JP2023079030A - アスファルト改質剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】アスファルト混合物の混合時間が短くても優れた耐わだち掘れ性を有する舗装面が形成されるアスファルト混合物を得るためのアスファルト改質剤、アスファルト混合物及びその製造方法、並びに道路舗装方法の提供。【解決手段】アルコール成分由来の構成単位及びカルボン酸成分由来の構成単位を含み、アミン価が5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であるポリエステルを含むアスファルト改質剤。【選択図】なし

Description

本発明は、アスファルト改質剤、アスファルト混合物及びその製造方法、並びに道路舗装方法に関する。
自動車道や駐車場、貨物ヤード、歩道等の舗装には、敷設が比較的容易であり、舗装作業開始から交通開始までの時間が短くてすむことから、アスファルト混合物を用いるアスファルト舗装が行われている。このアスファルト舗装は、骨材をアスファルトで結合したアスファルト混合物によって路面が形成されているので、舗装道路は良好な硬度や耐久性を有している。
しかしながら、アスファルト舗装面は、長期使用によって劣化し、舗装の補修を行う必要が生じる。舗装の補修を行うことにより、維持費用が増大するとともに、自動車の交通に大きな影響を与える結果となっていた。
特許文献1には、高温での保管安定性に優れ、乾燥強度の高いアスファルト組成物として、アスファルトと、ポリエステル樹脂と、分散剤と、を含有するアスファルト組成物が開示されている。
特開2018-030996号公報
ポリエステルによりアスファルトを改質すると、アスファルト舗装の優れた耐久性が達成できることが知られている。しかし、ポリエステルと骨材との間の親和性が高く、ポリエステルをアスファルト中に機械力で十分分散させる必要があるため、アスファルト混合物の混合時間を比較的長くする必要がある場合があった。
混合時間を短くすることが可能となれば、施工効率が上がり、アスファルト舗装作業による交通規制の時間を短くし、渋滞解消につながることが期待される。しかし、従来の技術では、混合時間を短くするとアスファルト舗装の耐久性が低下する場合があった。
本発明はアスファルト混合物の混合時間が短くても優れた耐わだち掘れ性を有する舗装面が形成されるアスファルト混合物を得るためのアスファルト改質剤、アスファルト混合物及びその製造方法、並びに道路舗装方法に関する。
本発明は、以下の〔1〕~〔4〕に関する。
〔1〕 アルコール成分由来の構成単位及びカルボン酸成分由来の構成単位を含み、アミン価が5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であるポリエステルを含むアスファルト改質剤。
〔2〕 アスファルト、骨材、ポリエステル、及び炭酸カルシウム粉末を配合してなるアスファルト混合物であって、
前記ポリエステルはアルコール成分由来の構成単位及びカルボン酸成分由来の構成単位を含み、アミン価が5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下である、アスファルト混合物。
〔3〕 アスファルト、加熱した骨材、炭酸カルシウム粉末、及び前記ポリエステルを混合する工程を含むアスファルト混合物の製造方法であって、記ポリエステルはアルコール成分由来の構成単位及びカルボン酸成分由来の構成単位を含み、アミン価が5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下である、アスファルト混合物の製造方法。
〔4〕 上記〔2〕に記載のアスファルト混合物を道路に施工し、アスファルト舗装材層を形成する工程を有する、道路舗装方法。
本発明によれば、アスファルト混合物の混合時間が短くても優れた耐わだち掘れ性を有する舗装面が形成されるアスファルト混合物を得るためのアスファルト改質剤、アスファルト混合物及びその製造方法、並びに道路舗装方法を提供することができる。
[アスファルト改質剤]
本発明のアスファルト改質剤は、アルコール成分由来の構成単位及びカルボン酸成分由来の構成単位を含み、アミン価が5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であるポリエステルを含む。
本発明者らは、所定のポリエステルをアスファルト改質剤としてアスファルト混合物に含有させることで、アスファルト混合物の混合時間が短くても優れた耐わだち掘れ性を有する舗装面が形成されることを見出した。
本発明の効果が得られる詳細な機構は不明であるが、一部は以下のように考えられる。
アスファルト混合物を製造する際に、混合時間が不十分であるとポリエステルがアスファルト混合物中で局在する場合がある。ポリエステルが局在すると、ポリエステルの量が少ない部分とポリエステルが粗大な塊のまま局在している部分が生じ、前者では接着力が弱くなり、後者ではポリエステルはアスファルトと十分に作用し改質できないため、結果的に流動成分を増やしてしまうことになり、耐久性が低下すると考えられる。
従前技術においては、ポリエステルの極性官能基部、すなわちカルボキシ基やヒドロキシ基がフィラー成分と相互作用し、ポリエステルとフィラーで凝集塊を生じる傾向があったと考えられる。凝集塊が生じると、これを解すためには撹拌力が必要であり、十分長い混合時間を要する。
本願発明においては、所定のアミン価を有し、典型的にはアミノアルコール又はアミノカルボン酸に由来する構成単位がポリエステルの末端に存在し、ポリエステルが正電荷を帯びる傾向が高くなる。これにより、例えばフィラー成分との電荷反発により凝集塊の発生を抑制できると考えられる。その結果、より短時間でのポリエステルの微分散を実現でき、混合時間を短くしても十分な耐久性を発揮すると考えられる。
本明細書における各種用語の定義等を以下に示す。
「バインダ混合物」とは、アスファルトと熱可塑性エラストマーとを含む混合物を意味し、例えば、後述の熱可塑性エラストマーで改質されたアスファルト(以下、「改質アスファルト」ともいう)を含む概念である。
ポリエステル中、「アルコール成分由来の構成単位」とは、アルコール成分のヒドロキシ基から水素原子を除いた構造を意味し、「カルボン酸成分由来の構成単位」とは、カルボン酸成分のカルボキシル基からヒドロキシ基を除いた構造を意味する。
「カルボン酸化合物」とは、そのカルボン酸のみならず、反応中に分解して酸を生成する無水物、及びカルボン酸のアルキルエステル(例えば、アルキル基の炭素数1以上3以下)も含む概念である。カルボン酸化合物がカルボン酸のアルキルエステルである場合、カルボン酸化合物の炭素数には、エステルのアルコール残基であるアルキル基の炭素数を算入しない。
<ポリエステル>
ポリエステルは、アルコール成分由来の構成単位及びカルボン酸成分由来の構成単位を含み、アミン価が5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下である。
以下、アルコール成分、カルボン酸成分及びポリエステル樹脂の物性等について説明する。
(アルコール成分)
アルコール成分としては、脂肪族ジオール、脂環式ジオール、芳香族ジオール、3価以上の多価アルコール、アミノアルコール等が挙げられる。これらのアルコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂肪族ジオールとしては、好ましくは主鎖の炭素数2以上12以下の直鎖又は分岐の脂肪族ジオールであり、より好ましくは主鎖の炭素数2以上8以下の直鎖又は分岐の脂肪族ジオールである。
また、脂肪族ジオールは好ましくは飽和脂肪族ジオールである。
脂肪族ジオールの具体例としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-ブテンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオールが挙げられる。
脂環式ジオールとしては、例えば、水素添加ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、水素添加ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。
芳香族ジオールとしては、例えば、ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物が挙げられる。ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物としては、下記式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物が挙げられる。
Figure 2023079030000001
〔式中、OR1及びR1Oはアルキレンオキシドであり、R1は炭素数2又は3のアルキレン基、x及びyはアルキレンオキシドの平均付加モル数を示す正の数を示し、xとyの和は好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上であり、そして、好ましくは16以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは4以下である。〕
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物としては、例えば、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物が挙げられる。これらのビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
3価以上の多価アルコールとしては、好ましくは3価アルコールである。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールが挙げられる。
アルコール成分は、物性調整の観点から、1価の脂肪族アルコールを更に含有することができる。1価の脂肪族アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられる。これらの1価の脂肪族アルコールは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アミノアルコールとしては、混合時間を短くする観点から、好ましくはジアルキルアミノ基を有するアミノアルコール、より好ましくは下記式(1a)で表されるアミノアルコールが挙げられる。
Figure 2023079030000002
〔式中、R11及びR12は独立して炭素数1以上20以下の炭化水素基を示す。Xは炭素数2以上20以下の炭化水素基を示す。〕
11及びR12の炭素数は、1以上であり、そして、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは4以下である。
Xは、好ましくは飽和炭化水素基である。Xの炭素数は、2以上であり、そして、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは5以下である。
下記式(1a)で表されるアミノアルコールとしては、例えば、3-(ジメチルアミノ)-1-プロパノール、ジメチルアミノエタノール、3-(ジエチルアミノ)-1-プロパノール、2-ジエチルアミノエタノールが挙げられ、中でも3-(ジメチルアミノ)-1-プロパノールが好ましい。
(カルボン酸成分)
カルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、3価以上6価以下の多価カルボン酸、アミノカルボン酸等が挙げられる。これらのカルボン酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂肪族ジカルボン酸としては、主鎖の炭素数が、好ましくは4以上であり、そして、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、より好ましくは6以下の脂肪族ジカルボン酸、例えば、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、炭素数1以上20以下のアルキル基若しくは炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸、又は、これらの無水物、これらのアルキルエステル(例えば、アルキル基の炭素数1以上3以下)が挙げられる。置換されたコハク酸としては、例えば、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、又は、これらの無水物、これらのアルキルエステル(例えば、アルキル基の炭素数1以上3以下)が挙げられる。以上の芳香族ジカルボン酸の中でも、耐わだち掘れ性の観点から、イソフタル酸及びテレフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
3価以上6価以下の多価カルボン酸は、好ましくは3価カルボン酸である。3価以上6価以下の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、又はこれらの酸無水物等が挙げられる。
カルボン酸成分は、物性調整の観点から、1価の脂肪族カルボン酸を更に含有することができる。1価の脂肪族カルボン酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、それらの酸のアルキル(炭素数1以上3以下)エステル等の炭素数12以上20以下の1価の脂肪族カルボン酸等が挙げられる。これらの1価の脂肪族カルボン酸は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アミノカルボン酸としては、好ましくはジアルキルアミノ基を有するアミノカルボン酸、より好ましくは下記式(1b)で表されるアミノカルボン酸が挙げられる。
Figure 2023079030000003
〔式中、R11及びR12は独立して炭素数1以上20以下の炭化水素基を示す。Yは炭素数1以上20以下の炭化水素基を示す。〕
11及びR12の炭素数は、1以上であり、そして、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは4以下である。
Xは、好ましくは飽和炭化水素基である。Xの炭素数は、1以上であり、そして、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは5以下である。
下記式(1b)で表されるアミノカルボン酸としては、例えば、ジメチルアミノグリシンが挙げられる。
(ポリエチレンテレフタレート由来の構成単位)
ポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート由来のエチレングリコール由来の構成単位及びテレフタル酸由来の構成単位を含むことができる。ポリエチレンテレフタレートは、エチレングリコール由来及びテレフタル酸由来の構成単位の他にブタンジオールやイソフタル酸等の成分を少量含有してもよい。ポリエチレンテレフタレートは、回収されたポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
ポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレート由来のエチレングリコール及びテレフタル酸からなる構成単位を含む場合、「アルコール成分由来の構成単位」はポリエチレンテレフタレート由来のエチレングリコール由来の構成単位を含み、「カルボン酸成分由来の構成単位」はポリエチレンテレフタレート由来のテレフタル酸由来の構成単位を含む。
(ポリエステルの好ましい態様)
ポリエステルの好ましい態様において、アミノ基を有する構成単位として、アルコール成分がアミノアルコールを含む、又は、カルボン成分がアミノカルボン酸を含む。
アミノアルコール及びアミノカルボン酸は、ポリエステルの末端官能基を封止し、ポリエステルにアミノ基を付与すると考えられる。
アルコール成分がアミノアルコールを含む場合、アミノアルコールの含有量は、アルコール成分100モル%中、好ましくは2モル%以上、より好ましくは4モル%以上、更に好ましくは6モル%以上であり、そして、好ましくは20モル%以下、より好ましくは16モル%以下、更に好ましくは12モル%以下である。
また、ポリエステルの好ましい態様において、アルコール成分は、耐わだち掘れ性の観点から、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物を含む。ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量は、アルコール成分100モル%中、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下である。
また、ポリエステルの好ましい態様において、カルボン酸成分は、耐わだち掘れ性の観点からテレフタル酸及びイソフタル酸からなる群から選ばれる1種以上を含む。テレフタル酸及びイソフタル酸の合計含有量は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは70モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下である。
(アルコール成分に対するカルボン酸成分のモル比)
アルコール成分に対するカルボン酸成分のモル比〔カルボン酸成分/アルコール成分〕は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.8以上であり、そして、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下である。
(ポリエステルの物性)
ポリエステルの軟化点は、耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは85℃以上、更に好ましくは90℃以上であり、そして、混合時間を短くする観点から好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下、更に好ましくは125℃以下、更に好ましくは120℃以下である。
ポリエステルのガラス転移点は、耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、更に好ましくは50℃以上、更に好ましくは55℃以上であり、そして、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、更に好ましくは65℃以下である。
ポリエステルの酸価は、耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは2mgKOH/g以上であり、そして、混合時間を短くする観点から、好ましくは30mgKOH/g以下、より好ましくは20mgKOH/g以下、更に好ましくは15mgKOH/g以下である。
ポリエステルの水酸基価は、耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは3mgKOH/g以上、更に好ましくは5mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは50mgKOH/g以下、より好ましくは40mgKOH/g以下である。
ポリエステルのアミン価は、混合時間を短くする観点から、5mgKOH/g以上であり、好ましくは7mgKOH/g以上、より好ましくは9mgKOH/g以上であり、そして、100mgKOH/g以下であり、耐わだち掘れ性の観点から好ましくは70mgKOH/g以下、より好ましくは50mgKOH/g以下、更に好ましくは30mgKOH/g以下である。
ポリエステルの軟化点、ガラス転移点、酸価、水酸基価及びアミン価は、実施例に記載の方法により測定することができる。なお、軟化点、ガラス転移点、酸価、水酸基価及びアミン価は、原料モノマー組成、分子量、触媒量又は反応条件により調整することができる。
(ポリエステルの製造方法)
本発明のアスファルト改質剤を構成するポリエステルの製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、上述したアルコール成分及びカルボン酸成分を重縮合することにより製造することができる。
重縮合反応の温度は、特に限定されるものではないが、反応性を調整する観点から、好ましくは160℃以上260℃以下である。
本発明に用いられるポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート由来のエチレングリコールに由来する構成単位及びポリエチレンテレフタレート由来のテレフタル酸に由来する構成単位を含む場合、その原料におけるポリエチレンテレフタレートの存在量は、ポリエチレンテレフタレート、アルコール成分及びカルボン酸成分の総量中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは25質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合反応の際にポリエチレンテレフタレートを添加することで、エステル交換反応が起こり、ポリエチレンテレフタレートの構成単位がアルコール成分由来の構成単位及びカルボン酸成分由来の構成単位中に取り込まれたポリエステルを得ることができる。
ポリエチレンテレフタレートは、重縮合反応開始時から存在させていても、重縮合反応途中で反応系に添加してもよい。ポリエチレンテレフタレートの添加時期は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、アルコール成分とカルボン酸成分との反応率が10%以下の段階が好ましく、5%以下の段階がより好ましい。なお、反応率とは、生成反応水量(モル)/理論生成水量(モル)×100の値をいう。
重縮合反応には、反応速度の観点から、ジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)等のSn-C結合を有していない錫(II)化合物をエステル化触媒として使用することができる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは0.2質量部以上、そして、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは0.6質量部以下用いてもよい。
重縮合反応には、エステル化触媒に加えて、反応速度の観点から、没食子酸等のピロガロール化合物を助触媒として使用することができる。助触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上、更に好ましくは0.01質量部以上、そして、好ましくは0.15質量部以下、より好ましくは0.10質量部以下、更に好ましくは0.05質量部以下用いてもよい。
重縮合反応には、触媒に加えて、反応速度の観点から、ターシャルブチルカテコール等の重合禁止剤を、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.2質量部以下、用いてもよい。
本発明のアスファルト改質剤は、例えばアスファルトと混合し、アスファルト組成物を得るために使用することができる。得られたアスファルト組成物に、加熱した骨材を添加して、アスファルト混合物とした後に、舗装に使用することができる。本発明のアスファルト改質剤は、骨材を含むアスファルト混合物に配合するためのアスファルト改質剤として好適に使用することができる。
[アスファルト混合物]
本発明のアスファルト混合物は、アスファルト、骨材、上記ポリエステル及び炭酸カルシウム粉末を含む。また、本発明のアスファルト混合物は、アスファルト、上記ポリエステル及び炭酸カルシウム粉末を配合してなる。本発明のアスファルト混合物は、舗装用として好適であり、特に道路舗装用として好適である。
<アスファルト>
アスファルトとしては、種々のアスファルトが使用できる。例えば舗装用石油アスファルトであるストレートアスファルトの他、改質アスファルトが挙げられる。改質アスファルトとしては、ブローンアスファルト;熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂等の高分子材料で改質したポリマー改質アスファルト等が挙げられる。ストレートアスファルトとは、原油を常圧蒸留装置、減圧蒸留装置等にかけて得られる残留瀝青物質のことである。また、ブローンアスファルトとは、ストレートアスファルトと重質油との混合物を加熱し、その後空気を吹き込んで酸化させることによって得られるアスファルトを意味する。アスファルトは、ストレートアスファルト及び改質アスファルトから選択されることが好ましく、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点からは改質アスファルトがより好ましく、汎用性の観点からはストレートアスファルトがより好ましい。
(熱可塑性エラストマー)
改質アスファルトにおける熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン/ブタジエンブロック共重合体(以下、「SB」ともいう)、スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体(以下、「SBS」ともいう)、スチレン/ブタジエンランダム共重合体(以下、「SBR」ともいう)、スチレン/イソプレンブロック共重合体(以下、「SI」ともいう)、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体(以下、「SIS」ともいう)、スチレン/イソプレンランダム共重合体(以下、「SIR」ともいう)、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン共重合体、スチレン/エチレン/プロピレン/スチレン共重合体、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、イソブチレン/イソプレン共重合体、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、上記以外の合成ゴム、及び天然ゴムから選択される少なくとも1種が挙げられる。改質アスファルトにおける熱可塑性エラストマーとしては、好ましくは、スチレン/ブタジエンブロック共重合体、スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体、スチレン/ブタジエンランダム共重合体、スチレン/イソプレンブロック共重合体、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体、スチレン/イソプレンランダム共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、及びエチレン/アクリル酸エステル共重合体から選択される少なくとも1種である。
これらの中でも、熱可塑性エラストマーとしては、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、好ましくはSB、SBS、SBR、SI、SIS、SIR、及びエチレン/アクリル酸エステル共重合体から選択される少なくとも1種、より好ましくはSB、SBS、SBR、SI、SIS、及びSIRから選択される少なくとも1種、更に好ましくはSBR及びSBSから選択される少なくとも1種である。
改質アスファルト中の熱可塑性エラストマーの含有量は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
<骨材>
骨材としては、砕石、玉石、砂利、砂、再生骨材、セラミックス等を任意に選択して用いることができる。また、骨材としては、粒径2.36mm以上の粗骨材、粒径2.36mm未満の細骨材のいずれも使用することができる。
粗骨材としては、例えば、粒径範囲2.36mm以上4.75mm未満の砕石、粒径範囲4.75mm以上12.5mm未満の砕石、粒径範囲12.5mm以上19mm未満の砕石、粒径範囲19mm以上31.5mm未満の砕石が挙げられる。
細骨材は、好ましくは粒径0.075mm以上2.36mm未満の細骨材である。細骨材としては、川砂、丘砂、山砂、海砂、砕砂、細砂、スクリーニングス、砕石ダスト、シリカサンド、人工砂、ガラスカレット、鋳物砂、再生骨材破砕砂等が挙げられる。
上記の粒径はJIS A5001:2008に規定される値である。
これらの中でも、粗骨材と細骨材との組合せが好ましい。
<炭酸カルシウム粉末>
本発明のアスファルト混合物は、炭酸カルシウム粉末を含有する。炭酸カルシウム粉末は粉粒体であり、具体的には、石灰石の粉末などが挙げられる。
炭酸カルシウム粉末の平均粒径は、アスファルトモルタルの付着性の観点から、好ましくは0.001mm以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは0.075mm未満、より好ましくは0.05mm以下、更に好ましくは0.03mm以下、更に好ましくは0.02mm以下である。炭酸カルシウム粉末の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定することができる。ここで、平均粒径とは、体積累積50%の平均粒径(D50)を意味する。
骨材及び炭酸カルシウム粉末の合計100質量%中の炭酸カルシウム粉末の含有量は、粗骨材間中にモルタルを保持する観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、そして、一定の強度を維持する観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
粗骨材と細骨材との質量比率は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは10/90以上、より好ましくは20/80以上、更に好ましくは30/70以上であり、そして、好ましくは90/10以下、より好ましくは80/20以下、更に好ましくは70/30以下である。
アスファルト混合物における好適な配合例として、以下の(1)~(3)が挙げられる。
(1)例えば、30容量%以上45容量%未満の粗骨材と、30容量%以上50容量%以下の細骨材と、5容量%以上10容量%以下のアスファルト組成物とを含む細粒度アスファルト。
(2)例えば、45容量%以上70容量%未満の粗骨材と、20容量%以45容量%以下の細骨材と、3容量%以上10容量%以下のアスファルト組成物とを含む密粒度アスファルト。
(3)例えば、70容量%以上80容量%以下の粗骨材と、10容量%以上20容量%以下の細骨材と、3容量%以上10容量%以下のアスファルト組成物とを含むポーラスアスファルト。
上記ポーラスアスファルトは、排水性舗装に好適に使用することができる。
アスファルト混合物中の骨材の含有量は、耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であり、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは96質量%以下である。
なお、従来の骨材とアスファルトを含むアスファルト混合物におけるアスファルトの配合割合については、通常、公益社団法人日本道路協会発行の「舗装設計施工指針」に記載されている「アスファルト組成物の配合設計」から求められる最適アスファルト量に従って用いられている。
本発明においては、上記の最適アスファルト量が、アスファルト及びポリエステルの合計量に相当する。ただし、「舗装設計施工指針」に記載の方法に限定する必要はなく、他の方法によって決定してもよい。
アスファルト混合物中のアスファルトの含有量は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
アスファルト混合物は、更に必要に応じて、その他の成分を含んでもよい。
[アスファルト混合物の製造方法]
本発明のアスファルト混合物は、アスファルト、加熱した骨材、炭酸カルシウム粉末、及び上記ポリエステルを配合して得ることができる。本発明のアスファルト混合物の製造方法は、アスファルト、加熱した骨材、炭酸カルシウム粉末、及びポリエステルを同時に又は順不同で混合する工程を含む。
アスファルト混合物の具体的な製造方法としては、従来のプラントミックス方式、プレミックス方式等といわれるアスファルト混合物の製造方法が挙げられる。いずれも加熱した骨材にアスファルト及びポリエステルを添加する方法である。
上記混合する工程は、好ましくは以下の(i)~(iii)のいずれかである。
(i)加熱した骨材及び炭酸カルシウム粉末に、アスファルトを添加及び混合した後、ポリエステルを添加及び混合する、
(ii)加熱した骨材及び炭酸カルシウム粉末に、アスファルト、ポリエステルを同時に添加及び混合する、又は
(iii)加熱した骨材及び炭酸カルシウム粉末に、事前に加熱混合したアスファルト、ポリエステルの混合物を添加及び混合する。
(i)~(iii)の方法における加熱した骨材の温度は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上、更に好ましくは170℃以上であり、アスファルトの熱劣化を防止する観点から、好ましくは230℃以下、より好ましくは210℃以下、更に好ましくは200℃以下である。
骨材とアスファルト及び/又はポリエステルとの混合温度は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、混合温度は、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上、更に好ましくは170℃以上であり、アスファルトの熱劣化を防止する観点から、好ましくは230℃以下、より好ましくは210℃以下、更に好ましくは200℃以下である。
骨材、炭酸カルシウム粉末、アスファルト、及びポリエステルの混合時間は、特に限定されず、好ましくは20秒以上、より好ましくは40秒以上、更に好ましくは1分以上であり、時間の上限は、特に限定されず、好ましくは約30分程度である。本発明のアスファルト混合物は、混合時間を短くすることが可能である。
アスファルト混合物の製造方法は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、混合する工程後、得られた混合物を上記の混合温度で保持する工程を有することが好ましい。
アスファルト混合物を保持する工程においては、混合物を更に混合してもよい。
保持時間は、好ましくは0.2時間以上、より好ましくは0.3時間以上、更に好ましくは0.5時間以上であり、そして、時間の上限は、特に限定されないが、例えば5時間程度である。
[道路舗装方法]
本発明のアスファルト混合物は、道路舗装用として好適であり、道路舗装に使用される。
道路舗装方法は、前述のアスファルト混合物を道路に施工し、アスファルト舗装材層を形成する工程を有する。具体的には、道路舗装方法は、アスファルトと、前述のポリエステル(A)及びポリエステル(B)と、骨材とを混合する、アスファルト混合物を得る工程(工程1)、及び前記工程1で得られたアスファルト混合物を道路に施工してアスファルト舗装材層を形成する工程(工程2)を含む。アスファルト舗装材層は、通常は基層又は表層であり、耐わだち掘れ性の効果を発揮する観点から、好ましくは表層である。
アスファルト舗装材層の厚さは、耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは3cm以上、より好ましくは4cm以上、更に好ましくは4.5cm以上であり、そして、好ましくは7cm以下、より好ましくは6cm以下、更に好ましくは5.5cm以下である。本発明の別の態様において、アスファルト舗装材層を薄層舗装とすることができ、表層の厚さは、好ましくは1cm以上、より好ましくは1.5cm以上、更に好ましくは2cm以上であり、そして、好ましくは4cm以下、より好ましくは3.5cm以下、更に好ましくは3cm以下である。
アスファルト混合物は、公知の施工機械編成で、同様の方法によって締固め施工すればよい。加熱アスファルト混合物として使用する場合の締固め温度は、アスファルト舗装の耐わだち掘れ性の観点から、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、更に好ましくは130℃以上であり、そして、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。
各種物性については、以下の方法により、測定及び評価を行った。
なお、以下の実施例及び比較例において、特記しない限り、部及び%は質量基準である。
〔ポリエステルの軟化点(Ts)〕
フローテスター「CFT-500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
〔ポリエステルのガラス転移点(Tg)〕
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した。次に昇温速度10℃/分で150℃まで昇温しながら測定した。吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点とした。
〔ポリエステルの酸価及び水酸基価〕
ポリエステルの酸価及び水酸基価は、JIS K0070:1992の方法に基づき測定した。ただし、測定溶媒のみJIS K0070:1992に規定のエタノールとエーテルとの混合溶媒から、アセトンとトルエンとの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
〔ポリエステルのアミン価〕
ポリエステルのアミン価は、JIS K2501:2003の方法に基づき測定した。
製造例1、2及び6(ポリエステルA1、A2及びA6)
表1に示す3-(ジメチルアミノ)-1-プロパノール以外の原料モノマーを温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、窒素導入管、熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて表1に示す量のジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)及び没食子酸を添加し、マントルヒーター中で3時間かけて235℃まで昇温した。235℃で5時間保持した後、8.0kPaにて1時間減圧反応を行った。その後、140℃まで冷却し、3-(ジメチルアミノ)-1-プロパノールを投入した。200℃まで2時間かけて昇温後、200℃で1時間保持した後、8.3kPaの減圧条件にて記載の軟化点に達するまで反応を行い、ポリエステルA1、A2及びA6を得た。結果を表1に示す。
製造例3 (ポリエステルA3)
表1に示すN,N-ジメチルグリシン以外の原料モノマーを温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、窒素導入管、熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて表2に示す量のジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)及び没食子酸を添加し、マントルヒーター中で3時間かけて235℃まで昇温した。235℃で5時間保持した後、8.0kPaにて1時間減圧反応を行った。その後、140℃まで冷却し、N,N-ジメチルグリシンを投入した。200℃まで2時間かけて昇温後、200℃で1時間保持した後、8.3kPaの減圧条件にて記載の軟化点に達するまで反応を行い、ポリエステルA3を得た。結果を表1に示す。
製造例4及び5(ポリエステルA4及びA5)
表1に示す原料モノマーのうちビスフェノールAのPO付加物、テレフタル酸及びPET(ポリエチレンテレフタレート)を、温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて表1に示す量のジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)及び没食子酸を添加し、マントルヒーター中で3時間かけて235℃まで昇温を行い235℃で5時間保持した後、8.0kPaにて1時間減圧反応を行った。反応物からPET粒が消失したことを目視で確認後、180℃まで冷却し、アルケニルコハク酸無水物を投入した。210℃まで2時間かけて昇温後、210℃で1時間保持し、8.3kPaにて減圧反応を行った。その後、140℃まで冷却し、3-(ジメチルアミノ)-1-プロパノールを投入した。200℃まで2時間かけて昇温後、200℃で1時間保持した後、8.3kPaの減圧条件にて記載の軟化点に達するまで反応を行い、ポリエステルA4、A5を得た。結果を表1に示す。
なお、用いたアルケニル無水コハク酸は、ドデセニル無水コハク酸(平均分子量256)であった。
製造例7(ポリエステルC1)
表1に示す原料モノマーを温度計、ステンレス製撹拌棒、脱水管、窒素導入管、及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)及び没食子酸を添加し、235℃まで昇温した。その後235℃で8時間反応させ、更に235℃、8.3kPaの減圧条件にて記載の軟化点まで反応を行って、ポリエステルC1を得た。結果を表1に示す。
Figure 2023079030000004
実施例1
180℃に加熱した骨材(骨材の組成は以下を参照)15kgをアスファルト用混合機に入れ、180℃にて60秒間混合した。次いで180℃に加熱した改質II型アスファルト(日進化成株式会社製 エポックファルトD)0.82kgを加え、アスファルト用混合機にて60秒間混合した。その後、製造例1で得たポリエステルA1 164.6を添加し更に20秒間混合し、アスファルト混合物AS-1を得た。
得られたアスファルト混合物AS-1を180℃で1時間保管後、金属型枠(300×300×50mm)にアスファルト混合物約10.7kgを充填し、空圧式ローラーコンパクター(株式会社岩田工業所製)を使用し、温度150℃、荷重0.44kPaにて25回転圧処理にて転圧してホイールトラッキング供試体(T-1)を作製した。耐久性評価は下記のように実施した。
<わだち掘れ量>
60℃恒温室にて60℃に設定した温水にアスファルト供試体を1時間浸漬し、ホイールトラッキング試験機(株式会社岩田工業所製「AI-1100-S」)を使用し、温度60℃、走行速度15往復/分、荷重140kgf、鉄輪(幅47mm)使用条件にて水浸ホイールトラッキング試験を行った。わだち量は車輪往復回数1200回時の供試体変位量を測定した。その他の測定条件は、公益社団法人日本道路協会出版の「舗装調査・試験法便覧」に記載される「B003ホイールトラッキング試験」に従った。結果を表2に示す。
<骨材の組成>
6号砕石 40.0質量部
7号砕石 13.0質量部
砕砂 10.0質量部
川砂 22.0質量部
山砂 10.0質量部
石粉(炭酸カルシウム)5.0質量部
通過質量%:
ふるい目 19.0mm:100質量%
ふるい目 9.50mm:80.1質量%
ふるい目 4.75mm:59.4質量%
ふるい目 2.36mm:43.4質量%
ふるい目 1.18mm:29.1質量%
ふるい目 600μm :18.9質量%
ふるい目 300μm :11.7質量%
ふるい目 150μm :7.6質量%
実施例2~6
表2に示した配合に変更したこと以外、実施例1と同様にして、アスファルト供試体を
調製し、わだち掘れ量を測定した。結果を表2に示す。
実施例7
ポリエステルA1を添加後の混合時間を60秒間に変更した以外は実施例1と同様にして、アスファルト供試体を調整し、わだち掘れ量を測定した。結果を表2に示す。
実施例8
ポリエステルA5を添加後の混合時間を60秒間に変更した以外は実施例5と同様にして、アスファルト供試体を調整し、わだち掘れ量を測定した。結果を表2に示す。
比較例1
ポリエステルA1を添加せず、60秒間混合後更に20秒間混合した以外、実施例1と同様にし、アスファルト供試体を調整し、わだち掘れ量を測定した。結果を表2に示す。
比較例2
表2に示した配合に変更したこと以外、実施例1と同様にして、アスファルト供試体を調製し、わだち掘れ量を測定した。結果を表2に示す。
比較例3
ポリエステルA1に替えて、ポリエステルC1 164.6g及び3-(ジメチルアミノ)-1-プロパノール 7.63gを添加したこと以外、実施例1と同様にして、アスファルト供試体を調整し、わだち掘れ量を測定した。結果を表2に示す。
比較例4
ポリエステルA1に替えて、ポリエステルC1 164.6g及び分散剤「ソルスパース11200」(ルブリゾール社製、50質量%溶液)を有効量で8.23g添加した以外、実施例1と同様にして、アスファルト供試体を調整し、わだち掘れ量を測定した。結果を表2に示す。
比較例5
ポリエステルA1を添加せず、60秒間混合後更に60秒間混合した以外、実施例1と同様にし、アスファルト供試体を調整し、わだち掘れ量を測定した。結果を表2に示す。
比較例6
ポリエステルC1を添加後の混合時間を60秒間に変更した以外は比較例2と同様にし、アスファルト供試体を調整し、わだち掘れ量を測定した。結果を表2に示す。
比較例7
ポリエステルC1及び分散剤を添加後の混合時間を60秒間に変更した以外は比較例4と同様にし、アスファルト供試体を調整し、わだち掘れ量を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2023079030000005
表2の結果から、特定のアスファルト改質剤を添加した実施例1~6は、アスファルト混合物の混合時間が短くても、優れた耐わだち掘れ性を有する舗装面が形成できることが分かる。混合時間が長い場合(実施例7、8)と比較しても、耐久性が同程度に優れる。
これに対して、本発明以外のポリエステルを使用した比較例2、本発明以外のポリエステルにアミノアルコールを併用する比較例3及び本発明以外のポリエステルに分散剤を併用する比較例4では、混合時間が短い場合は耐わだち掘れ性が劣る。混合時間が長い場合(比較例6、7)は、所定の耐久性が達成できる。

Claims (12)

  1. アルコール成分由来の構成単位及びカルボン酸成分由来の構成単位を含み、アミン価が5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であるポリエステルを含むアスファルト改質剤。
  2. 前記アルコール成分がアミノアルコールを含む、又は、前記カルボン酸成分がアミノカルボン酸を含む、請求項1に記載のアスファルト改質剤。
  3. 前記アミノアルコールがジアルキルアミノ基を有するアミノアルコールである、又は、前記アミノカルボン酸がジアルキルアミノ基を有するアミノカルボン酸である、請求項2に記載のアスファルト改質剤。
  4. 前記アミノアルコールが下記式(1a)で表されるアミノアルコールである、又は、前記アミノカルボン酸が下記式(1b)で表されるアミノカルボン酸である、請求項2又は3に記載のアスファルト改質剤。
    Figure 2023079030000006

    Figure 2023079030000007

    〔式中、R11及びR12は独立して炭素数1以上20以下の炭化水素基を示す。Xは炭素数2以上20以下の炭化水素基を示す。Yは炭素数1以上20以下の炭化水素基を示す。〕
  5. 前記アルコール成分中のアミノアルコールの含有量が2モル%以上20モル%以下である、請求項2~4のいずれか1項に記載のアスファルト改質剤。
  6. 前記アルコール成分がビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のアスファルト改質剤。
  7. ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量が、アルコール成分100モル%中、20モル%以上である、請求項6に記載のアスファルト改質剤。
  8. 前記カルボン酸成分が、テレフタル酸及びイソフタル酸から選ばれる1種以上を合計40モル%以上含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のアスファルト改質剤。
  9. アスファルト、骨材、ポリエステル、及び炭酸カルシウム粉末を配合してなるアスファルト混合物であって、
    前記ポリエステルはアルコール成分由来の構成単位及びカルボン酸成分由来の構成単位を含み、アミン価が5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下である、アスファルト混合物。
  10. 前記炭酸カルシウムの含有量が、骨材及び炭酸カルシウムの合計100質量%中、1質量%以上30質量%以下である、請求項9に記載のアスファルト混合物。
  11. アスファルト、加熱した骨材、炭酸カルシウム粉末、及び前記ポリエステルを混合する工程を含むアスファルト混合物の製造方法であって、記ポリエステルはアルコール成分由来の構成単位及びカルボン酸成分由来の構成単位を含み、アミン価が5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下である、アスファルト混合物の製造方法。
  12. 請求項9又は10に記載のアスファルト混合物を道路に施工し、アスファルト舗装材層を形成する工程を有する、道路舗装方法。
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