JP2023086586A - 弁開閉時期制御装置 - Google Patents

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敬介 八木
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利享 若松
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    • F01M9/10Lubrication of valve gear or auxiliaries

Abstract

【課題】装置の内部において摺動部位を潤滑する潤滑油を早期に排出可能な弁開閉時期制御装置を提供する。【解決手段】弁開閉時期制御装置100は、駆動側回転体A、従動側回転体、及び、駆動側回転体A及び従動側回転体の相対回転位相を設定する位相調節機構、を備え、位相調節機構は、回転軸芯Xと同軸芯で従動側回転体に設けられた出力ギヤ25、駆動側回転体Aに連結される入力ギヤ30、入力ギヤ30を回転させる筒状の偏心部材26、を含んでいる。駆動側回転体Aは、回転軸芯Xに沿う方向で偏芯部材26に対してカムシャフトと反対側にフロントプレート12を有し、フロントプレート12は、少なくとも入力ギヤ30の一部に対向する部位に従動側回転体に供給された潤滑油を外部に排出する開口12bを有する。【選択図】図5

Description

本発明は、弁開閉時期制御装置に関する。
特許文献1には、内燃機関においてクランクシャフトからのトルク伝達によりカムシャフトのカム部によるバルブの開閉時期を制御する弁開閉時期制御装置が記載されている。この弁開閉時期制御装置は、駆動側回転体と、従動側回転体と、駆動側回転体及び従動側回転体の相対回転位相を設定する位相調節機構とを備える。位相調節機構は、回転軸芯と同軸芯で従動側回転体に設けられた出力ギヤ、回転軸芯と平行姿勢の偏心軸芯を中心に回転し、駆動側回転体に連結される入力ギヤ、第一軸受、第二軸受、及び、第二軸受を介して入力ギヤを内周側から支持し、入力ギヤを回転させる筒状の偏心部材、等を含んで構成されている。
弁開閉時期制御装置は、通常、エンジンの作動中に従動側回転体の内部に潤滑油が供給される。特許文献1に記載の弁開閉時期制御装置では、駆動側回転体は、回転軸芯に沿う方向で偏芯部材に対してカムシャフトと反対側にフロントプレートを有する。このフロントプレートは、回転軸芯に沿う方向視において円形状であって、中央に円形の開口を有する。当該開口は、偏心部材の内部空間の潤滑油を外部に排出するために設けられている。
特開2021-17833号公報
弁開閉時期制御装置は、作動時に装置の内部において例えば入力ギヤと出力ギヤとが噛み合う部分等の摺動する部位(以下、これらを「摺動部位」と称することもある)が多数存在し、当該摺動部位に潤滑油が供給されるよう構成されている。特許文献1に記載の弁開閉時期制御装置では、フロントプレートは、中央に円形の開口を有し、入力ギヤ及び出力ギヤを全て覆うように形成されている。このため、エンジンの作動中において装置の内部の摺動部位を潤滑する潤滑油がフロントプレートから外部に排出され難い構成である。特に潤滑油の粘度が高くなる寒冷の環境においては、装置の内部に滞留した潤滑油はせん断抵抗が大きくなる。仮に、粘度の高い潤滑油が装置内部の摺動部位に滞留すると、弁開閉時期制御装置の応答性が低下する。また、弁開閉時期制御装置は、装置内部の摺動部位において潤滑油に摩耗粉や異物が混入することがある。この場合には、装置内に潤滑油とともに滞留する摩耗粉や異物によって摺動部位の摩耗が促進されるおそれがある。
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、装置の内部において摺動部位を潤滑する潤滑油を外部に早期に排出可能な弁開閉時期制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る弁開閉時期制御装置の特徴構成は、回転軸芯を中心に内燃機関のクランクシャフトと同期回転する駆動側回転体、前記回転軸芯と同軸芯、かつ、前記駆動側回転体の内側に配置され、前記内燃機関の弁開閉用のカムシャフトと一体回転する従動側回転体、及び、前記駆動側回転体及び前記従動側回転体の相対回転位相を設定する位相調節機構、を備え、前記位相調節機構は、前記回転軸芯と同軸芯で前記従動側回転体に設けられた出力ギヤ、前記回転軸芯と平行姿勢の偏心軸芯を中心に回転し、前記駆動側回転体に連結される入力ギヤ、支持軸受を介して前記入力ギヤを内周側から支持し、前記入力ギヤを回転させる筒状の偏心部材、を含み、前記偏心部材の回転で前記偏心軸芯を公転させて前記出力ギヤと前記入力ギヤとの噛み合い部分の位置を変化させるように構成され、前記従動側回転体は、前記回転軸芯に直交する姿勢で前記カムシャフトの端部に連結される支持壁部を有し、当該支持壁部は外部から前記従動側回転体の内部に潤滑油を供給可能な供給油路を有し、前記駆動側回転体は、前記回転軸芯に沿う方向で前記偏心部材に対して前記カムシャフトと反対側にフロントプレートを有し、前記フロントプレートは、少なくとも前記入力ギヤの一部に対向する部位に前記従動側回転体に供給された前記潤滑油を外部に排出する開口を有する点にある。
弁開閉時期制御装置は、装置の内部のうち入力ギヤと出力ギヤとが噛み合う部分及びその近くに摺動部位が多数存在し、外部から従動側回転体の内部に供給される潤滑油は、当該摺動部位に供給されるように構成されている。本構成では、フロントプレートは、少なくとも入力ギヤの一部に対向する部位に従動側回転体に供給された潤滑油を外部に排出する開口を有する。これにより、弁開閉時期制御装置は、入力ギヤ付近の摺動部位を潤滑する潤滑油をフロントプレートの当該開口から外部に早期に排出することができる。また、摺動部位を潤滑する潤滑油に摩耗粉や異物が混入されたり、摺動により摺動部位に摩耗紛や異物が発生したりしたとしても、弁開閉時期制御装置は、フロントプレートの開口が摺動部位に近接して設けられているため、当該開口からこれらの摩耗粉や異物を潤滑油とともに外部に排出することができる。その結果、潤滑油に混入した摩耗粉や異物による摺動部位その他の装置内の摩耗を抑制することができる。また、摺動部位を潤滑する潤滑油がフロントプレートの当該開口から外部に排出され易く摺動部位の周辺に潤滑油が滞留することがないので、潤滑油の粘度が高い寒冷の環境においても、弁開閉時期制御装置の応答性を向上させることができる。
本発明に係る弁開閉時期制御装置の更なる特徴構成は、前記位相調節機構は、オルダム継手を更に有し、前記オルダム継手は、前記回転軸芯を中心として径方向外方に突出する内部係合アームと、該内部係合アームの内側に形成された係合凹部と、を有し、前記入力ギヤは、係合突起を有すると共に、該係合突起が前記オルダム継手の前記係合凹部と係合することにより前記駆動側回転体に連結され、前記開口は、前記オルダム継手の前記係合凹部に対して前記入力ギヤの前記係合突起が径方向に摺動する領域の全体に対向するように形成されている点にある。
弁開閉時期制御装置では、位相調節機構がオルダム継手を有して構成されることがある。位相調節機構のオルダム継手は、入力ギヤの変位の影響を受けて回転軸芯を中心とする径方向に変位し、その場合にオルダム継手の係合凹部が入力ギヤの係合突起に対して摺動し、摩耗紛が発生する。そこで、本構成では、フロントプレートの開口は、オルダム継手の係合凹部に対して入力ギヤの係合突起が径方向に摺動する領域の全体に対向するように形成されている。これにより、弁開閉時期制御装置は、オルダム継手の係合凹部と入力ギヤの係合突起との摺動部位を潤滑する潤滑油をフロントプレートの当該開口から外部に早期に排出することができる。また、オルダム継手の係合凹部と入力ギヤの係合突起との摺動部位を潤滑する潤滑油に仮に摩耗粉や異物が混入されたり、摺動により摺動部位に摩耗紛や異物が発生したりしたとしても、弁開閉時期制御装置は、フロントプレートの当該開口から摩耗粉や異物を潤滑油とともに外部に排出することができる。
本発明に係る弁開閉時期制御装置の更なる特徴構成は、前記開口は、前記入力ギヤと前記出力ギヤとの噛み合い部分における前記入力ギヤの外歯部の歯底から前記出力ギヤの内歯部の歯底に亘る領域に対向するように形成されている点にある。
弁開閉時期制御装置は、装置の内部の摺動部位として入力ギヤと出力ギヤとの噛み合い部分が存在する。したがって、弁開閉時期制御装置は、外部から従動側回転体の内部に供給される潤滑油は、入力ギヤと出力ギヤとの噛み合い部分にも供給されるように構成されている。そこで、本構成では、フロントプレートの開口は、入力ギヤと出力ギヤとの噛み合い部分における入力ギヤの外歯部の歯底から出力ギヤの内歯部の歯底に亘る領域に対向するように形成されている。これにより、弁開閉時期制御装置において、入力ギヤと出力ギヤとの噛み合い部分から摺動による摩耗紛や異物が発生したとしても、それらを潤滑油と共にフロントプレートの当該開口から外部に早期に排出することができる。また、入力ギヤと出力ギヤとの噛み合い部分を潤滑する潤滑油に仮に摩耗粉や異物が混入したとしても、弁開閉時期制御装置は、フロントプレートの当該開口から摩耗粉や異物を潤滑油とともに外部に排出することができる。
本発明に係る弁開閉時期制御装置の更なる特徴構成は、前記開口は、前記オルダム継手の前記係合凹部と前記入力ギヤの前記係合突起とが径方向に摺動しつつ周方向に移動する作動領域よりも大きい領域に対向するように形成されている点にある。
位相調節機構のオルダム継手は、入力ギヤの変位の影響を受けて回転軸芯を中心とする径方向に変位する。そのため、弁開閉時期制御装置において、オルダム継手の係合凹部と入力ギヤの係合突起とは径方向に摺動しつつ周方向に移動する作動領域を有することが想定される。ここで、当該作動領域には、オルダム継手の係合凹部に対して入力ギヤの係合突起が径方向に摺動する部位が含まれる。また、当該作動領域の周方向において、係合凹部の内部に配置される入力ギヤと出力ギヤとが噛み合って噛み合い部分となる。この場合には、オルダム継手の係合凹部と入力ギヤの係合突起との作動領域は、入力ギヤと出力ギヤとの噛み合い部分を少なくとも含んでいる。
そこで、本構成では、フロントプレートの開口は、オルダム継手の係合凹部と入力ギヤの係合突起との作動領域よりも大きい領域に対向するように形成されている。これにより、弁開閉時期制御装置において、オルダム継手の係合凹部及び入力ギヤの係合突起に近接する摺動部位を潤滑する潤滑油を、フロントプレートの当該開口から外部に早期に排出することができる。また、オルダム継手の係合凹部と入力ギヤの係合突起との作動領域よりも大きい開口であれば、オルダム継手の係合凹部と入力ギヤの係合突起との摺動部分に加えて、入力ギヤと出力ギヤとの噛み合い部分にフロントプレートの開口を対向させることができる。したがって、本構成であれば、弁開閉時期制御装置は、オルダム継手の係合凹部と入力ギヤの係合突起との作動領域近くに存在する、径方向の摺動部位を潤滑する潤滑油と周方向の摺動部位を潤滑する潤滑油との両方をフロントプレートの当該開口から外部に排出することができる。
本発明に係る弁開閉時期制御装置の更なる特徴構成は、前記開口は、前記フロントプレートの周方向に複数が等間隔で設けられている点にある。
上記構成によれば、フロントプレートに複数の開口が存在するので、弁開閉時期制御装置は、装置の内部において摺動部位を潤滑する潤滑油をフロントプレートの複数の開口から外部に効率よく排出することができる。また、複数の開口をフロントプレートの周方向に適所に等間隔で分散配置することで、フロントプレートにおける開口の個々の面積を小さくすることもできる。
弁開閉時期制御装置の断面図である。 図1のII-II線断面図である。 図1のIII-III線断面図である。 図1のIV-IV線断面図である。 図1のV-V線断面図である。 図5のK部を拡大した要部正面図である。 弁開閉時期制御装置の分解斜視図である。 別実施形態の弁開閉時期制御装置の要部正面図である。 別実施形態の弁開閉時期制御装置の要部正面図である。 別実施形態の弁開閉時期制御装置の部分正面図である。 別実施形態の弁開閉時期制御装置の要部正面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔基本構成〕
図1に示すように、本実施形態に係る弁開閉時期制御装置100は、内燃機関としてのエンジンEのクランクシャフト1と同期回転する駆動側回転体A、吸気バルブ2B(弁の一例)を開閉する吸気カムシャフト2(カムシャフトの一例)、回転軸芯Xを中心にして吸気カムシャフト2と一体回転する従動側回転体B、及び、位相制御モータMの駆動力により駆動側回転体Aと従動側回転体Bとの相対回転位相を設定する位相調節機構Cを備えている。
エンジンEは、シリンダブロックに形成された複数のシリンダ3にピストン4を収容し、そのピストン4をコネクティングロッド5によりクランクシャフト1に連結した4サイクル型に構成されている。このエンジンEのクランクシャフト1の出力スプロケット1Sと、駆動側回転体Aの駆動スプロケット11Sとに亘ってタイミングチェーン6(タイミングベルト等でもよい)が巻回されている。
これによりエンジンEの稼働時には弁開閉時期制御装置100の全体が回転軸芯Xを中心に回転する。また、位相制御モータMの駆動力により位相調節機構Cを作動させ駆動側回転体Aに対して従動側回転体Bを回転方向と同方向又は逆方向に変位可能となる。この位相調節機構Cでの変位により駆動側回転体Aと従動側回転体Bとの相対回転位相を設定し、吸気カムシャフト2のカム部2Aによる吸気バルブ2Bの開閉時期(開閉タイミング)の制御が実現する。
なお、従動側回転体Bが相対的に駆動側回転体Aの回転方向と同方向に変位する作動を進角作動と称し、この進角作動により吸気圧縮比が増大する。また、従動側回転体Bが相対的に駆動側回転体Aと逆方向に変位する作動(進角作動とは逆方向への作動)を遅角作動と称し、この遅角作動により吸気圧縮比が低減する。
〔弁開閉時期制御装置〕
図1に示すように、駆動側回転体Aは、外周に駆動スプロケット11Sが形成されたアウタケース11と、フロントプレート12と、を複数の締結ボルト13で締結して構成されている。アウタケース11は、底部に開口を有する有底筒状型である。
図1から図5に示すように、アウタケース11の内部空間に従動側回転体Bとしての中間部材20(図2等参照)と、ハイポトロコイド型のギヤ減速機構を有した位相調節機構C(図3等参照)とが収容されている。また、位相調節機構Cは、位相変化を駆動側回転体A及び従動側回転体Bに反映するオルダム継手Cx(図4等参照)を備えている。
従動側回転体Bを構成する中間部材20は、回転軸芯Xに直交する姿勢で吸気カムシャフト2に連結する支持壁部21と、回転軸芯Xを中心とする筒状で吸気カムシャフト2から離間する方向に支持壁部21の外周縁から突出する筒状壁部22とが一体形成されている。
この中間部材20は、筒状壁部22の外面がアウタケース11の内面に接触する状態で相対回転自在に嵌め込まれ、支持壁部21の中央の貫通孔に挿通する連結ボルト23により吸気カムシャフト2の端部に固定される。このように固定された状態で筒状壁部22の外側(吸気カムシャフト2より遠い側)の端部がフロントプレート12より内側に位置するように構成されている。
図1、図7に示すように、筒状壁部22の外周側には溝部22aが全周にわたって形成されている。溝部22aにより筒状壁部22の外面とアウタケース11の内面との間においてオイルの保持性が向上する。これにより、筒状壁部22とアウタケース11との摩擦力が低減されて、中間部材20がアウタケース11に対し滑らかに回転するようになる。
図1に示すように、位相制御モータMは、その出力軸Maを回転軸芯Xと同軸芯上に配置するように支持フレーム7によりエンジンEに支持されている。位相制御モータMの出力軸Maには回転軸芯Xに対して直交する姿勢の一対の係合ピン8が形成されている(図3から図5も参照)。
〔位相調節機構〕
図1、図7に示すように、位相調節機構Cは、中間部材20と、中間部材20の筒状壁部22の内周面に形成される出力ギヤ25と、偏心部材26と、弾性部材Sと、第一軸受28と、第二軸受29(「支持軸受」の一例)と、入力ギヤ30と、固定リング31と、リング状のスペーサ32と、オルダム継手Cxとを備えて構成されている。なお、第一軸受28と第二軸受29とには転がり軸受が使用されるが、滑り軸受を用いることも可能である。本実施形態において、第二軸受29は、偏心部材26に取着された内輪29aと、入力ギヤ30に取着された外輪29bとを有するボールベアリングである。
図1に示すように、中間部材20の筒状壁部22の内周のうち、回転軸芯Xに沿う方向(以下、軸方向と記載する)で内側(支持壁部21に隣接する位置)に回転軸芯Xを中心とする支持面22Sが形成され、支持面22Sより外側(吸気カムシャフト2より遠い側)に回転軸芯Xを中心とする出力ギヤ25が一体的に形成されている。
図1、図2及び図7に示すように、偏心部材26は筒状である。偏心部材26は、軸方向での内側(吸気カムシャフト2に近い側)に回転軸芯Xを中心とする外周面の円周支持面26Sが形成されている。図1、図3及び図7に示すように、偏心部材26は、外側(吸気カムシャフト2から遠い側)に回転軸芯Xに平行となる姿勢で偏心する偏心軸芯Yを中心とする外周面の偏心支持面26Eが形成されている。偏心軸芯Yに沿う方向は軸方向と同一であるため、以下では、偏心軸芯Yに沿う方向についても単に軸方向と記載する。
偏心支持面26Eには、図4、図5、図7に示すように、偏心部材26の径方向に沿い、内側に向けて窪む第一凹部70が形成されている。第一凹部70の底面には偏心部材26の周方向における両端に、偏心部材26の径方向軸側に向けて窪む一対の第二凹部79,79が形成されている。本実施形態では、第一凹部70は周方向において対称(図4及び図5において左右対称)である。
第二凹部79,79は、それぞれ、第一凹部70における、偏心部材26の周方向におけるそれぞれの端部に形成されている。偏心部材26の径方向における、第二凹部79,79の底面の最大深さは、第一凹部70における偏心部材26の周方向中央付近の底面の深さよりも深い。偏心部材26の周方向における第二凹部79,79のそれぞれの底面から端部に到るまでの面は、後述するバネ部材71の湾曲形状に沿う形状に形成されている。
第一凹部70には、弾性部材Sが嵌め込まれている。弾性部材Sは、一対のバネ部材71,71を含む。本実施形態では、一対のバネ部材71,71はそれぞれ、同一の形状、かつ、同一の大きさである。弾性部材Sは、入力ギヤ30の外歯部30Aの一部を出力ギヤ25の内歯部25Aの一部に噛み合わせるように、第二軸受29を介して入力ギヤ30に付勢力を作用させる。これにより、入力ギヤ30と出力ギヤ25とのバックラッシュの拡大を防ぎ、異音を防止することができる。またこれにより、入力ギヤ30及び出力ギヤ25の耐久性を向上させることができる。
図1、図7に示すように、偏心部材26の内周には、位相制御モータM(図1参照)の一対の係合ピン8の各々が係合可能な一対の係合溝26Tが回転軸芯Xと平行姿勢で形成されている。更に、偏心部材26の内側(支持壁部21の側)には径方向に沿う姿勢の複数の第一潤滑油溝26a(図1参照)が形成され、外側(吸気カムシャフト2から遠い側)には径方向に沿う姿勢の複数の第二潤滑油溝26bが形成されている。なお、偏心部材26には、第一潤滑油溝26aと第二潤滑油溝26bとの一方だけ形成してもよい。これら第一潤滑油溝26aと第二潤滑油溝26bの数は任意に設定してもよい。
図7に示すように、偏心部材26の外側(吸気カムシャフト2から遠い側)の開口端の内周側には、係合溝26Tの両側部分に内側(吸気カムシャフト2に近い側)に向けて径が小さくなるテーパ部26c(傾斜部分)が形成されている。位相制御モータMの一対の係合ピン8を偏心部材26の係合溝26Tに係合させる際に、テーパ部26cにより係合ピン8が係合溝26Tに案内されるので、位相制御モータMと偏心部材26との係合作業が容易になる。
この偏心部材26は、図1、図2に示すように円周支持面26Sに第一軸受28を外嵌し、この第一軸受28を筒状壁部22の支持面22Sに嵌め込むことにより、中間部材20に対し回転軸芯Xを中心に回転自在に支持される。また、入力ギヤ30は、図1、図3に示すように偏心部材26の偏心支持面26Eに対し第二軸受29を介して偏心軸芯Yを中心に回転自在に支持される。
この位相調節機構Cでは、入力ギヤ30の外歯部30Aの歯数が、出力ギヤ25の内歯部25Aの歯数より1歯だけ少なく設定されている。そして、入力ギヤ30の外歯部30Aの一部が出力ギヤ25の内歯部25Aの一部に噛合する。
図1、図7に示すように、固定リング31は、偏心部材26の外周に嵌合状態で支持されることにより第二軸受29の抜け止めを行う。
〔位相調節機構:オルダム継手〕
図1、図4、図7に示すように、オルダム継手Cxは、中央の環状部41と、この環状部41から第一方向(図4では左右方向)に沿って径方向外方に突出する一対の外部係合アーム42と、環状部41から第一方向に直交する方向(図4では上下方向)に沿って径方向外方に突出する内部係合アーム43とを一体形成した板状の継手部材40で構成されている。一対の内部係合アーム43の各々には環状部41の開口に連なる係合凹部43aが形成されている。
アウタケース11のうち、フロントプレート12が当接する開口縁部にはアウタケース11の内部空間から外部空間に亘り、回転軸芯Xを中心に半径方向に延びる一対の案内溝部11aが貫通溝状に形成されている。この案内溝部11aの溝幅が外部係合アーム42の幅より僅かに広く設定され、各々の案内溝部11aには一対の排出流路11bが切欠き形成されている。なお、排出流路11bを、フロントプレート12に対して径方向に潤滑油を流すように形成してもよい。
アウタケース11の開口縁部において、案内溝部11a以外の部位には、周方向に沿い内周側が切り欠かれた一つ以上のポケット部11cが形成されている。ポケット部11cには、駆動側回転体Aの回転による遠心力を受けて外周側に移動する異物が回収される。
図7には、4つのポケット部11cが形成されている場合を図示している。
また、入力ギヤ30のうちフロントプレート12に対向する端面には一対の係合突起30Tが一体形成されている。この係合突起30Tの係合幅が内部係合アーム43の係合凹部43aの係合幅より僅かに狭く設定されている。
このような構成から、継手部材40の一対の外部係合アーム42を、アウタケース11の一対の案内溝部11aに係合させ、継手部材40の一対の内部係合アーム43の係合凹部43aに、入力ギヤ30の一対の係合突起30Tを係合させることによりオルダム継手Cxを機能させることが可能となる。
なお、継手部材40がアウタケース11に対して外部係合アーム42が延びる第一方向(図4で左右方向)に変位可能となり、この継手部材40に対して内部係合アーム43の係合凹部43aの形成方向に沿う第二方向(図4では上下方向)に入力ギヤ30が変位自在となる。
図1、図7に示すように、スペーサ32は、第二軸受29が軸方向に移動可能な隙間の距離を所定の設定値以下にする。オルダム継手Cx(継手部材40)と第二軸受29との間にスペーサ32が備えられることで、軸方向において第二軸受29の移動は、所定の設定値以下の距離に制限される。これにより、入力ギヤ30の係合突起30Tとフロントプレート12との接触を防止することができる。
〔弁開閉時期制御装置の各部の配置〕
組み立て状態の弁開閉時期制御装置100は、図1に示すように吸気カムシャフト2の端部に中間部材20の支持壁部21が連結ボルト23により連結しており、これらは一体回転する。偏心部材26は第一軸受28により中間部材20に対して回転軸芯Xを中心に相対回転自在に支持される。図1、図3に示すように、この偏心部材26の偏心支持面26Eに対し第二軸受29を介して入力ギヤ30が支持され、この入力ギヤ30の外歯部30Aの一部が出力ギヤ25の内歯部25Aの一部に噛み合う。
更に、図4に示すようにオルダム継手Cxの外部係合アーム42がアウタケース11の一対の案内溝部11aに係合し、オルダム継手Cxの内部係合アーム43の係合凹部43aに入力ギヤ30の係合突起30Tが係合する。図1に示すようにオルダム継手Cxの継手部材40の外方側にフロントプレート12が配置されるため、継手部材40はフロントプレート12の内面に接触する状態で回転軸芯Xに対して直交する方向に移動可能となる。この配置により、オルダム継手Cxは、第一軸受28及び第二軸受29の双方より外側(吸気カムシャフト2から遠い側)で、フロントプレート12より内側(吸気カムシャフト2に近い側)に配置される。
そして、図1から図3に示すように、位相制御モータMの出力軸Maに形成された一対の係合ピン8が、偏心部材26の係合溝26Tに係合する。
〔位相調節機構の作動形態〕
図面には示していないが位相制御モータMはECUとして構成される制御装置によって制御される。エンジンEにはクランクシャフト1と吸気カムシャフト2との回転速度(単位時間あたりの回転数)と、各々の回転位相とを検知可能なセンサを備えており、これらのセンサの検知信号が制御装置に入力するように構成されている。
制御装置は、エンジンEの稼動時において位相制御モータMを吸気カムシャフト2の回転速度と等しい速度で駆動することで相対回転位相を維持する。これに対して位相制御モータMの回転速度を吸気カムシャフト2の回転速度より低減することにより進角作動が行われ、これとは逆に回転速度が増大することにより遅角作動が行われる。前述したように進角作動により吸気圧縮比が増大し、遅角作動により吸気圧縮比が低減する。
位相制御モータMがアウタケース11と等速(吸気カムシャフト2と等速)で回転する場合には、出力ギヤ25の内歯部25Aに対する入力ギヤ30の外歯部30Aの噛み合い部分の位置が変化しないため、駆動側回転体Aに対する従動側回転体Bの相対回転位相は維持される。
これに対してアウタケース11の回転速度より高速又は低速で位相制御モータMの出力軸Maを駆動回転することにより、位相調節機構Cでは偏心軸芯Yが回転軸芯Xを中心に公転する。この公転により出力ギヤ25の内歯部25Aに対する入力ギヤ30の外歯部30Aに対する噛み合い部分の位置が出力ギヤ25の内周に沿って変位し、入力ギヤ30と出力ギヤ25との間には回転力が作用する。つまり、出力ギヤ25には回転軸芯Xを中心とする回転力が作用し、入力ギヤ30には偏心軸芯Yを中心に自転させようとする回転力が作用する。
前述したように入力ギヤ30は、その係合突起30Tが継手部材40の内部係合アーム43の係合凹部43aに係合するためアウタケース11に対して自転することはなく、回転力が出力ギヤ25に作用する。この回転力の作用により出力ギヤ25と共に中間部材20が、アウタケース11に対し回転軸芯Xを中心に回転する。その結果、駆動側回転体Aと従動側回転体Bとの相対回転位相を設定し、吸気カムシャフト2による開閉時期の設定を実現する。
また、入力ギヤ30の偏心軸芯Yが回転軸芯Xを中心に公転する際には、入力ギヤ30の変位に伴い、オルダム継手Cxの継手部材40は、アウタケース11に対して外部係合アーム42が延びる方向(第一方向)に変位し、入力ギヤ30は、内部係合アーム43が延びる方向(第二方向)へ変位する。
前述したように入力ギヤ30の外歯部30Aの歯数が、出力ギヤ25の内歯部25Aの歯数より1歯だけ少なく設定されているため、入力ギヤ30の偏心軸芯Yが回転軸芯Xを中心に1回転だけ公転した場合には、1歯分だけ出力ギヤ25が回転することになり大きい減速を実現している。
〔位相調節機構の潤滑〕
図1に示すように、吸気カムシャフト2には外部のオイルポンプPからの潤滑油が油路形成部材9を介して供給される潤滑油路15を形成している。中間部材20の支持壁部21のうち、吸気カムシャフト2に当接する面の一部には偏心部材26の内部に潤滑油路15を流通するオイルを案内する供給油路21aが形成されている。すなわち、支持壁部21は、外部から従動側回転体Bの内部に潤滑油を供給可能な供給油路21aを有する。
前述したように偏心部材26には複数の第一潤滑油溝26aと複数の第二潤滑油溝26bが形成されている(図1、図7を参照)。
この構成から、オイルポンプPから供給される潤滑油は、吸気カムシャフト2の潤滑油路15から、中間部材20の支持壁部21の供給油路21aを介して偏心部材26の内部空間に供給される。このように供給された潤滑油は、遠心力により偏心部材26の第一潤滑油溝26aから第一軸受28に供給され第一軸受28を円滑に作動(摺動)させる。第一軸受28に供給された潤滑油は、その後隣接する第二軸受29に供給されると共に、第二軸受29の外周側に配置され、弾性部材Sに付勢された出力ギヤ25の内歯部25Aと入力ギヤ30の外歯部30Aとの間に供給され、これらの部位(特に噛み合い部分)を円滑に作動(摺動)させる。
これと同時に、偏心部材26の内部空間の潤滑油の一部は遠心力により第二潤滑油溝26bから継手部材40に供給されると共に、第二軸受29に供給され、出力ギヤ25の内歯部25Aと入力ギヤ30の外歯部30Aとの間に供給される。
また、図1に示すように第二潤滑油溝26bからの潤滑油は、フロントプレート12と継手部材40との間に供給されると共に、継手部材40の外部係合アーム42とアウタケース11の案内溝部11aとの間の隙間に供給される。これにより、継手部材40を円滑に作動させる。
前述したように案内溝部11aには一対の排出流路11bが形成されている(図4、図7を参照)。したがって、継手部材40に供給された潤滑油は、継手部材40の外部係合アーム42とアウタケース11の案内溝部11aとの間の隙間から外部に排出される。また、案内溝部11aには排出流路11bが形成されているため、エンジンEを始動する際に遠心力によって内部の潤滑油を排出流路11bから排出することができる。
フロントプレート12は、図1、図5、図7に示すように、中央に回転軸芯Xを中心とする円形の第一開口12aを有する。第一開口12aの開口径を、偏心部材26の内径より大きくすることにより、フロントプレート12の第一開口12aの開口縁と偏心部材26の内周との間に段差Gが形成されている。
当該段差Gにより、エンジンEが停止した場合には偏心部材26の内部空間の潤滑油をフロントプレート12の第一開口12aから排出し、内部に残留する潤滑油の油量を低減できる。
このように、弁開閉時期制御装置100において、従動側回転体Bの内部に供給された潤滑油は、アウタケース11の案内溝部11aやフロントプレート12の第一開口12aから排出可能に構成されている。しかし、装置の内部において、例えば入力ギヤ30と出力ギヤ25との噛み合い部分等の摺動部位に供給された潤滑油は、アウタケース11の案内溝部11aやフロントプレート12の第一開口12aから外部には排出され難い。特に潤滑油の粘度が高くなる寒冷の環境においては、装置の内部に滞留した潤滑油はせん断抵抗が大きくなる。また、弁開閉時期制御装置100では、摺動部位において潤滑油に摩耗粉や異物が混入することがある。この場合には、装置の内部に潤滑油とともに滞留する摩耗粉や異物によってギヤ部等の摩耗が促進されるおそれがある。このため、装置の内部の摺動部位に供給される潤滑油は滞留させずに早期に外部に排出させることが望ましい。
そこで、本実施形態では、図5~図7に示すように、フロントプレート12には、第一開口12aと繋がって径方向外方に延設された第二開口12b(本願の「開口」の一例)が形成されている。本実施形態では、第二開口12bは、継手部材40の一対の内部係合アーム43の夫々に対向するように2つ(一対)形成されている。
第二開口12bは、少なくとも入力ギヤ30の一部に対向する部位に形成されて摺動部位に供給される潤滑油を外部に排出するために設けられている。ここで、少なくとも入力ギヤ30の一部に対向する部位とは、入力ギヤ30の外縁に形成された外歯部30Aの周方向に沿う一部が露出する部位のことである。また、摺動部位とは、従動側回転体Bの内部に配置された部材の部位であって、弁開閉時期制御装置100の作動時に摺動が発生する部位である。例えば、後述する、オルダム継手Cxの係合凹部43aと入力ギヤ30の係合突起30Tとが径方向に摺動する部位、及び、入力ギヤ30と出力ギヤ25との噛み合い部分等が該当する。位相調節機構Cに含まれるオルダム継手Cxは、入力ギヤ30の変位の影響を受けて回転軸芯Xを中心とする径方向に変位し、その場合に内部係合アーム43の係合凹部43aが入力ギヤ30の係合突起30Tに対して摺動し、摩耗紛が発生する。そのため、本実施形態では、フロントプレート12の第二開口12bは、オルダム継手Cxの係合凹部43aに対して入力ギヤ30の係合突起30Tが径方向に摺動する領域R1の全体に対向するように形成されている。領域R1は、例えば図6に示される、係合凹部43aの径方向外方側の第1位置43a1と径方向内方側の第2位置43a2との間の領域である。
さらに、フロントプレート12の第二開口12bは、オルダム継手Cxの係合凹部43aの内側であって、摺動部位である、入力ギヤ30と出力ギヤ25との噛み合い部分も対向するように形成されている。具体的には、図6に示されるように、第二開口12bは、入力ギヤ30の外歯部30Aの歯底30Aaから出力ギヤ25の内歯部25Aの歯底25Aaに亘る領域R2に対向するように形成されている。
このように、フロントプレート12が、入力ギヤ30の一部に対向する部位に従動側回転体Bに供給された潤滑油を外部に排出する第二開口12bを有するので、弁開閉時期制御装置100は、入力ギヤ30付近の摺動部位を潤滑する潤滑油を第二開口12bから外部に早期に排出することができる。また、摺動部位を潤滑する潤滑油に摩耗粉や異物が混入されたり、摺動により摺動部位に摩耗紛や異物が発生したりしたとしても、弁開閉時期制御装置100は、フロントプレート12の第二開口12bが摺動部位に近接して設けられているため、第二開口12bからこれらの摩耗粉や異物を潤滑油とともに外部に排出することができる。その結果、潤滑油に混入した摩耗粉や異物による摺動部位その他の装置内の摩耗を抑制することができる。また、摺動部位を潤滑する潤滑油がフロントプレート12の第二開口12bから外部に排出され易く摺動部位の周辺に潤滑油が滞留することがないので、潤滑油の粘度が高い寒冷の環境においても、弁開閉時期制御装置100の応答性を向上させることができる。
また、フロントプレート12の第二開口12bは、オルダム継手Cxの係合凹部43aと入力ギヤ30の係合突起30Tとが径方向に摺動する領域R1の全体に対向するように形成されている。これにより、弁開閉時期制御装置100は、オルダム継手Cxの係合凹部43aと入力ギヤ30の係合突起30Tとの摺動部位を潤滑する潤滑油をフロントプレート12の第二開口12bから外部に早期に排出することができる。
また、フロントプレート12の第二開口12bは、オルダム継手Cxの係合凹部43aの内側において、入力ギヤ30と出力ギヤ25との噛み合い部分における入力ギヤ30の外歯部30Aの歯底30Aaから出力ギヤ25の内歯部25Aの歯底25Aaに亘る領域R2に対向するように形成されている。これにより、弁開閉時期制御装置100は、入力ギヤ30と出力ギヤ25との噛み合い部分から摺動による摩耗紛や異物が発生したとしても、それらを潤滑油と共にフロントプレート12の第二開口12bから外部に早期に排出することができる。
本実施形態では、図5に示されるように、フロントプレート12の第二開口12bは、継手部材40の一対の内部係合アーム43の夫々に対向するように一対形成されている。一対の係合凹部43a,43aの内側に配置され、フロントプレート12の一対の第二開口12b,12bに対向する外歯部30A及び内歯部25Aは、一方側(例えば図5の上方側)が噛み合うときに他方側(例えば図5の下方側)は離間した状態となる。このとき、離間する他方側(下方側)の外歯部30A及び内歯部25Aの間の隙間は外部に比べて負圧になり、噛み合う一方側(上方側)の外歯部30A及び内歯部25Aの間の隙間は外部に比べて正圧になる。すなわち、一対の係合凹部43a,43aに対応する一対の第二開口12b、12bを設けることで、離間する他方側(下方側)の外歯部30A及び内歯部25Aの間の隙間から潤滑油を吸引し、噛み合う一方側(上方側)の外歯部30A及び内歯部25Aの間の隙間から潤滑油を外部に排出することができるので、従動側回転体Bの内部空間を一種のポンプとして作用させることができる。これにより、オルダム継手Cxの係合凹部43aの内側において、入力ギヤ30と出力ギヤ25との噛み合い部分に供給される潤滑油を外部に迅速に排出することができる。また、第二開口12bを一対形成するのではなく、正圧が発生して潤滑油を外部に排出できる、外歯部30Aと内歯部25Aとが噛み合う一方側(上方側)のみに形成してもよい。
フロントプレート12には、図7に示すように、内側(吸気カムシャフト2に近い側)の面に、内側に向けて突出する凸部12cが形成されている。凸部12cは、中間部材20と摺接可能な程度に軽く当接させている。中間部材20は、凸部12cと当接することでフロントプレート12に近づく側への移動を規制される。これにより、オルダム継手Cx(継手部材40)はフロントプレート12と中間部材20との間において所定の間隔が保持された状態で、オルダム継手Cxを円滑(滑らかに)に作動させることができる。
また、偏心部材26を第一軸受28により中間部材20の内周の支持面22Sに支持し、偏心部材26の偏心支持面26Eに第二軸受29を介して入力ギヤ30を支持している。このため弾性部材Sの付勢力が偏心部材26の姿勢を変化させる方向に作用しても偏心部材26の円周支持面26S外面の全周が第一軸受28により中間部材20の内周に抱き込まれるように保持し、偏心部材26と中間部材20との位置関係を維持できる。
本構成では、弾性部材Sの付勢力が偏心部材26と中間部材20との間にだけ作用し、外部の部材に作用しないため、例えば、弾性部材Sの付勢力に対する外部の部材の変形や変位を考慮せずに済み、偏心部材26の姿勢維持を一層高い精度で行える。
また、偏心部材26の端部に潤滑油を流すための第一潤滑油溝26aと第二潤滑油溝26bとを形成することにより、オルダム継手Cxを円滑に作動させ、第一軸受28と第二軸受29との円滑な作動を行わせ、出力ギヤ25の内歯部25Aと入力ギヤ30の外歯部30Aと噛合を円滑に行わせ、位相制御モータMに作用する負荷を軽減する。このように第一潤滑油溝26aと第二潤滑油溝26bとを形成することで潤滑油が必要な箇所に潤滑油を供給するため潤滑油を無駄にすることがなく潤滑油量の低減も可能となる。
特に、オルダム継手Cxを構成する継手部材40とフロントプレート12との間に潤滑油を供給することで、継手部材40の作動を円滑に行わせることになり、位相制御モータMに作用する負荷の一層の軽減が可能となる。
〔第2実施形態〕
第2実施形態では、図8に示されるように、フロントプレート12の第二開口12bは、第一開口12aから離間して独立した開口として形成されている。具体的には、フロントプレート12において、第二開口12bが第一開口12aに繋がっておらず、第一開口12aと第二開口12bとの間には中間領域12dが存在する。第二開口12bは、径方向に延設される一対の開口部分12b1,12b1と、周方向に延設される開口部分12b2とを有する。一対の開口部分12b1,12b1は、フロントプレート12において係合凹部43aの径方向に延設され、オルダム継手Cxの内部係合アーム43と入力ギヤ30の係合突起30Tとが摺動する領域R1の全体に対向するように形成されている。開口部分12b2は、一対の開口部分12b1,12b1の径方向外方側を接続し、入力ギヤ30と出力ギヤ25との噛み合い部分における入力ギヤ30の外歯部30Aの歯底30Aaから出力ギヤ25の内歯部25Aの歯底25Aaに亘る領域に対向するように形成されている。これにより、第二開口12bは全体としてU字状となり、第1実施形態よりも第二開口12bの領域は小さくなるものの、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
〔第3実施形態〕
第3実施形態では、図9に示されるように、フロントプレート12において、第二開口12bが、オルダム継手Cxの内部係合アーム43の係合凹部43aと入力ギヤ30の係合突起30Tとの摺動する領域R1の全体に対向するように形成されている。具体的には、第二開口12bは、第一開口12aと繋がって径方向(領域R1の延出方向)に沿って延設される一対の開口部分12b1,12b1によって構成されている。したがって、第3実施形態では、フロントプレート12の第二開口12bは、上記実施形態と比較して、摩耗紛や異物を外部に排出する面積が小さくなるものの、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。具体的にはオルダム継手Cxの係合凹部43aと入力ギヤ30の係合突起30Tとの摺動する領域に供給される潤滑油を主に排出することができる。
〔第4実施形態〕
第4実施形態では、図10に示されるように、フロントプレート12において、第二開口12bが、オルダム継手Cxの内部係合アーム43の係合凹部43aの周方向外側に対向する領域であって、外歯部30Aと内歯部25Aとの噛み合い部分に対向するように形成されている。具体的には、回転軸芯Xを基準とした周方向において内部係合アーム43の周方向に沿って矩形状の第二開口12bが複数(本実施形態では、内部係合アーム43の両側に1つずつ)形成されている。第二開口12bは、入力ギヤ30と出力ギヤ25との噛み合い部分における入力ギヤ30の外歯部30Aの歯底30Aaから出力ギヤ25の内歯部25Aの歯底25Aaに亘る領域R2に対向する開口部分12b2によって構成されている。したがって、第4実施形態では、フロントプレート12の第二開口12bは、オルダム継手Cxの内部係合アーム43の外側領域であって、入力ギヤ30と出力ギヤ25が噛み合う領域に供給される潤滑油を主に排出することができる。
〔第5実施形態〕
弁開閉時期制御装置100において、位相調節機構Cのオルダム継手Cxは、入力ギヤ30の変位の影響を受けて回転軸芯Xを中心とする径方向に変位する。そのため、オルダム継手Cxの係合凹部43aと入力ギヤ30の係合突起30Tとは径方向に摺動しつつ周方向に移動する作動領域(図11の領域R3及びR4)を有する。ここで、領域R3は、外部係合アーム42が延びる方向(第一方向)にオルダム継手Cxが変位することに伴い、係合凹部43aと係合突起30Tとが周方向に移動する領域である。また、領域R4は、係合凹部43aに対して係合突起30Tが径方向に移動する領域である。したがって、径方向の領域R4はオルダム継手Cxの係合凹部43aに対し入力ギヤ30の係合突起30Tが径方向に摺動する領域R1と同じである。また、領域R3は、係合凹部43aの内側において入力ギヤ30と出力ギヤ25とが噛み合う部分となる。
そこで、第5実施形態では、図11に示されるように、フロントプレート12の第二開口12bが、オルダム継手Cxの係合凹部43aと入力ギヤ30の係合突起30Tとの作動領域(領域R3及び領域R4)よりも大きい領域に対向するように形成されている。これにより、弁開閉時期制御装置100において、オルダム継手Cxの係合凹部43aと入力ギヤ30の係合突起30Tとに近接する摺動部位を潤滑する潤滑油を、フロントプレート12の第二開口12bから外部にス早期に排出することができる。
また、フロントプレート12の第二開口12bが作動領域(領域R3及び領域R4)よりも大きい開口であれば、オルダム継手Cxの係合凹部43aと入力ギヤ30の係合突起30Tとの摺動部位に加えて、入力ギヤ30と出力ギヤ25との噛み合い部分にフロントプレート12の第二開口12bを対向させることができる。したがって、弁開閉時期制御装置100は、オルダム継手Cxの係合凹部43aと入力ギヤ30の係合突起30Tとの作動領域の近くにおいて、径方向の摺動部位を潤滑する潤滑油と周方向の摺動部位を潤滑する潤滑油との両方をフロントプレート12の第二開口12bから外部に早期に排出することができる。
〔別実施形態〕
(1)フロントプレート12に形成される第二開口12bは、1つでもよいし、複数であってもよい。フロントプレート12に第二開口12bを複数設けることで、第二開口12bから潤滑油を外部により効率よく排出することができる。また、複数の第二開口12bをフロントプレート12の適所に分散配置することで、フロントプレート12における第二開口12bの個々の面積を小さくすることもできる。このとき、複数の第二開口12bを、周方向に沿って等間隔に配置してもよい。また、複数の第二開口12bを、オルダム継手Cxの回転バランスがとれるような箇所、例えばオルダム継手Cxで環状部41より質量の大きい外部係合アーム42や内部係合アーム43の近傍、に配置してもよい。また、第二開口12bは、フロントプレート12において、オルダム継手Cxの内部係合アーム43に対向する位置と、内部係合アーム43の外側領域であって外歯部30Aと内歯部25Aとが噛み合う領域に対向する位置との両方に設ける構成でもよい。
(2)第2実施形態では、フロントプレート12において、第一開口12aと離間する第二開口12bをU字状に形成する例を示したが、第二開口12bは矩形状に形成してもよい。
(3)第3実施形態では、フロントプレート12において、第二開口12bの開口部分12b1が第一開口12aに繋がって構成される例を示したが、開口部分12b1は第一開口12aから離間して形成されていてもよい。
本発明は、弁開閉時期制御装置に利用することができる。
1 :クランクシャフト
2 :吸気カムシャフト(カムシャフト)
2B :吸気バルブ(弁)
11 :アウタケース
12 :フロントプレート
12a :第一開口
12b :第二開口(開口)
12b1,12b2,12b3:開口部分
20 :中間部材
21 :支持壁部
21a :供給油路
25 :出力ギヤ
25A :内歯部
25Aa :歯底
26 :偏心部材
28 :第一軸受
29 :第二軸受(支持軸受)
30 :入力ギヤ
30A :外歯部
30Aa :歯底
40 :継手部材
41 :環状部
42 :外部係合アーム
43 :内部係合アーム
43a :係合凹部
43a1 :第1位置
43a2 :第2位置
100 :弁開閉時期制御装置
A :駆動側回転体
B :従動側回転体
C :位相調節機構
Cx :オルダム継手
E :エンジン(内燃機関)
R1,R2:領域
R3,R4:作動領域
S :弾性部材
X :回転軸芯
Y :偏心軸芯

Claims (5)

  1. 回転軸芯を中心に内燃機関のクランクシャフトと同期回転する駆動側回転体、
    前記回転軸芯と同軸芯、かつ、前記駆動側回転体の内側に配置され、前記内燃機関の弁開閉用のカムシャフトと一体回転する従動側回転体、及び、
    前記駆動側回転体及び前記従動側回転体の相対回転位相を設定する位相調節機構、を備え、
    前記位相調節機構は、
    前記回転軸芯と同軸芯で前記従動側回転体に設けられた出力ギヤ、
    前記回転軸芯と平行姿勢の偏心軸芯を中心に回転し、前記駆動側回転体に連結される入力ギヤ、
    支持軸受を介して前記入力ギヤを内周側から支持し、前記入力ギヤを回転させる筒状の偏心部材、を含み、
    前記偏心部材の回転で前記偏心軸芯を公転させて前記出力ギヤと前記入力ギヤとの噛み合い部分の位置を変化させるように構成され、
    前記従動側回転体は、前記回転軸芯に直交する姿勢で前記カムシャフトの端部に連結される支持壁部を有し、
    当該支持壁部は外部から前記従動側回転体の内部に潤滑油を供給可能な供給油路を有し、
    前記駆動側回転体は、前記回転軸芯に沿う方向で前記偏心部材に対して前記カムシャフトと反対側にフロントプレートを有し、
    前記フロントプレートは、少なくとも前記入力ギヤの一部に対向する部位に前記従動側回転体に供給された前記潤滑油を外部に排出する開口を有する弁開閉時期制御装置。
  2. 前記位相調節機構は、オルダム継手を更に有し、
    前記オルダム継手は、前記回転軸芯を中心として径方向外方に突出する内部係合アームと、該内部係合アームの内側に形成された係合凹部と、を有し、
    前記入力ギヤは、係合突起を有すると共に、該係合突起が前記オルダム継手の前記係合凹部と係合することにより前記駆動側回転体に連結され、
    前記開口は、前記オルダム継手の前記係合凹部に対して前記入力ギヤの前記係合突起が径方向に摺動する領域の全体に対向するように形成されている請求項1に記載の弁開閉時期制御装置。
  3. 前記開口は、前記入力ギヤと前記出力ギヤとの噛み合い部分における前記入力ギヤの外歯部の歯底から前記出力ギヤの内歯部の歯底に亘る領域に対向するように形成されている請求項1又は2に記載の弁開閉時期制御装置。
  4. 前記開口は、前記オルダム継手の前記係合凹部と前記入力ギヤの前記係合突起とが径方向に摺動しつつ周方向に移動する作動領域よりも大きい領域に対向するように形成されている請求項2に記載の弁開閉時期制御装置。
  5. 前記開口は、前記フロントプレートの周方向に複数が等間隔で設けられている請求項1から4のいずれか一項に記載の弁開閉時期制御装置。
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