JP2023092139A - 熱膨張性耐火材 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱膨張性や、形状保持性、曲面にも追従する可撓性、難燃性を損なわずに、挿通性に優れる熱膨張性耐火材を提供する。
【解決手段】本発明によれば、マトリクスポリマー100質量部に対し、熱膨張性黒鉛を5~400質量部、無機リン系化合物を1~400質量部、繊維状化合物を1~400質量部含む熱膨張性耐火材であって、前記マトリクスポリマーが、ゴムとスチレン系熱可塑性エラストマーを含み、前記ゴムと前記スチレン系熱可塑性エラストマーの含有比率が質量比で95/5~5/95であり、前記熱膨張性黒鉛と前記無機リン酸系化合物の質量比(熱膨張性黒鉛/無機リン酸系化合物)が0.05~100.00である、熱膨張性耐火材が提供される。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱膨張性を有する耐火材に関する。
火災発生等の際に、加熱により膨張し延焼を防止することのできる耐火材が知られている。このような熱膨張性を有する耐火材として、例えば、特許文献1には、マトリクス樹脂に熱膨張性黒鉛を含有したものが示されている。
また、近年では、住宅等の構造物の開口部に使用する窓、障子、扉(すなわちドア)、戸、ふすま、および欄間等の建具に要求される性能の一つに防火性能があり、防火性能を高めるために、建具に熱膨張性耐火材を装着することが行われている。例えば、特許文献2には、防火性樹脂サッシの開口枠体を構成する枠材の内部に、熱膨張性耐火材を挿入することが記載されている。
特開2018-100410号 特開2005-9304号
熱膨張性耐火材には熱により膨張する材料が配合されており、膨張することで隙間を埋め、延焼や防煙の役目を果たす。そのために、従来の耐火材には、熱膨張性、加熱後の形状安定性、曲面にも追従する可撓性、および難燃性が要求されていた。
しかしながら、近年、防火性樹脂サッシの開口枠体を構成する枠材の内部や軒裏の換気部に設置される軒裏換気部材の内部にも熱膨張性耐火材が使用されるようになり、枠材や軒裏換気部材の長手方向に沿って熱膨張性耐火材を挿通する際、熱膨張性耐火材が柔らかいと、自重によりたわみが生じてしまい、挿通が困難な場合があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、熱膨張性や、形状保持性、曲面にも追従する可撓性、難燃性を損なわずに、挿通性に優れる熱膨張性耐火材を提供するものである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、特定のポリマー成分と繊維状化合物を含む熱膨張性耐火材を用いることにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、マトリクスポリマー100質量部に対し、熱膨張性黒鉛を5~400質量部、無機リン系化合物を1~400質量部、繊維状化合物を1~400質量部含む熱膨張性耐火材であって、
前記マトリクスポリマーが、ゴムとスチレン系熱可塑性エラストマーを含み、前記ゴムと前記スチレン系熱可塑性エラストマーの含有比率が質量比で95/5~5/95であり、
前記熱膨張性黒鉛と前記無機リン酸系化合物の質量比(熱膨張性黒鉛/無機リン酸系化合物)が0.05~100.00である、熱膨張性耐火材が提供される。
本発明の耐火材によれば、熱膨張性、形状保持性、可撓性、難燃性を損なわずに、優れた挿通性が得られる。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
<耐火材>
本実施形態の耐火材は、熱膨張性、形状保持性、可撓性、難燃性が優れていることに加えて、挿通性も優れている。このため、本実施形態の耐火材は、細長い空間に挿通させて設置する用途に好適に使用できる。また、本実施形態の耐火材を設置する対象としては、窓、障子、扉、ドア、戸、ふすま、及び欄間、サッシ等の建具や、軒裏換気部材などが挙げられ、これらの耐火性を高める用途に好適に用いられる。さらに、建具や軒裏換気部材に設けられた細長い空間内に本実施形態の耐火材を挿通させて耐火材を設置するような用途に好適に使用できる。
本実施形態の耐火材は、マトリクスポリマーと、熱膨張性黒鉛と、無機リン系化合物と、繊維状化合物と、を含む。この耐火材は、一例では、シート状の耐火シートである。耐火シートの厚さは、例えば1~10mmである。耐火シートをロール状に巻いて耐火シートロールとして保管や運搬をしてもよい。なお、耐火材は、用途に合わせた形状に成型した成型品であってもよい。
耐火材は、例えば200℃以上で熱膨張を開始し強固な断熱層を形成することによって耐火性能を発揮する。耐火材の膨張倍率は、3~30倍が好ましく、5~25倍がより好ましく、7~20倍がさらに好ましい。
以下、耐火材の各成分について説明する。
<マトリクスポリマー>
マトリクスポリマーは、ゴムとスチレン系熱可塑性エラストマーを含み、ゴムとスチレン系熱可塑性エラストマーの含有比率が質量比で95/5~5/95である。このようなマトリクスポリマーであることにより、防火性樹脂サッシの開口枠体を構成する枠体の内部や軒裏換気部材の内部に枠体や軒裏換気部材の長手方向に沿って熱膨張性耐火材を挿入する際、円滑な挿入が出来る。ゴムとスチレン系熱可塑性エラストマーの質量比の合計を100とすると、ゴムの質量比は、例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2-ポリブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エチレン-プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、エチレン・酢ビゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、再生ゴムなどの架橋可能なゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。
スチレン系熱可塑性エラストマーは、ビニル芳香族炭化水素に由来する単量体単位を有する熱可塑性エラストマーである。熱可塑性エラストマーは、加熱によって軟化し流動性を示す性質を有するエラストマーであり、このような性質を有さないゴムと区別可能である。スチレン系熱可塑性エラストマーは、好ましくは、ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロック及び共役ジエンを主体とする重合体ブロックとからなるブロック共重合体が好ましい。ビニル芳香族炭化水素としては、例えば、スチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロルスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン等があり、これらは単体だけでなく2種以上を組み合わせて使用しても良い。共役ジエンとしては1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン等があり、これらは単体だけでなく2種以上を組み合わせて使用しても良い。
スチレン系熱可塑性エラストマーの具体的な例としては、スチレン・ブタジエン・スチレン(SBS)共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン(SIS)共重合体、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン(SEBS)共重合体、スチレン・イソプレン・水添スチレン・イソプレン・スチレン(SEPS)共重合体、スチレン・エチレンプロピレン(SEP)共重合体、スチレン・エチレンプロピレン・スチレン(SEPS)共重合体、スチレン・エチレン‐エチレンプロピレン・スチレン(SEEPS)共重合体等が挙げられる。スチレン系熱可塑性エラストマーのスチレン含有量は、例えば15質量%以上70質量%以下であり、20質量%以上60質量%以下が好ましい。この含有量は、例えば、5、10、15、18、20、23、25、30、31、35、40、45、50、55、60、65、70質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
マトリクスポリマーは、ゴムとスチレン系熱可塑性エラストマーのみで構成されていてもよく、その他のポリマーを含んでいてもよい。その他のポリマーとしては、スチレン系以外の可塑性エラストマー(オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、エステル系、アミド系など)や、エラストマーではない樹脂(ポリオレフィン、ポリスチレンなど)などが挙げられる。マトリクスポリマー中の、ゴムとスチレン系熱可塑性エラストマーの合計の割合は、例えば、50~100質量%であり、例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
<熱膨張性黒鉛>
熱膨張性黒鉛は、天然グラファイト、熱分解グラファイト等の粉末を、硫酸、硝酸等の無機酸と濃硝酸、過マンガン酸塩等の強酸化剤とで処理されたものであり、グラファイト層状構造を維持した結晶化合物である。これらは200℃程度以上の温度に曝されると、例えば、100倍以上に熱膨張するものである。なお、これら天然グラファイト、熱分解グラファイト等の粉末は、脱酸処理に加え、更に中和処理したタイプ他、各種品種があるがいずれも使用できる。
熱膨張性黒鉛の含有量は、マトリクスポリマー100質量部に対して5~400質量部であり、40~300質量部が好ましく、70~200質量部がさらに好ましい。熱膨張性黒鉛の含有量が少なすぎると、火災時における耐火材の熱膨張性が悪くなる。一方で、熱膨張性黒鉛の含有量が多すぎると、熱膨張性耐火材の熱膨張後の形状安定性が悪くなる。
<無機リン系化合物>
無機リン系化合物は、リン酸系化合物、亜リン酸系化合物、次亜リン酸系化合物、メタリン酸系化合物、ピロリン酸系化合物及びポリリン酸系化合物のうちの少なくとも1種を含むである。
リン酸系化合物としては、例えば、第1リン酸アルミニウム、第1リン酸ナトリウム、第1リン酸カリウム、第1リン酸カルシウム、第1リン酸亜鉛、第2リン酸アルミニウム、第2リン酸ナトリウム、第2リン酸カリウム、第2リン酸カルシウム、第2リン酸亜鉛、第3リン酸アルミニウム、第3リン酸ナトリウム、第3リン酸カリウム、第3リン酸カルシウム、第3リン酸亜鉛、第3リン酸マグネシウム、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三カルシウム、リン酸アルミニウム等が挙げられる。
亜リン酸系化合物としては、例えば、亜リン酸アルミニウム、亜リン酸水素アルミニウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛などが挙げられる。
次亜リン酸系化合物としては、例えば、次亜リン酸アルミニウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸亜鉛などが挙げられる。
メタリン酸系化合物としては、例えば、メタリン酸アルミニウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸カルシウム、メタリン酸亜鉛、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどが挙げられる。
ピロリン酸系化合物としては、例えば、ピロリン酸ナトリウムが挙げられる。
ポリリン酸系化合物としては、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウムなどが挙げられる。
この中で、亜リン酸水素アンモニウム、ポリリン酸アンモニウムが好ましく、無機リン酸系化合物は、これらのうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。
無機リン系化合物の含有量は、マトリクスポリマー100質量部に対して1~400質量部であり、30~300質量部が好ましく、60~200質量部がさらに好ましい。無機リン系化合物の含有量が1質量部未満であると、熱膨張性耐火材の熱膨張後の形状安定性が悪くなる。一方で、無機リン系化合物の含有量が400質量を超えると、熱膨張性耐火材の熱膨張性が悪くなる。
熱膨張性黒鉛と無機リン酸系化合物の質量比(熱膨張性黒鉛/無機リン酸系化合物)は、0.05~100.00であり、0.07~100.00が好ましく、0.25~100.00がさらに好ましく、0.33~3.33がさらに好ましく、0.50~1.67がさらに好ましく、0.75~1.25がさらに好ましい。熱膨張 性黒鉛と無機リン酸系化合物の質量比(熱膨張性黒鉛/無機リン酸系化合物)が低すぎると、熱膨張性耐火材の熱膨張性が悪くなる。熱膨張性黒鉛と無機リン酸系化合物の質量比(熱膨張性黒鉛/無機リン酸系化合物)が高すぎると、熱膨張性耐火材の熱膨張後の形状安定性が悪くなる。この質量比は、例えば、0.05、0.07、0.25、0.33、0.40、0.50、0.70、1.67、2.00、3.00、3.33、3.95、5.00、10.00、20.00、50.00、100.00であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
<繊維状化合物>
繊維状化合物は、無機繊維化合物と有機繊維化合物の少なくとも一方を含み、無機繊維化合物と有機繊維化合物の両方を含んでも良い。繊維状化合物は、形状が繊維状であればよく、繊維状化合物の断面形状としては、例えば、円形、楕円形、多角形などが挙げられる。繊維状化合物の長さLと直径Dの比L/Dは、例えば、10超であり、50以上が好ましく、100以上がさらに好ましい。L/Dの上限は、特に規定されないが、例えば、10000である。繊維状化合物の直径Dは、例えば、1~100μmであり、2~50μmが好ましく、5~20μmがさらに好ましい。繊維状化合物の長さLは、例えば、0.05~10mmであり、0.1~8mmが好ましく、0.2~5mmがさらに好ましい。
無機繊維化合物としては、例えば、ガラス繊維(Eガラス繊維、Cガラス繊維、Sガラス繊維、Dガラス繊維)、岩綿、セラミック繊維(シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維)、ジルコニア繊維、カーボン繊維、セピオライト、パリゴルスカイト、ウォラストナイト、バルクアルカリアースシリケート繊維、石膏繊維、炭素繊維、金属繊維、スラグ繊維、バサルト繊維等を挙げることができる。この中で、挿通性の良好なセピオライト、パリゴルスカイト、バルクアルカリアースシリケート繊維が好ましい。
有機繊維化合物としてはメタ系アラミド繊維、パラ系アラミド繊維、アミド系繊維、パルプ繊維、セルロース繊維、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール繊維、ポリアリレート繊維等を挙げることができる。
本発明に使用する繊維状化合物としては、セピオライト、パリゴルスカイト、バルクアルカリアースシリケートが好ましい。これらの繊維状化合物が使用されることにより、防火性樹脂サッシの開口枠体を構成する枠体の内部や軒裏換気部材の内部に枠体や軒裏換気部材の長手方向に沿って熱膨張性耐火材を挿入する際、円滑な挿入が出来る。
繊維状化合物の含有量は、マトリクスポリマー100質量部に対して1~400質量部であり、70~340質量部が好ましく、130~270質量部がさらに好ましい。繊維状化合物の含有量が少なすぎると、挿通性が悪い。一方で、繊維状化合物の含有量が多すぎると、柔軟性が損なわれ可撓性が悪い。
繊維状化合物が無機繊維化合物であると、熱膨張性耐火材の難燃性が向上する。
<その他の成分>
本実施形態では、その効果を阻害しない範囲で、通常のポリマー配合物に使用される可塑剤(軟化剤)、老化防止剤、加工助剤、滑剤、粘着付与剤、無機化合物(無機繊維化合物及び無機リン系化合物を除く)等を併用してもよい。成形性の調整に有効な可塑剤(軟化剤)の例としては、パラフィン系やナフテン系等のプロセスオイル、流動パラフィンやその他のパラフィン類、ワックス類、シリコーンオイルや液状ポリブテン等の合成高分子系軟化剤、フタル酸系やアジピン酸系、セバシン酸系やリン酸系等のエステル系可塑剤類、ステアリン酸やそのエステル類、アルキルスルホン酸エステル類や粘着付与剤などがあげられる。無機化合物(無機繊維化合物及び無機リン系化合物を除く)の例としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
本実施形態の耐火材は、上記各成分をバンバリーミキサー、ニーダーミキサー、二本ロール等公知の混練装置を用いて混練されたものを、例えば、プレス成形、ロール成形、押し出し成形、カレンダー成形等の従来公知の成形方法でシート状に成形することで得ることが出来る。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものでない。
1.熱膨張性耐火材の作製
表1~表5の配合に示した成分を、容量3リットルのニーダーミキサーを用いて120℃で2分間混練して組成物を得た。得られた組成物を更に熱プレス機でプレスして厚さ2mmのシート状の耐火材を得た。
表中の成分の詳細は、以下の通りである。
(1) マトリクスポリマー
(1-1)ゴム
・EPDM:エチレン・プロピレン・ジエンゴム、JSR株式会社製「EP-51」
・ブチルゴム:JSR株式会社製「ブチル268」
(1-2)スチレン系熱可塑性エラストマー
・SBS(St 18wt%):スチレン・ブタジエン・スチレン(SBS)共重合体、クレイトンポリマージャパン株式会社製「DX410」、スチレン含有量18質量%
・SBS(St 23wt%):スチレン・ブタジエン・スチレン(SBS)共重合体、クレイトンポリマージャパン株式会社製「D1116」、スチレン含有量23質量%
・SBS(St 31wt%):スチレン・ブタジエン・スチレン(SBS)共重合体、クレイトンポリマージャパン株式会社製「D1101JU」、スチレン含有量31質量%
・SEBS(St 60wt%):スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン(SEBS)共重合体、株式会社クラレ製「セプトン8104」、スチレン含有量60質量%
・SEPS(St 65wt%):スチレン・エチレンプロピレン・スチレン(SEPS)共重合体、株式会社クラレ製「セプトン2104」、スチレン含有量65質量%
・スチレン樹脂(St 100wt%):スチレン重合体、ヤスハラケミカル株式会社製「YSレジンSX100」
(2)熱膨張性黒鉛
・ADT501:ADT社製「ADT501」
(3)無機リン系化合物
・亜リン酸水素アルミニウム:太平化学産業株式会社製「NSF」
・ポリリン酸アンモニウム:SCM Industrial Chemical Co.,Ltd.,製「HP-APP II」
(4)繊維状化合物
<有機繊維化合物>
・パルプ繊維:平均線長2mm:王子製袋株式会社製「ネオファイバーNS-10」
・アラミド繊維1:平均線長3mm:帝人株式会社製「コーネックスNW B 2.2X3」
・アラミド繊維2:平均線長3.5mm:デュポン株式会社製「K29-1.7DTEX-3.6MM-DIP02」
・PBO繊維:ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール、平均線長3mm:東洋紡株式会社製「ザイロン」
・ポリアリレート繊維:平均線長2mm、株式会社クラレ製「ベクトランUM1580」
<無機繊維化合物>
・バサルト繊維:玄武石、平均線長3mm、JCK株式会社製「バサルト繊維」
・シリカ繊維1:平均線長3mm、井前工業株式会社製「BELCOTEX」
・シリカ繊維2:平均線長3mm、株式会社光和製「KSF-3N」
・Eガラス繊維:平均線長13mm、日東紡製株式会社製「CS3J-917S」
・セピオライト:含水珪酸マグネシウム繊維、平均線長0.5mm、昭和KDE株式会社製「セピオライト ミルコンSS」
・パリゴルスカイト:平均線長1μm、ユニオン化成株式会社製「アタパルジャイト」
・ウォラストナイト:メタ珪酸カルシウム繊維、平均線長0.2mm、関西マテック株式会社製「ウォラストナイトKSP」
・バルクアルカリアースシリケート繊維:平均線長0.5mm、新日本サーマルセラミックス株式会社製「Superwool Plus」
2.評価
各実施例、比較例の耐火材について、以下の測定及び評価を行った。結果を表1~表5に示す。
評価方法の詳細は、以下の通りである。
<熱膨張性>
厚さ2mm、幅10mm、長さ50mmの試験片を300℃で0.5時間熱処理し、その膨張倍率を測定した。具体的には、熱処理後の体積を、熱処理前の体積で除することにより、体積膨張倍率を算出し、以下の基準で熱膨張性を判定した。なお、体積は、圧さ、幅、長さを実測して算出した。
◎:体積膨張倍率が10倍以上
○:体積膨張倍率が8倍以上10倍未満
△:体積膨張倍率が6倍以上8倍未満
×:体積膨張倍率が6倍未満
<形状保持性>
上記の熱膨張性を評価した後、3点曲げ試験治具(上部押し側先端R1mmおよび幅80mm、下部2点支点側R1mm、幅80mm、支点間距離20mm)を用い、熱膨張後の試験片を圧縮速度50mm/minの条件にて破壊した際の強度(3点曲げ破壊強度)を測定した。そして、以下の基準で形状保持性を判定した。
◎:3点曲げ破壊強度が1.0N以上
○:3点曲げ破壊強度が0.8N以上1.0N未満
△:3点曲げ破壊強度が0.6以上0.8N未満
×:3点曲げ破壊強度が0.6未満
<挿通性>
1.自重によるたわみ量による評価
厚さ2mm、幅10mm、長さ150mmの試験片の、片方短辺から50mmまでを台座に固定し、21℃で1分間放置して、空中に浮かせた100mm長さの耐火材の自重によるたわみ量を測定した。そして、以下の基準で挿通性を判定した。
◎:たわみ量が10mm以下
〇:たわみ量が10mm超20mm以下
△:たわみ量が20mm超30mm以下
×:たわみ量が30mm超
2.滑り角による評価
厚さ2mm、横25mm、縦25mmの試験片を、厚さ1mm、幅25mm、長さ100mmのSUS304板に載せた後に傾かせ、滑り落ちた際の角度を求め、以下の基準で評価した。この角度が小さいほど滑りやすく、挿通性が良いことを表す。
◎:角度が40°未満で滑り落ち
〇:40°以上60°未満で滑り落ち
×:60°以上で滑り落ち
<可撓性>
厚さ1mm、幅25mm、長さ100mmのSUS304板に両面テープを貼ったものを2枚用意し、長さ方向に3mmの間隔をあけて横並びにする。そこに厚さ2mm、幅10mm、長さ100mmの試験片を貼り、試料片を貼った面とは逆方向に折り曲げ、試験片に亀裂が入った時点での角度を測定し、以下の基準で可撓性を判定した。なお、亀裂が入ったときの角度が大きいほど、可撓性が良好であることを示す。
◎:180度の角度でも亀裂なし
○:160度以上180度未満の角度で亀裂が発生
△:135度以上160度未満の角度で亀裂が発生
×:90度以上135度未満の角度で亀裂が発生
<難燃性>
JIS K6269に準じて燃焼試験装置(スガ試験機(株)製,ON-1型)を用いて酸素指数を測定し、以下の基準で難燃性を判定した。なお、酸素指数が大きいほど、難燃性が高いことを示す。
◎:酸素指数が35以上
○:酸素指数が30以上35未満
×:酸素指数が30未満
Figure 2023092139000001
Figure 2023092139000002
Figure 2023092139000003
Figure 2023092139000004
Figure 2023092139000005
本発明は、熱膨張性を有する耐火材に関する。
火災発生等の際に、加熱により膨張し延焼を防止することのできる耐火材が知られている。このような熱膨張性を有する耐火材として、例えば、特許文献1には、マトリクス樹脂に熱膨張性黒鉛を含有したものが示されている。
また、近年では、住宅等の構造物の開口部に使用する窓、障子、扉(すなわちドア)、戸、ふすま、および欄間等の建具に要求される性能の一つに防火性能があり、防火性能を高めるために、建具に熱膨張性耐火材を装着することが行われている。例えば、特許文献2には、防火性樹脂サッシの開口枠体を構成する枠材の内部に、熱膨張性耐火材を挿入することが記載されている。
特開2018-100410号 特開2005-9304号
熱膨張性耐火材には熱により膨張する材料が配合されており、膨張することで隙間を埋め、延焼や防煙の役目を果たす。そのために、従来の耐火材には、熱膨張性、加熱後の形状安定性、曲面にも追従する可撓性、および難燃性が要求されていた。
しかしながら、近年、防火性樹脂サッシの開口枠体を構成する枠材の内部や軒裏の換気部に設置される軒裏換気部材の内部にも熱膨張性耐火材が使用されるようになり、枠材や軒裏換気部材の長手方向に沿って熱膨張性耐火材を挿通する際、熱膨張性耐火材が柔らかいと、自重によりたわみが生じてしまい、挿通が困難な場合があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、熱膨張性や、形状保持性、曲面にも追従する可撓性、難燃性を損なわずに、挿通性に優れる熱膨張性耐火材を提供するものである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、特定のポリマー成分と繊維状化合物を含む熱膨張性耐火材を用いることにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、マトリクスポリマー100質量部に対し、熱膨張性黒鉛を5~400質量部、無機リン系化合物を1~400質量部、繊維状化合物を1~400質量部含む熱膨張性耐火材であって、
前記マトリクスポリマーが、ゴムとスチレン系熱可塑性エラストマーを含み、前記ゴムと前記スチレン系熱可塑性エラストマーの含有比率が質量比で95/5~5/95であり、
前記熱膨張性黒鉛と前記無機リン酸系化合物の質量比(熱膨張性黒鉛/無機リン酸系化合物)が0.05~100.00である、熱膨張性耐火材が提供される。
本発明の耐火材によれば、熱膨張性、形状保持性、可撓性、難燃性を損なわずに、優れた挿通性が得られる。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
<耐火材>
本実施形態の耐火材は、熱膨張性、形状保持性、可撓性、難燃性が優れていることに加えて、挿通性も優れている。このため、本実施形態の耐火材は、細長い空間に挿通させて設置する用途に好適に使用できる。また、本実施形態の耐火材を設置する対象としては、窓、障子、扉、ドア、戸、ふすま、及び欄間、サッシ等の建具や、軒裏換気部材などが挙げられ、これらの耐火性を高める用途に好適に用いられる。さらに、建具や軒裏換気部材に設けられた細長い空間内に本実施形態の耐火材を挿通させて耐火材を設置するような用途に好適に使用できる。
本実施形態の耐火材は、マトリクスポリマーと、熱膨張性黒鉛と、無機リン系化合物と、繊維状化合物と、を含む。この耐火材は、一例では、シート状の耐火シートである。耐火シートの厚さは、例えば1~10mmである。耐火シートをロール状に巻いて耐火シートロールとして保管や運搬をしてもよい。なお、耐火材は、用途に合わせた形状に成型した成型品であってもよい。
耐火材は、例えば200℃以上で熱膨張を開始し強固な断熱層を形成することによって耐火性能を発揮する。耐火材の膨張倍率は、3~30倍が好ましく、5~25倍がより好ましく、7~20倍がさらに好ましい。
以下、耐火材の各成分について説明する。
<マトリクスポリマー>
マトリクスポリマーは、ゴムとスチレン系熱可塑性エラストマーを含み、ゴムとスチレン系熱可塑性エラストマーの含有比率が質量比で95/5~5/95である。このようなマトリクスポリマーであることにより、防火性樹脂サッシの開口枠体を構成する枠体の内部や軒裏換気部材の内部に枠体や軒裏換気部材の長手方向に沿って熱膨張性耐火材を挿入する際、円滑な挿入が出来る。ゴムとスチレン系熱可塑性エラストマーの質量比の合計を100とすると、ゴムの質量比は、例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2-ポリブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エチレン-プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、エチレン・酢ビゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、再生ゴムなどの架橋可能なゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。
スチレン系熱可塑性エラストマーは、ビニル芳香族炭化水素に由来する単量体単位を有する熱可塑性エラストマーである。熱可塑性エラストマーは、加熱によって軟化し流動性を示す性質を有するエラストマーであり、このような性質を有さないゴムと区別可能である。スチレン系熱可塑性エラストマーは、好ましくは、ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロック及び共役ジエンを主体とする重合体ブロックとからなるブロック共重合体が好ましい。ビニル芳香族炭化水素としては、例えば、スチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロルスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン等があり、これらは単体だけでなく2種以上を組み合わせて使用しても良い。共役ジエンとしては1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン等があり、これらは単体だけでなく2種以上を組み合わせて使用しても良い。
スチレン系熱可塑性エラストマーの具体的な例としては、スチレン・ブタジエン・スチレン(SBS)共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン(SIS)共重合体、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン(SEBS)共重合体、スチレン・イソプレン・水添スチレン・イソプレン・スチレン(SEPS)共重合体、スチレン・エチレンプロピレン(SEP)共重合体、スチレン・エチレンプロピレン・スチレン(SEPS)共重合体、スチレン・エチレン‐エチレンプロピレン・スチレン(SEEPS)共重合体等が挙げられる。スチレン系熱可塑性エラストマーのスチレン含有量は、例えば15質量%以上70質量%以下であり、20質量%以上60質量%以下が好ましい。この含有量は、例えば、5、10、15、18、20、23、25、30、31、35、40、45、50、55、60、65、70質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
マトリクスポリマーは、ゴムとスチレン系熱可塑性エラストマーのみで構成されていてもよく、その他のポリマーを含んでいてもよい。その他のポリマーとしては、スチレン系以外の可塑性エラストマー(オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、エステル系、アミド系など)や、エラストマーではない樹脂(ポリオレフィン、ポリスチレンなど)などが挙げられる。マトリクスポリマー中の、ゴムとスチレン系熱可塑性エラストマーの合計の割合は、例えば、50~100質量%であり、例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
<熱膨張性黒鉛>
熱膨張性黒鉛は、天然グラファイト、熱分解グラファイト等の粉末を、硫酸、硝酸等の無機酸と濃硝酸、過マンガン酸塩等の強酸化剤とで処理されたものであり、グラファイト層状構造を維持した結晶化合物である。これらは200℃程度以上の温度に曝されると、例えば、100倍以上に熱膨張するものである。なお、これら天然グラファイト、熱分解グラファイト等の粉末は、脱酸処理に加え、更に中和処理したタイプ他、各種品種があるがいずれも使用できる。
熱膨張性黒鉛の含有量は、マトリクスポリマー100質量部に対して5~400質量部であり、40~300質量部が好ましく、70~200質量部がさらに好ましい。熱膨張性黒鉛の含有量が少なすぎると、火災時における耐火材の熱膨張性が悪くなる。一方で、熱膨張性黒鉛の含有量が多すぎると、熱膨張性耐火材の熱膨張後の形状安定性が悪くなる。
<無機リン系化合物>
無機リン系化合物は、リン酸系化合物、亜リン酸系化合物、次亜リン酸系化合物、メタリン酸系化合物、ピロリン酸系化合物及びポリリン酸系化合物のうちの少なくとも1種を含むである。
リン酸系化合物としては、例えば、第1リン酸アルミニウム、第1リン酸ナトリウム、第1リン酸カリウム、第1リン酸カルシウム、第1リン酸亜鉛、第2リン酸アルミニウム、第2リン酸ナトリウム、第2リン酸カリウム、第2リン酸カルシウム、第2リン酸亜鉛、第3リン酸アルミニウム、第3リン酸ナトリウム、第3リン酸カリウム、第3リン酸カルシウム、第3リン酸亜鉛、第3リン酸マグネシウム、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三カルシウム、リン酸アルミニウム等が挙げられる。
亜リン酸系化合物としては、例えば、亜リン酸アルミニウム、亜リン酸水素アルミニウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛などが挙げられる。
次亜リン酸系化合物としては、例えば、次亜リン酸アルミニウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸亜鉛などが挙げられる。
メタリン酸系化合物としては、例えば、メタリン酸アルミニウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸カルシウム、メタリン酸亜鉛、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどが挙げられる。
ピロリン酸系化合物としては、例えば、ピロリン酸ナトリウムが挙げられる。
ポリリン酸系化合物としては、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウムなどが挙げられる。
この中で、亜リン酸水素アンモニウム、ポリリン酸アンモニウムが好ましく、無機リン酸系化合物は、これらのうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。
無機リン系化合物の含有量は、マトリクスポリマー100質量部に対して1~400質量部であり、30~300質量部が好ましく、60~200質量部がさらに好ましい。無機リン系化合物の含有量が1質量部未満であると、熱膨張性耐火材の熱膨張後の形状安定性が悪くなる。一方で、無機リン系化合物の含有量が400質量を超えると、熱膨張性耐火材の熱膨張性が悪くなる。
熱膨張性黒鉛と無機リン酸系化合物の質量比(熱膨張性黒鉛/無機リン酸系化合物)は、0.05~100.00であり、0.07~100.00が好ましく、0.25~100.00がさらに好ましく、0.33~3.33がさらに好ましく、0.50~1.67がさらに好ましく、0.75~1.25がさらに好ましい。熱膨張 性黒鉛と無機リン酸系化合物の質量比(熱膨張性黒鉛/無機リン酸系化合物)が低すぎると、熱膨張性耐火材の熱膨張性が悪くなる。熱膨張性黒鉛と無機リン酸系化合物の質量比(熱膨張性黒鉛/無機リン酸系化合物)が高すぎると、熱膨張性耐火材の熱膨張後の形状安定性が悪くなる。この質量比は、例えば、0.05、0.07、0.25、0.33、0.40、0.50、0.70、1.67、2.00、3.00、3.33、3.95、5.00、10.00、20.00、50.00、100.00であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
<繊維状化合物>
繊維状化合物は、無機繊維化合物と有機繊維化合物の少なくとも一方を含み、無機繊維化合物と有機繊維化合物の両方を含んでも良い。繊維状化合物は、形状が繊維状であればよく、繊維状化合物の断面形状としては、例えば、円形、楕円形、多角形などが挙げられる。繊維状化合物の長さLと直径Dの比L/Dは、例えば、10超であり、50以上が好ましく、100以上がさらに好ましい。L/Dの上限は、特に規定されないが、例えば、10000である。繊維状化合物の直径Dは、例えば、1~100μmであり、2~50μmが好ましく、5~20μmがさらに好ましい。繊維状化合物の長さLは、例えば、0.05~10mmであり、0.1~8mmが好ましく、0.2~5mmがさらに好ましい。
無機繊維化合物としては、例えば、ガラス繊維(Eガラス繊維、Cガラス繊維、Sガラス繊維、Dガラス繊維)、岩綿、セラミック繊維(シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維)、ジルコニア繊維、カーボン繊維、セピオライト、パリゴルスカイト、ウォラストナイト、バルクアルカリアースシリケート繊維、石膏繊維、炭素繊維、金属繊維、スラグ繊維、バサルト繊維等を挙げることができる。この中で、挿通性の良好なセピオライト、パリゴルスカイト、バルクアルカリアースシリケート繊維が好ましい。
有機繊維化合物としてはメタ系アラミド繊維、パラ系アラミド繊維、アミド系繊維、パルプ繊維、セルロース繊維、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール繊維、ポリアリレート繊維等を挙げることができる。
本発明に使用する繊維状化合物としては、セピオライト、パリゴルスカイト、バルクアルカリアースシリケートが好ましい。これらの繊維状化合物が使用されることにより、防火性樹脂サッシの開口枠体を構成する枠体の内部や軒裏換気部材の内部に枠体や軒裏換気部材の長手方向に沿って熱膨張性耐火材を挿入する際、円滑な挿入が出来る。
繊維状化合物の含有量は、マトリクスポリマー100質量部に対して1~400質量部であり、70~340質量部が好ましく、130~270質量部がさらに好ましい。繊維状化合物の含有量が少なすぎると、挿通性が悪い。一方で、繊維状化合物の含有量が多すぎると、柔軟性が損なわれ可撓性が悪い。
繊維状化合物が無機繊維化合物であると、熱膨張性耐火材の難燃性が向上する。
<その他の成分>
本実施形態では、その効果を阻害しない範囲で、通常のポリマー配合物に使用される可塑剤(軟化剤)、老化防止剤、加工助剤、滑剤、粘着付与剤、無機化合物(無機繊維化合物及び無機リン系化合物を除く)等を併用してもよい。成形性の調整に有効な可塑剤(軟化剤)の例としては、パラフィン系やナフテン系等のプロセスオイル、流動パラフィンやその他のパラフィン類、ワックス類、シリコーンオイルや液状ポリブテン等の合成高分子系軟化剤、フタル酸系やアジピン酸系、セバシン酸系やリン酸系等のエステル系可塑剤類、ステアリン酸やそのエステル類、アルキルスルホン酸エステル類や粘着付与剤などがあげられる。無機化合物(無機繊維化合物及び無機リン系化合物を除く)の例としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
本実施形態の耐火材は、上記各成分をバンバリーミキサー、ニーダーミキサー、二本ロール等公知の混練装置を用いて混練されたものを、例えば、プレス成形、ロール成形、押し出し成形、カレンダー成形等の従来公知の成形方法でシート状に成形することで得ることが出来る。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものでない。
1.熱膨張性耐火材の作製
表1~表5の配合に示した成分を、容量3リットルのニーダーミキサーを用いて120℃で2分間混練して組成物を得た。得られた組成物を更に熱プレス機でプレスして厚さ2mmのシート状の耐火材を得た。
表中の成分の詳細は、以下の通りである。
(1) マトリクスポリマー
(1-1)ゴム
・EPDM:エチレン・プロピレン・ジエンゴム、JSR株式会社製「EP-51」
・ブチルゴム:JSR株式会社製「ブチル268」
(1-2)スチレン系熱可塑性エラストマー
・SBS(St 18wt%):スチレン・ブタジエン・スチレン(SBS)共重合体、クレイトンポリマージャパン株式会社製「DX410」、スチレン含有量18質量%
・SBS(St 23wt%):スチレン・ブタジエン・スチレン(SBS)共重合体、クレイトンポリマージャパン株式会社製「D1116」、スチレン含有量23質量%
・SBS(St 31wt%):スチレン・ブタジエン・スチレン(SBS)共重合体、クレイトンポリマージャパン株式会社製「D1101JU」、スチレン含有量31質量%
・SEBS(St 60wt%):スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン(SEBS)共重合体、株式会社クラレ製「セプトン8104」、スチレン含有量60質量%
・SEPS(St 65wt%):スチレン・エチレンプロピレン・スチレン(SEPS)共重合体、株式会社クラレ製「セプトン2104」、スチレン含有量65質量%
・スチレン樹脂(St 100wt%):スチレン重合体、ヤスハラケミカル株式会社製「YSレジンSX100」
(2)熱膨張性黒鉛
・ADT501:ADT社製「ADT501」
(3)無機リン系化合物
・亜リン酸水素アルミニウム:太平化学産業株式会社製「NSF」
・ポリリン酸アンモニウム:SCM Industrial Chemical Co.,Ltd.,製「HP-APP II」
(4)繊維状化合物
<有機繊維化合物>
・パルプ繊維:平均線長2mm:王子製袋株式会社製「ネオファイバーNS-10」
・アラミド繊維1:平均線長3mm:帝人株式会社製「コーネックスNW B 2.2X3」
・アラミド繊維2:平均線長3.5mm:デュポン株式会社製「K29-1.7DTEX-3.6MM-DIP02」
・PBO繊維:ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール、平均線長3mm:東洋紡株式会社製「ザイロン」
・ポリアリレート繊維:平均線長2mm、株式会社クラレ製「ベクトランUM1580」
<無機繊維化合物>
・バサルト繊維:玄武石、平均線長3mm、JCK株式会社製「バサルト繊維」
・シリカ繊維1:平均線長3mm、井前工業株式会社製「BELCOTEX」
・シリカ繊維2:平均線長3mm、株式会社光和製「KSF-3N」
・Eガラス繊維:平均線長13mm、日東紡製株式会社製「CS3J-917S」
・セピオライト:含水珪酸マグネシウム繊維、平均線長0.5mm、昭和KDE株式会社製「セピオライト ミルコンSS」
・パリゴルスカイト:平均線長1μm、ユニオン化成株式会社製「アタパルジャイト」
・ウォラストナイト:メタ珪酸カルシウム繊維、平均線長0.2mm、関西マテック株式会社製「ウォラストナイトKSP」
・バルクアルカリアースシリケート繊維:平均線長0.5mm、新日本サーマルセラミックス株式会社製「Superwool Plus」
2.評価
各実施例、比較例の耐火材について、以下の測定及び評価を行った。結果を表1~表5に示す。
評価方法の詳細は、以下の通りである。
<熱膨張性>
厚さ2mm、幅10mm、長さ50mmの試験片を300℃で0.5時間熱処理し、その膨張倍率を測定した。具体的には、熱処理後の体積を、熱処理前の体積で除することにより、体積膨張倍率を算出し、以下の基準で熱膨張性を判定した。なお、体積は、圧さ、幅、長さを実測して算出した。
◎:体積膨張倍率が10倍以上
○:体積膨張倍率が8倍以上10倍未満
△:体積膨張倍率が6倍以上8倍未満
×:体積膨張倍率が6倍未満
<形状保持性>
上記の熱膨張性を評価した後、3点曲げ試験治具(上部押し側先端R1mmおよび幅80mm、下部2点支点側R1mm、幅80mm、支点間距離20mm)を用い、熱膨張後の試験片を圧縮速度50mm/minの条件にて破壊した際の強度(3点曲げ破壊強度)を測定した。そして、以下の基準で形状保持性を判定した。
◎:3点曲げ破壊強度が1.0N以上
○:3点曲げ破壊強度が0.8N以上1.0N未満
△:3点曲げ破壊強度が0.6以上0.8N未満
×:3点曲げ破壊強度が0.6未満
<挿通性>
1.自重によるたわみ量による評価
厚さ2mm、幅10mm、長さ150mmの試験片の、片方短辺から50mmまでを台座に固定し、21℃で1分間放置して、空中に浮かせた100mm長さの耐火材の自重によるたわみ量を測定した。そして、以下の基準で挿通性を判定した。
◎:たわみ量が10mm以下
〇:たわみ量が10mm超20mm以下
△:たわみ量が20mm超30mm以下
×:たわみ量が30mm超
2.滑り角による評価
厚さ2mm、横25mm、縦25mmの試験片を、厚さ1mm、幅25mm、長さ100mmのSUS304板に載せた後に傾かせ、滑り落ちた際の角度を求め、以下の基準で評価した。この角度が小さいほど滑りやすく、挿通性が良いことを表す。
◎:角度が40°未満で滑り落ち
〇:40°以上60°未満で滑り落ち
×:60°以上で滑り落ち
<可撓性>
厚さ1mm、幅25mm、長さ100mmのSUS304板に両面テープを貼ったものを2枚用意し、長さ方向に3mmの間隔をあけて横並びにする。そこに厚さ2mm、幅10mm、長さ100mmの試験片を貼り、試料片を貼った面とは逆方向に折り曲げ、試験片に亀裂が入った時点での角度を測定し、以下の基準で可撓性を判定した。なお、亀裂が入ったときの角度が大きいほど、可撓性が良好であることを示す。
◎:180度の角度でも亀裂なし
○:160度以上180度未満の角度で亀裂が発生
△:135度以上160度未満の角度で亀裂が発生
×:90度以上135度未満の角度で亀裂が発生
<難燃性>
JIS K6269に準じて燃焼試験装置(スガ試験機(株)製,ON-1型)を用いて酸素指数を測定し、以下の基準で難燃性を判定した。なお、酸素指数が大きいほど、難燃性が高いことを示す。
◎:酸素指数が35以上
○:酸素指数が30以上35未満
×:酸素指数が30未満
Figure 2023092139000006
Figure 2023092139000007
Figure 2023092139000008
Figure 2023092139000009
Figure 2023092139000010

Claims (5)

  1. マトリクスポリマー100質量部に対し、熱膨張性黒鉛を5~400質量部、無機リン系化合物を1~400質量部、繊維状化合物を1~400質量部含む熱膨張性耐火材であって、
    前記マトリクスポリマーが、ゴムとスチレン系熱可塑性エラストマーを含み、前記ゴムと前記スチレン系熱可塑性エラストマーの含有比率が質量比で95/5~5/95であり、
    前記熱膨張性黒鉛と前記無機リン酸系化合物の質量比(熱膨張性黒鉛/無機リン酸系化合物)が0.05~100.00である、熱膨張性耐火材。
  2. 前記無機リン系化合物が、亜リン酸水素アルミニウムおよび/またはポリリン酸アンモニウムを含む、請求項1に記載の熱膨張性耐火材。
  3. 前記繊維状化合物が、無機繊維化合物を含む、請求項1又は2に記載の熱膨張性耐火材。
  4. 前記スチレン系熱可塑性エラストマーのスチレン含有量が20~60質量%である、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の熱膨張性耐火材。
  5. 建具または軒裏換気部材に使用される、請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の熱膨張性耐火材。
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