JP2023079024A - アスファルト改質剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリエステルの先添加でも後添加でもアスファルト舗装の優れた耐わだち掘れ性等を達成できる、混合性に優れたアスファルト改質剤、アスファルト組成物、アスファルト混合物及びその製造方法、並びに道路舗装方法の提供。【解決手段】アルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、該カルボン酸成分(a2)が炭素数2以上6以下の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸を含む結晶性ポリエステル(A)を含むアスファルト改質剤。【選択図】なし

Description

本発明はアスファルト改質剤、アスファルト組成物、アスファルト混合物及びその製造方法、並びに道路舗装方法に関する。
自動車道や駐車場、貨物ヤード、歩道等の舗装には、敷設が比較的容易であり、舗装作業開始から交通開始までの時間が短くてすむことから、アスファルト混合物を用いるアスファルト舗装が行われている。このアスファルト舗装は、骨材をアスファルトで結合したアスファルト混合物によって路面が形成されているので、舗装道路は良好な硬度や耐久性を有している。
しかしながら、アスファルト舗装面は、長期使用によって劣化し、舗装の補修を行う必要が生じる。舗装の補修を行うことにより、維持費用が増大するとともに、自動車の交通に大きな影響を与える結果となっていた。
特許文献1には、乾燥強度、水浸漬強度、及び石油浸漬強度に優れる道路舗装用アスファルト組成物として、アスファルト、特定量のポリエステル樹脂、及び骨材を含有し、前記ポリエステル樹脂が、特定量のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物を含むアルコール成分由来の構成単位と、特定量のテレフタル酸及びイソフタル酸から選ばれる1種以上を含むカルボン酸成分由来の構成単位とを有するポリエステルであって、特定の軟化点と水酸基価を有する、道路舗装用アスファルト組成物が開示されている。
国際公開第2017/125421号
特許文献1等に開示されたポリエステルによりアスファルトを改質する技術において、骨材とポリエステルを事前に混合しその後アスファルトを混合する場合(先添加)、アスファルトと骨材を混合した後にポリエステルを添加する場合(後添加)と比べて、ポリエステルによりアスファルトを改質し、耐わだち掘れ性等を向上する効果が十分発揮されない場合があった。しかし、ポリエステルを後添加することは、製造工程上困難な場合があり、骨材とポリエステルを事前に混合し、その後アスファルトを混合するポリエステルの先添加でも効果を発現することが望まれる。
本発明は、ポリエステルの先添加でも後添加でもアスファルト舗装の優れた耐わだち掘れ性等を達成できる、混合性に優れたアスファルト改質剤、アスファルト組成物、アスファルト混合物及びその製造方法、並びに道路舗装方法に関する。本明細書において、先添加でも後添加でも効果が発揮される態様を「混合性」という。
本発明は、以下の〔1〕~〔5〕に関する。
〔1〕 アルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、
該カルボン酸成分(a2)が炭素数2以上6以下の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸を含む結晶性ポリエステル(A)を含むアスファルト改質剤。
〔2〕 アスファルト及び結晶性ポリエステル(A)を含有するアスファルト組成物であって、
該結晶性ポリエステル(A)はアルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、該カルボン酸成分(a2)中、炭素数2以上6以下の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸を含み、
前記結晶性ポリエステル(A)の含有量が、前記アスファルト100質量部に対し0.1質量部以上1.5質量部以下である、アスファルト組成物。
〔3〕 アスファルト、骨材、結晶性ポリエステル(A)及びポリエステル(B)を配合してなるアスファルト混合物であって、該結晶性ポリエステル(A)はアルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、該カルボン酸成分(a2)中、炭素数2以上6以下の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸を含み、
該ポリエステル(B)はアルコール成分由来の構成単位及びカルボン酸成分由来の構成単位を含み、該アルコール成分中のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量が20モル%以上である、アスファルト混合物。
〔4〕 アスファルト、加熱した骨材、結晶性ポリエステル(A)及びポリエステル(B)を混合するアスファルト混合物の製造方法であって、該結晶性ポリエステル(A)はアルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、該カルボン酸成分(a2)中、炭素数2以上6以下の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸を含み、
該ポリエステル(B)はアルコール成分(b1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(b2)由来の構成単位を含み、該アルコール成分(b1)中のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量が20モル%以上である、アスファルト混合物の製造方法。
〔5〕 上記〔3〕に記載のアスファルト混合物を道路に施工し、アスファルト舗装材層を形成する工程を含む、道路舗装方法。
本発明によれば、ポリエステルの先添加でも後添加でもアスファルト舗装の優れた耐わだち掘れ性等を達成できる、混合性に優れたアスファルト改質剤、アスファルト組成物、アスファルト混合物及びその製造方法、並びに道路舗装方法を提供することができる。
[アスファルト改質剤]
本発明のアスファルト改質剤は、アルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、前記カルボン酸成分が炭素数2以上6以下の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸を含む結晶性ポリエステル(A)を含む。
本発明者らは、所定の結晶性ポリエステル(A)を含むアスファルト改質剤は、ポリエステルの先添加でも後添加でもアスファルト舗装の優れた耐わだち掘れ性等を達成できる、混合性に優れることを見出した。
本発明の効果が得られる詳細な機構は不明であるが、一部は以下のように考えられる。
ポリエステルを構成するカルボン酸成分として、芳香族カルボン酸やアルケニルカルボン酸ではなく、飽和脂肪族カルボン酸を用いることで、骨材への過度な相互作用が抑制され、後でアスファルトが添加された場合でも、ポリエステルがアスファルト側へなじみやすく、アスファルトの改質反応を促進すると考えられる。また、カルボン酸成分として、炭素数2以上6以下の主鎖が短い飽和脂肪族カルボン酸を用いることで、アスファルト混合物の温度が冷えた際にアスファルト中でのポリエステルの結晶化を促進し、フィラー効果で耐久性向上し優れた耐わだち掘れ性が達成できると考えられる。
本明細書における各種用語の定義等を以下に示す。
「バインダ混合物」とは、アスファルトと熱可塑性エラストマーとを含む混合物を意味し、例えば、後述の熱可塑性エラストマー等で改質されたアスファルト(以下、「改質アスファルト」ともいう)を含む概念である。
ポリエステル中、「アルコール成分由来の構成単位」とは、アルコール成分のヒドロキシ基から水素原子を除いた構造を意味し、「カルボン酸成分由来の構成単位」とは、カルボン酸成分のカルボキシ基からヒドロキシ基を除いた構造を意味する。
「カルボン酸成分」とは、そのカルボン酸のみならず、反応中に分解して酸を生成する無水物、及びカルボン酸のアルキルエステル(例えば、アルキル基の炭素数1以上3以下)も含む概念である。カルボン酸成分がカルボン酸のアルキルエステルである場合、カルボン酸の炭素数には、エステルのアルコール残基であるアルキル基の炭素数を算入しない。
樹脂が結晶性であるか非晶質であるかについては、結晶性指数により判定される。結晶性指数は、樹脂の軟化点と吸熱の最大ピークの温度との比(軟化点(℃)/吸熱の最大ピーク温度(℃))で定義される。結晶性樹脂とは、結晶性指数が0.3以上1.4以下のものである。非晶性樹脂とは、吸熱ピークが観察されないか、観察される場合は、結晶性指数が0.3未満又は1.4超のものである。結晶性指数は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができる。
<結晶性ポリエステル(A)>
本発明のアスファルト改質剤が含有する結晶性ポリエステル(A)は、アルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び混合性の観点から、該カルボン酸成分(a2)が炭素数2以上6以下の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸を含む。
以下、アルコール成分(a1)、カルボン酸成分(a2)及び結晶性ポリエステル(A)の物性等について説明する。
(アルコール成分(a1))
アルコール成分(a1)としては、脂肪族ジオール、脂環式ジオール、芳香族ジオール、3価以上の多価アルコール等が挙げられる。これらのアルコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂肪族ジオールとしては、好ましくは主鎖の炭素数2以上12以下の直鎖又は分岐の脂肪族ジオールであり、より好ましくは主鎖の炭素数2以上8以下の直鎖又は分岐の脂肪族ジオールである。
また、脂肪族ジオールは好ましくは飽和脂肪族ジオールである。
脂肪族ジオールの具体例としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-ブテンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオールが挙げられる。
脂環式ジオールとしては、例えば、水素添加ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、水素添加ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。
芳香族ジオールとしては、例えば、ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物が挙げられる。ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物としては、下記式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物が挙げられる。
Figure 2023079024000001
〔式中、OR1及びR1Oはアルキレンオキシドであり、R1は炭素数2又は3のアルキレン基、x及びyはアルキレンオキシドの平均付加モル数を示す正の数を示し、xとyの和は好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上であり、そして、好ましくは16以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは4以下である。〕
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物としては、例えば、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物が挙げられる。これらのビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
3価以上の多価アルコールとしては、好ましくは3価アルコールである。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールが挙げられる。
アルコール成分(a1)は、物性調整の観点から、1価の脂肪族アルコールを更に含有することができる。1価の脂肪族アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられる。これらの1価の脂肪族アルコールは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アルコール成分(a1)は、耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは直鎖脂肪族ジオール、より好ましくはα,ω-直鎖脂肪族ジオールを含む。
直鎖脂肪族ジオールの炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上であり、そして、好ましくは18以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは6以下である。
直鎖脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,16-ヘキサデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,20-エイコサンジオールが挙げられる。これらの中でも、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールが好ましい。これらの直鎖脂肪族ジオールは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
直鎖脂肪族ジオールの含有量は、耐わだち掘れ性の観点から、アルコール成分(a1)100モル%中、好ましくは20モル%以上、より好ましくは40モル%以上、更に好ましくは60モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下である。
(カルボン酸成分(a2))
カルボン酸成分(a2)は、耐わだち掘れ性及び混合性の観点から、炭素数2以上6以下の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸を含むことを要する。
炭素数2以上6以下の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸が挙げられる。中でも、コハク酸、アジピン酸が好ましい。
炭素数2以上6以下の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸の含有量は、カルボン酸成分(b2)中、好ましくは40モル%以上、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは60モル%以上であり、そして、100モル%以下である。
カルボン酸成分(a2)は、上記炭素数2以上6以下の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸とは異なる他のカルボン酸成分を含有していてもよい。他のカルボン酸成分としては、炭素数2以上6以下の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸以外の脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、3価以上6価以下の多価カルボン酸化合物が挙げられる。
他の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸が挙げられる。
3価以上6価以下の多価カルボン酸は、好ましくは3価カルボン酸である。3価以上6価以下の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、又はこれらの酸無水物等が挙げられる。
カルボン酸成分(a2)は、物性調整の観点から、1価の脂肪族カルボン酸を更に含有することができる。1価の脂肪族カルボン酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、それらの酸のアルキル(炭素数1以上3以下)エステル等の炭素数12以上20以下の1価の脂肪族カルボン酸等が挙げられる。これらの1価の脂肪族カルボン酸は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(アルコール成分(a1)由来の構成単位に対するカルボン酸成分(a2)由来の構成単位のモル比)
アルコール成分(a1)の水酸基に対するカルボン酸成分(a2)のカルボキシ基の当量比(COOH基/OH基)は、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上であり、そして、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.2以下である。
(結晶性ポリエステル(A)の物性)
結晶性ポリエステル(A)の軟化点は、耐わだち掘れ性及び混合性の観点から、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは55℃以上であり、そして、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下である。
結晶性ポリエステル(A)の融点は、同様の観点から、45℃以上であり、好ましくは50℃以上、そして、150℃以下であり、好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下である。
結晶性ポリエステル(A)の酸価は、アスファルトとの親和性を高める観点から、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは3mgKOH/g以上、更に好ましくは4mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは70mgKOH/g以下、より好ましくは60mgKOH/g以下、更に好ましくは50mgKOH/g以下である。
結晶性ポリエステル(A)の重量平均分子量Mwは、耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上、更に好ましくは3000以上であり、そして、好ましくは80000以下、より好ましくは40000以下、更に好ましくは20000以下である。
結晶性ポリエステル(A)の軟化点、融点、酸価、及び重量平均分子量Mwは、実施例に記載の方法により測定することができる。なお、軟化点、融点、酸価、及び重量平均分子量Mwは、原料モノマー組成、分子量、触媒量又は反応条件により調整することができる。
〔ポリエステル(B)〕
本発明のアスファルト改質剤は、ポリエステル樹脂(B)を更に含むことができる。
ポリエステル(B)は、アルコール成分(b1)に由来する構成単位及びカルボン酸成分(b2)に由来する構成単位を含み、アルコール成分(b1)中のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量が20モル%以上である。
以下、アルコール成分(b1)、カルボン酸成分(b2)、ポリエステル(B)の物性等について説明する。
<アルコール成分(b1)>
アルコール成分(b1)は、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量が20モル%以上である。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物としては、下記式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物が挙げられる。
Figure 2023079024000002
〔式中、OR1及びR1Oはアルキレンオキシドであり、R1は炭素数2又は3のアルキレン基、x及びyはアルキレンオキシドの平均付加モル数を示す正の数を示し、xとyの和は好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上であり、そして、好ましくは16以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは4以下である。〕
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物としては、例えば、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物が挙げられる。これらのビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量は、アルコール成分100モル%中20モル%以上であることを要し、好ましくは25モル%以上、より好ましくは30モル%以上、更に好ましくは35モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下である。
アルコール成分(b1)は、上記ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物とは異なる他のアルコール成分成分を含有していてもよい。他のアルコール成分としては、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物以外の芳香族ジオール、脂肪族ジオール、脂環式ジオール、3価以上の多価アルコール等が挙げられる。これらのアルコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂肪族ジオールとしては、好ましくは主鎖の炭素数2以上12以下の直鎖又は分岐の脂肪族ジオールであり、より好ましくは主鎖の炭素数2以上8以下の直鎖又は分岐の脂肪族ジオールである。
また、脂肪族ジオールは好ましくは飽和脂肪族ジオールである。
脂肪族ジオールの具体例としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-ブテンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオールが挙げられる。
脂環式ジオールとしては、例えば、水素添加ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、水素添加ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。
3価以上の多価アルコールとしては、好ましくは3価アルコールである。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールが挙げられる。
アルコール成分は、物性調整の観点から、1価の脂肪族アルコールを更に含有することができる。1価の脂肪族アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられる。これらの1価の脂肪族アルコールは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
<カルボン酸成分(b2)>
カルボン酸成分(b2)としては、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、3価以上6価以下の多価カルボン酸が挙げられる。これらのカルボン酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂肪族ジカルボン酸としては、主鎖の炭素数が、好ましくは4以上であり、そして、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、より好ましくは6以下の脂肪族ジカルボン酸、例えば、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、炭素数1以上20以下のアルキル基若しくは炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸、又は、これらの無水物、これらのアルキルエステル(例えば、アルキル基の炭素数1以上3以下)が挙げられる。置換されたコハク酸としては、例えば、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、又は、これらの無水物、これらのアルキルエステル(例えば、アルキル基の炭素数1以上3以下)が挙げられる。以上の芳香族ジカルボン酸の中でも、アスファルト舗装の耐久性の観点から、イソフタル酸及びテレフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
3価以上6価以下の多価カルボン酸は、好ましくは3価カルボン酸である。3価以上6価以下の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、又はこれらの酸無水物等が挙げられる。
カルボン酸成分は、物性調整の観点から、1価の脂肪族カルボン酸を更に含有することができる。1価の脂肪族カルボン酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、それらの酸のアルキル(炭素数1以上3以下)エステル等の炭素数12以上20以下の1価の脂肪族カルボン酸等が挙げられる。これらの1価の脂肪族カルボン酸は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
カルボン酸成分(b2)は、好ましくは耐わだち掘れ性の観点から、テレフタル酸及びイソフタル酸から選ばれる1種以上を含む。
カルボン酸成分中のテレフタル酸及びイソフタル酸の合計含有量は、耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは40モル%以上、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは60モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下である。
<ポリエチレンテレフタレート由来の構成単位>
ポリエステル(B)は、ポリエチレンテレフタレート由来のエチレングリコール由来の構成単位及びテレフタル酸由来の構成単位を含むことができる。ポリエチレンテレフタレートは、エチレングリコール由来及びテレフタル酸由来の構成単位の他にブタンジオールやイソフタル酸等の成分を少量含有してもよい。ポリエチレンテレフタレートは、回収されたポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
ポリエステル(B)がポリエチレンテレフタレート由来のエチレングリコール及びテレフタル酸からなる構成単位を含む場合、「アルコール成分由来の構成単位」はポリエチレンテレフタレート由来のエチレングリコール由来の構成単位を含み、「カルボン酸成分由来の構成単位」はポリエチレンテレフタレート由来のテレフタル酸由来の構成単位を含む。
<アルコール成分由来(b1)の構成単位に対するカルボン酸成分(b2)由来の構成単位のモル比>
アルコール成分(b1)由来の構成単位に対するカルボン酸成分(b2)由来の構成単位のモル比〔カルボン酸成分(b2)/アルコール成分(b1)〕は、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.8以上であり、そして、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.0以下である。
<ポリエステル(B)の物性>
ポリエステル(B)の軟化点又は融点は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは90℃以上、より好ましくは95℃以上、更に好ましくは100℃以上であり、そして、好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下、更に好ましくは120℃以下である。
なお、融点(吸熱の最大ピークの温度)は、一般に、ポリエステル(B)が結晶性ポリエステル樹脂である場合に観察される。
ポリエステル(B)の水酸基価は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性観点から、好ましくは10mgKOH/g以上、より好ましくは15mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは60mgKOH/g以下、より好ましくは50mgKOH/g以下、更に好ましくは40mgKOH/g以下、更に好ましくは30mgKOH/g以下である。
ポリエステル(B)の重量平均分子量Mwは、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは5000以上、より好ましくは7000以上、更に好ましくは8000以上であり、そして、好ましくは70000以下、より好ましくは40000以下、更に好ましくは25000以下である。
ポリエステル(B)の軟化点又は融点は、アスファルト舗装の耐久性の観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上であり、そして、好ましくは150℃以下、より好ましくは145℃以下、更に好ましくは140℃以下である。
ポリエステル樹脂(B)の軟化点若しくは融点、水酸基価、及び重量平均分子量Mwは、実施例に記載の方法により測定することができる。なお、軟化点若しくは融点、水酸基価、及び重量平均分子量Mwは、原料モノマー組成、分子量、触媒量又は反応条件により調整することができる。
結晶性ポリエステル(A)及びポリエステル(B)は、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルは、具体的には、特開平11-133668号公報、特開平10-239903号公報、特開平8-20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルが挙げられる。好ましい変性されたポリエステルは、ポリエステルをポリイソシアネート化合物でウレタン伸長したウレタン変性ポリエステルが挙げられる。
アスファルト改質剤が更にポリエステル(B)を含む場合、アスファルト改質剤中の結晶性ポリエステル(A)及びポリエステル(B)の含有量の比率は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、質量比で、ポリエステル(B)/結晶性ポリエステル(A)が好ましくは60/40以上、より好ましくは65/45以上、更に好ましくは70/30以上、更に好ましくは75/25以上、更に好ましくは80/20以上であり、そして、好ましくは99/1以下、より好ましくは98/2以下、更に好ましくは97/3以下、更に好ましくは95/5以下である。
(ポリエステルの製造方法)
本発明のアスファルト改質剤を構成する結晶性ポリエステル(A)及びポリエステル(B)の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、上述したアルコール成分(a1)及びカルボン酸成分(a2)、並びに、上述したアルコール成分(b1)及びカルボン酸成分(b2)を重縮合することにより製造することができる。
重縮合反応の温度は、特に限定されるものではないが、反応性を調整し、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは160℃以上260℃以下である。
本発明に用いられるポリエステル(B)が、ポリエチレンテレフタレート由来のエチレングリコールに由来する構成単位及びポリエチレンテレフタレート由来のテレフタル酸に由来する構成単位を含む場合、その原料におけるポリエチレンテレフタレートの存在量は、ポリエチレンテレフタレート、アルコール成分及びカルボン酸成分の総量中、好ましくは5~80質量%、より好ましくは15~70質量%、更に好ましくは25~60質量%である。
アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合反応の際にポリエチレンテレフタレートを添加することで、エステル交換反応が起こり、ポリエチレンテレフタレートの構成単位がアルコール成分由来の構成単位及びカルボン酸成分由来の構成単位中に取り込まれたポリエステルを得ることができる。
ポリエチレンテレフタレートは、重縮合反応開始時から存在させていても、重縮合反応途中で反応系に添加してもよい。ポリエチレンテレフタレートの添加時期は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、アルコール成分とカルボン酸成分との反応率が10%以下の段階が好ましく、5%以下の段階がより好ましい。なお、反応率とは、生成反応水量(モル)/理論生成水量(モル)×100の値をいう。
重縮合反応には、反応速度の観点から、エステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒としては、ジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)等のSn-C結合を有していない錫(II)化合物等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、反応速度の観点から、アルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは0.2質量部以上であり、そして、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1.0質量部以下、更に好ましくは0.6質量部以下である。
重縮合反応には、エステル化触媒に加えて、助触媒を使用することができる。助触媒としては、没食子酸等のピロガロール化合物が挙げられる。助触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上、更に好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.15質量部以下、より好ましくは0.10質量部以下、更に好ましくは0.05質量部以下である。
重縮合反応には、触媒に加えて、反応速度の観点から、ターシャルブチルカテコール等の重合禁止剤を使用することができる。重合禁止剤の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.2質量部以下である。
本発明のアスファルト改質剤は、例えばアスファルトと混合し、アスファルト組成物を得るために使用することができる。
得られたアスファルト組成物に、加熱した骨材を添加して、アスファルト混合物とした後に、舗装に使用することができる。本発明のアスファルト改質剤は、骨材を含むアスファルト混合物に配合するためのアスファルト改質剤として好適に使用することができる。
[アスファルト組成物]
本発明のアスファルト組成物は、アスファルト、結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)を含み、前記結晶性ポリエステル(A)の含有量が、前記アスファルト100質量部に対し0.1質量部以上1.5質量部以下である。
<アスファルト>
アスファルトとしては、種々のアスファルトが使用できる。例えば舗装用石油アスファルトであるストレートアスファルトの他、改質アスファルトが挙げられる。改質アスファルトとしては、ブローンアスファルト;熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂等の高分子材料で改質したポリマー改質アスファルト等が挙げられる。ストレートアスファルトとは、原油を常圧蒸留装置、減圧蒸留装置等にかけて得られる残留瀝青物質のことである。また、ブローンアスファルトとは、ストレートアスファルトと重質油との混合物を加熱し、その後空気を吹き込んで酸化させることによって得られるアスファルトを意味する。アスファルトは、ストレートアスファルト及びポリマー改質アスファルトから選択されることが好ましく、アスファルト舗装の耐久性の観点からはポリマー改質アスファルトがより好ましく、汎用性の観点からはストレートアスファルトがより好ましい。ポリマー改質アスファルトとしては、熱可塑性エラストマーで改質されたアスファルトがより好ましい。
(熱可塑性エラストマー)
熱可塑性エラストマーで改質されたアスファルトにおける熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン/ブタジエンブロック共重合体(以下、「SB」ともいう)、スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体(以下、「SBS」ともいう)、スチレン/ブタジエンランダム共重合体(以下、「SBR」ともいう)、スチレン/イソプレンブロック共重合体(以下、「SI」ともいう)、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体(以下、「SIS」ともいう)、スチレン/イソプレンランダム共重合体(以下、「SIR」ともいう)、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン共重合体、スチレン/エチレン/プロピレン/スチレン共重合体、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、イソブチレン/イソプレン共重合体、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、上記以外の合成ゴム、及び天然ゴムから選択される少なくとも1種が挙げられる。
これらの中でも、熱可塑性エラストマーとしては、アスファルト舗装の耐久性の観点から、好ましくはSB、SBS、SBR、SI、SIS、SIR、及びエチレン/アクリル酸エステル共重合体から選択される少なくとも1種、より好ましくはSB、SBS、SBR、SI、SIS、及びSIRから選択される少なくとも1種、更に好ましくはSBR及びSBSから選択される少なくとも1種である。
ポリマー改質アスファルト中の熱可塑性エラストマーの含有量は、アスファルト舗装の耐久性の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましく5質量%以下である。
<結晶性ポリエステル(A)及びポリエステル(B)の含有量>
本発明のアスファルト組成物において、上記結晶性ポリエステル(A)の含有量は、アスファルト舗装の耐久性の観点から、アスファルト100質量部に対して、0.1質量部以上1.5質量部以下であり、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは0.4質量部以上であり、そして、好ましくは1.3質量部以下、より好ましくは1.1質量部以下、更に好ましくは1質量部以下である。
本発明のアスファルト組成物において、上記結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じて含有するポリエステル(B)の合計含有量は、アスファルト舗装の耐久性の観点の観点から、アスファルト100質量部に対して、好ましくは1質量部、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、そして、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。
本発明のアスファルト組成物は、バインダ組成物であり、例えば、該アスファルト組成物に、骨材を添加して、アスファルト混合物とした後に、舗装に使用できる。すなわち、本発明のアスファルト組成物は、舗装用として好適であり、特に道路舗装用として好適である。
[アスファルト組成物の製造方法]
本発明のアスファルト組成物を製造する方法は、アスファルトと、結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)とを混合する工程を有することが好ましい。
アスファルト組成物は、アスファルトを加熱溶融し、結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)を添加し、通常用いられている混合機にて、各成分が均一に分散するまで撹拌混合することにより得られる。通常用いられている混合機としては、ホモミキサー、ディゾルバー、パドルミキサー、リボンミキサー、スクリューミキサー、プラネタリーミキサー、真空逆流ミキサー、ロールミル、二軸押出機等が挙げられる。
アスファルトと、結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じて含有するポリエステル(B)との混合温度は、アスファルト中に結晶性ポリエステル(A)及びポリエステル(B)を均一に分散させる観点から、好ましくは100℃以上、より好ましくは130℃以上、更に好ましくは160℃以上、より更に好ましくは170℃以上であり、そして、好ましくは230℃以下、より好ましくは210℃以下、更に好ましくは200℃以下、より更に好ましくは190℃以下である。
また、アスファルトと、結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じて含有するポリエステル(B)との混合時間は、効率的にアスファルト中に結晶性ポリエステル(A)及びポリエステル(B)を均一に分散させる観点から、好ましくは0.1時間以上、より好ましくは0.5時間以上、更に好ましくは1.0時間以上、より更に好ましくは1.5時間以上であり、そして、好ましくは10時間以下、より好ましくは7時間以下、更に好ましくは5時間以下、より更に好ましくは3時間以下である。
[アスファルト混合物]
本発明のアスファルト混合物は、アスファルト、骨材、結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)を含む。また、本発明のアスファルト混合物は、アスファルト、骨材、結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)を配合してなる。本発明のアスファルト混合物は、舗装用として好適であり、特に道路舗装用として好適である。
<骨材>
骨材としては、砕石、玉石、砂利、砂、再生骨材、セラミックス等を任意に選択して用いることができる。また、骨材としては、粒径2.36mm以上の粗骨材、粒径2.36mm未満の細骨材のいずれも使用することができる。
粗骨材としては、例えば、粒径範囲2.36mm以上4.75mm未満の砕石、粒径範囲4.75mm以上12.5mm未満の砕石、粒径範囲12.5mm以上19mm未満の砕石、粒径範囲19mm以上31.5mm未満の砕石が挙げられる。
細骨材は、好ましくは粒径0.075mm以上2.36mm未満の細骨材である。細骨材としては、川砂、丘砂、山砂、海砂、砕砂、細砂、スクリーニングス、砕石ダスト、シリカサンド、人工砂、ガラスカレット、鋳物砂、再生骨材破砕砂等が挙げられる。
上記の粒径はJIS A5001:2008に規定される値である。
これらの中でも、粗骨材と細骨材との組合せが好ましい。
なお、細骨材には、粒径0.075mm未満のフィラーが含まれていてもよい。フィラーとしては、砂、フライアッシュ、石灰石粉末などの炭酸カルシウム、消石灰等が挙げられる。このうち、アスファルト舗装の強度向上の観点から、炭酸カルシウムが好ましい。
フィラーの平均粒径は、乾燥強度向上の観点から、好ましくは0.001mm以上であり、そして、好ましくは0.06mm以下、より好ましくは0.04mm以下、更に好ましくは0.03mm以下である。フィラーの平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定することができる。ここで、平均粒径とは、体積累積50%の平均粒径を意味する。
粗骨材と細骨材との質量比率は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは10/90以上、より好ましくは20/80以上、更に好ましくは30/70以上であり、そして、好ましくは90/10以下、より好ましくは80/20以下、更に好ましくは70/30以下である。
アスファルト混合物における好適な配合例として、以下の(1)~(3)が挙げられる。
(1)例えば、30容量%以上45容量%未満の粗骨材と、30容量%以上50容量%以下の細骨材と、5容量%以上10容量%以下のアスファルト組成物とを含む細粒度アスファルト。
(2)例えば、45容量%以上70容量%未満の粗骨材と、20容量%以45容量%以下の細骨材と、3容量%以上10容量%以下のアスファルト組成物とを含む密粒度アスファルト。
(3)例えば、70容量%以上80容量%以下の粗骨材と、10容量%以上20容量%以下の細骨材と、3容量%以上10容量%以下のアスファルト組成物とを含むポーラスアスファルト。
上記ポーラスアスファルトは、排水性舗装に好適に使用することができる。
アスファルト混合物中の骨材の含有量は、耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であり、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは96質量%以下である。
なお、従来の骨材とアスファルトを含むアスファルト混合物におけるアスファルトの配合割合については、通常、公益社団法人日本道路協会発行の「舗装設計施工指針」に記載されている「アスファルト組成物の配合設計」から求められる最適アスファルト量に従って用いられている。
本発明においては、上記の最適アスファルト量が、アスファルト、結晶性ポリエステル(A)及びポリエステル(B)の合計量に相当する。ただし、「舗装設計施工指針」に記載の方法に限定する必要はなく、他の方法によって決定してもよい。
アスファルト混合物中のアスファルトの含有量は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは4質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
<結晶性ポリエステル(A)及びポリエステル(B)の含有量>
本発明のアスファルト混合物における結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じて含むポリエステル(B)の合計含有量は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、アスファルト100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上であり、そして、作業性の観点から、好ましくは40質量部以下、より好ましくは35質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。
アスファルト混合物は、更に必要に応じて、その他の成分を含んでもよい。
[アスファルト混合物の製造方法]
本発明のアスファルト混合物は、アスファルト、加熱した骨材、結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)を配合して得ることができる。本発明のアスファルト混合物の製造方法は、アスファルト、加熱した骨材、結晶性ポリエステル(A)、及び必要に応じてポリエステル(B)を同時に又は順不同で混合する工程を含む。
アスファルト混合物の具体的な製造方法としては、従来のプラントミックス方式、プレミックス方式等といわれるアスファルト混合物の製造方法が挙げられる。いずれも加熱した骨材にアスファルト及びポリエステルを添加する方法である。
上記混合する工程は、好ましくは以下の(i)~(iv)のいずれかである。
(i)加熱した骨材に、アスファルトを添加及び混合した後、結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)を添加及び混合する、
(ii)加熱した骨材に、アスファルト、結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)を同時に添加及び混合する、又は
(iii)加熱した骨材に、結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)を添加及び混合した後、アスファルトを添加及び混合する。
(iv)加熱した骨材に、事前に加熱混合したアスファルト、結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)の混合物を添加及び混合する。
結晶性ポリエステル(A)とポリエステル(B)の添加は、同時でも前後して別々でもよい。前後して別々に添加する場合、結晶性ポリエステル(A)の後にポリエステル(B)を添加しても、ポリエステル(B)の後に結晶性ポリエステル(A)を添加してもよい。
(i)~(iii)の方法における加熱した骨材の温度は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上、更に好ましくは170℃以上であり、改質アスファルトの熱劣化を防止する観点から、好ましくは230℃以下、より好ましくは210℃以下、更に好ましくは200℃以下である。
骨材とアスファルト及び/又はポリエステルとの混合温度は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、混合温度は、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上、更に好ましくは170℃以上であり、改質アスファルトの熱劣化を防止する観点から、好ましくは230℃以下、より好ましくは210℃以下、更に好ましくは200℃以下である。
骨材とアスファルト及び/又はポリエステルとの混合時間は、特に限定されず、好ましくは30秒以上、より好ましくは1分以上、更に好ましくは2分以上であり、時間の上限は、特に限定されず、好ましくは約30分程度である。
アスファルト混合物の製造方法は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、混合する工程後、得られた混合物を上記の混合温度で保持する工程を有することが好ましい。
アスファルト混合物を保持する工程においては、混合物を更に混合してもよい。
保持時間は、好ましくは0.2時間以上、より好ましくは0.3時間以上、更に好ましくは0.5時間以上であり、そして、時間の上限は、特に限定されないが、例えば5時間程度である。
[道路舗装方法]
本発明のアスファルト混合物は、道路舗装用として好適であり、道路舗装に使用される。
道路舗装方法は、前述のアスファルト混合物を道路に施工し、アスファルト舗装材層を形成する工程を有する。具体的には、道路舗装方法は、アスファルトと、前述の結晶性ポリエステル(A)及び必要に応じてポリエステル(B)と、加熱した骨材とを混合する、アスファルト混合物を得る工程(工程1)、及び前記工程1で得られたアスファルト混合物を道路に施工してアスファルト舗装材層を形成する工程(工程2)を含む。アスファルト舗装材層は、通常は基層又は表層であり、耐わだち掘れ性及び表面美観の効果を発揮する観点から、好ましくは表層である。
アスファルト舗装材層の厚さは、耐わだち掘れ性及び表面美観の観点から、好ましくは3cm以上、より好ましくは4cm以上、更に好ましくは4.5cm以上であり、そして、好ましくは7cm以下、より好ましくは6cm以下、更に好ましくは5.5cm以下である。本発明の別の態様において、アスファルト舗装材層を薄層舗装とすることができ、表層の厚さは、好ましくは1cm以上、より好ましくは1.5cm以上、更に好ましくは2cm以上であり、そして、好ましくは4cm以下、より好ましくは3.5cm以下、更に好ましくは3cm以下である。
アスファルト混合物は、公知の施工機械編成で、同様の方法によって締固め施工すればよい。加熱アスファルト混合物として使用する場合の締固め温度は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、更に好ましくは130℃以上であり、そして、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。
各種物性については、以下の方法により、測定及び評価を行った。
なお、以下の実施例及び比較例において、特記しない限り、部及び%は質量基準である。
〔ポリエステルの軟化点(Ts)〕
フローテスター「CFT-500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
〔結晶性指数〕
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.02gをアルミパンに計量し、室温(20℃)から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した。次いで試料をそのままの温度で1分間維持し、その後、昇温速度10℃/分で180℃まで昇温しながら熱量を測定した。観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を吸熱の最大ピーク温度(Tmax)とした。
Ts/Tmaxにより、結晶性指数を求めた。
結晶性ポリエステルとは、結晶性指数が0.6以上1.4以下のものである。
〔ポリエステルの融点(Tm)及びガラス転移点(Tg)〕
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した。次いで昇温速度10℃/分で150℃まで昇温しながら測定した。ピーク面積が最大のピークの温度が、軟化点との差が20℃以内であれば融点とした。
吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点とした。
〔ポリエステルの酸価及び水酸基価〕
ポリエステルの酸価及び水酸基価は、JIS K0070:1992の方法に基づき測定した。ただし、測定溶媒のみJIS K0070:1992に規定のエタノールとエーテルとの混合溶媒から、アセトンとトルエンとの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
製造例1~6及び11(ポリエステルA1~A6及びC2)
表1又は表2に示す原料モノマーを温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、窒素導入管、熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下にて140℃で6時間保持、さらに140℃から200℃まで10℃/時間で昇温後、ジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)を加え、200℃にて1時間反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させて、ポリエステルA1~A6及びC2を得た。
ポリエステルA1~A6及びC2は、結晶性ポリエステルであった。
結果を表1及び表2に示す。
Figure 2023079024000003
製造例7(ポリエステルB1)
表2に示す原料モノマーのうちアルコール成分、テレフタル酸及びポリエチレンテレフタレート(PET)を、温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて表2に示す量のジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)を添加し、マントルヒーター中で3時間かけて235℃まで昇温を行い235℃で5時間保持した後、8.0kPaにて1時間減圧反応を行った。反応物からPET粒が消失したことを目視で確認後、180℃まで冷却し、アルケニルコハク酸無水物を投入した。210℃まで2時間かけて昇温後、210℃で1時間保持し、8.3kPaにて減圧反応を行った後、表2に示す軟化点に達するまで反応を行い、ポリエステルB1を得た。なお、用いたアルケニル無水コハク酸は、ドデセニル無水コハク酸(平均分子量256)であった。結果を表2に示す。
製造例8(ポリエステルB2)
表2に示す原料モノマーのうちアルコール成分及びテレフタル酸を、温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて表2に示す量のジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)及び没食子酸を添加し、マントルヒーター中で3時間かけて235℃まで昇温を行い235℃で5時間保持した後、8.0kPaにて1時間減圧反応を行った。180℃まで冷却後、アルケニルコハク酸無水物を投入した。210℃まで2時間かけて昇温後、210℃で1時間保持し、8.3kPaにて減圧反応を行った後、表2に示す軟化点に達するまで反応を行い、ポリエステルB2を得た。結果を表2に示す。
製造例9、12(ポリエステルB3、C3)
表2に示す原料モノマーを温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、窒素導入管、熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて表2に示す量のジ(2-エチルヘキサン酸錫)(II)を添加し、180℃で2時間保持し、さらに210℃まで3時間かけて昇温後、210℃にて4時間反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させて、ポリエステルB3を得た。結果を表2に示す。
製造例10(ポリエステルC1)
表2に示す原料モノマー及びターシャリーブチルカテコール2gを温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、窒素導入管、熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下にて140℃で6時間保持、さらに200℃まで6時間かけて昇温後、ジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)を入れ、200℃にて1時間反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させて、結晶性ポリエステルC1を得た。結果を表2に示す。
Figure 2023079024000004
実施例1
180℃に予め加熱した骨材(骨材組成は以下を参照)15kgをアスファルト用混合機に入れ、180℃にて30秒間混合した。次いで、製造例1で得たポリエステルA1 4.1gおよび製造例7で得たポリエステルB1 37.0gを同時に添加し60秒間混合した。その後、アスファルト(Associated Asphalt社製、PG64-22)0.82kgを加えさらに60秒間混合し、アスファルト混合物AS-1を得た。
得られたアスファルト混合物AS-1を180℃で1時間保管後、金属型枠(300×300×50mm)にアスファルト混合物約10.7kgを充填し、空圧式ローラーコンパクター(株式会社岩田工業所製)を使用し、温度150℃、荷重0.44kPaにて25回転圧処理にて転圧してホイールトラッキング供試体(T-1a)を作製した。
これとは別に、(1)骨材混合アスファルト添加、(2)ポリエステル添加と添加順序を変えた以外は、前述した方法と同様にして、アスファルト供試体(T―1b)を作製した。
<骨材の組成>
6号砕石 40.0質量部
7号砕石 13.0質量部
砕砂 10.0質量部
川砂 22.0質量部
山砂 10.0質量部
石粉(炭酸カルシウム)5.0質量部
通過質量%:
ふるい目 19.0mm:100 質量%
ふるい目 9.50mm:80.1質量%
ふるい目 4.75mm:59.4質量%
ふるい目 2.36mm:43.4質量%
ふるい目 1.18mm:29.1質量%
ふるい目 600μm :18.9質量%
ふるい目 300μm :11.7質量%
ふるい目 150μm : 7.6質量%
[評価]
前述のアスファルト供試体(T-1a)及びアスファルト供試体(T-1b)をそれぞれ下記の評価試験に供した。アスファルト供試体(T-1a)[ポリエステル先添加]及びアスファルト供試体(T-1b)[ポリエステル後添加]の評価結果を比較することで、ポリエステルがアスファルトよりも先に骨材と混合された際の性能差異を評価した。
<わだち掘れ量>
50℃恒温室にて50℃に設定した温水にアスファルト供試体を1時間浸漬し、ホイールトラッキング試験機(株式会社岩田工業所製「AI-1100-S」)を使用し、温度50℃、走行速度15往復/分、荷重175kgf、鉄輪(幅47mm)使用条件にて水浸ホイールトラッキング試験を行った。わだち量は車輪往復回数1200回時の供試体変位量を測定した。その他の測定条件は、公益社団法人日本道路協会出版の「舗装調査・試験法便覧」に記載される「B003ホイールトラッキング試験」に従った。結果を表3に示す。
実施例2~10、比較例1~5
表3に示した配合に変更したこと以外、実施例1と同様にして、アスファルト供試体を調製し、わだち掘れ量を測定した。結果を表3に示す。
Figure 2023079024000005

表3の結果から、本発明によればポリエステルを後添加する場合に加えて、先添加する場合においても、耐わだち掘れ性に優れることが分かる。

Claims (14)

  1. アルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、
    該カルボン酸成分(a2)が炭素数2以上6以下の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸を含む結晶性ポリエステル(A)を含むアスファルト改質剤。
  2. 前記カルボン酸成分(a2)中の炭素数2以上6以下の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸の含有量が40モル%以上である、請求項1に記載のアスファルト改質剤。
  3. 前記アルコール成分(a1)が炭素数2以上6以下の直鎖飽和脂肪族ジオールを含む、請求項1又は2に記載のアスファルト改質剤。
  4. 前記アルコール成分(a1)中の炭素数2以上6以下の直鎖飽和脂肪族ジオールの含有量が40モル%以上である、請求項1~3のいずれかに記載のアスファルト改質剤。
  5. ポリエステル(B)を更に含む請求項1~4のいずれか1項に記載のアスファルト改質剤であって、
    該ポリエステル(B)はアルコール成分(b1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(b2)由来の構成単位を含み、前記アルコール成分(b1)中のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量が20モル%以上である、アスファルト改質剤。
  6. 結晶性ポリエステル(A)に対するポリエステル(B)の質量比〔ポリエステル(B)/結晶性ポリエステル(A)〕が、60/40以上99/1以下である、請求項5に記載のアスファルト改質剤。
  7. 前記ポリエステル(B)のカルボン酸成分(b1)中のテレフタル酸及びイソフタル酸から選ばれる1種以上の合計含有量が40モル%以上である、請求項5又は6に記載のアスファルト改質剤。
  8. 前記ポリエステル(B)の水酸基価が10mgKOH/g以上60mgKOH/g以下である、請求項5~7のいずれかに記載のアスファルト改質剤。
  9. アスファルト及び結晶性ポリエステル(A)を含有するアスファルト組成物であって、
    該結晶性ポリエステル(A)はアルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、該カルボン酸成分(a2)中、炭素数2以上6以下の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸を含み、
    前記結晶性ポリエステル(A)の含有量が、前記アスファルト100質量部に対し0.1質量部以上1.5質量部以下である、アスファルト組成物。
  10. アスファルト、骨材、結晶性ポリエステル(A)及びポリエステル(B)を配合してなるアスファルト混合物であって、
    該結晶性ポリエステル(A)はアルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、該カルボン酸成分(a2)中、炭素数2以上6以下の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸を含み、
    該ポリエステル(B)はアルコール成分(b1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(b2)由来の構成単位を含み、該アルコール成分(b1)中のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量が20モル%以上である、アスファルト混合物。
  11. 結晶性ポリエステル(A)及びポリエステル(B)の合計含有量が、アスファルト100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下である、請求項10に記載のアスファルト混合物。
  12. 前記アスファルトが、ポリマー改質アスファルト又はストレートアスファルトである、請求項10又は11に記載のアスファルト混合物。
  13. アスファルト、加熱した骨材、結晶性ポリエステル(A)及びポリエステル(B)を混合するアスファルト混合物の製造方法であって、
    該結晶性ポリエステル(A)はアルコール成分(a1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(a2)由来の構成単位を含み、該カルボン酸成分(a2)中、炭素数2以上6以下の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸を含み、
    該ポリエステル(B)はアルコール成分(b1)由来の構成単位及びカルボン酸成分(b2)由来の構成単位を含み、該アルコール成分(b1)中のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量が20モル%以上である、アスファルト混合物の製造方法。
  14. 請求項10~12のいずれかに記載のアスファルト混合物を道路に施工し、アスファルト舗装材層を形成する工程を含む、道路舗装方法。
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