と密着した状態で配置される。その後、スライド型22がコア型21に近づけられ、キャビティが形成される。
工程P40において、成形型20に射出装置50により溶融樹脂MRが、第1鉄板101と、スライド型22との間のキャビティに射出される。これにより、キャビティ内が溶融樹脂MRで充填される。溶融樹脂MRの温度は、220℃以上280℃以下程度である。成形型20に溶融樹脂MRが射出されると、図3に示すように、溶融樹脂MRの有する熱が、主に溶融樹脂MRと接する第1鉄板101を介して接着剤103に移る。これにより、接着剤103が加熱され、第1鉄板101と第2鉄板102とが接着剤103により接合される。充填が完了した後、溶融樹脂MRは冷却され、次第に固化する。
工程P50では、成形型20が予め定められた保圧時間だけ保圧される。保圧時間は、ゲートバルブ51付近の溶融樹脂MRが固化する程度の時間である。樹脂104は、冷却に伴い収縮する。このため、具体的に工程P50では、射出装置50から溶融樹脂MRが補充されることで成形型20内に圧力が加えられる。加えられる圧力は、5MPa程度である。図3に示すように、工程P50において保圧されることにより、第1鉄板101と第2鉄板102とは、互いに押し付け合う方向に力を受ける。よって、第1鉄板101と第2鉄板102との接合強度を向上させることができる。
保圧時間が経過し、溶融樹脂MRの固化が完了すると、工程P60において、スライド型22がコア型21から離れる方向に移動され、インサート成形品100が取り出され、インサート成形工程が終了する。工程P20を第1配置工程とも呼び、工程P30を第2配置工程とも呼ぶ。また、工程P50を保圧工程とも呼び、工程P40と工程P50とを成形工程とも呼ぶ。
以上説明したインサート成形工程によれば、予め第1鉄板101と第2鉄板102とを接合する工程を省きつつ、第1鉄板101と第2鉄板102とが接合されたインサート成形品100を製造することができる。また、本実施形態によれば、成形型20に配置する工程P30において、例えば溶接やカシメによる接合により生じ得る第1鉄板101または第2鉄板102の変形は生じないため、成形型20に容易に配置することができる。
以上説明した実施形態によれば、インサート成形工程は、第1鉄板101と第2鉄板102との間に接着剤103を配置する工程P20と、第1鉄板101と第2鉄板102とを成形型20に配置する工程P30と、成形型20に溶融樹脂MRを充填して成形する成形工程とを含む。成形工程では、溶融樹脂MRの有する熱により加熱されることで、接着剤103は、第1鉄板101と第2鉄板102とを接合する。よって、インサート成形品100における第1鉄板101と第2鉄板102との位置ずれを抑制することができる。事前の第1鉄板101と第2鉄板102とを接合する工程を省略することができ、インサート成形品100をより簡易に製造することができる。
また、成形工程は、射出が完了した後に、成形型20内を保圧する工程P50を含む。工程P50において、第1鉄板101と第2鉄板102とは、互いに押し付け合う方向に力を受ける。よって、第1鉄板101と第2鉄板102との接着強度を向上できる。
また、接着剤103は、シート状である。よって、工程P20において、第1鉄板101と第2鉄板102との間に接着剤103を容易に配置することができる。また、本実施形態において、インサート部品として、金属製である第1鉄板101および第2鉄板102が用いられる。インサート部品が、熱伝導率が樹脂よりも高い金属製である場合には、成形工程において、インサート部品を介して溶融樹脂の熱を接着剤103に効率的に伝えることができるため、本成形方法を好適に適用することができる。
B.他の実施形態:
(B1)上記実施形態では、インサート部品は、金属製であるが、金属製以外のインサート部品についても本成形方法を用いることができる。具体的には、インサート部品が、射出される樹脂104よりも融点の高い樹脂で形成されているインサート成形品のインサート成形方法として、本成形方法が用いられてもよい。
(B1)上記実施形態では、インサート部品は、金属製であるが、金属製以外のインサート部品についても本成形方法を用いることができる。具体的には、インサート部品が、射出される樹脂104よりも融点の高い樹脂で形成されているインサート成形品のインサート成形方法として、本成形方法が用いられてもよい。
(B2)上記実施形態では、互いに接合されるインサート部品が2つであるが、互いに接合されるインサート部品は、3つ以上でもよい。つまり、複数のインサート部品を有するインサート成形品を製造する場合には、第1配置工程において、複数のインサート部品のうち、隣り合う2つのインサート部品の間に接着剤が配置される。その後の工程は、上記実施形態と同様に行うことにより、互いに接合された複数のインサート部品を有するインサート成形品を製造することができる。
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…インサート成形装置、20…成形型、21…コア型、22…スライド型、23…ランナー、50…射出装置、51…ゲートバルブ、100…インサート成形品、101…第1鉄板、102…第2鉄板、103…接着剤、104…樹脂、MR…溶融樹脂、P10~P60…工程
Claims (4)
- 互いに接合された第1インサート部品と第2インサート部品とを有するインサート成形品を製造するためのインサート成形方法であって、
前記第1インサート部品と前記第2インサート部品との間に、加熱されることにより接着性を発揮する接着剤を配置する第1配置工程と、
前記接着剤が配置された前記第1インサート部品と前記第2インサート部品とを成形型に配置する第2配置工程と、
前記成形型に溶融樹脂を充填して成形する成形工程と、を含み、
前記成形工程において、前記溶融樹脂の有する熱により加熱されることで、前記接着剤は前記第1インサート部品と前記第2インサート部品とを接合する、インサート成形方法。 - 請求項1に記載のインサート成形方法であって、
前記成形工程は、前記溶融樹脂の充填が完了した後に、前記成形型内を保圧する保圧工程を含む、インサート成形方法。 - 請求項1または2に記載のインサート成形方法であって、
前記接着剤は、シート状である、インサート成形方法。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載のインサート成形方法であって、
前記第1インサート部品および前記第2インサート部品は、金属製である、インサート成形方法。
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