JP2023097382A - 感光性樹脂組成物並びにそれを用いた硬化膜、カラーフィルター及び表示装置 - Google Patents

感光性樹脂組成物並びにそれを用いた硬化膜、カラーフィルター及び表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高遮光及び高抵抗との両立を達成できると共に、細線を形成した場合にも現像密着性に優れるような遮光膜が得られる感光性樹脂組成物を提供する。【解決手段】(A)エポキシ樹脂の一部が(メタ)アクリル化された部分(メタ)アクリル化エポキシ樹脂、(B)重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂、(C)着色成分、(D)光重合開始剤、及び(E)溶剤を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、高遮光かつ高抵抗な細線パターンのブラックマトリックスを形成するのに好適な感光性樹脂組成物に関する。
カラーフィルターは液晶表示装置の視認性を左右する重要な部材の一つであり、視認性の向上、すなわち、鮮明な画像を得るためには、カラーフィルターを構成する赤(R)、緑(G)、青(B)などの画素を今まで以上に高色純度化すると共に、ブラックマトリクスでは高遮光化を達成する必要があり、そのためには、従来よりも感光性樹脂組成物に対して着色剤を多量に添加しなければならない。
樹脂ブラックマトリクス用遮光材としては一般にカーボンブラックが知られているが、カーボンブラックは遮光性に優れる一方、電気抵抗が低いため、表示装置の誤作動を引き起こす原因となる場合がある。そこで、カーボンブラックを用いてブラックマトリクスの電気抵抗を大きくする方法として、導電性であるカーボンブラックの比率を下げることや、カーボンブラック表面に樹脂をあらかじめ被覆した材料を適用する方法が提案されてきたが、パターニング性を十分に保持した上で実現できる遮光度に限界があり、要求される高遮光性を実現することが困難であった。
また、上記のような従来技術を受けて本願の出願人は、光学濃度ODと体積抵抗率とを保持しつつ、10μm未満といった細線を形成した場合にも現像密着性に優れガラス基板との密着性も十分に確保できるような遮光膜用感光性樹脂組成物として、特定の構造および酸価を有する重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂を配合する方法を提案している(特許文献1を参照)。しかしながら、この方法でも、表示装置の高性能化に伴ってブラックマトリクスに要求される特性もますます高くなっていることから、高遮光と高抵抗との両立において更なる改善の余地があった。
特開2015-200881号公報 特開2014-145821号公報 特開2019-070720号公報 特開2019-052273号公報
そこで、本願の発明者らは、上記のような従来の試みを受けて、高遮光と高抵抗との両立ができる遮光膜用の感光性樹脂組成物についてさらに検討を進めると、次のような考えにたどり着いた。
すなわち、高遮光を達成できるように、例えば遮光材としてカーボンブラックを量多く配合しながらも、その量を減らすことなく高抵抗化を実現できる手段としてカーボンブラックどうしの接触確率を減らすこと、つまり、遮光膜の熱硬化時における熱収縮を抑制するようにすることでカーボンブラックなどの遮光材どうしの接触が避けられるであろうといった考えと、また、例えば未処理または酸化処理が施された通常のカーボンブラックはその表面に酸性官能基を多く有していることがわかっており、遮光膜の熱硬化過程において、例えば前記カーボンブラックであればそれと優先的に反応できる官能基を持つ他の化合物等を配合することにより、遮光材の表面近傍にそのような他の化合物等を存在させることが有意義であろうといった考えにたどり着いた。
そして、このような考えについて、熱硬化時の熱収縮を抑えることができることと、尚且つ、熱硬化時にカーボンブラックの官能基と優先的に反応できるような官能基を有する化合物について鋭意検討した結果、熱硬化時にカーボンブラックと反応できるエポキシ基を有し、さらには、そのエポキシ基の一部がアクリル化及び/又はメタクリル化(これらをまとめて、「(メタ)アクリル化」と記載する場合がある。「(メタ)アクリル酸」等についても、同様である。)された特定のエポキシ化合物を感光性樹脂組成物中に配合することを見出した。このような特定のエポキシ化合物は、感光性樹脂組成物中に少なからず配合されるエチレン性不飽和基を有する成分と、カーボンブラック等の遮光材との双方と反応性を有すると推測されるために、熱硬化時において、エチレン性不飽和基を有する成分とカーボンブラックなどの遮光材との間に存在させることができて、熱硬化時の収縮の抑制が期待できる。それにより、遮光材どうしの接触を抑制できて、高遮光及び高抵抗との両立を達成できると共に、例えば、10μmまでの細線を形成した場合にも現像密着性に優れるような硬化物(遮光膜)が得られることを新たに見出した。
なお、感光性樹脂組成物中にエポキシ化合物を配合する技術については、本願の出願人らも既に提案しているが(特許文献2、特許文献3を参照)、上記の特定のエポキシ化合物を使用することは何ら開示されていない。ここで、特許文献2に記載の技術はタッチパネル用途の黒色感光性樹脂組成物に関するものであり、特に加工プロセスに使用する薬品に対する高い耐薬品性への要求のために、比較的多くの量のエポキシ化合物を含有させることを開示するものである。また、特許文献3は、耐熱性が高々140℃であるプラスチック基板などに樹脂膜パターンを形成するために、感光性樹脂組成物中に硬化剤及び/又は硬化促進剤を必須として配合し、尚且つこれらとエポキシ化合物との合計量を特定の範囲とすることが特徴であり、とくに低温硬化を目的とした際に必須となる成分を開示するに過ぎないものである。つまり、特許文献2および3に記載される組成物では上記のような配合を必須とするものであり、高遮光と高抵抗、および細線化の全てを満足する上では難しかった。
さらには、一部分のエポキシ基が(メタ)アクリル化された部分エステル化エポキシ樹脂は既に知られていたが(例えば、特許文献4を参照)、これを高遮光及び高抵抗の両立などの目的のために、感光性樹脂組成物中に配合することは知られていなかった。また、このような部分エステル化エポキシ樹脂は、液晶表示装置の枠シール剤として評価された例はあるが、溶剤を使用したインク材料への適用や、現像でのパターニング性、ブラックマトリクスへの適用について検討は行われていない。
したがって、本発明は上述した知見に基づいて発明されたものであり、その目的とするところは、高遮光及び高抵抗とを両立し、しかも、細線を形成した場合にも現像密着性に優れるような硬化膜(遮光膜)を与えるような、遮光膜の用途に好適な感光性樹脂組成物を提供することである。
また、本願の他の目的は、そのような感光性樹脂組成物を硬化させて形成させた硬化膜を提供することであり、さらには、該硬化膜を備えたカラーフィルター及び該カラーフィルターを備えた表示装置を提供することである。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
〔1〕(A)エポキシ樹脂の一部が(メタ)アクリル化された部分(メタ)アクリル化エポキシ樹脂、
(B)重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂、
(C)着色成分、
(D)光重合開始剤、及び
(E)溶剤
を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
〔2〕さらに、(F)エポキシ基を有さず尚且つ少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマーを含有することを特徴とする〔1〕に記載の感光性樹脂組成物。
〔3〕前記(A)成分が、下記の式(1)で表されるものであることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の感光性樹脂組成物。
Figure 2023097382000001
〔式(1)中、Cyは炭素数6~12の芳香族炭化水素基であるか又は炭素数3~12の脂環式炭化水素基であり、
Yは炭素数1~20の2価の炭化水素基であり、
11は、独立して、炭素数1~10の炭化水素基である。R12は、独立して、以下の式(*)及び/又は式(**)で表される基を示し、少なくとも1つずつの(*)及び(**)を含む。R17は水素原子又はメチル基である。
a、m、nは、それぞれ独立して、繰り返し数を示し、aは1以上であり、mは1又は2であり、nは0~7である。〕
Figure 2023097382000002
〔4〕前記(A)成分が、下記の式(2)で表されるものであることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の感光性樹脂組成物。
Figure 2023097382000003
〔式(2)中、R14は、d個の活性水素基を有する有機化合物の残基を示す。R12は、独立して、以下の式(*)及び/又は式(**)を示し、一分子内に少なくとも1つずつの(*)及び(**)を含む。R17は水素原子又はメチル基である。
dは1~100の整数である。cはそれぞれ独立に0~100の整数であり、各cの和が2~100である。〕
Figure 2023097382000004
〔5〕前記(A)成分が、下記の式(3)で表されるものであることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の感光性樹脂組成物。
Figure 2023097382000005
〔式(3)中、f、g、h、iは、それぞれ独立に0または1であり、f+g+h+i=1~3である。
13は、独立して、以下の式(***)及び/又は式(****)を示し、少なくとも1つずつの(***)及び(****)を含む。R17は水素原子又はメチル基である。〕
Figure 2023097382000006
〔6〕前記(A)成分が、下記の式(4)で表されるものであることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の感光性樹脂組成物。
13-W-R13 (4)
〔式(4)中、Wは、単結合であるか又は内部にヘテロ元素を含んでもよい炭素数1~20の2価の有機基を示す。R13は、独立して、以下の式(***)及び/又は式(****)を示し、少なくとも1つずつの(***)及び(****)を含む。R17は水素原子又はメチル基である。〕
Figure 2023097382000007
〔7〕前記(A)成分が、下記の式(5)で表されるものであることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の感光性樹脂組成物。
Figure 2023097382000008
〔式(5)中、Zは、-CO-、-SO-、-C(CF-、-Si(CH-、-CH-、-C(CH-、-O-、9,9-フルオレニル基又は不存在を示す。
12は、独立して、以下の式(*)及び/又は式(**)を示し、少なくとも1つずつの(*)及び(**)を含む。R17は水素原子又はメチル基である。
15及びR16は、それぞれ独立して水素原子であるか、炭素数1~5のアルキル基であるか又はハロゲン原子を示す。
pは繰り返し数を示し、0~10の整数を示す。〕
Figure 2023097382000009
〔8〕(B)成分と(F)成分との質量割合(B)/(F)が50/50~90/10であり、(C)成分100質量部に対して(A)成分を0.5~180質量部含有し、(C)成分が感光性樹脂組成物の固形分中に30~70質量%含まれることを特徴とする〔2〕に記載の感光性樹脂組成物。
〔9〕前記(C)成分が、カーボンブラック、チタンブラック及び/又はラクタムブラックであることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の感光性樹脂組成物。
〔10〕〔1〕又は〔2〕に記載の感光性樹脂組成物を硬化させて形成したことを特徴とする硬化膜。
〔11〕〔10〕に記載の硬化膜を備えたことを特徴とするカラーフィルター。
〔12〕〔11〕に記載のカラーフィルターを有する表示装置。
本発明によれば、高遮光及び高抵抗との両立を達成できると共に、例えば、10μm未満の細線を形成した場合にも現像密着性に優れるような硬化膜(遮光膜)が得られる感光性樹脂組成物を提供することができる。
上述のとおり、本発明の感光性樹脂組成物は、少なくとも、(A)エポキシ樹脂の一部が(メタ)アクリル化された部分(メタ)アクリル化エポキシ樹脂、(B)重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂、(C)着色成分、(D)光重合開始剤、及び(E)溶剤を必須の成分として有する。以下、これらの成分を中心に詳しく説明する。
<(A)エポキシ樹脂の一部が(メタ)アクリル化された部分(メタ)アクリル化エポキシ樹脂>
本発明の感光性樹脂組成物における(A)成分は、エポキシ樹脂の一部が(メタ)アクリル化された部分(メタ)アクリル化エポキシ樹脂であり、原料となるエポキシ樹脂(エポキシ化合物ともいう。以下同様である。)に、アクリル酸及び/又はメタアクリル酸を反応させることにより、原料エポキシ樹脂のエポキシ基の一部分を(メタ)アクリル化することで得られる。
このように(A)成分は1分子中にエポキシ基と(メタ)アクリル基とを有するものであることから、熱硬化性と紫外線硬化性とを有し、それゆえ、熱硬化時において、エチレン性不飽和基を有する成分とカーボンブラックなどの遮光材との間に存在させることができて、熱硬化時の収縮の抑制が期待できる。それにより、遮光材どうしの接触の抑制が期待できる。
ここで、(メタ)アクリル化される量的関係については、原料エポキシ樹脂におけるエポキシ基の数(モル数)に基づいて定めることができ、これと、(メタ)アクリル化後における(メタ)アクリル基の数(モル数)との関係から求めることができる。より簡便には、それぞれの原料の仕込み割合に応じて、原料エポキシ樹脂のエポキシ基の数(モル数)と反応させる(メタ)アクリル酸の官能基数(モル数)の条件に基づいて定めることができる。原料エポキシ樹脂のエポキシ基の数(モル数)は、重量平均分子量とエポキシ当量から算出することができる。原料エポキシ基のうちで(メタ)アクリル化された割合を、変性率〔%(モル%)〕として表すこともできる。当該(A)成分の変性率については、組成物の他の成分との関係や用途などに応じて特に制限なく広く設定して使用可能であるが、変性率の好ましい下限は10%、より好ましい下限は20%、さらに好ましい下限は30%、さらにより好ましい下限は40%、最も好ましい下限は50%である。一方、変性率の好ましい上限は90%、より好ましい上限は80%、さらに好ましい上限は70%、さらにより好ましい上限は60%、最も好ましい上限は50%である。(A)成分としては、変成率が異なる複数の成分を混合して使用してもよい。変成率が異なる複数の成分を混合して使用した場合においては、平均値として上記の変性率の範囲を満足することが好ましい。
また(A)成分は、特開2019―52273等に記載の公知の方法に従って合成できる。
なお、原料エポキシ樹脂のエポキシ基が未変性のものや、全てのエポキシ基が変性されたものは、それぞれ単独成分としては当該(A)成分の定義には包含されないが、これらの成分も本発明の感光性樹脂組成物中に含まれてよい。これらの成分も含めた混合物として、例えば、上記変性率などの特性を有する(A)成分として規定することもできる。
(A)成分の製造に使用される原料エポキシ樹脂としては、公知のエポキシ樹脂を制限なく用いることができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物、ビスナフトールフルオレン型エポキシ化合物、ジフェニルフルオレン型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、(o,m,p-)クレゾールノボラック型エポキシ化合物、フェノールアラルキル型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物(例えば、jER YX4000:三菱ケミカル株式会社製、「jER」は同社の登録商標)、ナフタレン骨格を含むフェノールノボラック化合物(例えばNC-7000L:日本化薬株式会社製)、ナフトールアラルキル型エポキシ化合物、トリスフェノールメタン型エポキシ化合物(例えば、EPPN-501H:日本化薬株式会社製)、テトラキスフェノールエタン型エポキシ化合物、多価アルコールのグリシジルエーテル、多価カルボン酸のグリシジルエステル、メタクリル酸とメタクリル酸グリシジルの共重合体に代表される(メタ)アクリル酸グリシジルをユニットとして含む(メタ)アクリル基を有するモノマーの共重合体、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(例えば、リカレジンHBE-100:新日本理化株式会社製、「リカレジン」は同社の登録商標)などのグリシジル基を有するエポキシ化合物、1,4-シクロヘキサンジメタノール-ビス3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-5,1-スピロ(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-m-ジオキサン(例えば、アラルダイトCY175:ハンツマン社製、「アラルダイト」は同社の登録商標)、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート(例えば、CYRACURE UVR-6128:ダウ・ケミカル社製)、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートに代表される脂環式エポキシ化合物(例えば、セロキサイド2021P:株式会社ダイセル製、「セロキサイド」は同社の登録商標)、ブタンテトラカルボン酸テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)修飾ε-カプロラクトン(例えば、エポリードGT401:株式会社ダイセル製、「エポリード」は同社の登録商標)、エポキシシクロヘキシル基を有するエポキシ化合物(例えば、HiREM-1:四国化成工業株式会社製)、ジシクロペンタジエン骨格を有する多官能エポキシ化合物(例えばHP7200シリーズ:DIC株式会社製)、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物(例えばEHPE3150:株式会社ダイセル製)などの脂環式エポキシ化合物、エポキシ化ポリブタジエン(例えばNISSO-PB・JP-100:日本曹達株式会社製、「NISSO-PB」は同社の登録商標)、シリコーン骨格を有するエポキシ化合物等が含まれる。なお、これらの原料エポキシ樹脂は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。すなわち、(A)成分としては、前記したような変性率が異なるだけでなく、原料が異なって分子骨格が異なるものを混合して用いてもよい。分子骨格と変性率の双方が異なるものを複数種混合してもよい。
このような原料エポキシ樹脂のうち、(メタ)アクリル化して(A)成分として用いた際に、他の成分との反応点を多くして3次元的な架橋(硬化)を実現することが好都合な用途においては、原料としては3官能以上の多官能のエポキシ化合物を用いることが好ましい。多官能のエポキシ樹脂を原料として用いる場合、遮光材との反応確率を高める理由から原料エポキシ樹脂のエポキシ当量が500以下であるものを用いることが好ましく、より好ましくは450以下、さらに好ましくは80以上400以下、特に好ましくは80以上300以下である。また、この場合、遮光材との反応性と、UV露光時の反応性を両立させる理由から、(メタ)アクリル化後の(A)成分としてのエポキシ当量が、原料のエポキシ当量の1.2~10倍となるように、(メタ)アクリル化が調整されることが好ましい。より好ましくは、(A)成分のエポキシ当量が原料のエポキシ当量の1.4~8倍となることがよい。
一方で、(メタ)アクリル化して(A)成分として用いた際に、基材との密着性が高い方が好都合な用途においては、原料としては2官能のエポキシ化合物を用いることが好ましい。使用される用途に応じて、原料エポキシ樹脂を適宜選択することが好ましい。2官能のエポキシ樹脂を原料して用いる場合においても、上記の理由から、原料エポキシ樹脂のエポキシ当量が500以下であるものを用いることが好ましく、より好ましくは450以下、さらに好ましくは80以上200以下である。また、この場合、遮光材との反応性と、UV露光時の反応性を両立させる理由から、(メタ)アクリル化後の(A)成分としてのエポキシ当量が、原料のエポキシ当量の1.5~8倍となるように、(メタ)アクリル化が調整されることが好ましい。より好ましくは、(A)成分のエポキシ当量が原料のエポキシ当量の1.5~5倍となることがよく、さらに好ましくは、1.6~4.8倍となることがよい。
そして、このような本発明の(A)成分としては、具体的には、以下の第1~第5の実施形態を挙げることができる。前記同様に、1種類の実施形態のみを用いてもよく、複数の実施形態を組み合わせて用いてもよい。
<第1の実施形態>
(A)成分の第1の実施形態としては、以下の一般式(1)で表される。
Figure 2023097382000010
ここで、式(1)中、Cyは炭素数6~12の芳香族炭化水素基であるか又は炭素数3~12の脂環式炭化水素基である。好ましいCyは、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、またはこれらの一部が炭素数1~6のアルキル基やハロゲン原子等で置換された環であり、より好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環である。
Yは炭素数1~20の2価の炭化水素基であり、好ましくは、-R18-で表される基や、φ-R18-Cy-R18-φ(φは結合部)である。ここでR18は、好ましくは、メチレン基、エチレン基及びプロピレン基から選択される基である。Cyは、好ましくは、フェニレン基、ナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基、ジシクロペンタンジイル基及びジシクロペンテンジイル基並びにそれらを複数組み合わせた基から選択される基である。
11は前記Cyの置換基であって、独立して、炭素数1~10の炭化水素基であり、好ましいR11はメチル基である。
12は、独立して、以下の式(*)で表されるエポキシ基であるか、及び/又は、式(**)で表されるようなエポキシ基が(メタ)アクリル化された基を示す。前述のとおり、当該(A)成分は原料エポキシ樹脂のうちの一部が(メタ)アクリル化されて得られるものであることから、一分子中にこれら(*)及び(**)の基を少なくとも1つずつ含むこととなる。
なお、式(1)においてa、m、nは、それぞれ独立して、繰り返し数を示し、aは1以上であり、好ましくは1~50であり、より好ましくは2~45である。mは1又は2であり、mが1の場合は、aが2以上であることが好ましい。nは0~7である。
Figure 2023097382000011
このような第1の実施形態の具体例としては、例えば、以下の(1-1)~(1-3)のような構造の化合物を挙げることができるが、この限りではない。
Figure 2023097382000012
式(1-1)及び(1-2)において、a1、bはそれぞれ独立して、繰り返し数を示す。aは通常0~45であるが1~40であることが好ましく、また、bは通常0~45であるが1~40であることが好ましい。a1+bは1以上であり、a1及びbの結合順はランダムであってよい。
また、式(1-3)におけるqも繰り返し数であり、qは通常1以上である。
<第2の実施形態>
(A)成分の第2の実施形態としては、以下の一般式(2)で表される。
Figure 2023097382000013
ここで、式(2)中、R14は、d個の活性水素基を有する有機化合物の残基を示す。R12は、前記と同様であり、前記の式(*)で表されるエポキシ基であるか、及び/又は、式(**)で表されるようなエポキシ基が(メタ)アクリル化された基を示す。式(1)の場合と同様に、式(2)の原料エポキシ樹脂うちの一部のエポキシ基である式(*)が、(メタ)アクリル化されることにより、式(2)に係る樹脂を得ることができる。それゆえ、式(2)においても前記(*)及び(**)の基を一分子中に少なくとも1つずつ含むこととなる。
なお、c、dは、それぞれ独立して、繰り返し数を示す。dは1~100の整数であり、好ましくは、2~10の整数であることがよく、3~6の整数がより好ましい。
また、cは、それぞれ独立に0~100の整数である。好ましくは2~10の整数であることがよく、3~6の整数がより好ましい。また、硬化後の架橋の程度や溶解性などの取り扱いの観点から、各cの和は2~100であり、3~30であることが好ましく、4~20であることがより好ましい。
なお、前記R14の残基については、その前駆体である活性水素基を有する有機化合物としては、アルコール類、フェノール類、カルボン酸類、アミン類、チオール類など、特許第5744528号の記載の公知の化合物が挙げられる。このR14基を有する原料エポキシ化合物の市販品としては、例えば、株式会社ダイセルのEHPE3150〔2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物〕等が挙げられるが、これに限定されない。
<第3の実施形態>
(A)成分の第3の実施形態としては、以下の一般式(3)で表される。
Figure 2023097382000014
ここで、式(3)中、f、g、h、iは、それぞれ独立に0または1であり、f+g+h+i=1~3である。この式(3)で表される化合物については、それぞれ独立したR13基として、以下の式(***)で表される3,4-エポキシシクロヘキシル基を有しつつ、その一部が、式(****)で表されるようなエポキシシクロヘキシル基が(メタ)アクリル化された基を有することから、これら(***)及び(****)の基を少なくとも1つずつ含むこととなる。
この式(3)の化合物の原料エポキシ化合物の市販品としては、例えば、株式会社ダイセルのエポリードGT401〔ブタンテトラカルボン酸 テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル) 修飾ε-カプロラクトン〕等が挙げられるが、これに限定されない。
Figure 2023097382000015
17は、水素原子又はメチル基である。
<第4の実施形態>
(A)成分の第4の実施形態としては、以下の一般式(4)で表される。
13-W-R13 (4)
ここで、式(4)中、Wは、単結合であるか又は内部にヘテロ元素を含んでもよい炭素数1~20の2価の有機基を示す。具体的なWとしては、2価の炭化水素基、該炭化水素基の末端の一つ又は二つにカルボキシ基を有する2価の基等が含まれ、内部にエーテル結合性の酸素原子又はエステル結合を有していてもよい。より具体的には、特開2020-166254号公報に記載の式(14)~(20)で表されるものを原料として用いることができる。この式(4)で表される化合物についても、R13基として、前記の式(***)で表される3,4-エポキシシクロヘキシル基を有しつつ、その一部が、前記式(****)で表されるようなエポキシシクロヘキシル基が(メタ)アクリル化された基を有することから、これら(***)及び(****)の基を少なくとも1つずつ含むこととなる。すなわち、この式(4)においては、前記式(***)及び(****)の基をそれぞれ1つずつ含む。この式(4)の化合物の原料エポキシ化合物の市販品としては、例えば、株式会社ダイセルのセロキサイド2021P〔3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート〕等が挙げられるが、これに限定されない。
<第5の実施形態>
(A)成分の第5の実施形態としては、以下の一般式(5)で表される。
Figure 2023097382000016
ここで、式(5)中、Zは、-CO-、-SO-、-C(CF-、-Si(CH-、-CH-、-C(CH-、-O-、9,9-フルオレニル基又は不存在を示すが、好ましくは、-CH-、9,9-フルオレニル基である。
12は、前記の式(*)で表されるエポキシ基であるか、及び/又は、式(**)で表されるようなエポキシ基が(メタ)アクリル化された基を示す。そのため、この式(5)についても、これら(*)及び(**)の基をそれぞれ1つずつ含むこととなる。
15及びR16は、それぞれ独立して水素原子であるか、炭素数1~5のアルキル基であるか又はハロゲン原子を示すが、好ましくは、水素原子又はメチル基である。
pは繰り返し数を示し、0~10の整数を示すが、好ましくは0~8である。〕
なお、(A)成分の合成の終点は酸価の測定等で確認することができる。
このような実施形態が例示される当該(A)成分については、重量平均分子量が200~20000であるものを用いることが好ましく、より好ましくは、250~15000であることがよい。
そして、当該(A)成分の配合量については、本発明の感光性樹脂組成物の固形分中に、0.2~60質量%含有されることが好ましく、より好ましくは、0.2~55質量%、より好ましくは、0.3~50質量%であることがよい。
また、当該(A)成分の配合量については、後述する(B)成分100質量部か、或いは、(B)成分と(F)成分との合計100質量部に対して0.8~1000質量部であることが好ましく、より好ましくは0.9~900質量部、さらに好ましくは1.5~800質量部であることがよい。(B)成分、或いは(B)成分と(F)成分との合計に対して上記の配合量とすることにより、十分な光硬化性を持たせることができ、良好なパターニング特性を得られるようになるため好ましい。
さらに、当該(A)成分については、後述する(C)成分100質量部に対して、0.5~180質量部となるように配合することが好ましく、より好ましくは1~160質量部、さらに好ましくは1.0~140質量部とすることがよい。このように(C)成分に対する量を適正化することにより、(C)成分との良好な親和性を保ちつつ、十分な遮光性と抵抗の両立を達成出来るため好ましい。
<(B)重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂>
本発明の感光性樹脂組成物における(B)成分は、分子内に重合性不飽和基と酸性基を有する樹脂であれば特に制限なく用いることができる。好ましく適用できる第一の例としては、エポキシ基を2個以上有する化合物と(メタ)アクリル酸(これは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸の意味である)とを反応させ、得られたヒドロキシ基を有するエポキシ(メタ)アクリレート化合物に、(a)ジカルボン酸又はトリカルボン酸又はその酸一無水物及び/又は(b)テトラカルボン酸又はその酸二無水物を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート酸付加物である。エポキシ(メタ)アクリレート酸付加物へと誘導されるエポキシ基を2個以上有する化合物としては、ビスフェノール型エポキシ化合物やノボラック型エポキシ化合物を例示することができる。具体的には、下記一般式(I)で表されるビスフェノール型エポキシ化合物を好適に挙げることができる。
Figure 2023097382000017
一般式(I)の式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~5のアルキル基、ハロゲン原子又はフェニル基を表し、Aは、-CO-、-SO-、-C(CF-、-Si(CH-、-CH-、-C(CH-、-O-、フルオレン-9,9-ジイル基又は直結合を表す。lは0~10の整数である。好ましいR、R、R、Rは水素原子であり、好ましいAはフルオレン-9,9-ジイル基である。また、lは通常複数の値が混在するため平均値0~10(整数とは限らない)となるが、好ましいlの平均値は0~3である。以下、l=0の場合を代表して説明する。
ビスフェノール型エポキシ化合物は、ビスフェノール類とエピクロルヒドリンとを反応させて得られる2個のグリシジルエーテル基を有するエポキシ化合物であり、この反応の際には一般にジグリシジルエーテル化合物のオリゴマー化を伴うため、ビスフェノール骨格を2つ以上含むエポキシ化合物を含んでいる。この反応に用いられるビスフェノール類としては、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3- クロロフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)エーテル、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)フルオレン、9, 9-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フルオロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、4,4'-ビフェノール、3,3'-ビフェノール等を挙げられる。この中でも、フルオレン-9,9-ジイル基を有するビスフェノール類を特に好ましく用いることができる。
エポキシ(メタ)アクリレートに反応させる(a)ジカルボン酸又はトリカルボン酸の酸一無水物としては、鎖式炭化水素ジカルボン酸又はトリカルボン酸の酸一無水物や脂環式ジカルボン酸又はトリカルボン酸の酸一無水物、芳香族ジカルボン酸又はトリカルボン酸の酸一無水物が使用される。ここで、鎖式炭化水素ジカルボン酸又はトリカルボン酸の酸一無水物としては、例えば、コハク酸、アセチルコハク酸、マレイン酸、アジピン酸、イタコン酸、アゼライン酸、シトラリンゴ酸、マロン酸、グルタル酸、クエン酸、酒石酸、オキソグルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、スベリン酸、ジグリコール酸等の酸一無水物があり、更には任意の置換基が導入されたジカルボン酸又はトリカルボン酸の酸一無水物でもよい。また、脂環式ジカルボン酸又はトリカルボン酸の酸一無水物としては、例えば、シクロブタンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、ヘキサヒドロトリメリット酸、ノルボルナンジカルボン酸等の酸一無水物があり、更には任意の置換基が導入されたジカルボン酸又はトリカルボン酸の酸一無水物でもよい。更に、芳香族ジカルボン酸又はトリカルボン酸の酸一無水物としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸等の酸一無水物があり、更には任意の置換基が導入されたジカルボン酸又はトリカルボン酸の酸一無水物でもよい。
また、エポキシ(メタ)アクリレートに反応させる(b)テトラカルボン酸の酸二無水物としては、鎖式炭化水素テトラカルボン酸の酸二無水物や脂環式テトラカルボン酸の酸二無水物、又は、芳香族テトラカルボン酸の酸二無水物が使用される。ここで、鎖式炭化水素テトラカルボン酸の酸二無水物としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸、ペンタンテトラカルボン酸、ヘキサンテトラカルボン酸等の酸二無水物があり、更には任意の置換基が導入されたテトラカルボン酸の酸二無水物でもよい。また、脂環式テトラカルボン酸の酸二無水物としては、例えば、シクロブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、シクロへプタンテトラカルボン酸、ノルボルナンテトラカルボン酸等の酸二無水物があり、更には任意の置換基の導入されたテトラカルボン酸の酸二無水物でもよい。更に、芳香族テトラカルボン酸の酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸、ナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸等の酸二無水物が挙げられ、更には任意の置換基の導入されたテトラカルボン酸の酸二無水物でもよい。
エポキシ(メタ)アクリレートに反応させる(a)ジカルボン酸又はトリカルボン酸の酸無水物と(b)テトラカルボン酸の酸二無水物とのモル比(a)/(b)は、0.01~10.0であることがよく、より好ましくは0.02以上3.0未満であるのがよい。モル比(a)/(b)が上記範囲であれば、良好な光パターニング性を有する感光性樹脂組成物とするための最適分子量が得られやすく、また、アルカリ溶解性が損なわれないため好ましい。
エポキシ(メタ)アクリレート酸付加物は、既知の方法、例えば特開平8-278629号公報や特開2008-9401号公報等に記載の方法により製造することができる。先ず、エポキシ化合物に(メタ)アクリル酸を反応させる方法としては、例えば、エポキシ化合物のエポキシ基と等モルの(メタ)アクリル酸を溶剤中に添加し、触媒(トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、2,6-ジイソブチルフェノール等)の存在下、空気を吹き込みながら90~120℃に加熱・攪拌して反応させるという方法がある。次に、反応生成物であるエポキシアクリレート化合物の水酸基に酸無水物を反応させる方法としては、エポキシアクリレート化合物と酸二無水物および酸一無水物の所定量を溶剤中に添加し、触媒(臭化テトラエチルアンモニウム、トリフェニルホスフィン等)の存在下、90~130℃で加熱・攪拌して反応させるという方法がある。この方法で得られたエポキシアクリレート酸付加物は一般式(II)の骨格を有する。
Figure 2023097382000018
〔式(II)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~5のアルキル基、ハロゲン原子又はフェニル基を表し、Aは、-CO-、-SO-、-C(CF-、-Si(CH-、-CH-、-C(CH-、-O-、フルオレン-9,9-ジイル基又は直結合を表し、Xは4価のカルボン酸残基を表し、Y及びYは、それぞれ独立して水素原子又は-OC-Z-(COOH)k(但し、Zは2価又は3価カルボン酸残基を表し、kは1~2の数を表す)を表し、jは1~20の整数を表す。Rは、水素原子又はメチル基を表す。〕
(B)成分の別の例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等の共重合体で(メタ)アクリル基とカルボキシル基を有する樹脂を挙げることができる。例えば、第一ステップとしてグリシジル(メタ)アクリレートを含む(メタ)アクリル酸エステル類を溶剤中で共重合させて得た共重合体に、第二ステップとして(メタ)アクリル酸を反応させ、第三ステップでジカルボン酸又はトリカルボン酸の無水物を反応させて得られる重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂である。
(B)成分のもう1つの別の例としては、第一成分として分子中にエチレン性不飽和結合を有するポリオール化合物、第二成分として分子中にカルボキシル基を有するジオール化合物、第三成分としてジイソシアネート化合物を反応させて得られるウレタン化合物を挙げることができる。この系統の樹脂としては特開2017-76071号公報に示されているものを参考にすることができる。
(B)成分は、本発明の感光性樹脂組成物の固形分中に1.0~40質量%配合されることが好ましく、より好ましくは5~40質量%であることがよい。また、その重量平均分子量(Mw)については、通常2000~10000の間であることが好ましく、3000~7000の間であることがより好ましい。重量平均分子量(Mw)が2000に満たないと現像時のパターンの密着性が維持できず、パターン剥がれが生じ、また、重量平均分子量(Mw)が10000を超えると現像残渣や未露光部の残膜が残り易くなる。更に、(B)成分は、その酸価が30~200KOHmg/gの範囲にあることが好ましい。この値が30KOHmg/gより小さいとアルカリ現像がうまくできないか、強アルカリ等の特殊な現像条件が必要となる場合があり、また、200KOHmg/gを超えるとアルカリ現像液の浸透が早くなり過ぎ、剥離現像が起きやすくなるからである。
なお、この(B)成分については、その1種のみを使用しても、2種以上の混合物を使用することもできる。
<(C)着色成分>
本発明の(C)成分は、感光性樹脂組成物中に使用され得る公知の着色成分を制限なく含むことができるが、有機顔料又は無機顔料であることが好ましく、有機黒色顔料、混色有機顔料又は無機黒色顔料からなる遮光材であることがより好ましい。ここで、黒色有機顔料としては、例えばペリレンブラック、アニリンブラック、シアニンブラック、ラクタムブラック等が挙げられる。混色有機顔料としては、赤、青、緑、紫、黄色、シアニン、マゼンタ等から選ばれる2種以上の顔料を混合して擬似黒色化されたものが挙げられる。無機黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化クロム、酸化鉄、チタンブラック等を挙げることができる。これらの着色成分は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。感光性樹脂組成物の目的に応じて適宜選択して用いることができる。これらの着色成分の中でも、遮光性、表面平滑性、分散安定性、樹脂との親和性の観点からすればカーボンブラックであることがより好ましい。他方、電気抵抗性、遮光性などが重視される用途などではチタンブラックが好適に用いられ、また、赤外線透過性、低誘電特性が重視される用途などではラクタムブラックが好適に用いられる。
カーボンブラックとしては、未処理又は酸化処理されたカーボンブラックであることが好ましい。ここで、未処理とは、酸化処理や樹脂被覆処理といった特別な表面処理を施さないことであり、酸化処理とは、分散工程前にカーボンブラックの表面を何らかの酸化剤で処理することである。このような未処理又は酸化処理されたカーボンブラックは、表面に酸性官能基を多く有していることから、硬化膜を得る際の熱硬化時において、前記の(A)成分のエポキシ基と反応することで、カーボンブラック近傍に(A)成分を多く存在させることができるため好ましい。さらに、カーボンブラックを用いて硬化膜の抵抗値をより高めたい場合には、カーボンブラック表面を染料、顔料、樹脂等で被覆した表面被覆カーボンブラックを用いるようにしてもよい。
このような(C)成分については、本発明の目的に応じて、例えば所望の遮光度となるように任意に決めることができるが、感光樹脂組成物中の固形分に対して30~70質量%であることが好ましく、40~60質量%であることがより好ましい。
また、当該(C)成分は、好ましくは、予め溶剤に分散剤とともに分散させて着色分散液としたうえで、感光性樹脂組成物中に配合するのがよい。ここで、分散させる溶剤は、後述の(E)成分の一部になるため、(E)成分に挙げるものであれば使用することができるが、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3メトキシブチルアセテート等が好適に用いられる。
また、前記分散剤としては、各種高分子分散剤等の公知の分散剤を使用することができる。分散剤の例としては、従来顔料分散に用いられている公知の化合物(分散剤、分散湿潤剤、分散促進剤等の名称で市販されている化合物等)を特に制限なく使用することができるが、例えば、カチオン性高分子系分散剤、アニオン性高分子系分散剤、ノニオン性高分子系分散剤、顔料誘導体型分散剤(分散助剤)等を挙げることができる。特に、顔料への吸着点としてイミダゾリル基、ピロリル基、ピリジル基、一級、二級又は三級のアミノ基等のカチオン性の官能基を有し、アミン価が1~100mgKOH/g、数平均分子量が1千~10万の範囲にあるカチオン性高分子系分散剤は好適である。この分散剤の配合量については、(C)着色成分に対して1~30質量%が好ましい。
<(D)光重合開始剤>
本発明の感光性樹脂組成物における(D)成分としては、例えば、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等のアセトフェノン類;ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、p,p'-ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビスジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;2-(o-クロロフェニル)-4,5-フェニルビイミダゾール、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)ビイミダゾール、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルビイミダゾール、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルビイミダゾール、2,4,5-トリアリールビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2-ビイミダゾール等のビイミダゾール系化合物類;2-トリクロロメチル-5-スチリル-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-(p-シアノスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-(p-メトキシスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール等のハロメチルジアゾール化合物類;2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-クロロフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(3,4,5-トリメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メチルチオスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン等のハロメチル-s-トリアジン系化合物類;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-,2-(O-ベンゾイルオキシム)、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-ベンゾアート、1-(4-メチルスルファニルフェニル)ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-アセタート、1-(4-メチルスルファニルフェニル)ブタン-1-オンオキシム-O-アセタート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-ビシクロヘプチル-1-オンオキシム-O-アセタート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-アダマンチルメタン-1-オンオキシム-O-ベンゾアート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-アダマンチルメタン-1-オンオキシム-O-アセタート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-テトラヒドロフラニルメタン-1-オンオキシム-O-ベンゾアート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-テトラヒドロフラニルメタン-1-オンオキシム-O-アセタート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-チオフェニルメタン-1-オンオキシム-O-ベンゾアート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-チオフェニルメタン-1-オンオキシム-O-アセタート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-モロフォニルメタン-1-オンオキシム-O-ベンゾアート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-モロフォニルメタン-1-オンオキシム-O-アセタート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタン-1-オンオキシム-O-ビシクロヘプタンカルボキシレート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタン-1-オンオキシム-O-トリシクロデカンカルボシキレート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタン-1-オンオキシム-O-アダマンタンカルボシキレート、1-[4-(フェニルスルファニル)フェニル]オクタン-1,2-ジオン=2-O-ベンゾイルオキシム、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)カルバゾール-3-イル]エタノン-O-アセチルオキシム、(2-メチルフェニル)(7-ニトロ-9,9-ジプロピル-9H-フルオレン-2-イル)-アセチルオキシム、エタノン,1-[7-(2-メチルベンゾイル)-9,9-ジプロピル-9H-フルオレン-2-イル]-1-(o-アセチルオキシム)、エタノン,1-(-9,9-ジブチル-7-ニトロ-9H-フルオレン-2-イル)-1-O-アセチルオキシム、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等のO-アシルオキシム系化合物類;チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン等のイオウ化合物;2-エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン等のアントラキノン類;アゾビスイソブチルニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、クメンパーオキシド等の有機過酸化物;2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、β-メルカプトプロピオン酸、2-エチルヘキシル-3-メルカプトプロピオネート、n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート、メトキシブチル-3-メルカプトプロピオネート、ステアリル-3-メルカプトプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリス-[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、3,3’-チオジプロピオン酸、ジチオジプロピオン酸、ラウリルチオプロピオン酸等のチオール化合物などが挙げられる。この中でも、高感度の感光性樹脂組成物を得られやすい観点から、O-アシルオキシム系化合物類を用いることが好ましい。また、これら光重合開始剤を2種類以上使用することもできる。なお、本発明でいう光重合開始剤とは、増感剤を含む意味で使用される。
また、それ自体では光重合開始剤や増感剤として作用しないが、上述の化合物と組み合わせて用いることにより、光重合開始剤や増感剤の能力を増大させ得るような化合物を添加してもよい。そのような化合物の例には、ベンゾフェノンと組みわせて使用すると効果のあるアミン系化合物が含まれる。上記アミン系化合物の例には、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられる。
(D)成分の配合量については、前記(B)成分の100質量部、或いは(B)成分と後述の(F)成分との合計100質量部に対して2~40質量部が好ましく、より好ましくは3~30質量部である。
<(E)溶剤>
本発明の感光性樹脂組成物における(E)溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、3-メトキシ-1-ブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、3-ヒドロキシ-2-ブタノン、ジアセトンアルコール等のアルコール類;α-もしくはβ-テルピネオール等のテルペン類等;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N-メチル-2-ピロリドン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メトキシ-3-ブチルアセテート、3-メトキシ-3-メチル-1-ブチルアセテート、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類等が挙げられ、これらを用いて溶解、混合させることにより、均一な溶液状の組成物とすることができる。
<その他の成分>
〔(F)エポキシ基を有さず尚且つ少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマー〕
本発明の感光性樹脂組成物には、当該(F)成分を含有させてもよい。当該(F)成分は、前記(B)成分であるアルカリ可溶性樹脂の分子どうしを架橋する役割を果たすことができるものである。(F)成分としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル類や、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、又はジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクロイル基を有する樹枝状ポリマー等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。(メタ)アクロイル基を有する樹枝状ポリマーとしては、例えば、多官能(メタ)アクリレート化合物の(メタ)アクロイル基の中の炭素-炭素二重結合の一部に多価メルカプト化合物中のチオール基を付加して得られる公知の樹枝状ポリマーを例示することができる。
当該(F)成分は前記のとおりの役割を果たすものであることから、その機能を発揮させるためにはエチレン性不飽和結合を2個以上有するものを用いることがより好ましい。また、モノマーの分子量を1分子中の(メタ)アクロイル基の数で除したアクリル当量が50~300であればよい。
(F)成分の配合量については、前記(B)成分との配合割合として、質量割合(B)/(F)で50/50~90/10であり、好ましくは60/40~80/20である。(B)成分の配合割合が50/50より少ないと、光硬化後の硬化物が脆くなり、また、未露光部において塗膜の酸価が低いためにアルカリ現像液に対する溶解性が低下し、パターンエッジがぎざつきシャープにならないおそれがある。また、(B)成分の配合割合が90/10よりも多いと、樹脂に占める光反応性官能基の割合が少なく架橋構造の形成が十分でなく、更に、樹脂成分における酸価度が高過ぎて、露光部におけるアルカリ現像液に対する溶解性が高くなるおそれがあることから、形成されたパターンが目標とする線幅より細ったり、パターンの欠落が生じ易くなったりするといった問題が生じるおそれがある。
〔(F)成分以外のその他の成分〕
また、本発明の感光性樹脂組成物には、前記(F)成分以外でも、必要に応じて、前記(A)成分以外のエポキシ樹脂、熱重合禁止剤、酸化防止剤、可塑剤、充填材、レベリング剤、消泡剤、カップリング剤、界面活性剤、粘度調整剤等の添加剤を配合することができる。前記(A)成分以外のエポキシ樹脂としては、前記(A)成分の原料である公知のエポキシ樹脂を使用することができる。熱重合禁止剤および酸化防止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、フェノチアジン、ヒンダードフェノール系化合物等を挙げることができ、可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、リン酸トリクレジル等を挙げることができ、充填材としては、ガラスファイバー、シリカ、マイカ、アルミナ等を挙げることができ、消泡剤やレベリング剤としては、シリコーン系、フッ素系、アクリル系の化合物を挙げることができる。また、界面活性剤としてはラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン等の陰イオン界面活性剤、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ソルビタンモノステアレート等の非イオン界面活性剤、ポリジメチルシロキサン等を主骨格とするシリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等を挙げることができる。カップリング剤としては3-(グリシジルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤を挙げることができる。
<固形分>
本発明の感光性樹脂組成物は、上記(A)~(E)成分を主成分として含有する。溶剤を除いた固形分(固形分には硬化後に固形分となるモノマーを含む)中に、(A)~(D)成分が合計で70質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上含むことがよい。(E)成分である溶剤の量は、目標とする粘度によって変化するが、本発明の感光性樹脂組成物中に60~90質量%の範囲で含まれるようにするのがよい。
<硬化膜の形成方法>
本発明における感光性樹脂組成物は、例えばカラーフィルター硬化膜(遮光膜)形成用の感光性樹脂組成物として優れるものであり、硬化膜の形成方法としては、以下のようなフォトリソグラフィー法がある。先ず、感光性樹脂組成物を透明基板上に塗布し、次いで溶媒を乾燥させた(プリベーク)後、このようにして得られた被膜の上にフォトマスクをあて、紫外線を照射して露光部を硬化させ、更にアルカリ水溶液を用いて未露光部を溶出させる現像を行ってパターンを形成し、更に後乾燥としてポストベーク(熱焼成)を行う方法が挙げられる。
感光性樹脂組成物を塗布する透明基板としては、ガラス基板のほか、透明フィルム(例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルフォン等)上にITOや金などの透明電極が蒸着あるいはパターニングされたものなどが例示できる。透明基板上に感光性樹脂組成物の溶液を塗布する方法としては、公知の溶液浸漬法、スプレー法の他、ローラーコーター機、ランドコーター機、スリットコーター機やスピナー機を用いる方法等の何れの方法をも採用することができる。これらの方法によって、所望の厚さに塗布した後、溶剤を除去する(プリベーク)ことにより、被膜が形成される。プリベークはオーブン、ホットプレート等により加熱することによって行われる。プリベークにおける加熱温度及び加熱時間は使用する溶剤に応じて適宜選択され、例えば60~110℃の温度で1~3分間行われる。
プリベーク後に行われる露光は、紫外線露光装置によって行なわれ、フォトマスクを介して露光することによりパターンに対応した部分のレジストのみを感光させる。露光装置及びその露光照射条件は適宜選択され、超高圧水銀灯、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、遠紫外線灯等の光源を用いて露光を行い、塗膜中の感光性樹脂組成物を光硬化させる。
露光後のアルカリ現像は、露光されない部分のレジストを除去する目的で行われ、この現像によって所望のパターンが形成される。このアルカリ現像に適した現像液としては、例えばアルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩の水溶液、アルカリ金属の水酸化物の水溶液等を挙げることができるが、特に炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等の炭酸塩を0.05~3質量%含有する弱アルカリ性水溶液を用いて23~28℃の温度で現像するのがよく、市販の現像機や超音波洗浄機等を用いて微細な画像を精密に形成することができる。
現像後、好ましくは180~250℃の温度及び20~60分の条件で熱処理(ポストベーク)が行われる。このポストベークは、パターニングされた硬化膜と基板との密着性を高めるため等の目的で行われる。これはプリベークと同様に、オーブン、ホットプレート等により加熱することによって行われる。本発明のパターニングされた硬化膜は、以上のフォトリソグラフィー法による各工程を経て形成される。
本発明の感光性樹脂組成物は、前記のように、露光、アルカリ現像等の操作によって微細なパターンを形成するのに適している。また、本発明の感光性樹脂組成物は、コーティング材として好適に用いることができ、特に液晶の表示装置あるいは撮影素子に使われるカラーフィルター用インキとして好適であり、これにより形成された硬化膜はカラーフィルター、液晶プロジェクション用のブラックマトリックス、遮光膜、タッチパネル用遮光膜等として有用である。
本発明で得られた高遮光、高抵抗の硬化膜(遮光膜)は、OD3.5/μm以上OD4.0/μm未満のときに、10Vの印加電圧で1×1012Ω・cm以上の体積抵抗率となるものである。また、OD4.0/μm以上といった遮光レベルにおいても、10V印加電圧で1×1011Ω・cm以上の体積抵抗率を確保できるものであり、より好ましくは10V印加電圧で1×1012Ω・cm以上の体積抵抗率を確保できるものである。更に、本発明の感光性樹脂組成物は、例えば、10μm未満の細線を形成した場合にも現像密着性に優れるような遮光膜パターンを形成するのに適している。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
先ず、本発明の(B)成分に相当する、重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂の合成例(合成例1)を示す。合成例1における樹脂の評価は、以下のとおりに行った。
[固形分濃度]
合成例1中で得られた樹脂溶液1gをガラスフィルター〔質量:W(g)〕に含浸させて秤量し〔W(g)〕、160℃にて2hr加熱した後の質量〔W(g)〕から次式より求めた。
固形分濃度(質量%)=100×(W-W)/(W-W)
[酸価]
樹脂溶液をジオキサンに溶解させ、電位差滴定装置〔平沼製作所(株)製 商品名COM-1600〕を用いて1/10N-KOH水溶液で滴定して求めた。
[分子量]
ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)[東ソー(株)製商品名HLC-8220GPC、溶媒:テトラヒドロフラン、カラム:TSKgelSuperH-2000(2本)+TSKgelSuperH-3000(1本)+TSKgelSuperH-4000(1本)+TSKgelSuper-H5000(1本)〔東ソー(株)製〕、温度:40℃、速度:0.6ml/min]にて測定し、標準ポリスチレン〔東ソー(株)製PS-オリゴマーキット〕換算値として重量平均分子量(Mw)を求めた。
[エポキシ当量]
測定対象となるエポキシ化合物をジオキサンに溶解させた後に臭化テトラエチルアンモニウムの酢酸溶液を加え、電位差滴定装置「COM-1600」(平沼産業株式会社製)を用いて1/10N-過塩素酸溶液で滴定して求めた。
また、合成例等で使用する略号は次のとおりである。
AA:アクリル酸
BPFE:9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンとクロロメチルオキシランとの反応物。一般式(I)の化合物において、Aがフルオレン-9,9-ジイル基、R~Rが水素原子の化合物。
BPDA:3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
THPA:1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物
TPP:トリフェニルホスフィン
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
TEAB:臭化テトラエチルアンモニウム
[合成例1]
還留冷却器付き500ml四つ口フラスコ中にBPFE 114.4g(0.23モル)、AA 33.2g(0.46モル)、PGMEA 157g及びTEAB 0.48gを仕込み、100~105℃で加熱下に20hr撹拌して反応させた。次いで、フラスコ内にBPDA 35.3g(0.12モル)、THPA 18.3g(0.12モル)を仕込み、120~125℃で加熱下に6hr撹拌し、重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液の固形分濃度は56.5質量%、酸価(固形分換算)は103mgKOH/g、GPC分析によるMwは3600であった。
次に、本発明の(A)成分の合成例を示す(合成例2~9)。
[合成例2]
式(1)で表される構造において、Cyがベンゼン環、R12が全て式(*)の基、Yがメチレン基、R11がメチル基、m=1、n=1、a≒6.8、Mw=1574、エポキシ当量=203g/eqであるクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を原料樹脂として用いた。この原料樹脂の282質量部(1.389当量)に、アクリル酸50質量部(0.694当量)とPGMEA111質量部と、トリフェニルホスフィン1質量部と、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部とを加えるとともに、フェノールスルホン酸1質量部を添加し、80℃~90℃で10時間反応させた。それにより、原料樹脂のR12の官能基の一部(当量比50%)がアクリル化された部分アクリル化エポキシ樹脂(A)-1-1を得た。
[合成例3]
合成例2のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を157質量部(0.773当量)、PGMEA70質量部に変更した以外は、合成例2と同様の方法で合成した。それにより、上記原料樹脂のR12の官能基の一部(当量比90%)がアクリル化された部分アクリル化エポキシ樹脂(A)-1-2を得た。
[合成例4]
合成例2のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を1410質量部(6.946当量)、PGMEA487質量部に変更した以外は、合成例2と同様の方法で合成した。それにより、上記原料樹脂のR12の官能基の一部(当量比10%)がアクリル化された部分アクリル化エポキシ樹脂(A)-1-3を得た。
[合成例5]
式(1)で表される構造において、Cyがベンゼン環、R12が全て(*)の基、Yがメチレン基、m=1、n=0、a≒2.9、Mw=684、エポキシ当量=177g/eqであるフェノールノボラック型エポキシ樹脂を原料樹脂として用いた。この原料樹脂の246質量部(1.390当量)に、アクリル酸50質量部(0.694当量)とPGMEA99質量部と、トリフェニルホスフィン1質量部と、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部とを加えるとともに、フェノールスルホン酸1質量部を添加し、80℃~90℃で10時間反応させた。それにより、原料樹脂のR12の官能基の一部(当量比50%)がアクリル化された部分アクリル化エポキシ樹脂(A)-2を得た。
[合成例6]
式(5)で表される構造において、p=0、R15及びR16が水素原子、Zが-C(CH-、R12が全て(*)の基、Mw=370、エポキシ当量=190g/eqであるビスフェノールA型エポキシ樹脂を原料樹脂として用いた。この原料樹脂の264質量部(1.389当量)に、アクリル酸50質量部(0.694当量)と、トリフェニルホスフィン1質量部と、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部とを加えるとともに、フェノールスルホン酸1質量部を添加し、80℃~90℃で10時間反応させた。それにより、原料樹脂のR12の官能基の一部(当量比50%)がアクリル化された部分アクリル化エポキシ樹脂(A)-3を得た。
[合成例7]
3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021P、Mw=260、エポキシ当量130g/eq、株式会社ダイセル製)を原料樹脂として用いた。この原料樹脂の181質量部(1.392当量)に、アクリル酸50質量部(0.694当量)と、トリフェニルホスフィン1質量部と、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部とを加えるとともに、フェノールスルホン酸1質量部を添加し、80℃~90℃で10時間反応させた。それにより、原料樹脂の3,4-エポキシシクロヘキシル基の一部(当量比50%)がアクリル化された部分アクリル化エポキシ樹脂(A)-4を得た。
[合成例8]
ブタンテトラカルボン酸 テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)修飾ε-カプロラクトン(エポリード GT401、Mw=900、エポキシ当量217g/eq、株式会社ダイセル製)を原料樹脂として用いた。この原料樹脂の301質量部(1.387当量)に、アクリル酸50質量部(0.694当量)と、PGMEA118質量部とトリフェニルホスフィン1質量部と、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部とを加えるとともに、フェノールスルホン酸1質量部を添加し、80℃~90℃で10時間反応させた。それにより、原料樹脂の3,4-エポキシシクロヘキシル基の一部(当量比50%)がアクリル化された部分アクリル化エポキシ樹脂(A)-5を得た。
[合成例9]
2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物(EHPE3150、Mw=1800、エポキシ当量180g/eq、株式会社ダイセル製)を原料樹脂として用いた。この原料樹脂の250質量部(1.389当量)に、アクリル酸50質量部(0.694当量)と、PGMEA101質量部とトリフェニルホスフィン1質量部と、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部とを加えるとともに、フェノールスルホン酸1質量部を添加し、80℃~90℃で10時間反応させた。それにより、原料樹脂の3,4-エポキシシクロヘキシル基の一部(当量比50%)がアクリル化された部分アクリル化エポキシ樹脂(A)-6を得た。
[感光性樹脂組成物の調製]
表1から表2に示す組成によって配合を行い、実施例1~19、比較例1、および基準比較例1~4の感光性樹脂組成物を調製した。配合に使用した各成分は、以下のとおりである。表中の数値はすべて質量%であり、(E)成分以外は固形分としての数値を表す。
<(A)成分>
(A)-1-1:上記合成例2で得られた部分アクリル化エポキシ樹脂
(A)-1-2:上記合成例3で得られた部分アクリル化エポキシ樹脂
(A)-1-3:上記合成例4で得られた部分アクリル化エポキシ樹脂
(A)-2 :上記合成例5で得られた部分アクリル化エポキシ樹脂
(A)-3 :上記合成例6で得られた部分アクリル化エポキシ樹脂
(A)-4 :上記合成例7で得られた部分アクリル化エポキシ樹脂
(A)-5 :上記合成例8で得られた部分アクリル化エポキシ樹脂
(A)-6 :上記合成例9で得られた部分アクリル化エポキシ樹脂
<(B)成分>
前記合成例1で得られた重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂溶液
<(C)成分>
(C)-1:カーボンブラック25.0質量%、高分子分散剤6.25質量%のPGMEA溶剤の顔料分散体
(C)-2:チタンブラック15.0質量%、高分子分散剤3.75質量%のPGMEA溶剤の顔料分散体
(C)-3:ラクタムブラック15.0質量%、高分子分散剤3.75質量%のPGMEA溶剤の顔料分散体
(表1~2中では(C)成分としての着色成分と、高分子分散剤(表中では「分散剤」と表記)とを別表記とする。)
<(D)成分>
オキシムエステル系光重合開始剤〔(株)ADEKA製 NCI-831〕
<(E)成分>
PGMEA
<(F)成分>
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとヘキサアクリレートとの混合物〔日本化薬(株)製 DPHA、アクリル当量96~115〕
(H)シランカップリング剤:信越化学工業(株)製 KBE-585
(I)界面活性剤:ビックケミー・ジャパン(株)製 BYK-330
(J)エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル(株)製 YD-128)
Figure 2023097382000019
Figure 2023097382000020
[評価]
実施例1~19、比較例1、および基準比較例1~4の感光性樹脂組成物を用いて、以下に記す評価を行った。これらの評価結果を表3~4に示す。
<OD/μmの評価>
上記で得られた各感光性樹脂組成物を、スピンコーターを用いて125mm×125mmのガラス基板(コーニング1737)上にポストベーク後の膜厚が1.0μmとなるように塗布し、90℃で1分間プリベークした。その後、ネガ型フォトマスクを被せず、i線照度30mW/cmの超高圧水銀ランプで40mJ/cmの紫外線を照射し、光硬化反応を行った。
次に、この露光済み塗板を23℃、0.04%水酸化カリウム水溶液を用い1kgf/cmのシャワー圧にて80秒の現像後、5kgf/cm圧のスプレー水洗を行い、その後、熱風乾燥機を用いて230℃、30分間熱ポストベークした。この塗板のOD値を、透過濃度計を用いて評価した。また、塗板に形成した遮光膜の膜厚を測定し、OD値を膜厚で割った値をOD/μmとした。
<体積抵抗率上昇度の評価>
前記で得られた各感光性樹脂組成物を、スピンコーターを用いて100mm×100mmのクロム蒸着ガラス基板(コーニング1737)上にポストベーク後の膜厚が3.0μmとなるように塗布し、90℃で1分間プリベークした。その後、熱風乾燥機を用いて230℃、180分間熱ポストベークした後、エレクトロメーター(ケースレー社製、「6517A型」)を用い、1Vステップで各印加電圧において60秒ずつ電圧保持する条件で、印加電圧1Vから10Vにおける体積抵抗率を測定した。10V印加時の体積抵抗率に対して、(A)成分及び(J)成分をいずれも用いない基準比較例1を基準とした時の実施例1~6、9~17及び比較例1の上昇度と、(A)成分及び(J)成分をいずれも用いない基準比較例2を基準とした時の実施例7~8の上昇度と、(A)成分及び(J)成分をいずれも用いない基準比較例3を基準とした時の実施例18の上昇度と、(A)成分及び(J)成分をいずれも用いない基準比較例4を基準とした時の実施例19の上昇度を、それぞれ以下計算式に基づいて算出した。なお、基準としたものは、あとの表中において「Ref.」と表記している。
上昇度=実施例または比較例の各体積抵抗率(Ω・cm)/基準比較例の各体積抵抗率(Ω・cm)
算出された体積抵抗上昇度に対して、下記の判定基準に基づいて体積抵抗上昇度を判定した。
◎:300≦体積抵抗率上昇度
〇:100≦体積抵抗率上昇度<300
△:10≦体積抵抗上昇度<100
×:体積抵抗上昇度<10
<パターニング性の評価>
上記で得られた各感光性樹脂組成物を、スピンコーターを用いて125mm×125mmのガラス基板(コーニング1737)上にポストベーク後の膜厚が1.2μmとなるように塗布し、90℃で1分間プリベークした。その後、乾燥塗膜の上に1~20μm開口幅のラインパターンが存在するネガ型フォトマスクを密着させ、i線照度30mW/cmの超高圧水銀ランプで50mJ/cmの紫外線を照射し、感光部分の光硬化反応を行った。
次に、この露光済み塗板を23℃、0.04%水酸化カリウム水溶液中、1kgf/cmのシャワー現像圧にて、パターンが現れ始める現像時間(ブレイクタイム=BT)から、+60秒の現像後、5kgf/cm圧のスプレー水洗を行い、塗膜の未露光部を除去してガラス基板上にラインパターンを形成し、その後、熱風乾燥機を用いて230℃、30分間熱ポストベークした後に得られたラインパターンにおいてパターン剥離が発生していない最小開口ラインを最小解像線幅とした。
◎:5μm未満
☆:5μm以上7μm未満
〇:7μm以上10μm未満
△:10μm以上20μm未満
×:20μm以上
Figure 2023097382000021
Figure 2023097382000022
実施例1~19、比較例1および基準比較例1~4の結果から、感光性樹脂組成物中に(A)成分である部分(メタ)アクリル化エポキシ樹脂を添加することにより、体積抵抗率の向上と、良好なパターニング性を両立させることが可能であることが分かる。また、最小解像線幅が細いことから現像密着性にも優れており、高遮光・高抵抗化と高精細化を両立した遮光膜用感光性樹脂組成物である。

Claims (12)

  1. (A)エポキシ樹脂の一部が(メタ)アクリル化された部分(メタ)アクリル化エポキシ樹脂、
    (B)重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂、
    (C)着色成分、
    (D)光重合開始剤、及び
    (E)溶剤
    を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
  2. さらに、(F)エポキシ基を有さず尚且つ少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマーを含有することを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記(A)成分が、下記の式(1)で表されるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 2023097382000023
    〔式(1)中、Cyは炭素数6~12の芳香族炭化水素基であるか又は炭素数3~12の脂環式炭化水素基であり、
    Yは炭素数1~20の2価の炭化水素基であり、
    11は、独立して、炭素数1~10の炭化水素基である。R12は、独立して、以下の式(*)及び/又は式(**)で表される基を示し、少なくとも1つずつの(*)及び(**)を含む。R17は水素原子又はメチル基である。
    a、m、nは、それぞれ独立して、繰り返し数を示し、aは1以上であり、mは1又は2であり、nは0~7である。〕
    Figure 2023097382000024
  4. 前記(A)成分が、下記の式(2)で表されるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 2023097382000025
    〔式(2)中、R14は、d個の活性水素基を有する有機化合物の残基を示す。R12は、独立して、以下の式(*)及び/又は式(**)を示し、一分子内に少なくとも1つずつの(*)及び(**)を含む。R17は水素原子又はメチル基である。
    dは1~100の整数である。cはそれぞれ独立に0~100の整数であり、各cの和が2~100である。〕
    Figure 2023097382000026
  5. 前記(A)成分が、下記の式(3)で表されるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 2023097382000027
    〔式(3)中、f、g、h、iは、それぞれ独立に0または1であり、f+g+h+i=1~3である。
    13は、独立して、以下の式(***)及び/又は式(****)を示し、少なくとも1つずつの(***)及び(****)を含む。R17は水素原子又はメチル基である。〕
    Figure 2023097382000028
  6. 前記(A)成分が、下記の式(4)で表されるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
    13-W-R13 (4)
    〔式(4)中、Wは、単結合であるか又は内部にヘテロ元素を含んでもよい炭素数1~20の2価の有機基を示す。R13は、独立して、以下の式(***)及び/又は式(****)を示し、少なくとも1つずつの(***)及び(****)を含む。R17は水素原子又はメチル基である。〕
    Figure 2023097382000029
  7. 前記(A)成分が、下記の式(5)で表されるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 2023097382000030
    〔式(5)中、Zは、-CO-、-SO-、-C(CF-、-Si(CH-、-CH-、-C(CH-、-O-、9,9-フルオレニル基又は不存在を示す。
    12は、独立して、以下の式(*)及び/又は式(**)を示し、少なくとも1つずつの(*)及び(**)を含む。R17は水素原子又はメチル基である。
    15及びR16は、それぞれ独立して水素原子であるか、炭素数1~5のアルキル基であるか又はハロゲン原子を示す。
    pは繰り返し数を示し、0~10の整数を示す。〕
    Figure 2023097382000031
  8. (B)成分と(F)成分との質量割合(B)/(F)が50/50~90/10であり、(C)成分100質量部に対して(A)成分を0.5~180質量部含有し、(C)成分が感光性樹脂組成物の固形分中に30~70質量%含まれることを特徴とする請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
  9. 前記(C)成分が、カーボンブラック、チタンブラック及び/又はラクタムブラックであることを特徴とする請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  10. 請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物を硬化させて形成したことを特徴とする硬化膜。
  11. 請求項10に記載の硬化膜を備えたことを特徴とするカラーフィルター。
  12. 請求項11に記載のカラーフィルターを有する表示装置。
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