JP2023024297A - 情報表示装置用硬化膜、透明硬化膜用組成物および情報表示装置 - Google Patents

情報表示装置用硬化膜、透明硬化膜用組成物および情報表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高遮光と低反射を同時に満たす情報表示装置用硬化膜を提供すること。【解決手段】着色硬化膜と、透明硬化膜と、を含む、情報表示装置用硬化膜。前記着色硬化膜は、膜厚1μm当たりの光学濃度(OD)が0.1μm―1以上5μm―1以下、屈折率n1が1.30以上2.00以下、かつ、膜厚が0.5μm以上50μm以下であり、前記透明硬化膜は、膜厚が20nm以上250nm以下であり、前記透明硬化膜の屈折率をn2とすると、n2が1.00より大きくかつn1/n2が1.00より大きく2.00未満であることを満たす。【選択図】なし

Description

本発明は、情報表示装置用硬化膜、透明硬化膜用組成物および情報表示装置に関する。
有機ELパネルには、外光反射の抑制を目的として、円偏光板が用いられている。外光反射を低減することで、明るい室内や野外でのコントラスト比低下を抑制できる。一方で、円偏光板は有機ELの発光の約半分を吸収してしまうため、発光効率の観点からは好ましくない。そのため、円偏光板を、ブラック(BK)レジストで区分けされた各色のカラーフィルター(CF)に置き換える動きがあり、これにより発光効率を向上させることができる。発光効率の改善は発光体の寿命にも大きく影響する。また、円偏光板に対してCFは厚みも小さく、デバイスの薄型化とフレキシブル化にも貢献する。円偏光板をCFで代替するにはCFに十分な外光反射防止性能が求められ、また、光を透過・吸収しないために反射しやすいBKレジストにも低反射化が求められている。
例えば、特許文献1には、X線光電子分光法(XPS)による表面元素組成分析において、Si元素含有割合を7.0atm%以上とすることで、着色硬化膜表面側の反射率が低い着色硬化膜(BKレジスト)が得られることが開示されている。
特開2018-141849号公報
特許文献1に記載のように、1層のシリカ含有BKレジストで膜面低反射を実現しようとすると、十分な反射率低減効果が得られないことがあった。さらに、遮光度(OD)を向上させる為に顔料濃度を高くすると、塗膜の屈折率が上昇してしまうため、高遮光と低反射の両立が困難であった。
本発明の目的は、高遮光と低反射を同時に満たす情報表示装置用硬化膜、当該情報表示装置用硬化膜を作るための透明硬化膜用組成物、および当該情報表示装置用硬化膜を有する情報表示装置を提供することにある。
本発明の一形態は、下記[1]~[7]の情報表示装置用硬化膜に関する。
[1]着色硬化膜と、
透明硬化膜と、
を含む、情報表示装置用硬化膜であって、
前記着色硬化膜は、膜厚1μm当たりの光学濃度(OD)が0.1μm―1以上5μm―1以下、屈折率nが1.30以上2.00以下、かつ、膜厚が0.5μm以上50μm以下であり、
前記透明硬化膜は、膜厚が20nm以上250nm以下であり、
前記透明硬化膜の屈折率をnとすると、nは1.00より大きく、かつn/nが1.00より大きく2.00未満を満たすことを特徴とする情報表示装置用硬化膜。
[2]前記透明硬化膜が、無機フィラー、有機フィラー、フッ素含有樹脂、及びシリコーン系樹脂からなる群から選択される1種類以上を含有することを特徴とする、[1]に記載の情報表示装置用硬化膜。
[3]前記透明硬化膜が、屈折率1.20~1.60のフィラー成分を含有することを特徴とする、[1]または[2]に記載の情報表示装置用硬化膜。
[4]前記透明硬化膜が、平均粒子径150nm以下の、シリカ粒子、フッ化マグネシウム粒子及び氷晶石粒子からなる群から選択される1種類以上を固形分中に10~90質量%含有し、さらに、熱または光によって硬化するバインダー成分を固形分中に10~90質量%含有することを特徴とする、[1]~[3]のいずれかに記載の情報表示装置用硬化膜。
[5]前記着色硬化膜が、黒色硬化膜であることを特徴とする、[1]~[4]のいずれかに記載の情報表示装置用硬化膜。
[6]前記着色硬化膜は、膜厚1μm当たりの光学濃度(OD)が2μm―1以上5μm―1以下、屈折率nが1.60以上1.90以下であり、
前記透明硬化膜の屈折率をnとすると、n/nが1.00より大きく1.70未満を満たすことを特徴とする、[1]~[5]のいずれかに記載の情報表示装置用硬化膜。
[7]前記着色硬化膜と前記透明硬化膜の間に、第二の着色硬化膜を有することを特徴とする、[1]~[6]のいずれかに記載の情報表示装置用硬化膜。
本発明の他の形態は、下記[8]の透明硬化膜用組成物に関する。
[8][1]~[7]のいずれか1項に記載の情報表示装置用硬化膜が有する前記透明硬化膜を形成するための透明硬化膜用組成物であって、
無機フィラー、有機フィラー、フッ素含有樹脂、及びシリコーン系樹脂からなる群から選択される1種類以上と、
溶媒と、
を含有することを特徴とする、透明硬化膜用組成物。
本発明の他の形態は、下記[9]~[10]の情報表示装置に関する。
[9][1]~[7]のいずれか1項に記載の情報表示装置用硬化膜を有する情報表示装置。
[10]前記情報表示装置用硬化膜を含む有機ELパネルを有する、[9]に記載の情報表示装置。
本発明によれば、高遮光と低反射を同時に満たす情報表示装置用硬化膜、当該情報表示装置用硬化膜を作るための透明硬化膜用組成物、および当該情報表示装置用硬化膜を有する情報表示装置を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態に関する情報表示装置用硬化膜について詳細に説明する。上記情報表示装置用硬化膜は、着色硬化膜と、透明硬化膜と、を含む。なお、本明細書における「情報表示装置」とは、画像、映像、文字情報等の情報を視認し得るように表示する、ディスプレイなどの装置を意味する。
上記着色硬化膜は、情報表示装置に用いられる、膜厚1μm当たりの光学濃度(OD)が0.1μm―1以上5μm―1以下となる硬化膜である。着色硬化膜の種類は特に限定されず、公知のCFおよびBKレジストなどであり得る。
着色硬化膜の膜厚1μm当たりの光学濃度(OD)は、0.1μm―1以上5μm―1以下である。上記ODが0.1μm―1以上であると、光をある程度反射するため、外光反射によるコントラスト比低下(視認性低下)の問題が生じやすいため、本実施形態の構成とすることによるこの問題の解消効果が顕著である。
着色硬化膜の上記ODは、着色硬化膜が黒色硬化膜であるときは2μm―1以上5μm―1以下であることが好ましく、3μm―1以上4.5μm―1以下であることがより好ましい。また、着色硬化膜の上記ODは、着色硬化膜がレッド、グリーン、またはブルー(RGB)の硬化膜であるときは0.2μm―1以上1μm―1以下であることが好ましい。着色硬化膜の上記ODは、着色硬化膜がホワイトあるいはグレーの硬化膜であるときは0.1μm―1以上2μm―1以下であることが好ましい。着色硬化膜の上記ODは、樹脂の種類によっても変わり得るが、着色剤の種類および量によって上記範囲に調整することができる。
なお、本明細書において、着色硬化膜および透明硬化膜の光学濃度(OD)は、マクベス透過濃度計(X-rite社製「X-rite 361T(V)」)を用いて測定した値とすることができる。膜厚1μm当たりの光学濃度(OD)は、段差計(KLA-Tencor社製「テンコールP-17」)を用い、測定範囲500μm、走査速度50μm/秒、サンプリングレート20Hzの条件で測定される硬化膜の平均厚さ(μm)で、上記光学濃度(OD)を除算して、求めることができる。
着色硬化膜の屈折率nは、1.30以上2.00以下である。着色硬化膜の屈折率nは、1.40以上1.90以下であることが好ましい。着色硬化膜が黒色硬化膜であるときの屈折率nは、1.60以上1.90以下であることが好ましい。着色硬化膜の上記ODは、樹脂の種類によっても変わり得るが、着色剤の種類および量によって上記範囲に調整することができる。
なお、本明細書において、着色硬化膜および透明硬化膜の屈折率は、分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製「alpha-SE」)を用いて、本硬化(ポストベーク)後の膜を65°、70°、75°の角度から測定後、解析を行って、求めることができる。
着色硬化膜の膜厚は、0.5μm以上50μm以下である。着色硬化膜の膜厚は、0.7μm以上45μm以下であることが好ましい。
上記透明硬化膜は、着色硬化膜の外表面側に配置された透明の硬化膜である。透明硬化膜は、着色硬化膜の色調の視認性を妨げない程度の透明性を有すればよく、たとえば、膜厚1μm当たりの透過率が80%以上であることが好ましい。
透明硬化膜は、着色硬化膜よりも屈折率が低い硬化膜である。情報表示装置に入射した外光が、屈折率が高い着色硬化膜に到達する前に、屈折率がより低い透明硬化膜を通過するようにすることで、着色硬化膜の界面における外光の反射を抑制することができる。特に、顔料濃度の向上などにより着色硬化膜の遮光度を高めようとすると、それに伴い着色硬化膜の屈折率も高くなっていき、着色硬化膜の界面における外光の反射はより生じやすくなっていく。これに対し、着色硬化膜とは別に配置した透明硬化膜により外光の反射を抑制することで、着色硬化膜による遮光度の向上(高遮光)と透明硬化膜による反射率の低下(低反射)とをより容易に両立させることができる。
透明硬化膜の屈折率nは、着色硬化膜の屈折率nに対し、n/nが1.00より大きく2.00未満を満たすように設定される。n/nが1.00より大きいと、透明硬化膜の遮光度を高めることがないため、着色硬化膜の色調の視認性が担保される。n/nが2.00未満であると、透明硬化膜と着色硬化膜との間の屈折率の差が大きくなりすぎないため、これらの硬化膜の界面における外光の反射が抑制される。上記観点からは、n/nは1.00より大きく1.80以下であることが好ましい。着色硬化膜が黒色硬化膜の場合、n/nは1.00より大きく1.70未満であることがより好ましく、1.10以上1.60以下であることがさらに好ましく、1.20以上1.50以下であることがより好ましく、1.25以上1.45以下であることがさらに好ましく、1.25以上1.40以下であることが特に好ましい。
透明硬化膜の屈折率nは、1.00より大きく2.00未満であり、好ましくは1.00より大きく1.90未満であり、より好ましくは1.10以上1.70以下であり、さらに好ましくは1.20以上1.50以下である。透明硬化膜の屈折率nが上記範囲であると、n/nを好適な範囲に調整しやすい。
透明硬化膜の膜厚は、20nm以上250nm以下である。本発明者らの知見によると、透明硬化膜の膜厚によって情報表示装置用硬化膜の反射率は大きく変動する。そして、透明硬化膜の膜厚が上記範囲であると、情報表示装置用硬化膜の反射率を十分に低くすることができる。上記観点から、透明硬化膜の膜厚は、30nm以上200nm以下であることが好ましく、40nm以上180nm以下であることがより好ましく、40nm以上120nm以下であることがさらに好ましい。なお、透明硬化膜がフィラー成分(後述する(h)成分)を含むときは、透明硬化膜の表面から突出したフィラー成分による屈折率の変化が生じないよう、透明硬化膜の膜厚はフィラーのサイズ(フィラーが粒子状であるときは平均粒子径、フィラーが非粒子状であるときは長径)よりも大きいことが好ましい。
本実施形態では、着色硬化膜と透明硬化膜との膜厚の比率や、屈折率の比率(n/n)などを調整することにより、これらの積層体である情報表示装置用硬化膜の反射率(透明硬化膜側から入射する光の反射率)を調整することができる。上記反射率は、5%以下であることが好ましく、0%以上5%以下であることがより好ましく、0%以上3%以下であることがさらに好ましく、0%以上1%以下であることが特に好ましい。
1.硬化膜用組成物
上記情報表示装置用硬化膜は、上述の特性を有する限り、いかなるものであってもよい。たとえば、上記情報表示装置用硬化膜は、以下の組成物から製造した着色硬化膜と透明硬化膜との組み合わせとすることができる。
[着色硬化膜]
着色硬化膜は(a)アルカリ可溶性樹脂と、(b)光重合性化合物と、(c)光重合開始剤と、(d)着色剤と、(e)カップリング剤と、(f)溶剤と、を含む感光性樹脂組成物を硬化したものであることが好ましい。
[(a)成分]
(a)成分は、アルカリ可溶性樹脂である。(a)成分を含むことにより、感光性樹脂組成物にアルカリ現像に対する可溶性を付与することができる。
(a)成分であるアルカリ可溶性樹脂は、1分子中に重合性不飽和基と、アルカリ可溶性を発現するための酸性基を有していることが好ましく、重合性不飽和基とカルボキシ基との両方を含有していることがより好ましい。アルカリ可溶性樹脂は、上記重合性不飽和基および酸性基を有する樹脂であれば、特に限定されることなく、広く使用することができる。上記アルカリ可溶性樹脂は、重合性不飽和基とカルボキシ基とを併せ持つため、バインダーとしての作用を有し、また、感光性樹脂組成物に優れた光硬化性を与えるほか、良好な現像性およびパターニング特性(パターン線幅、パターン直線性)を与えて、着色硬化膜の物性を向上させる。
本実施の形態に係る(a)成分であるアルカリ可溶性樹脂は、エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応物を、さらに多塩基酸カルボン酸またはその無水物と反応させて得られる重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。上記アルカリ可溶性樹脂の製造時に、ヒドロキシ基と多塩基酸カルボン酸との反応でポリエステルが生成するが、その平均の重合度は2~500程度の低分子量が好ましい。なお、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタクリル酸の総称であり、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基およびメタクリロイル基の総称であり、これらの一方または両方を意味する。
上記エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物の例には、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物、ビスナフトールフルオレン型エポキシ化合物、ジフェニルフルオレン型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、(o,m,p-)クレゾールノボラック型エポキシ化合物、フェノールアラルキル型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、ナフタレン骨格を含むフェノールノボラック化合物(例えば、NC-7000L:日本化薬株式会社製)、ナフトールアラルキル型エポキシ化合物、トリスフェノールメタン型エポキシ化合物(例えば、EPPN-501H:日本化薬株式会社製)、テトラキスフェノールエタン型エポキシ化合物などの芳香族構造を有するエポキシ化合物、多価アルコールのグリシジルエーテル、多価カルボン酸のグリシジルエステル、メタクリル酸とメタクリル酸グリシジルの共重合体に代表される(メタ)アクリル酸グリシジルをユニットとして含む(メタ)アクリロイル基を有するモノマーの共重合体、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(例えば、リカレジンHBE-100:新日本理化株式会社製、「リカレジン」は同社の登録商標)などのグリシジル基を有するエポキシ化合物、1,4-シクロヘキサンジメタノール-ビス3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-5,1-スピロ(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-m-ジオキサン(例えば、アラルダイトCY175:ハンツマン社製、「アラルダイト」は同社の登録商標)、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート(例えば、CYRACURE UVR-6128:ダウ・ケミカル社製)、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(例えば、セロキサイド2021P:株式会社ダイセル製、「セロキサイド」は同社の登録商標)、ブタンテトラカルボン酸テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)修飾ε-カプロラクトン(例えば、エポリードGT401:株式会社ダイセル製、「エポリード」は同社の登録商標)、エポキシシクロヘキシル基を有するエポキシ化合物(例えば、HiREM-1:四国化成工業株式会社製)、ジシクロペンタジエン骨格を有する多官能エポキシ化合物(例えば、HP7200シリーズ:DIC株式会社製)、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物(例えば、EHPE3150:株式会社ダイセル製)などの脂環式エポキシ化合物、エポキシ化ポリブタジエン(例えば、NISSO-PB・JP-100:日本曹達株式会社製、「NISSO-PB」は同社の登録商標)、シリコーン骨格を有するエポキシ化合物等が含まれる。
上記エポキシ化合物の中では、下記一般式(1)で表されるビスフェノール型エポキシ化合物、下記一般式(3)で表されるフェノールノボラック型エポキシ化合物、および(o,m,p-)クレゾールノボラック型エポキシ化合物が好ましい。
Figure 2023024297000001
式(1)中、RおよびRは、独立して、水素原子、炭素数が1~5の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはハロゲン原子を表し、Wは-CO-、-SO-、-C(CF-、-Si(CH-、-CH-、-C(CH-、-O-、下記一般式(2)で表されるフルオレン-9,9-ジイル基または単結合を表し、nは、0以上10以下の整数である。
Figure 2023024297000002
Figure 2023024297000003
式(3)中、R~Rは、独立して、水素原子、炭素数が1~5の直鎖または分岐鎖のアルキル基、炭素数が5~9のシクロアルキル基、または炭素数が6~10のアリール基を表し、R~R17は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数が1~5の直鎖または分岐鎖のアルキル基、炭素数が1~5のアルケニル基、炭素数が1~5のアルキニル基、炭素数が5~9のシクロアルキル基、炭素数が6~10のアリール基、または炭素数が1~5のアルコキシ基を表し、mは1~5の整数を表す。
現像性、細線密着性をより高める観点から、一般式(1)で表されるビスフェノール型エポキシ化合物がより好ましい。
上記一般式(1)で表されるビスフェノール型エポキシ化合物は、ビスフェノール類から誘導される。上記ビスフェノール類の例には、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)エーテル、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フルオロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)フルオレン、4,4’-ビフェノール、3,3’-ビフェノールなどが含まれる。この中でも、耐熱性をより高める観点から、フルオレン-9,9-ジイル基を有するビスフェノール類が好ましい。これらのビスフェノール類は、1種類のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、(a)成分を得る際に用いる、多塩基酸カルボン酸またはその無水物は、(A)ジカルボン酸またはトリカルボン酸またはその酸一無水物と、(B)テトラカルボン酸またはその酸二無水物と、を組み合わせて用いることが好ましい。
(A)ジカルボン酸またはトリカルボン酸またはその酸一無水物の例には、鎖式炭化水素ジカルボン酸またはトリカルボン酸、脂環式ジカルボン酸またはトリカルボン酸、芳香族ジカルボン酸またはトリカルボン酸、またはそれらの酸一無水物等が含まれる。
鎖式炭化水素ジカルボン酸またはトリカルボン酸の例には、コハク酸、アセチルコハク酸、マレイン酸、アジピン酸、イタコン酸、アゼライン酸、シトラリンゴ酸、マロン酸、グルタル酸、クエン酸、酒石酸、オキソグルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、スベリン酸、ジグリコール酸等のジカルボン酸またはトリカルボン酸、および任意の置換基が導入されたジカルボン酸またはトリカルボン酸等が含まれる。
また、脂環式ジカルボン酸またはトリカルボン酸の例には、シクロブタンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチル-3,6-エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、ヘキサヒドロトリメリット酸、ノルボルナンジカルボン酸等のジカルボン酸またはトリカルボン酸、および任意の置換基が導入されたジカルボン酸またはトリカルボン酸等が含まれる。
また、芳香族ジカルボン酸またはトリカルボン酸の例には、フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸またはトリカルボン酸、および任意の置換基が導入されたジカルボン酸またはトリカルボン酸等が含まれる。
ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸においては、それらの酸一無水物を用いることが好ましい。上述したジカルボン酸またはトリカルボン酸またはその酸一無水物は、その1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(B)テトラカルボン酸またはその酸二無水物の例には、鎖式炭化水素テトラカルボン酸、脂環式テトラカルボン酸、芳香族テトラカルボン酸、またはそれらの酸二無水物が含まれる。
鎖式炭化水素テトラカルボン酸の例には、ブタンテトラカルボン酸、ペンタンテトラカルボン酸、ヘキサンテトラカルボン酸等のテトラカルボン酸、および任意の置換基が導入されたテトラカルボン酸が含まれる。
脂環式テトラカルボン酸の例には、シクロブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、シクロへプタンテトラカルボン酸、ノルボルナンテトラカルボン酸等のテトラカルボン酸、および任意の置換基の導入されたテトラカルボン酸が含まれる。
芳香族テトラカルボン酸の例には、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸、ナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸等のテトラカルボン酸、および任意の置換基の導入されたテトラカルボン酸が含まれる。
上記テトラカルボン酸またはその酸二無水物においては、その酸二無水物を用いることが好ましい。なお、上述したテトラカルボン酸またはその酸二無水物は、その1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
このときの(A)ジカルボン酸またはトリカルボン酸またはその酸一無水物と(B)テトラカルボン酸またはその酸二無水物とのモル比(A)/(B)は、0.01以上10.0以下が好ましく、0.02以上3.0未満がより好ましい。モル比(A)/(B)が上記範囲内であると、良好な光パターニング性を有する感光性樹脂組成物とするための最適分子量を得ることができる。なお、モル比(A)/(B)が小さいほど分子量は大きくなり、アルカリ溶解性は低下する傾向にある。
また、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応、およびこの反応で得られたエポキシ(メタ)アクリレートと多塩基酸またはその酸無水物との反応は、特に限定されず、例えば、特開平8-278629号公報等に記載の公知の方法を採用することができる。
また、上記反応で合成されるアルカリ可溶性樹脂は、溶解速度を調整する観点から、重量平均分子量(Mw)が1000以上20000以下であることが好ましく、2000以上10000以下であることがより好ましく、酸価が30mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることが好ましい。上記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)「HLC-8220GPC」(東ソー株式会社製)で求めることができる。また、酸価は、例えば、電位差滴定装置「COM-1600」(平沼産業株式会社製)を用いて求めることができる。
なお、上記(a)成分であるアルカリ可溶性樹脂は、1種類のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
[(b)成分]
(b)成分は、光重合性化合物である。(b)成分を含むことにより、露光感度および現像性を良好なものとすることができる。
上記(b)の光重合性化合物の例には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、またはジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;デンドリマー型多官能アクリレート、エチレン性二重結合を有する化合物として(メタ)アクリル基を有する樹枝状ポリマーなどが含まれる。上記光重合性化合物は、1種類のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記(a)成分と上記(b)成分との配合割合は、重量比(a)/(b)で30/70以上90/10以下が好ましく、40/60以上80/20以下がより好ましい。上記(a)成分の配合割合が30/70以上であると、光硬化後の硬化膜の硬度が十分であり、また、未露光部において塗膜の酸価が十分高いためにアルカリ現像性が良く、直線的でシャープなパターンを形成できる。また、上記(a)成分の配合割合が、90/10以下であると、樹脂に占める光反応性官能基の割合が十分なので、所望する架橋構造の形成を行うことができる。また、樹脂成分における酸価が適当で、露光部におけるアルカリ現像液に対する溶解性が過度に高くないことから、形成されたパターンが目標とする線幅より細くなることや、パターンの欠落を抑制することができる。
[(c)成分]
(c)成分は、光重合開始剤である。(c)成分を含むことにより、放射線(例えば紫外線)が照射された部分の反応が十分に進行し、現像時の硬化した部分の溶解性を低下させて所望する微細なパターンを形成することができる。
光重合開始剤としては、重合性不飽和結合を有し付加重合可能な化合物の重合を開始させうる化合物であれば、特に限定されるものではない。光重合開始剤の例には、アセトフェノン化合物、トリアジン化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、チオキサントン化合物、イミダゾール化合物、オキシムエステル化合物などが含まれる。なお、本明細書では、光重合開始剤は増感剤を含む意味で使用される。
アセトフェノン化合物の例には、アセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルチオフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(1-メチルビニル)フェニル〕プロパン-1-オンのオリゴマーなどが含まれる。
トリアジン化合物の例には、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-クロロフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(3,4,5-トリメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メチルチオスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(ピプロニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジンなどが挙げられる。
ベンゾイン化合物の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン-tert-ブチルエーテルなどが含まれる。
ベンゾフェノン化合物の例には、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4,4‘-ビス(N,N-ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどが含まれる。
チオキサントン化合物の例には、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントンなどが含まれる。
イミダゾール化合物の例には、2-(o-クロロフェニル)-4,5-フェニルイミダゾール2量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5-トリアリールイミダゾール2量体などが含まれる。
オキシムエステル化合物の例には、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-ビシクロヘプチル-1-オンオキシム-O-アセテート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-アダマンチルメタン-1-オンオキシム-O-ベンゾアート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-アダマンチルメタン-1-オンオキシム-O-アセテート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-テトラヒドロフラニルメタン-1-オンオキシム-O-ベンゾアート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-テトラヒドロフラニルメタン-1-オンオキシム-O-アセテート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-チオフェニルメタン-1-オンオキシム-O-ベンゾアート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-チオフェニルメタン-1-オンオキシム-O-アセテート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-モロフォニルメタン-1-オンオキシム-O-ベンゾアート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-モロフォニルメタン-1-オンオキシム-O-アセテート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタン-1-オンオキシム-O-ビシクロヘプタンカルボキシレート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタン-1-オンオキシム-O-トリシクロデカンカルボシキレート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタン-1-オンオキシム-O-アダマンタンカルボシキレート、1-[4-(フェニルスルファニル)フェニル]オクタン-1,2-ジオン=2-o-ベンゾイルオキシム、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)カルバゾール-3-イル]エタノン-o-アセチルオキシム、(2-メチルフェニル)(7-ニトロ-9,9-ジプロピル-9H-フルオレン-2-イル)-アセチルオキシム、エタノン,1-[7-(2-メチルベンゾイル)-9,9-ジプロピル-9H-フルオレン-2-イル]-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン,1-(-9,9-ジブチル-7-ニトロ-9H-フルオレン-2-イル)-1-o-アセチルオキシム、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)、1,2-オクタンジエン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-ベンゾアート、1-(4-メチルスルファニルフェニル)ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-アセテート、1-(4-メチルスルファニルフェニル)ブタン-1-オンオキシム-O-アセテート、4-エトキシ-2-メチルフェニル-9-エチル-6-ニトロ-9H-カルバゾロ-3-イル-O-アセチルオキシムなどが含まれる。上記光重合開始剤は、1種類のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
とくに、高濃度の遮光剤を含む感光性樹脂組成物とする場合には、O-アシルオキシム系化合物類(ケトオキシムを含む)を用いることが好ましい。具体的化合物群の例には、一般式(4)または一般式(5)で表されるO-アシルオキシム系光重合開始剤が含まれる。これら化合物群の中で、遮光剤を高顔料濃度で用いる場合および遮光膜パターンを形成する場合には、365nmにおけるモル吸光係数が10000L/mol・cm以上であるO-アシルオキシム系光重合開始剤を用いることが好ましい。
Figure 2023024297000004
式(4)中、R18、R19は、それぞれ独立に、C1~C15のアルキル基、C6~C18のアリール基、C7~C20のアリールアルキル基またはC4~C12の複素環基であり、R20はC1~C15のアルキル基、C6~C18のアリール基またはC7~C20のアリールアルキル基である。ここで、アルキル基およびアリール基はC1~C10のアルキル基、C1~C10のアルコキシ基、C1~C10のアルカノイル基、ハロゲンで置換されていてもよく、アルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合を含んでいてもよい。また、アルキル基は直鎖、分岐または環状のいずれのアルキル基であってもよい。
Figure 2023024297000005
式(5)中、R21およびR22はそれぞれ独立に、炭素数1~10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であるか、炭素数4~10のシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基もしくはアルキルシクロアルキル基であるか、または炭素数1~6のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基である。R23は独立して炭素数2~10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基またはアルケニル基であり、当該アルキル基またはアルケニル基中の-CH-基の一部が-O-基で置換されていてもよい。さらに、これらR21~R23の基中の水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい。
(c)成分としては、活性ラジカル発生剤または酸発生剤を使用してもよい。
活性ラジカル発生剤の例には、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、10-ブチル-2-クロロアクリドン、2-エチルアントラキノン、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物などが含まれる。
酸発生剤の例には、4-ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp-トルエンスルホナート、4-ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4-アセトキシフェニルジメチルスルホニウムp-トルエンスルホナート、4-アセトキシフェニル・メチル・ベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムp-トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのオニウム塩類、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類などが含まれる。
また、それ自体では光重合開始剤や増感剤として作用しないが、上述の化合物と組み合わせて用いることにより、光重合開始剤や増感剤の能力を増大させ得るような化合物を添加してもよい。そのような化合物の例には、ベンゾフェノンと組みわせて使用すると効果のあるアミン系化合物が含まれる。上記アミン系化合物の例には、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノンなどが含まれる。
(c)成分の含有量は(a)成分と(b)成分の合計100質量部に対して、3質量部以上30質量部以下であることが好ましく、4質量部以上25質量部以下であることがより好ましく、4質量部以上15質量部以下であることがより好ましい。(c)成分の含有量が3質量部以上であると、適度な光重合の速度を有するので、十分な感度を担保できる。また、(c)成分の含有量が30質量部以下であると、マスクに対して忠実な線幅を再現できるとともにパターンエッジをシャープにすることができる。
[(d)成分]
(d)成分は、着色剤である。(d)成分を含むことにより、着色硬化膜の遮光性を十分に得ることができる。
本実施の形態に係る(d)成分である着色剤としては、黒色顔料、有機顔料、染料を用いることができる。
黒色顔料の例には、ペリレンブラック、シアニンブラック、アニリンブラック、ラクタムブラック、カーボンブラック、チタンブラック、酸化クロム、酸化鉄などが含まれる。
有機顔料の例には、アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾメチン顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ジオキサジン顔料、スレン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料、チオインジゴ顔料などが挙げられる。これらを単独で使用したものや、これらの有機顔料から選択される少なくとも2色を混合して、擬似黒色化されたものも含まれる。
なお、(d)成分として混色有機顔料を用いる場合に使用可能な有機顔料の例には、カラーインデックス名で以下のナンバーのものが含まれるが、これに限定されない。
ピグメント・レッド2、3、4、5、9、12、14、22、23、31、38、112、122、144、146、147、149、166、168、170、175、176、177、178、179、184、185、187、188、202、207、208、209、210、213、214、220、221、242、247、253、254、255、256、257、262、264、266、272、279等;
ピグメント・オレンジ5、13、16、34、36、38、43、61、62、64、67、68、71、72、73、74、81等;
ピグメント・イエロー1、3、12、13、14、16、17、55、73、74、81、83、93、95、97、109、110、111、117、120、126、127、128、129、130、136、138、139、150、151、153、154、155、173、174、175、176、180、181、183、185、191、194、199、213、214等;
ピグメント・グリーン7、36、58等;
ピグメント・ブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、60、80等 ;
ピグメント・バイオレット19、23、37等;
ピグメント・ホワイト6、24、27等。
また、(d)成分として染料を用いる場合に使用可能な化合物の例には、カラーインデックス名で以下のナンバーのものが含まれるが、これに限定されない。
C.I.ダイレクトレッド20,28,37,39,44,83、C.I.アシッドレッド6,8,9,13,14,18,26,27,37,51,52,87,88,89,92,94,97,111,114,115,122,134,145,154,180,183,184,186,198,486、C.I.ベイシックレッド12,13,18,27、C.I.ディスパースレッド5,7,13,17,58,60,72,88,206、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,83,100,109,125,132、C.I.リアクティブレッド17,120、C.I.モルダントレッド7等;
C.I.ソルベントグリーン3,28,32,33、C.I.アシッドグリーン3,9,16,18,25、C.I.ベイシックグリーン1,4、C.I.ダイレクトグリーン28,59等;
C.I.ソルベントブルー25,35,36,38,45,55,64,67,70,129、C.I.ダイレクトブルー25,86,90,108、C.I.アシッドブルー1,7,9,15,29,40,83,103,104,129,158,161,249、C.I.ベイシックブルー1,3,7,9,25,26,41,77、C.I.ディスパースブルー56,60,81,87,149,165,197,211,214、C.I.パッドブルー4,5、C.I.リアクティブブルー19,49等;
C.I.ソルベントイエロー2,14,15,16,21,25,33,56,82,88,89,146、C.I.ディスパースイエロー3,4,7,31,42,54,60,61,64,87,198、C.I.アシッドイエロー1,3,11,17、23,38,40,42,76,98,99、C.I.ダイレクトイエロー1,11,12,28、C.I.ベイシックイエロー1,21、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.モルダントイエロー5等;
C.I.ソルベントオレンジ6,45,56、C.I.アシッドオレンジ1,3,7,8,10,20,24,28,33,56,74、C.I.ダイレクトオレンジ1,26、C.I.ディスパースオレンジ5等;
C.I.ソルベントバイオレット2,8,9,11,13,14、C.I.ダイレクトバイオレット22、C.I.アシッドバイオレット49、C.I.ベイシックバイオレット7,10、C.I.ディスパーバイオレット24等;
C.I.ダイレクトブラウン6,58,95,101,173、C.I.アシッドブラウン14等。
上記(d)成分は、目的とする感光性樹脂組成物の機能に応じて、その1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記着色剤の中では、黒色顔料あるいは有機顔料を2色以上混合して得られる疑似黒色有機顔料が好ましい。これにより、着色硬化膜を、黒色硬化膜として、ブラックレジスト等に使用することが好ましい。遮光性、表面平滑性、分散安定性、樹脂との相溶性が良好な点で、黒色顔料であるラクタムブラック、カーボンブラック、チタンブラックがより好ましく、ラクタムブラック、カーボンブラックがさらに好ましい。
(d)成分の配合割合については、所望の遮光度によって任意に決めることができるが、感光性樹脂組成物中の固形分に対して1質量%以上60質量%以下が好ましく、2質量%以上60質量%以下がより好ましく、3質量%以上60質量%以下がさらに好ましく、5質量%以上60質量%以下が特に好ましい。遮光剤が、感光性樹脂組成物中の固形分に対して1質量%以上であると、遮光性を得ることができる。遮光剤が、60質量%以下であると、十分な量の感光性樹脂を含むため、所望する現像特性および膜形成能を得ることができる。
(d)成分の平均粒子径としては、10~300nmが好ましく、30~250nmがより好ましく、50~220nmが特に好ましい。前記遮光成分の平均粒子径が10nm以上である場合、前記着色硬化膜の遮光性は十分であり、300nm以下であれば、前記着色硬化膜の表面平滑性、前記遮光成分の分散均一性が良好である。なお、遮光成分の平均粒子径は動的光散乱法等を利用した粒度分布測定により求めることができる。
上記(d)成分は分散媒に分散させた遮光成分分散体として他の配合成分と混合するのが通常であり、その際には分散剤を添加することができる。分散剤は、顔料(遮光成分)分散に用いられている公知の化合物(分散剤、分散湿潤剤、分散促進剤等の名称で市販されている化合物等)等を特に制限なく使用することができる。
分散媒の例には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3メトキシブチルアセテート等が含まれる。
分散剤の例には、カチオン性高分子系分散剤、アニオン性高分子系分散剤、ノニオン性高分子系分散剤、顔料誘導体型分散剤(分散助剤)が含まれる。とくに、上記分散剤は、着色剤への吸着点としてイミダゾリル基、ピロリル基、ピリジル基、一級、二級または三級のアミノ基等のカチオン性の官能基を有し、アミン価が1mgKOH/g以上100mgKOH/g以下、数平均分子量(Mn)が1000以上100000以下の範囲にあるカチオン性高分子系分散剤であることが好ましい。この分散剤の配合量は、遮光成分に対して1質量%以上35質量%以下が好ましく、2質量%以上25質量%以下がより好ましい。なお、樹脂類のような高粘度物質は、一般に分散を安定させる作用を有するが、分散促進能を有しないものは分散剤として扱わない。しかし、分散を安定させる目的で使用することを制限するものではない。
[(e)成分]
(e)成分は、カップリング剤である。(e)成分としてシランカップリング剤を含むことにより、感光性樹脂組成物のガラス表面と硬化膜との間の化学結合による密着性を向上させることができる。
シランカップリング剤としては、反応基として、アミノ基、イソシアネート基、ウレイド基、エポキシ基、ビニル基、(メタ)アクリル基、メルカプト基等を有するものが好ましく、エポキシ基、イソシアネート基、メタクリル基を有するものがより好ましい。上記カップリング剤の具体例には、3-(グリシジルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が含まれる。
シランカップリング剤の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分に対して、0.3質量%以上2質量%以下が好ましく、0.7質量%以上1.4質量%以下がより好ましい。シランカップリング剤の含有量が、0.3質量%以上であると、ガラス基板と硬化膜との間で十分な密着性を得ることができる。シランカップリング剤の含有量を2質量%以下であると、凝集異物の発生を抑制できる。なお、下地にガラス基板ではなく有機膜等を用いる場合は、(e)成分の含有量が0.1質量%未満であってもよい。
[(f)成分]
(f)成分は、溶剤である。(f)成分を含むことにより、上述の(a)~(e)成分を含む液体状の感光性樹脂組成物を得ることができる。
(f)成分の例には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α-もしくはβ-テルピネオール等のテルペン類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N-メチル-2-ピロリドン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類などが含まれる。(f)成分は、その1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
(f)成分の含有量は、目標とする粘度によって変化するが、感光性樹脂組成物の全質量に対して60質量%以上90質量%以下が好ましい。(f)成分の含有量が、60質量%以上であると、基板上に感光性樹脂組成物を塗布しやすい粘度とすることができ、90質量%以下であると、基板上に感光性樹脂組成物を塗布した後の乾燥に要する時間を短縮することができる。
[その他の成分]
上記感光性樹脂組成物には、必要に応じて、その他の樹脂成分、界面活性剤、硬化剤、硬化促進剤、熱重合禁止剤および酸化防止剤、可塑剤、充填剤、レベリング剤、消泡剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等の添加剤を配合することができる。
その他の樹脂成分の例には、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等が含まれる。
エポキシ樹脂の例には、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物、ビスナフトールフルオレン型エポキシ化合物、ジフェニルフルオレン型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、フェノールアラルキル型エポキシ化合物、ナフタレン骨格を含むフェノールノボラック化合物(例えば、NC-7000L:日本化薬株式会社製)、ビフェニル型エポキシ化合物(例えば、jER YX4000:三菱ケミカル株式会社製)、ナフトールアラルキル型エポキシ化合物、トリスフェノールメタン型エポキシ化合物(例えば、EPPN-501H:日本化薬株式会社製)、テトラキスフェノールエタン型エポキシ化合物、多価アルコールのグリシジルエーテル、多価カルボン酸のグリシジルエステル、メタクリル酸とメタクリル酸グリシジルの共重合体に代表される(メタ)アクリル酸グリシジルをユニットとして含む(メタ)アクリロイル基を有するモノマーの共重合体、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(例えば、リカレジンHBE-100:新日本理化株式会社製)などのグリシジル基を有するエポキシ化合物、1,4-シクロヘキサンジメタノール-ビス3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-5,1-スピロ(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-m-ジオキサン(例えば、アラルダイトCY175:ハンツマン社製)、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート(例えば、CYRACURE UVR-6128:ダウ・ケミカル社製)、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(例えば、セロキサイド2021P:株式会社ダイセル製)、ブタンテトラカルボン酸テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)修飾ε-カプロラクトン(例えば、エポリードGT401:株式会社ダイセル製)、エポキシシクロヘキシル基を有するエポキシ化合物(例えば、HiREM-1:四国化成工業株式会社製)、ジシクロペンタジエン骨格を有する多官能エポキシ化合物(例えば、HP7200シリーズ:DIC株式会社製)、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物(例えば、EHPE3150:株式会社ダイセル製)などの脂環式エポキシ化合物、エポキシ化ポリブタジエン(例えば、NISSO-PB・JP-100:日本曹達株式会社製)、シリコーン骨格を有するエポキシ化合物等が含まれる。
界面活性剤の例には、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどの陰イオン界面活性剤、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどの陽イオン界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ソルビタンモノステアレートなどの非イオン界面活性剤、ポリジメチルシロキサンなどを主骨格とするシリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが含まれる。上記界面活性剤は、その1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
硬化剤の例には、エポキシ樹脂の硬化に寄与するアミン系化合物、多価カルボン酸系化合物、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ジシアンジアミド、ルイス酸錯化合物等が含まれる。
硬化促進剤の例には、エポキシ樹脂の硬化促進に寄与する三級アミン、四級アンモニウム塩、三級ホスフィン、四級ホスホニウム塩、ホウ酸エステル、ルイス酸、有機金属化合物、イミダゾール類等が含まれる。
熱重合禁止剤および酸化防止剤の例には、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、フェノチアジン、ヒンダードフェノール系化合物等が含まれる。
可塑剤の例には、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、リン酸トリクレジル等が含まれる。充填剤の例には、ガラスファイバー、シリカ、マイカ、アルミナ等が含まれる。
レベリング剤や消泡剤の例には、シリコーン系、フッ素系、アクリル系の化合物が含まれる。
紫外線吸収剤の例には、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物などが含まれる。
上記感光性樹脂組成物は、上述の(a)~(f)成分を混合することにより得ることができる。
なお、上記感光性樹脂組成物は、無機フィラー、有機フィラー、フッ素含有化合物およびシリコーン系樹脂を含んでもよいが、直線性および現像密着性の低下による高精細性の低下を抑制する観点からは、これらを含まないことが好ましく、(a)成分と(b)成分の合計100質量部に対する、これらを合計した量が、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることがさらに好ましい。
上記感光性樹脂組成物は、溶剤を除いた固形分(固形分には硬化後に固形分となるモノマーを含む)中に、上記(a)~(e)成分を合計で80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことが望ましい。
[透明硬化膜]
透明硬化膜は(g)バインダー成分と、(i)溶剤と、を含む樹脂組成物を硬化したものであり、(g)バインダー成分によって形成される透明硬化膜の屈折率を調整し、n/nを上記範囲にするための(h)屈折率調整剤を含んでもよい。
[(g)成分]
(g)成分は、バインダーである。(g)成分を含むことにより、硬化時の感度を良好なものとすることができる。
(g)成分は、熱または光によって硬化する化合物の硬化物であってもよいし、硬化しない樹脂成分であってもよい。これらのうち、(g)成分は、熱または光によって硬化する化合物の硬化物であることが好ましい。熱または光によって硬化するバインダーとしての(g)成分の例には、(a)成分として挙げられた重合性不飽和基を含有しているアルカリ可溶性樹脂や、(b)成分、(b)成分として挙げられた光重合性化合物を重合させた樹脂、その他樹脂成分として例示した樹脂など、特に制限なく使用することができ、これらを1種類のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、(g)成分としてエポキシ樹脂を単独でまたは他の樹脂と併用して使用することで、低温でも塗膜を硬化させることができる。(g)成分としてエポキシ樹脂を使用するときは、硬化剤や硬化促進剤を併用してもよい。これらの硬化剤や硬化促進剤としては、その他樹脂成分として例示した硬化剤および硬化促進剤を特に制限なく使用することができ、これらを1種類のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、(g)成分は、フッ素含有化合物およびシリコーン系樹脂などの、屈折率が比較的低い樹脂であってもよい。これらの樹脂を使用すると、透明硬化膜の屈折率を所望の範囲に調整する際に、(h)成分を不要としたり、あるいは(h)成分の使用量を低減したりすることができる。
フッ素含有化合物は、主としてパーフルオロ基を有する樹脂であり、その例としては、トリフロロエチルメタクリレート、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物、DIC社製UV硬化型低屈折率樹脂(ディフェンサOPシリーズ)等が挙げられる。
シリコーン系樹脂の例としては、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
また、上記(g)成分である熱または光によって硬化するバインダーは、塗布性の観点から、重量平均分子量(Mw)が30000以下であることが好ましく、20000以下であることがより好ましい。上記バインダーの重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)「HLC-8220GPC」(東ソー株式会社製)で求めることができる。
上記(g)成分は、透明硬化膜用樹脂組成物の固形分中に10質量%以上90質量%以下含まれることが好ましく、14%質量以上75質量%以下であることがより好ましい。上記(g)成分の配合割合が10質量%以上90質量%以下であると、所定の範囲内の表面粗さの透明硬化膜を得ることができる。
エポキシ樹脂、硬化剤および硬化促進剤を使用する場合、これらの成分は合計で、透明硬化膜用樹脂組成物の固形分中に0.1質量%以上20質量%以下含まれることが好ましい。
[(h)成分]
(h)成分は、(g)成分により形成される硬化膜の屈折率を調整する。(h)成分は、無機フィラーおよび有機フィラーなどのフィラー成分である。(h)成分を含むことにより、透明硬化膜の反射率を低減することができる。
(h)成分である無機フィラーの例としては、シリカ粒子、タルク、マイカ、ガラス繊維、炭素繊維、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム粒子、炭酸カルシウム粒子、硫酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、アルミナ粒子、酸化チタン粒子、フッ化マグネシウム粒子、フッ化リチウム粒子、フッ化カルシウム粒子、氷晶石粒子が挙げられる。その中でも、特にシリカ粒子、フッ化マグネシウム粒子、氷晶石粒子が好ましい。
有機フィラーの例としては、アクリル系ポリマー粒子、ウレタン系ポリマー粒子、テフロン(登録商標)粒子が挙げられる。
前記シリカ粒子としては、特に制限されるものではなく、公知の透明硬化膜に利用することが可能なシリカ粒子(例えば、特開2016-161926号公報に記載されているもの等)を適宜利用することができる。このようなシリカ粒子としては、透明硬化膜用樹脂組成物での分散安定性の観点から、有機溶媒中で分散可能なように製造又は表面処理されたものがより好ましい。このような有機溶媒中で分散可能なように製造又は表面処理されたシリカ粒子としては、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、オルガノシリカゾルが挙げられ、例えば、日産化学株式会社製のオルガノシリカゾル、株式会社アドマテックス製のアドマファイン及びアドマナノ、扶桑化学工業株式会社製コロイダルシリカ、オルガノシリカゾル及びシリカナノパウダー、日本アエロジル株式会社製ヒュームドシリカ等の商品名で販売されているもののうち有機溶剤に分散可能なものを好適に用いることができる。
また、前記シリカ粒子としては、中空シリカ粒子を用いることもできる。なお、「中空シリカ粒子」とは、粒子の内部に空洞を有するシリカ粒子のことである。粒子の内部に空洞を有さないシリカ粒子は、「中実シリカ粒子」とする。
このような(h)成分の粒子としては、平均粒子径が10nm以上150nm以下であることが好ましく、20nm以上140nm以下であることがより好ましく、20nm以上120nm以下であることがさらに好ましい。このような平均粒子径が前記下限未満では粒子同士の凝集が起こりやすくなって分散安定性が低下してしまい、分散安定性を確保しようとすると大量の分散剤を使用することが必要となる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとパターンの直線性が低下する傾向にある。
上記(h)成分の粒子の平均粒子径は、無作為に100個の粒子を選定して粒子の長軸長と短軸長を計測し、これらの相加平均により求めることができる。なお、上記シリカ粒子の平均粒子径は、動的光散乱法の粒度分布計「粒径アナライザーFPAR-1000」(大塚電子株式会社製)を用い、キュムラント法により測定することができる。
さらに、上記範囲にある場合には、上記シリカ粒子内部の空洞の割合(以下、空隙率という)も調整することができる。上記シリカ粒子は、空隙率の大きさによって屈折率が異なることから、透明基材の素材に係わらず、透明硬化膜の屈折率の調整が行いやすくなる。なお、「空隙率」とは、粒子に占める粒子内の空洞部の割合である。
上記シリカ粒子の空隙率は、透過型電子顕微鏡を用いることにより求めることができる。シリカ粒子の空洞部分は密度が低く、透過型電子顕微鏡写真において空洞部分のコントラストが低くなるため、シリカ粒子の外殻部分と空洞部分を確認することができる。上記顕微鏡写真から、最初に、シリカ粒子の最長径と最短径を測定し、その平均値をその粒子の粒子径として粒子形状を真球状と仮定した体積(V1)を求める。次に、その粒子の空洞部の最長径と最短径を測定し、その平均値をその空洞の径として、空洞部形状を真球状と仮定した体積(V2)を求める。空隙率は、体積(V1)に対する体積(V2)の割合で表すことができる。
上述したように上記シリカ粒子の形状は、所望する空隙率を有すれば、特に限定されない。真球形状であってもよいし、楕円形状であってもよい。
また、上記(h)成分の屈折率としては、1.20~1.60が好ましく、1.30~1.50がより好ましい。このような屈折率の小さいフィラーを用いることにより、情報表示装置用硬化膜の反射率が低減され、情報表示装置用硬化膜での光の反射が抑制される。たとえば、シリカ粒子、フッ化マグネシウム粒子、氷晶石粒子などは、上記範囲の屈折率を有する。
(h)成分の屈折率は、(h)成分を粉末状に処理したものと、屈折率が既知の標準屈折液を混合することにより得られた透明の混合液から求めることができる。この場合、上記混合液の標準屈折液の屈折率を(h)成分の屈折率とする。なお、(h)成分の屈折率は、アッベ屈折率計を用いて測定することができる。
本発明で使用するシリカ粒子、フッ化マグネシウム粒子、氷晶石微粒子は、気相反応または液相反応といった製造方法や、形状(球状、非球状)は特に制限されない。
また、上述したように、(g)成分としてフッ素含有化合物およびシリコーン系樹脂を使用するときは、これらのバインダーによって透明硬化膜の屈折率を所望の範囲に調整することができることがあるので、(h)成分が不要となることもある。一方で、(g)成分のみでは透明硬化膜の屈折率を所望の範囲に調整しにくいときは、透明硬化膜に無機フィラーおよび有機フィラーなどの(h)成分を含ませることが好ましい。つまり、透明硬化膜の屈折率を所望の範囲に調整する観点からは、透明硬化膜は、無機フィラー、有機フィラー、フッ素含有樹脂、及びシリコーン系樹脂のうち少なくとも1種を含むことが好ましい。
上記(h)成分は、透明硬化膜用樹脂組成物の固形分中に0質量%以上90質量%以下であればよく、10質量%以上90質量%以下含まれることが好ましく、15質量%以上90質量%以下含まれることがさらに好ましく、25質量%以上85質量%以下含まれることが特に好ましい。上記(h)成分の配合割合が0質量%以上90質量%以下であると、所定の範囲内の表面粗さの透明硬化膜を得ることができる。
また、上記(g)成分と上記(h)成分を併用する場合の配合割合は、重量比(g)/(h)で10/90以上75/25以下が好ましく、10/90以上60/40以下がより好ましい。上記(g)/(h)が10/90以上であると、基材との密着性を担保しやすく、また、上記(g)/(h)が、75/25以下であると、低反射特性を担保しやすい。
[(i)成分]
(i)成分は、溶剤である。(i)成分を含むことにより、上述の(g)及び(h)成分を含む液体状の樹脂組成物を得ることができる。
前記(i)成分として用いられる溶剤としては、前期(f)成分として挙げられた溶剤を特に制限することなく使用でき、これらを1種類のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
[その他の成分]
上記透明硬化膜用樹脂組成物には、必要に応じて、界面活性剤や、その他の有機顔料、染料等を配合することができる。
界面活性剤としては、着色硬化膜の界面活性剤の例として挙げた化合物を特に制限することなく使用でき、これらを1種類のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の含有量は、固形分の全質量に対して、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上1質量%以下がより好ましい。界面活性剤の含有量が固形分の全質量に対して、0.001質量%以上であると、透明硬化膜の所望する平滑性やベナードセルを抑制できる。5質量%以下であると、良好な塗膜物性を得ることができる。
有機顔料及び染料の例には、前期(d)成分として挙げられた有機顔料及び染料を特に制限することなく使用でき、これらを1種類のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
有機顔料及び染料の含有量は、固形分の全質量に対して、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、1質量%以上15質量%以下がより好ましい。有機顔料及び染料の含有量が固形分の全質量に対して、0.1質量%以上20質量%以下であると、所定の範囲内の表面粗さの透明硬化膜を得ることができる。
上記透明硬化膜用樹脂組成物は、上述の(g)~(i)成分を混合することにより得ることができる。
上記透明硬化膜用樹脂組成物は、(i)成分である溶剤に対し、上記(g)、(h)成分である固形分(固形分には硬化後に固形分となるモノマーを含む)を合計で0.1質量%以上5質量%以下含むことが好ましく、1質量%以上3質量%以下含むことが望ましい。
[第二の着色硬化膜]
また、上記情報表示装置用硬化膜は、上記着色硬化膜用組成物からなる硬化膜、及び、上記透明硬化膜用組成物からなる透明硬化膜の間に、第二の着色硬化膜を含んでもよい。第二の着色硬化膜は、上述の着色硬化膜と比較して光学濃度(OD)が小さく、低反射化あるいは反射色の色調整が可能である。
第二の着色硬化膜は有機顔料及び染料と、バインダー成分と、溶剤と、を含む樹脂組成物を硬化したものである。
第二の着色硬化膜用樹脂組成物に含まれる有機顔料及び染料、バインダー、溶剤は、(d)、(g)、及び(f)成分として挙げられたものを、特に制限することなく使用することができ、これらを1種類のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
有機顔料及び染料の含有量は、第二の着色硬化膜用樹脂組成物の固形分の全質量に対して、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、1質量%以上15質量%以下がより好ましい。有機顔料及び染料の含有量が固形分の全質量に対して、0.1質量%以上20質量%以下であると、所定の範囲内の表面粗さの第二の着色硬化膜を得ることができる。
上記バインダー成分は、第二の着色硬化膜用樹脂組成物の固形分中に10%以上90%以下含まれることが好ましく、14%以上75%以下であることがより好ましい。上記(g)成分の配合割合が10%以上90%以下であると、所定の範囲内の表面粗さの第二の着色硬化膜を得ることができる。
2.情報表示装置用硬化膜の製造方法
上記情報表示装置用硬化膜の製造方法について、以下に説明する。
本発明に係る画像上記情報表示装置用硬化膜の製造方法の一例は、(g)成分として光によって硬化する樹脂を用いる場合、(1)上述の着色硬化膜用感光性樹脂組成物を、透明基板上に塗布し、乾燥させて、上記着色硬化膜用感光性樹脂組成物の塗膜を形成する塗膜形成工程と、(2)上記塗膜の一部にフォトマスクを介して放射線を照射する露光工程と、(3)放射線を照射された塗膜を現像し、未露光部分を除去する現像工程と、(4)現像後の塗膜を加熱硬化する加熱硬化工程と、(5)加熱硬化後の塗膜を短波長の放射線で洗浄する洗浄工程と、(6)上述の透明硬化膜用組成物を、上述の着色硬化膜上に塗布し、乾燥させて、透明硬化膜を形成する透明硬化膜形成工程と、(7)上記塗膜の一部にフォトマスクを介して放射線を照射する露光工程と、(8)放射線を照射された塗膜を現像し、未露光部分を除去する現像工程と、(9)現像後の塗膜を加熱硬化する加熱硬化工程と、を含む。また、(2)~(5)を省き、着色膜と透明硬化膜を同時に露光及び現像してもよい。以下、各工程について説明する。
[塗膜形成工程]
塗膜形成工程は、上述の着色硬化膜用感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、乾燥させて、塗膜を形成する工程である。
上記基材は、公知のものを用いることができる。基材の例には、ガラス基板、シリコンウエハ、およびプラスチック基板(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド等)等の上にITOや金などの透明電極が蒸着あるいはパターニングされたものなどが含まれる。
感光性樹脂組成物の塗布方法は、公知の塗布方法を用いることができる。上記塗布方法の例には、公知の溶液浸漬法、スプレー法、ローラーコート機、ランドコート機、スリットコート機やスピナー機を用いる方法などが含まれる。これらの方法によって、上記感光性樹脂組成物を所望の厚さに塗布することができる。
上述の方法で塗布された感光性樹脂組成物の乾燥方法は、公知の乾燥方法を用いることができる。上記乾燥方法は、オーブン、熱風送風機、ホットプレート、赤外線ヒータ等による加熱、真空乾燥またはこれらの組み合わせることによって行うことができる。上記樹脂膜の加熱温度および加熱時間は使用する溶剤に応じて適宜選択することができる。上記加熱温度および加熱時間は、使用する溶剤に応じて適宜選択でき、例えば、60~110℃で、1~5分間行われることが好ましい。
[露光工程]
露光工程は、上述の塗膜層の一部にフォトマスクを介して放射線を照射し、上記塗膜(感光性樹脂組成物)のパターンに対応した部分を光硬化させる工程である。
上記フォトマスクは公知のものを用いることができる。フォトマスクの例には、ハーフトーンマスク、グレートーンマスク等の多階調マスクが含まれる。グレートーンマスクは、透光性を有する基板上に、遮光部および回折格子が形成される。回折格子はスリット、ドット、メッシュ等の光透過領域の間隔が、露光に用いる光の解像度限界以下の間隔であり、当該構成により、光の透過率を制御する。ハーフトーンマスクは、透光性を有する基板上に、遮光部および半透過部が形成される。半透過部により露光に用いる光の透過率を制御する。
露光工程における、露光装置およびその露光照射条件は適宜選択できる。照射される放射線の例には、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線およびX線などが含まれる。上記放射線の中では、紫外線であることが好ましい。また、放射線を照射する装置には、公知の露光装置(超高圧水銀灯、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、遠紫外線灯等)を用いることができる。また、照射する放射線の波長は250nm以上400nm以下であることが好ましい。放射線の露光量は、25mJ/cm以上3000mJ/cm以下であることが好ましい。
[現像工程]
現像工程は、放射線が照射された塗膜をアルカリ現像し、未露光部の塗膜を除去する工程である。
塗膜の現像方法の例には、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、およびパドル(液盛り)現像法などが含まれる。なお、上記現像方法は、市販の現像機や超音波洗浄機等を用いて行うことができる。
また、現像に適した現像液の例には、アルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩の水溶液、アルカリ金属の水酸化物の水溶液等が含まれる。これらの中では、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等の炭酸塩を0.05~3質量%含有する弱アルカリ性水溶液を用いて23~28℃の温度で行うことが好ましい。なお、現像工程では、市販の現像機や超音波洗浄機等を用いることができる。
[加熱硬化工程]
加熱硬化工程は、現像後の露光部(塗膜)を熱処理して、本硬化(ポストベーク)する工程である。
現像後の露光部(塗膜)を加熱する方法は、公知の方法(オーブン、熱風送風機、ホットプレート、赤外線ヒータ等による加熱、真空乾燥またはこれらの組み合わせ)によって行うことができる。加熱温度は、塗膜が本硬化(ポストベーク)する温度であれば特に制限されない。加熱温度は、60~250℃の温度で20~60分間行われることが好ましい。
[洗浄工程]
洗浄工程は、加熱硬化後の塗膜を短波長の放射線で洗浄し、塗膜表面の有機汚染物質を除去する工程である。
洗浄方法は、例えば低圧水銀ランプによる184.9nm並びに253.7nmの波長の紫外線を照射し、1000mJ照射する方法を用いることができる。
[透明硬化膜形成工程]
透明硬化膜形成工程は、上述の透明硬化膜用組成物を、上述の着色硬化膜上に塗布し、乾燥させて、さらに本硬化(ポストベーク)することで、透明硬化膜を形成する工程である。
透明硬化膜用組成物の塗布方法は、上述の着色硬化膜用組成物同様、公知の塗布方法を用いることができる。
上述の方法で塗布された組成物の乾燥方法は、上述の着色硬化膜用組成物同様、公知の方法を用いることができる。上記樹脂膜の加熱温度および加熱時間は使用する溶剤に応じて適宜選択することができる。
[露光工程]
露光工程は、上述の塗膜層の全部または、フォトマスクを介して一部に放射線を照射し、上記塗膜(感光性樹脂組成物)のパターンに対応した部分を光硬化させる工程である。
上記フォトマスクは、上述の着色硬化膜用組成物同様、公知のものを用いることができる。露光工程における、露光装置およびその露光照射条件も、上述の着色硬化膜用組成物同様、適宜選択できる。
[現像工程]
現像工程は、放射線が照射された塗膜をアルカリ現像し、未露光部の塗膜を除去する工程である。なお、(7)の露光工程で塗膜層の全部を光硬化させた場合は、現像工程は省略する。
塗膜の現像には、上述の着色硬化膜用組成物同様の方法を用いることができる。また、現像に適した現像液の例も、上述の着色硬化膜用組成物同様である。
[加熱硬化工程]
加熱硬化工程は、現像後の露光部(塗膜)を熱処理して、本硬化(ポストベーク)する工程である。上述の方法で乾燥された塗膜の本硬化の方法は、上述の着色硬化膜用組成物同様、公知の方法を用いることができる。
なお、RGBの硬化膜を形成するタイミングは、(1)あるいは(6)の工程の前、あるいは(9)の工程の後でもよく、任意に選択できる。
本発明に係る画像上記情報表示装置用硬化膜の製造方法は、(g)成分として熱によって硬化する樹脂を用いる場合、これには限定されないものの、(1)上述の着色硬化膜用感光性樹脂組成物を、透明基板上に塗布し、乾燥させて、上記着色硬化膜用感光性樹脂組成物の塗膜を形成する塗膜形成工程と、(2)上記塗膜の一部にフォトマスクを介して放射線を照射する露光工程と、(3)放射線を照射された塗膜を現像し、未露光部分を除去する現像工程と、(4)現像後の塗膜を加熱硬化する加熱硬化工程と、(5)加熱硬化後の塗膜を短波長の放射線で洗浄する洗浄工程と、(6)上述の透明硬化膜用組成物を、上述の着色硬化膜上に塗布し、乾燥させて、透明硬化膜を形成する透明硬化膜形成工程と、(7‘)上記塗膜に加熱硬化処理を施す加熱硬化工程と、を含む。以下、(g)成分として光によって硬化する樹脂を用いる場合とは異なる(7’)の工程について説明する。
[加熱硬化工程]
加熱硬化工程は、透明硬化膜を本硬化(ポストベーク)する工程である。
加熱する方法は、上述の着色硬化膜用組成物同様、公知の方法によって行うことができる。加熱温度は、塗膜が本硬化(ポストベーク)する温度であれば特に制限されない。加熱温度は、60~250℃の温度で20~60分間行われることが好ましい。
3.最適膜厚算出のためのシミュレーション
情報表示装置用硬化膜の反射率がある目標値以下となるような透明硬化膜の屈折率と膜厚の最適な組み合わせは、着色硬化膜、透明硬化膜それぞれの屈折率(n)と消衰係数(k)を考慮し、光学薄膜解析手法に基づくシミュレーションにて算出することができる。シミュレーションソフトには、例えば「Essential Macleod」を用いる。そのシミュレーション結果を基に、目標の屈折率になるように透明硬化膜の組成を調整し、その組成物を用いて硬化物を形成することで、上述した透明硬化膜を得ることができる。
前記手法に基づく反射率シミュレーションでは、透明硬化膜表面での反射光と、透明硬化膜と着色硬化膜との界面での反射光との干渉効果を考慮して、波長毎の反射率R(λ)が計算される。算出されたR(λ)に標準分光視感効率V(λ)を乗じ、その最大値を反射率Y(視感反射率)として算出する。そして、得られた反射率Yが所望の程度になるように、着色硬化膜の屈折率、透明硬化膜の屈折率、それぞれの硬化膜の膜厚およびそれぞれの硬化膜の消衰係数(k)を決定し、これらを満たす硬化膜が得られるように、着色硬化膜および透明硬化膜の組成を決定すればよい。
4.情報表示装置用硬化膜
本発明の他の実施形態に関する情報表示装置用硬化膜は、上述の着色硬化膜用感光性樹脂組成物と透明硬化膜用組成物を硬化してなる。上記硬化膜は、有機ELパネルや液晶表示装置などのカラーフィルターまたはブラックレジストとして使用することができる。また、Mini-LEDやμLEDにおける光変換層の隔壁などに使用することもできる。特に、外光反射による視認性の低下が問題となりやすい有機ELパネルでは、本発明による外光反射の低減による視認性の向上効果が顕著である。
たとえば、上記情報表示装置用硬化膜は、有機ELパネルにおける外光反射防止を目的として、従来の円偏光板のかわりに使用するカラーフィルターおよびブラックレジストとすることができる。これにより、円偏光板が有機ELからの光を過剰に吸収することによる発光効率の低下を抑制し、かつ円偏光板よりも厚みを小さくできるので有機ELパネルをより薄くすることができる。
以下、実施例および比較例に基づいて、本発明の実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
先ず、本発明の(a)成分であるアルカリ可溶性樹脂の合成例から説明するが、合成例における樹脂の評価は、断りのない限り以下の通りに行った。
なお、各種測定機器について、同一の機種を使用した場合には、2か所目から機器メーカー名を省略している。また、実施例において、測定用硬化膜付き基板の作製に使用しているガラス基板は、全て同じ処理を施して使用している。また、各成分の含有量について、小数第一位が0であるときは、小数点以下の表記を省略することがある。
[固形分濃度]
固形分濃度は、合成例中で得られた樹脂溶液1gをガラスフィルター〔重量:W(g)〕に含浸させた重量〔W(g)〕、および160℃にて2時間加熱した後の重量〔W(g)〕を用いて次式より求めた。
固形分濃度(重量%)=100×(W-W)/(W-W
[酸価]
酸価は、樹脂溶液をジオキサンに溶解させ、電位差滴定装置「COM-1600」(平沼産業株式会社製)を用いて1/10N-KOH水溶液で滴定して求めた。
[分子量]
分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)「HLC-8220GPC」(東ソー株式会社製、溶媒:テトラヒドロフラン、カラム:TSKgelSuper H-2000(2本)+TSKgelSuper H-3000(1本)+TSKgelSuper H-4000(1本)+TSKgelSuper H-5000(1本)(東ソー株式会社製)、温度:40℃、速度:0.6ml/min)にて測定し、標準ポリスチレン(東ソー株式会社製、PS-オリゴマーキット)換算値として重量平均分子量(Mw)を求めた。
以下、合成例等で使用する略号は次のとおりである。
BPFE :ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(一般式(1)の化合物に示されるWがフルオレン-9,9-ジイル基であり、RおよびRが水素であり、nは0~0.15であるエポキシ化合物)
AA :アクリル酸
BPDA :3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
THPA :1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物
TEAB :臭化テトラエチルアンモニウム
PGMEA :プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
BzMA :ベンジルメタクリレート
DCPMA :ジシクロペンタニルメタクリレート
GMA :グリシジルメタクリレート
St :スチレン
AIBN :アゾビスイソブチロニトリル
TDMAMP:トリスジメチルアミノメチルフェノール
HQ :ハイドロキノン
THPA :テトラヒドロ無水フタル酸
TEA :トリエチルアミン
[合成例1]
還留冷却器付き500mLの四つ口フラスコ中に、BPFE(114.4g、0.23モル)、AA(33.2g、0.46モル)、PGMEA(157g)およびTEAB(0.48g)を仕込み、100~105℃で20時間撹拌して反応させた。次いで、フラスコ内にBPDA(35.3g、0.12モル)、THPA(18.3g、0.12モル)を仕込み、120~125℃で6時間撹拌し、重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂溶液(a)(重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂溶液(g)-1でもある)を得た。樹脂溶液の固形分濃度は56.5質量%であり、酸価(固形分換算)は103mgKOH/gであり、GPC分析によるMwは3600であった。
[合成例2]
還留冷却器付き1Lの四つ口フラスコ中に、PGMEA 300gを入れ、フラスコ系内を窒素置換した後120℃に昇温した。このフラスコ中にモノマー混合物(BzMA35.2g(0.20モル)、DCPMA77.1g(0.35モル)、GMA49.8g(0.35モル)、St 10.4g(0.10モル)にAIBN10gを溶解した混合物)を滴下ロートから2時間かけて滴下し、さらに120℃で2時間撹拌し、共重合体溶液を得た。
次いで、フラスコ系内を空気に置換した後、得られた共重合体溶液にAA24.0g(グリシジル基の95%)、TDMAMP0.8g及びHQ 0.15gを添加し、120℃の加熱下で6hr撹拌し、重合性不飽和基含有共重合体溶液を得た。
さらに、得られた重合性不飽和基含有共重合体溶液にTHPA 45.7g(AA添加モル数の90%)、TEA 0.5gを加え120℃で4時間反応させ、重合性不飽和基含有アルカリ可溶性共重合体樹脂溶液(g)-2を得た。樹脂溶液の固形分濃度は46質量%であり、酸価(固形分換算)は68mgKOH/gであり、GPC分析によるMwは7900であった。
表1~表3に記載の配合量(単位は質量%)で実施例1~16、比較例1~3の着色硬化膜用組成物、及び、透明硬化膜用組成物を調製した。表1~表3中で使用した配合成分は以下のとおりである。なお、表1~表3中の(g)~(h)の配合量は、固形分のみの量を表す。
(アルカリ可溶性樹脂)
(a):上記合成例1で得られた樹脂溶液(固形分濃度56.5質量%)
(光重合性化合物)
(b):ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート混合物 M-450、(東亜合成株式会社製)
(光重合開始剤)
(c):アデカアクールズ NSI-831(株式会社ADEKA製)
(着色剤)
(d):カーボンブラック濃度25質量%、高分子分散剤濃度13.2質量%のPGMEA溶剤の顔料分散液(固形分38.2%)
(カップリング剤)
(e): 信越シリコーン製 KBE-9007N
(溶剤)
(f)-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(f)-2:ジエチレングリコールジメチルエーテル
(バインダー)
(g)-1:上記合成例1で得られた樹脂溶液(固形分濃度56.5質量%)
(g)-2:上記合成例2で得られた樹脂溶液(固形分濃度46質量%)
(g)-3:ライトエステル M-3F(共栄社化学株式会社製)
(g)-4:セロキサイド2021P(株式会社ダイセル製)
(g)-5:無水トリメリット酸
(屈折率調整剤)
(h)-1:中空シリカPGMEA分散液(平均粒子径100nm、空隙率26体積%、屈折率1.34)
(h)-2:中実シリカPGMEA分散液「YC100C」(株式会社アドマテックス製、平均粒子径100nm、空隙率0体積%、屈折率1.46)
(h)-3:中実シリカPGMEA分散液「YA010C」(株式会社アドマテックス製、平均粒子径10nm、空隙率0体積%、屈折率1.46)
(h)-4:中実シリカPGMEA分散液「SIRPMA-H98」(CIKナノテック株式会社製、平均粒子径125nm、空隙率0体積%、屈折率1.46)
(h)-5:フッ化マグネシウムPGMEA分散液(平均粒子径47nm、屈折率1.38)
(h)-6:氷晶石PGMEA分散液(平均粒子径50nm、屈折率1.34)
(溶剤)
(i):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
Figure 2023024297000006
Figure 2023024297000007
Figure 2023024297000008
[評価]
(膜厚、光学濃度(OD)及び反射率評価用の情報表示装置用硬化膜の作製)
(着色硬化膜の作製)
表1~表3に示される着色硬化膜用感光性樹脂組成物を、125mm×125mmのガラス基板(コーニング社製「#1737」)(以下「ガラス基板」という)上に、加熱硬化処理後の膜厚が1.0μmまたは10μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、90℃で1分間プリベークをして乾燥膜を作製した。その後、ネガ型フォトマスクを用いずに、超高圧水銀ランプ(波長365nm、i線照度30mW/cm)で100mJ/cmの紫外線を照射して、感光部分を光硬化反応(露光)させ、熱風乾燥機を用いて230℃、30分間本硬化(ポストベーク)し、着色硬化膜(塗膜)付き基板を得た。
(透明硬化膜の作製)
上記の着色硬化膜上に、表1~表3に示される透明硬化膜用樹脂組成物を、加熱硬化処理後の膜厚が100nmまたは125nmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、90℃で1分間プリベークをして乾燥膜を作製した。その後、熱風乾燥機を用いて実施例1~14については、230℃、30分間本硬化(ポストベーク)し、実施例15~16については、85℃、60分間本硬化(ポストベーク)し、情報表示装置用硬化膜の光学濃度及び反射率評価用の硬化膜(塗膜)付き基板を得た。
(光学濃度(OD)及び、屈折率測定用の着色硬化膜の作製)
情報表示装置用硬化膜の硬化膜を作製する際の着色硬化膜(塗膜)の作製方法と同様の方法で作製した。
(光学濃度(OD)及び、屈折率測定用の透明硬化膜の作製)
表1~表3に示される透明硬化膜用樹脂組成物を、125mm×125mmのガラス基板上に、加熱硬化処理後の膜厚が100nmまたは125nmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、90℃で1分間プリベークをして乾燥膜を作製した。その後、熱風乾燥機を用いて実施例1~14については、230℃、30分間本硬化(ポストベーク)し、実施例15~16については、85℃、60分間本硬化(ポストベーク)し、光学特性評価用の硬化膜(塗膜)付き基板を得た。
(低温硬化性評価用の着色硬化膜の作製)
情報表示装置用硬化膜の硬化膜を作製する際の着色硬化膜(塗膜)の作製方法と同様の方法で作製した。
(低温硬化性評価用の透明硬化膜の作製)
表1~表3に示される透明硬化膜用樹脂組成物を、125mm×125mmのガラス基板上に、加熱硬化処理後の膜厚が100nmまたは125nmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、90℃で1分間プリベークをして乾燥膜を作製した。その後、熱風乾燥機を用いて85℃、60分間本硬化(ポストベーク)し、光学特性評価用の硬化膜(塗膜)付き基板を得た。
[膜厚測定]
(評価方法)
段差計(KLA-Tencor社製「テンコールP-17」)を用い、測定範囲500μm、走査速度50μm/秒、サンプリングレート20Hzの条件で、ガラス基板表面と着色硬化膜表面との段差を測定し、その平均値を着色硬化膜の平均厚さとした。また、同様の条件で、ガラス基板表面と透明硬化膜表面との段差を測定し、その平均値を着色硬化膜と透明硬化膜とからなる情報表示装置用硬化膜の平均厚さとした。この情報表示装置用硬化膜の平均厚さから前記着色硬化膜の平均厚さを差引くことによって透明硬化膜の平均厚さ(=情報表示装置用硬化膜の平均厚さ-着色硬化膜の平均厚さ)を求めた。
[光学濃度(OD)評価]
(評価方法)
透過濃度計「X-rite社製「X-rite 361T(V)」」を用いて光学濃度(OD)を測定した。上記の測定した膜厚と光学濃度(OD)から膜厚1μmあたりの光学濃度(OD)を算出した。
[屈折率]
(評価方法)
分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製「alpha-SE」)を用いて、本硬化(ポストベーク)後の膜を65°、70°、75°の角度から測定後、解析を行い、屈折率を算出した。入射光が550nmの屈折率の値で評価した。
[反射率測定]
(評価方法)
各実施例等で得られた情報表示装置用硬化膜が積層されたガラス基板を用いて、情報表示装置用硬化膜面側から、分光測色計(株式会社日立ハイテクサイエンス製「UH4150」)を用いて、C光源、2°視野、波長範囲380~780nmの条件で反射率[%]を測定し、評価した。
(評価基準)
◎:反射率が1%以下
〇:反射率が1%超3%以下
△:反射率が3%超5%以下
×:反射率が5%超
[低温硬化性]
(評価方法)
PGMEAに浸漬したウエスで透明硬化膜表面を連続して20往復擦り、表面状態を観察した。
(評価基準)
〇:塗膜表面に溶解が見られず、傷がついていない場合
×:塗膜表面が溶解或いは、軟化して傷が付いた場合
[表面粗度]
(評価方法)
触針式段差形状測定装置(KLA-Tencor社製「テンコールP-17」)を用いて、測定範囲500μm、走査速度10μm/秒、サンプリングレート100Hzの条件で、透明硬化膜表面の凹凸形状を測定して粗さ曲線を求め、この粗さ曲線において無作為に抽出した0.1mmの部分について粗さの算術平均値を求め、表面粗度(Ra)とした。
(評価基準)
〇:ポストベーク後の塗膜の表面粗度の値が、200Å未満
×:ポストベーク後の塗膜の表面粗度の値が、200Å以上
上記評価結果を表4~表6に示す。
Figure 2023024297000009
Figure 2023024297000010
Figure 2023024297000011
表4~表6から明らかなように、着色硬化膜と、透明硬化膜と、を含む、情報表示装置用硬化膜であって、着色硬化膜が、膜厚1μm当たりの光学濃度(OD)が0.1μm―1以上5μm―1以下、屈折率nが1.30以上2.00以下、かつ、膜厚が0.5μm以上50μm以下であり、透明硬化膜が、膜厚が20nm以上250nm以下であり、前記透明硬化膜の屈折率をnとすると、nが1より大きく、かつn/nが1.00より大きく2.00未満を満たすものは、反射率が低く、同時に高遮光であった。
本発明は、高遮光であり、同時に反射率も低くできるため、ディスプレイの外光反射を効率的に抑制することができる。本発明は、各種情報表示装置、特には外光反射が問題となりやすい有機ELパネルに好適に使用できる。

Claims (10)

  1. 着色硬化膜と、
    透明硬化膜と、
    を含む、情報表示装置用硬化膜であって、
    前記着色硬化膜は、膜厚1μm当たりの光学濃度(OD)が0.1μm―1以上5μm―1以下、屈折率nが1.30以上2.00以下、かつ、膜厚が0.5μm以上50μm以下であり、
    前記透明硬化膜は、膜厚が20nm以上250nm以下であり、
    前記透明硬化膜の屈折率をnとすると、nは1.00より大きく、かつn/nが1.00より大きく2.00未満を満たすことを特徴とする情報表示装置用硬化膜。
  2. 前記透明硬化膜が、無機フィラー、有機フィラー、フッ素含有樹脂、及びシリコーン系樹脂からなる群から選択される1種類以上を含有することを特徴とする、請求項1に記載の情報表示装置用硬化膜。
  3. 前記透明硬化膜が、屈折率1.20~1.60のフィラー成分を含有することを特徴とする、請求項2に記載の情報表示装置用硬化膜。
  4. 前記透明硬化膜が、平均粒子径150nm以下の、シリカ粒子、フッ化マグネシウム粒子及び氷晶石粒子からなる群から選択される1種類以上を固形分中に10~90質量%含有し、さらに、熱または光によって硬化するバインダー成分を固形分中に10~90質量%含有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の情報表示装置用硬化膜。
  5. 前記着色硬化膜が、黒色硬化膜であることを特徴とする、請求項4に記載の情報表示装置用硬化膜。
  6. 前記着色硬化膜は、膜厚1μm当たりの光学濃度(OD)が2μm―1以上5μm―1以下、屈折率nが1.60以上1.90以下であり、
    前記透明硬化膜の屈折率をnとすると、n/nが1.00より大きく1.70未満を満たすことを特徴とする、請求項4に記載の情報表示装置用硬化膜。
  7. 前記着色硬化膜と前記透明硬化膜の間に、第二の着色硬化膜を有することを特徴とする、請求項4に記載の情報表示装置用硬化膜。
  8. 前記透明硬化膜を形成することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の情報表示装置用硬化膜が有する前記透明硬化膜を形成するための透明硬化膜用組成物であって、
    無機フィラー、有機フィラー、フッ素含有樹脂、及びシリコーン系樹脂からなる群から選択される1種類以上と、
    溶媒と、
    を含有することを特徴とする、透明硬化膜用組成物。
  9. 請求項1~3のいずれか1項に記載の情報表示装置用硬化膜を有する情報表示装置。
  10. 前記情報表示装置用硬化膜を含む有機ELパネルを有する、請求項9に記載の情報表示装置。
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