JP2022163462A - ブラックレジスト用感光性樹脂組成物および遮光膜、ならびにカラーフィルター遮光膜の製造方法 - Google Patents

ブラックレジスト用感光性樹脂組成物および遮光膜、ならびにカラーフィルター遮光膜の製造方法 Download PDF

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恵美 尾畑
Emi Obata
悠樹 小野
Yuki Ono
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Abstract

【課題】PCT後においてもガラス基板との密着性が良好であり、露光感度が高く、良好な現像特性を有し、体積抵抗率、遮光度に優れ、かつ、良好な断面形状を有する遮光膜を形成できるブラックレジスト用感光性樹脂組成物を提供すること。【解決手段】本発明のブラックレジスト用感光性樹脂組成物は、(a)アルカリ可溶性樹脂と、(b)アルキレンオキサイド基またはラクトンが開環した構造を有する基と、少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物と、(c)光重合開始剤と、(d)遮光剤と、(e)溶剤と、を含む。前記光重合性化合物は、アクリル当量が90g/eq以上400g/eq以下であり、分子量が200以上5000以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、ブラックレジスト用感光性樹脂組成物および遮光膜、ならびにカラーフィルター遮光膜の製造方法に関する。
カラー液晶パネルは、カラーフィルターが形成された基板と対向基板(TFT基板)とをシール材を介して貼り合わせ、両基板の間に液晶が充填された構造となっている。カラーフィルターの製造方法としては、通常、ガラス、プラスチックシート等の透明基板の表面に、赤、緑、青各色間の混色抑制によるコントラスト向上の役割を果たすブラックマトリックスを形成し、続いて、あらゆる自然色を表現する役割を果たす赤、緑、青の異なる色相を順次、ストライプ状あるいはモザイク状等の色パターンで形成する方法が用いられている。
近年、液晶ディスプレイの狭額縁化がトレンドとなっており、それに伴い液晶の封止に用いられるシール材を接着する面積が狭くなっているため、ブラックマトリックスとガラス基板との界面での密着強度の向上が求められている。そのため、耐久性試験(信頼性試験)、例えば、プレッシャークッカー試験(PCT:Pressure Cooker Test)後にも密着強度が維持されることが求められる。なお、PCT試験法とは、温度120℃、湿度100%、気圧2atmという過酷な条件下に、数時間液晶パネルを暴露させるという試験方法である。
上記ブラックマトリックスは、液晶ディスプレイのコントラスト向上の役割を果たすだけでなく、カラーフィルターの外枠遮光膜としての機能もある。そして、上記外枠遮光膜の一部はシール材を介し対向基板(ガラス基板)と貼り合わさっている。そのため、ブラックマトリックスには、上述の耐久性試験(PCT)のような過酷な条件下にさらされても、ガラス基板との高い密着強度を有することが要求される。
また、近年では、液晶パネルの視認性向上のため高遮光化のニーズが高くなっている。高遮光化を実現するためには、ブラックマトリックスの膜厚を厚くすることが考えられるが、膜厚を厚くし過ぎると、その後の製造工程で赤、緑、青の画素を形成する際に、ブラックマトリックスと赤、緑、および青が重なった部分の膜厚が厚くなり、いわゆる「角段差」が生じてしまう。この「角段差」は液晶の配向乱れの原因となりパネルの視認性の低下へ繋がることから、ブラックマトリックスの薄膜化および高遮光化を達成することが求められている。
ここで、ブラックマトリックスの薄膜化および高遮光化を達成するために、樹脂組成物中の黒色顔料の含有量を多くすると、硬化性に寄与するバインダー樹脂やアクリレート成分等の配合割合が相対的に小さくなるため、塗膜が十分に硬化しにくくなり、その結果、塗膜とガラス基板との密着性が低下して、剥がれ等が生じやすくなる。また、遮光膜の遮光度が上がると、露光時に放射線(例えば紫外線)が塗膜の深部まで届かないため、露光によって硬化した塗膜の表層部と深部とでポストベーク時の収縮の仕方に差が生じ、遮光膜表面にしわが発生しやすくなる。そのため、遮光膜の表面に別の層が形成されると、遮光膜と別の層との密着性だけでなく、製造プロセスへの悪影響も懸念される。このように、近年におけるブラックマトリックスと基板との密着性への要求は、さらに高度なものとなっている。
たとえば、特許文献1には、アクリロイル基またはエポキシ基を有するアルカリ可溶性樹脂と、特定の構造を有する光重合性化合物と、光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物が開示されている。特許文献1によると、断面形状が良好であり、直進性に優れ、かつ、基板への密着性に優れたパターンを形成可能な感光性樹脂組成物を提供できるとされている。
特開2015-212738号公報
ところで、本発明者らの知見によると、従来の感光性樹脂組成物の顔料濃度を、例えば、40質量%以上に高めると、所望する密着性が得られないことがあった。また、露光感度やアルカリ現像性といった、パターニング性についても所望する特性を得られないことがあった。現像液溶解性が低下すれば、パターンの欠けによる歩留まりの低下や、現像プロセスに長い時間を要するなど、生産性に影響しかねない。
本発明の目的は、PCT後においてもガラス基板との密着性が良好であり、露光感度が高く、パターンの直線性、体積抵抗率、遮光度に優れ、かつ、良好な断面形状を有する遮光膜を形成できるブラックレジスト用感光性樹脂組成物を提供することである。また、本発明の目的は、当該感光性樹脂組成物を用いた、現像工程に要する時間を短縮できるカラーフィルター遮光膜の製造方法を提供することである。
そこで、本発明者らは、アルカリ可溶性樹脂、アルキレンオキサイド基またはラクトンが開環した構造を有する基と、少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有し、かつ、アクリル当量が90g/eq以上400g/eq以下であり、分子量が200以上5000以下である光重合性化合物を含む感光性樹脂組成物を用いることにより、より一層高い密着性を発現できるとともに、露光感度が高く、パターン直線性、体積抵抗率、遮光度に優れ、かつ良好な断面形状を有する遮光膜を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明に係るブラックレジスト用感光性樹脂組成物は、(a)アルカリ可溶性樹脂と、(b)アルキレンオキサイド基またはラクトンが開環した構造を有する基と、少なくとも2個のエチレン性不飽和結合とを有する光重合性化合物と、(c)光重合開始剤と、(d)遮光剤と、(e)溶剤と、を含む、ブラックレジスト用感光性樹脂組成物であって、前記(b)成分は、アクリル当量が90g/eq以上400g/eq以下であり、分子量が200以上5000以下である。
本発明に係る遮光膜は、上記ブラックレジスト用感光性樹脂組成物を硬化してなる。
本発明に係るカラーフィルター遮光膜の製造方法は、上記ブラックレジスト用感光性樹脂組成物を、透明基板上に塗布し、乾燥させて、前記ブラックレジスト用感光性樹脂組成物の塗膜を形成する塗膜形成工程と、前記塗膜の一部にフォトマスクを介して放射線を照射する露光工程と、前記放射線を照射された塗膜を現像し、未露光部分を除去する現像工程と、前記現像後の塗膜を加熱硬化する加熱硬化工程と、を有する。
本発明によれば、PCT後においてもガラス基板との密着性が良好であり、露光感度が高く、パターンの直線性、体積抵抗率、遮光度に優れ、かつ、良好な断面形状を有する遮光膜を形成できるブラックレジスト用感光性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明の目的は、当該感光性樹脂組成物を用いた、現像工程に要する時間を短縮できるカラーフィルター遮光膜の製造方法を提供することができる。
以下、本発明のブラックレジスト用感光性樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明のブラックレジスト用感光性樹脂組成物は、(a)アルカリ可溶性樹脂と、(b)アルキレンオキサイド基またはラクトンが開環した構造を有する基と、少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物と、(c)光重合開始剤と、(d)遮光剤と、(e)溶剤と、を含む。
1.感光性樹脂組成物
[(a)成分]
(a)成分は、アルカリ可溶性樹脂である。(a)成分を含むことにより、感光性樹脂組成物にアルカリ現像に対する可溶性を付与することができる。
(a)成分であるアルカリ可溶性樹脂は、1分子中に重合性不飽和基と、アルカリ可溶性を発現するための酸性基を有していることが好ましく、重合性不飽和基とカルボキシ基との両方を含有していることがより好ましい。上記樹脂であれば、特に限定されることなく、広く使用することができる。上記アルカリ可溶性樹脂は、重合性不飽和基とカルボキシ基とを併せ持つため、バインダーとしての作用を有し、また、ブラックレジスト用感光性樹脂組成物に優れた光硬化性を与えるほか、良好な現像性およびパターニング特性(パターン線幅、パターン直線性)を与えて、遮光膜の物性を向上させる。
本実施の形態に係る(a)成分であるアルカリ可溶性樹脂は、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応物を、さらに多塩基酸カルボン酸またはその無水物と反応させて得られる重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。上記アルカリ可溶性樹脂の製造時に、ヒドロキシ基と多塩基酸カルボン酸との反応でポリエステルが生成するが、その平均の重合度は2~500程度の低分子量が好ましい。なお、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタクリル酸の総称であり、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基およびメタクリロイル基の総称であり、これらの一方または両方を意味する。
上記エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物の例には、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物、ビスナフトールフルオレン型エポキシ化合物、ジフェニルフルオレン型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、(o,m,p-)クレゾールノボラック型エポキシ化合物、フェノールアラルキル型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、ナフタレン骨格を含むフェノールノボラック化合物(例えば、NC-7000L:日本化薬株式会社製)、ナフトールアラルキル型エポキシ化合物、トリスフェノールメタン型エポキシ化合物(例えば、EPPN-501H:日本化薬株式会社製)、テトラキスフェノールエタン型エポキシ化合物などの芳香族構造を有するエポキシ化合物、多価アルコールのグリシジルエーテル、多価カルボン酸のグリシジルエステル、メタクリル酸とメタクリル酸グリシジルの共重合体に代表される(メタ)アクリル酸グリシジルをユニットとして含む(メタ)アクリロイル基を有するモノマーの共重合体、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(例えば、リカレジンHBE-100:新日本理化株式会社製、「リカレジン」は同社の登録商標)などのグリシジル基を有するエポキシ化合物、1,4-シクロヘキサンジメタノール-ビス3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-5,1-スピロ(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-m-ジオキサン(例えば、アラルダイトCY175:ハンツマン社製、「アラルダイト」は同社の登録商標)、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート(例えば、CYRACURE UVR-6128:ダウ・ケミカル社製)、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(例えば、セロキサイド2021P:株式会社ダイセル製、「セロキサイド」は同社の登録商標)、ブタンテトラカルボン酸テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)修飾ε-カプロラクトン(例えば、エポリードGT401:株式会社ダイセル製、「エポリード」は同社の登録商標)、エポキシシクロヘキシル基を有するエポキシ化合物(例えば、HiREM-1:四国化成工業株式会社製)、ジシクロペンタジエン骨格を有する多官能エポキシ化合物(例えば、HP7200シリーズ:DIC株式会社製)、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物(例えば、EHPE3150:株式会社ダイセル製)などの脂環式エポキシ化合物、エポキシ化ポリブタジエン(例えば、NISSO-PB・JP-100:日本曹達株式会社製、「NISSO-PB」は同社の登録商標)、シリコーン骨格を有するエポキシ化合物等が含まれる。
上記エポキシ化合物の中では、下記一般式(2)で表されるビスフェノール型エポキシ化合物、下記一般式(4)で表されるフェノールノボラック型エポキシ化合物、および(o,m,p-)クレゾールノボラック型エポキシ化合物が好ましい。
Figure 2022163462000001
式(2)中、RおよびRは、独立して、水素原子、炭素数が1~5の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはハロゲン原子を表し、Wは-CO-、-SO-、-C(CF-、-Si(CH-、-CH-、-C(CH-、-O-、下記一般式(3)で表されるフルオレン-9,9-ジイル基または単結合を表し、nは、0以上10以下の整数である。
Figure 2022163462000002
Figure 2022163462000003
式(4)中、R~R11は、独立して、水素原子、炭素数が1~5の直鎖または分岐鎖のアルキル基、炭素数が5~9のシクロアルキル基、または炭素数が6~10のアリール基を表し、R12~R22は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数が1~5の直鎖または分岐鎖のアルキル基、炭素数が1~5のアルケニル基、炭素数が1~5のアルキニル基、炭素数が5~9のシクロアルキル基、炭素数が6~10のアリール基、または炭素数が1~5のアルコキシ基を表し、oは1~5の整数を表す。
現像性、細線密着性の観点から、一般式(2)で表されるビスフェノール型エポキシ化合物がより好ましい。
上記一般式(2)で表されるビスフェノール型エポキシ化合物は、ビスフェノール類から誘導される。上記ビスフェノール類の例には、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)エーテル、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フルオロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)フルオレン、4,4’-ビフェノール、3,3’-ビフェノールなどが含まれる。この中でも、耐熱性をより高める観点から、フルオレン-9,9-ジイル基を有するビスフェノール類が好ましい。これらのビスフェノール類は、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
また、(a)成分を得る際に用いる、多塩基酸カルボン酸またはその無水物は、(A)ジカルボン酸またはトリカルボン酸またはその酸一無水物と、(B)テトラカルボン酸またはその酸二無水物と、を組み合わせて用いることが好ましい。
(A)ジカルボン酸またはトリカルボン酸またはその酸一無水物の例には、鎖式炭化水素ジカルボン酸またはトリカルボン酸、脂環式ジカルボン酸またはトリカルボン酸、芳香族ジカルボン酸またはトリカルボン酸、またはそれらの酸一無水物等が含まれる。
鎖式炭化水素ジカルボン酸またはトリカルボン酸の例には、コハク酸、アセチルコハク酸、マレイン酸、アジピン酸、イタコン酸、アゼライン酸、シトラリンゴ酸、マロン酸、グルタル酸、クエン酸、酒石酸、オキソグルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、スベリン酸、ジグリコール酸等のジカルボン酸またはトリカルボン酸、および任意の置換基が導入されたジカルボン酸またはトリカルボン酸等が含まれる。
また、脂環式ジカルボン酸またはトリカルボン酸の例には、シクロブタンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチル-3,6-エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、ヘキサヒドロトリメリット酸、ノルボルナンジカルボン酸等のジカルボン酸またはトリカルボン酸、および任意の置換基が導入されたジカルボン酸またはトリカルボン酸等が含まれる。
また、芳香族ジカルボン酸またはトリカルボン酸の例には、フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸またはトリカルボン酸、および任意の置換基が導入されたジカルボン酸またはトリカルボン酸等が含まれる。
ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸においては、それらの酸一無水物を用いることが好ましい。上述したジカルボン酸またはトリカルボン酸またはその酸一無水物は、その1種のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
(B)テトラカルボン酸またはその酸二無水物の例には、鎖式炭化水素テトラカルボン酸、脂環式テトラカルボン酸、芳香族テトラカルボン酸、またはそれらの酸二無水物が含まれる。
鎖式炭化水素テトラカルボン酸の例には、ブタンテトラカルボン酸、ペンタンテトラカルボン酸、ヘキサンテトラカルボン酸等のテトラカルボン酸、および任意の置換基が導入されたテトラカルボン酸が含まれる。
脂環式テトラカルボン酸の例には、シクロブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、シクロへプタンテトラカルボン酸、ノルボルナンテトラカルボン酸等のテトラカルボン酸、および任意の置換基の導入されたテトラカルボン酸が含まれる。
芳香族テトラカルボン酸の例には、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸、ナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸等のテトラカルボン酸、および任意の置換基の導入されたテトラカルボン酸が含まれる。
上記テトラカルボン酸またはその酸二無水物においては、その酸二無水物を用いることが好ましい。なお、上述したテトラカルボン酸またはその酸二無水物は、その1種のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
このときの(A)ジカルボン酸またはトリカルボン酸またはその酸一無水物と(B)テトラカルボン酸またはその酸二無水物とのモル比(A)/(B)は、0.01以上10.0以下が好ましく、0.02以上3.0未満がより好ましい。モル比(A)/(B)が上記範囲内であると、良好な光パターニング性を有する感光性樹脂組成物とするための最適分子量を得ることができる。なお、モル比(A)/(B)が小さいほど分子量は大きくなり、アルカリ溶解性は低下する傾向にある。
また、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応、およびこの反応で得られたエポキシ(メタ)アクリレートと多塩基酸またはその酸無水物との反応は、特に限定されず、例えば、特開平8-278629号公報等に記載の公知の方法を採用することができる。
また、上記反応で合成されるアルカリ可溶性樹脂は、溶解速度を調整する観点から、重量平均分子量(Mw)が1000以上20000以下であることが好ましく、2000以上10000以下であることがより好ましく、酸価が30mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることが好ましい。上記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)「HLC-8220GPC」(東ソー株式会社製)で求めることができる。また、酸価は、例えば、電位差滴定装置「COM-1600」(平沼産業株式会社製)を用いて求めることができる。
なお、上記(a)成分であるアルカリ可溶性樹脂は、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
[(b)成分]
(b)成分は、光重合性化合物である。(b)成分を含むことにより、露光感度および現像性を良好なものとすることができる。
本実施の形態に係る(b)成分である光重合性化合物は、アルキレンオキサイド基またはラクトンが開環した構造を有する基と、少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有する。
(b)成分である光重合性化合物は、少なくとも1個の炭素数が2以上6以下のアルキレンオキサイド基または炭素数が2以上6以下のラクトンが開環した構造を有する基(以下、単に、「ラクトン基」ともいう)を有することが好ましく、炭素数が2以上3以下のアルキレンオキサイド基または炭素数が4以上6以下のラクトン基を有することがより好ましい。上記アルキレンオキサイド基またはラクトン基は、単結合の酸素原子を含むため、当該酸素原子の孤立電子対により立体障害が抑制され、上記アルキレンオキサイド基またはラクトン基は分子内で自由に回転できる。これにより、塗膜に柔軟性が付与されて、熱硬化収縮時に生じる塗膜の内部応力が緩和されるため、PCT後も密着性が低下しにくい。とくに、ラクトン基は、アルキレンオキサイド基よりも炭素原子が連続している部位の長さを長くできるので、親水性をより低くして、塗膜中に水分が浸透しにくくすることができるため、PCT試験後におけるガラス基板への密着性がより良好となる。
上記光重合性化合物のアクリル当量は、90g/eq以上400g/eq以下であり、120g/eq以上360g/eq以下が好ましく、150g/eq以上320g/eq以下がより好ましく、190g/eq以上300g/eq以下がさらに好ましい。光重合性化合物のアクリル当量が400g/eq以下であると、放射線(例えば紫外線)に対する感度が高い。また、架橋密度が高まるので、塗膜の収縮自体が比較的大きくなり、硬化膜1μmあたりの遮光度を大きくできる。とくに、アクリル当量がより小さいほど、感度がより良好となる。また、上記光重合性化合物の分子量は、200以上5000以下であり、600以上3500以下が好ましく、1000以上1900以下がより好ましく、1200以上1900以下がさらに好ましい。光重合性化合物の分子量が5000以下であることにより、アルカリ現像液に対する良好な溶解性を得られるとともに、適度な熱ダレ特性を有するため良好なパターン特性(例えばパターンの直線性)、および良好な断面形状が得られる。
なお、光重合性化合物のアクリル当量は、例えば、分子量をアクリル官能基数で割ることで求めることができる。また、光重合性化合物の重量平均分子量(Mw)は、例えば、上述のゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)「HLC-8220GPC」を用いて求めることができる。
本実施の形態に係る(b)成分である光重合性化合物は、下記一般式(1)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2022163462000004
式(1)中、Yは、独立して炭素数が2以上6以下のアルキレンオキサイド基または炭素数が2以上6以下のラクトンが開環した構造(-C(=O)-(CH-O-)を有する基であり、炭素数が2以上6以下のアルキレンオキサイド基または炭素数が4以上6以下のラクトンが開環した構造を有する基であることが好ましく、Yのうち少なくとも1つは、炭素数が6のラクトンが開環した構造を有する基であることがより好ましく、すべてのYは、炭素数が6のラクトンが開環した構造を有する基であることがさらに好ましい。a~eは独立に0~6の整数であり、ただしa~eのうち少なくとも1つは1~6の整数である。a~eは、1または2が好ましい。R1~Rは、独立して(メタ)アクリロイル基およびヒドロキシ基からなる群から選択される基が好ましく、R1~Rの少なくとも2つは(メタ)アクリロイル基である。R1~Rは、すべて(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。Zは、置換または非置換の1~4価の炭化水素基、-O-および-S-からなる群から選択される基が好ましく、置換または非置換の2価の炭化水素基、-O-および-S-からなる群から選択される基がより好ましく、-O-がさらに好ましい。lは独立に0または1であり、0が好ましい。mはZの価数と同じ1~4の整数であり、2が好ましい。kは1~5の整数であり、3~5が好ましい。ただし、(b)成分として複数の前記一般式(1)で表される光重合性化合物を含む場合、それぞれの光重合性化合物は同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(1)で表される光重合性化合物は、アルキレンオキサイド基またはラクトンが開環した構造を有する基を有さない化合物(例えばDPHA)と比較して、アクリル当量は大きいものの、分子鎖が長く、多官能のアクリレートモノマーであるため、露光に対する感度は良好となる。
また、上記光重合性化合物は、分子量が比較的大きいにもかかわらず、エステル、エーテルなどの親水性官能基を分子内に多く含むため、アルカリ現像液に対する溶解性は非常に良好で、速やかにパターンを現像することができる。
また、上記光重合性化合物は、分子量が比較的大きいため、ポストベーク時に熱だれを起こしにくく、矩形を維持した、断面形状が良好なパターンを形成できる。さらに、上記光重合性化合物は、アルキレンオキサイド基またはラクトンが開環した構造を有する基を有さない化合物(例えばDPHA)と比較して、架橋密度が低いため、ベーク時の収縮が小さくなるので、体積抵抗率を高くできる。
上記一般式(1)で表される光重合性化合物は、2個以上20個以下の(メタ)アクリロイル基を有することが好ましく、3個以上10個以下の(メタ)アクリロイル基を有することがより好ましく、3個以上6個以下の(メタ)アクリロイル基を有することがさらに好ましい。上記光重合性化合物が、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有することにより、光重合性化合物の放射線(例えば紫外線)に対する高い感度が得られる。また、(メタ)アクリロイル基の数が20個以下であると、良好なパターニング特性(パターン線幅、パターン直線)が得られる。
上記一般式(1)で表される光重合性化合物の具体例には、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールジカプロラクトンヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールトリカプロラクトンヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサカプロラクトンヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールポリカプロラクトンヘキサアクリレート(いずれも日本化薬株式会社製)、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート(いずれも東亜合成株式会社製)などが含まれる。これらの中では、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールジカプロラクトンヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールトリカプロラクトンヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサカプロラクトンヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールポリカプロラクトンヘキサアクリレートがより好ましい。上記光重合性化合物は、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
(b)成分は、上記一般式(1)で表される光重合性化合物以外の光重合性化合物であってもよい。上記光重合性化合物は、上記一般式(1)で表される光重合性化合物と併用されてもよいし、上記一般式(1)で表される光重合性化合物の代わりに用いられてもよい。
上記一般式(1)で表される光重合性化合物以外の光重合性化合物の例には、ビスフェノールFエチレンオキサイド変性ジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジおよびトリアクリレート、ジグリセリンエチレンオキサイド変性アクリレート(いずれも東亜合成株式会社製)、およびフォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレートなどが含まれる。
[(b’)その他の光重合性化合物]
本発明の感光性樹脂組成物は、(b’)その他の光重合性化合物として、アルキレンオキサイド基またはラクトンが開環した構造を有する基を有さない光重合性化合物を含んでもよい。上記(b’)その他の光重合性化合物を含むことにより、感度や架橋密度を調節することができる。
上記(b’)その他の光重合性化合物の例には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、またはジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー等のウレタンアクリレートモノマー類;エチレン性二重結合を有する化合物として(メタ)アクリル基を有する樹枝状ポリマーなどが含まれる。上記その他の光重合性化合物は、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記(a)成分と光重合性化合物(上記(b)成分および(b’)成分の合計)との配合割合は、重量比(a)/((b)+(b’))で50/50以上90/10以下が好ましく、60/40以上80/20以下がより好ましく、60/40以上75/25以下がさらに好ましい。上記(a)成分の配合割合が50/50以上であると、光硬化後の硬化膜の硬度が十分であり、また、未露光部において塗膜の酸価が十分高いためにアルカリ現像性が良く、直線的でシャープなパターンを短時間で形成できる。また、上記(a)成分の配合割合が、90/10以下であると、樹脂に占める光反応性官能基の割合が十分なので、所望する架橋構造の形成を行うことができる。また、樹脂成分における酸価が適当で、露光部におけるアルカリ現像液に対する溶解性が過度に高くないことから、形成されたパターンが目標とする線幅より細くなることや、パターンの欠落を抑制することができる。
光重合性化合物が、(b)一般式(1)で表される光重合性化合物と、(b’)その他の光重合性化合物とを含む場合には、上記(b)成分と上記(b’)成分との配合割合は、重量比(b)/(b’)で15/85以上100/0以下が好ましく、50/50以上100/0以下がより好ましい。この範囲とすることで、上記一般式(1)で表される光重合性化合物による上記効果を十分に得ることができる。
[(c)成分]
(c)成分は、光重合開始剤である。(c)成分を含むことにより、放射線(例えば紫外線)が照射された部分の反応が十分に進行し、現像時の硬化した部分の溶解性を低下させて所望する微細なパターンを形成することができる。
光重合開始剤としては、重合性不飽和結合を有し付加重合可能な化合物の重合を開始させうる化合物であれば、特に限定されるものではない。光重合開始剤の例には、アセトフェノン化合物、トリアジン化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、チオキサントン化合物、イミダゾール化合物、オキシムエステル化合物などが含まれる。なお、本発明でいう光重合開始剤は増感剤を含む意味で使用される。
アセトフェノン化合物の例には、アセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルチオフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(1-メチルビニル)フェニル〕プロパン-1-オンのオリゴマーなどが含まれる。
トリアジン化合物の例には、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-クロロフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(3,4,5-トリメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メチルチオスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(ピプロニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジンなどが挙げられる。
ベンゾイン化合物の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン-tert-ブチルエーテルなどが含まれる。
ベンゾフェノン化合物の例には、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4,4‘-ビス(N,N-ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどが含まれる。
チオキサントン化合物の例には、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントンなどが含まれる。
イミダゾール化合物の例には、2-(o-クロロフェニル)-4,5-フェニルイミダゾール2量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5-トリアリールイミダゾール2量体などが含まれる。
オキシムエステル化合物の例には、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-ビシクロヘプチル-1-オンオキシム-O-アセテート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-アダマンチルメタン-1-オンオキシム-O-ベンゾアート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-アダマンチルメタン-1-オンオキシム-O-アセテート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-テトラヒドロフラニルメタン-1-オンオキシム-O-ベンゾアート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-テトラヒドロフラニルメタン-1-オンオキシム-O-アセテート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-チオフェニルメタン-1-オンオキシム-O-ベンゾアート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-チオフェニルメタン-1-オンオキシム-O-アセテート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-モロフォニルメタン-1-オンオキシム-O-ベンゾアート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-モロフォニルメタン-1-オンオキシム-O-アセテート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタン-1-オンオキシム-O-ビシクロヘプタンカルボキシレート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタン-1-オンオキシム-O-トリシクロデカンカルボシキレート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタン-1-オンオキシム-O-アダマンタンカルボシキレート、1-[4-(フェニルスルファニル)フェニル]オクタン-1,2-ジオン=2-o-ベンゾイルオキシム、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)カルバゾール-3-イル]エタノン-o-アセチルオキシム、(2-メチルフェニル)(7-ニトロ-9,9-ジプロピル-9H-フルオレン-2-イル)-アセチルオキシム、エタノン,1-[7-(2-メチルベンゾイル)-9,9-ジプロピル-9H-フルオレン-2-イル]-1-(o-アセチルオキシム)、エタノン,1-(-9,9-ジブチル-7-ニトロ-9H-フルオレン-2-イル)-1-o-アセチルオキシム、1,2-オクタンジエン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-ベンゾアート、1-(4-メチルスルファニルフェニル)ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-アセテート、1-(4-メチルスルファニルフェニル)ブタン-1-オンオキシム-O-アセテート、4-エトキシ-2-メチルフェニル-9-エチル-6-ニトロ-9H-カルバゾロ-3-イル-O-アセチルオキシムなどが含まれる。上記光重合開始剤は、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
とくに、高濃度の遮光剤を含む感光性樹脂組成物とする場合には、O-アシルオキシム系化合物類(ケトオキシムを含む)を用いることが好ましい。具体的化合物群の例には、一般式(5)または一般式(6)で表されるO-アシルオキシム系光重合開始剤が含まれる。これら化合物群の中で、遮光剤を高顔料濃度で用いる場合および遮光膜パターンを形成する場合には、365nmにおけるモル吸光係数が10000L/mol・cm以上であるO-アシルオキシム系光重合開始剤を用いることが好ましい。
Figure 2022163462000005
式(5)中、R21、R22は、それぞれ独立に、C1~C15のアルキル基、C6~C18のアリール基、C7~C20のアリールアルキル基またはC4~C12の複素環基であり、R23はC1~C15のアルキル基、C6~C18のアリール基またはC7~C20のアリールアルキル基である。ここで、アルキル基およびアリール基はC1~C10のアルキル基、C1~C10のアルコキシ基、C1~C10のアルカノイル基、ハロゲンで置換されていてもよく、アルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合を含んでいてもよい。また、アルキル基は直鎖、分岐または環状のいずれのアルキル基であってもよい。
Figure 2022163462000006
式(6)中、R24およびR25は、それぞれ独立に、炭素数1~10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であるか、炭素数4~10のシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基もしくはアルキルシクロアルキル基であるか、または炭素数1~6のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基である。R26は独立して炭素数2~10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基またはアルケニル基であり、当該アルキル基またはアルケニル基中の-CH-基の一部が-O-基で置換されていてもよい。さらに、これらR24~R26の基中の水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい。
(c)成分としては、活性ラジカル発生剤または酸発生剤を使用してもよい。
活性ラジカル発生剤の例には、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、10-ブチル-2-クロロアクリドン、2-エチルアントラキノン、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物などが含まれる。
酸発生剤の例には、4-ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp-トルエンスルホナート、4-ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4-アセトキシフェニルジメチルスルホニウムp-トルエンスルホナート、4-アセトキシフェニル・メチル・ベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムp-トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのオニウム塩類、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類などが含まれる。
また、それ自体では光重合開始剤や増感剤として作用しないが、上述の化合物と組み合わせて用いることにより、光重合開始剤や増感剤の能力を増大させ得るような化合物を添加してもよい。そのような化合物の例には、ベンゾフェノンと組みわせて使用すると効果のあるアミン系化合物が含まれる。上記アミン系化合物の例には、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノンなどが含まれる。
(c)成分の含有量は(a)成分と((b)+(b’))成分の合計100質量部に対して、3質量部以上30質量部以下であることが好ましく、4質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。(c)成分の含有量が3質量部以上であると、適度な光重合の速度を有するので、十分な感度を担保できる。また、(c)成分の含有量が30質量部以下であると、マスクに対して忠実な線幅を再現できるとともにパターンエッジをシャープにすることができる。
[(d)成分]
(d)成分は、遮光剤である。(d)成分を含むことにより、カラーフィルターの遮光性を十分に得ることができる。
本実施の形態に係る(d)成分である遮光剤としては、黒色顔料、混色有機顔料を用いることができる。
黒色顔料の例には、ペリレンブラック、シアニンブラック、アニリンブラック、ラクタムブラック、カーボンブラック、チタンブラック、酸化クロム、酸化鉄などが含まれる。
混色有機顔料の例には、アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾメチン顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ジオキサジン顔料、スレン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料、チオインジゴ顔料などの有機顔料から選択される少なくとも2色を混合して、擬似黒色化されたものが含まれる。
上記(d)成分は、目的とする感光性樹脂組成物の機能に応じて、その1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
なお、(d)成分として混色有機顔料を用いる場合に使用可能な有機顔料の例には、カラーインデックス名で以下のナンバーのものが含まれるが、これに限定されない。
ピグメント・レッド2、3、4、5、9、12、14、22、23、31、38、112、122、144、146、147、149、166、168、170、175、176、177、178、179、184、185、187、188、202、207、208、209、210、213、214、220、221、242、247、253、254、255、256、257、262、264、266、272、279等
ピグメント・オレンジ5、13、16、34、36、38、43、61、62、64、67、68、71、72、73、74、81等
ピグメント・イエロー1、3、12、13、14、16、17、55、73、74、81、83、93、95、97、109、110、111、117、120、126、127、128、129、130、136、138、139、150、151、153、154、155、173、174、175、176、180、181、183、185、191、194、199、213、214等
ピグメント・グリーン7、36、58等
ピグメント・ブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、60、80等
ピグメント・バイオレット19、23、37等
上記遮光剤の中では、黒色顔料であるカーボンブラックが遮光性、表面平滑性、分散安定性、樹脂との相溶性が良好な点で好ましい。
(d)成分の配合割合については、所望の遮光度によって任意に決めることができるが、感光性樹脂組成物中の固形分に対して30質量%以上60質量%以下が好ましく、40質量%以上60質量%以下がより好ましく、45質量%以上60質量%以下がさらに好ましい。遮光剤が、感光性樹脂組成物中の固形分に対して30質量%以上であると、遮光性を十分に得ることができる。遮光剤が60質量%以下であると、十分な量の感光性樹脂を含むため、所望する現像特性および膜形成能を得ることができる。
上記(d)成分は分散媒に分散させた遮光成分分散体として他の配合成分と混合するのが通常であり、その際には分散剤を添加することができる。分散剤は、顔料(遮光成分)分散に用いられている公知の化合物(分散剤、分散湿潤剤、分散促進剤等の名称で市販されている化合物等)等を特に制限なく使用することができる。
分散媒の例には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3メトキシブチルアセテート等が含まれる。
分散剤の例には、カチオン性高分子系分散剤、アニオン性高分子系分散剤、ノニオン性高分子系分散剤、顔料誘導体型分散剤(分散助剤)が含まれる。とくに、上記分散剤は、着色剤への吸着点としてイミダゾリル基、ピロリル基、ピリジル基、一級、二級または三級のアミノ基等のカチオン性の官能基を有し、アミン価が1mgKOH/g以上100mgKOH/g以下、数平均分子量(Mn)が1000以上100000以下の範囲にあるカチオン性高分子系分散剤であることが好ましい。この分散剤の配合量は、遮光成分に対して1質量%以上35質量%以下が好ましく、2質量%以上25質量%以下がより好ましい。なお、樹脂類のような高粘度物質は、一般に分散を安定させる作用を有するが、分散促進能を有しないものは分散剤として扱わない。しかし、分散を安定させる目的で使用することを制限するものではない。
[(e)成分]
(e)成分は、溶剤である。(e)成分を含むことにより、上述の(a)~(d)成分を含む液体状の感光性樹脂組成物を得ることができる。
(e)成分の例には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α-もしくはβ-テルピネオール等のテルペン類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N-メチル-2-ピロリドン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類などが含まれる。(e)成分は、その1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
(e)成分の含有量は、目標とする粘度によって変化するが、感光性樹脂組成物の全質量に対して70質量%以上90質量%以下が好ましい。(e)成分の含有量が、70質量%以上であると、基板上に感光性樹脂組成物を塗布しやすい粘度とすることができ、90質量%以下であると、基板上に感光性樹脂組成物を塗布した後の乾燥に要する時間を短縮することができる。
[界面活性剤]
本発明に係るブラックレジスト用感光性樹脂組成物は、遮光膜の平滑性やベナードセルを抑制する観点から、界面活性剤を含んでもよい。
界面活性剤の例には、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどの陰イオン界面活性剤、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどの陽イオン界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ソルビタンモノステアレートなどの非イオン界面活性剤、ポリジメチルシロキサンなどを主骨格とするシリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが含まれる。上記界面活性剤は、その1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
界面活性剤の含有量は、固形分の全質量に対して、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上1質量%以下がより好ましい。界面活性剤の含有量を(a)成分の全質量に対して、0.001質量%以上であると、遮光膜の所望する平滑性やベナードセルを抑制できる。5質量%以下であると、良好な塗膜物性を得ることができる。
[カップリング剤]
本発明に係るブラックレジスト用感光性樹脂組成物は、ガラス表面と硬化膜との間の化学結合による密着性を向上させる観点から、シランカップリング剤を含んでもよい。
シランカップリング剤としては、反応基として、アミノ基、イソシアネート基、ウレイド基、エポキシ基、ビニル基、(メタ)アクリル基、メルカプト基等を有するものが好ましく、エポキシ基、イソシアネート基、メタクリル基を有するものがより好ましい。上記カップリング剤の具体例には、3-(グリシジルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が含まれる。
シランカップリング剤の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分に対して、0.3質量%以上2質量%以下が好ましく、0.7質量%以上1.4質量%以下がより好ましい。シランカップリング剤の含有量が、0.3質量%以上であると、ガラス基板と硬化膜との間で十分な密着性を得ることができる。シランカップリング剤の含有量が2質量%以下であると、凝集異物の発生を抑制できる。
[その他の成分]
本発明に係るブラックレジスト用感光性樹脂組成物には、必要に応じて、その他の樹脂成分、硬化剤、硬化促進剤、熱重合禁止剤および酸化防止剤、可塑剤、充填剤、レベリング剤、消泡剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等の添加剤を配合することができる。
その他の樹脂成分の例には、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等が含まれる。
エポキシ樹脂の例には、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物、ビスナフトールフルオレン型エポキシ化合物、ジフェニルフルオレン型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、フェノールアラルキル型エポキシ化合物、ナフタレン骨格を含むフェノールノボラック化合物(例えば、NC-7000L:日本化薬株式会社製)、ビフェニル型エポキシ化合物(例えば、jERYX4000:三菱ケミカル株式会社製、「jER」は同社の登録商標)、ナフトールアラルキル型エポキシ化合物、トリスフェノールメタン型エポキシ化合物(例えば、EPPN-501H:日本化薬株式会社製)、テトラキスフェノールエタン型エポキシ化合物、多価アルコールのグリシジルエーテル、多価カルボン酸のグリシジルエステル、メタクリル酸とメタクリル酸グリシジルの共重合体に代表される(メタ)アクリル酸グリシジルをユニットとして含む(メタ)アクリロイル基を有するモノマーの共重合体、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(例えば、リカレジンHBE-100:新日本理化株式会社製、「リカレジン」は同社の登録商標)などのグリシジル基を有するエポキシ化合物、1,4-シクロヘキサンジメタノール-ビス3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-5,1-スピロ(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-m-ジオキサン(例えば、アラルダイトCY175:ハンツマン社製、「アラルダイト」は同社の登録商標)、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート(例えば、CYRACURE UVR-6128:ダウ・ケミカル社製)、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(例えば、セロキサイド2021P:株式会社ダイセル製、「セロキサイド」は同社の登録商標)、ブタンテトラカルボン酸テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)修飾ε-カプロラクトン(例えば、エポリードGT401:株式会社ダイセル製、「エポリード」は同社の登録商標)、エポキシシクロヘキシル基を有するエポキシ化合物(例えば、HiREM-1:四国化成工業株式会社製)、ジシクロペンタジエン骨格を有する多官能エポキシ化合物(例えば、HP7200シリーズ:DIC株式会社製)、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物(例えば、EHPE3150:株式会社ダイセル製)などの脂環式エポキシ化合物、エポキシ化ポリブタジエン(例えば、NISSO-PB・JP-100:日本曹達株式会社製、「NISSO-PB」は同社の登録商標))、シリコーン骨格を有するエポキシ化合物等が含まれる。
硬化剤の例には、エポキシ樹脂の硬化に寄与するアミン系化合物、多価カルボン酸系化合物、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ジシアンジアミド、ルイス酸錯化合物等が含まれる。
硬化促進剤の例には、エポキシ樹脂の硬化促進に寄与する三級アミン、四級アンモニウム塩、三級ホスフィン、四級ホスホニウム塩、ホウ酸エステル、ルイス酸、有機金属化合物、イミダゾール類等が含まれる。
熱重合禁止剤および酸化防止剤の例には、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、フェノチアジン、ヒンダードフェノール系化合物等が含まれる。
可塑剤の例には、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、リン酸トリクレジル等が含まれる。充填剤の例には、ガラスファイバー、シリカ、マイカ、アルミナ等が含まれる。
レベリング剤や消泡剤の例には、シリコーン系、フッ素系、アクリル系の化合物が含まれる。
本発明のブラックレジスト用感光性樹脂組成物は、上述の(a)~(e)成分、および任意成分である(b’)成分を、混合することにより得ることができる。
本発明のブラックマトリックス用感光性樹脂組成物は、溶剤を除いた固形分(固形分には硬化後に固形分となるモノマーを含む)中に、上記(a)~(d)成分、および任意成分である(b’)成分を合計で80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことが望ましい。
本発明におけるブラックレジスト用感光性樹脂組成物は、PCT後においてもガラス基板との密着性が良好であり、露光感度が高く、パターンの直線性、体積抵抗率、遮光度に優れ、かつ、良好な断面形状を有する遮光膜を形成できる。
2.カラーフィルター遮光膜の製造方法
カラーフィルター遮光膜の製造方法について、以下に説明する。
本発明に係るカラーフィルター遮光膜の製造方法は、(1)上述のブラックレジスト用感光性樹脂組成物を、透明基板上に塗布し、乾燥させて、上記ブラックレジスト用感光性樹脂組成物の塗膜を形成する塗膜形成工程と、(2)上記塗膜の一部にフォトマスクを介して放射線を照射する露光工程と、(3)放射線を照射された塗膜を現像し、未露光部分を除去する現像工程と、(4)現像後の塗膜を加熱硬化する加熱硬化工程と、を含む。以下、各工程について説明する。
[塗膜形成工程]
塗膜形成工程は、上述のブラックレジスト用感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、乾燥させて、塗膜を形成する工程である。
上記基材は、公知のものを用いることができる。基材の例には、ガラス基板、シリコンウエハ、およびプラスチック基板(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド等)等の上にITOや金などの透明電極が蒸着あるいはパターニングされたものなどが含まれる。
感光性樹脂組成物の塗布方法は、公知の塗布方法を用いることができる。上記塗布方法の例には、公知の溶液浸漬法、スプレー法、ローラーコート機、ランドコート機、スリットコート機やスピナー機を用いる方法などが含まれる。これらの方法によって、上記感光性樹脂組成物を所望の厚さに塗布することができる。
上述の方法で塗布された感光性樹脂組成物の乾燥方法は、公知の乾燥方法を用いることができる。上記乾燥方法は、オーブン、熱風送風機、ホットプレート、赤外線ヒータ等による加熱、真空乾燥またはこれらを組み合わせることによって行うことができる。上記樹脂膜の加熱温度および加熱時間は使用する溶剤に応じて適宜選択することができる。上記加熱温度および加熱時間は、使用する溶剤に応じて適宜選択でき、例えば、60~110℃で、1~5分間行われることが好ましい。
[露光工程]
露光工程は、上述の塗膜層の一部にフォトマスクを介して放射線を照射し、上記塗膜(感光性樹脂組成物)のパターンに対応した部分を光硬化させる工程である。
上記フォトマスクは公知のものを用いることができる。フォトマスクの例には、ハーフトーンマスク、グレートーンマスク等の多階調マスクが含まれる。グレートーンマスクは、透光性を有する基板上に、遮光部および回折格子が形成される。回折格子はスリット、ドット、メッシュ等の光透過領域の間隔が、露光に用いる光の解像度限界以下の間隔であり、当該構成により、光の透過率を制御する。ハーフトーンマスクは、透光性を有する基板上に、遮光部および半透過部が形成される。半透過部により露光に用いる光の透過率を制御する。
露光工程における、露光装置およびその露光照射条件は適宜選択できる。照射される放射線の例には、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線およびX線などが含まれる。上記放射線の中では、紫外線であることが好ましい。また、放射線を照射する装置には、公知の露光装置(超高圧水銀灯、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、遠紫外線灯等)を用いることができる。また、照射する放射線の波長は250nm以上400nm以下であることが好ましい。放射線の露光量は、25mJ/cm以上3000mJ/cm以下であることが好ましい。
[現像工程]
現像工程は、放射線が照射された塗膜をアルカリ現像し、未露光部の塗膜を除去する工程である。
塗膜の現像方法の例には、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、およびパドル(液盛り)現像法などが含まれる。なお、上記現像方法は、市販の現像機や超音波洗浄機等を用いて行うことができる。
また、現像に適した現像液の例には、アルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩の水溶液、アルカリ金属の水酸化物の水溶液等が含まれる。これらの中では、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等の炭酸塩を0.05~3質量%含有する弱アルカリ性水溶液を用いて23~28℃の温度で行うことが好ましい。なお、現像工程では、市販の現像機や超音波洗浄機等を用いることができる。
[加熱硬化工程]
加熱硬化工程は、現像後の露光部(塗膜)を熱処理して、本硬化(ポストベーク)する工程である。
現像後の露光部(塗膜)を加熱する方法は、公知の方法(オーブン、熱風送風機、ホットプレート、赤外線ヒータ等による加熱、真空乾燥またはこれらの組み合わせ)よって行うことができる。加熱温度は、塗膜が本硬化(ポストベーク)する温度であれば特に制限されない。加熱温度は、180~250℃の温度で20~60分間行われることが好ましい。
本発明のカラーフィルター遮光膜の製造方法は、良好な現像性を有する、本発明のブラックレジスト用感光性樹脂組成物を用いるので、現像工程に要する時間が短縮できる。
3.遮光膜
本発明の遮光膜は、上述のブラックマトリックス用感光性樹脂組成物を硬化してなる。本発明の遮光膜は、液晶パネルの高遮光化が可能となる。また、狭額縁の液晶ディスプレイへの適用も可能である。
以下、実施例および比較例に基づいて、本発明の実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
先ず、本発明の(a)成分であるアルカリ可溶性樹脂の合成例から説明するが、合成例における樹脂の評価は、断りのない限り以下の通りに行った。
なお、各種測定機器について、同一の機種を使用した場合には、2か所目から機器メーカー名を省略している。また、実施例において、測定用硬化膜付き基板の作製に使用しているガラス基板は、全て同じ処理を施して使用している。また、各成分の含有量について、小数第一位が0であるときは、小数点以下の表記を省略することがある。
[固形分濃度]
固形分濃度は、合成例中で得られた樹脂溶液1gをガラスフィルター〔重量:W(g)〕に含浸させた重量〔W(g)〕、および160℃にて2時間加熱した後の重量〔W(g)〕を用いて次式より求めた。
固形分濃度(重量%)=100×(W-W)/(W-W
[酸価]
酸価は、樹脂溶液をジオキサンに溶解させ、電位差滴定装置「COM-1600」(平沼産業株式会社製)を用いて1/10N-KOH水溶液で滴定して求めた。
[分子量]
分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)「HLC-8220GPC」(東ソー株式会社製、溶媒:テトラヒドロフラン、カラム:TSKgelSuper H-2000(2本)+TSKgelSuper H-3000(1本)+TSKgelSuper H-4000(1本)+TSKgelSuper H-5000(1本)(東ソー株式会社製)、温度:40℃、速度:0.6ml/min)にて測定し、標準ポリスチレン(東ソー株式会社製、PS-オリゴマーキット)換算値として重量平均分子量(Mw)を求めた。
[アクリル当量]
アクリル当量は、分子量をアクリル官能基数で割ることにより求めた。
合成例で使用する略号は次のとおりである。
BPFE :ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(一般式(2)の化合物に示されるWがフルオレン-9,9-ジイル基であり、RおよびRが水素であり、nは0~0.15であるエポキシ化合物)
AA :アクリル酸
BPDA :3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
THPA :1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物
TEAB :臭化テトラエチルアンモニウム
PGMEA :プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
[合成例1]
還留冷却器付き500mLの四つ口フラスコ中に、BPFE(114.4g、0.23モル)、AA(33.2g、0.46モル)、PGMEA(157g)およびTEAB(0.48g)を仕込み、100~105℃で20時間撹拌して反応させた。次いで、フラスコ内にBPDA(35.3g、0.12モル)、THPA(18.3g、0.12モル)を仕込み、120~125℃で6時間撹拌し、アルカリ可溶性樹脂溶液(a)を得た。樹脂溶液の固形分濃度は56.5質量%であり、酸価(固形分換算)は103mgKOH/gであり、GPC分析によるMwは3600であった。
[合成例2]
(その他の光重合性化合物)
1Lの4つ口フラスコ内に、PTMA(20g、メルカプト基0.19モル))、DPHA(212g(アクリル基2.12モル))、PGMEA(58g)、HQ(0.1g)、およびBzDMA(0.01g)を加え、60℃で12時間反応させて、樹枝状ポリマー溶液(b’)-2を得た。樹枝状ポリマー溶液の固形分濃度は80質量%であり、GPC分析によるMwは10000であった。なお、得られた樹枝状ポリマーについては、ヨードメトリー法にてメルカプト基の消失を確認した。
表1に記載の配合量(単位は質量%)で実施例1~9、比較例1、2のブラックレジスト用感光性樹脂組成物を調製した。表1中で使用した配合成分は以下のとおりである。なお、表1中の(a)~(d)、(b’)と分散剤の配合量は、固形分のみの量を表す。
(アルカリ可溶性樹脂)
(a):上記合成例1で得られた樹脂
(光重合性化合物)
(b)-1:エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPEA-12、アクリル当量185g/eq、分子量1107)
(b)-2:ジペンタエリスリトールヘキサカプロラクトンヘキサアクリレート(KAYARAD DPCA-60、アクリル当量211g/eq、分子量1263)
(b)-3:ジペンタエリスリトールポリカプロラクトンヘキサアクリレート(KAYARAD DPCA-120、アクリル当量325g/eq、分子量1948)
なお、(b)-1~3の光重合性化合物は、いずれも日本化薬株式会社製であり、「KAYARAD」は同社の登録商標である。
(その他の光重合性化合物)
(b’)-1:ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレート混合物(KAYARAD DPHA、アクリル当量97g/eq、分子量578、日本化薬株式会社製、「KAYARAD」は同社の登録商標)
(b’)-2:上記合成例2で得られた樹脂状ポリマー
(光重合開始剤)
(c):Irgacure OXE02(BASFジャパン株式会社製、「Irgacure」は同社の登録商標)
(遮光成分)
(d):カーボンブラックおよび高分子分散剤
(溶剤)
(e)-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(e)-2:ジエチレングリコールジメチルエーテル
(e)-3:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル
Figure 2022163462000007
[評価]
(密着強度評価用の硬化膜(塗膜)付き基板の作製)
表1に示したブラックレジスト用感光性樹脂組成物を、125mm×125mmのガラス基板「#1737」(コーニング社製)(以下「ガラス基板」という)上に、加熱硬化処理後の膜厚が1.1μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて90℃で1分間プリベークをして硬膜(塗膜)を作製した。次いで、ネガ型フォトマスクを用いずに、i線照度30mW/cmの超高圧水銀ランプで、100mJ/cmの紫外線を照射して光硬化反応を行った。露光後の硬化膜(塗膜)を、熱風乾燥機を用いて230℃で、30分間本硬化(ポストベーク)し、密着強度評価用の硬化膜(塗膜)付き基板を得た。
[密着強度(シール強度)評価]
(評価方法)
JIS K6856-1994の3点折り曲げ密着試験方法に準じて行った。
具体的には、上記硬化膜(塗膜)付き基板、および表1に示した感光性樹脂組成物を塗布してないガラス基板(以下、「塗膜なし基板」ともいう)を、それぞれ20mm×63mmの短冊状に切断し、試験片を用意した。次いで、上記硬化膜(塗膜)付き基板と上記塗膜なし基板とを一定の量のシール剤を介して重ね合わせ、幅が8mmになるように、双方の基板(試験片)を貼りあわせた。重ね合わせたときのシール剤の形状は、直径が約5mmの円形状である。その後、重ね合わせた試験片を90℃で、20分間プリベークし、続いて、150℃で2時間ポストベークし、三点折り曲げ試験片を作製した。その後、100%RH、2atm、121℃、5時間の条件下においてプレッシャー・クッカーテスト(PCT)を行った。
三点折り曲げ試験は、次のように実施する。上記で得られた試験片を、重ね合わせ部位が中心となるよう、2点の支持体で支え(2点の支持体間の距離は3cm)、重ね合わせ部の真上から真下に向かって、引張試験機「テンシロンUCT-100」(株式会社オリエンテック製)を用いて1mm/分の速度で加重をかけていき、剥離面の観察とそのときの加重を読み取り、その値をシール剤の塗布面積で割り、単位面積当たりの加重を密着強度とした。
(評価基準)
◎:PCT後の密着強度が30kgf/cm以上である
○:PCT後の密着強度が10kgf/cm以上30kgf/cm未満である
×:PCT後の密着強度が10kgf/cm未満である
(パターン線幅、パターン直線性、テーパー角評価用の硬化膜(塗膜)付き基板の作製)
表1に示されるブラックレジスト用感光性樹脂組成物を、125mm×125mmのガラス基板上に、加熱硬化処理後の膜厚が1.1μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、90℃で1分間プリベークした。その後、露光ギャップを100μmに調整し、乾燥塗膜の上に、10μmストライプのネガ型フォトマスクを被せ、超高圧水銀ランプ(波長365nm、i線照度30mW/cm)で100mJ/cmの紫外線を照射して、感光部分の光硬化反応(露光)を行った。
次に、露光した上記硬化膜(塗膜)を23℃、0.05%水酸化カリウム水溶液中、1kgf/cmのシャワー圧にて、溶解時間+20秒間の現像処理を行った後、5kgf/cmのスプレー水洗を行い、現像後の硬化膜(塗膜)を、熱風乾燥機を用いて230℃、30分間本硬化(ポストベーク)し、パターン線幅、パターン直線性、およびテーパー角評価用の硬化膜(塗膜)付き基板を得た。
[溶解時間]
(評価方法)
上記条件で現像基板の状態を確認しながら現像し、膜の溶解時間[s]を測定した。黒色膜の未露光部のガラス基板が露出した時点を溶解時間とした。
(評価基準)
〇:溶解時間が25秒未満である
△:溶解時間が25秒以上40秒未満である
×:溶解時間が40秒以上である
[パターン線幅評価]
(評価方法)
本硬化(ポストベーク)後の測長顕微鏡「XD-20」(株式会社ニコン製)を用いてマスク幅10μmのパターン線幅[μm]を測定した。
(評価基準)
○:パターン線幅が10μm以上である
△:パターン線幅が8μm以上10μm未満である
×:パターン線幅が8μm未満である
[パターン直線性評価]
(評価方法)
本硬化(ポストベーク)の10μmマスクパターンを、光学顕微鏡を用いて観察した。
(評価基準)
〇:パターンエッジ部分のギザつきが認められない
△:パターンエッジ部分のギザつきがわずかに認められる
×:パターンエッジ部分のギザつきが認められる
[テーパー角]
(評価方法)
走査電子顕微鏡(SEM)「VE-7800」((株)キーエンス製)を用いてマスク幅10μmのテーパー角度[°]を測定した。
(評価基準)
○:テーパー角度が55°以上である
△:テーパー角度が30°以上55°未満である
×:テーパー角度が30°未満である
[体積抵抗率]
(評価方法)
スピンコーターを用いて100mm×100mmのクロム蒸着基板(テクノプリント株式会社製)上にポストベーク後の膜厚が3.0μmとなるようにブラックレジスト用感光性樹脂組成物を塗布し、90℃で1分間プリベークした。その後、ネガ型フォトマスクを用いずに100mJ/cmでベタ露光し、熱風乾燥機を用いて230℃、180分間ポストベークした。ポストベーク後の基板にアルミ端子を取り付け、硬化膜(塗膜)の体積抵抗率[Ω・cm]を体積抵抗率計「6517A」(株式会社ケースレーインスツルメンツ製)で、を測定した。
(評価基準)
○:印加電圧10Vの時の体積抵抗率が12乗以上(1.0×10^12Ω・cm)である
×:印加電圧10Vの時の体積抵抗率が12乗未満(1.0×10^12Ω・cm)である
上記評価結果を表2に示す。
Figure 2022163462000008
実施例1~9の感光性樹脂組成物から得られた遮光膜(塗膜)は、PCT後の密着強度の評価結果が良好であった。とくに、ラクトン基を有する光重合性化合物を含む、実施例2~9の感光性樹脂組成物の密着強度の評価結果が極めて良好であった。密着性が向上した理由は、上述したように、エチレンオキサイド基およびラクトン基は、単結合の酸素原子を含むため塗膜に柔軟性が付与され、熱硬化収縮時に生じる塗膜の内部応力が緩和されるためだと考えられる。また、ラクトン基は、アルキレンオキサイド基よりも炭素原子が連続している部位の長さを長くできるので、親水性をより低くして、塗膜中に水分が浸透しにくくすることができるためであると考えられる。
また、実施例1~9の感光性樹脂組成物では、パターン直線性、溶解時間、テーパー角、体積抵抗率についても良好な結果が得られた。パターン直線性が向上した理由は、(b)成分の光重合性化合物のアクリル当量は、アルキレンオキサイド基またはラクトン基を有しない化合物と比較して大きいものの、分子鎖が長く、多官能アクリレートモノマーであるため、露光に対する感度が高いためだと考えられる。また、溶解時間が向上した理由は、上記光重合性化合物の分子量が比較的大きいにもかかわらず、エステル、エーテル等の親水性官能基を多く含むため、アルカリ現像液に対する溶解性が向上したためであると考えられる。また、テーパー角が大きくなる理由は、上記光重合性化合物の分子量が比較的大きいため、ポストベーク時に熱だれを起こしにくいためであると考えられる。また、体積抵抗率が向上した理由は、アルキレンオキサイド基またはラクトン基を有しない光重合性化合物と比較して架橋密度が小さいため、ベーク時の収縮が小さくなるためであると考えられる。
上記実施例1~9の感光性樹脂組成物を用いて形成したブラックマトリックスを有するカラーフィルターを用いて液晶パネルを作製したところ、厳しい条件下でもブラックマトリックスの剥がれがほぼ無く、液晶のもれも防止できた。また、パターン特性(パターン直線性等)を犠牲にすることもなく、高テーパー角の上記感光性樹脂組成物を硬化してなる遮光膜が得られた。さらに、製造においては、現像時間が短縮されるというプラスの効果が得られた。そのため、高遮光率や狭接着面積のブラックマトリックスを作製する場合でも、ガラス基板からの塗膜の剥離が少なくなり、高い生産性(歩留り)および信頼性を確保できる。
本発明のブラックレジスト用感光性樹脂組成物は、PCT後においてもガラス基板との密着性が高く、かつ、露光感度が高く、パターン直線性、体積抵抗率、遮光度に優れ、かつ良好な断面形状を有する遮光膜を形成できるブラックレジスト用感光性樹脂組成物を提供することができ、また、本発明のブラックレジスト用感光性樹脂組成物を用いることにより、現像工程に要する時間を短縮できる。本発明のブラックレジスト用感光性樹脂組成物は、狭い接着面積でも必要な密着強度が得られるため、ディスプレイの額縁面積を狭くすることができる。これにより、デバイスの意匠性、小型化に貢献する。

Claims (8)

  1. (a)アルカリ可溶性樹脂と、
    (b)アルキレンオキサイド基またはラクトンが開環した構造を有する基と、少なくとも2個のエチレン性不飽和結合とを有する光重合性化合物と、
    (c)光重合開始剤と、
    (d)遮光剤と、
    (e)溶剤と、
    を含む、ブラックレジスト用感光性樹脂組成物であって、
    前記(b)成分は、アクリル当量が90g/eq以上400g/eq以下であり、分子量が200以上5000以下である、ブラックレジスト用感光性樹脂組成物。
  2. 前記(b)成分は、下記一般式(1)で表される構造を有する、請求項1に記載のブラックレジスト用感光性樹脂組成物。
    Figure 2022163462000009
    (式(1)中、Yは、独立して炭素数が2以上6以下のアルキレンオキサイド基または炭素数が2以上6以下のラクトンが開環した構造(-C(=O)-(CH-O-)を有する基であり、Zは、置換または非置換の1~4価の炭化水素基、-O-および-S-からなる群から選択される基である。R1~Rは、独立して(メタ)アクリロイル基およびヒドロキシ基からなる群から選択される基であり、R1~Rの少なくとも2つは(メタ)アクリロイル基である。a~eは独立して0~6の整数であり、ただしa~eのうち少なくとも1つは1~6の整数であり、lは独立に0または1であり、mはZの価数と同じ1~4の整数であり、kは1~5の整数である。ただし、(b)成分として複数の一般式(1)で表される光重合性化合物を含む場合、それぞれの前記光重合性化合物は同一であっても異なっていてもよい。)
  3. 前記一般式(1)において、Yは、独立して炭素数が2以上6以下のアルキレンオキサイド基または炭素数4以上6以下のラクトンが開環した構造を有する基であり、Zは、置換または非置換の2価の炭化水素基、-O-および-S-からなる群から選択される基であり、a~eは独立して1~2の整数であり、R~Rは、すべて(メタ)アクリロイル基であり、lは0である、請求項2に記載のブラックレジスト用感光性樹脂組成物。
  4. 前記一般式(1)において、Yのうち少なくとも1つは、炭素数が6のラクトンが開環した構造を有する基である、請求項2または請求項3に記載のブラックレジスト用感光性樹脂組成物。
  5. 前記(a)成分は、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応物を、さらに多塩基酸カルボン酸またはその無水物と反応させて得られる重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂である、請求項1~4のいずれか1項に記載のブラックレジスト用感光性樹脂組成物。
  6. 前記(c)成分は、オキシムエステル化合物である、請求項1~5のいずれか一項に記載のブラックレジスト用感光性樹脂組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載のブラックレジスト用感光性樹脂組成物を硬化してなる遮光膜。
  8. 請求項1~6のいずれか一項に記載のブラックレジスト用感光性樹脂組成物を、透明基板上に塗布し、乾燥させて、前記ブラックレジスト用感光性樹脂組成物の塗膜を形成する塗膜形成工程と、
    前記塗膜の一部にフォトマスクを介して放射線を照射する露光工程と、
    前記放射線を照射された塗膜を現像し、未露光部分を除去する現像工程と、
    前記現像後の塗膜を加熱硬化する加熱硬化工程と、
    を含む、カラーフィルター遮光膜の製造方法。
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