JP2023086583A - 弁開閉時期制御装置 - Google Patents

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Yoshito Uno
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Abstract

【課題】従動側回転体の内部の摺動部位に潤滑油を確実に供給しつつコンパクトに構成された弁開閉時期制御装置を提供する。【解決手段】駆動側回転体A、従動側回転体B、及び、駆動側回転体A及び従動側回転体Bの相対回転位相を設定する位相調節機構C、を備え、位相調節機構Cは、回転軸芯Xと同軸芯で従動側回転体Bに設けられた出力ギヤ25、駆動側回転体Aに連結される入力ギヤ30、入力ギヤ30を回転させる筒状の偏心部材26、を含み、従動側回転体Bは、回転軸芯Xに直交する姿勢でカムシャフト2の端部に連結される支持壁部21を有し、支持壁部21は、外部から従動側回転体Bの内部に潤滑油を供給可能な供給油路21aを有するとともに、供給油路21aと連通し、支持壁部21の内壁面21bに凹状且つ回転軸芯X周りに環状に形成されて潤滑油が流通可能な環状油路21dを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、弁開閉時期制御装置に関する。
特許文献1には、内燃機関においてクランクシャフトからのトルク伝達によりカムシャフトのカム部によるバルブの開閉時期を制御する弁開閉時期制御装置が記載されている。この弁開閉時期制御装置は、駆動側回転体と、従動側回転体と、駆動側回転体及び従動側回転体の相対回転位相を設定する位相調節機構とを備える。位相調節機構は、回転軸芯と同軸芯で従動側回転体に設けられた出力ギヤ、回転軸芯と平行姿勢の偏心軸芯を中心に回転し、駆動側回転体に連結される入力ギヤ、第一軸受、第二軸受、及び、第二軸受を介して入力ギヤを内周側から支持し入力ギヤを回転させる筒状の偏心部材、等を含んで構成されている。
特許文献1に記載の弁開閉時期制御装置では、従動側回転体は、回転軸芯に直交する姿勢でカムシャフトの端部に連結される支持壁部を有し、支持壁部は、外部から従動側回転体の内部に潤滑油を供給可能な供給油路を有する。駆動側回転体は、回転軸芯に沿う方向で偏芯部材に対してカムシャフトと反対側にフロントプレートを有する。ここで、従動側回転体において支持壁部の内壁面に対して偏心部材が近接配置され、偏心部材の径方向外側に第一軸受が位置する。このため、支持壁部に設けられた供給油路から従動側回転体の内部に供給された潤滑油は、弁開閉時期制御装置の作動時に従動側回転体の内部で摺動する出力ギヤ、入力ギヤ、第一軸受、及び、第二軸受等(以下、これらを「摺動部位」と総称することもある)に供給され難い。潤滑油が供給されなければ、弁開閉時期制御装置は、従動側回転体の内部の摺動部位において潤滑油の不足による摩耗や焼き付けが起きる可能性がある。
これに対し、特許文献2に記載の弁開閉時期制御装置(文献では「バルブタイミング調整装置」)では、回転軸芯に沿う方向において従動側回転体のカムシャフト側の壁部の内壁面と偏心部材との間に潤滑油が流通可能な空間が設けられている。したがって、従動側回転体の内部において、供給された潤滑油は当該空間を介して摺動部位に供給することができる。
特開2021-17833号公報 特開2009-215954号公報
しかしながら、特許文献2に記載の弁開閉時期制御装置は、従動側回転体のカムシャフト側の壁部の内壁面と偏心部材との間に空間を設けるため、回転軸芯に沿う方向の全長を長く確保する必要があり、装置全体が大型化する懸念がある。
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、従動側回転体の内部の摺動部位に潤滑油を確実に供給しつつコンパクトに構成された弁開閉時期制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る弁開閉時期制御装置の特徴構成は、回転軸芯を中心に内燃機関のクランクシャフトと同期回転する駆動側回転体、前記回転軸芯と同軸芯、かつ、前記駆動側回転体の内側に配置され、前記内燃機関の弁開閉用のカムシャフトと一体回転する従動側回転体、及び、前記駆動側回転体及び前記従動側回転体の相対回転位相を設定する位相調節機構、を備え、前記位相調節機構は、前記回転軸芯と同軸芯で前記従動側回転体に設けられた出力ギヤ、前記回転軸芯と平行姿勢の偏心軸芯を中心に回転し、前記駆動側回転体に連結される入力ギヤ、支持軸受を介して前記入力ギヤを内周側から支持し、前記入力ギヤを回転させる筒状の偏心部材、を含み、前記回転軸芯を中心とする前記偏心部材の回転で前記偏心軸芯を公転させて前記出力ギヤと前記入力ギヤとの噛み合い位置を変化させるように構成されており、前記従動側回転体は、前記回転軸芯に直交する姿勢で前記カムシャフトの端部に連結される支持壁部を有し、前記支持壁部は、外部から前記従動側回転体の内部に潤滑油を供給可能な供給油路を有するとともに、前記供給油路と連通し、前記支持壁部の内壁面に凹状且つ前記回転軸芯周りに環状に形成されて前記潤滑油が流通可能な環状油路を有する点にある。
上記構成によれば、支持壁部に設けられた供給油路から従動側回転体に供給された潤滑油は、従動側回転体の内部において偏心部材の内部空間や環状油路に供給された後、遠心力により環状油路を介して偏心部材の外周側に位置する摺動部位に供給することができる。これにより、環状油路を介して従動側回転体の内部の摺動部位に潤滑油を確実に供給することができる。その結果、弁開閉時期制御装置において摺動部位の摩耗や焼き付けを抑制することができる。
さらに、上記構成によれば、環状油路が支持壁部の内壁面に凹状に形成されているので、弁開閉時期制御装置は、従動側回転体の内部に潤滑油の貯留空間を確保するために、回転軸芯に沿う方向の間隙を確保する必要がない。したがって、弁開閉時期制御装置をコンパクトに構成することができる。
本発明に係る弁開閉時期制御装置の更なる特徴構成は、前記支持壁部は、前記内壁面に前記供給油路と前記環状油路とを接続する連絡油路を有し、前記連絡油路の断面積が前記環状油路の断面積よりも大きい点にある。
供給油路から供給された潤滑油は、環状油路の周方向の部位の一部から環状油路に流れ込んで環状油路全体に行き渡るようになる。このとき、供給油路の断面積は環状油路の断面積よりも小さく形成される可能性が高く、その場合には供給油路から供給された潤滑油が環状油路の中で途切れ、環状油路全体に行き渡るまでに時間がかかるおそれがある。そこで、本構成では、支持壁部は、内壁面に供給油路と環状油路とを接続する連絡油路を有し、連絡油路の断面積が環状油路の断面積よりも大きくなるように構成している。本構成によれば、供給油路から供給された潤滑油は一旦連絡油路に貯留され、連絡油路から溢れた潤滑油が環状油路に供給される。このとき、連絡油路の方が環状油路よりも断面積が大きいので、潤滑油が環状油路の中で途切れることもなく、短時間で環状油路全体に潤滑油を行き渡らせることができる。
本発明に係る弁開閉時期制御装置の更なる特徴構成は、前記連絡油路の断面積が前記環状油路の断面積の2倍以上である点にある。
連絡油路から環状油路に供給された潤滑油は、環状油路の両方向(時計回りと反時計回り)に流れる。上記構成によれば、連絡油路の断面積が環状油路の断面積の2倍以上であるので、連絡油路を介して潤滑油をよりスムーズに供給することができ、環状油路内を潤滑油が両方向に流通する場合にも、潤滑油が環状油路の中で途切れることもなく、短時間で環状油路全体に潤滑油を行き渡らせることができる。
本発明に係る弁開閉時期制御装置の更なる特徴構成は、前記位相調節機構は、前記従動側回転体の内周と前記偏心部材の外周との間に配置された保持軸受を更に有し、前記保持軸受は、前記従動側回転体に取着された外輪と、前記偏心部材に取着された内輪とを有し、前記環状油路は、少なくとも前記保持軸受の前記内輪の内径側端部から前記保持軸受の前記外輪の内径側端部に亘る領域に対向している点にある。
上記構成によれば、環状油路が、少なくとも偏心部材の外周側に配置される保持軸受の内輪の内径側端部から当該保持軸受の外輪の内径側端部に亘る領域に対向しているので、環状油路を介して摺動部位である保持軸受の転動体に潤滑油をより確実に供給することができる。
本発明に係る弁開閉時期制御装置の更なる特徴構成は、前記偏心部材の内周面全体は、前記回転軸芯に沿う方向において前記支持壁部に近づくほど拡径されるテーパ部を有する点にある。
本発明に係る弁開閉時期制御装置の特徴構成は、回転軸芯を中心に内燃機関のクランクシャフトと同期回転する駆動側回転体、前記回転軸芯と同軸芯、かつ、前記駆動側回転体の内側に配置され、前記内燃機関の弁開閉用のカムシャフトと一体回転する従動側回転体、及び、前記駆動側回転体及び前記従動側回転体の相対回転位相を設定する位相調節機構、を備え、前記位相調節機構は、前記回転軸芯と同軸芯で前記従動側回転体に設けられた出力ギヤ、前記回転軸芯と平行姿勢の偏心軸芯を中心に回転し、前記駆動側回転体に連結される入力ギヤ、支持軸受を介して前記入力ギヤを内周側から支持し、前記入力ギヤを回転させる筒状の偏心部材、を含み、前記回転軸芯を中心とする前記偏心部材の回転で前記偏心軸芯を公転させて前記出力ギヤと前記入力ギヤとの噛み合い位置を変化させるように構成されており、前記従動側回転体は、前記回転軸芯に直交する姿勢で前記カムシャフトの端部に連結される支持壁部を有し、前記偏心部材の内周面全体は、前記回転軸芯に沿う方向において前記支持壁部に近づくほど拡径されるテーパ部を有する点にある。
上記構成によれば、弁開閉時期制御装置の作動時に偏心部材が回転すると、偏心部材の内部空間を形成する偏心部材の内周面全体に設けられたテーパ部によって、従動側回転体の内部の偏心部材の内部空間に供給された潤滑油には、偏心部材の内周面に沿って径外方向、すなわち支持壁部に近づき、さらに支持壁部の外周縁に向かう遠心力が作用する。これにより、従動側回転体の内部空間に供給された潤滑油を支持壁部から摺動部位に確実に供給することができる。その結果、摺動部位の摩耗や焼き付けを抑制することができる。
さらに、本構成は、偏心部材の内周全体にテーパ部を設ける構成であるので、弁開閉時期制御装置は、従動側回転体の内部に潤滑油の貯留空間を確保するために、回転軸芯に沿う方向の間隙を確保する必要がない。したがって、弁開閉時期制御装置をコンパクトに構成することができる。
弁開閉時期制御装置の断面図である。 図1のII-II線矢視断面図である。 図1のIII-III線矢視断面図である。 図1のIV-IV線矢視断面図である。 図1のV-V線断面図である。 図1のK部拡大図である。 弁開閉時期制御装置の分解斜視図である。 第2実施形態の弁開閉時期制御装置の断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
〔基本構成〕
図1に示すように、本実施形態に係る弁開閉時期制御装置100は、内燃機関としてのエンジンEのクランクシャフト1と同期回転する駆動側回転体A、吸気バルブ2B(弁の一例)を開閉する吸気カムシャフト2(カムシャフトの一例)、回転軸芯Xを中心にして吸気カムシャフト2と一体回転する従動側回転体B、及び、位相制御モータMの駆動力により駆動側回転体Aと従動側回転体Bとの相対回転位相を設定する位相調節機構Cを備えている。
エンジンEは、シリンダブロックに形成された複数のシリンダ3にピストン4を収容し、そのピストン4をコネクティングロッド5によりクランクシャフト1に連結した4サイクル型に構成されている。このエンジンEのクランクシャフト1の出力スプロケット1Sと、駆動側回転体Aの駆動スプロケット11Sとに亘ってタイミングチェーン6(タイミングベルト等でもよい)が巻回されている。
これによりエンジンEの稼働時には弁開閉時期制御装置100の全体が回転軸芯Xを中心に回転する。また、位相制御モータMの駆動力により位相調節機構Cを作動させ駆動側回転体Aに対して従動側回転体Bを回転方向と同方向又は逆方向に変位可能となる。この位相調節機構Cでの変位により駆動側回転体Aと従動側回転体Bとの相対回転位相を設定し、吸気カムシャフト2のカム部2Aによる吸気バルブ2Bの開閉時期(開閉タイミング)の制御が実現する。
なお、従動側回転体Bが相対的に駆動側回転体Aの回転方向と同方向に変位する作動を進角作動と称し、この進角作動により吸気圧縮比が増大する。また、従動側回転体Bが相対的に駆動側回転体Aと逆方向に変位する作動(進角作動とは逆方向への作動)を遅角作動と称し、この遅角作動により吸気圧縮比が低減する。
〔弁開閉時期制御装置〕
図1に示すように、駆動側回転体Aは、外周に駆動スプロケット11Sが形成されたアウタケース11と、フロントプレート12と、を複数の締結ボルト13で締結して構成されている。アウタケース11は、底部に開口を有する有底筒状型である。
図1から図4に示すように、アウタケース11の内部空間に従動側回転体Bとしての中間部材20(図2等参照)と、ハイポトロコイド型のギヤ減速機構を有した位相調節機構C(図3等参照)とが収容されている。また、位相調節機構Cは、位相変化を駆動側回転体A及び従動側回転体Bに反映するオルダム継手Cx(図4等参照)を備えている。
従動側回転体Bを構成する中間部材20は、回転軸芯Xに直交する姿勢で吸気カムシャフト2に連結する支持壁部21と、回転軸芯Xを中心とする筒状で吸気カムシャフト2から離間する方向に支持壁部21の外周縁から突出する筒状壁部22とが一体形成されている。
この中間部材20は、筒状壁部22の外面がアウタケース11の内面に接触する状態で相対回転自在に嵌め込まれ、支持壁部21の中央の貫通孔21eに挿通する連結ボルト23により吸気カムシャフト2の端部に固定される。このように固定された状態で筒状壁部22の外側(吸気カムシャフト2より遠い側)の端部がフロントプレート12より内側に位置するように構成されている。また、支持壁部21が連結ボルト23により締結されて吸気カムシャフト2の端部に密着固定されることで、吸気カムシャフト2の端部と支持壁部21との間がシールされて油密の状態になるので、両者の間から潤滑油が漏出することはない。
図1、図7に示すように、筒状壁部22の外周側には溝部22aが全周にわたって形成されている。溝部22aにより筒状壁部22の外面とアウタケース11の内面との間において潤滑油の保持性が向上する。これにより、筒状壁部22とアウタケース11との摩擦力が低減されて、中間部材20がアウタケース11に対し滑らかに回転するようになる。
図1に示すように、位相制御モータMは、その出力軸Maを回転軸芯Xと同軸芯上に配置するように支持フレーム7によりエンジンEに支持されている。位相制御モータMの出力軸Maには回転軸芯Xに対して直交する姿勢の一対の係合ピン8が形成されている(図3、図4も参照)。
〔位相調節機構〕
図1、図7に示すように、位相調節機構Cは、中間部材20と、中間部材20の筒状壁部22の内周面に形成される出力ギヤ25と、偏心部材26と、弾性部材Sと、第一軸受28(「保持軸受」の一例)と、第二軸受(「支持軸受」の一例)29と、入力ギヤ30と、固定リング31と、リング状のスペーサ32と、オルダム継手Cxとを備えて構成されている。なお、第一軸受28と第二軸受29とには転がり軸受が使用されるが、滑り軸受を用いることも可能である。
第一軸受28は、偏心部材26の外周面の円周支持面26Sと従動側回転体Bの支持面22Sとの間に配置される。本実施形態では、第一軸受28は、偏心部材26の円周支持面26Sに取着された内輪28aと、従動側回転体Bの支持面22Sに取着された外輪28bとを有するボールベアリングである。第二軸受29は、偏心部材26の外周面の偏心支持面26Eと入力ギヤ30の内周面との間に配置される。第二軸受29は、偏心部材26の偏心支持面26Eに取着された内輪29aと、入力ギヤ30内周面に取着された外輪29bとを有するボールベアリングである。
図1に示すように、中間部材20の筒状壁部22の内周のうち、回転軸芯Xに沿う方向(以下、軸方向と記載する)で内側(支持壁部21に隣接する位置)に回転軸芯Xを中心とする支持面22Sが形成され、支持面22Sより外側(吸気カムシャフト2から遠い側)に回転軸芯Xを中心とする出力ギヤ25が一体的に形成されている。
図1、図2及び図7に示すように、偏心部材26は筒状である。偏心部材26は、軸方向での内側(吸気カムシャフト2に近い側)に回転軸芯Xを中心とする外周面の円周支持面26Sが形成されている。図1、図3及び図7に示すように、偏心部材26は、外側(吸気カムシャフト2から遠い側)に回転軸芯Xに平行となる姿勢で偏心する偏心軸芯Yを中心とする外周面の偏心支持面26Eが形成されている。偏心軸芯Yに沿う方向は軸方向と同一であるため、以下では、偏心軸芯Yに沿う方向についても単に軸方向と記載する。
偏心支持面26Eには、図4及び図7に示すように、偏心部材26の径方向に沿い、内側に向けて窪む第一凹部70が形成されている。第一凹部70の底面には偏心部材26の周方向における両端に、偏心部材26の径方向軸側に向けて窪む一対の第二凹部79,79が形成されている。本実施形態では、第一凹部70は周方向において対称(図4において左右対称)である。
第二凹部79,79は、それぞれ、第一凹部70における、偏心部材26の周方向におけるそれぞれの端部に形成されている。偏心部材26の径方向における、第二凹部79,79の底面の最大深さは、第一凹部70における偏心部材26の周方向中央付近の底面の深さよりも深い。偏心部材26の周方向における第二凹部79,79のそれぞれの底面から端部に到るまでの面は、後述するバネ部材71の湾曲部の湾曲形状に沿う形状に形成されている。
第一凹部70には、弾性部材Sが嵌め込まれている。弾性部材Sは、一対のバネ部材71,71を含む。本実施形態では、一対のバネ部材71,71はそれぞれ、同一の形状、かつ、同一の大きさである。弾性部材Sは、入力ギヤ30の外歯部30Aの一部を出力ギヤ25の内歯部25Aの一部に噛み合わせるように、第二軸受29を介して入力ギヤ30に付勢力を作用させる。これにより、入力ギヤ30と出力ギヤ25とのバックラッシュの拡大を防ぎ、異音を防止することができる。またこれにより、入力ギヤ30及び出力ギヤ25の耐久性を向上させることができる。
図1、図7に示すように、偏心部材26の内周には、位相制御モータM(図1参照)の一対の係合ピン8の各々が係合可能な一対の係合溝26Tが回転軸芯Xと平行姿勢で形成されている。更に、偏心部材26の内側(支持壁部21の側)には径方向に沿う姿勢の複数の第一潤滑油溝26a(図1参照)が形成され、外側(吸気カムシャフト2から遠い側)には径方向に沿う姿勢の複数の第二潤滑油溝26bが形成されている。なお、偏心部材26には、第一潤滑油溝26aと第二潤滑油溝26bとの一方だけ形成してもよい。これら第一潤滑油溝26aと第二潤滑油溝26bの数は任意に設定してもよい。
図7に示すように、偏心部材26の外側(吸気カムシャフト2から遠い側)の開口端の内周側には、係合溝26Tの両側部分に内側(吸気カムシャフト2に近い側)に向けて径が小さくなる第1テーパ部26c(傾斜部分)が形成されている。位相制御モータMの一対の係合ピン8を偏心部材26の係合溝26Tに係合させる際に、第1テーパ部26cにより係合ピン8が係合溝26Tに案内されるので、位相制御モータMと偏心部材26との係合作業が容易になる。
この偏心部材26は、図1、図2に示すように円周支持面26Sに第一軸受28を外嵌し、この第一軸受28を筒状壁部22の支持面22Sに嵌め込むことにより、中間部材20に対し回転軸芯Xを中心に回転自在に支持される。また、入力ギヤ30は、図1、図3に示すように偏心部材26の偏心支持面26Eに対し第二軸受29を介して偏心軸芯Yを中心に回転自在に支持される。
この位相調節機構Cでは、入力ギヤ30の外歯部30Aの歯数が、出力ギヤ25の内歯部25Aの歯数より1歯だけ少なく設定されている。そして、入力ギヤ30の外歯部30Aの一部が出力ギヤ25の内歯部25Aの一部に噛合する。
図1、図7に示すように、固定リング31は、偏心部材26の外周に嵌合状態で支持されることにより第二軸受29の抜け止めを行う。
〔位相調節機構:オルダム継手〕
図1、図4、図7に示すように、オルダム継手Cxは、中央の環状部41と、この環状部41から第一方向(図4では左右方向)に沿って径方向外方に突出する一対の外部係合アーム42と、環状部41から第一方向に直交する方向(図4では上下方向)に沿って径方向外方に突出する内部係合アーム43とを一体形成した板状の継手部材40で構成されている。一対の内部係合アーム43の各々には環状部41の開口に連なる係合凹部43aが形成されている。
アウタケース11のうち、フロントプレート12が当接する開口縁部にはアウタケース11の内部空間から外部空間に亘り、回転軸芯Xを中心に半径方向に延びる一対の案内溝部11aが貫通溝状に形成されている。この案内溝部11aの溝幅が外部係合アーム42の幅より僅かに広く設定され、各々の案内溝部11aには一対の排出流路11bが切欠き形成されている。なお、排出流路11bを、フロントプレート12に対して径方向に潤滑油を流すように形成してもよい。
アウタケース11の開口縁部において、案内溝部11a以外の部位には、周方向に沿い内周側が切り欠かれた一つ以上のポケット部11cが形成されている。ポケット部11cには、駆動側回転体Aの回転による遠心力を受けて外周側に移動する異物が回収される。
図7には、4つのポケット部11cが形成されている場合を図示している。
また、入力ギヤ30のうちフロントプレート12に対向する端面には一対の係合突起30Tが一体形成されている。この係合突起30Tの係合幅が内部係合アーム43の係合凹部43aの係合幅より僅かに狭く設定されている。
このような構成から、継手部材40の一対の外部係合アーム42を、アウタケース11の一対の案内溝部11aに係合させ、継手部材40の一対の内部係合アーム43の係合凹部43aに、入力ギヤ30の一対の係合突起30Tを係合させることによりオルダム継手Cxを機能させることが可能となる。
なお、継手部材40がアウタケース11に対して外部係合アーム42が延びる第一方向(図4で左右方向)に変位可能となり、この継手部材40に対して内部係合アーム43の係合凹部43aの形成方向に沿う第二方向(図4では上下方向)に入力ギヤ30が変位自在となる。
図1、図7に示すように、スペーサ32は、第二軸受29が軸方向に移動可能な隙間の距離を所定の設定値以下にする。オルダム継手Cx(継手部材40)と第二軸受29との間にスペーサ32が備えられることで、軸方向において第二軸受29の移動は、所定の設定値以下の距離に制限される。これにより、入力ギヤ30の係合突起30Tとフロントプレート12との接触を防止することができる。
〔弁開閉時期制御装置の各部の配置〕
組み立て状態の弁開閉時期制御装置100は、図1に示すように吸気カムシャフト2の端部に中間部材20の支持壁部21が連結ボルト23により連結しており、これらは一体回転する。偏心部材26は第一軸受28により中間部材20に対して回転軸芯Xを中心に相対回転自在に支持される。図1、図3に示すように、この偏心部材26の偏心支持面26Eに対し第二軸受29を介して入力ギヤ30が支持され、この入力ギヤ30の外歯部30Aの一部が出力ギヤ25の内歯部25Aの一部に噛み合う。
更に、図4に示すようにオルダム継手Cxの外部係合アーム42がアウタケース11の一対の案内溝部11aに係合し、オルダム継手Cxの内部係合アーム43の係合凹部43aに入力ギヤ30の係合突起30Tが係合する。図1に示すようにオルダム継手Cxの継手部材40の外方側にフロントプレート12が配置されるため、継手部材40はフロントプレート12の内面に接触する状態で回転軸芯Xに対して直交する方向に移動可能となる。この配置により、オルダム継手Cxは、第一軸受28及び第二軸受29の双方より外側(吸気カムシャフト2から遠い側)で、フロントプレート12より内側(吸気カムシャフト2に近い側)に配置される。
そして、図1から図3に示すように、位相制御モータMの出力軸Maに形成された一対の係合ピン8が、偏心部材26の係合溝26Tに係合する。
〔位相調節機構の作動形態〕
図面には示していないが位相制御モータMはECUとして構成される制御装置によって制御される。エンジンEにはクランクシャフト1と吸気カムシャフト2との回転速度(単位時間あたりの回転数)と、各々の回転位相とを検知可能なセンサを備えており、これらのセンサの検知信号が制御装置に入力するように構成されている。
制御装置は、エンジンEの稼動時において位相制御モータMを吸気カムシャフト2の回転速度と等しい速度で駆動することで相対回転位相を維持する。これに対して位相制御モータMの回転速度を吸気カムシャフト2の回転速度より低減することにより進角作動が行われ、これとは逆に回転速度が増大することにより遅角作動が行われる。前述したように進角作動により吸気圧縮比が増大し、遅角作動により吸気圧縮比が低減する。
位相制御モータMがアウタケース11と等速(吸気カムシャフト2と等速)で回転する場合には、出力ギヤ25の内歯部25Aに対する入力ギヤ30の外歯部30Aの噛み合い位置が変化しないため、駆動側回転体Aに対する従動側回転体Bの相対回転位相は維持される。
これに対してアウタケース11の回転速度より高速又は低速で位相制御モータMの出力軸Maを駆動回転することにより、位相調節機構Cでは偏心軸芯Yが回転軸芯Xを中心に公転する。この公転により出力ギヤ25の内歯部25Aに対する入力ギヤ30の外歯部30Aに対する噛み合い位置が出力ギヤ25の内周に沿って変位し、入力ギヤ30と出力ギヤ25との間には回転力が作用する。つまり、出力ギヤ25には回転軸芯Xを中心とする回転力が作用し、入力ギヤ30には偏心軸芯Yを中心に自転させようとする回転力が作用する。
前述したように入力ギヤ30は、その係合突起30Tが継手部材40の内部係合アーム43の係合凹部43aに係合するためアウタケース11に対して自転することはなく、回転力が出力ギヤ25に作用する。この回転力の作用により出力ギヤ25と共に中間部材20が、アウタケース11に対し回転軸芯Xを中心に回転する。その結果、駆動側回転体Aと従動側回転体Bとの相対回転位相を設定し、吸気カムシャフト2による開閉時期の設定を実現する。
また、入力ギヤ30の偏心軸芯Yが回転軸芯Xを中心に公転する際には、入力ギヤ30の変位に伴い、オルダム継手Cxの継手部材40は、アウタケース11に対して外部係合アーム42が延びる方向(第一方向)に変位し、入力ギヤ30は、内部係合アーム43が延びる方向(第二方向)へ変位する。
前述したように入力ギヤ30の外歯部30Aの歯数が、出力ギヤ25の内歯部25Aの歯数より1歯だけ少なく設定されているため、入力ギヤ30の偏心軸芯Yが回転軸芯Xを中心に1回転だけ公転した場合には、1歯分だけ出力ギヤ25が回転することになり大きい減速を実現している。
〔位相調節機構の潤滑〕
図1に示すように、吸気カムシャフト2には外部のオイルポンプPからの潤滑油が油路形成部材9を介して供給される潤滑油路15を形成している。中間部材20の支持壁部21のうち吸気カムシャフト2に当接する面の一部には、潤滑油路15に連通し、偏心部材26の内部に潤滑油を案内する供給油路21aが形成されている。すなわち、支持壁部21は、外部から従動側回転体Bの内部に潤滑油を供給可能な供給油路21aを有する。
前述したように偏心部材26には複数の第一潤滑油溝26aと複数の第二潤滑油溝26bが形成されている(図1、図7を参照)。また、フロントプレート12のうち継手部材40と対向する面には、継手部材40の表面との間に径方向に沿って僅かな隙間となる潤滑凹部12aが形成されている。なお、この潤滑凹部12aはフロントプレート12の内周側に形成されているが、フロントプレート12の外周に達する領域に形成されるものでも良く、潤滑凹部12aを省略してフロントプレート12と継手部材40との隙間に潤滑油を供給するように構成してもよい。
前述したように案内溝部11aには一対の排出流路11bが形成されている(図4、図7を参照)。更に、フロントプレート12の開口12bの開口径を、偏心部材26の内径より充分に大きくすることにより、フロントプレート12の開口縁と偏心部材26の内周との間に段差Gが形成されている。
図1、図5~図7に示されるように、支持壁部21は、供給油路21aと連通し、且つ、内壁面21bに凹状且つ回転軸芯X周りに環状に形成されて潤滑油が流通可能な環状油路21d(図5及び図7において灰色を付した部分)を有する。本実施形態では、支持壁部21は、内壁面21bに供給油路21aと環状油路21dとを連通させる連絡油路21cを有する。連絡油路21cは全体が円柱状の孔であって、回転軸芯Xに沿う方向視で、連絡油路21cの一部が供給油路21aと環状油路21dとにそれぞれ重複している(図5参照)。連絡油路21cの底面21caは支持壁部21の内壁面21bの表面を基準として環状油路21dの底面21daよりも深い位置に形成されている。すなわち、図6に示されるように、連絡油路21cの底面21caは、環状油路21dの底面21daよりも吸気カムシャフト2に近い側に設けられている。
上記構成により、オイルポンプPから供給される潤滑油は、吸気カムシャフト2の潤滑油路15から、従動側回転体Bの支持壁部21の供給油路21aを介して従動側回転体Bの内部に供給される。潤滑油は、従動側回転体Bの内部において偏心部材26の内部空間や連絡油路21cを介して環状油路21dに供給される。弁開閉時期制御装置100の作動により従動側回転体Bと偏心部材26は回転軸芯Xを中心に回転するので、回転により発生する遠心力により偏心部材26の第一潤滑油溝26aや環状油路21dを介して第一軸受28に供給されて第一軸受28を円滑に作動(摺動)させる。第一軸受28に供給された潤滑油は、その後隣接する第二軸受29に供給されると共に、第二軸受29の外周側に配置され、弾性部材Sに付勢された出力ギヤ25の内歯部25Aと入力ギヤ30の外歯部30Aとの噛み合い位置に供給され、これらの部位を円滑に作動(摺動)させる。
本実施形態によれば、このようにして、供給油路21aから従動側回転体Bに供給された潤滑油を支持壁部21の内壁面21bに形成された環状油路21dを介して摺動部位に流通させることができる。本実施形態おいて摺動部位とは、従動側回転体Bの内部に配置された部材の部位であって、弁開閉時期制御装置100の作動時に摺動が発生する部位である。例えば、第一軸受28、第二軸受29、出力ギヤ25、及び、入力ギヤ30において摺動する部位である。第一軸受28であれば、ボール(転動体)と内輪28a、外輪28bとの間である。第二軸受29であれば、ボール(転動体)と内輪29a、外輪29bとの間である。出力ギヤ25と入力ギヤ30であれば、出力ギヤ25の内歯部25Aと入力ギヤ30の外歯部30Aとの噛み合い位置である。環状油路21dに潤滑油を供給することにより、環状油路21dを介して従動側回転体Bの内部の摺動部位に潤滑油を確実に供給することができる。その結果、弁開閉時期制御装置100において摺動部位の摩耗や焼き付けを抑制することができる。なお、環状油路21dは、偏心部材26の第一潤滑油溝26aと対向している(図1参照)。これにより、偏心部材26の内部空間に供給された潤滑油が内周面26dから第一潤滑油溝26aを介して環状油路21dに流れ込むので、潤滑油を摺動部位に更に確実に供給することができる。
さらに、上記構成によれば、環状油路21dが支持壁部21の内壁面21bに凹状に形成されているので、弁開閉時期制御装置100は、従動側回転体Bの内部に潤滑油の貯留空間を確保するために、回転軸芯Xに沿う方向の間隙を確保する必要がない。換言すると、従動側回転体Bの支持壁部21の内壁面21bと偏心部材26、第一軸受28との間に回転軸芯Xに沿う方向の間隙を設ける必要がない。したがって、弁開閉時期制御装置100をコンパクトに構成することができる。
ここで、図6に示される支持壁部21の側断面において、連絡油路21cは、環状油路21dと重複する領域を含む領域で構成されている。本実施形態では、図1及び図6に示されるように、連絡油路21cの断面積S4(回転軸芯Xに平行な平面で切断したときの断面積)は、環状油路21dの断面積S3(回転軸芯Xに平行な平面で切断したときの断面積)よりも大きい。
環状油路21dに供給された潤滑油は、供給油路21a及び連絡油路21cに連続する環状油路21dの一部領域から環状油路21dの周方向に沿って流れ込んで環状油路21dの全体に行き渡るようになる。ただし、供給油路21aは、径方向において支持壁部21の内壁面21bに形成された貫通孔21eと環状油路21dとの間に形成する必要があるので、供給油路21aの断面積S1(回転軸芯Xに垂直な平面で切断したときの断面積)は環状油路21dの断面積S3よりも小さい。このため、供給油路21aから環状油路21dに供給された潤滑油は環状油路21dの途中で途切れ、環状油路21dの全体に行きわたるまでに時間がかかるおそれがある。そこで、本実施形態では、支持壁部21は、内壁面21bに供給油路21aと環状油路21dとを接続する連絡油路21cを有し、連絡油路21cの断面積S4が環状油路21dの断面積S3よりも大きくなるように構成している。このように構成すれば、供給油路21aから供給された潤滑油は一旦連絡油路21cに貯留され、連絡油路21cから溢れた潤滑油が環状油路21dに供給される。このとき、連絡油路21cの方が環状油路21dよりも断面積が大きいので、潤滑油が環状油路21dの中で途切れることもなく、短時間で環状油路21dの全体に潤滑油を行き渡らせることができる。
連絡油路21cから環状油路21dに供給された潤滑油は、図5から理解されるように、環状油路21dの両方向(時計回りと反時計回り)に流れる。このため連絡油路21cの断面積S4は、環状油路21dの断面積S3の2倍以上であることが好ましい。連絡油路21cの断面積S4が環状油路21dの断面積S3の2倍以上であると、連絡油路21cを介して潤滑油をよりスムーズに供給することができ、環状油路21d内を潤滑油が両方向に流通する場合にも、潤滑油が環状油路21dの中で途切れることもなく、短時間で環状油路21dの全体に潤滑油を行き渡らせることができる。
連絡油路21cから環状油路21dに向けてスムーズに潤滑油を供給するうえで、連絡油路21cの断面積S2(回転軸芯Xに垂直な平面で切断したときの断面積)は供給油路21aの断面積S1以上であることが好ましい。本実施形態では、図5に示されるように、連絡油路21cの断面積S2が供給油路21aの断面積S1の2倍以上に設定されている。
図1及び図6に示されるように、環状油路21dは、第一軸受28の内輪28aの内径側端部28a1から第一軸受28の外輪28bの内径側端部28b1に亘る領域に対向している。これにより、供給油路21aから従動側回転体Bの内部に供給された潤滑油は、環状油路21dを介して第一軸受28を含む摺動部位の全体に確実に行き渡らせることができる。
また、オイルポンプPから従動側回転体Bの内部(偏心部材26の内部空間)に供給された潤滑油の一部は、遠心力により第二潤滑油溝26bから継手部材40に供給されると共に、第二軸受29に供給され、出力ギヤ25の内歯部25Aと入力ギヤ30の外歯部30Aとの噛み合い位置に供給される。
図1に示すように第二潤滑油溝26bからの潤滑油は、潤滑凹部12aによりフロントプレート12と継手部材40との間に供給されると共に、継手部材40の外部係合アーム42とアウタケース11の案内溝部11aとの間の隙間に供給される。これにより、継手部材40を円滑に作動させる。そして、この継手部材40に供給された潤滑油は、継手部材40の外部係合アーム42とアウタケース11の案内溝部11aとの間の隙間から外部に排出される。
フロントプレート12の開口縁と偏心部材26の内周との間に段差Gが形成されているため、エンジンEが停止した場合には偏心部材26の内部空間の潤滑油をフロントプレート12の開口12bから排出し、内部に残留する潤滑油の油量を低減できる。なお、弁開閉時期制御装置100の内部に潤滑油が多く残留する場合には、寒冷の環境でエンジンEを始動した後に、潤滑油の粘性の影響により位相調節機構Cの作動が抑制されることになるが、エンジンEの停止時に潤滑油を排出することにより、このような不都合を解消できる。
更に、案内溝部11aに排出流路11bが形成されているため、寒冷の環境で停止状態にあるエンジンEを始動する際には、遠心力によって内部の潤滑油を、排出流路11bを介して迅速に排出できるため、粘性の高い潤滑油を短時間のうちに排出し、潤滑油の粘性の影響を排除して位相調節機構Cの迅速な作動を可能にする。
フロントプレート12には、図7に示すように、内側(吸気カムシャフト2に近い側)の面に、内側に向けて突出する凸部12cが形成されている。凸部12cは、中間部材20と摺接可能な程度に軽く当接させている。中間部材20は、凸部12cと当接することでフロントプレート12に近づく側への移動を規制される。これにより、オルダム継手Cx(継手部材40)はフロントプレート12と中間部材20との間において所定の間隔が保持された状態で、オルダム継手Cxを円滑(滑らかに)に作動させることができる。
また、偏心部材26を第一軸受28により中間部材20の内周の支持面22Sに支持し、偏心部材26の偏心支持面26Eに第二軸受29を介して入力ギヤ30を支持している。このため弾性部材Sの付勢力が偏心部材26の姿勢を変化させる方向に作用しても偏心部材26の円周支持面26S外面の全周が第一軸受28により中間部材20の内周に抱き込まれるように保持し、偏心部材26と中間部材20との位置関係を維持できる。
特に、この構成では、弾性部材Sの付勢力が偏心部材26と中間部材20との間にだけ作用し、外部の部材に作用しないため、例えば、弾性部材Sの付勢力に対する外部の部材の変形や変位を考慮せずに済み、偏心部材26の姿勢維持を一層高い精度で行える。
また、偏心部材26の端部に潤滑油を流すための第一潤滑油溝26aと第二潤滑油溝26bとを形成することにより、オルダム継手Cxを円滑に作動させ、第一軸受28と第二軸受29との円滑な作動を行わせ、出力ギヤ25の内歯部25Aと入力ギヤ30の外歯部30Aと噛合を円滑に行わせ、位相制御モータMに作用する負荷を軽減する。このように第一潤滑油溝26aと第二潤滑油溝26bとを形成することで潤滑油が必要な箇所に潤滑油を供給するため潤滑油を無駄にすることがなく潤滑油量の低減も可能となる。
特に、オルダム継手Cxを構成する継手部材40とフロントプレート12との間に潤滑油を供給することで、継手部材40の作動を円滑に行わせることになり、位相制御モータMに作用する負荷の一層の軽減が可能となる。
位相調節機構Cでは、出力ギヤ25の内歯部25Aと入力ギヤ30の外歯部30Aとの噛合部に強い力が作用するため、この部位で塵埃が発生することもある。しかしながら、潤滑油が流れる方向でこの噛合部より下流側に軸受が配置されていないため、塵埃等の影響を排除して軸受の傷みを抑制することも可能にする。
特に、この構成では遠心力により潤滑油を排出できるため、塵埃や異物等の排出を行えるだけでなく、エンジンEの停止時にも潤滑油を積極的に排出するため、内部に塵埃や異物等を内部に残留させることもない。
〔第2実施形態〕
第2実施形態では、支持壁21部の内壁面21bに連絡油路21c及び環状油路21dが形成されておらず、供給油路21aのみが形成されている。本実施形態においては、図8に示されるように、偏心部材26の内周面26d全体が、回転軸芯Xに沿う方向において支持壁部21に近づくほど拡径される第2テーパ部26e(「テーパ部」の一例)を有する。偏心部材26の内周面26d全体の構成及び支持壁部21の構成を除く他の構成については、第1実施形態と同じである。
第2実施形態では、偏心部材26の内部空間を形成する偏心部材26の内周面26dの全体に設けられた第2テーパ部26eによって、従動側回転体Bの内部の偏心部材26の内部空間に供給された潤滑油には、偏心部材26の内周面26dに沿って径外方向、すなわち支持壁部21に近づき、さらに支持壁部21の外周縁に向かう遠心力が作用する。これにより、従動側回転体Bの内部空間に供給された潤滑油を支持壁部21から摺動部位に確実に供給することができる。その結果、従動側回転体Bにおいて摺動部位の摩耗や焼き付けを抑制することができる。
さらに、第2実施形態は、偏心部材26の内周面26dの全体に第2テーパ部26eを設ける構成であるので、弁開閉時期制御装置100は、従動側回転体Bの内部に潤滑油の貯留空間を確保するために、回転軸芯Xに沿う方向の間隙を確保する必要がない。したがって、弁開閉時期制御装置100をコンパクトに構成することができる。
〔別実施形態〕
(1)上記の実施形態では、位相調節機構Cは、中間部材20と、中間部材20の筒状壁部22の内周面に形成される出力ギヤ25と、偏心部材26と、弾性部材Sと、第一軸受28と、第二軸受29と、入力ギヤ30と、固定リング31と、リング状のスペーサ32と、オルダム継手Cxとを備えて構成されている場合を例示した。位相調節機構Cは、オルダム継手Cxを備えずに構成してもよい。
(2)第1実施形態では、供給油路21aと環状油路21dとの間に連絡油路21cを備る例を示したが、連絡油路21cを備えずに供給油路21aと環状油路21dとを直接接続する構成にしてもよい。
(3)第1実施形態の支持壁部21の内壁面21bに環状油路21dを形成する構成と、第2実施形態の偏心部材26の内周面26d全体に第2テーパ部26eを設ける構成と、を両方備える構成にしてもよい。このように構成することで、偏心部材26の回転で発生する遠心力により、偏心部材26の内周面26dから支持壁部21に近づいた潤滑油を環状油路21dに貯留して第一軸受28等の摺動部位に供給することができるので、偏心部材26の内部空間にある潤滑油を有効に活用することができる。
本発明は、弁開閉時期制御装置に利用することができる。
1 :クランクシャフト
2 :吸気カムシャフト(カムシャフト)
2B :吸気バルブ(弁)
11 :アウタケース
12 :フロントプレート
20 :中間部材
21 :支持壁部
21a :供給油路
21b :内壁面
21c :連絡油路
21ca :底面
21d :環状油路
21da :底面
25 :出力ギヤ
25A :内歯部
26 :偏心部材
26d :内周面
26e :第2テーパ部(テーパ部)
28 :第一軸受(保持軸受)
28a :内輪
28a1 :内径側端部
28b :外輪
28b1 :内径側端部
29 :第二軸受(支持軸受)
30 :入力ギヤ
30A :外歯部
30T :係合突起
100 :弁開閉時期制御装置
A :駆動側回転体
B :従動側回転体
C :位相調節機構
E :エンジン(内燃機関)
S :弾性部材
S1,S2,S3,S4:断面積
X :回転軸芯
Y :偏心軸芯

Claims (6)

  1. 回転軸芯を中心に内燃機関のクランクシャフトと同期回転する駆動側回転体、
    前記回転軸芯と同軸芯、かつ、前記駆動側回転体の内側に配置され、前記内燃機関の弁開閉用のカムシャフトと一体回転する従動側回転体、及び、
    前記駆動側回転体及び前記従動側回転体の相対回転位相を設定する位相調節機構、を備え、
    前記位相調節機構は、
    前記回転軸芯と同軸芯で前記従動側回転体に設けられた出力ギヤ、
    前記回転軸芯と平行姿勢の偏心軸芯を中心に回転し、前記駆動側回転体に連結される入力ギヤ、
    支持軸受を介して前記入力ギヤを内周側から支持し、前記入力ギヤを回転させる筒状の偏心部材、を含み、
    前記回転軸芯を中心とする前記偏心部材の回転で前記偏心軸芯を公転させて前記出力ギヤと前記入力ギヤとの噛み合い位置を変化させるように構成されており、
    前記従動側回転体は、前記回転軸芯に直交する姿勢で前記カムシャフトの端部に連結される支持壁部を有し、
    前記支持壁部は、外部から前記従動側回転体の内部に潤滑油を供給可能な供給油路を有するとともに、前記供給油路と連通し、前記支持壁部の内壁面に凹状且つ前記回転軸芯周りに環状に形成されて前記潤滑油が流通可能な環状油路を有する弁開閉時期制御装置。
  2. 前記支持壁部は、前記内壁面に前記供給油路と前記環状油路とを接続する連絡油路を有し、
    前記連絡油路の断面積が前記環状油路の断面積よりも大きい請求項1に記載の弁開閉時期制御装置。
  3. 前記連絡油路の断面積が前記環状油路の断面積の2倍以上である請求項2に記載の弁開閉時期制御装置。
  4. 前記位相調節機構は、前記従動側回転体の内周と前記偏心部材の外周との間に配置された保持軸受を更に有し、
    前記保持軸受は、前記従動側回転体に取着された外輪と、前記偏心部材に取着された内輪とを有し、
    前記環状油路は、少なくとも前記保持軸受の前記内輪の内径側端部から前記保持軸受の前記外輪の内径側端部に亘る領域に対向している請求項1から3のいずれか一項に記載の弁開閉時期制御装置。
  5. 前記偏心部材の内周面全体は、前記回転軸芯に沿う方向において前記支持壁部に近づくほど拡径されるテーパ部を有する請求項1から4のいずれか一項に記載の弁開閉時期制御装置。
  6. 回転軸芯を中心に内燃機関のクランクシャフトと同期回転する駆動側回転体、
    前記回転軸芯と同軸芯、かつ、前記駆動側回転体の内側に配置され、前記内燃機関の弁開閉用のカムシャフトと一体回転する従動側回転体、及び、
    前記駆動側回転体及び前記従動側回転体の相対回転位相を設定する位相調節機構、を備え、
    前記位相調節機構は、
    前記回転軸芯と同軸芯で前記従動側回転体に設けられた出力ギヤ、
    前記回転軸芯と平行姿勢の偏心軸芯を中心に回転し、前記駆動側回転体に連結される入力ギヤ、
    支持軸受を介して前記入力ギヤを内周側から支持し、前記入力ギヤを回転させる筒状の偏心部材、を含み、
    前記回転軸芯を中心とする前記偏心部材の回転で前記偏心軸芯を公転させて前記出力ギヤと前記入力ギヤとの噛み合い位置を変化させるように構成されており、
    前記従動側回転体は、前記回転軸芯に直交する姿勢で前記カムシャフトの端部に連結される支持壁部を有し、
    前記偏心部材の内周面全体は、前記回転軸芯に沿う方向において前記支持壁部に近づくほど拡径されるテーパ部を有する弁開閉時期制御装置。
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