JP2023095184A - 作業車 - Google Patents

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敦郎 速水
Atsuro Hayami
啓太郎 森永
Keitaro Morinaga
瑶水 西島
Yosui Nishijima
悟留 永野
Satoru Nagano
拓真 保気口
Takuma Hokiguchi
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Abstract

【課題】差動機構を収容するミッションケースが備えられた作業車において、簡素な構造の潤滑装置でありながら、低速走行時には、差動機構の潤滑油への入り込みを深くし、高速走行時には、差動機構の潤滑油への入り込みを浅くすることを可能にする。【解決手段】ミッションケース内の差動機構22が位置する第1空間部A1と、第1空間部A1に隣り合う第2空間部A2とが区画壁75によって区画されている。区画壁75よりも上側に、リングギヤ22bの回転によって第1空間部A1から掻き上げられた潤滑油を第2空間部A2に流入させる上空間76が設けられている。上空間76よりも下側に、第2空間部A2の潤滑油を第1空間部A1に流出させる流出路86が設けられている。流出路86の流通面積を調節可能な面積調節部100が備えられている。【選択図】図5

Description

作業車には、動力源からの動力を変速して出力するギヤミッションと、水平方向に沿う回転軸芯の周りに回転可能なリングギヤを有し、前記ギヤミッションから入力された動力を走行装置に伝達する差動機構と、前記ギヤミッションおよび前記差動機構を収容するミッションケースと、が備えられたものがある。
この種の作業車では、低速走行時には、差動機構がミッションケース内の潤滑油に深く入り込んでも、差動機構が低速回転で潤滑油を撹拌し、差動機構が潤滑油の撹拌によって受ける抵抗が弱いので、差動機構が潤滑油に深く入り込んでいて差動機構が潤滑される方が好ましい。高速走行時には、差動機構が潤滑油に深く入り込んでいると、差動機構が高速回転で潤滑油を撹拌し、差動機構が潤滑油の撹拌によって受ける抵抗が強くなって駆動力の損失が大きくなるので、差動機構の潤滑油への入り込みが浅い方が好ましい。
特許文献1に示されるパワートレーンの潤滑装置では、ディファレンシャル室にオイルを供給するオイルポンプ、ギヤケースのオイルパンとディファレンシャル室の下部とを接続するパイプ、パイプに設けたバルブが備えられ、バルブの閉じ状態では、ディファレンシャル室に供給されたオイルがディファレンシャル室の下部に溜まったままになり、バルブの開き状態では、ディファレンシャル室の下部に溜まったオイルがオイルパンに流出するように構成されている。バルブを開閉することにより、車速が高い場合は低い場合に比べてディファレンシャル室の油面を低くすることが可能にされている。
特許第4701820号公報
従来の潤滑技術の場合、オイルポンプが必要になるので、潤滑装置が複雑な構造になりがちである。
本発明は、簡素な構造の潤滑装置でありながら、低速走行時には、差動機構の潤滑油への入り込みを深くし、高速走行時には、差動機構の潤滑油への入り込みを浅くすることが可能な作業車を提供する。
本発明による作業車は、
動力源からの動力を変速して出力するギヤミッションと、水平方向に沿う回転軸芯の周りに回転可能なリングギヤを有し、前記ギヤミッションから入力された動力を走行装置に伝達する差動機構と、前記ギヤミッションおよび前記差動機構を収容するミッションケースと、前記ミッションケースの内部空間のうち前記差動機構が位置する第1空間部と、前記内部空間のうち前記第1空間部に隣り合う第2空間部と、前記第1空間部と前記第2空間部とを区画する区画壁と、前記区画壁よりも上側に設けられ、前記リングギヤの回転によって前記第1空間部から掻き上げられた潤滑油を前記第2空間部に流入させる上空間と、前記上空間よりも下側に設けられ、前記第2空間部に位置する潤滑油を前記第1空間部に流出させる流出路と、前記流出路の流通面積を調節可能な面積調節部と、が備えられている。
本構成によると、低速走行時には、高速走行時に比べ、リングギヤが低速回転し、リングギヤによって第1空間部から掻き上げられて上空間を通って第2空間部に流入する潤滑油の量が少なくなり、高速走行時には、低速走行時に比べ、リングギヤが高速回転し、リングギヤによって第1空間部から掻き上げられて上空間を通って第2空間部に流入する潤滑油の量が多くなるので、第2空間部から流出路を通って第1空間部に流出する潤滑油の量が適量になるように流出路の流通面積を設定することにより、低速走行時には、高速走行時に比べ、第2空間部に溜まる潤滑油の量が少なくなって第1空間部における潤滑油の油面の位置が高くなり、高速走行時には、低速走行時に比べ、第2空間部に溜まる潤滑油の量が多くなって第1空間部における潤滑油の油面の位置が低くなるようにできる。たとえば、潤滑油の温度変化、使用する潤滑油の変更などによって潤滑油の粘度が変化しても、流出路の流通面積を面積調節部によって調節し、第2空間部から流出路を通って第1空間部に流出する潤滑油の量を適量に調節することができる。つまり、低速走行時には、差動機構を潤滑油に深く入り込ませることができ、高速走行時には、差動機構が潤滑油に入り込む深さを浅くすることができる。第1空間部の潤滑油を第2空間部に移すポンプにリングギヤを活用し、第2空間部から第1空間部への潤滑油の流出を潤滑油のヘッド差によって行わせ得るので、潤滑装置の構造を簡素に済ませることができる。
本発明においては、
前記区画壁の上部を昇降調節可能な壁調節部が備えられていると好適である。
本構成によると、壁調節部によって区画壁の上部を上昇側に調節することにより、区画壁の上部の位置を高くし、第2空間部における潤滑油の滞留が可能な容積を大きく調節でき、壁調節部によって区画壁の上部を下降側に調節することにより、区画壁の上部の位置を低くし、リングギヤによって掻き上げられた潤滑油が区画壁を乗り越え易いようにできるので、リングギヤの回転速度が速い高速走行の場合、遅い場合に比べ、リングギヤによって掻き上げられる潤滑油の量が多くても、第2空間部に多量の潤滑油を滞留させることができて第1空間部における潤滑油の油面の高さを低くすることができ、リングギヤの回転速度が遅い高速走行の場合、速い場合に比べ、リングギヤによって掻き上げられる潤滑油の掻き上げ高さが低くても、掻き上げられた潤滑油を第2空間部に流入し易くして第2空間部に潤滑油を滞留させることができて第1空間部における潤滑油の油面の高さを低くすることができる。
本発明においては、
前記リングギヤと前記区画壁との間に上下向き姿勢で設けられ、前記リングギヤによって撹拌される潤滑油を前記区画壁の上に向かって流動するように案内する第1案内部が備えられていると好適である。
本構成によると、リングギヤによって掻き上げられた潤滑油が第1案内部によって区画壁の上に向かって流動するように案内されるので、リングギヤによって掻き上げられる潤滑油を第2空間部に流入し易くできる。
本発明においては、
前記リングギヤの下方に前記リングギヤの回転方向に延びる状態で設けられ、前記リングギヤによって撹拌される潤滑油を前記第1案内部に向かって流れるように案内する第2案内部が備えられ、前記第2案内部の前記リングギヤの回転方向下手側に位置する端部と、前記第1案内部の下端部と、が接続されていると好適である。
本構成によると、リングギヤの下部において撹拌された潤滑油が第2案内部によって第1案内部に向けて流れるように案内され、第1案内部に向けて流れる潤滑油が第2案内部と第1案内部との間からの漏れ出ないので、リングギヤの下部において撹拌される潤滑油を第2空間部に流入し易くできる。
本発明においては、
前記リングギヤの下部における両横側部のうち前記リングギヤの歯部が位置する側の横側部に対向する位置に前記リングギヤの回転方向に延びる状態で設けられ、前記リングギヤによって撹拌される潤滑油を前記第1案内部に向かって流れるように案内する第3案内部が備えられ、前記第3案内部の前記第2案内部側の端部と、前記第2案内部の前記第3案内部側の横端部と、が接続され、前記第3案内部の前記リングギヤの回転方向下手側に位置する端部と、前記第1案内部の前記第3案内部側の横端部と、が接続されていると好適である。
本構成によると、リングギヤの下部において撹拌された潤滑油が第2案内部と第3案内部との間から漏れ出ないで第2案内部および第3案内部によって第1案内部に向けて流れるように案内され、第1案内部に向けて流れる潤滑油が第2案内部と第1案内部との間および第3案内部と第1案内部の間から漏れ出ないので、リングギヤの下部において撹拌される潤滑油を第2空間部に流入し易くできる。
本発明においては、
前記区画壁は、前記リングギヤによって撹拌される潤滑油を前記第2空間部に向けて流動させる案内を行うように傾斜姿勢で備えられていると好適である。
本構成によると、潤滑油を前記第2空間部に向けて流動させる案内機能を区画壁が備えるので、区画壁を案内部材に活用して潤滑油を第2空間部に流入し易くできる。
本発明においては、
前記リングギヤに歯部とは別に設けられ、前記第1空間部に位置する潤滑油を前記第2空間部に向けて送る油送り部が備えられていると好適である。
本構成によると、第1空間部に位置する潤滑油がリングギヤの歯部の他、油送り部によっても第2空間部に向けて送られるので、潤滑油を第2空間部に流入し易くできる。
本発明においては、
前記第2空間部の上部に、前記動力源からの動力を動力取出軸に伝達する入り状態と、前記動力源から前記動力取出軸への動力伝達を絶つ切り状態とに切換え可能なクラッチが備えられていると好適である。
本構成によると、クラッチに冷却用に供給され、クラッチから漏下した潤滑油が第2空間部に入り込み、第2空間部から流出路を介して第1空間部に流出するので、差動機構のための特別な給油回路を備えなくても差動機構に給油することができる。
本発明においては、
前記第2空間部に、前記クラッチと前記動力取出軸とを連動させるギヤ連動機構が設けられていると好適である。
本構成によると、リングギヤによって潤滑油が送り込まれ、かつ、クラッチから潤滑油が補給される第2空間部にギヤ連動機構が位置するので、ギヤ連動機構のための特別な給油回路を備えなくてもギヤ連動機構に潤滑油を供給することができる。
トラクタの全体を示す側面図である。 動力伝達装置の線図である。 無段変速装置の変速状態と、速度レンジと、段階分け伝動部の出力軸の回転速度との関係を示す説明図である。 ミッションケースの断面図である。 リングギヤ、区画壁、上空間および流出路を示す側面図である。 区画壁、上空間および流出路を示す背面図である。 後輪差動機構および案内部材を示す背面図である。 案内部材の斜視図である。 高速走行時における潤滑油の滞留状態を示す断面図である。 低速走行時における潤滑油の滞留状態を示す断面図である。 別の実施形態の潤滑装置を示す側面図である。 さらに別の実施形態の潤滑装置を示す背面図である。
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、トラクタ(「作業車」の一例)の走行車体に関し、図1,4,5などに示される矢印Fの方向を「車体前方」、矢印Bの方向を「車体後方」、矢印Uの方向を「車体上方」、矢印Dの方向を「車体下方」、矢印Lの方向を「車体左方」、矢印Rの方向を「車体右方」とする。
〔トラクタの全体の構成〕
図1に示されるように、トラクタの走行車体は、エンジン1、エンジン1の後部に備えられたフライホィールハウジング2に前部が連結されたミッションケース3、エンジン1の下部に連結された前部フレーム4などによって構成された車体フレーム5、車体フレーム5の前部に操向かつ駆動可能に備えられた走行装置としての左右一対の前車輪6、車体フレーム5の後部に駆動可能に備えられた走行装置としての左右一対の後車輪7を有している。走行車体の前部に、エンジン1を有する原動部8が形成されている。走行車体の後部に、運転部9が形成されている。運転部9には、運転座席10、前車輪6を操向操作するステアリングホィール11、搭乗空間を覆うキャビン12が備えられている。車体フレーム5の後部に、ロータリ耕耘装置(図示せず)などの各種の作業装置を昇降操作可能に連結するリンク機構13、連結された作業装置にエンジン1からの動力を伝達する動力取出軸14が備えられている。
〔動力伝達装置〕
図2は、エンジン1の動力を前車輪6、後車輪7および動力取出軸14に伝達する動力伝達装置15を示す線図である。図1,2に示されるように、動力伝達装置15は、エンジン1の後部に備えられたフライホィールハウジング2に前部が連結されたミッションケース3を備えている。ミッションケース3は、図1に示されるように、ミッションケース3の前後方向と走行車体の前後方向とが一致する状態で走行車体に備えられる。ミッションケース3は、フライホィールハウジング2に前部が連結する前ケース部3aと、前ケース部3aの後部に前部が連結する中ケース部3bと、中ケース部3bの後部に前部が連結する後ケース部3cとに分割可能に構成されている。
図2に示されるように、ミッションケース3には、エンジン1からの動力が入力され、入力された動力を変速して前車輪6及び後車輪7に向けて出力するギヤミッション15M、後輪差動機構22、および、エンジン1からの動力を動力取出軸14に伝達する作業動力伝達装置70が収容されている。
ギヤミッション15Mは、図2に示されるように、動力源としてのエンジン1の出力軸1aの動力が主クラッチ16を介して伝達され、伝達された動力をミッションケース3に入力する入力軸17、入力軸17に連結された主変速部18、主変速部18の出力が入力される段階分け伝動部19、段階分け伝動部19の出力が入力される前後進切換装置20、前後進切換装置20の出力を後輪差動機構22に伝達する第1ギヤ連動機構21、および、前後進切換装置20の出力が第1ギヤ連動機構21を介して伝達される前輪伝動装置26を備えている。
主変速部18は、図2に示されるように、遊星ギヤ装置18Aおよび無段変速装置18Bを備えている。
遊星ギヤ装置18Aは、ミッションケース3の前後方向に並ぶ二つの遊星ギヤ装置部50,60を備えている。以下において、二つの遊星ギヤ装置部50,60のうちの前の遊星ギヤ装置部50を第1遊星ギヤ装置部50と称し、二つの遊星ギヤ装置部50,60のうちの後の遊星ギヤ装置部60を第2遊星ギヤ装置部60と称して説明する。
第1遊星ギヤ装置部50に、第1遊星ギヤ装置部50の遊星ギヤ52に噛み合う伝動ギヤ(図示せず)が備えられ、第1遊星ギヤ装置部50と第2遊星ギヤ装置部60とにわたり、伝動ギヤと第2遊星ギヤ装置部の遊星ギヤ62とを連動連結する連結部材(図示せず)が設けられている。第1遊星ギヤ装置部50のキャリヤ54と、第2遊星ギヤ装置部60のキャリヤ64とは、一体回転可能に連結されている。遊星ギヤ装置18Aは、複合遊星ギヤ装置によって構成されている。
無段変速装置18Bは、静油圧式の無段変速装置によって構成され、可変容量型の油圧ポンプP、および油圧モータMを備えている。
主変速部18においては、入力軸17の動力が前回転軸31および第2ギヤ連動機構35を介して油圧ポンプPに入力される。無段変速装置18Bでは、油圧ポンプPの斜板角を変更する変速操作が行われることにより、入力された動力が正回転動力と逆回転動力とに変速され、かつ、正回転動力および逆回転動力が無段階に変速され、変速された動力が油圧モータMから出力される。無段変速装置18Bの出力が第3ギヤ連動機構36を介して第1遊星ギヤ装置部50の太陽ギヤ51に入力される。入力軸17の動力が第4ギヤ連動機構34を介して第1遊星ギヤ装置部50の内歯ギヤ53に入力される。遊星ギヤ装置18Aでは、エンジン1から無段変速装置18Bを介して伝達された動力と、エンジン1から無段変速装置18Bを介さないで伝達された動力とが第1遊星ギヤ装置部50と第2遊星ギヤ装置部60とによって合成され、第2遊星ギヤ装置部60に備えられた第1ないし第3出力軸37a,37b,37cから合成動力が出力される。
〔段階分け伝動部〕
段階分け伝動部19は、図2に示されるように、遊星ギヤ装置18Aからの合成動力が入力される四つの段階分けクラッチCL1ないしCL4、四つの段階分けクラッチCL1ないしCL4が設けられた出力軸38が備えられている。
段階分け伝動部19においては、無段変速装置18Bおよび四つの段階分けクラッチCL1ないしCL4が適切に操作されることにより、遊星ギヤ装置18Aからの合成動力が4段階の速度レンジに段階分けされて出力軸38から出力される。
図3は、無段変速装置18Bの変速状態と、速度レンジと、段階分け伝動部19の出力軸38の回転速度Vとの関係を示す説明図である。図3の縦軸は、出力軸38の回転速度Vを示す。図3の横軸は、無段変速装置18Bの変速状態を示し、「N」は、中立状態を示し、「-MAX」は、逆回転方向における最高速の変速状態を示す。「+MAX」は、正回転方向における最高速の変速状態を示す。
四つの段階分けクラッチCL1ないしCL4のうち、第1クラッチCL1が入り状態にされ、無段変速装置18Bが変速操作されると、第1出力軸37aの動力が1速ギヤ連動機構39aおよび第1クラッチCL1によって変速されて出力軸38から出力される。図3に示されるように、出力軸38の回転速度が1速レンジの回転速度になり、無段変速装置18Bが「-MAX」から「+MAX」に向けて変速されるに伴い、出力軸38の回転速度Vが零速度[0]から1速レンジの最高速[V1]まで無段階に増速する。
四つの段階分けクラッチCL1ないしCL4のうち、第2クラッチCL2が入り状態にされ、無段変速装置18Bが変速操作されると、第3出力軸37cの動力が2速ギヤ連動機構39bおよび第2クラッチCL2によって変速されて出力軸38から出力される。図3に示されるように、出力軸38の回転速度が1速レンジより高速の2速レンジの回転速度になり、無段変速装置18Bが「+MAX」から「-MAX」に向けて変速されるに伴い、出力軸38の回転速度Vが2速レンジの最低速[V1]から2速レンジの最高速[V2]まで無段階に増速する。
四つの段階分けクラッチCL1ないしCL4のうち、第3クラッチCL3が入り状態にされ、無段変速装置18Bが変速操作されると、第2出力軸37bの動力が3速ギヤ連動機構39cおよび第3クラッチCL3によって変速されて出力軸38から出力される。図3に示されるように、出力軸38の回転速度が2速レンジより高速側の3速レンジの回転速度になり、無段変速装置18Bが[-MAX」から「+MAX」に向けて変速されるに伴い、出力軸38の回転速度Vが3速レンジの最低速[V2]から3速レンジの最高速[V3]まで無段階に増速する。
四つの段階分けクラッチCL1ないしCL4のうち、第4クラッチCL4が入り状態にされ、無段変速装置18Bが変速操作されると、第3出力軸37cの動力が4速ギヤ連動機構39dおよび第4クラッチCL4によって変速されて出力軸38から出力される。図3に示されるように、出力軸38の回転速度が3速レンジより高速側の4速レンジの回転速度になり、無段変速装置18Bが「+MAX」から「-MAX」に向けて変速されるに伴い、出力軸38の回転速度Vが4速レンジの最低速[V3]から4速レンジの最高速[V4]まで無段階に増速する。
〔前後進切換装置〕
前後進切換装置20は、図2に示されるように、段階分け伝動部19の出力軸38に連結された入力軸40、入力軸40に設けられた前進クラッチCLFおよび後進クラッチCLR、前進クラッチCLFに前進ギヤ機構41fを介して連結され、後進クラッチCLRに後進ギヤ機構41rを介して連結された出力軸42を備えている。図2に示されるように、後進ギヤ機構41rには、後進クラッチCLRの出力回転部材の歯部に噛み合う逆転ギヤ46が備えられている。逆転ギヤ46は、後輪差動機構22の入力軸22aに相対回転可能に支持されている。
前後進切換装置20においては、前進クラッチCLFが入り状態にされると、段階分け伝動部19から入力軸40に伝達された動力が前進クラッチCLFおよび前進ギヤ機構41fによって前進動力に変換して出力軸42から出力される。後進クラッチCLRが入り状態にされると、段階分け伝動部19から入力軸40に伝達された動力が後進クラッチCLRおよび後進ギヤ機構41rによって後進動力に変換して出力軸42から出力される。
出力軸42から出力される前進動力および後進動力が第1ギヤ連動機構21に伝達され、第1ギヤ連動機構21によって後輪差動機構22の入力軸22aに伝達される。
〔後輪差動機構〕
後輪差動機構22は、前後進切換装置20が出力する前進動力および後進動力が第1ギヤ連動機構21を介して入力軸22aに入力され、入力された動力を左右の後車輪7に向けて出力する。後輪差動機構22の出力は、減速装置24を介して後車輪7に伝達される。減速装置24は、遊星ギヤ装置によって構成されている。後輪差動機構22から後車輪7への伝動系に、操向ブレーキ23が設けられている。
〔前輪伝動装置〕
前輪伝動装置26は、図2に示されるように、前後進切換装置20からの前進動力および後進動力が第1ギヤ連動機構21を介して伝達される入力軸43、入力軸43に設けられた等速クラッチCLTおよび増速クラッチCLH、等速クラッチCLTに等速ギヤ機構44aを介して連結され、かつ、増速クラッチCLHに増速ギヤ機構44bを介して連結された出力軸45を備えている。入力軸43に駐車ブレーキ29が連結されている。
前輪伝動装置26においては、等速クラッチCLTが入り状態にされると、前後進切換装置20から入力軸43に伝達される動力が等速クラッチCLTおよび等速ギヤ機構44aを介して出力軸45に伝達されて出力軸45から回転軸27を介して前輪差動機構28に伝達される。この場合、左右一対の前車輪6の平均周速度と左右一対の後車輪7の平均周速度とがほぼ等しい状態で左右一対の前車輪6および左右一対の後車輪7が駆動される状態、いわゆる前後輪等速度の四輪駆動状態が現出される。増速クラッチCLHが入り状態にされると、前後進切換装置20から入力軸43に伝達される動力が増速クラッチCLHおよび増速ギヤ機構44bを介して出力軸45に伝達されて出力軸45から前輪差動機構28に伝達される。この場合、左右一対の前車輪6の平均周速度が左右一対の後車輪7の平均周速度よりも速い状態で左右一対の前車輪6および左右一対の後車輪7が駆動される状態、いわゆる、前輪増速の四輪駆動状態が現出される。
〔作業動力伝達装置〕
作業動力伝達装置70は、図2に示されるように、入力軸17に前回転軸31および後回転軸32を介して連結され、エンジン1からの動力が入力される作業クラッチ71、および、作業クラッチ71の出力を変速して動力取出軸14に伝達する作業動力変速機構72を備えている。前回転軸31は、入力軸17よりも後側に入力軸17と同一の直線上に位置する状態で設けられている。後回転軸32は、前回転軸31よりも後側に前回転軸31と同一の直線上に位置する状態で設けられている。
作業動力伝達装置70においては、作業クラッチ71により、エンジン1からの動力が動力取出軸14に伝達する状態と、エンジン1から動力取出軸14への動力伝達を絶つ切り状態とに切換えられる。すなわち、作業クラッチ71が入り状態に切り換えられると、後回転軸32と作業動力変速機構72とが作業クラッチ71によって連動連結され、入力軸17からの動力が動力取出軸14に伝達される。作業クラッチ71が切り状態に切り換えられると、後回転軸32と作業動力変速機構72との連動連結が作業クラッチ71によって絶たれ、入力軸17から動力取出軸14への動力伝達が絶たれる。
〔後輪差動機構の潤滑装置〕
図4に示されるように、後輪差動機構22は、ミッションケース3の後部に収容されている。図2,4,5,7に示されるように、後輪差動機構22は、後輪差動機構22の前部に位置する入力軸22a、入力軸22aに備えられた入力ギヤ22cに係合するリングギヤ22bを備えている。リングギヤ22bは、入力軸22aの動力が入力ギヤ22cを介して伝達され、水平方向に沿う回転軸芯Yの周りに回転駆動される。本実施形態では、リングギヤ22bは、車体横幅方向に沿う回転軸芯Yの周りに回転駆動される。リングギヤ22bにデファレンシャルケース22dが連結されている。デファレンシャルケース22dから左右の出力軸22eが延ばされている。デファレンシャルケース22dの内部に、リングギヤ22bの動力を左右の出力軸22eに伝達するデファンシャルピニオン22f(図2参照)およびサイドギヤ22g(図2参照)が設けられている。
図4,5に示されるように、ミッションケース3の内部のうちリングギヤ22bに対して回転軸芯Yに直交する方向かつ水平方向に沿う方向に変位した部位に、区画壁75が設けられている。本実施形態では、区画壁75は、ミッションケース3の内部のうちリングギヤ22bよりも後側の部位に設けられている。区画壁75は、図6に示されるように、ミッションケース3の左側壁部3g、右側壁部3dおよび底壁部3eに繋がっている。図5に示されるように、ミッションケース3の内部空間のうち後輪差動機構22が位置する第1空間部A1と、ミッションケース3の内部空間のうち第1空間部A1と隣り合う第2空間部A2と、が区画壁75によって区画されている。本実施形態では、区画壁75は、図6に示されるように、ミッションケース3に一体成形され、切欠部75aを備える基部75bと、基部75bに支持され、切欠部75aを塞ぎ、かつ、区画壁75の上部75tを形成する上部形成部材75cと、を備えている。
図5,6に示されるように、区画壁75よりも上側に、第1空間部A1と第2空間部A2とを連通させる上空間76が設けられている。後輪差動機構22が前進動力を出力するとき、リングギヤ22bは、図5に矢印Zで示される回転方向に駆動され、第1空間部A1に位置する潤滑油がリングギヤ22bの歯部によって掻き上げられて上空間76を通って第2空間部A2に流入することが可能に構成されている。詳しくは、リングギヤ22bの回転によって掻き上げられた潤滑油は、上空間76のうち作業クラッチ71の下方に位置する部位、および、上空間76のうち作業クラッチ71の両横側方に位置する部位を通って第2空間部A2に流入する。
図5,6に示されるように、上空間76よりも下側に位置する部位に、第2空間部A2と第1空間部A1とを連通させる流出路86が設けられている。本実施形態では、流出路86は、区画壁75に設けた貫通孔によって構成されている。第2空間部A2に滞留する潤滑油の油面の位置が第1空間部A1に滞留する潤滑油の油面の位置よりも高い場合、第2空間部A2に位置する潤滑油と第1空間部A1に位置する潤滑油とのヘッド差によって第2空間部A2に位置する潤滑油が流出路86を通って第1空間部A1に流出することが可能に構成されている。
〔面積調節部、壁調節部〕
図5,6に示されるように、区画壁75に、流出路86の流通面積を調節可能な面積調節部100、および、区画壁75の上部75tを昇降調節可能な壁調節部110が備えられている。
具体的には、図6に示されるように、面積調節部100は、面積調節部材101、および、面積調節部材101に連結されたアクチュエータとしての面積調節モータ102を備えている。面積調節モータ102は、電動モータによって構成されている。面積調節部材101は、区画壁75における基部75bに備えられた第1ガイドレール103にスライド可能に支持されている。面積調節部材101と面積調節モータ102との連結は、面積調節モータ102に駆動可能に備えられたねじ軸104と、面積調節部材101に備えられた操作部105が有するねじ穴(図示せず)と、を係合させることによって行われている。ねじ軸104のうち操作部105に対して面積調節モータ102とは反対側に位置する部位が、面積調節部材101に備えられた支持部106に回転可能かつスライド可能に支持されている。
面積調節部100においては、ねじ軸104が面積調節モータ102によって駆動され、操作部105が回転するねじ軸104によって移動操作される。操作部105が面積調節モータ102から離れる方向に移動操作されると、面積調節部材101が第1ガイドレール103に案内されて流出路86に入り込む方向にスライド操作され、流出路86における潤滑油の流通可能な面積(流通面積)が面積調節部材101によって狭い側に調節される。操作部105が面積調節モータ102に近づく方向に移動操作されると、面積調節部材101が第1ガイドレール103に案内されて流出路86から出る方向にスライド操作され、流出路86における潤滑油の流通可能な面積(流通面積)が面積調節部材101によって広い側に調節される。
具体的には、図6に示されるように、壁調節部110は、区画壁75の上部75tを形成する上部形成部材75c、および、上部形成部材75cに連結されたアクチュエータとしての上部調節モータ111を備えている。上部調節モータ111は、電動モータによって構成されている。上部形成部材75cは、区画壁75における基部75bのうち切欠部75aの両横側の部位に備えられた第2ガイドレール112にスライド可能に支持されている。上部形成部材75cと上部調節モータ111との連結は、上部調節モータ111に駆動可能に備えられたねじ軸113と、上部形成部材75cに備えられた操作部114が有するねじ穴(図示せず)と、を係合させることによって行われている。ねじ軸113のうち操作部114に対して上部調節モータ111とは反対側に位置する部位が、上部形成部材75cに備えられた支持部115に回転可能かつスライド可能に支持されている。
壁調節部110においては、ねじ軸113が上部調節モータ111によって駆動され、操作部114が回転するねじ軸113によって移動操作される。操作部114が上部調節モータ111から離れる方向に移動操作されると、上部形成部材75cが第2ガイドレール112に案内されて上昇操作され、区画壁75における上部75tの高さ位置が上部形成部材75cによって高い側に調節される。操作部114が上部調節モータ111に近づく方向に移動操作されると、上部形成部材75cが第2ガイドレール112に案内されて下降操作され、区画壁75における上部75tの高さ位置が上部形成部材75cによって低い側に調節される。
図6に示されるように、面積調節部100のうちの面積調節モータ102、および、壁調節部110のうちの上部調節モータ111に潤滑制御装置120が連係されている。潤滑制御装置120には、ミッションケース3の内部に位置する潤滑油の温度を検出する油温センサ121、および、車体の走行速度を検出する車速センサ122が連係されている。
潤滑制御装置120は、マイクロコンピュータを利用して構成されている。潤滑制御装置120には、第1面積設定部123、第2面積設定部124、第1高さ設定部125および第2高さ設定部126が備えられている。第1面積設定部123は、潤滑油の温度に対応する広さの流通面積として予め設定した設定流通面積を記憶するように構成されている。第2面積設定部124は、車速に対応する広さの流通面積として設定して設定流通面積を記憶するように構成されている。第1高さ設定部125は、潤滑油の温度に対応する上部75tの高さ位置として設定した設定高さ位置を記憶するように構成されている。第2高さ設定部126は、車速に対応する上部75tの高さ位置として設定した設定高さ位置を記憶するように構成されている。
潤滑制御装置120は、油温センサ121による検出油温および第1面積設定部123による設定流通面積を基に、流出路86の流通面積を油温センサ121による検出油温に対応した広さの流通面積にさせる操作指令を面積調節部100に出力して面積調節部100を作動させるように構成されている。潤滑制御装置120は、油温センサ121による検出油温および第1高さ設定部125による設定高さ位置を基に、区画壁75における上部75tの高さ位置を油温センサ121による検出油温に対応した高さ位置にさせる操作指令を壁調節部110に出力して壁調節部110を作動させるように構成されている。
潤滑制御装置120は、車速センサ122による検出車速および第2面積設定部124による設定流通面積を基に、流出路86の流通面積を車速センサ122による検出車速に対応した広さの流通面積にさせる操作指令を面積調節部100に出力して面積調節部100を作動させるように構成されている。潤滑制御装置120は、車速センサ122による検出車速および第2高さ設定部126による設定高さ位置を基に、区画壁75における上部75tの高さ位置を車速センサ122による検出車速に対応した高さ位置にさせる操作指令を壁調節部110に出力して壁調節部110を作動させるように構成されている。
〔案内部材〕
図5,7に示されるように、第1空間部A1の下部に、リングギヤ22bによって撹拌される潤滑油を区画壁75の上に向かって流れるように案内する案内部材80が設けられている。図8に示されるように、案内部材80の車体前後方向での前部に前連結アーム81が備えられ、案内部材80の車体前後方向での後部に後連結アーム82が備えられている。図7に示されるように、案内部材80は、前連結アーム81がミッションケース3に備えられた支持部3hに連結ボルトによって連結され、後連結アーム82がミッションケース3に備えられた支持部3iに連結ボルトによって連結されることによってミッションケース3に支持される。
図8に示されるように、案内部材80は、案内部材80の車体前後方向での後端部に上下向き姿勢で備えられた第1案内部83、案内部材80の底部に備えられた第2案内部84、案内部材80の車体横方向での端部に上下向き姿勢で備えられた第3案内部85を有している。
図5に示されるように、第1案内部83は、案内部材80がミッションケース3に支持されることによってリングギヤ22bうちの下部と区画壁75との間に上下向き姿勢で設けられる。リングギヤ22bによって掻き上げられた潤滑油が区画壁75の上に向かって流動するように第1案内部83によって案内される。
図5,7に示されるように、第2案内部84は、案内部材80がミッションケース3に支持されることによってリングギヤ22bの下方にリングギヤ22bの回転方向に延びる状態で設けられる。リングギヤ2bによって撹拌される潤滑油が第1案内部83に向かって流れるように第2案内部84よって案内される。図5,8に示されるように、第2案内部84のリングギヤ22bの回転方向下手側の端部84aと、第1案内部83の下端部83aとが接続されており、第1案内部83に向かって流れる潤滑油が第2案内部84と第1案内部83との間から漏れ出ない。
図5,7に示されるように、第3案内部85は、案内部材80がミッションケース3に支持されることによってリングギヤ22bの下部における両横側部のうちリングギヤ22bの歯部が位置する側の横側部に対向する位置にリングギヤ22bの回転方向に延びる状態で設けられる。リングギヤ22bによって撹拌される潤滑油が第1案内部83に向かって流れるように第2案内部84によって案内される。図7,8に示されるように、第3案内部85の第2案内部側の端部85aと、第2案内部84の第3案内部側の横端部84bとが接続され、第3案内部85のリングギヤ22bの回転方向下手側に位置する端部85bと、第1案内部83の第3案内部側の横端部83bとが接続されており、第1案内部83に向かって流れる潤滑油が第3案内部85と第2案内部84との間、および、第3案内部85と第1案内部83との間から漏れ出ない。
後輪差動機構22が前進動力を伝達する時、潤滑油が回転するリングギヤ22bによって撹拌されて、案内部材80によって案内されて第1空間部A1から上空間76を通って第2空間部A2に流入する。高速走行時には、低速走行時に比べ、リングギヤ22bの回転速度が速く、リングギヤ22bによって撹拌されて、案内部材80によって案内されて第1空間部A1から上空間76を通って第2空間部A2に流入する潤滑油の量が多くなる。
低速走行時には、高速走行時に比べ、リングギヤ22bの回転速度が遅く、リングギヤ22bによって撹拌されて、案内部材80によって案内されて第1空間部A1から上空間76を通って第2空間部A2に流入する潤滑油の量が少なく、あるいは、リングギヤ22bの回転速度によっては、第1空間部A1に位置する潤滑油がリングギヤ22bによって撹拌されても、撹拌された潤滑油が上空間76まで上がらなくて第2空間部A2に流入せず、第2空間部A2に滞留する潤滑油の量が第2空間部A2から流出路86を通って第1空間部A1に流出する潤滑油の量よりも多くならない。
潤滑油の温度が高くなるほど、潤滑油の粘度が低くなり、リングギヤ22bによって撹拌される潤滑油が第2空間部A2に流入し易くなる。また、潤滑油が流出路86を流通し易くなる。しかし、油温センサ121の検出油温に基づく潤滑制御装置120による面積調節部100の制御によって流出路86における流通面積が潤滑油の温度に対応した広さの流通面積に調節され、油温センサ121の検出油温に基づく潤滑制御装置120による壁調節部110の制御によって区画壁75の上部75tの高さ位置が潤滑油の温度に対応した高さ位置に調節され、潤滑油の温度変化にかかわらず、第2空間部A2に滞留する潤滑油の量、および、第2空間部A2から第1空間部A1に流出する潤滑油の量が潤滑油の温度に適応した量になる。
走行速度が速くなるほど、リングギヤ22bの回転速度が速くなり、リングギヤ22bによって掻き上げられて第2空間部A2に流入する潤滑油の量が多くなる。走行速度が遅くなるほど、リングギヤ22bの回転速度が遅くなり、潤滑油がリングギヤ22bによって掻き上げられても高く上がりにくくて第2空間部A2に流入し難くなる。また、第2空間部A2に流入する潤滑油の量が変化すると、第2空間部A2の潤滑油と第1空間部A1の潤滑油のヘッド差が変化し、流出路86を通る潤滑油の量が変化し易い。しかし、車速センサ122の検出車速に基づく潤滑制御装置120による面積調節部100の制御によって流出路86における流通面積が車速に対応した広さの流通面積に調節され、車速センサ122の検出車速に基づく潤滑制御装置120による壁調節部110の制御によって区画壁75の上部75tの高さ位置が車速に対応した高さ位置に調節され、車速の変化にかかわらず、第2空間部A2に滞留する潤滑油の量、および、第2空間部A2から第1空間部A1に流出する潤滑油の量が車速に適応した量になる。
図9は、高速走行時における潤滑油の滞留状態を示す断面図である。図10は、低速走行時における潤滑油の滞留状態を示す断面図である。図9,10に示されるように、低速走行時における第1空間部A1の潤滑油の油面S1の位置が高速走行時における第1空間部A1の潤滑油の油面S2の位置よりも高くなり、低速走行時には、後輪差動機構22が潤滑油に高速走行時よりも深く入り込む。高速走行時における第1空間部A1の潤滑油の油面S2の位置が低速走行時における第1空間部A1の油面S1の位置よりも低くなり、高速走行時には、後輪差動機構22の潤滑油への入り込みが低速走行時よりも浅くなる。
図5に示されるように、第2空間部A2の上方に作業クラッチ71が設けられている。作業クラッチ71は、エンジン1からの動力を動力取出軸14に伝達する入り状態と、エンジン1から動力取出軸14への動力伝達を絶つ切り状態とに切換え可能に構成されている。
作業クラッチ71は、湿式の多板式摩擦クラッチによって構成されている。ミッションケース3の外部に設けられた給油管(図示せず)あるいは後回転軸32に外嵌された給油管(図示せず)などを備える給油回路(図示せず)によって潤滑油が作業クラッチ71に冷却用として供給されるように構成されている。作業クラッチ71に供給された潤滑油が作業クラッチ71のクラッチケース71aにおける切欠部などから漏下する。漏下した潤滑油が第2空間部A2に入り込み、第2空間部A2から流出路86を通って第1空間部A1に流出する。作業クラッチ71から漏下した潤滑油を後輪差動機構22に潤滑油として補給できる。
図5に示されるように、第2空間部A2に、作業クラッチ71と動力取出軸14とを連動させるギヤ連動機構としての作業動力変速機構72が設けられている。作業動力変速機構72は、作業クラッチ71からの動力を変速して動力取出軸14に伝達するギヤミッションによって構成されている。作業動力変速機構72は、第2空間部A2に位置する潤滑油によって潤滑される。
〔別実施形態〕
(1)図11は、別の実施形態の潤滑装置を示す側面図である。別の実施形態の潤滑装置では、図11に示されるように、区画壁75は、リングギヤ22bによって撹拌される潤滑油を第2空間部A2に向けて流動させる案内を行うように傾斜姿勢で備えられている。区画壁75は、図5などに示される第1案内部83に代る案内手段になる。
(2)図12は、さらに別の実施形態の潤滑装置を示す背面図である。さらに別の実施形態の潤滑装置では、図12に示されるように、リングギヤ22bに、歯部22hとは別の油送り部25が設けられている。油送り部25は、リングギヤ22bの回転によって回転され、第1空間部A1に位置する潤滑油を第2空間部A2に向けて送るように構成されている。具体的には、油送り部25は、リングギヤ22bの歯部22hが位置する側とは反対の側部においてリングギヤ22bの全周にわたって間隔を空けて並ぶ複数の放擲羽根25aを有し、各放擲羽根25aによって潤滑油を抄い、抄った潤滑油を第2空間部A2に向けて放擲する。
(3)上記した実施形態では、スライド可能な面積調節部材101、面積調節モータ102を利用した面積調節部100を採用した例を示したが、これに限らない。たとえば、可変絞り弁、流量調整弁、操作油圧を利用した面積調節部を採用してもよい。
(4)上記した実施形態では、壁調節部110を備えた例を示したが、壁調節部110を備えないものでもよい。
(5)上記した実施形態では、第2空間部A2の上方に作業クラッチ71を設けた例を示したが、第2空間部A2の上方に作業クラッチ71を設けないものでもよい。
(6)上記した実施形態では、第2空間部A2に作業動力変速機構72を設けた例を示したが、第2空間部A2に作業動力変速機構72を設けないものでもよい。
(7)上記した実施形態では、第1案内部83、第2案内部84および第3案内部85を備えた例を示したが、第1案内部83、第2案内部84および第3案内部85を備えないもの、あるいは、第1案内部83のみを備えるものでもよい。
(8)上記した実施形態では、エンジン1を動力源として設けた例を示したが、動力源としては、電動モータを採用してもよい。
(9)上記した実施形態では、後車輪7を走行装置として設けた例を示したが、走行装置として、クローラ走行装置、車輪とミニクローラとを組わせたものを採用してもよい。
本発明は、動力源からの動力を変速して出力するギヤミッションと、水平方向に沿う回転軸芯の周りに回転可能なリングギヤを有し、ギヤミッションから入力された動力を走行装置に伝達する差動機構とが備えられた作業車に適用できる。
1 エンジン(動力源)
3 ミッションケース
7 後車輪(走行装置)
14 動力取出軸
15M ギヤミッション
22 後輪差動機構(差動機構)
22b リングギヤ
22h 歯部
25 油送り部
71 クラッチ(作業クラッチ)
72 作業動力変速機構(ギヤ連動機構)
75 区画壁
75t 上部
76 上空間
83 第1案内部
83a 下端部
83b 横端部
84 第2案内部
84a 端部
84b 横端部
85 第3案内部
85a 横端部
85b 端部
86 流出路
100 面積調節部
110 壁調節部
A1 第1空間部
A2 第2空間部
Y 回転軸芯

Claims (9)

  1. 動力源からの動力を変速して出力するギヤミッションと、
    水平方向に沿う回転軸芯の周りに回転可能なリングギヤを有し、前記ギヤミッションから入力された動力を走行装置に伝達する差動機構と、
    前記ギヤミッションおよび前記差動機構を収容するミッションケースと、
    前記ミッションケースの内部空間のうち前記差動機構が位置する第1空間部と、
    前記内部空間のうち前記第1空間部に隣り合う第2空間部と、
    前記第1空間部と前記第2空間部とを区画する区画壁と、
    前記区画壁よりも上側に設けられ、前記リングギヤの回転によって前記第1空間部から掻き上げられた潤滑油を前記第2空間部に流入させる上空間と、
    前記上空間よりも下側に設けられ、前記第2空間部に位置する潤滑油を前記第1空間部に流出させる流出路と、
    前記流出路の流通面積を調節可能な面積調節部と、が備えられている作業車。
  2. 前記区画壁の上部を昇降調節可能な壁調節部が備えられている請求項1に記載の作業車。
  3. 前記リングギヤと前記区画壁との間に上下向き姿勢で設けられ、前記リングギヤによって撹拌される潤滑油を前記区画壁の上に向かって流動するように案内する第1案内部が備えられている請求項1または2に記載の作業車。
  4. 前記リングギヤの下方に前記リングギヤの回転方向に延びる状態で設けられ、前記リングギヤによって撹拌される潤滑油を前記第1案内部に向かって流れるように案内する第2案内部が備えられ、
    前記第2案内部の前記リングギヤの回転方向下手側に位置する端部と、前記第1案内部の下端部と、が接続されている請求項3に記載の作業車。
  5. 前記リングギヤの下部における両横側部のうち前記リングギヤの歯部が位置する側の横側部に対向する位置に前記リングギヤの回転方向に延びる状態で設けられ、前記リングギヤによって撹拌される潤滑油を前記第1案内部に向かって流れるように案内する第3案内部が備えられ、
    前記第3案内部の前記第2案内部側の端部と、前記第2案内部の前記第3案内部側の横端部と、が接続され、
    前記第3案内部の前記リングギヤの回転方向下手側に位置する端部と、前記第1案内部の前記第3案内部側の横端部と、が接続されている請求項4に記載の作業車。
  6. 前記区画壁は、前記リングギヤによって撹拌される潤滑油を前記第2空間部に向けて流動させる案内を行うように傾斜姿勢で備えられている請求項1に記載の作業車。
  7. 前記リングギヤに歯部とは別に設けられ、前記第1空間部に位置する潤滑油を前記第2空間部に向けて送る油送り部が備えられている請求項1から6のいずれか一項に記載の作業車。
  8. 前記第2空間部の上部に、前記動力源からの動力を動力取出軸に伝達する入り状態と、前記動力源から前記動力取出軸への動力伝達を絶つ切り状態とに切換え可能なクラッチが備えられている請求項1から7のいずれか一項に記載の作業車。
  9. 前記第2空間部に、前記クラッチと前記動力取出軸とを連動させるギヤ連動機構が設けられている請求項8に記載の作業車。
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